(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168176
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】自律航行船舶
(51)【国際特許分類】
B63H 9/04 20200101AFI20241128BHJP
B63B 35/00 20200101ALI20241128BHJP
【FI】
B63H9/04
B63B35/00 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084625
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】591280485
【氏名又は名称】ソフトバンクグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】孫 正義
(57)【要約】
【課題】航行に要するコストを低減することができる自律航行船舶を提供する。
【解決手段】実施形態に係る自律航行船舶は、船体と、縦帆と、情報収集装置と、制御装置と、測位装置と、自律航行装置と、電動モータとを備える。縦帆は、船体に立設されるマストに張られる。情報収集装置は、船体の周囲の気象情報および海洋情報を収集する。制御装置は、情報収集装置によって収集される気象情報および海洋情報に基づいて、縦帆の向きを制御する。測位装置は、船体の位置を測位する。自律航行装置は、測位装置によって測位される船体の位置に基づいて、目的地まで船体を航行させるように舵を制御する。電動モータは、船体に推進力を付与するスクリューを駆動する。縦帆は、電動モータに供給する電力を発電する布状の太陽電池が設けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船体と、
前記船体に立設されるマストに張られる縦帆と、
前記船体の周囲の気象情報および海洋情報を収集する情報収集装置と、
前記情報収集装置によって収集される気象情報および海洋情報に基づいて、前記縦帆の向きを制御する制御装置と、
前記船体の位置を測位する測位装置と、
前記測位装置によって測位される前記船体の位置に基づいて、目的地まで前記船体を航行させるように舵を制御する自律航行装置と、
前記船体に推進力を付与するスクリューを駆動する電動モータとを備え、
前記縦帆は、
前記電動モータに供給する電力を発電する布状の太陽電池が設けられる、自律航行船舶。
【請求項2】
前記船体の両舷に設けられ、航行中の前記船体に揚力を付与して前記船体を浮上させる翼帆を備え、
前記翼帆は、
前記電動モータに供給する電力を発電する板状の太陽電池が設けられる、
請求項1に記載の自律航行船舶。
【請求項3】
前記自律航行装置は、目的地まで前記船体を航行させる航路において、前記布状の太陽電池の発電量が最大となる航路を選択する、
請求項1または請求項2に記載の自律航行船舶。
【請求項4】
前記自律航行装置は、目的地まで前記船体を航行させる航路において、前記スクリューの駆動が最小となる海流に乗る航路を選択する、
請求項1または請求項2に記載の自律航行船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、自律航行船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バッテリの電力によって駆動されるモータを駆動源として航行し、GPS(Global Positioning System)等を利用して目的地までの操船を自動制御する制御部を備えた船舶がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、バッテリの電力によって駆動されるモータを駆動源として航行する自律航行船舶は、航行するために商用電源等によってバッテリを充電する必要があり、航行に要するコストが嵩む。
【0005】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、航行に要するコストを低減することができる自律航行船舶を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一態様に係る自律航行船舶は、船体と、縦帆と、情報収集装置と、制御装置と、測位装置と、自律航行装置と、電動モータとを備える。前記縦帆は、前記船体に立設されるマストに張られる。前記情報収集装置は、前記船体の周囲の気象情報および海洋情報を収集する。前記制御装置は、前記情報収集装置によって収集される気象情報および海洋情報に基づいて、前記縦帆の向きを制御する。前記測位装置は、前記船体の位置を測位する。前記自律航行装置は、前記測位装置によって測位される前記船体の位置に基づいて、目的地まで前記船体を航行させるように舵を制御する。前記電動モータは、前記船体に推進力を付与するスクリューを駆動する。前記縦帆は、前記電動モータに供給する電力を発電する布状の太陽電池が設けられる。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様に係る自律航行船舶は、航行に要するコストを低減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る自律航行船舶の側面説明図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る自律航行船舶の正面説明図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る自律航行船舶の上面説明図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る自律航行船舶内部の構成例を示す機能ブロック図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る自律航行船舶の航行中の側面説明図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る翼帆の羽ばたき運動の説明図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る自律航行船舶の航路の選択を示す説明図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る自律航行船舶の航路の選択を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、自律航行船舶の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
[1.自律航行船舶の外観]
まず、
図1~
図3を参照して、実施形態に係る自律航行船舶の外観について説明する。
図1は、実施形態に係る自律航行船舶1の側面説明図である。
図2は、実施形態に係る自律航行船舶1の正面説明図である。
図3は、実施形態に係る自律航行船舶1の上面説明図である。なお、
図1および
図2には、停船中自律航行船舶を示している。
図1および
図2に示す点線は、水面を示している。
【0011】
図1~
図3に示すように、実施形態に係る自律航行船舶1は、船体2と、マスト3と、縦帆4と、舵5と、スクリュー6と、翼帆7と、水中翼8とを備える。自律航行船舶1は、貨物の輸送に利用されるものであり、
図1に一点鎖線で示すように、船体2の内部に貨物を保管できるスペース18を備える。マスト3は、船体2に立設される。縦帆4は、マスト3に張られる。マスト3は、風を受けることによって、船体2に推進力を付与する。
【0012】
舵5は、船体2の後部船底に設けられる。舵5は、後述する自律航行装置16(
図4参照)によって駆動され船体2の進路を変更する。スクリュー6は、船体2内に設けられる電気モータ12(
図4参照)によって回転駆動されて船体に推進力を付与する。
【0013】
つまり、自律航行船舶1は、風力と電力とを推進力に変換して航行するハイブリッド船である。このため、自律航行船舶1は、電力のみ、または化石燃料のみで航行する船舶に比べて、電力および化石燃料の消費量を低減することにより、航行に要するコストを低減することができる。
【0014】
また、翼帆7は、船体2の両舷に設けられる。具体的には、翼帆7は、船体2の進行方向を基準として右側側面および左側側面のそれぞれから船体2の外部の方向へ向けて突出するように設けられる。また、翼帆7は、飛行機の主翼を模した形状となっている。これにより、翼帆7は、航行中、つまり、前進中の船体2に揚力を付与して船体2を浮上させることができる。
【0015】
また、水中翼8は、船体2の底面、つまり、船底に設けられる。水中翼8は、飛行機の主翼を模した形状となっている。これにより、水中翼8は、航行中、つまり、前進中の船体2に揚力を付与して船体2を浮上させることができる。
【0016】
また、縦帆4の表面に、太陽光を電気に変換する布状(繊維状)の太陽電池9が設けられる。太陽電池9は、例えば、太陽光発電糸を織り上げた生地等である。太陽電池9によって発電される電力は、スクリュー6を駆動する電気モータ12(
図4参照)に供給される。
【0017】
また、翼帆7の上面、つまり、水面に対抗する側とは反対側の面に、太陽光を電気に変換する板状(パネル状)の太陽電池10が設けられる。また、船体2は、甲板に板状の太陽電池10が設けられる。太陽電池10によって発電される電力は、スクリュー6を駆動する電気モータ12(
図4参照)に供給される。
【0018】
[2.自律航行船舶の内部構成]
次に、
図4を参照して、自律航行船舶1の内部構成について説明する。
図4は、実施形態に係る自律航行船舶内部の構成例を示す機能ブロック図である。ここでは、
図1~3に示す構成要素と同一の構成要素については、
図1~
図3に示す符号と同一の符号を付することにより、重複する説明を省略する。
【0019】
図4に示すように、自律航行船舶1は、船体2の内部に、バッテリ11、電気モータ12、情報収集装置13、制御装置14、測位装置15、自律航行装置16、および駆動装置17を備える。
【0020】
バッテリ11は、充放電が可能な2次電池である。例えば、バッテリ11は、Li(リチウムイオン)バッテリである。バッテリ11は、太陽電池9および太陽電池10によって発電される電気を蓄電し、電気モータ12、情報収集装置13、制御装置14、測位装置15、自律航行装置16、および駆動装置17に電力を供給する。電気モータ12は、自律航行装置16によって駆動制御される。
【0021】
情報収集装置13は、気象衛星および陸上に設置される気象サーバと通信可能に構成される。情報収集装置13は、気象衛星および気象サーバのうち、少なくともいずれか一方から船体2の周囲の気象情報および海洋情報を受信して収集する。気象情報とは、例えば、船体2の周囲の天気予報、気圧配置、衛星写真等である。また、海洋情報とは、例えば、海流の方向および速さ、波の高さ等である。
【0022】
例えば、情報収集装置13は、気象情報および海洋情報を収集して制御装置14および自律航行装置16に出力する。なお、情報収集装置13は、風速センサ、風向センサ、および気圧センサ等の各種センサをさらに備え、各種センサによって気象情報および海洋情報を取得するように構成されてもよい。
【0023】
制御装置14は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。制御装置14は、CPUがROMに記憶されたプログラムを、RAMを作業領域として使用して実行することによって、縦帆4および駆動装置17を制御する。
【0024】
なお、制御装置14は、一部または全部がASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成されてもよい。
【0025】
制御装置14は、AI(Artificial Intelligence)を備え、情報収集装置13によって収集される気象情報および海洋情報に基づいて、例えば、船体2の推進力が最大となるようにAIが縦帆4の向きを制御する。
【0026】
これにより、自律航行船舶1は、例えば、船員の技術や経験に左右されることなく、AIが縦帆4の向きを常に最適な向きに調整するので、風力を推進力として最大限利用して航行することができる。また、制御装置14は、常時または必要に応じて駆動装置17を制御して、翼帆7を駆動する。翼帆7の動作例については、
図6を参照して後述する。
【0027】
測位装置15は、GPS(Global Positioning System)を備え、船体2の現在位置を測位する装置である。測位装置15は、測位した船体2の現在位置を自律航行装置16に出力する。
【0028】
自律航行装置16は、地図情報と海図情報とを記憶している。自律航行装置16は、地図情報、海図情報、情報収集装置13から入力される気象情報、海洋情報、事前に入力される出発地の位置、目的地の位置、および測位装置15から入力される船体2の現在位置に基づいて、出発地から目的地までの1つまたは複数の航路の候補を算出する。自律航行装置16は、算出した航路のうちの1つを選択して、選択した航路に沿って船体2を航行させるように、舵5と、電気モータ12と、制御装置14とを制御する。
【0029】
これにより、自律航行船舶1は、人による操船が不要となり、風力と太陽エネルギーとを使用した自動操船によって航行できる。つまり、自律航行船舶1は、バッテリ11を充電するための電力費、内燃機関を駆動するための燃料費、および操船のための人件費が不要となる。したがって、自律航行船舶1によれば、航行に要するコストを大幅に低減することができる。
【0030】
[3.自律航行船舶の航行姿勢]
次に、
図5を参照して、自律航行船舶1の航行姿勢について説明する。
図5は、実施形態に係る自律航行船舶1の航行中の側面説明図である。
【0031】
図5に示すように、自律航行船舶1は、縦帆4が風を受けることによって発生する推進力と、スクリュー6が回転することによって発生する推進力とによって前進する。なお、自律航行船舶1は、縦帆4による推進力によって必要十分な航行速度が得られる場合には、スクリュー6を回転させずに航行する。
【0032】
そして、自律航行船舶1は、航行速度が予め定められる所定速度以上になると、翼帆7が発生させる揚力および水中翼8が発生する揚力によって浮上しながら航行する。このとき、自律航行船舶1は、船底が正面視V字形状(
図2参照)になっているため、船体2が浮上していないときに比べて、船体2と水との接触面積が小さくなる。
【0033】
これにより、自律航行船舶1は、船体2が水から受ける抵抗力が低減されるので、翼帆7および水中翼8を備えない場合に比べて、航行速度を上昇させることができる。さらに、自律航行船舶1は、翼帆7を駆動することによって、船体2をさらに浮上させることができる。
【0034】
[4.翼帆の羽ばたき運動]
次に、
図6を参照して、翼帆7の羽ばたき運動について説明する。
図6は、実施形態に係る翼帆7の羽ばたき運動の説明図である。
【0035】
自律航行船舶1は、水中翼8と、固定翼の状態にした翼帆7とによる揚力では、船体2を十分に浮上させられない場合、また、航行速度をさらに上昇させる場合には、翼帆7を駆動する。
【0036】
この場合、自律航行船舶1の制御装置14は、自律航行装置16から翼帆7の駆動指令を受信すると、
図6に示すように、駆動装置17を制御して駆動装置17により翼帆7を羽ばたき運動させる。これにより、自律航行船舶1は、翼帆7を固定翼状態にしている場合に比べて、船体2の浮上高度が高くなるので、航行速度をさらに上昇させることができる。
【0037】
[5.自律航行船舶の航路の選択]
次に、
図7を参照して、自律航行船舶1の航路の選択について説明する。
図7は、実施形態に係る自律航行船舶1の航路の選択を示す説明図である。なお、説明の便宜上、自律航行船舶1の進行方向と同じ方向を縦帆4が向いた状態で自律航行船舶1が航行するものとして説明するが、縦帆4の向きは、特に限定されるものではない。
【0038】
船体2の出発地Psから船体2の目的地Peまで船体2を航行させる航路として、自律航行装置16が、航路Aおよび航路Bを算出しており、太陽光の照射方向Cが、出発地Psから目的地Peに向かう方向と同じである場合を想定する。ここで、航路Aは、出発地Psから目的地Peまで直線的に航行する航路であって、太陽光の照射方向Cに沿うような航路となっている。航路Bは、出発地Psから目的地Peまで曲線的に航行する航路であって、太陽光の照射方向Cと交わるような航路となっている。
【0039】
この場合、船体2の進行方向と太陽光の照射方向Cとの差が大きくなるに応じて、縦帆4への太陽光の照射角度が大きくなるため、航路Bは、航路Aに比べて、太陽電池9への太陽光の照射量が大きくなる。つまり、太陽電池9の発電量が最大となる航路は、航路Bである。自律航行装置16は、太陽電池9の発電量が最大となる航路Bを選択して目的地Peまで船体2を航行させる。これにより、航路Bを選択した場合では、航路Aを選択した場合に比べて、航路の距離が長くなるものの、太陽電池9による発電量を増加させて、バッテリ11を充電するための電力費を低減できる。
【0040】
なお、出発地Psから目的地Peまでの太陽電池9の発電量が最大となる航路を選択するのではなく、船体2の現在地から目的地Peまでの太陽電池9の発電量が最大となる航路を選択してもよい。また、本実施形態においては、2つの航路(航路A,航路B)から太陽電池9の発電量が最大となる航路を選択しているが、選択の候補となる航路の数は、特に限定されるものではない。
【0041】
[6.変形例]
上記した実施形態は、一例であり、実施形態に係る自律航行船舶1は、種々の変形が可能である。自律航行船舶1は、スクリュー6の駆動が最小となる海流に乗る航路を選択してもよい。
図8を参照して、スクリュー6の駆動が最小となる海流に乗る航路の選択について説明する。
図8は、実施形態に係る自律航行船舶1の航路の選択の説明図である。なお、スクリュー6の駆動が最小とは、船体2の出発地Psから船体2の目的地Peまでのスクリュー6の駆動に要する電力が最小であることを意味する。
【0042】
出発地Psから目的地Peまで船体2を航行させる航路として、自律航行装置16が、航路Dおよび航路Eを算出しており、海流の方向Fが、出発地Psから目的地Peに向かって円弧状に流れる方向となっている場合を想定する。ここで、航路Dは、出発地Psから目的地Peまで直線的に航行する航路であって、海流と交わるように航行する航路である。航路Eは、出発地Psから目的地Peまで曲線的に航行する航路であって、海流に沿うように航行する航路である。
【0043】
この場合、航路Eは、海流に流されるように航行可能であるため、航路Dに比べて、電力による推進力を要しない。つまり、スクリュー6の駆動が最小となる海流に乗る航路は、航路Eである。自律航行装置16は、スクリュー6の駆動が最小となる海流に乗る航路Eを選択して目的地Peまで船体2を航行させる。これにより、航路Eを選択した場合では、航路Dを選択した場合に比べて、航路の距離が長くなるものの、航行に要する電力を低減できる。
【0044】
なお、出発地Psから目的地Peまでのスクリュー6の駆動量が最小となる海流に乗る航路を選択するのではなく、現在地から目的地Peまでのスクリュー6の駆動量が最小となる海流に乗る航路を選択してもよい。また、目的地Peまでのスクリュー6の駆動に要する電力が最小となる海流に乗る航路を選択するのではなく、スクリュー6の駆動時間が最小となる海流に乗る航路を選択してもよい。また、本実施形態においては、2つの航路(航路D,航路E)からスクリュー6の駆動が最小となる海流に乗る航路を選択しているが、選択の候補となる航路の数は、特に限定されるものではない。
【0045】
また、
図1~
図8に示す自律航行船舶1は、翼帆7と水中翼8とを備えるが、翼帆7および水中翼8のうち、少なくともいずれか一方を備えるように構成されてもよい。これにより、自律航行船舶1は、重量が低減されるので、航行速度をさらに上昇させることができる。
【0046】
また、自律航行船舶1は、比較的風速が強い航路の運航に利用される場合、電気モータ12およびスクリュー6を備えない構成であってもよい。これにより、自律航行船舶1は、電気モータ12用のスペースを積み荷用のスペースとして有効活用できるので、船体2の積載能力を高めることができる。
【0047】
また、翼帆7の形状は、
図1~
図8に示す形状に限定されるものではなく、揚力を発生させる形状であれば、任意の形状であってもよい。例えば、翼帆7の長さ(船体2の幅方向の長さ)は、船体2の幅の2~3倍の長さであることが望ましい。
【0048】
また、制御装置14は、船体2の航行速度が上昇し、かつ、船体2の浮上高度が上昇するように、風向きおよび風速に応じて翼帆7のピッチを調整するよう駆動装置17を制御するように構成されてもよい。これにより、自律航行船舶1は、風力を最大限に利用して航行することが可能となる。
【0049】
また、制御装置14は、船体2の重量に応じて翼帆7を制御するように構成されてもよい。具体的には、自律航行船舶1は、積載する貨物の重量が増大すると、貨物を含めた船体2の重量が増大して喫水が長くなる。自律航行船舶1は、喫水が長くなると船体2と水との接触面積が増大して水から受ける抵抗が増大する。
【0050】
そこで、制御装置14は、貨物を含めた船体2の重量が増大するほど、翼帆7による揚力が大きくなるように翼帆7のピッチを調整する。これにより、自律航行船舶1は、より浮上しやすくなるので、水から受ける抵抗を低減することができる。
【0051】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 自律航行船舶
2 船体
3 マスト
4 縦帆
5 舵
6 スクリュー
7 翼帆
8 水中翼
9 太陽電池
10 太陽電池
11 バッテリ
12 電気モータ
13 情報収集装置
14 制御装置
15 測位装置
16 自律航行装置
17 駆動装置
18 スペース
A 航路
B 航路
D 航路
E 航路
Ps 出発地
Pe 目的地