(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168183
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】受信機、プログラム、方法及び無線給電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20241128BHJP
H02J 50/20 20160101ALI20241128BHJP
【FI】
H02J7/00 301D
H02J50/20
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084638
(22)【出願日】2023-05-23
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】520354692
【氏名又は名称】エイターリンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小舘 直人
(72)【発明者】
【氏名】彦坂 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】竹内 真悟
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB02
5G503BB03
5G503CA11
5G503DB01
5G503GB08
(57)【要約】
【課題】ワイヤレス給電がされる受信機において、受信機の電源電力を節約する。
【解決手段】 送信電力を無線で受電する受信機200であって、受信機200は、マイコン205と、送信電力により充電される充電部204と、送信電力により駆動され、所定の物理量を測定するセンサと、センサにより測定された物理量を外部に送信する送信部とを有し、マイコン205は、充電部204の充電電圧である電源電圧を検出する第1ステップと、第1ステップで検出した電源電圧と、この電源電圧に対して定められた第1の閾値との比較を行う第2ステップと、第2ステップにおける比較結果に基づいて、受信機200の受電状態を判定する第3ステップと、第3ステップにおける判定結果に基づいて、送信部による物理量の送信の可否を決定する第4ステップとを実行する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信電力を無線で受電する受信機であって、
前記受信機は、プロセッサと、前記送信電力により充電される充電部と、前記送信電力により駆動され、所定の物理量を測定するセンサと、前記センサにより測定された物理量を外部に送信する送信部とを有し、
前記プロセッサは、
前記充電部の充電電圧である電源電圧を検出する第1ステップと、
前記第1ステップで検出した前記電源電圧と、この電源電圧に対して定められた第1の閾値との比較を行う第2ステップと、
前記第2ステップにおける比較結果に基づいて、前記受信機の受電状態を判定する第3ステップと、
前記第3ステップにおける判定結果に基づいて、前記送信部による前記物理量の送信の可否を決定する第4ステップと
を実行する、受信機。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記送信部に前記物理量を所定間隔で前記外部に送信させる第5ステップを実行させ、
さらに、前記第5ステップにおいて、前記第4ステップにおける決定結果が前記物理量を送信しないとの結果であった場合、前記物理量を前記外部に送信させるタイミングを所定時間だけ遅延させる
請求項1に記載の受信機。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記第5ステップにおける前記物理量を前記外部に送信させるタイミングに合わせて前記第1ステップ、前記第2ステップ、前記第3ステップ及び前記第4ステップを実行させる
請求項2に記載の受信機。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記第5ステップにおいて所定回数だけ前記物理量を前記外部に送信させるタイミングを所定時間だけ遅延させた場合、前記物理量を前記外部に送信させるタイミングを次の所定間隔後にする
請求項3に記載の受信機。
【請求項5】
送信電力を無線で受電する受信機であって、
前記受信機は、プロセッサと、前記送信電力を整流する整流部と、前記整流部からの整流電圧を管理する電力管理部と、電力管理部からの出力電力により充電される充電部と、前記出力電力により駆動され、所定の物理量を測定するセンサと、前記センサにより測定された物理量を外部に送信する送信部とを有し、
前記プロセッサは、
前記整流電圧及び前記充電部の充電電圧である電源電圧を検出する第6ステップと、
前記第6ステップで検出した前記整流電圧及び/または前記第6ステップで検出した前記電源電圧の時間変化を検出し、この検出結果に基づいて前記受信機の受電状態を判定する第7ステップと、
前記第7ステップにおける判定結果に基づいて、前記送信部による前記物理量の送信の可否を決定する第8ステップと
を実行する、受信機。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記送信部に前記物理量を所定間隔で前記外部に送信させる第5ステップを実行させ、
さらに、前記第5ステップにおいて、前記第7ステップにおける判定結果に基づいて、前記物理量を送信する場合における前記所定間隔を決定する
請求項5に記載の受信機。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記第6ステップで検出した前記整流電圧と、この整流電圧に対して定められた第2の閾値との比較、及び/または前記第6ステップで検出した前記電源電圧と、この電源電圧に対して定められた第3の閾値との比較を行う第9ステップ
を実行し、
前記第7ステップにおいて、前記第6ステップにおける前記検出結果及び前記第9ステップにおける前記比較結果に基づいて前記受信機の受電状態を判定する
請求項5に記載の受信機。
【請求項8】
送信電力を無線で受電する受信機であって、
前記受信機は、制御部と、前記送信電力により充電される充電部と、前記送信電力により駆動され、所定の物理量を測定するセンサと、前記センサにより測定された物理量を外部に送信する送信部とを有し、
前記制御部は、
前記充電部の充電電圧である電源電圧を検出する第1の電圧取得部と、
前記第1の電圧取得部が検出した前記電源電圧と、この電源電圧に対して定められた閾値との比較を行う第1の閾値比較部と、
前記第1の閾値比較部による比較結果に基づいて、前記受信機の受電状態を判定する第1の受電状態判定部と、
前記第1の受電状態判定部による判定結果に基づいて、前記送信部による前記物理量の送信の可否を決定する第1の送信制御部と
を有する、受信機。
【請求項9】
送信電力を無線で受電する受信機であって、
前記受信機は、制御部と、前記送信電力を整流する整流部と、前記整流部からの整流電圧を管理する電力管理部と、電力管理部からの出力電力により充電される充電部と、前記出力電力により駆動され、所定の物理量を測定するセンサと、前記センサにより測定された物理量を外部に送信する送信部とを有し、
前記制御部は、
前記整流電圧及び前記充電部の充電電圧である電源電圧を検出する第2の電圧取得部と、
前記第2の電圧取得部が検出した前記整流電圧及び/または前記第2の電圧取得部が検出した前記電源電圧の時間変化を検出し、この検出結果に基づいて前記受信機の受電状態を判定する第2の受電状態判定部と、
前記第2の受電状態判定部による判定結果に基づいて、前記送信部による前記物理量の送信の可否を決定する第2の送信制御部と
を有する、受信機。
【請求項10】
送信電力を無線で受電し、プロセッサを備える受信機を動作させるためのプログラムであって、
前記受信機は、前記送信電力により充電される充電部と、前記送信電力により駆動され、所定の物理量を測定するセンサと、前記センサにより測定された物理量を外部に送信する送信部とを有し、
前記プログラムは、前記プロセッサに、
前記充電部の充電電圧である電源電圧を検出する第1ステップと、
前記第1ステップで検出した前記電源電圧と、この電源電圧に対して定められた第1の閾値との比較を行う第2ステップと、
前記第2ステップにおける比較結果に基づいて、前記受信機の受電状態を判定する第3ステップと、
前記第3ステップにおける判定結果に基づいて、前記送信部による前記物理量の送信の可否を決定する第4ステップと
を実行させる、プログラム。
【請求項11】
送信電力を無線で受電し、プロセッサを備える受信機を動作させるためのプログラムであって、
前記受信機は、前記送信電力を整流する整流部と、前記整流部からの整流電圧を管理する電力管理部と、電力管理部からの出力電力により充電される充電部と、前記出力電力により駆動され、所定の物理量を測定するセンサと、前記センサにより測定された物理量を外部に送信する送信部とを有し、
前記プロセッサは、
前記整流電圧及び前記充電部の充電電圧である電源電圧を検出する第6ステップと、
前記第6ステップで検出した前記整流電圧及び/または前記第6ステップで検出した前記電源電圧の時間変化を検出し、この検出結果に基づいて前記受信機の受電状態を判定する第7ステップと、
前記第7ステップにおける判定結果に基づいて、前記送信部による前記物理量の送信の可否を決定する第8ステップと
を実行させる、プログラム。
【請求項12】
送信電力を無線で受電し、プロセッサを備える受信機により実行される方法であって、
前記受信機は、前記送信電力により充電される充電部と、前記送信電力により駆動され、所定の物理量を測定するセンサと、前記センサにより測定された物理量を外部に送信する送信部とを有し、
前記プログラムは、前記プロセッサに、
前記充電部の充電電圧である電源電圧を検出する第1ステップと、
前記第1ステップで検出した前記電源電圧と、この電源電圧に対して定められた第1の閾値との比較を行う第2ステップと、
前記第2ステップにおける比較結果に基づいて、前記受信機の受電状態を判定する第3ステップと、
前記第3ステップにおける判定結果に基づいて、前記送信部による前記物理量の送信の可否を決定する第4ステップと
を実行させる、方法。
【請求項13】
送信電力を無線で受電し、プロセッサを備える受信機により実行される方法であって、
前記受信機は、前記送信電力を整流する整流部と、前記整流部からの整流電圧を管理する電力管理部と、電力管理部からの出力電力により充電される充電部と、前記出力電力により駆動され、所定の物理量を測定するセンサと、前記センサにより測定された物理量を外部に送信する送信部とを有し、
前記プロセッサは、
前記整流電圧及び前記充電部の充電電圧である電源電圧を検出する第6ステップと、
前記第6ステップで検出した前記整流電圧及び/または前記第6ステップで検出した前記電源電圧の時間変化を検出し、この検出結果に基づいて前記受信機の受電状態を判定する第7ステップと、
前記第7ステップにおける判定結果に基づいて、前記送信部による前記物理量の送信の可否を決定する第8ステップと
を実行させる、方法。
【請求項14】
送信電力を無線で送電する送信機と、
前記送信電力を無線で受電する受信機であって、前記送信電力により充電される充電部と、前記送信電力により駆動され、所定の物理量を測定するセンサと、前記センサにより測定された物理量を外部に送信する送信部とを有する前記受信機と、
を有する無線給電システムであって、
前記無線給電システムは少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記充電部の充電電圧である電源電圧を検出する第1ステップと、
前記第1ステップで検出した前記電源電圧と、この電源電圧に対して定められた第1の閾値との比較を行う第2ステップと、
前記第2ステップにおける比較結果に基づいて、前記受信機の受電状態を判定する第3ステップと、
前記第3ステップにおける判定結果に基づいて、前記送信部による前記物理量の送信の可否を決定する第4ステップと
を実行する、無線給電システム。
【請求項15】
送信電力を無線で送電する送信機と、
前記送信電力を無線で受電する受信機であって、前記送信電力を整流する整流部と、前記整流部からの整流電圧を管理する電力管理部と、電力管理部からの出力電力により充電される充電部と、前記出力電力により駆動され、所定の物理量を測定するセンサと、前記センサにより測定された物理量を外部に送信する送信部とを有有する前記受信機と、
を有する無線給電システムであって、
前記無線給電システムは少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記整流電圧及び前記充電部の充電電圧である電源電圧を検出する第6ステップと、
前記第6ステップで検出した前記整流電圧及び/または前記第6ステップで検出した前記電源電圧の時間変化を検出し、この検出結果に基づいて前記受信機の受電状態を判定する第7ステップと、
前記第7ステップにおける判定結果に基づいて、前記送信部による前記物理量の送信の可否を決定する第8ステップと
を実行する、無線給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、受信機、プログラム、方法及び無線給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤレス給電システムにおいて、センサ機器が一次電池と送信機からの給電電力を蓄える二次電池とを有する構成において、一次電池の交換機会を適切に減少させるために、二次電池の蓄電量が基準値よりも低下すると、位置情報を用いて特定されるセンサ機器への給電効率が最も高い設備機器に対して、無線給電手段が給電の開始を指令する技術が開示されている(特許文献1)。
【0003】
また、ワイヤレス給電システムにおいて、無線給電される電圧値に応じて無線通信の通信間隔を変更する技術が開示されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2021/002007号
【特許文献2】国際公開第2009/063923号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された技術では、一次電池を受信機に設けており、この場合、一次電池の交換作業がどうしても生じる。受信機にセンサ機器を設ける構成では、受信機を無数に配置することが好ましく、この場合、受信機に一次電池を設ける構成は合理的でない。
また、特許文献2に開示された技術では、電圧値に応じて無線通信の通信間隔を変更することになり、この場合、逐次センサ装置のセンシング結果を送出するタイミングを逃す可能性がある。
【0006】
本開示の目的は、ワイヤレス給電がされる受信機において、受信機の電源電力を節約することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
送信電力を無線で受電する受信機であって、受信機は、プロセッサと、送信電力により充電される充電部と、送信電力により駆動され、所定の物理量を測定するセンサと、センサにより測定された物理量を外部に送信する送信部とを有し、プロセッサは、充電部の充電電圧である電源電圧を検出する第1ステップと、第1ステップで検出した電源電圧と、この電源電圧に対して定められた第1の閾値との比較を行う第2ステップと、第2ステップにおける比較結果に基づいて、受信機の受電状態を判定する第3ステップと、第3ステップにおける判定結果に基づいて送信部による物理量の送信の可否を決定する第4ステップとを実行する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、ワイヤレス給電がされる受信機において、受信機の電源電力を節約することができる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係るワイヤレス給電システム(WPTシステム)の全体の構成を示す図である。
【
図2】
図1に示す送信機と、受信機との構成例を表すブロック図である。
【
図3】第1実施形態に係る受信機の回路構成の概略を示す図である。
【
図4】第1実施形態に係る受信機の機能的な構成を示す図である。
【
図5】第1実施形態に係る受信機における処理流れの一例を示すフローチャートである。
【
図6】第2実施形態に係る受信機の機能的な構成を示す図である。
【
図7】第2実施形態に係るWPTシステムにおける受信機の受電状態判定の手順の一例を説明するための図である。
【
図8】第2実施形態に係る判定テーブルのデータ構造を示す図である。
【
図9】第2実施形態に係る判定テーブルのデータ構造を示す図である。
【
図10】第2実施形態に係る判定テーブルのデータ構造を示す図である。
【
図11】第2実施形態に係る受信機における処理流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。実施形態を説明する全図において、共通の構成要素には同一の符号を付し、繰り返しの説明を省略する。なお、以下の実施形態は、特許請求の範囲に記載された本開示の内容を不当に限定するものではない。また、実施形態に示される構成要素のすべてが、本開示の必須の構成要素であるとは限らない。また、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。
【0011】
また、以下の説明において、「プロセッサ」は、1以上のプロセッサである。少なくとも1つのプロセッサは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサであるが、GPU(Graphics Processing Unit)のような他種のプロセッサでもよい。少なくとも1つのプロセッサは、シングルコアでもよいしマルチコアでもよい。
【0012】
また、少なくとも1つのプロセッサは、処理の一部又は全部を行うハードウェア回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit))といった広義のプロセッサでもよい。
【0013】
また、以下の説明において、「xxxテーブル」といった表現により、入力に対して出力が得られる情報を説明することがあるが、この情報は、どのような構造のデータでもよいし、入力に対する出力を発生するニューラルネットワークのような学習モデルでもよい。従って、「xxxテーブル」を「xxx情報」と言うことができる。
【0014】
また、以下の説明において、各テーブルの構成は一例であり、1つのテーブルは、2以上のテーブルに分割されてもよいし、2以上のテーブルの全部又は一部が1つのテーブルであってもよい。
【0015】
また、以下の説明において、「プログラム」を主語として処理を説明する場合があるが、プログラムは、プロセッサによって実行されることで、定められた処理を、適宜に記憶部及び/又はインタフェース部などを用いながら行うため、処理の主語が、プロセッサ(或いは、そのプロセッサを有するコントローラのようなデバイス)とされてもよい。
【0016】
プログラムは、計算機のような装置にインストールされてもよいし、例えば、プログラム配布サーバ又は計算機が読み取り可能な(例えば非一時的な)記録媒体にあってもよい。また、以下の説明において、2以上のプログラムが1つのプログラムとして実現されてもよいし、1つのプログラムが2以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0017】
また、以下の説明において、種々の対象の識別情報として、識別番号が使用されるが、識別番号以外の種類の識別情報(例えば、英字や符号を含んだ識別子)が採用されてもよい。
【0018】
また、以下の説明において、同種の要素を区別しないで説明する場合には、参照符号(又は、参照符号のうちの共通符号)を使用し、同種の要素を区別して説明する場合は、要素の識別番号(又は参照符号)を使用することがある。
【0019】
また、以下の説明において、制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。全ての構成が相互に接続されていてもよい。
【0020】
<0 システムの概要>
本開示に係るWPTシステムは、ワイヤレス給電方式に基づいて、送信機から送電された電力を受電して、その電力をセンサ等のデバイスに給電し、このデバイスにより係争された物理量を送信機等に送信する受信機を有する。
【0021】
詳細は第1実施形態において説明するが、本開示に係るWPTシステムでは、受信機のアンテナでマイクロ波電力(920MHzの略継続的な連続波(CW))を受電して、アンテナと機能的に接続されている整流回路によって電波を直流電圧に変換する。整流回路から出力された直流電圧は、電力管理部によって電圧が制御されたあと、その電圧が充電部(主にキャパシタ)に供給される。充電部を構成する蓄電素子に特段の限定はなく、キャパシタ、リチウムイオン電池、電気二重層コンデンサ、セラミックコンデンサ等が含まれうる。本開示に係るWPTシステムでは、充電部は主にキャパシタを備えるものとして説明を行う。電力管理部から供給された電圧は、充電部に蓄積された電圧が所定値未満である場合、充電部へ供給される。充電部で所定電圧まで充電されると、電力管理部から供給出力された電力は、マイコン及びデバイスに供給される。
【0022】
ここで、ワイヤレス給電は、給電状態が環境によって左右されるため、安定して一定量の電力を供給するのが困難であり、給電量は経時的に大きく変動する。また、太陽電池やレーザー方式のワイヤレス給電においても同様に給電量が変化しうる。このように給電状態が安定しない状況下においても、受信機のマイコン、さらには受信機が有するセンサ等への安定した給電を継続させる必要がある。
【0023】
そこで、本開示に係るWPTシステムでは、受信機の受電状態を判定して、受信機がマイコン等へ電力を供給する機能を維持できるか否かを判断し、この判断結果に基づいて、センサが計測した物理量を送信機等に送信するタイミングを調整する(送信間隔を最適化する)。これにより、受信機の電源電力を節約し、センサ等が計測した物理量を送信機等に確実に送信することができる。
【0024】
特に、ワイヤレス給電システムでは、一時期的に受信機の受電状態が悪化したとしても、その理由が、送信機と受信機との間を人が通過したなどの一時的なものであることが多い。従って、やや時間を置けば受信機の受電状態が回復することが期待できる。このことから、センサが計測した物理量を送信機等に送信する時間間隔を一時期的に延長するといった手法を採用すれば、その後は安定して物理量の送信作業を行うことができる。
【0025】
なお、本開示に係るWPTシステムが有する具体的な構成は上述のものに限定されないことは言うまでも無い。
【0026】
<1.第1実施形態>
<1.1 システム全体の構成図>
図1は、第1実施形態に係るWPTシステム1の全体の構成を示す図である。
【0027】
図1に示すWPTシステム1は、例えば、送信機100、受信機200、第1情報処理装置300、及び第2情報処理装置400を備える。
図1に示すWPTシステム1は、例えば、ビル、又は工場等で利用される。
【0028】
なお、本明細書において、送信機100は無線で電力を送信するという意味での(電力)送信機100であり、同様に、受信機200は無線で電力を受信するという意味での(電力)受信機200である。後述するように、送信機100は、例えば、受信機200の状態に関する情報、又はセンサによる計測結果に関する情報を、データ信号として送信機100へ送信し、送信機100はかかるデータ信号を受信することがある。この場合、送信機100はデータ信号を受信する受信機であり、受信機200はデータ信号を送信する送信機として機能する。
【0029】
図1において、WPTシステム1が送信機100を3台含む例を示しているが、WPTシステム1に含まれる送信機100の数は、3台に限定されない。WPTシステム1に含まれる送信機100は、2台以下であってもよいし、4台以上であってもよい。
【0030】
図1において、WPTシステム1が受信機200を7台含む例を示しているが、WPTシステム1に含まれる受信機200の数は、7台に限定されない。WPTシステム1に含まれる受信機200は、6台以下であってもよいし、8台以上であってもよい。
【0031】
図1において、WPTシステム1が第1情報処理装置300を2台含む例を示しているが、WPTシステム1に含まれる第1情報処理装置300の数は、2台に限定されない。WPTシステム1に含まれる第1情報処理装置300は、1台であってもよいし、3台以上であってもよい。
【0032】
送信機100は、例えば、受信機200へ給電信号、又はデータ信号を送信する。送信機100は、例えば、920MHz帯の電波により、受信機200へ給電信号を送信する。送信機100は、例えば、2.4GHz帯の電波により、受信機200へデータ信号を送信する。送信機100は、データ信号を、920MHz帯の電波により送信してもよい。
【0033】
送信機100から送信される送電信号は、一例として、所定の電力を有する連続波(CW)であってもよい。また、送電信号の周波数帯域は、送信機100と受信機200との間の距離を考慮して、例えば920MHz帯域である。例示した周波数帯域より高周波数の帯域であると、送信機100と受信機200の距離を短くしないと、受信機200が動作可能な所定の電力を給電できない可能性があるので、実用的範囲を考慮する(一例として送信機100と受信機200との間の距離が数mであるとか)ことで適切な周波数帯域を決定することができる。
【0034】
この際、WPTシステム1が設置された国の法律等により、所定の電力を有する送電信号を間欠的に行う制限が生じることがある。一例として、送信機100からの送電信号が、日本の電波法に規定する無線局の規定に該当する場合(免許の有無は問わない)、電波法に基づいて送電信号に対して一定の休止期間を設ける必要が生じる場合がある。この場合、ある程度の時間軸上で考えると、送電信号は連続波とは言えない。但し、休止期間を設けることが肝要であり、この休止期間はわずかであれば足りるので、送信機100から送信される送電信号は略継続的な連続波であると見なすことができる。
【0035】
送信機100は、例えば、1台の受信機200へ給電してもよいし、複数台の受信機200へ給電してもよい。送信機100は、例えば、1台の受信機200へデータ信号を送信してもよいし、複数台の受信機200へデータ信号を送信してもよい。送信機100は、例えば、他の送信機100と同じデータ信号を送信してもよいし、他の送信機100と異なるデータ信号を送信してもよい。送信機100は、例えば、所定のコマンド信号をデータ信号として受信機200へ送信してもよいし、予め設定された信号をデータ信号として受信機200へ送信してもよい。
【0036】
送信機100は、例えば、受信機200から送信されるデータ信号を受信する。送信機100は、例えば、1台の受信機200から送信されるデータ信号を受信してもよいし、複数の受信機200から送信されるデータ信号を受信してもよい。送信機100は、受信機200から送信されるデータ信号を第1情報処理装置300へ送信する。送信機100は、送信機100の状態に関する情報を第1情報処理装置300へ送信する。
【0037】
受信機200は、例えば、送信機100から送信される給電信号、又はデータ信号を受信する。受信機200は、例えば、充電部を有する場合、送信機100から送信される給電信号を電力へ変換し、変換した電力を充電部に貯える。受信機200は、例えば、所定のセンサを有する場合、送信機100から送信される給電信号を電力へ変換し、変換した電力によりセンサを駆動させる。
【0038】
受信機200は、例えば、受信機200の状態に関する情報、又はセンサによる計測結果に関する情報を、データ信号として送信機100へ送信する。
【0039】
第1情報処理装置300は、WPTシステム1に収容される送信機100、受信機200の動作を監視する情報処理装置である。例えば、第1情報処理装置300は、送信機100から送信される、送信機100、及び受信機200の状態に関する情報に基づき、送信機100、又は受信機200が予め設定された状態になっているか否かを判断する。予め設定された状態になっていると判断した場合、第1情報処理装置300は、所定の情報を第2情報処理装置400へ送信する。
【0040】
また、第1情報処理装置300は、WPTシステム1に収容される送信機100、受信機200についての情報を蓄積する。例えば、第1情報処理装置300は、送信機100から送信される、送信機100及び受信機200の状態に関する情報を、第1情報処理装置300に設けられる記憶部に記憶する。
【0041】
また、第1情報処理装置300は、WPTシステム1に収容される送信機100の動作を制御する。
【0042】
第2情報処理装置400は、WPTシステム1の管理者が操作する情報処理装置である。第2情報処理装置400は、WPTシステム1に収容される送信機100、受信機200、又はこれらの両方が所定の状態になっている旨の連絡を第1情報処理装置300から受信すると、送信機100、受信機200、又はこれらの両方が所定の状態になっていることをユーザに提示する。
【0043】
また、第2情報処理装置400は、第1情報処理装置300に蓄積されている、送信機100及び受信機200の状態に関する情報を分析し、所定の情報をユーザに提示する。所定の情報は、例えば、以下である。
・送信機100の配置に関する情報
・受信機200の配置に関する情報
・消費電力に関する情報
・電力強度に関する情報
【0044】
<1.2 送信機と受信機の構成>
図2は、
図1に示す送信機100と、受信機200との構成例を表すブロック図である。
図2に示すように、送信機100と受信機200とは、例えば、互いに所定間隔で離間する。例えば、送信機100と受信機200とは、数m程度の距離だけ隔てられて設置される。具体的には、例えば、送信機100は、屋内の高所、例えば、天井、又は壁に設けられた所定の高位置に固定して設置される。受信機200は、屋内の所定のデバイスに設置されたり、給電が必要なデバイスの近傍に載置されたりする。また、受信機200は、ユーザにより携帯されてもよい。送信機100は、所定の周波数、例えば、920MHz帯の電波により、受信機200へ給電信号を送信する。受信機200は、送信機100から送信される給電信号を電力へ変換し、変換した電力を充電するか、又は、変換した電力を所定のデバイスへ供給する。
【0045】
送信機100は、例えば、発振器101、送信アンテナ102、マイコン(制御器)103、データ送受信機104、データ送受信アンテナ105を有する。発振器101、マイコン103、データ送受信機104は、例えば、PCB(プリント基板)に実装されていてもよい。
【0046】
発振器101は、所定周波数帯、例えば、920MHz帯の信号を発振させる。発振された信号は、必要に応じて、増幅されて、不要周波数成分が除去されてもよい。
【0047】
送信アンテナ102は、例えば、920MHz帯の電波を効率的に送信可能に形成されている。送信アンテナ102は、発振器101で発振された信号を、給電信号として放射する。
【0048】
マイコン103は、送信機100の動作を制御する。マイコン103は、例えば、ARMプロセッサを搭載した半導体素子により実現される。マイコン103は、例えば、送信アンテナ102による電波の送信を制御する。
【0049】
例えば、工場で用いられるWPTシステム1では、受信機200は所定値以上の電力を供給することが望ましい。そのため、マイコン103は、受信機200から送信されるフィードバック信号に基づき、送信アンテナ102による電波の送信を制御する。フィードバック信号は、例えば、受信機200内の所定の部位の電圧値に係るものである。フィードバック信号に基づき、受信機200の電界強度が疑似的に把握可能である。送信アンテナ102が、例えば、複数のアンテナ素子を有する場合、マイコン103は、例えば、最適なアンテナ素子から給電信号を送信するように、送信アンテナ102を制御する。例えば、マイコン103は、駆動させるアンテナ素子を切り替えることで、給電信号の偏波方向を調整する。また、マイコン103は、アンテナ素子の駆動タイミングを調整することで、給電信号の指向方向を調整する。
【0050】
また、ビル等の室内で用いられるWPTシステム1では、マイコン103は、受信機200から送信されるフィードバック信号に基づき、送信アンテナ102による電波の送信を制御する。送信アンテナ102が、例えば、単一のアンテナ素子である場合、マイコン103は、例えば、送信アンテナ102からの送電出力の最適化する。
【0051】
データ送受信機104は、デジタルデータのアナログ化、アナログデータの変調等の処理を実施する。また、データ送受信機104は、データ送受信アンテナ105で受信されるデータ信号から抽出される信号の復調、復調されたアナログデータのデジタル化等の処理を実施する。データ送受信機104は、例えば、データ送受信アンテナ105で受信されるデータ信号からフィードバック信号を抽出し、デジタルデータに変換してマイコン103へ送信する。
【0052】
データ送受信アンテナ105は、例えば、2.4GHz帯の電波を効率的に送受信可能に形成されている。データ送受信アンテナ105は、データ送受信機104から供給されるデータ信号を放射する。また、データ送受信アンテナ105は、受信機200から送信されたデータ信号を受信する。
【0053】
受信機200は、例えば、受信アンテナ201、整流回路202、電力管理部203、充電部204、マイコン205、データ送受信機206、データ送受信アンテナ207を有する。整流回路202、電力管理部203、充電部204、マイコン205、データ送受信機206は、例えば、PCB又はFPC(フレキシブル基板)に実装されていてもよい。
【0054】
受信アンテナ201は、例えば、920MHz帯の電波を効率的に受信可能に形成されている。受信アンテナ201は、送信アンテナ102から放射された給電信号を受信する。
【0055】
整流回路202は、給電信号として受信した電波を整流し、直流電圧に変換する。
【0056】
電力管理部203は、直流電圧を管理する。例えば、電力管理部203は、直流電圧に基づいて充電電圧を制御する。電力管理部203は、充電電圧を制御することで、充電部204を充電する。また、電力管理部203は、例えば、充電部204に所定容量以上の電力が蓄えられると、直流電圧を、接続される部材へ供給する。
【0057】
また、電力管理部203は、マイコン205からの制御に応じ、充電部204に蓄えられた電力を放出させる。
【0058】
充電部204は、電力管理部203からの指示に応じて電力を蓄える。また、充電部204は、電力管理部203からの指示に応じて蓄えている電力を放出する。
【0059】
マイコン205(以下、適宜MCU(Microcontroller)と称することがある)は、受信機200の動作を制御する。マイコン205は、電力管理部203から供給される直流電圧、又は充電部204に蓄えられた電力により駆動される。マイコン205は、電力管理部203を制御し、充電部204に蓄えられた電力を放出させる。
【0060】
受信機200には、例えば、種々のセンサが接続可能である。例えば、熱センサ、温度センサ、光センサ、湿度センサ、振動センサ等が受信機200に接続される。受信機200に接続されたセンサは、例えば、電力管理部203から供給される直流電圧、又は充電部204から放出される電力により駆動される。マイコン205は、受信機200の所定部位における電圧値、受信機200に接続されるセンサの状況、センサにより検出された情報(物理量)等を、継続的又は断続的に監視する。マイコン205は、受信機200の所定部位における電圧値、受信機200に接続されるセンサの状況、センサにより検出された情報等をデジタルデータとしてデータ送受信機206へ送信する。
【0061】
データ送受信機206は、マイコン205から供給されるデジタルデータのアナログ化、アナログデータの変調等の処理を実施する。また、データ送受信機206は、アナログデータの復調、復調されたアナログデータのデジタル化等の処理を実施する。データ送受信機206は、例えば、電力管理部203から供給される直流電圧、又は充電部204から放出される電力により駆動される。
【0062】
データ送受信アンテナ207は、例えば、2.4GHz帯の電波を効率的に送受信可能に形成されている。データ送受信アンテナ207は、データ送受信機206から供給されるデータ信号を放射する。また、データ送受信アンテナ207は、送信機100から送信されたデータ信号を受信する。例えば、データ送受信アンテナ207は、例えば、電力管理部203から供給される直流電圧、又は充電部204から放出される電力により駆動される。
【0063】
データ送受信アンテナ207から送信(放射)されるデータ信号の送信フォーマットは任意である。特に、データ送受信アンテナ207から放射されるデータ信号は2.4GHz帯の電波であるので、Bluetooth(登録商標)、IEEE 802.11x(つまり、いわゆる無線LAN)フォーマットに準拠した信号であってもよい。この場合、送信機100のデータ送受信機104も、受信機200から送信されるデータ信号のフォーマットに合致したフォーマットのデータ信号を解析できる機能を有することが好ましい。あるいは、また、第1情報処理装置300がこのような機能を有することもできる。
【0064】
<1.3 受信機の回路構成>
図3は、
図2に示す受信機200の回路構成の概略を示す図である。なお、以下の説明では、
図2を参照して説明した受信機200の構成要素の詳細についての説明は省略する。また、
図2に示す受信機200の構成要素のうち、要部のみ図示している。
【0065】
図3において、整流回路202の後段(つまり整流回路202の出力側)電圧である整流電圧、及び、充電部204の充電電圧である電源電圧はマイコン205に入力され、マイコン205が有するA/D変換部によりデジタル値に変換されて、後述する受電状態判定に用いられる。
【0066】
<1.4 マイコン205の機能的な構成>
図4は、マイコン205の機能的な構成の例を示す図である。
図4に示すように、マイコン205は、A/D変換部2051と、記憶部2052と、制御部2053としての機能を発揮する。
【0067】
A/D変換部2051は、マイコン205に入力されたアナログ信号をデジタル値に変換する処理を行う。A/D変換部2051は回路としてのA/Dコンバータを備えていてもよい。A/D変換部2051の出力であるデジタル値は制御部2053に入力される。本実施形態のA/D変換部2051は、アナログ信号である整流電圧及び電源電圧について、それぞれデジタル値に変換し、変換した結果であるデジタル値を制御部2053に出力する。
【0068】
制御部2053は、マイコン205が自身の記憶部2052に記憶されるアプリケーションプログラム20521を読み込み、アプリケーションプログラム20521に含まれる命令を実行することにより実現される。制御部2053は、アプリケーションプログラム20521に従って動作することにより、受信制御モジュール20531、送信制御モジュール20532、物理量取得モジュール20533、電圧取得モジュール20534、電圧比較モジュール20535、受電状態判定モジュール20536及び送信タイミング決定モジュール20537として示す機能を発揮する。
【0069】
受信制御モジュール20531は、マイコン205が送信機100等の外部装置から通信プロトコルに従って信号を受信する処理を制御する。
【0070】
送信制御モジュール20532は、マイコン205が送信機100等の外部装置に対し通信プロトコルに従って信号を送信する処理を制御する。特に、本実施形態の送信制御モジュール20532は、センサが計測した物理量を、データ信号として一定の時間間隔を置いて周期的に送信機100等に送信する。但し、実際に物理量を送信機100等に送信するか否かを含めたデータ信号の送信タイミングは、送信タイミング決定モジュール20537により決定されたタイミングに従う。
【0071】
物理量取得モジュール20533は、センサが計測した物理量を取得し、取得した物理層を記憶部2052に一時的に格納する。好ましくは、物理量取得モジュール20533は、取得した物理量を取得したタイムスタンプとともに記憶部2052に一時的に格納する。
【0072】
物理量取得モジュール20533による物理量の取得回数、タイミング等は任意であり、特段の制限はない。本実施形態の受信機200では、一例として、物理量取得モジュール20533は周期的に、つまり、所定の時間間隔を置いて物理量を取得する。物理量取得モジュール20533が物理量を取得するタイミングと、取得された物理量を送信制御モジュール20532が送信機100等に送出するタイミングとは一致しなくてもよく、また、物理量取得モジュール20533が物理量を取得したらこれに連動して送信制御モジュール20532が送信機100等にデータ信号を送信するとは限らない。一例として、物理量取得モジュール20533が複数回取得した物理量を、送信制御モジュール20532がまとめてデータ信号として送信機100等に送信してもよい。
【0073】
電圧取得モジュール20534は、例えばA/D変換部2051から電源電圧及び整流電圧をデジタル値に変換した値を取得する。なお、本実施形態では、電圧取得モジュール20534は、少なくともA/D変換部2051から電源電圧を取得すればよく、整流電圧取得については任意である。電圧取得モジュール20534による電源電圧の取得タイミング及び取得間隔は任意であり、定期的に取得してもよいし、送信制御モジュール20532がセンサにより測定された物理量を送信機100等にデータ信号として送信するタイミングに合わせて取得してもよい。ここにいう「合わせて」とは、後述する電圧比較モジュール20535による閾値との比較作業、及び、受電状態判定モジュール20536による判定作業に必要な時間を考慮して、データ信号を送信機100等に送信できるタイミングに合わせて、という意味を含む。
【0074】
電圧取得モジュール20534による電源電圧の取得タイミングを、送信制御モジュール20532がセンサにより測定された物理量を送信機100等にデータ信号として送信するタイミングに合わせるのは、データ信号を送信することでマイコン205が電力を大きく消費するので、マイコン205の電力消費時における受信機200の受電状態を判定することで、受信機200の受電状態を適切に判定できると考えるからである。データ信号送信時以外であれば、送信機100からのワイヤレス給電により整流電圧及び電源電圧は上昇し、受電状態は良好な方向に進むと考えられる。加えて、後述する送信タイミング決定モジュール20537により、センサが計測した物理量を送信機100等に送信するタイミングを適切に決定するという観点からは、データ信号の送出タイミング直前でデータ信号の送出タイミンを調節することが好ましいからである。
【0075】
電源電圧のデジタル値を取得した電圧取得モジュール20534は、取得した電圧値を、少なくとも一時的に記憶部2052に格納する。また、電圧取得モジュール20534は、取得した電圧値を、図示しないタイマーにより計時した電圧値取得時刻と関連付けて記憶部2052に格納してもよい。記憶部2052への格納期間は任意であり、受信機200を設置してマイコン205が稼働を開始して以降継続的に格納してもよいし、送信機100からの給電が途絶えて一時的に受信機200が稼働不能になったら消去してもよいし、受電状態判定モジュール20536により受電状態判定が終了したら消去してもよい。
【0076】
電圧比較モジュール20535は、電圧取得モジュール20534が取得した電源電圧のデジタル値と、予め定められた電源電圧の閾値とをそれぞれ比較する。そして、電圧比較モジュール20535は、電源電圧のデジタル値と閾値との比較結果、一例として、電源電圧の値と閾値との大小関係を受電状態判定モジュール20536に送出する。
【0077】
受電状態判定モジュール20536は、電圧比較モジュール20535から受け取った電源電圧のデジタル値と閾値との比較結果に基づいて、受信機200の受電状態を判定すし、判定結果を送信タイミング決定モジュール20537に送出する。
受電状態判定モジュール20536が判定する受信機200の受電状態のバリエーションに特段の限定はなく、一例として、電源電圧のデジタル値が閾値を上回るのであれば、受信機200の受電状態は良好である、すなわち、マイコン205が安定して動作し、センサへの動作電力も安定して供給でき、さらに、受信機200からのデータ信号送出も安定して行えるとの判定が挙げられる。一方、電源電圧のデジタル値が閾値以下であれば、受信機200の受電状態が不安定である、すなわち、マイコン205が継続して動作できるとの保証はできず、センサへの動作電力の供給も継続して行えるとの保証はできず、さらに、受信機200からのデータ信号送出も継続して行えるとの保証ができないとの判定が挙げられる。どのような受電状態の判定を行うかは、マイコン205の動作保証電圧等と閾値との関係などによって定まる。
【0078】
ここで、受信機200は電源電圧のデジタル値のみ取得して、このデジタル値を送信機100に送出し、送信機100及び/または第1情報処理装置300、第2情報処理装置400が受信機200の受電状態を判定する構成も考えられる。本開示に係るWPTシステム1においてかかる構成を排除する意図はない。
【0079】
一方で、受信機200が自身の受電状態を判定することで、判定結果に基づいた詳細でかつ柔軟な動作制御を行えるメリットがある。加えて、
図1に示すように、送信機100が複数の受信機200からのデータ受信を行う構成であると、仮に送信機100等が各々の受信機200の受電状態を判定すると、送信機100等の演算負荷が大きくなる。以上の理由により、本開示に係るWPTシステム1では、受電状態判定を受信機200が主に行っている。
【0080】
電圧比較モジュール20535の比較動作の基礎となる閾値の具体的な値は受信機200の回路構成により適宜決定すればよい。特に、電源電圧はマイコン205の動作電源の電圧と考えることもできるので、マイコン205が動作可能な電圧値として定めることもできる。本実施形態の電圧比較モジュール20535では、一例として、閾値を2.2Vとしている。閾値は、マイコン205の記憶部2052に予め格納されている。閾値は、送信機100からのデータ送信に基づいて更新することも可能である。
【0081】
そして、送信タイミング決定モジュール20537は、受電状態判定モジュール20536から受け取った受信機200の受電状態の判定結果に基づいて、センサが計測した物理量をデータ信号として送信機100等に送信するタイミングを決定する。ここにいう「送信タイミングを決定する」ことには、現時点でデータ信号を送信するか否かを決定することが含まれる。
【0082】
送信タイミング決定モジュール20537がデータ信号の送信タイミングを決定する手法には特段の限定はない。一例として、受信機200の受電状態が良好であると受電状態判定モジュール20536が判定したら、即座に(つまり遅延なく)データ信号を送信機10等に送出すると決定する手法が挙げられる。特に、電圧取得モジュール20534による電源電圧の取得タイミングを、送信制御モジュール20532がセンサにより測定された物理量を送信機100等にデータ信号として送信するタイミングに合わせている場合、データ信号の送出タイミングを遅延させない、という決定を送信タイミング決定モジュール20537が行う。一方、受信機200の受電状態が不安定であると受電状態判定モジュール20536が判定したら、データ信号の送出タイミングを所定時間だけ遅延させる、という決定を送信タイミング決定モジュール20537が行う。これは、所定時間だけ遅延させれば、受信機200の受電状態が回復する、言い換えれば良好になる可能性が高いので、所定時間だけ遅延させることで、通常のデータ信号の送出タイミングと大差なくデータ信号を送出できる可能性が高まるからである。
【0083】
ここにいう、所定時間の遅延とは、通常のデータ信号の送信間隔よりも十分小さい遅延であることが好ましい。一例として、データ信号の送信間隔を1分に設定しているのであれば、遅延は10秒程度である。
【0084】
電圧取得モジュール20534による電源電圧のデジタル値取得から送信タイミング決定モジュール20537によるタイミング決定までの一連のプロセスは、送信タイミング決定モジュール20537によりデータ信号の送出タイミングを所定時間だけ遅延させると決定した場合、所定回数だけ繰り返し行うことが好ましい。つまり、受電状態判定モジュール20536による受信機200の受電状態の判定結果は短時間で変化することが予想される、言い換えれば、受電状態判定モジュール20536が受信機200の受電状態が不安定であると判定してから短時間後に受信機200の受電状態が安定していると判定することが予想されるので、電圧取得モジュール20534による電源電圧のデジタル値取得から送信タイミング決定モジュール20537によるタイミング決定までの一連のプロセスを所定回数だけ繰り返し行うことで、受信機200の受電状態が良好であるとの判定を早期に得ることが期待でき、結果として、大きな遅滞なくデータ信号を送信機100等に送出できる可能性を高めることができる。
【0085】
さらに、電圧取得モジュール20534による電源電圧のデジタル値取得から送信タイミング決定モジュール20537によるタイミング決定までの一連のプロセスを所定回数だけ繰り返し行ってもなお、受信機200の受電状態が良好であるとの判定に至らなかった場合、送信タイミング決定モジュール20537は、データ信号を次に送信するタイミングが到来したら、電圧取得モジュール20534による電源電圧のデジタル値取得から送信タイミング決定モジュール20537によるタイミング決定までの一連のプロセスを実行し、再度データ信号を送信するか否かを決定してもよい。
【0086】
<1.5 動作例>
以下、マイコン205の動作の一例について説明する。
【0087】
図5は、マイコン205のメイン動作の一例を表すフローチャートである。
図5のフローチャートに示す動作は、電圧取得モジュール20534による電源電圧のデジタル値取得タイミングに合わせて開始されることが好ましい。また、
図5のフローチャートに示す各々のステップの動作順序は図示したものに限定されず、適宜動作順序の入替等が可能である。本実施形態の受信機200では、
図5に示すフローチャートが、予め定めた所定の時間間隔毎に周期的に実行されるものとする。
【0088】
ステップS500において、制御部2053は、センサが計測した物理量を取得する。具体的には、例えば、制御部2053は、物理量取得モジュール20533により、センサが計測した物理量を取得する。制御部2053は、取得した物理量を記憶部2052に一時的に格納する。
【0089】
ステップS501において、制御部2053は、A/D変換部2051から電源電圧のデジタル値を取得する。具体的には、例えば、制御部2053は、電圧取得モジュール20534により、A/D変換部2051から電源電圧のデジタル値を取得する。制御部2053は、取得した電源電のデジタル値を、少なくとも一時的に記憶部2052に格納する。
【0090】
次いで、ステップS502において、制御部2053は、ステップS501において取得した電源電圧のデジタル値と、予め定められた閾値との比較を行う。具体的には、例えば制御部2053は、電圧比較モジュール20535により、ステップS501において取得した電源電圧のデジタル値と、予め定められた閾値との比較を行う。
【0091】
この後、ステップS503において、制御部2053は、ステップS502における比較動作の結果として、電源電圧のデジタル値が閾値を上回ると判定したら(ステップS503においてYES)ステップS504に移行し、電源電圧のデジタル値が閾値以下であると判定したら(ステップS503においてNO)ステップS505に移行する。具体的には、例えば、制御部2053は、受電状態判定モジュール20536により、ステップS502における比較動作の結果として、電源電圧のデジタル値が閾値を上回ると判定したら(ステップS503においてYES)ステップS504に移行し、電源電圧のデジタル値が閾値以下であると判定したら(ステップS503においてNO)ステップS505に移行する。
【0092】
ステップS503における肯定的な判定は、受信機200の受電状態が安定しているとの判定に相当し、ステップS503における否定的な判定は、受信機200の受電状態が不安定であるとの判定に相当する。
【0093】
ステップS504において、制御部2053は、物理量取得モジュール20533が取得した物理量をデータ信号として送信機100等に送信する。具体的には、例えば、制御部2053は、送信タイミング決定モジュール20537及び送信制御モジュール20532により、物理量取得モジュール20533が取得した物理量をデータ信号として送信機100等に送信する。この場合、データ信号は、予め定めた時間間隔により送信機100等に送信されることになる。この後、
図5に示すフローチャートの動作を終了する。
【0094】
一方、ステップS505において、制御部2053は、カウンタ値を1つインクリメントする。具体的には、例えば、制御部2053は、送信タイミング決定モジュール20537により、カウンタ値を1つインクリメントする。このカウンタは、
図5に示すフローチャートの動作が開始する度にリセットされるものとする。
【0095】
次いで、ステップS506において、制御部2053は、ステップS505においてインクリメントされたカウンタ値が所定値に至ったか否かを判定し、所定値に至ったと判定したら(ステップS506においてYES)プログラムを終了し、所定値にまだ至っていないと判定したら(ステップS506においてNO)ステップS507に移行する。具体的には、例えば、制御部2053は、送信タイミング決定モジュール20537により、ステップS505においてインクリメントされたカウンタ値が所定値に至ったか否かを判定し、所定値に至ったと判定したら(ステップS506においてYES)プログラムを終了し、所定値にまだ至っていないと判定したら(ステップS506においてNO)ステップS507に移行する。
【0096】
カウンタ値が所定値に至ったということは、ステップS503における判定が所定回数否定されたことである。これは、所定回数だけ受信機200の受電状態を判定したものの、所定回数連続して受電状態が不安定であると判定されたことであり、
図5に示すタイミングでのデータ信号の動作を行わずに、次に
図5に示すフローチャートが実行されるタイミングまでデータ信号の送信を行わないと送信タイミング決定モジュール20537が決定したことに相当する。
【0097】
ここに、ステップS506における所定回数は任意に設定可能であるが、一例として、5回である。
【0098】
ステップS507において、制御部2053は、
図5に示すフローチャートの動作を所定時間だけ待機させる。具体的には、例えば、制御部2053は、送信タイミング決定モジュール20537により、
図5に示すフローチャートの動作を所定時間だけ待機させる。この後、ステップS501に戻り、ステップS501以降の動作を繰り返す。
【0099】
ステップS507においてフローチャートの動作を所定時間だけ待機させることは、受信機200の受電状態の判定を所定時間後に行うことであり、その後、受信機200の受信状態が良好であると判定されれば、送信タイミング決定モジュール20537が、データ信号の送信を所定時間だけ遅延させたことに相当する。
【0100】
<1.6 一実施形態の効果>
以上詳細に説明したように、本実施形態のWPTシステム1によれば、ワイヤレス給電がされる受信機200において、受信機200の電源電力を節約することができる技術を提供することができる。
【0101】
上述したように、送信タイミング決定モジュール20537は、受信機200の受電状態が安定していると判定したら、予め定めた時間間隔に基づいてデータ信号を送信機100等に送信する。また、送信タイミング決定モジュール20537は、受信機200の受電状態が不安定であると、データ信号の送信タイミングを所定時間だけ遅延させ、その後、受電状態判定モジュール20536による受信機200の受電状態の判定を再度行わせる。さらに、所定回数だけ受電状態判定モジュール20536による受信機200の受電状態の判定を行ってもなお受信機200の受電状態が安定しているとの判定に至らなかった場合、予め定めた時間間隔によるデータ信号の送信を行わず、次のタイミングによるデータ信号の送信を試みる。
これにより、受信機200の受電状態が安定しているとの判定がされた場合にデータ信号を送信機100等に送信することができ、受電状態が不安定である、つまり、電源電圧が閾値以下である時にデータ信号を送信機100等に送信する動作を避ける(つまりデータ信号の送信を間引く)ことで、充電部204の電源電力に余裕がある場合にのみデータ信号を送信させることができる。よって、受信機200の(充電部204の)電源電力を節約することができる。
【0102】
<1.7 変形例>
上述した本実施形態のWPTシステム1では、受信機200のマイコン205がA/D変換部2051を有する構成であった。しかし、本実施形態のWPTシステム1において、電源電圧のデジタル値を取得する構成はこれに限られない。一例として、マイコン205への入力前段に、閾値との電圧値比較を行うコンパレータを配置し、マイコン205にはコンパレータの出力値が入力される構成であってもよい。この場合、コンパレータの出力値はデジタル値であり得るので、A/D変換部2051を設ける必要がない。また、コンパレータの代わりにリセットICを用いてもよい。
【0103】
このように、電源電圧と閾値との比較演算を、マイコン205の内部処理によらない構成も十分可能である。かかる構成は、受信機200のマイコン205が整流電圧のデジタル値を取得し、整流電圧に対する閾値との比較演算をマイコン205の内部処理によらないものとする場合についても同様である。
【0104】
また、上述した本実施形態のWPTシステム1では、電源電圧と閾値との比較を行っていたが、閾値が複数の閾値を有してもよい。つまり、閾値として電圧値がそれぞれ異なる複数の閾値を有し、電源電圧が閾値のうちいずれの閾値以下、または未満であるか否かによって詳細な受電状態判定を行ってもよい。
【0105】
<2. 第2実施形態>
上述した第1実施形態のWPTシステム1では、取得した電源電圧の電圧値と閾値との比較を行っていた。第2実施形態に係るWPTシステム1では、整流電圧とこの整流電圧に対して定められた第1の閾値との比較、及び、電源電圧とこの電源電圧に対して定められた第2の閾値との比較の時間変化に基づいて、受信機200についてより詳細な受電状態判定を行っている。
【0106】
第2実施形態に係るWPTシステム1の特徴点を以下にまとめる。
・少なくとも第2の閾値に複数の閾値を設けた、より正確には、少なくとも第2の閾値において複数の閾値のいずれかの間(つまり範囲:レンジ)にあるか否かを判定する
・少なくとも電源電圧及び整流電圧の一方の時間変化の状態を分類し、この時間変化の状態を受電状態判定に用いる
【0107】
そして、本実施形態のWPTシステム1では、少なくとも電源電圧及び整流電圧の一方がどのレンジにあるかと、少なくとも電源電圧及び整流電圧の一方の時間変化の状態とに基づいて、受信機200の受電状態を判定している。
【0108】
以下、電源電圧について第2の閾値に複数の閾値を設けて電源電圧がどのレンジにあるかを検出するとともに、電源電圧の時間変化の状態を判定し、これら電源電圧が属するレンジと電源電圧の時間変化の状態とに基づいて受信機200の受電状態を判定する例について説明するが、整流電圧についても同様のレンジ及び時間変化の状態を検出し、上述した第1実施形態と同様に受信機200の受電状態を判定してもいいことは言うまでもない。
【0109】
ここで、本実施形態のWPTシステム1において、第2の閾値についての複数の閾値は記憶部2052に格納されており、電源電圧がどのレンジにあるかの判定、電源電圧の時間変化の状態の判定は制御部2053の電圧比較モジュール20535により行うものとする。
【0110】
図6は、マイコン205の機能的な構成の例を示す図である。
【0111】
記憶部2052は、例えば、判定テーブル20522等を有する。
【0112】
判定テーブル20522は、電源電圧及び整流電圧のそれぞれについて閾値以下であるか否かの条件に対して受信機200の受電状態をどのように判定するかについて記述されたテーブルである。判定テーブル20522は、受信機200またはマイコン205の製造時に、予め作成されたものをマイコン205の記憶部2052に格納してもよいし、受信機200の設置後に送信機100、第1情報処理装置300、第2情報処理装置400の少なくとも一つから送信されてもよい。
【0113】
電圧比較モジュール20535が用いる、受電状態判定の基礎となる第1の閾値及び第2の閾値は異なった値であってもよい。例えば、電力管理部203は、整流回路202の出力電圧の電圧値を変換して充電部204、マイコン205に供給することがあり得る。従って、整流回路202からの出力値である整流電圧の適正値と、電力管理部203からの出力値に関連する電源電圧の適正値とは異なりうる。第1の閾値及び第2の閾値の具体的な値は受信機200の回路構成により適宜決定すればよいが、回路設計上の規格値が、例えば整流回路202からの出力電圧値が5Vであれば第1の閾値は5Vをやや下回る値であり、同様に電力管理部203からの出力電圧値が3.3Vであれば第2の閾値は3.3Vをやや下回る値に設定すればよい。また、電源電圧は充電部204への充電電圧であり、また、マイコン205の動作電源の電圧と考えることもできるので、第2の閾値を充電部204への充電を可能にする電圧値、及び/またはマイコン205が動作可能な電圧値として定めることもできる。
【0114】
図7は、本実施形態のWPTシステム1において用いる第2の閾値を構成する複数の閾値、及びこれら閾値により定義される電源電圧のレンジを示す図である。電圧比較モジュール20535は、
図7に示すレンジに基づいて電源電圧と第2の閾値との比較を行う。
【0115】
本実施形態のWPTシステム1において、第2の閾値は4つの閾値(3.3V、2.475V、1.9V、1.8V)を有し、これら閾値間のレンジはそれぞれ、電圧値が大きい順にPOWER_GOOD、POWER_NORMAL、POWER_WARNING及びPOWER_DISABLEDとして定義されている。これらレンジは、
・POWER_GOOD…電源電圧は良好(充電部204への充電電圧及びマイコン205の動作電圧を十分確保できる)
・POWER_NORMAL…電源電圧は通常(充電部204への充電電圧及びマイコン205の動作電圧として問題なし)
・POWER_WARNING…電源電圧は注意状態(充電部204への充電電圧及びマイコン205の動作電圧を確保できない可能性あり)
・POWER_DISABLED…電源電圧は危機的(充電部204への充電電圧及びマイコン205の動作電圧を確保できない)
ということを示している。
【0116】
なお、電源電圧がPOWER_DISABLEDである場合、そもそもマイコン205が動作できない(動作可能電圧以下である)ので、電圧比較モジュール20535が電源電圧をPOWER_DISABLEDであると判定することは難しい。従って、受電状態判定モジュール20536における受電状態判定のアルゴリズムとしてPOWER_DISABLEDであるとの判定は除外することができる。
【0117】
図8は、電源電圧の時間変化の状態及び整流電圧の状態についての定義をした判定テーブル20522の一例を示す図である。受電状態判定モジュール20536は、
図8及び後述する
図9に示す判定テーブル20522に基づいて、受信機200の受電状態を判定する。
【0118】
電源電圧については、電源電圧が上昇傾向または下降傾向にあるかにより状態を定義している。しかし、本実施形態のWPTシステム1では、電源電圧の上昇傾向/下降傾向についてさらに2段階の定義を設けている。つまり、電源電圧の上昇/下降の傾きにも閾値を設け、この閾値を上回る電源電圧の上昇/下降があるかどうかで状態の定義を変えている。電源電圧の上昇の傾きに関する閾値は任意に設定可能である。
【0119】
整流電圧については、第1の閾値を上回るか/下回るかの判定を行っている。電源電圧の上昇/下降傾向と整流電圧の第1の閾値との大小関係との双方に基づいて受信機200の受電状態を判定することにより、将来の電源電圧の状態を推定することができる。一例として、電源電圧が下降傾向にあるものの、整流電圧が第1の閾値を上回っていれば、その後、電源電圧が復活して、今ある下降傾向は続かない(電源電圧の低下が将来想定されない)と判定することができる。
【0120】
図9は、本実施形態のWPTシステム1における受信機200の受電状態の判定テーブル20522の一例を示す図である。電源電圧の状態がPOWER_NORMALであっても電源電圧の上昇/下降傾向、及び整流電圧と閾値との関係により、最終的な受電状態(給電状態)判定の判定を異ならせている。同様に、電源電圧の状態がPOWER_WARNINGであっても電源電圧の上昇/下降傾向、及び整流電圧と閾値との関係により、最終的な受電状態(給電状態)判定の判定を異ならせている。
【0121】
図10は、本実施形態のWPTシステム1における受信機200のデータ信号の送信態様である動作モードの判定テーブルを説明するための図である。
図10に示す判定テーブルは記憶部2052に格納されており、送信タイミング決定モジュール20537は、
図10に示す判定テーブルに基づいて、データ信号についての動作モードを決定し、決定した動作モードに従ってデータ信号の送信タイミングを決定する。
【0122】
図10に示すように、本実施形態の受信機200では、受信機200の給電状態とその時点での電源電圧の電圧値とに基づいて動作モードを決定している。
【0123】
図10に示す判定テーブルにおいて、送信タイミング決定モジュール20537は、給電状態がPWSTAT_GOODまたはPWSTAT_NORMALであれば、電源電圧のデジタル値については不問(N/A)で通常動作モードと判定する。
【0124】
また、給電状態がPWSTAT_WARNINGであると、送信タイミング決定モジュール20537は、電源電圧のデジタル値に基づいて動作モードを決定する。ここに、Vb_Zone1及びVb_Zone2はいずれも電源電圧のレンジを示すものであり、Vb_Zone1の下限値とVb_Zone2の上限値は同一であるとする。給電状態がPWSTAT_WARNINGであると、受信機200の受電状態が現時点で不安定である、あるいは今後不安定になる可能性が高いので、電源電圧のレンジに基づいて動作モードを決定する。電源電圧がVb_Zone1のレンジに収まっていれば、その後、受信機200の受電状態が安定しているとの判定になる可能性があると考え、データ信号の送信感覚を通常の送信間隔から増加(つまり延長)してデータ信号を送信する。一方、電源電圧がVb_Zone2のレンジにある場合、受信機200の受電状態が安定しているとの判定になる可能性が低いと考え、データ信号の送信間隔をさらに延長し、加えて、データ信号を最低限のものにまで圧縮する。
【0125】
さらに、給電状態がPWSTAT_CRITICAL_WARNINGであると、電源電圧のデジタル値については不問(N/A)で、データ信号を送信するだけの電源電力が確保できないと考え、受信機200からのデータ信号の送信を停止し、電源電圧の監視及び給電状態の判定動作のみをマイコン205が行う。
【0126】
なお、給電状態がPWSTAT_DISABLEDであると、そもそもマイコン205の動作電力が確保できないので、動作モードそのものの決定を行わない(行えない)。
【0127】
図11は、マイコン205のメイン動作の一例を表すフローチャートである。
図11のフローチャートに示す動作は、電圧取得モジュール20534による整流電圧及び電源電圧のデジタル値取得タイミングに合わせて開始されることが好ましい。また、
図11のフローチャートに示す各々のステップの動作順序は図示したものに限定されず、適宜動作順序の入替等が可能である。一例として、ステップS1101及びS1102に示す電源電圧及び整流電圧の取得の順序に限定はなく、非同期で取得されてもよく、また、同時に取得されてもよい。本実施形態の受信機200では、
図11に示すフローチャートが、予め定めた所定の時間間隔毎に周期的に実行されるものとする。
【0128】
ステップS1100において、制御部2053は、センサが計測した物理量を取得する。具体的には、例えば、制御部2053は、物理量取得モジュール20533により、センサが計測した物理量を取得する。制御部2053は、取得した物理量を記憶部2052に一時的に格納する。
【0129】
ステップS1101及びステップS1102において、制御部2053は、A/D変換部2051から電源電圧及び整流電圧のデジタル値を取得する。具体的には、例えば、制御部2053は、電圧取得モジュール20534により、A/D変換部2051から電源電圧及び整流電圧のデジタル値を取得する。制御部2053は、取得した電源電圧及び整流電圧のデジタル値を、少なくとも一時的に記憶部2052に格納する。
【0130】
次いで、ステップS1103において、制御部2053は、ステップS1100、S1101において取得した電源電圧及び整流電圧の電圧値を判定テーブル20522と照合する。具体的には、例えば、制御部2053は、電圧比較モジュール20535により、ステップS1101、S1102において取得した電源電圧及び整流電圧の電圧値を判定テーブル20522と照合する。ステップS1103における判定テーブル20522との照合動作はステップS1101、S1102の直後に行う必要はなく、ステップS1101、S1102による電圧値取得タイミングと独立して行ってもよい。以下、ステップS1104以降の動作についても同様に、ステップS1101、S1102の直後に行う必要はなく、ステップS1100、S1101による電圧値取得タイミングと独立して行ってもよい。
【0131】
次いで、ステップS1104において、制御部2053は、ステップS1103における照合結果に基づいて、受信機200の受電状態を判定する。具体的には、例えば、制御部2053は、受電状態判定モジュール20536により、ステップS1103における照合結果に基づいて、受信機200の受電状態を判定する。
【0132】
そして、ステップS1105において、制御部2053は、ステップS1104における判定結果に基づいて、データ信号についての動作モードを決定する。具体的には、例えば、制御部2053は、送信タイミング決定モジュール20537により、ステップS1104における判定結果に基づいて、データ信号についての動作モードを決定する。送信タイミング決定モジュール20537は、ステップS1105において決定した動作モードを記憶部2052に一時的に格納する
この後、ステップS1106において、制御部2053は、ステップS1105で決定した動作モードに従って、データ信号を送信機100等に送信する。具体的には、例えば、制御部2053は、送信制御モジュール20532及び送信タイミング決定モジュール20537により、ステップS1105で決定した動作モードに従って、データ信号を送信機100等に送信する。
【0133】
従って、本実施形態のWPTシステム1によれば、電源電圧の時間変化の状態及び整流電圧と閾値との関係を含めて受信機200の受電状態を判定しているので、受信機200の受電状態をよりきめ細やかに判定することができるとともに、将来の受信機200の受電状態を判定することができ、受電状態判定の精度をより向上することができる。これにより、第1実施形態と同様に、また、好ましくは第1実施形態よりも、ワイヤレス給電がされる受信機200において、受信機200の電源電力をさらに節約することができる技術を提供することができる。
【0134】
<5 付記>
なお、上記した実施形態は本開示を分かりやすく説明するために構成を詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成に追加、削除、置換することが可能である。
【0135】
一例として、上述した各実施形態において、受信機の受電状態判定は主に受信機200で行っていたが、受信機200が送信機100、第1情報処理装置300に整流電圧及び電源電圧の値(デジタル値)を信号として送信し、送信機100、第1情報処理装置300が、受信機200から送信された整流電圧等の値に基づいて受信機200の受電状態を判定してもよい。つまり、
図4、
図6において、受電状態判定モジュール20536を送信機100または第1情報処理装置300の少なくとも一方に設け、送信制御モジュール20532が、電圧取得モジュール20534が取得した整流電圧及び電源電圧を送信機100または第1情報処理装置300の少なくとも一方に送信する構成も可能である。
【0136】
また、上述した各実施形態においては交流信号からなる送信電力を送信機100から無線で受信機200に送信する、いわゆるWPTシステム1への適用について説明していたが、それ以外の手法により受信機200に電力を提供するシステムへの適用も当然に可能である。このようなシステムは既知であるので詳細な説明は割愛するが、一例として、太陽光発電により生成した電力を有線/無線を問わずに受信機200に送出するシステム、さらには、レーザー光により電力を有線/無線を問わずに受信機200に送出するシステム等が挙げられる。他に、振動や音を受信機200に与え、受信機200が振動等のパワーを電力に変換する構成であっても適用可能である。加えて、交流信号からなる送信電力を無線で受電する以外の、既知の非接触給電技術、一例として磁界結合方式による非接触給電技術を用いたシステムにも当然に適用可能である。
【0137】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、本発明は、実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードによっても実現できる。この場合、プログラムコードを記録した記憶媒体をコンピュータに提供し、そのコンピュータが備えるプロセッサが記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施例の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、及びそれを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。このようなプログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、CD-ROM、DVD-ROM、ハードディスク、SSD、光ディスク、光磁気ディスク、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどが用いられる。
【0138】
また、本実施例に記載の機能を実現するプログラムコードは、例えば、アセンブラ、C/C++、perl、Shell、PHP、Java(登録商標)等の広範囲のプログラム又はスクリプト言語で実装できる。
【0139】
さらに、実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを、ネットワークを介して配信することによって、それをコンピュータのハードディスクやメモリ等の記憶手段又はCD-RW、CD-R等の記憶媒体に格納し、コンピュータが備えるプロセッサが当該記憶手段や当該記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行するようにしてもよい。
【0140】
以上の各実施形態で説明した事項を以下に付記する。
【0141】
(付記1)
送信電力を無線で受電する受信機(200)であって、受信機(200)は、プロセッサ(205)と、送信電力により充電される充電部(204)と、送信電力により駆動され、所定の物理量を測定するセンサと、センサにより測定された物理量を外部に送信する送信部(206)とを有し、プロセッサ(205)は、充電部(204)の充電電圧である電源電圧を検出する第1ステップ(S501)と、第1ステップ(S501)で検出した電源電圧と、この電源電圧に対して定められた第1の閾値との比較を行う第2ステップ(S502)と、第2ステップ(S502)における比較結果に基づいて、受信機(200)の受電状態を判定する第3ステップ(S503)と、第3ステップ(S503)における判定結果に基づいて送信部(206)による物理量の送信の可否を決定する第4ステップ(S507)とを実行する、受信機(200)。
(付記2)
プロセッサ(205)は、送信部(206)に物理量を所定間隔で外部に送信させる第5ステップ(S504、S507)を実行させ、さらに、第5ステップ(S504、S507)において、第4ステップ(S507)における決定結果が物理量を送信しないとの結果であった場合、物理量を外部に送信させるタイミングを所定時間だけ遅延させる付記1に記載の受信機(200)。
(付記3)
プロセッサ(205)は、第5ステップ(S504、S507)における物理量を外部に送信させるタイミングに合わせて第1ステップ(S501)、第2ステップ(S502)、第3ステップ(S503)及び第4ステップ(S507)を実行させる付記2に記載の受信機(200)。
(付記4)
プロセッサ(205)は、第5ステップ(S504、S507)において所定回数だけ物理量を外部に送信させるタイミングを所定時間だけ遅延させた場合、物理量を外部に送信させるタイミングを次の所定間隔後にする付記3に記載の受信機(200)。
(付記5)
送信電力を無線で受電する受信機(200)であって、受信機(200)は、プロセッサ(205)と、送信電力を整流する整流部(202)と、整流部(202)からの整流電圧を管理する電力管理部(203)と、電力管理部(203)からの出力電力により充電される充電部(204)と、出力電力により駆動され、所定の物理量を測定するセンサと、センサにより測定された物理量を外部に送信する送信部(206)とを有し、プロセッサ(205)は、整流電圧及び充電部(204)の充電電圧である電源電圧を検出する第6ステップ(S1101、S1102)と、第6ステップ(S1101、S1102)で検出した整流電圧及び/または第6ステップ(S1101、S1102)で検出した電源電圧の時間変化を検出し、この検出結果に基づいて受信機(200)の受電状態を判定する第7ステップ(S1104)と、第7ステップ(S1104)における判定結果に基づいて、送信部(206)による物理量の送信の可否を決定する第8ステップ(S1105)とを実行する、受信機(200)。
(付記6)
プロセッサ(205)は、送信部(206)に物理量を所定間隔で外部に送信させる第5ステップ(S504、S507)を実行させ、さらに、第5ステップ(S504、S507)において、第7ステップ(S1104)における判定結果に基づいて、物理量を送信する場合における所定間隔を決定する付記5に記載の受信機(200)。
(付記7)
プロセッサ(205)は、第6ステップ(S1101、S1102)で検出した整流電圧と、この整流電圧に対して定められた第2の閾値との比較、及び/または第6ステップ(S1101、S1102)で検出した電源電圧と、この電源電圧に対して定められた第3の閾値との比較を行う第9ステップを実行し、第7ステップ(S1104)において、第6ステップ(S1101、S1102)における検出結果及び第9ステップにおける比較結果に基づいて受信機(200)の受電状態を判定する付記5または6に記載の受信機(200)。
(付記8)
送信電力を無線で受電する受信機(200)であって、受信機(200)は、制御部(205)と、送信電力により充電される充電部(204)と、送信電力により駆動され、所定の物理量を測定するセンサと、センサにより測定された物理量を外部に送信する送信部(206)とを有し、制御部(205)は、充電部(204)の充電電圧である電源電圧を検出する第1の電圧取得部(20534)と、第1の電圧取得部(20534)が検出した電源電圧と、この電源電圧に対して定められた閾値との比較を行う第1の閾値比較部(20535)と、第1の閾値比較部(20535)による比較結果に基づいて、受信機(200)の受電状態を判定する第1の受電状態判定部(20536)と、第1の受電状態判定部(20536)による判定結果に基づいて、送信部(206)による物理量の送信の可否を決定する第1の送信制御部(20537)とを有する、受信機(200)。
(付記9)
送信電力を無線で受電する受信機(200)であって、受信機(200)は、制御部(205)と、送信電力を整流する整流部(202)と、整流部(202)からの整流電圧を管理する電力管理部(203)と、電力管理部(203)からの出力電力により充電される充電部(204)と、出力電力により駆動され、所定の物理量を測定するセンサと、センサにより測定された物理量を外部に送信する送信部(206)とを有し、制御部は、整流電圧及び充電部(204)の充電電圧である電源電圧を検出する第2の電圧取得部(20534)と、第2の電圧取得部(20534)が検出した整流電圧及び/または第2の電圧取得部(20534)が検出した電源電圧の時間変化を検出し、この検出結果に基づいて受信機(200)の受電状態を判定する第2の受電状態判定部(20536)と、第2の受電状態判定部(20536)による判定結果に基づいて、送信部(206)による物理量の送信の可否を決定する第2の送信制御部(20537)とを有する、受信機(200)。
(付記10)
送信電力を無線で受電し、プロセッサ(205)を備える受信機(200)を動作させるためのプログラムであって、受信機(200)は、送信電力により充電される充電部(204)と、送信電力により駆動され、所定の物理量を測定するセンサと、センサにより測定された物理量を外部に送信する送信部(206)とを有し、プログラムは、プロセッサ(205)に、充電部(204)の充電電圧である電源電圧を検出する第1ステップ(S501)と、第1ステップ(S501)で検出した電源電圧と、この電源電圧に対して定められた第1の閾値との比較を行う第2ステップ(S502)と、第2ステップ(S502)における比較結果に基づいて、受信機(200)の受電状態を判定する第3ステップ(S503)と、第3ステップ(S503)における判定結果に基づいて、送信部(206)による物理量の送信の可否を決定する第4ステップ(S507)とを実行させる、プログラム。
(付記11)
送信電力を無線で受電し、プロセッサ(205)を備える受信機(200)を動作させるためのプログラムであって、受信機(200)は、送信電力を整流する整流部(202)と、整流部からの整流電圧を管理する電力管理部(203)と、電力管理部(203)からの出力電力により充電される充電部(204)と、出力電力により駆動され、所定の物理量を測定するセンサと、センサにより測定された物理量を外部に送信する送信部(206)とを有し、プロセッサ(205)は、整流電圧及び充電部(204)の充電電圧である電源電圧を検出する第6ステップ(S1101、S1102)と、第6ステップ(S1101、S1102)で検出した整流電圧及び/または第6ステップ(S1101、S1102)で検出した電源電圧の時間変化を検出し、この検出結果に基づいて受信機(200)の受電状態を判定する第7ステップ(S1104)と、第7ステップ(S1104)における判定結果に基づいて、送信部(206)による物理量の送信の可否を決定する第8ステップ(S1105)とを実行させる、プログラム。
(付記12)
送信電力を無線で受電し、プロセッサ(205)を備える受信機(200)により実行される方法であって、受信機(200)は、送信電力により充電される充電部(204)と、送信電力により駆動され、所定の物理量を測定するセンサと、センサにより測定された物理量を外部に送信する送信部(206)とを有し、プログラムは、プロセッサ(205)に、充電部(204)の充電電圧である電源電圧を検出する第1ステップ(S501)と、第1ステップ(S501)で検出した電源電圧と、この電源電圧に対して定められた第1の閾値との比較を行う第2ステップ(S502)と、第2ステップ(S502)における比較結果に基づいて、受信機(200)の受電状態を判定する第3ステップ(S503)と、第3ステップ(S503)における判定結果に基づいて、送信部(206)による物理量の送信の可否を決定する第4ステップ(S507)とを実行させる、方法。
(付記13)
送信電力を無線で受電し、プロセッサ(205)を備える受信機(200)により実行される方法であって、受信機(200)は、送信電力を整流する整流部(202)と、整流部(202)からの整流電圧を管理する電力管理部(203)と、電力管理部(203)からの出力電力により充電される充電部(204)と、出力電力により駆動され、所定の物理量を測定するセンサと、センサにより測定された物理量を外部に送信する送信部(206)とを有し、プロセッサ(205)は、整流電圧及び充電部(204)の充電電圧である電源電圧を検出する第6ステップ(S1101、S1102)と、第6ステップ(S1101、S1102)で検出した整流電圧及び/または第6ステップ(S1101、S1102)で検出した電源電圧の時間変化を検出し、この検出結果に基づいて受信機(200)の受電状態を判定する第7ステップ(S1104)と、第7ステップ(S1104)における判定結果に基づいて、送信部(206)による物理量の送信の可否を決定する第8ステップ(S1105)とを実行させる、方法。
(付記14)
送信電力を無線で送電する送信機(100)と、送信電力を無線で受電する受信機(200)であって、送信電力により充電される充電部(204)と、送信電力により駆動され、所定の物理量を測定するセンサと、センサにより測定された物理量を外部に送信する送信部(206)とを有する受信機(200)と、を有する無線給電システム(1)であって、無線給電システム(1)は少なくとも1つのプロセッサ(205)を備え、少なくとも1つのプロセッサ(205)は、充電部(204)の充電電圧である電源電圧を検出する第1ステップ(S501)と、第1ステップ(S501)で検出した電源電圧と、この電源電圧に対して定められた第1の閾値との比較を行う第2ステップ(S502)と、第2ステップ(S502)における比較結果に基づいて、受信機(200)の受電状態を判定する第3ステップ(S503)と、第3ステップ(S503)における判定結果に基づいて、送信部(206)による物理量の送信の可否を決定する第4ステップ(S507)とを実行する、無線給電システム(1)。
(付記15)
送信電力を無線で送電する送信機(100)と、送信電力を無線で受電する受信機(200)であって、送信電力を整流する整流部(202)と、整流部(202)からの整流電圧を管理する電力管理部(203)と、電力管理部(203)からの出力電力により充電される充電部(204)と、出力電力により駆動され、所定の物理量を測定するセンサと、センサにより測定された物理量を外部に送信する送信部(206)とを有有する受信機(200)と、を有する無線給電システム(1)であって、無線給電システム(1)は少なくとも1つのプロセッサ(205)を備え、少なくとも1つのプロセッサ(205)は、整流電圧及び充電部(204)の充電電圧である電源電圧を検出する第6ステップ(S1101、S1102)と、第6ステップ(S1101、S1102)で検出した整流電圧及び/または第6ステップ(S1101、S1102)で検出した電源電圧の時間変化を検出し、この検出結果に基づいて受信機(200)の受電状態を判定する第7ステップ(S1104)と、第7ステップ(S1104)における判定結果に基づいて、送信部(206)による物理量の送信の可否を決定する第8ステップ(S1105)と
を実行する、無線給電システム。
【符号の説明】
【0142】
1…WPTシステム 100…送信機 101…発振器 102…送信アンテナ 103…マイコン 104…データ送受信機 105…データ送受信アンテナ 200…受信機 201…受信アンテナ 202…整流回路 203…電力管理部 204…充電部 205…マイコン 206…データ送受信機 207…データ送受信アンテナ 300…第1情報処理装置 400…第2情報処理装置 20532…送信制御モジュール 20533…物理量取得モジュール 20534…電圧取得モジュール 20535…電圧比較モジュール 20536…受電状態判定モジュール 20537…送信タイミング決定モジュール
【手続補正書】
【提出日】2023-11-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信電力を無線で受電する受信機であって、
前記送信電力は所定の電力を有する無線周波数信号であり、かつ、この無線周波数信号に、休止期間以外の期間と比較してわずかな期間である任意の周期の前記休止期間を設けることで、略継続的な連続波とみなすことができる無線周波数信号であり、
前記受信機は、プロセッサと、前記送信電力により充電される充電部と、前記送信電力により駆動され、所定の物理量を測定するセンサと、前記センサにより測定された物理量を外部に送信する送信部とを有し、
前記プロセッサは、
前記充電部の充電電圧である電源電圧を検出する第1ステップと、
前記第1ステップで検出した前記電源電圧と、この電源電圧に対して定められた第1の閾値との比較を行う第2ステップと、
前記第2ステップにおける比較結果に基づいて、前記受信機の受電状態を判定する第3ステップと、
前記第3ステップにおける判定結果に基づいて、前記送信部による前記物理量の送信の可否を決定する第4ステップと、
前記送信部に前記物理量を所定間隔で前記外部に送信させる第5ステップを実行させ、
さらに、前記第5ステップにおいて、前記第4ステップにおける決定結果が前記物理量を送信しないとの結果であった場合、前記物理量を前記外部に送信させるタイミングを、前記所定間隔より十分小さい所定時間だけ遅延させ、
前記第5ステップにおいて所定回数だけ前記物理量を前記外部に送信させるタイミングを所定時間だけ遅延させた場合、前記物理量を前記外部に送信させるタイミングを次の前記所定間隔後にする、受信機。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記第5ステップにおける前記物理量を前記外部に送信させるタイミングに合わせて前記第1ステップ、前記第2ステップ、前記第3ステップ及び前記第4ステップを実行させる
請求項1に記載の受信機。
【請求項3】
送信電力を無線で受電する受信機であって、
前記送信電力は所定の電力を有する無線周波数信号であり、かつ、この無線周波数信号に、休止期間以外の期間と比較してわずかな期間である任意の周期の前記休止期間を設けることで、略継続的な連続波とみなすことができる無線周波数信号であり、
前記受信機は、プロセッサと、前記送信電力を整流する整流部と、前記整流部からの整流電圧を管理する電力管理部と、電力管理部からの出力電力により充電される充電部と、前記出力電力により駆動され、所定の物理量を測定するセンサと、前記センサにより測定された物理量を外部に送信する送信部とを有し、
前記プロセッサは、
前記整流電圧及び前記充電部の充電電圧である電源電圧を検出する第6ステップと、
前記第6ステップで検出した前記整流電圧の時間変化及び/または前記第6ステップで検出した前記電源電圧の時間変化を検出し、この検出結果に基づいて前記受信機の受電状態を判定する第7ステップと、
前記第7ステップにおける判定結果に基づいて、前記送信部による前記物理量の送信の可否を決定する第8ステップと、
前記送信部に前記物理量を所定間隔で前記外部に送信させる第5ステップを実行させ、
さらに、前記第5ステップにおいて、前記第7ステップにおける判定結果が、前記受信機の受電状態が不安定である、または今後不安定になる可能性が高いとの判定結果である場合、前記物理量を送信する場合における前記所定間隔を決定する、受信機。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記第6ステップで検出した前記整流電圧と、この整流電圧に対して定められた第2の閾値との比較、及び/または前記第6ステップで検出した前記電源電圧と、この電源電圧に対して定められた第3の閾値との比較を行う第9ステップ
を実行し、
前記第7ステップにおいて、前記第6ステップにおける前記検出結果及び前記第9ステップにおける前記比較結果に基づいて前記受信機の受電状態を判定する
請求項3に記載の受信機。
【請求項5】
送信電力を無線で受電する受信機であって、
前記送信電力は所定の電力を有する無線周波数信号であり、かつ、この無線周波数信号に、休止期間以外の期間と比較してわずかな期間である任意の周期の前記休止期間を設けることで、略継続的な連続波とみなすことができる無線周波数信号であり、
前記受信機は、制御部と、前記送信電力により充電される充電部と、前記送信電力により駆動され、所定の物理量を測定するセンサと、前記センサにより測定された物理量を外部に送信する送信部とを有し、
前記制御部は、
前記充電部の充電電圧である電源電圧を検出する第1の電圧取得部と、
前記第1の電圧取得部が検出した前記電源電圧と、この電源電圧に対して定められた閾値との比較を行う第1の閾値比較部と、
前記第1の閾値比較部による比較結果に基づいて、前記受信機の受電状態を判定する第1の受電状態判定部と、
前記第1の受電状態判定部による判定結果に基づいて、前記送信部による前記物理量の送信の可否を決定する第1の送信制御部と
を有し、
前記第1の送信制御部は、
前記送信部に前記物理量を所定間隔で前記外部に送信させ、
さらに、前記送信部による前記物理量の送信の可否の決定結果が前記物理量を送信しないとの結果であった場合、前記物理量を前記外部に送信させるタイミングを、前記所定間隔より十分小さい所定時間だけ遅延させ、
さらに、所定回数だけ前記物理量を前記外部に送信させるタイミングを所定時間だけ遅延させた場合、前記物理量を前記外部に送信させるタイミングを次の前記所定間隔後にする、受信機。
【請求項6】
送信電力を無線で受電する受信機であって、
前記送信電力は所定の電力を有する無線周波数信号であり、かつ、この無線周波数信号に、休止期間以外の期間と比較してわずかな期間である任意の周期の前記休止期間を設けることで、略継続的な連続波とみなすことができる無線周波数信号であり、
前記受信機は、制御部と、前記送信電力を整流する整流部と、前記整流部からの整流電圧を管理する電力管理部と、電力管理部からの出力電力により充電される充電部と、前記出力電力により駆動され、所定の物理量を測定するセンサと、前記センサにより測定された物理量を外部に送信する送信部とを有し、
前記制御部は、
前記整流電圧及び前記充電部の充電電圧である電源電圧を検出する第2の電圧取得部と、
前記第2の電圧取得部が検出した前記整流電圧の時間変化及び/または前記第2の電圧取得部が検出した前記電源電圧の時間変化を検出し、この検出結果に基づいて前記受信機の受電状態を判定する第2の受電状態判定部と、
前記第2の受電状態判定部による判定結果に基づいて、前記送信部による前記物理量の送信の可否を決定する第2の送信制御部と
を有し、
前記第2の送信制御部は、
前記送信部に前記物理量を所定間隔で前記外部に送信させ、
さらに、受電状態の判定結果が、前記受信機の受電状態が不安定である、または今後不安定になる可能性が高いとの判定結果である場合、前記物理量を送信する場合における前記所定間隔を決定する、受信機。
【請求項7】
送信電力を無線で受電し、プロセッサを備える受信機を動作させるためのプログラムであって、
前記送信電力は所定の電力を有する無線周波数信号であり、かつ、この無線周波数信号に、休止期間以外の期間と比較してわずかな期間である任意の周期の前記休止期間を設けることで、略継続的な連続波とみなすことができる無線周波数信号であり、
前記受信機は、前記送信電力により充電される充電部と、前記送信電力により駆動され、所定の物理量を測定するセンサと、前記センサにより測定された物理量を外部に送信する送信部とを有し、
前記プログラムは、前記プロセッサに、
前記充電部の充電電圧である電源電圧を検出する第1ステップと、
前記第1ステップで検出した前記電源電圧と、この電源電圧に対して定められた第1の閾値との比較を行う第2ステップと、
前記第2ステップにおける比較結果に基づいて、前記受信機の受電状態を判定する第3ステップと、
前記第3ステップにおける判定結果に基づいて、前記送信部による前記物理量の送信の可否を決定する第4ステップと、
前記送信部に前記物理量を所定間隔で前記外部に送信させる第5ステップを実行させ、
さらに、前記第5ステップにおいて、前記第4ステップにおける決定結果が前記物理量を送信しないとの結果であった場合、前記物理量を前記外部に送信させるタイミングを、前記所定間隔より十分小さい所定時間だけ遅延させ、
前記第5ステップにおいて所定回数だけ前記物理量を前記外部に送信させるタイミングを所定時間だけ遅延させた場合、前記物理量を前記外部に送信させるタイミングを次の前記所定間隔後にする、プログラム。
【請求項8】
送信電力を無線で受電し、プロセッサを備える受信機を動作させるためのプログラムであって、
前記送信電力は所定の電力を有する無線周波数信号であり、かつ、この無線周波数信号に、休止期間以外の期間と比較してわずかな期間である任意の周期の前記休止期間を設けることで、略継続的な連続波とみなすことができる無線周波数信号であり、
前記受信機は、前記送信電力を整流する整流部と、前記整流部からの整流電圧を管理する電力管理部と、電力管理部からの出力電力により充電される充電部と、前記出力電力により駆動され、所定の物理量を測定するセンサと、前記センサにより測定された物理量を外部に送信する送信部とを有し、
前記プロセッサは、
前記整流電圧及び前記充電部の充電電圧である電源電圧を検出する第6ステップと、
前記第6ステップで検出した前記整流電圧の時間変化及び/または前記第6ステップで検出した前記電源電圧の時間変化を検出し、この検出結果に基づいて前記受信機の受電状態を判定する第7ステップと、
前記第7ステップにおける判定結果に基づいて、前記送信部による前記物理量の送信の可否を決定する第8ステップと、
前記送信部に前記物理量を所定間隔で前記外部に送信させる第5ステップを実行させ、
さらに、前記第5ステップにおいて、前記第7ステップにおける判定結果が、前記受信機の受電状態が不安定である、または今後不安定になる可能性が高いとの判定結果である場合、前記物理量を送信する場合における前記所定間隔を決定する、プログラム。
【請求項9】
送信電力を無線で受電し、プロセッサを備える受信機により実行される方法であって、
前記送信電力は所定の電力を有する無線周波数信号であり、かつ、この無線周波数信号に、休止期間以外の期間と比較してわずかな期間である任意の周期の前記休止期間を設けることで、略継続的な連続波とみなすことができる無線周波数信号であり、
前記受信機は、前記送信電力により充電される充電部と、前記送信電力により駆動され、所定の物理量を測定するセンサと、前記センサにより測定された物理量を外部に送信する送信部とを有し、
前記プロセッサは、
前記充電部の充電電圧である電源電圧を検出する第1ステップと、
前記第1ステップで検出した前記電源電圧と、この電源電圧に対して定められた第1の閾値との比較を行う第2ステップと、
前記第2ステップにおける比較結果に基づいて、前記受信機の受電状態を判定する第3ステップと、
前記第3ステップにおける判定結果に基づいて、前記送信部による前記物理量の送信の可否を決定する第4ステップと、
前記送信部に前記物理量を所定間隔で前記外部に送信させる第5ステップを実行し、
さらに、前記第5ステップにおいて、前記第4ステップにおける決定結果が前記物理量を送信しないとの結果であった場合、前記物理量を前記外部に送信させるタイミングを、前記所定間隔より十分小さい所定時間だけ遅延させ、
前記第5ステップにおいて所定回数だけ前記物理量を前記外部に送信させるタイミングを所定時間だけ遅延させた場合、前記物理量を前記外部に送信させるタイミングを次の前記所定間隔後にする、方法。
【請求項10】
送信電力を無線で受電し、プロセッサを備える受信機により実行される方法であって、
前記送信電力は所定の電力を有する無線周波数信号であり、かつ、この無線周波数信号に、休止期間以外の期間と比較してわずかな期間である任意の周期の前記休止期間を設けることで、略継続的な連続波とみなすことができる無線周波数信号であり、
前記受信機は、前記送信電力を整流する整流部と、前記整流部からの整流電圧を管理する電力管理部と、電力管理部からの出力電力により充電される充電部と、前記出力電力により駆動され、所定の物理量を測定するセンサと、前記センサにより測定された物理量を外部に送信する送信部とを有し、
前記プロセッサは、
前記整流電圧及び前記充電部の充電電圧である電源電圧を検出する第6ステップと、
前記第6ステップで検出した前記整流電圧の時間変化及び/または前記第6ステップで検出した前記電源電圧の時間変化を検出し、この検出結果に基づいて前記受信機の受電状態を判定する第7ステップと、
前記第7ステップにおける判定結果に基づいて、前記送信部による前記物理量の送信の可否を決定する第8ステップと、
前記送信部に前記物理量を所定間隔で前記外部に送信させる第5ステップを実行し、
さらに、前記第5ステップにおいて、前記第7ステップにおける判定結果が、前記受信機の受電状態が不安定である、または今後不安定になる可能性が高いとの判定結果である場合、前記物理量を送信する場合における前記所定間隔を決定する、方法。
【請求項11】
送信電力を無線で送電する送信機と、
前記送信電力を無線で受電する受信機であって、前記送信電力により充電される充電部と、前記送信電力により駆動され、所定の物理量を測定するセンサと、前記センサにより測定された物理量を外部に送信する送信部とを有する前記受信機と、
を有する無線給電システムであって、
前記送信電力は所定の電力を有する無線周波数信号であり、かつ、この無線周波数信号に、休止期間以外の期間と比較してわずかな期間である任意の周期の前記休止期間を設けることで、略継続的な連続波とみなすことができる無線周波数信号であり、
前記無線給電システムは少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記充電部の充電電圧である電源電圧を検出する第1ステップと、
前記第1ステップで検出した前記電源電圧と、この電源電圧に対して定められた第1の閾値との比較を行う第2ステップと、
前記第2ステップにおける比較結果に基づいて、前記受信機の受電状態を判定する第3ステップと、
前記第3ステップにおける判定結果に基づいて、前記送信部による前記物理量の送信の可否を決定する第4ステップと、
前記送信部に前記物理量を所定間隔で前記外部に送信させる第5ステップを実行し、
さらに、前記第5ステップにおいて、前記第4ステップにおける決定結果が前記物理量を送信しないとの結果であった場合、前記物理量を前記外部に送信させるタイミングを、前記所定間隔より十分小さい所定時間だけ遅延させ、
前記第5ステップにおいて所定回数だけ前記物理量を前記外部に送信させるタイミングを所定時間だけ遅延させた場合、前記物理量を前記外部に送信させるタイミングを次の前記所定間隔後にする、無線給電システム。
【請求項12】
送信電力を無線で送電する送信機と、
前記送信電力を無線で受電する受信機であって、前記送信電力を整流する整流部と、前記整流部からの整流電圧を管理する電力管理部と、電力管理部からの出力電力により充電される充電部と、前記出力電力により駆動され、所定の物理量を測定するセンサと、前記センサにより測定された物理量を外部に送信する送信部とを有有する前記受信機と、
を有する無線給電システムであって、
前記送信電力は所定の電力を有する無線周波数信号であり、かつ、この無線周波数信号に、休止期間以外の期間と比較してわずかな期間である任意の周期の前記休止期間を設けることで、略継続的な連続波とみなすことができる無線周波数信号であり、
前記無線給電システムは少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記整流電圧及び前記充電部の充電電圧である電源電圧を検出する第6ステップと、
前記第6ステップで検出した前記整流電圧の時間変化及び/または前記第6ステップで検出した前記電源電圧の時間変化を検出し、この検出結果に基づいて前記受信機の受電状態を判定する第7ステップと、
前記第7ステップにおける判定結果に基づいて、前記送信部による前記物理量の送信の可否を決定する第8ステップと、
前記送信部に前記物理量を所定間隔で前記外部に送信させる第5ステップを実行し、
さらに、前記第5ステップにおいて、前記第7ステップにおける判定結果が、前記受信機の受電状態が不安定である、または今後不安定になる可能性が高いとの判定結果である場合、前記物理量を送信する場合における前記所定間隔を決定する、無線給電システム。