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特開2024-168185基地局システム、無線制御ユニット、無線通信方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168185
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】基地局システム、無線制御ユニット、無線通信方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 7/00 20060101AFI20241128BHJP
   H04B 17/14 20150101ALI20241128BHJP
   H04W 88/08 20090101ALI20241128BHJP
【FI】
H04L7/00 410
H04B17/14
H04W88/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084642
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】石井 直人
(72)【発明者】
【氏名】竹内 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 大作
【テーマコード(参考)】
5K047
5K067
【Fターム(参考)】
5K047AA07
5K047BB02
5K047JJ09
5K067AA21
5K067EE10
5K067HH21
(57)【要約】
【課題】無線制御ユニットが複数のアナログ部とケーブルにより接続された基地局システムにおいて、コストが高くなってしまうことを防ぎつつ、無線制御ユニットと複数のアナログ部との間の伝送遅延を補償する。
【解決手段】無線制御ユニット(10)は、アナログ部(20)がループバックモードに移行するよう制御するための制御信号をアナログ部(20)に送信し、遅延時間を観測するための観測信号をアナログ部(20)に送信し、複数のアナログ部(20)のそれぞれについて、観測信号を送信してから当該観測信号を受信するまでのクロック数を基に伝送遅延を算出し、アナログ部(20)のループバックモードを解除するための制御信号をアナログ部(20)に送信する。また、無線制御ユニット(10)は、上記伝送遅延に応じて個々のアナログ部(20)についてそれぞれ算出したタイミングでダウンリンク信号を送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線制御ユニットと、当該無線制御ユニットと通信ケーブルにより接続された複数のアナログ部と、を有する基地局システムであって、
前記無線制御ユニットは、
前記アナログ部がループバックモードに移行するよう制御するための制御信号を当該アナログ部に送信する第1送信手段と、
基準となる内部クロックに同期して遅延時間を観測する観測信号を前記アナログ部に送信する第2送信手段と、
前記複数のアナログ部のそれぞれについて、前記観測信号を送信してから当該観測信号を受信するまでのクロック数をカウントし、カウントしたクロック数を基に伝送遅延を算出する算出手段と、
前記アナログ部のループバックモードを解除するための制御信号を前記アナログ部に送信する第3送信手段と、
前記伝送遅延に応じて個々の前記アナログ部についてそれぞれ算出したタイミングで、そのタイミングに対応する特定の前記アナログ部に対してダウンリンク信号を送信する第4送信手段と、
を備え、
前記複数のアナログ部の各々は、
前記ループバックモードに移行するための制御信号を受信した場合に前記ループバックモードに移行する一方、前記ループバックモードを解除するための制御信号を受信した場合に通信モードに移行するモード切替手段と、
前記ループバックモードにおいて前記無線制御ユニットからの受信信号から送信信号を再生して当該送信信号を前記無線制御ユニットに送信するループバック処理手段と、
前記通信モードにおいて前記無線制御ユニットから受信した前記ダウンリンク信号をアンテナから電波として出力するダウンリンク信号送信手段と、
を備える基地局システム。
【請求項2】
前記無線制御ユニットと前記アナログ部とは光ファイバーケーブルにより接続され、
前記第1送信手段は、前記無線制御ユニットの光モジュール又は前記アナログ部の光モジュールの劣化が検出された場合に、前記アナログ部が前記ループバックモードに移行するよう制御するための制御信号を送信する、
請求項1に記載の基地局システム。
【請求項3】
無線制御ユニットと、当該無線制御ユニットと通信ケーブルにより接続された複数のアナログ部と、を有し、当該無線制御ユニットと当該アナログ部とがWDM(Wavelength Division Multiplexing)方式で通信する基地局システムであって、
前記無線制御ユニットは、
基準となる内部クロックに同期して遅延時間を観測するための観測信号を、第1の波長で前記アナログ部に送信する第2送信手段と、
前記複数のアナログ部のそれぞれについて、前記観測信号を送信してから当該観測信号を受信するまでのクロック数をカウントし、カウントしたクロック数を基に伝送遅延を算出する算出手段と、
前記伝送遅延に応じて個々の前記アナログ部についてそれぞれ算出したタイミングで、そのタイミングに対応する特定の前記アナログ部に対してダウンリンク信号を前記第1の波長と異なる第2の波長で送信する第4送信手段と、
を備え、
前記複数のアナログ部の各々は、
前記第1の波長で前記無線制御ユニットから受信される受信信号から送信信号を再生して当該送信信号を前記無線制御ユニットに送信するループバック処理手段と、
前記第2の波長で前記無線制御ユニットから受信される前記ダウンリンク信号をアンテナから電波として出力するダウンリンク信号送信手段と、
を備える基地局システム。
【請求項4】
前記第2送信手段は、前記無線制御ユニットの光モジュール又は前記アナログ部の光モジュールの劣化が検出された場合に、前記観測信号を送信する、
請求項3に記載の基地局システム。
【請求項5】
無線制御ユニットと、当該無線制御ユニットと通信ケーブルにより接続された複数のアナログ部と、を有する基地局システムが行う無線通信方法であって、
前記無線制御ユニットが、
前記アナログ部がループバックモードに移行するよう制御するための制御信号を当該アナログ部に送信することと、
基準となる内部クロックに同期して遅延時間を観測するための観測信号を前記アナログ部に送信することと、
前記複数のアナログ部のそれぞれについて、前記観測信号を送信してから当該観測信号を受信するまでのクロック数をカウントし、カウントしたクロック数を基に伝送遅延を算出することと、
前記アナログ部のループバックモードを解除するための制御信号を前記アナログ部に送信することと、
前記伝送遅延に応じて個々の前記アナログ部についてそれぞれ算出したタイミングで、そのタイミングに対応する特定の前記アナログ部に対してダウンリンク信号を送信することと、
前記アナログ部が、
前記ループバックモードに移行するための制御信号を受信した場合に前記ループバックモードに移行することと、
前記ループバックモードにおいて前記無線制御ユニットからの受信信号から送信信号を再生して当該送信信号を前記無線制御ユニットに送信することと、
前記ループバックモードを解除するための制御信号を受信した場合に通信モードに移行することと、
前記通信モードにおいて前記無線制御ユニットから受信した前記ダウンリンク信号をアンテナから電波として出力することと、
を含む無線通信方法。
【請求項6】
無線制御ユニットと、当該無線制御ユニットと通信ケーブルにより接続された複数のアナログ部と、を有し、当該無線制御ユニットと当該アナログ部とがWDM(Wavelength Division Multiplexing)方式で通信する基地局システムが行う無線通信方法であって、
前記無線制御ユニットが、
基準となる内部クロックに同期して遅延時間を観測するための観測信号を、第1の波長で前記アナログ部に送信することと、
前記複数のアナログ部のそれぞれについて、前記観測信号を送信してから当該観測信号を受信するまでのクロック数をカウントし、カウントしたクロック数を基に伝送遅延を算出することと、
前記伝送遅延に応じて個々の前記アナログ部についてそれぞれ算出したタイミングで、そのタイミングに対応する特定の前記アナログ部に対してダウンリンク信号を前記第1の波長と異なる第2の波長で送信することと、
前記アナログ部が、
前記第1の波長で前記無線制御ユニットから受信される受信信号から送信信号を再生して当該送信信号を前記無線制御ユニットに送信することと、
前記第2の波長で前記無線制御ユニットから受信される前記ダウンリンク信号をアンテナから電波として出力することと、
を含む無線通信方法。
【請求項7】
各々がダウンリンク信号を電波としてアンテナから出力する複数のアナログ部と通信ケーブルにより接続された基地局の無線制御ユニットであって、
前記アナログ部がループバックモードに移行するよう制御するための制御信号を当該アナログ部に送信する第1送信手段と、
基準となる内部クロックに同期して遅延時間を観測するための観測信号を前記アナログ部に送信する第2送信手段と、
前記複数のアナログ部のそれぞれについて、前記観測信号を送信してから当該観測信号を受信するまでのクロック数をカウントし、カウントしたクロック数を基に伝送遅延を算出する算出手段と、
前記アナログ部のループバックモードを解除するための制御信号を前記アナログ部に送信する第3送信手段と、
前記伝送遅延に応じて個々の前記アナログ部についてそれぞれ算出したタイミングで、そのタイミングに対応する特定の前記アナログ部に対してダウンリンク信号を送信する第4送信手段と、
を備える無線制御ユニット。
【請求項8】
各々がダウンリンク信号を電波としてアンテナから出力する複数のアナログ部と通信ケーブルにより接続され、当該アナログ部とWDM(Wavelength Division Multiplexing)方式で通信する基地局の無線制御ユニットであって、
基準となる内部クロックに同期して遅延時間を観測するための観測信号を、第1の波長で前記アナログ部に送信する第2送信手段と、
前記複数のアナログ部のそれぞれについて、前記観測信号を送信してから当該観測信号を受信するまでのクロック数をカウントし、カウントしたクロック数を基に伝送遅延を算出する算出手段と、
前記伝送遅延に応じて個々の前記アナログ部についてそれぞれ算出したタイミングで、そのタイミングに対応する特定の前記アナログ部に対してダウンリンク信号を前記第1の波長と異なる第2の波長で送信する第4送信手段と、
を備える無線制御ユニット。
【請求項9】
各々がダウンリンク信号を電波としてアンテナから出力する複数のアナログ部と通信ケーブルにより接続された基地局の無線制御ユニットに、
前記アナログ部がループバックモードに移行するよう制御するための制御信号を当該アナログ部に送信する第1送信処理と、
基準となる内部クロックに同期して遅延時間を観測するための観測信号を前記アナログ部に送信する第2送信処理と、
前記複数のアナログ部のそれぞれについて、前記観測信号を送信してから当該観測信号を受信するまでのクロック数をカウントし、カウントしたクロック数を基に伝送遅延を算出する算出処理と、
前記アナログ部のループバックモードを解除するための制御信号を前記アナログ部に送信する第3送信処理と、
前記伝送遅延に応じて個々の前記アナログ部についてそれぞれ算出したタイミングで、そのタイミングに対応する特定の前記アナログ部に対してダウンリンク信号を送信する第4送信処理と、
を実行させるためのプログラム。
【請求項10】
各々がダウンリンク信号を電波としてアンテナから出力する複数のアナログ部と通信ケーブルにより接続され、当該アナログ部とWDM(Wavelength Division Multiplexing)方式で通信する基地局の無線制御ユニットに、
基準となる内部クロックに同期して遅延時間を観測するための観測信号を、第1の波長で前記アナログ部に送信する第2送信処理と、
前記複数のアナログ部のそれぞれについて、前記観測信号を送信してから当該観測信号を受信するまでのクロック数をカウントし、カウントしたクロック数を基に伝送遅延を算出する算出処理と、
前記伝送遅延に応じて個々の前記アナログ部についてそれぞれ算出したタイミングで、そのタイミングに対応する特定の前記アナログ部に対してダウンリンク信号を前記第1の波長と異なる第2の波長で送信する第4送信処理と、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局システム、無線制御ユニット、無線通信方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
5G(第5世代移動通信システム)においては更なる高速化を目指して、高周波数帯の電波(ミリ波)の活用が導入されている。ミリ波等の高周波数帯の電波は直進性が強いため、通信品質を満足させるためには見通し通信路の確保が必要となる。見通し通信路を確保するための解決策の一つとして、分散MIMO(Cell-Free Massive MIMO)と呼ばれるシステムが提案されている(例えば、非特許文献1)。分散MIMOでは、無線制御ユニット(BBU(ブロードバンドユニット))と光ファイバ等の有線で接続した多数のアクセスポイント(AP)を分散して配置することにより見通し通信路を確保して送受信を行う。分散MIMOにおいてAPは主にアナログ回路で構成された電気信号と電波を変換する装置であり、APの小型化及び低価格化は重要な課題である。
【0003】
一方、モバイル通信網(RAN)のTDD(Time Division Duplex)方式においては、UL(アップリンク)/DL(ダウンリンク)間の干渉回避の観点から無線区間の信号の送受信タイミングが揃っていることが望ましい。そのため、分散MIMOにおいては、APの送受信タイミングがAP同士で同期していることが重要である。従来の同期方法はTA(Timing Advance)として知られている。
【0004】
非特許文献1に記載の技術においては、BBUとAPとの距離はAPの設置場所によって異なるため、BBUとAPとを接続するケーブル長がばらつくことにより複数のAPの間で送受信タイミングに差が生じてしまうという問題がある。そこで、PTP(Precision Time Protocol)等を適用することにより、BBUとAPを時刻同期するよう制御することが考えられる。また、光ケーブルの測定装置としてOTDR(光時間領域反射率計)が知られており、このOTDRにより損失の測定だけでなく、光ファイバーケーブルの長さ、光ファイバーケーブルの接続点の数や位置、光を伝達している途中での接続損失、反射までを確認できる。OTDRを用いる場合、BBU側にOTDRを接続し、AP側を開放することによりBBUとAPとの間の距離を測定して伝送遅延を知ることができる。
【0005】
特許文献1には、光ケーブルを通して主基地局と遠隔基地局との遅延を測定して補償する技術が開示されている。特許文献1に記載の技術において、主基地局は、SDHフレームのオーバーヘッド部に所定のテストパターンを挿入して遠隔基地局に伝送し、遠隔基地局によってループバックされたSDHフレームを受信してテストパターンを検出した後、テストパターンによって伝送遅延を測定する。また、受信されたSDHフレームの内の所定の位置で少なくとも1つのFAW(Frame Alignment Word)を検出し、FAW検出情報によって遅延誤差を計算する。遅延誤差をもって測定された伝送遅延を補償し、光ケーブルによる伝送遅延を求める。
【0006】
また、特許文献2には、アナログ回路部における送受信タイミングのばらつきを抑制する無線通信機が開示されている。特許文献1に記載の無線通信機は、データ送信動作の開始直前に、アンテナ出力制御スイッチを一旦OFF状態(ループバック接続)に設定し、アナログ遅延量を測定し、測定したアナログ遅延量を保存して送信データタイミング調整部におけるタイミング調整値を自動更新する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2006-515489号公報
【特許文献2】特開2008-118253号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】H. Q. Ngo, A. Ashikhmin, H. Yang, E. G. Larsson, and T. L. Marzetta, “Cell-free massive MIMO versus small cells,” IEEE Trans. Wireless Commun., vol. 16, no.3, pp. 1834-1850, Mar. 2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述のPTPを使う時刻同期をAPに適用する場合、PTPを動作させるデジタル回路が必要となりコストが高くなってしまうという課題がある。また、PTPおよびOTDRを使う場合も、伝送遅延の測定結果を個別に無線制御ユニットに設定する必要があるため、分散MIMOのように複数のAPが接続された状況で測定する場合に測定に要するコストが高くなってしまうという問題がある。特許文献1及び2に記載の技術においても同様である。
【0010】
本発明の一態様は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的の一例は、無線制御ユニットが複数のアナログ部と通信ケーブルにより接続された基地局システムにおいて、コストが高くなってしまうことを防ぎつつ、無線制御ユニットと複数のアナログ部との間の伝送遅延を補償できる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様に係る基地局システムは、無線制御ユニットと、当該無線制御ユニットと通信ケーブルにより接続された複数のアナログ部と、を有する基地局システムであって、前記無線制御ユニットは、前記アナログ部がループバックモードに移行するよう制御するための制御信号を当該アナログ部に送信する第1送信手段と、基準となる内部クロックに同期して遅延時間を観測するための観測信号を前記アナログ部に送信する第2送信手段と、前記複数のアナログ部のそれぞれについて、前記観測信号を送信してから当該観測信号を受信するまでのクロック数をカウントし、カウントしたクロック数を基に伝送遅延を算出する算出手段と、前記アナログ部のループバックモードを解除するための制御信号を前記アナログ部に送信する第3送信手段と、前記伝送遅延に応じて個々の前記アナログ部についてそれぞれ算出したタイミングで、そのタイミングに対応する特定の前記アナログ部に対してダウンリンク信号を送信する第4送信手段と、を備え、前記複数のアナログ部の各々は、前記ループバックモードに移行するための制御信号を受信した場合に前記ループバックモードに移行する一方、前記ループバックモードを解除するための制御信号を受信した場合に通信モードに移行するモード切替手段と、前記ループバックモードにおいて前記無線制御ユニットからの受信信号から送信信号を再生して当該送信信号を前記無線制御ユニットに送信するループバック処理手段と、前記通信モードにおいて前記無線制御ユニットから受信した前記ダウンリンク信号をアンテナから電波として出力するダウンリンク信号送信手段と、を備える。
【0012】
本発明の一態様に係る基地局システムは、無線制御ユニットと、当該無線制御ユニットと通信ケーブルにより接続された複数のアナログ部と、を有し、当該無線制御ユニットと当該アナログ部とがWDM(Wavelength Division Multiplexing)方式で通信する基地局システムであって、前記無線制御ユニットは、基準となる内部クロックに同期して遅延時間を観測するための観測信号を、第1の波長で前記アナログ部に送信する第2送信手段と、前記複数のアナログ部のそれぞれについて、前記観測信号を送信してから当該観測信号を受信するまでのクロック数をカウントし、カウントしたクロック数を基に伝送遅延を算出する算出手段と、前記伝送遅延に応じて個々の前記アナログ部についてそれぞれ算出したタイミングで、そのタイミングに対応する特定の前記アナログ部に対してダウンリンク信号を前記第1の波長と異なる第2の波長で送信する第4送信手段と、を備え、前記複数のアナログ部の各々は、前記第1の波長で前記無線制御ユニットから受信される受信信号から送信信号を再生して当該送信信号を前記無線制御ユニットに送信するループバック処理手段と、前記第2の波長で前記無線制御ユニットから受信される前記ダウンリンク信号をアンテナから電波として出力するダウンリンク信号送信手段と、を備える。
【0013】
また、本発明の一態様に係る無線通信方法は、無線制御ユニットと、当該無線制御ユニットと通信ケーブルにより接続された複数のアナログ部と、を有する基地局システムが行う無線通信方法であって、前記無線制御ユニットが、前記アナログ部がループバックモードに移行するよう制御するための制御信号を当該アナログ部に送信することと、基準となる内部クロックに同期して遅延時間を観測するための観測信号を前記アナログ部に送信することと、前記複数のアナログ部のそれぞれについて、前記観測信号を送信してから当該観測信号を受信するまでのクロック数をカウントし、カウントしたクロック数を基に伝送遅延を算出することと、前記アナログ部のループバックモードを解除するための制御信号を前記アナログ部に送信することと、前記伝送遅延に応じて個々の前記アナログ部についてそれぞれ算出したタイミングで、そのタイミングに対応する特定の前記アナログ部に対してダウンリンク信号を送信することと、前記アナログ部が、前記ループバックモードに移行するための制御信号を受信した場合に前記ループバックモードに移行することと、前記ループバックモードにおいて前記無線制御ユニットからの受信信号から送信信号を再生して当該送信信号を前記無線制御ユニットに送信することと、前記ループバックモードを解除するための制御信号を受信した場合に通信モードに移行することと、前記通信モードにおいて前記無線制御ユニットから受信した前記ダウンリンク信号をアンテナから電波として出力することと、を含む。
【0014】
また、本発明の一態様に係る無線通信方法は、無線制御ユニットと、当該無線制御ユニットと通信ケーブルにより接続された複数のアナログ部と、を有し、当該無線制御ユニットと当該アナログ部とがWDM(Wavelength Division Multiplexing)方式で通信する基地局システムが行う無線通信方法であって、前記無線制御ユニットが、基準となる内部クロックに同期して遅延時間を観測するための観測信号を、第1の波長で前記アナログ部に送信することと、前記複数のアナログ部のそれぞれについて、前記観測信号を送信してから当該観測信号を受信するまでのクロック数をカウントし、カウントしたクロック数を基に伝送遅延を算出することと、前記伝送遅延に応じて個々の前記アナログ部についてそれぞれ算出したタイミングで、そのタイミングに対応する特定の前記アナログ部に対してダウンリンク信号を前記第1の波長と異なる第2の波長で送信することと、前記アナログ部が、前記第1の波長で前記無線制御ユニットから受信される受信信号から送信信号を再生して当該送信信号を前記無線制御ユニットに送信することと、前記第2の波長で前記無線制御ユニットから受信される前記ダウンリンク信号をアンテナから電波として出力することと、を含む。
【0015】
また、本発明の一態様に係る無線制御ユニットは、各々がダウンリンク信号を電波としてアンテナから出力する複数のアナログ部と通信ケーブルにより接続された基地局の無線制御ユニットであって、前記アナログ部がループバックモードに移行するよう制御するための制御信号を当該アナログ部に送信する第1送信手段と、基準となる内部クロックに同期して遅延時間を観測するための観測信号を前記アナログ部に送信する第2送信手段と、前記複数のアナログ部のそれぞれについて、前記観測信号を送信してから当該観測信号を受信するまでのクロック数をカウントし、カウントしたクロック数を基に伝送遅延を算出する算出手段と、前記アナログ部のループバックモードを解除するための制御信号を前記アナログ部に送信する第3送信手段と、前記伝送遅延に応じて個々の前記アナログ部についてそれぞれ算出したタイミングで、そのタイミングに対応する特定の前記アナログ部に対してダウンリンク信号を送信する第4送信手段と、を備える。
【0016】
また、本発明の一態様に係る無線制御ユニットは、各々がダウンリンク信号を電波としてアンテナから出力する複数のアナログ部と通信ケーブルにより接続され、当該アナログ部とWDM(Wavelength Division Multiplexing)方式で通信する基地局の無線制御ユニットであって、基準となる内部クロックに同期して遅延時間を観測するための観測信号を、第1の波長で前記アナログ部に送信する第2送信手段と、前記複数のアナログ部のそれぞれについて、前記観測信号を送信してから当該観測信号を受信するまでのクロック数をカウントし、カウントしたクロック数を基に伝送遅延を算出する算出手段と、前記伝送遅延に応じて個々の前記アナログ部についてそれぞれ算出したタイミングで、そのタイミングに対応する特定の前記アナログ部に対してダウンリンク信号を前記第1の波長と異なる第2の波長で送信する第4送信手段と、を備える。
【0017】
本発明の一態様に係るプログラムは、各々がダウンリンク信号を電波としてアンテナから出力する複数のアナログ部と通信ケーブルにより接続された基地局の無線制御ユニットに、前記アナログ部がループバックモードに移行するよう制御するための制御信号を当該アナログ部に送信する第1送信処理と、基準となる内部クロックに同期して遅延時間を観測するための観測信号を前記アナログ部に送信する第2送信処理と、前記複数のアナログ部のそれぞれについて、前記観測信号を送信してから当該観測信号を受信するまでのクロック数をカウントし、カウントしたクロック数を基に伝送遅延を算出する算出処理と、前記アナログ部のループバックモードを解除するための制御信号を前記アナログ部に送信する第3送信処理と、前記伝送遅延に応じて個々の前記アナログ部についてそれぞれ算出したタイミングで、そのタイミングに対応する特定の前記アナログ部に対してダウンリンク信号を送信する第4送信処理と、を実行させる。
【0018】
本発明の一態様に係るプログラムは、各々がダウンリンク信号を電波としてアンテナから出力する複数のアナログ部と通信ケーブルにより接続され、当該アナログ部とWDM(Wavelength Division Multiplexing)方式で通信する基地局の無線制御ユニットに、基準となる内部クロックに同期して遅延時間を観測するための観測信号を、第1の波長で前記アナログ部に送信する第2送信処理と、前記複数のアナログ部のそれぞれについて、前記観測信号を送信してから当該観測信号を受信するまでのクロック数をカウントし、カウントしたクロック数を基に伝送遅延を算出する算出処理と、前記伝送遅延に応じて個々の前記アナログ部についてそれぞれ算出したタイミングで、そのタイミングに対応する特定の前記アナログ部に対してダウンリンク信号を前記第1の波長と異なる第2の波長で送信する第4送信処理と、を実行させる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一態様によれば、無線制御ユニットが複数のアナログ部と通信ケーブルにより接続された基地局システムにおいて、コストが高くなってしまうことを防ぎつつ、無線制御ユニットと複数のアナログ部との間の伝送遅延を補償できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】例示的実施形態1に係る基地局システムの構成を示すブロック図である。
図2】例示的実施形態1に係る無線通信方法の流れを示すシーケンス図である。
図3】例示的実施形態1に係る基地局システムの構成を示すブロック図である。
図4】例示的実施形態1に係る無線通信方法の流れを示すシーケンス図である。
図5】例示的実施形態2に係る基地局システムの構成を概略的に示す図である。
図6】例示的実施形態2に係る無線制御ユニットとアナログ部の構成の一例を示すブロック図である。
図7】例示的実施形態2に係る無線制御ユニットがDL信号を送信するタイミングの具体例を示す図である。
図8】例示的実施形態2に係る無線制御ユニットが実行する処理の流れの一例を示すフロー図である。
図9】例示的実施形態2に係るアナログ部のモード切替部が実行する処理の流れの一例を示すフロー図である。
図10】例示的実施形態3に係る基地局システムの構成を示すブロック図である。
図11】各例示的実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
〔例示的実施形態1〕
本発明の第1の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本例示的実施形態は、後述する例示的実施形態の基本となる形態である。
【0022】
(基地局システムの構成)
本例示的実施形態に係る基地局システム1の構成について、図1を参照して説明する。図1は、基地局システム1の構成を示すブロック図である。基地局システム1は、無線制御ユニット10と、複数のアナログ部20-1、20-2、・・・とを備える。複数のアナログ部20-1、20-2、・・・のそれぞれは、無線制御ユニット10と通信ケーブルにより接続される。ここで、通信ケーブルは例えば光ファイバーケーブルであるが、これに限定されない。以下の説明では、アナログ部20-1、20-2、・・・を各々区別する必要がない場合には、これらを「アナログ部20」と称する。
【0023】
無線制御ユニット10は、第1送信部11(第1送信手段)、第2送信部12(第2送信手段)、算出部13(算出手段)、第3送信部14(第3送信手段)、及び第4送信部15(第4送信手段)を備える。
【0024】
第1送信部11は、アナログ部20がループバックモードに移行するよう制御するための制御信号をアナログ部20に送信する。第2送信部12は、基準となる内部クロックに同期して遅延時間を観測するための観測信号をアナログ部20に送信する。算出部13は、複数のアナログ部20のそれぞれについて、上記観測信号を送信してから当該観測信号を受信するまでのクロック数をカウントし、カウントしたクロック数を基に伝送遅延を算出する。第3送信部14は、アナログ部20のループバックモードを解除するための制御信号をアナログ部20に送信する。第4送信部15は、上記伝送遅延に応じて個々のアナログ部20についてそれぞれ算出したタイミングで、そのタイミングに対応する特定のアナログ部20に対してダウンリンク信号(DL信号)を送信する。
【0025】
アナログ部20は、モード切替部21(モード切替手段)、ループバック処理部22(ループバック処理手段)、及びDL信号送信部23(ダウンリンク信号送信手段)を備える。
【0026】
モード切替部21は、ループバックモードに移行するための制御信号を受信した場合にループバックモードに移行する。また、モード切替部21は、ループバックモードを解除するための制御信号を受信した場合に通信モードに移行する。ループバック処理部22は、ループバックモードにおいて無線制御ユニット10からの受信信号から送信信号を再生して当該送信信号を無線制御ユニット10に送信する。DL信号送信部23は、通信モードにおいて無線制御ユニット10から受信したDL信号をアンテナから電波として出力する。
【0027】
以上のように、本例示的実施形態に係る基地局システム1は、無線制御ユニット10と、無線制御ユニット10と通信ケーブルにより接続された複数のアナログ部20と、を有する基地局システムであって、無線制御ユニット10は、アナログ部20がループバックモードに移行するよう制御するための制御信号をアナログ部20に送信する第1送信部11と、基準となる内部クロックに同期して遅延時間を観測するための観測信号をアナログ部20に送信する第2送信部12と、複数のアナログ部20のそれぞれについて、観測信号を送信してから当該観測信号を受信するまでのクロック数をカウントし、カウントしたクロック数を基に伝送遅延を算出する算出部13と、アナログ部20のループバックモードを解除するための制御信号をアナログ部20に送信する第3送信部14と、上記伝送遅延に応じて個々のアナログ部20についてそれぞれ算出したタイミングで、そのタイミングに対応する特定のアナログ部20に対してDL信号を送信する第4送信部15と、を備え、複数のアナログ部20の各々は、ループバックモードに移行するための制御信号を受信した場合にループバックモードに移行する一方、ループバックモードを解除するための制御信号を受信した場合に通信モードに移行するモード切替部21と、ループバックモードにおいて無線制御ユニット10からの受信信号から送信信号を再生して当該送信信号を無線制御ユニット10に送信するループバック処理部22と、通信モードにおいて無線制御ユニット10から受信したダウンリンク信号をアンテナから電波として出力するDL信号送信部23と、を備える構成が採用されている。このため、本例示的実施形態に係る基地局システム1によれば、無線制御ユニット10が複数のアナログ部20とケーブルにより接続された基地局システム1において、コストが高くなってしまうことを防ぎつつ、無線制御ユニット10と複数のアナログ部20との間の伝送遅延を補償できるという効果が得られる。
【0028】
(無線通信方法の流れ)
本例示的実施形態に係る無線通信方法S1の流れについて、図2を参照して説明する。図2は、無線通信方法S1の流れを示すシーケンス図である。無線通信方法S1は、無線制御ユニット10と、無線制御ユニット10と通信ケーブルにより接続された複数のアナログ部20と、を有する基地局システム1が行う無線通信方法である。
【0029】
S11では、無線制御ユニット10が、アナログ部20がループバックモードに移行するよう制御するための制御信号をアナログ部20に送信する。S12では、無線制御ユニット10が、基準となる内部クロックに同期して遅延時間を観測するための観測信号をアナログ部20に送信する。S13では、無線制御ユニット10が、複数のアナログ部20のそれぞれについて、観測信号を送信してから当該観測信号を受信するまでのクロック数をカウントし、カウントしたクロック数を基に伝送遅延を算出する。S14では、無線制御ユニット10が、アナログ部20のループバックモードを解除するための制御信号をアナログ部20に送信する。S15では、無線制御ユニット10が、上記伝送遅延に応じて個々のアナログ部20についてそれぞれ算出したタイミングで、そのタイミングに対応する特定のアナログ部20に対してDL信号を送信する。
【0030】
S21では、アナログ部20が、ループバックモードに移行するための制御信号を受信した場合にループバックモードに移行する。S22では、アナログ部20が、ループバックモードにおいて無線制御ユニット10からの受信信号から送信信号を再生して当該送信信号を無線制御ユニット10に送信する。
【0031】
S23では、アナログ部20が、ループバックモードを解除するための制御信号を受信した場合に通信モードに移行する。S24では、アナログ部20が、通信モードにおいて無線制御ユニット10から受信したDL信号をアンテナに出力する。
【0032】
以上のように、本例示的実施形態に係る無線通信方法S1は、無線制御ユニット10と、当該無線制御ユニット10と通信ケーブルにより接続された複数のアナログ部20と、を有する基地局システム1が行う無線通信方法であって、無線制御ユニット10が、アナログ部20がループバックモードに移行するよう制御するための制御信号を当該アナログ部に送信することと、基準となる内部クロックに同期して遅延時間を観測するための観測信号をアナログ部20に送信することと、複数のアナログ部20のそれぞれについて、観測信号を送信してから当該観測信号を受信するまでのクロック数をカウントし、カウントしたクロック数を基に伝送遅延を算出することと、アナログ部20のループバックモードを解除するための制御信号をアナログ部20に送信することと、上記伝送遅延に応じて個々のアナログ部20についてそれぞれ算出したタイミングで、そのタイミングに対応する特定のアナログ部20に対してDL信号を送信することとを含む。また、無線通信方法S1は、アナログ部20が、ループバックモードに移行するための制御信号を受信した場合にループバックモードに移行することと、ループバックモードにおいて無線制御ユニット10からの受信信号から送信信号を再生して当該送信信号を無線制御ユニット10に送信することと、ループバックモードを解除するための制御信号を受信した場合に通信モードに移行することと、通信モードにおいて無線制御ユニット10から受信したDL信号をアンテナから電波として出力することと、を含む。このため、本例示的実施形態に係る無線通信方法S1によれば、無線制御ユニット10が複数のアナログ部20と通信ケーブルにより接続された基地局システム1において、コストが高くなってしまうことを防ぎつつ、無線制御ユニット10と複数のアナログ部20との間の伝送遅延を補償できるという効果が得られる。
【0033】
(基地局システムの構成)
また、本例示的実施形態に係る基地局システム2の構成について、図3を参照して説明する。図3は、基地局システム2の構成を示すブロック図である。基地局システム2は、無線制御ユニット30と、複数のアナログ部40-1、40-2、・・・とを備える。複数のアナログ部40-1、40-2、・・・のそれぞれは、無線制御ユニット30と通信ケーブルにより接続される。ここで、通信ケーブルは例えば光ファイバーケーブルである。無線制御ユニット30とアナログ部40-1、40-2、・・・とは、WDM(Wavelength Division Multiplexing)方式により通信する。以下の説明では、アナログ部40-1、40-2、・・・を各々区別する必要がない場合には、これらを「アナログ部40」と称する。
【0034】
無線制御ユニット30は、第2送信部32(第2送信手段)、算出部33(算出手段)、及び第4送信部35(第4送信手段)を備える。第2送信部32は、基準となる内部クロックに同期して遅延時間を観測するための観測信号を、第1の波長でアナログ部40に送信する。算出部33は、複数のアナログ部40のそれぞれについて、上記観測信号を送信してから当該観測信号を受信するまでのクロック数をカウントし、カウントしたクロック数を基に伝送遅延を算出する。第4送信部35は、上記伝送遅延に応じて個々のアナログ部20についてそれぞれ算出したタイミングで、そのタイミングに対応する特定のアナログ部20に対してダウンリンク信号(DL信号)を上記第1の波長と異なる第2の波長で送信する。
【0035】
アナログ部40は、ループバック処理部42(ループバック処理手段)、及びDL信号送信部43(ダウンリンク信号送信手段)を備える。ループバック処理部42は、上記第1の波長で無線制御ユニット30から受信される受信信号から送信信号を再生して当該送信信号を無線制御ユニット30に送信する。DL信号送信部43は、上記第2の波長で無線制御ユニット30から受信されるDL信号をアンテナから電波として出力する。
【0036】
以上のように、本例示的実施形態に係る基地局システム2は、無線制御ユニット30と、無線制御ユニット30と通信ケーブルにより接続された複数のアナログ部40と、を有し、無線制御ユニット30とアナログ部40とがWDM方式で通信する基地局システムであって、無線制御ユニット30は、基準となる内部クロックに同期して遅延時間を観測するための観測信号を、第1の波長でアナログ部40に送信する第2送信部32と、複数のアナログ部40のそれぞれについて、観測信号を送信してから当該観測信号を受信するまでのクロック数をカウントし、カウントしたクロック数を基に伝送遅延を算出する算出部33と、上記伝送遅延に応じて個々のアナログ部20についてそれぞれ算出したタイミングで、そのタイミングに対応する特定のアナログ部20に対してDL信号を上記第1の波長と異なる第2の波長で送信する第4送信部35と、を備え、複数のアナログ部40の各々は、上記第1の波長で無線制御ユニット30から受信される受信信号から送信信号を再生して当該送信信号を無線制御ユニット30に送信するループバック処理部42と、上記第2の波長で無線制御ユニット30から受信されるダウンリンク信号をアンテナから電波として出力するDL信号送信部43と、を備える構成が採用されている。このため、本例示的実施形態に係る基地局システム2によれば、無線制御ユニット30が複数のアナログ部40とケーブルにより接続された基地局システム2において、コストが高くなってしまうことを防ぎつつ、無線制御ユニット30と複数のアナログ部40との間の伝送遅延を補償できるという効果が得られる。
【0037】
(無線通信方法の流れ)
本例示的実施形態に係る無線通信方法S2の流れについて、図4を参照して説明する。図4は、無線通信方法S2の流れを示すシーケンス図である。無線通信方法S2は、無線制御ユニット30と、無線制御ユニット30と通信ケーブルにより接続された複数のアナログ部40と、を有する基地局システム2が行う無線通信方法である。無線制御ユニット30とアナログ部40とはWDM方式により通信する。
【0038】
S31では、無線制御ユニット30が、基準となる内部クロックに同期して遅延時間を観測するための観測信号を、第1の波長でアナログ部40に送信する。S32では、無線制御ユニット30が、複数のアナログ部40のそれぞれについて、観測信号を送信してから当該観測信号を受信するまでのクロック数をカウントし、カウントしたクロック数を基に伝送遅延を算出する。S33では、無線制御ユニット30が、上記伝送遅延に応じて個々のアナログ部20についてそれぞれ算出したタイミングで、そのタイミングに対応する特定のアナログ部20に対してDL信号を上記第1の波長と異なる第2の波長で送信する。
【0039】
S41では、アナログ部40が、上記第1の波長で無線制御ユニット30からの受信信号から送信信号を再生して当該送信信号を無線制御ユニット30に送信する。S42では、アナログ部40が、上記第2の波長で無線制御ユニット30から受信したDL信号をアンテナに出力する。
【0040】
以上のように、本例示的実施形態に係る無線通信方法S2は、無線制御ユニット30と、当該無線制御ユニット30と通信ケーブルにより接続された複数のアナログ部40と、を有し、無線制御ユニット30とアナログ部40とがWDM方式で通信する基地局システム2が行う無線通信方法であって、無線制御ユニット30が、基準となる内部クロックに同期して遅延時間を観測するための観測信号を、第1の波長でアナログ部40に送信することと、複数のアナログ部40のそれぞれについて、観測信号を送信してから当該観測信号を受信するまでのクロック数をカウントし、カウントしたクロック数を基に伝送遅延を算出することと、上記伝送遅延に応じて個々のアナログ部20についてそれぞれ算出したタイミングで、そのタイミングに対応する特定のアナログ部20に対してDL信号を上記第1の波長と異なる第2の波長で送信することとを含む。また、無線通信方法S2は、アナログ部40が、上記第1の波長で無線制御ユニット30から受信される受信信号から送信信号を再生して当該送信信号を無線制御ユニット30に送信することと、上記第2の波長で無線制御ユニット30から受信されるDL信号をアンテナから電波として出力することと、を含む。このため、本例示的実施形態に係る無線通信方法S2によれば、無線制御ユニット30が複数のアナログ部40と通信ケーブルにより接続された基地局システム2において、コストが高くなってしまうことを防ぎつつ、無線制御ユニット30と複数のアナログ部40との間の伝送遅延を補償できるという効果が得られる。
【0041】
〔例示的実施形態2〕
(基地局システムの構成)
本発明の第2の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図5は、本例示的実施形態に係る基地局システム100Aの構成を概略的に示す図である。基地局システム100Aは、無線制御ユニット1Aと、複数のアナログ部2A-1、2A-2、・・・とを備える。無線制御ユニット1Aとアナログ部2Aとは別体として構成されており、無線制御ユニット1Aとアナログ部2Aは通信ケーブルCにより接続される。本例示的実施形態において、通信ケーブルCは光ファイバーケーブルである。以下の説明では、アナログ部2A-1、2A-2、・・・を各々区別する必要がない場合には、これらを「アナログ部2A」と称する。
【0042】
無線制御ユニット1Aはデジタル信号処理を行うユニットであり、一例としてBBU(ブロードバンドユニット)である。無線制御ユニット1Aは一例として、5GにおけるRU(Radio Unit)又はDU(Distributed Unit)であってもよい。換言すると、無線制御ユニット1Aの機能がRU又はDUに搭載されてもよい。アナログ部2Aは、アンテナを介して端末と無線信号を送受信するユニットであり、一例としてアクセスポイントである。
【0043】
図5に示すように、基地局システム100Aにおいては、アナログ部2Aの設置場所によって無線制御ユニット1Aとアナログ部2Aとをつなぐ通信ケーブルCの長さにばらつきが生じる。このばらつきにより、複数のアナログ部2Aの間でDL信号の送信タイミングにばらつきが生じてしまう。基地局システム100Aは、このようなばらつきに起因する伝送遅延を補償してDL信号を送信する。
【0044】
(無線制御ユニットの構成)
図6は、無線制御ユニット1Aとアナログ部2Aの構成の一例を示すブロック図である。無線制御ユニット1Aは、制御部10A、記憶部20A、光モジュール30Aを備える。記憶部20Aは、後述する制御部10AがDL信号を送信する際に参照する情報を格納する。記憶部20Aは特に、後述する遅延算出部12Aが算出するアナログ部2A毎の伝送遅延を示す遅延制御情報DIを格納する。
【0045】
光モジュール30Aは、電子信号を光信号に変換し、通信ケーブルCを介してアナログ部2Aに伝送する。また、光モジュール30Aは、通信ケーブルCを介して受信される光信号を電子信号に変換する。図6の例では、無線制御ユニット1Aが光モジュール30Aを備える構成を示しているが、光モジュール30Aが無線制御ユニット1Aに外付けされる構成であってもよい。
【0046】
制御部10Aは、モード切替部11A、遅延算出部12A、DL信号送信部13A、及び検出部14Aを備える。モード切替部11Aは、本明細書に係る第1送信手段及び第3送信手段の一例である。遅延算出部12Aは、本明細書に係る第2送信手段、及び算出手段の一例である。DL信号送信部13Aは、本明細書に係る第4送信手段の一例である。検出部14Aは、本明細書に係る検出手段の一例である。
【0047】
モード切替部11Aは、アナログ部2Aがループバックモードに移行するよう制御するための制御信号を生成し、光モジュール30Aに出力する。光モジュール30Aは、制御信号を光信号に変換し、通信ケーブルCに出力する。モード切替部11Aは一例として、後述する検出部14Aにより無線制御ユニット1Aの光モジュール30A又はアナログ部2Aの光モジュール25Aの劣化が検出された場合に、アナログ部2Aがループバックモードに移行するよう制御するための制御信号を光モジュール30Aを介して送信する。
【0048】
また、モード切替部11Aは、後述する遅延算出部12Aがアナログ部2A毎の伝送遅延を算出した後に、アナログ部2Aのループバックモードを解除するための制御信号をアナログ部2Aに送信する。
【0049】
遅延算出部12Aは、基準となる内部クロックに同期して遅延時間を観測するための観測信号をアナログ部2Aに送信する。また、遅延算出部12Aは、アナログ部2Aのループバック機能によりアナログ部2Aから送信されてくる観測信号を受信する。観測信号は一例として、送信時刻を示す信号であってもよい。また、観測信号は例えば、所定のフレームパターンを有する信号であってもよい。
【0050】
また、遅延算出部12Aは、複数のアナログ部2Aのそれぞれについて、観測信号を送信してから当該観測信号を受信するまでのクロック数をカウントする。さらに、遅延算出部12Aは、カウントしたクロック数を基にアナログ部2A毎の伝送遅延を算出する。より具体的には、遅延算出部12Aは例えば、送信時刻を示す観測信号を送信し、観測信号を受信した時刻と送信時刻との差分を用いて伝送遅延を計測してもよい。ここで、クロック数をカウントする回路は、専用の回路として構成されていてもよく、また、上述したPTPで用いられる機能の一部が流用されてもよい。
【0051】
DL信号送信部13Aは、上記伝送遅延に応じて個々のアナログ部2Aについてそれぞれ算出したタイミングで、そのタイミングに対応する特定のアナログ部2Aに対して光モジュール30Aを介してDL信号を送信する。光モジュール130Aは、DL信号を光信号に変換し、通信ケーブルCに出力する。このとき、DL信号送信部13Aは、アナログ部2A毎の伝送遅延時間分だけ早いタイミングで各アナログ部2AにDL信号を送信する。
【0052】
図7は、無線制御ユニット1AがDL信号を送信するタイミングの具体例を示す図である。図7の例では、遅延算出部12Aが3つのアナログ部2A-1、2A-2、2A-3について算出した伝送遅延はそれぞれ、Δt1、Δt2、Δt3である。この場合、DL信号送信部13Aは、DL信号を、時刻(T-Δt1)においてアナログ部2A-1に送信し、時刻(T-Δt2)においてアナログ部2A-2に送信し、時刻(T-Δt3)においてアナログ部2A-3に送信する。
【0053】
検出部14Aは、無線制御ユニット1Aの光モジュール30A又はアナログ部2Aの光モジュール25Aの劣化を検出する。検出部14Aが光モジュールの劣化を検出する手法としては、一般的に用いられている手法が適用可能である。また、図6の例では、無線制御ユニット1Aが検出部14Aを備える構成を示しているが、検出部14Aは無線制御ユニット1A以外の他の装置に含まれる構成であってもよい。この場合、検出部14Aを備える他の装置が光モジュールの劣化の検出を無線制御ユニット1Aに通知する。
【0054】
(アナログ部の構成)
アナログ部2Aはそれぞれ、モード切替部21A、ループバック処理部22A、DL信号送信部23A、アンテナ24A、及び光モジュール25Aを備える。光モジュール25Aは、電子信号を光信号に変換し、通信ケーブルCを介して無線制御ユニット1Aに伝送する。また、光モジュール25Aは、通信ケーブルCを介して受信される光信号を電子信号に変換する。図6の例では、アナログ部2Aが光モジュール25Aを備える構成を示しているが、光モジュール25Aがアナログ部2Aに外付けされる構成であってもよい。
【0055】
本例示的実施形態において、ループバック処理部22AとDL信号送信部23Aとは、例えば、それぞれ独立したハードウェア回路により構成される。また、光モジュール25AがSFP(Small Form-factor Pluggable)モジュールである場合、SFPモジュール内蔵のループバック機能がループバック処理部22Aとして用いられてもよい。
【0056】
モード切替部21Aは、通信モードとループバックモードとの切り替えを行う。通信モードは通常の通信を行うモードであり、通信モードではアナログ部2Aは無線制御ユニット1Aから受信したDL信号をアンテナ24Aから電波として出力する。一方、ループバックモードは、アナログ部2Aが無線制御ユニット1Aからの受信信号から送信信号を再生して無線制御ユニット1Aに送出するモードである。ループバックモードは、無線制御ユニット1Aとアナログ部2Aとの伝送遅延を算出するために用いられる。
【0057】
モード切替部21Aは、一例として、無線制御ユニット1Aからの指示により回路の切替を電気的に行う制御回路であってもよい。この場合、制御回路は、マイクロコンピュータなどの簡易なプロトコルを実装した回路で構成される。この場合、モード切替部21Aは、特定周波数の信号を受信すると、回路のスイッチを切り替えるトランジスタへの入力電圧をHigh又はLowに設定し、その設定を維持する。
【0058】
ループバック処理部22Aは、ループバックモードにおいて無線制御ユニット1Aからの受信信号から送信信号を再生して当該送信信号を無線制御ユニット1Aに送信する。DL信号送信部23Aは、通信モードにおいて無線制御ユニット1Aから受信したDL信号をアンテナ24Aから電波として出力する。
【0059】
図7の例において、無線制御ユニット1Aが時刻(T-Δt1)にアナログ部2A-1に送信したDL信号は、無線制御ユニット1Aとアナログ部2A-1とを繋ぐ通信ケーブルCに起因する遅延Δt1により、時刻Tにアナログ部2A-1に到達し、アナログ部2A-1のアンテナ24Aから電波として出力される。また、無線制御ユニット1Aが時刻(T-Δt2)にアナログ部2A-2に送信したDL信号は、無線制御ユニット1Aとアナログ部2A-2とを繋ぐ通信ケーブルCに起因する遅延Δt2により、時刻Tにアナログ部2A-2に到達し、アナログ部2A-2のアンテナ24Aから時刻Tに電波として出力される。無線制御ユニット1Aが時刻(T-Δt3)にアナログ部2A-3に送信したDL信号は、無線制御ユニット1Aとアナログ部2A-3とを繋ぐ通信ケーブルCに起因する遅延Δt3により、時刻Tにアナログ部2A-3に到達し、アナログ部2A-3のアンテナ24Aから電波として出力される。このように、伝送遅延に応じて個々のアナログ部2Aについてそれぞれ算出したタイミングで、そのタイミングに対応するアナログ部2Aに対して無線制御ユニット1AがDL信号を送信することにより、基地局システム100Aにおいて複数のアナログ部2Aの間の伝送遅延を補償することができる。
【0060】
(無線制御ユニットが実行する処理の流れ)
本例示的実施形態に係る無線制御ユニット1Aが実行する処理の流れについて、図8を参照して説明する。図8は、無線制御ユニット1Aが実行する処理の流れの一例を示すフロー図である。
【0061】
ステップS101において、モード切替部11Aは、アナログ部2Aがループバックモードに移行するよう制御するかを判別する。モード切替部11Aは例えば、基地局システム100Aの運用前において、無線制御ユニット1A及び/又はアナログ部2Aの新設時に、アナログ部2Aがループバックモードに移行するよう制御すると判別してもよい。ここで、本明細書において「A及び/又はB」とは、(i)AとBの両方、(ii)A、(iii)B、を含む。また、モード切替部11Aは例えば、基地局システム100Aの運用中において、無線制御ユニット1A及び/又はアナログ部2Aの交換又は修理の際に、アナログ部2Aがループバックモードに移行するよう制御すると判別してもよい。また、モード切替部11Aは例えば、基地局システム100Aの運用中において、無線制御ユニット1A及び/又はアナログ部2Aの劣化が検出された場合に、アナログ部2Aがループバックモードに移行するよう制御すると判別してもよい。モード切替部11Aは特に、無線制御ユニット1Aの光モジュール30A又はアナログ部2Aの光モジュール25Aの劣化が検出された場合に、アナログ部2Aがループバックモードに移行するよう制御すると判別してもよい。
【0062】
無線制御ユニット1Aが、アナログ部2Aがループバックモードに移行するよう制御するかを判別する手法は上述した例に限定されない。モード切替部11Aは例えば、基地局システム100Aの運用中において、アナログ部2Aを定期的にループバックモードに移行させてもよい。
【0063】
ステップS102において、モード切替部11Aは、アナログ部2Aがループバックモードに移行するよう制御するための制御信号をアナログ部2Aに送信する。
【0064】
ステップS103において、遅延算出部12Aは、基準となる内部クロックに同期して遅延時間を観測するための観測信号をアナログ部2Aに送信する。また、ステップS104において、遅延算出部12Aは、ステップS103で観測信号を送信してから観測信号を受信するまでのクロック数をカウントし、カウントしたクロック数を基に伝送遅延を算出する。遅延算出部12Aは、算出したアナログ部2A毎の伝送遅延に応じた遅延補償を行うための情報を遅延制御情報DIとして記憶部20Aに格納する。遅延制御情報DIは一例として、伝送遅延を示す情報を含む。
【0065】
ステップS105において、モード切替部11Aは、アナログ部2Aのループバックモードを解除するための制御信号をアナログ部2Aに送信する。ステップS106において、DL信号送信部13Aは、上記伝送遅延に応じて個々のアナログ部2Aについてそれぞれ算出したタイミングで、そのタイミングに対応するアナログ部2Aに対してDL信号を送信する。
【0066】
(アナログ部が実行する処理の流れ)
図9は、アナログ部2Aのモード切替部21Aが実行する処理の流れの一例を示すフロー図である。ステップS201において、モード切替部21Aは、無線制御ユニット1Aから通信ケーブルCを介して信号を受信すると(ステップS201;YES)、ステップS202の処理に進む。
【0067】
ステップS202において、モード切替部21Aは、受信された信号が、モードを切り替えるための制御信号であるかを判別する。受信された信号がモードを切り替えるための制御信号である場合(ステップS202;YES)、モード切替部21AはステップS203の処理に進む。一方、受信された信号がモードを切り替えるための制御信号でない場合(ステップS203;NO)、モード切替部21AはステップS203の処理を行わずに、ステップS201の処理に戻る。
【0068】
(基地局システムの効果)
以上説明したように本例示的実施形態によれば、基地局システム100Aは、ループバック回路(ループバック処理部22A)を有するアナログ部2Aと、無線制御ユニット1Aとを備え、無線制御ユニット1Aは、アナログ部2Aでループバックされた信号からアナログ部2Aと無線制御ユニット1Aとの間の伝送時間を測定し、測定された伝送時間に合わせて、無線制御ユニット1Aからアナログ部2AへのDL信号の送信タイミングを調節する。アナログ部2A毎の遅延時間分だけ、無線制御ユニット1Aからアナログ部2Aへのデータの送信タイミングを早めることで、アナログ部2Aから無線信号を送信するタイミングを、複数のアナログ部2Aの間で揃えることができる。
【0069】
また、本例示的実施形態によれば、アナログ部2Aにループバックモードを用意することで、アナログ部2Aに高価なデジタル回路を追加しなくても無線制御ユニット1Aにて無線制御ユニット1Aとアナログ部2Aとの間の伝送遅延を測定できる。また、無線制御ユニット1Aの内部で伝送遅延を測定するので、アナログ部2A毎のタイミング調整を人手を要することなく設定することができる。
【0070】
また、本例示的実施形態に係る基地局システム100Aにおいては、無線制御ユニット1Aとアナログ部2Aとは光ファイバーケーブルにより接続され、モード切替部11Aは、は、無線制御ユニット1Aの光モジュール30A又はアナログ部2Aの光モジュール25Aの劣化が検出された場合に、アナログ部2Aがループバックモードに移行するよう制御するための制御信号を送信する構成が採用されている。このため、本例示的実施形態に係る基地局システム100Aによれば、光モジュールの劣化により無線制御ユニット1Aとアナログ部2Aとの伝送遅延が変化した場合であっても、無線制御ユニット1Aと複数のアナログ部2Aとの間の伝送遅延を補償することができる。
【0071】
〔例示的実施形態3〕
本発明の例示的実施形態3について、図面を参照して詳細に説明する。図10は、例示的実施形態3に係る基地局システム200Aの構成を示すブロック図である。基地局システム200Aは、無線制御ユニット3Aと、複数のアナログ部4A-1、4A-2、・・・とを備える。無線制御ユニット3Aとアナログ部4Aとは別体として構成されており、無線制御ユニット3Aとアナログ部4Aとは通信ケーブルCにより接続される。本例示的実施形態において、通信ケーブルCは光ファイバーケーブルである。以下の説明では、アナログ部4A-1、4A-2、・・・を各々区別する必要がない場合には、これらを「アナログ部4A」と称する。
【0072】
無線制御ユニット3Aとアナログ部4Aとは、WDM(波長分割多重通信)方式により通信する。WDMは、一本の光ファイバーケーブルに複数の異なる波長の光信号を同時に乗せることによる、高速かつ大容量の情報通信手段である。本例示的実施形態では、無線制御ユニット3Aとアナログ部4Aは、伝送遅延を算出するための観測信号を第1の波長で送受信する一方、DL信号を第1の波長とは異なる第2の波長で送受信する。
【0073】
無線制御ユニット3Aはデジタル信号処理を行うユニットであり、一例としてBBU(ブロードバンドユニット)である。無線制御ユニット3Aは一例として、5GにおけるRU又はDUであってもよい。換言すると、無線制御ユニット3Aの機能がRU又はDUに搭載されてもよい。アナログ部4Aは、アンテナを介して端末と無線信号を送受信するユニットであり、一例としてアクセスポイントである。
【0074】
無線制御ユニット3Aは、図10に示すように、制御部110A、記憶部120A、光モジュール130Aを備える。記憶部120Aは、後述する制御部110AがDL信号を送信する際に参照する情報を格納する。記憶部120Aは特に、後述する遅延算出部32Aが算出するアナログ部4A毎の伝送遅延を示す遅延制御情報DIを格納する。
【0075】
光モジュール130Aは、電子信号を光信号に変換し、通信ケーブルCを介してアナログ部4Aに伝送する。また、光モジュール130Aは、通信ケーブルCを介して受信される光信号を電子信号に変換する。図10の例では、無線制御ユニット3Aが光モジュール130Aを備える構成を示しているが、光モジュール130Aが無線制御ユニット3Aに外付けされる構成であってもよい。
【0076】
制御部110Aは、遅延算出部32A、DL信号送信部33A、及び検出部34Aを備える。遅延算出部32Aは、本明細書に係る第2送信手段、及び算出手段の一例である。DL信号送信部33Aは、本明細書に係る第4送信手段の一例である。検出部34Aは、本明細書に係る検出手段の一例である。
【0077】
遅延算出部32Aは、基準となる内部クロックに同期して遅延時間を観測するための観測信号を生成し、光モジュール130Aに出力する。光モジュール130Aは、観測信号を第1の波長の光信号に変換し、通信ケーブルCに出力する。遅延算出部32Aは一例として、後述する検出部34A等により無線制御ユニット3Aの光モジュール130A又はアナログ部4Aの光モジュール45Aの劣化が検出された場合に、光モジュール130Aを介して観測信号をアナログ部4Aに送信する。ここで、観測信号は一例として、送信時刻を示す信号であってもよい。また、観測信号は例えば、所定のフレームパターンを有する信号であってもよい。
【0078】
また、遅延算出部32Aは、アナログ部4Aのループバック機能によりアナログ部4Aから送信されてくる観測信号を、光モジュール130Aを介して受信する。この場合、光モジュール130Aは通信ケーブルCを介して受信される第1の波長の光信号を観測信号に変換し、遅延算出部32Aに出力する。
【0079】
また、遅延算出部32Aは、複数のアナログ部4Aのそれぞれについて、観測信号を送信してから当該観測信号を受信するまでのクロック数をカウントする。さらに、遅延算出部32Aは、カウントしたクロック数を基にアナログ部4A毎の伝送遅延を算出する。
【0080】
DL信号送信部33Aは、上記伝送遅延に応じて個々のアナログ部2Aについてそれぞれ算出したタイミングで、そのタイミングに対応する特定のアナログ部2Aに対して光モジュール130Aを介してDL信号を送信する。光モジュール130Aは、DL信号を第1の波長とは異なる第2の波長の光信号に変換し、通信ケーブルCに出力する。
【0081】
検出部34Aは、無線制御ユニット3Aの光モジュール130A又はアナログ部4Aの光モジュール45Aの劣化を検出する。図10の例では、無線制御ユニット3Aが検出部34Aを備える構成を示しているが、検出部34Aは無線制御ユニット3A以外の他の装置に含まれる構成であってもよい。この場合、検出部34Aを備える他の装置が光モジュールの劣化の検出を無線制御ユニット3Aに通知する。
【0082】
(アナログ部の構成)
アナログ部4Aはそれぞれ、ループバック処理部42A、DL信号送信部43A、アンテナ44A、及び光モジュール45Aを備える。光モジュール45Aは、電子信号を光信号に変換し、通信ケーブルCを介して無線制御ユニット3Aに伝送する。また、光モジュール45Aは、通信ケーブルCを介して受信される光信号を電子信号に変換する。図10の例では、アナログ部4Aが光モジュール45Aを備える構成を示しているが、光モジュール45Aがアナログ部4Aに外付けされる構成であってもよい。
【0083】
ループバック処理部42AとDL信号送信部43Aとは、例えば、それぞれ独立したハードウェア回路により構成される。また、光モジュール45AがSFP(Small Form-factor Pluggable)モジュールである場合、SFPモジュール内蔵のループバック機能がループバック処理部42Aとして用いられてもよい。
【0084】
光モジュール45Aは、通信ケーブルCを介して受信される光信号のうち特定の波長の光信号を分離して電子信号に変換する。本例示的実施形態において、光モジュール45Aは、第1の波長で送信されてきた観測信号をループバック処理部42Aに出力する。一方、光モジュール45Aは、第2の波長で送信されてきたDL信号をDL信号送信部43Aに出力する。
【0085】
ループバック処理部42Aは、第1の波長で無線制御ユニット3Aから送信されてきた受信信号から送信信号を再生して当該送信信号を光モジュール130Aにより第1の波長で無線制御ユニット3Aに送信する。また、DL信号送信部43Aは、第2の波長で無線制御ユニット3Aから送信されてきたDL信号をアンテナ44Aから電波として出力する。
【0086】
(基地局システムの効果)
以上説明したように本例示的実施形態によれば、基地局システム200Aは、ループバック処理部42Aを有するアナログ部4Aと、無線制御ユニット3Aとを備え、無線制御ユニット3Aは、アナログ部4Aでループバックされた信号からアナログ部4Aと無線制御ユニット3Aとの間の伝送時間を測定し、測定された伝送時間に合わせて、無線制御ユニット3Aからアナログ部4AへのDL信号の送信タイミングを調節する。アナログ部4A毎の遅延時間分だけ、無線制御ユニット3Aからアナログ部4Aへのデータの送信タイミングを早めることで、アナログ部4Aから無線信号を送信するタイミングを、複数のアナログ部4Aの間で揃えることができる。
【0087】
また、本例示的実施形態によれば、アナログ部4Aにループバックモードを用意することで、アナログ部4Aに高価なデジタル回路を追加しなくても無線制御ユニット3Aにて無線制御ユニット3Aとアナログ部4Aとの間の伝送遅延を測定できる。また、無線制御ユニット3Aの内部で伝送遅延を測定するので、アナログ部4A毎のタイミング調整を人手を要することなく設定することができる。
【0088】
また、本例示的実施形態に係る基地局システム200Aにおいては、無線制御ユニット3Aとアナログ部4Aとは光ファイバーケーブルにより接続され、遅延算出部32Aは、は、無線制御ユニット3Aの光モジュール130A又はアナログ部4Aの光モジュール45Aの劣化が検出された場合に、伝送遅延を計測するための観測信号をアナログ部4Aに送信する構成が採用されている。このため、本例示的実施形態に係る基地局システム200Aによれば、光モジュールの劣化により無線制御ユニット3Aとアナログ部4Aとの伝送遅延が変化した場合であっても、無線制御ユニット3Aと複数のアナログ部4Aとの間の伝送遅延を補償することができる。
【0089】
〔ソフトウェアによる実現例〕
無線制御ユニット1A、3A、10、30の一部又は全部の機能は、集積回路(ICチップ)等のハードウェアによって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0090】
後者の場合、無線制御ユニット1A、3A、10、30は、例えば、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータによって実現される。このようなコンピュータの一例(以下、コンピュータCと記載する)を図11に示す。コンピュータCは、少なくとも1つのプロセッサC1と、少なくとも1つのメモリC2と、を備えている。メモリC2には、コンピュータCを無線制御ユニット1A、3A、10、30として動作させるためのプログラムPが記録されている。コンピュータCにおいて、プロセッサC1は、プログラムPをメモリC2から読み取って実行することにより、無線制御ユニット1A、3A、10、30の各機能が実現される。
【0091】
プロセッサC1としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、MPU(Micro Processing Unit)、FPU(Floating point number Processing Unit)、PPU(Physics Processing Unit)、TPU(Tensor Processing Unit)、量子プロセッサ、マイクロコントローラ、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。メモリC2としては、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。
【0092】
なお、コンピュータCは、プログラムPを実行時に展開したり、各種データを一時的に記憶したりするためのRAM(Random Access Memory)を更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、他の装置との間でデータを送受信するための通信インタフェースを更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、キーボードやマウス、ディスプレイやプリンタなどの入出力機器を接続するための入出力インタフェースを更に備えていてもよい。
【0093】
また、プログラムPは、コンピュータCが読み取り可能な、一時的でない有形の記録媒体Mに記録することができる。このような記録媒体Mとしては、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、又はプログラマブルな論理回路などを用いることができる。コンピュータCは、このような記録媒体Mを介してプログラムPを取得することができる。また、プログラムPは、伝送媒体を介して伝送することができる。このような伝送媒体としては、例えば、通信ネットワーク、又は放送波などを用いることができる。コンピュータCは、このような伝送媒体を介してプログラムPを取得することもできる。
【0094】
〔付記事項1〕
本発明は、上述した実施形態に限定されるものでなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。例えば、上述した実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0095】
〔付記事項2〕
上述した実施形態の一部又は全部は、以下のようにも記載され得る。ただし、本発明は、以下の記載する態様に限定されるものではない。
(付記1)
無線制御ユニットと、当該無線制御ユニットと通信ケーブルにより接続された複数のアナログ部と、を有する基地局システムであって、
前記無線制御ユニットは、
前記アナログ部がループバックモードに移行するよう制御するための制御信号を当該アナログ部に送信する第1送信手段と、
基準となる内部クロックに同期して遅延時間を観測するための観測信号を前記アナログ部に送信する第2送信手段と、
前記複数のアナログ部のそれぞれについて、前記観測信号を送信してから当該観測信号を受信するまでのクロック数をカウントし、カウントしたクロック数を基に伝送遅延を算出する算出手段と、
前記アナログ部のループバックモードを解除するための制御信号を前記アナログ部に送信する第3送信手段と、
前記伝送遅延に応じて個々の前記アナログ部についてそれぞれ算出したタイミングで、そのタイミングに対応する特定の前記アナログ部に対してダウンリンク信号を送信する第4送信手段と、
を備え、
前記複数のアナログ部の各々は、
前記ループバックモードに移行するための制御信号を受信した場合に前記ループバックモードに移行する一方、前記ループバックモードを解除するための制御信号を受信した場合に通信モードに移行するモード切替手段と、
前記ループバックモードにおいて前記無線制御ユニットからの受信信号から送信信号を再生して当該送信信号を前記無線制御ユニットに送信するループバック処理手段と、
前記通信モードにおいて前記無線制御ユニットから受信した前記ダウンリンク信号をアンテナから電波として出力するダウンリンク信号送信手段と、
を備える基地局システム。
【0096】
(付記2)
前記無線制御ユニットと前記アナログ部とは光ファイバーケーブルにより接続され、
前記第1送信手段は、前記無線制御ユニットの光モジュール又は前記アナログ部の光モジュールの劣化が検出された場合に、前記アナログ部が前記ループバックモードに移行するよう制御するための制御信号を送信する、
付記1に記載の基地局システム。
【0097】
(付記3)
無線制御ユニットと、当該無線制御ユニットと通信ケーブルにより接続された複数のアナログ部と、を有し、当該無線制御ユニットと当該アナログ部とがWDM(Wavelength Division Multiplexing)方式で通信する基地局システムであって、
前記無線制御ユニットは、
基準となる内部クロックに同期して遅延時間を観測するための観測信号を、第1の波長で前記アナログ部に送信する第2送信手段と、
前記複数のアナログ部のそれぞれについて、前記観測信号を送信してから当該観測信号を受信するまでのクロック数をカウントし、カウントしたクロック数を基に伝送遅延を算出する算出手段と、
前記伝送遅延に応じて個々の前記アナログ部についてそれぞれ算出したタイミングで、そのタイミングに対応する特定の前記アナログ部に対してダウンリンク信号を前記第1の波長と異なる第2の波長で送信する第4送信手段と、
を備え、
前記複数のアナログ部の各々は、
前記第1の波長で前記無線制御ユニットから受信される受信信号から送信信号を再生して当該送信信号を前記無線制御ユニットに送信するループバック処理手段と、
前記第2の波長で前記無線制御ユニットから受信される前記ダウンリンク信号をアンテナから電波として出力するダウンリンク信号送信手段と、
を備える基地局システム。
【0098】
(付記4)
前記第2送信手段は、前記無線制御ユニットの光モジュール又は前記アナログ部の光モジュールの劣化が検出された場合に、前記観測信号を送信する、
付記3に記載の基地局システム。
【0099】
(付記5)
無線制御ユニットと、当該無線制御ユニットと通信ケーブルにより接続された複数のアナログ部と、を有する基地局システムが行う無線通信方法であって、
前記無線制御ユニットが、
前記アナログ部がループバックモードに移行するよう制御するための制御信号を当該アナログ部に送信することと、
基準となる内部クロックに同期して遅延時間を観測するための観測信号を前記アナログ部に送信することと、
前記複数のアナログ部のそれぞれについて、前記観測信号を送信してから当該観測信号を受信するまでのクロック数をカウントし、カウントしたクロック数を基に伝送遅延を算出することと、
前記アナログ部のループバックモードを解除するための制御信号を前記アナログ部に送信することと、
前記伝送遅延に応じて個々の前記アナログ部についてそれぞれ算出したタイミングで、そのタイミングに対応する特定の前記アナログ部に対してダウンリンク信号を送信することと、
前記アナログ部が、
前記ループバックモードに移行するための制御信号を受信した場合に前記ループバックモードに移行することと、
前記ループバックモードにおいて前記無線制御ユニットからの受信信号から送信信号を再生して当該送信信号を前記無線制御ユニットに送信することと、
前記ループバックモードを解除するための制御信号を受信した場合に通信モードに移行することと、
前記通信モードにおいて前記無線制御ユニットから受信した前記ダウンリンク信号をアンテナから電波として出力することと、
を含む無線通信方法。
【0100】
(付記6)
無線制御ユニットと、当該無線制御ユニットと通信ケーブルにより接続された複数のアナログ部と、を有し、当該無線制御ユニットと当該アナログ部とがWDM(Wavelength Division Multiplexing)方式で通信する基地局システムが行う無線通信方法であって、
前記無線制御ユニットが、
基準となる内部クロックに同期して遅延時間を観測するための観測信号を、第1の波長で前記アナログ部に送信することと、
前記複数のアナログ部のそれぞれについて、前記観測信号を送信してから当該観測信号を受信するまでのクロック数をカウントし、カウントしたクロック数を基に伝送遅延を算出することと、
前記伝送遅延に応じて個々の前記アナログ部についてそれぞれ算出したタイミングで、そのタイミングに対応する特定の前記アナログ部に対してダウンリンク信号を前記第1の波長と異なる第2の波長で送信することと、
前記アナログ部が、
前記第1の波長で前記無線制御ユニットから受信される受信信号から送信信号を再生して当該送信信号を前記無線制御ユニットに送信することと、
前記第2の波長で前記無線制御ユニットから受信される前記ダウンリンク信号をアンテナから電波として出力することと、
を含む無線通信方法。
【0101】
(付記7)
各々がダウンリンク信号を電波としてアンテナから出力する複数のアナログ部と通信ケーブルにより接続された基地局の無線制御ユニットであって、
前記アナログ部がループバックモードに移行するよう制御するための制御信号を当該アナログ部に送信する第1送信手段と、
基準となる内部クロックに同期して遅延時間を観測するための観測信号を前記アナログ部に送信する第2送信手段と、
前記複数のアナログ部のそれぞれについて、前記観測信号を送信してから当該観測信号を受信するまでのクロック数をカウントし、カウントしたクロック数を基に伝送遅延を算出する算出手段と、
前記アナログ部のループバックモードを解除するための制御信号を前記アナログ部に送信する第3送信手段と、
前記伝送遅延に応じて個々の前記アナログ部についてそれぞれ算出したタイミングで、そのタイミングに対応する特定の前記アナログ部に対してダウンリンク信号を送信する第4送信手段と、
を備える無線制御ユニット。
【0102】
(付記8)
各々がダウンリンク信号を電波としてアンテナから出力する複数のアナログ部と通信ケーブルにより接続され、当該アナログ部とWDM(Wavelength Division Multiplexing)方式で通信する基地局の無線制御ユニットであって、
基準となる内部クロックに同期して遅延時間を観測するための観測信号を、第1の波長で前記アナログ部に送信する第2送信手段と、
前記複数のアナログ部のそれぞれについて、前記観測信号を送信してから当該観測信号を受信するまでのクロック数をカウントし、カウントしたクロック数を基に伝送遅延を算出する算出手段と、
前記伝送遅延に応じて個々の前記アナログ部についてそれぞれ算出したタイミングで、そのタイミングに対応する特定の前記アナログ部に対してダウンリンク信号を前記第1の波長と異なる第2の波長で送信する第4送信手段と、
を備える無線制御ユニット。
【0103】
(付記9)
各々がダウンリンク信号を電波としてアンテナから出力する複数のアナログ部と通信ケーブルにより接続された基地局の無線制御ユニットに、
前記アナログ部がループバックモードに移行するよう制御するための制御信号を当該アナログ部に送信する第1送信処理と、
基準となる内部クロックに同期して遅延時間を観測するための観測信号を前記アナログ部に送信する第2送信処理と、
前記複数のアナログ部のそれぞれについて、前記観測信号を送信してから当該観測信号を受信するまでのクロック数をカウントし、カウントしたクロック数を基に伝送遅延を算出する算出処理と、
前記アナログ部のループバックモードを解除するための制御信号を前記アナログ部に送信する第3送信処理と、
前記伝送遅延に応じて個々の前記アナログ部についてそれぞれ算出したタイミングで、そのタイミングに対応する特定の前記アナログ部に対してダウンリンク信号を送信する第4送信処理と、
を実行させるためのプログラム。
【0104】
(付記10)
各々がダウンリンク信号を電波としてアンテナから出力する複数のアナログ部と通信ケーブルにより接続され、当該アナログ部とWDM(Wavelength Division Multiplexing)方式で通信する基地局の無線制御ユニットに、
基準となる内部クロックに同期して遅延時間を観測するための観測信号を、第1の波長で前記アナログ部に送信する第2送信処理と、
前記複数のアナログ部のそれぞれについて、前記観測信号を送信してから当該観測信号を受信するまでのクロック数をカウントし、カウントしたクロック数を基に伝送遅延を算出する算出処理と、
前記伝送遅延に応じて個々の前記アナログ部についてそれぞれ算出したタイミングで、そのタイミングに対応する特定の前記アナログ部に対してダウンリンク信号を前記第1の波長と異なる第2の波長で送信する第4送信処理と、
を実行させるためのプログラム。
【0105】
〔付記事項3〕
上述した実施形態の一部又は全部は、更に、以下のように表現することもできる。
【0106】
(付記1)
無線制御ユニットと、当該無線制御ユニットと通信ケーブルにより接続された複数のアナログ部と、を有する基地局システムであって、
前記無線制御ユニットは、少なくとも1つのプロセッサを備え、前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記アナログ部がループバックモードに移行するよう制御するための制御信号を当該アナログ部に送信する第1送信処理と、
基準となる内部クロックに同期して遅延時間を観測するための観測信号を前記アナログ部に送信する第2送信処理と、
前記複数のアナログ部のそれぞれについて、前記観測信号を送信してから当該観測信号を受信するまでのクロック数をカウントし、カウントしたクロック数を基に伝送遅延を算出する算出処理と、
前記アナログ部のループバックモードを解除するための制御信号を前記アナログ部に送信する第3送信処理と、
前記伝送遅延に応じて個々の前記アナログ部についてそれぞれ算出したタイミングで、そのタイミングに対応する特定の前記アナログ部に対してダウンリンク信号を送信する第4送信処理と、
を実行し、
前記複数のアナログ部の各々は、
前記ループバックモードに移行するための制御信号を受信した場合に前記ループバックモードに移行する一方、前記ループバックモードを解除するための制御信号を受信した場合に通信モードに移行するモード切替回路と、
前記ループバックモードにおいて前記無線制御ユニットからの受信信号から送信信号を再生して当該送信信号を前記無線制御ユニットに送信するループバック回路と、
前記通信モードにおいて前記無線制御ユニットから受信した前記ダウンリンク信号をアンテナから電波として出力するダウンリンク信号送信回路と、
を備える基地局システム。
【0107】
(付記2)
前記無線制御ユニットと前記アナログ部とは光ファイバーケーブルにより接続され、
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記第1送信処理において、前記無線制御ユニットの光モジュール又は前記アナログ部の光モジュールの劣化が検出された場合に、前記アナログ部が前記ループバックモードに移行するよう制御するための制御信号を送信する、
付記1に記載の基地局システム。
【0108】
(付記3)
無線制御ユニットと、当該無線制御ユニットと通信ケーブルにより接続された複数のアナログ部と、を有し、当該無線制御ユニットと当該アナログ部とがWDM(Wavelength Division Multiplexing)方式で通信する基地局システムであって、
前記無線制御ユニットは、少なくとも1つのプロセッサを備え、前記少なくとも1つのプロセッサは、
基準となる内部クロックに同期して遅延時間を観測するための観測信号を、第1の波長で前記アナログ部に送信する第2送信処理と、
前記複数のアナログ部のそれぞれについて、前記観測信号を送信してから当該観測信号を受信するまでのクロック数をカウントし、カウントしたクロック数を基に伝送遅延を算出する算出処理と、
前記伝送遅延に応じて個々の前記アナログ部についてそれぞれ算出したタイミングで、そのタイミングに対応する特定の前記アナログ部に対してダウンリンク信号を前記第1の波長と異なる第2の波長で送信する第4送信処理と、
を実行し、
前記複数のアナログ部の各々は、
前記第1の波長で前記無線制御ユニットから受信される受信信号から送信信号を再生して当該送信信号を前記無線制御ユニットに送信するループバック回路と、
前記第2の波長で前記無線制御ユニットから受信される前記ダウンリンク信号をアンテナから電波として出力するダウンリンク信号送信回路と、
を備える基地局システム。
【0109】
(付記4)
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記第2送信処理において、前記無線制御ユニットの光モジュール又は前記アナログ部の光モジュールの劣化が検出された場合に、前記観測信号を送信する、
付記3に記載の基地局システム。
【0110】
(付記5)
無線制御ユニットと、当該無線制御ユニットと通信ケーブルにより接続された複数のアナログ部と、を有する基地局システムが行う無線通信方法であって、
前記無線制御ユニットが、
前記アナログ部がループバックモードに移行するよう制御するための制御信号を当該アナログ部に送信することと、
基準となる内部クロックに同期して遅延時間を観測するための観測信号を前記アナログ部に送信することと、
前記複数のアナログ部のそれぞれについて、前記観測信号を送信してから当該観測信号を受信するまでのクロック数をカウントし、カウントしたクロック数を基に伝送遅延を算出することと、
前記アナログ部のループバックモードを解除するための制御信号を前記アナログ部に送信することと、
前記伝送遅延に応じて個々の前記アナログ部についてそれぞれ算出したタイミングで、そのタイミングに対応する特定の前記アナログ部に対してダウンリンク信号を送信することと、
前記アナログ部が、
前記ループバックモードに移行するための制御信号を受信した場合に前記ループバックモードに移行することと、
前記ループバックモードにおいて前記無線制御ユニットからの受信信号から送信信号を再生して当該送信信号を前記無線制御ユニットに送信することと、
前記ループバックモードを解除するための制御信号を受信した場合に通信モードに移行することと、
前記通信モードにおいて前記無線制御ユニットから受信した前記ダウンリンク信号をアンテナから電波として出力することと、
を含む無線通信方法。
【0111】
(付記6)
無線制御ユニットと、当該無線制御ユニットと通信ケーブルにより接続された複数のアナログ部と、を有し、当該無線制御ユニットと当該アナログ部とがWDM(Wavelength Division Multiplexing)方式で通信する基地局システムが行う無線通信方法であって、
前記無線制御ユニットが、
基準となる内部クロックに同期して遅延時間を観測するための観測信号を、第1の波長で前記アナログ部に送信することと、
前記複数のアナログ部のそれぞれについて、前記観測信号を送信してから当該観測信号を受信するまでのクロック数をカウントし、カウントしたクロック数を基に伝送遅延を算出することと、
前記伝送遅延に応じて個々の前記アナログ部についてそれぞれ算出したタイミングで、そのタイミングに対応する特定の前記アナログ部に対してダウンリンク信号を前記第1の波長と異なる第2の波長で送信することと、
前記アナログ部が、
前記第1の波長で前記無線制御ユニットから受信される受信信号から送信信号を再生して当該送信信号を前記無線制御ユニットに送信することと、
前記第2の波長で前記無線制御ユニットから受信される前記ダウンリンク信号をアンテナから電波として出力することと、
を含む無線通信方法。
【0112】
(付記7)
各々がダウンリンク信号を電波としてアンテナから出力する複数のアナログ部と通信ケーブルにより接続された基地局の無線制御ユニットであって、
前記無線制御ユニットは少なくとも1つのプロセッサを備え、前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記アナログ部がループバックモードに移行するよう制御するための制御信号を当該アナログ部に送信する第1送信処理と、
基準となる内部クロックに同期して遅延時間を観測するための観測信号を前記アナログ部に送信する第2送信処理と、
前記複数のアナログ部のそれぞれについて、前記観測信号を送信してから当該観測信号を受信するまでのクロック数をカウントし、カウントしたクロック数を基に伝送遅延を算出する算出処理と、
前記アナログ部のループバックモードを解除するための制御信号を前記アナログ部に送信する第3送信処理と、
前記伝送遅延に応じて個々の前記アナログ部についてそれぞれ算出したタイミングで、そのタイミングに対応する特定の前記アナログ部に対してダウンリンク信号を送信する第4送信処理と、
を実行する無線制御ユニット。
【0113】
(付記8)
各々がダウンリンク信号を電波としてアンテナから出力する複数のアナログ部と通信ケーブルにより接続され、当該アナログ部とWDM(Wavelength Division Multiplexing)方式で通信する基地局の無線制御ユニットであって、
前記無線制御ユニットは少なくとも1つのプロセッサを備え、前記少なくとも1つのプロセッサは、
基準となる内部クロックに同期して遅延時間を観測するための観測信号を、第1の波長で前記アナログ部に送信する第2送信処理と、
前記複数のアナログ部のそれぞれについて、前記観測信号を送信してから当該観測信号を受信するまでのクロック数をカウントし、カウントしたクロック数を基に伝送遅延を算出する算出処理と、
前記伝送遅延に応じて個々の前記アナログ部についてそれぞれ算出したタイミングで、そのタイミングに対応する特定の前記アナログ部に対してダウンリンク信号を前記第1の波長と異なる第2の波長で送信する第4送信処理と、
を実行する無線制御ユニット。
【0114】
(付記9)
付記7に記載の無線制御ユニットを制御する制御プログラムであって、前記プロセッサに前記第1送信処理と、前記第2送信処理と、前記算出処理と、前記第3送信処理と、前記第4送信処理と、を実行させることを特徴とする制御プログラムが記憶された、コンピュータが読取可能な非一時的な記録媒体。
【0115】
(付記10)
付記8に記載の無線制御ユニットを制御する制御プログラムであって、前記プロセッサに前記第2送信処理と、前記算出処理と、前記第4送信処理と、を実行させることを特徴とする制御プログラムが記憶された、コンピュータが読取可能な非一時的な記録媒体。
【符号の説明】
【0116】
1、2、100A、200A 基地局システム
1A、3A、10、30 無線制御ユニット
2A、4A、20、40 アナログ部
11 第1送信部
12、32 第2送信部
13、33 算出部
14 第3送信部
14A、34A 検出部
15、35 第4送信部
21、11A、21A モード切替部
22、22A、42、42A ループバック処理部
23、13A、23A、33A、43、43A DL信号送信部
S1、S2 無線通信方法
図1
図2
図3
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図7
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図9
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図11