(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168208
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】サーバ、及び、コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/04 20120101AFI20241128BHJP
G06Q 40/02 20230101ALI20241128BHJP
【FI】
G06Q40/04
G06Q40/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084687
(22)【出願日】2023-05-23
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA SCRIPT
(71)【出願人】
【識別番号】520248324
【氏名又は名称】ジーフィット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浦島 伸一郎
(72)【発明者】
【氏名】阪根 信一
(72)【発明者】
【氏名】栢本 淳一
(72)【発明者】
【氏名】小▲柳▼ 隆裕
【テーマコード(参考)】
5L040
5L055
【Fターム(参考)】
5L040BB25
5L040BB57
5L055BB25
5L055BB57
(57)【要約】
【課題】為替ヘッジを効率的かつ効果的に実現可能にするための技術を提供する。
【解決手段】為替ヘッジに関する情報をユーザ端末へ提供するサーバであって、複数のAIモデルを用いた所定の為替レートの将来的な推移のAIモデル毎の予測を取得し、個別に予測された前記所定の為替レートの将来的な推移に基づき、前記複数のAIモデルの全数に対する、現時点の為替レートからの第1の方向への変化を予測した第1のAIモデルの数の第1の割合と、前記現時点の為替レートからの前記第1の方向とは逆の第2の方向への変化を予測した第2のAIモデルの数の第2の割合とを算出し、前記ユーザ端末から第1の金額の指定を受け付け、前記第1の割合又は前記第2の割合に基づき前記第1の支払金額について実施すべき為替ヘッジの金額を算出し、前記為替ヘッジの金額の情報を前記ユーザ端末に送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
為替ヘッジに関する情報をユーザ端末へ提供するサーバであって、
1以上のプロセッサと、
メモリと、
前記メモリに格納されたプログラムであって、前記1以上のプロセッサにより実行されると、前記サーバに
複数のAIモデルを用いた所定の為替レートの将来的な推移のAIモデル毎の予測を取得することと、
個別に予測された前記所定の為替レートの将来的な推移に基づき、前記複数のAIモデルの全数に対する、現時点の為替レートからの第1の方向への変化を予測した第1のAIモデルの数の第1の割合と、前記現時点の為替レートからの前記第1の方向とは逆の第2の方向への変化を予測した第2のAIモデルの数の第2の割合とを算出することと、
前記ユーザ端末から第1の金額の指定を受け付けることと、
前記第1の割合又は前記第2の割合に基づき前記第1の金額について実施すべき為替ヘッジの金額を算出することと
前記為替ヘッジの金額の情報を前記ユーザ端末に送信することと
を実行させる、サーバ。
【請求項2】
前記所定の為替レートは、第1の通貨に対する第2の通貨の価値を示し、
前記第1の金額が前記第1の通貨の買いの金額である場合に、前記為替ヘッジの金額を算出することは、前記第1の金額に対し、前記第1の割合を乗じることを含み、
前記第1の金額が前記第1の通貨の売りの金額である場合に、前記為替ヘッジの金額を算出することは、前記第1の金額に対し、前記第2の割合を乗じることを含む、請求項1に記載のサーバ。
【請求項3】
前記プログラムは、前記1以上のプロセッサにより実行されると、前記サーバに
前記ユーザ端末から第2の金額の指定を受け付けることを更に実行させ、
前記第1の金額は前記第1の通貨の売りの金額を示し、前記第2の金額は前記第1の通貨の買いの金額を示す場合に、
前記為替ヘッジの金額を算出することは、前記第2の金額に対し前記第1の割合を乗じた結果から、前記第1の金額に対し前記第2の割合を乗じた結果を減算することを含み、
前記減算の結果が正の符号である場合、前記減算した金額は、前記為替ヘッジの前記第1の通貨における買いの金額であり、
前記減算の結果が負の符号である場合、前記減算した金額は、前記為替ヘッジの前記第1の通貨における売りの金額である、請求項2に記載のサーバ。
【請求項4】
前記プログラムは、前記1以上のプロセッサにより実行されると、前記サーバに
前記ユーザ端末から、前記第1の金額に対して前記第1の割合及び前記第2の割合を適用する適用率の指定を受け取ることを更に実行させ、
前記為替ヘッジの金額を算出することは、前記第1の割合及び前記第2の割合を前記適用率を乗じてから前記第1の金額に乗じることを含む、請求項3に記載のサーバ。
【請求項5】
前記第1の金額に対し、前記第1の割合及び前記第2の割合を乗じることは、前記第1の金額について設定された期日について算出された前記第1の割合及び前記第2の割合を乗じることを含む、請求項4に記載のサーバ。
【請求項6】
前記複数のAIモデルを用いた前記所定の為替レートの将来的な推移のAIモデル毎の予測は、所定の期間における推移の予測を含み、
前記第1の割合と前記第2の割合とを算出することは、前記所定の期間における任意の時点における前記第1の割合と前記第2の割合とを算出することを含む、請求項5に記載のサーバ。
【請求項7】
前記プログラムは、前記1以上のプロセッサにより実行されると、前記サーバに
前記複数のAIモデルのうち、少なくとも一部のAIモデルにより予測された前記将来的な推移を示すグラフを含む第1の表示情報を生成することと、
前記第1の表示情報を前記ユーザ端末に送信することと
を更に実行させる、請求項6に記載のサーバ。
【請求項8】
前記第1の表示情報は、現在の日付を境として、過去の為替レートの実際の推移を示す単一の折れ線と、将来の為替レートの予測された推移を示す複数の折れ線又は曲線とが接続されたグラフを含む、請求項7に記載のサーバ。
【請求項9】
前記第1の表示情報は、
前記所定の期間のうち複数の時点のそれぞれにおける、前記複数のAIモデルにより予測された前記将来的な推移の平均値の表示と、
前記複数の時点のそれぞれにおける、前記第1の割合と前記第2の割合との表示と
を含む、請求項8に記載のサーバ。
【請求項10】
前記プログラムは、前記1以上のプロセッサにより実行されると、前記サーバに
前記ユーザ端末から、為替ヘッジの取引情報を受け取ることと、
前記ユーザ端末から、前記為替ヘッジの取引情報を前記第1の金額に割り当てる指示を受け付けることと、
前記第1の金額に割り当てられた取引情報を表示する第2の表示情報を生成することと、
前記ユーザ端末に前記第2の表示情報を送信することと
を実行させる、請求項9に記載のサーバ。
【請求項11】
前記プログラムは、前記1以上のプロセッサにより実行されると、前記サーバに
前記ユーザ端末から、前記為替ヘッジの取引情報の前記第1の金額への割り当てを解除する指示を受けとることと、
前記解除の指示に応じて前記第2の表示情報を更新することと、
前記ユーザ端末に更新された前記第2の表示情報を送信することと
を更に実行させる、請求項10に記載のサーバ。
【請求項12】
前記第2の表示情報は、前記為替ヘッジの取引情報における受取額のうち、一部または全部が前記第1の金額に割り当てられていることの表示を含む、請求項11に記載のサーバ。
【請求項13】
前記第2の表示情報は、受渡日が前記第1の金額の支払日より前の前記為替ヘッジの取引情報の一覧表示を含み、
前記プログラムは、前記1以上のプロセッサにより実行されると、前記サーバに
前記一覧表示された取引情報の中から、前記第1の金額に割り当てる取引情報の指示を更に受け付けることを更に実行させる、請求項12に記載のサーバ。
【請求項14】
前記第1の方向は、前記第2の通貨における前記第1の金額が前記所定の為替レートにおいて多くなる方向であり、
前記第2の方向は、前記第2の通貨における前記第1の金額が、前記所定の為替レートにおいて少なくなる方向である、請求項13に記載のサーバ。
【請求項15】
前記第1の通貨及び前記第2の通貨には、米国ドル、ユーロ、日本円、英ポンド、中国元のうち少なくともいずれか異なる通貨の組み合わせが含まれる、請求項14に記載のサーバ。
【請求項16】
前記複数のAIモデルのそれぞれは、少なくとも一部が共通する複数の教師データを用いて、前記複数の教師データの個々の重みを変えた深層学習によりそれぞれ生成された、異なるAIモデルである、請求項15に記載のサーバ。
【請求項17】
コンピュータを請求項1から16のいずれか1項に記載のサーバとして機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバ、及び、コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、商品代金に外国為替が関与する場合(例えば、日本円をドルに換金(両替)して支払いを行う場合、或いはその逆)、商品の発注時点から実際に支払いが行われる時点までに為替レートに変動があると、支払金額が、想定していた金額と異なることがあり得る。
【0003】
このような事態を防止するためには為替ヘッジを行う必要があり、例えば為替予約と呼ばれる仕組みを利用することが可能である(特許文献1を参照)。為替予約を利用することで、発注時点から支払時点までに一定期間が経過した場合であっても発注時の為替レートで支払金額が換金されるので、当該一定期間内の為替レートの変動の影響を受けずに済む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、為替予約を行うためには事前に金額と期間を定めておかなければならず、個人の判断で適切な為替予約を実行することは困難である。
【0006】
そこで本発明は、為替ヘッジを効率的かつ効果的に実現可能にするための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためのある側面に対応する本発明は、為替ヘッジに関する情報をユーザ端末へ提供するサーバであって、
1以上のプロセッサと、
メモリと、
前記メモリに格納されたプログラムであって、前記1以上のプロセッサにより実行されると、前記サーバに
複数のAIモデルを用いた所定の為替レートの将来的な推移のAIモデル毎の予測を取得することと、
個別に予測された前記所定の為替レートの将来的な推移に基づき、前記複数のAIモデルの全数に対する、現時点の為替レートからの第1の方向への変化を予測した第1のAIモデルの数の第1の割合と、前記現時点の為替レートからの前記第1の方向とは逆の第2の方向への変化を予測した第2のAIモデルの数の第2の割合とを算出することと、
前記ユーザ端末から第1の金額の指定を受け付けることと、
前記第1の割合又は第2の割合に基づき前記第1の金額について実施すべき為替ヘッジの金額を算出することと
前記為替ヘッジの金額の情報を前記ユーザ端末に送信することと
を実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、為替ヘッジを効率的かつ効果的に実現可能にするための技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に対応するシステム10の構成の一例を示す図。
【
図2】実施形態に対応する情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図。
【
図3】実施形態に対応するシステム10において実行される処理の一例に対応するタイミングチャート。
【
図4A】実施形態に対応するメイン画面の一例を示す図。
【
図4B】実施形態に対応する為替ヘッジガイド設定の表示の一例を示す図。
【
図4C】実施形態に対応する外貨支払/受取計画の表示の一例を示す図。
【
図4D】実施形態に対応する為替ヘッジガイド結果の表示の一例を示す図。
【
図4E】実施形態に対応する為替ヘッジガイド結果の表示の他の一例を示す図。
【
図5A】実施形態に対応する外貨支払/受取管理画面の一例を示す図。
【
図5B】実施形態に対応する外貨支払/受取入力画面の一例を示す図。
【
図5C】実施形態に対応する外貨支払/受取詳細の表示の一例を示す図。
【
図5D】実施形態に対応する外貨支払/受取詳細の他の表示の一例を示す図。
【
図5E】実施形態に対応する外貨支払/受取詳細の他の表示の一例を示す図。
【
図5F】実施形態に対応する外貨支払/受取詳細の他の表示の一例を示す図。
【
図6A】実施形態に対応する為替ヘッジ取引管理画面の一例を示す図。
【
図6B】実施形態に対応する為替ヘッジ取引入力画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴うち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
<システム構成>
図1は、実施形態に対応するシステム10の一般的な構成を示す。ここでは、本実施形態に対応する為替ヘッジサービスを提供する情報処理装置であるサーバ101と、為替ヘッジサービスを受けるユーザが使用する情報処理装置であるユーザ端末102と、ユーザ端末102からの指示に応じて為替予約を行う金融商品取引業者の金商業者システム103とが、インターネット等のネットワーク104を介して接続されている。ユーザ端末102は、汎用のパーソナルコンピュータやスマートフォン等で構成されてもよい。また、
図1では、ユーザ端末102を1つしか記載していないが、これはあくまで例示のためで、複数のユーザ端末102がネットワーク104に接続し、複数の異なるユーザがユーザ端末102を介してサーバ101からの為替ヘッジサービスの提供を受けることも可能である。
【0012】
本実施形態において、ユーザ端末102を使用するユーザは、例えば、日本国内での販売用に日本国外から商品を輸入している、或いは、日本国外での販売用に日本から商品を輸出している貿易会社とすることができる。このような外国貿易では、所望の商品の発注を行った後、実際に仕入れを行い、支払いを完了するまで、或いは、所望の商品の発注を受けた後、商品を製造・輸出し、商品代金の受け取りを完了するまでに一定の期間を要する場合がある。その期間は、例えば3か月から9ヶ月程度の期間を要することもある。その間、当然に為替レートは変動するため、発注をした時点で想定される見込みの支払金額に対して実際に支払う金額が高くなったり、受注時点の見込みの受取金額に対し実際に受け取った商品代金が安くなったりすることもあり得る。具体的に、輸出企業(ドル売り)の場合、円高に進めば受取金額が下がるが、円安に進めば受取金額が上がる。また、輸入企業(ドル買い)の場合、円安に進めば支払金額が下がるが、円高に進めば支払金額が上がる。そのような為替変動のリスクはユーザの経済的な負担となるため、輸出企業(ドル売り)の場合は円高方向のリスクをヘッジし、輸入企業(ドル買い)の場合は円安方向のリスクをヘッジすることで、リスクを可能な限り軽減することが求められている。本実施形態では、サーバ101が、効果的に為替ヘッジを行うための情報を提供し、これによりユーザの経済的な負担を軽減することを可能とする。
【0013】
<ハードウェア構成>
次に、
図2を参照して、サーバ101のハードウェア構成について説明する。サーバ101は、情報処理装置として、例えば、1以上のパーソナルコンピュータから構成することができる。
図2において、プロセッサとしてのCPU201で、メモリとしてのRAM(ランダムアクセスメモリ)202やROM(リードオンリメモリ)205に格納されたプログラムやデータ等を用いてサーバ101の制御を行うと共に、後述する実施形態に対応する処理)を実行する。RAM202で、内部記憶装置207内に格納された処理プログラムや外部記憶装置208に格納されている情報を読み込むエリアを備えると共に、CPU201が各種の処理を実行する際に用いるワークエリアも備える。
【0014】
入力部203はサーバ101の管理者から入力を受付ける入力手段であって、キーボードやマウスなどで構成される。通信I/F(インタフェース)204は、ネットワーク106等に接続するためのI/Fとして機能する。ROM205は、サーバ101全体の制御を行うプログラム(例えばブートプログラム等)等を格納する。表示部206は表示画面としての表示部で、液晶表示装置等により構成されている。
【0015】
内部記憶装置207は、主としてハードディスクで構成され、サーバ101が処理を実行するためのプログラムや各種アプリケーションデータを格納する。ここに格納されているデータは必要に応じてRAM202に読み出される。外部記憶装置208は、データベースであり、ユーザ情報、為替レートの情報等が随時格納される。バス209は上述の各ブロックの相互接続を提供する。
【0016】
図2はサーバ101のハードウェア構成として説明したが、ユーザ端末102についても、基本的なハードウェア構成は
図2に示したものと同様とすることができる。
【0017】
<システム10における処理の流れ>
次に、システム10において実行される処理について説明する。
図3は、本実施形態に対応するシステム10において実行される処理の流れの概要を示すタイミングチャートである。当該処理は、サーバ110とユーザ端末102とがそれぞれ対応する処理プログラムをCPUが実行することにより、或いは、CPUが
図2に示す入力部203、通信I/F204、表示部206、等の機能ブロックの動作を制御することにより実現される。
【0018】
まず、S301において、ユーザ端末102はログイン画面を表示し、ログイン情報の入力を受け付ける。S302において、受け付けたログイン情報がユーザ端末からサーバ101に送信され、S303においてサーバ101は、ユーザの認証を行い、認証に成功すると当該ユーザについて登録されているユーザ情報を取得する。続くS304においてサーバ101は、メイン画面情報をユーザ端末102に送信する。S305においてユーザ端末102は、メイン画面をディスプレイに表示して、ユーザからの入力を受け付ける。受け付けた入力情報はS307においてユーザ端末からサーバ101へ送信される。サーバ101は、S308において、受信した入力情報の内容に基づいて処理を行い、画面情報を生成する。生成された画面情報は、S309においてサーバ101からユーザ端末102に送信される。
【0019】
ユーザ端末102では、S310において受信した画面情報をディスプレイに表示し、S311においてユーザからの入力を受け付ける。受け付けた入力情報はS312においてユーザ端末102からサーバ101へ送信される。サーバ101は、送信された入力情報に従ってS308と同様に処理を実行し、画面情報を生成し、ユーザ端末102に送り返す。
【0020】
<メイン画面>
ユーザ端末102とサーバ101との間では、S310からS312、S308、S309の処理を繰り返す。ここでの処理の流れを、
図4以降の画面を参照して説明する。
図4Aは本実施形態に対応するメイン画面の一例を示す図である。S305においては、当該顔面がユーザ端末102に表示される。
【0021】
画面400には、種々の情報が表示されている。まず、メニュー表示領域401が表示されている。このメニュー表示領域401には、画面400に表示可能な情報の項目が表示されており、ユーザはメニュー表示領域401から表示する情報の項目を選択することができる。
図4Aでは、ダッシュボードが選択された状態を示している。表示可能な情報項目には、その他に、ヘッジガイド、外貨管理、為替ヘッジ効果、アカウント管理、ログアウト等が含まれる。
【0022】
画面400は、ダッシュボードを示すメイン画面として、上側に為替ヘッジ割合、下限アラート、上限アラートの各項目の情報402が表示されている。為替ヘッジ割合は、サーバ101から提供されるサービスを適用して為替ヘッジの額を算定する割合(適用率)を示しており、
図4Aでは80%と設定されている。これは、例えば1万ドルの外貨支払予定がある場合に、1万ドルのうちの80%である8千ドルがサーバ101から提供されるサービスの適用対象であることを意味する。また、本実施形態では、為替の実勢レートが上限、或いは、下限に触れた場合にアラートがユーザに通知される設定となっており、下限アラート、上限アラートは、それぞれの金額が設定される。
図4Aでは、下限が120円、上限が150円である。
【0023】
図4Aを含む本実施形態において、上方向を日本円の金額が上がる方向(或いは、正の方向)で、下方向は日本円の金額が下がる方向(負の方向)とする。一般に、米ドルに対する日本円の価値は日本円の額が上がることにより円安、額が下がることにより円高となるが、本実施形態における上方向(正方向)及び下方向(負方向)の概念は、米ドルに対する日本円の価値とは切り離して、単なる金額の上下を捉えたものとする。
【0024】
トレンド予測グラフ403は、本日を基準として前後1年の為替(ドル/円)の推移状況(遷移状況)を示している。本日を境として左側の過去1年分については、実際の為替の動きを単一の折れ線で示している。一方、同右側は、人工知能(Artificial Intelligence: AI)で予測した為替の動向が複数の折れ線或いは曲線により示されている。本実施形態ではN個(Nは例えば、100、200、300等)のAIにより為替の動向を所定年数先(例えば、1年、2年、5年等)まで予測し、全ての予測のうち、日本円の金額が下がる(円高)方向に振れると予測したものから、金額が上がる(円安)方向に振れると予測したものまでを並べ、そのうち先頭及び一番最後に位置する予測と、上位10%から上位90%まで10%刻みにそれぞれの位置にある予測とを、それ以外を代表する為替予測としてトレンド予測グラム403に示している。例えば、AIの個数が100であれば、上から1番目、10番目、20番目・・・90番目、100番目に位置する予測を代表として選択すればよい。
【0025】
図4Aでは、50番目を一点鎖線で示している。50番目が本日の実勢レートの金額(135.94円)よりも低い場合には、将来的なトレンドとして円高に進む傾向と予測した割合が多いことを示している。一方、50番目が本日の実勢レートの金額(135.94円)よりも高い、即ち円安に振れている場合には、将来的なトレンドとして円安に進む傾向と予測した割合が多いことを示している。トレンド予測グラフ403には、カーソルを当てて任意の位置(年月日)の予測値を表示させることができる。また、下限アラート及び上限アラートを太い点線で示している。
【0026】
表示404は、現在時刻における実勢レートを示しており、この値がトレンド予測グラフ403の本日の値となる。また、画面400には、AI平均レート405とAI投票割合406が含まれる。
【0027】
AI平均レート405は、例えば100個のAIで予測した任意の時点における各予測レートの平均値が表示される。ここでは、任意の時点として1か月後、3か月後、6か月後、9か月後、12か月後を示しているが、これに限定されるものではない。AI平均レート405の表示によれば、為替レートの予測動向について全体的な傾向を読み取ることができる。
図4Aに示す例では、今後なだらかに円高傾向に進むことが予測されている。
【0028】
次に、AI投票割合406は、例えば100個のAIで予測した任意の時点における各予測レートについて、円安と円高とのいずれの方向に予測しているか、その割合を示す。例えば、1か月後であれば全体の41.4%のAIが円安を予測し、全体の58.6%のAIが円高を予測していることが分かる。本実施形態では、円安方向の予測の割合を第1の割合、円高方向の予測の割合を第2の割合と呼び、米ドル-日本円の為替相場においては、輸入におけるドル買いの場合には第1の割合を為替予約の推奨金額算出に利用することができ、輸出におけるドル売りの場合には第2の割合を為替予約の推奨金額算出に利用することができる。
【0029】
<AIの生成方法>
本実施形態では、複数のAIを用いて為替レートの将来的な推移を予測する。以下、本実施形態におけるAIの生成方法について説明する。
【0030】
本実施形態では、以下のような教師データを含む、中長期予測に適した400種類以上の情報を深層学習させることにより、為替トレンド予測用のAIモデルを生成する。教師データには、例えば、ヒストリカル価格情報、テクニカル指標、日米政策金利、ドットチャート(FOMC委員の将来金利見通し情報)、IMM通貨先物ポジション、国内総生産、消費者物価指数、雇用統計、日米貿易収支、日経平均株価・S&P500、原油・金・銅価格、確率微分方程式による市場変動の要素分解等が含まれる。
【0031】
このような教師データを用いた深層学習やTransformer技術により、個性が少しずつ異なるAIモデルを生成する。例えば、上述の教師データの個々の重み変えることにより、異なるAIモデルを生成することができる。このように、少しずつ個性或いは強みが異なる多数のAIモデルを利用することで、あるAIモデルが上手く予測できない相場でも、他のAIモデルが誤差を補完して最終的に精度の良い予測を構成することが可能となる。AIモデルによる将来のトレンド予測は、例えば、ディープラーニング技術を用いた時系列予測により行うことができる。これによりマーケットの背後に潜む「伏線の回収」に取り組むことができる。
【0032】
図4Aのトレンド予測グラフ403では、本日以降の為替トレンドが一定の幅を持って予測されている。本実施形態では、個々のいずれかのAIモデルの予測に頼るのではなく、個性の異なる多数のAIモデルの予測の全体的傾向から、将来的な為替のトレンドを予測することを目的としている。従って、AIモデルの数が増えるほど、全体的傾向に対する信頼度が増すことになる。
【0033】
図3のS305において、
図4Aのような画面を表示した後、ユーザ端末102はS306においてユーザからの操作を受け付け、S307で受け付けた操作内容を入力情報としてサーバ101に送信する。当該ユーザ操作には例えば、メニュー表示領域401におけるメニュー項目の選択操作が含まれる。当該ユーザ操作により、新たな画面の表示が要求された場合、サーバ101はS308において画面を生成するために必要な処理を実行し、S309において処理結果を画面情報としてユーザ端末102へ送信する。例えば、メニュー表示領域401において為替ヘッジガイドが選択された場合、サーバ101は
図4Bに示すような画面の情報を生成し、ユーザ端末102に送信する。
【0034】
<為替ヘッジガイド>
図4Bは、メニュー表示領域401において為替ヘッジガイドが選択された場合に表示される画面の一例を示す。為替ヘッジガイド設定画面410では、為替ヘッジ割合設定インタフェース412において、為替ヘッジ割合を0%から100%の間の任意の割合に設定することができる。為替ヘッジ割合は、上述の第2の割合を適用する適用率を示している。
図4Bでは一例として80%としている。
図4Bでは、下限アラート及び上限アラートをそれぞれ入力欄413、414を利用して入力することができる。ここで入力された下限及び上限の金額は、下に示されるトレンド予測グラフ403の点線表示の位置に反映される。
【0035】
上記において適用率、下限アラート、上限アラートをそれぞれ設定する操作は、S306においてユーザ端末が受け付ける操作に相当する。
【0036】
図4Bには、トレンド予測グラフ403の下に外貨支払/受取計画415とガイドを作成416というボタンが表示されている。これらのボタンはそれぞれ選択可能であり、S306におけるユーザ端末が受け付ける操作に該当する。ここで、外貨支払/受取計画415が選択されると、
図4Cに示す画面情報がサーバ101において生成され、ユーザ端末102に送信される。一方、ガイドを作成416が選択されると
図4Dに示す画面がサーバ101において生成され、ユーザ端末102に送信される。
【0037】
<外貨支払/受取計画>
まず、
図4Cでは、画面420に外貨支払/受取計画情報421が表示される。外貨支払/受取計画情報421には、外部記憶装置208に記憶されているユーザ情報の一部である、外貨支払/受取計画情報が表示される。外貨支払/受取計画情報421は、外貨支払/受取計画として、2023年5月から12月までに毎月支払う金額、或いは、毎月受け取る金額(第1の金額)を入力することができる。金額に為替ヘッジ割合を乗じた金額に対してヘッジガイドが提供される。当該金額の入力操作は、S306におけるユーザ端末が受け付ける操作に該当し、入力された金額の情報がサーバ101に送信される。サーバ101は、入力された金額の情報をユーザ情報の一部として外部記憶装置208に記憶する。確定支払/受取金額は、後述するメニュー表示領域401の外貨支払/受取管理の項目が選択された場合に登録が可能な外貨支払/受取情報を、支払日をベースに月単位で集計した金額が表示される。ヘッジ済金額は、為替ヘッジ取引管理画面にて登録した為替ヘッジ情報を、受渡日をベースに月単位で集計した金額が表示される。未ヘッジ金額は、外貨支払/受取計画とヘッジ済み金額の差分が表示される。確定支払/受取金額及びヘッジ済み金額の表示は、外貨支払/受取情報として入力された情報、為替ヘッジ取引管理画面で入力された情報が、それぞれS306におけるユーザ端末からの入力情報としてサーバ101に送信され、当該情報に基づいて
図4Cの表示情報が生成されている。サーバ101は、入力された各情報をユーザ情報の一部として外部記憶装置208に記憶する。
【0038】
<為替ヘッジガイド結果>
次に
図4Dを参照して為替ヘッジガイド結果の表示画面について説明する。画面430には、為替ヘッジガイド結果の一覧表431が表示される。一覧表431には、期日、参考予約レート、通貨ペア、推奨追加ヘッジ金額がそれぞれ登録される。
【0039】
期日には、為替予約における受渡の時期が登録される。参考予約レートは期日時点における為替レートの予測値である。また、通貨ペアは為替予約を行う通貨の組み合わせを示しており、ここでは米国ドルと日本円の組合せとなっている。推奨追加ヘッジ金額は、為替予約を行うことが推奨される金額が登録される。
【0040】
例えば、2023年9月に受渡日が来るUSDJPYの為替予約を5000ドル分、2023年10月に受渡日が来るUSDJPYの為替予約を8000ドル分、2023年11月に受渡日が来るUSDJPYの為替予約を9000ドル分、2023年12月に受渡日が来るUSDJPYの為替予約8000ドル分、2024年2月に受渡日が来るUSDJPYの為替予約を11000ドル分行うことが推奨されている。これは現時点において行うべき為替予約の推奨リストであり、1か月後や3か月後であればまた状況が変わるので、推奨追加ヘッジ金額も変わってくる。
【0041】
推奨追加ヘッジ額の算出式は、一例として以下の通りである。
第1の推奨追加ヘッジ額(H1:輸出(ドル売り)の場合)=(該当月の受取予定額)×(適用率)×(該当月の第2の割合)-(該当月のヘッジ済み金額)
第2の推奨追加ヘッジ額(H2:輸入(ドル買い)の場合)=(該当月の支払予定額)×(適用率)×(該当月の第1の割合)-(該当月のヘッジ済み金額)
例えば、輸出の場合に月の支払い予定額が18,000ドルであると仮定し、適用率80%、第2の割合57%、ヘッジ済み金額が3,000ドルである場合、推奨追加ヘッジ額は5,208ドルとなる。
【0042】
為替ヘッジは一度行えば、その後はフォローをしなくてもよいというわけではなく、一定期間ごとに将来的な予測に基づいて追加のヘッジが必要かどうかを判定することが望ましい。上述の例では、前月に算出した際には推奨ヘッジ額として3,000ドルが算出されており、実際にヘッジしたが、今月に算出した際には新たな予測により追加のドル売りの為替ヘッジが必要になった状況が想定される。
【0043】
また、前月にドル買いのヘッジを行い、次の月に新たな予測によりヘッジの一部を解消する必要がある場合は、ドル売りのヘッジを行って超過分を取り戻すこともできる。例えば、第1の推奨追加ヘッジ額H1の値がマイナスになった場合には、その月については、H1分だけドル買いを行うことになる。同様に、第2の推奨追加ヘッジ額H2の値がマイナスになった場合には、その月については、H2分だけドル売りを行うことになる。
【0044】
また、輸出入の両方を行う場合には、第1の推奨追加ヘッジ額H1に負の符号を付与し、第2の推奨追加ヘッジ額(H2)に正の符号を付与し、両者を加算(-H1+H2)して合計額Hsを算出する。これは、H2からH1を減算することと同義である。Hs>0であれば、Hsをドル買いの第2の推奨追加ヘッジ額とし、Hs<0であれば、Hsをドル売りの第1の推奨追加ヘッジ額とする。
【0045】
PDF出力432のボタンは、一覧表431をPDFデータとして出力するための操作ボタンである。為替予約自体は本インタフェースとは別に銀行に依頼する必要があるため、その際にPDFを参照して手続を行うことが可能となる。
【0046】
図4Dの画面においていずれかの欄を選択すると
図4Eに示すように、推奨ヘッジ金額、推奨追加ヘッジ金額、ヘッジ済金額が表示される。推奨ヘッジ金額は、外貨支払/受取計画の該当月に入力された金額に対し、為替ヘッジ割合(本実施形態では80%)を乗じ、更にAI投票割合を乗じた額となる。ここでは一例として5,000ドルが示されている。ヘッジ済金額はヘッジ済みの金額であり
図4Eではこれが0ドルであるので、追加でヘッジすべき金額(推奨追加ヘッジ金額)が5,000ドルとなっている。このようにして、期日ごとに、推奨されるヘッジ金額の全体と、ヘッジ済みの金額と、追加でヘッジが推奨される金額とを確認することができる。
【0047】
<外貨支払/受取管理>
図3のS305において、
図4Aの画面のメニュー表示領域401において外貨支払/受取管理が選択された場合、外貨支払/受取管理が選択された旨がS307でサーバ101に送信され、サーバ101で
図5Aに対応する表示情報が生成される。
図5Aは、メニュー表示領域401において外貨支払/受取管理が選択された場合の表示画面の一例を示す図である。メニュー表示領域401に表示されるメインの項目のうちから外貨管理が選択されると、サブ項目として外貨支払/受取管理と為替ヘッジ取引管理が表示される。このうち、外貨支払/受取管理が選択されると、画面500に示すように、外貨支払/受取予定一覧501、検索情報の入力欄502、新規の支払/受取予定を追加するための追加ボタン503が表示される。
【0048】
外貨支払/受取予定一覧501は、外部記憶装置208に記憶されているユーザ情報の一部である、外貨支払/受取情報が表示される。支払/受取ステータスには、未払い又は支払済、或いは、未受取又は受取済が表示され、取引No.には取引番号、支払/受取日には外貨支払又は受取の期日、取引先には支払/受取先の相手方の社名、通貨には支払/受取を行う通貨、支払/受取には、支払い(例えば、ドル買い)であるのか、それとも受取(例えば、ドル売り)であるかの別がそれぞれ表示される。金額は「通貨」で示された通貨における金額が表示されている。
【0049】
図5Aでは支払でドル買いなので米国ドルで表示されているが、受取でドル売りの場合は日本円で表示される。会計ステータスには、輸入のドル買いの場合、商品の仕入れが完了したか否か、完了していれば仕入後、完了していなければ仕入前と表示される。また、輸出におけるドル売りの場合、会計ステータスとして、売り上げた商品の会計が完了したか否か、完了していれば会計後、完了していなければ会計前と表示される。紐付割合には、外貨支払又は受取の金額と為替予約を行った金額との紐付が行われている割合を示している。
図5Aでは、2023年5月25日が支払日となる18,000ドルの支払いについては、100%の紐付が行われているが、それ以外については紐付が行われていないこととなる。
【0050】
これらの情報は、検索情報の入力欄502において検索して該当する項目の取引を抽出するのに利用することができる。例えば、取引Noや取引先、金額で検索をかけることができる。また、新規に取引情報を追加したい場合には追加ボタン503をクリックすることで入力画面が表示される。追加ボタン503のクリックはS312でサーバ101に送信され、S308でサーバ101は
図5Bに対応する表示情報を生成し、S309でユーザ端末102に送信する。
図5Aの表示情報にスクリプト(例えば、Java Script)が含まれており、当該スクリプトを実行することにより
図5Bの画面を表示してもよい。
【0051】
<外貨支払/受取入力>
図5Bはこのときに表示される入力画面の一例を示す。
図5Bのような外貨支払/受取入力画面510は、
図5Aの画面500の表示にオーバラップされて表示されてもよいし、画面500と入れ替えて表示されてもよい。
【0052】
外貨支払/受取入力画面510において、支払/受取日511、取引先512、通貨513、支払/受取の別514、金額515、会計ステータス516、発注/受注日517、仕入/売上日518、請求書519、メモ520を入力することができる。追加ボタン522をクリックすることで入力した内容を外貨支払/受取予定一覧501に追加することができる。追加ボタン522のクリックに応じて入力内容がS312でサーバ101に送信され、サーバ101で
図5Bに対応する表示情報が更新される。サーバ101は、外貨支払/受取予定に新たに追加された情報をユーザ情報の一部として、外部記憶装置208に記憶する。また、キャンセルボタン521をクリックすると入力内容がキャンセルされて
図5Aの画面に戻る。
【0053】
また、
図5Aの画面500の外貨支払/受取予定一覧501において、いずれかの行を選択すると、選択された行の入力内容を表示する画面が表示される。ここでは枠502で示す行が選択されたものとする。外貨支払/受取予定一覧501の行選択の操作情報はS312でサーバ101に送信され、サーバ101で
図5Cに対応する表示情報が生成され、ユーザ端末102に送信される。
【0054】
図5Cは、枠502が選択された場合に表示される画面の一例を示す。画面530において、領域531には、外貨支払/受取詳細の情報が表示される。ここには、取引番号、支払/受取日、取引先、通貨、支払/受取の別、金額、会計ステータス、発注/受注日、仕入/売上日、メモが含まれる。また、為替ヘッジ取引紐付けの状況が表示される。
図5Cでは、紐付割合532が100%であり、18,000ドルの支払いのうち全額が為替予約と紐づけられていることが表示533に示されている。具体的な紐付については、紐付表示534に示されており、それぞれ5,000ドル、10,000ドル、3,000ドルの為替予約と紐付されている。保存ボタン535は、紐付の状況を変更した場合に、その変更結果を保存する場合に操作するボタンである。
【0055】
テーブル536は、紐付けできる為替ヘッジ取引の一覧を示している。テーブル536には既に全額が紐付されている為替ヘッジ取引は表示されず、未紐付残額が残っている取引のみが表示される。テーブル536には、受渡日、レート、受取/支払額、未紐付残高、銀行名、取引番号が含まれる。テーブル536には、紐付を行う外貨支払/受取の支払/受取日よりも前に受渡日が到来する取引のみが登録される。よって、
図5Cの例では受渡日が2023年8月25日以前のもののみが表示され、同年8月26日以降の取引は表示されない。
【0056】
紐付のための操作については、
図5Dから
図5Fを参照して説明する。まず、
図5Dは、
図5Cに示す取引番号の外貨支払/受取詳細において、紐付がなされていない状態の画面530の表示例を示す。
【0057】
図5Dにおいて、紐付割合532が0%であり、18,000ドルの支払いの全てが為替予約と紐づけられていないことが表示533に示されている。表示537は未紐付の金額が残存していることを示す表示であり、ユーザはこの表示を確認して紐付(割り当て)を行うことができる。紐付は、紐付できる為替ヘッジ取引一覧を示すテーブル536に登録されているいずれかの取引を選択し、表示537に対してドラッグアンドドロップ動作を行うことで、当該取引の金額を紐付けることができる。例えば、枠538で囲んだ5,000ドル分の為替ヘッジ取引を選択して、表示537に対してドラッグアンドドロップすることができる。
【0058】
その際の表示例を
図5Eに示す。
図5Eでは、紐付表示534に5,000ドル分の紐付が行われたことが示されている。これにより、紐付割合532は27.77%となり、表示533において紐付済金額が5,000ドル、残りが13,000ドルとなった。このとき未だ未紐付の金額があるため、表示537が依然として表示される。
【0059】
テーブル536の内容は、ドラッグアンドドロップ操作された取引番号B111121の未紐付残高が0となり、全額が紐付されたことが示されている。この状態で更に他の取引番号の金額を同様のドラッグアンドドロップ操作により紐づけることができる。紐付が行われると、紐付額が受取額から減算されて表示される。例えば、取引番号B111122の10,000ドルを紐づけると、残りが13,000ドルであるため、全額が紐づけられる。一方、B1111113の100,000ドルを紐づけた場合、13,000ドル全てが紐づけられ、未紐付残高が87,000ドルとなる。ここでは為替ヘッジ取引の内一部の金額が紐付されたことが示されている。
【0060】
紐付により未紐付残高が0になった取引であっても、保存ボタン535が操作されるまではテーブル536に表示される。よって、ユーザは紐付の組合せを任意に入れ替えることができる。保存ボタン535が操作されると、未紐付残高が0となった取引はテーブル536から削除される。
【0061】
図5Fは、
図5Eの状態において保存ボタン535が操作され、テーブル536から未紐付残高が0となった取引番号B111121が削除された状態を示す。
図5Fでは、紐付表示534内に削除ボタン539を表示されており、一端紐付状態を保存した場合であっても、削除ボタン539を操作することにより紐付を解除できる。紐付を解除した後、再度保存ボタン535が操作されると、テーブル536に取引番号B111121の内容が再表示される。
【0062】
図5Dから
図5Fにおける操作は、例えば紐付の変更があった場合にS312でサーバ101に紐付の変更が送信され、サーバ101でその後に表示される情報が生成されてもよいし、保存ボタン535の操作に応じて、その時点での変更結果がS312でサーバ101に送信され、表示情報が更新されてもよい。保存ボタン535が操作された場合、サーバ101は、変更後の外貨支払/受取情報をユーザ情報の一部として、外部記憶装置208に記憶する。
【0063】
図5Dによれば、紐付されていない外貨支払/受取について、為替予約が不足しているかどうかを直感的に把握することができ、また、不足分を簡易な操作で補うことができる。更には、紐づける金額が自動で計算されるので、紐付金額をユーザが計算する必要が無い。
【0064】
<為替ヘッジ取引管理>
上述の実施形態において、
図4Dに示すような推奨追加ヘッジ金額が提示されると、S313においてユーザはユーザ端末102を介して銀行等の金商業者システム103に対して為替予約を行う。為替予約を行った後、当該為替予約に関する情報を入力するため、サーバ101に対して為替ヘッジ取引管理画面を要求する。当該要求は、
図4Aのような画面を表示した後、メニュー表示領域401において為替ヘッジ取引管理を選択すればよい。これに対しサーバ101はS315において
図6Aに示すような画面を生成するために必要な処理を実行し、S316において処理結果を画面情報としてユーザ端末102へ送信する。
【0065】
図6Aは、メニュー表示領域401において為替ヘッジ取引管理が選択された場合の表示画面の一例である。
図4Aにおいて、メニュー表示領域401に表示されるメインの項目のうちから外貨管理が選択されると、サブ項目として外貨支払/受取管理と為替ヘッジ取引管理が表示される。このうち、為替ヘッジ取引管理が選択されると、S317において
図6Aの画面600が表示される。画面600には、為替ヘッジ取引一覧601、検索情報の入力欄602、新規為替ヘッジ取引の追加ボタン603が含まれる。
【0066】
為替ヘッジ取引一覧601には、外部記憶装置208に記憶されているユーザ情報の一部である、為替ヘッジ取引の情報が表示される。実行ステータスには、実行済又は未実行が表示される。実行済とは、ユーザが実際に為替予約を行って、実行日が到来し金額の受渡(両替)が完了している状態を示し、未実行は実行日が到来していないか、到来しても両替が行われていない状態を示す。取引No.には取引番号が表示されるが、取引番号の代わりに紐付済みの場合はその旨が表示されてもよい。約定日には為替ヘッジ取引の約定日、通貨ペアには為替ヘッジの対象となった通貨のペア、
図6Aでは、米国ドル(USD)と日本円(JPY)が登録されている。種別は為替予約、レートには約定時点における通貨ペアのレートが登録されている。オプション取引の行使期日、受渡日にはそれぞれの日付が登録され、受取額、支払額には、米国ドル/日本円での受取額、対する日本円/米国ドルでの支払い額が登録される。銀行名には為替予約を行った先の銀行の名称が登録される。
【0067】
これらの情報は、検索情報の入力欄502において検索して該当する項目の取引を抽出するのに利用することができる。例えば、取引Noや取引先、金額で検索をかけることができる。また、新規に取引情報を追加したい場合には追加ボタン503をクリックすることで入力画面が表示される。
【0068】
<為替ヘッジ取引入力>
ユーザ端末102において、追加ボタン503がクリックされると、
図6Bに示す入力画面が表示される。
図6Bのような為替ヘッジ取引入力画面610は、
図6Aの画面500の表示にオーバラップされて表示されてもよいし、画面600と入れ替えて表示されてもよい。
【0069】
為替ヘッジ取引入力画面610において、約定日611、通貨ペア612、種別613、受渡日614、レート615、受取額616、支払額617、銀行名618、契約書619、メモ620を入力することができる。追加ボタン622をクリックすることで入力した内容を為替ヘッジ取引一覧601に追加することができる。また、為替ヘッジ取引入力画面610に対する入力は、追加ボタン622がクリックされるとS318における入力として扱われ、S319においてサーバ101に送信され、ユーザ情報の一部として外部記憶装置208に記憶される。また、当該情報に従い表示情報が更新されユーザ端末102に提供される。また、キャンセルボタン621をクリックすると入力内容がキャンセルされて
図6Aの画面に戻る。
【0070】
<実施形態の効果>
以上のように、本実施形態によれば、複数のAIモデルを用いて予測した為替レートの将来的な推移或いは動向に基づき、将来に支払期限や受取日がくる外貨支払/受取について為替予約を行うことができる。為替予約を行う額については、米国ドル-日本円であれば、輸入に関しては将来に円安になると予想される確率(上述の第1の割合に相当)に応じた額を為替予約することで、将来的に円安に振れた場合であっても、損を回避することが可能となる。一方、輸出に関しては将来に円高になると予想される確率(上述の第2の割合に相当)に応じた額を為替予約することで、将来的に円高に振れた場合であっても、損を回避することが可能となる。また、ユーザが為替予約を行う額の目安について、指針を提供することができる。
【0071】
上述の実施形態では、第1の通貨に対する第2の通貨の価値を表す為替レートに関し、第1の通貨と第2の通貨との組合せを米国ドル-日本円についてのみ記載した。しかし、第1の通貨と第2の通貨の組合せはこれに限定されるものではなく、ユーロ-日本円、英ポンド-日本円、ユーロ-米国ドル、ユーロ-英ポンド、日本円-中国元等、任意の異なる通貨の組合せを適用可能である。
【0072】
<実施形態のまとめ>
上記実施形態は以下の情報処理装置、及び、コンピュータプログラムを少なくとも開示する。
(1) 為替ヘッジに関する情報をユーザ端末へ提供するサーバであって、
1以上のプロセッサと、
メモリと、
前記メモリに格納されたプログラムであって、前記1以上のプロセッサにより実行されると、前記サーバに
複数のAIモデルを用いた所定の為替レートの将来的な推移のAIモデル毎の予測を取得することと、
個別に予測された前記所定の為替レートの将来的な推移に基づき、前記複数のAIモデルの全数に対する、現時点の為替レートからの第1の方向への変化を予測した第1のAIモデルの数の第1の割合と、前記現時点の為替レートからの前記第1の方向とは逆の第2の方向への変化を予測した第2のAIモデルの数の第2の割合とを算出することと、
前記ユーザ端末から第1の金額の指定を受け付けることと、
前記第1の割合又は前記第2の割合に基づき前記第1の金額について実施すべき為替ヘッジの金額を算出することと
前記為替ヘッジの金額を前記ユーザ端末に送信することと
を実行させる、サーバ。
(2) 前記為替レートは、第1の通貨に対する第2の通貨の価値を示し、
前記第1の金額が前記第1の通貨の買いの金額である場合に、前記為替ヘッジの金額を算出することは、前記第1の金額に対し、前記第1の割合を乗じることを含み、
前記第1の金額が前記第1の通貨の売りの金額である場合に、前記為替ヘッジの金額を算出することは、前記第1の金額に対し、前記第2の割合を乗じることを含む、(1)に記載のサーバ。
(3) 前記プログラムは、前記1以上のプロセッサにより実行されると、前記サーバに
前記ユーザ端末から第2の金額の指定を受け付けることを更に実行させ、
前記第1の金額は前記第1の通貨の売りの金額を示し、前記第2の金額は前記第1の通貨の買いの金額を示す場合に、
前記為替ヘッジの金額を算出することは、前記第2の金額(ドル買い)に対し前記第1の割合(円安方面のヘッジのため)を乗じた結果から、前記第1の金額(ドル売り)に対し前記第2の割合(円高方面のヘッジのため)を乗じた結果を減算することを含み、
前記減算の結果が正の符号である場合、前記減算した金額は、前記為替ヘッジの前記第1の通貨における買いの金額であり、
前記減算の結果が負の符号である場合、前記減算した金額は、前記為替ヘッジの前記第1の通貨における売りの金額である、(2)に記載のサーバ。
(4) 前記プログラムは、前記1以上のプロセッサにより実行されると、前記サーバに
前記ユーザ端末から、前記第1の金額に対して前記第1の割合及び前記第2の割合を適用する適用率の指定を受け取ることを更に実行させ、
前記為替ヘッジの金額を算出することは、前記第1の割合及び前記第2の割合を前記適用率を乗じてから前記第1の金額に乗じることを含む、(2)または(3)に記載のサーバ。
(5) 前記第1の金額に対し、前記第1の割合及び前記第2の割合を乗じることは、前記第1の金額について設定された期日について算出された前記第1の割合及び前記第2の割合を乗じることを含む、(2)から(4)のいずれか1つに記載のサーバ。
(6) 前記複数のAIモデルを用いた前記所定の為替レートの将来的な推移のAIモデル毎の予測は、所定の期間における推移の予測を含み、
前記第1の割合と前記第2の割合とを算出することは、前記所定の期間における任意の時点における前記第1の割合と前記第2の割合とを算出することを含む、(1)から(5)のいずれか1つに記載のサーバ。
(7) 前記プログラムは、前記1以上のプロセッサにより実行されると、前記サーバに
前記複数のAIモデルのうち、少なくとも一部のAIモデルにより予測された前記将来的な推移を示すグラフを含む第1の表示情報を生成することと、
前記第1の表示情報を前記ユーザ端末に送信することと
を更に実行させる、(1)から(6)のいずれか1つに記載のサーバ。
(8) 前記第1の表示情報は、現在の日付を境として、過去の為替レートの実際の推移を示す単一の折れ線と、将来の為替レートの予測された推移を示す複数の折れ線又は曲線とが接続されたグラフを含む、(7)に記載のサーバ。
(9) 前記第1の表示情報は、
前記所定の期間のうち複数の時点のそれぞれにおける、前記複数のAIモデルにより予測された前記将来的な推移の平均値の表示と、
前記複数の時点のそれぞれにおける、前記第1の割合と前記第2の割合との表示と
を含む、(7)または(8)に記載のサーバ。
(10) 前記プログラムは、前記1以上のプロセッサにより実行されると、前記サーバに
前記ユーザ端末から、為替ヘッジの取引情報を受け取ることと、
前記ユーザ端末から、前記為替ヘッジの取引情報を前記第1の金額に割り当てる指示を受け付けることと、
前記第1の金額に割り当てられた取引情報を表示する第2の表示情報を生成することと、
前記ユーザ端末に前記第2の表示情報を送信することと
を実行させる、(1)から(9)のいずれか1つに記載のサーバ。
(11) 前記プログラムは、前記1以上のプロセッサにより実行されると、前記サーバに
前記ユーザ端末から、前記為替ヘッジの取引情報の前記第1の金額への割り当てを解除する指示を受けとることと、
前記解除の指示に応じて前記第2の表示情報を更新することと、
前記ユーザ端末に更新された前記第2の表示情報を送信することと
を更に実行させる、(10)に記載のサーバ。
(12) 前記第2の表示情報は、前記為替ヘッジの取引情報における受取額のうち、一部または全部が前記第1の金額に割り当てられていることの表示を含む、(10)または(11)に記載のサーバ。
(13) 前記第2の表示情報は、受渡日が前記第1の金額の支払日より前の前記為替ヘッジの取引情報の一覧表示を含み、
前記プログラムは、前記1以上のプロセッサにより実行されると、前記サーバに
前記一覧表示された取引情報の中から、前記第1の金額に割り当てる取引情報の指示を更に受け付けることを更に実行させる、(10)から(12)のいずれか1つに記載のサーバ。
(14) 前記為替レートは、第1の通貨に対する第2の通貨の価値を示し、
前記第1の方向は、前記第2の通貨における前記第1の金額が前記所定の為替レートにおいて多くなる方向であり、
前記第2の方向は、前記第2の通貨における前記第1の金額が、前記所定の為替レートにおいて少なくなる方向である、(1)から(13)のいずれか1つに記載のサーバ。
(15) 前記第1の通貨と前記第2の通貨との組み合わせには、米国ドル、ユーロ、日本円、英ポンド、中国元のうち少なくともいずれか異なる通貨の組み合わせが含まれる、(14)に記載のサーバ。
(16) 前記複数のAIモデルのそれぞれは、少なくとも一部が共通する複数の教師データを用いて、前記複数の教師データの個々の重みを変えた深層学習によりそれぞれ生成された、異なるAIモデルである、(1)から(15)のいずれか1つに記載のサーバ。
(17) コンピュータを(1)から(16)のいずれか1つに記載のサーバとして機能させるためのプログラム。
【0073】
[他の実施形態]
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。また本発明に係る情報処理装置は、1以上のコンピュータを該情報処理装置として機能させるコンピュータプログラムによっても実現可能である。該コンピュータプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されることにより、あるいは電気通信回線を通じて、提供/配布することができる。
【符号の説明】
【0074】
10:システム、101:サーバ、102:ユーザ端末、103:金商業者システム、104:ネットワーク