(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168227
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】検出装置の取付構造
(51)【国際特許分類】
G01S 7/03 20060101AFI20241128BHJP
B62D 25/16 20060101ALI20241128BHJP
B62D 25/18 20060101ALI20241128BHJP
G01S 13/931 20200101ALI20241128BHJP
【FI】
G01S7/03 240
B62D25/16 F
B62D25/18 C
G01S13/931
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084716
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】521537852
【氏名又は名称】ダイムラー トラック エージー
(74)【代理人】
【識別番号】100176946
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 智恵
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青野 宣明
【テーマコード(参考)】
3D203
5J070
【Fターム(参考)】
3D203AA13
3D203BC04
3D203CB19
3D203DA20
3D203DB02
5J070AE01
5J070AE09
5J070AF03
5J070AK25
5J070AK30
5J070AK40
(57)【要約】
【課題】検出装置の搭載性を確保するとともに、軽量化を図りつつ剛性を確保する。
【解決手段】検出装置の取付構造は、車両2の車体フレーム10に取り付けられるとともに、車両2の車輪後方に配置され、車幅方向外側の外側面部20Aと外側面部20Aに連設された車長方向後方の後面部20Bとを有し、外側面部20Aに開口部24が設けられたマッドガード20と、マッドガード20の開口部24に配置された検出装置1と、一端30Aから他端30Bへ延出し一端30Aと他端30Bを連通する中空部30Cが設けられており、後面部20Bよりも前方に位置し、且つ、車幅方向外側から見て外側面部20Aに重複して配置され、一端において車体フレーム10に取り付けられるとともに他端に検出装置1が取り付けられており、検出装置1を開口部24に配置した状態で支持するブラケット30と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車体フレームに取り付けられるとともに、前記車両の車輪後方に配置され、車幅方向外側の壁面をなす外側面部と前記外側面部に連設されており車長方向後方の壁面をなす後面部とを有し、前記外側面部に前記車幅方向外側と車幅方向内側とを連通する開口部が設けられたマッドガードと、
前記車両の側方の物体を検出するために設けられており、前記マッドガードの前記開口部に配置された検出装置と、
一端から他端へ延出し前記一端と前記他端とを連通する中空部が設けられており、前記後面部よりも前方に位置し、且つ、前記車幅方向外側から見て前記外側面部に重複して配置され、前記一端において前記車体フレームに直接的又は間接的に取り付けられるとともに前記他端に前記検出装置が取り付けられており、前記検出装置を前記開口部に配置した状態で支持するブラケットと、を備えた
ことを特徴とする検出装置の取付構造。
【請求項2】
前記ブラケットは、円筒状をなし、前記検出装置を前記開口部に配置した状態で片持ち支持した
ことを特徴とする請求項1に記載の検出装置の取付構造。
【請求項3】
前記ブラケットの前記中空部内に、前記検出装置に繋がるケーブルが配索された
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の検出装置の取付構造。
【請求項4】
前記ブラケットは、前記後面部に沿って延在する姿勢で配置された
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の検出装置の取付構造。
【請求項5】
前記ブラケットの前記一端は、前記マッドガードの前記後面部に取り付けられた支持部材を介して前記車体フレームに取り付けられており、
前記支持部材は、前記ブラケットを軸方向に互いに離間した二点で支持している
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の検出装置の取付構造。
【請求項6】
前記車体フレームには前記車両のキャブを支持するためのキャブブリッジが含まれており、
前記ブラケットの前記一端は、取付補強部材を介して前記キャブブリッジに直接的に取り付けられている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の検出装置の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、車両の側方に存在する物体を検出するための検出装置の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の側方に存在する人や車両などの物体を検出し、ドライバーへの警報や車両制御などを行う技術が開発されている。例えば、特許文献1には、車両の側方に存在する人や車両などの物体を検出するためのレーダ装置をトラックの車体側方の燃料タンク近傍に取り付けた取付構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術のように、燃料タンク近傍にレーダ装置を取り付けた場合、レーダ装置によるレーダ照射範囲を十分に確保できない場合がある。すなわち、車両側方監視のレギュレーション改正により、従来よりも広い範囲の側方を監視しなければならず、特許文献1の技術のように燃料タンク近傍にレーダ装置を取り付けた場合、レギュレーションに対応できない場合がある。
【0005】
すなわち、車両の側方に存在する物体を検出するための検出装置において、車両の側方をより広い範囲で監視するためには、検出装置の搭載位置を変更する必要が生じる。
しかし、車両の側方は他部品とのレイアウトとの関係上、検出装置の搭載位置が制限されることがある。したがって、特許文献1に開示されるような従来の技術は、検出装置の搭載性を確保するうえで、改善の余地がある。また、検出装置の取付構造では、検出装置に対する車両の振動の影響を抑制するために、軽量化を図りつつ剛性を確保することが望ましい。
本件は、上記のような課題に鑑み創案されたものであり、車両の側方に存在する物体を検出するための検出装置の取付構造において、検出装置の搭載性を確保するとともに、軽量化を図りつつ剛性を確保することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本件は上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現できる。
【0007】
(1)本適用例に係る検出装置の取付構造は、車両の車体フレームに取り付けられるとともに、前記車両の車輪後方に配置され、車幅方向外側の壁面をなす外側面部と前記外側面部に連設されており車長方向後方の壁面をなす後面部とを有し、前記外側面部に前記車幅方向外側と車幅方向内側とを連通する開口部が設けられたマッドガードと、前記車両の側方の物体を検出するために設けられており、前記マッドガードの前記開口部に配置された検出装置と、一端から他端へ延出し前記一端と前記他端とを連通する中空部が設けられており、前記後面部よりも前方に位置し、且つ、前記車幅方向外側から見て前記外側面部に重複して配置され、前記一端において前記車体フレームに直接的又は間接的に取り付けられるとともに前記他端に前記検出装置が取り付けられており、前記検出装置を前記開口部に配置した状態で支持するブラケットと、を備えている。
【0008】
これによれば、ブラケットが、マッドガードの後面部よりも前方に位置し、且つ、車幅方向外側から見て外側面部に重複して配置されるとともに、検出装置を外側面部の開口部に配置した状態で支持する。すなわち、ブラケットがマッドガードの内側に配置されるため、検出装置をマッドガードに取り付けることが可能になる。このようにブラケットがマッドガードの内側に配置された構造であっても、検出装置は外側面部の開口部から外側へ向けてレーダを照射可能である。そのため、マッドガードに検出装置を適切に取り付けることが可能である。よって、検出装置の取付構造において検出装置の搭載性を確保することができる。
そのうえ、ブラケットが、一端から他端へ延出し前記一端と前記他端とを連通する中空部が設けられているので、軽量化を図りつつ剛性を確保することができる。その結果、検出装置に対する車両の振動の影響を抑制することができ、検出精度を確保することができる。
【0009】
(2)また、本適用例に係る検出装置の取付構造では、ブラケットは、円筒状をなし、前記検出装置を前記開口部に配置した状態で片持ち支持してもよい。これにより、ブラケットがマッドガードの内側に配置された構造において、検出装置の搭載性を高めることができる。
(3)また、本適用例に係る検出装置の取付構造では、ブラケットの中空部内に検出装置に繋がるケーブルが配索されていてもよい。ケーブル保護用部材等の別部材を追加することなく、ケーブルの全周を保護することができる。よって、飛び石等の衝突や、熱害に対する保護性を高めることができる。
【0010】
(4)また、本適用例に係る検出装置の取付構造では、前記ブラケットは、前記後面部に沿って延在する姿勢で配置されていてもよい。これにより、車輪と後面部との間にブラケットを配設できるので、マッドガードの内側において車輪との干渉を避けつつブラケットを配置することができる。
(5)また、本適用例に係る検出装置の取付構造では、前記ブラケットの前記一端は、前記マッドガードの前記後面部に取り付けられた支持部材を介して前記車体フレームに取り付けられており、前記支持部材は、前記ブラケットを軸方向に互いに離間した二点で支持していてもよい。これにより、支持部材によるブラケットの保持強度を高めることができる。よって、検出装置に対する車両の振動の影響を抑制することができ、検出精度を確保することができる。
【0011】
(6)また、本適用例に係る検出装置の取付構造では、前記車体フレームには前記車両のキャブを支持するためのキャブブリッジが含まれており、前記ブラケットの前記一端は、取付補強部材を介して前記キャブブリッジに直接的に取り付けられていてもよい。これにより、エアサスペンションやエンジンマウントなどの周辺部品のレイアウトに影響されずに、ブラケットの取付位置や形状を一様に設定できる。車種に応じた複数バリエーションのブラケットを用意する必要がないため、ブラケットを量産化しやすくなる。
【発明の効果】
【0012】
本件によれば、車両の側方に存在する物体を検出するための検出装置の取付構造において検出装置の搭載性を確保するとともに、軽量化を図りつつ剛性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】適用例に係る検出装置の取付構造を適用した車両の前部を左後方から視た斜視図である。
【
図2】
図1からマッドガードを取り除いた状態を示す斜視図である。
【
図3】ブラケットを
図2の白抜き矢印A(車長方向後方)から見た背面図である。
【
図4】ブラケットの一端をマッドガードの内側から見た拡大斜視図である。
【
図5】ブラケットの他端をマッドガードの内側から見た拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を参照して、本件の実施形態について説明する。以下の実施形態はあくまでも例示に過ぎず、この実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。下記の実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。また、必要に応じて取捨選択でき、あるいは適宜組み合わせられる。
なお、各図において、「FR」は車両の前方,「UP」は「上方」,「IN」は車幅方向内側をそれぞれ示す。車幅方向内側の反対側が車幅方向外側である。また、以下の説明において、前後方向は車両の前後方向を意味し、左右方向は車両前方を向いた状態での左右方向を意味する。
【0015】
[1.構成]
図1は、本適用例に係る検出装置(
図1中破線で示す)1の取付構造を適用した車両2の前部を左後方から視た斜視図であり、一部を省略して示している。
検出装置1は、車両2の側方に存在する人や他車両などの物体を検出する車両側方監視である。検出装置1の検出信号は、車両2の側方に存在する人や他車両などを検出した際に運転者に警報を発生するためのBSA(ブラインドスポットアシスト)装置に利用されている。検出装置1の例としては、例えば車両2の側方の照射範囲に向けてミリ波を発信するミリ波レーダが挙げられる。
【0016】
図1の車両2は、車体フレーム10と車体フレーム10の前部の上方に配置されたキャブ(図示省略)とを備えたトラックである。
車体フレーム10は、ラダーフレーム構造をなす。具体的にいえば、車体フレーム10は、車長方向(前後方向)に延びるとともに車幅方向(左右方向)に互いに離隔する一対のサイドレール11(図中左側の一方のみ示す)と複数のクロスメンバ(図示省略)とを有し、梯子形状をなす。
車体フレーム10にはキャブの後端部を下方から支持するためのキャブブリッジ12が含まれている。キャブブリッジ12は、車体フレーム10の前部において一対のサイドレール11のそれぞれから上方に延びるとともにサイドレール11間に跨って固定され、逆U字型若しくはアーチ状をなす。
【0017】
車体フレーム10に対し外側(車幅方向外側)にマッドガード20が設けられている。
マッドガード20は、車両2の前輪(図示省略)後方に配置された泥除け部材である。
このマッドガード20は、外側面、後面及び上面の三方を囲むカバー体として構成されている。具体的には、マッドガード20には、車幅方向外側の壁面をなす外側面部20Aと、外側面部20Aの後端部に連設され車長方向後方の壁面をなす後面部20Bと、外側面部20A及び後面部20Bの上端部に連設され上側の壁面をなす上面部20Cとが設けられている。本明細書では、外側面部20A、後面部20B及び上面部20Cで囲まれた空間側を「マッドガード20の内側」と称する。
【0018】
外側面部20Aには、開口部24が車幅方向に沿って貫設されている。開口部24は、車幅方向外側と内側とを連通する窓部であり、後述する外カバー32をマッドガード20の外側へ突出(挿通)させるために設けられている。すなわち、マッドガード20の後面部20Bよりも前側に位置する外側面部20Aに開口部24が設けられており、その開口部24に検出装置1が係合されるようになっている。開口部24の大きさ及び形状は、検出装置1の外観形状及び大きさに応じて設定される。
【0019】
図2は
図1からマッドガード20を取り除いた状態示す。
図1及び
図2に示すように、マッドガード20は、後面側ステー21,上面側ステー22及び前端側ステー23により、マッドガード20の後面部20Bと上面部20Cと前端部20D(上面部20Cの前端部)との三箇所で車体フレーム10に固定されている。
後面側ステー21,上面側ステー22及び前端側ステー23のうち、後面側ステー21及び上面側ステー22は、マッドガード20よりも上方(サイドレール11よりも上方)においてキャブブリッジ12から外側へ延設された上ブラケット12Aに固定されている。前端側ステー23は、サイドレール11の外側面に固定されている。
【0020】
後面側ステー21は、L字型をなすパイプ部材で形成されており、マッドガード20の後方に配置されている。後面側ステー21は、その上端部において上ブラケット12Aに固定され、上ブラケット12Aから後面部20Bに沿って下方へ延びるとともに、後面部20Bの下端部において外側へ向かって屈曲され、車幅方向の外側へ延びている。後面側ステー21は、車幅方向に延在する部位において車幅方向に離隔して配置された二つの支持金具21A,21Bにより後面部20Bの下端部に対して固定されている。
なお、
図1に示すように、後面部20Bは、キャブブリッジ12の下端部から外側へ突出した後面側サブステー21Cにも固定されている。
【0021】
上面側ステー22は、後面側ステー21よりも車長方向前方且つ前端側ステー23よりも車長方向後方に配置されており、上ブラケット12Aから外側へ向かって延出した第一部材22Aと上ブラケット12Aから前方(車長方向前方)へ向かって延出した第二部材22Bとを含む。上面側ステー22の第一部材22Aは車幅方向に沿って離隔した二箇所(複数個所)でマッドガード20の上面部20Cに固定されている。上面側ステー22の第二部材22Bは、上面部20Cの車長方向の略全長にわたり延在しており、上面部20Cに接触するとともに、その前端部で上面部20Cに固定されている。
【0022】
前端側ステー23は、サイドレール11から外側且つ上方へ延び、上面部20Cの前端部(マッドガード20の前端部上面)を下面側から支持している。
前端側ステー23と上面部20Cの前端部とは、車幅方向に沿って離隔した二箇所(複数個所)で固定されている。
【0023】
上記のように、後面側ステー21,上面側ステー22及び前端側ステー23によりマッドガード20が車体フレーム10の外側に取り付けられている。本適用例に係る検出装置1の取付構造においては、検出装置1を支持するためのBSAブラケット30(ブラケット,
図1中破線で示す)がマッドガード20の内側に配設されている。
マッドガード20の内側に配置されたBSAブラケット30(
図1中破線で示す)は、
図1に示すように、マッドガード20の後面部20Bよりも前方に位置しており、且つ、車幅方向の外側から見てマッドガード20の外側面部20Aに重複して配置されたものとなる。言い換えれば、BSAブラケット30は、
図2に示すように、後面側ステー21よりも前方に配置されており、且つ、前端側ステー23よりも後方に配置されたものとなる。また、BSAブラケット30は、上面側ステー22よりも下方、且つ、サイドレール11の下端よりも上方に配置される。
【0024】
図3は検出装置1の取付構造を
図2の白抜き矢印A(車長方向後方)から見た背面図である。なお、
図3において、マッドガード20や検出装置1の取付構造の一部を省略している。
BSAブラケット30は、
図1~
図3に示すように、車幅方向内側に位置する一端30Aから車幅方向外側に位置する他端30Bへ延出した部材で形成されており、一端30Aと他端30Bとを連通する中空部30C(
図1では図示省略、
図2及び
図3中破線で示す)を有する。
本実施形態のBSAブラケット30は、軸心に交差する断面形状が略円形の円筒状をなす。本実施形態の中空部30Cは、BSAブラケット30の軸心に沿って設けられている。なお、略円形とは、真円であることに限らず真円ではないが概ね真円に近い形状であることを含む。このBSAブラケット30は、例えば金属製のパイプで形成される。
【0025】
BSAブラケット30は、
図1~
図3に示すように、一端30Aにおいてキャブブリッジ12の下端に(言い換えれば、車体フレーム10に対して直接的に)固定され、他端30Bにおいて検出装置1を外カバー32とともに支持している。すなわち、BSAブラケット30は、
図1に示すように検出装置1を開口部24に配置(係合)した状態で片持ち支持している。
【0026】
図4は、BSAブラケット30の一端30Aをマッドガード20の内側から見た拡大斜視図である。また、
図5は、BSAブラケット30の他端30Bをマッドガード20の内側から見た拡大斜視図である。なお、
図4及び
図5においてマッドガード20や検出装置1の取付構造の一部を省略している。
図3及び
図4に示すように、BSAブラケット30は、マッドガード20の内側において、後面部20Bに沿って設けられている。すなわち、BSAブラケット30は、図示省略した左前輪の後面部とマッドガード20の後面部20Bとの間に配置されている。
【0027】
図1~
図4に示すように、BSAブラケット30の一端30Aは、支持部材40及びマッドガードブラケット41を介してキャブブリッジ12の下端に取り付けられている。
支持部材40は、断面がコの字型をなす板金ブラケットで形成されており、マッドガード20の内側において後面部20Bに配設されている。この支持部材40に対して、BSAブラケット30の一端30Aが溶接(固定)されている。本実施形態の支持部材40には、
図4に示ように、後面部20Bに沿って設けられた取付面部40Aと、取付面部40Aに対して交差する姿勢で設けられており互いに向かい合った一対の立面部40Bとが含まれている。この支持部材40は、一対の立面部40Bにおいて、BSAブラケット30の一端30Aを、軸方向に互いに離間した二点で支持している。
【0028】
支持部材40対して後面部20Bを挟んでマッドガード20の外側には、マッドガードブラケット41が配設されている。
マッドガードブラケット41は、断面がL字型をなす板金ブラケットで形成されており、キャブブリッジ12の下端に取り付けられており、マッドガード20の外側において後面部20Bを支持する部材である。
【0029】
マッドガードブラケット41には、補強ブラケット42が取り付けられている。補強ブラケット42は、車幅方向及び上下方向に延在する面部と車幅方向及び上下方向に延在する面部とを組み合わせて形成されており、キャブブリッジ12の下端部に対するBSAブラケット30の取り付け強度を補強している。
支持部材40とマッドガードブラケット41(及び補強ブラケット42)は、マッドガード20の後面部20Bを挟んで、ネジで締結されている。これにより、支持部材40とマッドガードブラケット41(及び補強ブラケット42)とが互いに固定(共締め)される。すなわち、これらの支持部材40、マッドガードブラケット41及び補強ブラケット42は、BSAブラケット30の一端30Aをキャブブリッジ12の下端に直接的に取り付けるための、取付補強部材と言える。言い換えれば、BSAブラケット30の一端30Aは、支持部材40、マッドガードブラケット41及び補強ブラケット42(取付補強部材)を介してキャブブリッジ12に直接的に取り付けられたものと言える。
【0030】
支持部材40の位置は、キャブブリッジ12の前方且つキャブブリッジ12の下端に対応する高さに設定されている。
図1~
図3に示すように、BSAブラケット30は、キャブブリッジ12の下端に対応する位置から外側面部20Aの開口部24の位置まで最短距離で到達するように、軸方向の複数個所で折り曲げられている。この実施形態のBSAブラケット30は、金属製パイプで形成されているため、板金で形成されたブラケットに比べて折り曲げ加工が容易である。すなわち、BSAブラケット30が円筒棒状である場合、金属製パイプで形成することができるので、折り曲げ加工が容易であるため、所望の形状に成形しやすい。
【0031】
図1~
図5に示すように、BSAブラケット30の他端30Bには、取付部材43が接続されており、この取付部材43を介して検出装置1が取り付けられている
図5に示すように、取付部材43は、互いに略垂直をなす第一面部43Aと第二面部43Bとを含む断面L字型の板金ブラケットで形成されている。取付部材43の第一面部43Aに対してBSAブラケット30の他端30Bが接続されている。取付部材43の第二面部43Bには、検出装置1を保持するためのホルダ31が取り付けられている。
【0032】
ホルダ31は、上面視L字型に形成されており、取付部材43の第二面部43Bに対する固定面31Aと、固定面31Aに対して略垂直をなし検出装置1を保持する保持面31Bとを含む。
固定面31Aは、車幅方向及び上下方向に沿って延在する面部である。保持面31Bは、固定面31Aの車幅方向外側端部に接続されており、固定面31Aから前方へ延出している。保持面31Bには、車幅方向内側から外側へ連通した窓部31Cが設けられており、この窓部31Cに検出装置1が保持されている。
【0033】
このホルダ31に対して、ホルダ31を外側から覆う外カバー32と、ホルダ31に保持された検出装置1を内側から覆う保護カバー33(図中破線で示す)とが設けられている。
外カバー32は、断面がハット状に形成された車外側カバー部材であり、
図1に示すように検出装置1(
図1中破線で示す)に対して車幅方向外側に配置されている。外カバー32は、ホルダ31の外側を向いた面に固定され検出装置1を外側から覆う。
外カバー32は、検出装置1から発信されたミリ波が通過し得る材料及び板厚で形成されている。また、外カバー32の外寸は、マッドガード20の外側面部20Aに設けられた開口部24の口径よりも小さく設定されており、開口部24を通じてマッドガード20の内側から外側へ外カバー32を突出(挿通)させ得る。
【0034】
保護カバー33は、車両2の走行中の飛び石等から、ホルダ31に保持された検出装置1を保護するカバー部材である。例えば、保護カバー33は、ホルダ31の車幅方向内側を向いた面に対し、車幅方向内側,上側,下側及び車長方向前側の四面を覆うように設けられており、ホルダ31の固定面31A及び取付部材43の第二面部43Bに取り付けるためのネジ穴(図示省略)を有している。
【0035】
ホルダ31,外カバー32及び保護カバー33を取付部材43の第二面部43Bに取り付ける際は、ホルダ31に検出装置1を装着した状態でホルダ31に外カバー32を固定する。それから、ホルダ31及び外カバー32は、開口部24に配置された状態で取付部材43の第二面部43Bに取り付けられる。そして、ホルダ31の内側に保護カバー33を装着して、ホルダ31の固定面31Aと取付部材43の第二面部43Bとに取付部材43の第二面部43Bを固定(共締め)する。
【0036】
取付部材43の第二面部43Bにホルダ31,外カバー32及び保護カバー33を取り付けた状態で、
図3に示すように、開口部24と外カバー32との間には隙間24Xが設けられている。すなわち、外カバー32(BSAブラケット30の一部)は、開口部24に対し隙間24Xだけ離隔して配置されるように、外カバー32の外寸と開口部24の口径とが設定されている。言い換えれば、BSAブラケット30は、検出装置1が開口部24に配置された状態で開口部24に対し非接触に設けられている。
隙間24Xは、外カバー32(ブラケット30側)と開口部24(マッドガード20側)との接触(干渉)を防止し得る適宜の寸法に設定される。マッドガード20の泥除け性能や、走行時の空力性能、マッドガード20の美的外観の確保等の観点から、隙間24Xを広すぎず、接触(干渉)を防止し得る最小限に設定するのが好ましい。
【0037】
配線34は、検出装置1と図示しない制御装置とを繋ぎ、図示しない制御装置へ検出信号を伝達するためのケーブルである。
図4及び5に示すように、検出装置1に繋がる配線34は、BSAブラケット30の中空部30C内に配索されている。詳しくは、配線34は、BSAブラケット30の他端30B側から中空部30C内に導入され、中空部30C内を通って、一端30A側から中空部30C外へ導出され、図示しない制御装置に接続される。この配線34を通じて、検出装置1の検出信号が図示しない制御装置へ伝達される。
この場合、配線34の周囲がBSAブラケット30で覆われるので、BSAブラケット30は、配線34に対し車両2の走行中に飛び石等が衝突することや、エンジン(図示せず)等の熱源からの熱害を防ぐ保護部材としての機能を兼ねる。
【0038】
[2.作用効果]
以上説明した本実施形態は以下のような作用効果を奏する。
本適用例に係る検出装置1の取付構造は、上記の検出装置1と、マッドガード20と、BSAブラケット30とを含む。この検出装置1の取付構造では、BSAブラケット30は、マッドガード20の後面部20Bよりも前方に位置し、且つ、車幅方向外側から見て外側面部20Aに重複して配置されるとともに、検出装置1を外側面部20Aの開口部24に配置した状態で片持ち支持する。
【0039】
これによれば、BSAブラケット30がマッドガード20の内側に配置されるため、検出装置1をマッドガード20の内側に取り付けることが可能になる。このようにBSAブラケット30がマッドガード20の内側に配置された構造であっても、検出装置1は外側面部20Aの開口部24から外側へ向けてレーダを照射可能である。そのため、マッドガード20に検出装置1を適切に取り付けることが可能である。よって、検出装置1の取付構造において検出装置1の搭載性を確保することができる。
【0040】
そのうえ、BSAブラケット30が、一端30Aから他端30Bへ延出し一端30Aと他端30Bとを連通する中空部30Cが設けられているので、軽量化を図りつつ剛性を確保することができる。その結果、検出装置に対する車両の振動の影響を抑制することができ、検出精度を確保することができる。
また、BSAブラケット30の中空部30C内に配線34(ケーブル、例えばハーネス)が配索されているので、配線34を保護するための別部材を追加することなく、ケーブルの全周を保護することができる。よって、飛び石等の衝突や、熱害に対するケーブルの保護性を高めることができる。
なお、本明細書において「ケーブル」とは、電力送信、電気通信、光通信などの信号送信(通信)に用いる信号線や電力供給線であり、例えば、ハーネスなどの電線や光ファイバなどを含む。
【0041】
また、BSAブラケット30が、マッドガード20の後面部20Bに沿って延在する姿勢で配置されているので、BSAブラケット30を車輪と後面部20Bとの間に配設することができる。そのため、マッドガード20の内側において車輪との干渉を避けつつBSAブラケット30を配置することができる。
【0042】
また、BSAブラケット30の一端30Aは、マッドガード20の後面部20Bに取り付けられた支持部材40を介してキャブブリッジ12(車体フレーム10)に取り付けられており、支持部材40は、BSAブラケット30を軸方向に互いに離間した二点で支持している。これにより、支持部材40によるBSAブラケット30の保持強度を高めることができる。よって、検出装置1に対する車両の振動の影響を抑制することができ、検出精度を確保することができる。
【0043】
また、BSAブラケット30の一端30Aがキャブブリッジ12の下端に直接的に取り付けられているので、サイドレール11に直接的に取り付けられた場合に比較して、車種の異なる車両に取り付けられ適応範囲が向上する。車種の異なる車両とは、例えば、エンジンマウントが前後位置で異なる車両や、エアサスペンションの取付け位置が異なる車両などである。このように車種の異なる車両では、BSAブラケットをサイドレールに直接的に取り付けた場合、エアサスペンションやエンジンマウントなどの周辺部品とのレイアウトの都合上、車種ごとにBSAブラケットの取付位置や形状を異ならせる必要がある。BSAブラケット30をキャブブリッジ12に直接的に取り付けた場合、エアサスペンションやエンジンマウントなどの周辺部品のレイアウトに影響されずに、BSAブラケットの取付位置や形状を一様に設定できる。車種に応じた複数バリエーションのBSAブラケットを用意する必要がないため、BSAブラケット30を量産化しやすくなる。
[3.その他]
【0044】
上述した実施形態では、BSAブラケット30が、軸心に交差する断面が略円形をなす円筒状の部材で形成される構成を例に挙げたが、BSAブラケット30は、円筒状に限らず、一端30Aから他端30Bへ延出した形状をなし一端30Aと他端30Bとを連通する中空部30Cが設けられていれば、どのような断面形状の部材で形成されてもよい。例えば、BSAブラケット30は、中空部30Cを有する多柱状であってもよい。この場合も、上述した実施形態と同様に、検出装置1の搭載性を確保することができるとともに、軽量化を図りつつ剛性を確保することができる。また、BSAブラケット30の中空部30C内に配線34を配索することで、飛び石等の衝突や、熱害に対する保護性を高めることができる。
【0045】
また、上述した実施形態では、BSAブラケット30が、直接的にキャブブリッジ12(車体フレーム10の一部)に取り付けられる構成を説明したが、BSAブラケット30は、例えば上面側ステー22を介して間接的に車体フレーム10に取り付けられてもよい。
なお、上述した実施形態では、車両2の左側に設けられた検出装置1の取付構造について説明したが、検出装置の取付構造は、車両2の右側に設けられたものであってもよい。
【0046】
なお、本明細書においてBSA(ブラインドスポットアシスト)と称した装置には、様々な呼称がある。このような装置は、BSAの他、例えばBSM(ブラインドスポットモニタリング)などとも呼ばれる。そのため、本明細書中の「BSA」なる用語を「BSM」等他の周知の呼称に置き換えてもよい。
また、本明細書における「BSA」とは、自車両の側方に存在する人や他車両などを検出した際に運転者に警報を発生するものでもよいし、或いは、上記の警報に替えて、若しくは警報に加えて、自車両の側方に存在する人や他車両などを検出した際に自車両に制動制御や操舵制御などの自車両の制御を行うものであってもよい。
【0047】
[4.付記]
上記の変形例を含む実施形態に関し、以下の付記を開示する。
(付記1)
車両の車体フレームに取り付けられるとともに、前記車両の車輪後方に配置され、車幅方向外側の壁面をなす外側面部と前記外側面部に連設されており車長方向後方の壁面をなす後面部とを有し、前記外側面部に前記車幅方向外側と車幅方向内側とを連通する開口部が設けられたマッドガードと、
前記車両の側方の物体を検出するために設けられており、前記マッドガードの前記開口部に配置された検出装置と、
一端から他端へ延出し前記一端と前記他端とを連通する中空部が設けられており、前記後面部よりも前方に位置し、且つ、前記車幅方向外側から見て前記外側面部に重複して配置され、前記一端において前記車体フレームに直接的又は間接的に取り付けられるとともに前記他端に前記検出装置が取り付けられており、前記検出装置を前記開口部に配置した状態で支持するブラケットと、を備えた
ことを特徴とする検出装置の取付構造。
(付記2)
前記ブラケットは、円筒状をなし、前記検出装置を前記開口部に配置した状態で片持ち支持した
ことを特徴とする付記1に記載の検出装置の取付構造。
(付記3)
前記ブラケットの前記中空部内に、前記検出装置に繋がるケーブルが配索された
ことを特徴とする付記1又は2に記載の検出装置の取付構造。
(付記4)
前記ブラケットは、前記後面部に沿って延在する姿勢で配置された
ことを特徴とする付記1~3のいずれか一つに記載の検出装置の取付構造。
(付記5)
前記ブラケットの前記一端は、前記マッドガードの前記後面部に取り付けられた支持部材を介して前記車体フレームに取り付けられており、
前記支持部材は、前記ブラケットを軸方向に互いに離間した二点で支持している
ことを特徴とする付記1~4のいずれか一つに記載の検出装置の取付構造。
(付記6)
前記車体フレームには前記車両のキャブを支持するためのキャブブリッジが含まれており、
前記ブラケットの前記一端は、取付補強部材を介して前記キャブブリッジに直接的に取り付けられている
ことを特徴とする付記1~5のいずれか一つに記載の検出装置の取付構造。
【符号の説明】
【0048】
1 検出装置
2 車両
10 車体フレーム
11 サイドレール
12 キャブブリッジ
12A 上ブラケット
20 マッドガード
20A 外側面部
20B 後面部
20C 上面部
20D 前端部
21 後面側ステー
21A 支持金具
21B 支持金具
21C 後面側サブステー
22 上面側ステー
22A 第一部材
22B 第二部材
23 前端側ステー
24 開口部
24X 隙間
30 BSAブラケット(ブラケット)
30A 一端
30B 他端
31 ホルダ
31A 固定面
31B 保持面
31C 窓部
32 外カバー
33 保護カバー
34 配線
40 支持部材(取付補強部材)
40A 第一面部
40B 第二面部
41 マッドガードブラケット(取付補強部材)
42 補強ブラケット(取付補強部材)
43 取付部材