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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016823
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】ブレーキキャリパ装置
(51)【国際特許分類】
   F16D 55/2255 20060101AFI20240131BHJP
   F16D 65/18 20060101ALI20240131BHJP
   B60T 13/74 20060101ALI20240131BHJP
   B60T 17/18 20060101ALI20240131BHJP
   F16D 121/24 20120101ALN20240131BHJP
   F16D 125/04 20120101ALN20240131BHJP
   F16D 125/06 20120101ALN20240131BHJP
   F16D 125/34 20120101ALN20240131BHJP
   F16D 125/64 20120101ALN20240131BHJP
【FI】
F16D55/2255 103F
F16D65/18
B60T13/74 A
B60T13/74 G
B60T17/18
F16D121:24
F16D125:04
F16D125:06
F16D125:34
F16D125:64
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023118420
(22)【出願日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】P 2022119023
(32)【優先日】2022-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】内海 崇
【テーマコード(参考)】
3D048
3D049
3J058
【Fターム(参考)】
3D048AA04
3D048BB02
3D048BB03
3D048BB05
3D048CC44
3D048CC49
3D048HH18
3D048HH59
3D048HH60
3D048HH66
3D048HH68
3D048RR11
3D049AA04
3D049BB02
3D049BB03
3D049BB05
3D049CC01
3D049CC03
3D049CC07
3D049HH45
3D049HH47
3D049HH48
3D049RR05
3J058AA43
3J058AA48
3J058AA53
3J058AA69
3J058AA73
3J058AA77
3J058AA78
3J058AA83
3J058AA87
3J058AA88
3J058CC04
3J058CC07
3J058CC15
3J058CC22
3J058CC33
3J058CC52
3J058CC63
3J058CC66
3J058CC72
3J058CC78
3J058DA04
3J058DB23
3J058FA21
(57)【要約】
【課題】冗長性を有するブレーキキャリパ装置を提供する。
【解決手段】ブレーキキャリパ装置20は、先端部にブレーキパッド12が設けられる一対の左アーム40及び右アーム50と、一対の左アーム40及び右アーム50を回転可能に支持する左側支持部32A及び右側支持部32Bと、一対の左アーム40及び右アーム50において先端部から左側支持部32A及び右側支持部32Bを挟んで反対側の基端部を駆動して、一対の左アーム40及び右アーム50を左側回転部35及び右側回転部36を中心に回転させることで、車輪とともに回転するディスク11をブレーキパッド12で挟んで車輪を制動する電動シリンダ100と、左アーム40の左側回転部35を駆動して一対の左アーム40及び右アーム50間の距離を近づかせることで、ディスク11をブレーキパッド12で挟んで車輪を制動する空圧シリンダ70と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部にパッドが設けられる一対のアームと、
前記一対のアームを回転可能に支持する支持部と、
前記一対のアームにおいて前記第1部から前記支持部を挟んで反対側の第2部を駆動して、前記一対のアームを回転部を中心に回転させることで、車輪とともに回転するディスクを前記パッドで挟んで前記車輪を制動する第1駆動部と、
前記一対のアームの一方の前記回転部を駆動して前記一対のアーム間の距離を近づかせることで、前記ディスクを前記パッドで挟んで前記車輪を制動する第2駆動部と、を備える
ブレーキキャリパ装置。
【請求項2】
前記一方の回転部は、偏心軸を中心に回転可能であって、前記第2駆動部から前記一方の回転部に駆動力を伝達する回転レバーを備え、
前記第2駆動部は、前記回転レバーを駆動して前記回転部を前記偏心軸を中心に回転させ、前記一対のアーム間の距離を近づかせる
請求項1に記載のブレーキキャリパ装置。
【請求項3】
前記第1駆動部の駆動を制限する第1制限部と、
前記第2駆動部の駆動を制限する第2制限部と、を備え、
前記第1駆動部を駆動するときには、前記第2制限部が作動して前記第2駆動部の駆動が制限され、
前記第2駆動部を駆動するときには、前記第1制限部が作動して前記第1駆動部の駆動が制限される
請求項2に記載のブレーキキャリパ装置。
【請求項4】
前記第1駆動部及び前記第2駆動部を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記第1駆動部及び前記第2駆動部の一方に異常がある場合には、前記第1駆動部及び前記第2駆動部の他方を駆動させる
請求項1に記載のブレーキキャリパ装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1駆動部及び前記第2駆動部の一方を駆動させるときには、前記第1駆動部及び前記第2駆動部の他方の駆動を停止させる
請求項4に記載のブレーキキャリパ装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1駆動部及び前記第2駆動部の一方を、前記パッドが前記ディスクに接触するまで駆動して、前記第1駆動部及び前記第2駆動部の他方を、前記パッドが前記ディスクを押圧するように駆動する
請求項4に記載のブレーキキャリパ装置。
【請求項7】
前記第1駆動部及び前記第2駆動部のそれぞれは、減速機と、前記減速機を介して前記一対のアームを駆動する電動機とを備え、
前記第1駆動部及び前記第2駆動部の一方の減速比は、前記第1駆動部及び前記第2駆動部の他方の減速比よりも小さい
請求項6に記載のブレーキキャリパ装置。
【請求項8】
前記第1駆動部は、前記一対のアームの前記第2部を駆動する電動機を備え、
前記第2駆動部は、前記回転レバーを駆動する空圧シリンダを備える
請求項2又は3に記載のブレーキキャリパ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキキャリパ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のブレーキキャリパ装置では、制動部材を電動モータで駆動する電動ブレーキ機構と制動部材を流体圧シリンダで駆動する流体圧ブレーキ機構とを備えている。電動ブレーキ機構と流体圧ブレーキ機構とは、ブレーキアームの基端部を駆動することでブレーキアーム軸を揺動中心として制動部材をディスクに押圧させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-71133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載のブレーキキャリパ装置では、電動ブレーキ機構と流体圧ブレーキ機構とがブレーキアームを駆動する共通の駆動シャフトを駆動している。そして、駆動シャフト及び駆動シャフトに駆動力を伝達する部分が破損等した場合には、ブレーキ動作を行うことができなくなる。このため、冗長性が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するブレーキキャリパ装置は、第1部にパッドが設けられる一対のアームと、前記一対のアームを回転可能に支持する支持部と、前記一対のアームにおいて前記第1部から前記支持部を挟んで反対側の第2部を駆動して、前記一対のアームを回転部を中心に回転させることで、車輪とともに回転するディスクを前記パッドで挟んで前記車輪を制動する第1駆動部と、前記一対のアームの一方の前記回転部を駆動して前記一対のアーム間の距離を近づかせることで、前記ディスクを前記パッドで挟んで前記車輪を制動する第2駆動部と、を備える。
【0006】
上記構成によれば、一対のアームの第2部を駆動する第1駆動部と、一対のアームの一方の回転部を駆動する第2駆動部とをブレーキキャリパ装置が備える。このため、いずれか一方の駆動部が駆動することができなくなったとしても、他方の駆動部が駆動することで冗長性を有し、信頼性を高めることができる。
【0007】
上記ブレーキキャリパ装置について、前記一方の回転部は、偏心軸を中心に回転可能であって、前記第2駆動部から前記一方の回転部に駆動力を伝達する回転レバーを備え、前記第2駆動部は、前記回転レバーを駆動して前記回転部を前記偏心軸を中心に回転させ、前記一対のアーム間の距離を近づかせることが好ましい。
【0008】
上記ブレーキキャリパ装置について、前記第1駆動部の駆動を制限する第1制限部と、前記第2駆動部の駆動を制限する第2制限部と、を備え、前記第1駆動部を駆動するときには、前記第2制限部が作動して前記第2駆動部の駆動が制限され、前記第2駆動部を駆動するときには、前記第1制限部が作動して前記第1駆動部の駆動が制限されることが好ましい。
【0009】
上記ブレーキキャリパ装置について、前記第1駆動部及び前記第2駆動部を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記第1駆動部及び前記第2駆動部の一方に異常がある場合には、前記第1駆動部及び前記第2駆動部の他方を駆動させることが好ましい。
【0010】
上記ブレーキキャリパ装置について、前記制御部は、前記第1駆動部及び前記第2駆動部の一方を駆動させるときには、前記第1駆動部及び前記第2駆動部の他方の駆動を停止させることが好ましい。
【0011】
上記ブレーキキャリパ装置について、前記制御部は、前記第1駆動部及び前記第2駆動部の一方を、前記パッドが前記ディスクに接触するまで駆動して、前記第1駆動部及び前記第2駆動部の他方を、前記パッドが前記ディスクを押圧するように駆動することが好ましい。
【0012】
上記ブレーキキャリパ装置について、前記第1駆動部及び前記第2駆動部のそれぞれは、減速機と、前記減速機を介して前記一対のアームを駆動する電動機とを備え、前記第1駆動部及び前記第2駆動部の一方の減速比は、前記第1駆動部及び前記第2駆動部の他方の減速比よりも小さいことが好ましい。
【0013】
上記ブレーキキャリパ装置について、前記第1駆動部は、前記一対のアームの前記第2部を駆動する電動機を備え、前記第2駆動部は、前記回転レバーを駆動する空圧シリンダを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、冗長性を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】ブレーキキャリパ装置の第1実施形態の構成を示す斜視図である。
図2】同実施形態のブレーキキャリパ装置の構成を示す平断面図である。
図3】同実施形態のブレーキキャリパ装置の構成を示す平断面図である。
図4】同実施形態のブレーキキャリパ装置の構成を示す平断面図である。
図5】ブレーキキャリパ装置の第2実施形態の構成を示す平断面図である。
図6】ブレーキキャリパ装置の第3実施形態の構成を示す平断面図である。
図7】ブレーキキャリパ装置の第4実施形態の構成を示す平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、図1図4を参照して、ブレーキキャリパ装置の第1実施形態について説明する。ブレーキキャリパ装置は、鉄道車両に取り付けられ、ブレーキディスクと協働してディスクブレーキ装置として機能する。
【0017】
(ブレーキキャリパ装置20)
図1及び図2に示すように、ブレーキキャリパ装置20は、図示しない鉄道車両の台車に取り付けられ、台車の車輪を回転させる車軸と一体に回転する円盤状のディスク11(図2参照)にブレーキパッド12を押し付けることによりブレーキ力を車輪に付与する。すなわち、ブレーキキャリパ装置20は、ディスク11とともにディスクブレーキ装置を構成する。ブレーキキャリパ装置20は、ブレーキキャリパ14と駆動装置15とを備える。なお、ディスク11がブレーキディスクに相当する。
【0018】
ブレーキキャリパ装置20は、台車に取り付けられるブラケット21(図1参照)と、ブラケット21に回転可能に吊り下げられるボディ30と、ボディ30に保持される一対の左アーム40及び右アーム50とを備える。左アーム40及び右アーム50は、ディスク11を挟むことで制動力を発生させるブレーキパッド12をそれぞれ保持する。ボディ30は、ブレーキパッド12とディスク11との距離が変わるように一対の左アーム40及び右アーム50のそれぞれを回転可能に支持する。
【0019】
また、ブレーキキャリパ装置20は、ブレーキパッド12がディスク11を押圧するように左アーム40及び右アーム50を回転するように駆動する駆動装置15を備える。駆動装置15は、圧縮空気の供給と排出とによって駆動する。駆動装置15に供給される圧縮空気は、鉄道車両に搭載されるタンクから供給される。駆動装置15は、ボディ30に着脱可能に取り付けられている。
【0020】
ブラケット21は、第1ブラケット21Aと第2ブラケット21Bとを備える。第1ブラケット21Aと第2ブラケット21Bとの間には、ボディ30が挟まれる。第1ブラケット21Aとボディ30と第2ブラケット21Bとには連結ピン22が貫通されて、第1ブラケット21Aとボディ30と第2ブラケット21Bとが連結される。ボディ30は、連結ピン22が貫通する基部31を備える。基部31は、台車の車軸の軸方向と直交し、左アーム40及び右アーム50の延在方向に沿う回転軸Pを中心に回転する。
【0021】
ボディ30は、基部31の下方から左右の左アーム40及び右アーム50に向かって延出して左アーム40及び右アーム50を支持する第1支持部32を備える。ボディ30は、第1支持部32の中央から左アーム40及び右アーム50の長手方向の後方に延出して駆動装置15を支持する第2支持部33を備える。第2支持部33は、板状の部材である。ボディ30の基部31、第1支持部32、及び第2支持部33は、一体に成形されている。台車が車軸の軸方向に傾いたとしてもボディ30が回転軸Pを中心に回転するため、ブレーキパッド12をディスク11と常に平行に保つことができる。
【0022】
第1支持部32の左側には、左アーム40を支持する左側支持部32Aが設けられている。左側支持部32Aには、左側回転部35が貫通されている。左側回転部35は、ボディ30に保持され、左側支持部32Aに対して回転可能である。左側回転部35は、左アーム40をボディ30に対して回転可能に支持する。左側回転部35には、駆動装置15の駆動力によって駆動される回転レバー35Aが固定されている。
【0023】
左側回転部35の上端部35C及び下端部35Dは、同軸上に位置している。左側回転部35の上端部35C及び下端部35Dの中心軸は、左アーム40の支点軸PA1である。左アーム40の偏心軸PA2は、左側回転部35の支点軸PA1に対して偏心した位置にある。このため、回転レバー35Aが回転されると、左側回転部35の上端部35C及び下端部35Dが左側回転部35の偏心軸PA2を回転中心として移動して左アーム40を駆動させる。
【0024】
第1支持部32の右側には、右アーム50を支持する右側支持部32Bが設けられている。右側支持部32Bには、右側回転部36が貫通されている。右側回転部36は、右側支持部32Bに固定されている。右側回転部36は、右アーム50をボディ30に対して回転可能に支持する。右側回転部36の中心軸は、右アーム50の支点軸PBである。
【0025】
図1に示すように、左アーム40は、一対の左上レバー47と左下レバー48とを備えている。一対の左上レバー47と左下レバー48とは、左側回転部35の軸方向において離間し互いに対向する。左アーム40の先端部には、ブレーキパッド12が取り付けられるパッド取付部材42が2個のパッド回転ピン43により接続されている。ブレーキパッド12が設けられる左アーム40の先端部が第1部に相当する。パッド回転ピン43は、左上レバー47と左下レバー48とに対して回転可能である。パッド回転ピン43は、パッド取付部材42に固定されている。左上レバー47と左下レバー48とは、左レバー連結ピン46によって連結されている。左アーム40の第1部と支点軸PA1を挟んで反対側の左アーム40の基端部が第2部に相当する。
【0026】
右アーム50は、一対の右上レバー57と右下レバー58とを備えている。一対の右上レバー57と右下レバー58とは、右側回転部36の軸方向において離間し互いに対向する。図2に示すように、右アーム50の先端部には、ブレーキパッド12が取り付けられるパッド取付部材52が2個のパッド回転ピン53により接続されている。ブレーキパッド12が設けられる右アーム50の先端部が第1部に相当する。パッド回転ピン53は、右上レバー57と右下レバー58とに対して回転可能である。パッド回転ピン53は、パッド取付部材52に固定されている。右上レバー57と右下レバー58とは、右レバー連結ピン56によって連結されている。右アーム50の第1部と支点軸PBを挟んで反対側の右アーム50の基端部が第2部に相当する。
【0027】
(駆動装置15)
図2に示すように、駆動装置15は、空圧シリンダ70と、電動シリンダ100と、を備えている。電動シリンダ100は常用ブレーキとして機能し、空圧シリンダ70は保安ブレーキとして機能する。
【0028】
空圧シリンダ70は、左アーム40の先端部と右アーム50の先端部との相対距離が近づくように駆動することで、ディスク11をブレーキパッド12で挟んで車輪を制動する。空圧シリンダ70は、第2駆動部として機能する。
【0029】
電動シリンダ100は、左アーム40の基端部及び右アーム50の基端部を駆動することで、ディスク11をブレーキパッド12で挟んで車輪を制動する。電動シリンダ100は、左アーム40の支点軸PA1を中心として左アーム40を回転させるとともに、右アーム50の支点軸PBを中心として右アーム50を回転させる。電動シリンダ100は、第1駆動部として機能する。
【0030】
(空圧シリンダ70)
空圧シリンダ70は、ボディ30の第2支持部33の左側の面に取り付けられている。なお、第2支持部33の空圧シリンダ70が取り付けられる面は、左アーム40及び右アーム50の延出方向と平行であって、ブレーキパッド12の面と平行である。ボディ30の第2支持部33の中央には、開口33Aが設けられている。開口33Aは、左アーム40及び右アーム50の長手方向に延出する長孔となっている。このため、空圧シリンダ70を着脱するときに、開口33Aにおいて左アーム40及び右アーム50の長手方向に移動させることができる。
【0031】
空圧シリンダ70は、第1シリンダ室71と、第1ピストン72と、第1ロッド73と、第1ばね74とを備えている。第1ピストン72は、第1シリンダ室71の中を移動する。第1ロッド73は、第1ピストン72に固定されて第1シリンダ室71から突出する。第1ばね74は、第1ロッド73が第1シリンダ室71に収容される方向に第1ピストン72を付勢する。第1シリンダ室71の第1ばね74が設けられていない側を第1空間75とする。空圧シリンダ70は、第1シリンダ室71の第1空間75に圧縮空気を供給する第1供給ポート(図示略)を備えている。第1供給ポートは、第1シリンダ室71の外部に設けられている。空圧シリンダ70は、第1シリンダ室71の第1空間75に圧縮空気が供給されると第1ピストン72が押されて第1ロッド73が突出する。また、空圧シリンダ70は、第1シリンダ室71の第1空間75から圧縮空気が排出されると第1ピストン72が第1ばね74に押されて第1ロッド73が第1シリンダ室71に収容される。第1ばね74は、第2制限部として機能する。
【0032】
回転レバー35Aの先端には、回転するローラ35Bが取り付けられている。第1ロッド73の先端には、ローラ35Bを収容するとともにローラ35Bに接触する貫通孔である収容部73Aが設けられている。この収容部73Aは、第1ロッド73の直線運動と回転レバー35Aの回転運動とのずれを吸収しつつ、第1ロッド73の駆動力を回転レバー35Aに伝達する。空圧シリンダ70は、回転レバー35Aを回転することで、左側回転部35を回転させて、左アーム40の先端部を、右アーム50の先端部に近づかせる。
【0033】
(電動シリンダ100)
図1に示すように、電動シリンダ100は、左アーム40の基端部と右アーム50の基端部とを連結している。左アーム40と電動シリンダ100とは、上下一対のボルト45によって回動可能に連結されている。右アーム50と電動シリンダ100とは、上下一対のボルト55によって回動可能に連結されている。左アーム40と電動シリンダ100とは回転軸44にて回転し、右アーム50と電動シリンダ100とは回転軸54にて回転する。回転軸44及び回転軸54は、力点に相当する。
【0034】
電動シリンダ100は、第1ケース111と、第2ケース112とを備えている。第1ケース111と第2ケース112とは、分離している。第1ケース111は、右上レバー57の基端部と右下レバー58の基端部との間に接続されている。第1ケース111と右上レバー57及び右下レバー58とは、回動可能にボルト55によって連結されている。第2ケース112は、左上レバー47の基端部と左下レバー48の基端部との間に接続されている。第2ケース112と左上レバー47及び左下レバー48とは、回動可能にボルト45によって連結されている。
【0035】
図2に示すように、電動シリンダ100は、電動モータ101と、減速機103と、ボールねじ104と、電磁ブレーキ105と、を備えている。電動モータ101、減速機103、及び電磁ブレーキ105は、第1ケース111に収納されている。電動モータ101の駆動力は、減速機103を介してボールねじ104に伝達される。電動モータ101には、駆動軸102が設けられている。駆動軸102は、減速機103に接続されている。ボールねじ104は、ねじ軸104Aと、ナット104Bとを備えている。ねじ軸104Aは、減速機103に接続されている。ナット104Bの内壁には、ねじ軸104Aの雄ねじと螺合する雌ねじが設けられている。ナット104Bは、ねじ軸104Aの雄ねじに螺合しながらねじ軸104Aに対して回転する。ナット104Bは、ねじ軸104Aが回転するとねじ軸104Aの軸方向へ移動する。ボールねじ104は、回転運動を直線運動に変換する回転直動変換機構である。ナット104Bは、第2ケース112に固定されている。よって、電動モータ101が駆動すると、ねじ軸104Aが回転して、ナット104Bが直線移動することで第2ケース112が第1ケース111に対して相対移動する。電磁ブレーキ105は、駆動軸102の減速機103が設けられた側と反対側に接続されている。電磁ブレーキ105は、通電されると、駆動軸102の回転を停止する。一方、電磁ブレーキ105は、非通電状態では、駆動軸102の回転を許容する。電磁ブレーキ105は、第1制限部として機能する。ブレーキキャリパ装置20は、電動シリンダ100が制動した状態で、電磁ブレーキ105を作動させることで、駐車ブレーキとして機能する。電磁ブレーキ105は、図示しない手動開放機構を備えている。電動モータ101は、電動機に相当する。
【0036】
(制御部60)
ブレーキキャリパ装置20は、制御部60を備えている。制御部60は、空圧シリンダ70及び電動シリンダ100を制御する。制御部60は、電磁弁61を制御することで空圧シリンダ70を制御する。電磁弁61は、空圧シリンダ70への圧縮空気の供給と停止とを切り替える。電磁弁61は、通電されると開弁し、停電されると閉弁する。制御部60は、電動モータ101を制御することで電動シリンダ100を制御する。制御部60は、電磁ブレーキ105を制御する。
【0037】
制御部60は、電動シリンダ100を駆動するときには、第1空間75から圧縮空気を排出することで第1ばね74を作動させて空圧シリンダ70の駆動を制限する。よって、電動シリンダ100を駆動するときには、第1ばね74が作動して空圧シリンダ70の駆動が制限される。また、制御部60は、空圧シリンダ70を駆動するときには、電磁ブレーキ105を作動させて電動シリンダ100の駆動を制限する。よって、空圧シリンダ70を駆動するときには、電磁ブレーキ105が作動して電動シリンダ100の駆動が制限される。
【0038】
制御部60は、空圧シリンダ70及び電動シリンダ100の一方に異常がある場合には、空圧シリンダ70及び電動シリンダ100の他方を駆動させる。空圧シリンダ70又は電動シリンダ100の異常は、空圧シリンダ70又は電動シリンダ100を駆動させているにもかかわらず、鉄道車両が減速しないことで検知可能である。また、電動シリンダ100の異常は、電動モータ101の電流異常等によって検知可能である。こうすることで、電源喪失時等に電動シリンダ100に替わって空圧シリンダ70が駆動するので、冗長性を有し、信頼性を高めることができる。
【0039】
制御部60は、空圧シリンダ70及び電動シリンダ100の一方を駆動させるときには、空圧シリンダ70及び電動シリンダ100の他方の駆動を停止させる。空圧シリンダ70の停止は、第1ばね74が作動している状態である。電動シリンダ100の停止は、電動モータ101に通電していない状態である。こうすることで、電動シリンダ100と空圧シリンダ70との駆動が干渉せず、独立して駆動させることができる。
【0040】
制御部60は、ブレーキパッド12がディスク11に接触するまで空圧シリンダ70を駆動して、ブレーキパッド12がディスク11を押圧するように電動シリンダ100を駆動する。このようにすれば、電動モータ101を制御することで細かい制動が可能となる。
【0041】
電動シリンダ100は、隙間調整装置を兼ねる。隙間調整装置は、ブレーキパッド12とディスク11との隙間を調整する。つまり、隙間調整装置は、左アーム40の基端部と右アーム50の基端部との距離を調整することでブレーキパッド12とディスク11との隙間を調整する。第1ロッド73の移動量を検知するセンサ(図示略)を備えている。隙間調整装置は、ブレーキパッド12の摩耗によってブレーキパッド12とディスク11との隙間が長くなったときに、左アーム40の基端部と右アーム50の基端部との距離を伸長することで、ブレーキパッド12とディスク11との隙間を短くする。電動シリンダ100は、ボールねじ104の初期位置を調整することで、ブレーキパッド12とディスク11との隙間を調整する。制御部60は、電動モータ101の制動時の駆動量が所定値になるようにボールねじ104の初期位置を調整する。
【0042】
(作用)
次に、図2図4を参照して、上記ブレーキキャリパ装置20の作用について説明する。
【0043】
(常用ブレーキ)
図3に示すように、ブレーキキャリパ装置20は、常用ブレーキを作動させるときには、ブレーキパッド12がディスク11に接触するまで空圧シリンダ70を駆動して、ブレーキパッド12がディスク11を押圧するように電動シリンダ100を駆動する。まず、空圧シリンダ70の第1空間75に圧縮空気が供給される。空圧シリンダ70へ圧縮空気が供給されると、空圧シリンダ70の第1ロッド73は、第1ピストン72とともに第1シリンダ室71から突出する方向に移動してローラ35Bを介して回転レバー35Aを時計回りに駆動する。なお、空圧シリンダ70が駆動しているときは、電動シリンダ100は停止している。
【0044】
第1ロッド73が第1シリンダ室71から突出する方向に移動すると、回転レバー35Aは左側回転部35とともに偏心軸PA2を回転中心として時計回りに回転する。左側回転部35が偏心軸PA2を回転中心として時計回りに回転すると、左アーム40が回転軸44を回転中心として左側のブレーキパッド12がディスク11に接触する方向に回転して、左側のブレーキパッド12がディスク11に接触する。つまり、左アーム40及び右アーム50間の距離が近づく。
【0045】
続いて、左側のブレーキパッド12がディスク11に接触した後、左アーム40はパッド回転ピン43を回転中心として時計回りに回転する。そして、左アーム40がパッド回転ピン43を回転中心として回転すると、右アーム50は、回転軸44、電動シリンダ100、及び回転軸54を介して右側回転部36の支点軸PBを回転中心として時計回りに回転して、右側のブレーキパッド12がディスク11に接触する。
【0046】
両側のブレーキパッド12がディスク11に接触した後、電動シリンダ100の電動モータ101が正方向に駆動する。電動モータ101が駆動軸102を正方向に回転することによって減速機103を介してねじ軸104Aが回転することで、ナット104Bがねじ送りされて第2ケース112が第1ケース111から離間する方向に移動する。このとき、電磁ブレーキ105は作動していない。なお、電動シリンダ100が駆動しているときは、空圧シリンダ70は停止している。
【0047】
第2ケース112が第1ケース111から離間する方向に移動すると、ディスク11の両面を左右のブレーキパッド12が押圧することで、ディスク11の回転を制限する。ブレーキパッド12の押圧力によって制動が調整される。
【0048】
続いて、ブレーキキャリパ装置20は、常用ブレーキを保持するときには、電動モータ101の電磁ブレーキ105を作動させて電動シリンダ100の駆動が制限されるとともに、電動モータ101が停止される。こうすることで、常用ブレーキが作動した状態を保持する。
【0049】
続いて、ブレーキパッド12が摩耗した状態では、電動シリンダ100は電動モータ101の駆動によって同様に動作して、ナット104Bの移動量がブレーキパッド12の摩耗量に応じて増加する。そして、ブレーキパッド12の摩耗量が大きくなり、ナット104Bの第1ロッド73の移動量が所定値以上となると、電動シリンダ100が動作する。すなわち、制御部60は、電動シリンダ100を伸長させて、ブレーキパッド12とディスク11との隙間を短くする。
【0050】
続いて、図2に示すように、ブレーキキャリパ装置20は、常用ブレーキを緩解させるときには、電動シリンダ100を逆方向に駆動してブレーキパッド12によるディスク11の押圧を解除して、空圧シリンダ70によるブレーキパッド12とディスク11との接触を解除する。まず、電動シリンダ100の電動モータ101を逆方向に駆動する。電動モータ101が駆動軸102を逆方向に回転することによって減速機103を介してねじ軸104Aが逆方向に回転することで、ナット104Bがねじ送りされて第2ケース112が第1ケース111に近づく方向に移動する。第2ケース112が第1ケース111に近づく方向に移動すると、左アーム40の回転軸44と右アーム50の回転軸54とが近づく。そして、ディスク11に対するブレーキパッド12の押圧が解除される。
【0051】
続いて、空圧シリンダ70への圧縮空気の供給を停止して、圧縮空気を排出する。空圧シリンダ70の圧縮空気が排出されると、第1ロッド73が第1シリンダ室71に戻る。回転レバー35Aは左側回転部35とともに偏心軸PA2を回転中心として反時計回りに回転する。左側回転部35が偏心軸PA2を回転中心として反時計回りに回転すると、左アーム40が回転軸44を回転中心として左側のブレーキパッド12がディスク11から離間する方向に回転して、左側のブレーキパッド12がディスク11から離間する。
【0052】
(駐車ブレーキ)
ブレーキキャリパ装置20は、駐車ブレーキを作動させるときには、ディスク11の両面を左右のブレーキパッド12が押圧した状態で、電動シリンダ100の電磁ブレーキ105を作動させて、電動モータ101の駆動を停止する。駐車ブレーキを手動で解除したいときには、電磁ブレーキ105の手動開放機構を動作させる。
【0053】
(保安ブレーキ)
図3に示すように、ブレーキキャリパ装置20は、保安ブレーキを作動させるときには、空圧シリンダ70の第1空間75に圧縮空気が供給される。空圧シリンダ70へ圧縮空気が供給されると、空圧シリンダ70の第1ロッド73は、第1ピストン72とともに第1シリンダ室71から突出する方向に移動してローラ35Bを介して回転レバー35Aを時計回りに駆動する。なお、空圧シリンダ70が駆動しているときは、電動シリンダ100は停止している。
【0054】
第1ロッド73が第1シリンダ室71から突出する方向に移動すると、回転レバー35Aは左側回転部35とともに偏心軸PA2を回転中心として時計回りに回転する。左側回転部35が偏心軸PA2を回転中心として支点軸PA1を時計回りに回転すると、左アーム40が回転軸44を回転中心として左側のブレーキパッド12がディスク11に接触する方向に回転して、左側のブレーキパッド12がディスク11に接触する。
【0055】
続いて、左側のブレーキパッド12がディスク11に接触した後、左アーム40はパッド回転ピン43を回転中心として時計回りに回転する。そして、左アーム40がパッド回転ピン43を回転中心として回転すると、右アーム50は、回転軸44、電動シリンダ100、及び回転軸54を介して右側回転部36の支点軸PBを回転中心として時計回りに回転して、右側のブレーキパッド12がディスク11に接触する。よって、ディスク11の両面を左右のブレーキパッド12が押圧することで、ディスク11の回転を制限する。ブレーキパッド12の押圧力によって制動が調整される。
【0056】
続いて、図2に示すように、ブレーキキャリパ装置20は、保安ブレーキを緩解させるときには、空圧シリンダ70への圧縮空気の供給を停止して、圧縮空気を排出する。空圧シリンダ70の圧縮空気が排出されると、第1ロッド73が第1シリンダ室71に戻る。回転レバー35Aは左側回転部35とともに偏心軸PA2を回転中心として反時計回りに回転する。左側回転部35が偏心軸PA2を回転中心として支点軸PA1を反時計回りに回転すると、左アーム40が回転軸44を回転中心として左側のブレーキパッド12がディスク11から離間する方向に回転して、左側のブレーキパッド12がディスク11から離間する。
【0057】
(常用ブレーキ)
図4に示すように、ブレーキキャリパ装置20は、常用ブレーキを作動させるときに、電動シリンダ100のみによって動作させてもよい。ブレーキキャリパ装置20は、電動シリンダ100の電動モータ101が正方向に駆動する。電動モータ101が駆動軸102を正方向に回転することによって減速機103を介してねじ軸104Aが回転することで、ナット104Bがねじ送りされて第2ケース112が第1ケース111から離間する方向に移動する。なお、電動シリンダ100が駆動しているときは、空圧シリンダ70は停止している。
【0058】
第2ケース112が第1ケース111から離間する方向に移動すると、左アーム40の回転軸44と右アーム50の回転軸54とが離間する。そして、左アーム40が支点軸PA1を回転中心として左側のブレーキパッド12がディスク11に接触する方向に回転して、左側のブレーキパッド12がディスク11に接触する。
【0059】
続いて、左側のブレーキパッド12がディスク11に接触した後、左アーム40はパッド回転ピン43を回転中心として時計回りに回転する。そして、左アーム40がパッド回転ピン43を回転中心として回転すると、右アーム50は、回転軸44、電動シリンダ100、及び回転軸54を介して右側回転部36の支点軸PBを回転中心として時計回りに回転して、右側のブレーキパッド12がディスク11に接触する。よって、ディスク11の両面を左右のブレーキパッド12が押圧することで、ディスク11の回転を制限する。ブレーキパッド12の押圧力によって制動が調整される。
【0060】
続いて、ブレーキキャリパ装置20は、常用ブレーキを保持するときには、電磁ブレーキ105を作動させて電動シリンダ100の駆動が制限されるとともに、電動モータ101が停止される。こうすることで、常用ブレーキが作動した状態を保持する。
【0061】
続いて、ブレーキキャリパ装置20は、常用ブレーキを緩解させるときには、電動シリンダ100の電動モータ101を逆方向に駆動する。電動モータ101が駆動軸102を逆方向に回転することによって減速機103を介してねじ軸104Aが逆方向に回転することで、ナット104Bがねじ送りされて第2ケース112が第1ケース111に近づく方向に移動する。第2ケース112が第1ケース111に近づく方向に移動すると、左アーム40の回転軸44と右アーム50の回転軸54とが近づく。そして、ディスク11に対するブレーキパッド12の押圧が解除される。
【0062】
続いて、左アーム40の回転軸44と右アーム50の回転軸54とが近づくと、左アーム40が支点軸PA1を回転中心として左側のブレーキパッド12がディスク11から離間する方向に回転して、左側のブレーキパッド12がディスク11から離間する。
【0063】
次に、第1実施形態の効果について説明する。
(1-1)一対の左アーム40及び右アーム50の基端部を駆動する電動シリンダ100と、左アーム40の左側回転部35を駆動する空圧シリンダ70とをブレーキキャリパ装置20が備える。このため、いずれか一方の駆動部が駆動することができなくなったとしても、他方の駆動部が駆動することで冗長性を有し、信頼性を高めることができる。
【0064】
(1-2)左アーム40及び右アーム50の基端部を駆動する電動シリンダ100と、回転レバー35Aを駆動して左側回転部35を偏心軸PA2を中心に回転させる空圧シリンダ70とをブレーキキャリパ装置20が備える。このため、空圧シリンダ70は偏心機構を介して左アーム40を駆動するため、空圧シリンダ70は電動シリンダ100よりも高倍率で左アーム40を駆動することができる。
【0065】
(1-3)電動シリンダ100が駆動するときには第1ばね74によって空圧シリンダ70の駆動が制限され、空圧シリンダ70が駆動するときには電磁ブレーキ105によって電動シリンダ100の駆動が制限される。このため、電動シリンダ100と空圧シリンダ70との駆動が干渉せず、独立して駆動させることができる。
【0066】
(1-4)電動シリンダ100及び空圧シリンダ70の一方に異常がある場合には、制御部60が電動シリンダ100及び空圧シリンダ70の他方を駆動させることで冗長性を有し、信頼性を高めることができる。
【0067】
(1-5)電動シリンダ100及び空圧シリンダ70の一方を駆動させるときには、電動シリンダ100及び空圧シリンダ70の他方の駆動を停止させる。このため、電動シリンダ100と空圧シリンダ70との駆動が干渉せず、独立して駆動させることができる。
【0068】
(1-6)電動シリンダ100と空圧シリンダ70とが駆動力を分配することで、電動シリンダ100及び空圧シリンダ70の必要な駆動力を低減することができる。ひいては電動シリンダ100及び空圧シリンダ70を小型化することができる。
【0069】
(1-7)回転レバー35Aを駆動すると左側回転部35を介して左アーム40を駆動することになるので、空圧シリンダ70によって高倍率で左アーム40及び右アーム50を駆動することができるとともに、空圧シリンダ70を小型化することができる。また、左アーム40の基端部及び右アーム50の基端部は低倍力で左アーム40及び右アーム50を駆動することができるので、電動シリンダ100によってブレーキパッド12とディスク11との相対距離を効率的に詰めることができる。
【0070】
(第2実施形態)
以下、図5を参照して、ブレーキキャリパ装置の第2実施形態について説明する。この実施形態のブレーキキャリパ装置は、駆動装置が上記第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0071】
(駆動装置15)
図5に示すように、駆動装置15は、ばねシリンダ80と、電動シリンダ100と、を備えている。電動シリンダ100は常用ブレーキとして機能し、ばねシリンダ80は駐車ブレーキ及び保安ブレーキとして機能する。電動シリンダ100は、第1実施形態と同様の構成である。
【0072】
ばねシリンダ80は、左アーム40の先端部と右アーム50の先端部との相対距離が近づくように駆動することで、ディスク11をブレーキパッド12で挟んで車輪を制動する。ばねシリンダ80は、ボディ30に取り付けられている。ばねシリンダ80は、第2駆動部として機能する。
【0073】
(ばねシリンダ80)
ばねシリンダ80は、第2シリンダ室81と、第2ピストン82と、第2ロッド83と、第2ばね84と、電磁クラッチ86とを備えている。第2ピストン82は、第2シリンダ室81の中を移動する。第2ロッド83は、第2ピストン82に固定されて第2シリンダ室81から突出する。第2ばね84は、第2ロッド83が第2シリンダ室81から突出する方向に第2ピストン82を付勢する。第2シリンダ室81の第2ばね84が設けられていない側を第2空間85とする。ばねシリンダ80は、第2シリンダ室81の第2空間85に圧縮空気を供給する第2供給ポート(図示略)を備えている。第2供給ポートは、第2シリンダ室81の外部に設けられている。ばねシリンダ80は、第2シリンダ室81の第2空間85に圧縮空気が供給されると第2ピストン82が押されて第2ロッド83が第2シリンダ室81に収容される。電磁クラッチ86は、通電状態で第2ピストン82の移動を規制することで、第2ばね84の付勢力が保持された状態を維持する。一方、非通電状態で電磁クラッチ86が開放されると、第2ピストン82の移動が許容され、第2ばね84の付勢力によって第2ピストン82が押される。第2ピストン82が第2ばね84に押されると、第2ロッド83が第2シリンダ室81から突出して第1ロッド73を押して第1ロッド73が突出する。電磁クラッチ86は、第2制限部として機能する。電磁クラッチ86は、図示しない手動開放機構を備えている。
【0074】
回転レバー35Aの先端には、回転するローラ35Bが取り付けられている。第1ロッド73の先端には、ローラ35Bを収容するとともに接触する貫通孔である収容部73Aが設けられている。この収容部73Aは、第1ロッド73の直線運動と回転レバー35Aの回転運動とのずれを吸収しつつ、第1ロッド73の駆動力を回転レバー35Aに伝達する。ばねシリンダ80は、回転レバー35Aを回転することで、左側回転部35を回転させて、左アーム40の先端部を、右アーム50の先端部に近づかせる。
【0075】
(制御部60)
ブレーキキャリパ装置20は、制御部60を備えている。制御部60は、ばねシリンダ80及び電動シリンダ100を制御する。制御部60は、電磁弁61を制御することでばねシリンダ80を制御する。電磁弁61は、ばねシリンダ80への圧縮空気の供給と停止とを切り替える。電磁弁61は、通電されると開弁し、停電されると閉弁する。制御部60は、電動モータ101を制御することで電動シリンダ100を制御する。制御部60は、電磁ブレーキ105を制御する。
【0076】
制御部60は、電動シリンダ100を駆動するときには、電磁クラッチ86を作動させてばねシリンダ80の駆動を制限する。よって、電動シリンダ100を駆動するときには、電磁クラッチ86が作動してばねシリンダ80の駆動が制限される。また、制御部60は、ばねシリンダ80を駆動するときには、電磁ブレーキ105を作動させて電動シリンダ100の駆動を制限する。よって、ばねシリンダ80を駆動するときには、電磁ブレーキ105が作動して電動シリンダ100の駆動が制限される。
【0077】
制御部60は、ばねシリンダ80及び電動シリンダ100の一方に異常がある場合には、ばねシリンダ80及び電動シリンダ100の他方を駆動させる。ばねシリンダ80又は電動シリンダ100の異常は、ばねシリンダ80又は電動シリンダ100を駆動させているにもかかわらず、鉄道車両が減速しないことで検知可能である。また、電動シリンダ100の異常は、電動モータ101の電流異常等によって検知可能である。こうすることで、冗長性を有し、信頼性を高めることができる。
【0078】
制御部60は、ばねシリンダ80及び電動シリンダ100の一方を駆動させるときには、ばねシリンダ80及び電動シリンダ100の他方の駆動を停止させる。ばねシリンダ80の停止は、電磁クラッチ86が作動している状態である。電動シリンダ100の停止は、電動モータ101に通電していない状態である。こうすることで、電動シリンダ100とばねシリンダ80との駆動が干渉せず、独立して駆動させることができる。
【0079】
(作用)
次に、上記ブレーキキャリパ装置20の作用について説明する。
(常用ブレーキ)
【0080】
図5に示すように、ブレーキキャリパ装置20は、常用ブレーキを作動させるときには、電動シリンダ100によって駆動する。ブレーキキャリパ装置20は、電動シリンダ100の電動モータ101が正方向に駆動する。電動モータ101が駆動軸102を正方向に回転することによって減速機103を介してねじ軸104Aが回転することで、ナット104Bがねじ送りされて第2ケース112が第1ケース111から離間する方向に移動する。このとき、電磁ブレーキ105は作動していない。なお、電動シリンダ100が駆動しているときは、ばねシリンダ80は停止している。
【0081】
第2ケース112が第1ケース111から離間する方向に移動すると、左アーム40の回転軸44と右アーム50の回転軸54とが離間する。そして、左アーム40が支点軸PA1を回転中心として左側のブレーキパッド12がディスク11に接触する方向に回転して、左側のブレーキパッド12がディスク11に接触する。つまり、左アーム40及び右アーム50間の距離が近づく。
【0082】
続いて、左側のブレーキパッド12がディスク11に接触した後、左アーム40はパッド回転ピン43を回転中心として時計回りに回転する。そして、左アーム40がパッド回転ピン43を回転中心として回転すると、右アーム50は、回転軸44、電動シリンダ100、及び回転軸54を介して右側回転部36の支点軸PBを回転中心として時計回りに回転して、右側のブレーキパッド12がディスク11に接触する。よって、ディスク11の両面を左右のブレーキパッド12が押圧することで、ディスク11の回転を制限する。ブレーキパッド12の押圧力によって制動が調整される。
【0083】
続いて、ブレーキキャリパ装置20は、常用ブレーキを保持するときには、電磁ブレーキ105を作動させて、電動シリンダ100の駆動を停止する。こうすることで、常用ブレーキが作動した状態を保持する。
【0084】
続いて、ブレーキキャリパ装置20は、常用ブレーキを緩解させるときには、電動シリンダ100の電動モータ101を逆方向に駆動する。電動モータ101が駆動軸102を逆方向に回転することによって減速機103を介してねじ軸104Aが逆方向に回転することで、ナット104Bがねじ送りされて第2ケース112が第1ケース111に近づく方向に移動する。第2ケース112が第1ケース111に近づく方向に移動すると、左アーム40の回転軸44と右アーム50の回転軸54とが近づく。
【0085】
続いて、左アーム40の回転軸44と右アーム50の回転軸54とが近づくと、左アーム40が支点軸PA1を回転中心として左側のブレーキパッド12がディスク11から離間する方向に回転して、左側のブレーキパッド12がディスク11から離間する。
【0086】
(駐車ブレーキ)
ブレーキキャリパ装置20は、駐車ブレーキを作動させるときには、ディスク11の両面を左右のブレーキパッド12が押圧した状態で、電動シリンダ100の電磁ブレーキ105を作動させて、電動モータ101の駆動を停止する。また、ばねシリンダ80の電磁クラッチ86を開放して、第2ばね84によって第1ロッド73を押圧する。駐車ブレーキの保持は、ばねシリンダ80の付勢力によって行う。駐車ブレーキを手動で解除したいときには、電磁ブレーキ105の手動開放機構を動作させる。
【0087】
(保安ブレーキ)
ブレーキキャリパ装置20は、保安ブレーキを作動させるときには、電動シリンダ100の電磁ブレーキ105を作動させて、電動モータ101の駆動を停止する。また、ばねシリンダ80の電磁クラッチ86を開放して、第2ばね84によって第1ロッド73を押圧する。保安ブレーキの保持は、ばねシリンダ80の付勢力によって行う。
【0088】
ブレーキキャリパ装置20は、保安ブレーキを緩解させるときには、電動シリンダ100の電磁ブレーキ105を停止させて、電動モータ101を逆方向に駆動させる。電動モータ101が駆動軸102を逆方向に回転することによって減速機103を介してねじ軸104Aが逆方向に回転することで、ナット104Bがねじ送りされて第2ケース112が第1ケース111に近づく方向に移動する。第2ケース112が第1ケース111に近づく方向に移動すると、左アーム40の回転軸44と右アーム50の回転軸54とが近づく。そして、ディスク11に対するブレーキパッド12の押圧が解除される。
【0089】
次に、第2実施形態の効果について説明する。
(2-1)一対の左アーム40及び右アーム50の基端部を駆動する電動シリンダ100と、左アーム40の左側回転部35を駆動するばねシリンダ80とをブレーキキャリパ装置20が備える。このため、いずれか一方の駆動部が駆動することができなくなったとしても、他方の駆動部が駆動することで冗長性を有し、信頼性を高めることができる。
【0090】
(2-2)左アーム40及び右アーム50の基端部を駆動する電動シリンダ100と、回転レバー35Aを駆動して左側回転部35を偏心軸PA2を中心に回転させるばねシリンダ80とをブレーキキャリパ装置20が備える。このため、ばねシリンダ80は偏心機構を介して左アーム40を駆動するため、ばねシリンダ80は電動シリンダ100よりも高倍率で左アーム40を駆動することができる。
【0091】
(2-3)電動シリンダ100が駆動するときには電磁クラッチ86によってばねシリンダ80の駆動が制限され、ばねシリンダ80が駆動するときには電磁ブレーキ105によって電動シリンダ100の駆動が制限される。このため、電動シリンダ100とばねシリンダ80との駆動が干渉せず、独立して駆動させることができる。
【0092】
(2-4)電動シリンダ100及びばねシリンダ80の一方に異常がある場合には、制御部60が電動シリンダ100及びばねシリンダ80の他方を駆動させることで冗長性を有し、信頼性を高めることができる。
【0093】
(2-5)電動シリンダ100及びばねシリンダ80の一方を駆動させるときには、電動シリンダ100及びばねシリンダ80の他方の駆動を停止させるので、電動シリンダ100とばねシリンダ80との駆動が干渉せず、独立して駆動させることができる。
【0094】
(第3実施形態)
以下、図6を参照して、ブレーキキャリパ装置の第3実施形態について説明する。この実施形態のブレーキキャリパ装置は、駆動装置が上記第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0095】
(駆動装置15)
図6に示すように、駆動装置15は、空圧シリンダ70と、ばねシリンダ80と、電動シリンダ100と、を備えている。電動シリンダ100及び空圧シリンダ70は常用ブレーキとして機能し、ばねシリンダ80は駐車ブレーキ及び保安ブレーキとして機能する。電動シリンダ100及び空圧シリンダ70は、第1実施形態と同様の構成である。ばねシリンダ80は、第2実施形態と同様の構成である。
【0096】
空圧シリンダ70は、ボディ30の第2支持部33の左側の面に取り付けられている。ばねシリンダ80は、ボディ30の第2支持部33の右側の面に取り付けられている。よって、空圧シリンダ70とばねシリンダ80とは、ボディ30の第2支持部33を挟んで設けられている。なお、第2支持部33の空圧シリンダ70とばねシリンダ80とが取り付けられる面は、左アーム40及び右アーム50の延出方向と平行であって、ブレーキパッド12の面と平行である。
【0097】
ボディ30の第2支持部33の中央には、開口33Aが設けられている。開口33Aは、左アーム40及び右アーム50の長手方向に延出する長孔となっている。このため、空圧シリンダ70及びばねシリンダ80を着脱するときに、開口33Aにおいて左アーム40及び右アーム50の長手方向に移動させることができる。
【0098】
第3実施形態のばねシリンダ80は、第2シリンダ室81の第2空間85に圧縮空気が供給されると第2ピストン82が押されて第2ロッド83が第2シリンダ室81に収容される。また、ばねシリンダ80は、第2シリンダ室81の第2空間85から圧縮空気が排出されると第2ピストン82が第2ばね84に押されて第2ロッド83が第2シリンダ室81から第1シリンダ室71に突出する。そして、第2ロッド83が第1ピストン72を押して第1ロッド73が突出して、回転レバー35Aを押す。
【0099】
第1シリンダ室71は、開口33Aに突出する第1突出部71Aを備えている。第2シリンダ室81は、開口33Aに突出する第2突出部81Aを備えている。第2突出部81Aには、第2ロッド83が貫通している。第1突出部71Aは、第2突出部81Aの外周に嵌合している。これにより、空圧シリンダ70の第1ロッド73とばねシリンダ80の第2ロッド83とは、同軸上に位置して、ばねシリンダ80の出力が空圧シリンダ70に伝達される。空圧シリンダ70の第1ロッド73が移動するときには、ばねシリンダ80の第2ロッド83が移動しない。
【0100】
第3実施形態の電動シリンダ100は、減速機を備えず、駆動軸102とボールねじ104のねじ軸104Aとが連結又は一体成型されている。電動モータ101によって駆動軸102が回転するとねじ軸104Aが一緒に回転する。
【0101】
制御部60は、ブレーキパッド12がディスク11に接触するまで電動シリンダ100を駆動して、ブレーキパッド12がディスク11を押圧するように空圧シリンダ70を駆動する。駐車ブレーキのときには、ばねシリンダ80でブレーキパッド12がディスク11を押圧するように駆動する。このため、ばねシリンダ80の第2ばね84の力を押圧から掛けることができ、ばねを小型化することが可能である。
【0102】
(作用)
次に、上記ブレーキキャリパ装置20の作用について説明する。
(常用ブレーキ)
【0103】
図6に示すように、ブレーキキャリパ装置20は、常用ブレーキを作動させるときには、ブレーキパッド12がディスク11に接触するまで電動シリンダ100を駆動して、ブレーキパッド12がディスク11を押圧するように空圧シリンダ70を駆動する。まず、ブレーキキャリパ装置20は、電動シリンダ100の電動モータ101が正方向に駆動する。電動モータ101が駆動軸102を正方向に回転することによって減速機103を介してねじ軸104Aが回転することで、ナット104Bがねじ送りされて第2ケース112が第1ケース111から離間する方向に移動する。このとき、電磁ブレーキ105は作動していない。なお、電動シリンダ100が駆動しているときは、ばねシリンダ80は停止している。
【0104】
第2ケース112が第1ケース111から離間する方向に移動すると、左アーム40の回転軸44と右アーム50の回転軸54とが離間する。そして、左アーム40が支点軸PA1を回転中心として左側のブレーキパッド12がディスク11に接触する方向に回転して、左側のブレーキパッド12がディスク11に接触する。つまり、左アーム40及び右アーム50間の距離が近づく。
【0105】
左側のブレーキパッド12がディスク11に接触した後、左アーム40はパッド回転ピン43を回転中心として時計回りに回転する。そして、左アーム40がパッド回転ピン43を回転中心として回転すると、右アーム50は、回転軸44、電動シリンダ100、及び回転軸54を介して右側回転部36の支点軸PBを回転中心として時計回りに回転して、右側のブレーキパッド12がディスク11に接触する。
【0106】
両側のブレーキパッド12がディスク11に接触した後、空圧シリンダ70の第1空間75に圧縮空気が供給される。空圧シリンダ70へ圧縮空気が供給されると、空圧シリンダ70の第1ロッド73は、第1ピストン72とともに第1シリンダ室71から突出する方向に移動してローラ35Bを介して回転レバー35Aを時計回りに駆動する。なお、空圧シリンダ70が駆動しているときは、電動シリンダ100は停止している。
【0107】
第1ロッド73が第1シリンダ室71から突出する方向に移動すると、回転レバー35Aは左側回転部35とともに偏心軸PA2を回転中心として時計回りに回転する。左側回転部35が偏心軸PA2を回転中心として時計回りに回転すると、ディスク11の両面を左右のブレーキパッド12が押圧することで、ディスク11の回転を制限する。ブレーキパッド12の押圧力によって制動が調整される。
【0108】
続いて、ブレーキキャリパ装置20は、常用ブレーキを保持するときには、電動モータ101の電磁ブレーキ105を作動させて電動シリンダ100の駆動が制限されるとともに、電動モータ101が停止される。こうすることで、常用ブレーキが作動した状態を保持する。
【0109】
続いて、ブレーキキャリパ装置20は、常用ブレーキを緩解させるときには、空圧シリンダ70への圧縮空気の供給を停止して、圧縮空気を排出する。空圧シリンダ70の圧縮空気が排出されると、第1ロッド73が第1シリンダ室71に戻る。よって、ディスク11に対するブレーキパッド12の押圧が解除される。
【0110】
続いて、電動シリンダ100の電動モータ101を逆方向に駆動する。電動モータ101が駆動軸102を逆方向に回転することによって減速機103を介してねじ軸104Aが逆方向に回転することで、ナット104Bがねじ送りされて第2ケース112が第1ケース111に近づく方向に移動する。第2ケース112が第1ケース111に近づく方向に移動すると、左アーム40の回転軸44と右アーム50の回転軸54とが近づく。よって、ブレーキパッド12がディスク11から離間する。
【0111】
(駐車ブレーキ)
ブレーキキャリパ装置20は、駐車ブレーキを作動させるときには、ディスク11の両面を左右のブレーキパッド12が押圧した状態で、ばねシリンダ80の第2ばね84を作動させて、ばねシリンダ80の第2ロッド83を第2シリンダ室81から突出させる。駐車ブレーキを手動で解除したいときには、ばねシリンダ80の手動開放機構を動作させる。
【0112】
(保安ブレーキ)
ブレーキキャリパ装置20は、保安ブレーキを作動させるときには、第2シリンダ室81の第2空間85から圧縮空気を排出することで第2ピストン82が第2ばね84に押されて第2ロッド83が第2シリンダ室81から第1シリンダ室71に突出する。そして、第2ロッド83が第1ピストン72を押して第1ロッド73が突出して、回転レバー35Aを押す。保安ブレーキの保持は、ばねシリンダ80の付勢力によって行う。
【0113】
ブレーキキャリパ装置20は、保安ブレーキを緩解させるときには、第2シリンダ室81の第2空間85に圧縮空気を供給することで第2ピストン82が押されて第2ロッド83が第2シリンダ室81に収容される。そして、第1ロッド73が第1ばね74によって第1シリンダ室71に収容されて、回転レバー35Aは左側回転部35とともに偏心軸PA2を回転中心として反時計回りに回転する。左側回転部35が偏心軸PA2を回転中心として支点軸PA1を反時計回りに回転すると、左アーム40が回転軸44を回転中心として左側のブレーキパッド12がディスク11から離間する方向に回転して、左側のブレーキパッド12がディスク11から離間する。
【0114】
次に、第3実施形態の効果について説明する。
(3-1)一対の左アーム40及び右アーム50の基端部を駆動する電動シリンダ100と、左アーム40の左側回転部35を駆動する空圧シリンダ70及びばねシリンダ80とをブレーキキャリパ装置20が備える。このため、いずれか一方の駆動部が駆動することができなくなったとしても、他方の駆動部が駆動することで冗長性を有し、信頼性を高めることができる。
【0115】
(3-2)左アーム40及び右アーム50の基端部を駆動する電動シリンダ100と、回転レバー35Aを駆動して左側回転部35を偏心軸PA2を中心に回転させる空圧シリンダ70及びばねシリンダ80とをブレーキキャリパ装置20が備える。このため、空圧シリンダ70及びばねシリンダ80は偏心機構を介して左アーム40を駆動するため、空圧シリンダ70及びばねシリンダ80は電動シリンダ100よりも高倍率で左アーム40を駆動することができる。
【0116】
(3-3)電動シリンダ100が駆動するときには第1ばね74によって空圧シリンダ70の駆動が制限され、空圧シリンダ70が駆動するときには電磁ブレーキ105によって電動シリンダ100の駆動が制限される。このため、電動シリンダ100と空圧シリンダ70との駆動が干渉せず、独立して駆動させることができる。
【0117】
(3-4)電動シリンダ100及び空圧シリンダ70の一方に異常がある場合には、制御部60が電動シリンダ100及び空圧シリンダ70の他方を駆動させることで冗長性を有し、信頼性を高めることができる。
【0118】
(3-5)電動シリンダ100及び空圧シリンダ70の一方を駆動させるときには、電動シリンダ100及び空圧シリンダ70の他方の駆動を停止させるので、電動シリンダ100と空圧シリンダ70との駆動が干渉せず、独立して駆動させることができる。
【0119】
(3-6)電動シリンダ100と空圧シリンダ70とが駆動力を分配することで、電動シリンダ100及び空圧シリンダ70の必要な駆動力を低減することができる。ひいては電動シリンダ100及び空圧シリンダ70を小型化することができる。
【0120】
(第4実施形態)
以下、図7を参照して、ブレーキキャリパ装置の第4実施形態について説明する。この実施形態のブレーキキャリパ装置は、駆動装置が上記第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0121】
(駆動装置15)
図7に示すように、駆動装置15は、電動シリンダ100と、電動シリンダ200と、を備えている。電動シリンダ100は常用ブレーキ及び駐車ブレーキとして機能し、電動シリンダ200は保安ブレーキとして機能する。電動シリンダ100は、第3実施形態と同様の構成である。電動シリンダ200は、第1実施形態の電動シリンダ100と同様の構成である。
【0122】
電動シリンダ200は、ボディ30の第2支持部33に取り付けられている。ボディ30の第2支持部33の中央には、開口33Aが設けられている。開口33Aは、左アーム40及び右アーム50の長手方向に延出する長孔となっている。このため、電動シリンダ200を着脱するときに、開口33Aにおいて左アーム40及び右アーム50の長手方向に移動させることができる。
【0123】
電動シリンダ200は、第1ケース211と、第2ケース212とを備えている。第1ケース211と第2ケース212とは、分離している。第1ケース211は、ボディ30の第2支持部33に取り付けられている。第2ケース212の先端には、第1ロッド73が接続されている。
【0124】
電動シリンダ200は、電動モータ201と、減速機203と、ボールねじ204と、電磁ブレーキ205と、を備えている。電動モータ201、減速機203、及び電磁ブレーキ205は、第1ケース211に収納されている。電動モータ201の駆動力は、減速機203を介してボールねじ204に伝達される。電動モータ201には、駆動軸202が設けられている。駆動軸202は、減速機203に接続されている。ボールねじ204は、ねじ軸204Aと、ナット204Bとを備えている。ねじ軸204Aは、減速機203に接続されている。ナット204Bの内壁には、ねじ軸204Aの雄ねじと螺合する雌ねじが設けられている。ナット204Bは、ねじ軸204Aの雄ねじに螺合しながらねじ軸204Aに対して回転する。ナット204Bは、ねじ軸204Aが回転するとねじ軸204Aの軸方向へ移動する。ボールねじ204は、回転運動を直線運動に変換する回転直動変換機構である。ナット204Bは、第2ケース212に固定されている。よって、電動モータ201が駆動すると、ねじ軸204Aが回転して、ナット204Bが直線移動することで第2ケース212が第1ケース211に対して相対移動する。電磁ブレーキ205は、駆動軸202の減速機203が設けられた側と反対側に接続されている。電磁ブレーキ205は、通電されると、駆動軸202の回転を停止する。一方、電磁ブレーキ205は、非通電状態では、駆動軸202の回転を許容する。電磁ブレーキ205は、第2制限部として機能する。ブレーキキャリパ装置20は、電動シリンダ200が制動した状態で、電磁ブレーキ205を作動させることで、駐車ブレーキとして機能する。電磁ブレーキ205は、図示しない手動開放機構を備えている。
【0125】
(制御部60)
制御部60は、電動シリンダ100及び電動シリンダ200を制御する。制御部60は、電動モータ101を制御することで電動シリンダ100を制御する。制御部60は、電動モータ201を制御することで電動シリンダ200を制御する。制御部60は、電磁ブレーキ105及び電磁ブレーキ205を制御する。
【0126】
制御部60は、電動シリンダ100を駆動するときには、電磁ブレーキ205を作動させて電動シリンダ200の駆動を制限する。よって、電動シリンダ100を駆動するときには、電磁ブレーキ205が作動して電動シリンダ200の駆動が制限される。また、制御部60は、電動シリンダ200を駆動するときには、電磁ブレーキ105を作動させて電動シリンダ100の駆動を制限する。よって、電動シリンダ200を駆動するときには、電磁ブレーキ105が作動して電動シリンダ100の駆動が制限される。
【0127】
制御部60は、電動シリンダ100及び電動シリンダ200の一方に異常がある場合には、電動シリンダ100及び電動シリンダ200の他方を駆動させる。電動シリンダ100又は電動シリンダ200の異常は、電動シリンダ100又は電動シリンダ200を駆動させているにもかかわらず、鉄道車両が減速しないことで検知可能である。また、電動シリンダ100,200の異常は、それぞれの電動モータ101,201の電流異常等によって検知可能である。こうすることで、冗長性を有し、信頼性を高めることができる。
【0128】
制御部60は、電動シリンダ100及び電動シリンダ200の一方を駆動させるときには、電動シリンダ100及び電動シリンダ200の他方の駆動を停止させる。電動シリンダ100の停止は、電動モータ101に通電していない状態である。電動シリンダ200の停止は、電動モータ201に通電していない状態である。こうすることで、電動シリンダ100と電動シリンダ200との駆動が干渉せず、独立して駆動させることができる。
【0129】
(作用)
次に、上記ブレーキキャリパ装置20の作用について説明する。
(常用ブレーキ)
【0130】
図7に示すように、ブレーキキャリパ装置20は、常用ブレーキを作動させるときには、ブレーキパッド12がディスク11に接触するまで電動シリンダ100を駆動して、ブレーキパッド12がディスク11を押圧するように電動シリンダ200を駆動する。まず、電動シリンダ100によって動作させる。ブレーキキャリパ装置20は、電動シリンダ100の電動モータ101が正方向に駆動する。電動モータ101が駆動軸102を正方向に回転することによってねじ軸104Aが一緒に回転することで、ナット104Bがねじ送りされて第2ケース112が第1ケース111から離間する方向に移動する。このとき、電磁ブレーキ105は作動していない。なお、電動シリンダ100が駆動しているときは、電動シリンダ200は停止している。
【0131】
第2ケース112が第1ケース111から離間する方向に移動すると、左アーム40の回転軸44と右アーム50の回転軸54とが離間する。そして、左アーム40が支点軸PA1を回転中心として左側のブレーキパッド12がディスク11に接触する方向に回転して、左側のブレーキパッド12がディスク11に接触する。つまり、左アーム40及び右アーム50間の距離が近づく。
【0132】
続いて、左側のブレーキパッド12がディスク11に接触した後、左アーム40はパッド回転ピン43を回転中心として時計回りに回転する。そして、左アーム40がパッド回転ピン43を回転中心として回転すると、右アーム50は、回転軸44、電動シリンダ100、及び回転軸54を介して右側回転部36の支点軸PBを回転中心として時計回りに回転して、右側のブレーキパッド12がディスク11に接触する。
【0133】
両側のブレーキパッド12がディスク11に接触した後、電動シリンダ200の電動モータ201が正方向に駆動する。電動モータ201が駆動軸202を正方向に回転することによってねじ軸204Aが一緒に回転することで、ナット204Bがねじ送りされて第2ケース212が第1ケース211から離間する方向に移動する。
【0134】
第2ケース212が第1ケース211から離間する方向に移動すると、第1ロッド73は、移動してローラ35Bを介して回転レバー35Aを時計回りに駆動する。このとき、電磁ブレーキ205は作動していない。なお、電動シリンダ200が駆動しているときは、電動シリンダ100は停止している。
【0135】
第1ロッド73が移動すると、回転レバー35Aは左側回転部35とともに偏心軸PA2を回転中心として時計回りに回転する。左側回転部35が偏心軸PA2を回転中心として時計回りに回転すると、ディスク11の両面を左右のブレーキパッド12が押圧することで、ディスク11の回転を制限する。ブレーキパッド12の押圧力によって制動が調整される。
【0136】
続いて、ブレーキキャリパ装置20は、常用ブレーキを保持するときには、電磁ブレーキ205を作動させて、電動シリンダ200の駆動を停止する。こうすることで、常用ブレーキが作動した状態を保持する。
【0137】
続いて、ブレーキキャリパ装置20は、常用ブレーキを緩解させるときには、電動シリンダ200の電動モータ201を逆方向に駆動する。電動モータ201が駆動軸202を逆方向に回転することによって減速機203を介してねじ軸204Aが逆方向に回転することで、ナット204Bがねじ送りされて第2ケース212が第1ケース211に近づく方向に移動する。第2ケース212が第1ケース211に近づく方向に移動すると、左アーム40の回転軸44と右アーム50の回転軸54とが近づく。よって、ディスク11に対するブレーキパッド12の押圧が解除される。
【0138】
続いて、電動シリンダ100の電動モータ101を逆方向に駆動する。電動モータ101が駆動軸102を逆方向に回転することによってねじ軸104Aが一緒に逆方向に回転することで、ナット104Bがねじ送りされて第2ケース112が第1ケース111に近づく方向に移動する。第2ケース112が第1ケース111に近づく方向に移動すると、左アーム40の回転軸44と右アーム50の回転軸54とが近づく。左アーム40の回転軸44と右アーム50の回転軸54とが近づくと、左アーム40が支点軸PA1を回転中心として左側のブレーキパッド12がディスク11から離間する方向に回転して、左側のブレーキパッド12がディスク11から離間する。
【0139】
(駐車ブレーキ)
ブレーキキャリパ装置20は、駐車ブレーキを作動させるときには、ディスク11の両面を左右のブレーキパッド12が押圧した状態で、電動シリンダ100の電磁ブレーキ105を作動させて、電動モータ101の駆動を停止する。駐車ブレーキの保持は、電磁ブレーキ105によって行う。駐車ブレーキを手動で解除したいときには、電磁ブレーキ105の手動開放機構を動作させる。
【0140】
(保安ブレーキ)
ブレーキキャリパ装置20は、保安ブレーキを作動させるときには、電動シリンダ200の電動モータ201を正方向に駆動させる。保安ブレーキの保持は、電動シリンダ200の電磁ブレーキ205によって行う。
【0141】
ブレーキキャリパ装置20は、保安ブレーキを緩解させるときには、電動シリンダ200の電磁ブレーキ205を停止させて、電動モータ201を逆方向に駆動させる。電動モータ201が駆動軸202を逆方向に回転することによって減速機203を介してねじ軸204Aが逆方向に回転することで、ナット204Bがねじ送りされて第2ケース212が第1ケース211に近づく方向に移動する。第2ケース212が第1ケース211に近づく方向に移動すると、左アーム40の回転軸44と右アーム50の回転軸54とが近づく。そして、ディスク11に対するブレーキパッド12の押圧が解除される。
【0142】
次に、第4実施形態の効果について説明する。
(4-1)一対の左アーム40及び右アーム50の基端部を駆動する電動シリンダ100と、左アーム40の左側回転部35を駆動する電動シリンダ200とをブレーキキャリパ装置20が備える。このため、いずれか一方の駆動部が駆動することができなくなったとしても、他方の駆動部が駆動することで冗長性を有し、信頼性を高めることができる。
【0143】
(4-2)左アーム40及び右アーム50の基端部を駆動する電動シリンダ100と、回転レバー35Aを駆動して左側回転部35を偏心軸PA2を中心に回転させる電動シリンダ200とをブレーキキャリパ装置20が備える。このため、電動シリンダ200は偏心機構を介して左アーム40を駆動するため、電動シリンダ200は電動シリンダ100よりも高倍率で左アーム40を駆動することができる。
【0144】
(4-3)電動シリンダ100が駆動するときには電磁ブレーキ205によって電動シリンダ200の駆動が制限され、電動シリンダ200が駆動するときには電磁ブレーキ105によって電動シリンダ100の駆動が制限される。このため、電動シリンダ100と電動シリンダ200との駆動が干渉せず、独立して駆動させることができる。
【0145】
(4-4)電動シリンダ100及び電動シリンダ200の一方に異常がある場合には、制御部60が電動シリンダ100及び電動シリンダ200の他方を駆動させることで冗長性を有し、信頼性を高めることができる。
【0146】
(4-5)電動シリンダ100及び電動シリンダ200の一方を駆動させるときには、電動シリンダ100及び電動シリンダ200の他方の駆動を停止させるので、電動シリンダ100と電動シリンダ200との駆動が干渉せず、独立して駆動させることができる。
【0147】
(4-6)電動シリンダ100と電動シリンダ200とが駆動力を分配することで、電動シリンダ100及び電動シリンダ200の必要な駆動力を低減することができる。ひいては電動シリンダ100及び電動シリンダ200を小型化することができる。
【0148】
(4-7)減速比の小さい方の駆動部が駆動すると移動が速くなるのでブレーキパッド12をディスク11に速く接触させることができ、減速比の大きい方の駆動部が駆動すると駆動力が大きくなるので制動力が必要なときに制動させることができる。
【0149】
(他の実施形態)
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0150】
・上記第1実施形態では、制御部60は、ブレーキパッド12がディスク11に接触するまで空圧シリンダ70を駆動して、ブレーキパッド12がディスク11を押圧するように電動シリンダ100を駆動した。しかしながら、ブレーキパッド12がディスク11に接触するまで電動シリンダ100を駆動して、ブレーキパッド12がディスク11を押圧するように空圧シリンダ70を駆動してもよい。
【0151】
・上記第4実施形態では、制御部60は、力点に設けられた電動シリンダ100を、ブレーキパッド12がディスク11に接触するまで駆動して、支点に設けられた電動シリンダ200を、ブレーキパッド12がディスク11を押圧するように駆動した。しかしながら、支点に設けられた電動シリンダ200を、ブレーキパッド12がディスク11に接触するまで駆動して、力点に設けられた電動シリンダ100を、ブレーキパッド12がディスク11を押圧するように駆動してもよい。
【0152】
・上記各実施形態では、第1駆動部及び第2駆動部の一方を駆動させるときには、第1駆動部及び第2駆動部の他方の駆動を停止させた。しかしながら、第1駆動部及び第2駆動部の両方を駆動させてもよい。
【0153】
・上記各実施形態では、第1駆動部及び第2駆動部の一方に異常がある場合には、第1駆動部及び第2駆動部の他方を駆動させた。しかしながら、第1駆動部及び第2駆動部の一方に異常がある場合には、異常を報知してブレーキキャリパ装置20を停止させてもよい。
【0154】
・上記各実施形態では、第1駆動部が駆動するときには第2制限部によって第2駆動部の駆動が制限され、第2駆動部が駆動するときには第1制限部によって第1駆動部の駆動が制限された。しかしながら、第1制限部及び第2制限部を省略してもよい。
【0155】
・上記各実施形態では、左側回転部35の左アーム40の回転中心に対して偏心した位置で左側回転部35を回転させる回転レバー35Aを備えた。しかしながら、回転レバー35Aを省略して、左アーム40を直接駆動してもよい。
【0156】
・上記各実施形態では、左アーム40の基端部と右アーム50の基端部とに第1駆動部を取り付けた。しかしながら、左アーム40のブレーキパッド12が設けられる第1部と支持部である左側支持部32A(右側支持部32B)を挟んで反対側の一対の左アーム40及び右アーム50の部分であれば、第2部は基端部でなくてもよい。
【0157】
・上記各実施形態では、電動シリンダ100(200)に電磁ブレーキ105(205)を備えたが、電磁ブレーキに替えてメカニカルクラッチブレーキにしてもよい。
・上記各実施形態では、電動シリンダ100(200)に電動モータ101(201)と減速機103(203)とを備えたが、電動モータと減速機とに替えてダイレクトドライブモータにしてもよい。
【0158】
・上記各実施形態では、左側回転部35がボディ30を貫通したが、ボディ30が左側回転部35を保持する構造であれば、左側回転部35がボディ30を貫通しなくてもよい。
【0159】
・上記各実施形態において、複数の物体で構成されているものは、当該複数の物体を一体化してもよく、逆に一つの物体で構成されているものを複数の物体に分けることができる。一体化されているか否かにかかわらず、発明の目的を達成することができるように構成されていればよい。
【0160】
・上記各実施形態において、複数の機能が分散して設けられているものは、当該複数の機能の一部又は全部を集約して設けても良く、逆に複数の機能が集約して設けられているものを、当該複数の機能の一部又は全部が分散するように設けることができる。機能が集約されているか分散されているかにかかわらず、発明の目的を達成することができるように構成されていればよい。
【符号の説明】
【0161】
P…回転軸
PA1…支点軸
PA2…偏心軸
PB…支点軸
11…ディスク
12…ブレーキパッド
14…ブレーキキャリパ
15…駆動装置
20…ブレーキキャリパ装置
21…ブラケット
21A…第1ブラケット
21B…第2ブラケット
22…連結ピン
30…ボディ
31…基部
32…第1支持部
32A…左側支持部
32B…右側支持部
33…第2支持部
33A…開口
35…回転部
35A…回転レバー
35B…ローラ
35C…上端部
35D…下端部
36…右側回転部
40…左アーム
42…パッド取付部材
43…パッド回転ピン
44…回転軸
45…ボルト
46…左レバー連結ピン
47…左上レバー
48…左下レバー
50…右アーム
52…パッド取付部材
53…パッド回転ピン
54…回転軸
55…ボルト
56…右レバー連結ピン
57…右上レバー
58…右下レバー
60…制御部
61…電磁弁
70…第2駆動部としての空圧シリンダ
71…第1シリンダ室
72…第1ピストン
73…第1ロッド
73A…収容部
74…第2制限部としての第1ばね
75…第1空間
80…第2駆動部としてのばねシリンダ
81…第2シリンダ室
82…第2ピストン
83…第2ロッド
84…第2ばね
85…第2空間
86…第2制限部としての電磁クラッチ
100…第1駆動部としての電動シリンダ
101…電動モータ
102…駆動軸
103…減速機
104…ボールねじ
104A…ねじ軸
104B…ナット
105…第1制限部としての電磁ブレーキ
111…第1ケース
112…第2ケース
200…第2駆動部としての電動シリンダ
201…電動モータ
202…駆動軸
203…減速機
204…ボールねじ
204A…ねじ軸
204B…ナット
205…第2制限部としての電磁ブレーキ
211…第1ケース
212…第2ケース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7