(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168237
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】画像読取装置及びそれを備えた画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/04 20060101AFI20241128BHJP
H04N 1/191 20060101ALI20241128BHJP
G03B 27/50 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
H04N1/04 105
H04N1/191
G03B27/50 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084731
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】福留 正一
(72)【発明者】
【氏名】山中 久志
(72)【発明者】
【氏名】青木 礼至
【テーマコード(参考)】
5C072
【Fターム(参考)】
5C072AA01
5C072BA04
5C072BA15
5C072CA02
5C072DA02
5C072DA04
5C072EA05
5C072FB25
5C072LA02
5C072LA18
5C072MA01
5C072MB01
5C072NA01
5C072NA04
5C072UA13
5C072XA01
(57)【要約】
【課題】原稿読取ガラスの汚れを容易に認識することができる画像読取装置を提供する。
【解決手段】画像読取装置102は、原稿を搬送する原稿送り装置160と、原稿送り装置160により搬送される原稿Gの画像を読み取る読取部130と、を備え、読取部130は、原稿送り装置160により搬送される原稿Gが対向して通過する透明の原稿読取ガラス130bと、原稿読取ガラス130bを介して原稿Gの画像を読み取る走査光学系131と、を備え、走査光学系131は、原稿読取ガラス130b側を覆うハウジング24を有して移動可能であるミラーユニット131bを備え、読取待機状態において、ミラーユニット131bは、ハウジング24が原稿読取ガラス130bに対向するように位置する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を搬送する原稿送り部と、前記原稿送り部により搬送される前記原稿の画像を読み取る読取部と、を備えた画像読取装置であって、
前記読取部は、原稿送り部により搬送される前記原稿が対向して通過する透明の原稿読取ガラスと、前記原稿読取ガラスを介して前記原稿の前記画像を読み取る光学系と、を備え、
前記光学系は、前記原稿読取ガラス側を覆う筐体を有して移動可能であるミラーユニットを備え、
読取待機状態において、前記ミラーユニットは、前記筐体が前記原稿読取ガラスに対向するように位置する、ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載された画像読取装置であって、
前記光学系は前記原稿読取ガラスの下方に位置し、
前記筐体の上面は平面である、ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
請求項2に記載された画像読取装置であって、
前記筐体の上面は灰色である、ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
請求項1に記載された画像読取装置であって、
前記読取待機状態において、前記原稿読取ガラスにおいて前記原稿送り部により搬送される前記原稿が接触する領域と、前記筐体の上面とが対向するように、前記ミラーユニットが位置する、ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
請求項1に記載された画像読取装置であって、
前記読取待機状態において、前記原稿読取ガラスにおいて前記原稿送り部により搬送される前記原稿の先端が最初に接触する領域は、前記ミラーユニットの移動方向における前記筐体の上面の幅内に位置する、ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までの何れか1つに記載された画像読取装置を備えた、ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、原稿の画像を読み取る画像読取装置及びそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、ファクシミリ装置、スキャナ装置及びこれらの複数の機能を備えた複合機である画像形成装置は、原稿の画像を読み取る画像読取装置を備えている。
【0003】
このような画像読取装置によれば、光源を一定の走査速度で原稿面に平行に移動させて走査し、原稿面からの反射光を結像レンズによりCCDユニット上に結像させる読取光学系を備えている。この読取光学系としては、例えば、原稿台ガラス上に載置された原稿を光源によりスリット照射し、その反射光を第1ミラーにより原稿面に平行に反射させ、互いに直交する第2、第3ミラーを経て逆方向に反射させ、結像レンズによりCCDセンサ上に結像させるように構成したものが、一般的に用いられている。
【0004】
また、この画像読取装置に自動原稿搬送装置を取り付け、一定速度で搬送される原稿の画像を読み取ることもなされている。この場合は、上記読取光学系のうち、光源と第1~第3ミラーは、画像読取装置内の所定の位置に移動して停止した状態で、一定速度で搬送される原稿の画像を読み取ることとなる。
【0005】
このように自動原稿搬送装置により、一定速度で搬送される原稿の画像を読み取る場合は、読取光学系が原稿の画像を読み取る原稿読取ガラスにゴミや埃が付着した場合や、原稿読取ガラスがインク等で汚れている場合には、読み取られた画像に黒スジが生じることとなり、画質が大きく低下することとなる。そのため、このようなゴミや埃等の汚れは、画像を読み取る前に取り除いておく必要がある。しかし、一般的に画像読取装置は室内に設置されていることから、室内における照明では、ゴミや埃等の汚れを視覚により認識することが困難であるとの問題がある。
【0006】
このような問題を解決するために、例えば、特許文献1には、原稿読取ガラスであるコンタクトガラスの清掃の際に、読取光学系の光源を、原稿読取ガラスに隣接して設けられた照射光遮光用部材の下方に移動、停止させ、照射光遮光用部材に対して光源から光を照射させることができる画像読取装置が開示されている。
【0007】
特許文献1に開示された画像読取装置によると、所定の位置に停止した光源からの照射光が原稿読取ガラスを照らす間接光として機能するため、光源による強い照射光により目を痛めることなく、黒スジの発生原因となるゴミや埃等の汚れを認識することができる。そのため、ゴミや埃等の汚れを除去することができ、画質の低下を抑制することができるとの効果を奏する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、画像読取装置における原稿読取ガラスは透明であることから、強い照明光を照射したとしても、表面に付着したゴミや埃等の汚れを漏れなく認識することは容易ではない。特に、原稿読取ガラスは透明であることから、原稿読取ガラスを視ようとしても原稿読取ガラスの後ろ側に設置される画像読取装置の他の部材が透けて視えることとなり、原稿読取ガラスの表面に付着したゴミや埃等の汚れを視認することは困難である。
【0010】
このため、より容易に、原稿読取ガラスの表面に付着したゴミや埃等の汚れを視認することができる画像読取装置が求められている。
【0011】
本開示は、上述の事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、原稿読取ガラスの汚れを容易に認識することができる画像読取装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示の一態様に係る画像読取装置は、原稿を搬送する原稿送り部と、前記原稿送り部により搬送される前記原稿の画像を読み取る読取部と、を備えた画像読取装置であって、前記読取部は、原稿送り部により搬送される前記原稿が対向して通過する透明の原稿読取ガラスと、前記原稿読取ガラスを介して前記原稿の前記画像を読み取る光学系と、を備え、前記光学系は、前記原稿読取ガラス側を覆う筐体を有して移動可能であるミラーユニットを備え、読取待機状態において、前記ミラーユニットは、前記筐体が前記原稿読取ガラスに対向するように位置する、ことを特徴とする。
【0013】
これにより、読取待機状態において、ミラーユニットの筐体が原稿読取ガラスに対向するような位置となる。これにより、操作者は、原稿読取ガラスに汚れ等が付着していても、容易に汚れを視認することができる。そのため、読取動作を行う前に、確実に原稿読取ガラスの汚れ等を除去することができ、読取動作の際の画質の低下を抑制することができる。
【0014】
なお、読取待機状態とは、画像読取装置が作業動作をしていない状態である。読取待機状態において、ミラーユニットは移動していない状態であり、停止している。
【0015】
また、上述の画像読取装置において、前記光学系は前記原稿読取ガラスの下方に位置し、前記筐体の上面は平面であることとしてもよい。
【0016】
これにより、透明な原稿読取ガラスを視た場合に、透けて筐体の上面が視えることとなる。そのため、透明である原稿読取ガラスに付着した汚れ等を容易に認識することができる。特に、上面が平面であることから、汚れ等の認識が容易である。
【0017】
また、上述の画像読取装置において、前記筐体の上面は灰色であることとしてもよい。
【0018】
これにより、透明な原稿読取ガラスを視た場合に、透けて、灰色である筐体の上面が視えることとなる。ここで、原稿により、原稿読取ガラスには、例えば、黒いインク、赤いハンコ、白い修正液等の汚れが付着する可能性があり、これらの汚れは、筐体の灰色に対し目立つことになる。そのため、透明である原稿読取ガラスに付着した汚れ等を容易に認識することができる。
【0019】
また、上述の画像読取装置において、前記読取待機状態において、前記原稿読取ガラスにおいて前記原稿送り部により搬送される前記原稿が接触する領域と、前記筐体の上面とが対向するように、前記ミラーユニットが位置することとしてもよい。
【0020】
これにより、読取待機状態において、原稿読取ガラスにおいて汚れ等が付着する可能性の高い領域と、筐体の上面とが対向することから、効率よく、原稿読取ガラスに付着した汚れ等を容易に視認することができる。
【0021】
また、上述の画像読取装置において、前記読取待機状態において、前記原稿読取ガラスにおいて前記原稿送り部により搬送される前記原稿の先端が最初に接触する領域は、前記ミラーユニットの移動方向における前記筐体の上面の幅内に位置することとしてもよい。
【0022】
これにより、原稿読取ガラスにおいて最も汚れやすい箇所である原稿送り部により搬送される原稿の先端が最初に接触する箇所の汚れを、読取待機状態において操作者が容易に視認することができる。
【0023】
また、本開示の一態様に係る画像形成装置は、上述の画像読取装置を備えた、ことを特徴とする。
【0024】
これにより、原稿読取ガラスに汚れ等が付着していても、容易に汚れを視認することができる。そのため、読取動作を行う前に、確実に原稿読取ガラスの汚れ等を除去することができ、読取動作の際の画質の低下を抑制することができることから、形成する画像の画質の低下も抑制することができる。
【発明の効果】
【0025】
本開示によると、原稿読取ガラスの汚れを容易に認識することができる画像読取装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る画像形成装置の概略構成を透視的に示す正面図である。
【
図2】本開示の第1実施形態に係る原稿載置台に載置された原稿を読み取る際における画像形成装置の概略構成を透視的に示す拡大正面図である。
【
図3】本開示の第1実施形態に係る原稿送り装置を用いて搬送される原稿を読み取る際における画像形成装置の概略構成を透視的に示す拡大正面図である。
【
図4】本開示の第1実施形態に係る調整時における画像形成装置の原稿読取ガラス周辺の概略構成を透視的に示す拡大正面図である。
【
図5】本開示の第1実施形態に係る読取待機状態における画像形成装置の原稿読取ガラス周辺の概略構成を透視的に示す拡大正面図である。
【
図6】本開示の第1実施形態に係る読取待機状態における画像形成装置の画像読取部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本開示に係る実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0028】
(第1実施形態)
本開示の第1実施形態に係る画像形成装置について図面を参照して説明する。
図1は、本開示の第1実施形態に係る画像形成装置の概略構成を透視的に示す正面図である。
【0029】
画像形成装置100は、コピー機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能及びプリンタ機能を有する複合機であり、画像読取装置102及び画像形成装置本体101を備えている。
【0030】
画像読取装置102は、読取部130及び原稿送り装置160〔自動原稿搬送装置(ADF)〕を備えている。原稿送り装置160は、読取部130の上側に設けられ、読取部130に対して開閉自在に支持されている。
【0031】
原稿送り装置160は、1枚又は複数枚の原稿Gを1枚ずつ順に搬送する。画像読取装置102は、原稿送り装置160により1枚又は複数枚の原稿Gのうち1枚ずつ搬送される原稿Gを、読取部130により読み取る。
【0032】
読取部130は、原稿Gを載置するプラテンガラスである原稿載置台130aと、SPFガラスである原稿読取ガラス130bと、原稿Gの画像を読み取る走査光学系131とを備えている。
【0033】
また、走査光学系131は、光源ユニット131a、ミラーユニット131b、結像レンズ131c及びCCD(charge coupled device)等の撮像素子131dを備えている。原稿載置台130aと、原稿読取ガラス130bは透明であり、光を透過可能である。走査光学系131の光源ユニット131a及びミラーユニット131bは、図示しないモータ及びワイヤー(あるいはベルト)により移動可能であり、これら原稿載置台130a及び原稿読取ガラス130bを介して原稿Gの画像を走査して読み取る。具体的には、光源ユニット131aから照射される光が原稿載置台130a又は原稿読取ガラス130bを透過して原稿Gに達して反射した光が、光源ユニット131a、ミラーユニット131b、結像レンズ131cに、順次伝搬され、撮像素子131dに結像され、撮像素子131dにより電気信号に変換されることで、画像を画像データとして読み取る。なお、光源ユニット131a及びミラーユニット131bの詳細については、後述する。
【0034】
原稿送り装置160が開かれると、読取部130の上方の原稿載置台130aが露呈されて、原稿載置台130a上に原稿Gを手置きで置くことができるようになっている。また、原稿送り装置160は、原稿Gを載置する原稿載置トレイ161と、外部に排出された原稿Gを積載する原稿排出トレイ162とを備えている。画像形成装置100において、原稿送り装置160は、原稿載置トレイ161に載置された原稿Gを読取部130における原稿読取ガラス130b上に搬送する。
【0035】
読取部130は、走査光学系131を走査して原稿載置台130aに載置された原稿を読み取るか、又は、原稿送り装置160にて搬送される原稿Gを読み取って画像データを生成する。
【0036】
画像形成装置本体101は、画像転写部50、光走査装置1、中間転写ベルト装置70、2次転写装置11、定着装置12、シート搬送路S、給紙カセット18、シート排出トレイ141を備えている。
【0037】
画像形成装置100では、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像、又は、単色(例えば、ブラック)を用いたモノクロ画像に応じた画像データが扱われる。
【0038】
画像形成装置100の画像転写部50は、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの各色に対応する4つの画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdを有している。これら画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdは、それぞれ、現像装置2、感光体ドラム3、ドラムクリーニング装置4及び帯電器5を備え、これら画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdにより4種類のトナー像が形成される。つまり、画像形成装置100において、現像装置2、感光体ドラム3、ドラムクリーニング装置4及び帯電器5は、4つずつ設けられ、それぞれがブラック、シアン、マゼンタ及びイエローに対応付けられている。
【0039】
光走査装置1は、感光体ドラム3の表面を露光して静電潜像を形成する。現像装置2は、感光体ドラム3の表面の静電潜像を現像して、感光体ドラム3の表面にトナー像を形成する。ドラムクリーニング装置4は、感光体ドラム3の表面の残留トナーを除去及び回収する。帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させる。上述した一連の動作によって、各感光体ドラム3の表面に各色のトナー像が形成される。
【0040】
中間転写ベルト装置70は、中間転写ローラ6、無端状の中間転写ベルト71、中間転写駆動ローラ72、中間転写従動ローラ73及びクリーニング装置9を備えている。中間転写ベルト71は、周回移動可能な無端状のベルトであり、中間転写駆動ローラ72及び中間転写従動ローラ73に巻きかけられている。つまり、中間転写駆動ローラ72及び中間転写従動ローラ73は、中間転写ベルト71を張架している。中間転写ローラ6は、各色に応じた4種類のトナー像を形成するようにそれぞれ4つずつ中間転写ベルト71の内側に設けられている。中間転写ローラ6は、感光体ドラム3の表面に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト71に転写する。
【0041】
画像形成装置100は、各感光体ドラム3の表面に形成された各色のトナー像を順次転写して重ね合わせて、中間転写駆動ローラ72及び中間転写従動ローラ73に張架された中間転写ベルト71の表面にカラーのトナー像を形成する。クリーニング装置9は、シートPに転写されずに中間転写ベルト71の表面に残った廃トナーを除去及び回収する。
【0042】
2次転写装置11は、2次転写ローラ11aと中間転写ベルト71との間に転写ニップ領域TNを形成しており、シート搬送路Sを通じて搬送されてきたシートPを転写ニップ領域TNに挟み込んで搬送する。シートPは、転写ニップ領域TNを通過する際に、中間転写ベルト71の表面のトナー像が転写されて定着装置12に搬送される。
【0043】
定着装置12は、シートPを挟んで回転する定着ローラ31及び加圧ローラ32を備えている。定着装置12は、定着ローラ31及び加圧ローラ32の間にトナー像が転写されたシートPを挟み込んで加熱及び加圧し、トナー像をシートPに定着させる。具体的には、定着ローラ31の内部に熱源であるヒーターが配置されており、そのヒーターの発熱によりトナー像が転写されたシートPに接触する定着ローラ31の表面を加熱する。
【0044】
給紙カセット18は、画像形成に使用するシートPを蓄積しておくためのカセットであり、光走査装置1の下側に設けられている。シートPは、ピックアップローラ16によって給紙カセット18から引き出されて、シート搬送路Sに搬送される。シート搬送路Sに搬送されたシートPは、2次転写装置11や定着装置12を経由し、排出ローラ17に搬送され、排出部140におけるシート排出トレイ141に排出される。シート搬送路Sには、搬送ローラ13、レジストローラ14及び排出ローラ17が配置されている。搬送ローラ13は、シートPの搬送を促す。レジストローラ14は、シートPを一旦停止させてシートPの先端を揃える。さらに、レジストローラ14は、一旦停止したシートPを中間転写ベルト71上のカラートナー像のタイミングに合わせて搬送する。上述したように、中間転写ベルト71上のカラートナー像は、中間転写ベルト71と2次転写ローラ11aとの間の転写ニップ領域TNでシートPに転写される。
【0045】
なお、
図1では、給紙カセット18が1つとされているがこれに限定されず、複数の給紙カセット18を設けた構成とし、それぞれに異なる種類のシートPを積載してもよい。
【0046】
また、画像形成装置100は、シートPの表面だけでなく、裏面に画像形成を行う場合は、シートPを排出ローラ17からシート反転経路Srに逆方向に搬送する。画像形成装置100は、逆方向に搬送されたシートPの表裏を反転し、レジストローラ14に再度導く。また、画像形成装置100は、レジストローラ14に導かれたシートPを表面と同様にして裏面に画像形成し、シート排出トレイ141に搬出する。
【0047】
次に、図面を用いて、第1実施形態に係る画像形成装置100の光源ユニット131a及びミラーユニット131bの構成並びに読取動作について説明する。なお、光源ユニット131a及びミラーユニット131b等の構成については上述したが、以下では、より詳細に説明する。
【0048】
図2は、本開示の第1実施形態に係る原稿載置台に載置された原稿を読み取る際における画像形成装置の概略構成を透視的に示す拡大正面図である。
図3は、本開示の第1実施形態に係る原稿送り装置を用いて搬送される原稿を読み取る際における画像形成装置の概略構成を透視的に示す拡大正面図である。
図4は、本開示の第1実施形態に係る調整時における画像形成装置の原稿読取ガラス周辺の概略構成を透視的に示す拡大正面図である。
【0049】
図3に示すように、原稿送り装置160(
図1を参照)は、原稿読取ガラス130bにより原稿Gの画像を読み取る場合に、原稿読取ガラス130bに原稿Gを搬送するための原稿搬送ローラ25を備えている。原稿搬送ローラ25により原稿Gは原稿読取ガラス130b上を搬送され、その際に原稿Gの画像が読み取られる。また、原稿読取ガラス130b上を搬送された原稿Gは、原稿読取ガラス130b及び原稿載置台130aの間に設置されたすくい上げガイド26により上方に誘導されて原稿送り装置160内を搬送されて原稿排出トレイ162に排出される。
【0050】
図2に示すように、原稿読取ガラス130b及び原稿載置台130aの下方には、原稿Gの画像を読み取るための走査光学系131の一部である光源ユニット131a及びミラーユニット131bが設置されている。なお、上述したように、走査光学系131は、これら以外に結像レンズ131c及び撮像素子131d(
図1を参照)も備えているが、
図2では省略している。
【0051】
原稿送り装置160を用いて原稿Gの画像を読み取る場合は、上述したように、原稿Gを原稿載置トレイ161に載置すればよく、載置された原稿Gが、原稿搬送ローラ25等により原稿読取ガラス130b上に搬送されて、走査光学系131により画像が読み取られる。また、原稿送り装置160を用いずに手置きにより原稿Gの画像を読み取る場合は、原稿送り装置160を開いて露呈した原稿載置台130aに原稿Gを載置し、原稿送り装置160が閉じられて、光源ユニット131aが走査して原稿Gの画像を読み取る。
【0052】
光源ユニット131aは、光を照射する光源20及び光を反射する第1ミラー21を備えている。光源20から照射された光は原稿載置台130a又は原稿読取ガラス130bを透過し、原稿載置台130a又は原稿読取ガラス130bの上方に位置する原稿Gに到達する。原稿G(原稿Gの画像)からの反射光は、第1ミラー21に入射し、反射されてミラーユニット131bに向かう。
【0053】
ミラーユニット131bは、ハウジング24と、ハウジング24により覆われた第2ミラー22及び第3ミラー23と、を備えている。第1ミラー21からミラーユニット131bに向かう上記光が、第2ミラー22に入射するような位置に第2ミラー22が配設されている。さらに、第1ミラー21からの光は第2ミラー22に入射し、第2ミラー22により反射される。第2ミラー22により反射された光は、第3ミラー23に入射され、反射される。第3ミラー23は、第2ミラー22からの光を反射して、結像レンズ131c(
図1を参照)に照射するように配設されている。結像レンズ131cは、第3ミラー23からの光を撮像素子131dに結像する(
図1を参照)。これにより、撮像素子131dは、原稿Gの画像を画像データに変換する。つまり、画像の反射光は、光の経路L1に沿って進む。
【0054】
ミラーユニット131bは、上述したように、光源ユニット131aからの光が入射され、結像レンズ131cに光を出射することとなるため、光源ユニット131a及び結像レンズ131c側についてはハウジング24の側壁は存在しておらず第2ミラー22及び第3ミラー23が外部に露呈している。つまり、
図2においてハウジング24の右側の側壁は存在していない。なお、ハウジング24は、少なくとも原稿読取ガラス130b又は原稿載置台130aと対向し、平面である上面24aが設けられていればよい。また、上面24aは灰色(グレー)である。なお、ハウジング24の全体がグレーであってもよいし、上面24aのみが灰色であってもかまわない。
【0055】
まず、原稿載置台130a上に原稿Gを載置して行う読取動作について説明する。
図2は、原稿載置台130aに載置された原稿Gの画像を読み取る状態である。なお、
図2において原稿Gは図示を省略している。
【0056】
原稿載置台130aに載置された原稿G(図示せず)の端部が、載置原稿端部位置29に位置することとなり、この位置から光源ユニット131aは走査を開始する。つまり、
図2の状態から、原稿Gの画像の読み取りが開始される。具体的には、この際に光源20から照射された光が原稿載置台130aを透過して原稿Gに照射され、上述したように、原稿Gの画像の反射光が第1ミラー21、第2ミラー22、第3ミラー23、結像レンズ131c(
図1を参照)を順に経由して撮像素子131d(
図1を参照)に入射されて画像データに変換される。
【0057】
光源ユニット131aは、
図2に示すように原稿Gの端部から、右側(ミラーユニット131bとは反対側)へと、原稿載置台130aに載置された原稿Gの表面と平行に移動して、原稿Gの画像を走査していく。この際、ミラーユニット131bも光源ユニット131aと同様に右側に移動するが、その移動速度は異なる。それにより、走査時における光の経路L1の長さを一定の長さになるようにし、画像からの光が撮像素子131dに適切に結像することとなる。光源ユニット131aは原稿Gの反対側の端部まで走査すると読取動作を終了する。そして、光源ユニット131a及びミラーユニット131bは、読取待機状態の位置に移動する。
【0058】
次に、原稿送り装置160を用いた場合の画像の読取動作について説明する。
図3は、原稿送り装置160を用いて、原稿読取ガラス130bを介して原稿Gの画像を読み取る際の状態である。
【0059】
原稿送り装置160を用いた場合は光源ユニット131a及びミラーユニット131bが固定されていて移動することなく、原稿読取ガラス130b上を移動する原稿Gの画像を読み取る。つまり、
図3に示すように、光源ユニット131aは読取位置27を通過する原稿Gの画像の反射光を第1ミラー21によりミラーユニット131bに伝搬させ、ミラーユニット131bは第2ミラー22及び第3ミラー23により結像レンズ131cに伝搬させ、さらに結像レンズ131cを介して撮像素子131dに結像し、画像データに変換する。
【0060】
原稿搬送ローラ25により搬送される原稿Gは、原稿経路Spに沿って搬送される。具体的には、原稿搬送ローラ25により搬送されて原稿読取ガラス130b上を通過し、その後にすくい上げガイド26により上方に向かって誘導される。原稿Gが原稿経路Spに沿って搬送される際に、読取位置27上を通過した画像の反射光が光の経路L2を進んで撮像素子131dにより画像データとして変換される。この場合は、光源ユニット131aは固定されており移動しないが、原稿Gが移動することにより、原稿Gの画像のすべてを読み取ることができる。なお、ミラーユニット131bも固定されている。
【0061】
また、このように原稿送り装置160を用いる場合は、原稿読取ガラス130b上を原稿Gが移動する際に原稿Gが原稿読取ガラス130bに接触することなるため、原稿読取ガラス130bが汚れる可能性がある。汚れの原因としては、例えば、搬送される原稿Gにより生じる紙粉や原稿Gに付着したインク、その他ゴミ、埃等であり、これらが原稿読取ガラス130bに汚れとして付着する可能性がある。
【0062】
なお、原稿Gは原稿読取ガラス130bにおける原稿接触位置28よりも下流側(すくい上げガイド26側)において原稿読取ガラス130bと接触することとなる。つまり、原稿接触位置28よりも上流側(すくい上げガイド26とは反対側)では原稿Gは原稿読取ガラス130bには接触しない。このように、原稿読取ガラス130bと接触する領域は汚れが付着しやすい。つまり、原稿読取ガラス130bにおいて原稿接触位置28よりも下流側の範囲である原稿接触領域28aは汚れが付着しやすいといえる。
【0063】
次に、
図2及び
図3により説明した読取動作の前や、画像形成装置100を起動した際において行われる走査光学系131の調整について説明する。原稿載置台130a又は原稿読取ガラス130bにおける原稿Gの画像の読取動作を行う前や、画像形成装置100の電源をONにした時である起動の際に、
図4に示すように、光源ユニット131aはすくい上げガイド26の真下あたりに移動し、すくい上げガイド26の下側の面に形成された白色の調整部材(シェーディングシート)26aに光源20から光を照射し、その反射光を光の経路L3に進行させて撮像素子131dにより画像データに変換することにより、色や明るさ等の調整を行うことで、適正な状態に調節する。
【0064】
画像形成装置100において、電源をONにした時や、読取動作を行う前には、上述したように、
図4に示すように調整動作(シェーディング動作)を行う。電源をONにして調整動作が完了した後や読取動作が終わった後等、画像形成装置100の電源は入っているが、読取動作や複写等の作業動作を行っていない状態では、画像形成装置100は読取待機状態となっている。つまり、読取待機状態では、光源ユニット131a及びミラーユニット131bは移動を行わず、停止している。この読取待機状態における光源ユニット131a及びミラーユニット131bの配置について、図面を用いて説明する。
【0065】
図5は、本開示の第1実施形態に係る読取待機状態における画像形成装置の原稿読取ガラス周辺の概略構成を透視的に示す拡大正面図である。
図6は、本開示の第1実施形態に係る読取待機状態における画像形成装置の画像読取部の平面図である。
【0066】
図5に示すように、読取待機状態において、ミラーユニット131bは原稿読取ガラス130bの真下に位置している。具体的には、読取待機状態以外の状態から、読取待機状態に移行する場合は、ミラーユニット131bのハウジング24が原稿読取ガラス130bに対向するような位置に移動し、移動が完了した状態で読取待機状態となる。読取待機状態に移行する場合は、特に、ハウジング24の上面24aが原稿接触位置28及びその下流側に配置される位置の真下に位置するよう、ミラーユニット131bが移動する。
図6に示すように、読取待機状態において、原稿接触領域28aの下方には上面24aが配置されることとなる。なお、上述したように、読取待機状態は、光源ユニット131a、ミラーユニット131bが移動していない状態で停止している状態である。
【0067】
これにより、読取待機状態において、操作者が原稿送り装置160を開いて露呈された原稿読取ガラス130bを視た場合に、透明である原稿読取ガラス130bの下方に灰色の上面24aが存在することから、灰色の上面24aが原稿読取ガラス130bを介して透けて視えることなる。これにより、原稿読取ガラス130bにおける原稿接触領域28aの表面に付着した汚れ、ゴミや埃等を容易に視認することができる。仮に、上面24aが原稿読取ガラス130bの下方に位置しない場合は、原稿読取ガラス130bが透明であることから原稿読取ガラス130bの表面に付着した汚れを視認することは困難であるが、第1実施形態によれば、容易に原稿読取ガラス130b(原稿接触領域28a)の汚れを認識することができる。このため、原稿読取ガラス130b(原稿接触領域28a)が汚れている場合に、操作者は読取動作を行う前に容易に原稿読取ガラス130bの汚れを認識でき原稿読取ガラス130bの汚れを除去した後に、読取動作を行うことができる。このため、原稿読取ガラス130bの汚れにより、画質が低下することを抑制することができる。
【0068】
上述したように、原稿読取ガラス130bにおいて原稿接触領域28aは汚れが付着しやすいことから、読取待機状態において、ハウジング24の上面24aが原稿接触領域28aの真下であって対向するように配置されることにより、読取動作において画質低下の原因となる汚れについて効率よく、容易に認識できることから、画質低下をより確実に防止することができる。また、読取待機状態において、上面24aが原稿接触領域28aの範囲を超えるような位置に、ミラーユニット131bが位置することとしてもよい。例えば、上面24aの面積を大きくして、原稿読取ガラス130bの全面の真下に上面24aが存在するような構成としてもよい。これにより、操作者が原稿送り装置160を開いて露呈された原稿読取ガラス130bを視た場合に、原稿読取ガラス130bの全面における汚れの付着を確認することができる。
【0069】
また、原稿読取ガラス130bにおいて原稿送り装置160により搬送される原稿Gの先端が最初に接触する箇所が最も汚れやすいことから、この箇所がミラーユニット131bの移動方向におけるハウジング24の上面24aの幅内に位置していれば、操作者は原稿読取ガラス130bの汚れを容易に認識することができる。したがって、読取待機状態において、原稿読取ガラス130bにおいて原稿送り装置160により搬送される原稿Gの先端が最初に接触する領域は、ミラーユニット131bの移動方向におけるハウジング24の上面24aの幅内に位置することが好ましい。
【0070】
なお、原稿読取ガラス130bにおける読取位置27に汚れが付着している場合に、読み取った画像に汚れによる画質の低下が生じることから、読取待機状態において、少なくとも読取位置27の真下に上面24aが位置するように、読取待機状態に移行する場合はミラーユニット131bが移動することとし、少なくとも読取位置27の真下に上面24aが位置する状態でミラーユニット131bが停止して、読取待機状態となることとすればよい。
(その他の実施形態)
本開示に係る第1実施形態について、上述したが、上記第1実施形態と異なる構成としてもよい。例えば、上面24aは灰色としたが、原稿読取ガラス130bの汚れが視認しやすい色であればよく、灰色以外であってもよい。例えば、銀色や白色等であってもよいし、それ以外に原稿読取ガラス130bの汚れを認識しやすい色とすればよい。
【0071】
また、上面24aは平面としたが、原稿読取ガラス130bの汚れが視認しやすければよく、例えば曲面であってもかまわない。
【0072】
本開示は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、かかる実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本開示の範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本開示の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0073】
1 光走査装置
2 現像装置
3 感光体ドラム
4 ドラムクリーニング装置
5 帯電器
6 中間転写ローラ
9 クリーニング装置
11 2次転写装置
11a 2次転写ローラ
12 定着装置
13 搬送ローラ
14 レジストローラ
16 ピックアップローラ
17 排出ローラ
18 給紙カセット
20 光源
21 第1ミラー
22 第2ミラー
23 第3ミラー
24 ハウジング(筐体)
24a 上面
25 原稿搬送ローラ
26 すくい上げガイド
26a 調整部材
27 読取位置
28 原稿接触位置
28a 原稿接触領域
29 載置原稿端部位置
31 定着ローラ
32 加圧ローラ
70 中間転写ベルト装置
71 中間転写ベルト
72 中間転写駆動ローラ
73 中間転写従動ローラ
100 画像形成装置
101 画像形成装置本体
102 画像読取装置
130 読取部
130a 原稿載置台
130b 原稿読取ガラス
131 走査光学系(光学系)
131a 光源ユニット
131b ミラーユニット
131c 結像レンズ
131d 撮像素子
140 排出部
141 シート排出トレイ
160 原稿送り装置(原稿送り部)
161 原稿載置トレイ
162 原稿排出トレイ
G 原稿
L1、L2、L3 光の経路
P シート
Pa、Pb、Pc、Pd 画像ステーション
S シート搬送路
Sr シート反転経路
Sp 原稿経路
TN 転写ニップ領域