(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168255
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】移動式遺体保冷安置装置
(51)【国際特許分類】
A61G 17/04 20060101AFI20241128BHJP
B60P 3/00 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
A61G17/04 C
B60P3/00 T
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084764
(22)【出願日】2023-05-23
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】599009031
【氏名又は名称】三和ボデー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110766
【弁理士】
【氏名又は名称】佐川 慎悟
(74)【代理人】
【識別番号】100165515
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 清子
(74)【代理人】
【識別番号】100169340
【弁理士】
【氏名又は名称】川野 陽輔
(74)【代理人】
【識別番号】100195682
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 陽子
(74)【代理人】
【識別番号】100206623
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 智行
(72)【発明者】
【氏名】林 直明
(57)【要約】
【課題】長距離の移動を容易にし、かつ遺体を保冷する冷蔵装置を一般家庭用交流電源に接続して稼働させることのできる、移動式遺体保冷安置装置を提供する。
【解決手段】普通自動車免許により牽引可能な小型特殊規格の被けん引車2と、前記被けん引車2の荷台部21に積み下ろし可能な車輪33を備えているとともに遺体を収容可能な大きさに形成されており、かつ100ボルトの一般家庭用交流電源によって稼働する冷房装置31が搭載されている遺体保冷安置車3とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
普通自動車免許により牽引可能な小型特殊規格の被けん引車と、
前記被けん引車の荷台部に積み下ろし可能な車輪を備えているとともに遺体を収容可能な大きさに形成されており、かつ100ボルトの一般家庭用交流電源によって稼働する冷房装置が搭載されている遺体保冷安置車と、
を有する移動式遺体保冷安置装置。
【請求項2】
前記被けん引車は、
前記荷台部の後縁部において前記遺体保冷安置車の車輪に対応する位置に取り外し自在に設置される凹状スロープと、
前記荷台部より前方に設置されており、ロープを弛張させて前記遺体保冷安置車を前記荷台部から積み下ろすウインチと、
を有する、請求項1に記載の移動式遺体保冷安置装置。
【請求項3】
前記被けん引車の前記荷台部の左右両縁部には、前記遺体保冷安置車が備える車輪の左右設置幅より僅かに大きい間隔を隔てて立設された左右一対の落下防止用ガイド部材が配置されている、請求項1に記載の移動式遺体保冷安置装置。
【請求項4】
前記被けん引車は、
前記荷台部より前方に設けられており前記荷台部の角度を調整可能な昇降式の角度調整機構と、
前記荷台部の後縁部に設けられており前記遺体保冷安置車の積み下ろす際に地面まで延設されて車体が後方に転倒するのを防止する脱着式の転倒防止ストッパーと、
を有する、請求項1に記載の移動式遺体保冷安置装置。
【請求項5】
前記遺体保冷安置車は、遺体を安置する安置室と、前記安置室の内部を保冷する前記冷房装置とを有し、
前記安置室は、
中空状の金属フレームによって遺体を収容可能な内部空間を有する箱状に形成されるとともに、前記金属フレームの中空内部に発泡樹脂を充填させたフレーム構造体と、
前記フレーム構造体の室内側および室外側の両面に貼設される発泡断熱板材と、
室内側に貼設された前記発泡断熱板材の室内面および室外側に貼設された前記発泡断熱板材の室外面の両面に貼設されるアルミ板材と、
を有する、請求項1に記載の移動式遺体保冷安置装置。
【請求項6】
前記冷房装置は、前記安置室の前面に設けられており、
前記安置室は、
前記冷房装置により冷却された冷風を室内前方中央位置から後方斜め上方に向けて吹き出す吹出口と、
前記吹出口の下方から前記冷房装置に吸い込ませる吸込口と、
前記吹出口の左右両側位置に後方斜め上方に向けて送風する送風機と、
を有する、請求項5に記載の移動式遺体保冷安置装置。
【請求項7】
前記冷房装置は、前記安置室の前面に設けられており、
前記安置室は、
前記冷房装置により冷却された冷風を室内前方中央位置から上方に向けて吹き出す吹出口と、
前記吹出口の下方から前記冷房装置に吸い込ませる吸込口と、
前記吸込口の下方に当該吸込口に向けて送風する送風機と、
を有する、請求項5に記載の移動式遺体保冷安置装置。
【請求項8】
前記安置室は、室内の天面を後方に向けて下り傾斜状に形成された傾斜天面を有する、請求項6または請求項7に記載の移動式遺体保冷安置装置。
【請求項9】
前記安置室は、前記吸込口の左右両側および下側の室内角部に、前記吸込口に向けて空間を縮小させて冷風の流れを整流する整流板が設けられている、請求項6または請求項7に記載の移動式遺体保冷安置装置。
【請求項10】
前記安置室の後面に開閉扉を備えており、
前記安置室内には各々少なくとも1体の遺体を収容可能な複数個の棚部と、
前記各棚部の床部に設けられ、前後方向に回転自在な複数個のローラーを備えた左右一対のローラー式ガイドレールと、
前記ローラー式ガイドレール上において前後移動自在でかつ積み下ろし可能な遺体用プレートと、
を有している、請求項5に記載の移動式遺体保冷安置装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺体を安置するための遺体安置装置に係り、特に容易に運搬でき、効率的に保冷もできる移動式遺体保冷安置装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
日本においては亡くなった方の遺体は荼毘に付される(火葬される)。荼毘に付されるまでの間の遺体は、腐敗が進まないように低温状態に保たれる。病院で亡くなった場合は、霊安室などの設備において安置される。また、遺族に受け渡された遺体は、一般的にドライアイスなどを用いて保冷される。
【0003】
しかしながら、大規模災害など、短期間に多くの方が亡くなると、遺体の身元確認等のため火葬までに時間を要する。近年では、都市部などにおいては亡くなる方の人数が多く、火葬までの待機日数が長期化しているという問題も生じている。また、ドライアイスは、原料が温室効果ガスである二酸化炭素であり環境負荷が大きく、新たな問題となっている。
【0004】
そこで、霊安室のような設備を増やさず、かつドライアイスを用いずに遺体を一時的に保冷することのできる装置開発が行われている。
【0005】
例えば、特開2013-59532号公報では、箱状に形成された本体ケーシングと、本体ケーシング内に設けられていて当該側面に遺体を出し入れするための出し入れ口が形成されている遺体収容室と、遺体収容室内を冷却する冷却機構と、遺体収容室の出し入れ口を開閉するために出し入れ口の下縁部に略上下方向揺動自在に枢支された蓋体と、を備えてなる遺体保冷庫が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された発明においては、底面に車輪を備えるものの遠方への移動は容易ではなく、災害地などで用いることは困難である。クレーンなどでトラック等に搭載し、輸送する方法も考えられるが、このような輸送に係る準備および作業は大変であり、災害時では車両や運転手などの確保が難しい。
【0008】
また、災害はどこで発生するかを予想するのはできないため、設置場所や電源を自由に選択できないことがある。よって、遺体保冷安置装置は、設置場所の自由度が高く、手に入りやすい電源で稼働可能な装置が望ましい。
【0009】
本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたものであって、長距離の移動を容易にし、かつ遺体を保冷する冷蔵装置を一般家庭用交流電源に接続して稼働させることのできる、移動式遺体保冷安置装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る移動式遺体保冷安置装置は、長距離の移動を容易にするとともに、一般家庭用交流電源のあるところであればどこでも設置できるようにするという課題を解決するために、普通自動車免許により牽引可能な小型特殊規格の被けん引車と、前記被けん引車の荷台部に積み下ろし可能な車輪を備えているとともに遺体を収容可能な大きさに形成されており、かつ100ボルトの一般家庭用交流電源によって稼働する冷房装置が搭載されている遺体保冷安置車とを有する。
【0011】
また、本発明の一態様として、被けん引車への遺体保冷安置車の積み下ろしを容易にするという課題を解決するために、前記被けん引車は、前記荷台部の後縁部において前記遺体保冷安置車の車輪に対応する位置に取り外し自在に設置される凹状スロープと、前記荷台部より前方に設置されており、ロープを弛張させて前記遺体保冷安置車を前記荷台部から積み下ろすウインチとを有するようにしてもよい。
【0012】
さらに、本発明の一態様として、遺体保冷安置車を積み下ろす際および牽引されて移動する際に被けん引車から落下するのを防止するという課題を解決するために、前記被けん引車の前記荷台部の左右両縁部には、前記遺体保冷安置車が備える車輪の左右設置幅より僅かに大きい間隔を隔てて立設された左右一対の落下防止用ガイド部材が配置されていてもよい。
【0013】
また、本発明の一態様として、遺体保冷安置車の積み下ろしを容易にするとともに、その際の被けん引車の前後方向への転倒を防止するという課題を解決するために、前記被けん引車は、前記荷台部より前方に設けられており前記荷台部の角度を調整可能な昇降式の角度調整機構と、前記荷台部の後縁部に設けられており前記遺体保冷安置車の積み下ろす際に地面まで延設されて車体が後方に転倒するのを防止する脱着式の転倒防止ストッパーと、を有するようにしてもよい。
【0014】
さらに、本発明の一態様として、遺体保冷安置車の断熱性能を高めるという課題を解決するために、前記遺体保冷安置車は、遺体を安置する安置室と、前記安置室の内部を保冷する前記冷房装置とを有し、前記安置室は、中空状の金属フレームによって遺体を収容可能な内部空間を有する箱状に形成されるとともに、前記金属フレームの中空内部に発泡樹脂を充填させたフレーム構造体と、前記フレーム構造体の室内側および室外側の両面に貼設される発泡断熱板材と、室内側に貼設された前記発泡断熱板材の室内面および室外側に貼設された前記発泡断熱板材の室外面の両面に貼設されるアルミ板材と、を有するようにしてもよい。
【0015】
また、本発明の一態様として、冷房装置から供給される冷風を安置室内の隅々まで流れるようにするという課題を解決するために、前記冷房装置は、前記安置室の前面に設けられており、前記安置室は、前記冷房装置により冷却された冷風を室内前方中央位置から後方斜め上方に向けて吹き出す吹出口と、前記吹出口の下方から前記冷房装置に吸い込ませる吸込口と、前記吹出口の左右両側位置に後方斜め上方に向けて送風する送風機とを有するようにしてもよい。
【0016】
さらに、本発明の一態様として、冷房装置から供給される冷風を安置室内の隅々まで流れるようにするという課題を解決するために、前記冷房装置は、前記安置室の前面に設けられており、前記安置室は、前記冷房装置により冷却された冷風を室内前方中央位置から上方に向けて吹き出す吹出口と、前記吹出口の下方から前記冷房装置に吸い込ませる吸込口と、前記吸込口の下方に当該吸込口に向けて送風する送風機とを有するようにしてもよい。
【0017】
また、本発明の一態様として、冷房装置から供給される冷風の流れをスムーズにして循環しやすくするという課題を解決するために、前記安置室は、室内の天面を後方に向けて下り傾斜状に形成された傾斜天面を有していてもよい。
【0018】
さらに、本発明の一態様として、冷房装置から供給される冷風の流れをスムーズにして循環しやすくするという課題を解決するために、前記安置室は、前記吸込口の左右両側および下側の室内角部に、前記吸込口に向けて空間を縮小させて冷風の流れを整流する整流板が設けられていてもよい。
【0019】
また、本発明の一態様として、複数体の遺体の出し入れを容易にするという課題を解決するために、前記安置室の後面に開閉扉を備えており、前記安置室内には各々少なくとも1体の遺体を収容可能な複数個の棚部と、前記各棚部の床部に設けられ、前後方向に回転自在な複数個のローラーを備えた左右一対のローラー式ガイドレールと、前記ローラー式ガイドレール上において前後移動自在でかつ積み下ろし可能な遺体用プレートと、を有していてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、長距離の移動を容易にし、かつ遺体を保冷する保冷装置を一般家庭用交流電源に接続して稼働させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係る移動式遺体保冷安置装置の第一実施形態を示す側面図である。
【
図2】本第一実施形態の移動式遺体保冷安置装置を示す背面図である。
【
図3】本第一実施形態における被けん引車を示す側面図である。
【
図4】本第一実施形態における被けん引車を示す底面図である。
【
図5】本第一実施形態における被けん引車を示す平面図である。
【
図6】本第一実施形態における被けん引車を示す背面図である。
【
図7】本第一実施形態における遺体保冷安置車を示す側面図である。
【
図8】本第一実施形態における遺体保冷安置車を示す背面図である。
【
図9】本第一実施形態における遺体保冷安置車の安置室内の構成を示す縦断面図である。
【
図10】本第一実施形態における遺体保冷安置車の安置室内の構成を示す横断面図である。
【
図11】本第一実施形態における遺体保冷安置車の開閉扉を開けた状態を示す背面図である。
【
図12】本第一実施形態における遺体保冷安置車のフレーム構造体を示す斜視図である。
【
図13】本第一実施形態における安置室の天井部を示す縦断面図である。
【
図14】本発明に係る移動式遺体保冷安置装置の第二実施形態における遺体保冷安置車の安置室内の構成を示す縦断面図である。
【
図15】本第二実施形態における遺体保冷安置車の安置室内の構成を示す横断面図である。
【
図16】本第二実施形態における遺体保冷安置車の開閉扉を開けた状態を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る移動式遺体保冷安置装置の第一実施形態について図面を用いて説明する。
【0023】
本第一実施形態の移動式遺体保冷安置装置1は、
図1および
図2に示すように、普通自動車免許により牽引可能な小型特殊規格の被けん引車2と、前記被けん引車2の荷台部21に積み下ろし可能な遺体保冷安置車3とを有する。以下、各構成について詳細に説明する。
【0024】
被けん引車2は、遺体保冷安置車3を任意の場所に移動させるためのものであり、
図1~
図6に示すように、遺体保冷安置車3を載置する荷台部21と、普通自動車に取り付けられたヒッチボールなどに連結させる連結部22と、前記荷台部21の後縁部に取り付けられる凹状スロープ23および転倒防止ストッパー24と、前記荷台部21の前方に設置されるウインチ25および角度調整機構26と、前記荷台部21の左右両縁部に立設される左右一対の落下防止用ガイド部材27と、普通自動車免許により牽引可能な小型特殊規格に適用するための方向指示器(ウインカー)等の表示部28とを有する。
【0025】
荷台部21は、遺体保冷安置車3を載置するための台であり、本第一実施形態では、遺体保冷安置車3を載置可能な略矩形板状の鋼板211と、この鋼板211の下面に設けられた台側フレーム212と、牽引用の車輪213とを備えている。また、荷台部21の左右両縁部には、載置される遺体保冷安置車と固定するための固定用プレート214を備えている。
【0026】
本第一実施形態における台側フレーム212は、
図4に示すように、車輪213を回避するように内側に凹型に形成されている。これにより、地面からの荷台部21の位置を低くでき、遺体保冷安置車3の全高を低く抑えて走行時の安定性が向上する。また、幅の広いワイドタイヤを設置可能とすることができ、車輌の転覆性能を示す最大安定傾斜角度を大きくすることができる。具体的には、35度以下の傾斜角度で転覆するのを防ぎ、公道を走行するための車両検査に対応できるようになっている。
【0027】
連結部22は、普通自動車と被けん引車2とを連結するための機構であり、本第一実施形態では、荷台部21の前方に設けられた三角形状フレーム221と、この三角形状フレーム221の先端に設けられた連結機構222(ヒッチカプラー等)とを有する。連結機構222は、特に限定されるものではなく、普通自動車の後端側に設けられた連結受け機構(ヒッチボール等:図示しない)に応じた構造のものから適宜選択される。
【0028】
凹状スロープ23は、荷台部21から遺体保冷安置車3を安全に積み下ろしする際に使用されるスロープであり、本第一実施形態では、脱輪しないように断面凹状に形成されており、荷台部21の後縁部に取り外し自在に設置される。具体的には、凹状スロープ23には、一方の端部の下面に凸状に形成された凸状鉤部231が形成されており、荷台部21の後縁部の左右両側の遺体保冷安置車3の車輪に対応する位置に設けられた鉤受け孔部215に嵌合可能に構成されている。
【0029】
転倒防止ストッパー24は、遺体保冷安置車3を積み下ろしする際に車体が後方に転倒するのを防止するための脱着式のストッパーであり、本第一実施形態では、荷台部21の後端部に形成されたストッパー嵌入用筒部216に対し脱着可能に構成されている。本第一実施形態における転倒防止ストッパー24は、二重の管によって伸縮可能に構成されている。
【0030】
ウインチ25は、遺体保冷安置車3を荷台部21から積み下ろしする際に用いられるロープ251を弛張可能な機械であり、本第一実施形態では、ハンドル252を手動で回転させてロープ251を巻き上げる手動式ウインチにより構成されている。このウインチ25は、荷台部21より前方に設置されており、フック253を介して遺体保冷安置車3に連結されている。
【0031】
角度調整機構26は、遺体保冷安置車3を荷台部21から積み下ろしする際に荷台部21の傾斜角度を調整するものであり、本第一実施形態では、ハンドル261を手動で回転させることで昇降し、前方を上下させることで荷台部21の前後方向の傾斜角度を調整できるようになっている。
【0032】
落下防止用ガイド部材27は、遺体保冷安置車3を荷台部21から載せ下ろす際に遺体保冷安置車3が荷台部21からの落下するのを防止するための部材であって、本第一実施形態では、L型アングル材からなり、前記遺体保冷安置車3が備える車輪33の左右設置幅より僅かに大きい間隔を隔てて前記荷台部21の左右両縁部にL型アングル材の一方の面を固定し、他方の面を立設させることで構成されている。
【0033】
また、落下防止用ガイド部材27の後縁側は、
図4および
図5に示すように、後方に向けて左右に拡開するように設けられており、遺体保冷安置車3を載せる際に車輪33が左右にずれた場合に当該車輪33を左右一対の落下防止用ガイド部材27の間に配置されるように案内するようになっている。また、本第一実施形態における落下防止用ガイド部材27の間の前縁側には、遺体保冷安置車3の前方への脱落を防止する車止め271が設けられている。
【0034】
表示部28は、被けん引車2を普通自動車免許により牽引可能な小型特殊規格に適用するために必要な表示具であり、本第一実施形態では、
図5に示すように、荷台部21の後端下面の左右に設けられた方向指示器281やブレーキランプ282、中央のナンバープレート283などからなる。方向指示器281およびブレーキランプ282は、牽引する普通自動車と電気的に連結されており、普通自動車の操作に連動して点灯するようになっている。
【0035】
次に、遺体保冷安置車3の各構成について説明する。
【0036】
遺体保冷安置車3は、遺体を保冷した状態で安置することのできる車であり、本第一実施形態では、
図7~
図11に示すように、冷房装置31と、遺体を安置する安置室32と、前記安置室32を押して移動できるようにする車輪33とを有する。
【0037】
冷房装置31は、遺体保冷安置車3に搭載され、100ボルトの一般家庭用交流電源によって稼働するヒートポンプ式の冷房装置であり、本第一実施形態では、
図9に示すように、安置室32の室内前面上方位置に設けられた室内機311と室外前面上方位置に設けられた室外機312とにより構成される。
【0038】
室内機311は、冷風を室内の隅々まで循環させられるために、室内前方中央位置から後方でかつ斜め上方に向けて吹き出す吹出口311aと、前記吹出口311aの下方から室内を循環した冷風を吸い込む吸込口311bとを有する。また、前記吹出口311aの左右両側位置には、前記吹出口311aと同様に冷風を後方斜め上方に向けて送風するための送風機313が設けられている。
【0039】
なお、室内機311の設置位置は、安置室32の室内に限定されるものではなく、後述する第二実施形態のように室外に設置し室内で開口させた吹出口311aおよび吸込口311bに接続する構成にしてもよい。
【0040】
安置室32は、遺体を安置する部屋として機能するものであり、本第一実施形態では、下り傾斜状に形成された傾斜天面321と、遺体を出し入れするため後面に設けられた観音開き状の開閉扉322とを備えている。
【0041】
傾斜天面321は、冷房装置31から供給される冷風を室内の隅々まで循環させるための室内構造であり、
図9に示すように、室内前面上方位置に設けられた室内機311およびその左右両側位置に設けられた送風機313によって後方斜め上方に向けて送風された冷風を、天面に沿って後方に向けて徐々に下降させながら循環させられるように、後方に向けて下り傾斜状に形成されている。
【0042】
また、安置室32は、冷房装置31による冷却効率を高めるため断熱性能の高い構造により形成されている。特に、本第一実施形態における冷房装置31は、100ボルトの一般家庭用交流電源によって稼働するものであり、業務用などで使用される200ボルトの交流電源で稼働するものに比べて冷房能力の低いものを使用するため、断熱性能を高めておかなければならない。
【0043】
そこで、本第一実施形態における安置室32は、
図12および
図13に示すように、中空状の金属フレーム323aによって形成されたフレーム構造体323と、前記フレーム構造体323の室内側および室外側の両面に貼設される発泡断熱板材324と、その室内面および室外面の両面に貼設されるアルミ板材325とを有する。
【0044】
フレーム構造体323は、安置室32の壁、床および天井の骨組みとなるものであり、
図12に示すように、中空状の金属フレーム323aによって遺体を収容可能な内部空間を有する箱状に形成されている。また、図示しないが、後面の開閉扉322も同様に中空状の金属フレーム323aの骨組みを有している。
【0045】
本第一実施形態におけるフレーム構造体323は、室内の前後幅が約2400mm、左右幅が約1400mm、高さが約1300mmであって、4体の遺体を安置可能な大きさに形成されている。また、外形は被けん引車2に載せた状態で普通自動車免許により牽引可能な大きさ(普通自動車と移動式遺体保冷安置装置と連結した状態の全長が12m未満、高さ3.8m未満、全幅2.5m未満)に収まるように形成されている。
【0046】
なお、安置室2の大きさは、4体の遺体を安置可能な大きさに限定されるものではなく、移動式遺体保冷安置装置1が普通自動車免許により牽引可能な大きさに収まる範囲内であれば、何人の遺体を安置可能な大きさとしてもよい。
【0047】
このフレーム構造体323は、断熱性能を高めるため、
図13に示すように、金属フレーム323aの中空内部に発泡樹脂323bを充填させており、本第一実施形態では、当該発泡樹脂323bとして発泡ウレタンを使用している。また、フレーム構造体323により形成される天面、左右両側面および床面における格子状の各空間には発泡断熱板材323cを嵌入させている。
【0048】
また、発泡断熱板材324は、発泡樹脂323bを充填させたフレーム構造体323を断熱するものであり、前記フレーム構造体323の室内側および室外側の両面から挟み込むように貼設されており、本第一実施形態では、押出し発泡ポリスチレン製の板材を使用している。
【0049】
さらに、アルミ板材325は、安置室32の保温効果を高めるためのものであり、室内側に貼設された発泡断熱板材324の室内面および室外側に貼設された発泡断熱板材324の室外面の両面に貼設されている。
【0050】
このように、安置室32は、強度の高い金属フレーム323aで骨格子を構成することで軽量化と高強度化を図るとともに、金属フレーム323aに充填される発泡樹脂323b、その金属フレーム323aに貼設される発泡断熱板材324、さらにその表面に貼設されるアルミ板材325により高い断熱性能を備えている。
【0051】
また、安置室32は、複数体の遺体の出し入れを容易にするために、
図9~
図11に示すように、複数個の棚部326と、各棚部326の床部に設けられた左右一対のローラー式ガイドレール327と、ローラー式ガイドレール327上を前後方向に自在に移動することのできる遺体用プレート328とを有している。
【0052】
棚部326は、安置室32内には遺体を収容可能とするための棚であり、本第一実施形態では、安置室32の床面と複数本のフレーム体とによって左右2列上下2段の計4箇所の棚部326が形成されている。各棚部326は、前後方向に縦長に形成されており、各々の棚部326には少なくとも1体の遺体を寝かした状態で収容可能に構成されている。
【0053】
なお、棚部326の個数は、特に限定されるものではなく、普通自動車免許により牽引可能な大きさに形成された遺体保冷安置車3において安置室32の室内に設置可能な個数から適宜選択されるものである。
【0054】
ローラー式ガイドレール327は、各棚部326への遺体の収容を容易にするためものであり、本第一実施形態では、凹状のフレームに前後方向に回転自在な複数個のローラーを配置することで構成されており、各棚部326の床部に左右一対となって設けられている。
【0055】
遺体用プレート328は、ローラー式ガイドレール327の上に置いて前後移動自在に積み下ろし可能なプレートであって、本第一実施形態では、約2mの長さを有する矩形状の板材からなり、少なくとも1体の遺体を載置可能な大きさに形成されている。
【0056】
車輪33は、被けん引車2への積み下ろしとともに、降ろした後に任意の場所に移動させるための車輪であり、本第一実施形態では、安置室32の下面における前後左右の各隅部に設けられている。また、後輪側の左右の車輪33は、安置室32の底面に対して回転可能に設けられており、
図8に示すように、左右の各車輪33同士は回転角度が連動するように連結杆331によって連結されている。前記連結杆331は、ハンドル差込部332を備えており、
図7に示すように、このハンドル差込部332に差し込まれる舵取りロッド333を左右に揺動させることで、車輪33を左右に回動操作できるように構成されている。
【0057】
また、本第一実施形態における遺体保冷安置車3は、安置室32の下面左右両縁部に、荷台部21の左右両縁部に設けられた固定用プレート214に固定するための、固定受けプレート34を備えている。また、本第一実施形態の移動式遺体保冷安置装置1は、普通自動車免許により牽引可能な重量にするため、750kg以下になるように形成されている。
【0058】
次に、本第一実施形態の移動式遺体保冷安置装置1における各構成の作用について説明する。
【0059】
まず、遺体保冷安置車3を被けん引車2の上に載置する場合について説明する。
図3に示すように、被けん引車2の転倒を防止するため後方のストッパー嵌入用筒部214に転倒防止ストッパー24を取り付けるとともに、前方の角度調整機構26を降下させて地面に接地させる。
【0060】
具体的には、荷台部21のストッパー嵌入用筒部214に転倒防止ストッパー24を嵌入し取り付ける。転倒防止ストッパー24は、地面に接するまで延出されるように長さを調整する。また、角度調整機構26のハンドル261を回転させ、荷台部21の傾斜角度を調整する。遺体保冷安置車3を載置する際には、荷台部21は水平状態にしておくことが好ましい。
【0061】
なお、図示しないが、被けん引車2が連結機構222を介して普通自動車の連結受け機構に連結されており前方への転倒のおそれが無い場合には、被けん引車2の前方を角度調整機構26により支持しなくてもよい。
【0062】
次に、
図3に示すように、凹状スロープ23の凸状鉤部231を荷台部21の鉤受け孔部215に嵌合させて、前記荷台部21に凹状スロープ23を取り付ける。そして、ウインチ25のロープ251を緩め、フック253を遺体保冷安置車3に連結する。
【0063】
ウインチ25のハンドル252を回転させ、ロープ251を巻き上げる。これにより遺体保冷安置車3は凹状スロープ23に沿って軽い力で引き揚げることができる。また、凹状スロープ23が凹状であるため、引き上げの際に遺体保冷安置車3の車輪33が当該凹状スロープ23から脱輪することがない。
【0064】
また、荷台部21の上には落下防止用ガイド部材27が、遺体保冷安置車3の車輪33の左右設置幅より僅かに大きい間隔で設けられており、遺体保冷安置車3が荷台部21から落下するのを防止する。本第一実施形態では、落下防止用ガイド部材27の後縁側が後方に向けて左右に拡開するように設けられており、車輪33が左右にずれていても左右一対の落下防止用ガイド部材27の間に配置されるように案内することができる。遺体保冷安置車3は、ウインチ25で引き寄せて前方の車輪33が車止め271に当接する程度まで移動させる。
【0065】
遺体保冷安置車3は、荷台部21の固定用プレート212に固定受けプレート34を固定する。また、被けん引車2から、凹状スロープ23と転倒防止ストッパー24を取り外すとともに、角度調整機構26を牽引時の邪魔にならない高さまで上昇させ、普通自動車に連結する。これにより、長距離移動の準備が完了する。
【0066】
次に、移動式遺体保冷安置装置1は、普通自動車により牽引され、所望の場所に移動される。本第一実施形態の移動式遺体保冷安置装置1は、所定の寸法や重さに形成されており、表示部28等の装備を備えているため、公道を走行することができ、遠方への移動も容易に行うことができる。
【0067】
また、安置室32は、軽量でかつ強度の高い中空の金属フレーム323aからなるフレーム構造体322によって構成されているため、軽量化と高強度化を両立させている。よって、普通自動車免許により牽引可能な規格に収めつつ、移動時の振動や衝撃による破損を防止することができる。
【0068】
所望の場所まで移動させた後、遺体保冷安置車3を被けん引車2から降車させる。降車させる際には、積載時と同様に、被けん引車2に転倒防止ストッパー24と凹状スロープ23を取り付け、角度調整機構26で荷台部21の角度調整を行い、ウインチ25を用いて遺体保冷安置車3を降車させる。このとき角度調整機構26により荷台部21を後方にわずかに下り傾斜させることで、重力を利用しつつ遺体保冷安置車3を荷台部21から降車させることができる。
【0069】
遺体保冷安置車3は降車後、所定の設置場所に移動される。このときハンドル差込部332に舵取りロッド333を差し込み後輪側の車輪33を左右に回動させることで、遺体保冷安置車3を自在に旋回させることができる。また、安置室32は軽量化を図っているため移動も簡単に行える。
【0070】
設置場所に移動された遺体保冷安置車3は、冷房装置31を100ボルトの一般家庭用交流電源に接続させることで冷房装置31を稼働し、安置室32の室内に冷風を供給して冷却する。
【0071】
本第一実施形態における安置室32は、発泡樹脂322bを充填させたフレーム構造体322や当該フレーム構造体322に貼設された発泡断熱板材323、さらにその表面に貼設されたアルミ板材324により高い断熱性能を備えており、業務用などで使用される200ボルトの交流電源で稼働するものに比べて冷房能力の低い100ボルトの一般家庭用交流電源によって稼働する冷房装置31であっても遺体を安置するのに十分な保冷性能を発揮することができる。つまり、遺体保冷安置車3は、日本国内で最も普及している100ボルトの一般家庭用交流電源で冷房装置31を稼働することができるため、設置場所の自由度が高くなる。
【0072】
また、安置室32の室内においては、室内機311が室内前方中央に設けられた吹出口311aから後方斜め上方に向けて冷風を吹き出すとともに、送風機313が室内機311の左右両側部において後方斜め上方に向けて冷風を送風する。これにより冷風は、
図9に示すように、安置室32の室内前方位置から後方斜め上方に向けて一様に送られる。
【0073】
安置室32の室内前方位置から送風された冷風は、傾斜天面321に沿って後方に向けて徐々に下降しながら流れる。後方の開閉扉322に到達した冷風は、開閉扉322に沿って下方に向けて流れる。冷風は傾斜天面321によって下降しながら流れているため開閉扉322の近傍で淀むことなくスムーズに下方へ流れる。
【0074】
そして、床に到達した冷風は床面に沿って前方側に流れる。室内前方では、冷風は、吸込口311bから室内機311に吸い込まれる。このように本第一実施形態では、冷風を室内の隅々まで流すとともに、スムーズに循環させることができる。
【0075】
遺体は、開閉扉322を空けて安置室32の後方から収容される。本第一実施形態では、各棚部326の床面に左右一対のローラー式ガイドレール327が設けられており、遺体を載せた遺体用プレート328や遺体の入った棺桶を載せて自在に出し入れすることができる。これにより、遺体の収容作業を容易に行うことができる。
【0076】
そして、上述のとおり冷風が安置室32の室内の隅々まで流れるため、収容された遺体をムラ無く低温に保持する。
【0077】
以上のような本第一実施形態の移動式遺体保冷安置装置1によれば、以下の作用効果を奏することができる。
1.普通自動車によって公道を走行することができ、長距離の場所まで運搬することができる。
2.冷房装置31を日本国内で最も普及している100ボルトの一般家庭用交流電源により稼働させることができるため、設置場所の選択の自由度を高めることができる。
3.凹状スロープ23の溝に嵌め入れながらウインチ25によって容易かつ安全に遺体保冷安置車3を被けん引車2に積み下ろしをすることができる。
4.積み下ろし時には転倒防止ストッパー24と角度調整機構26が荷台部21の傾斜角度を一定に保つため、より安全に作業を行うことができる。
5.落下防止用ガイド部材27が荷台部21の左右両縁部に立設されているため、遺体保冷安置車3の積み下ろしの際に遺体保冷安置車3が荷台部21から落下するのを防止することができる。
6.安置室32の断熱性能が高いため、100ボルトの一般家庭用交流電源により稼働する冷房装置31を用いても室内を低温に保つことができ、遺体を腐敗から守ることができる。
7.冷房装置31から供給される冷風が安置室32の内部の隅々まで流れるため、冷却ムラを防ぎ、遺体の腐敗を抑制することができる。
8.各棚部325にローラー式ガイドレール326を設けたことにより、遺体を載せた遺体用プレート32や遺体の入った棺桶を安置室32の内部に容易に収容することができる。
【0078】
次に、本発明に係る移動式遺体保冷安置装置の第二実施形態について図面を用いて説明する。なお、前述した第一実施形態で説明した構成と同一または相当する構成については同一の符号を付して再度の説明を省略する。
【0079】
本第二実施形態では、
図14~
図16に示すように、冷房装置31が、安置室32の室外に設けられており、室内機311が上方位置、室外機312がその下方位置にそれぞれ設けられている。室内機311は、安置室32の室内において上方を向けて開口した吹出口311aおよびその下方に開口した吸込口311bに冷風を流通可能に連結されている。このように、室内機311を室外に配置することで室内空間を広く利用することができる。
【0080】
なお、本第二実施形態における室内機311の設置位置は、安置室32の室外に限定されるものではなく、第一実施形態と同様に室内に配置されていてもよい。また、安置室32の天井は、床面と平行で水平になるように形成されているが、これに限定されるものではなく、第一実施形態と同様に、後方に下り傾斜させた傾斜天面321としてもよい。
【0081】
また、本第二実施形態における安置室32は、冷房装置31から供給される冷風を室内の隅々まで循環させるために、吸込口311bの左右両側および下側の室内角部に設けられる整流板329を備えている。
【0082】
整流板329は、安置室32の室内を循環する冷風が吸込口311bから冷房装置31に流れ易くなるように整流する板材であり、吸込口311bの左右両側および下側の室内角部に吸込口に向けて空間を縮小させるように設けられている。
【0083】
さらに、本第二実施形態における送風機313は、吸込口311bの下方に設けられており、室内を循環してきた冷風を吸込口311b側に送るように構成されている。
【0084】
以上により、本第二実施形態の移動式遺体保冷安置装置1は、安置室32の室内において、
図14に示すように、室内前方中央位置から上方に向けて吹き出し、天井に沿って後方に流れ、床面を通って送風機313により上方に吹き上げられ、整流板329によって徐々に面積を狭めながら吸込口311bへと向かうスムーズな冷風の循環ができるため、第一実施形態の移動式遺体保冷安置装置1と同様の作用効果を奏することができる。
【0085】
なお、本発明に係る移動式遺体保冷安置装置は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。例えば、遺体の腐敗の進行を抑制するために、遺体保冷安置車3にバクテリアなどの殺菌作用を有するイオンを発生するイオン発生機を搭載してもよい。また、安置室32の室内に室内灯を設けてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 移動式遺体保冷安置装置
2 被けん引車
3 遺体保冷安置車
21 荷台部
22 連結部
23 凹状スロープ
24 転倒防止ストッパー
25 ウインチ
26 角度調整機構
27 落下防止用ガイド部材
28 表示部
31 冷房装置
32 安置室
33 車輪
34 固定受けプレート
211鋼板
212 台側フレーム
213 車輪
214 固定用プレート
215 鉤受け孔部
216 ストッパー嵌入用筒部
221 三角形状フレーム
222 連結機構
231 凸状鉤部
251 ロープ
252 ハンドル
253 フック
261 ハンドル
281 方向指示器
282 ブレーキランプ
283 ナンバープレート
311 室内機
311a 吹出口
311b 吸込口
312 室外機
313 送風機
321 傾斜天面
322 開閉扉
323 フレーム構造体
323a 金属フレーム
323b 発泡樹脂
323c 発泡断熱板材
324 発泡断熱板材
325 アルミ板材
326 棚部
327 ローラー式ガイドレール
328 遺体用プレート
329 整流板
331 連結杆
332 ハンドル差込部
333 舵取りロッド
【手続補正書】
【提出日】2023-10-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
普通自動車免許により牽引可能な小型特殊規格の被けん引車と、遺体を保冷した状態で安置する遺体保冷安置車とを有しており、
前記遺体保冷安置車は、
遺体を収容可能で、かつ前記被けん引車の荷台部に載置された状態で公道を走行可能な大きさに形成された安置室と、
前記安置室の下面に設けられており、前記被けん引車の荷台部に積み下ろし可能にする車輪と、
100ボルトの一般家庭用交流電源によって稼働し、前記安置室内に冷風を供給する冷房装置と
を備えている、移動式遺体保冷安置装置。
【請求項2】
前記被けん引車は、
前記荷台部の後縁部において前記遺体保冷安置車の車輪に対応する位置に取り外し自在に設置される凹状スロープと、
前記荷台部より前方に設置されており、ロープを弛張させて前記遺体保冷安置車を前記荷台部から積み下ろすウインチと、
を有する、請求項1に記載の移動式遺体保冷安置装置。
【請求項3】
前記被けん引車の前記荷台部の左右両縁部には、前記遺体保冷安置車が備える車輪の左右設置幅より僅かに大きい間隔を隔てて立設された左右一対の落下防止用ガイド部材が配置されている、請求項1に記載の移動式遺体保冷安置装置。
【請求項4】
前記被けん引車は、
前記荷台部より前方に設けられており前記荷台部の角度を調整可能な昇降式の角度調整機構と、
前記荷台部の後縁部に設けられており前記遺体保冷安置車の積み下ろす際に地面まで延設されて車体が後方に転倒するのを防止する脱着式の転倒防止ストッパーと、
を有する、請求項1に記載の移動式遺体保冷安置装置。
【請求項5】
前記遺体保冷安置車は、遺体を安置する安置室と、前記安置室の内部を保冷する前記冷房装置とを有し、
前記安置室は、
中空状の金属フレームによって遺体を収容可能な内部空間を有する箱状に形成されるとともに、前記金属フレームの中空内部に発泡樹脂を充填させたフレーム構造体と、
前記フレーム構造体の室内側および室外側の両面に貼設される発泡断熱板材と、
室内側に貼設された前記発泡断熱板材の室内面および室外側に貼設された前記発泡断熱板材の室外面の両面に貼設されるアルミ板材と、
を有する、請求項1に記載の移動式遺体保冷安置装置。
【請求項6】
前記冷房装置は、前記安置室の前面に設けられており、
前記安置室は、
前記冷房装置により冷却された冷風を室内前方中央位置から後方斜め上方に向けて吹き出す吹出口と、
前記吹出口の下方から前記冷房装置に吸い込ませる吸込口と、
前記吹出口の左右両側位置に後方斜め上方に向けて送風する送風機と、
を有する、請求項5に記載の移動式遺体保冷安置装置。
【請求項7】
前記冷房装置は、前記安置室の前面に設けられており、
前記安置室は、
前記冷房装置により冷却された冷風を室内前方中央位置から上方に向けて吹き出す吹出口と、
前記吹出口の下方から前記冷房装置に吸い込ませる吸込口と、
前記吸込口の下方に当該吸込口に向けて送風する送風機と、
を有する、請求項5に記載の移動式遺体保冷安置装置。
【請求項8】
前記安置室は、室内の天面を後方に向けて下り傾斜状に形成された傾斜天面を有する、請求項6または請求項7に記載の移動式遺体保冷安置装置。
【請求項9】
前記安置室は、前記吸込口の左右両側および下側の室内角部に、前記吸込口に向けて空間を縮小させて冷風の流れを整流する整流板が設けられている、請求項6または請求項7に記載の移動式遺体保冷安置装置。
【請求項10】
前記安置室の後面に開閉扉を備えており、
前記安置室内には各々少なくとも1体の遺体を収容可能な複数個の棚部と、
前記各棚部の床部に設けられ、前後方向に回転自在な複数個のローラーを備えた左右一対のローラー式ガイドレールと、
前記ローラー式ガイドレール上において前後移動自在でかつ積み下ろし可能な遺体用プレートと、
を有している、請求項5に記載の移動式遺体保冷安置装置。