(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016826
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】メタライゼーション方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/004 20060101AFI20240131BHJP
G03F 7/40 20060101ALI20240131BHJP
G03F 7/039 20060101ALI20240131BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
G03F7/004 501
G03F7/40 521
G03F7/039 601
G03F7/20 521
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023119216
(22)【出願日】2023-07-21
(31)【優先権主張番号】63/392,275
(32)【優先日】2022-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591016862
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Rohm and Haas Electronic Materials LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】羽賀 満
(72)【発明者】
【氏名】コン リュー
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ エフ.キャメロン
【テーマコード(参考)】
2H196
2H197
2H225
【Fターム(参考)】
2H196AA25
2H196BA11
2H196GA09
2H196HA28
2H197CA03
2H197CA05
2H197CA06
2H197CC08
2H197HA03
2H197JA22
2H225AC01
2H225AF83P
2H225AH12
2H225AH19
2H225AJ13
2H225AJ44
2H225AJ48
2H225AL03
2H225AL27
2H225AN01P
2H225AN02P
2H225AN11P
2H225AN21P
2H225AN39P
2H225AN54P
2H225AN65P
2H225AN68P
2H225AN79P
2H225AN82P
2H225AN86P
2H225AN87P
2H225AN88P
2H225BA01P
2H225BA26P
2H225CA12
2H225CB05
2H225CC03
2H225CC15
(57)【要約】
【課題】 メタライゼーション方法を提供する。
【解決手段】 (a)基板の第1の表面上にフォトレジスト層を提供することであって、フォトレジスト層が、酸不安定基を含むポリマー;光酸発生剤;有機ホスホン酸;及び溶媒を含むフォトレジスト組成物から形成される、基板の第1の表面上にフォトレジスト層を提供することと、(b)フォトレジスト層を活性化放射線にパターン様露光することと、(c)露光されたフォトレジスト層を塩基性現像液で現像してフォトレジストパターンを形成することと、(d)フォトレジストパターンを形成した後、フォトレジストパターンをめっき用マスクとして使用して、基板の第1の表面に金属をめっきすることと、を含む、メタライゼーション方法が本明細書に開示される。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタライゼーション方法であって、
(a)基板の第1の表面上にフォトレジスト層を提供することであって、前記フォトレジスト層が、酸不安定基を含むポリマー;光酸発生剤;有機ホスホン酸;及び溶媒を含むフォトレジスト組成物から形成される、基板の第1の表面上にフォトレジスト層を提供することと、
(b)前記フォトレジスト層を活性化放射線にパターン様露光することと、
(c)前記露光されたフォトレジスト層を塩基性現像液で現像してフォトレジストパターンを形成することと、
(d)前記フォトレジストパターンを形成した後、前記フォトレジストパターンをめっき用マスクとして使用して、前記基板の前記第1の表面に金属をめっきすることと、
を含む、メタライゼーション方法。
【請求項2】
前記フォトレジストパターンがアンダーカットプロファイルを有する、請求項1に記載のメタライゼーション方法。
【請求項3】
(e)前記金属をめっきした後に前記フォトレジストを除去することを更に含む、請求項1又は2に記載のメタライゼーション方法。
【請求項4】
前記フォトレジスト層が金属層上に直接配置される、請求項1~3のいずれか一項に記載のメタライゼーション方法。
【請求項5】
前記フォトレジスト層が2μmを超える厚さを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のメタライゼーション方法。
【請求項6】
前記有機ホスホン酸がフェニルホスホン酸である、請求項1~5のいずれか一項に記載のメタライゼーション方法。
【請求項7】
前記有機ホスホン酸が、酸不安定基を含む前記ポリマー100部当たり0.01~0.50重量部の量で前記フォトレジスト層中に存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載のメタライゼーション方法。
【請求項8】
前記酸不安定基が、三級エステル基、アセタール基、又はそれらの組み合わせから選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載のメタライゼーション方法。
【請求項9】
前記ポリマーが、ビニル芳香族モノマーから形成された繰返し単位を更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のメタライゼーション方法。
【請求項10】
前記フォトレジスト組成物が、7未満のpKaを有する塩基性化合物を更に含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のメタライゼーション方法。
【請求項11】
前記塩基性化合物が三級アミン化合物から選択される、請求項10に記載のメタライゼーション方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体を製造するためのパターニングプロセスに関する。特に、本開示は、フォトレジストパターンにおける裾引きプロファイルの現像を防止する半導体を製造するためのパターニングプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
モバイルデバイス、モノのインターネット(IoT)の一部であるデバイス、及びウェアラブルエレクトロニクスは、小型化にもかかわらず、大量のメモリを使用し、ますます大量の計算を実行する、より小型で、より軽量で、より薄型のデバイスになってきている。
【0003】
これらの電子デバイスの製造及びパッケージングは、サイズ縮小に重要な役割を果たす。例えば、フリップ-チップパッケージ方法は、とりわけマイクロプロセッシングユニット(MPU)及びダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)半導体チップ用に、デバイス間のI/O(インプット/アウトプット)コネクションの密度を増加させるために用いられてきた。
【0004】
例えば、銅ピラーバンプ等の金属ピラーバンプは、多くの場合、CPU及びGPU集積回路(チップ)、レーザーダイオード、並びに半導体光増幅器(SOA)のフリップチップパッケージング等の、エレクトロニクス及び光電子工学パッケージングで使用するためのフリップチップインターコネクトとして使用されている。金属ピラーバンプは、有益な接続抵抗、高密度接続、金属移行抵抗、及び熱散逸特性を提供する。金属ラインパターンはまた、2つの構成要素間の電気的接続を提供するために、例えば再配線層(RDL)で使用されてもよい。
【0005】
金属ピラーバンプアレイ及びラインパターンの製造には、電気めっきが使用されている。銅膜表面にフォトレジスト層をコーティングした後、フォトリソグラフィを用いてマスクパターンを作製する。次いで、マスクパターンの開口領域に電気めっきによって金属表面に金属構造が形成される。次いで、フォトレジストが除去され、以前にレジストによって覆われていた金属層がエッチングによって除去される。
【0006】
めっきマスクパターンを調製するための1つの手法は、I/O及びデバイス密度の更なる増加のためのより厚く、より狭いパターンサイズの必要性に答えるための厚いフォトレジスト層の使用である。化学的に増幅されたフォトレジストは、より高い解像度パターンのために望まれるより速い感度及び改善された透明性を達成するための好適な選択肢であり得る。そのようなレジスト組成物は、酸不安定基を有するポリマー、光酸発生剤(PAG)、及び溶媒を含む。しかしながら、化学的に増幅されたレジストが、銅層等の、金属層上に形成される場合、金属表面とレジストとの間の界面に存在する光酸の喪失のために裾引きプロファイル問題が観察されている。
【0007】
レジストパターンの裾引きは、めっきパターンのアンダーカットプロファイルをもたらす。これにより、下流加工時におけるめっきパターンの倒壊を促進し得る。したがって、めっき用マスクとして使用されるフォトレジストパターンの裾引きをなくし、めっきパターンの倒壊を克服するためにアンダーカットレジストパターンプロファイルを提供することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6057083号明細書
【特許文献2】米国特許第6136501号明細書
【特許文献3】米国特許第8206886号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第01008913A1号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第00930542A1号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2012/0064456A1号明細書
【特許文献7】米国特許第6,042,997号明細書
【特許文献8】米国特許第5,492,793号明細書
【特許文献9】米国特許第5,929,176号明細書
【特許文献10】米国特許第6,090,526号明細書
【特許文献11】米国特許第6,692,888号明細書
【特許文献12】米国特許第6,680,159号明細書
【特許文献13】米国特許第5,843,624号明細書
【特許文献14】米国特許第6,048,664号明細書
【特許文献15】米国特許第6,048,662号明細書
【特許文献16】国際公開第0186353A1号パンフレット
【特許文献17】米国特許第6,306,554号明細書
【特許文献18】米国特許第7,244,542号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
メタライゼーション方法であって、(a)基板の第1の表面上にフォトレジスト層を提供することであって、フォトレジスト層が、酸不安定基を含むポリマー;光酸発生剤;有機ホスホン酸;及び溶媒を含むフォトレジスト組成物から形成される、基板の第1の表面上にフォトレジスト層を提供することと、(b)フォトレジスト層を活性化放射線にパターン様露光することと、(c)露光されたフォトレジスト層を塩基性現像液で現像してフォトレジストパターンを形成することと、(d)フォトレジストパターンを形成した後、フォトレジストパターンをめっき用マスクとして使用して、基板の第1の表面に金属をめっきすることと、を含む、メタライゼーション方法が本明細書に開示される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】上に第1の金属層が配置される基板の例示的な実施形態を示す図である。
【
図1B】第1の金属層上へのフォトレジスト層の堆積並びにフォトレジスト層及び第1の金属層のフォトパターニングの例示的な実施形態を示す図である。
【
図1C】フォトレジスト層の現像の例示的な実施形態を示す図である。
【
図1D】金属層上の金属の堆積(めっきによる)の例示的な描写である。
【
図1E】残りのフォトレジスト層を除去した後に残っためっき金属構造体を示す図である。
【
図2-7】実施例からのデータを含む表5~表10をそれぞれ示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書で用いる場合、用語「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、量の制限を意味せず、本明細書で特に示さないか又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。「又は」は、特に明記しない限り、「及び/又は」を意味する。
【0012】
本明細書で用いられる場合、「酸不安定基」は、結合が、酸の触媒作用によって、任意選択的に及び典型的に熱処理で開裂され、ポリマー上に形成される、カルボン酸又はアルコール基等の、極性基をもたらす基を指し、任意選択的に及び典型的に開裂された結合に接続した部分は、ポリマーから切り離される。そのような酸は、典型的には、露光後ベーク中に結合開裂が起こる光発生酸である。好適な酸不安定基には、例えば、三級アルキルエステル基、二級若しくは三級アリールエステル基、アルキル基とアリール基との組み合わせを有する二級若しくは三級エステル基、三級アルコキシ基、アセタール基又はケタール基が含まれる。酸不安定基は、当技術分野において、「酸開裂可能基」、「酸開裂可能保護基」、「酸不安定保護基」、「酸脱離基」、「酸分解可能基」及び「酸感受性基」とも一般に言われる。
【0013】
製造プロセスでのフォトレジスト層における裾引きの発生を抑制する半導体の製造方法が本明細書に開示される。裾引きは、更なるプロセス及び信頼性試験中にめっきパターンの崩壊を促進し得るめっきパターンのアンダーカットを引き起こす。したがって、めっきパターンの裾引きを排除又は抑制することが望ましい。
【0014】
ポリマー、非イオン性光酸発生剤及びホスホン酸を含むフォトレジスト組成物を基板上に配置してフォトレジスト層を形成する。フォトレジスト層は、活性化放射線にパターン様露光される。次いで、露光されたフォトレジスト層を塩基性現像剤で現像し、それによってフォトレジスト層の一部を除去してレリーフパターンを形成する。レリーフパターンを形成した後、基板の第1の表面に金属をめっきしてもよい。
【0015】
図1A~
図1Eは、基板上にめっきパターンを形成する方法を示す。
図1Aは、上に第1の金属層102が配置される基板100を示す。
図1Bは、金属層102上へのフォトレジスト層106のコーティングとそれに続くフォトレジスト層106の光露光を示す。フォトレジスト層106は、光酸発生剤と、酸不安定基を含有するポリマーとを含む。フォトレジスト層106をコーティングした後、フォトレジスト層106は、光学的に不透明な領域及び光学的に透明な領域を有するフォトマスク110を介して活性化放射線108にパターン様露光される。10ナノメートル~400ナノメートルの波長を有するUV光がフォトパターニングにおいて使用されてもよい。
【0016】
図1Cは、フォトレジスト層106の露光部分の現像を示す。フォトレジスト層106の露出部分は、
図1Cに見られるように現像によって除去される。
図1Dに見られるように金属めっき後、フォトレジスト層の残りの部分を基板から除去(剥離)して、めっきされた金属構造体112を残すことができる。
図1Eは、残りのフォトレジスト層の除去後に残っためっき金属構造体112を示す。
【0017】
次に、上述した各種の層(
図1A~
図1Eに示す)及びそれらの各組成について詳細に説明する。
【0018】
基板
基板の例としては、シリコンウェハ、ガラス基板及びプラスチック基板が挙げられるが、それらに限定されず、そのような基板は、任意選択的に、それらの上に形成された1つ以上の層又はフィーチャを含む。好ましい基板はシリコンウェハである。
【0019】
金属層
図1Aは、上に第1の金属層102が配置される基板100を示す。任意選択的な第2の金属層(図示せず)は、第1の金属層102上に配置されてもよい。第1の金属層は、例えば、チタン、銀、アルミニウム、金、銅、又はそれらの合金から作製され得る。例示的な実施形態では、第1の金属層102はチタン又は銅を含む。第2の金属層が第1の金属層上に配置される場合、第1の金属層は好ましくはチタンを含む。第1の金属層は、既知の方法を使用して、例えば、化学気相成長(CVD)、プラズマ化学気相成長(PECVD)又は物理気相成長(PVD)技術によって形成することができ、スパッタリング及びめっきが典型的である。第1の金属層102の厚さは、典型的には、10nm~500nmである。
【0020】
任意の第2の金属層は、タンタル、チタン、銅、銀、アルミニウム、金、又はそれらの合金を含む。第2の金属層は、第1の金属層102と化学的に異なる。例示的な実施形態では、第2の金属層は銅を含む。第2の金属層は、化学気相成長(CVD)、プラズマ化学気相成長(PECVD)、物理気相成長(PVD)、又はそれらの組み合わせを介して第1の金属層の表面に配置されてもよい。第2の金属層の厚さは、典型的には、10nm~500nmである。
【0021】
フォトレジスト層
図1Bは、第1の金属層102上へのフォトレジスト層106の堆積を示す。フォトレジスト層106は、ポリマー、光酸発生剤、ホスホン酸及び塩基クエンチャを含む。ポリマーは、酸不安定基を含む第1の繰返し単位を含む。一実施形態では、ポリマーは、ビニル芳香族基を含む第2の繰返し単位を含む。
【0022】
酸不安定基は、酸の存在下で脱保護反応を受ける化学部位である。実施例で使用されるいくつかの酸不安定基の脱保護は、熱によってもたらされる。アセタール保護基は室温で容易に脱保護される。フォトレジスト組成物のポリマーは、ソフトベーク、活性化放射線への露光及び露光後ベークの後に(フォトレジスト組成物に含まれる)光酸発生剤から発生した酸との反応の結果として、現像液中の溶解度の変化を受ける。これは、ポリマーの極性の変化を引き起こす酸不安定基の光酸誘導開裂に起因する。酸不安定基は、例えば、三級アルキルカルボナート、三級アルキルエステル、三級アルキルエーテル、アセタール、及びケタールから選択することができる。好ましくは、酸不安定基は、ポリマーのエステルのカルボキシル酸素に共有結合した三級非環状アルキル炭素又は三級脂環式炭素を含むエステル基である。そのような酸不安定基の開裂により、カルボン酸基が形成される。
【0023】
一実施形態では、酸不安定基を含むポリマーは、以下の式(1)に示す構造を有する重合単位を含み、
【化1】
式中、Zは、水素原子、置換若しくは非置換C
1~C
4アルキル、置換若しくは非置換C
1~C
4フルオロアルキル又はシアノ基から選択され;Z
1は、その開裂がポリマー上にカルボン酸を形成する、酸不安定基を含む非水素置換基である。
【0024】
一実施形態において、分解時に、ポリマー上にカルボン酸基を形成する酸不安定基は、好ましくは、式-C(O)OC(R1)3の三級エステル基又は式C(O)OC(R2)2OR3のアセタール基であり、ここで:R1は、それぞれ独立して、線状C1~20アルキル、分岐C3~20アルキル、単環式若しくは多環式C3~20シクロアルキル、線状C2~20アルケニル、分岐C3~20アルケニル、単環式若しくは多環式C3~20シクロアルケニル、単環式若しくは多環式C6~20アリール、又は単環式若しくは多環式C2~20ヘテロアリール、好ましくは線状C1~6アルキル、分岐C3~6アルキル、又は単環式若しくは多環式C3~10シクロアルキルであり、それらのそれぞれは、置換若しくは非置換であり、各R1は、任意選択的に、その構造の一部として、-O-、-C(O)-、-C(O)-O-、又は-S-から選択される1つ以上の基を含み、任意の2つのR1基は、一緒に任意選択的に、環を形成し;R2は、独立して、水素、フッ素、線状C1~20アルキル、分岐C3~20アルキル、単環式若しくは多環式C3~20シクロアルキル、線状C2~20アルケニル、分岐C3~20アルケニル、単環式若しくは多環式C3~20シクロアルケニル、単環式若しくは多環式C6~20アリール、又は単環式若しくは多環式C2~20ヘテロアリール、好ましくは水素、線状C1~6アルキル、分岐C3~6アルキル、又は単環式若しくは多環式C3~10シクロアルキルであり、それらのそれぞれは、置換又は非置換であり、各R2は、任意選択的に、その構造の一部として、-O-、-C(O)-、-C(O)-O-、又は-S-から選択される1つ以上の基を含み、R2基は、一緒に任意選択的に、環を形成し;R3は、線状C1~20アルキル、分岐C3~20アルキル、単環式若しくは多環式C3~20シクロアルキル、線状C2~20アルケニル、分岐C3~20アルケニル、単環式若しくは多環式C3~20シクロアルケニル、単環式若しくは多環式C6~20アリール、又は単環式若しくは多環式C2~20ヘテロアリール、好ましくは線状C1~6アルキル、分岐C3~6アルキル、又は単環式若しくは多環式C3~10シクロアルキルであり、それらのそれぞれは、置換若しくは非置換であり、R3は、任意選択的に、その構造の一部として、-O-、C(O)-、-C(O)-O-、又は-S-から選択される1つ以上の基を含み、1つのR2は、R3と一緒に任意選択的に環を形成する。そのようなモノマーは、典型的には、ビニル芳香族、(メタ)アクリレート、又はノルボルニルモノマーである。
【0025】
適切な酸不安定基含有単位としては、例えば、t-ブチル(メタ)アクリレート、1-メチルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1-エチルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1-イソプロピルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1-プロピルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1-メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1-エチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1-イソプロピルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1-プロピルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルアダマンチル(メタ)アクリレート、エチルアダマンチル(メタ)アクリレート等、並びに脂環式等の他の環状、及び非環状の(アルキル)アクリレートのような酸不安定(アルキル)アクリレート単位が挙げられる。
【0026】
アセタール及びケタール系の酸不安定基は、カルボキシル基等のアルカリ可溶性基末端の水素原子を置換して酸素原子と結合することができる。酸が発生すると、アセタール基又はケタール基と、アセタール型酸解離性溶解抑制基が結合している酸素原子との間の結合が酸によって開裂する。そのような酸不安定基の例は、例えば、(特許文献1)、(特許文献2)及び(特許文献3)及び(特許文献4)及び(特許文献5)に記載されている。例えば(特許文献6)に記載されているように、開裂によりヒドロキシル基が形成される、糖誘導体構造の一部としてのアセタール基及びケタール基も適切である。
【0027】
適切なポリマーには、例えば、酸不安定基を含有するフェノール樹脂が含まれる。この分類の特に好ましい樹脂には以下が含まれる:(i)(特許文献7)及び(特許文献8)に記載されているポリマー等の、ビニルフェノールと上述した酸不安定(アルキル)アクリレートとの重合単位を含むポリマー;(ii)(特許文献7)に記載されているポリマー等の、ビニルフェノールと、ヒドロキシ又はカルボキシ環置換基を含まない任意選択的に置換されていてもよいビニルフェニル(例えばスチレン)と、上述したような酸不安定(アルキル)アクリレートとの重合単位を含むポリマー;(iii)(特許文献9)及び(特許文献10)に記載されているポリマー等の、光酸と反応するアセタール又はケタール部位を含む繰返し単位と、任意選択的なフェニル基又はフェノール基等の芳香族繰返し単位とを含むポリマー;並びに(i)及び/又は(ii)及び/又は(iii)のブレンド。そのようなポリマーは、例えば200nm以上、例えば248nm及び365nmの波長での画像化に有用である。
【0028】
適切なポリマーには、(特許文献5)及び(特許文献11)及び(特許文献12)に開示されているもの等、193nm等の特定の200nm未満の波長での画像化に有用なものが含まれる。193nmの波長での画像化のために、ポリマーは、好ましくは実質的に非含有であり(例えば、15モル%未満)、好ましくはフェニル、ベンジル又は他の芳香族基を完全に含まず、このような基は放射線を高度に吸収する。
【0029】
フォトレジスト組成物に使用するための他の適切なポリマーとしては、例えば、非芳香族環状オレフィン(環内二重結合)の重合単位を含有するもの、例えば、任意に置換されたノルボルネン、例えば、(特許文献13)及び(特許文献14)に記載されるポリマーが挙げられる。フォトレジスト組成物に使用するための更に他の適切なポリマーには、(特許文献4)及び(特許文献15)に開示されているような、重合無水物単位、特に重合マレイン酸無水物及び/又はイタコン酸無水物単位を含有するポリマーが含まれる。
【0030】
ヘテロ原子、特に酸素及び/又は硫黄(ただし、無水物以外、すなわち、単位はケト環原子を含有しない)を含有する繰返し単位を含有するポリマーも、フォトレジスト組成物における使用に適している。ヘテロ脂環式単位は、ポリマーの主鎖に縮合することができ、ノルボルネン基の重合によって提供される等の縮合炭素脂環式単位及び/又は無水マレイン酸若しくはイタコン酸無水物の重合によって提供される等の酸無水物単位を含むことができる。そのようなポリマーは、(特許文献16)及び(特許文献17)に開示されている。他の適したヘテロ原子基含有ポリマーには、(特許文献18)に開示されているような、1つ以上のヘテロ原子(例えば酸素又は硫黄)含有基、例えばヒドロキシナフチル基で置換された重合した炭素環アリール単位を含有するポリマーが含まれる。
【0031】
ポリマーは、ポリマー及びフォトレジスト組成物の溶解速度を制御するためのラクトン部分を含む単位を更に含んでもよい。ラクトン部位を含むポリマーにおける使用に適したモノマーとしては、例えば以下のものが挙げられる。
【化2】
【0032】
一実施形態では、ポリマーは、典型的には極性基を含む単位を更に含み、この極性基は、ポリマー及びフォトレジスト組成物の耐エッチング性を高め、且つポリマー及びフォトレジスト組成物の溶解速度を制御する追加の手段を提供する。そのような単位を形成するためのモノマーとしては、例えば以下のものが挙げられる。
【化3】
【0033】
ポリマーは、上述したタイプの1種以上の追加の単位を含むことができる。典型的には、ポリマーの追加の単位は、ポリマーの他の単位を形成するために使用されるモノマーに使用されるものと同じ又は同様の重合性基を含むが、同じポリマー主鎖に他の異なる重合性基を含んでいてもよい。
【0034】
ポリマーはまた、ビニル芳香族モノマーの重合から誘導される1つ以上の繰返し単位を含んでもよい。例示的なビニル芳香族モノマーはスチレンである。一実施形態において、ビニル芳香族モノマーから誘導されるポリマーは、下記式(2):
【化4】
に示される構造を有し、
式中、aは、1~5であり、Z
2は、水素又は1~5個の炭素原子を有するアルキル基である。好ましい実施形態において、aは1であり、Z
2は水素である。ビニル芳香族モノマーは、アリール環上のパラ位に水酸基を有することが好ましい。好ましいビニル芳香族ポリマーは、ポリ(p-ヒドロキシスチレン)(PHSと略す)である。
【0035】
一実施形態では、フォトレジスト組成物に使用するためのポリマーは、以下の式(3):
【化5】
に示す構造を有し得、
式中、Zは水素原子又はメチル基であり、Z
1は式(1)で上に詳述した酸不安定性部分を提供する非水素置換基である。一実施形態では、m+nは、100モルパーセント(モル%)に等しい。一実施形態では、mは、ポリマー中に存在する全重合単位に基づいて、10~80モル%、好ましくは20~70モル%であり、nは20~90モル%、好ましくは25~80モル%、好ましくは30~40モル%である。一実施形態では、mに対するnのモル比は0.7~9である。
【0036】
ポリマーが第3の繰返し単位(第1の繰返し単位及び第2の繰返し単位とは異なる)を含む場合、第3の繰返し単位は、ポリマー中に存在する全重合単位に基づいて、15~35モル%、好ましくは20~30モル%の量でポリマー中に存在し得る。第3の繰返し単位は、ポリマー中に存在する全重合単位に基づいて、15~35モル%、好ましくは20~30モル%の量でポリマー中に存在し得る。
【0037】
これに限定されるものではないが、例示的なポリマーとしては、例えば以下のものが挙げられる。
【化6】
【0038】
フォトレジスト組成物に使用され得る他の例示的なポリマーには、例えば、以下が含まれ、
【化7】
式中、a+b+c、d+e+f+g及びh+iは、ポリマー中に存在する全重合単位に基づいて100モル%に等しい。
【0039】
フォトレジスト組成物に使用するのに適したポリマーは市販されており、当業者によって容易に作製することができる。ポリマーは、フォトレジストの露光されたコーティング層を適切な現像液中で現像可能にするのに十分な量でフォトレジスト組成物中に存在する。
【0040】
典型的には、ポリマーは、フォトレジスト組成物の全固形分に基づいて70~100重量%の量でフォトレジスト組成物中に存在する。ポリマーの重量平均分子量Mwは、ポリスチレン標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィによって測定される場合、典型的には100,000未満、例えば4000~100,000、より典型的には4000~20,000グラム/モル(g/モル)である。上記ポリマーの2種以上のブレンドを本発明のフォトレジスト組成物において好適に使用することができる。
【0041】
フォトレジスト組成物は、非イオン性光酸発生剤を含む。一実施形態では、フォトレジスト組成物は、任意選択的にイオン性光酸発生剤を含んでいてもよい。ノリッシュ-1型開裂によって光酸を発生させる光酸発生剤を使用することが望ましい。ノリッシュ-I型反応は、2つのフリーラジカル中間体へのアルデヒド及びケトンの光化学的開裂又はホモリシスである。カルボニル基は、光子を受け取り、光化学一重項状態に励起される。一実施形態において、光酸発生剤は、式(4):
【化8】
に示される構造を有し、
ここで、式(4)において、R
4は、水素原子、置換若しくは非置換の、線状若しくは分岐C
1~C
14アルキル基、置換複素環基、又はハロゲン原子であり;R
5は、1~18個の炭素原子を有する置換若しくは非置換アルキル基;ハロゲン原子、又は6~20個の非置換炭素原子を有するアリール基である。
【0042】
好適な光酸発生剤の例は、N-ヒドロキシナフタルイミドトリフルオロメタンスルホネート(NHNI-TF)、N-ヒドロキシナフタルイミドパーフルオロ-1-ブタンスルホネート(NHNI-PFBS)、N-ヒドロキシナフタルイミドカンファー-10-スルホネート、N-ヒドロキシナフタルイミド2-トリフルオロメチルフェニルスルホネート、N-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシミドパーフルオロ-1-ブタンスルホネート、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N-ヒドロキシスクシンイミドパーフルオロブタンスルホネート又はベンゼンアセトニトリル、2-メチル-α-[2-[[(プロピルスルホニル)オキシ]イミノ]-3(2H)-チエニリデン](IRGACURE PAG 103として商業的に入手可能である)である。好ましい実施形態では、光酸発生剤は、以下に示す式(4a)又は(4b):
【化9】
の構造の1つ又は複数であり得る。
【0043】
光酸発生剤は、フォトレジスト組成物の総固形分を基準として、0.2~15重量%、より典型的には0.3~5重量%、より好ましくは0.5~2重量%の量でフォトレジスト組成物中に存在する。光酸発生剤の負荷を最小限に抑えることにより、フォトレジストのUV透過性も最小限に抑えることができる。それはフォトレジスト層のUV透過性を高める。次いで、フォトレジスト層を介して下層のUV増感剤に到達するのに十分なUV照射を行うことができる。
【0044】
フォトレジスト組成物は、半導体製造中の裾引きの低減を容易にするホスホン酸を含む。ホスホン酸は、下記式(5)に示す構造を有する。
RPO(OH)2(5)、式中、Rは、リン原子に直接結合している置換又は非置換の脂肪族、脂環式又は芳香族基である。R基は、酸素原子を介してリン原子に結合していない。Rが置換又は非置換脂肪族基である場合、それは線状又は分岐鎖であり得る。一実施形態では、Rは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アリールアルキル基、又はそれらの組み合わせであり得る。
【0045】
一実施形態において、ホスホン酸は、下記式(6):
【化10】
に示される構造を有し、
式中、Rは上記の通りである。
【0046】
脂肪族ホスホン酸の例は、例えば、ブチルホスホン酸、ペンチルホスホン酸、ヘキシルホスホン酸、オクチルホスホン酸、n-デシルホスホン酸、n-ドデシルホスホン酸、n-ヘキサデシルホスホン酸、n-ヘキシルホスホン酸、n-オクタデシルホスホン酸、n-オクチルホスホン酸、n-テトラデシルホスホン酸等のC1~C18ノルマルアルキルホスホン酸、又はそれらの組み合わせである。
【0047】
芳香族ホスホン酸の例としては、フェニルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、(4-アミノベンジル)ホスホン酸(4-アミノフェニル)ホスホン酸、(4-ヒドロキシフェニル)ホスホン酸、ベンズヒドリルホスホン酸、(2-フェニルエチル)ホスホン酸、4-メトキシフェニルホスホン酸、(ピリジン-3-イルメチル)ホスホン酸等、又はそれらの組み合わせが挙げられる。好ましい実施形態では、ホスホン酸はフェニルホスホン酸である。
【0048】
一実施形態では、ホスホン酸は、酸不安定性ポリマー100部当たり0.01~0.50、好ましくは0.05~0.20重量部の量でフォトレジスト組成物中に存在する。フォトレジスト組成物中のホスホン酸の量が、酸不安定性ポリマー100部当たり0.01重量部未満である場合、フォトレジスト層中の裾引きは最小限に抑えられない。フォトレジスト組成物中のホスホン酸の量が、酸不安定性ポリマー100部当たり0.20重量部を超えると、狭い脚部の存在に起因してフォトレジスト層のパターンが崩壊する傾向がある。
【0049】
ホスホン酸に加えて、リン酸及びホスフェート等の他の酸もフォトレジスト組成物に添加することができる。
【0050】
フォトレジスト組成物はまた、塩基クエンチャを含有する。塩基クエンチャは、現像されたレジストレリーフ像の解像度を向上させる。塩基クエンチャは、好ましくは、フォトレジスト組成物を7未満のpKaにするのに有効な量で添加される三級アミン化合物である。一実施形態では、塩基クエンチャは、窒素原子が不飽和複素環式化合物のメンバーではないか、又は別の原子に二重結合で連結されていない三級アミンである。
【0051】
塩基クエンチャとして使用され得る好ましいアミン化合物の例は、2,8-ジメチル-6H,12H-5,11メタノジベンゾ[b,f][1,5]ジアゾシン(トレガー塩基)、エチル-3-(モルホリノ)プロピオネート、4-(p-トリル)モルホリン、又はそれらの組み合わせを含む。
【0052】
一実施形態では、アミド、ピリジン、アゾール、一級及び二級アミン等の他の塩基クエンチャは、本発明のフォトレジスト組成物に使用されない。更に、フォトレジスト組成物のpKaを7超に増加させる強力なアミンは、光酸発生剤の分解を防止するために使用されない。
【0053】
フォトレジスト層中の塩基クエンチャの量は、フォトレジスト組成物中の固体の総重量に基づいて、好ましくは0.001~1.0重量%、より好ましくは0.01~0.8重量%又は0.02~0.2重量%である。
【0054】
フォトレジスト組成物は、溶媒を更に含む。溶媒は、ポリマーを溶媒和し、組成物に使用される様々な成分の混和性を促進するために使用される。
【0055】
溶解させる、分配する、及びコートするのに一般に好適な溶媒には、アニソール;1-メトキシ-2-プロパノール(プロピレングリコールメチルエーテル、PGMEとも言われる)、及び1-エトキシ-2-プロパノール等のアルコール;n-ブチルアセテート、1-メトキシ-2-プロピルアセテート(プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、PGMEAとも言われる)、メトキシエチルプロピオネート、エトキシエチルプロピオネート等のエステル;シクロヘキサノン、2,6-ジメチル-4-ヘプタノン、2-ヘプタノン等のケトン;乳酸エチル(EL)、2-ヒドロキシイソ酪酸メチルエステル(HBM)、ガンマ-ブチロラクトン(GBL)、3-メトキシプロパン酸メチルエステル、並びにそれらの組み合わせが含まれる。
【0056】
溶媒量は、フォトレジスト組成物の総重量を基準として、例えば、20~95重量%、好ましくは40~80重量%、より好ましくは50~70重量%であることができる。フォトレジスト層中の成分のこの文脈で使用される「ポリマー」は、本明細書に開示されるポリマー(酸不安定基を含有する)のみを意味し得ることが理解されよう。全固形分は、ポリマー、光破壊性塩基、クエンチャ、界面活性剤、光酸発生剤、及び溶媒を除く任意の添加剤を含むことが理解されよう。
【0057】
フォトレジスト組成物は、1種以上の表面レベリング剤(SLA)、接着促進剤及び/又は可塑剤等の、他の任意選択の原料を含むことができる。使用される場合、SLAは、好ましくは、フォトレジスト組成物の総固形分を基準として0.001~0.1重量%の量で存在し、使用される場合、接着促進剤及び/又は可塑剤は、それぞれ、フォトレジスト組成物の総固形分を基準として0.1~10重量%の量で存在する。
【0058】
フォトレジスト組成物を第1の金属層102に塗布してフォトレジスト層106を形成する。一実施形態では、フォトレジスト層は2マイクロメートルを超える厚さを有する。フォトレジスト組成物は、一般に、スピンコーティング、浸漬、ローラーコーティング又は他の従来のコーティング技術によって金属層の表面に塗布される。スピンコーティングが好ましい。スピンコーティングについて、コーティング溶液の固形分を調整して、利用される特定のコーティング装置、溶液の粘度、コーティングツールの速度及び回転許容時間量に基づいて所望のフィルム厚さを提供することができる。一実施形態において、フォトレジスト組成物は、一回の適用で塗布される。
【0059】
フォトレジスト組成物層は、次いで、露光領域と非露光領域との間で溶解度の差を生じさせるためにフォトマスクを通して活性化放射線にパターン様露光される。
図1Bを参照すると、フォトレジスト層106の堆積後、フォトレジスト層106をフォトパターニングするために、フォトレジスト層106上にマスク110が配置される。10ナノメートル~500ナノメートルの波長を有するUV光がフォトパターニングにおいて使用されてもよい。フォトレジスト層の露光部分は、
図1Cに見られるように、適切なアルカリ性現像液を用いたエッチングによって除去することができる。
【0060】
層のために活性化する放射線にフォトレジスト組成物層を露光することへの本明細書での言及は、放射線が層に潜像を形成できることを示す。フォトマスクは、活性化放射線によって、それぞれ、露光される及び露光されないレジスト層の領域に対応する光学的に透過性領域及び光学的に不透過性領域を有する。露光波長は、典型的には、200~500nmのUV-可視光等の、500nmより下である。好ましくは、露光は、水銀ランプからの365nm波長の放射線(i線)で行われる。
【0061】
フォトレジスト組成物層の露光後に、露光工程中にPAGから発生した酸によって酸不安定基を分解するために、露光後ベーク(PEB)が典型的には行われる。PEBは、例えば、ホットプレート上又はオーブン中で行うことができる。それにより、極性が切り替えられた領域と切り替えられていない領域(それぞれ露光領域及び非露光領域に対応する)との間の境界によって規定される潜像が形成される。
【0062】
フォトレジスト組成物層は、次に、層の露光部分を除去するためにアルカリ性現像液と接触させられ、レジストパターンを形成する非露光領域を残す。現像液は、典型的には、水性アルカリ性現像液、例えば、水酸化第四級アンモニウム溶液、例えば、0.26規定度(N)(2.38重量%)水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)等の水酸化テトラアルキルアンモニウム溶液である。
【0063】
更なる態様は、金属層102上に金属を堆積させるためのプロセスである。
図1Dは、金属層102上への金属112の堆積(めっきによる)の例示的な描写である。プロセスは、金属層を金属めっき液に浸漬することと、フォトレジスト組成物層の露光部分の金属層上に金属を電気堆積させることと、を含む。金属層112は、典型的には、基板上又は第1の金属層102の露光部分上に形成される。
【0064】
パターン化フォトレジスト層106を有する基板を金属めっき液に浸漬して、フォトレジスト組成物層が現像除去された領域の露光した第1の金属層上に金属をめっきすることができる。フォトレジスト組成物層の現像領域は、金属めっき用の鋳型の役目を果たす。金属は、例えば、電気めっきによってめっきすることができる。当技術分野において公知の様々なタイプの金属めっき液を使用することができる。また、金属の2つ以上の異なる層を形成することができ、層は、同じ若しくは異なる金属のものであることができる。好ましいめっき金属には、銅、ニッケル、スズ、銀、金並びにそれらの混合物及び合金が含まれるが、それらに限定されない。そのような金属を形成するのに使用するのに適した金属めっき液は当技術分野で公知であり、DuPont Electronics&Industrialから供給されている。めっき金属層の厚さは、典型的には1~100マイクロメートル、好ましくは5~50マイクロメートルである。めっき金属層厚さは、フォトレジスト層の厚さ未満又はそれ超であることができる。
【0065】
金属めっき後、残りのフォトレジスト層及び下層を基板から除去(剥離)して、めっきされた金属構造体112を残すことができる。
図1Eは、残りのフォトレジスト層の除去後に残っためっき金属構造体112を示す。適切なフォトレジスト剥離剤は、例えば、Shipley BPR(商標)Photostripper(DuPont Electronics&Industrial)から供給される。
【0066】
めっき金属構造体間の露出第1金属層は、めっき金属構造体のそれぞれを電気的に絶縁するために、例えば、エッチ-バックプロセスによって任意に除去することができる。得られた金属構造体は、例えば、2つの構成要素間の電気的接続を提供するための再配線層に有用であり得るライン形状を有することができる。有利には、小さい幅及び真っ直ぐな(垂直の)側壁を有する金属ラインを、本明細書で開示される組成物及び方法によって形成することができる。そのような構造物は、例えば、小さい、軽量の及び薄いデバイスにおける電気的接続に用途を見いだす。ラインの幅は、例えば、0.8~10マイクロメートル、好ましくは1~3マイクロメートルであり得る。ラインの高さは、例えば、フォトレジスト組成物樹脂の厚さに依存するであろうが、2マイクロメートル以上のピラー高さを形成することができる。
【0067】
本発明は、フォトレジスト組成物を使用して、ピラーの頂部の断面積と比較して基部の断面積がより大きいラインを得ることができるという点で有利である。開示されるフォトレジスト組成物の使用は、金属ラインの底部におけるアンダーカットの形成を防止する。これにより、半導体の更なる処理中にラインの崩壊が防止される。
【0068】
本発明は、これから、以下の非限定的な実施例によって例示される。
【実施例0069】
以下の実施例は、フォトレジスト組成物中のホスホン酸の使用を実証するために行われる。実施例は、ホスホン酸を使用してフォトレジスト層の裾引きを最小限に抑える方法を実証している。
【0070】
フォトレジスト組成物は、酸不安定基を有する第1の繰返し単位と、ヒドロキシスチレンを含む第2の繰返し単位とを含むポリマーを含む。ポリマーを以下の表1に示し、ポリマー中の各繰返し単位の量をモルパーセントで示す。以下に示す繰返し単位の異なる組み合わせを使用して、3つの異なるポリマー(A1、A2及びA3)を製造した。
【0071】
表1に示すモノマーは、TBA(ターシャリーブチルアクリレート)、ECPMA(エチルシクロペンチルメタクリレート)、STY(スチレン)及びPHS(ポリヒドロキシスチレン)である。ポリマーに使用したモノマーの構造を以下の表1に示す。
【0072】
【0073】
使用した光酸発生剤(PAG)はB1(N-ヒドロキシナフタルイミドトリフルオロメタンスルホネート、NHNI-TF)及びB2(N-ヒドロキシナフタルイミドペルフルオロ-1-ブタンスルホネート、NHNI-PFBS)であり、東洋合成工業株式会社から供給された。構造を以下に示す。
【化11】
【0074】
それぞれのフォトレジスト組成物に使用される酸性化合物(予測pKaと共に)を表2に示す。酸性化合物のpKaはSciFinderから得た。SciFinderの値は、Advanced Chemistry Development SoftwareV11.02(ACD/Labs)を使用して計算されている。有機化合物のpKaは、従来、電位差滴定及びキャピラリー電気泳動(CE)によって測定されてきた。
【0075】
酸の構造を以下の表2に示す。
【0076】
【0077】
使用したフォトレジスト組成物に使用した塩基クエンチャを、それらの予測pKaと共に表3に示す。化合物のpKaはSciFinderから得た。
【0078】
【0079】
ポリマー、光酸発生剤、塩基クエンチャ及び酸を含むフォトレジスト組成物を一緒に混合し、基板上に配置された金属層上に配置した。表4は、フォトレジストの実施例及び同等の比較例の配合を示す。PAG(B)、酸(C)、塩基(D)及びSLAの負荷を、100%の酸不安定性ポリマー(A)に対して重量部として調整した。固形分を34重量%に調整した。溶媒としては、PGMEA(プロピレングリコール1-メチルエーテル2-アセテート)、GBL(γ-ブチロラクトン)を用いた。PGMEAとGBLとの比を調整して98/2の重量比を達成した。0.45μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルタを用いてフォトレジストを濾過した。表4は、本発明を強調する実施例(EXによって示される)並びに比較例(CFによって示される)を含む。
【0080】
【0081】
銅基板の前処理
銅金属層をプラズマ蒸着によってシリコン基板上に堆積させて銅ウェハを形成する。銅堆積の前に、不動態化のために、及びフォトレジスト層の基板への接着を容易にするために、チタン金属層がシリコン基板上に堆積される。銅ウェハを10重量%の硫酸(H2SO4)に30秒間浸漬した後、脱イオン水中ですすぎ、窒素雰囲気中で乾燥させ、2.38重量%のTMAH現像液を用いて60秒間パドルを行い、スピン乾燥し、脱イオン水中ですすぎ、スピン乾燥した。回転乾燥後、脱水ベーキング及び/又はHMDSプライマーによるコーティング等の加熱プロセスは、銅ウェハに実行/適用されない。
【0082】
プロセス条件
プロセス条件は以下の通りである。
基板:表面-銅/チタン/シリコン
プライマー:適用なし
標準的なベーク(S.B.)を135℃/90秒で行った。
フォトレジスト層の膜厚は8マイクロメートル(μm)である。
露光:NSR-2005i9C、0.50開口数(NA)/0.68PC
110℃/90秒で露光後ベーク(Post Exposure Bake:PEB)を行った。
現像剤:MF(登録商標)CD-26、2.38重量%TMAH、80秒、単一パドル
【0083】
パターンプロファイル評価
フォトレジスト層のパターンプロファイルは、焦点中心(Eop)で1.5マイクロメートル(μm)の空間幅を可能にする露光エネルギーで評価した。1.5μmの分離されたトレンチパターンの底部、1.5μmの密なトレンチパターンの焦点中心の拡大断面画像も評価した。
【0084】
図2は、パターンプロファイルへの酸性化合物添加の効果を示す表5を示す。酸性化合物C1(フェニルホスホン酸)を添加することによって、
図2の比較例CF-2(酸を含まない)に見られる裾引きプロファイルを除去することができる(EX-1の顕微鏡写真に見られるように)。しかし、このサリチル酸の効果が酸強度によるものか否かは不明である。(フェニルホスホン酸(C1)は、サリチル酸(C4)よりも強い酸性度(すなわち、より低いpKa)を有する)。
図2は、異なる酸下での断面パターンプロファイルの比較を示す。1.5μmの分離されたトレンチの底部のプロファイルを比較した。この裾引きプロファイル効果は、化合物C4(サリチル酸)をフォトレジスト組成物に添加した場合には得られない。
【0085】
パターンプロファイルは、化合物C1又はC2(ホスホン酸である)の負荷を増加させることによるアンダーカット及びオーバーハングを含む傾向がある。しかしながら、この効果は、フォトレジスト組成物中の酸としてC3(エチルヘキシルホスフェート)又はC5(ベンゼンスルホン酸水和物)を使用した場合には観察されない。これらの結果から、酸性化合物添加の効果はその強度に依存せず、その特定の化学構造に起因し得ると推定され得る。また、ホスフェート(C3)は銅への裾引きを減少させないが、ホスホン酸(C1及びC2)は裾引きを減少させ、負荷量を制御することによってアンダーカットを生成することが分かる。
【0086】
図3(表6を示す)は、断面パターンプロファイルに対する酸性化合物の効果の比較を示す。特に、1.5μmの分離されたトレンチの底部のプロファイルは、異なる酸(C1、C2、C3及びC5)について比較される。化合物C1又はC2をフォトレジスト組成物により大量に使用した場合、パターンプロファイルはアンダーカット又はオーバーハングを有する傾向がある(57%を78%及び100%のいずれかと比較)。しかしながら、この効果は、酸としてC3又はC5を使用した場合には観察されない。この試験結果から、酸性化合物添加の効果は酸強度のみでは推定できないと結論付けることができる。理論に限定されるものではないが、これは特定の化学構造によって引き起こされる。ホスフェート(C3)は銅への裾引きを減少させないが、ホスホン酸(C1及びC2)は裾引きを減少させ、その負荷量を制御することによってアンダーカットを生成することが分かる。
【0087】
図4(表7を示す)は、酸性化合物C1(フェニルホスホン酸)の異なる負荷を同時に使用しながら、パターンプロファイルに対する異なる塩基クエンチャの効果を示す。前の表(
図3に示す表6)のように、1.5μmの分離されたトレンチの底部のプロファイルが観察される。より多量の酸性化合物を添加すると、塩基クエンチャ(D1、D3又はD2)を使用した場合、銅にアンダーカット又はオーバーハング形状が生じる傾向がある。しかしながら、D4(tBOC-4HP)又はD5(ニコチンアミド)を酸性化合物C1と併せて使用した場合、裾引きプロファイルは改善されなかった。
【0088】
図5(表8を示す)及び
図6(表9を示す)は、パターンプロファイルに対する異なる塩基クエンチャ酸性化合物の組み合わせの効果を示す。これらの図から、酸性化合物C1と(フォトレジスト組成物中の)塩基クエンチャD1、D10又はD2の1つとの組み合わせが、裾引きの存在を減少させることが分かる。C1とD4、D6、D7、D5、D8及びD9のうちの1つとの組み合わせは、実質的な裾引きの存在を示す。これらの試験結果から、酸性化合物(C)及び塩基クエンチャ(D)の効果は、塩基クエンチャの強度(pKa)によって決定される。フォトレジスト組成物中のD10とC1との組み合わせは、混合後に白色沈殿を生じた。追跡実験として、D10及びC1の1重量%PGMEA溶液を同じモル量で混合することによって沈殿を観察した。酸塩基塩又は錯体の形成は、沈殿の1つの可能な理由である。沈殿は、フォトレジスト溶媒中の塩の溶解度(PGMEA/GBL=98/2)によって引き起こされ得る。
【0089】
図7(表10を示す)は、酸性化合物C1と塩基クエンチャD1との組み合わせを使用した場合のフォトレジスト組成物に対する異なるPAG(B1及びB2)の効果を示す。B1又はB2 PAGのいずれかは、C1とD1との酸-塩基の組み合わせを使用してアンダーカットプロファイルをもたらす。
【0090】
理論に限定されるものではないが、ホスホン酸は、金属上に形成された金属酸化物(この場合、基板上に配置された銅層)上に単層を形成すると考えられる。酸は、金属酸化物に共有結合すると考えられ、したがって腐食防止剤として働く。銅腐食は、イオン化、移動及び酸化によって起こり得る。これらの銅腐食方法のいずれか1つを停止することができる場合、腐食は進行しない。フェニルホスホン酸と金属酸化物(CuO)との間に共有結合が形成されると、銅イオンがCuOに移動しないため、一定の濃度を維持することができる。ホスホン酸による銅酸化物表面の不動態化は、更なる金属イオン化を防止し、金属イオン化による光酸消費を低減する。この光酸消費の減少は、金属(例えば、銅)基板上の大量の裾引きの存在を防止する。ただし、ホスホン酸は、イオン化を低減するのに有効な量で添加することが好ましいことに留意されたい。過剰量のホスホン酸は、パターンの崩壊及びオーバーハングしたパターンプロファイルの形成を促進する遊離酸として作用し得る。