(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168262
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】照明器具及び点灯装置
(51)【国際特許分類】
H05B 45/50 20220101AFI20241128BHJP
H05B 45/36 20200101ALI20241128BHJP
H05B 47/20 20200101ALI20241128BHJP
H05B 45/385 20200101ALI20241128BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20241128BHJP
F21V 23/02 20060101ALI20241128BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20241128BHJP
【FI】
H05B45/50
H05B45/36
H05B47/20
H05B45/385
F21V23/00 140
F21V23/02
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084774
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関 圭介
(72)【発明者】
【氏名】日野 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】杉本 正暁
【テーマコード(参考)】
3K014
3K273
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K014EA00
3K273AA09
3K273BA25
3K273BA34
3K273BA35
3K273CA01
3K273CA02
3K273CA03
3K273CA25
3K273FA03
3K273FA14
3K273FA26
3K273GA03
3K273GA10
3K273GA12
3K273GA14
3K273HA12
3K273HA16
(57)【要約】
【課題】本開示の課題は、保護接地されない場合でも電気的な雑音の抑制を図ることである。
【解決手段】照明器具A1は、LEDモジュール1と、点灯装置B1と、器具本体2と、を備える。器具本体2は、導電性を有する材料で形成され、大地と電気的に絶縁されている。点灯装置B1は、整流器30と、変換回路31と、フィルタ回路32と、インピーダンス部33と、を有する。変換回路31は、整流器30から出力される脈流電圧を直流電圧に変換する。フィルタ回路32は、整流器30に交流電圧を入力する入力用電路FI1、FI2に挿入される。インピーダンス部33は、外部からフィルタ回路32に交流電圧を入力する入力用電路FI2と器具本体2を電気的に接続する導電路E1に設けられる。インピーダンス部33は、少なくとも一つ以上のコンデンサC1、C2を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
外部から供給される交流電圧を直流電圧に変換し、前記直流電圧によって前記光源を点灯させる点灯装置と、
導電性を有する材料で形成され、前記光源及び前記点灯装置を支持する器具本体と、
を備え、
前記器具本体は、大地と電気的に絶縁されており、
前記点灯装置は、
前記交流電圧を整流する整流器と、
前記整流器から出力される脈流電圧を前記直流電圧に変換する変換回路と、
前記整流器に前記交流電圧を入力する入力用電路に挿入されるフィルタ回路と、
前記外部から前記フィルタ回路に前記交流電圧を入力する前記入力用電路と前記器具本体を電気的に接続する導電路に設けられるインピーダンス部と、
を有し、
前記インピーダンス部は、少なくとも一つ以上のコンデンサを含む、
照明器具。
【請求項2】
前記点灯装置は、前記変換回路を制御する制御回路を更に有し、
前記制御回路は、前記交流電圧が供給されている状態において前記光源を消灯可能であり、
前記インピーダンス部が前記導電路と前記器具本体の間に付与する静電容量は、50ピコファラッド以上かつ500ピコファラッド以下である、
請求項1記載の照明器具。
【請求項3】
前記インピーダンス部が前記導電路と前記器具本体の間に付与する静電容量は、100ピコファラッド以上かつ300ピコファラッド以下である、
請求項2記載の照明器具。
【請求項4】
前記インピーダンス部は、電気的に直列接続される複数のコンデンサを含む、
請求項1-3のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項5】
前記点灯装置は、一対の前記入力用電路を有し、
前記複数のコンデンサは、一対の前記入力用電路のうちの片方の前記入力用電路と前記器具本体を電気的に接続する前記導電路に設けられ、
前記フィルタ回路は、前記一対の入力用電路を電気的に接続するコンデンサを有する、
請求項4記載の照明器具。
【請求項6】
請求項1-3のいずれかの照明器具に備えられる点灯装置であって、
前記交流電圧を整流する前記整流器と、
前記整流器から出力される前記脈流電圧を前記直流電圧に変換する前記変換回路と、
前記整流器に前記交流電圧を入力する前記入力用電路に挿入される前記フィルタ回路と、
外部から前記フィルタ回路に前記交流電圧を入力する前記入力用電路と前記器具本体を電気的に接続する前記導電路に設けられる前記インピーダンス部と、
を有し、
前記インピーダンス部は、少なくとも一つ以上のコンデンサを含む、
点灯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明器具及び点灯装置に関し、より詳細には、保護接地が不要である照明器具、及び当該照明器具に搭載される点灯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来例として、特許文献1記載の照明装置(照明器具)を例示する。特許文献1記載の照明装置(以下、従来例という。)は、光源と、第1面と第1面と反対側の面である第2面を有し、第1面に光源が設けられた基板と、スイッチング素子のオンオフにより光源を点灯させる点灯回路と、金属から形成され、第2面と面接触する筐体と、点灯回路と筐体との間に電気的に接続されるコンデンサと、を備える。筐体は、アース端子を接続するためのアース取付部と電気的に接続される。つまり、従来例は、金属製の筐体を保護接地している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、照明器具は、感電に関する保護等級に応じて、五つのクラス(クラス0、クラス0I、クラスI、クラスII及びクラスIII)に分類される。このうち、クラス0に分類される照明器具(定格電圧が150V以下の普通形照明器具)については、所定の周囲条件を満たせば、保護接地されなくても構わない。
【0005】
本開示の目的は、保護接地されない場合でも電気的な雑音の抑制を図ることができる照明器具及び点灯装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る照明器具は、光源と、点灯装置と、器具本体と、を備える。前記点灯装置は、外部から供給される交流電圧を直流電圧に変換し、前記直流電圧によって前記光源を点灯させる。前記器具本体は、導電性を有する材料で形成され、前記光源及び前記点灯装置を支持する。前記器具本体は、大地と電気的に絶縁されている。前記点灯装置は、前記交流電圧を整流する整流器と、変換回路と、フィルタ回路と、インピーダンス部と、を有する。前記変換回路は、前記整流器から出力される脈流電圧を前記直流電圧に変換する。前記フィルタ回路は、前記整流器に前記交流電圧を入力する入力用電路に挿入される。前記インピーダンス部は、前記外部から前記フィルタ回路に前記交流電圧を入力する前記入力用電路と前記器具本体を電気的に接続する導電路に設けられる。前記インピーダンス部は、少なくとも一つ以上のコンデンサを含む。
【0007】
本開示の一態様に係る点灯装置は、照明器具に備えられる点灯装置である。前記点灯装置は、前記交流電圧を整流する前記整流器と、前記変換回路と、前記フィルタ回路と、前記インピーダンス部と、を有する。前記変換回路は、前記整流器から出力される前記脈流電圧を前記直流電圧に変換する。前記フィルタ回路は、前記整流器に前記交流電圧を入力する前記入力用電路に挿入される。前記インピーダンス部は、外部から前記フィルタ回路に前記交流電圧を入力する前記入力用電路と前記器具本体を電気的に接続する前記導電路に設けられる。前記インピーダンス部は、少なくとも一つ以上のコンデンサを含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示の照明器具及び点灯装置は、保護接地されない場合でも電気的な雑音の抑制を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係る照明器具及び点灯装置のブロック図である。
【
図2】
図2は、同上の照明器具の一部破断した側面図である。
【
図4】
図4は、同上の照明器具及び点灯装置の変形例のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態に係る照明器具A1及び点灯装置B1について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさ及び厚さのそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0011】
(1)概要
実施形態に係る照明器具A1は、光源(LEDモジュール1)と、実施形態に係る点灯装置B1と、器具本体2と、を備える(
図1-
図3参照)。
【0012】
実施形態に係る点灯装置B1は、外部から供給される交流電圧を直流電圧に変換し、直流電圧によって光源(LEDモジュール1)を点灯させる。LEDモジュール1は、複数個のLED10と、複数個のLED10を一面(下面)に実装する基板11と、を有する。ただし、光源はLEDモジュール1に限定されず、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子又はレーザダイオードなどの発光素子で構成されても構わない。
【0013】
器具本体2は、導電性を有する材料、例えば、亜鉛めっき鋼板などの金属板で形成され、光源(LEDモジュール1)及び点灯装置B1を支持する(
図2参照)。器具本体2は、大地と電気的に絶縁されている。つまり、実施形態に係る照明器具A1は、保護接地されていない。
【0014】
点灯装置B1は、交流電圧を整流する整流器30と、変換回路31と、フィルタ回路32と、インピーダンス部33と、を有する(
図1参照)。変換回路31は、整流器30から出力される脈流電圧を直流電圧に変換する。フィルタ回路32は、整流器30に交流電圧を入力する入力用電路FI1、FI2に挿入される。
【0015】
インピーダンス部33は、外部からフィルタ回路32に交流電圧を入力する入力用電路FI1、FI2と器具本体2を電気的に接続する導電路E1に設けられる。インピーダンス部33は、少なくとも一つ以上のコンデンサ(
図1では二つのコンデンサC1、C2)を含む。
【0016】
しかして、実施形態に係る照明器具A1及び点灯装置B1は、変換回路31で発生する高周波ノイズのうち、フィルタ回路32で除去しきれない高周波ノイズを、インピーダンス部33を通して器具本体2に流すことができる。その結果、実施形態に係る照明器具A1及び点灯装置B1は、器具本体2が保護接地されない場合でも、交流電源P1に漏れ出す電気的な雑音(変換回路31で発生する高周波ノイズなど)の抑制を図ることができる。
【0017】
(2)詳細
実施形態に係る照明器具A1(以下、照明器具A1と略す。)は、LEDモジュール1と、実施形態に係る点灯装置B1(以下、点灯装置B1と略す。)と、器具本体2と、を備える(
図1-
図3参照)。照明器具A1は、カバー40、セード41、電源コード42、プラグ43、フランジ44、支持棒45などを更に備える(
図3参照)。
【0018】
照明器具A1は、天井に設置された配線器具(配線ダクト、引掛シーリングなど)に電気的かつ機械的に接続される、いわゆるペンダント形(吊り下げ形)の照明器具である(
図2及び
図3参照)。ここで、照明用の配線器具のうち、配線ダクト及び引掛シーリングは、住宅のリビングルーム、オフィスビルの居室などの湿気の少ない場所に設置される。また、配線ダクトには、接地極付きのものと接地極なしのものがある。接地極なしの配線ダクトWD1は、一対の電圧極のみを有して接地極を有していない。つまり、接地極なしの配線ダクトWD1及び引掛シーリングに取り付けられる照明器具A1は、クラス0の照明器具(定格電圧が150V以下の普通形照明器具)に該当し、保護接地なしで使用される。なお、照明器具A1はペンダント形の照明器具に限定されず、クラス0に分類される照明器具であれば、天井直付け形、天井埋込形、壁取付形などの照明器具であっても構わない。
【0019】
(2-1)LEDモジュール
LEDモジュール1は、複数個のLED10と、これら複数個のLED10が実装される基板11と、を有する(
図2参照)。
【0020】
複数個のLED10は、例えば、パッケージ型の照明用白色LEDである。ただし、LED10は、チップオンボード型のLEDでも構わない。また、複数個のLED10は、白色と電球色のように異なる発光色のLEDを含んでも構わない。
【0021】
基板11は、例えば、円盤状に形成されている。基板11の一面(下面)に複数個のLED10が実装される。複数個のLED10は、基板11の一面(下面)に形成されたプリント配線を介して点灯装置B1と電気的に接続される。
【0022】
(2-2)点灯装置
点灯装置B1は、
図1に示すように、整流器30、変換回路31、フィルタ回路32、インピーダンス部33、制御回路34などを有する。点灯装置B1は、一対の入力用電路FI1、FI2を介して交流電源P1と電気的に接続される。交流電源P1は、商用の電力系統であり、実効値100Vの交流電圧を点灯装置B1に供給する。なお、
図1では図示を省略しているが、交流電源P1と照明器具A1の間には、例えば、壁スイッチが設けられる。壁スイッチは、照明器具A1が設置された屋内の壁に設置され、人に操作されることで交流電源P1から照明器具A1への給電を入切する。つまり、壁スイッチがオフ状態のときは交流電源P1から照明器具A1へ交流電圧・交流電流が給電されず、壁スイッチがオン状態のときに交流電源P1から照明器具A1へ交流電圧・交流電流が給電される。
【0023】
整流器30は、ダイオードブリッジである。整流器30の一方の交流入力端子が入力用電路FI1を介して交流電源P1の一方の電圧極と電気的に接続され、整流器30の他方の交流入力端子が入力用電路FI2を介して交流電源P1の他方の電圧極と電気的に接続される。また、整流器30の一方の脈流出力端子が出力用電路FO1を介して変換回路31の高電位側の入力端子と電気的に接続され、整流器30の他方の脈流出力端子が出力用電路FO2を介して変換回路31の低電位側の入力端子と電気的に接続される。なお、一対の出力用電路FO1、FO2に対して、変換回路31と並列にコンデンサC4が接続される。
【0024】
変換回路31は、例えば、フライバックコンバータなどのスイッチング電源回路で構成される。変換回路31は、整流器30で全波整流された脈流電圧を直流電圧に変換する。変換回路31は、LEDモジュール1に直流電圧を印加し、かつ、LEDモジュール1に直流電流(順方向電流)を流して点灯させる。ただし、変換回路31は、フライバックコンバータ以外のスイッチング電源回路で構成されても構わない。
【0025】
制御回路34は、例えば、LED照明制御用の集積回路で構成される。ただし、制御回路34は、マイクロコントローラで構成されても構わない。制御回路34は、変換回路31が備えている半導体スイッチング素子をスイッチング制御する。なお、制御回路34は、半導体スイッチング素子をPWM(Pulse Width Modulation)制御することによって、変換回路31の出力電流(LEDモジュール1に流れる順方向電流)を目標値に一致させる。また、制御回路34は、リモートコントローラ(以下、リモコンと略す。)から送信される無線信号を受信し、受信した無線信号に応じて目標値を変更することでLEDモジュール1を調光可能である。なお、リモコンから送信される無線信号は、赤外線を媒体とする無線信号でもよいし、電波を媒体とする無線信号、例えば、Bluetooth(登録商標)又はWi-Fi(登録商標)などの通信規格に準拠した無線信号でもよい。さらに、制御回路34は、リモコンから受信する無線信号に応じてLEDモジュール1の点灯と消灯を切り替え可能である。なお、リモコンから消灯の指示を受けた場合、制御回路34は、変換回路31を停止することでLEDモジュール1を消灯する。あるいは、制御回路34は、変換回路31を動作させた状態で、変換回路31からLEDモジュール1への給電路を、半導体スイッチング素子又はリレーなどを用いて遮断することでLEDモジュール1を消灯してもよい。このとき、壁スイッチがオン状態であるので、点灯装置B1は交流電源P1と電気的に接続された状態を維持している。
【0026】
フィルタ回路32は、一つのコンデンサC3と二つのチョークコイル(第1のチョークコイルL1と第2のチョークコイルL2)を有している。コンデンサC3は、Xコンデンサとも呼ばれる。コンデンサC3は、一対の入力用電路FI1、FI2をバイパスすることでノーマルモード(ディファレンシャルモード)のノイズを抑制する。また、第1のチョークコイルL1が一方の入力用電路FI1に挿入され、第2のチョークコイルL2が他方の入力用電路FI2に挿入されている。フィルタ回路32は、第1のチョークコイルL1と第2のチョークコイルL2を一対の入力用電路FI1、FI2に一つずつ挿入することにより、ノーマルモードノイズだけでなく、コモンモードノイズの抑制を図ることができる。なお、フィルタ回路32は、第1のチョークコイルL1と第2のチョークコイルL2が磁気的に結合されたコモンモードチョークコイルを用いれば、コモンモードノイズの更なる抑制を図ることができる。さらに、フィルタ回路32は、第1のチョークコイルL1と第2のチョークコイルL2を磁気的に結合するとともに、それぞれのチョークコイルにノーマルモードのインダクタンス成分を持たせた、いわゆるハイブリッドチョークコイルを用いても構わない。フィルタ回路32は、ハイブリッドチョークコイルを用いることにより、一つの部品でコモンモードノイズとノーマルモードノイズの両方のノイズの抑制を図ることができる。
【0027】
インピーダンス部33は、二つのコンデンサC1、C2を有する。一方のコンデンサC1の一端が導電路E1を介して入力用電路FI2(交流電源P1から交流電圧が入力される入力用電路FI2)と電気的に接続されている。一方のコンデンサC1の他端が他方のコンデンサC2の一端と電気的に接続されている。他方のコンデンサC2の他端が導電路E1を介して器具本体2と電気的に接続されている。例えば、コンデンサC2の他端とプリント配線板35の配線(導体)が電気的に接続され、その配線(導体)と導通する部分(例えば、プリント配線の導体又はジャンパワイヤなど)が、金属製のねじを用いて器具本体2に固定されても構わない。このような構造であれば、インピーダンス部33と器具本体2の電気的な接続と機械的な接続を両立させることができる。つまり、インピーダンス部33の二つのコンデンサC1、C2は、入力用電路FI2と器具本体2の間に導電路E1を介して電気的に直列接続されている。なお、インピーダンス部33の静電容量は、二つのコンデンサC1、C2の合成静電容量に一致する。例えば、各コンデンサC1、C2の静電容量を470pF(ピコファラッド)とすれば、インピーダンス部33の合成静電容量は235pFとなる。
【0028】
なお、点灯装置B1は、整流器30、変換回路31、フィルタ回路32、インピーダンス部33、制御回路34などを構成する種々の回路部品36がプリント配線板35に実装されて形成される(
図2参照)。つまり、点灯装置B1は、プリント回路で構成されている。
【0029】
(2-3)器具本体など
器具本体2は、点灯装置B1を収容する第1収容部21と、LEDモジュール1を収容する第2収容部22と、を有する(
図2参照)。
【0030】
第1収容部21は、一方の底面(下面)が開放された円すい台状に形成されている。点灯装置B1は、プリント配線板35を内底面(上面)と対向させるようにして第1収容部21に収容される。点灯装置B1のプリント配線板35は、ねじ止めなどの適宜の方法で第1収容部21に固定される。
【0031】
第2収容部22は、第1収容部21の開放された底面よりも大きい直径を有し、一方の底面(下面)が開放された円すい台状に形成されて第1収容部21の開放された底面とつながっている。ただし、第2収容部22の他方の底面(上面)は、第1収容部21の開放端(下端)から外側に突出する円環状に形成されている。LEDモジュール1は、基板11を内底面(上面)と対向させるようにして第2収容部22に収容される。LEDモジュール1の基板11は、ねじ止めなどの適宜の方法で第2収容部22に固定される。なお、第1収容部21と第2収容部22は、例えば、亜鉛めっき鋼板などの金属板が絞り加工されることで一体に形成される。
【0032】
カバー40は、ポリカーボネート樹脂などの透光性を有する材料により、一方の底面(上面)が開口した円すい台状に形成されている(
図2参照)。カバー40は、透光性の材料に拡散剤(フィラー)が混入されることによって乳白状に形成されている。カバー40は、第2収容部22の開放された底面(下面)を塞ぐように器具本体2に取り付けられる。
【0033】
セード41は、例えば、ASA(アクリロニトリル・スチレン・アクリレート)樹脂によって、一方の底面(下面)が開口した円すい台状に形成されている。セード41は、器具本体2を内部に収めるようにして器具本体2と結合されている。
【0034】
器具本体2は、電源コード42の一端(下端)に取り付けられる。電源コード42は、一対の被覆電線と、これら一対の被覆電線を覆うシースと、を有する。一対の被覆電線の各導体は、一対の入力用電路FI1、FI2と一対一に接続される。なお、電源コード42の一端部(下端部)は、LEDモジュール1、点灯装置B1、カバー40及びセード41を吊り下げて支持するように、器具本体2の第1収容部21に固定される。
【0035】
電源コード42の他端部(上端部)は、配線ダクトWD1に着脱可能に装着されるプラグ43に接続されている。より詳しくは、電源コード42の一対の被覆電線の導体が、プラグに設けられた一対の電極と一対一に接続されている。したがって、プラグ43が配線ダクトWD1に装着されると、一対の被覆電線の導体がプラグ43を介して配線ダクトWD1の一対の電圧極と一対一に接続される。
【0036】
プラグ43の下面に支持棒45が取り付けられている。支持棒45は、電源コード42の余長分を巻き取る役割を担っている。すなわち、支持棒45に電源コード42の余長分が巻き付けられることにより、配線ダクトWD1から吊り下げられた照明器具A1の位置(床面からの高さ)を調整可能である。
【0037】
フランジ44は、ABS樹脂などの合成樹脂によって、一方の底面(上面)が開口した円すい台状の形成されている。フランジ44の他方の底面(下面)を貫通する穴に電源コード42が挿通される。フランジ44は、電源コード42に沿って上下方向に移動可能であり、その内部に支持棒45を収容するように構成されている。
【0038】
(2-4)実施形態の利点
照明器具A1は、点灯装置B1によってLEDモジュール1を点灯するように構成されている。ここで、照明器具A1は、上述したようにクラス0の普通形照明器具であり、保護接地が不要である。しかしながら、照明器具A1及び点灯装置B1は、一方の入力用電路FI2と導電性を有する器具本体2を導電路E1で電気的に接続し、その導電路E1にインピーダンス部33を設けている。
【0039】
しかして、変換回路31は、変換回路31が有する半導体スイッチング素子が制御回路34によってスイッチング制御される際に高周波ノイズを発生する。変換回路31で発生する高周波ノイズは、フィルタ回路32で大部分が除去される。そして、フィルタ回路32で除去しきれなかった高周波ノイズは、インピーダンス部33を介して器具本体2に流れる。なお、器具本体2に流れる高周波ノイズは、導電路E1及びインピーダンス部33を介して器具本体2に流れるうちに減衰する。
【0040】
しかして、照明器具A1及び点灯装置B1は、変換回路31で発生する高周波ノイズのうち、フィルタ回路32で除去しきれない高周波ノイズを、インピーダンス部33を通して器具本体2に流すことができる。その結果、照明器具A1及び点灯装置B1は、器具本体2が保護接地されない場合でも、交流電源P1に漏れ出す電気的な雑音(変換回路31で発生する高周波ノイズなど)の抑制を図ることができる。なお、入力用電路FI1におけるフィルタ回路32と交流電源P1の間、又は入力用電路FI2におけるインピーダンス部33と交流電源P1の間に、過電流保護素子(ヒューズ)が挿入されても構わない。
【0041】
ところで、照明器具A1において、交流電源P1から給電可能な状態(壁スイッチがオンの状態)でLEDモジュール1を消灯させているとき、LEDモジュール1がわずかに発光する(微発光する)ことがある。つまり、LEDモジュール1のプリント配線と器具本体2との間に生じる浮遊容量とインピーダンス部33を通して、交流電源P1からLEDモジュール1に微少な電流が流れるためにLEDモジュール1が微発光してしまう。
【0042】
したがって、LEDモジュール1の微発光を抑制するためには、点灯装置B1と器具本体2を電気的に接続しているインピーダンス部33の静電容量を小さくすることが望ましい。一方、照明器具A1及び点灯装置B1において、高周波ノイズを抑制するためにはインピーダンス部33の静電容量を大きくすることが望ましい。
【0043】
そこで、本発明者らは、インピーダンス部33の静電容量(合成静電容量)と、高周波ノイズ(雑音端子電圧及び雑音電界強度)及び微発光の程度との関係を調べる実験を行った。当該実験結果において、インピーダンス部33が導電路E1と器具本体2の間に付与する静電容量(インピーダンス部33の合成静電容量)を、50pF以上かつ500pF以下とすれば、微発光を抑制しつつ雑音端子電圧及び雑音電界強度の規格を満たすことが確認できた。なお、雑音端子電圧及び雑音電界強度の規格に対する余裕度を考慮すれば、インピーダンス部33の合成静電容量を、100pF以上かつ300pF以下とすることが望ましい。例えば、二つのコンデンサC1、C2に静電容量470pFのコンデンサを用いれば、インピーダンス部33の合成静電容量を235pFにできて高周波ノイズの抑制を図りつつLEDモジュール1の微発光の抑制を図ることができる。
【0044】
ここで、照明器具A1及び点灯装置B1は、フィルタ回路32のコンデンサC3を介して、一対の入力用電路FI1、FI2を高周波的に接続している。そのため、照明器具A1及び点灯装置B1は、一対の入力用電路FI1、FI2のいずれを流れる高周波ノイズも抑制できる。
【0045】
また、照明器具A1及び点灯装置B1は、電気的に直列接続される複数のコンデンサC1、C2を含むようにインピーダンス部33を構成している。そのため、照明器具A1及び点灯装置B1は、複数のコンデンサC1、C2の静電容量の組合せにより、インピーダンス部33の静電容量(合成静電容量)の調整を容易化できる。また、照明器具A1及び点灯装置B1は、複数のコンデンサC1、C2を電気的に直列接続することにより、片方のコンデンサ(例えば、コンデンサC1)が短絡故障した際に入力用電路FI2と器具本体2の間にインピーダンス(例えば、コンデンサC2の静電容量に基づくインピーダンス)が確保されるので、故障時の電気安全性の向上を図ることができる。
【0046】
(2-5)実施形態の変形例
次に、実施形態に係る照明器具A1及び点灯装置B1の変形例を説明する。
【0047】
変形例の照明器具A1及び点灯装置B1は、
図4に示すようにインピーダンス部33の構成に特徴がある。なお、変形例における、インピーダンス部33以外の構成については、実施形態と共通である。したがって、実施形態と共通の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0048】
変形例におけるインピーダンス部33は、一方の入力用電路FI1と器具本体2を電気的に接続する導電路E1に挿入されるコンデンサC1と、他方の入力用電路FI2と器具本体2を電気的に接続する導電路E1に挿入されるコンデンサC2と、を有する。なお、変形例の照明器具A1及び点灯装置B1においては、一対の入力用電路FI1、FI2をそれぞれコンデンサC1、C2を介して器具本体2に電気的に接続しているので、実施形態におけるフィルタ回路32のコンデンサC3は不要である。
【0049】
ここで、変形例におけるインピーダンス部33では、二つのコンデンサC1、C2が、導電路E1と器具本体2の間にそれぞれ独立して静電容量を付与している。したがって、変形例の照明器具A1及び点灯装置B1は、二つのコンデンサC1、C2のそれぞれの静電容量を、50pF以上かつ500pF以下、更には100pF以上かつ300pF以下とすることが好ましい。なお、変形例の照明器具A1及び点灯装置B1は、二つのコンデンサC1、C2を電気的に直列接続する場合に比べて、各コンデンサC1、C2の静電容量を小さくできるので、プリント配線板35に実装する回路部品(コンデンサC1、C2)の小型化を図ることができる。
【0050】
しかして、変形例の照明器具A1及び点灯装置B1は、実施形態と同様に、外部に漏れ出す電気的な雑音(高周波ノイズ)の抑制を図りつつ、LEDモジュール1の微発光の抑制を図ることができる。しかも、変形例の照明器具A1及び点灯装置B1によれば、二つのコンデンサC1、C2のうちの一方が故障(短絡又は断線)した場合でも、高周波ノイズの抑制及びLEDモジュール1の微発光の抑制を図ることができるという利点がある。
【0051】
(3)まとめ
本開示の第1の態様に係る照明器具(A1)は、光源(LEDモジュール1)と、点灯装置(B1)と、器具本体(2)と、を備える。点灯装置(B1)は、外部から供給される交流電圧を直流電圧に変換し、直流電圧によって光源を点灯させる。器具本体(2)は、導電性を有する材料で形成され、光源及び点灯装置(B1)を支持する。器具本体(2)は、大地と電気的に絶縁されている。点灯装置(B1)は、交流電圧を整流する整流器(30)と、変換回路(31)と、フィルタ回路(32)と、インピーダンス部(33)と、を有する。変換回路(31)は、整流器(30)から出力される脈流電圧を直流電圧に変換する。フィルタ回路(32)は、整流器(30)に交流電圧を入力する入力用電路(FI1、FI2)に挿入される。インピーダンス部(33)は、外部からフィルタ回路(32)に交流電圧を入力する入力用電路(FI1、FI2)と器具本体(2)を電気的に接続する導電路(E1)に設けられる。インピーダンス部(33)は、少なくとも一つ以上のコンデンサ(C1、C2)を含む。
【0052】
第1の態様に係る照明器具(A1)は、器具本体(2)が保護接地されない場合でも、外部に漏れ出す電気的な雑音(変換回路31で発生する高周波ノイズなど)の抑制を図ることができる。
【0053】
本開示の第2の態様に係る照明器具(A1)は、第1の態様との組合せにより実現され得る。第2の態様に係る照明器具(A1)において、点灯装置(B1)は、変換回路(31)を制御する制御回路(34)を更に有することが好ましい。制御回路(34)は、交流電圧が供給されている状態において光源を消灯可能であることが好ましい。インピーダンス部(33)が導電路(E1)と器具本体(2)の間に付与する静電容量は、50ピコファラッド以上かつ500ピコファラッド以下であることが好ましい。
【0054】
第2の態様に係る照明器具(A1)は、外部に漏れ出す電気的な雑音の抑制を図りつつ、光源の微発光の抑制を図ることができる。
【0055】
本開示の第3の態様に係る照明器具(A1)は、第2の態様との組合せにより実現され得る。第3の態様に係る照明器具(A1)において、インピーダンス部(33)が導電路(E1)と器具本体(2)の間に付与する静電容量は、100ピコファラッド以上かつ300ピコファラッド以下であることが好ましい。
【0056】
第3の態様に係る照明器具(A1)は、光源の微発光の更なる抑制を図ることができる。
【0057】
本開示の第4の態様に係る照明器具(A1)は、第1-第3のいずれかの態様との組合せにより実現され得る。第4の態様に係る照明器具(A1)において、インピーダンス部(33)は、電気的に直列接続される複数のコンデンサ(C1、C2)を含むことが好ましい。
【0058】
第4の態様に係る照明器具(A1)は、複数のコンデンサ(C1、C2)の静電容量の組合せにより、インピーダンス部(33)の静電容量(合成静電容量)の調整を容易化できる。
【0059】
本開示の第5の態様に係る照明器具(A1)は、第4の態様との組合せにより実現され得る。第5の態様に係る照明器具(A1)において、点灯装置(B1)は、一対の入力用電路(FI1、FI2)を有することが好ましい。複数のコンデンサ(C1、C2)は、一対の入力用電路(FI1、FI2)のうちの片方の入力用電路(FI1)と器具本体(2)を電気的に接続する導電路(E1)に設けられることが好ましい。フィルタ回路(32)は、一対の入力用電路(FI1、FI2)を電気的に接続するコンデンサ(C3)を有することが好ましい。
【0060】
第5の態様に係る照明器具(A1)は、フィルタ回路(32)のコンデンサ(C3)を介して、一対の入力用電路(FI1、FI2)を高周波的に接続するので、一対の入力用電路(FI1、FI2)のいずれを流れる電気的な雑音(高周波ノイズ)も抑制できる。
【0061】
本開示の第6の態様に係る点灯装置(B1)は、第1-第5のいずれかの態様に係る照明器具(A1)に備えられる。第6の態様に係る点灯装置(B1)は、交流電圧を整流する整流器(30)と、変換回路(31)と、フィルタ回路(32)と、インピーダンス部(33)と、を有する。変換回路(31)は、整流器(30)から出力される脈流電圧を直流電圧に変換する。フィルタ回路(32)は、整流器(30)に交流電圧を入力する一対の入力用電路(FI1、FI2)に挿入される。インピーダンス部(33)は、外部からフィルタ回路(32)に交流電圧を入力する入力用電路(FI1、FI2)と器具本体(2)を電気的に接続する導電路(E1)に設けられる。インピーダンス部(33)は、少なくとも一つ以上のコンデンサ(C1、C2)を含む。
【0062】
第6の態様に係る点灯装置(B1)は、器具本体(2)が保護接地されない場合でも、外部に漏れ出す電気的な雑音(変換回路31で発生する高周波ノイズなど)の抑制を図ることができる。
【符号の説明】
【0063】
A1 照明器具
B1 点灯装置
E1 導電路
FI1、FI2 入力用電路
C1、C2、C3 コンデンサ
1 LEDモジュール(光源)
2 器具本体
30 整流器
31 変換回路
32 フィルタ回路
33 インピーダンス部
34 制御回路