(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168263
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理方法及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/40 20120101AFI20241128BHJP
【FI】
G06Q20/40 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084775
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】513040384
【氏名又は名称】株式会社マネーフォワード
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】奥村 梓生子
【テーマコード(参考)】
5L020
5L055
【Fターム(参考)】
5L020AA75
5L055AA75
(57)【要約】 (修正有)
【課題】適格請求書、適格返還請求書等のインボイス制度に関連する書類に係る処理を効率的に実行するプログラム、情報処理方法及び情報処理システムを提供する。
【解決手段】請求書サーバ装置2、会計サーバ装置3及びクライアント装置4が、ネットワークを介して、相互に通信可能に構成される情報処理システムにおいて、クライアント装置は、適格請求書データを特定し、請求書サーバ装置に送信する。請求書サーバ装置は、特定した適格請求書データに基づいて下書データを生成し、クライアント装置に送信する。会計サーバ装置は、適格請求書データと、クライアント装置が請求書サーバ装置に送信した適格返還請求書データの情報から作成された適格返還請求書データを請求書サーバ装置2から受け付け、取得した適格請求書データの仕訳に対応する逆仕訳を行うための逆仕訳データを出力する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プログラムであって、
コンピュータに次の各ステップを実行させ、
特定ステップでは、適格請求書データを特定し、前記適格請求書データは、適格請求書発行事業者により作成された適格請求書のデータであり、
生成ステップでは、特定した前記適格請求書データに基づいて下書データを生成し、前記下書データは、適格返還請求書を作成するための所定データが含まれるデータであり、前記所定データは、前記適格請求書データに含まれるデータのうち少なくとも一部を含むデータである、
プログラム。
【請求項2】
プログラムであって、
コンピュータに次の各ステップを実行させ、
取得ステップでは、適格請求書データと、適格返還請求書データとを取得し、前記適格請求書データは、適格請求書発行事業者が作成した適格請求書のデータであり、前記適格返還請求書データは、前記適格請求書発行事業者が作成するデータであって、かつ、前記適格請求書に紐づく売上の少なくとも一部を返還する際に交付する適格返還請求書のデータであり、
出力ステップでは、前記適格返還請求書データに基づいて、前記適格請求書発行事業者の簿記における逆仕訳を行うための逆仕訳データを出力する、
プログラム。
【請求項3】
請求項1に記載のプログラムにおいて、
前記下書データは、課税資産の返品、値引き又は割戻しに伴う、返還又は減額が行われる日付を示す返還等データの入力をユーザから受け付け可能なデータである、
プログラム。
【請求項4】
請求項1に記載のプログラムにおいて、
前記所定データは、適格返還請求書データに対応する前記適格請求書データを特定することが可能な識別データを含む、
プログラム。
【請求項5】
請求項1に記載のプログラムにおいて、
前記所定データは、取引に係る資産又は役務の内容を示す取引内容データと、取引に係る金額を示す金額データと、取引に係る適用税率を示す税率データと、取引に係る資産又は役務の提供日データとを含み、
前記生成ステップでは、前記取引内容データと、前記金額データと、前記税率データと、提供日データが含まれる態様で前記下書データを生成する、
プログラム。
【請求項6】
請求項1に記載のプログラムにおいて、
出力ステップを更に実行し、
前記出力ステップでは、適格返還請求書データに基づいて、前記適格請求書発行事業者の簿記における逆仕訳を行うための逆仕訳データを出力し、前記適格返還請求書データは、前記適格請求書発行事業者が作成する適格返還請求書のデータであって、かつ、前記下書データに基づいて作成されるデータである、
プログラム。
【請求項7】
請求項1に記載のプログラムにおいて、
表示制御ステップを更に実行し、
前記表示制御ステップでは、取引先毎に発行した適格請求書に含まれる取引の金額から、前記適格返還請求書に含まれる取引の金額によって差し引いた金額を、前記取引先毎に表示させる、
プログラム。
【請求項8】
請求項1に記載のプログラムにおいて、
前記生成ステップでは、前記適格返還請求書に適応される売上に係る対価の返還の種類に応じて、前記所定データを生成する、
プログラム。
【請求項9】
請求項1に記載のプログラムにおいて、
通知ステップを更に実行し、
前記通知ステップでは、前記適格返還請求書に係る取引の金額が所定の金額未満の場合、又は、前記適格返還請求書に係る取引先が免税事業者である場合、前記適格返還請求書を発行しなくてもよい旨を通知する、
プログラム。
【請求項10】
情報処理方法であって、
請求項1~9の何れか1つに記載のプログラムの各ステップを備える、
情報処理方法。
【請求項11】
情報処理システムであって、
請求項1~9の何れか1つに記載のプログラムを実行するコンピュータを備える
情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本考案は、プログラム、情報処理方法及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術において、先月の請求書、又は来月の請求書を参考に確認可能な情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供することが可能な技術が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、2023年10月1日から開始する適格請求書等保存方式(インボイス制度)により、適格請求書、適格返還請求書等のインボイス制度に関連する書類の作成が必要となる。
【0005】
本発明では上記事情に鑑み、適格請求書、適格返還請求書等のインボイス制度に関連する書類に係る処理を効率的に実行することが可能となる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、プログラムが提供される。このプログラムは、コンピュータに次の各ステップを実行させる。特定ステップでは、適格請求書データを特定し、適格請求書データは、適格請求書発行事業者により作成された適格請求書のデータである。生成ステップでは、特定した適格請求書データに基づいて下書データを生成し、下書データは、適格返還請求書を作成するための所定データが含まれるデータであり、所定データは、適格請求書データに含まれるデータのうち少なくとも一部を含むデータである。
【0007】
これによれば、適格請求書、適格返還請求書等のインボイス制度に関連する書類に係る処理を効率的に実行することが可能となる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態1に係る情報処理システム1のシステム構成の一例を示す図である。
【
図2】実施形態1に係る請求書サーバ装置2のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】実施形態1に係る会計サーバ装置3のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】実施形態1に係るクライアント装置4のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図5】実施形態1に係る請求書サーバ装置2のプロセッサ21によって実現される機能を示すブロック図の一例である。
【
図6】実施形態1に係る会計サーバ装置3のプロセッサ31によって実現される機能を示すブロック図の一例である。
【
図7】実施形態1に係るシーケンス図の一例を示す図である。
【
図8】実施形態1に係る請求書画面5の一例を示す図である。
【
図9】
図8の複製変換ボタン510の押下に応じて表示される請求書画面5の一例を示す図である。
【
図10】
図9の下書データ生成ボタン512の押下に応じて表示される請求書画面6の一例を示す図である。
【
図11】実施形態1に係る請求書画面7の一例を示す図である。
【
図12】実施形態1に係る会計画面8の一例を示す図である。
【
図13】実施形態2に係る請求書画面9の一例を示す図である。
【
図14】請求総額画面1000の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0010】
1.用語の説明
まず、本明細書に登場する各用語について説明する。
【0011】
本明細書において、登場するソフトウェアを実現するための「プログラム」は、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0012】
本明細書において、「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0013】
本明細書において、広義の「回路」とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0014】
「適格請求書」とは、売手が買手に対して正確な適用税率や消費税額を伝えるために交付する書類である。適格請求書は、適格請求書発行事業者として登録を受けている事業者により発行される。適格請求書は、インボイスとも称される。
【0015】
「適格請求書発行事業者」とは、適格請求書及び適格返還請求書の発行が認められた課税事業者のことをいう。また、適格請求書発行事業者とは、平成28年3月31日施工の消費税法に規定される第57条の2第1項の規定による登録を受けた事業者と、平成28年3月31日以降に行われる消費税法の法改正により略同等の位置づけとなる事業者と、その他の法律に準ずる適格請求書発行事業者と略同等の位置づけとなる事業者とのうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0016】
「適格請求書データ」とは、適格請求書発行事業者により作成された適格請求書を示すデータである。適格請求書データは、発行者データと、提供日データと、取引内容データと、金額データと、税率データと、税額データとを含む。また、適格請求書データは、取引先データと、請求日データと、住所データと、備考データと、識別データとを含んでもよい。
・発行者データは、適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号を示すデータである。登録番号は、Tと13桁の数字とからなる。
・提供日データは、取引に係る資産又は役務の提供日を示すデータである。適格請求書上において、提供日データは、課税資産の譲渡等を行った年月日を示すデータである。
・取引内容データは、取引に係る資産又は役務の内容を示すデータである。適格請求書上において、取引内容データは、課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)を示すデータである。
・金額データは、取引に係る金額を示すデータである。適格請求書上において、金額データは、課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額を示すデータである。
・税率データは、取引に係る適用税率を示すデータである。適格請求書上において、税率データは、課税資産の譲渡等に係る適用税率を示すデータである。
・税額データは、税率ごとに区分した消費税額等を示すデータである。
・取引先データは、書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称を示すデータである。
・請求日データは、売上げに係る請求を行う年月日(日付)を示すデータである。
・住所データは、取引先の住所を示すデータである。
・備考データは、請求書の備考としての情報を示すテキストのデータである。
・識別データは、ある適格請求書に付与される固有のデータであり、適格請求書を識別(特定)することが可能なデータである。
【0017】
「適格返還請求書」とは、売上に係る対価の返還等を行った際に、適格請求書発行事業者が交付する書類である。適格返還請求書は、適格請求書発行事業者として登録を受けている事業者が発行することができる。適格返還請求書は、返還インボイスとも称される。売上に係る対価の返還等には、例えば、返品、値引き、割戻し、海上運送事業者が支払う船舶の早出料、事業者が支払う販売奨励金等、協同組合等が支払う事業分量配当金、売上割引、課税売上げと非課税売上げを一括して対象とする売上割戻しが含まれる。
【0018】
「適格返還請求書データ」とは、適格請求書発行事業者が作成するデータであって、かつ、適格請求書に紐づく売上の少なくとも一部を返還する適格返還請求書を示すデータである。適格返還請求書データは、発行者データと、提供日データと、取引内容データと、金額データと、税率データと、税額データと、住所データと、備考データとを含む。また、適格返還請求書データは、取引先データと、返還等データと、識別データとを含んでもよい。
・適格返還請求書上においても、発行者データは、適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号を示すデータである。
・適格返還請求書上において、提供日データは、売上げに係る対価の返還等を行う年月日及びその売上げに係る対価の返還等の基となった課税資産の譲渡等を行った年月日(適格請求書を交付した売上げに係るものについては、課税期間の範囲で一定の期間でもよい)を示すデータである。
・適格返還請求書上において、取引内容データは、売上げに係る対価の返還等の基となる課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(売上げに係る対価の返還等の基となる課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)を示すデータである。
・適格返還請求書上において、金額データは、売上げに係る対価の返還等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額を示すデータである。
・適格返還請求書上において、税率データは、売上げに係る対価の返還等の金額に係る適用税率を示すデータである。
・適格返還請求書上において、税額データは、売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額等を示すデータである。
・適格返還請求書上においても、取引先データは、書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称を示すデータである。
・適格返還請求書上において、返還等データは、課税資産の返品、値引き又は割戻しに伴う、返還又は減額が行われる年月日(日付)を示すデータである。
・適格返還請求書上においても、住所データは、取引先の住所を示すデータである。
・適格返還請求書上においても、備考データは、請求書の備考としての情報を示すテキストを示すデータである。
・適格返還請求書上において、適格返還請求書上において、識別データは、一の適格返還請求書データに対応する適格請求書データを特定(識別)することが可能なデータである。
【0019】
適格返還請求書データは、下書データに基づいて作成されるデータであってもよい。この「下書データ」とは、適格返還請求書を作成するための所定データが含まれるデータである。適格請求書データの発行者データ、提供日データ、取引内容データ、金額データ、税率データ、税額データ、取引先データ、住所データ、備考データ及び識別データのそれぞれは、適格返還請求書データの発行者データ、提供日データ、取引内容データ、金額データ、税率データ、税額データ、取引先データ、住所データ、備考データ及び識別データのそれぞれと互換性のあるデータである。したがって、所定データは、適格請求書データに含まれる発行者データと、提供日データと、取引内容データと、金額データと、税率データと、税額データと、取引先データと、住所データと、備考データと、識別データとのうち少なくとも1つを含むデータである。なお、適格返還請求書データの返還等データに対応するデータは、所定データには含まれない。
【0020】
[実施形態1]
2.情報処理システム1のシステム構成
次に、
図1を参照しながら実施形態1の情報処理システム1のシステム構成について説明する。
【0021】
図1は、実施形態1に係る情報処理システム1のシステム構成の一例を示す図である。
図1が示すように、情報処理システム1は、請求書サーバ装置2と、会計サーバ装置3と、クライアント装置4と、ネットワークNとを有する。請求書サーバ装置2、会計サーバ装置3及びクライアント装置4は、ネットワークNを介して、相互に通信可能に構成される。これにより、請求書サーバ装置2、会計サーバ装置3及びクライアント装置4は、相互に様々な情報を送信又は受信することができる。なお、請求書サーバ装置2、会計サーバ装置3及びクライアント装置4は、情報処理装置の一例であり、本実施形態に限定されるものではない。クライアント装置4は、PC(Personal Computer)、タブレット型コンピュータ、スマートフォン等の何れであってもよい。なお、請求書サーバ装置2及び会計サーバ装置3は、単体のサーバから構成されていても、複数のサーバから構成されていてもよい。クライアント装置4は、複数あってもよい。ここで、情報処理システム1に例示されるシステムとは、1つ又はそれ以上の装置又は構成要素からなるものである。したがって、請求書サーバ装置2、会計サーバ装置3及びクライアント装置4のそれぞれは、単体であっても情報処理システム1に例示されるシステムに含まれる。
【0022】
2.ハードウェア構成
次に、
図2、
図3及び
図4を参照しながら、実施形態1の請求書サーバ装置2、会計サーバ装置3及びクライアント装置4のそれぞれのハードウェア構成について説明する。
【0023】
2.1.請求書サーバ装置2のハードウェア構成
図2は、実施形態1に係る請求書サーバ装置2のハードウェア構成の一例を示す図である。
図2に示されるように、請求書サーバ装置2は、プロセッサ21と、記憶部22と、通信部23とを有し、これらの構成要素が請求書サーバ装置2の内部において通信バスを介して電気的に接続されている請求書サーバ装置2は、実施形態に係る処理を実行する。
【0024】
プロセッサ21は、請求書サーバ装置2に関連する全体動作の処理及び制御を行う。プロセッサ21は、例えば中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)である。プロセッサ21が、記憶部22に記憶された所定のプログラムを読み出し、プログラムに基づき処理を実行することによって、請求書サーバ装置2に係る種々の機能、例えば、後述する
図7~
図14に関連する処理が実現される。なお、プロセッサ21は単一であることに限定されず、機能ごとに複数のプロセッサ21を有するように実施してもよい。また、それらの組合せであってもよい。
【0025】
記憶部22は、前述の記載により定義される様々な情報を記憶する。これは、例えば、プロセッサ21によって実行される請求書サーバ装置2に係る種々のプログラム等を記憶するソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスとして、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとして実施されうる。記憶部22は、プロセッサ21によって実行される請求書サーバ装置2に係る種々のプログラム、変数及びプロセッサ21がプログラムに基づき処理を実行する際に用いるデータ等を記憶している。記憶部22は、記憶媒体の一例である。
【0026】
通信部23は、USB、IEEE1394、Thunderbolt(登録商標)、有線LANネットワーク通信等といった有線型の通信手段が好ましいものの、無線LANネットワーク通信、LTE/3G/4G/5G等のモバイル通信、BLUETOOTH(登録商標)通信等を必要に応じて含めてもよい。すなわち、これら複数の通信手段の集合として実施することがより好ましい。すなわち、請求書サーバ装置2は、通信部23を介して、外部から種々の情報を通信してもよい。
【0027】
2.2.会計サーバ装置3のハードウェア構成
図3は、実施形態1に係る会計サーバ装置3のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3に示されるように、会計サーバ装置3は、プロセッサ31と、記憶部32と、通信部33とを有し、これらの構成要素が会計サーバ装置3の内部において通信バスを介して電気的に接続されている。会計サーバ装置3は、実施形態に係る処理を実行する。会計サーバ装置3のプロセッサ31、記憶部32及び通信部33については、請求書サーバ装置2のプロセッサ21、記憶部22及び通信部23を参照されたい。
【0028】
2.3.クライアント装置4のハードウェア構成
図4は、実施形態1に係るクライアント装置4のハードウェア構成の一例を示す図である。クライアント装置4は、ユーザにより使用される。
図4に示されるように、クライアント装置4は、プロセッサ41と、記憶部42と、通信部43と、入力部44と、出力部45とを有し、これらの構成要素がクライアント装置4の内部において通信バスを介して電気的に接続されている。クライアント装置4は、実施形態に係る処理を実行する。クライアント装置4のプロセッサ41、記憶部42及び通信部43については、請求書サーバ装置2のプロセッサ21、記憶部22及び通信部23を参照されたい。
【0029】
入力部44は、クライアント装置4の筐体に含まれてもよいし、外付けされてもよい。例えば、入力部44は、出力部45と一体となってタッチパネルとして実施されてもよい。タッチパネルであれば、ユーザは、タップ操作、スワイプ操作等を入力することが可能である。もちろん、タッチパネルに代えて、スイッチボタン、マウス、QWERTYキーボード等を採用してもよい。すなわち、入力部44がユーザによってなされた操作に基づく入力を受け付ける。当該入力が命令信号として、通信バスを介してプロセッサ41に転送され、プロセッサ41が必要に応じて所定の制御又は演算を実行しうる。
【0030】
出力部45は、クライアント装置4の表示部として機能することが可能である。出力部45は、例えば、クライアント装置4の筐体に含まれてもよいし、外付けされてもよい。出力部45は、ユーザが操作可能なグラフィカルユーザーインターフェース(Graphical User Interface:GUI)の画面を表示する。これは例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ及びプラズマディスプレイ等の表示デバイスを、クライアント装置4の種類に応じて使い分けて実施することが好ましい。
【0031】
3.1.請求書サーバ装置2のプロセッサ21の機能構成
本節では、
図5を示しながら実施形態1の機能構成について説明する。
図5は、実施形態1に係る請求書サーバ装置2のプロセッサ21によって実現される機能を示すブロック図の一例である。情報処理システム1の一例である請求書サーバ装置2のプロセッサ21は、情報送受信部210と、特定部211と、生成部212と、通知部213と、表示制御部214とを備える。前述の通り、記憶部22に記憶されているソフトウェアによる情報処理がハードウェアの一例であるプロセッサ21によって具体的に実現されることで、プロセッサ21に含まれる各機能部として実行されうる。
【0032】
情報送受信部210は、ネットワークN及び通信部23を介して、種々の情報を他の装置から受け付け、受信し、又は取得するように構成される。また、情報送受信部210は、通信部23及びネットワークNを介して、種々の情報を他の装置に送信又は出力するように構成される。
【0033】
特定部211は、適格請求書データを特定する。
【0034】
生成部212は、特定した適格請求書データに基づいて下書データを生成する。
【0035】
通知部213は、適格返還請求書に係る取引の金額が所定の金額未満の場合、又は、適格返還請求書に係る取引先が免税事業者である場合、適格返還請求書を発行しなくてもよい旨を通知する。
【0036】
表示制御部214は、クライアント装置4の出力部45に表示する画面データを制御する。なお、画面データとは、画面、画像、アイコン、テキスト等といった、ユーザが視認可能な態様で生成された視覚情報そのものでもよいし、例えば各種端末に画面、画像、アイコン、テキスト等の視覚情報を表示させるためのレンダリング情報であってもよい。
【0037】
情報送受信部210、特定部211、生成部212、通知部213及び表示制御部214の詳細は後述する。
【0038】
3.2.会計サーバ装置3のプロセッサ31の機能構成
本節では、
図6を示しながら実施形態1の機能構成について説明する。
図6は、実施形態1に係る会計サーバ装置3のプロセッサ31によって実現される機能を示すブロック図の一例である。情報処理システム1の一例である会計サーバ装置3のプロセッサ31は、情報送受信部310と、取得部311と、データ出力部312と、表示制御部313とを備える。前述の通り、記憶部32に記憶されているソフトウェアによる情報処理がハードウェアの一例であるプロセッサ31によって具体的に実現されることで、プロセッサ31に含まれる各機能部として実行されうる。
【0039】
情報送受信部310は、ネットワークN及び通信部33を介して、種々の情報を他の装置から受け付け、受信し、又は取得するように構成される。また、情報送受信部310は、通信部33及びネットワークNを介して、種々の情報を他の装置に送信又は出力するように構成される。
【0040】
取得部311は、適格請求書データと、適格返還請求書データとを取得する。
【0041】
データ出力部312は、適格返還請求書データに基づいて、適格請求書発行事業者の簿記における逆仕訳を行うための逆仕訳データを出力する。
【0042】
表示制御部313は、クライアント装置4の出力部45に表示する画面データを制御する。
【0043】
情報送受信部310、取得部311、データ出力部312及び表示制御部313の詳細は後述する。
【0044】
4.情報処理システム1における動作
本節では、本実施形態の情報処理システム1で実行される好ましい情報処理の一例を説明する。
【0045】
なお、本明細書において、送信された又は受信した種々の情報は、送信又は受信に使用された各装置内の記憶部にて記憶されるものとする。例えば、請求書サーバ装置2から会計サーバ装置3に情報が送信された場合、請求書サーバ装置2の記憶部22及び会計サーバ装置3の記憶部32にその情報が記憶されるものとする。クライアント装置4の記憶部42でも同様に記憶される。
【0046】
本明細書において、請求書サーバ装置2が通信部23及びネットワークNを使用する情報処理の一部を省略して記載されることがある。例えば、プロセッサ21(情報送受信部210)が通信部23とネットワークNとを介して、他の装置との間で情報を送受信することを、単にプロセッサ21(情報送受信部210)が他の装置に情報を送信する、又は単にプロセッサ21(情報送受信部210)が他の装置から情報を受け付けると記載することがある。このような記載は、会計サーバ装置3のプロセッサ31(情報送受信部310)及びクライアント装置4のプロセッサ41によって行われる情報処理にも使用される。
【0047】
本明細書において、クライアント装置4の入力部44を使用する情報処理の記載の一部が省略して記載されることがある。例えば、プロセッサ41がユーザによる入力部44への操作を介して所定の入力を受け付けることを、単にプロセッサ41がユーザから所定の入力を受け付けると記載することがある。
【0048】
本明細書において、出力部45に情報を表示させる情報処理について、単にプロセッサ41がある情報を出力部45に表示させるものとして、また、間接的には表示制御部214(又は表示制御部313)がある情報を出力部45に表示させるものとして記載することがある。この場合、次のような情報処理が実行される。すなわち、プロセッサ41は、ユーザによる画面に情報を表示させるための指示をユーザから受け付ける。プロセッサ41は、その指示を請求書サーバ装置2(又は会計サーバ装置3)に送信する。プロセッサ41は、その指示を請求書サーバ装置2(又は会計サーバ装置3)から受信する。表示制御部214(又は表示制御部313)は、その指示に基づいて表示情報を生成する。情報送受信部210(又は情報送受信部310)は、生成した表示情報をクライアント装置4に送信する。プロセッサ41は、生成した表示情報を請求書サーバ装置2(又は会計サーバ装置3)から受信する。プロセッサ41は、生成した表示情報に基づいて、出力部45への表示を制御する。
【0049】
まず、
図7~
図12を示しながら、実施形態1に係る情報処理の一例を説明する。実施形態1では、請求書サービスを用いて、適格請求書データから適格返還請求書データを作成し、会計サービスを用いて逆仕訳データを出力する例を説明する。請求書サービスは、ユーザの指示に応じて適格請求書又は適格返還請求書の作成が可能なサービスであり、請求書サーバ装置2により提供されるサービスである。会計サービスは、ユーザの指示に応じて会計に係る処理及び会計に係る管理が可能なサービスであり、会計サーバ装置3により提供されるサービスである。
【0050】
4.1.情報処理の概要
まず、
図7のシーケンス図を示しながら、実施形態1に係る情報処理の概要を説明する。
図7は、実施形態1に係るシーケンス図の一例を示す図である。
【0051】
S1では、クライアント装置4のプロセッサ41は、ユーザからの操作に基づいて過去に作成された1以上の適格請求書データの中から適格請求書データの特定を受け付ける。適格請求書データの特定の受け付けは、後述する
図8及び
図9に示す請求書画面5を介して行われる。
【0052】
S2では、クライアント装置4のプロセッサ41は、特定した適格請求書データの情報を請求書サーバ装置2に送信する。請求書サーバ装置2の情報送受信部210は、特定した適格請求書データの情報をクライアント装置4から受け付ける。
【0053】
S3では、請求書サーバ装置2の特定部211は、受け付けたデータに基づいて適格請求書データを特定する。
S4では、請求書サーバ装置2の生成部212は、特定した適格請求書データに基づいて下書データを生成する。
【0054】
S5では、請求書サーバ装置2の情報送受信部210は、下書データをクライアント装置4に送信する。クライアント装置4のプロセッサ41は、下書データを請求書サーバ装置2から受け付ける。
【0055】
S6では、クライアント装置4のプロセッサ41は、適格返還請求書データを作成するために、ユーザからの操作に基づいて下書データに対して、データの入力又は編集を受け付ける。データの入力又は編集の受け付けは、後述する
図10に示す請求書画面6を介して行われる。データの入力又は編集が行われない場合、S6は、省略されてもよい。
【0056】
S7では、クライアント装置4のプロセッサ41は、入力されたデータを含む適格返還請求書データの情報を請求書サーバ装置2に送信する。請求書サーバ装置2の情報送受信部210は、入力又は編集されたデータを含む適格返還請求書データの情報をクライアント装置4から受け付ける。
【0057】
S8では、請求書サーバ装置2の生成部212は、入力又は編集されたデータに基づいて適格返還請求書データを生成する。その後、請求書サーバ装置2の表示制御部214は、後述する
図11に示す請求書画面7の画像情報を出力部45に表示させる。
【0058】
S9では、請求書サーバ装置2の情報送受信部210は、適格請求書データと適格返還請求書データの情報を会計サーバ装置3に送信する。会計サーバ装置3の情報送受信部310は、適格請求書データと適格返還請求書データの情報を請求書サーバ装置2から受け付ける。
【0059】
S10では、会計サーバ装置3の取得部311は、適格請求書データと、適格返還請求書データとを取得する。
S11では、会計サーバ装置3のデータ出力部312は、取得した適格返還請求書データに基づいて、簿記上における、取得した適格請求書データの仕訳に対応する逆仕訳を行うための逆仕訳データ811を出力する。逆仕訳データ811の出力に関連する情報処理は、後述する
図12の会計画面8を示しながら説明する。これにより、適格返還請求書データに基づいて適格請求書の簿記上の逆仕訳を行うことが容易となる。また、適格返還請求書に係る処理を効率的に実行することが可能となる技術を提供することができる。
【0060】
4.2.情報処理の詳細
次に
図8~
図12を示しながら実施形態1で表示される画面の詳細について説明する。
図8は、実施形態1に係る請求書画面5の一例を示す図である。
図8の請求書画面5は、ユーザが過去に使用した適格請求書に関連する情報処理に進むことが可能な画面である。請求書画面5は、請求書リスト領域50と、請求書操作領域51と、請求書詳細領域52とを含む。
【0061】
請求書リスト領域50は、ユーザが過去に使用した適格請求書又は適格返還請求書を参照することが可能な領域である。特定部211は、請求書リスト領域50の中から任意の適格請求書又は適格返還請求書の選択をユーザから受け付けることにより、適格請求書データ又は適格返還請求書データを特定する。表示制御部214は、特定した適格請求書データ又は特定した適格返還請求書データを、請求書操作領域51及び請求書詳細領域52に表示させる。
【0062】
請求書操作領域51は、請求書リスト領域50にて特定された適格請求書又は適格返還請求書に対する情報処理の開始の指示を生成するための領域である。適格請求書又は適格返還請求書に対する情報処理は、例えば、請求書の編集、請求書の複製、請求書の他のデータへの変換、請求書の削除、請求書を郵送するためのデータの生成、電子メールによる請求書の送信、請求書のPDF化、請求書の印刷等の処理を含む。請求書操作領域51は、書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称、請求書の作成日、請求書番号等の情報を含んでもよい。請求書操作領域51は、複製変換ボタン510を含む。表示制御部214は、ユーザによる複製変換ボタン510の押下に応じて、
図9に表示される選択領域511を表示させる。
【0063】
請求書詳細領域52は、請求書リスト領域50にて特定された適格請求書又は適格返還請求書の詳細の情報が表示される領域である。請求書詳細領域52は、例えば、請求書のプレビュー、請求書に紐づく情報処理の履歴、請求書に紐づく関連書類が参照可能に構成される。
【0064】
図9は、
図8の複製変換ボタン510の押下に応じて表示される請求書画面5の一例を示す図である。
図9の請求書画面5は、
図8と比較して、選択領域511を更に含む。
【0065】
選択領域511は、適格請求書の複製と、適格請求書の納品書への変換と、適格請求書の領収書への変換と、適格請求書の適格返還請求書への変換と、適格請求書の自動作成の設定と、のうち何れかの情報処理の開始を選択可能な領域である。選択領域511は、適格請求書の適格返還請求書への変換のために、下書データ生成ボタン512を含む。
【0066】
下書データ生成ボタン512は、適格請求書データから適格返還請求書データを作成するための下書データを生成するためのボタンである。生成部212は、ユーザによる下書データ生成ボタン512の押下に応じて、発行者データと、取引内容データと、金額データと、税率データと、提供日データと、税額データと、取引先データと、識別データと、住所データと、備考データとを備える所定データが含まれる態様で適格返還請求書データの下書データを生成する。また、表示制御部214は、ユーザによる下書データ生成ボタン512の押下に応じて、
図10に表示される請求書画面6を表示させる。
【0067】
図10は、
図9の下書データ生成ボタン512の押下に応じて表示される請求書画面6の一例を示す図である。
図10の請求書画面6は、適格返還請求書データを作成するための画面である。請求書画面6は、データ入力領域60と、データ表示領域61と、完成ボタン62とを含む。
図10に表示される請求書画面6は、適格請求書データから出力した直後の画面であるため、適格請求書データに入力されていた各データと同じ情報を示すデータが予め入力されており、ユーザによって編集される必要がある。
【0068】
データ入力領域60は、適格返還請求書データを作成するためのデータを入力可能に構成される。データ入力領域60のデータを入力するための各領域には、所定データを含む下書データが、予め入力された態様で表示される。データ入力領域60は、取引先入力領域600と、発行者入力領域601と、識別入力領域602と、返還日入力領域603と、住所入力領域604と、明細入力領域605と、振込先入力領域606と、備考入力領域607とを含む。
【0069】
取引先入力領域600は、取引先データが入力可能に構成される領域である。取引先入力領域600は、適格請求書データに含まれていた取引先データ(
図10の例では「取引先1-2」)が所定データとして入力されていることがある。
【0070】
発行者入力領域601は、発行者データが入力可能に構成される領域である。発行者入力領域601には、適格請求書データに含まれていた、登録番号としての発行者データ(
図10の例では「IV20230427000001」)と、適格返還請求書の発行者の名称としての発行者データ(
図10の例では「ABC Company」)とがそれぞれ入力されていることがある。これにより、適格請求書データに含まれる発行者データを適格返還請求書データにそのまま流用することができるため、適格返還請求書を作成する手間を削減することができる。
【0071】
識別入力領域602は、識別データが入力可能に構成される領域である。識別入力領域602には、適格請求書データに含まれていた英数字を含む識別データ(
図10の例では「IV20230427」)が入力されていることがある。これにより、適格返還請求書がどの適格請求書に基づいて作成されたかを特定することが容易となる。
【0072】
返還日入力領域603は、返還等データが入力可能に構成される領域である。
図10の例において、返還日入力領域603には、返還等データとして「2023/05/31」が入力されている。また、返還日入力領域603は、「今月末」又は「来月末」等のボタンの押下に応じて、今月末又は来月末の日付を自動に入力可能に構成されてもよい。これにより、適格返還請求書を作成するにあたって、適格請求書と異なる内容となる可能性が高い、返還等データの入力を、ユーザから受け付けることができる。
【0073】
住所入力領域604は、住所データが入力可能に構成される領域である。住所入力領域604には、適格請求書データに含まれていた住所データ(
図10の例では「〒1200001 東京都足立区大谷田 2-2-2 経理部 経理担当 苗字 名前」)が入力されていることがある。これにより、適格請求書データに含まれる住所データを適格返還請求書データにそのまま流用することができるため、適格返還請求書を作成する手間を削減することができる。
【0074】
明細入力領域605は、提供日データ605aと、取引内容データ605bと、税率データ605dとが入力可能に構成される領域である。明細入力領域605には、適格請求書データに含まれていた、提供日データ605a(
図10の例では「2023年4月27日」)と、取引内容データ605b(
図10の例では「ZZZ-000」及び「ZZZ-001」)と、税率データ605d(
図10の例では「10%」及び「8%」)とがそれぞれ入力されていることがある。このような構成によれば、適格返還請求書を作成するにあたって、適格請求書の内容と同じになる可能性が高い取引内容データと金額データと税率データと提供日データとの入力を、ユーザから受け付けることができる。
【0075】
明細入力領域605は、金額算出データ605cが入力可能に構成される領域である。明細入力領域605には、適格請求書データに含まれていた金額算出データ605cが金額データの代わりに所定データとして入力されていることがある。金額算出データ605cは、金額データと、税額データとを算出可能なデータであり、取引内容毎の単価のデータと、数量のデータとを含む。
図10の例では、金額算出データ605cは、税率が「10%」の「ZZZ-000」について単価「100,000円」のデータと数量「2」のデータとを含み、税率が「8%」の「ZZZ-001」について単価「20,000円」のデータと数量「5」のデータとを含む。なお、金額算出データ605cは、絶対値で値が判定されてもよく、例えば、正の値が入力されても、負の値が入力されても同じ結果として扱われてもよい。
【0076】
図10の例において、金額データは、売上げに係る対価の返還等の税抜価額を税率ごとに区分して合計した金額のデータとして、税率が「10%」の取引について「200,000円」のデータと、税率が「8%」の取引について「100,000円」のデータとを含む。この「200,000円」は、単価が「100,000」であることと数量が「2」であることから算出され、また、この「100,000円」は、単価が「20,000」であることと数量が「5」であることから算出される。すなわち、金額データは、金額算出データ605cに基づいて算出される。このような構成によれば、適格返還請求書を作成するにあたって、適格請求書の内容と同じになる可能性が高い金額データとの算出のための入力を、ユーザから受け付けることができる。
【0077】
図10の例において、税額データは、税率ごとに区分した消費税額等のデータとして、税率が「10%」の取引について「20,000円」のデータと、税率が「8%」の取引について「8,000円」のデータとを含む。この「20,000円」は、「200,000円」に税率「10%」が適用されることにより算出され、この「20,000円」は、「100,000円」に税率「8%」が適用されることにより算出される。すなわち、税額データは、金額算出データ605cと税率データ605dとに基づいて算出される。このような構成によれば、適格返還請求書を作成するにあたって、適格請求書の内容と同じになる可能性が高い税額データとの算出のための入力を、ユーザから受け付けることができる。
【0078】
振込先入力領域606は、銀行口座の振込先(銀行名、支店名、口座番号、口座種類、口座名義等)のデータが返還先のデータとして入力可能に構成される領域である。振込先入力領域606は、登録済みの振込先から振込先のデータが入力されるように構成されてもよい。
図10の例において、振込先入力領域606には、銀行名として「ABC銀行」が、支店名として「DEFGH支店」が、口座種類として「普通」が、口座番号として「1234567」が、口座名義として「コウザメイギ」がそれぞれ入力されている。
【0079】
備考入力領域607は、備考データが入力可能に構成される領域である。備考入力領域607には、適格請求書データに含まれていた、備考データ(
図10の例では、「手数料はご負担ください。」)が入力されていることがある。これにより、適格請求書データに含まれる備考データを適格返還請求書データにそのまま流用することができるため、適格返還請求書を作成する手間を削減することができる。
【0080】
このように、データ入力領域60に所定データが含まれる態様で下書データが生成されることにより、適格請求書データに基づいて、適格返還請求書を作成するための下書データを生成することができるため、適格返還請求書の作成が容易となる。また、適格返還請求書に係る処理を効率的に実行することが可能となる技術を提供することができる。
【0081】
データ表示領域61は、データ入力領域60に入力されたデータに基づいて適格返還請求書のプレビューが視認可能な態様で表示される領域である。データ表示領域61は、取引先表示領域610と、発行者表示領域611と、識別表示領域612と、返還日表示領域613と、住所表示領域614と、明細表示領域615と、振込先表示領域616と、備考表示領域617とを含む。
【0082】
取引先表示領域610は、取引先入力領域600に入力された取引先データが、適格返還請求書の取引先として視認可能な態様で表示される領域である。
【0083】
発行者表示領域611は、発行者入力領域601に入力された発行者データが、適格返還請求書の発行者の登録番号として、及び適格返還請求書の発行者の氏名又は名称として視認可能な態様で表示される領域である。
【0084】
識別表示領域612は、識別入力領域602に入力された識別データが、適格請求書の請求書番号として視認可能な態様で表示される領域である。
【0085】
返還日表示領域613は、返還日入力領域603に入力された返還等データが、売上げに係る対価の返還等を行う年月日として視認可能な態様で表示される領域である。
【0086】
住所表示領域614は、住所入力領域604に入力された取引先の住所データが、適格返還請求書の取引先の住所として視認可能な態様で表示される領域である。
【0087】
明細表示領域615は、明細入力領域605に入力された、提供日データ605a、取引内容データ605b及び税率データ605dが、適格返還請求書の、提供日、取引内容、及び税率のデータとして視認可能な態様で表示される領域である。また、明細表示領域615は、金額算出データ605c及び税率データ605dに基づいて算出された金額データ及び税額データが視認可能な態様で表示される領域である。
【0088】
振込先表示領域616は、振込先入力領域606に入力された銀行口座の振込先のデータが、適格返還請求書の銀行口座の振込先として視認可能な態様で表示される領域である。
【0089】
備考表示領域617は、備考入力領域607に入力された備考データに紐づくテキストが視認可能な態様で表示される領域である。
【0090】
完成ボタン62は、データ入力領域60に入力されたデータに基づいて適格返還請求書データを完成するためのボタンである。表示制御部214は、ユーザによる完成ボタン62の押下に応じて、
図11に表示される請求書画面7を表示させる。
【0091】
図11は、実施形態1に係る請求書画面7の一例を示す図である。
図11の請求書画面7は、作成された適格返還請求書を確認可能な画面である。請求書画面7は、適格返還請求書領域70を含む。適格返還請求書領域70は、データ入力領域60に入力されたデータに基づいて作成された適格返還請求書が表示される領域である。適格返還請求書領域70は、データ表示領域61のデータが表示される領域でもある。
【0092】
次に
図12を用いて、請求書サービスにて作成した適格返還請求書データに基づいて会計サービスの逆仕訳を行う例について説明する。ユーザからの
図11の完成ボタン62の押下の受け付けに応じて、又はユーザからの請求書サービス上にて会計サービスと連動させる指示を受け付けに応じて、データ出力部312は、適格返還請求書データに基づいて、前記適格請求書発行事業者の簿記における逆仕訳を行うための逆仕訳データ811を出力する。表示制御部313は、ユーザからの会計サービスへのログインの指示と、ログインの指示に続く仕訳の確認の指示とを受け付けた場合、
図12に示す会計画面8を出力部45に表示させる。
【0093】
図12は、実施形態1に係る会計画面8の一例を示す図である。会計画面8は、会計に関する情報が表示される画面である。
図12の会計画面8は、簿記における仕訳又は逆仕訳に関する画面が表示されており、絞込領域80と仕訳領域81とを含む。
【0094】
なお、「仕訳」とは、簿記上の取引を借方と貸方で分類して、それぞれ勘定科目と金額を仕訳帳に記載する簿記の作業である。「逆仕訳」とは、仕訳と借方・貸方の勘定科目を逆にして行なう仕訳のことである。逆仕訳は、反対仕訳、取消仕訳、訂正仕訳等とも称される。
【0095】
絞込領域80は、仕訳領域81に表示させる仕訳又は逆仕訳の候補の情報を絞り込むための領域である。絞込領域80は、開始日、終了日、取引先、摘要等の条件を受け付け可能に構成される。
【0096】
仕訳領域81は、簿記上の仕訳又は逆仕訳に関する情報が表示される領域である。仕訳領域81は、絞込領域80を介して受け付けた条件に応じて表示される情報が変化可能に構成される。
図12の仕訳領域81には、仕訳データ810a、810bと、逆仕訳データ811とが表示される。
【0097】
仕訳データ810a、810bは、簿記上における仕分を行うためのデータである。仕訳データ810a、810bは、例えば、取引日と、借方勘定科目(例えば、売上高)と、補助科目と、税区分と、金額と、借方勘定科目(例えば、現金、当座預金、受取手形、売掛金)と、税区分と、金額と、摘要とを含む。データ出力部312は、取得した適格請求書データに基づいて、適格請求書発行事業者の簿記における仕分を行うための仕訳データ810a、810bを出力する。例えば、仕訳データ810a、810bの金額として、適格請求書データに含まれる金額データに対応するデータ(「220,000円」と「108,000円」)が出力され、仕訳データ810a、810bの税区分として、適格請求書データに含まれる税率データ605dに対応するデータ(「10%」と「8%」)が出力される。これにより、適格請求書データに基づいて簿記上の仕訳を行うことが容易となる。また、適格請求書に係る処理を効率的に実行することが可能となる技術を提供することができる。
【0098】
逆仕訳データ811は、簿記上における逆仕分を行うためのデータである。逆仕訳データ811は、例えば、取引日と、借方勘定科目(例えば、売上高)と、補助科目と、税区分と、金額と、借方勘定科目(例えば、現金、当座預金、受取手形、売掛金)と、税区分と、金額と、摘要とを含む。データ出力部312は、取得した適格請求書データに基づいて、適格請求書発行事業者の簿記における仕分を行うための逆仕訳データ811を出力する。より具体的には例えば、データ出力部312は、適格返還請求書データに基づいて、適格請求書発行事業者の簿記における逆仕訳を行うための逆仕訳データ811を出力する。例えば、逆仕訳データ811の金額として、適格返還請求書データに含まれる金額データに対応するデータ(「11,000円」等)が出力され、逆仕訳データ811の税区分として、適格返還請求書データに含まれる税率データに対応するデータ(「10%」等)が出力される。これにより、適格返還請求書データに基づいて適格請求書の簿記上の逆仕訳を行うことが容易となる。また、適格返還請求書に係る処理を効率的に実行することが可能となる技術を提供することができる。
【0099】
仕訳データ810a、810b及び逆仕訳データ811のそれぞれは、編集可能に構成される。また、仕訳データ810a、810b及び逆仕訳データ811のそれぞれは、登録ボタン等を介して登録されることにより、簿記上のデータとして反映される。仕訳データ810a、810b及び逆仕訳データ811のそれぞれは、帳簿、確定申告、損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書等の種々の会計に係る書類の作成に利用される。
【0100】
以上、実施形態1によれば、適格請求書、適格返還請求書等のインボイス制度に関連する書類に係る処理を効率的に実行することが可能となる技術を提供することができる。
【0101】
[実施形態2]
次に
図13を示しながら適格請求書と適格返還請求書とを1つの請求書にまとめて作成する例について説明する。以下では、適格請求書と適格返還請求書とが1つにまとめられた請求書を合成適格請求書と称する。実施形態2では、実施形態1と同じ、システム構成、ハード構成及び機能構成を有するものとする。
図13は、実施形態2に係る請求書画面9の一例を示す図である。
【0102】
図13の請求書画面9は、合成適格請求書を作成するための画面である。
図13の請求書画面9は、データ入力領域90と、データ表示領域91と、完成ボタン92とを含む。
【0103】
実施形態2のデータ入力領域90は、実施形態1のデータ入力領域60の特徴に加えて、適格請求書データを作成するためのデータを入力可能に構成される。データ入力領域90は、取引先入力領域900と、発行者入力領域901と、識別入力領域902と、年月日入力領域903と、住所入力領域904と、明細入力領域905と、振込先入力領域906と、備考入力領域907とを含む。取引先入力領域900と、発行者入力領域901と、識別入力領域902と、住所入力領域904と、振込先入力領域906と、備考入力領域907とについては、取引先入力領域600と、発行者入力領域601と、識別入力領域602と、返還日入力領域603と、住所入力領域604と、振込先入力領域606と、備考入力領域607とを参照されたい。
【0104】
年月日入力領域903は、適格請求書の請求日データ及び適格返還請求書の返還等データが入力可能に構成される領域である。
【0105】
明細入力領域905は、適格請求書及び適格返還請求書のそれぞれの、取引内容データと、金額データと、税率データと、提供日データとが入力可能に構成される領域である。また、明細入力領域905は、返品、値引き、割戻し、販売奨励金等の、売上に係る対価の返還等の種類を選択可能に構成されてもよい。
【0106】
実施形態2のデータ表示領域91は、データ入力領域90に入力されたデータに基づいて、合成適格請求書のプレビューが視認可能な態様で表示される領域である。データ表示領域91は、取引先表示領域910と、発行者表示領域911と、識別表示領域912と、年月日表示領域913と、住所表示領域914と、明細表示領域915と、振込先表示領域916と、備考表示領域917とを含む。取引先表示領域910と、発行者表示領域911と、識別表示領域912と、住所表示領域914と、振込先表示領域916と、備考表示領域917とについては、取引先表示領域610と、発行者表示領域611と、識別表示領域612と、住所表示領域614と、振込先表示領域616と、備考表示領域617とを含む。
【0107】
年月日表示領域913は、年月日入力領域903に入力された、請求日データが適格請求書の請求日として、返還等データが適格返還請求書の返還日としてそれぞれ視認可能な態様で表示される領域である。
【0108】
明細表示領域915は、明細入力領域905に入力された、適格請求書に係る取引内容データと、税率データと、提供日データと、金額データとが視認可能な態様で表示される領域である。また、明細表示領域915は、明細入力領域905に入力された、適格請求書に係る取引内容データと、金額データと、税率データと、提供日データとが視認可能な態様で表示される領域である。また、明細表示領域915は、明細入力領域905にて選択された、売上に係る対価の返還等を表示可能に構成されてもよい。
【0109】
実施形態2の完成ボタン92については、実施形態1の完成ボタン62と同様の特徴を有する。
【0110】
合成適格請求書を作成する場合、合成適格請求書は、ユーザが過去に使用した何れかの請求書のデータに基づいて作成されてもよい。すなわち、合成適格請求書は、適格請求書データに基づいて作成されるか、適格返還請求書データに基づいて作成されるか、又は合成適格請求書のデータに基づいて作成されるか、に応じて含まれる所定データが変化してもよい。
【0111】
適格請求書データに基づいて作成される場合、所定データは、適格請求書データに含まれていたデータを所定データとしてもよい。その場合、所定データは、発行者データと、提供日データと、取引内容データと、金額データと、税率データと、税額データと、取引先データと、請求日データと、住所データと、備考データと、識別データとのうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0112】
適格返還請求書データに基づいて作成される場合、所定データは、適格返還請求書データに含まれていたデータを所定データとしてもよい。その場合、所定データは、発行者データと、提供日データと、取引内容データと、金額データと、税率データと、税額データと、住所データと、備考データと、取引先データと、返還等データと、識別データとのうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0113】
合成適格請求書のデータに基づいて作成される場合、所定データは、発行者データと、提供日データと、取引内容データと、金額データと、税率データと、税額データと、取引先データと、請求日データと、返還等データと、住所データと、備考データと、識別データとのうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0114】
以上、実施形態2によれば、適格請求書、適格返還請求書等のインボイス制度に関連する書類に係る処理を効率的に実行することが可能となる技術を提供することができる。
【0115】
[その他]
通知部213は、適格返還請求書に係る取引の金額が所定の金額未満の場合、又は、適格返還請求書に係る取引先が免税事業者である場合、適格返還請求書を発行しなくてもよい旨を、クライアント装置4の出力部45に表示させることで通知してもよい。例えば、通知部213は、明細入力領域605に入力された金額算出データ605c及び税率データ605dに基づいて、税込価格が所定の金額未満(法律、規則等により定められる額であり、例えば、1万円未満)である場合を、適格返還請求書に係る取引の金額が所定の金額未満の場合と判定して、通知する。また、通知部213は、取引先入力領域600に入力された取引先のデータと、テーブル等の参照データとに基づいて、適格返還請求書に係る取引先が免税事業者である場合と判定して、通知する。この参照データは、取引先毎に取引先が免罪事業者であるか否かの情報が格納されるデータである。これにより、適格返還請求書を作成する必要がない場合について、ユーザに通知することができる。
【0116】
変形例では、生成部212は、適格返還請求書に適応される売上に係る対価の返還の種類に応じて、所定データを生成してもよい。例えば、売上に係る対価の返還の種類として端数値引きを適用する場合、適格返還請求書には個別の取引内容を記載する必要がないため、生成部212は、取引内容データを含まない態様で所定データを生成し、当該所定データを含む下書データを生成する。これにより、適格返還請求書に適応される売上に係る対価の返還の種類に応じて、所定データを含む下書データを生成することができるため、取引に応じた下書データを生成することができる。
【0117】
次に
図14を示しながら、発行した適格請求書データと、発行した適格返還請求書データとに基づく合計額をユーザが参照するための請求総額画面1000について説明する。
図14は、請求総額画面1000の一例を示す図である。合計額は、適格請求書に紐づく請求額から、適格返還請求書に紐づく返還額を差し引いた額である。
【0118】
請求総額画面1000は、期間毎、取引先別、タグ別、月別等の種々の態様での合計額が表示される画面である。請求総額画面1000は、請求総額領域1001と、取引先別請求額領域1002と、タグ別請求額領域1003と、月次請求額領域1004とを含む。
【0119】
請求総額領域1001は、特定の期間(例えば、今月)における、ユーザが属する組織の顧客に対する合計額が表示可能に構成される領域である。請求総額領域1001には、合計額の他に、特定の期間(例えば今月)と特定の過去の期間(例えば、前月)との合計額の比較の結果(例えば、前月比-3,702,130円)が表示されてもよい。請求総額領域1001には、請求書の枚数(例えば、29枚)と、発行した請求書への未入金の件数(例えば、2件)と、発行した請求書への入金済の件数(例えば、1件)とが含まれてもよい。
【0120】
取引先別請求額領域1002は、取引先別の合計額が表示される領域である。
図14の取引先別請求額領域1002には、合計額が大きい上位数件(例えば、3件)の顧客が表示される。
図14の取引先別請求額領域1002は、取引先別のレポートを出力可能なボタンを含む。
【0121】
タグ別請求額領域1003は、タグ別の請求額が表示される領域である。このタグは、プロジェクト名や部署名等、ユーザによって自由に設定され、グルーピングに使用される。
図14のタグ別請求額領域1003には、合計額が大きい上位数件(例えば、3件)のタグが表示される。
図14のタグ別請求額領域1003は、タグ別のレポートを出力可能なボタンを含む。
【0122】
月次請求額領域1004は、月別の合計額が表示される領域である。
図14の月次請求額領域1004には、2022年4月~2023年3月について、月毎の合計額が棒グラフで表示されている。
図14の月次請求額領域1004は、月別の合計額を参照可能なCSVファイルを出力可能なボタンを含む。
【0123】
請求書サーバ装置2の表示制御部214は、ユーザからの操作に応じて、請求総額画面1000を表示させる。すなわち、表示制御部214は、取引先毎に発行した適格請求書に含まれる取引の金額から、適格返還請求書に含まれる取引の金額によって差し引いた金額を、取引先毎の情報として出力部45に表示させる。これにより、取引先毎について、適格請求書に係る請求の金額と、適格返還請求書に係る返還する金額との合算額を把握することが容易となる。
【0124】
実施形態1に係る適格返還請求書データの作成及び実施形態2の合成適格請求書のデータの作成は、適格簡易請求書のデータに基づいて行われてもよい。適格簡易請求書は、適格請求書の記載事項と比べると、「書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称」の記載が不要である点、「税率ごとに区分した消費税額等」又は「適用税率」の何れか一方の記載で足りる点が異なる。したがって、適格簡易請求書のデータは、発行者データと、提供日データと、取引内容データと、金額データと、を含む。また、適格簡易請求書のデータには、税率データ又は税額データのうち何れか一方が含まれればよい。適格簡易請求書のデータには、取引先データが含まれなくてもよい。また、適格簡易請求書データは、請求日データと、住所データと、備考データと、識別データとを含んでもよい。これらのデータを、下書データを生成する際の所定データとしてもよい。
【0125】
実施形態1及び実施形態2では、請求書サーバ装置2及び会計サーバ装置3は、それぞれ別のサーバにより構成されるものとして説明したが、変形例では同一のサーバにより構成されてもよい。
【0126】
実施形態1の
図10の例において、税額データ及び金額データを算出する例について説明したが、変形例では、ユーザから、税額データ及び金額データの入力を受け付けるように構成されてもよい。
【0127】
請求書サーバ装置2及び/又は会計サーバ装置3は、オンプレミス形態であってもよく、クラウド形態であってもよい。クラウド形態の請求書サーバ装置2及び/又は会計サーバ装置3としては、例えば、SaaS(Software as a Service)、クラウドコンピューティングという形態で、上記の機能や処理を提供してもよい。
【0128】
上記実施形態では、請求書サーバ装置2及び/又は会計サーバ装置3がそれぞれ種々の記憶・制御を行ったが、請求書サーバ装置2及び/又は会計サーバ装置3に代えて、複数の外部装置が用いられてもよい。すなわち、種々の情報やプログラムは、ブロックチェーン技術等を用いて複数の外部装置に分散して記憶されてもよい。
【0129】
情報処理方法は、プログラムの各ステップを備える。情報処理システムは、プログラムを実行するコンピュータを備える。
【0130】
更に、次に記載の各態様で提供されてもよい。
【0131】
(1)プログラムであって、コンピュータに次の各ステップを実行させ、特定ステップでは、適格請求書データを特定し、前記適格請求書データは、適格請求書発行事業者により作成された適格請求書のデータであり、生成ステップでは、特定した前記適格請求書データに基づいて下書データを生成し、前記下書データは、適格返還請求書を作成するための所定データが含まれるデータであり、前記所定データは、前記適格請求書データに含まれるデータのうち少なくとも一部を含むデータである、プログラム。
【0132】
このような構成によれば、適格請求書データに基づいて、適格返還請求書を作成するための下書データを生成することができるため、適格返還請求書の作成が容易となる。これにより、適格返還請求書に係る処理を効率的に実行することが可能となる技術を提供することができる。
【0133】
(2)プログラムであって、コンピュータに次の各ステップを実行させ、取得ステップでは、適格請求書データと、適格返還請求書データとを取得し、前記適格請求書データは、適格請求書発行事業者が作成した適格請求書のデータであり、前記適格返還請求書データは、前記適格請求書発行事業者が作成するデータであって、かつ、前記適格請求書に紐づく売上の少なくとも一部を返還する際に交付する適格返還請求書のデータであり、出力ステップでは、前記適格返還請求書データに基づいて、前記適格請求書発行事業者の簿記における逆仕訳を行うための逆仕訳データを出力する、プログラム。
【0134】
このような構成によれば、適格返還請求書データに基づいて適格請求書の簿記上の逆仕訳を行うことが容易となる。これにより、適格返還請求書に係る処理を効率的に実行することが可能となる技術を提供することができる。
【0135】
(3)上記(1)に記載のプログラムにおいて、前記下書データは、課税資産の返品、値引き又は割戻しに伴う、返還又は減額が行われる日付を示す返還等データの入力をユーザから受け付け可能なデータである、プログラム。
【0136】
このような構成によれば、適格返還請求書を作成するにあたって、適格請求書と異なる内容となる可能性のある返還等データの入力を、ユーザから受け付けることができる。
【0137】
(4)上記(1)に記載のプログラムにおいて、前記所定データは、適格返還請求書データに対応する前記適格請求書データを特定することが可能な識別データを含む、プログラム。
【0138】
このような構成によれば、適格返還請求書がどの適格請求書に基づいて作成されたかを特定することが容易となる。
【0139】
(5)上記(1)に記載のプログラムにおいて、前記所定データは、取引に係る資産又は役務の内容を示す取引内容データと、取引に係る金額を示す金額データと、取引に係る適用税率を示す税率データと、取引に係る資産又は役務の提供日データとを含み、前記生成ステップでは、前記取引内容データと、前記金額データと、前記税率データと、提供日データが含まれる態様で前記下書データを生成する、プログラム。
【0140】
このような構成によれば、適格返還請求書を作成するにあたって、適格請求書の内容と同じになる可能性が高い取引内容データと金額データと税率データと提供日データとの入力を、ユーザから受け付けることができる。
【0141】
(6)上記(1)に記載のプログラムにおいて、出力ステップを更に実行し、前記出力ステップでは、適格返還請求書データに基づいて、前記適格請求書発行事業者の簿記における逆仕訳を行うための逆仕訳データを出力し、前記適格返還請求書データは、前記適格請求書発行事業者が作成する適格返還請求書のデータであって、かつ、前記下書データに基づいて作成されるデータである、プログラム。
【0142】
このような構成によれば、適格請求書データに基づいて作成された適格返還請求書データに基づいて簿記上の逆仕訳を行うことが容易となる。
【0143】
(7)上記(1)に記載のプログラムにおいて、表示制御ステップを更に実行し、前記表示制御ステップでは、取引先毎に発行した適格請求書に含まれる取引の金額から、前記適格返還請求書に含まれる取引の金額によって差し引いた金額を、前記取引先毎に表示させる、プログラム。
【0144】
このような構成によれば、取引先毎について、適格請求書に係る請求の金額と、適格返還請求書に係る返還する金額との合算額を把握することが容易となる。
【0145】
(8)上記(1)に記載のプログラムにおいて、前記生成ステップでは、前記適格返還請求書に適応される売上に係る対価の返還の種類に応じて、前記所定データを生成する、プログラム。
【0146】
このような構成によれば、適格返還請求書に適応される売上に係る対価の返還の種類に応じて、所定データを含む下書データを生成することができるため、取引に応じた下書データを生成することができる。
【0147】
(9)上記(1)に記載のプログラムにおいて、通知ステップを更に実行し、前記通知ステップでは、前記適格返還請求書に係る取引の金額が所定の金額未満の場合、又は、前記適格返還請求書に係る取引先が免税事業者である場合、前記適格返還請求書を発行しなくてもよい旨を通知する、プログラム。
【0148】
このような構成によれば、適格返還請求書を作成する必要がない場合について、ユーザに通知することができる。
【0149】
(10)情報処理方法であって、上記(1)~(9)の何れか1つに記載のプログラムの各ステップを備える、情報処理方法。
【0150】
このような構成によれば、適格返還請求書に係る処理を効率的に実行することが可能となる技術を提供することができる。
【0151】
(11)情報処理システムであって、上記(1)~(9)の何れか1つに記載のプログラムを実行するコンピュータを備える情報処理システム。
【0152】
このような構成によれば、適格返還請求書に係る処理を効率的に実行することが可能となる技術を提供することができる。
もちろん、この限りではない。
【0153】
最後に、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0154】
1 :情報処理システム
2 :請求書サーバ装置
21 :プロセッサ
210 :情報送受信部
211 :特定部
212 :生成部
213 :通知部
214 :表示制御部
22 :記憶部
23 :通信部
3 :会計サーバ装置
31 :プロセッサ
310 :情報送受信部
311 :取得部
312 :データ出力部
313 :表示制御部
32 :記憶部
33 :通信部
4 :クライアント装置
41 :プロセッサ
42 :記憶部
43 :通信部
44 :入力部
45 :出力部
5 :請求書画面
50 :請求書リスト領域
51 :請求書操作領域
510 :複製変換ボタン
511 :選択領域
512 :下書データ生成ボタン
52 :請求書詳細領域
6 :請求書画面
60 :データ入力領域
600 :取引先入力領域
601 :発行者入力領域
602 :識別入力領域
603 :返還日入力領域
604 :住所入力領域
605 :明細入力領域
605a:提供日データ
605b:取引内容データ
605c:金額算出データ
605d:税率データ
606 :振込先入力領域
607 :備考入力領域
61 :データ表示領域
610 :取引先表示領域
611 :発行者表示領域
612 :識別表示領域
613 :返還日表示領域
614 :住所表示領域
615 :明細表示領域
616 :振込先表示領域
617 :備考表示領域
62 :完成ボタン
7 :請求書画面
70 :適格返還請求書領域
8 :会計画面
80 :絞込領域
810 :仕訳データ
811 :逆仕訳データ
81 :仕訳領域
9 :請求書画面
90 :データ入力領域
900 :取引先入力領域
901 :発行者入力領域
902 :識別入力領域
903 :年月日入力領域
904 :住所入力領域
905 :明細入力領域
906 :振込先入力領域
907 :備考入力領域
91 :データ表示領域
910 :取引先表示領域
911 :発行者表示領域
912 :識別表示領域
913 :年月日表示領域
914 :住所表示領域
915 :明細表示領域
916 :振込先表示領域
917 :備考表示領域
92 :完成ボタン
1000:請求総額画面
1001:請求総額領域
1002:取引先別請求額領域
1003:タグ別請求額領域
1004:月次請求額領域
N :ネットワーク