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特開2024-168271LEDシート、動植物の育成棚用の棚板、動植物の育成棚及び動植物育成工場
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168271
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】LEDシート、動植物の育成棚用の棚板、動植物の育成棚及び動植物育成工場
(51)【国際特許分類】
   F21V 19/00 20060101AFI20241128BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20241128BHJP
   H01L 33/60 20100101ALI20241128BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20241128BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20241128BHJP
   A01G 7/00 20060101ALI20241128BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241128BHJP
   F21Y 105/16 20160101ALN20241128BHJP
【FI】
F21V19/00 150
F21S2/00 100
F21V19/00 170
H01L33/60
H01L33/62
H01L33/00 L
A01G7/00 601A
F21Y115:10
F21Y105:16
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084799
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100202304
【弁理士】
【氏名又は名称】塙 和也
(72)【発明者】
【氏名】亀川 直人
(72)【発明者】
【氏名】城下 沙織
(72)【発明者】
【氏名】光武 直哉
【テーマコード(参考)】
2B022
3K013
5F142
【Fターム(参考)】
2B022DA08
3K013BA01
5F142AA67
5F142BA32
5F142CA11
5F142CA13
5F142CB17
5F142CB23
5F142CD02
5F142CD24
5F142CE06
5F142CE16
5F142CE18
5F142CG03
5F142DB54
5F142EA01
5F142GA21
(57)【要約】      (修正有)
【課題】光反射性絶縁保護膜の変性を抑制することが可能な、LEDシート、動植物の育成棚用の棚板、動植物の育成棚及び動植物育成工場を提供する。
【解決手段】LEDシート20は、可撓性を有する基板フィルム31と、基板フィルム31の表面に形成された金属配線部32と、ハンダ部36を介して金属配線部32に実装されたLEDチップ21と、金属配線部32を覆うように配置された光反射性絶縁保護膜34とを備えている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDシートであって、
可撓性を有する基板フィルムと、
前記基板フィルムの表面に形成された金属配線部と、
ハンダ部を介して前記金属配線部に実装されたLEDチップと、
前記金属配線部を覆うように配置された光反射性絶縁保護膜とを備え、
前記光反射性絶縁保護膜のガラス転移温度は、70℃以下であり、
前記光反射性絶縁保護膜を25℃から240℃に加熱した場合に、前記光反射性絶縁保護膜の膨張率は、3.0%よりも大きく、
前記膨張率は、下記の式によって算出される、LEDシート。
【数1】
(ただし、Tgはガラス転移温度(℃)、α1はTg以下における線膨張率(1/℃)、α2は、Tg以上における線膨張率(1/℃)を表す。)
【請求項2】
前記光反射性絶縁保護膜を25℃から240℃に加熱した場合に、前記光反射性絶縁保護膜の前記膨張率は、5.2%以下である、請求項1に記載のLEDシート。
【請求項3】
光反射性絶縁保護膜は、白色顔料を含有する樹脂組成物を含む、請求項1に記載のLEDシート。
【請求項4】
前記ハンダ部は、平面視で前記LEDチップよりも外側へ突出する突出部を含む、請求項1に記載のLEDシート。
【請求項5】
平面視で、前記突出部の面積は、0.031mm以上0.48mm以下である、請求項4に記載のLEDシート。
【請求項6】
前記LEDシートは、動植物育成用である、請求項1に記載のLEDシート。
【請求項7】
動植物の育成棚用の棚板であって、
基板と、
前記基板に取り付けられた、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のLEDシートとを備えた、動植物の育成棚用の棚板。
【請求項8】
動植物の育成棚であって、
請求項7に記載の棚板を備え、
前記LEDシートは、前記基板の下面側に取り付けられている、動植物の育成棚。
【請求項9】
前記LEDシートは、前記棚板の側面側にも更に配置されている、請求項8に記載の動植物の育成棚。
【請求項10】
建物と、
前記建物の内部に配置された、請求項8に記載の動植物の育成棚とを備えた、動植物育成工場。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、LEDシート、動植物の育成棚用の棚板、動植物の育成棚及び動植物育成工場に関する。
【背景技術】
【0002】
動植物育成工場において用いる照明装置として、従来の蛍光灯や高圧ナトリウムランプ等に替えて、近年、消費電力が少ないLEDを光源とする照明装置の需要が拡大している。
【0003】
LEDを光源とする照明装置を用いた動植物育成工場の一例として、植物の育成棚の棚板に、LEDを光源とする直管型の植物育成灯を複数配置した植物育成装置が知られている(例えば特許文献1参照)。フレキシブルタイプの回路基板に複数のLEDチップを配置して面状の光源を形成した動植物育成用のLED照明装置も提案されている(例えば特許文献2参照)。
【0004】
このようなLED照明装置では、フラックスを含有したハンダを使用することにより、LEDがLED照明装置に実装されることが一般的である。また、このようなLED照明装置では、絶縁性及び耐水性を担保するために、LEDの周囲に絶縁保護膜が設けられることが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-118957号公報
【特許文献2】特開2013-251230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、LEDをLED照明装置に実装する際に、フラックスを含有したハンダを使用した場合、フラックスが、絶縁保護膜を変性させてしまう可能性がある。
【0007】
本開示は、光反射性絶縁保護膜の変性を抑制することが可能な、LEDシート、動植物の育成棚用の棚板、動植物の育成棚及び動植物育成工場を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の実施の形態は、以下の[1]~[10]に関する。
【0009】
[1]LEDシートであって、可撓性を有する基板フィルムと、前記基板フィルムの表面に形成された金属配線部と、ハンダ部を介して前記金属配線部に実装されたLEDチップと、前記金属配線部を覆うように配置された光反射性絶縁保護膜とを備え、前記光反射性絶縁保護膜のガラス転移温度は、70℃以下であり、前記光反射性絶縁保護膜を25℃から240℃に加熱した場合に、前記光反射性絶縁保護膜の膨張率は、3.0%よりも大きく、前記膨張率は、下記の式によって算出される、LEDシート。
【数1】
(ただし、Tgはガラス転移温度(℃)、α1はTg以下における線膨張率(1/℃)、α2は、Tg以上における線膨張率(1/℃)を表す。)
【0010】
[2]前記光反射性絶縁保護膜を25℃から240℃に加熱した場合に、前記光反射性絶縁保護膜の前記膨張率は、5.2%以下である、[1]に記載のLEDシート。
【0011】
[3]光反射性絶縁保護膜は、白色顔料を含有する樹脂組成物を含む、[1]又は[2]に記載のLEDシート。
【0012】
[4]前記ハンダ部は、平面視で前記LEDチップよりも外側へ突出する突出部を含む、[1]乃至[3]のいずれか一つに記載のLEDシート。
【0013】
[5]平面視で、前記突出部の面積は、0.031mm以上0.48mm以下である、[4]に記載のLEDシート。
【0014】
[6]前記LEDシートは、動植物育成用である、[1]乃至[5]のいずれか一つに記載のLEDシート。
【0015】
[7]動植物の育成棚用の棚板であって、基板と、前記基板に取り付けられた、[1]乃至[6]のいずれか一つに記載のLEDシートとを備えた、動植物の育成棚用の棚板。
【0016】
[8]動植物の育成棚であって、[7]に記載の棚板を備え、前記LEDシートは、前記基板の下面側に取り付けられている、動植物の育成棚。
【0017】
[9]前記LEDシートは、前記棚板の側面側にも更に配置されている、[8]に記載の動植物の育成棚。
【0018】
[10]建物と、前記建物の内部に配置された、[8]又は[9]に記載の動植物の育成棚とを備えた、動植物育成工場。
【発明の効果】
【0019】
本実施の形態によれば、光反射性絶縁保護膜の変性を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、一実施の形態によるLEDシートを示す概略図である。
図2図2は、一実施の形態によるLEDシートを示す平面図である。
図3図3(a)-(b)は、LEDシートの変形例を示す平面図である。
図4図4(a)は、制御部からLEDシートに定電圧が印加される場合における時間と電圧の関係を示すグラフであり、図4(b)は、比較例としてLEDシートにパルスが印加される場合における時間と電圧の関係を示すグラフである。
図5図5は、一実施の形態によるLEDシートを示す断面図(図2のV-V線断面図)である。
図6図6(a)-(b)は、一実施の形態によるLEDシートを示す平面図(図5のVI方向矢視図)である。
図7図7(a)-(i)は、一実施の形態によるLEDシートの製造方法を示す断面図である。
図8図8は、一実施の形態による植物育成工場を示す概略斜視図である。
図9図9は、一実施の形態による植物の育成棚を示す概略斜視図である。
図10図10(a)-(b)は、植物の育成棚の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら一実施の形態について具体的に説明する。以下に示す各図は、模式的に示した図である。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更して実施できる。なお、以下に示す各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。また、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名は、実施の形態としての一例であり、これに限定されることなく、適宜選択して使用できる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含めて解釈することとする。本明細書において、動植物とは、動物及び/又は植物を意味する。なお、以下においては、便宜上、LEDシートによって植物を育成(栽培)する場合を例にとって説明するが、本実施の形態による動植物育成用のLEDシートは、矛盾の生じない範囲で、動物を育成する場合にも適用できる。
【0022】
(LEDシート)
図1に示す、本実施の形態によるLEDシート20は、植物育成用のLED照明装置であっても良い。すなわち、LEDシート20は、後述するように、人工光を用いた植物育成工場90(図8)内に設置され、植物を育成するLED照明装置であっても良い。このようなLEDシート20には、制御部40が電気的に接続されている。
【0023】
図1及び図2に示すように、LEDシート20は、いわゆる片面出光型の面状の光源シートである。このLEDシート20の発光面20a側に、複数のLEDチップ21が配列されている。このような直下型のLEDシート20を用いることで、LEDチップ21からの照射光がそのまま発光面20aを通過する。このため、照射光が直接直下の植物に到達するので、光量を強くして植物の育成の促進を図ることができる。また、LEDシート20は、LEDバーライトに比べて全体の厚みを薄くできるため、LEDチップ21の側部側に影が発生することを抑制できる。
【0024】
なお、図1及び図2では、直下型のLEDシート20の例を示しているが、これに限定されず、導光板等を介在させたエッジライト型のLEDシートを用いても良い。エッジライト型のLEDシートは、発光面からの光量のばらつきを抑制しやすい。
【0025】
図1及び図2のLEDシート20は、フレキシブル配線基板30と、フレキシブル配線基板30上に規則的に配置された複数のLEDチップ21とを備えている。このようなフレキシブル配線基板30を用いることで、シート面の面積が比較的大きいLEDシート20を得ることができる。一般に、動植物育成工場や動植物の育成棚では、LEDシート20は、複数を配列して使用される。そして、隣り合うLEDシート20同士の位置がばらつくと、光量のばらつきが生じて動植物の収率が低下するおそれがある。シート面の面積が比較的大きいLEDシート20は、使用するLEDシート20の数を減らすことができるので、複数のLEDシート20の配置による光量のばらつきを抑制できる。なお、図1及び図2では、フレキシブル配線基板30を備えたLEDシート20の例を示しているが、これに限定されず、リジット配線基板を備えたLEDシートを用いても良い。リジット配線基板を備えたLEDシートは、応力による耐性が高く、破損しにくい。なお、図1及び図2において、後述する光反射性絶縁保護膜34及び透明保護膜35の表示を省略している。
【0026】
この場合、LEDチップ21は、フレキシブル配線基板30上に規則的に配置されている。具体的には、LEDチップ21は、フレキシブル配線基板30内で、平面視で格子点状に配置されている。すなわちLEDチップ21は、マトリックス状に多段多列に配置されており、直列にM個接続されたLEDチップ21の列Rが、N列配置されている。
【0027】
例えば図4において、LEDチップ21は、LEDチップ21の第1の配列方向(X方向)に沿って、14個(M=14)直列に接続されている。さらに、この14個のLEDチップ21をもつ列Rが、LEDチップ21の第2の配列方向(Y方向)に沿って、10列(N=10)並列に配置されている。なお、LEDチップ21の配置数は、これに限られるものではない。具体的には、LEDチップ21は、第1の配列方向(X方向)に6個以上直列に配置されていても良く(M≧6)、10個以上直列に配置されていても良い(M≧10)。また、LEDチップ21は、第1の配列方向(X方向)に14個以下直列に配置されていても良く(14≧M)、12個以下直列に配置されていても良い(12≧M)。また、この列Rが、LEDチップ21の第2の配列方向(Y方向)に4列以上並列に配置されても良く(N≧4)、6列以上並列に配置されることが好ましい(N≧6)。さらに、この列Rが、LEDチップ21の第2の配列方向(Y方向)に10列以下並列に配置されても良く(10≧N)、8列以下並列に配置されることが好ましい(8≧N)。LEDチップ21が10個以上直列に配置されることにより、第1の配列方向(X方向)におけるLEDチップ21同士の間隔を短くできる。これにより、LEDシート20の照度の面内ばらつきが抑えられる。このため、培養チューブ10に照射する光のばらつきを抑制できる。また、LEDチップ21が14個以下直列に配置されることにより、消費電力を削減できる。また、LEDチップ21の列が、LEDチップ21の第2の配列方向(Y方向)に4列以上並列に配置されることにより、特定のLEDチップ21が破損した場合でも、他の列のLEDチップ21に波及しないようにできる。これにより、LEDシート20全体の照度が、極端に低下することを抑止できる。ところで、LEDシート20が直下型の場合には、LEDシート20の設置や取り外しのときに、作業者が、LEDチップ21に接触する可能性が高まる。そして、作業者が、LEDチップ21に誤って強く接触した場合、LEDチップ21が破損するおそれが高まる。このため、LEDチップ21が破損した場合の対策を行っておくことは、リスク管理の観点で重要である。さらに、LEDチップ21の列が10列以下並列に配置されることにより、消費電力を削減できる。
【0028】
LEDシート20は、複数の金属配線部22を備えている。複数の金属配線部22は、第1の配列方向(X方向)に沿って配列されている。第1の配列方向(X方向)に沿って配列された複数の金属配線部22は、それぞれLEDチップ21の各列Rに対応している。LEDチップ21は、それぞれX方向に互いに隣接する一対の金属配線部22同士を跨ぐように配置されている。また、LEDチップ21の図示しない各端子は、一対の金属配線部22にそれぞれ電気的に接続されている。複数の金属配線部22は、LEDチップ21への給電部を構成しており、複数の金属配線部22に電力が供給されることにより、当該列Rに配置されたLEDチップ21が全て点灯する。なお、複数の金属配線部22は、後述する金属配線部32の一部を構成する。
【0029】
第1の配列方向(X方向)におけるLEDチップ21同士の間隔Pxは、15mm以上であっても良く、25mm以上とすることが好ましい。また、LEDチップ21同士の間隔Pxは、100mm以下であっても良く、60mm以下とすることが好ましい。また、第2の配列方向(Y方向)におけるLEDチップ21同士の間隔Pyは、15mm以上であっても良く、25mm以上とすることが好ましい。また、LEDチップ21同士の間隔Pyは、100mm以下であっても良く、75mm以下とすることが好ましい。LEDチップ21同士の間隔を上記範囲とすることにより、LEDシート20の輝度を面内で均一にできる。このため、空間に照射する光のばらつきを抑制するとともに、LEDシート20の消費電力を抑えることができる。
【0030】
LEDシート20のうち最も厚い部分における厚みは、5mm以下とすることが好ましい。このようにLEDシート20の厚みを薄くすることにより、LEDシート20を設置する基板81(図9)同士の上下方向の間隔を狭くでき、これにより各植物の育成棚80(図9)あたりの基板81の数を増やすことができる。この結果、単位面積あたりの植物の収穫量を増やすことができる。また、植物とLEDシート20が近接しているときに、植物に照射される比較的強い光のばらつきをより抑制できる。
【0031】
LEDチップ21の配列は、平面視格子点状に限られるものではなく、図3(a)に示すように、平面視で千鳥状に配置されていても良い。また、LEDチップ21は、LEDシート20の面内で均一に配置されていなくても良い。例えば、LEDシート20の周縁部において、LEDチップ21の密度がより高められても良い。具体的には、図3(b)に示すように、LEDシート20の中央部(図3(b)の下部)において、LEDチップ21が格子点状に配置され、LEDシート20の周縁部(図3(b)の上部)において、LEDチップ21が千鳥状に配置されても良い。これにより、LEDシート20の周縁部におけるLEDシート20の輝度の低下を抑制し、LEDシート20の輝度を面内で均一にして、空間に照射する光のばらつきを抑制できる。
【0032】
LEDシート20の全体形状は、平面視長方形形状となっているが、LEDシート20のサイズや平面形状については特に限定されるものではない。LEDシート20は、サイズや形状の加工の自由度が高いため、この点に関する様々な需要に対しても柔軟に対応できる。また、LEDシート20が可撓性を有するため、フラットな形状をもつ設置面に限らず、様々な形状をもつ設置面への取付けができる。
【0033】
図2において、LEDシート20の第1の配列方向(X方向)の長さLxは、500mm以上とすることが好ましく、550mm以上とすることが更に好ましい。また、LEDシート20の第1の配列方向(X方向)の長さLxは、750mm以下とすることが好ましく、650mm以下とすることが更に好ましい。LEDシート20の第2の配列方向(Y方向)の長さLyは、300mm以上とすることが好ましく、350mm以上とすることが更に好ましい。また、LEDシート20の第2の配列方向(Y方向)の長さLyは、500mm以下とすることが好ましく、450mm以下とすることが更に好ましい。個々のLEDシート20の大きさが過度に小さ過ぎないことにより、LEDシート20からの光量を増やすことができる。また、個々のLEDシート20の大きさが過度に大き過ぎないことにより、特定のLEDチップ21が破損した場合に、他のLEDチップ21に影響が及ぶことを最低限に抑えることができる。このため、LEDシート20全体の照度が極端に低下することを防止し、かつ、照度が低下する範囲を限定できる。
【0034】
次に、制御部40について説明する。図1に示すように、制御部40は、LEDシート20に電力を供給するとともに、LEDシート20の発光等を制御するものである。この制御部40は、LEDシート20上に設けられた第1コネクタ44Aを介して、LEDシート20に対して着脱自在に接続される。すなわち、制御部40は、LEDシート20と別体に構成され、LEDシート20に対して外付けで接続される。言い換えれば、制御部40は、LEDシート20と一体化されていない。これにより、熱源となる制御部40をLEDシート20から分離することができ、制御部40からの熱によって植物の生育に影響を及ぼさないようにできる。
【0035】
また、制御部40は、電力入力部41と、AC/DCコンバーター(ドライバー)42と、PWM制御部43とを有している。このうち電力入力部41には、例えば100V乃至240Vの任意の電圧をもつ交流の電圧が供給される。AC/DCコンバーター42は、100V乃至240Vの交流電圧を定圧(例えば44V)の直流電圧に変換する。PWM制御部43は、AC/DCコンバーター42からの定電圧波形のパルス幅を任意に変化させることにより、LEDシート20のLEDチップ21の調光を行う。すなわち、PWM制御部43は、LEDシート20の調光を制御する調光制御部としての役割も果たす。PWM制御部43から出力される定電圧は、第1コネクタ44Aを介してLEDシート20に印加される。
【0036】
本実施の形態では、制御部40のPWM制御部43から、LEDシート20に直流定電圧が印加される。これにより、LEDシート20に直接整流化されたパルス電圧が印加される場合と異なり、LEDチップ21の調光を行うことが可能となる。すなわち、PWM制御部43は、AC/DCコンバーター42からの直流電圧のデューティー比を適宜変化させることにより、LEDチップ21の照度を任意に制御できる。例えば、図4(a)に示すように、PWM制御部43は、AC/DCコンバーター42からの定電圧のデューティー比を100%(実線)から50%(点線)に抑えることにより、LEDチップ21の照度を低下させることができる。
【0037】
このようにLEDチップ21の照度を調節する場合、例えば、植物の生育ステージ応じてLEDシート20の照度を調節しても良い。これにより、植物の生育の度合いを調整できる。例えば、植物の葉のサイズが小さい生育初期には、LEDシート20の照度を低くし、植物の葉のサイズが大きい生育後期には、LEDシート20の照度を高くしても良い。あるいは、植物の背丈の低い生育初期には、植物とLEDチップ21との距離が離れているため、LEDシート20の照度を高くしても良い。また、植物の背丈の大きい生育後期には、植物とLEDチップ21との距離が近づくため、LEDシート20の照度を低くしても良い。LEDシート20の照度調整の他の例としては、高い照度が必要な種類の植物のときは照度を高くし、低い照度でも育成できる種類の植物のときは照度を低くても良い。また、出荷の時期を早めたいときは照度を高くし、出荷の時期を遅らせたいときは照度を低くしても良い。
【0038】
また、PWM制御部43からLEDシート20に直流定電圧が印加されることにより、LEDシート20からの光の単位時間あたりの積算光量を増加できる。すなわち、例えば、LEDシート20に直流定電圧が印加された場合における積算光量(図4(a)の網掛け部分の面積)を、比較例としてパルスで電圧が印加される場合における積算光量(図4(b)の網掛け部分の面積)よりも大きくできる。これにより、LEDシート20からの光の発光効率を高め、藻類の育成効率を向上できる。
【0039】
再度図1を参照すると、LEDシート20には、レギュレータ45が設けられている。この場合、レギュレータ45は、LEDチップ21の各列に対応してそれぞれ設けられており、具体的には、10列のLEDチップ21の列に対応して10個のレギュレータ45が設けられている。このレギュレータ45は、各列の複数のLEDチップ21に流れる電流を一定に保持する役割を果たす。これにより、1つのLEDチップ21が破損した場合でも、他の列のLEDチップ21に過大な電流が流れることを抑え、他の列のLEDチップ21が破損しないようにできる。この結果、LEDシート20全体の照度が極端に低下することを防止でき、空間に照射する光のばらつきを抑制できる。
【0040】
さらに、LEDシート20には、第1コネクタ44Aから分岐して電力供給ライン46が設けられている。また、LEDシート20上には、第2コネクタ44Bが設けられている。電力供給ライン46は、当該LEDシート20のLEDチップ21には電気的に接続されることなく、LEDシート20と同一の構成をもつ他のLEDシート200の配線に対して電気的に接続される。すなわち、電力供給ライン46は、第2コネクタ44B及び他のLEDシート200上に設けられた他の第1コネクタ44Aを介して、LEDシート200の配線に着脱自在に接続される。電力供給ライン46からの電流は、第2コネクタ44B及び他の第1コネクタ44Aを介して、他のLEDシート200に供給される。これにより、2つのLEDシート20、200を連結し、これら2つのLEDシート20、200を1つの制御部40によって同時に制御できる。1つの制御部40によって複数のLEDシート20、200を同時に制御できることによって、制御部40の数を減らすことができる。このため、制御部40からの熱による植物の育成のばらつきが発生しにくくなり、収量の低下を抑制できる。
【0041】
(LEDシートの各部材)
次に、LEDシート20を構成する各部材について説明する。図5に示すように、LEDシート20は、フレキシブル配線基板30と、フレキシブル配線基板30上に配置された複数のLEDチップ21とを備えている。このうちフレキシブル配線基板30は、可撓性を有する基板フィルム31と、基板フィルム31上に形成された金属配線部32とを有している。金属配線部32は、接着剤層33を介して基板フィルム31に積層されている。
【0042】
各LEDチップ21は、金属配線部32に導通可能な態様で実装されている。このLEDシート20においては、LEDチップ21がフレキシブル配線基板30に実装されていることにより、複数のLEDチップ21を、所望の高い密度で配置することが可能である。
【0043】
金属配線部32上には、光反射性絶縁保護膜34が形成されている。この光反射性絶縁保護膜34は、LEDシート20のうち、LEDチップ21、レギュレータ45、第1コネクタ44A又は第2コネクタ44Bが設けられている領域には形成されていない。また、光反射性絶縁保護膜34は、LEDチップ21、レギュレータ45、第1コネクタ44A又は第2コネクタ44Bが設けられている領域の周辺領域には形成されていない。光反射性絶縁保護膜34は、LEDシート20の耐マイグレーション特性の向上に寄与する絶縁機能と、LEDシート20により作られる光環境の向上に寄与する光反射機能とを兼ね備える層である。この層は、白色顔料を含む絶縁性の樹脂組成物により形成される。
【0044】
また、光反射性絶縁保護膜34及びLEDチップ21を覆うように、透明保護膜35が形成されている。透明保護膜35は、主としてLEDシート20の防水性を確保するために、その最表面(最も発光面20a側に位置する面)に形成される樹脂性の膜である。
【0045】
さらに、金属配線部32上には、ハンダ部36が設けられている。各LEDチップ21は、それぞれハンダ部36を介して、金属配線部32に電気的に接続されている。
【0046】
(基板フィルム)
本実施の形態では、基板フィルム31は、可撓性を有している。基板フィルム31は、可撓性を有する樹脂フィルムを用いることができる。なお、本明細書中、「可撓性を有する」とは、「折り曲げた際の曲率半径が、少なくとも1m以下、好ましくは50cm、より好ましくは30cm、更に好ましくは10cm、特に好ましくは5cmであること」をいう。
【0047】
基板フィルム31の材料としては、耐熱性及び絶縁性が高い熱可塑性樹脂が用いられても良い。このような樹脂として、耐熱性と加熱時の寸法安定性、機械的強度、及び耐久性に優れるポリイミド樹脂(PI)や、ポリエチレンナフタレート(PEN)を用いることができる。中でも、アニール処理等の耐熱性向上処理を施すことによって耐熱性と寸法安定性を向上させたポリエチレンナフタレート(PEN)が、好ましく用いられる。また、難燃性の無機フィラー等を添加することによって難燃性を向上させたポリエチレンテレフタレート(PET)が用いられても良い。
【0048】
基板フィルム31の厚さは、特に限定されない。基板フィルム31の厚さは、放熱経路としてボトルネックにならないこと、耐熱性及び絶縁性を有すること、及び、製造コストのバランスとの観点から、概ね10μm以上とすることが好ましく、50μm以上であることが更に好ましい。また、基板フィルム31の厚さは、500μm以下とすることが好ましく、250μm以下であることが更に好ましい。また、ロール・トゥ・ロール方式による製造を行う場合の生産性を良好に維持する観点からも、基板フィルム31の厚さは、上記厚さ範囲内であることが好ましい。
【0049】
(接着剤層)
接着剤層33を形成する接着剤は、公知の樹脂系接着剤が適宜用いられても良い。それらの樹脂接着剤のうち、ウレタン系、ポリカーボネート系、シリコーン系、エステル系又はエポキシ系の接着剤等が特に好ましく用いられ得る。
【0050】
(金属配線部)
金属配線部32は、基板フィルム31の表面(発光面20a側の面)に金属箔等の導電性基材によって形成される配線パターンである。この金属配線部32は、基板フィルム31の表面へ接着剤層33を介してドライラミネート法によって形成されることが好ましい。金属配線部32は、上述した複数の金属配線部22を含む。複数の金属配線部22は、第1の金属配線部22Aと、第1の金属配線部22Aから離間して配置された第2の金属配線部22Bとを含む。第1の金属配線部22A及び第2の金属配線部22Bには、LEDチップ21が搭載され、LEDチップ21は、第1の金属配線部22A及び第2の金属配線部22Bに電気的に接続されている。第1の金属配線部22A及び第2の金属配線部22Bに供給される電力によりLEDチップ21が点灯するようになっている。
【0051】
金属配線部32は、放熱性と電気伝導性を高い水準で両立させるものであることが好ましく、例えば銅箔を用いることができる。この場合、LEDチップ21からの放熱性が安定し、電気抵抗の増加を防げるので、LEDチップ21間の発光バラツキが小さくなって安定した発光が可能となる。また、LEDチップ21の寿命も延長される。更に、熱による基板フィルム31等の周辺部材の劣化も防止できるので、LEDシート20の製品寿命も延長できる。金属配線部32を形成する金属の例としては、上記の銅の他、アルミニウム、金、銀等の金属を挙げることができる。
【0052】
金属配線部32の厚さは、フレキシブル配線基板30に要求される耐電流の大きさ等に応じて適宜設定すれば良い。但し、リフロー方式等によるハンダ加工処理時の基板フィルム31の熱収縮による反りを抑制するためには、金属配線部32の厚さが10μm以上であることが好ましい。一方、金属配線部32の厚さは、50μm以下であることが好ましく、これにより、フレキシブル配線基板30の十分な可撓性を維持することができ、重量増大によるハンドリング性の低下等も抑止できる。
【0053】
上述したように、金属配線部32上には、光反射性絶縁保護膜34が形成されている。この場合、図6(a)-(b)に示すように、金属配線部32の一部は、光反射性絶縁保護膜34に覆われていなくても良い。そして、金属配線部32が光反射性絶縁保護膜34から露出している部分に、ハンダ部36が形成されていても良い。ここで、図6(a)は、金属配線部32にLEDチップ21が実装された状態のLEDシート20を示す平面図であり、図6(b)は、金属配線部32にLEDチップ21が実装されていない状態のLEDシート20を示す平面図である。図6(a)-(b)においては、図面を明瞭にするために、透明保護膜35の図示を省略している。なお、絶縁性及び耐水性を担保するためには、金属配線部32が光反射性絶縁保護膜34から露出している部分の面積は、可能な限り小さくなっていることが好ましい。
【0054】
(ハンダ部)
ハンダ部36は、金属配線部32とLEDチップ21との接合を行うものである。このハンダによる接合は、リフロー方式、あるいは、レーザー方式の2方式のいずれかによることができる。
【0055】
図6(a)-(b)に示すように、ハンダ部36は、発光面20a側から見た場合に(平面視で)、LEDチップ21よりも外側へ突出する突出部38(図6(a)の網掛け部)を含んでいても良い。これにより、LEDチップ21を金属配線部32に実装した後に、ハンダ部36の状態を目視にて確認できる。図示された例においては、平面視において、1つのLEDチップ21からは、2つの突出部38が突出している。これらの突出部38は、アノード及びカソードに対応するように設けられていても良い。
【0056】
平面視で、突出部38の面積は、0.031mm以上であっても良く、0.037mm以上であることが好ましく。また、突出部38の面積は、0.48mm以下であっても良く、0.39mm以下であることが好ましい。突出部38の面積が0.031mm以上であることにより、ハンダ部36の状態を目視にてより容易に確認できる。また、突出部38の面積が0.48mm以下であることにより、ハンダ部36と光反射性絶縁保護膜34との間の距離を短くできる。このため、金属配線部32が光反射性絶縁保護膜34から露出している部分の面積を小さくできる。この結果、絶縁性及び耐水性を効果的に担保できる。
【0057】
このようなハンダ部36と、光反射性絶縁保護膜34との間には、隙間が形成されている。ハンダ部36と光反射性絶縁保護膜34との間に隙間が形成されていることにより、光反射性絶縁保護膜34が、ハンダに含まれるフラックスに起因して変性してしまうことを抑制できる。ハンダ部36のうち、光反射性絶縁保護膜34に最も近接する部分は、突出部38であっても良い。この場合、突出部38と光反射性絶縁保護膜34との間の距離Dは、0.05mm以上であっても良く、0.09mm以上であることが好ましい。また、突出部38と光反射性絶縁保護膜34との間の距離Dは、0.21mm以下であっても良く、0.17mm以下であることが好ましい。また、ハンダ部36と光反射性絶縁保護膜34との間に隙間が形成されていることにより、図5に示すように、ハンダ部36と光反射性絶縁保護膜34との間に透明保護膜35が介在している。このため、作業者がLEDチップ21に接触した場合であっても、透明保護膜35がLEDチップ21に対して加えられる力を吸収することができ、LEDチップ21がLEDシート20から剥がれ落ちてしまうことを効果的に抑制することができる。
【0058】
(LEDチップ)
LEDチップ21は、P型半導体とN型半導体が接合されたPN接合部での発光を利用した発光素子である。LEDチップ21としては、P型電極及びN型電極をそれぞれ素子の上面及び下面に設けた構造であっても良く、素子の片面にP型電極及びN型電極の双方が設けられた構造であっても良い。
【0059】
また、LEDチップ21としては、発光効率が高いものを選択することが好ましい。具体的には、LEDチップ21として、150lm/W以上の発光効率を有しているものを用いることが好ましく、180lm/W以上の発光効率を有しているものを用いることが更に好ましい。LEDチップ21の発光効率を150lm/W以上に高めることにより、LEDチップ21の実装数(密度)を下げ、LEDチップ21からのジュール熱による発熱を少なくすることができ、LEDチップ21からの熱による基板フィルム31等の周辺部材の劣化を防止できる。
【0060】
LEDシート20は、上述の通り、高い放熱性を発揮できる金属配線部32に、LEDチップ21を直接実装するものである。これにより、LEDチップ21を高密度で配置した場合においても、LEDチップ21の点灯時に発生する過剰な熱を、金属配線部32を通して速やかに拡散できる。このため、基板フィルム31を介してLEDシート20の外部へ十分放熱することができ、LEDチップ21からの熱による基板フィルム31等の周辺部材の劣化を防止できる。
【0061】
(光反射性絶縁保護膜)
図5に示すように、光反射性絶縁保護膜34は、LEDチップ21が設けられている領域及びその周辺領域を除く領域に形成される層である。この光反射性絶縁保護膜34は、十分な絶縁性を有することにより、フレキシブル配線基板30の耐マイグレーション特性を向上させる所謂レジスト層であり、かつLEDシート20により作られる光環境の発光輝度の向上に寄与する光反射性を備えた光反射層である。なお、光反射性絶縁保護膜34の一部が、LEDチップ21が設けられている領域に形成されていても良い。
【0062】
光反射性絶縁保護膜34のガラス転移温度は、70℃以下であっても良い。光反射性絶縁保護膜34のガラス転移温度が高くなるほど、光反射性絶縁保護膜34が固くなる傾向がある。この結果、可撓性を有するLEDシート20を折り曲げた際に、光反射性絶縁保護膜34が内部応力に耐え切れず、光反射性絶縁保護膜34にクラックが発生し得る。そこで、光反射性絶縁保護膜34のガラス転移温度を70℃以下にすることで、光反射性絶縁保護膜34を柔らかくすることができ、光反射性絶縁保護膜34にクラックが発生することを抑制できる。
【0063】
ここで、光反射性絶縁保護膜34がハンダに接触した場合、ハンダに含まれるフラックスにより、金属配線部32に対する光反射性絶縁保護膜34の密着性が低下する可能性がある。このように、金属配線部32に対する光反射性絶縁保護膜34の密着性が低下した場合、光反射性絶縁保護膜34が金属配線部32から浮き上がってしまうおそれがある。とりわけ、光反射性絶縁保護膜34の膨張率が高い場合、光反射性絶縁保護膜34が金属配線部32から浮き上がってしまう可能性が高くなる。そして、光反射性絶縁保護膜34が金属配線部32から浮き上がってしまった場合、透明保護膜35が光反射性絶縁保護膜34と金属配線部32との間に入り込むことに起因して、透明保護膜35にシワが発生する場合がある。ここで、光反射性絶縁保護膜34の膨張率は、下記の式によって算出される。
【0064】
【数2】
(ただし、Tgはガラス転移温度(℃)、α1はTg以下における線膨張率(1/℃)、α2は、Tg以上における線膨張率(1/℃)を表す。)
なお、本明細書中、「光反射性絶縁保護膜の膨張率」とは、LEDチップ21の第1の配列方向(X方向)又はLEDチップ21の第2の配列方向(Y方向)における、光反射性絶縁保護膜34の長さの変化率をいう。すなわち、「光反射性絶縁保護膜の膨張率が3.0%」とは、光反射性絶縁保護膜34を25℃から240℃に加熱した場合に、例えば、第1の配列方向(X方向)において、光反射性絶縁保護膜34の長さが3.0%長くなることをいう。
【0065】
本実施の形態では、光反射性絶縁保護膜34を25℃から240℃に加熱した場合に、光反射性絶縁保護膜34の膨張率は、5.2%以下であっても良い。上述したように、光反射性絶縁保護膜34の膨張率が高い場合、光反射性絶縁保護膜34が金属配線部32から浮き上がってしまう可能性が高くなる。これに対して、光反射性絶縁保護膜34の膨張率が5.2%以下であることにより、熱よる光反射性絶縁保護膜34の変位を抑えることができる。このため、光反射性絶縁保護膜34が金属配線部32から浮き上がってしまうことを抑制でき、透明保護膜35にシワが発生することを抑制できる。また、上述した膨張率が5.2%以下であることにより、フラックスにより変性した光反射性絶縁保護膜34が熱により膨張することを抑制できる。
【0066】
また、光反射性絶縁保護膜34を25℃から240℃に加熱した場合に、光反射性絶縁保護膜34の膨張率は、3.0%よりも大きくても良い。ここで、LEDチップ21は、リフロー方式等によるハンダ加工処理により、金属配線部32に実装される。このとき、ハンダ加工処理時の熱によって、光反射性絶縁保護膜34は、約240℃まで加熱される。このため、LEDチップ21を金属配線部32に実装する際に、光反射性絶縁保護膜34が熱膨張する。これに対して、光反射性絶縁保護膜34を25℃から240℃に加熱した場合に、光反射性絶縁保護膜34の膨張率が3.0%よりも大きい場合、光反射性絶縁保護膜34の流動性を高くでき、光反射性絶縁保護膜34を形成する工程の歩留まりを向上できる。
【0067】
なお、シワ対策のために、膨張率が低い光反射性絶縁保護膜34を選定すると、光反射性絶縁保護膜34のガラス転移温度が高くなる。このため、光反射性絶縁保護膜34にクラックが発生し得る。このように、光反射性絶縁保護膜34にクラックが発生する現象と、透明保護膜35にシワが発生する現象とは、相反する現象である。この課題を解決するためには、ガラス転移温度が低い光反射性絶縁保護膜34を使用しつつ、光反射性絶縁保護膜34の変性を防ぐことが肝要である。このためには、ハンダ部36が、ハンダ部36の実装状態を目視にて確認するための突出部38を含んでいる場合であっても、上述したように、ハンダ部36(後述するハンダ36a)と、光反射性絶縁保護膜34との間に、隙間を設けることが肝要である。
【0068】
光反射性絶縁保護膜34は、白色顔料を含有する樹脂組成物を含んでいても良い。例えば、光反射性絶縁保護膜34は、ウレタン系樹脂等をベース樹脂とし、酸化チタン等の無機フィラーからなる白色顔料を更に含有する各種の樹脂組成物により形成できる。光反射性絶縁保護膜34を形成するために用いる樹脂組成物のベース樹脂としては、ウレタン系樹脂の他、アクリル系ポリウレタン樹脂、ポリエステル系樹脂、フェノール系樹脂等を適宜用いることができる。光反射性絶縁保護膜34を形成する樹脂組成物のベース樹脂としては、透明保護膜35を形成する樹脂組成物と同一又は同系の樹脂をベース樹脂とすることがより好ましい。透明保護膜35については、後述するように、アクリル系ポリウレタン樹脂を主たる材料樹脂として用いることが好ましい。これより、透明保護膜35を形成する樹脂組成物のベース樹脂がアクリル系ポリウレタン樹脂である場合には、光反射性絶縁保護膜34を形成するための樹脂組成物のベース樹脂はウレタン系樹脂又はアクリル系ポリウレタン樹脂とすることがより好ましい。
【0069】
光反射性絶縁保護膜34を形成する樹脂組成物に白色顔料として含有させる無機フィラーとしては、酸化チタンの他、アルミナ、硫酸バリウム、マグネシア、チッ化アルミニウム、チッ化ホウ素、チタン酸バリウム、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、シリカ、マイカ粉、粉末ガラス、粉末ニッケル及び粉末アルミニウムから選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
【0070】
光反射性絶縁保護膜34の厚さは、5μm以上であって、より好ましくは、7μm以上である。また、光反射性絶縁保護膜34の厚さは、50μm以下であって、より好ましくは、20μm以下である。光反射性絶縁保護膜34の厚さが5μm以上であることにより、特に金属配線部32のエッジ部分において、光反射性絶縁保護膜34が薄くなることを抑制できる。このため、金属配線部32が露出することを抑制できる。また、光反射性絶縁保護膜34の厚さが50μm以下であることにより、搬送等の際にフレキシブル配線基板30が湾曲した場合であっても、光反射性絶縁保護膜34が、例えば金属配線部32から剥がれることを抑制できる。
【0071】
また、光反射性絶縁保護膜34は、波長400nm以上780nm以下における光線反射率が、いずれも65%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることが更に好ましい。LEDシート20は、例えば、酸化チタンを、ウレタン系又はアクリル系ポリウレタンのベース樹脂100質量部に対して20質量部以上含有させることで、光反射性絶縁保護膜34の厚さを8μmとする場合における同層の上記光線反射率を75%以上とすることが可能である。
【0072】
(透明保護膜)
透明保護膜35は、LEDチップ21を覆うように、LEDシート20の最表面に形成されている。透明保護膜35は、防水性と透明性とを有する。透明保護膜35の防水性により、LEDシート20内部への水の侵入を防ぐことができる。LEDチップ21として、例えば150lm/W以上の発光効率を有するような、発光効率が高いものを選択した場合、LEDシート20において、特定のLEDチップ21が破損した場合の影響が大きくなる。そのためLEDチップ21が可能な限り破損しにくいようにすることは、リスク管理の観点で重要である。
【0073】
透明保護膜35は、アクリル系ポリウレタン樹脂等をベース樹脂とする各種の樹脂組成物により形成できる。透明保護膜35を形成するために用いる樹脂組成物のベース樹脂としては、アクリル系ポリウレタン樹脂の他、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フェノール系樹等を適宜用いることができる。透明保護膜35を形成する樹脂組成物のベース樹脂としては、光反射性絶縁保護膜34を形成する樹脂組成物と同一又は同系の樹脂をベース樹脂とすることがより好ましい。好ましい具体的な組合せとして、光反射性絶縁保護膜34を形成する樹脂組成物のベース樹脂をウレタン系樹脂とし、透明保護膜35を形成する同樹脂をアクリル系ポリウレタン樹脂とする組合せを挙げることができる。
【0074】
透明保護膜35の厚さは、10μm以上であり、好ましくは15μm以上であり、より好ましくは20μm以上である。また、透明保護膜35の厚さは、40μm以下であり、好ましくは30μm以下であり、より好ましくは25μm以下である。透明保護膜35の厚さを上記範囲とすることにより、LEDシート20の良好な可撓性や薄さ、軽量性、及び非常時に求められる良好な光学特性を維持できる。また、LEDシート20に対して非常時に求められる十分な防水性をもたらすことができる。
【0075】
透明保護膜35によるLEDシート20の耐水性としては、LEDシート20に対して水を散布した際に、LEDチップ21の劣化を抑制することが可能となる程度であれば特に限定されない。このような耐水性としては、IEC(国際電気標準会議)によって定められている防水・防塵の保護規格でIPX4以上を示すことが好ましい。IPX4以上の防水性は、あらゆる方向からの水の飛沫によってLEDチップ21に対して有害な影響が及ぼされない程度である。具体的には、LEDシート20の法線方向に対して±180°の全範囲に5分間、10L/分の水量で散水ノズルから散水した際、LEDチップ21に対して有害な影響が及ぼされない程度とされる。
【0076】
(LEDシートの製造方法)
次に、本実施の形態によるLEDシート20の製造方法について、図7(a)-(i)を参照して説明する。
【0077】
まず、基板フィルム31を準備する(図7(a))。次に、基板フィルム31の表面に、金属配線部32の材料となる銅箔等の金属箔32Aを積層する(図7(b))。金属箔32Aは、金属箔32Aを例えばウレタン系接着剤等の接着剤層33によって、基板フィルム31の表面に接着される。あるいは、金属箔32Aは、基板フィルム31の表面に電解メッキ方法や気相製膜法(スパッタリング、イオンプレーティング、電子ビーム蒸着、真空蒸着、化学蒸着等)により、直接形成しても良い。もしくは、金属箔32Aに基板フィルム31を直接溶着して形成しても良い。
【0078】
次に、金属箔32Aの表面に、金属配線部32に要求される形状にパターニングされたエッチングマスク37を形成する(図7(c))。このエッチングマスク37は、金属配線部32となる金属箔32Aの配線パターンに対応する部分がエッチング液によって腐食しないように設けられる。エッチングマスク37を形成する方法は特に限定されず、例えば、フォトレジスト又はドライフィルムを、フォトマスクを通して感光させた後に現像することによって形成しても良く、インクジェットプリンター等の印刷技術により金属箔32Aの表面にエッチングマスクを形成しても良い。
【0079】
次に、エッチングマスク37に覆われていない箇所に位置する金属箔32Aを浸漬液により除去する(図7(d))。これにより、金属箔32Aのうち、金属配線部32となる箇所以外の部分が除去される。
【0080】
その後、アルカリ性の剥離液を使用して、エッチングマスク37を除去する。これにより、エッチングマスク37が金属配線部32の表面から除去される(図7(e))。
【0081】
続いて、金属配線部32上に光反射性絶縁保護膜34を積層形成する(図7(f))。光反射性絶縁保護膜34の形成は、光反射性絶縁保護膜34を構成する材料樹脂組成物を均一に塗工できる塗工手段であれば特に限定されず、例えば、スクリーン印刷、オフセット印刷、ディップコータ、刷毛塗り等の方法を使用できる。又は、光感光性を有する絶縁保護膜材料を全面に塗工し、必要な箇所のみフォトマスクを通して感光させた後に現像することによって光反射性絶縁保護膜34を形成しても良い。
【0082】
次に、金属配線部32上にLEDチップ21、レギュレータ45及びコネクタ44A、44Bを実装する(図7(g)-(h))。なお、図7(g)-(h)及び後述する図7(i)においては、図面を明瞭にするために、レギュレータ45等の図示を省略している。この場合、LEDチップ21は、金属配線部32にハンダ部36を介するハンダ加工によって接合される。この際、まず、ハンダ36aを金属配線部32上に積層する(図7(g))。次に、ハンダ36a上にLEDチップ21を載置する(図7(h))。次いで、図示しないリフロー炉でハンダ36aを加熱することにより、金属配線部32上にハンダ部36を介してLEDチップ21が実装される。なお、このハンダ加工による接合は、レーザー方式又は導電性樹脂による接合により行われても良い。
【0083】
次いで、光反射性絶縁保護膜34、LEDチップ21、レギュレータ45及びコネクタ44A、44Bを覆うように透明保護膜35を形成する(図7(i))。この透明保護膜35は、透明樹脂組成物をスプレー処理により吹付けて形成する方法(以下、「スプレーコート法」という)、又はカーテンコート法により形成する方法により行うことが好ましい。スプレーコート法による透明保護膜35の形成は、例えば、アクリル系ポリウレタン樹脂を含むスプレーコート処理用の塗工液を、スプレー塗装機によってフレキシブル配線基板30上の所望の領域に噴霧して塗工膜を形成することにより行うことができる。カーテンコート法による透明保護膜35の形成は、例えば、アクリル系ポリウレタン樹脂を含むカーテンコート処理用の塗工液を、カーテン塗装機によってフレキシブル配線基板30上の所望の領域に滴下して塗工膜を形成することにより行うことができる。
【0084】
なお、本実施の形態によるLEDシート20は、上述した方法に限らず、従来公知のLEDチップ用のフレキシブル配線基板や、これにLEDチップを実装してなる各種のLEDシートを製造する公知の方法により製造することもできる。
【0085】
(植物育成工場及び植物の育成棚)
図8は、本実施の形態によるLEDシート20を用いた植物育成工場90の構成を模式的に示す図である。植物育成工場90は、建物91と、建物91の内部に配置された複数の植物の育成棚80とを備えている。
【0086】
図9に示すように、植物の育成棚80は、複数(4本)の支柱82と、支柱82に沿ってそれぞれ上下方向に間隔を空けて配置された複数の基板81とを有している。最上段の基板81を除く各基板81の上面には、植物PLを栽培するための培地領域が設けられている。最下段の基板81を除く各基板81の下面は、当該基板81の下方に位置する基板81に対して天井面を構成している。最下段の基板81を除く各基板81の下面側には、LEDシート20が取り付けられており、LEDシート20は、並列に配置されている。この場合、制御部40はLEDシート20から十分に離れた場所に配置される。このため、制御部40に近い位置にある植物PLと遠い位置にある植物PLとで、制御部40からの熱によって生育にばらつきが生じるおそれが少ない。また、基板81と、基板81に取り付けられたLEDシート20とにより、植物の育成棚用の棚板83が構成される。本実施の形態において、このような植物の育成棚用の棚板83(図9)、植物の育成棚80(図9)、及び植物の育成棚80を備えた植物育成工場90(図8)も提供する。
【0087】
本実施の形態によるLEDシート20が可撓性と軽量性を有することにより、各基板81の下面へのLEDシート20の取付けは、従来の直管型の照明装置等による取付けよりも容易に行うことができる。また、LEDシート20が可撓性を有することにより、LEDシート20を、様々なサイズや形状からなる天井面へ取り付けることができる。この結果、本実施の形態によるLEDシート20は、様々な植物の育成棚80や植物育成工場90へ適用することができる。
【0088】
また、LEDシート20は、従来の直管型の照明装置と比較して薄型化されている。これにより、上下方向の基板81の間隔を狭めることができ、各植物の育成棚80に含まれる基板81の数を増やすことができる。この結果、単位面積あたりの植物PLの収穫量を増加することができる。
【0089】
なお、図10(a)-(b)に示すように、LEDシート20は、基板81の下面側だけでなく、基板81の側面側にも配置しても良い。この側面側のLEDシート20は、上方に位置する基板81から、当該基板81の下方に位置する基板81に向けて垂下されている。この場合、図10(a)に示すように、LEDシート20は、下方に位置する基板81まで達していても良い。あるいは、図10(b)に示すように、LEDシート20は、下方に位置する基板81まで達することなく、上下の基板81間に位置する空間の上部側のみを覆うようにしても良い。このように、LEDシート20を、基板81の側面側にもさらに配置することにより、照度が弱くなりやすい基板81の周縁における光量を補い、LEDシート20の輝度を面内で均一にすることができる。この結果、植物の成長を面内で均一にすることができ、育成する植物の収量の向上を図ることができる。
【0090】
このように本実施の形態によれば、LEDシート20が、可撓性を有する基板フィルム31と、基板フィルム31の表面に形成された金属配線部32と、ハンダ部36を介して金属配線部32に実装されたLEDチップ21と、金属配線部32を覆うように配置された光反射性絶縁保護膜34とを備えている。また、光反射性絶縁保護膜34のガラス転移温度が、70℃以下である。このように、光反射性絶縁保護膜34のガラス転移温度が70℃以下であることにより、光反射性絶縁保護膜34を柔らかくすることができ、光反射性絶縁保護膜34にクラックが発生することを抑制できる。さらに、光反射性絶縁保護膜34を25℃から240℃に加熱した場合に、光反射性絶縁保護膜34の膨張率が、3.0%よりも大きい。これにより、光反射性絶縁保護膜34の流動性を高くでき、光反射性絶縁保護膜34を形成する工程の歩留まりを向上できる。
【0091】
また、本実施の形態によれば、LEDシート20が可撓性の基板フィルム31を備えるシート状のLED照明装置であることにより、LEDシート20の軽量化を図ることができる。また、本実施の形態によるLEDシート20は、複数のLEDが配列された直管型のLEDバーライトに比べて全体の厚みを薄くできる。このため、LEDシート20が嵩張ることを抑制できる。これにより、LEDシート20の設置スペースを低減できる。さらに、LEDシート20が可撓性の基板フィルム31を有するシート状のLED照明装置であるため、様々な形状の基板81にLEDシート20を容易に取り付けることができる。
【0092】
さらに、本実施の形態によれば、ハンダ部36が、平面視でLEDチップ21よりも外側へ突出する突出部38を含んでいる。これにより、LEDチップ21を金属配線部32に実装した後に、ハンダ部36の状態を目視にて確認できる。
【0093】
[実施例]
次に、本実施の形態における具体的実施例について説明する。
【0094】
(実施例1)
図5に示すLEDシート20を作製した。このとき、光反射性絶縁保護膜34の材料として、白色顔料を含有するソルダーレジスト(太陽インキ製造株式会社製、HDE-020(商品名)(以下、単に樹脂材料と記す))を使用した。この樹脂材料は、ガラス転移温度が66℃、α1が61×10-6/℃、α2が159×10-6/℃であった。すなわち、光反射性絶縁保護膜34として、25℃から240℃に加熱した場合に、膨張率が3.02%である樹脂材料を使用した。そして、室温が25℃の環境化において、金属配線部32上にハンダ部36を介してLEDチップ21を実装した。
【0095】
次に、視認性評価試験を行った。視認性評価試験では、光反射性絶縁保護膜34にクラックが発生しているか否かについて確認した。また、視認性評価試験では、金属配線部32に対する光反射性絶縁保護膜34の密着性を確認した。具体的には、光反射性絶縁保護膜34が、金属配線部32から浮き上がっているか否かについて確認した。
【0096】
(実施例2)
樹脂材料のガラス転移温度が52.3℃、α1が63×10-6/℃、α2が266×10-6/℃であったこと、以外は、実施例1と同様にして、視認性評価試験を行った。すなわち、光反射性絶縁保護膜34として、25℃から240℃に加熱した場合に、膨張率が5.16%である樹脂材料を使用したこと、以外は、実施例1と同様にして、視認性評価試験を行った。
【0097】
(比較例1)
樹脂材料のガラス転移温度が87.4℃、α1が57×10-6/℃、α2が153×10-6/℃であったこと、以外は、実施例1と同様にして、視認性評価試験を行った。すなわち、光反射性絶縁保護膜として、25℃から240℃に加熱した場合に、膨張率が2.69%である樹脂材料を使用したこと、以外は、実施例1と同様にして、視認性評価試験を行った。
【0098】
(比較例2)
樹脂材料のガラス転移温度が106.1℃、α1が66×10-6/℃、α2が184×10-6/℃であったこと、以外は、実施例1と同様にして、視認性評価試験を行った。すなわち、光反射性絶縁保護膜として、25℃から240℃に加熱した場合に、膨張率が3.00%である樹脂材料を使用したこと、以外は、実施例1と同様にして、視認性評価試験を行った。
【0099】
以上の結果を表1及び表2に示す。表2の「クラック」の欄において、「A(excellent)」は、光反射性絶縁保護膜にクラックが発生していなかったことを意味する。表2の「クラック」の欄において、「B(poor)」は、光反射性絶縁保護膜にクラックが発生していたことを意味する。また、表2の「浮き上がり」の欄において、「A(excellent)」は、光反射性絶縁保護膜が、金属配線部から浮き上がっていなかったことを意味する。表2の「浮き上がり」の欄において、「B(poor)」は、光反射性絶縁保護膜が、金属配線部から浮き上がっていたことを意味する。
【0100】
【表1】
【0101】
【表2】
【0102】
この結果、表2に示すように、比較例1及び比較例2によるLEDシートでは、光反射性絶縁保護膜にクラックが発生していた。これに対して、実施例1及び実施例2によるLEDシート20では、光反射性絶縁保護膜34にクラックが発生していなかった。このため、本実施の形態によるLEDシート20では、光反射性絶縁保護膜34にクラックが発生することを抑制できることがわかった。
【0103】
上記実施の形態及び変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記実施の形態及び変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。
【符号の説明】
【0104】
20 LEDシート
21 LEDチップ
31 基板フィルム
32 金属配線部
34 光反射性絶縁保護膜
36 ハンダ部
38 突出部
80 育成棚
81 基板
83 棚板
90 植物育成工場
91 建物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10