(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168272
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】台車
(51)【国際特許分類】
B62B 3/16 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
B62B3/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084801
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000010054
【氏名又は名称】岐阜プラスチック工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河合 陽
(72)【発明者】
【氏名】柴垣 和浩
【テーマコード(参考)】
3D050
【Fターム(参考)】
3D050AA01
3D050BB02
3D050CC01
3D050DD03
3D050EE08
3D050EE15
3D050GG01
(57)【要約】
【課題】台車が段積みされた状態で、車輪部の移動を規制することができて、上に積まれた台車の横ずれを抑えることができる台車を提供する。
【解決手段】台車1は、台部2と、キャスター部3と、を備える。台部2は、凹部54と、突出部55と、を有する。凹部54は、底面542と、底面542の外周縁から台部2の載置面510に向けて上方に延びる第1支持面541と、を有する。突出部55は、底面542の内周縁と接する外周縁から中央部の上端部に向けて斜め上方に延びる第2支持面551を有する。キャスター部3の車輪部31が弾性変形しないとき、車輪部31は第1支持面541と第2支持面551に接触しても底面542に接触し得ず、車輪部31が弾性変形すると、車輪部31は第1支持面541と第2支持面551と底面542とに接触し得る寸法関係で構成されている。車輪部31の硬度が50度以上99度以下である。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積載物を載置するための台部と、
前記台部の下面に取り付けられるキャスター部と、を備えた台車において、
前記台部は、
前記台部の上方の載置面から凹み、前記キャスター部の車輪部を収納する凹部と、
前記凹部の中央部から上方に突出し、前記凹部に収納された前記車輪部の移動を規制する突出部と、を有し、
前記凹部は、
底面と、
前記底面の外周縁から前記載置面まで斜め上方に延びる、平面視円環状をした第1支持面と、有し、
前記突出部は、
前記底面の内周縁と接する外周縁から平面視中央部の上端部に向けて斜め上方に延びる第2支持面を有し、
平面視において前記車輪部の中心部を通って前記車輪部の長手方向に延びる直線上に前記突出部が位置する状態において、
前記車輪部が弾性変形しないとき、前記車輪部は前記第1支持面と前記第2支持面に接触しても前記底面に接触し得ず、
前記車輪部が弾性変形すると、前記車輪部は前記第1支持面と前記第2支持面と前記底面とに接触し得る寸法関係で構成されており、
前記車輪部をJIS K6253-3準拠のタイプAデュロメータ又はJIS K6301準拠のスプリング式硬さ試験機A形により測定した硬度が50度以上99度以下である、
台車。
【請求項2】
前記硬度は、60度以上95度以下である、
請求項1に記載の台車。
【請求項3】
前記車輪部が弾性変形しないとき、前記車輪部から前記底面までの最も短い長さが、0mmより大きく2.0mm以下である、
請求項1又は2に記載の台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、台車に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、底面フレームと、底面フレームの下面に取り付けられるホイールと、を備えたローラーキャリッジが記載されている。このローラーキャリッジにおいて、底面フレームには、ホイールを収納するための凹部と、凹部に収納されたホイールを規制するための突出部と、が設けられている。これにより、ローラーキャリッジが上下に段積みされた状態で、下側のローラーキャリッジに対して上側のローラーキャリッジを横ずれしにくくしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に示すローラーキャリッジにあっては、ホイールの直径が大きくなると、ホイールが突出部と積載物を載せる載置面に引っ掛かって、ホイールが浮いた状態となるため、ホイールが凹部の底面に接触せずにホイールの移動を規制しにくく、上に積まれたローラーキャリッジが横ずれしやすいという問題があった。
【0005】
一方で、ホイールの直径を小さくすると、ホイールが凹部の底面に接触するが、ホイールが突出部と凹部に接触せずに、ホイールが突出部と凹部との間で移動するため、ホイールの移動を規制しにくく、上に積まれたローラーキャリッジが横ずれしやすいという問題があった。
【0006】
本開示は、上記従来の問題点に鑑みて発明したものであって、台車が上下に段積みされた状態で、車輪部の移動を規制することができて、上に積まれた台車の横ずれを抑えることができる台車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示に係る一実施形態の台車は、積載物を載置するための台部と、キャスター部と、を備える。前記キャスター部は、前記台部の下面に取り付けられる。前記台部は、凹部と、突出部と、を有する。前記凹部は、前記台部の上方の載置面から凹み、前記キャスター部の車輪部を収納する。前記突出部は、前記凹部の中央部から上方に突出し、前記凹部に収納された前記車輪部の移動を規制する。前記凹部は、底面と、前記底面の外周縁から前記載置面まで斜め上方に延びる、平面視円環状をした第1支持面と、を有する。前記突出部は、前記底面の内周縁と接する外周縁から平面視中央部の上端部に向けて斜め上方に延びる第2支持面を有する。平面視において前記車輪部の中心部を通って前記車輪部の長手方向に延びる直線上に前記突出部が位置する状態において、前記車輪部が弾性変形しないとき、前記車輪部は前記第1支持面と前記第2支持面に接触しても前記底面に接触し得ず、前記車輪部が弾性変形すると、前記車輪部は前記第1支持面と前記第2支持面と前記底面とに接触し得る寸法関係で構成されている。前記車輪部をJIS K6253-3準拠のタイプAデュロメータ又はJIS K6301準拠のスプリング式硬さ試験機A形により測定した硬度が50度以上99度以下である。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る台車にあっては、台車が上下に段積みされた状態で、車輪部の移動を規制することができて、上に積まれた台車の横ずれを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る台車を斜め上方から見た斜視図である。
【
図2】
図2は、同上の台車を斜め上方から見た分解斜視図である。
【
図5】
図5は、同上の台車を段積みした状態を示す側断面図である。
【
図6】
図6Aは、同上の台車の車輪部が弾性変形していない状態を示す側断面図である。
図6Bは、同上の台車の車輪部が弾性変形した状態を示す側断面図である。
【
図7】
図7Aは、同上の台車の変形例を示す側断面図である。
図7Bは、同上の台車の変形例を示す側断面図である。
【
図8】
図8は、一実施形態に係る台車の変形例を示す側断面図である。
【
図9】
図9は、一実施形態に係る台車の変形例を斜め上方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.概要
図1に示すように、一実施形態に係る台車1は、積載物を載置するための台部2と、キャスター部3と、を備える。キャスター部3は、台部2の下面に取り付けられる。台部2は、凹部54と、突出部55と、を有する。
図4に示すように、凹部54は、台部2の上方の載置面510から凹み、キャスター部3の車輪部31を収納する。突出部55は、凹部54の中央部から上方に突出し、凹部54に収納された車輪部31の移動を規制する。凹部54は、底面542と、底面542の外周縁から載置面510まで斜め上方に延びる、平面視円環状をした第1支持面541と、を有する。突出部55は、底面542と接する内周縁から平面視中央部の上端部に向けて斜め上方に延びる第2支持面551を有する。
図6に示すように、平面視において車輪部31の中心部313を通って車輪部31の長手方向に延びる直線上に突出部55が位置する状態において、車輪部31が弾性変形しないとき、車輪部31は第1支持面541と第2支持面551に接触しても底面542に接触し得ず、車輪部31が弾性変形すると、車輪部31は第1支持面541と第2支持面551と底面542とに接触し得る寸法関係で構成されている。車輪部31をJIS K6253-3準拠のタイプAデュロメータ又はJIS K6301準拠のスプリング式硬さ試験機A形により測定した硬度が50度以上99度以下である。
【0011】
一実施形態に係る台車1にあっては、車輪部31は、第1支持面541と第2支持面551に接触しても底面542に接触し得ない寸法関係で構成されているが、台車1を上下に段積みしたときに、上に積まれた台車1の荷重によって上に積まれた台車1の車輪部31が変形するため、上に積まれた台車1の車輪部31が第1支持面541と第2支持面551と底面542とに接触する。これにより、台車1が段積みされた状態で、車輪部31の移動を規制することができて、上に積まれた台車1の横ずれを抑えることができる。
【0012】
2.一実施形態
2-1.詳細
続いて、
図1~
図6に示す本実施形態の台車1について図面を参照しながら、更に詳しく説明する。
【0013】
2-2.台車
図1に示すように、台車1は、台部2と、キャスター部3と、を備える。台車1は、人力で積載物を搬送するために用いられる運搬用台車である。台車1は、地面に載せられた台車1に対して台車1を上下に段積み可能であり(
図5参照)、台車1を上下に段積みした状態で下側の台車1の移動が可能である。
【0014】
台車1は、平面視において矩形状である。以下では、台車1が載置された状態を基準として、上下方向としている。また、台車1の長辺に沿う方向を長辺方向とし、台車1の短辺に沿う方向を短辺方向としている。
【0015】
2-3.キャスター部
図4に示すように、キャスター部3は、車輪部31と、支持部32と、を有する。キャスター部3は、台部2の下面に四つ取り付けられている。四つのキャスター部3は、それぞれ同一形状である。
【0016】
車輪部31は、車輪軸311と、タイヤ312と、を有する。車輪部31は、支持部32によって吊り下げ支持されている。本実施形態では、車輪部31の直径L20は、64mm~101mmであり、車輪部31の直径L20が2.5in(64mm)、3in(75mm)及び4in(100mm)のタイヤ312が主な対象となる。ここで、本開示において、数値範囲を示す「~」は、その上限値及び下限値を含むものとする。
【0017】
車輪軸311は、タイヤ312の中心に位置する。車輪軸311は、タイヤ312を回転自在に支持する。これにより、台車1の移動が可能となる。
【0018】
タイヤ312は、弾性を有する材料から形成されている。タイヤ312は、例えば、ゴム又はエラストマーから形成されている。なお、タイヤ312は、弾性を有する材料から形成されていればよく、ゴム又はエラストマー以外の材料から形成されてもよい。
【0019】
タイヤ312は、JIS K6253-3準拠のタイプAデュロメータ又はJIS K6301準拠のスプリング式硬さ試験機A形により硬度が測定される。タイヤ312をJIS K6253-3準拠のタイプAデュロメータ又はJIS K6301準拠のスプリング式硬さ試験機A形により測定された硬度が、50度以上99度以下であることが好ましく、より好ましくは、60度以上95度以下であり、更に好ましくは、60度以上90度以下であり、特に好ましくは、60度以上75度以下である。なお、これらの硬度は、少なくとも、台車1が有するいずれかのタイヤ312で測定されればよい。
【0020】
具体的には、車輪部31の直径L20が2.5inであり、タイヤ312がゴムから形成される場合に、タイヤ312をJIS K6253-3準拠のタイプAデュロメータにより測定された硬度が、66度である。また、車輪部31の直径L20が2.5inであり、タイヤ312がエラストマーから形成される場合に、タイヤ312をJIS K6253-3準拠のタイプAデュロメータにより測定された硬度が、90度である。また、車輪部31の直径L20が3inであり、タイヤ312がゴムから形成される場合に、タイヤ312をJIS K6253-3準拠のタイプAデュロメータにより測定された硬度が、66度である。また、車輪部31の直径L20が3inであり、タイヤ312がエラストマーから形成される場合に、タイヤ312をJIS K6253-3準拠のタイプAデュロメータにより測定された硬度が、90度である。また、車輪部31の直径L20が4inであり、タイヤ312がゴムから形成される場合に、タイヤ312をJIS K6253-3準拠のタイプAデュロメータにより測定された硬度が、75度である。また、車輪部31の直径L20が4inであり、タイヤ312がエラストマーから形成される場合に、タイヤ312をJIS K6253-3準拠のタイプAデュロメータにより測定された硬度が、90度である。また、車輪部31の直径L20が2.5in及び3inであり、タイヤ312がゴムから形成される場合に、タイヤ312をJIS K6301準拠のスプリング式硬さ試験機A形により測定された硬度が、85度である。また、車輪部31の直径L20が2.5in及び3inであり、タイヤ312がエラストマーから形成される場合に、タイヤ312をJIS K6301準拠のスプリング式硬さ試験機A形により測定された硬度が、2.5inの場合は70度、3inの場合は85度である。また、車輪部31の直径L20が4inであり、タイヤ312がゴムから形成される場合に、タイヤ312をJIS K6301準拠のスプリング式硬さ試験機A形により測定された硬度が、85度である。また、車輪部31の直径L20が4inであり、タイヤ312がエラストマーから形成される場合に、タイヤ312をJIS K6301準拠のスプリング式硬さ試験機A形により測定された硬度が、65度又は70度である。
【0021】
支持部32は、上片321と、旋回軸323と、を有する。支持部32は、例えば、金属製である。なお、支持部32は、金属以外の材料から形成されてもよい。
【0022】
上片321は、矩形板状である。上片321は、台部2の下面に固定されている。上片321は、旋回軸323の上端が連結される。旋回軸323は、上片321に対して略鉛直の軸回りに旋回する。旋回軸323の両端には、一対の連結片322が下方に延びている。一対の連結片322の下端の間には、略水平に架け渡される車輪軸311が連結される。これにより、連結片322に連結された車輪部31が旋回可能となる。
【0023】
車輪軸311の中心部313は、旋回軸323の中心の垂直線CL1に対して偏心した垂直線CL2上に位置する。旋回軸323の中心の垂直線CL1の上には、後述する突出部55が位置する。また、車輪軸311の中心部313の垂直線CL2の上には、後述する凹部54の底面542が位置する。
【0024】
本実施形態では、車輪部31の直径L20が2.5inである場合に、旋回軸323から中心部313までの長さである車輪部31の偏心半径L22は、21mm~29mmであり、このうちの21mm、27mm及び29mmの車輪部31の偏心半径L22が主な対象である。また、車輪部31の直径L20が3inである場合に、車輪部31の偏心半径L22は、21~28mmであり、このうちの21mm、27mm及び28mmの車輪部31の偏心半径L22が主な対象である。また、車輪部31の直径L20が4inである場合に、車輪部31の偏心半径L22は、31mm~35mmであり、このうちの31mm、32mm及び35mmの車輪部31の偏心半径L22が主な対象である。なお、車輪部31の偏心半径L22は、特に限定されない。
【0025】
2-4.台部
図3に示すように、台部2は、辺部材4と、コーナー部材5と、を有する。台部2の上面には、積載物が載置される。台部2は、平面視において矩形状である。本実施形態では、台部2の一辺は、概ね30cm~100cmである。
【0026】
平面視における台部2の形状は、短辺方向の中央を通る長辺方向に沿った線を中心として対称である。また、平面視における台部2の形状は、長辺方向の中央を通る短辺方向に沿った線を中心として対称である。平面視における台部2の中央部には、上下に貫通する貫通部20が形成されている。
【0027】
2-4-1.辺部材
図2に示すように、辺部材4は、長辺部材41と、短辺部材42と、を有する。辺部材4は、横方向(台車1が水平面に載置された状態での水平方向)に延びている。長辺部材41は、台部2の長辺方向に沿って延びた二つのアングル材410である。二つのアングル材410は、短辺方向の中央を通る長辺方向に沿った線を中心として、互いに反転している点を除いて、同一である。
【0028】
アングル材410は、縦片412と、積載物を支持するための梁部となる横片413と、を有する。アングル材410は、例えば、金属製である。なお、アングル材410は、金属以外の材料から形成されてもよく、金属以外の材料としては、例えば、樹脂等が挙げられる。
【0029】
縦片412は、横片413の外側(平面視における台部2の外端側)の端縁から上方に延びている。縦片412は、横片413の上面に載置される積載物が外方に移動して横片413から落下しないように、積載物が外方に移動するのを規制する規制部(言い換えると落下防止部)として機能する。
【0030】
アングル材410において、縦片412と、横片413とが一体に形成されている。これにより、積載物が載置される横片413及び台車1全体の曲げ剛性が向上して台車1がたわみにくくなると共に、台車1の衝撃に対する強度が向上する。
【0031】
短辺部材42は、台部2の短辺方向に沿って延びた二つのアングル材420である。二つのアングル材420は、長辺方向の中央を通る短辺方向に沿った線を中心として互いに反転している点を除いて、同一である。
【0032】
アングル材420は、縦片422と、積載物を支持するための梁部となる横片423と、を有する。アングル材420は、例えば、金属製である。なお、アングル材420は金属以外の材料から形成されてもよく、金属以外の材料としては、例えば、樹脂等が挙げられる。
【0033】
縦片422は、横片423の外側(平面視における台部2の外端側)の端縁から上方に延びている。縦片422は、横片423の上面に載置される積載物が外方に移動して横片423から落下しないように、積載物が外方に移動するのを規制する規制部(言い換えると落下防止部)として機能する。
【0034】
アングル材420において、縦片422と、横片423とが一体に形成されている。これにより、積載物が載置される横片423及び台車1全体の曲げ剛性が向上して台車1がたわみにくくなると共に、台車1の衝撃に対する強度が向上する。
【0035】
2-4-2.コーナー部材
コーナー部材5は、辺部材4を連結する。コーナー部材5を介して辺部材4にリベット(不図示)等を打ち込むことにより、コーナー部材5と辺部材4とが固定される。これにより、台部2が構成される。
【0036】
コーナー部材5は、平面視における台部2の四つの角に配置される。四つのコーナー部材5の下面には、キャスター部3が取り付けられる。四つのコーナー部材5は、短辺方向の中央を通る長辺方向に沿った線を中心として互いに反転している点を除いて、同一である。また、四つのコーナー部材5は、長辺方向の中央を通る短辺方向に沿った線を中心として互いに反転している点を除いて、同一である。
【0037】
図2~
図4に示すように、コーナー部材5は、横片51と、縦片52と、を有する。コーナー部材5は、例えば、樹脂製である。なお、コーナー部材5は、樹脂以外の材料から形成されてもよく、樹脂以外の材料としては、例えば、金属等が挙げられる。
【0038】
横片51は、切欠部53と、凹部54と、突出部55と、リブ56と、を有する。横片51は、平面視における三角形状である。横片51の上面は、積載物を載置する載置面510となる。
【0039】
載置面510は、直接的に積載物を支持する。載置面510は、側面視において水平な平面である。なお、側面視における載置面510の形状は、特に限定されない。
【0040】
横片51の下面には、切欠部53が設けられている。切欠部53は、台車1の外周形状の短辺側の端部と長辺側の端部とに設けられている。切欠部53には、辺部材4の横片413,423の端部が挿入される。
【0041】
凹部54は、横片51の上面の一部に形成される。凹部54は、横片51の上方の載置面510から凹んだ部分である。凹部54は、平面視において円環状である。凹部54は、車輪部31を収納するための収納部(車輪収納部)として機能する。また、凹部54は、車輪部31の移動を規制する規制部(言い換えると脱輪防止部)としても機能する。
【0042】
凹部54の平面視における直径は、横片51の平面視における最長の長さの40%~70%であることが好ましく、より好ましくは、50%~60%である。本実施形態においては、横片51の平面視における最長の長さは、横片51の平面視における三角形状のうちの横片51の斜辺の長さである。また、横片51の平面視における三角形状のうちの横片51の斜辺の長さをなるべく短くして、凹部54を形成するためには、凹部54の平面視における直径は、横片51の平面視における三角形状のうちの横片51の斜辺の長さの50%を超えることが特に好ましい。これにより、横片51の強度が凹部54によって低下しにくい。
【0043】
凹部54は、第1支持面541と、底面542と、貫通孔543と、を有する。底面542は、車輪部31のタイヤ312が弾性変形したときに接触する面である。また、底面542は、車輪部31のタイヤ312が弾性変形しないときに接触しない面である。底面542は、平面視において円環状である。底面542は、側面視において水平であり、上方を向き載置面510と平行である。なお、側面視における底面542の形状は、特に限定されない。
【0044】
第1支持面541は、底面542と接する外周縁から載置面510まで斜め上方に延びる面である。第1支持面541は、平面視おいて円環状である。第1支持面541は、車輪部31のタイヤ312が接触する面である。
【0045】
貫通孔543は、底面542に設けられている。貫通孔543は、底面542のうち、凹部54の中央部以外の底面542の一部に形成される。貫通孔543は、底面542における横片51を上下に貫通するように形成される。貫通孔543は、例えば、底面542に溜まった水や砂等を排出するために設けられる。なお、凹部54が有する貫通孔543の数は、特に限定されず、一つでもよいし、複数あってもよい。また、凹部54は、貫通孔543を有さなくてもよい。
【0046】
図4に示すように、リブ56は、横片51の下面に形成されている。リブ56は、横片51の下面から下方に突出している。リブ56は、突状の部材である。リブ56は、横片51のうちの切欠部53と貫通孔543以外の部分に形成されている。
【0047】
リブ56は、第1リブ561と、第2リブ562と、第3リブ563と、を有する。第1リブ561は、凹部54を有さない部分に形成される。第1リブ561は、短辺側の端部と長辺側の端部とに設けられている。第1リブ561の短辺側の端部は、長辺方向に沿って延びた部材である。また、第1リブ561の長辺側の端部は、短辺方向に沿って延びた部材である。
【0048】
第1リブ561の横片51の下面からの突出長さは、それぞれ同じである。本実施形態では、載置面510から第1リブ561の下端までの上下の長さL11は、15mmである。なお、載置面510から第1リブ561の下端までの上下の長さL11は、特に限定されない。
【0049】
第2リブ562は、横片51の凹部54を有する部分に形成される。第2リブ562は、短辺方向と長辺方向に沿って延びた格子状のリブ群である。第2リブ562の横片51の下面からの突出長さは、それぞれ同じである。
【0050】
側面視における突出部55には、上方に凹んだ凹部550が形成されている。このように凹部550が形成されることで、成形装置により成形された突出部55が成形後に変形しにくい。第2リブ562は、突出部55の凹部550の下方を交差している。各第2リブ562は、突出部55の凹部550を跨ぐように形成される。これにより、凹部550が形成された部分の台部2の強度が向上する。
【0051】
第3リブ563は、横片51の凹部54を有する部分に形成される。第3リブ563は、短辺方向と長辺方向に沿って延びた部材である。第3リブ563は、第2リブ562の外側に位置する。第3リブ563の一部には、一対の保持片564が形成されている。一対の保持片564は、第3リブ563の下端に連続している。
【0052】
第3リブ563及び一対の保持片564に囲まれた空間が、キャスター部3の上片321を取り付ける空間である。キャスター部3が台部2に取り付けられた状態で、キャスター部3の上片321と凹部54の底面542の下面との間には、第2リブ562が位置する。第2リブ562及び第3リブ563は、凹部54を有する部分に形成されることで、台部2の強度が向上する。第3リブ563の下面の面積は、凹部54の底面542の面積の5~15%であることが好ましく、より好ましくは6%~12%、更に好ましくは7%~10%である。
【0053】
本実施形態では、凹部54の底面542から第2リブ562の下端までの上下の長さL12は、13mmである。なお、凹部54の底面542から第2リブ562の下端までの上下の長さL12は、特に限定されない。
【0054】
図6に示すように、載置面510から第1リブ561の下端までの上下の長さL11、底面542から第2リブ562の下端までの上下の長さL12及び底面542から載置面510までの上下の長さ(凹部54の凹み深さ)L13が、下記の数式(1)を満たす。
数式(1) L13/L11<L12/L11
【0055】
数式(1)を満たすことは、凹部54の凹み深さL13によって、凹部54の底面542から第2リブ562の下端までの上下の長さL12を長くすることを意味する。これにより、台部2のうち、凹部54が設けられた部分の強度が向上することとなる。
【0056】
図3及び
図4に示すように、突出部55は、凹部54の中央部から上方に突出している。本実施形態では、突出部55は、側面視において円錐台形状である。なお、側面視における突出部55の形状は、特に限定されない。
【0057】
突出部55は、凹部54に収納された車輪部31が移動するのを規制する規制部(言い換えると脱輪防止部)として機能する。突出部55の横片51の厚みは、凹部54の横片51の厚みと同じである。突出部55の凹部54の底面542からの突出長さは、凹部54の凹み深さL13以下である。
【0058】
突出部55は、第2支持面551と、上面552と、を有する。第2支持面551は、底面542の内周縁と接する外周縁から平面視中央部の上端部に向けて斜め上方に延びている。第2支持面551は、車輪部31のタイヤ312が接触する面である。
【0059】
第2支持面551の上端部には、上面552が連続している。上面552は、第2支持面551の上縁から水平方向に連続している。上面552は、側面視において平面である。上面552は、平面視において円状である。なお、側面視及び平面視における上面552の形状は、特に限定されない。
【0060】
突出部55の下方には、上述したように、キャスター部3の上片321に対して車輪部31の方向を旋回可能とする旋回軸323が位置する。これにより、旋回するキャスター部3の車輪部31が任意の方向を向いていても、車輪部31のタイヤ312が第2支持面551に接触する。このため、車輪部31が車輪軸311の軸回りに回転するのを規制する。
【0061】
図4に示すように、車輪部31の直径L20が2.5inである場合又は3inである場合に凹部54の底面542に対して第2支持面551の第2の傾斜角度α2は、凹部54の底面542に対して第1支持面541の第1の傾斜角度α1よりも大きい。また、車輪部31の直径L20が4inである場合に、第2の傾斜角度α2は、第1の傾斜角度α1よりも小さい。なお、第2の傾斜角度α2は、車輪部31の直径L20の大小を問わず、第1の傾斜角度α1と同じでもよい。
【0062】
図1及び
図2に示すように、横片51の外側(平面視における台部2の外端側)の端縁には、縦片52が上方に延びている。縦片52は、横片51の上面に載置される積載物が外方に移動して横片51から落下しないように、積載物が外方に移動するのを規制する規制部(言い換えると落下防止部)として機能する。このように、コーナー部材5において、縦片52と、横片51とが一体に形成されることにより、積載物が載置される横片51及び台車1全体の曲げ剛性が向上して横片51(台車1)がたわみにくくなると共に、台車1の衝撃に対する強度が向上する。なお、本実施形態では、縦片52の規制部(内側面)は、直接的に積載物が外方に移動するのを規制する。
【0063】
縦片52は、溝部57を有する。溝部57は、下方に開口している。溝部57は、短辺側の端縁と長辺側の端縁の両方に設けられている。溝部57には、辺部材4の縦片412,422が挿入される。
【0064】
2-5.凹部と突出部及び車輪部の寸法関係
図6Aに示すように、平面視において車輪部31の中心部313を通って車輪部31の長手方向に延びる直線上に突出部55が位置する状態において、車輪部31のタイヤ312が弾性変形しないとき、車輪部31のタイヤ312は、第1支持面541と第2支持面551に接触しても底面542に接触し得ない寸法関係で構成されている。車輪部31のタイヤ312が弾性変形しないとき、車輪部31の外周面が第1支持面541の第1支持点5410と第2支持面551の第2支持点5510に接触する。このように、車輪部31が弾性変形しないとき、車輪部31の外周面が第1支持点5410と第2支持点5510の二点で支持される二点支持の状態となる。本実施形態では、二点支持する状態の接触している部分は、点接触であるが、特に限定されず、二点支持する状態の接触している部分は、線接触であってもよいし、面接触であってもよい。
【0065】
車輪部31のタイヤ312が弾性変形しないとき、車輪部31のタイヤ312の外周面から底面542までの最も短い長さL31は、0mmより大きく2.0mm以下、より好ましくは、0mmより大きく1.2mm以下である。
【0066】
図6Bに示すように、平面視において車輪部31の中心部313を通って車輪部31の長手方向に延びる直線上に突出部55が位置する状態において、車輪部31のタイヤ312が弾性変形すると、車輪部31のタイヤ312は、第1支持面541と第2支持面551と底面542とに接触し得る寸法関係で構成されている。
【0067】
車輪部31のタイヤ312は、第1支持面541と第2支持面551に接触しても底面542に接触し得ない寸法関係で構成されているが、台車1を上下に段積みしたときに、上に積まれた台車1の荷重によって、上に積まれた台車1の車輪部31のタイヤ312に圧縮荷重によるひずみ(弾性変形)が生じるため、車輪部31の外周面が第1支持面541と第2支持面551と底面542とに接触する。車輪部31のタイヤ312が弾性変形するとき、車輪部31の外周面が第1支持面541の第1支持点5410と第2支持面551の第2支持点5510と底面542の第3支持点5420とに接触する。このように、車輪部31が弾性変形するとき、車輪部31の外周面が第1支持点5410と第2支持点5510と第3支持点5420の三点で支持される三点支持の状態となる。本実施形態では、三点支持する状態の接触している部分は、点接触であるが、特に限定されず、三点支持する状態の接触している部分は、線接触であってもよいし、面接触であってもよい。
【0068】
また、下段の台車1に上段の台車を積み上げた計二段の段積み状態において、上段の台車1の車輪部31の外周面が、下段の台車1の第1支持面541と第2支持面551と底面542とに接触しても勿論よい。しかし、この計二段の段積み状態においては、上段の台車1の車輪部31の外周面が、下段の台車1の第1支持面541と第2支持面551と底面542とに接触しなくてもよく、計三段以上の多段の段積み状態となってはじめて、下から二段目の台車1の車輪部31の外周面が、最下段の台車1の第1支持面541と第2支持面551と底面542とに接触してもよい。
【0069】
2-5-1.試験
車輪部31の弾性変形について、試験を行った。台車1として、1台あたりの重量が2.6kg(天板の重量:1.3kg、4個の車輪部の重量:1.3kg)の台車1を使用した。各段数の段積み状態(1台のみの場合も含む)において、床に載置された段積み状態の最下段の台車1の車輪部31の沈み込み量を計測した。沈み込み量は、車輪部31に荷重が掛からない場合の床から車輪部31の中心までの距離と、車輪部31に荷重(段積み状態の台車1の総重量)が掛かる場合の床から車輪部31の中心までの距離との差である。
【0070】
段積み状態として、1段、10段、15段の3通りの段数について試験を行った。このときの1個の車輪部31に掛かる重量を以下の(表1)に示す。
【0071】
【0072】
硬度の異なる4種類のタイヤ312について、それぞれ3通りの段数について沈み込み量を計測する試験を行った。各硬度と沈み込み量について、以下の(表2)に示す。
【0073】
【0074】
なお、試験N0.1の硬度66のタイヤ312及び試験N0.3の硬度85のタイヤ312の材質は、ゴムである。また、試験N0.2の硬度70のタイヤ312及び試験N0.4の硬度90のタイヤ312の材質は、エラストマーである。
【0075】
試験N0.4の硬度90のタイヤ312の段数1の場合の沈み込み量が0.021(mm)で、最小の値となる。
【0076】
2-6.作用効果
以上説明した本実施形態の台車1では、車輪部31は、第1支持面541と第2支持面551に接触しても底面542に接触し得ない寸法関係で構成されているが、台車1を上下に段積みしたときに、上に積まれた台車1の荷重によって上に積まれた台車1の車輪部31のタイヤ312が弾性変形するため、車輪部31が第1支持面541と第2支持面551と底面542とに接触する。これにより、台車1が段積みされた状態で、車輪部31の移動を規制することができて、上に積まれた台車1の横ずれを抑えることができる。
【0077】
また、本実施形態の台車1では、台部2に凹部54があると、凹部54がある部分の台部2の強度が弱くなるため、凹部54の底面542から第2リブ562の下端までの上下の長さL12を凹部54の凹み深さL13よりも長くすることで、凹部54がある部分の台部2の強度を強くすることができる。
【0078】
また、本実施形態の台車1では、凹部54は、旋回する車輪部31に沿って形成されて
いるため、車輪部31の向く方向を考慮しなくても凹部54に収納することができるため、台車1を積み上げやすい。
【0079】
また、本実施形態の台車1では、突出部55の下方には、キャスター部3の上片321に対して旋回可能となる旋回軸323が位置することで、旋回するキャスター部3の車輪部31が任意の方向を向いていても、車輪部31の移動を規制することができる。
【0080】
3.変形例
台車1の形状、大きさ、材質等は、特に限定されない。
【0081】
また、台部2には、上下に貫通する貫通部20が形成されなくてもよい。
【0082】
また、台部2において、辺部材4と、コーナー部材5とが一体に形成されてもよい。
【0083】
また、辺部材4は、縦片412,422を有さなくてもよく、横片413,423のみを有してもよい。
【0084】
また、コーナー部材5は、縦片52を有さなくてもよく、横片51のみを有してもよい。
【0085】
また、凹部54の形状は、車輪部31の旋回範囲の大きさに応じた形状であればよい。
【0086】
また、凹部54の凹み深さL13は、車輪部31の直径L20に応じた深さであればよい。
【0087】
また、台車1の他例を
図7に示す。この他例では、側面視における凹部54の底面、つまり底面542が湾曲している。底面542は、車輪部31の外周面に近い形状である。
図7Aに示すように、平面視において車輪部31の中心部313を通って車輪部31の長手方向に延びる直線上に突出部55が位置する状態において、キャスター部3の車輪部31が弾性変形しないとき、車輪部31は第1支持面541と第2支持面551に接触しても底面542に接触し得ない寸法関係で構成されている。
図7Bに示すように、平面視において車輪部31の中心部313を通って車輪部31の長手方向に延びる直線上に突出部55が位置する状態において、車輪部31が弾性変形すると、車輪部31は第1支持面541と第2支持面551と底面542とに接触し得る寸法関係で構成されている。このように、車輪部31は、第1支持面541と第2支持面551に接触しても底面542に接触し得ない寸法関係で構成されているが、台車1を上下に段積みしたときに、上に積まれた台車1の荷重によって上に積まれた台車1の車輪部31が弾性変形することで、車輪部31が第1支持面541と第2支持面551と底面542とに接触する。これにより、台車1が段積みされた状態で、車輪部31の移動を規制することができて、上に積まれた台車1の横ずれを抑えることができる。なお、他例に係る台車1は、一実施形態に係る台車1と大部分において同じであるため、重複する説明については省略する。
【0088】
また、台車1の他例を
図8に示す。この他例では、リブ56は、第4リブ565を更に有する。第4リブ565は、短辺方向に沿って延びた突状部材である。第4リブ565は、横片51の凹部54の第1支持面541を有する部分に形成されている。第4リブ565は、側面視における縦片52と第3リブ563との間に位置する。載置面510から第1リブ561の下端までの上下の長さL11、第4リブ565の下端から第4リブ565の上端までの上下の長さL14及び第4リブ565の上端から載置面510までの上下の長さL15が、下記の数式(2)を満たし、
数式(2) L15/L11<L14/L11
上記の数式(2)及び凹部54の底面542から第2リブ562の下端までの上下の長さL12が、下記の数式(3)を満たす。なお、他例に係る台車1は、一実施形態に係る台車1と大部分において同じであるため、重複する説明については省略する。
数式(3) L15/L11<L12/L11<L14/L11
【0089】
また、台車1の他例を
図9に示す。この他例では、台部2が全体として一枚の平板状の板材で構成されている。この場合、台部2は、直接的に積載物を載置するための載置面510となる。凹部54は、台部2の四つの角に配置される。なお、他例に係る台車1は、一実施形態に係る台車1と大部分において同じであるため、重複する説明については省略する。
【0090】
4.まとめ
以上説明した一実施形態及びその変形例の台車1のように、第一態様の台車1は、下記の構成を備える。
【0091】
すなわち、第一態様の台車1は、積載物を載置するための台部2と、キャスター部3と、を備える。キャスター部3は、台部2の下面に取り付けられている。台部2は、凹部54と、突出部55と、を有する。凹部54は、台部2の上方の載置面510から凹み、キャスター部3の車輪部31を収納する。突出部55は、凹部54の中央部から上方に突出し、凹部54に収納された車輪部31の移動を規制する。凹部54は、底面542と、底面542の外周縁から載置面510まで斜め上方に延びる、平面視円環状をした第1支持面541と、を有する。突出部55は、底面542の内周縁と接する外周縁から平面視中央部の上端部に向けて斜め上方に延びる第2支持面551を有する。平面視において車輪部31の中心部313を通って車輪部31の長手方向に延びる直線上に突出部55が位置する状態において、車輪部31が弾性変形しないとき、車輪部31は第1支持面541と第2支持面551に接触しても底面542に接触し得ず、車輪部31が弾性変形すると、車輪部31は第1支持面541と第2支持面551と底面542とに接触し得る寸法関係で構成されている。車輪部31をJIS K6253-3準拠のタイプAデュロメータ又はJIS K6301準拠のスプリング式硬さ試験機A形により測定した硬度が50度以上99度以下である。
【0092】
上記構成を備える第一態様の台車1では、車輪部31は、第1支持面541と第2支持面551に接触しても底面542に接触し得ない寸法関係で構成されているが、台車1を上下に段積みしたときに、上に積まれた台車1の荷重によって上に積まれた台車1の車輪部31が弾性変形するため、車輪部31が第1支持面541と第2支持面551と底面542とに接触する。これにより、台車1が段積みされた状態で、車輪部31の移動を規制することができて、上に積まれた台車1の横ずれを抑えることができる。
【0093】
また、上述した第一実施形態及びその変形例の台車1のように、第二態様の台車1は、第一態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0094】
すなわち、第二態様の台車1では、硬度は、60度以上95度以下である。
【0095】
上記構成を備える第二態様の台車1では、車輪部31の硬度が低くなることで、第1支持面541と第2支持面551と底面542とに接触する接触面が、点接触から面接触になりやすいため、台車1が段積みされた状態で、車輪部31の移動を規制することができて、上に積まれた台車1の横ずれをより抑えることができる。
【0096】
また、上述した一実施形態及びその変形例の台車1のように、第三態様の台車1は、第一又は第二態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0097】
すなわち、第三態様の台車1では、車輪部31が弾性変形しないとき、車輪部31から底面542までの最も短い長さが、0mmより大きく2.0mm以下である。
【0098】
上記構成を備える第三態様の台車1では、台車1自体の荷重を抑えることができる。
【0099】
以上、本開示を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本開示は上記の実施形態に限定されるものではなく、本開示の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0100】
1 台車
2 台部
3 キャスター部
31 車輪部
313 中心部
510 載置面
54 凹部
541 第1支持面
542 底面
55 突出部
551 第2支持面