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特開2024-168300ブラインド用変速装置及びブラインド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168300
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】ブラインド用変速装置及びブラインド
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/322 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
E06B9/322
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084849
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000134958
【氏名又は名称】株式会社ニチベイ
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】大膳 正明
【テーマコード(参考)】
2E043
【Fターム(参考)】
2E043AA01
2E043AA04
2E043BB02
2E043BB12
2E043BB15
2E043BC02
2E043BD02
(57)【要約】
【課題】寸法の自由度の高いブラインド用変速装置を提供する。
【解決手段】ブラインド用変速装置1は、回転力が入力される入力軸25と、入力軸25と一体回転する入力ギヤ26とを有する入力部21と、昇降軸に回転を伝達する出力軸28と、入力ギヤ26とは歯先円直径が異なり出力軸28と一体回転する出力ギヤ29とを有し、出力ギヤ29が入力ギヤ26と同軸上に配置される出力部22と、入力ギヤ26と噛合する第1伝達ギヤ31と、出力ギヤ29と噛合する第2伝達ギヤ32とを有し、第1伝達ギヤ31及び第2伝達ギヤ32を介して入力ギヤ26の回転を出力ギヤ29に伝達する複数の伝達部23と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転力が入力される入力軸と、前記入力軸と一体回転する入力ギヤとを有する入力部と、
駆動軸に回転を伝達する出力軸と、前記入力ギヤとは歯先円直径が異なり前記出力軸と一体回転する出力ギヤとを有し、前記出力ギヤが前記入力ギヤと同軸上に配置される出力部と、
前記入力ギヤと噛合する第1伝達ギヤと、前記出力ギヤと噛合する第2伝達ギヤとを有し、前記第1伝達ギヤ及び前記第2伝達ギヤを介して前記入力ギヤの回転を前記出力ギヤに伝達する複数の伝達部と、を備える、ブラインド用変速装置。
【請求項2】
前記複数の伝達部は、前記入力ギヤの軸心及び前記出力ギヤの軸心を中心とする周方向に等間隔となるように各々配置される、請求項1に記載のブラインド用変速装置。
【請求項3】
前記複数の伝達部は、前記第1伝達ギヤと一体回転する第1支持軸と、前記第2伝達ギヤと一体回転する第2支持軸とを有し、
前記入力ギヤ、前記出力ギヤ、前記第1伝達ギヤ及び前記第2伝達ギヤを収容可能な中空状で、前記入力ギヤ、前記出力ギヤ、前記第1伝達ギヤ及び前記第2伝達ギヤが収容された状態において、前記入力軸、前記出力軸、前記第1支持軸及び前記第2支持軸を各々軸受可能な孔状の複数の軸受部を有するケースをさらに備える、請求項2に記載のブラインド用変速装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載のブラインド用変速装置を備える、ブラインド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラインド用変速装置及びブラインドに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、スラットの昇降及び傾動を行うために回転駆動するシャフトと、スラットを昇降させるための昇降ドラムと、スラットを傾動させるための傾動ドラムと、遊星歯車からなる減速装置とを備えたブラインドが開示されている。減速装置は、シャフトと傾動ドラムとの間に設けられる。このようなブラインドによれば、シャフトの回転は、減速装置を介して傾動ドラムに伝達される。そのため、スラットの軽快な昇降操作を維持しながらも、スラットの傾斜角度を微調整できるように、スラットをゆっくり傾動させることができる。なお、従来では、減速装置の用途は、これに限らない。例えば、減速装置の用途として、スラットの昇降操作時の操作荷重を軽減するために用いられることも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭60-54475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、減速装置や増速装置のような変速装置は、変速比や伝達可能トルクによってある程度大きさが決まるため、変速装置を取り付ける領域の寸法に制限がある場合には、当該領域に変速装置を収めることができなくなり、改善の余地があった。そのため、寸法の自由度の高い変速装置が望まれている。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、寸法の自由度の高いブラインド用変速装置及びブラインドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、歯車の配置を工夫することで、上記の課題を解決できると考え、これに基づいて、以下のような新たなブラインド用変速装置及びブラインドを発明するに至った。
【0007】
(1)本発明によるブラインド用変速装置は、回転力が入力される入力軸と、前記入力軸と一体回転する入力ギヤとを有する入力部と、駆動軸に回転を伝達する出力軸と、前記入力ギヤとは歯先円直径が異なり前記出力軸と一体回転する出力ギヤとを有し、前記出力ギヤが前記入力ギヤと同軸上に配置される出力部と、前記入力ギヤと噛合する第1伝達ギヤと、前記出力ギヤと噛合する第2伝達ギヤとを有し、前記第1伝達ギヤ及び前記第2伝達ギヤを介して前記入力ギヤの回転を前記出力ギヤに伝達する複数の伝達部と、を備える。
【0008】
(2)上記(1)において、前記複数の伝達部は、前記入力ギヤの軸心及び前記出力ギヤの軸心を中心とする周方向に等間隔となるように各々配置されるのが好ましい。
【0009】
(3)上記(1)又は(2)において、前記複数の伝達部は、前記第1伝達ギヤと一体回転する第1支持軸と、前記第2伝達ギヤと一体回転する第2支持軸とを有し、前記入力ギヤ、前記出力ギヤ、前記第1伝達ギヤ及び前記第2伝達ギヤを収容可能な中空状で、前記入力ギヤ、前記出力ギヤ、前記第1伝達ギヤ及び前記第2伝達ギヤが収容された状態において、前記入力軸、前記出力軸、前記第1支持軸及び前記第2支持軸を各々軸受可能な孔状の複数の軸受部を有するケースをさらに備えるのが好ましい。
【0010】
(4)本発明によるブラインドは、上記(1)から(3)のいずれかに記載のブラインド用変速装置を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によるブラインド用変速装置は、ギヤの配置が従来とは異なる構成である。従って、寸法の自由度の高いブラインド用変速装置及びブラインドを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態によるブラインド用変速装置が適用されるブラインドの一例を示す正面図である。
図2】本発明の一実施形態によるブラインド用変速装置を示す分解斜視図である。
図3】本発明の一実施形態によるブラインド用変速装置を示す図であり、(a)は入力部と出力部とが連結された状態を示す正面図、(b)は(a)のA-A断面図、(c)は伝達部を示す正面図である。
図4】本発明の一実施形態によるブラインド用変速装置を示す図であり、(a)は正面図、(b)は左側面図、(c)は右側面図である。
図5】本発明の一実施形態によるブラインド用変速装置を示す図であり、(a)は図4(a)のB-B断面図、(b)は図4(a)のC-C断面図である。
図6】従来のブラインド用変速装置を示す図であり、(a)は出力側からみた状態を示す説明図、(b)は入力側からみた状態を示す説明図である。
図7】本発明の一実施形態によるブラインド用変速装置を示す図であり、(a)は出力側からみた状態を示す説明図、(b)は入力側からみた状態を示す説明図である。
図8】本発明の一実施形態によるブラインド用変速装置と従来のブラインド用変速装置とを比較して説明するための図であり、(a)は従来のブラインド用変速装置がケース内に収まっている状態を示す説明図、(b)は従来のブラインド用変速装置がケース内に収まっていない状態を示す説明図、(c)は本発明の一実施形態によるブラインド用変速装置がケース内に収まっている状態を示す説明図である。
図9】本発明のブラインド用変速装置の変形例1を示す説明図であり、入力側からみた状態を示している。
図10】本発明のブラインド用変速装置の変形例を示す図であり、(a)は変形例2を示す説明図で入力側からみた状態を示しており、(b)は変形例3を示す説明図で入力側からみた状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
【0014】
図1に示すように、本実施形態のブラインド用変速装置1(図2)が適用されるブラインド2は、例えば、建物の窓枠などの開口部の内部に設置される横型ブラインドである。ブラインド2は、建物の室外に対して、窓ガラスなどで仕切られた室内に設置される。ブラインド2は、遮蔽材3を昇降動作させる第1駆動系4と、遮蔽材3を回転動作させる第2駆動系5とを備える。第1駆動系4及び第2駆動系5は、ヘッドボックス6に設けられる。
本明細書において、ブラインド2が設置された状態において、ヘッドボックス6の長手方向を左右方向、上下方向及び左右方向に直交する方向を前後方向とする。また、前後方向について、室内の側を前方、室外の側を後方とする。
【0015】
ブラインド2の第1駆動系4は、昇降軸7及び巻取ドラム8を備える。ブラインド2の第2駆動系5は、回転軸9及び図示しない回転ドラムを備える。昇降軸7、巻取ドラム8、回転軸9、及び回転ドラムは、C形チャンネル状のヘッドボックス6内に設けられる。ヘッドボックス6には、複数のラダーコード10を介して、遮蔽材3が吊り下げられる。ブラインド2は、ヘッドボックス6がブラケット11を介して窓枠の上面又は天井に固定されることで、窓の内側に配置される。
【0016】
ヘッドボックス6内には、複数の回転ドラム及び複数の巻取ドラム8が回転自在に設けられる。各回転ドラム及び各巻取ドラム8は、ヘッドボックス6内に設けられるドラム受け12に回転自在に支持される。回転ドラム及び巻取ドラム8は、ドラム受け12に支持された状態において、同軸上に配置されている。
【0017】
回転ドラムには、ラダーコード10の一端部が前後方向から係留される。ラダーコード10には、複数の遮蔽材(スラット)3が支持されている。具体的には、遮蔽材3は、長手方向が左右方向に沿うようにして、ラダーコード10の各中段コードに支持されている。複数の遮蔽材3がラダーコード10に支持された状態において、複数の遮蔽材3は、上下方向に間隔をあけて配置されている。このようにして、複数の遮蔽材3は、ヘッドボックス6に吊り下げられる。
【0018】
巻取ドラム8には、昇降コード13の一端部が係留される。昇降コード13は、ラダーコード10とは別のコードであって、ヘッドボックス6にボトムレール14を昇降可能に吊下支持するものである。ボトムレール14は、昇降コード13の他端部に設けられる。また、ボトムレール14は、ラダーコード10の他端部が前後方向から係留される。このようにして、ボトムレール14は、ヘッドボックス6に吊り下げられる。ヘッドボックス6に吊り下げられたボトムレール14は、最も下側に配置された遮蔽材3よりも下方に位置している。
【0019】
図1に示すように、ヘッドボックス6内には、昇降軸7が回転自在に設けられる。昇降軸7がヘッドボックス6内に設けられた状態において、昇降軸7の軸線方向は、ヘッドボックス6の長手方向に沿っている。昇降軸7は、ヘッドボックス6内に設けられた状態において、自身の軸線まわりに回転可能である。昇降軸7には、巻取ドラム8が一体回転可能に設けられる。巻取ドラム8は、昇降軸7が巻取ドラム8の軸線方向に貫通した状態で、昇降軸7に回転不能に固定される。
【0020】
昇降軸7の軸方向一端部は、後述するブラインド用変速装置1に連結される。昇降軸7は、後述するクラッチユニット18及びブラインド用変速装置1を介して、ヘッドボックス6に設けられる操作ユニット15の操作により入力される回転が伝達される。操作ユニット15は、操作者によって操作されることで、ボトムレール14とともに遮蔽材3を昇降動作させたり、遮蔽材3を回転させたりするものである。操作ユニット15には、昇降軸7の一端部側とは逆側に、プーリ16が回転可能に設けられる。プーリ16には、ループ状の操作部材17が巻回される。操作ユニット15は、上述の通り操作部材17の操作によるプーリ16の回転を昇降軸7に伝達できる。従って、ブラインド2は、操作部材17を操作することで、昇降軸7を自身の軸線まわりに回転させることができる。これにより、昇降軸7に固定された巻取ドラム8を回転させることができる。
【0021】
図1に示すように、ヘッドボックス6内には、回転軸9が回転自在に設けられる。回転軸9がヘッドボックス6内に設けられた状態において、回転軸9の軸線方向は、ヘッドボックス6の長手方向に沿っている。回転軸9は、ヘッドボックス6内に設けられた状態において、自身の軸線まわりに回転可能である。回転軸9の軸方向一端部は、操作ユニット15に連結される。操作ユニット15は、内部に配置される歯車列を介して、操作部材17によるプーリ16の回転を回転軸9に伝達できる。従って、ブラインド2は、操作部材17を操作することで回転軸9を回転させて、回転軸9の回転を回転ドラムに伝達できる。このように、ブラインド2は、操作部材17を操作することで、回転ドラムを回転させることができる。
【0022】
このような構成であるので、ブラインド2は、遮蔽材3が例えば略水平に配置された状態から、操作部材17を操作することにより、回転ドラムを回転させて、複数の遮蔽材3を同時に傾動させることができる。ブラインド2は、複数の遮蔽材3が傾斜した状態から、操作部材17を操作することにより、回転ドラムを先ほどとは逆に回転させて、複数の遮蔽材3を同時に略水平に配置、又は逆方向に傾動された状態にすることができる。従って、ブラインド2は、操作部材17を操作することで、複数の遮蔽材3の傾斜角度を同時に調整することができる。
【0023】
ブラインド2は、操作部材17を操作することで、ヘッドボックス6内に設けられたクラッチユニット18が締結されるまでプーリ16を一方の方向に回転させると、昇降軸7を回転させることができる。昇降軸7が回転すると、昇降軸7に固定された巻取ドラム8が回転するので、複数の遮蔽材3を上昇させることができる。複数の遮蔽材3を上昇させることで、ブラインド2を開くことができる。遮蔽材3を上昇させる際、ヘッドボックス6内に設けられるブラインド用変速装置1の作用によって、軽い力で操作することができる。
【0024】
ブラインド2は、複数の遮蔽材3が停止した状態から、操作部材17を操作することにより、クラッチユニット18の締結が解除されるまでプーリ16を他方の方向に回転させると、昇降軸7が自由回転可能な状態となる。従って、ボトムレール14の自重によって、複数の遮蔽材3を下降させることができる。複数の遮蔽材3を下降させることで、ブラインド2を閉じることができる。複数の遮蔽材3を下降させる際、ヘッドボックス6内に設けられるブレーキ20によって回転している昇降軸7を制動することで、遮蔽材3を低速で下降させることができる。
【0025】
前述したように、ヘッドボックス6内には、図2から図5に示すようなブラインド用変速装置1が内蔵される。ブラインド用変速装置1は、入力部21、出力部22、複数の伝達部23、及びケース24を備える。
【0026】
入力部21は、プーリ16が配置される側から順に、プーリ16からの回転力が入力される入力軸25と、入力軸25と一体回転する入力ギヤ26とを有する。入力軸25は、軸方向に沿って延びる丸棒状である。入力ギヤ26は、歯車状の部材である。入力軸25と入力ギヤ26とは、同軸上に配置された状態において、一体回転可能に固定される。なお、入力部21は、一体形成してもよい。図3に示すように、入力ギヤ26は、入力軸25が配置される側とは逆側において、端面に凹部27を有する。
【0027】
出力部22は、駆動軸である昇降軸7が配置される側から順に、昇降軸7に回転を伝達する出力軸28と、出力軸28と一体回転する出力ギヤ29と、出力ギヤ29と一体回転する連結軸30とを有する。出力軸28は、軸方向に沿って延びる丸棒状である。出力ギヤ29は、歯車状で、入力ギヤ26とは歯数及び歯先円直径が異なる。本実施形態では、出力ギヤ29の歯先円直径は、入力ギヤ26の歯先円直径よりも大きく、出力ギヤ29の歯数は、入力ギヤ26の歯数よりも多い。出力軸28と出力ギヤ29とは、同軸上に配置された状態において、一体回転可能に固定される。連結軸30は、軸方向に沿って延びる丸棒状である。連結軸30と出力ギヤ29とは、同軸上に配置された状態において、一体回転可能に固定される。なお、出力部22は、一体形成してもよい。
【0028】
図3(a)に示すように、出力部22の連結軸30が入力ギヤ26の凹部27に差し込まれることで、入力部21と出力部22とが連結される。入力部21と出力部22とが連結された状態において、入力部21と出力部22とは、同軸上に配置される。すなわち、入力軸25、入力ギヤ26、連結軸30、出力ギヤ29及び出力軸28は、同軸上に配置される。入力部21と出力部22とが連結された状態において、入力部21と出力部22とは、相対回転可能である。
【0029】
図示例では、ブラインド用変速装置1は、3つの伝達部23を有する。3つの伝達部23は、同様の構成である。伝達部23は、入力ギヤ26と噛合する第1伝達ギヤ31と、出力ギヤ29と噛合する第2伝達ギヤ32と、第1伝達ギヤ31と一体回転する第1支持軸33と、第2伝達ギヤ32と一体回転する第2支持軸34とを有する。第1伝達ギヤ31及び第2伝達ギヤ32は、歯車状の部材である。第1伝達ギヤ31の歯数は、第2伝達ギヤ32の歯数と異なる。図示例では、第1伝達ギヤ31の歯先円直径は、第2伝達ギヤ32の歯先円直径よりも大きく、第1伝達ギヤ31の歯数は、第2伝達ギヤ32の歯数よりも多い。第1伝達ギヤ31と第2伝達ギヤ32とは、同軸上に配置された状態において固定される。これにより、第1伝達ギヤ31と第2伝達ギヤ32とは、一体回転可能である。なお、第1伝達ギヤ31と第2伝達ギヤ32とは、一体形成してもよい。第1伝達ギヤ31と第2伝達ギヤ32とが一体回転可能であるので、入力ギヤ26の回転は、第1伝達ギヤ31及び第2伝達ギヤ32を介して、出力ギヤ29に伝達される。第1伝達ギヤ31には、第2伝達ギヤ32が設けられる側とは逆側において、第1支持軸33が設けられる。第1支持軸33は、第1伝達ギヤ31から突出している。第2伝達ギヤ32には、第1伝達ギヤ31が設けられる側とは逆側において、第2支持軸34が設けられる。第2支持軸34は、第2伝達ギヤ32から突出している。第1支持軸33、第1伝達ギヤ31、第2伝達ギヤ32、及び第2支持軸34は、同軸上に配置される。
【0030】
ケース24は、入力ギヤ26、出力ギヤ29、第1伝達ギヤ31及び第2伝達ギヤ32を収容可能な中空状で、ケース本体35及びケース蓋36を有する。ケース本体35は、中空状である。図示例では、ケース本体35は、軸方向一端側に開口する凹形状の中空部37を有する。図4(b)に示すように、ケース本体35は、中空部37の軸方向他端部に、出力軸28及び第2支持軸34を軸受可能な孔状の軸受部38,39を有する。ケース蓋36は、ケース本体35の中空部37を閉塞するように、ケース本体35に着脱可能に設けられる。例えば、ケース蓋36は、ねじによってケース本体35に取り付けられる。図4(c)に示すように、ケース蓋36は、入力軸25及び第1支持軸33を軸受可能な孔状の軸受部40,41を有する。ケース蓋36がケース本体35に取り付けられた状態において、入力軸25の軸受部40と出力軸28の軸受部38とは、同軸上に配置され、第1支持軸33の軸受部41と第2支持軸34の軸受部39とは、同軸上に配置される。このように、ケース24は、入力ギヤ26、出力ギヤ29、第1伝達ギヤ31及び第2伝達ギヤ32が収容された状態において、入力軸25、出力軸28、第1支持軸33及び第2支持軸34を各々軸受可能な孔状の複数の軸受部38,39,40,41を有する。
【0031】
図4(a)、図4(b)、図4(c)、図5(a)及び図5(b)に示すように、入力部21、出力部22及び複数の伝達部23は、ケース24に回転可能に設けられる。入力部21及び出力部22は、連結された状態で、ケース24に回転可能に保持される。入力部21及び出力部22は、入力ギヤ26及び出力ギヤ29がケース24の中空部37内に収容された状態で、入力軸25がケース蓋36の軸受部40に軸受されるとともに、出力軸28がケース本体35の軸受部38に軸受される。入力軸25は、ケース蓋36の軸受部40に軸受された状態において、ケース24から突出している。このような構成であるので、入力部21は、自身の軸線まわりに回転可能であり、出力部22は、自身の軸線まわりに回転可能である。伝達部23は、第1伝達ギヤ31及び第2伝達ギヤ32がケース24の中空部37内に収容された状態で、第1支持軸33がケース蓋36の軸受部41に軸受されるとともに、第2支持軸34がケース本体35の軸受部39に軸受される。これにより、伝達部23は、自身の軸線まわりに回転可能である。伝達部23がケース24に保持された状態において、第1伝達ギヤ31は、入力ギヤ26に噛み合っており、第2伝達ギヤ32は、出力ギヤ29に噛み合っている。
【0032】
本実施形態では、連結された入力部21及び出力部22の周囲に、3つの伝達部23が配置される。3つの伝達部23は、入力ギヤ26の軸心及び出力ギヤ29の軸心を中心とする周方向に等間隔に配置される。
【0033】
次に、図6(a)、図6(b)、図7(a)、図7(b)、図8(a)、図8(b)及び図8(c)を用いて、従来のブラインド用変速装置100と本実施形態のブラインド用変速装置1とを比較して説明する。従来のブラインド用変速装置100の場合、連結された入力ギヤ42及び出力ギヤ43の周囲に1つの伝達部が配置される構成である。伝達部は、入力ギヤ42と噛み合う第1伝達ギヤ44と、出力ギヤ43と噛み合う第2伝達ギヤ45とを有する。
【0034】
図6(b)に示すように、従来のブラインド用変速装置100の場合、回転時には、入力軸48を軸受する軸受部に鎖線矢印で示す方向の力がかかるとともに、第1伝達ギヤ44の側の第1支持軸49を軸受する不図示の軸受部に鎖線矢印で示す方向の力がかかる。これらの力は、回転するギヤ同士の反力によって生じる。このようにして軸受部に力がかかると、軸受部には摩擦抵抗が生じる。一方、図6(a)に示すように、第2伝達ギヤ45の側の第2支持軸47を軸受する不図示の軸受部に鎖線矢印で示す方向の力がかかるとともに、出力軸46を軸受する不図示の軸受部に鎖線矢印で示す方向の力がかかる。これらの力は、回転するギヤ同士の反力によって生じる。このようにして軸受部に力がかかると、軸受部には摩擦抵抗が生じる。
【0035】
図7(a)及び図7(b)に示すように、本実施形態のブラインド用変速装置1の出力ギヤ29の歯先円直径は、従来のブラインド用変速装置100の出力ギヤ43の歯先円直径よりも小さい。本実施形態のブラインド用変速装置1の出力ギヤ29の歯の数は、従来のブラインド用変速装置100の出力ギヤ43の歯の数と同じである。本実施形態のブラインド用変速装置1の第2伝達ギヤ32の歯先円直径は、従来のブラインド用変速装置100の第2伝達ギヤ45の歯先円直径よりも小さい。本実施形態のブラインド用変速装置1の第2伝達ギヤ32の歯の数は、従来のブラインド用変速装置100の第2伝達ギヤ45の歯の数と同じである。本実施形態のブラインド用変速装置1の入力ギヤ26の歯先円直径は、従来のブラインド用変速装置100の入力ギヤ42の歯先円直径よりも小さい。本実施形態のブラインド用変速装置1の入力ギヤ26の歯の数は、従来のブラインド用変速装置100の入力ギヤ42の歯の数と同じである。本実施形態のブラインド用変速装置1の第1伝達ギヤ31の歯先円直径は、従来のブラインド用変速装置100の第1伝達ギヤ44の歯先円直径よりも小さい。本実施形態のブラインド用変速装置1の第1伝達ギヤ31の歯の数は、従来のブラインド用変速装置100の第1伝達ギヤ44の歯の数と同じである。本実施形態のブラインド用変速装置1の伝達可能トルクは、従来のブラインド用変速装置100の伝達可能トルクと同じである。
【0036】
図7(b)に示すように、本実施形態のブラインド用変速装置1の場合、回転するギヤ同士の反力によって、入力軸25を軸受する軸受部40に点線矢印で示す方向の力がかかるとともに、第1伝達ギヤ31の側の第1支持軸33を軸受する軸受部41に鎖線矢印で示す方向の力がかかる。従って、本実施形態のブラインド用変速装置1では、入力軸25を軸受する軸受部40にかかる力同士が相殺されてラジアル荷重がゼロとなるので、入力軸25を軸受する軸受部40において発生する摩擦抵抗を低減できる。一方、図7(a)に示すように、回転するギヤ同士の反力によって、第2伝達ギヤ32の側の第2支持軸34を軸受する軸受部39に鎖線矢印で示す方向の力がかかるとともに、出力軸28を軸受する軸受部38に点線矢印で示す方向の力がかかる。従って、本実施形態のブラインド用変速装置1では、出力軸28を軸受する軸受部38にかかる力同士が相殺されてラジアル荷重がゼロとなるので、出力軸28を軸受する軸受部38において発生する摩擦抵抗を低減できる。なお、本実施形態のブラインド用変速装置1の場合、入力軸25を軸受する軸受部40にかかる力は、従来のブラインド用変速装置100と比較して小さい。また、本実施形態のブラインド用変速装置1の場合、出力軸28を軸受する軸受部38にかかる力は、従来のブラインド用変速装置100と比較して小さい。なお、各伝達ギヤの歯先円直径を小さくすると各伝達ギヤを軸受する軸受部にかかる力が大きくなり摩擦抵抗は増大するものの、各伝達ギヤの軸受部の径は入力軸25を軸受する軸受部40及び出力軸28を軸受する軸受部38に比べて小さいため、軸受部40及び軸受部38における摩擦抵抗の低減効果の方が大きく作用し、結果としてトルクの伝達効率を向上させることができる。
【0037】
上述したように、従来のブラインド用変速装置100と本実施形態のブラインド用変速装置1とを比較すると、本実施形態のブラインド用変速装置1は、伝達可能トルクを維持しつつ、各ギヤの歯先円直径が小さくなっている。従って、本実施形態のブラインド用変速装置1は、従来のブラインド用変速装置100と比較して、コンパクトな構成とすることができる。また、本実施形態のブラインド用変速装置1は、入力軸25及び出力軸28の軸受部に生じる摩擦抵抗を低減できるので、トルクの伝達効率を向上させることができるとともに、操作者の操作感を軽くすることができる。
【0038】
ところで、従来のブラインド用変速装置100の構成において、各ギヤの歯先円直径を小さくした場合について考える。この場合、各ギヤを小さくする前と伝達可能トルクが同じとすると、回転時に歯にかかる荷重は、各ギヤを小さくする前と比較して大きくなる。従って、各ギヤの歯が破損するおそれがあり、トルクの伝達効率の低下を招くおそれがある。しかしながら、本実施形態のブラインド用変速装置1では、複数の伝達部23を用いているので、前述した問題が生じない。
【0039】
図8(a)及び図8(b)に示すように、従来のブラインド用変速装置100の場合、ケースを小さくすると、各ギヤをケース内に収容することができないことを説明する。図8(a)に示すように、各ギヤは、ケース50内に収容される。ケース50の横方向の長さは、ケース50の横方向一端側と入力軸48との間の長さaと、ケース50の横方向他端側と入力軸48との間の長さbとを足した長さである。ケース50の縦方向の長さは、ケース50の縦方向一端側と入力軸48との間の長さAと、ケース50の縦方向他端側と入力軸48との間の長さBとを足した長さである。一方、図8(b)に示すように、図8(a)に示す従来のブラインド用変速装置100よりもケースを小さくすると、各ギヤは、ケース51内に収容されない。ケース51の横方向の長さは、ケース51の横方向一端側と入力軸48との間の長さaと、ケース51の横方向他端側と入力軸48との間の長さbとを足した長さである。ケース51の縦方向の長さは、ケース51の縦方向一端側と入力軸48との間の長さAと、ケース51の縦方向他端側と入力軸48との間の長さCとを足した長さである。図8(b)に示すケース51の縦方向の長さは、図8(a)に示すケース50の縦方向の長さよりも小さい。具体的には、ケース51の縦方向他端側と入力軸48との間の長さCは、ケース50の縦方向他端側と入力軸48との間の長さBよりも小さい。
【0040】
図8(c)に示すように、本実施形態のブラインド用変速装置1の場合、ケース52を小さくしても、各ギヤをケース52内に収容することができる。ケース52の横方向の長さは、ケース52の横方向一端側と入力軸25との間の長さaと、ケース52の横方向他端側と入力軸25との間の長さbとを足した長さである。ケース52の横方向一端側と入力軸25との間の長さaは、図8(b)に示すケース51の横方向一端側と入力軸48との間の長さaと同じである。ケース52の横方向他端側と入力軸25との間の長さbは、図8(b)に示すケース51の横方向他端側と入力軸48との間の長さbと同じである。ケース52の縦方向の長さは、ケース52の縦方向一端側と入力軸25との間の長さAと、ケース52の縦方向他端側と入力軸25との間の長さCとを足した長さである。ケース52の縦方向一端側と入力軸25との間の長さAは、図8(b)に示すケース51の縦方向一端側と入力軸48との間の長さAと同じである。ケース52の縦方向他端側と入力軸25との間の長さCは、図8(b)に示すケース51の縦方向他端側と入力軸48との間の長さCと同じである。
【0041】
上述したように、本実施形態のブラインド用変速装置1によれば、小さくなったケース52内に各ギヤを収容することができるので、従来のブラインド用変速装置100と比較して、コンパクトな構成とすることができる。従って、本実施形態のブラインド用変速装置1は、設計の自由度の向上を図ることができる。
【0042】
本実施形態のブラインド用変速装置1の場合、連結された入力部21及び出力部22の周囲に、複数の伝達部23が配置される。従って、本実施形態のブラインド用変速装置1によれば、ブラインド用変速装置1を配置する領域の寸法に応じて、複数の伝達部23を柔軟に配置することができるので、寸法の自由度の向上を図ることができる。
【0043】
本実施形態のブラインド用変速装置1の場合、連結された入力部21及び出力部22の周囲に、複数の伝達部23が配置される。従って、本実施形態のブラインド用変速装置1によれば、回転時に各ギヤの歯にかかる荷重を軽減できる。これにより、各ギヤの歯の数を変えずに、各ギヤの歯先円直径を小さくしても、各ギヤは、必要な伝達可能トルクに耐えることができる。即ち、本実施形態のブラインド用変速装置1によれば、従来のブラインド用変速装置100と比較して、変速比及び伝達可能トルクを維持しながらも、各ギヤの歯先円直径を小さくすることができる。なお、本実施形態のブラインド用変速装置1は、必ずしも従来のブラインド用変速装置100と同一の変速比(即ち、各ギヤの歯の数が同一)となるように構成する必要はない。
【0044】
本実施形態のブラインド用変速装置1の場合、複数の伝達部23は、入力ギヤ26の軸心及び出力ギヤ29の軸心を中心とする周方向に等間隔となるように各々配置される。従って、本実施形態のブラインド用変速装置1によれば、入力ギヤ26及び出力ギヤ29に加わる複数の力が相殺されて、入力軸25及び出力軸28にかかるラジアル荷重がゼロになるので、入力軸25の軸受部40及び出力軸28の軸受部38に生じる摩擦抵抗を低減でき、トルク伝達効率を向上させることができる。
【0045】
本実施形態のブラインド用変速装置1の場合、各ギヤは、ケース24内に収容される。従って、本実施形態のブラインド用変速装置1によれば、摩擦抵抗が少なくトルク伝達効率のよい変速装置1をユニット化することができる。
【0046】
本実施形態のブラインド2の場合、ブラインド用変速装置1の効果を奏するブラインドを実現することができる。
【0047】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範
囲での変形、改良は本発明に含まれる。
【0048】
例えば、本実施形態のブラインド用変速装置1の構成は、図9に示す構成、図10(a)に示す構成、又は図10(b)に示す構成であってもよい。なお、上記実施形態で付した符号と同じ符号を有する構成品は、その作用を同じにするので以下、説明を省略することがある。図9に示す変形例1のブラインド用変速装置1aの場合、2つの伝達部23を有する。なお、ここでは入力側からみた状態を図示しているため、図中には伝達部23が有する第1伝達ギヤ31が示されている(図10においても同様)。2つの伝達部23は、入力ギヤ26の軸心及び出力ギヤ29の軸心を中心とする周方向に等間隔となるように各々配置される。図10(a)に示す変形例2のブラインド用変速装置1bの場合、2つの伝達部23を有する。2つの伝達部23は、隣接して配置される。図10(b)に示す変形例3のブラインド用変速装置1cの場合、3つの伝達部23を有する。3つの伝達部23のうち、2つの伝達部23は、入力ギヤ26の軸心及び出力ギヤ29の軸心を中心とする周方向に等間隔となるように各々配置される。3つの伝達部23のうち、残りの1つの伝達部23は、周方向等間隔に配置された2つの伝達部23の間に配置される。
【0049】
前記実施形態及び前記各変形例では、伝達部23の数は、2つ又は3つとされたが、これに限定されるものではく、4つ以上であってもよい。すなわち、伝達部23は、複数であればよい。
【0050】
前記実施形態のブラインド用変速装置1は、減速装置であってもよいし、増速装置であってもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 ブラインド用変速装置
2 ブラインド
21 入力部
22 出力部
23 伝達部
24 ケース
25 入力軸
26 入力ギヤ
28 出力軸
29 出力ギヤ
31 第1伝達ギヤ
32 第2伝達ギヤ
33 第1支持軸
34 第2支持軸
38 軸受部
39 軸受部
40 軸受部
41 軸受部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10