(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168302
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/41 20060101AFI20241128BHJP
H01R 12/91 20110101ALN20241128BHJP
【FI】
H01R13/41
H01R12/91
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084851
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】390012977
【氏名又は名称】イリソ電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 仁
【テーマコード(参考)】
5E087
5E223
【Fターム(参考)】
5E087EE07
5E087FF06
5E087GG06
5E087MM02
5E087RR04
5E223AB02
5E223AB26
5E223BA01
5E223BA07
5E223BB01
5E223CB22
5E223CB29
5E223CB31
5E223CB44
5E223CD01
5E223DA08
5E223EA02
5E223EA13
(57)【要約】
【課題】新規な端子保持構造を有するコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ10が備える端子20は、被保持部22と、2つの分岐部23aと、を有する。被保持部22は、端子幅方向に垂直な方向を圧入方向としてハウジング40に圧入される。被保持部22は、端子幅方向における2つの分岐部23aの間の位置でハウジング40に保持される。そして、被保持部22の幅方向両側の端面22a1は、ハウジング40に接触しない。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子と、
ハウジングと、を備え、
前記端子は、
前記ハウジングに保持される被保持部と、
前記被保持部から延出する2つの分岐部と、を有し、
前記2つの分岐部は、前記被保持部における幅方向で互いに異なる位置から延出し、
前記被保持部は、幅方向に垂直な方向を圧入方向として前記ハウジングに圧入され、
前記被保持部は、幅方向における前記2つの分岐部の間の位置で前記ハウジングに保持される、
コネクタ。
【請求項2】
前記被保持部は、
前記2つの分岐部が延出する基部と、
前記基部のうち前記2つの分岐部が延出する部分の間の部分から前記圧入方向に突出する圧入突出部と、を有する、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記被保持部は、前記2つの分岐部が延出する基部を有し、
前記基部は、当該基部の両面が前記ハウジングに接触した状態で前記ハウジングに保持される、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記基部は、当該基部の両面が前記ハウジングに接触した状態で前記ハウジングに保持される、
請求項2に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記2つの分岐部のうち少なくとも一方は、前記被保持部から前記圧入方向に延びる圧入方向部を有し、
前記圧入方向部は、幅方向外側に伸長する幅方向伸長部を有する、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記2つの分岐部のうち少なくとも一方は、前記基部から前記圧入方向に延びる圧入方向部を有し、
前記圧入方向部は、幅方向外側に伸長する幅方向伸長部を有する、
請求項4に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記ハウジングは、幅方向に延びる幅方向延在部を有し、
前記幅方向延在部は、
前記被保持部の片面に接触する接触面と、
前記接触面に対して幅方向外側に位置する凹部と、を有する、
請求項1に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されたコネクタは、端子と、固定ハウジングと、可動ハウジングと、を有する。端子は、固定ハウジングに保持される固定側被保持部と、可動ハウジングに保持される可動側被保持部と、固定側被保持部から可動側被保持部まで伸長する中間部と、を有する。中間部は、固定側被保持部に対する前記可動側被保持部の移動を可能とするバネ部を有する。このため、固定ハウジングに対する可動ハウジングの移動が許容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の第1の目的は、所望の可動力を有し、かつ端子前後方向及び端子上下方向に対応する方向において小型なコネクタを提供することである。
本開示の第2の目的は、新規な端子保持構造を有するコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(第1の態様)
第1-1の態様に係るコネクタは、取付対象物の取付面に取り付けて用いるためのコネクタであって、端子と、前記取付対象物に固定される固定ハウジングと、前記固定ハウジングに対して移動可能な可動ハウジングと、を備え、前記端子は、前記固定ハウジングに保持される固定側被保持部と、前記可動ハウジングに保持される可動側被保持部と、前記固定側被保持部から前記可動側被保持部まで伸長する中間部と、を有し、前記端子に関し、前記取付面に垂直となる方向であって前記取付面から離れる方向を端子上方向といい、前記取付面に平行となる方向のうち、前記固定側被保持部に対して前記可動側被保持部が位置する方向を端子前方向といい、前記取付面に平行となる方向のうち、端子前方向に垂直な方向を端子幅方向というとき、前記中間部は、前記固定側被保持部に対する前記可動側被保持部の移動を可能とする第一バネ部であって、当該第一バネ部の板厚方向が第一方向と略平行である前記第一バネ部を有し、前記第一バネ部は、伸長方向が端子幅方向の成分を有する部分である幅方向伸長部を有する。
【0006】
本態様では、コネクタは、取付対象物の取付面に取り付けて用いるためのコネクタである。
コネクタは、端子と、固定ハウジングと、可動ハウジングと、を備える。固定ハウジングは、取付対象物に固定される。可動ハウジングは、固定ハウジングに対して移動可能である。
端子は、固定側被保持部と、可動側被保持部と、中間部と、を有する。固定側被保持部は、固定ハウジングに保持される。可動側被保持部は、可動ハウジングに保持される。中間部は、固定側被保持部から可動側被保持部まで伸長する。
ここで、中間部は、第一バネ部を有する。第一バネ部は、固定側被保持部に対する可動側被保持部の移動を可能とする。第一バネ部の板厚方向は、第一方向と略平行である。
このため、第一バネ部によって、第一方向の可動力を低減させることができる。
なお、第一方向の可動力とは、可動ハウジングを第一方向に移動させるために必要な力を意味する。また、ここでいう「略平行」とは、平行である関係のほか、若干傾斜した関係をも含む。
【0007】
また、本態様では、第一バネ部は、幅方向伸長部を有する。幅方向伸長部は、その伸長方向が端子幅方向の成分を有する部分である。
このため、第一バネ部が幅方向伸長部を有しない態様(例えば特許文献1開示のコネクタ参照)と比較して、第一バネ部を端子前後方向及び端子上下方向で大型化することなく、第一バネ部の長さを確保することができる。したがって、所望の可動力を有し、かつ端子前後方向及び端子上下方向に対応する方向において小型なコネクタを実現することができる。
【0008】
なお、後述の実施形態では、第一バネ部の幅方向伸長部の伸長方向が、幅方向に平行な方向である。しかし、本態様の第一バネ部の幅方向伸長部の伸長方向は、これに限定されない。幅方向伸長部は、その伸長方向が端子幅方向の成分を有していればよい。そのため、幅方向伸長部の伸長方向は、端子幅方向に対して斜めの方向であってもよい。
なお、後述の実施形態では、可動側被保持部が、端子上下方向において固定側被保持部と略同じ位置に位置する。しかし、本態様の可動側被保持部はこれに限定されない。
なお、後述の実施形態では、端子が中間部において分岐している。しかし、本態様の端子はこれに限定されない。
なお、後述の実施形態では、中間部が、その板厚方向を端子幅方向に垂直な平面内で変化させる形状であり、板厚方向を端子幅方向に垂直な方向に交差させる方向に向けた部分を有しない。しかし、本態様の中間部はこれに限定されない。
なお、後述の実施形態では、第一方向が端子前後方向であるが、本態様の第一方向はこれに限定されない。
なお、後述の実施形態では、端子幅方向に対応する方向での可動ハウジングの可動域が、端子前後方向に対応する方向での可動ハウジングの可動域の1/4以下である。しかし、本態様の可動ハウジングはこれに限定されない。
【0009】
第1-2の態様に係るコネクタは、第1-1の態様において、第一方向は、端子前後方向である。
【0010】
本態様では、第一方向は、端子前後方向である。
このため、第一バネ部によって、端子前後方向の可動力を低減させることができる。
【0011】
第1-3の態様に係るコネクタは、第1-1又は第1-2の態様において、前記第一バネ部の前記幅方向伸長部では、第一方向と端子幅方向の両方に垂直な方向である第二方向で、前記第一バネ部の伸長方向が逆転する。
【0012】
本態様では、第一バネ部の幅方向伸長部では、第二方向で、第一バネ部の伸長方向が逆転する。なお、第二方向は、第一方向と端子幅方向の両方に垂直な方向である。
このため、第一バネ部を第一方向で大型化させることなく、第一バネ部のバネ長を確保できる。
【0013】
第1-4の態様に係るコネクタは、第1-3の態様において、前記第一バネ部は、前記幅方向伸長部である第一幅方向伸長部と、伸長方向が端子幅方向の成分を有する部分である第二幅方向伸長部と、を有し、前記第二幅方向伸長部でも、第二方向で、前記第一バネ部の伸長方向が逆転する。
【0014】
本態様では、第一バネ部は、幅方向伸長部である第一幅方向伸長部と、伸長方向が端子幅方向の成分を有する部分である第二幅方向伸長部と、を有する。
ここで、第二幅方向伸長部でも、第二方向で、第一バネ部の伸長方向が逆転する。
このため、より一層、第一バネ部のバネ長を確保できる。
【0015】
第1-5の態様に係るコネクタは、第1-1~第1-4の何れかの態様において、前記中間部は、
前記固定側被保持部に対する前記可動側被保持部の移動を可能とする第二バネ部であって、当該第二バネ部の板厚方向が第一方向と略平行である前記第二バネ部と、前記第一バネ部と前記第二バネ部を連結する連結部と、を有し、前記第二バネ部は、前記第一バネ部とは第一方向で異なる位置に位置する。
【0016】
本態様では、中間部は、第二バネ部を有する。第二バネ部は、固定側被保持部に対する可動側被保持部の移動を可能とする。第二バネ部の板厚方向は、第一方向と略平行である。
このため、第二バネ部によって、第一方向の可動力を低減させることができる。
また、第二バネ部は、第一バネ部とは第一方向で異なる位置に位置する。中間部は、第一バネ部と第二バネ部を連結する連結部を有する。
このため、第一方向の空間を利用して、中間部のバネ長を確保することができる。
なお、後述の実施形態では、連結部が、一対の曲部と、直線部と、から構成される。しかし、本態様の連結部は、これに限定されず、曲部のみから構成されてもよい。
【0017】
第1-6の態様に係るコネクタは、第1-5の態様において、前記第二バネ部は、伸長方向が端子幅方向の成分を有する部分である幅方向伸長部を有する。
【0018】
本態様では、第二バネ部は、伸長方向が端子幅方向の成分を有する部分である幅方向伸長部を有する。
このため、第二バネ部が幅方向伸長部を有しない態様と比較して、第二バネ部のバネ長を稼ぐことができる。
【0019】
第1-7の態様に係るコネクタは、第1-6の態様において、前記第二バネ部の前記幅方向伸長部では、第二方向で、前記第二バネ部の伸長方向が逆転しない。
【0020】
本態様では、第二バネ部の前記幅方向伸長部では、第二方向で、第二バネ部の伸長方向が逆転しない。
このため、第二バネ部を比較的単純な構造にすることができる。
【0021】
第1-8の態様に係るコネクタは、第1-5~第1-7の何れかの態様において、第一方向は、端子前後方向であり、前記第二バネ部は、前記固定側被保持部から端子上方向に延出する。
【0022】
本態様では、第一方向は、端子前後方向である。第二バネ部は、固定側被保持部から端子上方向に延出する。
このため、固定側被保持部の端子上側の空間を利用して第二バネ部を配置することができる。
【0023】
第1-9の態様に係るコネクタは、第1-8の態様において、前記固定側被保持部は、端子上方向を圧入方向として前記固定ハウジングに圧入され、前記第二バネ部は、板厚方向に僅かに曲げられた弱曲部を有する。
【0024】
本態様では、固定側被保持部は、端子上方向を圧入方向として固定ハウジングに圧入される。
このため、固定側被保持部から端子上方向に延出する第二バネ部が、圧入工程の邪魔になりやすい。
そこで、第二バネ部は、板厚方向に僅かに曲げられた弱曲部を有する。
このため、第二バネ部を圧入工程の邪魔にならない方向に若干傾斜させることができる。
【0025】
第1-10の態様に係るコネクタは、第1-1~第1-10の何れかの態様において、第一方向は、端子前後方向であり、前記第一バネ部は、端子前後方向において、前記固定側被保持部と前記可動側被保持部との間に位置する。
【0026】
本態様では、第一方向は、端子前後方向である。第一バネ部は、端子前後方向において、固定側被保持部と可動側被保持部との間に位置する。
このため、端子上下方向において端子の大型化を避けることができる。
【0027】
第1-11の態様に係るコネクタは、第1-1~第1-10の何れかの態様において、前記中間部は、分岐している。
【0028】
本態様では、中間部は、分岐している。
このため、中間部の表面積が拡大する。その結果、端子の温度上昇を抑制することができる。
【0029】
なお、後述の実施形態では、中間部の全体が、2つの分岐部に分岐している。しかし、本態様の中間部はこれに限定されない。
【0030】
第1-12の態様に係るコネクタは、第1-11の態様において、前記中間部は、端子幅方向について対称な形状である。
【0031】
本態様では、中間部は、端子幅方向について対称な形状である。
このため、可動力に対称性を持たせることができる。
【0032】
第1-13の態様に係るコネクタは、第1-1~第1~12の何れかの態様において、前記中間部は、板厚方向を端子幅方向に垂直な平面に交差させる方向に向ける部分を有しない。
【0033】
本態様では、中間部は、板厚方向を端子幅方向に垂直な平面に交差させる方向に向ける部分を有しない。
このため、端子幅方向に垂直な平面に平行な方向の可動力を低減させやすい。
【0034】
(第2の態様)
第2-1の態様に係るコネクタは、端子と、ハウジングと、を備え、前記端子は、前記ハウジングに保持される被保持部と、前記被保持部から延出する2つの分岐部と、を有し、前記2つの分岐部は、端子幅方向で互いに異なる位置から延出し、前記被保持部は、端子幅方向に垂直な方向を圧入方向として前記ハウジングに圧入され、前記被保持部は、端子幅方向における前記2つの分岐部の間の位置で前記ハウジングに保持され、前記被保持部の幅方向両側の端面は、前記ハウジングに接触しない。
【0035】
本態様では、コネクタは、端子と、ハウジングと、を備える。
端子は、被保持部と、2つの分岐部と、を有する。被保持部は、ハウジングに保持される。2つの分岐部は、被保持部から延出する。2つの分岐部は、端子幅方向で互いに異なる位置から延出する。被保持部は、端子幅方向に垂直な方向を圧入方向としてハウジングに圧入される。
【0036】
ところで、特許文献1記載のコネクタでは、被保持部は、当該被保持部の幅方向両側の端面がハウジングに接触した状態でハウジングに保持される。そのため、これに対応した構造をハウジングに設ける必要がある。
これに対し、本態様では、被保持部は、端子幅方向における2つの分岐部の間の位置でハウジングに保持される。そして、被保持部の幅方向両側の端面は、ハウジングに接触しない。
このため、ハウジングに、被保持部の幅方向両側の端面に接触して被保持部を保持する構造を設ける必要がない。
【0037】
なお、後述の実施形態では、2つの分岐部は、被保持部から圧入方向に延出する。しかし、本態様の2つの分岐部は、これに限定されない。本態様の2つの分岐部は、被保持部から端子幅方向外側に延出してもよい。
なお、後述の実施形態では、コネクタが固定ハウジングと可動ハウジングとを有し、固定ハウジングが本態様の「ハウジング」に相当する。しかし、本態様はこれに限定されない。本態様のコネクタは、可動ハウジングを有しなくてもよい。
なお、後述の実施形態では、2つの分岐部が、中間部である。しかし、本態様の2つの分岐部はこれに限定されない。本態様の2つの分岐部は、取付対象物に接続される2つの接続片であってもよい。また、本態様の2つの分岐部は、接続対象物に接触する2つの接触片であってもよい。
なお、後述の実施形態では、ハウジングが、固定ハウジングである。しかし、本態様のハウジングは、これに限定されず、可動ハウジングであってもよい。
なお、後述の実施形態では、コネクタが、可動ハウジングを備える。しかし、本態様のコネクタは、これに限定されず、可動ハウジングを備えなくてもよい。
なお、後述の実施形態では、コネクタが、端子幅方向で隣り合う複数の端子を備える。この場合、本態様の端子の構造によれば、当該隣り合う複数の端子間の沿面距離を稼ぐことができる。しかし、本態様のコネクタは、これに限定されず、端子幅方向で隣り合う複数の端子を備えていなくてもよい。
なお、後述の実施形態では、端子が、2つの分岐部から構成される中間部を有する。しかし、本態様の端子は、これに限定されない。本態様の端子は、3つ以上の分岐部から構成される中間部を有してもよい。換言すると、端子は、本態様の「2つの分岐部」以外の分岐部を有していてもよい。
なお、後述の実施形態では、圧入方向は、端子上方向である。しかし、本態様の圧入方向は、これに限定されず、端子下方向であってもよい。
【0038】
第2-2の態様に係るコネクタは、第2-1において、前記被保持部は、前記2つの分岐部が延出する基部と、前記基部のうち前記2つの分岐部が延出する部分の間の部分から前記圧入方向に突出する圧入突出部と、を有する。
【0039】
本態様では、被保持部は、基部と、圧入突出部と、を有する。2つの分岐部は、基部から延出する。圧入突出部は、基部のうち2つの分岐部が延出する部分の間の部分から圧入方向に突出する。
このため、圧入突出部によって、被保持部をハウジングに保持させることができる。
なお、圧入突出部は、当該圧入突出部の幅方向両側の端面がハウジングに接触した状態でハウジングに保持される。
【0040】
第2-3の態様に係るコネクタは、第2-1の態様において、前記被保持部は、前記2つの分岐部が延出する基部を有し、前記基部は、当該基部の両面が前記ハウジングに接触した状態で前記ハウジングに保持される。
【0041】
本態様では、基部は、当該基部の両面がハウジングに接触した状態でハウジングに保持される。
このため、基部をハウジングに適切に保持させることがができる。
【0042】
第2-4の態様に係るコネクタは、第2-2の態様において、前記基部は、当該基部の両面が前記ハウジングに接触した状態で前記ハウジングに保持される。
【0043】
本態様では、基部は、当該基部の両面がハウジングに接触した状態でハウジングに保持される。
このため、被保持部を、圧入突出部のみでなく、基部においてもハウジングに適切に保持させることがができる。
【0044】
第2-5の態様に係るコネクタは、第2-1~第2-4の何れかの態様において、前記2つの分岐部のうち少なくとも一方は、前記被保持部から前記圧入方向に延びる圧入方向部を有し、前記圧入方向部は、幅方向外側に伸長する幅方向伸長部を有する。
【0045】
本態様では、2つの分岐部のうち少なくとも一方は、被保持部から圧入方向に延びる圧入方向部を有する。
このため、2つの分岐部のいずれもが圧入方向部を有しない態様と比較して、空間を有効に利用して分岐部の長さを確保することができる。
また、本態様では、圧入方向部は、幅方向外側に伸長する幅方向伸長部を有する。
このため、圧入方向部が幅方向伸長部を有しない態様と比較して、圧入方向部において分岐部の長さを確保することができる。
なお、仮に、本態様とは異なり、基部の幅方向外側の端面がハウジングに接触した状態で基部がハウジングに保持される態様であると、幅方向伸長部を有する圧入方向部がハウジングに干渉することにより、基部をハウジングに保持させるように圧入することが困難となる。しかし、本態様では、基部の幅方向外側の端面がハウジングに接触した状態で基部がハウジングに保持される態様ではないので、このような問題が起こらない。
【0046】
なお、後述の実施形態では、圧入方向部が、被保持部から圧入方向に延出して、圧入方向に延びる。しかし、本態様の圧入方向部はこれに限定されない。本態様の圧入方向部は、被保持部から端子幅方向外側に延出し、その後、圧入方向に延びてもよい。
【0047】
第2-6の態様に係るコネクタは、第2-4の態様において、前記2つの分岐部のうち少なくとも一方は、前記基部から前記圧入方向に延びる圧入方向部を有し、前記圧入方向部は、幅方向外側に伸長する幅方向伸長部を有する。
【0048】
本態様では、第2-4の態様において、更に分岐部の長さを確保することができる。
【0049】
第2-7の態様に係るコネクタは、第2-1~第2-6の何れかの態様において、前記ハウジングは、幅方向に延びる幅方向延在部を有し、前記幅方向延在部は、前記被保持部の片面に接触する接触面と、前記接触面に対して幅方向外側に位置する凹部と、を有する。
【0050】
本態様では、ハウジングは、幅方向に延びる幅方向延在部を有する。幅方向延在部は、被保持部の片面に接触する接触面と、接触面に対して幅方向外側に位置する凹部と、を有する。
このため、凹部が形成された位置において、幅方向延在部と端子の被保持部との接触を避けることができる。
【0051】
なお、後述の実施形態では、接触面に対して幅方向両側に一対の凹部が形成される。しかし、本態様はこれに限定されない。凹部は、接触面に対して幅方向の一方側のみに形成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図6】固定ハウジングの保持壁の構造を示す断面図である。
【
図7】端子が保持された状態を示す
図6に対応する断面図である。
【
図8】固定ハウジングの保持壁の構造を示す他の断面図である。
【
図9】端子が保持された状態を示す
図8に対応する断面図である。
【
図10】変形例のコネクタの一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、本開示に係るコネクタの好適な実施形態について説明する。
【0054】
なお、各図に示す矢印X方向をコネクタ幅方向一方側、矢印Y方向をコネクタ前方向、矢印Z方向をコネクタ上方向として説明する。但し、これらの用語は、使用状態におけるコネクタの姿勢を限定するものではない。
また、コネクタ幅方向をピッチ方向といい、コネクタ前方向を列間方向一方側、コネクタ後方向を列間方向他方側ということがある。
【0055】
(コネクタ10)
図1、
図2は、本実施形態のコネクタ10を示す。
【0056】
コネクタ10は、端子部20と、ハウジング部30と、を備える。
【0057】
図2に示すように、端子部20は、1以上の端子20で構成される。なお、簡単のため、端子部20と端子20とには同じ符号を付す。
本実施形態では、端子部20は、複数(4つ)の端子20から構成される。具体的には、端子部20は、列間方向一方側の複数(2つ)の端子20と、列間方向他方側の複数(2つ)の端子20と、から構成される。
列間方向一方側の端子20と列間方向他方側の端子20とは、互いの端子前方向(
図3A参照)を向かい合わせる姿勢で配置される。換言すると、複数の端子20の各々は、その端子前方向を列間方向内側に向けて配置される。
複数の端子20は、互いに同一の構造である。
【0058】
ハウジング部30は、固定ハウジング40と、可動ハウジング50と、を備える。
【0059】
固定ハウジング40は、取付対象物90に対して移動不能に構成される。具体的には、固定ハウジング40は、端子部20を介して取付対象物90に固定される。以下、固定ハウジング40を単にハウジング40ということがある。
可動ハウジング50は、取付対象物90に対して移動可能に構成される。具体的には、可動ハウジング50は、端子部20によって移動可能に支持される。
【0060】
【0061】
端子20は、端子前方向を列間方向内側に向けると共に、端子上方向をコネクタ上方向に向けて配置される。また、端子幅方向は、コネクタ幅方向と平行となる。
【0062】
端子20は、接続部21と、固定側被保持部22と、中間部23と、可動側被保持部24と、接触部25と、を有する。
【0063】
接続部21は、取付対象物90と接続する。取付対象物90は、例えば基板である。
固定側被保持部22は、固定ハウジング40に保持される。
中間部23は、固定側被保持部22から可動側被保持部24まで伸長する。中間部23は、固定側被保持部22に対する可動側被保持部24の相対移動を許容するように構成される。
可動側被保持部24は、可動ハウジング50に保持される。
接触部25は、接続対象物(不図示)に接触する。具体的には、接触部25は、接続対象物(不図示)としての相手コネクタの相手端子80の相手接触部82に接触する(
図4参照)。
【0064】
接続部21は、2つの接続片21aに分岐している。
接続部21は、取付対象物90の取付面91に半田付けされる。具体的には、2つの接続片21aの各々は、取付対象物90の取付面91に半田付けされる。
【0065】
固定側被保持部22は、固定ハウジング40に対して圧入されることで固定ハウジング40に保持される。固定側被保持部22の固定ハウジング40に対する圧入方向は、端子上方向である。
【0066】
固定側被保持部22は、平板状であり、板厚方向を端子前後方向に向ける。
固定側被保持部22は、基部22aと、圧入突出部22bと、を有する。
基部22aは、端子幅方向に延びる形状であり、具体的には、端子幅方向を長手方向とする略長方形状である。2つの接続片21aは、基部22aから延出する。
圧入突出部22bは、基部22aの幅方向中央位置から端子上方向に突出する。
【0067】
図7に示すように、圧入突出部22bは、突起22b1を有する。突起22b1は、圧入突出部22bの端子幅方向外側の2つの端面のうち、一方の端面のみに形成される。圧入突出部22bの端子幅方向外側の2つの端面のうち他方の端面22b2(
図3A参照)は、端子上下方向に直線状に延びる。
【0068】
中間部23は、その板厚方向を端子幅方向に垂直な平面内で変化させる形状である。
【0069】
中間部23は、2つの分岐部23aから構成される。2つの分岐部23aは、基部22aから端子上方向に延出する。2つの分岐部23aは、端子幅方向について対称な構造である。このため、2つの分岐部23aは、互いに同様の構造を有する。
【0070】
分岐部23aは、第一バネ部26と、第二バネ部27と、を有する。第一バネ部26は、第二バネ部27に対して端子前側に位置し、可動側被保持部24に対して端子後側に位置する。
また、分岐部23aは、第二バネ部27と第一バネ部26とを連結する第一連結部28と、第一バネ部26と可動側被保持部24とを連結する第二連結部29と、を有する。
【0071】
第二バネ部27の終端は、第二バネ部27の始端に対して端子上側に位置する。本実施形態では、第二バネ部27の始端は、基部22aと第二バネ部27との境界部分であり、第二バネ部27の終端は、第二バネ部27と第一連結部28との境界部分である。
第一バネ部26の終端は、第一バネ部26の始端に対して端子下側に位置する。本実施形態では、第一バネ部26の始端は、第一連結部28と第一バネ部26との境界部分であり、第一バネ部26の終端は、第一バネ部26と第二連結部29との境界部分である。
【0072】
第一連結部28は、その板厚方向を端子幅方向に垂直な平面内で変化させる形状である。第一連結部28において、中間部23の伸長方向は、上方向から下方向に逆転する。
【0073】
第二連結部29は、その板厚方向を端子幅方向に垂直な平面内で変化させる形状である。第二連結部29において、中間部23の伸長方向は、下方向から上方向に逆転する。
【0074】
図3Bに示すように、第一バネ部26は、第一下方向伸長部26aと、上方向伸長部26cと、第二下方向伸長部26eと、を有する。
また、第一バネ部26は、第一下方向伸長部26aと上方向伸長部26cとを繋ぐ第一幅方向伸長部26bと、上方向伸長部26cと第二下方向伸長部26eとを繋ぐ第二幅方向伸長部26dと、を有する。
第一下方向伸長部26aの伸長方向は、端子下方向である。
上方向伸長部26cの伸長方向は、端子上方向である。
第二下方向伸長部26eの伸長方向は、端子下方向である。
これにより、第一バネ部26は、S字状となっている。また、第一バネ部26は、その全体が平板状である。換言すると、第一バネ部26は、板厚方向に曲げられた曲部を有しない。第一バネ部26の板厚方向は、端子前後方向(第一方向)と平行である。
【0075】
第二バネ部27は、第一上伸長部27aと、幅方向伸長部27bと、第二上伸長部27cと、を有する。
第一上伸長部27aの伸長方向は、概ね、端子上方向である。
幅方向伸長部27bの伸長方向は、概ね、端子幅方向外側かつ端子上方向の斜め方向である。
第二上伸長部27cの伸長方向は、概ね、端子上方向である。
【0076】
第一上伸長部27aは、端子前側に僅かに曲げられた弱曲部27a1を有する。これにより、第二バネ部27のうち、弱曲部27a1よりも他端側の部分(可動側被保持部24側の部分)は、板厚方向が端子前後方向に対して若干傾斜している。幅方向伸長部27b及び第二上伸長部27cは、当該傾斜している部分に属する。当該傾斜している部分の板厚方向の、端子前後方向に対する傾斜角度は、例えば5~30度である。
したがって、第二バネ部27の大部分に関し、その板厚方向は、端子前後方向に対して若干傾斜した方向を向く。
第二バネ部27は、固定側被保持部22の基部22aから圧入方向(端子上方向)に延びるといえる。ここで、圧入方向とは、固定側被保持部22の圧入方向である。以下、第二バネ部27を圧入方向部27ということがある。
【0077】
第一連結部28は、一対の曲部28a,28cと、直線部28bと、から構成される。
第二連結部29は、一対の曲部29a,29cと、直線部29bと、から構成される。
【0078】
第二幅方向伸長部26dの上端は、第一連結部28の上端よりも上側に位置する(
図4参照)。このように、第一バネ部26の上端位置を高い位置に設定することで、第一バネ部26においてバネ長を長くできる。より具体的には、第一バネ部26の上端(第二幅方向伸長部26dの上端)は、後述する固定ハウジング40の第二幅方向延在部43の下面よりも上側に位置する(
図4参照)。
【0079】
可動側被保持部24は、可動ハウジング50に対して圧入されることで可動ハウジング50に保持される。可動側被保持部24の可動ハウジング50に対する圧入方向は、上方向である。
可動側被保持部24は、平板状であり、板厚方向を端子前後方向に向ける。可動側被保持部24は、端子幅方向を長手方向とする略長方形状である。可動側被保持部24は、当該可動側被保持部24の幅方向外側の端面が固定ハウジング40に接触した状態で、固定ハウジング40に保持される。可動側被保持部24の幅方向外側の端面には、突起24aが形成される。
【0080】
接触部25は、2つの接触片25aから構成される。2つの接触片25aは、可動側被保持部24から端子上方向に延出する。2つの接触片25aは、互いに同じ形状である。
接触部25は、可動側被保持部24から端子上方向に延出した後、端子前側に折り返されるように曲げられている。当該曲げられている部分において、接触部25の伸長方向が端子上下方向で逆転している。そして、当該曲げられている部分よりも先端側で相手接触部82に対して接触する。
【0081】
(固定ハウジング40)
図5は、固定ハウジング40を示す。
【0082】
固定ハウジング40は、一対の幅方向外側壁41と、一対の第一幅方向延在部42と、一対の第二幅方向延在部43と、複数(4つ)の保持壁44と、複数(2つ)の隔壁45と、を有する。
【0083】
一対の幅方向外側壁41は、固定ハウジング40の幅方向外側の端部に位置する。
第一幅方向延在部42は、コネクタ幅方向に延在する。第一幅方向延在部42は、一対の幅方向外側壁41をコネクタ幅方向で連結する。第一幅方向延在部42は、固定ハウジング40の列間方向外側の端部に位置する。
第二幅方向延在部43は、コネクタ幅方向に延在する。第二幅方向延在部43は、一対の幅方向外側壁41をコネクタ幅方向で連結する。第二幅方向延在部43は、固定ハウジング40の上側の端部に位置する。第二幅方向延在部43は、端子20の一部を上側から覆う(
図4参照)。
保持壁44は、端子20の固定側被保持部22を保持する。保持壁44は、第一幅方向延在部42と第二幅方向延在部43とをコネクタ上下方向で連結する。保持壁44の幅方向両側には、前後方向開放窓が形成される。前後方向開放窓が形成されることで、コネクタ10をコネクタ前後方向から見たとき、端子20の一部が固定ハウジング40に覆われない。これにより、放熱がされやすくなる。
隔壁45は、ピッチ方向で隣り合う2つの端子20の間に位置する。これにより、隔壁45は、ピッチ方向で隣り合う2つの端子20の間での短絡を防止する。
【0084】
幅方向外側壁41は、複数の拘束凹部41aを有する。拘束凹部41aは、一対の幅方向外側壁41の各々について、2つずつ形成される。
【0085】
固定ハウジング40は、2つのボス41bを有する。2つのボス41bにより、取付対象物90に対する固定ハウジング40の位置決めが確実になる。ボス41bは、一対の幅方向外側壁41における、2つの拘束凹部41aの間の部分から下方向に突出する。
【0086】
図6~
図9に示すように、保持壁44は、圧入孔47を有する。端子20の圧入突出部22bが圧入孔47に圧入される。圧入孔47は、保持壁44の一般部44aに形成される。
【0087】
圧入孔47は、列間方向内側面47a(
図6参照)と、列間方向外側面47b(
図8参照)と、を有する。
列間方向内側面47aは、列間方向外側を向く平面である。
列間方向外側面47bは、列間方向内側を向く平面である。
【0088】
図6、
図8に示すように、圧入孔47は、幅方向一方側面47cと、幅方向他方側面47dと、を有する。
幅方向一方側面47cは、幅方向他方側を向く平面である。
幅方向他方側面47dは、幅方向一方側を向く平面である。
【0089】
幅方向一方側面47cは、奥側面47c1と、手前側面47c2と、を有する。
奥側面47c1は、手前側面47c2よりも幅方向他方側に位置する。
奥側面47c1には、圧入突出部22bの圧入方向奥側の突起22b1が食い込む。
手前側面47c2には、圧入突出部22bの圧入方向手前側の突起22b1が食い込む。
端子20の圧入突出部22bの幅方向他方側の端面22b2(
図3A参照)は、幅方向他方側面47dに対して、上下方向に亘って接触するようになっている(
図7、
図9参照)。その結果、端子20が固定ハウジング40に保持された状態で、端子20が固定ハウジング40に対して傾いた姿勢になることが防止される。換言すると、端子上方向が、コネクタ上方向に対して傾くことが防止される。
【0090】
図6に示すように、圧入孔47は、一対の連結面47eを有する。但し、
図6では、一方の連結面47eのうち他方の連結面47eは隠れている。
一方の連結面47eは、列間方向内側面47aと幅方向一方側面47cとを斜めに連結する。
他方の連結面47eは、列間方向内側面47aと幅方向他方側面47dとを斜めに連結する。
一対の連結面47eにより、端子20の圧入突出部22bが、列間方向内側面47a及び列間方向外側面47bのうち列間方向外側面47bに接触した状態を実現しやすくなる。また、端子20の基部22aが、第一幅方向延在部42の接触面42a(
図8参照)に接触した状態を実現しやすくなる。
【0091】
図6に示すように、保持壁44は、一般部44aに加えて、挟持部44bを有する。
図4に示すように、挟持部44bは、第一幅方向延在部42との間に端子20の基部22aの一部を挟持する。挟持部44bは、保持壁44の一般部44aからコネクタ下方向に突出する。挟持部44bは、第一幅方向延在部42に対して列間方向内側に位置する。
【0092】
図6に示すように、挟持部44bは、本体部44b1と、2つの突出部44b2を有する。
本体部44b1の形状は、直方体である。
突出部44b2は、挟持部44bの本体部44b1から列間方向外側(端子後側)に突出する。このため、端子20の基部22aの端子前側の面は、2つの突出部44b2に接触する。また、端子20の基部22aの端子後側の面は、第一幅方向延在部42の接触面42a(
図8参照)に接触する。第一幅方向延在部42の接触面42aは、平面であり、圧入孔47の列間方向外側面47bと面一の関係にある。
突出部44b2は、上下方向に延びる。突出部44b2の上端は、保持壁44の一般部44aと接続する。突出部44b2の下端は、挟持部44bの下端よりも上側に位置する。
【0093】
(可動ハウジング50)
図4に示すように、可動ハウジング50は、端子20の接触部25を収容する収容空間51を有する。
【0094】
可動ハウジング50は、相手端子80の相手接触部82が挿入される挿入口52を有する。相手接触部82の形状は、列間方向を板厚方向とする板状であり、挿入口52は、コネクタ上方向から見て、コネクタ幅方向に長い長方形状である。挿入口52の長手方向の長さは、相手接触部82の長手方向の長さに対して余裕のある長さとなっている。これにより、相手接触部82のコネクタ幅方向における若干の位置ズレが許容される。
【0095】
挿入口52は、2つ設けられる。つまり、挿入口52は、列間方向で隣り合う一対の端子20に対して1つ設けられる。これに対応し、列間方向で隣り合う一対の収容空間51は、列間方向で互いに連結されている。列間方向一方側の端子20の接触部25は、相手接触部82に対して列間方向一方側から接触し、列間方向他方側の端子20の接触部25は、同じ相手接触部82に対して列間方向他方側から接触する。
【0096】
可動ハウジング50は、一対の誘導面53を有する。一対の誘導面53は、コネクタ前後方向において、相手接触部82を挿入口52に案内する方向に傾斜している。
なお、可動ハウジング50は、コネクタ幅方向において、相手接触部82を挿入口52に案内する方向に傾斜する誘導面を有しない。
【0097】
可動ハウジング50は、上側開放窓54を有する。収容空間51は、上側開放窓54を介して上側に開放される。上側開放窓54は、排熱に資する。上側開放窓54は、収容空間51に対応して複数(4つ)形成される。
【0098】
図2に示すように、可動ハウジング50は、凹部55を有する。
凹部55は、固定ハウジング40の隔壁45の一部が侵入可能に構成される。凹部55によって、可動ハウジング50のコネクタ前後方向の可動域が確保される。また、隔壁45を列間方向内側に大きく形成できる。
図1、
図4に示すように、通常状態において、隔壁45の一部は、可動ハウジング50の凹部55に入り込んでいる。ここでいう通常状態とは、端子20及び可動ハウジング50に対して外力が加わっていない状態(例えばコネクタ10に接続対象物が接続していない状態)をいう。
【0099】
可動ハウジング50は、複数の被拘束部56を有する。各被拘束部56は、可動ハウジング50からコネクタ幅方向外側に突出する。被拘束部56は、合計4つ形成される。
【0100】
<作用効果>
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0101】
本実施形態では、
図4に示すように、コネクタ10は、取付対象物90の取付面91に取り付けて用いるためのコネクタである。
コネクタ10は、端子20と、固定ハウジング40と、可動ハウジング50と、を備える。固定ハウジング40は、取付対象物90に固定される。可動ハウジング50は、固定ハウジング40に対して移動可能である。
端子20は、固定側被保持部22と、可動側被保持部24と、中間部23と、を有する。固定側被保持部22は、固定ハウジング40に保持される。可動側被保持部24は、可動ハウジング50に保持される。中間部23は、固定側被保持部22から可動側被保持部24まで伸長する。
ここで、
図3Aに示すように、中間部23は、第一バネ部26を有する。第一バネ部26は、固定側被保持部22に対する可動側被保持部24の移動を可能とする。第一バネ部26の板厚方向は、第一方向(本実施形態では端子前後方向)と略平行である。
このため、第一バネ部26によって、第一方向の可動力を低減させることができる。
なお、第一方向の可動力とは、可動ハウジング50を第一方向に移動させるために必要な力を意味する。また、ここでいう「略平行」とは、平行である関係のほか、若干傾斜した関係をも含む。
【0102】
また、本実施形態では、
図3Bに示すように、第一バネ部26は、幅方向伸長部26bを有する。幅方向伸長部26bは、その伸長方向が端子幅方向の成分を有する部分である。
このため、第一バネ部が幅方向伸長部を有しない態様(例えば特許文献1開示のコネクタ参照)と比較して、第一バネ部26を端子前後方向及び端子上下方向で大型化することなく、第一バネ部26の長さを確保することができる。したがって、所望の可動力を有し、かつ端子前後方向及び端子上下方向に対応する方向において小型なコネクタを実現することができる。
【0103】
また、本実施形態では、第一方向は、端子前後方向である。
このため、第一バネ部26によって、端子前後方向の可動力を低減させることができる。
【0104】
また、本実施形態では、
図3Bに示すように、第一バネ部26の幅方向伸長部26bでは、第二方向で、第一バネ部26の伸長方向が逆転する。なお、第二方向は、第一方向と端子幅方向の両方に垂直な方向であり、本実施形態では端子上下方向である。
このため、第一バネ部26を第一方向で大型化させることなく、第一バネ部26のバネ長を確保できる。
【0105】
また、本実施形態では、第一バネ部26は、上述の幅方向伸長部26bである第一幅方向伸長部26bと、伸長方向が端子幅方向の成分を有する部分である第二幅方向伸長部26dと、を有する。
ここで、第二幅方向伸長部26dでも、第二方向で、第一バネ部26の伸長方向が逆転する。
このため、より一層、第一バネ部26のバネ長を確保できる。
【0106】
また、本実施形態では、中間部23は、第二バネ部27を有する。第二バネ部27は、固定側被保持部22に対する可動側被保持部24の移動を可能とする。第二バネ部27の板厚方向は、第一方向と略平行である。
このため、第二バネ部27によって、第一方向の可動力を低減させることができる。
また、第二バネ部27は、第一バネ部26とは第一方向で異なる位置に位置する。中間部23は、第一バネ部26と第二バネ部27を連結する連結部28を有する。
このため、第一方向の空間を利用して、中間部23のバネ長を確保することができる。
【0107】
また、本実施形態では、
図3A、
図3Bに示すように、第二バネ部27は、伸長方向が端子幅方向の成分を有する部分である幅方向伸長部27bを有する。
このため、第二バネ部27が幅方向伸長部27bを有しない態様と比較して、第二バネ部27のバネ長を稼ぐことができる。
【0108】
また、本実施形態では、第二バネ部27の幅方向伸長部27bでは、第二方向で、第二バネ部27の伸長方向が逆転しない。
このため、第二バネ部27を比較的単純な構造にすることができる。
【0109】
また、本実施形態では、第一方向は、端子前後方向である。第二バネ部27は、固定側被保持部22から端子上方向に延出する。
このため、固定側被保持部22の端子上方向側の空間を利用して第二バネ部27を配置することができる。
【0110】
また、本実施形態では、固定側被保持部22は、端子上方向を圧入方向として固定ハウジング40に圧入される。
このため、固定側被保持部22から端子上方向に延出する第二バネ部27が、圧入工程の邪魔になりやすい。
そこで、第二バネ部27は、板厚方向に僅かに曲げられた弱曲部27a1を有する。
このため、第二バネ部27を圧入工程の邪魔にならない方向に若干傾斜させることができる。
【0111】
また、本実施形態では、第一方向は、端子前後方向である。第一バネ部26は、端子前後方向において、固定側被保持部22と可動側被保持部24との間に位置する。
このため、端子上下方向において端子20の大型化を避けることができる。
【0112】
また、本実施形態では、中間部23は、分岐している。
このため、中間部23の表面積が拡大する。その結果、端子20の温度上昇を抑制することができる。
特に、本実施形態では、中間部23が2つの分岐部23aに分岐している。そして、2つの分岐部23a同士の端子幅方向の間隔に関し、各分岐部23aは、第二バネ部27において幅方向外側に広がるように伸長し、第一バネ部26において幅方向内側に狭まるように伸長する。
このため、空間を有効に利用して分岐部23aの長さを稼ぐことができる。
また、本実施形態では、2つの分岐部23aの終端同士の端子幅方向の間隔は、2つの分岐部23aの始端同士の幅方向の間隔よりも小さい。終端とは、2つの分岐部23aと可動側被保持部24との境界部分であり、始端とは、2つの分岐部23aと固定側被保持部22との境界部分である。
このため、より一層、分岐部23aの長さを稼ぐことができる。
【0113】
また、本実施形態では、中間部23は、端子幅方向について対称な形状である。
このため、可動力に対称性を持たせることができる。
【0114】
また、本実施形態では、中間部23は、板厚方向を端子幅方向に垂直な平面に交差させる方向に向ける部分を有しない。
このため、端子幅方向に垂直な平面に平行な方向の可動力を低減させやすい。
【0115】
(第2の観点)
次に、本実施形態の作用効果について、第2の観点から説明する。
【0116】
本実施形態では、
図1、
図2に示すように、コネクタ10は、端子20と、ハウジング40と、を備える。
図3Aに示すように、端子20は、被保持部22と、2つの分岐部23aと、を有する。被保持部22は、ハウジング40に保持される。2つの分岐部23aは、被保持部22から延出する。2つの分岐部23aは、端子幅方向で互いに異なる位置から延出する。被保持部22は、端子幅方向に垂直な方向(本実施形態では端子上方向)を圧入方向としてハウジング40に圧入される。
【0117】
ところで、特許文献1記載のコネクタでは、被保持部は、当該被保持部の幅方向両側の端面がハウジングに接触した状態でハウジングに保持される。そのため、これに対応した構造をハウジングに設ける必要がある。
これに対し、本実施形態では、被保持部22は、端子幅方向における2つの分岐部23aの間の位置でハウジング40に保持される。そして、被保持部22の幅方向両側の端面22a1(
図7参照)は、ハウジング40に接触しない。
このため、ハウジング40に、被保持部22の幅方向両側の端面22a1に接触して被保持部22を保持する構造を設ける必要がない。
ハウジング40にこのような構造を設ける必要がなくなると、例えば、本実施形態における隔壁45の壁の厚みを小さくすることができる。その結果、コネクタ10を小型化できる。
【0118】
ところで、仮に、被保持部が、当該被保持部の幅方向両側の端面がハウジングに接触した状態でハウジングに保持される態様であると、被保持部22の基部22aを幅方向で拡大してハウジング40の壁まで伸ばす必要が生じる。
この場合、本実施形態のように、コネクタ10が、ピッチ方向に隣り合う2つの端子20を備えていると、当該2つの端子20との間の沿面距離が短くなってしまう。
つまり、本実施形態の構成は、沿面距離を稼ぐ効果を有する。
【0119】
また、本実施形態では、被保持部22は、基部22aと、圧入突出部22bと、を有する。2つの分岐部23aは、基部22aから延出する。圧入突出部22bは、基部22aのうち2つの分岐部23aが延出する部分の間の部分から圧入方向(本実施形態では端子上方向)に突出する。
このため、圧入突出部22bによって、被保持部22をハウジング40に保持させることができる。
【0120】
また、本実施形態では、
図4に示すように、基部22aは、当該基部22aの両面(板厚方向両側の面)がハウジング40に接触した状態でハウジング40に保持される。
このため、被保持部22を、圧入突出部22bのみでなく、基部22aにおいてもハウジング40に適切に保持させることがができる。
【0121】
また、本実施形態では、2つの分岐部23aのうち少なくとも一方は、基部22aから圧入方向に延びる圧入方向部27を有する。ここで、圧入方向とは、被保持部22の圧入方向である。
このため、2つの分岐部23aのいずれもが圧入方向部27を有しない態様と比較して、空間を有効に利用して分岐部23aの長さを確保することができる。
また、本実施形態では、圧入方向部27は、端子幅方向外側に伸長する幅方向伸長部27bを有する。
このため、圧入方向部27が幅方向伸長部27bを有しない態様と比較して、圧入方向部27において分岐部23aの長さを確保することができる。
なお、仮に、本実施形態とは異なり、基部22aの幅方向外側の端面22a1がハウジング40に接触した状態で基部22aがハウジング40に保持される態様であると、幅方向伸長部27bを有する圧入方向部27がハウジング40に干渉することにより、基部22aをハウジング40に保持させるように圧入することが困難となる。しかし、本実施形態では、基部22aの幅方向外側の端面22a1がハウジング40に接触した状態で基部22aがハウジングに保持される態様ではないので、このような問題が起こらない。
【0122】
(変形例)
図10は、変形例に係るコネクタ110を示す。
【0123】
この変形例では、固定ハウジング140の第一幅方向延在部42は、基部22aの片面に接触する接触面42aと、接触面42aに対して幅方向外側に位置する凹部42bと、を有する。
このため、凹部42bが形成された位置において、第一幅方向延在部42と端子20の基部22aとの接触を避けることができる。その結果、隣り合う端子20との間の沿面距離を稼ぐことができる。
【0124】
〔上記実施形態の補足説明〕
以上、本開示のコネクタの好適な実施形態について説明したが、本開示はこれに限定されない。以下の説明は、念のための補足である。
【0125】
上記実施形態では、固定ハウジング40及び可動ハウジング50が、合成樹脂の成型品である。しかし、本開示のハウジングはこれに限定されない。
【0126】
上記実施形態では、中間部23が、板厚方向が端子上下方向と略平行である幅方向伸長部(伸長方向が端子幅方向の成分を有する部分)を有しない。しかし、本開示の中間部はこれに限定されない。
【符号の説明】
【0127】
10 コネクタ
20 端子
21 接続部
21a 接続片(分岐部)
22 固定側被保持部(被保持部)
22a1 被保持部の端子幅方向外側の端面
22a 基部
22b 圧入突出部
23 中間部
23a 分岐部
24 可動側被保持部
26 第一バネ部
26b 第一幅方向伸長部(幅方向伸長部)
26d 第二幅方向伸長部
27 第二バネ部(圧入方向部)
27b 幅方向伸長部
28 第一連結部(連結部)
29 第二連結部
40 固定ハウジング(ハウジング)
42 第一幅方向延在部(幅方向延在部)
42a 接触面
43 第二幅方向延在部
44 保持壁
45 隔壁
47 圧入孔
50 可動ハウジング
90 取付対象物
91 取付面