(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168303
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器
(51)【国際特許分類】
H04N 25/585 20230101AFI20241128BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
H04N25/585
H01L27/146 D
H01L27/146 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084853
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】521182560
【氏名又は名称】ブリルニクス シンガポール プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001863
【氏名又は名称】弁理士法人アテンダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】盛 一也
(72)【発明者】
【氏名】宮内 健
(72)【発明者】
【氏名】阿部 啓史
(72)【発明者】
【氏名】陳 ▲こう▼吟
(72)【発明者】
【氏名】張 旭廷
【テーマコード(参考)】
4M118
5C024
【Fターム(参考)】
4M118AA01
4M118AA02
4M118AA05
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA14
4M118CA02
4M118CA22
4M118DD04
4M118DD09
4M118FA06
4M118GC08
4M118GC20
4M118GD04
4M118HA25
5C024CX46
5C024EX43
5C024EX51
5C024GX03
5C024GX16
5C024GX18
5C024GY39
5C024GY41
(57)【要約】
【課題】最大限の光応答を確保することが可能で、再現性に加えて低光SNRを確保することが可能であり、しかもさらなる画素サイズの縮小化を図ることが可能で、ダイナミックレンジ、応答性、解像度などの性能を効率的に向上させることが可能な固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器を提供する。
【解決手段】透明度の高いカラーフィルタ(W)に大きなMLを割り当て、透明度の低いカラーフィルタ (B,R) に小さなMLを割り当てて均一にMLを形成する。大きいMLの下のカラーフィルタは、透明度の高い素材である必要がある。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換部を含み、入射した光に対して光電変換を行う複数の画素がアレイ状に配置された画素部を有し、
前記画素部は、
隣接する少なくとも2つの前記画素により画素ユニットが形成され、
前記画素ユニットの第1の画素は、
対応する前記光電変換部の光入射面への光入射路に配置された、所定の透明度を有する第1の透過フィルタと、
入射光を、前記第1の透過フィルタを通して対応する前記光電変換部の光入射面に向けて照射させる第1のマイクロレンズと、を含み、
前記画素ユニットの第2の画素は、
対応する前記光電変換部の光入射面への光入射路に配置された、前記第1の透過フィルタより透明度の高い第2の透過フィルタと、
入射光を、前記第2の透過フィルタを通して対応する前記光電変換部の光入射面に向けて照射させる第2のマイクロレンズと、を含み、
前記第2のマイクロレンズが担当する第2の光入射照射領域は、前記第1のマイクロレンズが担当する第1の光入射照射領域より大きい
固体撮像装置。
【請求項2】
前記第2のマイクロレンズの前記光電変換部の光入射面に平行な方向の径が、前記第1のマイクロレンズの径より大きい
請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記第2の画素の前記第2のマイクロレンズは、
担当する前記第2の画素領域から当該第2の画素に隣接する前記第1の画素領域にわたって放射状に延設されている
請求項2記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記第2のマイクロレンズは、延設部を延設方向に均等に延ばすことが可能な多面体形状が採用されている
請求項3記載の固体撮像装置。
【請求項5】
少なくとも2つの画素ユニットの画素同士を隣接させて単位カラーマトリックスが形成されている
請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記単位カラーマトリックスは、応答性を高めるための高透明の前記第2の透過フィルタとしてのW(クリア、モノ)フィルタを含む
請求項5記載の固体撮像装置。
【請求項7】
前記単位カラーマトリックスは、背景光の減算および/または特定の光イメージング用の前記第1の透過フィルタとしてのIRフィルタを含む
請求項5記載の固体撮像装置。
【請求項8】
前記画素部は、共有画素が形成され、
前記共有画素は、
光電変換により生成した電荷を蓄積する少なくとも2つの光電変換素子と、
前記光電変換素子の各々に蓄積された電荷をそれぞれ個別に転送可能な少なくとも2つの転送素子と、
前記転送素子の各々を通じて前記光電変換素子各々の蓄積電荷が転送されるフローティングディフュージョンと、を含み、
1つの前記フローティングディフュージョンが前記複数の光電変換素子および前記複数の転送素子により共有され、
一の前記光電変換素子からの第1の飽和信号は一の前記転送素子を介して前記フローティングディフュージョンに転送され、
他の前記光電変換素子からの第2の飽和信号は前記フローティングディフュージョン領域外に排出される
請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項9】
前記共有画素は、
各光電変換素子に排出用ゲート転送用ゲートの2つの制御ゲートを有し、蓄積された電荷を排出して蓄積時間を個別に制御可能である
請求項8記載の固体撮像装置。
【請求項10】
前記共有画素は、
各光電変換素子に対応するように配置されるカラーフィルタを含み、
対応するオーバーフロー光電荷が前記フローティングディフュージョンに蓄積される前記第1の光電変換素子に高透過カラーフィルタが適用され、より低い透過カラーフィルタは、対応する光電荷が蓄積された読み出し信号を格納する前記第2の光電変換素子に適用される
請求項8記載の固体撮像装置。
【請求項11】
前記共有画素は、
高透過フィルタを前記第1の光電変換素子に割り当てて、光電変換素子からのすべての信号が飽和するまで信号応答範囲を拡張することにより、前記第2の光電変換素子に低透過フィルタを割り当てることができるように形成されている
請求項10記載の固体撮像装置。
【請求項12】
前記共有画素は、
オーバーフロー電荷蓄積が発生した前記共有画素内の高透過光電変換素子に対してフルウェル容量を拡張することが可能である
請求項8記載の固体撮像装置。
【請求項13】
前記画素部の前記共有画素から画素信号を読み出す読み出し部を有し、
前記読み出し部は、
前記共有画素の読み出しシーケンスにおいて、
前記第1の光電変換素子からの読み出し信号(Qpd0)の読み出し処理で開始し、
次いで、オーバーフロー信号(Qfd) の読み出し処理を行い、総処理光電荷が拡張させ、
その後、前記第2の光電変換素子からの読み出し信号(Qpd1)の読み出し処理を行い、
光電荷の総量は、前記第1の光電変換素子による(Qpd0+Qfd)と前記第2の光電変換素子のQpd1とにより与えられる
請求項13記載の固体撮像装置。
【請求項14】
前記読み出し部は、
複数の動作シーケンスを有する画素毎にアナログサンプルホールド回路ないは各信号シーケンスのデジタル変換(ADC)によるグローバル読み出しを実施するように構成される
請求項13記載の固体撮像装置。
【請求項15】
前記共有画素は、
前記フローティングディフュージョンに接続された蓄積素子と、
前記蓄積素子を介して前記フローティングディフュージョンの電荷を蓄積する蓄積容量素子と、を含む、
請求項14記載の固体撮像装置。
【請求項16】
光電変換部を含み、入射した光に対して光電変換を行う複数の画素がアレイ状に配置された画素部を有する固体撮像装置の製造方法であって、
前記画素部においては、
隣接する少なくとも2つの前記画素により画素ユニットを形成し、
前記画素ユニットの第1の画素では、
対応する前記光電変換部の光入射面への光入射路に配置された、所定の透明度を有する第1の透過フィルタと、
入射光を、前記第1の透過フィルタを通して対応する前記光電変換部の光入射面に向けて照射させる第1のマイクロレンズと、を形成し、
前記画素ユニットの第2の画素では、
対応する前記光電変換部の光入射面への光入射路に配置された、前記第1の透過フィルタより透明度の高い第2の透過フィルタと、
入射光を、前記第2の透過フィルタを通して対応する前記光電変換部の光入射面に向けて照射させる第2のマイクロレンズと、を形成し、
前記第2のマイクロレンズが担当する第2の光入射照射領域を、前記第1のマイクロレンズが担当する第1の光入射照射領域より大きく形成する
固体撮像装置の製造方法。
【請求項17】
固体撮像装置と、
前記固体撮像装置に被写体像を結像する光学系と、を有し、
前記固体撮像装置は、
光電変換部を含み、入射した光に対して光電変換を行う複数の画素がアレイ状に配置された画素部を有し、
前記画素部は、
隣接する少なくとも2つの前記画素により画素ユニットが形成され、
前記画素ユニットの第1の画素は、
対応する前記光電変換部の光入射面への光入射路に配置された、所定の透明度を有する第1の透過フィルタと、
入射光を、前記第1の透過フィルタを通して対応する前記光電変換部の光入射面に向けて照射させる第1のマイクロレンズと、を含み、
前記画素ユニットの第2の画素は、
対応する前記光電変換部の光入射面への光入射路に配置された、前記第1の透過フィルタより透明度の高い第2の透過フィルタと、
入射光を、前記第2の透過フィルタを通して対応する前記光電変換部の光入射面に向けて照射させる第2のマイクロレンズと、を含み、
前記第2のマイクロレンズが担当する第2の光入射照射領域は、前記第1のマイクロレンズが担当する第1の光入射照射領域より大きい
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光を検出して電荷を発生させる光電変換素子を用いた固体撮像装置(イメージセンサ)として、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサが実用に供されている。
CMOSイメージセンサは、デジタルカメラ、ビデオカメラ、監視カメラ、医療用内視鏡、パーソナルコンピュータ(PC)、携帯電話等の携帯端末装置(モバイル機器)等の各種電子機器の一部として広く適用されている。
【0003】
CMOSイメージセンサは、画素毎にフォトダイオード(光電変換素子)および浮遊拡散層(FD:Floating Diffusion、フローティングディフュージョン)を有するFDアンプを持ち合わせており、その読み出しは、画素アレイの中のある一行を選択し、それらを同時に列(カラム)出力方向へと読み出すような列並列出力型が主流である。
【0004】
一般的に、CMOSイメージセンサの各画素は、たとえば1個のフォトダイオードに対して、転送素子としての転送トランジスタ、リセット素子としてのリセットトランジスタ、ソースフォロワ素子(増幅素子)としてのソースフォロワトランジスタ、および選択素子としての選択トランジスタの4素子を能動素子として含んで構成される。
【0005】
CMOSイメージセンサは、一般的に、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色フィルタやシアン、マゼンタ、イエロー、グリーンの4色補色フィルタを用いてカラー画像を撮像する。
【0006】
一般的に、CMOSイメージセンサにおいて、画素(ピクセル)は個別にフィルタを備えている。フィルタは、主として赤色光を透過させる赤(R)フィルタ、主として緑色光を透過させる緑(Gr,Gb)フィルタ、および主として青色光を透過させる青(B)フィルタの4つを正方配列したサブピクセル群が単位RGBサブピクセルグループであるマルチピクセルとして2次元状に配列されている。
【0007】
また、CMOSイメージセンサへの入射光はフィルタを介してフォトダイオードで受光される。フォトダイオードは、人間の可視領域(380nm~780nm程度)より広いい波長域(380nm~1100nm)の光を受光して信号電荷を発生させることから、赤外光分の誤差が生じて、色再現性が低下する。
このため、あらかじめ赤外線カットフィルタ(IRカットフィルタ)により赤外光を除去するのが一般的である。
【0008】
赤外線カット(IR-Cut)フィルタを備えたRGBピクセルを使用することで、飽和光強度の高い可視光までの良好な色再現性を得られ、高ダイナミックレンジ化を図ることが可能となる。
また、IRなしのW(ホワイト/クリア)ピクセルを使用することにより可視から近赤外線の波長帯に対する高感度性能なカットフィルタを得ることができる(たとえば非特許文献1参照)。
【0009】
「W」フィルタは、R、G、Bなどの他のフィルタよりも可視光条件に対する応答性がはるかに高いため、「ホワイト / クリア」フィルタ テクノロジーをカラー マトリックスで使用することにより、光応答性パフォーマンスを向上させ、低照度性能を向上させることが可能となる。
【0010】
図1は、W,R,G,B等の種々のカラーマトリックスにおける光応答特性を示す図である。
【0011】
図1からわかるように、可視光の飽和点は、カラー マトリックスの高透過率のカラーフィルタ(CF)によって制限される。
したがって、WやGの飽和点だけを伸ばせば、画素サイズを増やさずにダイナミックレンズ(DR)を伸ばす、すなわち高ダイナミック化を図ることができる。
【0012】
また、高ダイナミックレンジ化のアプローチの一つとして、横型オーバーフロー蓄積容量(LOFIC: Lateral Overflow Integration Capacitor)の構成を挙げることができる。
【0013】
ところで近年、CMOSイメージセンサにおいては、画素数の増加に伴い、画素サイズの微細化の要求が高まり、これに対応すべく、1つのフローティングディフュージョンFD、リセットトランジスタ、ソースフォロワトランジスタ、および選択トランジスタを複数のフォトダイオードおよび転送トランジスタで共有する複数画素共有技術が提案されている(たとえば特許文献1または2参照)。
【0014】
特許文献1には、1つのフローティングディフュージョンFD、リセットトランジスタ、ソースフォロワトランジスタ、および選択トランジスタを2組のフォトダイオードおよび転送トランジスタで共有する2画素共有構造を有するCMOSイメージセンサの画素の一例が示されている。
また、特許文献2には、1つのフローティングディフュージョンFD、リセットトランジスタ、ソースフォロワトランジスタ、および選択トランジスタを4組のフォトダイオードおよび転送トランジスタで共有する4画素共有構造を有するCMOSイメージセンサの画素の一例が示されている。
【0015】
共有画素PXL1は、素子の形成領域として、中央部分の中央領域CTAR1、並びに、中央領域CTAR1を挟んで両側(Y方向)の第1の領域FSAR1および第2の領域SCAR1を含んで、矩形領域RCT1が割り当てられている。
共有画素のレイアウトは、基本的に、素子形成領域の中央部分にフローティングディフュージョンFDが配置され、このフローティングディフュージョンFDを中心として複数の光電変換素子であるフォトダイオードPDが放射状に配置される。
【0016】
たとえば、2画素共有構造の場合、中央領域CTAR1には、フローティングディフュージョンFDがX方向およびY方向の中央部に形成され、そのX方向の図中右側に、リセットトランジスタRST-Trが形成され、左側にソースフォロワトランジスタSF-Tr、選択トランジスタSEL-Trが形成されている。
なお、これらの左右等の配置は、一例であって図示する例であることを問わない。
【0017】
第1の領域FSAR1には、第1のフォトダイオードPD0、第1の転送トランジスタTG0-Trが隣接するように形成されている。
第1の転送トランジスタTG0-Trが中央領域CTAR1側にフローティングディフュージョンFDと接続するように矩形状に形成されている。
【0018】
第2の領域SCAR1には、第2のフォトダイオードPD1、第2の転送トランジスタTG1-Trが形成されている。
第2の転送トランジスタTG1-Trが中央領域CTAR1側にフローティングディフュージョンFDと接続するように形成されている。
【0019】
このような構成を採用することにより、画素構成要素を2つ、4つの複数の画素で共通化できるため、1画素当たりのフォトダイオードPDのサイズを最大化できることから、感度および飽和電荷数を維持しつつ画素サイズの微細化を図ることが可能となる。
【0020】
また、共有FD構造を有することから、フォトダイオードPD間で発生する色信号のクロストークを防ぐことができるDTI(Deep Trench Isolation)技術が適用される。
この場合、共有FD領域の下では、完全なディープトレンチ分離を行うためのフルDTIの代わりに、サブディープトレンチ分離を行うためのサブDTIが使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開2007-81033号公報
【特許文献2】特開2013-627895号公報
【非特許文献】
【0022】
【非特許文献1】S. Kawada、S. Sakai、N. Akahane、R. Kuroda、S. Sugawa、「IR-Cut RGB および可視-近-IR ピクセルを備えたワイド ダイナミック レンジの市松模様カラー CMOS イメージ センサー」、SENSORS、2009 年 IEEE、2009 年、pp. 1648-1651、doi: 10.1109/ICSENS.2009.5398511。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
しかしながら、上記した各種CMOSイメージセンサには、それぞれ以下に示すような不利益や利益がある。
【0024】
「W」フィルタは、R、G、Bなどの他のフィルタよりも可視光条件に対する応答性がはるかに高いため、「ホワイト / クリア」フィルタ テクノロジーをカラー マトリックスで使用して、応答性パフォーマンスを向上させ、低照度性能を向上させる。
ただし、強い光量下での実際の使用では、対応するADCコードで白の飽和信号が最初にクリップされ、その後、R、G、B などの他の信号が飽和していない間に色再現性が崩壊し、飽和点差による高照度性能の低下を招く。
【0025】
FDを共有するLOFICに関して、ワイドダイナミックレンジ(DR)CMOSイメージセンサは、可視波帯の良好な色再現性と高感度で実証されている。FD共有LOFIC は、ピクセルサイズを最小化して、共有PDの1つの飽和を拡張できる。
言い換えれば、提案されたFD共有PDレイアウトとオーバーフロー方向制御を備えたピクセル回路は、HDRコンセプトのさらなるピクセル縮小を可能にする。
【0026】
飽和点最適化のためのカラーフィルタ割り当ての例について述べる。
Wのような透明度の高いフィルタには彩度の高い PD が割り当てられ、それ自体の彩度点が拡張され、R/B のような透明度の低いフィルタには彩度の PD が低く割り当てらる。
【0027】
また、デュアル サイズ マイクロレンズMLにおいては、大小のサイズの PD がピクセル内で結合され、極低照度から極度にハイライトの光応答までの光応答を形成する。
【0028】
LOFICを用いた飽和点最適化技術が適用されたシングルチップのワイドダイナミックレンジ (DR) CMOSイメージセンサは、可視波長帯の良好な色再現性と高感度で実証されている。
LOFICアーキテクチャに基づくCMOSイメージ センサは、ダイナミック レンジを最大化するために感度に応じて各カラー画素(ピクセル)の静電容量値が最適化される。
【0029】
また、画素サイズの縮小とHDR技術を採用したCMOSイメージセンサは、FD共有PDレイアウトとオーバーフロー方向制御を備えた画素(ピクセル)回路を有している。
これにより、さらなる画素サイズの縮小が可能になるが、HDRではLOFICを使用し、フローティングディフュージョンFD(FDノード)は個々のフォトダイオードPDのオーバーフロー信号電荷を保持することは困難である。
【0030】
以下に、画素サイズやクロストークによる課題についてさらに考察する。
上述した2画素共有あるいは4画素共有の共有画素は、画素構成要素を2つまたは4つの画素で共通化できるため、1画素当たりのフォトダイオードPDのサイズを最大化できることから、感度および飽和電荷数を維持しつつ画素サイズの微細化を図ることが可能となる。
【0031】
しかしながら、たとえば4画素共有構造の場合、フローティングディフュージョンFD部の面積が大きくなり、これにより、フローティングディフュージョンFDの容量が大きくなって変換利得が下がり、ノイズが増大するという不利益がある。
【0032】
また、共有画素は、基本的に、たとえばフローティングディフュージョンFDを中心に放射状にフォトダイオードPDが形成される。そのため、リセットトランジスタRST-Trは電気的に接続されることから、画素のうちの近接した領域に形成された別ノードのフローティングディフュージョンFDに接続される。
このため、接合(ジャンクション)容量および、電気的に接続するための配線容量が増えて、FDノードの容量(Cfd)が増加して、変換利得が低減して、ノイズ特性が劣化するという不利益がある。
【0033】
また、一般に、所定のフォトダイオードPDの蓄積電荷を超えた信号(オーバーフロー電荷)は、隣接画素へ流れ込むと、電荷の混合(偽信号となる)が起きる。
これを防止するために、オーバーフロー電荷が隣接画素に漏れこむ前に接続されたフローティングディフュージョンFDに流れこむような構成がとられる。
この構成の場合には、フローティングディフュージョンFDの電荷を読み出し中に共有する画素からの電荷の漏れこみが発生した場合には偽信号が発生する。たとえば、ベイヤ配列の場合、R信号を読み出し中にG信号のオーバーフロー電荷が発生した場合、出力ノードとしてのフローティングディフュージョンFDで電荷混合が発生する。
【0034】
以上のように共有構造を有する従来のCMOSイメージセンサにおいては、カラーマトリックスで「白」を使用する場合、最大の光応答を確保することは困難であり、再現性に加えて低光SNRを確保することは困難で、これらの技術的な制限を緩和することで、さらに画素サイズを縮小することは困難である。
【0035】
本発明は、感度および飽和電荷数を維持しつつ画素サイズの微細化を図ることが可能となることはもとより、接合容量および配線容量の増加を抑えることができ、出力ノードとしてのフローティングディフュージョンの容量の増加を抑止して、変換利得の低下を防止でき、ひいてはノイズ特性の向上を図ることが可能で、しかもフローティングディフュージョンにおける電荷混合を防止することが可能な固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器を提供することにある。
さらに本発明は、最大限の光応答を確保することが可能で、再現性に加えて低光SNRを確保することが可能であり、しかもさらなる画素サイズの縮小化を図ることが可能で、ダイナミックレンジ、応答性、解像度などの性能を効率的に向上させることができる固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0036】
本発明の第1の観点の固体撮像装置は、光電変換部を含み、入射した光に対して光電変換を行う複数の画素がアレイ状に配置された画素部を有し、前記画素部は、隣接する少なくとも2つの前記画素により画素ユニットが形成され、前記画素ユニットの第1の画素は、対応する前記光電変換部の光入射面への光入射路に配置された、所定の透明度を有する第1の透過フィルタと、入射光を、前記第1の透過フィルタを通して対応する前記光電変換部の光入射面に向けて照射させる第1のマイクロレンズと、を含み、前記画素ユニットの第2の画素は、対応する前記光電変換部の光入射面への光入射路に配置された、前記第1の透過フィルタより透明度の高い第2の透過フィルタと、入射光を、前記第2の透過フィルタを通して対応する前記光電変換部の光入射面に向けて照射させる第2のマイクロレンズと、を含み、前記第2のマイクロレンズが担当する第2の光入射照射領域は、前記第1のマイクロレンズが担当する第1の光入射照射領域より大きい(広い)。
【0037】
本発明の第2の観点は、光電変換部を含み、入射した光に対して光電変換を行う複数の画素がアレイ状に配置された画素部を有する固体撮像装置の製造方法であって、前記画素部においては、隣接する少なくとも2つの前記画素により画素ユニットを形成し、前記画素ユニットの第1の画素では、対応する前記光電変換部の光入射面への光入射路に配置された、所定の透明度を有する第1の透過フィルタと、入射光を、前記第1の透過フィルタを通して対応する前記光電変換部の光入射面に向けて照射させる第1のマイクロレンズと、を形成し、前記画素ユニットの第2の画素では、対応する前記光電変換部の光入射面への光入射路に配置された、前記第1の透過フィルタより透明度の高い第2の透過フィルタと、入射光を、前記第2の透過フィルタを通して対応する前記光電変換部の光入射面に向けて照射させる第2のマイクロレンズと、を形成し、前記第2のマイクロレンズが担当する第2の光入射照射領域を、前記第1のマイクロレンズが担当する第1の光入射照射領域より大きく形成する。
【0038】
本発明の第3の観点の電子機器は、固体撮像装置と、前記固体撮像装置に被写体像を結像する光学系と、を有し、前記固体撮像装置は、光電変換部を含み、入射した光に対して光電変換を行う複数の画素がアレイ状に配置された画素部を有し、前記画素部は、隣接する少なくとも2つの前記画素により画素ユニットが形成され、前記画素ユニットの第1の画素は、対応する前記光電変換部の光入射面への光入射路に配置された、所定の透明度を有する第1の透過フィルタと、入射光を、前記第1の透過フィルタを通して対応する前記光電変換部の光入射面に向けて照射させる第1のマイクロレンズと、を含み、前記画素ユニットの第2の画素は、対応する前記光電変換部の光入射面への光入射路に配置された、前記第1の透過フィルタより透明度の高い第2の透過フィルタと、入射光を、前記第2の透過フィルタを通して対応する前記光電変換部の光入射面に向けて照射させる第2のマイクロレンズと、を含み、前記第2のマイクロレンズが担当する第2の光入射照射領域は、前記第1のマイクロレンズが担当する第1の光入射照射領域より大きい(広い)。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、感度および飽和電荷数を維持しつつ画素サイズの微細化を図ることが可能となることはもとより、接合容量および配線容量の増加を抑えることができ、出力ノードとしてのフローティングディフュージョンの容量の増加を抑止して、変換利得の低下を防止でき、ひいてはノイズ特性の向上を図ることが可能で、しかもフローティングディフュージョンにおける電荷混合を防止することが可能となる。
さらに本発明によれば、最大限の光応答を確保することが可能で、再現性に加えて低光SNRを確保することが可能であり、しかもさらなる画素サイズの縮小化を図ることが可能で、ダイナミックレンジ、応答性、解像度などの重要な性能を効率的に向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】W,R,G,B等の種々のカラーマトリックスにおける光応答特性を示す図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の画素の一例を示す回路図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の画素部のサイズが不均一なマイクロレンズ群を含む画素アレイの一例を、サイズが均一なマイクロレンズ群を含む比較例としての画素アレイと比較して示す図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の画素部のサイズが不均一なマイクロレンズ群を含む画素アレイの応答性向上のための拡大マイクロレンズの平面図およびその簡略断面図の一例を、サイズが均一なマイクロレンズ群を含む比較例としての画素アレイと比較して示す図である。
【
図6】第2のマイクロレンズとして多面体形状の一つである8面体形状を採用した一例を示す図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の共有画素の一例を示す回路図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の共有画素に採用可能な読み出し動作例を示す図であって、共有画素の回路例、タイミングチャート、およびポテンシャル遷移を関連付けて示す図である。
【
図9】FD共有型PDの光電荷状態についてポテンシャル遷移に関連付けて説明するための図である。
【
図10】共有FD構造とカラーマトリックス補間を使用したRWWB(RCCB)構成での光応答例について説明するための図である。
【
図11】本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の効果について説明するための図である。
【
図12】本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置の共有画素の一例を示す回路図である。
【
図13】2×2FD共有画素用カラーマトリックスの形成例を示す図である。
【
図14】W-IR-B-R画素を2×2の正方配列したカラーマトリックスの形成例を示す図である。
【
図15】4共有FDピクセルであって、IR-W-IR-WのRGB-PD構成と共有されるFDを中心として2×2の正方配列したカラーマトリックスの形成例を示してあり、共有画素の読み出し回路例に関連付けて示す図である。
【
図16】4共有FDピクセルであって、IR-W-IR-WのRGB-PD構成と共有されるFDを中心として2×2の正方配列したカラーマトリックスの形成例を示してあり、共有画素の読み出し回路例に関連付けて示す図である。
【
図17】本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置の共有画素に採用可能なLOFICおよびSEHDRの部分利用時の4共有PDビニング読み出し動作例を示すタイミングチャートであって、共有画素の読み出し回路例に関連付けて示す図である。
【
図18】本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置に採用可能なLOFICの部分利用時およびSEHDRの読み出し動作例を示す図である。
【
図19】4共z有FDピクセルであって、IR-W-IR-WのRGB-PD構成と共有されるFDを中心として2×2の正方配列したカラーマトリックスの他の形成例を示してあり、共有画素の読み出し回路例に関連付けて示す図である。
【
図20】4共有FDピクセルであって、IR-W-IR-WのRGB-PD構成と共有されるFDを中心として2×2の正方配列したカラーマトリックスの他の形成例を示してあり、共有画素の読み出し回路例に関連付けて示す図である。
【
図21】本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置の効果について説明するための図である。
【
図22】本発明の実施形態に係る固体撮像装置が適用される電子機器の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の実施形態を図面に関連付けて説明する。
【0042】
(第1の実施形態)
図2は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の構成例を示すブロック図である。
図3は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の画素の一例を示す回路図である。
本実施形態において、固体撮像装置10は、たとえばCMOSイメージセンサにより構成される。
【0043】
この固体撮像装置10は、
図2に示すように、撮像部としての画素部20、垂直走査回路(行走査回路)30、読み出し回路(カラム読み出し回路)40、水平走査回路(列走査回路)50、およびタイミング制御回路60を主構成要素として有している。
これらの構成要素のうち、たとえば垂直走査回路30、読み出し回路40、水平走査回路50、およびタイミング制御回路60により画素信号の読み出し部70が構成される。
【0044】
本実施形態に係る固体撮像装置10の画素は、感度および飽和電荷数を維持しつつ画素サイズの微細化を図ることが可能となることはもとより、接合容量および配線容量の増加を抑えることができ、出力ノードとしてのフローティングディフュージョンの容量の増加を抑止して、変換利得の低下を防止でき、ひいてはノイズ特性の向上を図ることが可能となるように、そして、最大限の光応答を確保することが可能で、再現性に加えて低光SNRを確保することが可能であり、しかもさらなる画素サイズの縮小化を図ることが可能で、ダイナミックレンジ、応答性、解像度などの重要な性能を効率的に向上させることが可能となるように、次に示すような特徴的な構成が採用されている。
本第1の実施形態に係る固体撮像装置10では、透明度(透過率)の高いカラーフィルタ、たとえば(W)フィルタ に大きなサイズの マイクロレンズMLLを割り当て、透明度の低い、たとえば可視光域カラーフィルタ (B,R) に小さなサイズのマイクロレンズMLSを割り当てて不均一にマイクロレンズMLを形成する。
また大きいサイズのマイクロレンズMLLの下層のカラーフィルタは、透明度の高い素材である必要がある。
【0045】
以下に、本第1の実施形態に係る固体撮像装置10の画素部における画素構造等の構成、機能等について説明した後、画素や画素部のカラーフィルタマトリックス等の特徴的な構成の概要について説明する。
【0046】
(本第1の実施形態に係る固体撮像装置10の画素等の構成の概要)
本第1の実施形態に係る画素200は、
図3に示すように、光電変換読み出し部210、AD変換部220、およびメモリ部230を含んで構成されている。
本第1の実施形態の画素部20は、第1の基板110と第2の基板120の積層型のCMOSイメージセンサとして構成されるが、本例では、
図3に示すように、第1の基板110に光電変換読み出し部210が形成され、第2の基板120にAD変換部220およびメモリ部230が形成されている。
【0047】
画素200の光電変換読み出し部210は、フォトダイオード(光電変換素子)と画素内アンプとを含んで構成される。
具体的には、この光電変換読み出し部210は、たとえば光電変換素子であるフォトダイオードPDを有する。
このフォトダイオードPDに対して、転送素子としての転送トランジスタTG-Tr、リセット素子としてのリセットトランジスタRST-Tr、ソースフォロワ素子としてのソースフォロワトランジスタSF-Tr、電流源素子としてのカレントトランジスタIC-Tr、シャッターゲート素子としてのシャッタゲートトランジスタSG-Tr、出力ノードND0としてのフローティングディフュージョンFD、および読み出しノードND2をそれぞれ一つずつ有する。
このように、第1の実施形態に係る画素200の光電変換読み出し部210は、転送トランジスタTGTr、リセットトランジスタRST-Tr、ソースフォロワトランジスタSF-Tr、カレントトランジスタC-Tr、蓄積トランジスタBINーTrおよびシャッタゲートトランジスタSG-Trの6トランジスタ(6Tr)を含んで構成されている。
【0048】
そして、本第1の実施形態においては、ソースフォロワトランジスタSF-Tr、カレントトランジスタIC-Tr、および読み出しノードND1を含んで出力バッファ部211が構成されている。
【0049】
本第1の実施形態に係る光電変換読み出し部210は、出力バッファ部211の読み出しノードND2がAD変換部220の入力部に接続されている。
光電変換読み出し部210は、出力ノードとしてのフローティングディフュージョンFDの電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換し、変換した電圧信号VSLをAD変換部220に出力する。
【0050】
より具体的には、光電変換読み出し部210は、AD変換部220の第1の比較処理期間PCMP1において、蓄積期間PIに光電変換素子であるフォトダイオードPDから出力ノードとしてのフローティングディフュージョンFDに溢れ出たオーバーフロー電荷に応じた電圧信号VSLを出力する。
【0051】
さらに、光電変換読み出し部210は、AD変換部220の第2の比較処理期間PCMP2において、蓄積期間PI後の転送期間PTに出力ノードとしてのフローティングディフュージョンFDに転送されたフォトダイオードPDの積電荷に応じた電圧信号VSLを出力する。
光電変換読み出し部210は、第2の比較処理期間PCMP2において、画素信号としての読み出しリセット信号(信号電圧)(VRST)および読み出し信号(信号電圧)(VSIG)をAD変換部220に出力する。
【0052】
フォトダイオードPDは、入射光量に応じた量の信号電荷(ここでは電子)を発生し、蓄積する。
以下、信号電荷は電子であり、各トランジスタがn型トランジスタである場合について説明するが、信号電荷が正孔(ホール)であったり、各トランジスタがp型トランジスタであっても構わない。
また、本実施形態は、複数のフォトダイオードおよび転送トランジスタ間で、各トランジスタを共有している場合にも有効である。
【0053】
各画素200において、フォトダイオード(PD)としては、埋め込み型フォトダイオード(PPD)が用いられる。
フォトダイオード(PD)を形成する基板表面にはダングリングボンドなどの欠陥による表面準位が存在するため、熱エネルギーによって多くの電荷(暗電流)が発生し、正しい信号が読み出せなくなってしまう。
埋め込み型フォトダイオード(PPD)では、フォトダイオード(PD)の電荷蓄積部を基板内に埋め込むことで、暗電流の信号への混入を低減することが可能となる。
【0054】
光電変換読み出し部210の転送トランジスタTG-Trは、フォトダイオードPDとフローティングディフュージョンFDの間に接続され、制御線を通じてゲートに印加される制御信号TGにより制御される。
転送トランジスタTG-Trは、制御信号TGがハイ(H)レベルの転送期間PTに選択されて導通状態となり、フォトダイオードPDで光電変換され蓄積された電荷(電子)をフローティングディフュージョンFDに転送する。
なお、フォトダイオードPDおよびフローティングディフュージョンFDが所定のリセット電位にリセットされた後、転送トランジスタTG-Trは、制御信号TGがロー(L)レベルの非導通状態となり、フォトダイオードPDは蓄積期間PIとなるが、このとき、入射する光の強度(量)が非常に高い場合、飽和電荷量を超えた電荷が転送トランジスタT―Tr下のオーバーフローパスを通じてオーバーフロー電荷としてフローティングディフュージョンFDに溢れ出す。
【0055】
リセットトランジスタRST-Trは、電源電圧(電源電位という場合もある)VDDの電源線VddとフローティングディフュージョンFDの間に接続され、制御線を通じてゲートに印加される制御信号RSTにより制御される。
リセットトランジスタRST-Trは、制御信号RSTがHレベルのリセット期間に選択されて導通状態となり、フローティングディフュージョンFDを電源電圧VDDの電源線Vddの電位にリセットする。
【0056】
ソースフォロワ素子としてのソースフォロワトランジスタSF-Trは、ソースが読み出しノードND1に接続され、ドレイン側が電源線Vddに接続され、ゲートがフローティングディフュージョンFDに接続されている。
読み出しノードND1と基準電位VSS(たとえばGND)の間に電流源素子としてのカレントトランジスタIC-Trのドレイン、ソースが接続されている。カレントトランジスタIC-Trのゲートは制御信号VBNPIXの供給ラインに接続されている。
そして、読み出しノードND1とAD変換部220の入力部間の信号線LSGN1は、電流源素子としてのカレントトランジスタIC-Trにより駆動される。
【0057】
シャッターゲート素子としてのシャッタゲートトランジスタSG-Trは、AD変換の第2の比較処理PCMP2中に不規則な強い光がフォトダイオードPDに入射した場合に、フォトダイオードPDから不要な電荷を出力ノードとしてのフローティングディフュージョンFD領域外に放出可能な電荷放出部の一形態として示されている。
【0058】
シャッタゲートトランジスタSG-TrはフォトダイオードPDの電荷蓄積部と所定の固定電位VAAPIXにソース、ドレインが接続され、制御線を通じてゲートに印加される制御信号SGにより制御される。
シャッターゲートトランジスタSG-Trは、制御信号SGがHレベルの期間に選択されて導通状態となり、フォトダイオードPDの電荷蓄積部と所定の固定電位VAAPIXA間にアンチブルーミングパスを形成し、不要な電荷を固定電位VAAPIXに放出させる。
【0059】
蓄積トランジスタBIN―Trは、フローティングディフュージョンFDとリセットトランジスタRST―Trとの間に接続され、その接続ノードND2と基準電位VSSとの間に蓄積キャパシタCSが接続されている。
蓄積トランジスタBIN-Trは、制御線を通じてゲートに印加される制御信号BINにより制御される。
蓄積トランジスタBIN1-Trは、制御信号BINがHレベルのリセット期間に選択されて導通状態となり、フローティングディフュージョンFDと蓄積キャパシタCSとを接続する。
【0060】
このように、本第1の実施形態に係る固体撮像装置10において、光電変換読み出し部210は、フォトダイオードPD、フローティングディフュージョンFD、転送トランジスタTG-Tr、リセットトランジスタRST-Tr、蓄積(ビニング(BIN))トランジスタBIN-Tr、ソースフォロワ(SF)トランジスタSF-Trを含んで構成されている。
【0061】
フォトダイオードPDは、転送トランジスタTG-TrがフローティングディフュージョンFDへの電荷転送に接続されている固定フォトダイオードによって形成される。
リセットトランジスタRST-Trは、電荷転送の前に強制的にフローティングディフュージョンFDをリセットレベル(Vrst)にするために接続される。
なお、光電気変換された電子はフォトダイオードPDに蓄積され、転送トランジスタTG-TrによってフローティングディフュージョンFDに転送される。
【0062】
蓄積された光電荷信号のそれぞれは、列またはピクセル単位のADCの各信号用のメモリのペアを使用して、単一フレームで読み出すことができる。
複数ノードのマルチゲイン読み出しにより、低照度(高ゲイン)から明光(低ゲイン)まで信号範囲を確保できるダイナミックレンジ拡張が可能である。
【0063】
ADC変換は、蓄積された光電荷ごとに発生する可能性があり、少なくとも複数のADC変換が異なる変換利得(変換ゲイン)に利用可能である。
これらのデジタルコードは、ポスト データ処理後に線形化されたコードにすることができる。
【0064】
以上に、本第1の実施形態に係る固体撮像装置10の画素構成、機能等について説明した。
次に、本第1の実施形態に係る固体撮像装置10の画素や画素部のカラーフィルタマトリックス等の特徴的な構成の概要を説明する。
【0065】
(画素部20の構成例)
図4(A),(B)は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置10の画素部のサイズが不均一なマイクロレンズ群を含む画素アレイの一例を、サイズが均一なマイクロレンズ群を含む比較例としての画素アレイと比較して示す図である。
図4(A)が第1の実施形態に係る固体撮像装置10の画素部のサイズが不均一なマイクロレンズ群を含む画素アレイの一例を示し、
図4(B)がサイズが均一なマイクロレンズ群を含む画素アレイを比較例として示している。
なお、
図4はカラーマトリックスがRBW構成でのカラーマトリックスとマイクロレンズ(ML)の例を示している。
【0066】
図5(A),(B)は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置10の画素部のサイズが不均一なマイクロレンズ群を含む画素アレイの応答性向上のための拡大マイクロレンズの平面図およびその簡略断面図の一例を、サイズが均一なマイクロレンズ群を含む比較例としての画素アレイと比較して示す図である。
図4(A)が第1の実施形態に係る固体撮像装置10の画素部のサイズが不均一なマイクロレンズ群を含む画素アレイの一例を示し、
図5(B)がサイズが均一なマイクロレンズ群を含む画素アレイを比較例として示している。
なお、
図4はカラーマトリックスがRBW構成でのカラーマトリックスとマイクロレンズ(ML)の例を示している。
【0067】
画素部20は、複数の画素200がN行M列の行列状(マトリクス状)に配列されている。
通常、
図5(A)および(B)に示すように、画素部20Rのすべての画素サイズが均一であるとともに、各画素への光の入射を行う各マイクロレンズが全体で均一となるように構成されている。
【0068】
これに対して、本第1の実施形態に係る画素部20は、サイズが不均一なマイクロレンズ群(MLL,MLS)を含む画素アレイが形成されている。
【0069】
より具体的には、画素部20は、光電変換部としてのフォトダイオードPDを含み、入射した光に対して光電変換を行う複数の画素200がアレイ状に配置されている。
画素部20においては、隣接する少なくとも2つの画素201,202により画素ユニットPXUが形成されている。
【0070】
画素ユニットPXUの第1の画素201は、対応するフォトダイオードPDの光入射面への光入射路に配置された、所定の透明度を有する第1の透過フィルタTF1と、入射光を、第1の透過フィルタTF1を通して対応するフォトダイオードPDの光入射面INPSに向けて照射させる第1のマイクロレンズML1(MLS)と、を含んで構成されている。
なお、第1の透過フィルタTF1としては、透明度(透過率)が第2の透過フィルタTF2より低い、たとえば可視光帯域のRフィルタ、Bフィルタ等が適用可能である。
【0071】
画素ユニットPXUの第2の画素202は、対応するフォトダイオードPDの光入射面INPSへの光入射路に配置された、第1の透過フィルタTF1より透明度の高い第2の透過フィルタTF22と、入射光を、第2の透過フィルタTF2を通して対応するフォトダイオードPDの光入射面に向けて照射させる第2のマイクロレンズML2(MLL)と、を含んで構成されている。
【0072】
本第1の実施形態において、第2のマイクロレンズML2(MLL)が担当する第2の光入射照射領域AR2は、第1のマイクロレンズML1(MLS)が担当する第1の光入射照射領域AR1より大きい(広い)。
【0073】
ここで、光入射照射領域ARとは、マイクロレンズMLが入射光を取り込めるX方向の領域、および、または、マイクロレンズMLがフォトダイオードPDへ照射するX方向の領域をいうことが可能である。
【0074】
また、本第1の実施形態においては、第2のマイクロレンズML2(MLL)のフォトダイオードPDの光入射面INPSに平行な方向の径R2が、第1のマイクロレンズML1(MLS)の径R1より大きい。
換言すると、本第1の実施形態において、この径Rの大小でマイクロレンズMLの大小が判断可能である。
【0075】
そして、本第1の実施形態においては、第2の画素202の第2のマイクロレンズML2(MLL)は、担当する第2の画素領域から第2の画素202に隣接する第1の画素領域にわたって放射状に延設されている。
図4(B)および
図5(B)では、マイクロレンズML2(MLL)は平面視して円形をなす外縁部が隣接のサイズの小さい第1の画素201側に少しはみ出した形態で形成されている。
【0076】
図6は、第2のマイクロレンズとして多面体形状の一つである8面体形状を採用した例を示す図である。
本第1の実施形態において、第2のマイクロレンズML2(MLL)は、
図6に示すように、延設部ETPを延設方向(X、Y方向)に均等に延ばすことが可能な多面体形状(
図6の例では8面体形状)RSBを採用することが可能である。
【0077】
また、本第1の実施形態においては、少なくとも2つの画素ユニットPXUの画素同士、たとえば第1の画素と第2の画素を隣接させて単位カラーマトリックスPCMTXが形成されている。
本第1の実施形態においては、単位カラーマトリックスPCMTXは、応答性を高めるための高透明の第2の透過フィルタとしてのW(クリア、モノ)フィルタを含む。
また、単位カラーマトリックスPCMTXは、背景光の減算および/または特定の光イメージング用の第2の透過フィルタとしてのIRフィルタを含んでもよい。
【0078】
【0079】
画素200のAD変換部220は、光電変換読み出し部210により出力されるアナログの電圧信号VSLを、所定の傾きを持たせて変化させたランプ波形または固定電圧の参照電圧VREFと比較して、デジタル信号に変換する機能する。
【0080】
AD変換部220は、
図2に示すように、比較器(COMP)221、出力側の負荷キャパシタCL1、およびリセットスイッチSW-RSTを含んで構成されている。
【0081】
比較器221は、第1の入力端子としての反転入力端子(-)に、光電変換読み出し部210の出力バッファ部211から信号線LSGN1に出力された電圧信号VSLが供給され、第2の入力端子としての非反転入力端子(+)に参照電圧VREFが供給され、電圧信号VSTと参照電圧VREFとを比較し、デジタル化した比較結果信号SCMPを出力するAD変換処理(比較処理)を行う。
【0082】
比較器221は、第1の入力端子としての反転入力端子(-)に結合キャパシタCC1が接続されており、第1の基板110側の光電変換読み出し部210の出力バッファ部211と第2の基板120側のAD変換部220の比較器221の入力部をAC結合することにより、低ノイズ化を図り、低照度時に高SNRを実現可能なように構成されている。
【0083】
また、比較器221は、出力端子と第1の入力端子としての反転入力端子(-)との間にリセットスイッチSW-RSTが接続され、出力端子と基準電位VSSとの間に負荷キャパシタCL1が接続されている。
【0084】
基本的に、AD変換部220においては、光電変換読み出し部210の出力バッファ部211から信号線LSGN1に読み出されたアナログ信号(電位VSL)は比較器221で参照電圧VREF、たとえばある傾きを持った線形に変化するスロープ波形であるランプ信号RAMPと比較される。
このとき、たとえば比較器221と同様に列毎に配置された図示しないカウンタが動作しており、ランプ波形のあるランプ信号RAMPとカウンタ値が一対一の対応を取りながら変化することで電圧信号VSLをデジタル信号に変換する。
基本的に、AD変換部220は、参照電圧VREF(たとえばランプ信号RAMP)の変化は電圧の変化を時間の変化に変換するものであり、その時間をある周期(クロック)で数えることでデジタル値に変換する。
そして、アナログ信号VSLとランプ信号RAMP(参照電圧VREF)が交わったとき、比較器221の出力が反転し、図示しないカウンタの入力クロックを停止し、または、入力を停止していたクロックを図示しないカウンタに入力し、そのときのカウンタの値(データ)がメモリ部230に記憶されてAD変換を完了させる。
以上のAD変換期間終了後、各画素200のメモリ部230に格納されたデータ(信号)は読み出し力回路40から図示しない信号処理回路に出力され、所定の信号処理により2次元画像が生成される。
【0085】
メモリ部230はSRAMやDRAMにより構成され、デジタル変換された信号が供給され、フォトコンバージョン符号に対応し、画素アレイ周辺の読み出し回路40の外部IOバッファにより読み出すことができる。
本例では、メモリ部230は、比較器221の出力に2つのメモリ231,232が接続されている。
【0086】
垂直走査回路30は、タイミング制御回路50の制御に応じてシャッタ行および読み出し行において行走査制御線を通してデジタル画素200の光電変換読み出し部210の駆動を行う。
垂直走査回路30は、タイミング制御回路50の制御に応じて、各画素200の比較器221に対して、比較処理に準じて設定される参照電圧VREFを供給する。
また、垂直走査回路30は、アドレス信号に従い、信号の読み出しを行うリード行と、フォトダイオードPDに蓄積された電荷をリセットするシャッタ行の行アドレスの行選択信号を出力する。
【0087】
読み出し回路40は、画素部20の各列出力に対応して配置された複数の列信号処理回路(図示せず)を含み、複数の列信号処理回路で列並列処理が可能に構成されてもよい。
【0088】
読み出し回路40は、相関二重サンプリング(CDS:Correlated Double Sampling)回路やADC(アナログデジタルコンバータ;AD変換器)、アンプ(AMP,増幅器)、サンプルホールド(S/H)回路等を含んで構成可能である。
【0089】
以下に、本第1の実施形態に係る固体撮像装置10の効果についてて説明する。
【0090】
(第1の実施形態の効果)
以上説明したように、本第1の実施形態に係る固体撮像装置10では、透明度の高いカラーフィルタ、たとえば(W)フィルタ に大きなサイズの マイクロレンズMLLを割り当て、透明度の低い、たとえば可視光域カラーフィルタ (B,R) に小さなサイズのマイクロレンズMLSを割り当てて不均一にマイクロレンズMLを形成する。
また大きいサイズのマイクロレンズMLLの下層のカラーフィルタは、透明度の高い素材である必要がある。
【0091】
以上の構成により、下部透明(R-B) カラー マトリックスの飽和点は、W フィルタの特性によって制限される。
W(クリア)フィルタでより高い透明度を提供するRB(W)フィルタ構成の場合、飽和点はWフィルタによって制限される。そのため、逆に色再現性を確保するための最高照度を下げている。
オーバーフロー電荷蓄積が FD で発生した FD共有 PD では、最高の透過性 PD に対してフルウェル容量を拡張することができる。
【0092】
本第1の実施形態では、より高い応答性を得ることができ、優れた色再現性を備えたより高いダイナミックレンジでより高い低照度SNR 性能を得ることができる。
さらに、従来のデュアルサイズPDやLOFIC構成に比べて、FDやゲインバッファなどの画素回路構成部品の一部を共通化して彩度を高くできるため、画素サイズを小さくして高解像度化が可能となる。
【0093】
本第1の実施形態においては、フルウェル容量(FWC)は、オーバーフロー電荷蓄積が起こったFD共有PD内の最も高い透過PDに対して拡張することができる。
この構成では、Qpd によって支配される完全なウェル容量拡張のための画素サイズのオーバーヘッドを持つ必要はない。
したがって、本第1の実施形態に係る固体撮像装置10は、前述のように、応答性が高く、低照度SNR性能が高く、ダイナミックレンジが高く、色再現性に優れている。
【0094】
(第2の実施形態)
図7は、本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の共有画素の一例を示す回路図である。
【0095】
本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置10Aの共有画素200Aが上述した第1の実施形態に係る固体撮像装置10の画素200と異なる点は、次の通りである
【0096】
本第2の実施形態に係る固体撮像装置10Aの共有画素200Aは、2つのフォトダイオードPD0,PD1で1つのフローティングディフュージョンFDを共有する。
第2の実施形態に係る固体撮像装置10Aは、第1の転送トランジスタTG0-Trに接続された第1のフォトダイオードPD0と、第2の転送トランジスタTG1-Trに接続された第2のフォトダイオードPD1と、第1の転送トランジスタTG0-Trおよび第2の転送トランジスタTG1-Trに接続されたフローティングディフュージョンFDと、第1のフォトダイオードPD0に接続されたアンチブルーミングゲートとしての第1のシャッタゲートトランジスタSG0-Trと、第2のフォトダイオードPD1に接続されたアンチブルーミングゲートとしての第2のシャッタゲートトランジスタSG1-Trとを備えている。
そして、本第2の実施形態に係る固体撮像装置10Aの共有画素200Aにおいて、第1のフォトダイオードPD0からの第1の飽和信号SAT0は、第1の転送トランジスタTG0-Trを介してフローティングディフュージョンFDに完全にオーバーフローし、第2のフォトダイオードPD1からの第2の飽和信号SAT1は第2のシャッタゲートトランジスタSG1-Trを介して排出される。
【0097】
本第2の実施形態において、固体撮像装置10Aは、後で詳述するように、画素部20に行列状に配列される画素(または画素部20)は、出力ノードとしての1つのフローティグディフュージョンFDおよび出力バッファを形成するソースフォロワ素子(ソースフォロワトランジスタ)を、2つの光電変換素子(フォトダイオードPD)および転送素子(転送トランジスタ)により共有されている。
そして、本第2の実施形態に係る固体撮像装置10Aの共有画素は、感度および飽和電荷数を維持しつつ画素サイズの微細化を図ることが可能となることはもとより、接合容量および配線容量の増加を抑えることができ、出力ノードとしてのフローティングディフュージョンの容量の増加を抑止して、変換利得の低下を防止でき、ひいてはノイズ特性の向上を図ることが可能となるように、そして、最大限の光応答を確保することが可能で、再現性に加えて低光SNRを確保することが可能であり、しかもさらなる画素サイズの縮小化を図ることが可能で、ダイナミックレンジ、応答性、解像度などの重要な性能を効率的に向上させることが可能となるように、次に示すような特徴的な構成が採用されている。
【0098】
以下に、本第2の実施形態に係る固体撮像装置10Aの共有画素や画素部のカラーフィルタマトリックス等の特徴的な構成の概要を説明した後、共有画素構造や配列等の構成、機能等の詳細について順を追って説明する。
【0099】
(本第2の実施形態に係る固体撮像装置10Aの共有画素等の特徴的な構成の概要)
本第2の実施形態に係る固体撮像装置10Aにおいて、共有画素200Aの共有FD構造は、第1のフォトダイオードPD0と第2のフォトダイオードPD1を含んで構成され、第1のフォトダイオードPD0で飽和した第1の飽和信号がフローティングディフュージョンFDに完全に転送(オーバーフロー)される。
共有画素200Aにおいて、他の共有PDである第2のフォトダイオードPD1からフローティングディフュージョンFDへのオーバーフロー信号はシャッターゲートSG(AB)の他側を介してドレインに放出(排出)される。そのため、フローティングディフュージョンFDへのオーバーフロー信号はなく。そのため、この構成要素は共通のFD構造でありながら、信号のクロストークとしてオーバーフロー信号が混入することはない。
【0100】
各フォトダイオードPD0、PD1には、それぞれ2つの転送ゲートが接続されており、蓄積された電荷を排出して蓄積時間を個別に制御することができる。また、上述のように、オーバーフロー方向がフローティングディフュージョンFDに混入しないように制御することができる。
【0101】
共有画素200Aは、第1のフォトダイオードPD0と第2のフォトダイオードPD1により共有されるフローティングディフュージョンFD、転送トランジスタTG-Tr、リセットトランジスタRST-Tr、ビニング(BIN)トランジスタBIN-Tr、ソースフォロワ(SF)トランジスタSF-Trを含んで構成されている。
【0102】
フォトダイオードPD(0,1)は、転送トランジスタTG-TrがフローティングディフュージョンFDへの電荷転送に接続されている固定フォトダイオードによって形成される。
リセットトランジスタRST-Trは、電荷転送の前に強制的にフローティングディフュージョンFDをリセットレベル(Vrst)にするために接続される。
なお、光電気変換された電子はフォトダイオードPDに蓄積され、転送トランジスタTG-TrによってフローティングディフュージョンFDに転送される。
【0103】
本第2の実施形態に係る読み出しシーケンスは、1番目のPD読み出し信号Qpd0で開始できる。
次に、2番目の蓄積ノードとして利用できるオーバーフロー信号Qfdが続き、総処理光電荷が拡張される。
その後、2番目のPD信号Qpd1が読み出される。
したがって、光電荷の総量は、第1のフォトダイオードPD0と第2のフォトダイオードPD1のそれぞれ(Qpd1 + Qfd) と Qpd1で与えられる。
【0104】
蓄積された光電荷信号のそれぞれは、列またはピクセル単位のADCの各信号用のメモリのペアを使用して、単一フレームで読み出すことができる。
複数ノードのマルチゲイン読み出しにより、低照度(高ゲイン)から明光(低ゲイン)まで信号範囲を確保できるダイナミックレンジ拡張が可能である。
【0105】
ADC変換は、蓄積された光電荷ごとに発生する可能性があり、少なくとも複数のADC変換が異なる変換利得(変換ゲイン)に利用可能である。
これらのデジタルコードは、ポスト データ処理後に線形化されたコードにすることができる。
【0106】
共有画素200Aにおいて、共有PDの1つは大きなフルウェル容量(FWC)を保持できるため、対応するオーバーフロー光電荷がフローティングディフュージョンFDに蓄積される第1のフォトダイオードPD0に高透過カラーフィルタが適用される。
低透過カラーフィルタは、対応する光電荷(フォトチャージ)が蓄積されたフォーカスピクセルPDのみを格納する第2のフォトダイオードPD1に適用される。
【0107】
この構成では、第1のフォトダイオードPD0の最大フォト領域が拡張され、信号比が高飽和のために維持される。
【0108】
カラーマトリックスのRGBW 構成の例として、クリア (W) などの最高透過フィルタを第1のフォトダイオードPD0に割り当てて、フォトダイオードPD0からのすべての信号が飽和するまで信号応答範囲を拡張し、RまたはBフィルタの低透過フィルタを第2のフォトダイオードPD1に割り当てることがでる。
この構成により、単一のフォトダイオードPD0の信号応答範囲を十分に拡張して、大幅な画素縮小を伴うすべての画素の色再現性を確保できる。
【0109】
マイクロ レンズは個々のフォトダイオードPDに対してカバーされているため、各マイクロレンズMLサイズは個々のカラーフィルタの透過性に対して最適化されている。これは、1つの共有PDの飽和が、より高い応答性を持つことによってより拡張できるためである。
【0110】
また、共有FD構造のため、フォトダイオードPD間発生する色信号のクロストークを防ぐことができる、部分的に開いたフルDTIを備えたBSI (Back Sided Isolation) 構造上に画素(ピクセル)を形成することができる。
【0111】
以上に、本第2の実施形態に係る固体撮像装置10Aの共有画素や画素部のカラーフィルタマトリックス等の特徴的な構成の概要を説明した。
以下に、本第2の実施形態に係る固体撮像装置10Aの信号読み出し形態、共有画素構造や配列等の構成、機能等の詳細について順を追って説明する。
【0112】
(信号読み出し形態例)
まず、本第2の実施形態に係る固体撮像装置10Aの信号読み出し形態例について説明する。
【0113】
本第2の実施形態において、固体撮像装置10Aは、画素部20Aにおいて、画素として光電変換読み出し部210A、AD(アナログデジタル)変換部220、およびメモリ部230を含み、たとえば積層型のCMOSイメージセンサとして構成されている。なお、固体撮像装置10は、グローバルシャッタの動作機能を持つように構成されてもよい。
本第2の実施形態に係る固体撮像装置10Aにおいては、第1の実施形態の場合と同様に、各画素がAD(アナログデジタル)変換機能を有しており、AD変換部は、光電変換読み出し部により読み出される電圧信号と参照電圧とを比較し、読み出される電圧信号VSLに対してアナログデジタル(AD)変換処理を行い、デジタル化した比較結果信号を出力する比較器(コンパレータ)を有している。
【0114】
比較器は、読み出し部70の制御の下、蓄積期間(露光期間)に光電変換素子であるフォトダイオードPDから出力ノード(フローティングディフュージョン)に溢れ出たオーバーフロー電荷に応じた電圧信号に対するデジタル化した第1の比較結果信号を出力する第1の比較処理と、蓄積期間後の転送期間に出力ノードに転送されたフォトダイオードPD(光電変換素子)の蓄積電荷に応じた電圧信号に対するデジタル化した第2の比較結果信号を出力する第2の比較処理と、を行う。
【0115】
そして、本実施形態においては、第2の比較処理中に不規則な強い光がフォトダイオードPD(光電変換素子)に入射したとしても、光電変換素子から不要な電荷をフローティングディフュージョンFD領域外に放出し、光電変換素子からフローティングディフュージョンFDに電荷がオーバーフローしてFDレベルが変動することを防止するシャッタゲート(SG)を有している。
これにより、第2の比較処理中に、不規則な強い光が光電変換素子に入射したとしてもFDレベルが変動することを防止し、正常なAD変換処理を実現可能に構成されている。
【0116】
そして、本第1の実施形態に係る固体撮像装置10は、小さな画素サイズで所定の読み出しモードによりダイナミックレンジを拡大し画素を実現することを可能とするため、読み出し部70はデジタル画素からの画素信号の読み出し処理およびAD変換処理後のデータ格納を以下のように実行する。
【0117】
固体撮像装置10において、比較器は、読み出し部70の制御の下、異なる光電変換素子の蓄積電荷に対して異なる読み出しシーケンスで読み出された少なくとも2系統のモード読み出し信号に対する比較処理を行うことが可能である。
より具体的には、比較器は、異なる2つのフォトダイオード(光電変換素子)PDで一つの出力ノードとしてのフローティングディフュージョンFDを共有する一つの光電変換読み出し部(画素)に接続されており、同一の光電変換読み出し部内の異なるフォトダイオードPDの蓄積電荷に対して異なる読み出しシーケンスで読み出された少なくとも2系統のモード読み出し信号に対する比較処理を行うことが可能に構成されている。
また、比較器は、それぞれ一つまたは複数(本例では2)のフォトダイオードPDを含む複数の光電変換読み出し部が選択的に接続されて、一つの比較器が複数の光電変換読み出し部で共有されており、異なる光電変換読み出し部内の異なるフォトダイオードPD0,PD1の蓄積電荷に対して異なる読み出しシーケンスで読み出された少なくとも2系統のモード読み出し信号に対する比較処理を行うことが可能に構成されている。
【0118】
本実施形態において、読み出し部70は、少なくとも第1の読み出しモードRMD1、第2の読み出しモードRMD2、第3の読み出しモードRMD3、および第4の読み出しモードRMD4の4系統の読み出しモードうちの少なくとも2系統の読み出しモードで前記画素信号の読み出しが可能である。
【0119】
読み出し部70は、第1の読み出しモードRMD1時には、リセット期間PR後のリセット読み出し期間PRRDに、出力バッファ部から出力ノード(フローティングディフュージョン)の第2電荷量に応じた第2変換利得(たとえば低変換利得:LCG)で変換した読み出しリセット信号LCGVRSTを読み出し、比較器でこの読み出しリセット信号LCGVRSTに対する比較処理を行う第2変換利得リセット読み出し処理LCGRRDを行うことが可能である。
さらに、読み出し部70は、第1の読み出しモードRMD1時には、リセット読み出し期間PRRD後の転送期間PTに続く読み出し期間PRDに、出力バッファ部から出力ノードの第2電荷量に応じた第2変換利得で変換した読み出し信号LCGVSIGを読み出し、比較器でこの読み出し信号LCGVSIGに対する比較処理を行う第2変換利得読み出し処理LCGSRDを行うことが可能である。
【0120】
または、読み出し部70は、第1の読み出しモードRMD1時には、リセット期間PR後のリセット読み出し期間PRRDに、出力バッファ部から出力ノード(フローティングディフュージョン)の第1電荷量に応じた第1変換利得(たとえば高変換利得:HCG)で変換した読み出しリセット信号HCGVRSTを読み出し、比較器でこの読み出しリセット信号HCGVRSTに対する比較処理を行う第1変換利得リセット読み出し処理HCGRRDを行うことが可能である。
さらに、読み出し部70は、第1の読み出しモードRMD1時には、リセット読み出し期間PRRD後の転送期間PTに続く読み出し期間PRDに、出力バッファ部から出力ノードの第1電荷量に応じた第1変換利得で変換した読み出し信号HCGVSIGを読み出し、比較器でこの読み出し信号HCGVSIGに対する比較処理を行う第1変換利得読み出し処理HCGSRDを行うことが可能である。
【0121】
読み出し部70は、第2の読み出しモードRMD2時には、リセット期間PR後のリセット読み出し期間PRRDに、出力バッファ部から出力ノードの第2電荷量に応じた第2変換利得で変換した第2の読み出しリセット信号LCGVRSTを読み出し、比較器で第2の読み出しリセット信号LCGVRSTに対する比較処理を行う第2変換利得リセット読み出し処理LCGRRDを行うことが可能である。
さらに、読み出し部70は、第2読み出しモードRMD2時には、利得切換部により利得を切り換えて、出力バッファ部から出力ノードの第1電荷量に応じた第1変換利得で変換した第1の読み出しリセット信号HCGVRSTを読み出し、比較器でこの第1の読み出しリセット信号HCGVRSTに対する比較処理を行う第1変換利得リセット読み出し処理HCGRRDを行うことが可能である。
さらに、読み出し部70は、第2読み出しモードRMD2時には、リセット読み出し期間PRRD後の第1の転送期間PT1に続く第1の読み出し期間PRD1に、出力バッファ部から出力ノードの第1電荷量に応じた第1変換利得で変換した第1の読み出し信号HCGVSIGを読み出し、比較器でこの第1の読み出し信号HCGVSIGに対する比較処理を行う第1変換利得読み出し処理HCGSRDを行うことが可能である。
さらに、読み出し部70は、第2読み出しモードRMD2時には、第1の読み出し期間PRD1後に利得切換部により利得を切り換えて、第1の読み出し期間PRD1後の第2の転送期間PT2に続く第2の読み出し期間PRD2に、出力バッファ部から出力ノードの第2電荷量に応じた第2変換利得で変換した第2の読み出し信号LCGVSIGを読み出し、比較器でこの第2の読み出し信号LCGVSIGに対する比較処理を行う第2変換利得読み出し処理LCGSRDを行うことが可能である。
【0122】
読み出し部70は、第3の読み出しモードRMD3時には、第1のリセット期間PR1後の第1のリセット読み出し期間PRRD1に、出力バッファ部から出力ノードの第1電荷量に応じた第1変換利得で変換した第1の読み出しリセット信号HCGVRSTを読み出し、比較器でこの第1の読み出しリセット信号HCGVRSTに対する比較処理を行う第1変換利得リセット読み出し処理HCGRRDを行うことが可能である。
さらに、読み出し部70は、第3の読み出しモードRMD3時には、第1のリセット読み出し期間PRRD1後の第1の転送期間PT1に続く第1の読み出し期間PRD1に、出力バッファ部から出力ノードの第1電荷量に応じた第1変換利得で変換した第1の読み出し信号HCGVSIGを読み出し、比較器でこの第1の読み出し信号HCGVSIGに対する比較処理を行う第1変換利得読み出し処理HCGSRDを行うことが可能である。
さらに、読み出し部70は、第3の読み出しモードRMD3時には、第1の読み出し期間PRD1後に利得切換部により利得を切り換えて、第1の読み出し期間PRD1後の第2の転送期間PT2に続く第2の読み出し期間PRD2に、出力バッファ部から出力ノードの第2電荷量に応じた第2変換利得で変換した第2の読み出し信号LCGVSIGを読み出し、比較器でこの第2の読み出し信号LCGVSIGに対する比較処理を行う第2変換利得読み出し処理LCGSRDを行うことが可能である。
さらに、読み出し部70は、第3の読み出しモードRMD3時には、第2の読み出し期間PRD2後の第2のリセット期間PR2に続く第2のリセット読み出し期間PRRD2に、出力バッファ部から出力ノードの第2電荷量に応じた第2変換利得で変換した第2の読み出しリセット信号LCGVRSTを読み出し、比較器でこの第2の読み出しリセット信号LCGVRSTに対する比較処理を行う第2変換利得リセット読み出し処理LCGRSDを行うことが可能である。
【0123】
読み出し部70は、第4の読み出しモードRMD4時には、不規則な強い光が光電変換素子に入射した場合であって、オーバーフロー電荷によって出力ノード(フローティングディフュージョンFD)の電位が変動し比較器の出力が反転するまでの時間をクロックで数えて信号量を予測し、第1のリセット読み出し期間PRRD1に、出力バッファ部から出力ノードの第1電荷量に応じた第1変換利得で変換した第1の読み出しリセット信号HCGVRSTを読み出し、比較器でこの第1の読み出しリセット信号HCGVRSTに対する比較処理を行う第1変換利得リセット読み出し処理HCGRRDを行うことが可能である。
さらに、読み出し部70は、第4の読み出しモードRMD4時には、第1のリセット読み出し期間PRRD1後の第1の転送期間PT1に続く第1の読み出し期間PRD1に、出力バッファ部から出力ノードの第1電荷量に応じた第1変換利得で変換した第1の読み出し信号HCGVSIGを読み出し、比較器でこの第1の読み出し信号HCGVSIGに対する比較処理を行う第1変換利得読み出し処理HCGSRDを行うことが可能である。
さらに、読み出し部70は、第4の読み出しモードRMD4時には、第1の読み出し期間PRD1後に利得切換部により利得を切り換えて、第1の読み出し期間PRD1後の第2の転送期間PT2に続く第2の読み出し期間PRD2に、出力バッファ部から出力ノードの第2電荷量に応じた第2変換利得で変換した第2の読み出し信号LCGVSIGを読み出し、比較器でこの第2の読み出し信号LCGVSIGに対する比較処理を行う第2変換利得読み出し処理LCGSRDを行うことが可能である。
さらに、読み出し部70は、第4の読み出しモードRMD4時には、第2の読み出し期間PRD2後の第2のリセット期間PR2に続く第2のリセット読み出し期間PRRD2に、出力バッファ部から出力ノードの第2電荷量に応じた第2変換利得で変換した第2の読み出しリセット信号LCGVRSTを読み出し、比較器でこの第2の読み出しリセット信号LCGVRSTに対する比較処理を行う第2変換利得リセット読み出し処理LCGRSDを行うことが可能である。
【0124】
以下、固体撮像装置10の各部の構成および機能の概要、特に、画素部20および画素の構成および機能、それらに関連した読み出し処理等について詳述する。
【0125】
(共有画素200Aの構成例)
図7は、本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置10Aの共有画素の回路例を示している。
【0126】
前述したように、本第2の実施形態に係る共有画素200Aは、光電変換読み出し部210A、AD変換部220、およびメモリ部230を含んで構成されている。
本第1の実施形態の画素部20は、第1の基板110と第2の基板120の積層型のCMOSイメージセンサとして構成されるが、本例では、
図3に示すように、第1の基板110に光電変換読み出し部210が形成され、第2の基板120にAD変換部220およびメモリ部230が形成されている。
【0127】
共有画素200Aの光電変換読み出し部210Aは、2つのフォトダイオード(光電変換素子)と1つの画素内アンプとを含んで構成される。
具体的には、この光電変換読み出し部210は、たとえば第1の光電変換素子である第1のフォトダイオードPD0、および第2の光電変換部であるフォトダイオードPD1を有する。
本第2の実施形態の共有画素200Aは、第1のフォトダイオードPD0および第2のフォトダイオードPD1が、出力ノードND0としてのフローティングディフュージョンFDを共有している。
【0128】
第1のフォトダイオードPD0および第2のフォトダイオードPD1は、蓄積期間に光電変換により生成した電荷を蓄積する。
第1のフォトダイオードPD0の蓄積部PND0とフローティングディフュージョンFDとの間に第1の転送素子としての第1の転送トランジスタTG0-Trが接続され、蓄積部PND0と所定の固定電位VAAPIXとの間に第1の電荷オーバーフローゲート素子としての第1のシャッタゲートトランジスタSG0-Trが接続されている。
また、第2のフォトダイオードPD1の蓄積部PND1とフローティングディフュージョンFDとの間に第2の転送素子としての第2の転送トランジスタTG1-Trが接続され、蓄積部PND1と所定の固定電位VAAPIXとの間に第2の電荷オーバーフローゲート素子としての第2のシャッタゲートトランジスタSG1-Trが接続されている。
【0129】
そして、光電変換読み出し部210は、一つの出力ノードND0としてのフローティングディフュージョンFDに対応して、リセット素子としてのリセットトランジスタRST-Tr、ソースフォロワ素子としてのソースフォロワトランジスタSF-Tr、蓄積素子としての蓄積トランジスタBIN-Tr、蓄積容量素子としての蓄積キャパシタCS、および読み出しノードND1をそれぞれ一つずつ有する。
なお、光電変換読み出し部210は、さらに選択素子としての選択トランジスタSEL-Trを有する構成をとり得る。
【0130】
そして、本第1の実施形態においては、ソースフォロワトランジスタSF-Trおよび読み出しノードND1を含んで出力バッファ部211が構成されている。
また、蓄積トランジスタBIN-Trおよび蓄積キャパシタCSを含んで利得切換部212が構成されている。
【0131】
本第2の実施形態に係る光電変換読み出し部210Aは、出力バッファ部211の読み出しノードND1がAD変換部220の入力部に接続されている。
光電変換読み出し部210Aは、出力ノードとしてのフローティングディフュージョンFDの電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換し、変換した電圧信号VSLをAD変換部220に出力する。
【0132】
本第2の実施形態に係る光電変換読み出し部210Aは、読み出し部70の制御の下、第1の光電変換素子としての第1のフォトダイオードPD0の蓄積電荷に対して第4の読み出しモードRMD4または第3の読み出しモードRMD3による読み出しを行う。
光電変換読み出し部210は、続いて、第2の光電変換素子としての第2のフォトダイオードPD1の蓄積電荷に対して第1の読み出しモードRMD1または第2の読み出しモードRMD2による読み出しを行う。
本第2の実施形態においては、第1の光電変換素子としての第1のフォトダイオードPD0の蓄積電荷に対して第4の読み出しモードRMD4による読み出しを行い、第2の光電変換素子としての第2のフォトダイオードPD1の蓄積電荷に対して第2の読み出しモードRMD2による読み出しを行う。
【0133】
たとえば、前述したように、光電変換読み出し部210Aは、AD変換部220の第1の比較処理期間PCMP1において、蓄積期間PIに光電変換素子であるフォトダイオードPD0から出力ノードとしてのフローティングディフュージョンFDに溢れ出たオーバーフロー電荷に応じた電圧信号VSLを出力する。
【0134】
さらに、光電変換読み出し部210Aは、AD変換部220の第2の比較処理期間PCMP2において、蓄積期間PI後の転送期間PTに出力ノードとしてのフローティングディフュージョンFDに転送されたフォトダイオードPD1の蓄積電荷に応じた電圧信号VSLを出力する。
光電変換読み出し部210は、第2の比較処理期間PCMP2において、画素信号としての読み出しリセット信号(信号電圧)(VRST)および読み出し信号(信号電圧)(VSIG)をAD変換部220に出力する。
【0135】
第1のフォトダイオードPD0および第2のフォトダイオードPD1は、入射光量に応じた量の信号電荷(ここでは電子)を発生し、蓄積する。
各共有画素200Aにおいて、フォトダイオード(PD)としては、埋め込み型フォトダイオード(PPD)が用いられる。
フォトダイオード(PD)を形成する基板表面にはダングリングボンドなどの欠陥による界面準位が存在するため、熱エネルギーによって多くの電荷(暗電流)が発生し、正しい信号が読み出せなくなってしまう。
埋め込み型フォトダイオード(PPD)では、フォトダイオード(PD)の電荷蓄積部を基板内に埋め込むことで、暗電流の信号への混入を低減することが可能となる。
【0136】
光電変換読み出し部210Aの第1の転送トランジスタTG0-Trは、第1のフォトダイオードPD0の蓄積部PND0とフローティングディフュージョンFDの間に接続され、制御線を通じてゲートに印加される制御信号TG0により制御される。
第1の転送トランジスタTG0-Trは、制御信号TG0がハイ(H)レベルの転送期間PTに選択されて導通状態となり、第1のフォトダイオードPD0で光電変換され蓄積された電荷(電子)をフローティングディフュージョンFDに転送する。
なお、第1のフォトダイオードPD0およびフローティングディフュージョンFDが所定のリセット電位にリセットされた後、第1の転送トランジスタTG0-Trは、制御信号TG0がロー(L)レベルの非導通状態となり、第1のフォトダイオードPD0は蓄積期間PIとなるが、このとき、入射する光の強度(量)が非常に高い場合、飽和電荷量を超えた電荷が第1の転送トランジスタTG0―Tr下のオーバーフローパスを通じてオーバーフロー電荷としてフローティングディフュージョンFDに溢れ出す。
【0137】
第1の電荷オーバーフローゲート素子としての第1のシャッタゲートトランジスタSG0-Trは、第1のフォトダイオードPD0の蓄積部PND0と所定の固定電位VAAPIXとの間が接続され、制御線を通じて印加される制御信号SG0により制御される。
第1のシャッタゲートトランジスタSG0-Trは、制御信号SG0がHレベルの期間に選択されて導通状態となり、第1のフォトダイオードPD0の電荷蓄積部PND0と所定の固定電位VAAPIX間にアンチブルーミングとしての電荷放出(排出)パスを形成し、不要な電荷を固定電位VAAPIXに放出させる。
【0138】
このように、第1の転送トランジスタTG0-Trと第1のシャッタゲートトランジスタSG0-Trは、それぞれ個別のタイミングで駆動制御される。
【0139】
光電変換読み出し部210Aの第2の転送トランジスタTG1-Trは、第2のフォトダイオードPD1の蓄積部PND1とフローティングディフュージョンFDの間に接続され、制御線を通じてゲートに印加される制御信号TG1により制御される。
第2の転送トランジスタTG1-Trは、制御信号TG1がハイ(H)レベルの転送期間PTに選択されて導通状態となり、第2のフォトダイオードPD1で光電変換され蓄積された電荷(電子)をフローティングディフュージョンFDに転送する。
なお、第2のフォトダイオードPD1およびフローティングディフュージョンFDが所定のリセット電位にリセットされた後、第2の転送トランジスタTG1-Trは、制御信号TG1がロー(L)レベルの非導通状態となり、第2のフォトダイオードPD1は蓄積期間PIとなるが、このとき、入射する光の強度(量)が非常に高い場合、飽和電荷量を超えた電荷が第2のシャッタゲートトランジスタSG1―Tr下のオーバーフローパスを通じてオーバーフロー電荷として固定電位VAAPIXに溢れ出す。
【0140】
第2の電荷オーバーフローゲート素子としての第2のシャッタゲートトランジスタSG1-Trは、第2のフォトダイオードPD1の蓄積部PND1と所定の固定電位VAAPIXとの間が接続され、制御線を通じて印加される制御信号SG1により制御される。
第2のシャッタゲートトランジスタSG1-Trは、制御信号SG1がHレベルの期間に選択されて導通状態となり、第2のフォトダイオードPD1の電荷蓄積部PND1と所定の固定電位VAAPIX間にアンチブルーミングとしての電荷放出(排出)パス(経路)を形成し、不要な電荷を固定電位VAAPIXに放出させる。
【0141】
このように、第2の転送トランジスタTG1-Trと第2のシャッタゲートトランジスタSG1-Trは、それぞれ個別のタイミングで駆動制御される。
【0142】
リセットトランジスタRST-Trは、電源電圧VAAPIXの電源線VaapixとフローティングディフュージョンFDの間に接続され、制御線を通じてゲートに印加される制御信号RSTにより制御される。
リセットトランジスタRST-Trは、制御信号RSTがHレベルのリセット期間に選択されて導通状態となり、フローティングディフュージョンFDを電源電圧VAAPIXの電源線Vaapixの電位(Vrst)にリセットする。
【0143】
蓄積トランジスタBIN―Trは、フローティングディフュージョンFDとリセットトランジスタRST―Trとの間に接続され、その接続ノードND2と基準電位VSSとの間に蓄積キャパシタCSが接続されている。
蓄積トランジスタBIN-Trは、制御線を通じてゲートに印加される制御信号BINにより制御される。
蓄積トランジスタBIN1-Trは、制御信号BINがHレベルのリセット期間に選択されて導通状態となり、フローティングディフュージョンFDと蓄積キャパシタCSとを接続する。
【0144】
第1変換利得信号読み出し処理HCGSRD時には、蓄積トランジスタBIN-Trは非導通状態に保持され、出力ノードND0であるフローティングディフュージョンFDの電荷と蓄積キャパシタCSの電荷を分離させて読み出し処理が実行される。
第2変換利得信号読み出し処理LCGSRD時には、蓄積トランジスタBIN-Trは導通状態に保持され、出力ノードND0であるフローティングディフュージョンFDの電荷と蓄積キャパシタCSの電荷を共有させて読み出し処理が実行される。
第2変換利得リセット読み出し処理LCGRRD時には、リセットトランジスタRST-Trおよび蓄積トランジスタBIN-Trが導通状態に保持され、出力ノードNDであるフローティングディフュージョンFDの電荷と蓄積キャパシタCSの電荷をクリアさせて読み出し処理が実行される。
【0145】
ソースフォロワ素子としてのソースフォロワトランジスタSF-Trは、ソースが読み出しノードND1に接続され、ドレイン側が電源線Vaapixに接続され、ゲートがフローティングディフュージョンFDに接続されている。
そして、出力バッファ部211を形成する出力ノードND1は、AD変換部220の入力部に接続された信号線LSGN1に接続されている。
読み出しノードND1が接続された信号線LSGN1と基準電位VSS(たとえばGND)の間に電流源素子としてのカレントトランジスタIC-Trのドレイン、ソースが接続されている。カレントトランジスタIC-Trのゲートは制御信号VBNPIXの供給ラインに接続されている。
そして、読み出しノードND1とAD変換部220の入力部間の信号線LSGN1は、電流源素子としてのカレントトランジスタIC-Trにより駆動される。
【0146】
第1の転送トランジスタTG0-Tr下には第1のフォトダイオードPD0からフローティングディフュージョンFDにいたるオーバーフローOVPが形成される。
なお、オーバーフローパスOVPの電位は、たとえばゲート制御により行うことも可能である。
【0147】
一方、第2の転送トランジスタTG1-Trのゲート電極2110,および第2のシャッタゲートトランジスタSG1-Trのゲート電極2111が形成されている。
第2のシャッタゲートトランジスタSG1-Tr下にはフォトダイオードPD0からn+層2107にいたる電荷放出パスDMPが形成される。
【0148】
このような構造において、入射する光の強度(量)が非常に高い場合、飽和電荷量を超えた電荷が第1の転送トランジスタTG0―Tr下のオーバーフローパスOVPを通じてオーバーフロー電荷としてフローティングディフュージョンFDに溢れ出す。
比較器221の第1の比較処理CMPR1ではオーバーフロー電荷が使用される。
【0149】
これに対して、AD変換の第2の比較処理中に、不規則な強い光が第1のフォトダイオードPD0に入射すると、フォトダイオードPD0からフローティングディフュージョンFDに電荷がオーバーフローして出力ノードであるフローティングディフュージョンFDのレベルが変動してしまい、正常なAD変換処理を実現できないおそれがある。
そこで、本実施形態においては、第2の比較処理中に不規則な強い光が第1のフォトダイオードPD0に入射したとしても、第1のフォトダイオードPD0から不要な電荷をフローティングディフュージョンFD領域外に放出し、第1のフォトダイオードPD0からフローティングディフュージョンFDに電荷がオーバーフローしてFDレベルが変動することを防止する第1のシャッタゲートトランジスタSG0-Trを有している。
これにより、第2の比較処理中に、不規則な強い光が第1のフォトダイオードPD0に入射したとしてもFDレベルが変動することを防止し、正常なAD変換処理を実現可能に構成されている。
【0150】
このような2組の第1のフォトダイオードPD0、第1の転送ゲートトランジスタTG0-Tr、および第1のシャッタゲートトランジスタSG0-Tr、並びに、第2のフォトダイオードPD1、第2の転送ゲートトランジスタTG1-Tr、および第2のシャッタゲートトランジスタSG1-Trにより一つの出力ノードND0としてのフローティングディフュージョンFDを共有する画素200の光電変換読み出し部210は、ダイナミックレンジを向上させるために、対応する読み出しモードに応じて、フォトダイオードPDの容量を異ならせている。
本第2の実施形態においては、第1のフォトダイオードPD0の蓄積電荷に対して第4の読み出しモードRMD4による読み出しが行われ、第2のフォトダイオードPD1の蓄積電荷に対して、たとえば第2の読み出しモードRMD2による読み出しを行うことに対応して、同一の光電変換読み出し部210内に形成された第1のフォトダイオードPD0の容量が同一光電変換読み出し部210内に隣接して形成された第2のフォトダイオードPD1の容量より小さく形成されている。
【0151】
第4の読み出しモードRMD4による読み出しが行われる第1のフォトダイオードPD0のFWCはFD飽和によって制限され、フォトダイオード自身のFWC(Full Well Capacity)には制限されない。
一方、第1の読み出しモードRMD1等による読み出しが行われる第1のフォトダイオードPD1のFWCはフォトダイオードのFWCに制限される。
したがって、第4の読み出しモードRMD4による読み出しが行われる第1のフォトダイオードPD0はFWCが小さくなるように形成され、第1の読み出しモードRMD1等による読み出しが行われる第2のフォトダイオードPD1はFWCが大きくなるように形成される。
【0152】
(PD0):
また、画素セルPXLCの第1のフォトダイオードPD0(MQPD)において、蓄積された電荷はPDノードPND0に蓄積され、オーバーフローした電荷はFDノードに蓄積される。そのため、飽和信号はPDのFWCではなくFD飽和によって制限される。
したがって、第1のフォトダイオードPD0(MQPD)はFWCを小さく構成され、第2のフォトダイオードPD1(SQPD)はFWCを大きく構成される。
光電荷は、それぞれの信号全体を変換するために、異なるゲインで少なくとも2回読み取ることができる。
【0153】
(PD1):
第2のフォトダイオードPD1(SQPD)において、蓄積された電荷はPDノードPND1に蓄積され、オーバーフローした電荷は電荷放出パスDMPを通してドレインノードに排出される。
したがって、飽和信号はFDのFWCではなくPD飽和によって制限される。したがって、PDはFWCを小さく構成され、SQPDはFWCを大きく構成される。
【0154】
図8(A)、(B)、および(C)は、本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の共有画素に採用可能な読み出し動作例を示す図であって、共有画素の回路例、タイミングチャート、およびポテンシャル遷移を関連付けて示す図である。
【0155】
この例では、電荷蓄積期間を経過した後、まず、第1のフォトダイオードPD0を読み出し対象としてLOFICによるデュワル変換利得動作が行われる。
具体的には、第1のフォトダイオードPD0に対し、高変換利得リセット信号読み出し処理HCGRST(PD0)、高変換利得輝度信号読み出し処理HCGSIG(PD0)、および低変換利得輝度信号読み出し処理LCGSIG(PD0)が順を追って行われる。
【0156】
次に、第2のフォトダイオードPD1を読み出し対象としてSEHDRによるデュワル変換利得動作が行われる。
まず、第1のフォトダイオードPD0または第2のフォトダイオードPD1に対し、低変換利得リセット信号読み出し処理LCGRST(PD0/1)が行われた後、高変換利得リセット信号読み出し処理HCGRST(PD1)、高変換利得輝度信号読み出し処理HCGSIG(PD1)、および低変換利得輝度信号読み出し処理LCGSIG(PD1)が順を追って行われる。
【0157】
次に、FD共有型PDの光電荷状態について説明する。
図9は、FD共有型PDの光電荷状態についてポテンシャル遷移に関連付けて説明するための図である。
【0158】
この例では、「W」ピクセルの応答性 [e-/lux] は4倍高いと推定され、フローティングディフュージョンFD(FDノード)の蓄積電荷 (Qfd) も4倍であると推定される。
次に、Wの高い透過度フィルタの飽和点 [lux] を拡張して、飽和点を等しくする。
この例では、クリア (白) フィルタのオーバーフロー電荷をフローティングディフュージョンFD(FDノード)に保存できる。
R/Bのオーバーフロー電荷は、露光中にFDノードにカップリングされず、読み出し期間のみ、RとGがFDノードに結合される。
【0159】
次に、共有FD構造とカラーマトリックス補間を使用したRWWB(RCCB)等の構成での光応答例について説明する。
図10(A)および(B)は、共有FD構造とカラーマトリックス補間を使用したRWWB(RCCB)構成での光応答例について説明するための図である。
図10(A)は光応答特性の一例を示し、
図10(B)はRWWB(RCCB)のカラーマトリックスでの補間例を示している。
図10(A)および(B)は、通常のカラーフィルタの透過率、並びに、Gフィルタの透過率を示す図である。
【0160】
図10の構成では、
図10(A)に示すように、Wのダイナミックレンジは、マイクロレンズMLの最適化により拡張する。
また、
図10(B)のカラーマトリックスの補間処理では、W(C),B,Rを使用して、演算G=W-B-Rをすることにより、グリーンGフィルタの性能を、オリジナルのGフィルタの性能に近い性能まで再生することができる。
【0161】
次に、第2の実施形態における2画素信号の読み出し動作方法についてさらに説明する。
共有画素に採用可能な読み出し動作方法としては、たとえば、第1のケース、第2のケース、および第3のケースに適用可能な方法を例示することができる。
【0162】
第1のケースは、全画素読み出しまたはビニング時に適用される。読み出し利得(ゲイン)はシングル利得で高変換利得(第1の変換利得)HCGまたは低変換利得(第2の変換利得)LCGのいずれかが適用される。
この場合の読み出し対象は、第1のフォトダイオードPD0または第2のフォトダイオードPD1のいずれかである。
【0163】
第2のケースは、単一露光(シングルエクスポージャー)のハイダイナミックレンジ(SEHDR)パフォーマンス時に適用される。読み出し利得(ゲイン)はデュワル変換利得で高変換利得(第1の変換利得)HCGおよび低変換利得(第2の変換利得)LCGの両利得が適用される。
この場合の読み出し対象は、第1に第1のフォトダイオードPD0の電荷を高変換利得HCGで読み出し、第2に第2のフォトダイオードPD1の電荷を低変換利得LCGで読み出す。
【0164】
第3のケースは、LOFICモード時に適用される。読み出し利得(ゲイン)はデュワル変換利得で高変換利得(第1の変換利得)HCGおよび低変換利得(第2の変換利得)LCGの両利得が適用される。
この場合の読み出し対象は、第1に第1のフォトダイオードPD0の電荷を高変換利得HCGで読み出し、第2にフローティングディフュージョンFDの電荷を低変換利得LCGで読み出す。
【0165】
以上、第2の実施形態に係る固体撮像装置10Aとして、2つのフォトダイオードPD0,PD1で1つのフローティングディフュージョンFDを共有する共有画素を含む固体撮像装置の特徴的な構成、機能について説明した。
以下に、本第2の実施形態に係る固体撮像装置10Aの効果について
図11に関連付けて説明する。
なお、
図11において、符号1は1,小さい上で応答性を下げて延長する飽和点を示し、符号2は応答性であって「W」の PD がさらに増加することを示し、符号3は感度を上げてもリニアなフォトレスポンスが飽和点まで維持されることを示している。
【0166】
(第2の実施形態の効果)
以上の構成により、下部透明(R-B) カラー マトリックスの飽和点は、W フィルタの特性によって制限される。
W(クリア)フィルタでより高い透明度を提供するRB(W)フィルタ構成の場合、飽和点はWフィルタによって制限される。そのため、逆に色再現性を確保するための最高照度を下げている。
オーバーフロー電荷蓄積が FD で発生した FD共有 PD では、最高の透過性 PD に対してフルウェル容量を拡張することができる。
【0167】
本第2の実施形態では、より高い応答性を得ることができ、優れた色再現性を備えたより高いダイナミックレンジでより高い低照度SNR 性能を得ることができる。
さらに、従来のデュアルサイズPDやLOFIC構成に比べて、FDやゲインバッファなどの画素回路構成部品の一部を共通化して彩度を高くできるため、画素サイズを小さくして高解像度化が可能となる。
【0168】
(第3の実施形態)
図12は、本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置の共有画素の一例を示す回路図である。
【0169】
本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置10Bの共有画素200Bが上述した第2
の実施形態に係る固体撮像装置10Aの共有画素200Aと異なる点は、次の通りである。
【0170】
第2の実施形態に係る固体撮像装置10Aの共有画素200Aは、2つのフォトダイオードPD0,PD1で1つのフローティングディフュージョンFDを共有する。
第2の実施形態に係る固体撮像装置10Aは、第1の転送トランジスタTG0-Trに接続された第1のフォトダイオードPD0と、第2の転送トランジスタTG1-Trに接続された第2のフォトダイオードPD1と、第1の転送トランジスタTG0-Trおよび第2の転送トランジスタTG1-Trに接続されたフローティングディフュージョンFDと、第1のフォトダイオードPD0に接続されたアンチブルーミングゲートとしての第1のシャッタゲートトランジスタSG0-Trと、第2のフォトダイオードPD1に接続されたアンチブルーミングゲートとしての第2のシャッタゲートトランジスタSG1-Trとを備えている。
そして、第2の実施形態に係る固体撮像装置10Aの共有画素200Aにおいて、第1のフォトダイオードPD0からの第1の飽和信号SAT0は、第1の転送トランジスタTG0-Trを介してフローティングディフュージョンFDに完全にオーバーフローし、第2のフォトダイオードPD1からの第2の飽和信号SAT1は第2のシャッタゲートトランジスタSG1-Trを介して排出される。
【0171】
そして、本第3の実施形態に係る固体撮像装置10Bの共有画素200Bは、2つのフォトダイオードPD0,PD1に、さらに2つのフォトダイオードPD2、PD3を加えた4つのフォトダイオードPD0~PD3で1つのフローティングディフュージョンFDを共有する。
具体的には、本第3の実施形態に係る固体撮像装置10Bは、第1の転送トランジスタTG0-Trに接続された第1のフォトダイオードPD0と、第2の転送トランジスタTG1-Trに接続された第2のフォトダイオードPD1と、第3の転送トランジスタTG2-Trに接続された第3のフォトダイオードPD2と、第4の転送トランジスタTG3-Trに接続された第4のフォトダイオードPD3と、第1の転送トランジスタTG0-Tr、第2の転送トランジスタTG1-Tr、第3の転送トランジスタTG2-Tr、および第4の転送トランジスタTG3-Trに接続されたフローティングディフュージョンFDと、第1のフォトダイオードPD0に接続されたアンチブルーミングゲートとしての第1のシャッタゲートトランジスタSG0-Trと、第2のフォトダイオードPD1に接続されたアンチブルーミングゲートとしての第2のシャッタゲートトランジスタSG1-Trと、第3のフォトダイオードPD2に接続されたアンチブルーミングゲートとしての第3のシャッタゲートトランジスタSG2-Trと、第4のフォトダイオードPD3に接続されたアンチブルーミングゲートとしての第4のシャッタゲートトランジスタSG3-Trとを備えている。
【0172】
このように、本第3の実施形態に係る固体撮像装置10Bの共有画素200Bは、第3の転送トランジスタTG2-Trおよび第4の転送トランジスタTG3-Trにそれぞれ結合された第3のフォトダイオードPD2および第4のフォトダイオードPD3をさらに備えている。
FD共有画素200Bのレイアウトは、第1のフォトダイオードPD0,第2のフォトダイオードPD1、第3のフォトダイオードPD2、および第4のフォトダイオードPD3を含んで形成され、PD0~PD3の飽和信号SAT0~SAT3のすべてがフローティングディフュージョンFDに完全に転送(オーバーフロー)され、転送トランジスタTG(シャッタゲートトランジスタSG)の反対側は、それ自体のオーバーフロー電荷をドレインに排出することができる。
また、PD0~PD3の飽和信号SAT0~SAT3の少なくとも1つがフローティングディフュージョンFDに完全に転送(オーバーフロー)されるように構成されているが、転送トランジスタTG(シャッタゲートトランジスタSG)の反対側はそれ自体のオーバーフロー電荷をドレインに排出できる。
【0173】
共有画素200Bは、各PD0~PD3にはそれぞれ2つの電荷転送用トランジスタが接続されており、蓄積された電荷を排出し、蓄積時間を個別に制御できる。
また、共有画素200Aは、対応するFD共有PD上にカラーフィルタが形成される。たとえば、RGB,Gフィルタのカラーフィルタ構成は、FD共有PDの2x2ブロックに適用される。
また、共有FD構造のため、フォトダイオードPD0~PD3間で発生する色信号のクロストークを防ぐことができるパーシャルフルDTIを使用したBSI (Back Sided Isolations) 構造上にピクセルを形成することができる。
【0174】
共有画素200Bは、各光電変換素子を含む画素に対応するように配置されるカラーフィルタを含み、対応するオーバーフロー光電荷がフローティングディフュージョンFDに蓄積される1番目の第1の光電変換素子に感度の高い高透過カラーフィルタW(C)が適用され、感度のより低い透過カラーフィルタは、対応する光電荷が蓄積された読み出し信号を格納する2番目以降の第2の光電変換素子に適用され、感度の高い画素のオーバーフロー信号を拡張する場合に、感度の高い画素以外の画素のカラーフィルタを、R-G-B-IR、より低い透過カラーフィルタのいずれかに感度を持つものと組み合わせている。
【0175】
本第3の実施形態に係る固体撮像装置10Bにおいても、第1および第2の実施形態と同の構成を有することが可能である。すなわち、本第3の実施形態においても、透明度(透過率)の高いカラーフィルタ、たとえば(W)フィルタ に大きなサイズの マイクロレンズMLLを割り当て、透明度の低い、たとえば可視光域カラーフィルタ (B,R) に小さなサイズのマイクロレンズMLSを割り当てて不均一にマイクロレンズMLを形成する。
また大きいサイズのマイクロレンズMLLの下層のカラーフィルタは、透明度の高い素材である必要がある。
【0176】
以下に、本第3の実施形態に係る固体撮像装置10Bの共有画素の構成や配列等、カラーマトリックスの構成、機能等について順を追って説明する。
【0177】
(2×2カラーマトリックスの例)
2×2カラーマトリックスの形成例について説明する。
図13(A)~(C)および
図14(A),(B)は、2×2FD共有画素用カラーマトリックスの形成例を示す図である。
【0178】
図13(A)は、W-IR画素を2×2の正方配列したカラーマトリックスの形成例を示している。
図13(B)は、W-IR-G-B-R画素を2×2の正方配列したカラーマトリックスの形成例を示している。
図13(C)は、W-B-R画素を2×2の正方配列したカラーマトリックスの形成例を示している。
図14(A)および(B)は、W-IR-B-R画素を2×2の正方配列したカラーマトリックスの形成例を示している。
【0179】
また、
図15(A)および(B)は、4共有FDピクセルであって、IR-W-IR-WのRGB-PD構成と共有されるFDを中心として2×2の正方配列したカラーマトリックスの形成例を示してあり、共有画素の読み出し回路例に関連付けて示している。
この例では、第1のフォトダイオードPD0は、カラーフィルタIRが割り当てられ、電荷記憶の対象はPDのみである。
第2のフォトダイオードPD1は、カラーフィルタWが割り当てられ、電荷記憶の対象はPDおよびFDである。
第3のフォトダイオードPD2は、カラーフィルタWが割り当てられ、電荷記憶の対象はPDおよびFDである。
第4のフォトダイオードPD3は、カラーフィルタIRが割り当てられ、電荷記憶の対象はPDのみである。
【0180】
また、
図16(A)および(B)は、4共有FDピクセルであって、IR-W-IR-WのRGB-PD構成と共有されるFDを中心として2×2の正方配列したカラーマトリックスの形成例を示してあり、共有画素の読み出し回路例に関連付けて示している。
可視光用VIS: W-IRカラーマトリックスに対して可視光用VIS読み取りのためのビニング処理を行うことにより可視画像マトリックスを取得する。
NIR光用W-IRマトリックスに対してNIR光用W-IR読み取りのためのビニング処理を行うことによりNIR画像マトリックスを取得する。
【0181】
図17(A)および(B)は、本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置の共有画素に採用可能なLOFICおよびSEHDRの部分利用時の4共有PDビニング読み出し動作例を示すタイミングチャートであって、共有画素の読み出し回路例に関連付けて示してある。
【0182】
また、
図18(A)および(B)は、本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置に採用可能なLOFICの部分利用時およびSEHDRの読み出し動作例を示してある。
【0183】
共有画素に採用可能なLOFICおよびSEHDRの部分利用時の読み出し動作方法としては、たとえば、
図18(A)および(B)に記載のケースに適用可能な方法を例示することができる。
【0184】
図18(A)は、フォトダイオードPD0、PD3の電荷を高変換利得により読み出す方法を例示している。
図18(B)は、フォトダイオードPD1,PD2の電荷を低変換利得により読み出す方法を例示している。
【0185】
図19(A)および(B)は、4共有FDピクセルであって、IR-W-IR-WのRGB-PD構成と共有されるFDを中心として2×2の正方配列したカラーマトリックスの他の形成例を示してあり、共有画素の読み出し回路例に関連付けて示している。
この例では、第1のフォトダイオードPD0は、カラーフィルタRが割り当てられ、電荷記憶の対象はPDのみである。
第2のフォトダイオードPD1は、カラーフィルタWが割り当てられ、電荷記憶の対象はPDおよびFDのである。
第3のフォトダイオードPD2は、カラーフィルタWが割り当てられ、電荷記憶の対象はPDおよびFDである。
第4のフォトダイオードPD3は、カラーフィルタBが割り当てられ、電荷記憶の対象はPDのみである。
【0186】
図20(A)および(B)は、4共有FDピクセルであって、IR-W-IR-WのRGB-PD構成と共有されるFDを中心として2×2の正方配列したカラーマトリックスの他の形成例を示してあり、共有画素の読み出し回路例に関連付けて示している。
この例では、第1のフォトダイオードPD0は、カラーフィルタRが割り当てられ、電荷記憶の対象はPDのみである。
第2のフォトダイオードPD1は、カラーフィルタIRが割り当てられ、電荷記憶の対象はPDのみである。
第3のフォトダイオードPD2は、カラーフィルタWが割り当てられ、電荷記憶の対象はPDおよびFDである。
第4のフォトダイオードPD3は、カラーフィルタBが割り当てられ、電荷記憶の対象はPDのみである。
【0187】
ここで、本第3の実施形態に係る固体撮像装置10Bとして、4つのフォトダイオードPD0,PD1、PD2,PD3で1つのフローティングディフュージョンFDを共有する共有画素を含む固体撮像装置の特徴的な構成、機能についての概要を述べる。
【0188】
以上説明したように、本第3の実施形態によれば、共有FD ピクセル レイアウトは、1 番目、2 番目、3 番目、4 番目の フォトダイオードPD0~PD3により構成され、PD飽和信号の少なくとも 1 つが フローティングディフュージョンFDに完全に転送 (オーバーフロー) されるように構成されている。一方、TG(AB) の反対側は自身のオーバーフロー電荷を排出できる。
画素は、FD共有PDおよび第1および第2の実施形態で説明した他の構成要素から構成される。
各 PDにはダンプドレインとコントロールゲートがあり、蓄積された電荷を排出して蓄積時間を個別に制御することができる。
カラーフィルタは、対応するFD共有PD上に形成される。たとえば、少なくとも1つのWフィルタにおけるカラーフィルタ構成が、FD共有PDの2×2ブロックの1つに適用される。
【0189】
この構成により、共有 PD のビニング機能を使用できる。 さらに、オーバーフロー電荷は、2x2 ビニングでさらに完全に拡張された FD ノードに格納することができる。
読み出しシーケンスは、最初の PD 読み出し (Qpd0) 信号で開始でき、次にオーバーフロー信号 (Qfd) が続く。その後、2 番目の PD 信号 (Qpdq) の読み出しが続く。
したがって、光電荷の総量は、1st PD と 2nd PD がそれぞれ Qpd + Qfd と Qfd になる。そのため、FD共有 PD の 1st PD0 で飽和電荷量を伸ばすことができる。
各ピクセルのマイクロ レンズ (ML) が個々のPD に適用され、大きなサイズの ML が高透明フィルタに配置され、高彩度 PD に割り当てられる。
【0190】
以下に、本第3の実施形態に係る固体撮像装置10Bの効果について
図21に関連付けて説明する。
【0191】
(第3の実施形態の効果)
本第3の実施形態では、飽和信号は、オーバーフロー電荷蓄積が起こったFD共有PDに対して拡張することができる。前述したように、FD拡張 PD にはより高い応答性が割り当てられ、より高い低照度 SNR 性能とより高いダイナミック レンジの両方を得ることができる。
IR チャネルは基本的には(単一)量子化モードで動作する。
DR 要件が少ないことを考えると、 IRチャネルの電荷オーバーフローパスは、アンチブルーミング ゲート(AB) を通過するように構成されている。
このゲートは、FDのモノチャネルからのオーバーフロー電荷との混合を防ぐためのゲートである。
各フォトダイオード (PD) には独自の転送ゲート (TG) と AB ゲートの信号を駆動して、独立した露光時間制御が行われる。したがって、露光時間は2 つのチャネルは異なる場合があり、環境光と NIR プロジェクターがそれぞれ光を放出し、最適化することができる。
【0192】
以上説明したように、本第3の実施形態に係る固体撮像装置は、従来のビニング方式と比較して、より高い低照度SNR性能と、画素サイズのオーバーヘッドなしでより高いダイナミックレンジを実現するためのより高い応答性を達成できる。
【0193】
以上説明した固体撮像装置10,10A,10Bは、デジタルカメラやビデオカメラ、携帯端末、あるいは監視用カメラ、医療用内視鏡用カメラなどの電子機器に、撮像デバイスとして適用することができる。
【0194】
図22は、本発明の実施形態に係る固体撮像装置が適用されるカメラシステムを搭載し
た電子機器の構成の一例を示す図である。
【0195】
本電子機器300は、
図22に示すように、本実施形態に係る固体撮像装置10,10Aが適用可能なCMOSイメージセンサ310を有する。
さらに、電子機器300は、このCMOSイメージセンサ310の画素領域に入射光を導く(被写体像を結像する)光学系(レンズ等)320を有する。
電子機器300は、CMOSイメージセンサ310の出力信号を処理する信号処理回路(PRC)330を有する。
【0196】
信号処理回路330は、CMOSイメージセンサ310の出力信号に対して所定の信号処理を施す。
信号処理回路330で処理された画像信号は、液晶ディスプレイ等からなるモニタに動画として映し出し、あるいはプリンタに出力することも可能であり、またメモリカード等の記録媒体に直接記録する等、種々の態様が可能である。
【0197】
上述したように、CMOSイメージセンサ310として、前述した固体撮像装置10,10A,10Bを搭載することで、高性能、小型、低コストのカメラシステムを提供することが可能となる。
そして、カメラの設置の要件に実装サイズ、接続可能ケーブル本数、ケーブル長さ、設置高さなどの制約がある用途に使われる、たとえば、監視用カメラ、医療用内視鏡用カメラなどの電子機器を実現することができる。
【符号の説明】
【0198】
10,10A,10B・・・固体撮像装置、20・・・画素部、200・・・画素、PD0・・・第1のフォトダイオード、PD1・・・第2のフォトダイオード、PD2・・・第3のフォトダイオード、PD3・・・第4のフォトダイオード、TG0-Tr・・・第1の転送トランジスタ、TG1-Tr・・・第2の転送トランジスタ、TG2-Tr・・・第3の転送トランジスタ、TG3-Tr・・・第4の転送トランジスタ、SG0-Tr・・・第1のシャッタゲートトランジスタ、SG1-Tr・・・第2のシャッタゲートトランジスタ、SG2-Tr・・・第3のシャッタゲートトランジスタ、SG3-Tr・・・第4のシャッタゲートトランジスタ、FD・・・フローティングディフュージョン、RST-Tr・・・リセットトランジスタ、SF-Tr・・・ソースフォロワトランジスタ、BIN-Tr・・・蓄積トランジスタ、CS・・・蓄積キャパシタ、220・・・光電変換読み出し部、230・・・信号保持部、30・・・垂直走査回路、40・・・出力回路、50・・・タイミング制御回路、60・・・読み出し部、300・・・電子機器、310・・・CMOSイメージセンサ、320・・・光学系、330・・・信号処理回路(PRC)。