IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社京三製作所の特許一覧

<>
  • 特開-マルチレベルDC電源 図1
  • 特開-マルチレベルDC電源 図2
  • 特開-マルチレベルDC電源 図3
  • 特開-マルチレベルDC電源 図4
  • 特開-マルチレベルDC電源 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168319
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】マルチレベルDC電源
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/00 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
H02M3/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084878
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000001292
【氏名又は名称】株式会社京三製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】藤原 武
(72)【発明者】
【氏名】安達 俊幸
(72)【発明者】
【氏名】片渕 竜平
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA15
5H730AS01
5H730AS08
5H730BB86
5H730FD01
5H730FG01
5H730XX03
5H730XX12
5H730XX23
5H730XX32
5H730XX41
(57)【要約】
【課題】容量性負荷に蓄積される電荷や静電エネルギーを解消し、所定の出力電圧を出力すること。
【解決手段】本発明のマルチレベルDC電源は、DC電源とパルス形成部との間に双方向DC/DCコンバータを接続する。双方向DC/DCコンバータは、DC電源の電圧値と異なる電圧レベルの直流電圧に変換する直流電圧変換と、パルス形成部の直流電圧を回生電圧に変換する直流電圧変換と、を実行し、出力レベルが異なるマルチレベルのパルス電圧を形成すると共に、パルス形成部の余剰な直流電圧を回生電圧としてDC電源に回生する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電圧を出力するDC電源と、
パルス電圧を形成するパルス形成部と、
前記DC電源と前記パルス形成部との間に接続された双方向DC/DCコンバータと
を備え、
前記双方向DC/DCコンバータは、
前記DC電源の直流電圧と異なる電圧レベルの直流電圧に変換し、前記パルス形成部に出力する第1方向の直流電圧変換と、
前記パルス形成部の電圧をDC電源に回生する回生電圧に変換し、前記DC電源に回生する第2方向の直流電圧変換と、
を実行し、
前記パルス形成部は、
前記DC電源の直流電圧と前記双方向DC/DCコンバータの出力電圧とを切り替え、出力レベルが異なるマルチレベルのパルス電圧を形成する、
マルチレベルDC電源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力レベルを異にする直流パルス電圧を出力するマルチレベルDC電源に関する。
【背景技術】
【0002】
異なる出力レベルの直流パルス電圧を負荷に対して出力するマルチレベルDC電源が知られている。例えば、半導体プロセス等の分野において、高周波プラズマを用いて対象物を加工、処理を行う高周波プラズマ装置に対して、パルス状の直流電力を印加する。
【0003】
特許文献1には、第1の電位Vを供給する電力源と第2の電位Vを供給する電力源の2つの電力源と、スイッチ素子Q1とスイッチ素子Q2のスイッチ機構を備えたマルチレベル電源が記載され、スイッチ機構のスイッチング状態を切り替えることによって出力レベルを切り替える構成が開示されている。
【0004】
特許文献2には、1つの直流電源と、並列接続された複数台のDC/DCコンバータとを備え、これらのDC/DCコンバータの駆動状態によって出力電力を制御する電力変換装置が開示されている。
【0005】
図4は、1つの直流電源と複数台のDC/DCコンバータにより構成されるマルチレベルDC電源の構成例を示している。マルチレベルDC電源100は、DC/DCコンバータ101Aと、DC/DCコンバータ101Bと、制御部102と、を備える。DC/DCコンバータ101AとDC/DCコンバータ101Bとの出力電圧は異なり、制御部102は、DC/DCコンバータ101AとDC/DCコンバータ101Bとを切り替えることより、負荷103には異なる電圧を供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016-7134号公報
【特許文献2】特許第6771700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
複数台のDC/DCコンバータを備える構成は、直流電源の台数を1台とすることができる。付加したDC/DCコンバータによって構成要素が増えるものの、DC/DCコンバータは直流電源と比較して小型であるため、マルチレベルDC電源のトータルのサイズは小さくなる。
【0008】
負荷にパルス電圧が供給される際、容量性負荷に蓄積される電荷や静電エネルギーによって出力電圧が所定の電圧からずれる場合がある。
図5A図5Bは、Low電圧とHigh電圧を切り替える出力電圧の状態を示している。図4に示すマルチレベルDC電源の構成において、DC/DCコンバータ101AをLow電圧用コンバータとし、DC/DCコンバータ101BをHigh電圧用としたとき、DC/DCコンバータ101Aは切替信号Si_lowによってLow出力の出力電圧V1を出力し、DC/DCコンバータ101Bは切替信号Si_HighによってHigh出力の出力電圧V2を出力する。
【0009】
容量性負荷に電荷や静電エネルギーが蓄積されると、出力電圧はパルス出力毎に上昇してLow出力の出力電圧V1からのずれが生じ、所定の出力電圧が得られないという課題がある。図5B中のV_low1、V_low2は、Low出力の出力電圧V1からのずれた出力電圧を示している。なお、図5Bの波形は模式的に示したものであり、実際の電圧波形を示すものではない。
【0010】
本発明は前記した従来の課題を解決して、容量性負荷に蓄積される電荷や静電エネルギーを解消し、所定の出力電圧を出力することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のマルチレベルDC電源は、DC電源とパルス形成部との間に双方向DC/DCコンバータを接続する。双方向DC/DCコンバータは、DC電源の電圧値と異なる電圧レベルの直流電圧に変換する直流電圧変換と、パルス形成部の直流電圧を回生電圧に変換する直流電圧変換と、を実行し、出力レベルが異なるマルチレベルのパルス電圧を形成すると共に、パルス形成部の余剰な直流電圧を回生電圧としてDC電源に回生する。
【0012】
本発明のマルチレベルDC電源は、直流電圧を出力するDC電源と、パルス電圧を形成するパルス形成部と、DC電源とパルス形成部との間に接続された双方向DC/DCコンバータと、を備える。
【0013】
双方向DC/DCコンバータは、電流方向が異なる双方向の直流電圧変換を実行する。第1方向の直流電圧変換は、DC電源の直流電圧と異なる電圧レベルの直流電圧に変換し、パルス形成部に出力する。第2方向の直流電圧変換は、パルス形成部の電圧をDC電源に回生する回生電圧に変換し、DC電源に回生する。
【0014】
パルス形成部は、DC電源の直流電圧と双方向DC/DCコンバータの出力電圧とを切り替え、出力レベルが異なるマルチレベルのパルス電圧を形成する。
【0015】
DC電源の直流電圧と双方向DC/DCコンバータが出力する直流電圧とは、電圧レベルが異なる。これにより、パルス形成部は、電圧レベルが異なるマルチレベルのパルス電圧を形成する。
【0016】
本発明が備える双方向DC/DCコンバータは、第1方向の直流電圧変換によって、マルチレベルのパルス電圧を出力する。この構成により、本発明のマルチレベルDC電源は、複数台のDC電源あるいは複数台のDC/DCコンバータを要することなく、一台の双方向DC/DCコンバータで構成することができ、電源装置を小型化することができる。
【0017】
また、本発明が備える双方向DC/DCコンバータは、第2方向の直流電圧変換によって、容量性負荷に蓄積される電荷や静電エネルギーによる余剰電圧をDC電源に回生する回生電圧に変換し、DC電源に回生する。この構成により、容量性負荷に蓄積される電荷や静電エネルギーは解消され、パルス電圧の電圧レベルを所定電圧に維持することができると共に、DC電源に回生することによって余剰エネルギーを再利用することができる。
【0018】
(付加コンデンサ)
本発明のマルチレベルDC電源は、第1のコンデンサと第2のコンデンサとを備える。
第1のコンデンサは、一端がDC電源の出力端に接続され、他端が接地され、第2のコンデンサは、一端が双方向DC/DCコンバータの出力端に接続され、他端が接地される。なお、第2のコンデンサは双方向DC/DCコンバータの内部に設ける構成、あるいは外部に設ける構成とすることができる。
第1のコンデンサは、DC電源からの電源ラインの電圧変動を抑制し、負荷への電力を補充する。第2のコンデンサは、双方向DC/DCコンバータの出力電圧の電圧リップルを平滑化し、パルス出力の波高値の変動を抑制する。
【0019】
(付加ダンピング抵抗)
本発明のマルチレベルDC電源は、第1のダンピング抵抗と第2のダンピング抵抗とを備える。
第1のダンピング抵抗はDC電源とパルス形成部との間に接続され、第2のダンピング抵抗は双方向DC/DCコンバータとパルス形成部との間に接続される。第1のダンピング抵抗及び第2のダンピング抵抗は、直流電圧に含まれるオーバーシュートを抑制する。
【0020】
(出力検出部,及び制御部)
本発明のマルチレベルDC電源は、パルス形成部の出力を検出する出力検出部と、DC電源と双方向DC/DCコンバータを制御する制御部とを備える。
制御部は、出力検出部の検出値に基づいてフィードバック制御を行う。フィードバック制御は、電圧レベル制御と切り替え制御を含む。
電圧レベル制御は、出力検出部の検出値に基づいてDC電源の直流電圧の電圧レベルを制御し、切り替え制御は、双方向DC/DCコンバータの電圧変換方向の切り替えを制御する。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明のマルチレベルDC電源によれば、容量性負荷に蓄積される電荷や静電エネルギーを解消し、所定の出力電圧を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明のマルチレベルDC電源の構成例を説明するための図である。
図2】本発明のマルチレベルDC電源の動作例を説明するためのフローチャートである。
図3】本発明のマルチレベルDC電源の動作例を説明するための信号図である。
図4】従来のマルチレベルDC電源の構成を説明するための図である。
図5】マルチレベルDC電源の出力電圧例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(1)本発明のマルチレベルDC電源の概略構成
以下、本発明のマルチレベルDC電源(直流電源)の概略構成について、図1を用いて説明する。
図1に示したマルチレベルDC電源1は、LOW出力とHIGH出力の2電圧レベルを負荷20に出力する構成例を示している。この構成では、負荷20の一例として、プラズマ負荷等の容量性負荷の場合を示している。容量性負荷に供給する2電圧レベルの一例としては、LOW出力が-2000Vの負電圧、HIGH出力が-900Vの負電圧である。
【0024】
本発明のマルチレベルDC電源1は、直流電圧を出力するDC電源2と、パルス電圧を形成するパルス形成部4と、DC電源2とパルス形成部4との間に接続された双方向DC/DCコンバータ3と、を備える。
【0025】
DC電源2は、交流を直流に変換するAC/DCコンバータ、あるいはバッテリーを用いて構成される。図1に示す構成例のDC電源2は、LOW出力の負電圧を出力する。
DC電源2の出力端には、第1コンデンサ7が接続される。第1コンデンサ7は、DC電源2の出力端に接続される電源ラインの電圧変動を抑制し、負荷に供給する電力を補充する。
【0026】
双方向DC/DCコンバータ3は、電源側と負荷側との間において直流電圧を双方向で変換するコンバータであり、一方向の昇圧と他方向の降圧とを行う昇圧/降圧コンバータとして適用される。
【0027】
双方向DC/DCコンバータ3は、DC電源2からパルス形成部4に向かう第1の方向の直流電圧変換によって、DC電源2のLOW出力の直流の出力電圧V1をHIGH出力の直流の出力電圧V2の直流の出力電圧レベルに変換し、パルス形成部4に出力する。また、双方向DC/DCコンバータ3は、パルス形成部4からDC電源2に向かう第2の方向の直流電圧変換によって、パルス形成部4の電圧をDC電源2に回生する回生電圧に変換し、DC電源2に回生する。
【0028】
なお、ここでは、LOW出力の直流の出力電圧V1及びHIGH出力の直流の出力電圧V2を負電圧とし、出力電圧V2の絶対値は出力電圧V1の絶対値よりも小さいものとしている。このとき、第1の方向の直流電圧変換において、出力電圧V1から出力電圧V2へ電圧レベルを変換する直流電圧変換は負方向の降圧に相当し、第2の方向の直流電圧変換において、DC電源2に回生する回生電圧の直流電圧変換は負方向の昇圧に相当する。
【0029】
双方向DC/DCコンバータ3の出力端には、第2コンデンサ8が接続される。第2コンデンサ8は、双方向DC/DCコンバータ3に内蔵する構成とする他、双方向DC/DCコンバータ3の出力端とパルス形成部4とを接続するラインに接続する構成としてもよい。第2コンデンサ8は、双方向DC/DCコンバータの出力電圧に含まれる電圧リップルを平滑化する。
【0030】
パルス形成部4は、DC電源2の直流の出力電圧V1と双方向DC/DCコンバータ3の直流の出力電圧V2とを入力し、スイッチング動作によって何れか一方の直流電圧を切り替え、パルス電圧として出力する。スイッチング動作は、双方向DC/DCコンバータ3が備えるスイッチング素子を外部パルス信号で切り替えることによって行われる。パルス形成部4は、このスイッチング動作によって出力レベルが異なるマルチレベルのパルス電圧を形成し、負荷20に供給する。図1に示す構成例のマルチレベルDC電源1は、LOW出力の直流の出力電圧V1及びHIGH出力の直流の出力電圧V2の2電圧レベルのパルス電圧を出力しているが、パルス電圧の電圧レベルは、2電圧レベルに限らず3電圧レベル以上とすることもできる。
【0031】
DC電源2とパルス形成部4との間には、第1ダンピング抵抗が接続され、双方向DC/DCコンバータ3とパルス形成部4との間には、第2ダンピング抵抗が接続される。第1ダンピング抵抗及び第2ダンピング抵抗は、DC電源2から出力される直流の出力電圧V1及び双方向DC/DCコンバータ3から出力される直流の出力電圧V2に含まれるオーバーシュートを抑制する。
【0032】
更に、本発明のマルチレベルDC電源1は、パルス形成部4の出力電圧Voutを検出する出力検出部6と、DC電源2と双方向DC/DCコンバータ3を制御する制御部5と、を備える。
【0033】
制御部5は、出力検出部6の検出値に基づいてフィードバック制御を行う。制御部5のフィードバック制御は、電圧レベル制御と切り替え制御を含む。
【0034】
電圧レベル制御は、出力検出部6で検出した出力電圧Voutに基づいて、DC電源2の直流電圧の電圧レベルを制御する。検出値を設定電圧と比較し、検出値が設定電圧からずれている場合には、DC電源2から出力される直流電圧の電圧レベルが設定電圧となるようにフィードバック制御を行う。
【0035】
切り替え制御は、双方向DC/DCコンバータ3の電圧変換方向の切り替えを制御する。
切り替え制御は、出力検出部6の出力電圧VoutとHIGH出力の直流の出力電圧とを比較して、HIGH出力をパルス形成部4に出力する出力動作と、パルス形成部4の電圧を回生電圧Vreに変換してDC電源2に回生する回生動作と、を切り替える。
【0036】
(2)本発明のマルチレベルDC電源の動作例
本発明のマルチレベルDC電源の動作例を、図2のフローチャート及び信号図を用いて説明する。なお、ここではLOW出力とHIGH出力の2電圧レベルのパルス電圧を出力する動作例を示している。
【0037】
外部パルス信号は、パルス形成部4のスイッチング動作において、LOW出力を出力制御するLow信号及びHIGH出力を出力制御するHigh信号である。
パルス形成部4は、LOW出力を出力制御するLow信号を受けると(S1)、Low側のスイッチング素子SW_lowをオン状態に切り替え、High側のスイッチング素子SW_highをオフ状態に切り替える(S2)。スイッチング素子が(S2)の状態に切り替わることによって、パルス形成部4は、DC電源2から出力されるLOW出力における直流の出力電圧V1を出力電圧Voutとして出力する(S3)。
【0038】
出力検出部6は、パルス形成部4の出力電圧Voutを検出し、検出値を制御部5にフィードバックする。制御部5は、フィードバックされた出力電圧Voutの検出値がLOW出力の直流の出力電圧V1の正常範囲に有るか否かを判定する。出力電圧Voutの判定は、正常な出力電圧として設定した設定電圧の許容範囲と検出値とを比較し、検出値が許容範囲内にある場合には正常状態にあると判定し、許容範囲外にある場合には異常状態であると判定する(S4)。
【0039】
検出値が許容範囲内にあると判定された場合には、DC電源2の出力状態を維持する。検出値が許容範囲外であると判定された場合には、制御部5は、DC電源2の出力電圧V1が設定電圧となるように電圧制御を行う(S5)。
【0040】
パルス形成部4は、HIGH出力を出力制御するHigh信号を受けると(S1)、High側のスイッチング素子SW_lowをオフ状態に切り替え、High側のスイッチング素子SW_highをオン状態に切り替える(S6)。スイッチング素子が(S6)の状態に切り替わることによって、パルス形成部4は、双方向DC/DCコンバータ3から出力されるHIGH出力における直流の出力電圧V2を出力電圧Voutとして出力する(S7)。
【0041】
出力検出部6は、パルス形成部4の出力電圧Voutを検出し、検出値を制御部5にフィードバックする。制御部5は、フィードバックされた出力電圧Voutの検出値がHIGH出力の直流の出力電圧V2と比較する(S8)。
【0042】
出力電圧Voutの検出値が、HIGH出力の直流の出力電圧V2の許容範囲にある場合には、双方向DC/DCコンバータ3が回生動作中であるかを判定し(S9)、回生動作中であるときには、双方向DC/DCコンバータ3を回生動作から出力動作に切り替え(S10)、出力動作中であるときには、双方向DC/DCコンバータ3の出力動作を維持する(S1)。
【0043】
出力電圧Voutの検出値が、HIGH出力の直流の出力電圧V2よりも高電圧であって負方向の絶対値が大きい場合(S8)には、双方向DC/DCコンバータ3を出力動作から回生動作に切り替える(S11)。
【0044】
図3Aは外部パルス信号を示し、図3Bは出力電圧を示し、図3Cは回生動作制御信号を示し、図3Dは出力動作制御信号を示している。
【0045】
外部パルス信号において、“LOW”はパルス形成部4のスイッチング素子を切り替えてLOW出力を出力させる信号であり、“HIGH”はパルス形成部4のスイッチング素子を切り替えてHIGH出力を出力させる信号である。
【0046】
図3Aの“P1”において、外部パルス信号が立ち下がって“LOW”に切り替わると、図3Bの出力電圧は、HIGH出力の出力電圧V2からLOW出力の出力電圧V1に変化し、LOW出力のパルス電圧が出力される。
【0047】
図3Aの“P2”において、外部パルス信号が立ち上がって“HIGH”に切り替わると、図3Bの出力電圧は、LOW出力の出力電圧V1からHIGH出力の出力電圧V2に変化し、HIGH出力の出力電圧V2のパルス電圧が出力される。
【0048】
LOW出力時において容量性負荷に電荷が蓄積され、蓄積された電荷が十分に放電されない場合には、LOW出力の出力電圧V1からHIGH出力の出力電圧V2に変化した際に、出力電圧V2まで負方向で低下することなく、出力電圧V1と出力電圧V2の間の電圧Vaとなる。図3Bの“Q4a”は、この電圧状態を示している。
【0049】
制御部5は、出力電圧Voutのフィードバックによってこの電圧状態を検知し、回生動作制御信号Si_re(図3C)によって双方向DC/DCコンバータ3を回生動作させる。LOW出力の電圧は、回生動作によって電圧VaからHIGH出力の出力電圧V2の“Q4b”に向かって負方向で降下する。制御部5は、LOW出力の電圧がHIGH出力の出力電圧V2に達すると、出力動作制御信号Si_out(図3D)によって双方向DC/DCコンバータ3を回生動作から出力動作に切り替える。
【0050】
(3)本発明のマルチレベルDC電源の別の構成
図1に示すマルチレベルDC電源の構成例は、HIGH出力とLOW出力の2電力レベルを出力する構成例である。本発明のマルチレベルDC電源は、HIGH出力とLOW出力の2電圧レベルに限らず、3電圧レベル以上のマルチレベルとしてもよい。例えば、3電力レベルでは、HIGH出力としてHIGH1とHIGH2の2電力レベルとLOW出力の1電力レベルにより構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明のマルチレベルDC電源は、半導体製造装置や液晶パネル製造装置等に用いられる高周波電源(RFジェネレータ)に適用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 マルチレベルDC電源
2 DC電源
3 双方向DC/DCコンバータ
4 パルス形成部
5 制御部
6 出力検出部
7 第1コンデンサ
8 第2コンデンサ
9 第1ダンピング抵抗
10 第2ダンピング抵抗
20 負荷
100 マルチレベルDC電源
102 制御部
103 負荷
Low、High1、High2 外部パルス信号
SWhigh スイッチング素子
SWlow スイッチング素子
Si_low、Si_high 切替信号
Si_re 回生動作制御信号
Si_out 出力動作制御信号
V1、V2、V3 出力電圧
Vout 出力電圧
Vre 回生電圧
図1
図2
図3
図4
図5