(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168328
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】部品実装装置および部品実装システム
(51)【国際特許分類】
H05K 13/08 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
H05K13/08 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084893
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100172362
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達哉
(72)【発明者】
【氏名】田中 寛知
(72)【発明者】
【氏名】高間 和志
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353CC03
5E353CC04
5E353CC05
5E353EE13
5E353EE25
5E353EE33
5E353EE52
5E353EE53
5E353GG01
5E353HH11
5E353JJ01
5E353JJ02
5E353JJ21
5E353JJ48
5E353KK02
5E353KK03
5E353KK11
5E353QQ11
5E353QQ12
(57)【要約】
【課題】撮像対象を撮像した画像のデータ量を減少させることが可能で、かつ、撮像部により撮像した画像に撮像対象を確実に収めることが可能が部品実装装置を提供する。
【解決手段】この部品実装装置100は、基板Pに対して部品31を実装する実装ヘッド42を含むヘッドユニット4と、ヘッドユニット4に設けられ、実装ヘッド42による部品31の吸着位置周辺および実装位置周辺の少なくとも一方を撮像する撮像部8と、部品位置の情報、吸着位置または実装位置の高さ情報、および、部品の高さ情報のうち少なくとも1つに基づいて、撮像部8により撮像した撮像画像から撮像対象に対応する部分画像を切り出す位置を調整する制御を行う制御部9と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対して部品を実装する実装ヘッドを含むヘッドユニットと、
前記ヘッドユニットに設けられ、前記実装ヘッドによる部品の吸着位置周辺および実装位置周辺の少なくとも一方を撮像する撮像部と、
部品位置の情報、吸着位置または実装位置の高さ情報、および、部品の高さ情報のうち少なくとも1つに基づいて、前記撮像部により撮像した撮像画像から撮像対象に対応する部分画像を切り出す位置を調整する制御を行う制御部と、を備える、部品実装装置。
【請求項2】
前記撮像部は、前記実装ヘッドによる部品の吸着動作または部品の実装動作と並行して前記撮像対象を撮像し、
前記制御部により位置が調整されて切り出された前記部分画像は、記憶部に記憶されるように構成されている、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記撮像部は、光軸が斜め下方に向けて配置されており、
前記制御部は、前記撮像部の光軸が斜め下方に向いていることにより、異なる高さ位置における画像上の位置がズレることに起因する前記撮像対象の位置ズレに基づいて、前記部分画像を切り出す位置の調整量を取得するように構成されている、請求項2に記載の部品実装装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記実装ヘッドによる部品の吸着位置周辺を前記撮像部により撮像した前記撮像画像において、部品の高さ情報と、吸着位置の調整情報と、部品を収容しているテープの情報と、部品を収容しているテープを送るフィーダの情報と、吸着位置の高さ情報とのうち少なくとも1つに基づいて、前記部分画像の位置を調整する、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記実装ヘッドによる部品の実装位置周辺を前記撮像部により撮像した前記撮像画像において、部品の高さ情報と、基板の基準高さ情報と、実装位置の高さ情報と、部品位置の情報とのうち少なくとも1つに基づいて、前記部分画像の位置を調整する、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項6】
前記制御部は、吸着した部品を認識した結果に基づいて、部品の吸着位置のズレ量を含む部品位置の情報を取得し、部品の吸着位置のズレ量に基づいて、前記部分画像を切り出す位置の調整量を取得するように構成されている、請求項5に記載の部品実装装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記撮像部により撮像した画像を処理する画像処理部を含み、
前記画像処理部または前記撮像部により、前記部分画像を切り出す処理を行う、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項8】
前記制御部の前記画像処理部は、調整した前記部分画像の位置を前記撮像部に送信し、前記撮像部により前記部分画像を撮像させる、請求項7に記載の部品実装装置。
【請求項9】
前記制御部は、調整した前記部分画像の位置を、部品の吸着動作および部品の実装動作のサイクル開始前に事前に取得できる場合に、1サイクル分をまとめて前記撮像部に送信し、調整した前記部分画像の位置を、部品の吸着動作および部品の実装動作の直前に取得できる場合に、部品の吸着動作および部品の装着動作毎に前記撮像部に送信する、請求項8に記載の部品実装装置。
【請求項10】
前記制御部は、部品位置の情報、吸着位置または実装位置の高さ情報、および、部品の高さ情報を、計測により事前にまとめて取得する、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項11】
基板に対して部品を実装する実装ヘッドを含むヘッドユニットと、前記ヘッドユニットに設けられ、前記実装ヘッドによる部品の吸着位置周辺および実装位置周辺の少なくとも一方を撮像する撮像部と、部品位置の情報、吸着位置または実装位置の高さ情報、および、部品の高さ情報のうち少なくとも1つに基づいて、前記撮像部により撮像した撮像画像から撮像対象に対応する部分画像を切り出す位置を調整する制御を行う制御部と、を含む、部品実装装置と、
前記制御部により位置が調整されて切り出された前記部分画像を記憶する記憶部と、を備える、部品実装システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、部品実装装置および部品実装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、部品実装装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、基板に対して部品を実装する実装ヘッドを含むヘッドユニットと、ヘッドユニットに設けられ、実装ヘッドによる部品の実装位置周辺を撮像する撮像部と、撮像部により撮像した撮像画像から部品が実装されている中央部分を切り出す処理を行う制御部とを備える部品実装装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の部品実装装置では、制御部は撮像部により撮像した撮像画像から部品が実装されている中央部分を切り出す処理を行う。このため、撮像画像のデータ量を減少させて、画像の転送時間を短縮したり、画像の保存の際の容量が大きくなるのを抑制することが可能である。しかしながら、部品が実装される基板の反りに起因して実装の高さ位置が一定でない場合や、部品の種類により上面高さ位置が一定でない場合などに、撮像画像の中央部分を切り出した場合に、部品が切り出した部分からはみ出る場合がある。この場合に、撮像した部品について状態を検証する際に、精度よく検証を行うことが困難である。そこで、撮像対象を撮像した画像のデータ量を減少させるとともに、撮像部により撮像した画像に撮像対象を確実に収めることが可能な部品実装装置が望まれる。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、撮像対象を撮像した画像のデータ量を減少させることが可能で、かつ、撮像部により撮像した画像に撮像対象を確実に収めることが可能な部品実装装置および部品実装システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面による部品実装装置は、基板に対して部品を実装する実装ヘッドを含むヘッドユニットと、ヘッドユニットに設けられ、実装ヘッドによる部品の吸着位置周辺および実装位置周辺の少なくとも一方を撮像する撮像部と、部品位置の情報、吸着位置または実装位置の高さ情報、および、部品の高さ情報のうち少なくとも1つに基づいて、撮像部により撮像した撮像画像から撮像対象に対応する部分画像を切り出す位置を調整する制御を行う制御部と、を備える。
【0008】
この発明の第1の局面による部品実装装置では、上記のように、部品位置の情報、吸着位置または実装位置の高さ情報、および、部品の高さ情報のうち少なくとも1つに基づいて、撮像部により撮像した撮像画像から撮像対象に対応する部分画像を切り出す位置を調整する制御を行う制御部を設ける。これにより、吸着位置または実装位置の高さ情報、および、部品の高さ情報のうち少なくとも1つに基づいて部分画像の切り出し位置が調整されるので、撮像部により撮像した撮像画像から撮像対象が映り込む位置の部分画像を精度よく切り出すことができる。その結果、撮像対象を撮像した画像のデータ量を減少させることができ、かつ、撮像部により撮像した画像に撮像対象を確実に収めることができる。
【0009】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、撮像部は、実装ヘッドによる部品の吸着動作または部品の実装動作と並行して撮像対象を撮像し、制御部により位置が調整されて切り出された部分画像は、記憶部に記憶されるように構成されている。このように構成すれば、実装ヘッドによる部品の吸着動作または部品の実装動作と並行して撮像対象を撮像するので、撮像部による撮像のための処理時間が別途必要になるのを抑制することができる。また、位置が調整されて切り出された部分画像のデータ量が大きくなるのを抑制することができるので、記憶部に記憶するデータ量が大きくなるのを抑制することができる。
【0010】
この場合、好ましくは、撮像部は、光軸が斜め下方に向けて配置されており、制御部は、撮像部の光軸が斜め下方に向いていることにより、異なる高さ位置における画像上の位置がズレることに起因する撮像対象の位置ズレに基づいて、部分画像を切り出す位置の調整量を取得するように構成されている。このように構成すれば、撮像部の光軸を斜め下方に向けることにより、撮像部が実装ヘッドの上下移動に干渉するのを容易に抑制することができる。また、撮像部により撮像対象を斜め方向から撮像することに起因する位置ズレに基づいて、部分画像を切り出す位置の調整量を調整することができるので、斜め方向から撮像した撮像対象を確実に部分画像に収めることができる。
【0011】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、制御部は、実装ヘッドによる部品の吸着位置周辺を撮像部により撮像した撮像画像において、部品の高さ情報と、吸着位置の調整情報と、部品を収容しているテープの情報と、部品を収容しているテープを送るフィーダの情報と、吸着位置の高さ情報とのうち少なくとも1つに基づいて、部分画像の位置を調整する。このように構成すれば、部品の高さ情報に基づいて部分画像の位置を調整することにより、部品の高さの違いに起因して撮像画像に対する部品の映り込み位置がズレる場合でも、撮像対象である部品が部分画像に確実に収まるように部分画像の位置を調整することができる。また、吸着位置の調整情報に基づいて部分画像の位置を調整することにより、部品の供給位置のズレに対応するように吸着位置を調整したことに起因して撮像画像に対する部品の映り込み位置がズレる場合でも、撮像対象である部品が部分画像に確実に収まるように部分画像の位置を調整することができる。また、部品を収容しているテープの情報に基づいて部分画像の位置を調整することにより、テープの厚さや部品収容部の形状に起因する高さの違いに応じて、撮像対象である部品が部分画像に確実に収まるように部分画像の位置を調整することができる。また、部品を収容しているテープを送るフィーダの情報に基づいて部分画像の位置を調整することにより、フィーダ毎の部品の供給高さ位置の違いに応じて、撮像対象である部品が部分画像に確実に収まるように部分画像の位置を調整することができる。また、吸着位置の高さ情報に基づいて部分画像の位置を調整することにより、吸着位置の高さの違いに起因して撮像画像に対する部品の映り込み位置がズレる場合でも、撮像対象である部品が部分画像に確実に収まるように部分画像の位置を調整することができる。
【0012】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、制御部は、実装ヘッドによる部品の実装位置周辺を撮像部により撮像した撮像画像において、部品の高さ情報と、基板の基準高さ情報と、実装位置の高さ情報と、部品位置の情報とのうち少なくとも1つに基づいて、部分画像の位置を調整する。このように構成すれば、部品の高さ情報に基づいて部分画像の位置を調整することにより、部品の高さの違いに起因して撮像画像に対する部品の映り込み位置がズレる場合でも、撮像対象である部品が部分画像に確実に収まるように部分画像の位置を調整することができる。また、基板の基準高さ情報に基づいて部分画像の位置を調整することにより、基板の基準高さの違いに起因して撮像画像に対する部品の映り込み位置がズレる場合でも、撮像対象である部品が部分画像に確実に収まるように部分画像の位置を調整することができる。また、実装位置の高さ情報に基づいて部分画像の位置を調整することにより、実装位置の高さ位置の違いに起因して撮像画像に対する部品の映り込み位置がズレる場合でも、撮像対象である部品が部分画像に確実に収まるように部分画像の位置を調整することができる。また、部品位置の情報に基づいて部分画像の位置を調整することにより、実装ヘッドによる部品の吸着位置の中心からのズレに起因して撮像画像に対する部品の映り込み位置がズレる場合でも、撮像対象である部品が部分画像に確実に収まるように部分画像の位置を調整することができる。
【0013】
この場合、好ましくは、制御部は、吸着した部品を認識した結果に基づいて、部品の吸着位置のズレ量を含む部品位置の情報を取得し、部品の吸着位置のズレ量に基づいて、部分画像を切り出す位置の調整量を取得するように構成されている。このように構成すれば、実装ヘッドによる部品の吸着位置のズレ量に起因して撮像画像に対する部品の映り込み位置がズレる場合でも、撮像対象である部品が部分画像に確実に収まるように部分画像の位置を容易に調整することができる。
【0014】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、制御部は、撮像部により撮像した画像を処理する画像処理部を含み、画像処理部または撮像部により、部分画像を切り出す処理を行う。このように構成すれば、撮像処理において、部分画像が切り出されるので、撮像範囲を小さくして撮像を行うことができる。
【0015】
この場合、好ましくは、制御部の画像処理部は、調整した部分画像の位置を撮像部に送信し、撮像部により部分画像を撮像させる。このように構成すれば、画像処理部により送信された位置の情報に基づいて、撮像部により撮像対象が映り込むように部分画像を容易に撮像することができる。
【0016】
上記画像処理部が調整した部分画像の位置を撮像部に送信する構成において、好ましくは、制御部は、調整した部分画像の位置を、部品の吸着動作および部品の実装動作のサイクル開始前に事前に取得できる場合に、1サイクル分をまとめて撮像部に送信し、調整した部分画像の位置を、部品の吸着動作および部品の実装動作の直前に取得できる場合に、部品の吸着動作および部品の装着動作毎に撮像部に送信する。このように構成すれば、複数の撮像対象を撮像する前に、部分画像を切り出すための位置の情報が1サイクル分まとめて撮像部に送信されるので、撮像毎に情報を送受信する必要がない。これにより、撮像処理を円滑に行うことができる。
【0017】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、制御部は、部品位置の情報、吸着位置または実装位置の高さ情報、および、部品の高さ情報を、計測により事前にまとめて取得する。このように構成すれば、計測して取得する必要がある、部品位置の情報、吸着位置または実装位置の高さ情報、および、部品の高さ情報を、事前にまとめて取得するので、情報取得のための処理が煩雑になるのを抑制することができる。
【0018】
この発明の第2の局面による部品実装システムは、基板に対して部品を実装する実装ヘッドを含むヘッドユニットと、ヘッドユニットに設けられ、実装ヘッドによる部品の吸着位置周辺および実装位置周辺の少なくとも一方を撮像する撮像部と、部品位置の情報、吸着位置または実装位置の高さ情報、および、部品の高さ情報のうち少なくとも1つに基づいて、撮像部により撮像した撮像画像から撮像対象に対応する部分画像を切り出す位置を調整する制御を行う制御部と、を含む、部品実装装置と、制御部により位置が調整されて切り出された部分画像を記憶する記憶部と、を備える。
【0019】
この発明の第2の局面による部品実装システムでは、上記のように、部品位置の情報、吸着位置または実装位置の高さ情報、および、部品の高さ情報のうち少なくとも1つに基づいて、撮像部により撮像した撮像画像から撮像対象に対応する部分画像を切り出す位置を調整する制御を行う制御部を設ける。これにより、吸着位置または実装位置の高さ情報、および、部品の高さ情報のうち少なくとも1つに基づいて部分画像の切り出し位置が調整されるので、撮像部により撮像した撮像画像から撮像対象が映り込む位置の部分画像を精度よく切り出すことができる。その結果、撮像対象を撮像した画像のデータ量を減少させることが可能で、かつ、撮像部により撮像した画像に撮像対象を確実に収めることが可能な部品実装システムを提供することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、上記のように、撮像対象を撮像した画像のデータ量を減少させることができ、かつ、撮像部により撮像した画像に撮像対象を確実に収めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態による部品実装装置の全体構成を示した図である。
【
図2】本発明の実施形態による部品実装装置のヘッドユニットを示した正面図である。
【
図3】本発明の実施形態による部品実装装置の制御的な構成を示したブロック図である。
【
図4】本発明の実施形態による撮像部により切り出す部分画像を説明するための図である。
【
図5】本発明の実施形態による部品の吸着時の中心位置調整情報に応じたシフトを説明するための図である。
【
図6】本発明の実施形態による部品の吸着時のテープ種別、テープ厚さ、部品高さ情報に応じたシフトを説明するための図である。
【
図7】本発明の実施形態による部品の吸着時の部品の高さ位置に応じたシフトを説明するための図である。
【
図8】本発明の実施形態による紙テープから供給される部品の吸着時の高さ位置に応じた切り出し範囲の調整を説明するための図である。
【
図9】本発明の実施形態によるエンボステープから供給される部品の吸着時の高さ位置に応じた切り出し範囲の調整を説明するための図である。
【
図10】本発明の実施形態による部品の吸着時の画像の切り出し範囲の例を示した図である。
【
図11】本発明の実施形態による部品の実装時の吸着位置情報に応じたシフトを説明するための図である。
【
図12】本発明の実施形態による部品の実装時の吸着位置に応じた切り出し範囲の調整を説明するための図である。
【
図13】本発明の実施形態による部品の実装時の基板高さ情報に応じたシフトを説明するための図である。
【
図14】本発明の実施形態による部品の実装時の実装高さ位置に応じた切り出し範囲の調整を説明するための図である。
【
図15】本発明の実施形態による部品の実装時の画像の切り出し範囲の例を示した図である。
【
図16】本発明の実施形態による部品実装装置の制御部による部品実装処理を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
(部品実装装置の構成)
図1を参照して、本発明の実施形態による部品実装装置100の構成について説明する。部品実装装置100は、外部サーバ200を含む部品実装システム300に設けられている。なお、外部サーバ200は、特許請求の範囲の「記憶部」の一例である。
【0024】
図1に示すように、部品実装装置100は、一対のコンベア2により基板PをX方向に搬送し、実装作業位置Mにおいて基板Pに部品31を実装する部品実装装置である。
【0025】
部品実装装置100は、基台1と、一対のコンベア2と、部品供給部3と、ヘッドユニット4と、支持部5と、一対のレール部6と、部品認識カメラ7と、撮像部8と、制御部9とを備えている。
【0026】
一対のコンベア2は、基台1上に設置され、基板PをX方向に搬送するように構成されている。また、一対のコンベア2には、搬送中の基板Pを実装作業位置Mで停止させた状態で保持する保持機構が設けられている。また、一対のコンベア2は、基板Pの寸法に合わせてY方向の間隔を調整可能に構成されている。
【0027】
部品供給部3は、一対のコンベア2の外側(Y1側およびY2側)に配置されている。また、部品供給部3には、複数のテープフィーダ3aが配置されている。部品供給部3は、後述する実装ヘッド42に対して部品31を供給するように構成されている。
【0028】
テープフィーダ3aは、複数の部品31を所定の間隔を隔てて保持したテープ32が巻き付けられたリール(図示せず)を保持している。テープフィーダ3aは、部品31を保持するテープ32を送出することによりリールを回転させて、テープフィーダ3aの先端から部品31を供給するように構成されている。ここで、部品31は、IC、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗などの電子部品を含む。
【0029】
ヘッドユニット4は、一対のコンベア2および部品供給部3の上方位置に配置されており、ノズル41(
図2参照)が下端に取り付けられた複数の実装ヘッド42と、基板認識カメラ43と、高さ計測センサ44と、を含んでいる。
【0030】
実装ヘッド42は、基板Pに対して部品31を実装するように構成されている。具体的には、実装ヘッド42は、部品供給部3により供給される部品31を吸着して、実装作業位置Mに配置された基板Pに対して吸着した部品31を装着するように構成されている。また、実装ヘッド42は、昇降可能(Z方向に移動可能)に構成され、負圧発生機(図示せず)によりノズル41の先端部に発生された負圧によって、テープフィーダ3aから供給される部品31を吸着して保持し、基板Pにおける実装位置に部品31を装着(実装)するように構成されている。また、複数の実装ヘッド42は、上下方向の回転軸線を中心にヘッドユニット4に回転可能に円環状に設けられている。
【0031】
基板認識カメラ43は、基板Pの位置および姿勢を認識するために、基板PのフィデューシャルマークFを撮像するように構成されている。そして、フィデューシャルマークFの位置を撮像して認識することにより、基板Pにおける部品31の実装位置を正確に取得することが可能である。
【0032】
高さ計測センサ44は、基板Pの上面高さ位置、部品供給部3の高さ位置を測定する。たとえば、高さ計測センサ44は、非接触により高さを計測する。高さ計測センサ44は、たとえば、レーザ測距装置を含んでいる。
【0033】
支持部5は、モータ51を含んでいる。支持部5は、モータ51を駆動させることにより、支持部5に沿ってヘッドユニット4をX方向に移動させるように構成されている。支持部5は、両端部が一対のレール部6により支持されている。
【0034】
一対のレール部6は、基台1上に固定されている。X1側のレール部6は、モータ61を含んでいる。レール部6は、モータ61を駆動させることにより、支持部5を一対のレール部6に沿ってX方向と直交するY方向に移動させるように構成されている。ヘッドユニット4が支持部5に沿ってX方向に移動可能であるとともに、支持部5がレール部6に沿ってY方向に移動可能であることによって、ヘッドユニット4は水平方向(XY方向)に移動可能である。
【0035】
部品認識カメラ7は、基台1の上面上に固定されている。部品認識カメラ7は、一対のコンベア2の外側(Y1側およびY2側)に配置されている。部品認識カメラ7は、部品31の実装に先立って部品31の吸着状態(吸着姿勢)を認識するために、実装ヘッド42のノズル41に吸着された部品31を下側(Z2側)から撮像するように構成されている。これにより、実装ヘッド42のノズル41に吸着された部品31の吸着状態を制御部9により取得することが可能である。
【0036】
撮像部8は、ヘッドユニット4に設けられている。これにより、撮像部8は、ヘッドユニット4がXY方向に移動することにより、ヘッドユニット4と共に水平方向(XY方向)に移動するように構成されている。また、撮像部8は、ヘッドユニット4に対して一対設けられている。また、撮像部8は、実装ヘッド42による部品31の吸着位置周辺および実装位置周辺の少なくとも一方を撮像する。また、撮像部8は、
図2に示すように、光軸が斜め下方に向けて配置されている。つまり、撮像部8は、部品の吸着および実装が可能な昇降位置に回転された実装ヘッド42の下方の位置を、斜めから撮像することが可能である。たとえば、実装ヘッド42は、X方向における両端の各々位置において昇降可能である。撮像部8は、X方向におけるX1方向側端部の実装ヘッド42の下方、および、X方向におけるX2方向側端部の実装ヘッド42の下方の各々を撮像するように一対設けられている。また、撮像部8は、実装ヘッド42の上下方向の移動に干渉しないように、実装ヘッド42に対してオフセットされて配置されている。また、撮像部8は、ヘッドユニット4を移動させることなく、実装ヘッド42が下降する位置を撮像可能に構成されている。たとえば、撮像部8は、撮像中心が、基準高さ位置における実装ヘッド42の下降先端位置になるように配置されている。
【0037】
撮像部8は、実装ヘッド42による部品31の吸着動作または部品31の実装動作と並行して撮像対象を撮像する。撮像部8の撮像対象は、実装される部品31およびその周辺、吸着される部品31およびその周辺を含む。撮像部8は、撮像センサを含み、撮像素子全体の全画素を用いた撮像のみならず、撮像領域を小さくした状態で高速に撮像処理を行うことが可能である。
図4に示すように、撮像部8は、撮像センサが撮像している全体像から、出力される画像を必要な領域の部分画像(ROI画像)を切り出すことが可能である。撮像部8は、部分画像(ROI画像)の始点(ROI始点(x0,y0))およびROIサイズ(xRおよびyR)の情報に基づいて、部分画像を切り出す。
【0038】
制御部9は、
図3に示すように、装置制御部91と、画像受信処理部81とを含む。装置制御部91は、CPUを含んでおり、一対のコンベア2による基板Pの搬送動作、ヘッドユニット4による実装動作、部品認識カメラ7、撮像部8および基板認識カメラ43による撮像動作、高さ計測センサ44による高さ計測動作などの部品実装装置100の全体の動作を制御するように構成されている。なお、画像受信処理部81は、特許請求の範囲の「画像処理部」の一例である。
【0039】
装置制御部91は、画像受信部92と、保存処理部93と、データ管理部94と、センサ・カメラ制御部97とを含んでいる。画像受信部92は、撮像部8により撮像した画像を、画像受信処理部81を介して受信する。保存処理部93は、画像受信部92により受信した画像を、外部サーバ200に保存するための保存処理を行う。データ管理部94は、基板・部品データ95および調整情報データ96を管理する。基板・部品データ95および調整情報データ96は、事前に登録または取得された情報である。センサ・カメラ制御部97は、高さ計測センサ44、部品認識カメラ7および基板認識カメラ43の各々を制御する。センサ・カメラ制御部97は、高さ計測センサ44、部品認識カメラ7または基板認識カメラ43により撮像、計測された計測系データを取得する。
【0040】
画像受信処理部81は、通信データ制御部82と、サイズ決定部83と、シフト量決定部84と、を含んでいる。通信データ制御部82は、撮像部8により撮像した画像のデータを装置制御部91に送信する制御を行う。また、通信データ制御部82は、撮像部8による撮像動作の制御を行う。サイズ決定部83は、撮像部8により撮像する範囲の大きさ(サイズ)の決定を行う。シフト量決定部84は、撮像部8により撮像する範囲のシフト量(ROIの移動量)を決定する。
【0041】
ここで、本実施形態では、制御部9は、部品位置の情報、吸着位置または実装位置の高さ情報、および、部品の高さ情報のうち少なくとも1つに基づいて、撮像部8により撮像した撮像画像から撮像対象に対応する部分画像を切り出す位置を調整する制御を行う。制御部9により位置が調整されて切り出された部分画像は、外部サーバ200に記憶されるように構成されている。つまり、外部サーバ200に、部品31の吸着動作または実装動作の状態を記録した画像が記憶されて蓄積される。外部サーバ200に蓄積された画像データは、不具合が発生した場合や、統計のために用いることが可能である。なお、画像データを部品実装装置100の記憶部に記憶して蓄積してもよい。
【0042】
そして、画像受信処理部81または撮像部8により、切り出す位置が調整された部分画像を切り出す処理を行う。つまり、制御部9の画像受信処理部81は、調整した部分画像の位置を撮像部8に送信し、撮像部8により部分画像を撮像させる。
【0043】
また、制御部9は、撮像部8の光軸が斜め下方に向いていることにより、異なる高さ位置における画像上の位置がズレることに起因する撮像対象の位置ズレに基づいて、部分画像を切り出す位置の調整量を取得するように構成されている。
【0044】
また、制御部9は、実装ヘッド42による部品31の吸着位置周辺を撮像部8により撮像した撮像画像において、部品の高さ情報と、吸着位置の調整情報と、部品31を収容しているテープの情報と、部品31を収容しているテープ32を送るフィーダの情報と、吸着位置の高さ情報とのうち少なくとも1つに基づいて、部分画像の位置を調整する。
【0045】
ここで、実装ヘッド42により部品31を吸着する場合、吸着中心位置の調整情報を用いることにより、画像中の部品中心位置をより正確に算出することが可能である。
図5に示すように、中心位置調整情報に応じた場合、部品31の水平方向の位置が異なるため、画像中の部品31の位置は、画像の左右方向(x方向)および上下方向(y方向)にシフトする。また、
図6に示すように、テープ種別、テープ厚さ、部品高さ情報に応じた場合、部品31の高さ位置が異なるため、画像中の部品31の位置は、画像の左右方向(x方向)にシフトする。
【0046】
図7に示すように、部品31の吸着高さ位置が基準高さからズレた場合には、斜めから撮像する撮像部8の画像内の位置がシフトする。たとえば、撮像部8の光軸が水平方向に対して角度θを有し、基準高さからの差がΔzaである場合、画像内の左右方向(x方向)の位置ズレ量Δxaは、Δxa=Δza/tanθにより算出される。なお、基準高さからの差を、上方を正の値とし、下方を負の値とした場合、画像内の左右方向(x方向)の位置ズレ量は、右方向が正の値となり、左方向が負の値となる。
【0047】
図8に示すように、紙のテープ32から部品31を供給する場合、テープ32の厚さにより、部品31の供給位置(吸着位置)の高さ位置が変化する。
図8(A)のテープ厚さが標準厚さの場合、画像を切り出す位置は、シフトさせる必要がない。
図8(B)のテープ厚さが厚い場合、部品31の供給位置が上方にシフトするため、部分画像を切り出す位置を左方向(実装ヘッド42に対して撮像部8側とは反対側の方向)にΔxaだけシフトさせる。
図8(C)のテープ厚さが薄い場合、部品31の供給位置が下方にシフトするため、部分画像を切り出す位置を右方向(実装ヘッド42に対して撮像部8側の方向)にΔxaだけシフトさせる。
【0048】
図9に示すように、エンボステープから部品31を供給する場合、テープ32の厚さ(収容部の深さ)により、部品31の供給位置(吸着位置)の高さ位置が変化する。
図9(A)のテープ厚さが標準厚さの場合、画像を切り出す位置は、シフトさせる必要がない。
図9(B)のテープ厚さが厚い(収容部が浅い)場合、部品31の供給位置が上方にシフトするため、部分画像を切り出す位置を左方向(実装ヘッド42に対して撮像部8側とは反対側の方向)にΔxaだけシフトさせる。
図9(C)のテープ厚さが薄い(収容部が深い)場合、部品31の供給位置が下方にシフトするため、部分画像を切り出す位置を右方向(実装ヘッド42に対して撮像部8側の方向)にΔxaだけシフトさせる。
【0049】
図10に示すように、部品31の吸着位置を、部品の高さ情報と、吸着位置の調整情報と、部品31を収容しているテープの情報と、部品31を収容しているテープ32を送るフィーダの情報と、吸着位置の高さ情報とに基づくことにより、適切なROI(部分画像)を切り出すことが可能である。一方、吸着位置の高さの影響の考慮が漏れた場合や、XY位置影響の考慮が漏れた場合には、不適切なROI(部分画像)が切り出される。
【0050】
部品の高さ情報と、部品31を収容しているテープの情報と、部品31を収容しているテープ32を送るフィーダの情報と、は、基板・部品データ95(
図3参照)から取得される。また、部品31の吸着位置情報は、調整情報データ96(
図3参照)から取得される。また、吸着位置の調整情報は、基板認識カメラ43により部品供給位置を撮像することにより取得される。また、吸着位置の高さ情報は、高さ計測センサ44により吸着位置の高さが計測されることにより取得される。
【0051】
また、制御部9は、実装ヘッド42による部品31の実装位置周辺を撮像部8により撮像した撮像画像において、部品の高さ情報と、基板の基準高さ情報と、実装位置の高さ情報と、部品位置の情報とのうち少なくとも1つに基づいて、部分画像の位置を調整する。
【0052】
また、制御部9は、吸着した部品31を認識した結果に基づいて、部品31の吸着位置のズレ量を含む部品位置の情報を取得し、部品31の吸着位置のズレ量に基づいて、部分画像を切り出す位置の調整量を取得するように構成されている。
【0053】
図11に示すように、吸着位置情報に応じた場合、部品31の水平方向の位置が異なるため、画像中の部品31の位置は、画像の左右方向(x方向)および上下方向(y方向)にシフトする。つまり、実装ヘッド42により部品31の中心を吸着して実装動作を行った場合と、実装ヘッド42により部品31の中心から離れた位置を吸着して実装動作を行った場合とでは、撮像部8に対する部品31の水平方向の位置が変化する。そこで、実装ヘッド42による吸着位置に基づいて、ROI(部分画像)を切り出す位置をシフトさせる。
【0054】
図12(A)に示すように、実装ヘッド42により部品31の中心位置を吸着した場合、画像を切り出す位置は、シフトさせる必要がない。
図12(B)に示すように、実装ヘッド42により部品31の中心位置から離れた位置を吸着した場合、実装時の部品31の水平方向の位置が撮像部8に対してシフトするため、部分画像を切り出す位置を部品31がシフトした水平方向にΔxbだけシフトさせる。なお、y方向についても同様に、部品31がシフトした量だけ部分画像を切り出す位置をシフトさせる。
【0055】
図13に示すように、基板高さ情報に応じた場合、部品31の実装高さ位置が異なるため、画像中の部品31の位置は、画像の左右方向(x方向)にシフトする。
【0056】
図14(A)に示すように、基板Pの実装位置の高さが標準高さ位置である場合、画像を切り出す位置は、シフトさせる必要がない。
図14(B)に示すように、基板Pの実装位置の高さが標準高さ位置である場合、部品31の実装位置が上下方向にシフトするため、部分画像を切り出す位置を左右方向にΔxaだけシフトさせる。
【0057】
図15に示すように、部品の高さ情報と、基板の基準高さ情報と、実装位置の高さ情報と、部品位置の情報とに基づくことにより、適切なROI(部分画像)を切り出すことが可能である。一方、実装位置の高さの影響の考慮が漏れた場合や、XY位置影響の考慮が漏れた場合には、不適切なROI(部分画像)が切り出される。
【0058】
部品の高さ情報と、部品のサイズ情報と、は、基板・部品データ95(
図3参照)から取得される。基板の基準高さ情報は、調整情報データ96(
図3参照)から取得される。また、部品位置の情報は、部品認識カメラ7により部品31の吸着状態を撮像することにより取得される。また、実装位置の高さ情報は、高さ計測センサ44により基板Pの高さや反りが計測されることにより取得される。
【0059】
また、制御部9は、調整した部分画像の位置を、部品31の吸着動作および部品31の実装動作のサイクル開始前に事前に取得できる場合に、1サイクル分をまとめて撮像部8に送信し、調整した部分画像の位置を、部品31の吸着動作および部品31の実装動作の直前に取得できる場合に、部品31の吸着動作および部品31の装着動作毎に撮像部8に送信する。
【0060】
また、制御部9は、部品位置の情報、吸着位置または実装位置の高さ情報、および、部品の高さ情報を、計測により事前にまとめて取得する。
【0061】
(部品実装処理)
次に、
図16を参照して、制御部9による部品実装処理について説明する。
【0062】
図16のステップS1において、制御部9は、基板データを読み込む。これにより、部分画像(ROI)の情報(始点、サイズ)が取得される。たとえば、ROIサイズ(xR,yR)=(x,y)、ROI始点(x0,y0)=(a-x/2,b-y/2)(ただし、(a,b)は画像中心)として取得される。ステップS2において、制御部9は、事前データを使用するか否かを判断する。事前データは、たとえば、マシン設定や基板データなど事前に用意できている情報である。使用する場合は、ステップS3に進み、使用しない場合は、ステップS5に進む。
【0063】
ステップS3において、制御部9は、事前データとしてROIの補正値を決定する。つまり、実装される部品31毎に部分画像(ROI)のサイズが補正される。具体的には、大きな部品については、大きなROIサイズに補正され、小さな部品については小さなROIサイズに補正される。まず、基板データの部品サイズ情報から部品31の大きさに応じたROIサイズが補正される。たとえば、ROIサイズ(xR,yR)=(xx,yy)、ROI始点(x0,y0)=(a-xx/2,b-yy/2)として補正される。次に、マシン設定から調整データが読み込まれてROI中心が補正される。たとえば、ROIサイズ(xR,yR)=(xx,yy)、ROI始点(x0,y0)=(a+Δx1-xx/2,b+Δy1-yy/2)として補正される。そして、基板データが読み込まれてROI中心が補正される。たとえば、ROIサイズ(xR,yR)=(xx,yy)、ROI始点(x0,y0)=(a+Δx1+Δx2-xx/2,b+Δy1+Δy2-yy/2)として補正される。
【0064】
ステップS4において、制御部9は、事前データとしてROIの補正値を登録する。たとえば、ROIサイズ(xR,yR)=(xx,yy)、ROI始点(x0,y0)=(aa-xx/2,bb-yy/2)(ただし、(aa,bb)は補正後の画像中心)として補正される。また、1吸着サイクル分の補正値を撮像部8と通信して登録する。
【0065】
ステップS5において、制御部9は、事前取得した計測データを使用するか否かを判断する。使用する場合は、ステップS6に進み、使用しない場合は、ステップS9に進む。
【0066】
ステップS6において、制御部9は、計測系データとして吸着動作または実装動作における補正データを計測する。たとえば、吸着高さ位置および実装高さ位置を計測して補正データを取得する。
【0067】
ステップS7において、制御部9は、計測データに基づいて、ROI中心の補正値を決定する。たとえば、ROIサイズ(xR,yR)=(xx,yy)、ROI始点(x0,y0)=(aa+Δx3-xx/2,bb+Δy3-yy/2)として補正される。
【0068】
ステップS8において、制御部9は、計測データとしてROIの補正値を登録する。たとえば、ROIサイズ(xR,yR)=(xx,yy)、ROI始点(x0,y0)=(aaa-xx/2,bbb-yy/2)(ただし、(aaa,bbb)は補正後の画像中心)として補正される。
【0069】
ステップS9において、制御部9は、吸装着サイクルを開始させる。ステップS10において、制御部9は、直前で取得した計測データを使用するか否かを判断する。たとえば、直前で取得した計測データは、吸着動作における部品位置情報(ポケット内の部品位置の情報)や、実装動作における部品認識結果などである。使用する場合は、ステップS11に進み、使用しない場合は、ステップS14に進む。
【0070】
ステップS11において、制御部9は、計測系データとして吸着動作または実装動作における補正データを計測する。
【0071】
ステップS12において、制御部9は、計測データに基づいて、ROI中心の補正値を決定する。たとえば、ROIサイズ(xR,yR)=(xx,yy)、ROI始点(x0,y0)=(aaa+Δx4-xx/2,bbb+Δy4-yy/2)として補正される。
【0072】
ステップS13において、制御部9は、計測データとしてROIの補正値を登録する。たとえば、ROIサイズ(xR,yR)=(xx,yy)、ROI始点(x0,y0)=(aaaa-xx/2,bbbb-yy/2)(ただし、(aaaa,bbbb)は補正後の画像中心)として補正される。
【0073】
ステップS14において、制御部9は、決定したROIのサイズおよび位置に基づいて、吸着点または装着点を、撮像部8により撮像する。吸装着のサイクルが完了するまで、ステップS9~S15の処理が繰り返される。
【0074】
ステップS16において、制御部9は、基板Pに対する部品31の実装動作が終了したか否かを判断する。終了していれば、部品実装処理が終了される。また、終了していなければ、ステップS2に戻る。
【0075】
(実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0076】
本実施形態では、上記のように、部品位置の情報、吸着位置または実装位置の高さ情報、および、部品の高さ情報のうち少なくとも1つに基づいて、撮像部8により撮像した撮像画像から撮像対象に対応する部分画像を切り出す位置を調整する制御を行う制御部9を設ける。これにより、吸着位置または実装位置の高さ情報、および、部品の高さ情報のうち少なくとも1つに基づいて部分画像の切り出し位置が調整されるので、撮像部8により撮像した撮像画像から撮像対象が映り込む位置の部分画像を精度よく切り出すことができる。その結果、撮像対象を撮像した画像のデータ量を減少させることができ、かつ、撮像部8により撮像した画像に撮像対象を確実に収めることができる。
【0077】
また、本実施形態では、上記のように、撮像部8は、実装ヘッド42による部品31の吸着動作または部品31の実装動作と並行して撮像対象を撮像する。また、制御部9により位置が調整されて切り出された部分画像は、外部サーバ200に記憶されるように構成されている。これにより、実装ヘッド42による部品31の吸着動作または部品31の実装動作と並行して撮像対象を撮像するので、撮像部8による撮像のための処理時間が別途必要になるのを抑制することができる。また、位置が調整されて切り出された部分画像のデータ量が大きくなるのを抑制することができるので、外部サーバ200に記憶するデータ量が大きくなるのを抑制することができる。
【0078】
また、本実施形態では、上記のように、撮像部8は、光軸が斜め下方に向けて配置されており、制御部9は、撮像部8の光軸が斜め下方に向いていることにより、異なる高さ位置における画像上の位置がズレることに起因する撮像対象の位置ズレに基づいて、部分画像を切り出す位置の調整量を取得するように構成されている。これにより、撮像部8の光軸を斜め下方に向けることにより、撮像部8が実装ヘッド42の上下移動に干渉するのを容易に抑制することができる。また、撮像部8により撮像対象を斜め方向から撮像することに起因する位置ズレに基づいて、部分画像を切り出す位置の調整量を調整することができるので、斜め方向から撮像した撮像対象を確実に部分画像に収めることができる。
【0079】
また、本実施形態では、上記のように、制御部9は、実装ヘッド42による部品31の吸着位置周辺を撮像部8により撮像した撮像画像において、部品の高さ情報と、吸着位置の調整情報と、部品31を収容しているテープの情報と、部品31を収容しているテープ32を送るフィーダの情報と、吸着位置の高さ情報とのうち少なくとも1つに基づいて、部分画像の位置を調整する。これにより、部品の高さ情報に基づいて部分画像の位置を調整することにより、部品31の高さの違いに起因して撮像画像に対する部品31の映り込み位置がズレる場合でも、撮像対象である部品31が部分画像に確実に収まるように部分画像の位置を調整することができる。また、吸着位置の調整情報に基づいて部分画像の位置を調整することにより、部品31の供給位置のズレに対応するように吸着位置を調整したことに起因して撮像画像に対する部品31の映り込み位置がズレる場合でも、撮像対象である部品31が部分画像に確実に収まるように部分画像の位置を調整することができる。また、部品31を収容しているテープの情報に基づいて部分画像の位置を調整することにより、テープ32の厚さや部品収容部の形状に起因する高さの違いに応じて、撮像対象である部品31が部分画像に確実に収まるように部分画像の位置を調整することができる。また、部品31を収容しているテープ32を送るフィーダの情報に基づいて部分画像の位置を調整することにより、フィーダ毎の部品31の供給高さ位置の違いに応じて、撮像対象である部品31が部分画像に確実に収まるように部分画像の位置を調整することができる。また、吸着位置の高さ情報に基づいて部分画像の位置を調整することにより、吸着位置の高さの違いに起因して撮像画像に対する部品31の映り込み位置がズレる場合でも、撮像対象である部品31が部分画像に確実に収まるように部分画像の位置を調整することができる。
【0080】
また、本実施形態では、上記のように、制御部9は、実装ヘッド42による部品31の実装位置周辺を撮像部8により撮像した撮像画像において、部品の高さ情報と、基板の基準高さ情報と、実装位置の高さ情報と、部品位置の情報とのうち少なくとも1つに基づいて、部分画像の位置を調整する。これにより、部品の高さ情報に基づいて部分画像の位置を調整することにより、部品31の高さの違いに起因して撮像画像に対する部品31の映り込み位置がズレる場合でも、撮像対象である部品31が部分画像に確実に収まるように部分画像の位置を調整することができる。また、基板Pの基準高さ情報に基づいて部分画像の位置を調整することにより、基板Pの基準高さの違いに起因して撮像画像に対する部品31の映り込み位置がズレる場合でも、撮像対象である部品31が部分画像に確実に収まるように部分画像の位置を調整することができる。また、実装位置の高さ情報に基づいて部分画像の位置を調整することにより、実装位置の高さ位置の違いに起因して撮像画像に対する部品の映り込み位置がズレる場合でも、撮像対象である部品31が部分画像に確実に収まるように部分画像の位置を調整することができる。また、部品位置の情報に基づいて部分画像の位置を調整することにより、実装ヘッド42による部品31の吸着位置の中心からのズレに起因して撮像画像に対する部品31の映り込み位置がズレる場合でも、撮像対象である部品31が部分画像に確実に収まるように部分画像の位置を調整することができる。
【0081】
また、本実施形態では、上記のように、制御部9は、吸着した部品31を認識した結果に基づいて、部品31の吸着位置のズレ量を含む部品位置の情報を取得し、部品31の吸着位置のズレ量に基づいて、部分画像を切り出す位置の調整量を取得するように構成されている。これにより、実装ヘッド42による部品31の吸着位置のズレ量に起因して撮像画像に対する部品31の映り込み位置がズレる場合でも、撮像対象である部品31が部分画像に確実に収まるように部分画像の位置を容易に調整することができる。
【0082】
また、本実施形態では、上記のように、制御部9は、撮像部8により撮像した画像を処理する画像受信処理部81を含み、画像受信処理部81または撮像部8により、部分画像を切り出す処理を行う。これにより、撮像処理において、部分画像が切り出されるので、撮像範囲を小さくして撮像を行うことができる。
【0083】
また、本実施形態では、上記のように、制御部9の画像受信処理部81は、調整した部分画像の位置を撮像部8に送信し、撮像部8により部分画像を撮像させる。これにより、画像受信処理部81により送信された位置の情報に基づいて、撮像部8により撮像対象が映り込むように部分画像を容易に撮像することができる。
【0084】
また、本実施形態では、上記のように、制御部9は、調整した部分画像の位置を、部品31の吸着動作および部品31の実装動作のサイクル開始前に事前に取得できる場合に、1サイクル分をまとめて撮像部8に送信し、調整した部分画像の位置を、部品31の吸着動作および部品31の実装動作の直前に取得できる場合に、部品31の吸着動作および部品31の装着動作毎に撮像部8に送信する。これにより、複数の撮像対象を撮像する前に、部分画像を切り出すための位置の情報が1サイクル分まとめて撮像部8に送信されるので、撮像毎に情報を送受信する必要がない。これにより、撮像処理を円滑に行うことができる。
【0085】
また、本実施形態では、上記のように、制御部9は、部品位置の情報、吸着位置または実装位置の高さ情報、および、部品の高さ情報を、計測により事前にまとめて取得する。これにより、計測して取得する必要がある、部品位置の情報、吸着位置または実装位置の高さ情報、および、部品の高さ情報を、事前にまとめて取得するので、情報取得のための処理が煩雑になるのを抑制することができる。
【0086】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0087】
たとえば、上記実施形態では、吸着位置周辺または実装位置周辺を撮像する撮像部が一対設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、吸着位置周辺および実装位置周辺を撮像する撮像部が、1または3以上設けられていてもよい。
【0088】
また、上記実施形態では、複数の実装ヘッドが回転可能に円環状に設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、複数の実装ヘッドが直線状に配列されていてもよい。この場合、複数の実装ヘッド毎に、吸着位置周辺または実装位置周辺を撮像する撮像部が設けられていてもよいし、1つの撮像部を移動させることにより、複数の実装ヘッドの各々に対応する位置の吸着位置周辺または実装位置周辺を撮像するようにしてもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、高さ計測センサにより、基板の高さ位置および部品の吸着位置の高さを測定する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ステレオカメラなどの撮像部による撮像により、基板の高さ位置および部品の吸着位置の高さを測定してもよい。
【0090】
また、上記実施形態では、撮像部は、部品の吸着位置および部品の実装位置の両方を撮像可能である構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、撮像部は、部品の吸着位置および部品の実装位置の少なくとも一方を撮像可能であればよい。
【0091】
また、上記実施形態では、部品供給位置にテープに保持された部品を供給する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部品供給位置にトレイなどに載置された部品を供給してもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、説明の便宜上、制御処理を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御処理を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0093】
4 ヘッドユニット
8 撮像部
9 制御部
31 部品
42 実装ヘッド
81 画像受信処理部(画像処理部)
100 部品実装装置
200 外部サーバ(記憶部)
300 部品実装システム
P 基板