(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016833
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】電極の座標の追跡
(51)【国際特許分類】
A61B 5/367 20210101AFI20240131BHJP
A61B 5/287 20210101ALI20240131BHJP
A61B 5/053 20210101ALI20240131BHJP
A61B 5/06 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
A61B5/367 100
A61B5/287 200
A61B5/053
A61B5/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023120579
(22)【出願日】2023-07-25
(31)【優先権主張番号】17/874,214
(32)【優先日】2022-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127LL08
(57)【要約】
【課題】電極の座標を追跡すること。
【解決手段】ある技法が本明細書に説明される。本技法は、幾何学的シェーダにおいて終点位置データを受信することと、終点位置データを処理してベジェ曲線制御点を計算することと、ベジェ曲線制御点に基づいて、カテーテルの推定電極位置を決定することと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
カテーテルと、
プロセッサと、を備え、前記プロセッサは、
幾何学的シェーダにおいて前記カテーテルの終点位置データを受信し、
前記終点位置データを処理してベジェ曲線制御点を計算し、かつ
前記ベジェ曲線制御点に基づいて、前記カテーテルの推定電極位置を決定するように構成されている、システム。
【請求項2】
前記終点位置データが、カテーテルバスケットの近位端及び遠位端の位置を含み、スプライン接線データが、前記カテーテルバスケットのスプラインの遠位端の接線を示す情報を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ベジェ曲線制御点を計算することが、前記スプラインの終点間の距離及び前記スプライン接線データに基づいて前記ベジェ曲線制御点を決定することを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記推定電極位置を決定することが、前記カテーテルのスプラインの形状及び位置を決定することと、前記スプラインの前記形状及び前記位置に基づいて推定電極位置を決定することと、を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記プロセッサが、前記ベジェ曲線制御点に基づいて幾何学的点を生成するように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
全てのベジェ曲線制御点が推定電極形状上にあるわけではない、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記計算すること及び出力することが、前記幾何学的シェーダにおいて実行される幾何学的シェーダプログラムによって実行され、前記幾何学的シェーダが、グラフィックス処理ユニット内にある、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記終点位置データが、中央処理ユニットから受信される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令は、プロセッサによって実行されたとき、前記プロセッサに、
幾何学的シェーダにおいて終点位置データを受信することと、
前記終点位置データを処理してベジェ曲線制御点を計算することと、
前記ベジェ曲線制御点に基づいて、カテーテルの推定電極位置を決定することと、を含む動作を実行させる、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項10】
前記終点位置データが、カテーテルバスケットの近位端及び遠位端の位置を含み、スプライン接線データが、前記カテーテルバスケットのスプラインの遠位端の接線を示す情報を含む、請求項9に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項11】
前記ベジェ曲線制御点を計算することが、前記スプラインの終点間の距離及び前記スプライン接線データに基づいて前記ベジェ曲線制御点を決定することを含む、請求項10に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項12】
前記推定電極位置を決定することが、前記カテーテルのスプラインの形状及び位置を決定することと、前記スプラインの前記形状及び前記位置に基づいて推定電極位置を決定することと、を含む、請求項1に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項13】
前記動作が、前記ベジェ曲線制御点に基づいて幾何学的点を生成することを更に含む、請求項1に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項14】
全てのベジェ曲線制御点が推定スプライン形状上にあるわけではない、請求項1に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項15】
前記計算すること及び出力することが、前記幾何学的シェーダにおいて実行される幾何学的シェーダプログラムによって実行され、前記幾何学的シェーダが、グラフィックス処理ユニット内にある、請求項1に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
心疾患の治療は、多くの場合、心組織、心腔、静脈、動脈、及び/又は電気経路の詳細なマッピングを取得することを必要とする。このようなマッピングを取得するための効果的な技術は、常に改善されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
ある技法が本明細書に説明される。本技法は、幾何学的シェーダ(456)において終点位置データ(302、304)を受信することと、終点位置データ(302、304)を処理して、ベジェ曲線制御点(506)を計算することと、ベジェ曲線制御点(5060に基づいて、カテーテル(110)の推定電極(111)位置を決定することと、を含む。
【0003】
1つ又は2つ以上の実施形態によれば、上記の例示的な技法は、方法、装置、システム、及び/又はコンピュータプログラム製品として実現され得る。いくつかの例では、終点(302、304)位置データは、カテーテルバスケット(116)の近位端及び遠位端(302、304)の位置を含む。いくつかの例では、スプライン接線データは、カテーテルバスケット(116)のスプライン(109)の遠位端(304)の接線を示す情報を含む。いくつかの例では、ベジェ曲線制御点(506)を計算することは、スプライン(109)の終点(302、304)間の距離及びスプライン接線データ(309)に基づいてベジェ曲線制御点(506)を決定することを含む。いくつかの例では、推定電極(111)位置を決定することは、カテーテル(110)のスプライン(109)の形状及び位置を決定することと、スプライン(109)の形状及び位置に基づいて推定電極(111)位置を決定することと、を含む。いくつかの例では、ベジェ曲線制御点(506)に基づいて幾何学的点(504)を生成する。いくつかの例では、全てのベジェ曲線制御点(506)が推定スプライン(109)形状上にあるわけではない。いくつかの例では、計算すること及び出力することは、幾何学的シェーダ(456)において実行される幾何学的シェーダプログラムによって実行され、幾何学的シェーダ(456)はグラフィックス処理ユニット(400)内にある。いくつかの例では、終点位置データ(302、304)は、中央処理ユニットから受信される。
【0004】
あるシステムが提供される。本システムは、カテーテルと、プロセッサと、を備え、プロセッサは、幾何学的シェーダ(456)においてカテーテル(110)の終点位置データ(302、304)を受信し、終点位置データ(302、304)を処理してベジェ曲線制御点(506)を計算し、かつベジェ制御点(506)に基づいて、カテーテル(110)の推定電極(111)位置を決定するように構成されている。
【0005】
いくつかの例では、終点位置データ(302、304)は、スプライン109の近位端及び遠位端(302、304)の位置を含む。いくつかの例では、スプライン接線データ(309)は、カテーテルバスケット(116)のスプライン(109)の遠位端(304)の接線を示す情報を含む。いくつかの例では、ベジェ曲線制御点(506)を計算することは、スプライン(109)の終点(302、304)間の距離及びスプライン接線データ(309)に基づいてベジェ曲線制御点(506)を決定することを含む。いくつかの例では、推定電極(111)位置を決定することは、カテーテル(110)のスプライン(109)の形状及び位置を決定することと、スプライン(109)の形状及び位置に基づいて推定電極(111)位置を決定することと、を含む。いくつかの例では、プロセッサは、ベジェ曲線制御点(506)に基づいて幾何学的点(504)を生成するように更に構成されている。いくつかの例では、全てのベジェ曲線制御点(506)が推定電極(111)形状上にあるわけではない。いくつかの例では、計算すること及び出力することは、幾何学的シェーダ(456)において実行される幾何学的シェーダプログラムによって実行され、幾何学的シェーダ(456)はグラフィックス処理ユニット(400)内にある。いくつかの例では、終点位置データ(302、304)は、中央処理ユニットから受信される。
【0006】
命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体が本明細書に開示される。命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、幾何学的シェーダ(456)において終点位置データ(302、304)を受信することと、終点(302、304)位置データを処理して、ベジェ曲線制御点(506)を計算することと、ベジェ曲線制御点(506)に基づいて、カテーテル(110)の電極(111)位置を決定することと、を含む動作を実行させる。
【0007】
いくつかの例では、終点位置データ(302、304)は、スプライン(109)の近位端及び遠位端(302、304)の位置を含む。いくつかの例では、スプライン(109)接線データ(309)は、カテーテルバスケット(116)のスプライン(109)の遠位端(304)の接線を示す情報を含む。いくつかの例では、ベジェ曲線制御点(506)を計算することは、電極(111)の終点(302、304)間の距離及びスプライン(109)接線データ(309)に基づいてベジェ曲線制御点(506)を決定することを含む。いくつかの例では、推定電極(111)位置を決定することは、カテーテル(110)のスプライン(109)の形状及び位置を決定することと、スプライン(109)の形状及び位置に基づいて推定電極(111)位置を決定することと、を含む。いくつかの例では、当該動作は、ベジェ曲線制御点(506)に基づいて幾何学的点(504)を生成することを更に含む。いくつかの例では、全てのベジェ曲線制御点(506)が推定スプライン(109)形状上にあるわけではない。いくつかの例では、計算すること及び出力することは、幾何学的シェーダ(456)において実行される幾何学的シェーダプログラムによって実行され、幾何学的シェーダ(456)はグラフィックス処理ユニット(400)内にある。いくつかの例では、終点位置データは、中央処理ユニットから受信される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
より詳細な理解は、添付の図面と併せて例として示される以下の説明から得ることができ、図中の同様の参照番号は、同様の要素を示す。
【
図1】1つ又は2つ以上の実施形態によって、本開示の主題の1つ又は2つ以上の特徴を実装することができる例示的なシステムの図を示す。
【
図2】一例による、本開示の主題の1つ又は2つ以上の特徴を実装することができるシステムを示す。
【
図3B】一例による偏向構成にあるカテーテルを示す。
【
図3C】一例による、ベジェ曲線を利用してスプライン形状を推定するための動作を示す。
【
図3D】一例による、ベジェ曲線を利用してスプライン形状を推定するための動作を示す。
【
図4】一例による、マッピングソフトウェアの少なくとも一部を実行するためのグラフィックス処理ユニットを示す。
【
図5】一例による、個々のスプラインの形状を推定するための処理の態様を示す。
【
図6】一例による、個々のスプラインの形状を推定するための処理の態様を示す。
【
図7】一例による、バスケットカテーテルの幾何学的情報を推定するための方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ある技法が本明細書に説明される。本技法は、幾何学的シェーダにおいて終点位置データを受信することと、終点位置データを処理してベジェ曲線制御点を計算することと、ベジェ曲線制御点に基づいて、カテーテルの推定電極位置を決定することと、を含む。
【0010】
図1は、1つ又は2つ以上の実施形態によって、本明細書の主題の1つ又は2つ以上の特徴を実装することができる、システム100として示される例示的なシステム(例えば、医療デバイス機器)の図である。システム100の全て又は一部が、心疾患を検出、診断、及び/又は治療するために使用され得る。
【0011】
システム100は、図示されるように、マニピュレータ114と、シース113を通して配設されるシャフト112と、バスケット(本明細書では「カテーテルバスケット」116と称される)の形状をなす遠位先端部と、を含むカテーテル110を含む。カテーテルバスケット116は、複数の屈曲可能なスプライン109上に配設された複数の電極111を含む。プラー要素118は、カテーテルバスケット116の遠位端304を引っ張るか又は押して、カテーテルバスケット116を拡張するか又は折り畳む。いくつかの例では、カテーテルバスケット116は、カテーテルバスケット116の近位端及び遠位端の位置を感知することを可能にする1つ又は2つ以上の位置センサを含む。また、
図1には、医師115(又は医療専門家、技術者、若しくは臨床家など)、心臓120、患者125、及びベッド130(又はテーブル)も例示されている。差し込み
図140及び150は、心臓120及びカテーテル110をより詳細に示すものである点に留意されたい。システム100はまた、例示されるように、コンソール160(1つ又は2つ以上のプロセッサ222及びメモリ162を含む)と、ディスプレイ165とを含む。システム100の各要素及び/又はアイテムは、その要素及び/又はそのアイテムのうちの1つ又は2つ以上を表すことに更に留意されたい。
図1に示されるシステム100の例は、本明細書に開示される実施形態を実現するように改変され得る。本開示の実施形態も、他のシステム構成要素及び設定を使用して、同様に適用することができる。更に、システム100は、電気的活動を感知するための要素、有線又は無線コネクタ、処理及びディスプレイデバイスなどの、更なる構成要素を含んでもよい。
【0012】
システム100は、心疾患を検出、診断、及び/又は治療するために利用され得る。心不整脈などの心疾患は、特に老年人口において一般的かつ危険な医学的疾患として根強く残っている。例えば、システム100は、生体測定データ(例えば、心臓120などの患者の器官の解剖学的及び電気的測定値)を取得し、心臓アブレーション処置を実施するように構成された外科用システム(例えば、Biosense Websterより販売されているCARTO(登録商標)システム)の一部とすることができる。1つ又は2つ以上の実施形態によれば、生体測定データは、マッピング及びアブレーション処置中に心房のかなりの部分で取得された解剖学的及び電気的測定値を含むことができる。
【0013】
より詳細には、心不整脈などの心疾患の治療では、心臓組織、心腔、静脈、動脈、及び/又は電気的経路の詳細なマッピングを得ることがしばしば求められる。例えば、(本明細書に記載されるような)カテーテルアブレーションを成功裏に行うための前提条件として、心不整脈の原因が心臓120の心腔において正確に位置特定されることがある。このような位置特定は、電気生理学的検査によって行われ得、その検査の間に、心臓120の心腔内に導入されたマッピングカテーテル(例えば、カテーテル110)によって電位が検出され、空間的に分解される。したがって、この電気生理学的検査、いわゆる電気解剖学的マッピングは3Dマッピングデータを提供し、これをモニター上に表示することができる。多くの場合、マッピング機能及び治療機能(例えば、アブレーション)は単一のカテーテル又は一群のカテーテルによって提供され、マッピングカテーテルはまた、同時に治療(例えば、アブレーション)カテーテルとしても動作する。マッピングソフトウェア101は、カテーテル110とインターフェースして、本明細書で更に詳細に説明されるようなマッピング動作を実行する。
【0014】
システム100が心疾患を検出、診断、及び/又は治療することを支援するため、医師115はベッド130上に横たわる患者125の心臓120内にカテーテル110を誘導することができる。例えば、医師115は、マニピュレータ114を使用してカテーテルバスケット116の遠位端304を操作しながら、シース113を通してシャフト112を挿入することができる。カテーテル110は、折り畳まれた状態でシース113を通して挿入することができ、次いで、心臓120内で拡張させることができる。
【0015】
概して、心臓120内のある点における電気的活動は、典型的には、カテーテル110を心臓120内のその点まで前進させ、組織を1つ又は2つ以上の電極111と接触させ、その点におけるデータを取得することによって測定され得る。
【0016】
カテーテル110は、複数の可撓性スプライン109と、可撓性スプライン109の各々に配設された複数の電極111と、を含む。カテーテル110は、体内器官(例えば、心臓120)の電気信号などの生体測定データを取得し、かつ/又はその領域(例えば、心臓120の心腔)の組織をアブレーションするように構成されている。電極111は、金属製の要素、追跡コイル、圧電変換器、電極、又は組織領域をアブレーションするか又は生体測定データを取得するように構成された要素の組み合わせなどの任意の同様の要素を代表するものである点に留意されたい。
【0017】
生体測定データ(例えば、患者生体測定値、患者データ、又は患者生体測定データ)は、局所興奮時間(local activation time、LAT)、電気的活動、トポロジー、双極マッピング、基準活動、心室活動、優位周波数、インピーダンスなどのうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。LATは、正規化された初期開始点に基づいて計算された、局所活性化に対応する閾値活動の時点であり得る。電気的活動は、1つ又は2つ以上の閾値に基づいて測定され得る任意の適用可能な電気信号であってもよく、信号対ノイズ比及び/又は他のフィルタに基づいて、感知及び/又は拡張され得る。トポロジーは、身体部分又は身体部分の一部の物理的構造に対応し得、身体部分の異なる部分に関する、又は異なる身体部分に関する物理的構造における変化に対応し得る。
【0018】
生体測定データの例としては、患者識別データ、IC ECGデータ、双極心臓内基準信号、解剖学的及び電気的測定値、軌跡情報、身体表面(body surface、BS)ECGデータ、履歴データ、血圧データ、超音波信号、無線信号、音声信号、二次元又は三次元画像データ、血糖データ、並びに温度データが挙げられるが、これらに限定されない。生体測定データは一般的に、心血管疾患(例えば、不整脈、心筋症、及び冠動脈疾患)、及び自己免疫疾患(例えば、I型及びII型糖尿病)などの任意の数の様々な疾患を監視、診断、及び治療するために使用され得る。BS ECGデータは、患者の表面上の電極から収集されたデータ及び信号を含むことができ、IC ECGデータは、患者体内の電極から収集されたデータ及び信号を含むことができ、アブレーションデータは、アブレーションされた組織から収集されたデータ及び信号を含み得る点に留意されたい。更に、BS ECGデータ、IC ECGデータ、及びアブレーションデータは、カテーテル電極位置データとともに、1つ又は2つ以上の処置記録から導出され得る。
【0019】
例えば、カテーテル110は、電極111を使用して血管内超音波及び/又はMRIカテーテル法を実施して心臓120を画像化する(例えば、生体測定データを取得及び処理する)ことができる。差し込み
図150は、心臓120の心腔内のカテーテル110を拡大図で示す。
【0020】
カテーテル110はバスケットカテーテルである。バスケットカテーテルは、患者の身体内に配備される際、その電極を心内膜表面に対して密接に接触した状態に保持し得るように設計され得る。一例として、バスケットカテーテルは、肺静脈(pulmonary vein、PV)などの管腔内に挿入され得る。バスケットカテーテルは、近位端が遠位端から最大距離にある状態でPVに挿入され得るが、それにより、バスケットカテーテルは、PVに挿入されている間にその最大体積を占有することはない。バスケットカテーテルは、PVの内側にある間に近位端を遠位端に向かって移動させることによって拡張することができ、それにより、バスケットカテーテル上の電極は、PVの円形部分全体と接触する。PV又は任意の他の管腔の円形部分全体とのこのような接触は、効率的な撮像及び/又はアブレーションを可能とする。
【0021】
他の例によれば、身体パッチ及び/又は身体表面電極を患者125の身体上又は身体に近接して配置することもできる。1つ又は2つ以上の電極111を有するカテーテル110を身体内(例えば、心臓120内)に位置付けることができ、カテーテル110の位置を、カテーテル110の位置センサと身体パッチ及び/又は身体表面電極との間で送受信される信号に基づいてシステム100により決定することができる。更に、電極111は、心臓120内などの患者125の身体内から生体測定データを感知することができる(例えば、電極111は、組織の電位をリアルタイムで感知する)。生体測定データは、決定されたカテーテル110の位置と関連付けることができ、それにより、患者の身体部分(例えば、心臓120)のレンダリングを表示し、身体部分の形状に重ね合わされた生体測定データを示すことができる。マッピングソフトウェア101は、生体測定データを取得することを支援するために、電極111の位置を決定することを支援する。
【0022】
カテーテル110及びシステム100の他のアイテムは、コンソール160に接続され得る。コンソール160は、マッピングソフトウェア101を用いる任意のコンピューティングデバイスを含むことができる。例示的な実施形態によれば、コンソール160は、1つ又は2つ以上のプロセッサ222(任意のコンピューティングハードウェア)及びメモリ162(任意の非一時的有形媒体)を含み、1つ又は2つ以上のプロセッサ222は、マッピングソフトウェア101に関するコンピュータ命令を実行し、メモリ162は、1つ又は2つ以上のプロセッサ222によって実行するためのこれらの命令を記憶する。例えば、コンソール160は、メモリ162のデータベース上で生体測定データを受信及び/又は記憶し、生体測定データを処理し、所与の組織領域が電気を伝導するかどうかを決定するように構成することができる。
【0023】
一例として、コンソール160は、ソフトウェア(例えば、マッピングソフトウェア101)及び/又は、カテーテル110への信号及びそのカテーテルからの信号を送信及び受信するための、並びにシステム100の他の構成要素を制御するための適当なフロントエンド回路及びインターフェース回路を備えた汎用コンピュータなどのハードウェア(例えば、プロセッサ222及びメモリ162)を含む、本明細書に記載の任意のコンピューティングデバイスであってもよい。例えば、フロントエンド回路及びインターフェース回路は、コンソール160が少なくとも1つの電極111から信号を受信及び/又は少なくとも1つの電極111に信号を転送することを可能にする入出力(I/O)通信インターフェースを含む。コンソール160は、典型的には、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA)の後に続くアナログデジタル(analog-to-digital、A/D)ECG又は心電図/筋電図(electromyogram、EMG)信号変換集積回路として構成されたリアルタイムノイズ低減回路を含み得る。コンソール160は、A/D ECG若しくはEMG回路から別のプロセッサへ信号を伝えることができ、かつ/又は本明細書に開示される1つ若しくは2つ以上の機能を実行するようにプログラムすることができる。
【0024】
生体測定データを視覚的に提示するための任意の電子デバイスであり得るディスプレイ165は、コンソール160に接続されている。例示的な実施形態によれば、処置中、コンソール160は、ディスプレイ165上で、医師115への身体部分のレンダリングの提示を促進し、身体部分のレンダリングを表すデータをメモリ162に記憶することができる。例えば、運動特性を示すマップを、心臓120内の十分な数の点でサンプリングされた軌跡情報に基づいてレンダリング/構築することができる。一例として、ディスプレイ165は、身体部分のレンダリングを提示することに加えて、医師115からの入力を受けるように構成され得るタッチスクリーンを含むことができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、医師115は、タッチパッド、マウス、キーボード、ジェスチャ認識装置などの1つ又は2つ以上の入力デバイスを使用して、システム100の要素及び/又は身体部分のレンダリングを操作することができる。例えば、入力デバイスを使用して、レンダリングが更新されるようにカテーテル110の位置を変更することができる。ディスプレイ165は、同じ場所、又は別の病院若しくは別の医療提供者ネットワークなどの遠隔の場所に位置し得る点に留意されたい。
【0026】
一例では、電極111の電極位置データを取得するために、コンソール160は、ケーブルによって、患者125に貼り付けられた粘着性皮膚パッチを含む身体表面(「BS」)電極に接続され得る。より詳細には、プロセッサ222は、患者125の身体部分(例えば、心臓120)内のカテーテル110の位置座標を決定することができる。位置座標は、身体表面電極と、カテーテル110又はカテーテルバスケット116内に配設された位置センサなどの他の電磁構成要素の電極111との間で測定されるインピーダンス又は電磁場に基づいたものであってもよい。追加的に、又は代替的に、操縦に使用される磁場を生成する場所パッドは、ベッド130の表面上に位置し得、また、ベッド130とは別個であり得る。生体測定データは、コンソール160に送信し、メモリ162に記憶させることができる。代替的に、又は追加的に、生体データは、本明細書で更に記載するようなネットワークを使用して、ローカル又はリモートであってもよいサーバに送信されてもよい。
【0027】
1つ又は2つ以上の例示的な実施形態によれば、カテーテル110は、心臓120の心腔の組織領域をアブレーションするように構成することができる。例えば、少なくとも1つの電極111などのアブレーション電極を、体内の臓器(例えば、心臓120)の組織領域にエネルギーを与えるように構成することができる。エネルギーは、熱エネルギーであってもよく、組織領域の表面から始まって組織領域の厚さに延びる組織領域への損傷を引き起こす可能性がある。アブレーション処置に関する生体測定データ(例えば、アブレーション組織、アブレーション位置など)は、アブレーションデータとみなすことができる。
【0028】
カテーテルアブレーションベースの治療には、心臓組織、特に心内膜及び心臓容積の電気的特性をマッピングすること、並びにエネルギーの印加によって心臓組織を選択的にアブレーションすることが含まれてもよい。電気又は心臓マッピング(例えば、本明細書に記載される任意の電気生理学的心臓マッピングシステム及び技術によって実施される)には、心臓組織に沿った波伝播の電位マップ(例えば、電圧マップ)、又は様々な組織内に位置する点への到達時間のマップ(例えば、LATマップ)を作成することが含まれる。局所的な心臓組織の機能不全を検出するために、電気的又は心臓マッピング(例えば、心臓マップ)を使用することができる。心臓マッピングに基づくアブレーションなどのアブレーションは、不要な電気信号が心臓120のある部分から別の部分へと伝播することを停止させるか又は変化させることができる。
【0029】
アブレーション法は、非伝導性の損傷部を形成することによって望ましくない電気経路を破壊するものである。様々なエネルギー送達の様式が、損傷部を形成する目的でこれまでに開示されており、心臓組織壁に沿って伝導ブロックを作るためのマイクロ波、レーザ、及びより一般的には無線周波エネルギーの使用が挙げられる。エネルギー送達法の別の例としては、細胞膜を損傷する高い電場を与える不可逆的エレクトロポレーション(irreversible electroporation、IRE)が挙げられる。2段階の処置(マッピングに続いてアブレーション)においては、典型的には、1つ又は2つ以上の電気センサ(例えば、電極111)を収容したカテーテル110を心臓120内に前進させ、多数の点におけるデータ(例えば、一般には生体測定データとして、又は具体的にはECGデータとして)を取得/獲得することによって、心臓120内の点における電気的活動が感知及び測定される。次いでECGデータを用いて、アブレーションを実施する心内膜の標的領域が選択される。マッピングソフトウェア101は、電極111の位置を推定することによって、これらのステップを支援する。
【0030】
とりわけ、マッピングソフトウェア101は、カテーテル110の電極111の位置をマッピングする。カテーテル110は、カテーテルバスケット116の近位端及び遠位端に位置追跡要素を有するが、電極111自体は、関連する位置センサを有さない。更に、電極111は、カテーテルバスケット116の近位端と遠位端の相対位置、並びにシャフト112に対するカテーテル110全体の偏向の両方に基づいて屈曲する可撓性スプライン109上に配置される。したがって、マッピングソフトウェア101は、カテーテルバスケット116の近位端及び遠位端の検出された位置及び配向、並びにカテーテルバスケット116の偏向角に基づいてスプライン109の形状及び位置を決定するための動作を実行する。マッピングソフトウェア101は、スプライン109の形状、位置、及び/又は偏向を表すベジェ曲線を生成し、形状、位置、及び/又は偏向に基づいて電極111の位置を取得する。更なる詳細は以下のとおりである。
【0031】
ここで
図2を参照すると、1つ又は2つ以上の例示的な実施形態による、本開示の主題の1つ又は2つ以上の特徴を実装し得るシステム200の図が示されている。システム200は、患者202(例えば、
図1の患者125の例)に対して、装置204、ローカルコンピューティングデバイス206、リモートコンピューティングシステム208、第1のネットワーク210、及び第2のネットワーク211を含んでいる。更に、装置204は、カテーテル221(例えば、
図1のカテーテル110の例)、プロセッサ222、1つ又は2つ以上の位置システム223、メモリ224、及び送受信機225、並びにマッピングソフトウェア101を含んでいる。
【0032】
一実施形態によれば、装置204は、
図1のシステム100の一例であってもよく、装置204は、患者の内部の構成要素及び患者の外部の構成要素の両方を含むことができる。一実施形態によれば、単一の装置204が
図2に示されているが、例示的なシステムは、複数の装置を含むことができる。
【0033】
したがって、装置204、ローカルコンピューティングデバイス206、及び/又はリモートコンピューティングシステム208は、マッピングソフトウェア101に関するコンピュータ命令を実行するようにプログラムすることができる。一例として、メモリ224は、装置204がカテーテル221を介して生体測定データを受信及び処理することができるように、プロセッサ222が実行するこれらの命令を記憶する。このように、プロセッサ222及びメモリ224は、ローカルコンピューティングデバイス206及び/又はリモートコンピューティングシステム208のプロセッサ及びメモリを代表するものである。マッピングソフトウェア101の一部又は全部が存在し、装置204、ローカルコンピューティングデバイス206、及びリモートコンピューティングシステム208のいずれかによって実行されることが可能である。
【0034】
ネットワーク210及び211は、有線ネットワーク、無線ネットワークであってもよく、又は1つ若しくは2つ以上の有線及び無線ネットワークを含んでもよい。一実施形態によれば、ネットワーク210は、近距離ネットワーク(例えば、ローカルエリアネットワーク(local area network、LAN)、又はパーソナルエリアネットワーク(personal area network、PAN))の一例である。情報は、Bluetooth、Wi-Fi、Zigbee、Z-Wave、近接場通信(near field communication、NFC)、ウルトラバンド、Zigbee、又は赤外線(infrared、IR)などの様々な近距離無線通信プロトコルのうちのいずれか1つを使用して、装置204とローカルコンピューティングデバイス206との間で近距離ネットワーク210を介して送信することができる。更に、ネットワーク211は、イントラネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(wide area network、WAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(metropolitan area network、MAN)、直接接続若しくは一連の接続、セルラー電話ネットワーク、又はローカルコンピューティングデバイス206とリモートコンピューティングシステム208との間の通信を容易にすることが可能な任意の他のネットワーク若しくは媒体のうちの1つ又は2つ以上のものの一例である。情報は、様々な長距離無線通信プロトコル(例えば、TCP/IP、HTTP、3G、4G/LTE、又は5G/New Radio)のいずれか1つを使用して、ネットワーク211を介して送信することができる。なお、ネットワーク210及び211の有線接続は、イーサネット、ユニバーサルシリアルバス(Universal Serial Bus、USB)、RJ-11、又は任意の他の有線接続を使用して実装することができ、無線接続は、Wi-Fi、WiMAX、及びBluetooth、赤外線、セルラーネットワーク、衛星通信、又は任意の他の無線接続法を使用して実装することができる。
【0035】
動作中、装置204は、ネットワーク210を介して、患者202に関連付けられた生体測定データ及びカテーテル110の位置データ(例えば、カテーテルバスケット116のカテーテル電極111に関する)を連続的にあるいは周期的に取得、監視、記憶、処理、及び通信することができる。更に、装置204、ローカルコンピューティングデバイス206、及び/又はリモートコンピューティングシステム208は、ネットワーク210及び211を介して通信する(例えば、ローカルコンピューティングデバイス206は、装置204とリモートコンピューティングシステム208との間のゲートウェイとして構成することができる)。例えば、装置204は、ネットワーク210を介してローカルコンピューティングデバイス206と通信するように構成された
図1のシステム100の一例であり得る。ローカルコンピューティングデバイス206は、例えば、固定/独立型デバイス、基地局、デスクトップ/ラップトップコンピュータ、スマートフォン、スマートウォッチ、タブレット、又はネットワーク211及び210を介して他のデバイスと通信するように構成された他のデバイスとすることができる。ネットワーク211上の、若しくはネットワーク211に接続された物理サーバとして、又はネットワーク211のパブリッククラウドコンピューティングプロバイダ(例えば、Amazon Web Services(AWS)(登録商標))内の仮想サーバとして実装されるリモートコンピューティングシステム208は、ネットワーク211を介してローカルコンピューティングデバイス206と通信するように構成することができる。これにより、患者202に関連する生体測定データを、システム200全体を通じて通信することができる。
【0036】
装置204の要素がここで説明される。カテーテル221は、
図1のカテーテル110である。プロセッサ222は、マッピングソフトウェア101を実行する際に、カテーテル221によって獲得された生体測定データを受信、処理、及び管理し、記憶のために(例えば、その中のデータベース上で)メモリ224に、かつ/又は、送受信機225によってネットワーク210を介して(例えば、そのデータベースに)生体測定データを通信するように構成され得る。1つ又は2つ以上の他の装置204からの生体測定データはまた、送受信機225を介してプロセッサ222によって受信されてもよい。1つ又は2つ以上の位置システム223は、カテーテルバスケット116の近位端及び遠位端など、カテーテル110の1つ又は2つ以上の要素の位置を検出するための要素を含む。いくつかの例では、1つ又は2つ以上の位置システム223は、本明細書の他の箇所で説明されるような磁気位置検出システムを含む。いくつかの例では、磁気位置検出システムは、体表面電極又はベッド上に配設された電極などの1つ又は2つ以上の基準電極を含む。基準電極は、処理システム(例えば、プロセッサ222)に接続される。基準電極は、カテーテルバスケット116の位置センサと通信して、それらの位置センサの位置を決定することを支援する。いくつかの例では、位置システム223は、カテーテル110の位置(カテーテルバスケット116の近位端及び遠位端の位置など)を検出するための1つ又は2つ以上の他のシステムを含む。プロセッサ222は、カテーテル110の位置データを取得するために位置システムとインターフェース接続する。マッピングソフトウェア101は、本明細書の他の箇所で説明されるように、位置データを利用して電極111の位置を決定する。
【0037】
いくつかの例では、位置センサ305及び307は、磁気位置検出技法に従って位置感知システムとインターフェースする。いくつかのそのような例では、各位置センサは、各々が直交方向に配向された3つのコイルを含む。各位置センサの各コイルを通過する電流は、ロケーションパッドによって感知される磁場を生成する。いくつかの例では、位置パッドは、少なくとも3つの感知角部を有し、各感知角部は、3つの直交して配向されたコイルを有する。ロケーションパッドを使用して、位置システム223は、位置センサ305及び307によって放出される磁気信号を感知する。位置システム223は、各コーナーのコイルによって受信された電気信号の強度を利用して、位置センサ305及び307の各々の位置を三角測量する。位置システム223は、ロケーションパッド内の異なる配向のセンサで受信された信号の強度を使用して、位置センサ305及び307の配向を決定する。
【0038】
メモリ224は、磁気、光学、又は電子メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ又はハードディスクドライブなどの任意の適当な揮発性及び/又は不揮発性メモリ)などの任意の非一時的有形媒体である。メモリ224は、プロセッサ222によって実行されるコンピュータ命令を記憶する。送受信機225は、別個の送信機及び別個の受信機を含み得る。あるいは、送受信機225は、単一のデバイスに一体化された送信機及び受信機を含み得る。
【0039】
図3Aは、一例によるカテーテルバスケット116を示す。カテーテルバスケット116は、カテーテルバスケット116の近位端302及びカテーテルバスケット116の遠位端304に結合されたシャフト112を含む。スプライン109は、カテーテルバスケット116の近位端302及び遠位端304に結合される。電極111は、スプライン109上に配設される。近位端302と遠位端304は、互いに対して移動可能である。カテーテルバスケット116の遠位端304に結合されたプラー要素118は、カテーテルバスケットの近位端302に向かって引っ張られて、遠位端304を近位端302のより近くに移動させることができ、あるいは近位端302から押されて、遠位端304を近位端302から更に遠くに移動させることができる。近位端302に対して遠位端304を移動させると、スプライン109が変形する。加えて、カテーテルバスケット116は、近位端302においてシャフト112に対してある角度をなして偏向されることが可能である。換言すれば、シャフト112の「入射角」に対して、バスケットアセンブリが近位端302において屈曲することが可能である。例えば、スプライン109のうちの1つ又は2つ以上などのカテーテルバスケット116の一部が解剖学的構造に接触するとき、カテーテルバスケット116は、近位端302においてシャフト112に対してある角度をなして偏向する。したがってスプライン109の形状、ひいては、電極111の位置は、近位端302及び遠位端304の相対位置、並びに近位端302におけるシャフト112に対するカテーテル110の偏向の角度に依存する。近位端302及び遠位端304は各々、1つ又は2つ以上の位置センサ(近位端位置センサ307及び遠位端位置センサ305)を含み、その結果、マッピングソフトウェア101は、それらの三次元(three-dimensional、「3D」)位置を直接決定することができる(例えば、位置システム223と併せて)。しかしながら、スプライン109は位置センサを有しておらず、更に、形状を変化させ得る。このため、マッピングソフトウェア101は、スプライン109の位置及び形状を本明細書に記載のマッピング又はアブレーション技法に使用するためにその情報を推定する。
【0040】
図3Bは一例による、偏向構成にあるカテーテル110を示す。図から分かるように、近位端302の後のシャフトの部分(シャフト112(1)の偏向部分)は、近位端302の前のシャフトの部分(シャフト112(2)の非偏向部分)に対してある角度で偏向される。スプライン109は、偏向角度に基づいて特定の方式で屈曲される。図示のように、カテーテル110は右に偏向される。したがって、右側のスプライン109は、遠位端304及び近位端302から圧力を受け、それゆえ、左側のスプライン109と比較して、シャフト112から更に外向きに延在する。左側のスプライン109は、相対的により大きく引き伸ばされており、したがって、シャフト112に、また互いにより近接している。左側のスプライン109は、より離間している右側のスプライン109と比較して、互いにより近接している。マッピングソフトウェア101は、スプライン109の位置とともにこれらの幾何学的形状の特徴を使用して、スプライン109の形状及び電極111の三次元位置を決定する。
【0041】
説明されたように、遠位端位置センサ305及び近位端位置センサ307は、それぞれ遠位端304及び近位端302の位置の決定を容易にすることができる。いくつかの例では、遠位端位置センサ305及び近位端位置センサ307自体が、遠位端位置センサ305及び近位端位置センサ307の配向を決定するための機構、ひいては、シース113に対するシャフト112の角度を決定するための機構を含む。そのような角度は、単に、近位端位置センサ307によって反映される角度に対する、遠位端位置センサ305によって反映される角度である。様々な例では、近位端位置センサ307及び遠位端位置センサ305は、センサの配向を反映する信号を放出する1つ又は2つ以上の電磁構成要素を含む。位置システム223及び/又はマッピングソフトウェア101などの処理要素は、相対角度を識別するために信号を受信及び解釈することができる。代替形態では、1つ又は2つ以上の力センサがカテーテル110上に存在する。1つ又は2つ以上の力センサは、カテーテル110に加えられる力及びその力の方向を測定する。マッピングソフトウェア101などの処理要素は、測定された力に基づいて角度を決定することができる。一例では、処理要素は、測定された力を減衰率によって修正し、より多くの偏向が生じるにつれて、更なる偏向のためにより多くの力が必要とされるという事実を反映して、偏向の角度を得る。偏向角を決定するためのいくつかのオプションが説明されているが、偏向の角度を決定するための任意の技術的に実行可能な手段が考えられる。処理要素は、本明細書の他の箇所で説明されるように、偏向の角度並びに遠位端304及び近位端302の位置に基づいて、スプライン109の形状を決定する。
【0042】
図4は、一例による、マッピングソフトウェア101の少なくとも一部を実行するためのグラフィックス処理ユニット400を示す。グラフィックス処理ユニット400は、スケジューラ402、グラフィックス処理パイプライン404、及び並列処理ユニット406を含む。プロセッサ222又はプロセッサ222のいずれかは、グラフィックス処理ユニット400を含むか、又はそれとして実装される。更に、マッピングソフトウェア101は、少なくとも部分的にグラフィックス処理ユニット400内で、コンソール160、装置204、ローカルコンピューティングデバイス206、及びリモートコンピューティングシステム208のうちの1つ又は2つ以上上で実行される。
【0043】
グラフィックス処理ユニット400は、スケジューラ402、グラフィックス処理パイプライン404、及び並列処理ユニット406を含む。スケジューラ402は、プロセッサ401(例えば、中央処理ユニット(central processing unit、「CPU」)又は他のタイプのプロセッサであり、プロセッサ222、複数のプロセッサ222、又はローカルコンピューティングデバイス206若しくはリモートコンピューティングシステム208内のプロセッサに含まれる)から、グラフィックスをレンダリングするため、かつ/又は他の作業を行うためのコマンドを受信する。スケジューラ402は、グラフィックス処理パイプライン404及び並列処理ユニット406における作業をスケジューリングする。グラフィックス処理パイプライン404は、シェーダプログラムを実行するための並列処理ユニット406、及びシェーダプログラムの実行に直接関与しない機能を実行するための固定機能ハードウェア(図示せず)を利用して、コマンドを処理する。いくつかの実装形態では、並列処理ユニット406は、多数の作業アイテムに対して同じシェーダプログラムを並列に実行する単一命令複数データ実行ユニットを含む。
【0044】
頂点シェーダ452は、頂点を受け入れ、入力頂点に対して変換(座標変換又は属性修正など)を実行し、出力頂点を生成する。いくつかの例では、本明細書の他の箇所で説明されるように、頂点シェーダ452は、オブジェクト又はワールド空間における遠位端304及び近位端302の座標を受信し、標準モデルビュー投影行列を使用することなどによって、それらの座標を異なる座標系に変換する。頂点シェーダ452及び幾何学的シェーダ456は協働して、ワールド空間座標における終点データを処理して、パイプラインの残りの部分による使用に適した異なる座標系における電極位置データを生成する。テッセレーション454は、入力頂点を受け入れ、より少数の頂点及び三角形からプログラム的に拡張された複数の三角形を含むテッセレーションされたジオメトリを生成する。幾何学的シェーダは、ジオメトリ(例えば、線又は三角形に編成された点の集合)を受け入れ、出力ジオメトリを生成するためにジオメトリを修正するか、ジオメトリの数を増やすか、又はジオメトリを削除するための動作を実行する。ラスタライザ458は、三角形を受け入れ、三角形に対してラスタ化を実行し、ラスタ化は、どのピクセル又はサブピクセルサンプルが三角形によってカバーされているかを識別し、そのようなカバーされたピクセル又はサブピクセルサンプルのフラグメントを生成することを含む。フラグメントシェーダ460は、ピクセル又はサブピクセルサンプルの色を生成、深度データの生成又は修正、テクスチャ動作、及び/又は他の動作など、ピクセルごと又はサンプルごとの動作を実行する。出力マージャ462は、色、深度値、透明度値、及び/又は他の値に基づいて、フラグメントシェーダ460からの着色されたフラグメントを出力バッファ(例えば、「最終」又は「出力」レンダリングされたグラフィックスを記憶するフレームバッファ又は他のバッファ)に書き込む。
【0045】
頂点シェーダ452、テッセレーション454、幾何学的シェーダ456、及びフラグメントシェーダ460は各々、少なくともいくつかのハードウェア(例えば、回路)といくつかのソフトウェアとを含む。ハードウェアは、回路要素を含む。ソフトウェアは、並列処理ユニット406において実行されるシェーダプログラムである。ラスタライザ458及び出力マージャ462は、ハードウェア(例えば、回路)として実装される。いくつかの例では、テッセレーション454及び/又は幾何学的シェーダ456は、グラフィックス処理パイプライン404のそれらの部分がデータを処理しないように無効にされ得る。
【0046】
上述したように、幾何学的シェーダ456は、入力としてジオメトリを受け取り、幾何学的シェーダプログラムに従ってジオメトリを修正し、修正されたジオメトリを出力する。この特定の機能は、本明細書の他の箇所で説明されるように、スプライン109の形状及び位置を推定するために有用である。より具体的には、プロセッサ401は、カテーテルバスケット116を特徴付ける情報を幾何学的シェーダ456に提供する。プロセッサ401はまた、この特徴付け情報に基づいてスプライン109の位置及び形状を計算する幾何学的シェーダプログラムを幾何学的シェーダステージに提供する。幾何学的シェーダ456は、このプログラムを実行して、ここで更に詳細に説明するように、スプライン109の位置及び形状を計算する。本明細書の説明では、マッピングソフトウェア101が特定の動作を実行すると記載される場合がある。マッピングソフトウェア101が幾何学的シェーダ456内で部分的に又は完全に実行されるとき、マッピングソフトウェア101が実行する動作のステートメントは、幾何学的シェーダ456及び/又は幾何学的シェーダプログラムがそのような動作を実行するステートメントとして解釈可能である。幾何学的シェーダ456は並列実行が可能であるので、マッピングソフトウェア101を実行する幾何学的シェーダ456は、スプライン109の形状及び電極111の位置を並列に計算することができる。
【0047】
マッピングソフトウェア101は、入力として位置データ402(例えば、カテーテル110の近位端302及び遠位端304の位置並びに偏向角)を受け入れる。マッピングソフトウェア101は、ベジェ曲線を使用してスプライン109の位置及び形状を推定し、推定された電極位置404を出力する。
【0048】
より具体的には、マッピングソフトウェア101は、近位端302及び遠位端304の位置並びに偏向角を示す情報を受信する。マッピングソフトウェア101はまた、入力として(例えば、記憶された定数のセットとして、あるいはシステム200内で実行する別のソフトウェアモジュールからの入力として)、スプライン109の既知の長さ、並びに近位端におけるスプライン109の接線を受け入れる。マッピングソフトウェア101は次いで、スプライン109の形状を定義するベジェ曲線を以下のように計算する。
【0049】
【0050】
上記の式において、B(t)はベジェ曲線を表す。値tは、曲線を定義する関数Bへの入力値である。値tは、曲線自体に沿って変化し、水平軸上への曲線の投影を表す。値Piは、i番目のベジェ曲線制御点である。表記
【0051】
【数2】
は二項係数を指す。nは制御点の数であり、iは加算演算のための加算インデックスである。ベジェ制御点を線で結んで形成される多角形はベジェ多角形と呼ばれる。ベジェ多角形の凸包は、ベジェ曲線を含む。P
0及びP
nは、近位端302の座標及びスプラインの既知の長さである。P
1及びP
n-1は、近位端302及び遠位端304におけるスプライン109の接線によって定義される。マッピングソフトウェア101は、エネルギー保存の考慮事項に基づいて他の制御点を選択する。スプライン109が屈曲するとき、最小のばねエネルギーを使用するように屈曲することが想定される。
【0052】
マッピングソフトウェア101は、説明されたようにベジェ曲線の制御点を決定し、次いで関数B(t)を使用してスプライン109の形状を推定する。制御点は必ずしも曲線上にあるわけではないが、曲線を定義するものであることに留意されたい。ベジェ曲線の曲線次数は、制御点の数から1を引いた数として定義される。
【0053】
上述のように、B(t)は、ベジェ曲線の制御点によって定義される曲線を記述する。いくつかの例では、マッピングソフトウェア101は、計算された曲線形状をいくつかの「幾何学的点」に離散化する。幾何学的点は、スプライン109の形状を画定する。これらの幾何学的点は、スプラインの形状を定義する曲線上に位置する点であり、この場合も、ベジェ曲線をパラメータ化する制御点とは異なる。スプライン109の形状及び位置に基づいて、マッピングソフトウェア101は、電極111の位置を決定する。例えば、マッピングソフトウェア101は、各スプライン109に沿って各電極111がどれだけ離れているかを把握している。マッピングソフトウェア101はスプライン109の形状であり、マッピングソフトウェア101である。
【0054】
いくつかの例では、マッピングソフトウェア101は、電極111の推定位置をマッピング及び/又はアブレーション動作に組み込む。いくつかの例では、マッピングソフトウェア101又は他のソフトウェアは、推定された位置を使用して、人間のオペレータが見るためのスクリーン又は画像上に電極を描く。いくつかの例では、この画像は、電極111、及び
図1に示されるものなどの臨床環境の状況におけるカテーテル110の残りの部分などの他の機器を示すために、他の画像と組み合わされる。いくつかの例では、マッピングソフトウェア101はまた、ディスプレイ出力がスプライン109の位置及び形状並びにそれらのスプライン109上に配設された電極111の位置を示すように、スプライン109の推定された形状をディスプレイに含める。様々な例では、電極111の位置を決定することが可能であることは、マッピング及びアブレーション動作を容易にする。より具体的には、電極111の位置を用いて、電極111を用いて実施される処置の場所を解剖学的構造に対する位置に正確にマッピングすることが可能である。したがって、この情報は、医師又は処置に関与するコンピュータシステムに正確さをもたらす。マッピングが行われている例では、マッピングソフトウェア101は、マッピングされている近くの解剖学的構造の態様を反映する、電極111による測定値を取得する。各例において、これらの測定値は、電極111に対する解剖学的構造の相対的な距離又は位置を反映する。電極111の位置を把握することによって、マッピングソフトウェア101は、解剖学的構造の幾何学的特徴を正確に決定することができる。より具体的には、マッピングソフトウェア101は、解剖学的構造の幾何学的形状を得るために、電極111によって感知された解剖学的構造の相対的な幾何学的形状に関する情報を、推定された電極111の位置の情報と組み合わせることによって、解剖学的構造の幾何学的特徴を決定する。
【0055】
図5及び
図6は、一例による、個々のスプライン109の形状を推定するための処理の態様を示す。
図5は、一例による推定スプライン形状502を示す。更に、幾何学的点504及びベジェ曲線制御点506も図示されている。終点位置503(例えば、近位端302及び遠位端304の位置)は、スプライン109の終点を示す。
【0056】
マッピングソフトウェア101は、本明細書で説明する方式など、任意の技術的に実行可能な方式でベジェ曲線の制御点506を決定する。より具体的には、マッピングソフトウェア101は、終点位置503の相対位置並びにカテーテル110の偏向角に基づいて制御点506を計算する。次に、マッピングソフトウェア101は、制御点506に基づいて幾何学的点504を生成する。幾何学的点504は、曲線の実際の形状を定義する。いくつかの実装形態では、マッピングソフトウェア101はまた、マッピング及び/又はアブレーション動作を支援するために、幾何学的点504を利用する。いくつかの例では、マッピングソフトウェア101は、スプライン109の推定された形状及び位置に基づいてスプライン109上に配設された電極111の位置を決定し、マッピング及び/又はアブレーション動作のために電極位置を利用する。いくつかの実装形態では、マッピングソフトウェア101又は他のソフトウェア若しくはハードウェアは、幾何学的点504を使用して、スプライン109の形状及び位置並びに/又は電極111の位置を表示するために使用され得る画像を生成する。
【0057】
図6は、
図5の推定スプライン形状502とは異なる推定スプライン形状602を示す。
図6では、カテーテル110の偏向角度は、
図5の角度とは異なる。したがって、推定スプライン形状602は
図5とは異なる。ベジェ曲線制御点の位置は曲線を定義し、曲線は幾何学的点504のセットに沿って降下するように示されている。
【0058】
再び
図3Bを参照すると、マッピングソフトウェア101は、近位端におけるスプライン109の接線及びスプラインの長さ、並びに近位端及び遠位端の位置を利用して、ベジェ曲線を使用してスプライン109の形状を決定する。
図3Bでは、本技法の態様を示すために、対象スプライン320が例として示されている。しかしながら、様々な実装形態において、マッピングソフトウェア101は、カテーテルバスケット116の1つ、2つ以上、又は全てのスプライン109に、記載の技術を適用して、これらのスプライン109の形状、ひいては、これらのスプライン109上の電極111の位置を決定することを理解されたい。
【0059】
いくつかの例では、マッピングソフトウェア101は、スプライン109の形状及び三次元位置を記述するベジェ曲線を生成する。ベジェ曲線は、制御点を生成するために少なくとも4つの制約を受け入れる4次ベジェ曲線である。4つの制約は、スプラインの遠位端の位置(対象スプライン320の遠位端位置362として示される)、スプラインの近位端の位置(対象スプライン320の近位端位置364として示される)、スプラインの既知の長さ、及び近位端におけるスプラインの接線(対象スプライン320の近位端接線370として示される)を含む。上記の4つの制約に基づいて、マッピングソフトウェア101は、ベジェ曲線制御点を決定する。マッピングソフトウェア101は、本明細書の他の箇所で開示されるように(例えば、上で提示された式に従って)制御点が決定されるスプライン109の形状を決定する。スプラインの近位端及び遠位端のこの形状及び位置(例えば、遠位端位置センサ305及び近位端位置センサ307を介して検出された位置に基づいて決定される)を使用して、マッピングソフトウェア101は、周囲の三次元空間(例えば、ハード120又は他の解剖学的構造の三次元空間)内のスプライン109の位置を決定する。
【0060】
マッピングソフトウェア101は、スプライン109の位置及び形状に基づいて、形状及び位置が決定された各スプライン109上の電極111の位置を決定する。一例では、マッピングソフトウェア101は、各スプライン109に沿って電極がどれだけ離れて配置されているかを把握する。例えば、マッピングソフトウェア101は、電極がスプライン109に沿って特定の距離に配置されているという情報を提供される。これらの距離は、スプライン109の長さの百分率と同様に、任意の技術的に実現可能な方法で表現されてよい。一例では、電極は、スプライン109に沿って10%刻みで配置される。マッピングソフトウェア101は、電極111の位置をスプライン109に沿った位置と関連付けるために、任意の他の技術的に実行可能な技法を使用してよい。
【0061】
マッピングソフトウェア101は、電極111の位置とスプライン109の位置との間のこの関連付けに基づいて、またベジェ曲線を使用して決定されたスプライン109の形状及び位置に基づいて、各電極111の三次元位置を決定する。一例では、ベジェ曲線式は、投影軸座標tに対する位置Bを定義する。したがって、いくつかの例では、マッピングソフトウェア101は、電極が位置するスプライン109に沿った位置を考慮して、三次元空間における電極111の位置を決定する。例えば、近位端から遠位端までの距離の10%に位置する電極に対して、マッピングソフトウェア101は、t座標として10%を使用して、その電極に対する曲線上座標Bを決定する。いくつかの例では、電極のスプライン109に沿った距離並びに電極111の形状及び位置に基づいて電極111の位置を決定する技法は、本明細書では補間と呼ばれる。例えば、マッピングソフトウェア101は、電極111が位置するスプライン109に沿った位置に従ってスプライン109の曲線を補間することによって電極111の位置を決定すると言われることもある。次いで、マッピングソフトウェア101は、三次元空間におけるスプライン109の位置(例えば、近位端位置及び遠位端位置)に基づいてこの座標を変換して、三次元空間における電極111の位置を決定する。マッピングソフトウェア101は、カテーテルバスケット116の1つ、2つ以上、又は全てのスプライン109に対してこれらの動作を実施して、カテーテルバスケット116の1つ、2つ以上、又は全ての電極111の位置を決定する。
【0062】
偏向角は、スプライン109の位置及び/又は形状を決定する際に考慮されると述べられることがある。シャフト112(1)の遠位部分が屈曲するときにスプライン109も屈曲するので、偏向角は遠位端の接線(例えば、遠位端接線360)を決定する。したがって、ベジェ曲線制御点は、遠位端304におけるスプライン接線に少なくとも部分的に基づいて決定されるので、ベジェ曲線制御点は、偏向角350に少なくとも部分的に基づいて決定される。
【0063】
発見されると、装置204は、(例えば、ローカルコンピューティングデバイス206及び/又はリモートコンピューティングシステム208と併せて)電極111の位置を利用して、マッピング及び/又はアブレーション処置を実施する。電極111の位置により、システム204は、周囲の解剖学的構造の三次元空間に電極111を配置することができ、これにより、この情報を使用してアブレーション及び/又はマッピング処置を進めることが可能になる。例えば、電極111の位置を把握することにより、電極111を介して取得された、解剖学的構造への近接性を示す電気信号を、解剖学的構造の位置に変換することが可能になる。加えて、アブレーション処置のために、三次元空間における電極111の位置を把握することは、解剖学的構造のどの部分がアブレーションされるべきかを把握することを可能にする。
【0064】
図3C及び
図3Dは、一例による、ベジェ曲線を利用してスプライン形状を推定するための動作を示す。
図3Cは、非偏向位置にあるスプライン390を示す。
図3Dは、偏向位置にあるスプライン395を示す。
図3Cでは、スプライン390は、非偏向位置にある。これは、近位端302と遠位端304との間における入射シャフト112と射線301との間の角度350が0であることを意味する。
図3Dでは、スプライン395は偏向位置にある。これは、近位端302と遠位端304との間における入射シャフト112と射線301との間の角度350が0以外の角度であることを意味する。
図3C及び
図3Dの両方において、点C0からC3はベジェ曲線制御点を表す。
【0065】
本明細書の他の場所で述べられるように、マッピングソフトウェア101は、近位端302と遠位端304の位置、並びに近位端302の近くでのスプライン109の偏向角350と接線、及びスプラインの既知の長さに基づいて、ベジェ曲線制御点の位置を決定する。
図3C及び
図3Dの両方において、近位端接線307は、近位端302におけるスプライン109の接線であり、遠位端接線309は、遠位端304におけるスプライン109の接線である。近位端接線307は、スプライン109がシャフトに締結される方式に起因して、入来するシャフト112と一致し、それに平行である。遠位端において、スプライン109への結合は、ヒンジとして作用し、したがって、遠位端接線309は、図示されるように移動することができる。
【0066】
マッピングソフトウェア101は、ベジェ曲線制御点の位置を決定するために反復技術を使用する。具体的には、C0及びC3は固定されている(すなわち、これらの点はそれぞれ近位端302及び遠位端304の点である)が、点C1及びC2は、曲線を更に画定するように選択される。マッピングソフトウェア101は、スプリント109を近位端302からの距離313において高さ閾値311よりも低く保つように点C1を選択する。距離313は、近位端302と遠位端304との間で射線301に沿って測定される。高さ311は、その射線301に垂直である。マッピングソフトウェア101は、スプライン109がモデル化されるスプライン109の実際の長さにほぼ等しいスプライン109の長さを保つように、点C2を選択する。マッピングソフトウェア101はまた、スプライン109の半径を最大半径未満に保つように、点C2を選択する。要するに、マッピングソフトウェア101は、近位端302及び遠位端304の実際の位置に基づいて点C0及びC3を選択し、近位端302におけるスプライン109の接線、遠位端304におけるスプライン109の接線、高さ311、及び最大半径の物理的制約に基づいて点C1及びC2を選択する。いくつかの例では、マッピングソフトウェア101は、点C1及びC2を反復的に選択する。より具体的には、マッピングソフトウェア101は、最初に、点C0とC3との間の射線に沿って任意に点C1を選択し、また最初に、スプライン109形状が半径閾値未満であるという制限を伴って、任意に点C2の位置を選択する。マッピングソフトウェア101は、スプライン109の長さ及び高さ311を含む様々な制限をテストする。これらの制限が適切でない場合、マッピングソフトウェア101は、C1及びC2について異なる点を選択する。スプライン109の長さが物理的スプライン109の実際の長さの閾値パーセンテージ内にある場合、また高さ311が所定の閾値未満である場合、制限は適切である。制限が適切である場合、マッピングソフトウェア101はスプライン109の形状を決定している。マッピングソフトウェア101は、
図3C及び
図3Dに関して説明した技術をカテーテルの複数のスプライン109に適用して、これらのスプライン109の形状及び位置を決定することを理解されたい。
【0067】
図7は、一例による、バスケットカテーテルの幾何学的情報を推定するための方法700のフロー図である。
図1~
図6のシステムに関して説明されているが、当業者であれば、いずれの技術的に実行可能な工程の順序で方法700を実施するように構成されたいずれのシステムも本開示の範囲内に含まれることが理解されよう。
【0068】
ステップ701において、マッピングソフトウェア101は、バスケット116及び/又はスプライン109に関する機械的制約を検索する。いくつかの例では、機械的制約は、近位端におけるスプライン109の接線及びスプラインの既知の長さである。
【0069】
ステップ702において、マッピングソフトウェア101は、カテーテルバスケット116の終点位置データ及び偏向角を受信する。いくつかの例では、終点位置データは、バスケットカテーテル110の近位端302及び遠位端304の位置を特定するデータである。いくつかの例では、偏向角は、シャフト112の角度に対するバスケットカテーテル110の偏向を示す。いくつかの例では、マッピングソフトウェア101は、近位端302及び遠位端304におけるスプライン109の接線を受信又は決定し、いくつかの例では、少なくとも遠位端304におけるスプライン109の接線は、偏向角350に基づく。
【0070】
ステップ704において、マッピングソフトウェア101は、終点位置データ、近位端におけるスプラインの接線、及びスプラインの推定長さを処理して、ベジェ曲線制御点を計算する。上述のように、ベジェ曲線の制御点は、曲線の幾何学的形状を定義するが、必ずしも曲線自体の上に位置するわけではない。
【0071】
いくつかの例では、マッピングソフトウェア101はまた、ベジェ曲線制御点に基づいてスプライン109の推定形状を定義する幾何学的点504を計算する。ベジェ曲線制御点は実際の曲線上に位置せず、その曲線を定義するだけであるが、幾何学的点504は曲線上に位置し、その曲線上に位置する点の集合として曲線を定義する。
【0072】
ステップ706において、マッピングソフトウェア101は、推定されたスプライン位置及び形状、並びに/又は推定された電極位置を示すデータを出力する。いくつかの例では、マッピングソフトウェア101は、ユーザによって見られるディスプレイ上に表示するためにデータを出力する。代替的にあるいは追加的に、マッピングソフトウェア101は、マッピング又はアブレーション処置で使用するためにこのデータをエクスポートする。
【0073】
図中の流れ図及びブロック図は、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法、及びコンピュータプログラム製品の考えられる実装形態の構造、機能性、及び動作を示すものである。この点に関して、流れ図又はブロック図における各ブロックは、示された論理機能を実施するための1つ又は2つ以上の実行可能な命令を含むモジュール、セグメント、又は命令の部分を表し得るものである。いくつかの代替的な実装形態において、ブロックに示される機能は、図に示される順序以外の順序で行われてもよい。例えば、連続して示す2つのブロックは、実際に、実質的に同時に実行されてもよく、あるいはそれらのブロックは、時には、関連する機能性に応じて、逆の順序で実行されてもよい。また留意されたい点として、ブロック図及び/又はフロー図の各ブロック、並びにブロック図及び/又はフロー図のブロックの組み合わせは、特定の機能又は動作を実行する専用のハードウェアベースシステムによって実施されてもよく、あるいは、専用のハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせを動作させること又は実行することもできる。
【0074】
特徴及び要素が特定の組み合わせにて上記で説明されたが、当業者であれば、特徴又は要素の各々を単独で使用することもでき、又は他の特徴及び要素と組み合わせて使用することもできることを理解するであろう。加えて、本明細書に説明される方法は、コンピュータ又はプロセッサで実行するために、コンピュータ可読媒体に組み込まれるコンピュータプログラム、ソフトウェア、又はファームウェアにおいて実装され得る。本明細書で使用するコンピュータ可読媒体とは、電波又は他の自由に伝搬する電磁波、導波管若しくは他の伝送媒体を通って伝搬する電磁波(例えば、光ファイバーケーブルを通過する光パルス)、又は動線を通って伝送される電気信号などの、それ自体が一過性の信号であるものとして解釈されるべきではない。
【0075】
コンピュータ可読媒体の例としては、電気信号(有線又は無線接続を介して送信される)及びコンピュータ可読記憶媒体が挙げられる。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、レジスタ、キャッシュメモリ、半導体メモリデバイス、内部ハードディスク及びリムーバブルディスクなどの磁気媒体、光磁気媒体、コンパクトディスク(compact disk、CD)及びデジタル多用途ディスク(digital versatile disk、DVD)などの光学媒体、ランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)、読み出し専用メモリ(read-only memory、ROM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(erasable programmable read-only memory、EPROM又はフラッシュメモリ)、スタティックランダムアクセスメモリ(static random access memory、SRAM)、及びメモリスティックなどが挙げられるが、これらに限定されない。プロセッサをソフトウェアとともに使用して、端末、基地局、又は任意のホストコンピュータで使用するための無線周波数送受信機を実装することができる。
【0076】
本明細書で使用される用語は、あくまで特定の実施形態を説明する目的のものに過ぎず、限定を目的としたものではない。本明細書で使用するとき、文脈上特に明記されない限り、単数形「a」、「an」及び「the」は複数の形態をも含むものとする。「含む(comprise)」及び/又は「含んでいる(comprising)」という用語は、本明細書で用いられる場合、記載された特徴、整数、工程、動作、要素、及び/又は構成部品の存在を示すものであるが、1つ若しくは他の特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の存在又は追加を除外するものではない点を更に理解されたい。
【0077】
本明細書の異なる実施形態の説明は例示の目的で示されたものであるが、網羅的であることも開示される実施形態に限定されることも意図していない。多くの改変及び変形が、記載される実施形態の範囲及び趣旨から逸脱することなく、当業者には明らかとなろう。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、実用的な用途、又は市場に見られる技術と比較した技術的改良点を最も良く説明するため、又は当業者による本明細書に開示される実施形態の理解を可能とするために選択されたものである。
【0078】
〔実施の態様〕
(1) システムであって、
カテーテルと、
プロセッサと、を備え、前記プロセッサは、
幾何学的シェーダにおいて前記カテーテルの終点位置データを受信し、
前記終点位置データを処理してベジェ曲線制御点を計算し、かつ
前記ベジェ曲線制御点に基づいて、前記カテーテルの推定電極位置を決定するように構成されている、システム。
(2) 前記終点位置データが、カテーテルバスケットの近位端及び遠位端の位置を含み、スプライン接線データが、前記カテーテルバスケットのスプラインの遠位端の接線を示す情報を含む、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記ベジェ曲線制御点を計算することが、前記スプラインの終点間の距離及び前記スプライン接線データに基づいて前記ベジェ曲線制御点を決定することを含む、実施態様1に記載のシステム。
(4) 前記推定電極位置を決定することが、前記カテーテルのスプラインの形状及び位置を決定することと、前記スプラインの前記形状及び前記位置に基づいて推定電極位置を決定することと、を含む、実施態様1に記載のシステム。
(5) 前記プロセッサが、前記ベジェ曲線制御点に基づいて幾何学的点を生成するように更に構成されている、実施態様1に記載のシステム。
【0079】
(6) 全てのベジェ曲線制御点が推定電極形状上にあるわけではない、実施態様1に記載のシステム。
(7) 前記計算すること及び出力することが、前記幾何学的シェーダにおいて実行される幾何学的シェーダプログラムによって実行され、前記幾何学的シェーダが、グラフィックス処理ユニット内にある、実施態様1に記載のシステム。
(8) 前記終点位置データが、中央処理ユニットから受信される、実施態様1に記載のシステム。
(9) 命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令は、プロセッサによって実行されたとき、前記プロセッサに、
幾何学的シェーダにおいて終点位置データを受信することと、
前記終点位置データを処理してベジェ曲線制御点を計算することと、
前記ベジェ曲線制御点に基づいて、カテーテルの推定電極位置を決定することと、を含む動作を実行させる、非一時的コンピュータ可読媒体。
(10) 前記終点位置データが、カテーテルバスケットの近位端及び遠位端の位置を含み、スプライン接線データが、前記カテーテルバスケットのスプラインの遠位端の接線を示す情報を含む、実施態様9に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0080】
(11) 前記ベジェ曲線制御点を計算することが、前記スプラインの終点間の距離及び前記スプライン接線データに基づいて前記ベジェ曲線制御点を決定することを含む、実施態様10に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
(12) 前記推定電極位置を決定することが、前記カテーテルのスプラインの形状及び位置を決定することと、前記スプラインの前記形状及び前記位置に基づいて推定電極位置を決定することと、を含む、実施態様1に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
(13) 前記動作が、前記ベジェ曲線制御点に基づいて幾何学的点を生成することを更に含む、実施態様1に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
(14) 全てのベジェ曲線制御点が推定スプライン形状上にあるわけではない、実施態様1に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
(15) 前記計算すること及び出力することが、前記幾何学的シェーダにおいて実行される幾何学的シェーダプログラムによって実行され、前記幾何学的シェーダが、グラフィックス処理ユニット内にある、実施態様1に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【外国語明細書】