IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-ガス絶縁開閉装置 図1
  • 特開-ガス絶縁開閉装置 図2
  • 特開-ガス絶縁開閉装置 図3
  • 特開-ガス絶縁開閉装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168333
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】ガス絶縁開閉装置
(51)【国際特許分類】
   H02B 13/065 20060101AFI20241128BHJP
   H02B 13/035 20060101ALI20241128BHJP
   H01H 33/56 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
H02B13/065 Z
H02B13/035 301G
H01H33/56 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084901
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】大西 晃司
【テーマコード(参考)】
5G017
5G028
【Fターム(参考)】
5G017BB01
5G017DD06
5G017DD14
5G017JJ02
5G028GG04
5G028GG24
(57)【要約】
【課題】複数の相を含む電流の各相に対応する導体が個別に収容された複数のタンクにおける絶縁ガスのガス漏れを一括して監視でき、かつ事故相のタンク内に発生した分解ガス及びフッ化化合物を含む絶縁ガスが健全相のタンクに流入することを抑制したガス絶縁開閉装置を得ること。
【解決手段】ガス絶縁開閉装置100は、タンク2a,2b,2cに接続された各相個別の第1ガス配管7a,7b,7cと、各相の第1ガス配管7a,7b,7c同士を接続する第2ガス配管9と、第2ガス配管9に設置されたガス圧力監視計12と、各相の第1ガス配管7a,7b,7cと第2ガス配管9との間に各相個別に設置された逆止弁5a,5b,5cとを備え、各相の逆止弁5a,5b,5cは、第1ガス配管7a,7b,7cから第2ガス配管9へ向かうガスを通し、第2ガス配管9から第1ガス配管7a,7b,7cへ向かうガスを遮断する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体及び前記導体を流れる電流を遮断する遮断器を含む主回路と、前記主回路を収容するタンクとを、複数の相を含む電流の各相個別に備え、各相の前記タンクに絶縁ガスが封入されたガス絶縁開閉装置であって、
各相の前記タンクに接続された各相個別の第1ガス配管と、
各相の前記第1ガス配管同士を接続する第2ガス配管と、
前記第2ガス配管に設置されたガス圧力監視計と、
各相の前記第1ガス配管と前記第2ガス配管との間に各相個別に設置された逆止弁とを備え、
各相の前記逆止弁は、前記第1ガス配管から前記第2ガス配管へ向かうガスを通し、前記第2ガス配管から前記第1ガス配管へ向かうガスを遮断することを特徴とするガス絶縁開閉装置。
【請求項2】
前記導体を流れる電流が予め設定された閾値を超えると前記遮断器を動作させる事故判定部を各相個別に備えることを特徴とする請求項1に記載のガス絶縁開閉装置。
【請求項3】
各相の前記第1ガス配管のうち前記逆止弁と前記タンクとの間の部分に、ガス給排口に通じるガス給排配管が接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のガス絶縁開閉装置。
【請求項4】
前記ガス給排配管に設置された各相個別の第1開閉弁と、
前記第1ガス配管のうち前記ガス給排配管との接続箇所と前記逆止弁との間に設置された各相個別の第2開閉弁とを備え、
各相の前記第1ガス配管は、前記ガス給排配管との接続箇所と前記第2開閉弁の設置箇所との間で分割可能であることを特徴とする請求項3に記載のガス絶縁開閉装置。
【請求項5】
前記第1ガス配管のうち前記タンクに接続される部分である第1の部分と、前記逆止弁に接続される部分である第2の部分との間に設置された各相個別の三方弁を備え、
各相の前記三方弁には、ガス給排口に通じるガス給排配管が接続されており、
各相の前記三方弁は、前記第1ガス配管の前記第1の部分を、前記第2の部分に繋げるか前記ガス給排配管に繋げるかを切り替えることを特徴とする請求項1又は2に記載のガス絶縁開閉装置。
【請求項6】
各相の前記第1ガス配管は、前記第1の部分において分割可能であることを特徴とする請求項5に記載のガス絶縁開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、絶縁ガスが封入されたタンクに主回路を収容したガス絶縁開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス絶縁開閉装置は、電流を通す導体及び導体を流れる電流を遮断する遮断器を含む主回路がタンクと称される金属容器に収納された構造となっている。タンクの内部には、六フッ化硫黄ガスのような絶縁ガスが絶縁媒体として封入されている。
【0003】
三相交流のような互いに位相が異なる複数の相を含む電流が流れるガス絶縁開閉装置では、各相に対応する導体を流れる電流が高電圧になるほど各相の導体間の距離を長くする必要がある。したがって、複数の相を含む高電圧の電流が流れるガス絶縁開閉装置において各相に対応する導体を共通のタンクに収容すると、タンクが大型化し、これにともなってガス絶縁開閉装置の装置サイズも増大してしまう。このため、複数の相を含む高電圧の電流が流れるガス絶縁開閉装置では、各相に対応する導体を別々のタンクに個別に収容する構造が採用される。しかし、各相に対応する導体を別々のタンクに収容する場合には、各相のタンクにおける絶縁ガスのガス漏れを監視するための計器を設置する必要がある。
【0004】
特許文献1には、三相交流の各相に対応する導体を別々のタンクに個別に収容し、各相に対応する導体を収容したタンク同士をガス配管で連結したガス絶縁開閉装置が開示されている。このような構造のガス絶縁開閉装置は、三相一括ガス監視型と称される。三相一括ガス監視型のガス絶縁開閉装置では、複数の相を含む電流の各相に対応する導体が個別に収容された複数のタンクにおける絶縁ガスのガス漏れを一括して監視できる。特許文献1に開示されるガス絶縁開閉装置は、各相に対応する導体を収容したタンク同士をガス配管で連結するため、絶縁ガスのガス漏れを監視するための計器を各タンクに個別に設置する必要がなく、部品点数を削減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭58-121112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ガス絶縁開閉装置では、地絡などの事故発生時にタンク内にアークが発生すると、タンク内の絶縁ガスが分解されて分解ガスが発生したり、絶縁ガスが化学反応を起こしてフッ化化合物などが生成されたりする。
【0007】
特許文献1に開示されるガス絶縁開閉装置では、事故が発生した相である事故相のタンク内にアークによって分解ガス又はフッ化化合物が生成されると、事故が発生していない相である健全相のタンクにもガス配管を介して分解ガス及びフッ化化合物を含む絶縁ガスが流入してしまう。このため、特許文献1に開示されるガス絶縁開閉装置では、健全相もタンク内の主回路をメンテナンスすることが必要になるという問題があった。
【0008】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、複数の相を含む電流の各相に対応する導体が個別に収容された複数のタンクにおける絶縁ガスのガス漏れを一括して監視でき、かつ事故相のタンク内に発生した分解ガス及びフッ化化合物を含む絶縁ガスが健全相のタンクに流入することを抑制したガス絶縁開閉装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係るガス絶縁開閉装置は、導体及び導体を流れる電流を遮断する遮断器を含む主回路と、主回路を収容するタンクとを、複数の相を含む電流の各相個別に備え、各相のタンクに絶縁ガスが封入されたガス絶縁開閉装置であって、各相のタンクに接続された各相個別の第1ガス配管と、各相の第1ガス配管同士を接続する第2ガス配管と、第2ガス配管に設置されたガス圧力監視計と、各相の第1ガス配管と第2ガス配管との間に各相個別に設置された逆止弁とを備える。各相の逆止弁は、第1ガス配管から第2ガス配管へ向かうガスを通し、第2ガス配管から第1ガス配管へ向かうガスを遮断する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、複数の相を含む電流の各相に対応する導体が個別に収容された複数のタンクにおける絶縁ガスのガス漏れを一括して監視でき、かつ事故相のタンク内に発生した分解ガス及びフッ化化合物を含む絶縁ガスが健全相のタンクに流入することを抑制したガス絶縁開閉装置を得られる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1に係るガス絶縁開閉装置の構成を模式的に示す図
図2】実施の形態1に係るガス絶縁開閉装置において事故相のタンクを切り離した状態を示す図
図3】実施の形態2に係るガス絶縁開閉装置の構成を模式的に示す図
図4】実施の形態2に係るガス絶縁開閉装置において事故相のタンクを切り離した状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、実施の形態に係るガス絶縁開閉装置を図面に基づいて詳細に説明する。
【0013】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るガス絶縁開閉装置の構成を模式的に示す図である。実施の形態1に係るガス絶縁開閉装置100は、A相、B相及びC相の各相に対応して、主回路23a,23b,23cと、事故判定部22a,22b,22cと、タンク2a,2b,2cと、第1開閉弁3a,3b,3cと、第2開閉弁4a,4b,4cと、逆止弁5a,5b,5cと、ガス給排口6a,6b,6cと、第1ガス配管7a,7b,7cと、ガス給排配管8a,8b,8cとが各相個別に設けられている。また、実施の形態1に係るガス絶縁開閉装置100は、第2ガス配管9と、第3開閉弁11と、ガス圧力監視計12と、第4開閉弁13と、ガス給排口14とを備えている。図1において、黒塗りの三角形を用いて表される第1開閉弁3a,3b,3c及び第4開閉弁13は、閉じた状態であり、白抜きの三角形を用いて表される第2開閉弁4a,4b,4c及び第3開閉弁11は開いた状態である。
【0014】
主回路23aは、A相の電流が流れる導体1aと、導体1aを流れる電流を遮断する遮断器21aとを含む。タンク2aは、主回路23aを収容している。タンク2aには、絶縁媒体である絶縁ガスが封入されている。事故判定部22aは、遮断器21aに接続されている。事故判定部22aは、導体1aを流れる電流の電流値が予め設定された閾値を超えると事故が発生したと判定し、遮断器21aを作動させて導体1aを流れる電流を遮断させる。タンク2aと逆止弁5aとの間には第1ガス配管7aが設置されている。第1ガス配管7aは、タンク2aに接続される部分である第1の部分72aと、逆止弁5aに接続される部分である第2の部分73aとに分かれている。第2開閉弁4aは、第1の部分72aと第2の部分73aとの間に設置されている。第2開閉弁4aは、通常時は開いているノーマリーオープン型である。ガス給排配管8aは、第1ガス配管7aの第1の部分72aから分岐している。ガス給排配管8aは、第1ガス配管7aとガス給排口6aとを接続する。すなわち、第1ガス配管7aのうち逆止弁5aとタンク2aとの間の部分には、ガス給排口6aに通じるガス給排配管8aが接続されている。ガス給排配管8aには、第1開閉弁3aが設置されている。第1開閉弁3aは、通常時は閉じているノーマリークローズ型である。第1ガス配管7aの第1の部分72aにはガスフランジ71aが設けられており、第1ガス配管7aは、ガス給排配管8aとの接続箇所と第2開閉弁4aの設置箇所との間で分割可能となっている。
【0015】
主回路23bは、B相の電流が流れる導体1bと、導体1bを流れる電流を遮断する遮断器21bとを含む。タンク2bは、主回路23bを収容している。タンク2bには、絶縁媒体である絶縁ガスが封入されている。事故判定部22bは、遮断器21bに接続されている。事故判定部22bは、導体1bを流れる電流の電流値が予め設定された閾値を超えると事故が発生したと判定し、遮断器21bを作動させて導体1bを流れる電流を遮断させる。タンク2bと逆止弁5bとの間には第1ガス配管7bが設置されている。第1ガス配管7bは、タンク2bに接続される部分である第1の部分72bと、逆止弁5bに接続される部分である第2の部分73bとに分かれている。第2開閉弁4bは、第1の部分72bと第2の部分73bとの間に設置されている。第2開閉弁4bは、通常時は開いているノーマリーオープン型である。ガス給排配管8bは、第1ガス配管7bの第1の部分72bから分岐している。ガス給排配管8bは、第1ガス配管7bとガス給排口6bとを接続する。すなわち、第1ガス配管7bのうち逆止弁5bとタンク2bとの間の部分には、ガス給排口6bに通じるガス給排配管8bが接続されている。ガス給排配管8bには、第1開閉弁3bが設置されている。第1開閉弁3bは、通常時は閉じているノーマリークローズ型である。第1ガス配管7bの第1の部分72bにはガスフランジ71bが設けられており、第1ガス配管7bは、ガス給排配管8bとの接続箇所と第2開閉弁4bの設置箇所との間で分割可能となっている。
【0016】
主回路23cは、C相の電流が流れる導体1cと、導体1cを流れる電流を遮断する遮断器21cとを含む。タンク2cは、主回路23cを収容している。タンク2cには、絶縁媒体である絶縁ガスが封入されている。事故判定部22cは、遮断器21cに接続されている。事故判定部22cは、導体1cを流れる電流の電流値が予め設定された閾値を超えると事故が発生したと判定し、遮断器21cを作動させて導体1cを流れる電流を遮断させる。タンク2cと逆止弁5cとの間には第1ガス配管7cが設置されている。第1ガス配管7cは、タンク2cに接続される部分である第1の部分72cと、逆止弁5cに接続される部分である第2の部分73cとに分かれている。第2開閉弁4cは、第1の部分72cと第2の部分73cとの間に設置されている。第2開閉弁4cは、通常時は開いているノーマリーオープン型である。ガス給排配管8cは、第1ガス配管7cの第1の部分72cから分岐している。ガス給排配管8cは、第1ガス配管7cとガス給排口6cとを接続する。すなわち、第1ガス配管7cのうち逆止弁5cとタンク2cとの間の部分には、ガス給排口6cに通じるガス給排配管8cが接続されている。ガス給排配管8cには、第1開閉弁3cが設置されている。第1開閉弁3cは、通常時は閉じているノーマリークローズ型である。第1ガス配管7cの第1の部分72cにはガスフランジ71cが設けられており、第1ガス配管7cは、ガス給排配管8cとの接続箇所と第2開閉弁4cの設置箇所との間で分割可能となっている。
【0017】
第2ガス配管9は、逆止弁5a,5b,5cの各々とガス給排口14とを接続している。第2ガス配管9は、ガス給排口14に接続される幹部10と、幹部10から分岐して各相の逆止弁5a,5b,5cに接続される枝部9a,9b,9cとを備える。幹部10には、枝部9a,9b,9c側から順に、第3開閉弁11、ガス圧力監視計12及び第4開閉弁13が設置されている。第3開閉弁11は、通常時は開いているノーマリーオープン型である。第4開閉弁13は、通常時は閉じているノーマリークローズ型である。ガス圧力監視計12は、第2ガス配管9のガス圧力を監視し、第2ガス配管9のガス圧と外気の圧力との差が予め設定された値よりも大きくなると、警報を発する。
【0018】
逆止弁5a,5b,5cは、第1ガス配管7a,7b,7cから第2ガス配管9に向かうガスを通し、第2ガス配管9から第1ガス配管7a,7b,7cに向かうガスを遮断する。
【0019】
A相で短絡などの事故が発生した場合、タンク2aの内部に分解ガス及びフッ化化合物が生成されるとともに、絶縁ガスのガス圧が上昇する。以下、分解ガス及びフッ化化合物を含む絶縁ガスを汚染絶縁ガスという。第1ガス配管7aに設置されている第2開閉弁4aはノーマリーオープン型であるため、汚染絶縁ガスは、第2開閉弁4aを通過して逆止弁5aに到達する。逆止弁5aは、第1ガス配管7aから第2ガス配管9に向かうガスを通すため、汚染絶縁ガスは、第2ガス配管9に流入する。逆止弁5b,5cは、第2ガス配管9から第1ガス配管7b,7cに向かうガスを遮断するため、汚染絶縁ガスは、第1ガス配管7b,7cに流入することなく逆止弁5b,5cで止められる。枝部9a,9b,9cから幹部10に流入した汚染絶縁ガスは、ノーマリーオープン型の第3開閉弁11を通過し、ノーマリークローズ型の第4開閉弁13で止められる。
【0020】
第2開閉弁4aを閉じた上で、第1開閉弁3aを開くことにより、ガス絶縁開閉装置100のユーザは、第1ガス配管7aのうち第2開閉弁4aの設置箇所よりもタンク2a側の部分及びタンク2aの内部の汚染絶縁ガスをガス給排口6aから抜き取ることができる。
【0021】
また、ノーマリーオープン型の第2開閉弁4b,4c及び第3開閉弁11を閉じた上で、ノーマリークローズ型の第4開閉弁13を開けることにより、ガス絶縁開閉装置100のユーザは、第1ガス配管7aのうち第2開閉弁4aの設置箇所よりも逆止弁5a側の部分及び第2ガス配管9の内部の汚染絶縁ガスを、ガス給排口14から抜き取ることができる。
【0022】
図2は、実施の形態1に係るガス絶縁開閉装置において事故相のタンクを切り離した状態を示す図である。図2において、黒塗りの三角形を用いて表される第1開閉弁3b,3c、第2開閉弁4a及び第4開閉弁13は、閉じた状態であり、白抜きの三角形を用いて表される第1開閉弁3a、第2開閉弁4b,4c及び第3開閉弁11は開いた状態である。第1ガス配管7a、タンク2a、第2ガス配管9の内部の汚染絶縁ガスを抜き取った後は、第2開閉弁4aを閉じた上で第1ガス配管7aの第1の部分72aのうちガスフランジ71aよりもタンク2a側の部分と、タンク2aと、ガス給排配管8aと、第1開閉弁3aとガス給排口6aとを、第1ガス配管7aの第1の部分72aのうちガスフランジ71aよりも第2開閉弁4a側の部分から切り離すことで、事故が発生した相である事故相のタンク2aをガス絶縁開閉装置100の設置箇所から工場などに持ち帰って事故原因を究明することができる。また、事故が発生していない健全相のタンク2b,2cには汚染絶縁ガスが侵入しないため、A相の修復後に再利用することができる。
【0023】
ここではA相で事故が発生した場合を例に挙げて説明したが、B相又はC相で事故が発生した場合も、同様にして汚染絶縁ガスを除去し、事故が発生した相のタンク2b,2cを分離することができる。
【0024】
実施の形態1に係るガス絶縁開閉装置100は、短絡などの事故がA相、B相及びC相のいずれで発生した場合でも、汚染絶縁ガスは、事故が発生していない健全相のタンク2a,2b,2cに流入することがない。このため、短絡などの事故がA相、B相及びC相のいずれで発生した場合でも、事故が発生していない健全相のタンク2a,2b,2cを再利用することができる。また、第2ガス配管9に設置されたガス圧力監視計12でタンク2a,2b,2cにおける絶縁ガスのガス漏れを監視できるため、タンク2a,2b,2cに個別にガス圧力監視計を設ける場合と比較すると、部品点数を低減することができる。
【0025】
また、事故発生時には、事故相の事故判定部22a,22b,22cが遮断器21a,21b,21cを動作させて導体1a,1b,1cを流れる電流を遮断するため、逆止弁5a,5b,5cに出力用のインタフェースを設けなくても、遮断器21a,21b,21cの動作状態に基づいて、ガス絶縁開閉装置100のユーザが事故の発生の有無を認識することができる。
【0026】
実施の形態2.
図3は、実施の形態2に係るガス絶縁開閉装置の構成を模式的に示す図である。実施の形態2に係るガス絶縁開閉装置100は、第1ガス配管7a,7b,7cが、タンク2a,2b,2cに接続される部分である第1の部分72a,72b,72cと、逆止弁5a,5b,5cに接続される部分である第2の部分73a,73b,73cとに分かれている。第1ガス配管7a,7b,7cの第1の部分72a,72b,72cと第2の部分73a,73b,73cとの間には、三方弁15a,15b,15cが設置されている。また、三方弁15a,15b,15cには、ガス給排配管8a,8b,8cが接続されている。すなわち、三方弁15a,15b,15cには、第1ガス配管7a,7b,7cの第1の部分72a,72b,72cと、第1ガス配管7a,7b,7cの第2の部分73a,73b,73cと、ガス給排配管8a,8b,8cとが接続されている。このため、ガス給排配管8a,8b,8cは、三方弁15a,15b,15cにおいて第1ガス配管7a,7b,7cから分岐している。なお、実施の形態2に係るガス絶縁開閉装置100は、第1ガス配管7a,7b,7cに第2開閉弁が設置されておらず、ガス給排配管8a,8b,8cには第1開閉弁が設置されていない。この他は、実施の形態1に係るガス絶縁開閉装置100と同様である。
【0027】
三方弁15a,15b,15cは、第1ガス配管7a,7b,7cの第1の部分72a,72b,72cを、第1ガス配管7a,7b,7cの第2の部分73a,73b,73cに繋ぐか、ガス給排配管8a,8b,8cに繋ぐかを切り替え可能である。三方弁15a,15b,15cは、通常は第1ガス配管7a,7b,7cの第1の部分72a,72b,72cと、第1ガス配管7a,7b,7cの第2の部分73a,73b,73cとを繋げている。図3において、黒塗りの三角形を用いて表される第4開閉弁13は閉じた状態であり、白抜きの三角形を用いて表される第3開閉弁11は開いた状態である。また、三方弁15a,15b,15cは、黒塗りの三角形で示す側の流路が閉じた状態である。各相の第1ガス配管7a,7b,7cの第1の部分72a,72b,72cには、ガスフランジ71a,71b,71cが設けられており、第1ガス配管7a,7b,7cは、第1の部分72a,72b,72cにおいて分割可能となっている。
【0028】
A相で短絡などの事故が発生した場合、タンク2aの内部に汚染絶縁ガスが発生するとともに、絶縁ガスのガス圧が上昇する。第1ガス配管7aに設置されている三方弁15aは、通常は第1ガス配管7aの第1の部分72aと第2の部分73aとを繋いでいるため、汚染絶縁ガスは、三方弁15aを通過して逆止弁5aに到達する。逆止弁5aは、第1ガス配管7aから第2ガス配管9に向かうガスを通すため、汚染絶縁ガスは、枝部9aに流入する。逆止弁5b,5cは、第2ガス配管9から第1ガス配管7b,7cに向かうガスを遮断するため、枝部9aに流入した汚染絶縁ガスは、枝部9b,9cに流入はするが、第1ガス配管7b,7cに流入することなく逆止弁5b,5cで止められる。枝部9aから幹部10に流入した汚染絶縁ガスは、ノーマリーオープン型の第3開閉弁11を通過し、ノーマリークローズ型の第4開閉弁13で止められる。
【0029】
三方弁15aを第1ガス配管7aの第1の部分72aとガス給排配管8aとを繋ぐ状態に切り替えることにより、ガス絶縁開閉装置100のユーザは、第1ガス配管7aの第1の部分72aの部分及びタンク2aの内部の汚染絶縁ガスをガス給排口6aから抜き取ることができる。
【0030】
また、三方弁15b,15cを第1ガス配管7b,7cの第1の部分72b,72cとガス給排配管8b,8cとを繋ぐ状態に切り替え、かつノーマリーオープン型の第3開閉弁11を閉じた上で、ノーマリークローズ型の第4開閉弁13を開けることにより、ガス絶縁開閉装置100のユーザは、第1ガス配管7aの第2の部分73aの部分及び第2ガス配管9の内部の汚染絶縁ガスを、ガス給排口14から抜き取ることができる。
【0031】
図4は、実施の形態2に係るガス絶縁開閉装置において事故相のタンクを切り離した状態を示す図である。図4において、黒塗りの三角形を用いて表される第4開閉弁13は閉じた状態であり、白抜きの三角形を用いて表される第3開閉弁11は開いた状態である。また、三方弁15a,15b,15cは、黒塗りの三角形で示す側の流路が閉じており、第1ガス配管7a,7b,7cの第1の部分72a,72b,72cは、ガス給排配管8a,8b,8cと繋がっている。第1ガス配管7a、タンク2a及び第2ガス配管9の内部の汚染絶縁ガスを抜き取った後は、第1ガス配管7aの第1の部分72aのうちガスフランジ71aよりもタンク2a側の部分と、タンク2aとを、第1ガス配管7aの第1の部分72aのうちガスフランジ71aよりも三方弁15a側の部分から切り離すことで、事故が発生した相である事故相のタンク2aをガス絶縁開閉装置100の設置箇所から工場などに持ち帰って事故原因を究明することができる。また、事故が発生していない健全相のタンク2b,2cには汚染絶縁ガスが侵入しないため、A相の修復後に再利用することができる。
【0032】
ここではA相で事故が発生した場合を例に挙げて説明したが、B相又はC相で事故が発生した場合も、同様にして汚染絶縁ガスを除去し、事故が発生した相のタンク2b,2cを分離することができる。
【0033】
実施の形態1に係るガス絶縁開閉装置100と同様に、実施の形態2に係るガス絶縁開閉装置100は、短絡などの事故がA相、B相及びC相のいずれで発生した場合でも、事故が発生していない健全相のタンク2a,2b,2cを再利用することができる。また、実施の形態1に係るガス絶縁開閉装置100と同様に、実施の形態2に係るガス絶縁開閉装置100は、タンク2a,2b,2cに個別にガス圧力監視計を設ける場合と比較すると、部品点数を低減することができる。さらに、実施の形態1に係るガス絶縁開閉装置100と同様に、実施の形態2に係るガス絶縁開閉装置100のユーザは、遮断器21a,21b,21cの動作状態に基づいて、ガス絶縁開閉装置100のユーザが事故の発生の有無を認識することができる。
【0034】
以上の実施の形態に示した構成は、内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0035】
1a,1b,1c 導体、2a,2b,2c タンク、3a,3b,3c 第1開閉弁、4a,4b,4c 第2開閉弁、5a,5b,5c 逆止弁、6a,6b,6c,14 ガス給排口、7a,7b,7c 第1ガス配管、8a,8b,8c ガス給排配管、9 第2ガス配管、9a,9b,9c 枝部、10 幹部、11 第3開閉弁、12 ガス圧力監視計、13 第4開閉弁、15a,15b,15c 三方弁、21a,21b,21c 遮断器、22a,22b,22c 事故判定部、23a,23b,23c 主回路、71a,71b,71c ガスフランジ、72a,72b,72c 第1の部分、73a,73b,73c 第2の部分、100 ガス絶縁開閉装置。
図1
図2
図3
図4