(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168366
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】管継手
(51)【国際特許分類】
F16L 37/34 20060101AFI20241128BHJP
F16L 21/02 20060101ALI20241128BHJP
F16L 21/08 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
F16L37/34
F16L21/02 Z
F16L21/08 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084967
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000111085
【氏名又は名称】ニッタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】弁理士法人ドライト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木本 浩一郎
(72)【発明者】
【氏名】一橋 瑞穂
(72)【発明者】
【氏名】久須 祐典
【テーマコード(参考)】
3H015
3J106
【Fターム(参考)】
3H015BB01
3H015BB05
3H015BC01
3J106AB01
3J106BA01
3J106BB01
3J106BB02
3J106BC04
3J106BC12
3J106BD01
3J106BE24
3J106BE31
3J106EA03
3J106EB07
3J106EC03
3J106ED32
3J106EE13
3J106EF04
3J106GA03
3J106GA04
3J106GA23
(57)【要約】
【課題】カプラーボディの全長及び外径を小さくしつつ、ロックスリーブの脱落を防ぐことが可能な管継手を提供する。
【解決手段】管継手100は、互いに接続される雄型部材10と雌型部材20を備え、前記雌型部材20は、貫通孔21aを有し貫通孔21aに前記雄型部材10が挿入されるカプラーボディ21と、前記カプラーボディ21の外周に設けられ、前記貫通孔21aの中心軸に沿って移動可能な外周スリーブ28と、前記カプラーボディ21の外周に形成された雄ネジ部21cと螺合し、前記中心軸の周りに回転することで前記中心軸に沿って移動し前記外周スリーブ28をロックするロックスリーブ31と、前記雄ネジ部21cとの螺合により前記カプラーボディ21に締結され、前記ロックスリーブ31の抜止めをするアダプタ22と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに接続される雄型部材と雌型部材を備え、
前記雌型部材は、
貫通孔を有し、前記貫通孔に前記雄型部材が挿入されるカプラーボディと、
前記カプラーボディの外周に設けられ、前記貫通孔の中心軸に沿って移動可能な外周スリーブと、
前記カプラーボディの外周に形成された雄ネジ部と螺合し、前記中心軸の周りに回転することで前記中心軸に沿って移動し前記外周スリーブをロックするロックスリーブと、
前記雄ネジ部との螺合により前記カプラーボディに締結され、前記ロックスリーブの抜止めをするアダプタと、を備える、
管継手。
【請求項2】
前記カプラーボディと前記アダプタとの間を閉塞するシール部材をさらに備え、
前記アダプタは、前記雄ネジ部と螺合する雌ネジ部と、前記シール部材を収容するシール収容部と、を有し、
前記シール収容部は、前記雌ネジ部に対して前記アダプタの奥側に設けられている、
請求項1に記載の管継手。
【請求項3】
前記雌型部材は、
前記貫通孔によって形成される流路を開閉するバルブと、
前記バルブを付勢するバルブスプリングと、
前記アダプタの締結により前記カプラーボディに固定され、前記バルブスプリングを支持するバルブストップと、をさらに備え、
前記バルブストップの外周は、前記アダプタの奥側に進むにつれ前記アダプタの内周から離れるように傾斜する傾斜面を有している、
請求項2に記載の管継手。
【請求項4】
前記ロックスリーブの内周は、前記雄ネジ部と螺合する雌ネジ部と、前記雄ネジ部と螺合不能な非ネジ部と、を有し、
前記非ネジ部は、前記外周スリーブに向かって延びている、
請求項1に記載の管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
雌型部材のカプラーボディに雄型部材を挿入して、配管を接続する管継手が知られている。特許文献1には、カプラーボディの外周に移動可能に設けられた外周スリーブを備える管継手が開示されている。
【0003】
特許文献1に開示された管継手では、雌型部材は、カプラーボディの外周に形成された雄ネジ部と螺合するロックスリーブを備えている。ロックスリーブが回転して移動することで、外周スリーブがロックされる。カプラーボディには、径方向外側に突出する鍔部が設けられており、鍔部によってロックスリーブの脱落を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された管継手では、カプラーボディに設けられた鍔部によりロックスリーブの脱落を防止している。鍔部は、径方向外側に突出しているため、このような鍔部の分、カプラーボディの全長及び外径が大きくなっている。
【0006】
本発明は、カプラーボディの全長及び外径を小さくしつつ、ロックスリーブの脱落を防ぐことが可能な管継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る管継手は、互いに接続される雄型部材と雌型部材を備え、前記雌型部材は、貫通孔を有し、前記貫通孔に前記雄型部材が挿入されるカプラーボディと、前記カプラーボディの外周に設けられ、前記貫通孔の中心軸に沿って移動可能な外周スリーブと、前記カプラーボディの外周に形成された雄ネジ部と螺合し、前記中心軸の周りに回転することで前記中心軸に沿って移動し前記外周スリーブをロックするロックスリーブと、前記雄ネジ部との螺合により前記カプラーボディに締結され、前記ロックスリーブの抜止めをするアダプタと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、アダプタは、カプラーボディに締結され、ロックスリーブの抜止めをする。そのため、カプラーボディに、径方向外側に突出する鍔部を設ける必要が無くなる。また、カプラーボディの鍔部が無いことで、鍔部長さが不要となり、全長も小さくなる。したがって、カプラーボディの全長及び外径を小さくしつつ、ロックスリーブの脱落を防ぐことが可能な管継手を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る管継手の半裁断面図であり、雄型部材と雌型部材とを分離した状態を示す。
【
図2】第1実施形態に係る管継手の半裁断面図であり、雄型部材を雌型部材に挿入した状態を示す。
【
図3】第1実施形態に係る管継手の半裁断面図であり、
図2に示す状態からロックスリーブを移動させて外周スリーブに接触させた状態を示す。
【
図5】第2実施形態に係る管継手の半裁断面図であり、雄型部材と雌型部材とを分離した状態を示す。
【
図6】第3実施形態に係る管継手の半裁断面図であり、雄型部材と雌型部材とを分離した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。以下に示す各実施形態は、本発明の一例であり、本発明はこれに限られるものではない。各実施形態に関する以下の説明において、同様の構成については同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0011】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る管継手100の半裁断面図である。
図1に示すように、管継手100は、互いに接続される雄型部材10と雌型部材20とを備えている。
図1では、雄型部材10と雌型部材20とを分離した状態が示されている。
【0012】
雄型部材10は、貫通孔11aを有するニップル11と、ニップル11に取付けられた雄側アダプタ12と、を備えている。ニップル11の外周には、貫通孔11aの中心軸周りに延びる環状溝11bが形成されている。ニップル11の内周には、貫通孔11aの径方向内側に突出する環状の突部11cが形成されている。突部11cによって、貫通孔11aの一方の開口が形成されている。
【0013】
雄側アダプタ12の一部は、貫通孔11aの他方の開口を通じて貫通孔11aに挿入されており、貫通孔11aの内周に形成された雌ネジ部と螺合している。雄側アダプタ12には貫通孔12aが形成されており、雄型部材10を貫通する流路が貫通孔11aと貫通孔12aとによって形成されている。雄側アダプタ12には、不図示の設備機器や管に取付けるための雄ネジ部が形成されている。管が雄側アダプタ12に取付けられた状態では、雄型部材10の流路は、管の内部空間に連続し、雄型部材10の流路と管の内部空間との間で流体が流通する。
【0014】
ニップル11と雄側アダプタ12との間には、シール部材13が設けられている。シール部材13によって、ニップル11と雄側アダプタ12との間が閉塞される。シール部材13は、例えばOリングである。
【0015】
また、雄型部材10は、貫通孔11aに収容された雄側バルブ14と、雄側バルブ14をニップル11の突部11cに向けて付勢する雄側バルブスプリング15と、雄側バルブスプリング15を支持する雄側バルブストップ16と、を備えている。雄側バルブストップ16は、雄側アダプタ12によってニップル11の貫通孔11a内に保持されている。雄側バルブストップ16には貫通孔16aが形成されており、貫通孔11aと貫通孔12aとによって形成される流路を塞がないようになっている。
【0016】
雄側バルブ14は、雄側バルブストップ16に摺動自在に支持されている。雄側バルブ14には雄側バルブシート17が設けられており、雄側バルブスプリング15の付勢力により雄側バルブシート17が突部11cに当接する。雄側バルブシート17が突部11cに当接した状態では、雄型部材10の流路が雄側バルブシート17によって閉鎖される。雄側バルブスプリング15の付勢力に抗して雄側バルブ14が突部11cから離れる方向に移動すると、雄側バルブシート17が突部11cから離れ、雄型部材10の流路が開放される。
【0017】
雌型部材20は、貫通孔21aを有するカプラーボディ21と、カプラーボディ21に取付けられた雌側アダプタ22と、を備えている。貫通孔21aには、雄型部材10のニップル11が挿入される。雌側アダプタ22には貫通孔22aが形成されている。カプラーボディ21の一部は、貫通孔22aに挿入されており、雌型部材20を貫通する流路が貫通孔21aと貫通孔22aとによって形成されている。雌側アダプタ22には、不図示の管を取付けるための雄ネジ部が形成されている。管が雌側アダプタ22に取付けられた状態では、雌型部材20の流路は、管の内部空間に連続し、雌型部材20の流路と管の内部空間との間で流体が流通する。
【0018】
カプラーボディ21と雌側アダプタ22との間には、シール部材23が設けられている。シール部材23によって、カプラーボディ21と雌側アダプタ22との間が閉塞される。シール部材23は、例えばOリングである。
【0019】
カプラーボディ21の内周には、シール部材24が設けられている。カプラーボディ21の貫通孔21aに雄型部材10のニップル11が挿入された状態では、シール部材24は、カプラーボディ21とニップル11との間に配置され、カプラーボディ21とニップル11との間を閉塞する。シール部材24は、例えばOリングである。
【0020】
また、雌型部材20は、貫通孔21aに収容されたバルブ受け33と、貫通孔21aの内周とバルブ受け33の外周との間に配置された雌側バルブ34と、雌側バルブ34を付勢する雌側バルブスプリング35と、雌側バルブスプリング35を支持する雌側バルブストップ36と、を備えている。雌側バルブストップ36は、雌側アダプタ22によってカプラーボディ21に固定されている。雌側バルブストップ36には貫通孔36aが形成されており、貫通孔21aと貫通孔22aとによって形成される流路を塞がないようになっている。
【0021】
バルブ受け33は、スナップリング33aを用いて雌側バルブストップ36に固定されている。バルブ受け33の外周には、貫通孔21aの径方向外側に突出する環状の突部33cが形成されている。雌側バルブ34は、環状に形成されており、バルブ受け33が雌側バルブ34を挿通している。雌側バルブ34は、貫通孔21aの内周を摺動自在である。雌側バルブ34の外周には、シール部材38が設けられており、シール部材38によって、貫通孔21aの内周と雌側バルブ34の外周との間が閉塞される。シール部材38は、例えばVシールである。
【0022】
雌側バルブスプリング35は、雌側バルブ34をバルブ受け33の突部33cに向けて付勢する。雌側バルブ34には雌側バルブシート37が設けられており、雌側バルブスプリング35の付勢力により雌側バルブシート37が突部33cに当接する。雌側バルブシート37が突部33cに当接した状態では、雌型部材20の流路が雌側バルブシート37によって閉鎖される。雌側バルブスプリング35の付勢力に抗して雌側バルブ34が突部33cから離れる方向に移動すると、雌側バルブシート37が突部33cから離れ、雌型部材20の流路が開放される。
【0023】
図2は、管継手100の半裁断面図であり、雄型部材10を雌型部材20に挿入した状態を示す。
図2に示すように、ニップル11を貫通孔21aに挿入すると、雌型部材20のバルブ受け33は、雄側バルブシート17に接触し、雄側バルブスプリング15の付勢力に抗して雄側バルブ14を押込む。その結果、雄側バルブシート17がニップル11の突部11cから離れ、雄型部材10の流路が開放される。また、ニップル11は、雌側バルブシート37に接触し、雌側バルブスプリング35の付勢力に抗して雌側バルブ34を押込む。その結果、雌側バルブシート37がバルブ受け33の突部33cから離れ、雌型部材20の流路が開放される。
【0024】
図2に示す状態から、ニップル11を貫通孔21aから抜き出すと、雄側バルブスプリング15の付勢力により、雄側バルブ14は、ニップル11の突部11cに向けて移動する。その結果、雄側バルブシート17が突部11cに接触し、雄型部材10の流路が閉鎖される。また、雌側バルブスプリング35の付勢力により、雌側バルブ34は、バルブ受け33の突部33cに向けて移動する。その結果、雌側バルブシート37が突部33cに接触し、雌型部材20の流路が閉鎖される。
【0025】
このように、管継手100では、雄型部材10が雌型部材20に挿入されていない状態では、雄型部材10及び雌型部材20における流路が閉鎖され、雄型部材10が雌型部材20に挿入された状態では、雄型部材10及び雌型部材20における流路が開放される。したがって、雄型部材10を雌型部材20に対して挿抜するだけで流路の開放と閉鎖とを切り替えることができ、不図示の管どうしを流体の漏れなく簡単に接続することができる。
【0026】
図1に示すように、カプラーボディ21には、カプラーボディ21の内周と外周との間を貫通するボール孔21bが形成されており、ボール孔21bにボール25が配置されている。ボール孔21bにおいて、カプラーボディ21の外周側の開口はボール25の直径よりも大きく、カプラーボディ21の内周側の開口はボール25の直径よりも小さい。そのため、ボール25の一部のみがボール孔21bからカプラーボディ21の貫通孔21aに入り込むことができる。ボール25がボール孔21bからカプラーボディ21の貫通孔21aに入り込んでいない状態では、ボール25は、カプラーボディ21の外周から突出する。
【0027】
カプラーボディ21の内周には、内周スリーブ26と内周スプリング27とが設けられている。内周スリーブ26は、貫通孔21aの中心軸に沿って移動可能である。内周スプリング27は、カプラーボディ21の内周に形成された段部に支持されており、雌側アダプタ22の側とは反対側に内周スリーブ26を付勢する。内周スリーブ26がボール孔21bを塞いでいる状態では、内周スリーブ26は、ボール孔21bからカプラーボディ21の貫通孔21aへのボール25の入り込みを規制する。内周スプリング27の付勢力に抗して内周スリーブ26が移動すると、内周スリーブ26は、ボール孔21bを開放し、ボール25の一部は、ボール孔21bからカプラーボディ21の貫通孔21aへ入り込むことができるようになる。
【0028】
カプラーボディ21の外周には、外周スリーブ28と外周スプリング29とが設けられている。外周スリーブ28は、貫通孔21aの中心軸に沿って移動可能である。外周スプリング29は、カプラーボディ21の外周に形成された段部に支持されており、雌側アダプタ22の側とは反対側に外周スリーブ28を付勢する。
【0029】
外周スリーブ28の内周には、ボール25を受入れ可能な環状凹部28aが形成されている。環状凹部28aは、外周スプリング29の付勢力を変換して、ボール25をカプラーボディ21の貫通孔21aに押込む力を発揮する傾斜面を有している。
図1に示す状態では、当該傾斜面にボール25が接している。内周スリーブ26が内周スプリング27の付勢力に抗して移動してボール孔21bを開放すると、外周スリーブ28は、外周スプリング29の付勢力により移動するとともにボール25をカプラーボディ21の貫通孔21aへ押込む。これにより、ボール25の一部が、ボール孔21bからカプラーボディ21の貫通孔21aへ入り込む。
【0030】
図2に示すように、ニップル11の環状溝11bがボール孔21bと連続するまでニップル11を貫通孔21aに挿入すると、内周スリーブ26は、内周スプリング27の付勢力に抗して移動してボール孔21bを開放し、ボール25は、ボール孔21bから環状溝11bへ入り込むことができるようになる。このとき、外周スリーブ28は、外周スプリング29の付勢力により移動するとともにボール25をカプラーボディ21の貫通孔21aへ押込む。その結果、ボール25の一部は、ボール孔21bから環状溝11bに入り込み、カプラーボディ21から抜け出る方向へのニップル11の移動がロックされる。したがって、雌型部材20からの雄型部材10の離脱を防止することができる。
【0031】
図2に示す状態では、雌側アダプタ22へ向かう方向への外周スリーブ28の移動はロックされていない。そのため、雄型部材10と雌型部材20にガタツキが生じ、低温でシール部材24の弾性が小さくなった場合は、流体漏れが発生するおそれがある。また、雄型部材10と雌型部材20の振動により外周スリーブ28が微小に動き、外周スリーブ28内面とボール25の接触箇所で固着が発生するおそれがある。
【0032】
そこで、管継手100では、外周スリーブ28をロック可能に構成されている。具体的には、雌型部材20は、カプラーボディ21の外周に形成された雄ネジ部21cと螺合するロックスリーブ31を備えている。ロックスリーブ31は、カプラーボディ21の貫通孔21aの中心軸の周りに回転することで、貫通孔21aの中心軸に沿って移動する。ロックスリーブ31が移動して外周スリーブ28に接触すると、ロックスリーブ31は、雌側アダプタ22へ向かう方向への外周スリーブ28の移動をロックする。
【0033】
図3は、管継手100の半裁断面図であり、
図2に示す状態からロックスリーブ31を移動させて外周スリーブ28に接触させた状態を示す。
図3に示す状態では、ロックスリーブ31は、外周スリーブ28に接触し、雌側アダプタ22へ向かう方向への外周スリーブ28の移動をロックする。そのため、雄型部材10と雌型部材20のガタツキを防止することができ、低温でシール部材24の弾性が小さくなったとしても流体漏れを防ぐことができる。また、外周スリーブ28の微小な動きを防止することができ、外周スリーブ28内面とボール25の接触箇所での固着を防ぐことができる。
【0034】
ボール25によるニップル11のロックを解除するためには、まず、ロックスリーブ31を逆方向に回転させ、ロックスリーブ31を外周スリーブ28から離す。これにより、外周スリーブ28の移動が可能となる。その後、外周スリーブ28を外周スプリング29の付勢力に抗して雌側アダプタ22へ向かって移動させ、外周スリーブ28の環状凹部28aがボール25を受け入れ可能な状態とする。これにより、ボール25がニップル11の環状溝11bから移動可能になり、ボール25によるニップル11のロックが解除される。
【0035】
図4は、
図3に示すA部の拡大図である。
図4に示すように、雌側アダプタ22は、ロックスリーブ31が螺合する雄ネジ部21cと螺合して雌側バルブストップ36に接触するまで締め込まれており、カプラーボディ21に締結されている。そのため、ボール25によるニップル11のロックを解除するときに、ロックスリーブ31は、雌側アダプタ22に接触するまでしか移動しない。したがって、カプラーボディ21からのロックスリーブ31の抜けを防止することができる。
【0036】
このように、雌側アダプタ22は、雄ネジ部21cとの螺合によりカプラーボディ21に締結され、ロックスリーブ31の抜止めをする。そのため、カプラーボディ21に、径方向外側に突出する鍔部をロックスリーブ31の抜止め用に設ける必要が無くなる。また、カプラーボディ21の鍔部が無いことで、鍔部長さが不要となり、全長も小さくなる。したがって、カプラーボディ21の全長及び外径を小さくしつつ、ロックスリーブ31の脱落を防ぐことが可能となる。
【0037】
雌側アダプタ22は、雄ネジ部21cと螺合する雌ネジ部22cと、シール部材23を収容するシール収容部22dと、を有している。シール収容部22dは、具体的には、貫通孔22aの内周に形成された環状凹部である。
【0038】
ロックスリーブ31の抜止め用の鍔部をカプラーボディ21に設けない場合において、仮に、シール収容部22dを雌ネジ部22cに対して雌側アダプタ22の手前側(
図4における左側)に設けると、シール部材23が雌側アダプタ22の手前側にずれるおそれがある。このとき、シール部材23のシール性が低下する。
【0039】
本実施形態では、シール収容部22dは、雌ネジ部22cに対して雌側アダプタ22の奥側(
図4における右側)に設けられている。そのため、雌ネジ部22cと雄ネジ部21cとが螺合した状態では、シール部材23は、雌側アダプタ22の奥側に保持される。したがって、シール部材23のシール性の低下を防止することができ、カプラーボディ21と雌側アダプタ22との間からの流体の漏れを防止することができる。
【0040】
雌側バルブストップ36の外周は、雌側アダプタ22の奥側に進むにつれ雌側アダプタ22の内周から離れるように傾斜する傾斜面36bを有している。そのため、雌側アダプタ22をカプラーボディ21に締め込むときに、シール部材23が雌側バルブストップ36の角に接触しなくなる。したがって、シール部材23の損傷を防止することができ、カプラーボディ21と雌側アダプタ22との間からの流体の漏れをより確実に防止することができる。傾斜面36bは、直線的に(テーパ状に)傾斜していてもよいし曲線的に(丸みをもって)傾斜していてもよい。
【0041】
ロックスリーブ31の内周は、雄ネジ部21cと螺合する雌ネジ部31cと、雄ネジ部21cと螺合不能な非ネジ部31dと、を有している。非ネジ部31dは、外周スリーブ28に向かって延びている。そのため、雄ネジ部21cと外周スリーブ28とが離れており雌ネジ部31cを外周スリーブ28に近接できない場合においても、ロックスリーブ31を外周スリーブ28に接触させることができる。したがって、ロックスリーブ31により外周スリーブ28の移動をロックすることができる。
【0042】
<第2実施形態>
図5は、第2実施形態に係る管継手200の半裁断面図であり、雄型部材10と雌型部材220とを分離した状態を示す。以下では、第1実施形態との相違点を主に説明し、第1実施形態で説明した構成と同一の構成又は相当する構成については、図中に第1実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
【0043】
第1実施形態に係る管継手100(
図1~
図4参照)では、雌型部材20の流路は、直線状であるが、第2実施形態に係る管継手200(
図5参照)では、雌型部材220の流路は、傾斜している。雌側アダプタ222の貫通孔222aは、約90度曲がっているが、約45度やそれ以外の角度でもよい。
【0044】
このような管継手200においても、第1実施形態と同様に、雌側アダプタ222は、雄ネジ部21cとの螺合によりカプラーボディ21に締結され、ロックスリーブ31の抜止めをする。そのため、カプラーボディ21に、径方向外側に突出する鍔部をロックスリーブ31の抜止め用に設ける必要が無くなる。また、カプラーボディ21の鍔部が無いことで、鍔部長さが不要となり、全長も小さくなる。したがって、カプラーボディ21の全長及び外径を小さくしつつ、ロックスリーブ31の脱落を防ぐことが可能となる。
【0045】
雌型部材220におけるシール部材23の位置、雌側バルブストップ36の形状及びロックスリーブ31の形状は、第1実施形態の雌型部材20のものと同じであるため、これらの作用及び効果については省略する。
【0046】
<第3実施形態>
図6は、第3実施形態に係る管継手300の半裁断面図であり、雄型部材310と雌型部材20とを分離した状態を示す。以下では、第1実施形態との相違点を主に説明し、第1実施形態で説明した構成と同一の構成又は相当する構成については、図中に第1実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
【0047】
第3実施形態に係る管継手300では、雄型部材310は、第1実施形態における雄側バルブ14、雄側バルブスプリング15、雄側バルブストップ16、雄側バルブシート17を備えておらず、ニップル311に、不図示の管を取付けるための雄ネジ部が形成されている。つまり、雄型部材310は、貫通孔311aを有するニップル311のみからなる。
【0048】
このような管継手300においても、第1実施形態と同様の作用及び効果を奏する。
【0049】
図示を省略するが、第3実施形態における雄型部材310を第2実施形態における雌型部材220に接続する形態においても、第1実施形態と同様の作用及び効果を奏する。
【0050】
また、図示を省略するが、雌型部材20及び雌型部材220は、バルブ受け33、雌側バルブ34、雌側バルブスプリング35、雌側バルブストップ36及び雌側バルブシート37を備えていなくてもよい。このような形態においても、雌側アダプタ22及び雌側アダプタ222が、雄ネジ部21cとの螺合によりカプラーボディ21に締結され、ロックスリーブ31の抜止めをすれば、第1~第3実施形態と同様に、カプラーボディ21の全長及び外径を小さくしつつ、ロックスリーブ31の脱落を防ぐことが可能となる。
【0051】
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明したが、本発明は上記の実施形態及び変形例に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0052】
100、200、300 管継手
10、310 雄型部材
20、220 雌型部材
21 カプラーボディ
21c 雄ネジ部
21a 貫通孔
22、222 雌側アダプタ(アダプタ)
28 外周スリーブ
31 ロックスリーブ