(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168373
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】ゴボフィルタ装置
(51)【国際特許分類】
G09F 13/06 20060101AFI20241128BHJP
F21V 11/00 20150101ALI20241128BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20241128BHJP
【FI】
G09F13/06 Z
F21V11/00 100
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084976
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】安倍 秀明
(72)【発明者】
【氏名】岡田 健治
【テーマコード(参考)】
5C096
【Fターム(参考)】
5C096AA11
5C096BA01
5C096BC20
5C096CC06
5C096FA05
5C096FA08
(57)【要約】
【課題】安価であり、明るく自然な光と影の揺らぎを再現した投光影像を照射面に表示させることができるゴボフィルタを提供する。
【解決手段】ゴボフィルタ装置1は、板状の模擬媒体22が形成された1以上のゴボフィルタ20と、ゴボフィルタ20を揺動する揺動装置40とを備え、模擬媒体22は、揺動装置40からの外力により部分的に揺動可能に形成される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の模擬媒体が形成された1以上のゴボフィルタと、
前記ゴボフィルタを揺動する揺動装置とを備え、
前記模擬媒体は、前記揺動装置からの外力により部分的に揺動可能に形成される
ゴボフィルタ装置。
【請求項2】
複数の前記ゴボフィルタは、互いに所定の間隔を空けて配置される
請求項1に記載のゴボフィルタ装置。
【請求項3】
複数の前記ゴボフィルタの厚みは、それぞれ異なる
請求項1または2に記載のゴボフィルタ装置。
【請求項4】
1つの前記ゴボフィルタに形成されている前記模擬媒体の厚み、長さ、前記模擬媒体を対向して見た場合の面積、および、前記模擬媒体の幅が部分的に異なる
請求項1または2に記載のゴボフィルタ装置。
【請求項5】
前記ゴボフィルタは、金属である
請求項1または2に記載のゴボフィルタ装置。
【請求項6】
前記ゴボフィルタは、エッチング工法で形成されている
請求項5に記載のゴボフィルタ装置。
【請求項7】
前記模擬媒体は、部分的な折り目と、曲げによって立体的に形成される
請求項1または2に記載のゴボフィルタ装置。
【請求項8】
1以上の前記ゴボフィルタにおける前記模擬媒体は、樹木および枝葉を模しており、
前記模擬媒体の樹木および枝葉に含まれる1以上の葉には、穴の模様およびC字状の模様のうちの少なくとも1つが形成される
請求項1または2に記載のゴボフィルタ装置。
【請求項9】
1以上の前記ゴボフィルタにおける前記模擬媒体は、樹木および枝葉を模しており、
前記模擬媒体の樹木および枝葉に含まれる複数の葉には、複数の異なる模様が形成され、
前記模擬媒体の樹木および枝葉に含まれる複数の葉は、それぞれの大きさが異なる
請求項1または2に記載のゴボフィルタ装置。
【請求項10】
前記揺動装置は、1以上の前記ゴボフィルタに対して空気を吹き付けるファンを含む
請求項1または2に記載のゴボフィルタ装置。
【請求項11】
前記揺動装置は、1以上の前記ゴボフィルタを直接揺動させるアクチュエータを含む
請求項1または2に記載のゴボフィルタ装置。
【請求項12】
前記ゴボフィルタ、および、前記揺動装置を収容する筐体と、
前記筐体の内部に配置した太陽電池とを備え、
前記太陽電池は、
光源からの光で発電可能であり、
前記模擬媒体を揺動するための電力を前記揺動装置に供給する
請求項1または2に記載のゴボフィルタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照射面に投光影像を映し出すことができるゴボフィルタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、働き方改革等に伴って能率的なオフィス空間が求められている。このため、多様な働き方、個人の性格、および、環境の変化に合わせて細分化された空間に高い価値を有するオフィス空間が必要となる。例えば、オフィス空間には、集中力を高める工夫、高いリフレッシュ効果を与える工夫等が必要となる。そこで、視覚的にリフレッシュ効果を与えるものとして、バイオフィリアと呼ばれる自然界の現象が知られている。バイオフィリアは、屋外で時々経験す木漏日、水面の光の揺らぎ等である。バイオフィリアは、光と影の揺らぎにより、人間の感性に浸透し、高い癒し効果を有することが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、半透明部と、半透明部の後方に設けられた投影体と、投影体の後方に設けられた光源と、投影体を駆動する駆動手段とを備え、光源が発する光によって投影体の影が半透明部に投影される影絵時計が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術は、単調な変化の乏しい影絵的なものであり、バイオフィリアのような高い癒し効果は期待しがたい。そこで、よりリアルな動きを狙い、映像として投射するプロジェクターを用いることが考えられる。しかしながら、投射像は明るさに欠けており、同じ映像の繰り返しとなるため、次第に癒し効果が薄れてしまう恐れがある。また、プロジェクターは、高価であり、投射できる空間も限られる。
【0006】
そこで、本開示は、安価であり、明るく自然な光と影の揺らぎを再現した投光影像を照射面に表示させることができるゴボフィルタ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係るゴボフィルタ装置は、板状の模擬媒体が形成された1以上のゴボフィルタと、前記ゴボフィルタを揺動する揺動装置とを備え、前記模擬媒体は、前記揺動装置からの外力により部分的に揺動可能に形成される。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係るゴボフィルタ装置によれば、安価であり、明るく自然な光と影の揺らぎを再現した投光影像を照射面に表示させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態に係るゴボフィルタ装置および照明装置を示す模式図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係るゴボフィルタ装置および照明装置を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係るゴボフィルタ装置と照明装置とを示す断面図、および、投光影像を示す図である。
【
図4】
図4は、揺動装置がゴボフィルタを揺動させない場合と揺動させる場合とを示す図である。
【
図5】
図5は、第1ゴボフィルタ、第2ゴボフィルタおよび第3ゴボフィルタを示す図である。
【
図6】
図6は、折り目のないゴボフィルタと、折り目のあるゴボフィルタとを示す平面図である。
【
図7】
図7は、ゴボフィルタの枠部と、模擬媒体の一部分とを示す図である。
【
図8】
図8は、ゴボフィルタの枠部に連結された模擬媒体を示す図である。
【
図9】
図9は、時間の経過に応じて、模擬媒体における2枚の葉が揺らぐ様子、および、模擬媒体における2つの樹木が揺らぐ様子を示す平面図である。
【
図10】
図10は、模擬媒体における樹木の種類を示す図である。
【
図11】
図11は、ゴボフィルタ装置と照明装置とを示す断面図、ゴボフィルタ装置の筐体およびゴボフィルタを示す別の断面図である。
【
図12】
図12は、実施の形態の変形例に係るゴボフィルタ装置および照明装置を示すブロック図である。
【
図13】
図13は、ゴボフィルタ装置と照明装置とを示す断面図、ゴボフィルタ装置の筐体およびゴボフィルタを示す別の断面図である。
【
図14】
図14は、ゴボフィルタ装置と照明装置とを示す断面図である。
【
図15】
図15は、アクチュエータによって動かされるゴボフィルタを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0011】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0012】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
【0013】
また、以下の実施の形態において、略平行および筒状等の表現を用いている。例えば、略平行および筒状は、完全に平行および筒体であることを意味するだけでなく、実質的に平行および筒体である、すなわち、例えば数%程度の誤差を含むことも意味する。また、略平行および筒状は、本開示による効果を奏し得る範囲において略平行および筒状という意味である。他の「略」、「状」を用いた表現についても同様である。
【0014】
(実施の形態)
<構成>
まず、
図1~
図10を参照しながら、本実施の形態に係るゴボフィルタ装置1の構成について説明する。
【0015】
図1は、実施の形態に係るゴボフィルタ装置1および照明装置100を示す模式図である。
図2は、実施の形態に係るゴボフィルタ装置1および照明装置100を示すブロック図である。
図3は、実施の形態に係るゴボフィルタ装置1と照明装置100とを示す断面図、および、投光影像を示す図である。
図4は、揺動させない場合(
図4の(a))と揺動装置40がゴボフィルタ20を揺動させる場合(
図4の(b))とを示す図である。
図5は、第1ゴボフィルタ20a、第2ゴボフィルタ20bおよび第3ゴボフィルタ20cを示す図である。
図5の(a)は第1ゴボフィルタ20a、
図5の(b)は第2ゴボフィルタ20b、
図5の(c)は第3ゴボフィルタ20cを示す平面図である。
図5の(d)は、第1ゴボフィルタ20a、第2ゴボフィルタ20bおよび第3ゴボフィルタ20cを重ねた場合を示す平面図である。
図5の(e)は、第1ゴボフィルタ20a、スペーサ23、第2ゴボフィルタ20b、スペーサ23および第3ゴボフィルタ20cを重ねた場合を示す側面図である。
図6は、折り目のないゴボフィルタ20(
図6の(a))と、折り目のあるゴボフィルタ20(
図6の(b))とを示す平面図である。
図7は、ゴボフィルタ20の枠部21と、模擬媒体22の一部分とを示す図である。
図7の(a1)~(a7)は、長さおよび太さの異なる模擬媒体22の葉と枝に相当する部分の平面図、
図7の(b1)~(b7)は、模擬媒体22の葉と枝に相当する部分の側面図である。
図8は、ゴボフィルタ20の枠部21に連結された模擬媒体22を示す図である。
図9は、時間の経過に応じて、模擬媒体22における2枚の葉が揺らぐ様子(
図9の(a1)~(a4))、および、模擬媒体22における2つの樹木が揺らぐ様子(
図9の(b1)~(b3))を示す平面図である。
図10の(a)~(c)は、模擬媒体22における樹木の種類を示す図である。
【0016】
図1に示すように、ゴボフィルタ装置1は、照明装置100に対して着脱可能である。照明装置100は、例えば、スポットライト、ダウンライト等である。ゴボフィルタ装置1は、照明装置100における灯具100aから出射される光の出射方向に装着されることで、照明装置100が発した光を透過させることができる。本実施の形態では、ゴボフィルタ装置1を照明装置100の灯具100aに取り付ける場合を例示するが、例えば、太陽光が差し込む窓、ドア等にゴボフィルタ装置1を取り付けることもできる。照明装置100は、光源の一例であってもよい。また、灯具100aは、光源の一例であってもよい。
【0017】
また、ゴボフィルタ装置1は、照明装置100に装着されることで、照明装置100が発した光をフィルタリングすることができる。具体的には、照明装置100の発した光がゴボフィルタ装置1の内部を透過する際に、ゴボフィルタ装置1は、透過する光の一部をフィルタリングすることができる。フィルタリングされた光が照射面に照射されると、照射面には、陰影および色味が表れる。つまり、ゴボフィルタ装置1は、ゴボフィルタ装置1の内部を透過した光が照射面に照射されたときに、投光影像に陰影が表れるようにしたり、投光影像に色味が表れるようにしたりすることができる。つまり、ゴボフィルタ装置1は、模擬媒体22および第1レンズ31を介して、光と影が揺らぐ投光影像となる照明装置100が発した光を照射面に映し出す。ここで、投光影像は、例えば、木漏れ日であるが水面光であってもよい。
図1では、投光影像として木漏れ日を例示している。
【0018】
図2及び
図3に示すように、照明装置100は、発光モジュール101と照明用の電源部102とを含む灯具100aを有している。発光モジュール101および照明用の電源部102は、灯具100aの灯体に収容されている。発光モジュール101は、基板101aと、1以上の発光素子101bとを有している。基板101aは、1以上の発光素子101bを実装するための実装面を有している実装基板である。1以上の発光素子101bのそれぞれは、LEDチップと、LEDチップが出射した光を波長変換することで蛍光を出射する蛍光体とを有している。1以上の発光素子101bのそれぞれが発した光は、照明装置100に装着されたゴボフィルタ装置1に入射する。1以上の発光素子101bのそれぞれが発した光、つまり照明装置100が発した光は、白色光である。なお、照明装置100が発した光は、白色光に限定されず、他の色の光でもよい。発光素子101bは、光源の一例であってもよい。
【0019】
ゴボフィルタ装置1は、筐体10と、1以上のゴボフィルタ20と、第1レンズ31と、揺動装置40とを備えている。
【0020】
図3に示すように、筐体10は、照明装置100の灯具100aに対して着脱可能である。筐体10は、例えば、ネジ、留め具等の固定部材によって照明装置100の灯具100aに着脱できてもよく、筐体10に形成された連結部と照明装置100の灯具100aに形成された被連結部とを連結することで照明装置100の灯具100aに着脱できてもよい。例えば、連結部は雌ネジであり、被連結部は雄ネジである。
【0021】
また、筐体10は、筒状をなし、光を透過することが可能なように、前端および後端で開口している。本実施の形態では、筐体10は、前端および後端で開口した円形の筒状であるが、多角形の筒状であってもよい。
【0022】
ここで、後端とは筐体10に光が入射する側の端部でありゴボフィルタ装置1の入口11に相当する。また、前端とは筐体10を透過した光が出射する側の端部でありゴボフィルタ装置1の出口12に相当する。つまり、本実施の形態における筐体10内を通過する光の光路は、入口11と出口12とを結ぶ直線状である。
【0023】
また、筐体10は、1以上のゴボフィルタ20と、揺動装置40と、第1レンズ31とを収容している。筐体10に収容されている1以上のゴボフィルタ20、揺動装置40および第1レンズ31は、筐体10の内部に入射した光がゴボフィルタ装置1の外部に出射可能なように、筐体10内に配置されている。
【0024】
ゴボフィルタ20は、
図4の(a)のように揺動装置40からの外力を加えない場合と、
図4の(b)のように外力を加える場合とによってゴボフィルタ20の模擬媒体22を揺動させることで、照明装置100の発した光による投光影像に陰影が表れるようにするためのフィルタである。ゴボフィルタ20を介した投光影像は、各部分がランダムに揺動できる。
【0025】
本実施の形態では、1以上のゴボフィルタ20が筐体10に設けられているが、複数のゴボフィルタ20における厚みは、それぞれ異なっている。複数のゴボフィルタ20は、互いに所定の間隔を空けて配置される。例えば、
図5の(a)~(c)に示すように、3つのゴボフィルタ20を用いた場合、第1ゴボフィルタ20aの厚みt1、第2ゴボフィルタ20bの厚みt2、第3ゴボフィルタ20cの厚みt3はそれぞれ異なる。例えば、t1は0.01mm、t2は0.5mm、t3は0.05mmであってもよい。なお、t1、t2、t3はあくまでも一例であり、本開示に限定されない。
【0026】
また、
図5の(d)、(e)に示すように、複数枚のゴボフィルタ20を重ねる場合、隣り合う2つのゴボフィルタ20の間に円環状のスペーサ23が設けられていてもよい。
【0027】
ゴボフィルタ20は、アルミニウムおよびステンレス等の金属で全体が構成されている。ゴボフィルタ20では、厚みの薄いアルミニウム板、ステンレス板等の打ち抜き工法またはエッチング工法によって、模擬媒体22が形成されている。
【0028】
具体的には、ゴボフィルタ20は、枠部21と、1以上の模擬媒体22とを有している。
【0029】
枠部21は、筐体10の内部に連結可能であり、筐体10の内部構造に応じた形状である。本実施の形態では、枠部21は円環状をなしている。例えば、
図5の(a)では、外径Aが72mmであり、内径Bが60mmである。なお、外径および内径はあくまでも一例であり、本開示に限定されない。
【0030】
模擬媒体22は、枠部21の内側に配置され、枠部21に一体的に連結されている。一体的に連結とは、ゴボフィルタ20を破壊すること無しに模擬媒体22を枠部21から分離不能であることを意味する。このため、枠部21と模擬媒体22とは同一の材料で構成されている。
【0031】
模擬媒体22は、例えば、木、花等の植物であり、樹木および枝葉が模擬された媒体である。このため、模擬媒体22が木の場合、模擬媒体22の一端の端部が枠部21に連結され、他端が自由端になっている。
【0032】
模擬媒体22は、板状をなした立体または平面体である。本実施の形態では、
図6に示すように、模擬媒体22は、部分的な折り目と、曲げによって立体的に形成されている。模擬媒体22が実際の植物を模擬した立体である場合、植物の幹と、葉とを有していてもよい。
【0033】
例えば、
図6の(a)、(b)に示すように、金属板に対して打ち抜き工法またはエッチング工法で制作した模擬媒体22において、模擬媒体22の1か所以上に折り目を付け、折り曲げることで、模擬媒体22が立体的に形成できる。
図6の(b)に示すように、模擬媒体22の枝の部分A、Bに相当する部分を折り曲げることで、模擬媒体22を立体的に形成している。
【0034】
また、模擬媒体22は、揺動装置40により機械的に揺動させられる。つまり、模擬媒体22は、揺動装置40からの外力により部分的に可動可能に形成される。例えば、模擬媒体22は、揺動装置40によって小刻みに揺れるように可動することができる。
【0035】
具体的には、
図7の(a1)~(a7)、(b1)~(b7)に示すように、模擬媒体22は、厚み、長さ、模擬媒体22を対向して見た場合の面積、および、模擬媒体22の幅が部分的に異なるように構成されている。この場合、模擬媒体22における複数の部材は、材質、太さおよび重さがそれぞれ異なる。このため、揺動装置40が模擬媒体22に対して断続的な力または連続的な力を付与すると、模擬媒体22における複数の部材のそれぞれは、動き方の違い、時間的な遅延が生じるように可動する。つまり、模擬媒体22における複数の部材のそれぞれは、不規則に揺れる。また、揺動装置40を停止すると、模擬媒体22は、元の姿勢に戻る。
【0036】
例えば、模擬媒体22が樹木の場合では、太い幹、細い枝、枝の末端部のように、太さ、および、長さが異なることで、同じ材質であっても、揺動装置40によって模擬媒体22が揺動したときに、それぞれの部材の曲がり具合、および、しなり具合が異なる。このため、模擬媒体22は、それぞれの部材において動き方に違いが生じるように可動できる。また、時間的な遅延が生じるように模擬媒体22が可動することで、模擬媒体22は自然に近い多様な揺動状態を再現することができる。また、それぞれの部材が同じ太さであっても、長さが異なることで、模擬媒体22は、動き方の違い、時間的な遅延が生じるように可動できる。また、葉に相当する部材の大きさおよび形等を変えることで、さらに多様で大きな動きも可能になる。
【0037】
また、1つの枝に複数の葉群が形成されている場合では、模擬媒体22の姿勢に応じて、枝および葉群の重みで垂れ下がる程度であり、揺動装置40が模擬媒体22に外力を加えても、枝に対して葉群がランダムに揺動することができる。揺動装置40が模擬媒体22を揺動させることで、照射面に投光影像が照射されたときに、自然に近い多様な揺動状態が投光影像によって再現できる。
【0038】
例えば、模擬媒体22が枠部21に固定された片持ち梁構造の場合、模擬媒体22の厚みtが薄く、長さLが長く、平面視での模擬媒体22の面積Sが大きく、幅Hが狭いほど、同じ外力を加えた場合に垂れ下がる変位gが大きくなる。また、模擬媒体22における重さ、重心および弾性係数の違いによっても固有振動数が異なるため、1つのゴボフィルタ20における模擬媒体22において、各部の動きおよび揺動幅を変えることができる。
【0039】
例えば、幹に相当する部材を第1厚さにし、小枝と葉群に相当する部材を第1厚さよりも薄い第2厚さにする。これにより、第2厚さの小枝と葉群は、揺動装置40からの外力によって揺れやすくなる。
【0040】
このように、模擬媒体22における厚み、長さ、模擬媒体22を対向して見た場合の面積、および、模擬媒体22の幅を部分的に異ならせることで、複数のゴボフィルタ20を重ねた場合、自然に近い多様な揺動状態が投光影像によって再現できる。例えば、
図5の(a)~(e)に示すように、第1ゴボフィルタ20a、第2ゴボフィルタ20bおよび第3ゴボフィルタ20cがこの順番で並んで配置されている。第2ゴボフィルタ20bの模擬媒体22と第3ゴボフィルタ20cの模擬媒体22とが対応して重なるように配置される。第1ゴボフィルタ20aの模擬媒体22は樹木を模しており、第2ゴボフィルタ20bの模擬媒体22は樹木の幹を模しており、第3ゴボフィルタ20cの模擬媒体22は小枝と葉群とを模している。揺動装置40からの外力によって、第1ゴボフィルタ20aおよび第3ゴボフィルタ20cにおける模擬媒体22は、ランダムに揺れることができる。第2ゴボフィルタ20bにおける模擬媒体22は、ランダムに揺動することで実際の樹木が風に揺れる木漏れ日を再現できる。
【0041】
また、本実施の形態では、模擬媒体22は、1つのゴボフィルタ20に複数設けられている。複数の模擬媒体22のそれぞれは異なる面積であってもよい。本実施の形態では、
図8に示すように、模擬媒体22を構成する枝の幅を約2~3mm、葉の長径を約1~3mm、葉群に連結されている小枝の幅を約1mmに設定してもよい。また、模擬媒体22の一端と枠部21との連結部分において、応力を分散させるために円弧状に丸みを付けてもよい。
【0042】
また、
図9の(a1)~(a4)、(b1)~(b3)に示すように、模擬媒体22の樹木および枝葉に含まれる1以上の葉には、穴の模様およびC字状の模様のうちの少なくとも1つが形成されていてもよい。本実施の形態では、模擬媒体22の葉に穴の模様およびC字状の模様であるピンホール25が形成されている。この場合、
図9の(a1)~(a4)に示すように、接近した2枚の葉が揺動することで互いに重なり合うことで穴の模様を形成してもよい。このような穴の模様は、模擬媒体22における複数の葉が揺動して互いに重なり合うことで、円形状、楕円状およびカギ状となる。
【0043】
また、模擬媒体22の樹木および枝葉に含まれる複数の葉には、複数の異なる模様が形成されている。模擬媒体22の樹木および枝葉に含まれる複数の葉は、それぞれの大きさが異なる。本実施の形態において、図に示すように、模擬媒体22は、楕円状の葉を有する樹木、ピンホール25が形成された葉を有する樹木、棘状の葉を有する樹木であってもよい。また、
図10の(a)~(b)では、模擬媒体22における樹木を例示しているだけであり、他の公知の樹木を模した模擬媒体も本開示の模擬媒体22に含まれる。
【0044】
また、
図3及び
図4に示すように、模擬媒体22は、枠部21を介して筐体10に支持されている。この場合、模擬媒体22は、揺動装置40から振動を与えられることで揺動する。なお、模擬媒体22が揺動装置40に支持されていてもよい。この場合、模擬媒体22は、揺動装置40の駆動とともに揺動する。
【0045】
また、模擬媒体22には、照明装置100の発した光が照射される。この場合、模擬媒体22が揺動装置40によって可動すると、模擬媒体22を介した光が照射面に照射されれば、照射面に模擬媒体22による光と影の揺らぎを表すことができる。ここで、模擬媒体22を介した光とは、模擬媒体22を透過せずに模擬媒体22の傍を通過した光を意味する。
【0046】
模擬媒体22は、第1レンズ31に対して照明装置100側またはその反対側に配置されている。
図3では、模擬媒体22は、第1レンズ31に対して照明装置100側に配置されている場合を例示している。つまり、模擬媒体22は、第1レンズ31よりも照明装置100に近い側、つまりゴボフィルタ装置1の後端側に配置されている場合を例示している。模擬媒体22は、ゴボフィルタ装置1の入口11近傍に配置されていることが好ましい。なお、模擬媒体22は、第1レンズ31よりも照明装置100から遠い側に配置されてもよい。つまり、模擬媒体22は、ゴボフィルタ装置1の前端側に配置されてもよい。
【0047】
第1レンズ31は、照明装置100の発した光でありゴボフィルタ20を通過した光を透過させ、投光影像を対象物に投射することができる投射レンズまたはフィールドレンズである。つまり、第1レンズ31は、照射面に光を結像させることができる。本実施の形態では、第1レンズ31は、凸レンズである。第1レンズ31は、広角配光、狭角配光、減光、光散乱等の光学制御機能を有していてもよい。
【0048】
本実施の形態では、第1レンズ31は、模擬媒体22よりも照明装置100から遠い側に配置される。具体的には、第1レンズ31は、筐体10の前端側の開口を覆った状態で、筐体10に固定されている。なお、第1レンズ31は、模擬媒体22に対して照明装置100側に配置されていてもよい。つまり、第1レンズ31は、模擬媒体22よりも照明装置100に近い側、つまりゴボフィルタ装置1の後端側に配置されてもよい。また、第1レンズ31以外にも1以上の別のレンズが配置されていてもよい。また、第1レンズ31は、ゴボフィルタ装置1の前方側と後方側とに配置されていてもよい。
【0049】
また、第1レンズ31は、樹脂製である。なお、第1レンズ31は、ガラス製であってもよい。
【0050】
揺動装置40は、ゴボフィルタ20の模擬媒体22を揺動可能であ。具体的には、揺動装置40は、模擬媒体22を1/fゆらぎで可動させることができる。より具体的には、揺動装置40は、模擬媒体22に対して、断続的な力または連続的な力を付与する。つまり、揺動装置40は、断続的な力または連続的な力によって模擬媒体22を構成する複数の部材のそれぞれに対して、動き方の違い、時間的な遅延を発生させる。これにより、模擬媒体22が1/fゆらぎで可動するため、投光影像が1/fゆらぎで光と影の揺らぎを再現できる。なお、模擬媒体22の可動のさせ方は、1/fゆらぎに限らず、単純な繰り返し可動を含む多様な人工的可動であってもよい。
【0051】
例えば、揺動装置40は、1以上のゴボフィルタ20に対して空気を吹き付けるファンを含んでいる。この場合、揺動装置40は、1以上のゴボフィルタ20における模擬媒体22に空気を吹き付けることができる。このため、模擬媒体22に吹き付けられる空気によって、模擬媒体22の周囲に乱流が生じ、より自然に近いリズムの動きを実現できる。これにより、投光影像に自然な陰影を再現することができる。
【0052】
また、揺動装置40は、筐体10に複数設けられていてもよい。揺動装置40がファンの場合、模擬媒体22に対してさらに多様な揺動が可能になる。
【0053】
また、
図2および
図3に示すように、揺動装置40は、模擬媒体22を可動させる力を制御する制御回路41を有している。
【0054】
制御回路41は、模擬媒体22の可動を制御する。具体的には、制御回路41は、模擬媒体22を可動させる力を模擬媒体22に付与するタイミング、模擬媒体22に付与する力の強弱、模擬媒体22に付与する力の時間的変化等を制御する。つまり、制御回路41は、揺動装置40を断続的または連続的に駆動制御する。
【0055】
本実施の形態の揺動装置40には、揺動装置40を駆動する電力を付与する電池が搭載されていてもよい。また、電池は、筐体10に搭載されていてもよい。また、電池は、一次電池または二次電池である。電池が二次電池である場合、ゴボフィルタ装置1は、発電可能なソーラセル(光変換素子)などの発電素子を有する電源部を有していてもよい。この場合、ソーラセルが発電した電気エネルギーを、二次電池に蓄電することができる。
【0056】
また、ゴボフィルタ装置1には、電池が搭載されていなくてもよい。この場合、揺動装置40は、照明装置100の電源部102から供給された電力で駆動してもよい。
【0057】
<作用効果>
本実施の形態におけるゴボフィルタ装置1の作用効果について説明する。
【0058】
上述したように、本実施の形態のゴボフィルタ装置1は、板状の模擬媒体22が形成された1以上のゴボフィルタ20と、ゴボフィルタ20を揺動する揺動装置40とを備え、模擬媒体22は、揺動装置40からの外力により部分的に揺動可能に形成される。
【0059】
これによれば、揺動装置40が模擬媒体22に対して外力を与えることができるため、模擬媒体22が部分的に異なる動きをすることができる。例えば、外力として空気を模擬媒体22に吹き付ける場合、模擬媒体22の周囲に乱流が生じ、模擬媒体22がより自然に近いリズムで揺動することができる。このため、ゴボフィルタ20に光を照射した場合、模擬媒体22が前後に変化することで、ピントが合うところと、ボケるところとが混在し、より自然な陰影に近づく。例えば、樹木の枝葉群を形成した模擬媒体22では、周囲の環境が明るくても自然な陰影の木漏れ日(光と影の投光影像)を再現することができる。
【0060】
また、従来の技術のように、高価なプロジェクターを用いずとも、自然な光と影の揺らぎを再現することができる。
【0061】
したがって、本開示によれば、安価であり、明るく自然な光と影の揺らぎを再現した投光影像を照射面に表示させることができる。
【0062】
また、本実施の形態のゴボフィルタ装置1において、複数のゴボフィルタ20は、互いに所定の間隔を空けて配置される。
【0063】
これによれば、複数のゴボフィルタ20のそれぞれの位置をずらして配置することができるため、それぞれのゴボフィルタ20におけるピントが異なることで、遠近感のある投光影像を実現することができる。また、前後の葉群のランダムな揺動によって、重なり具合が変化するため、自然の木漏れ日に近い変化を投光影像で表現することができる。また、樹木の枝葉群を形成した模擬媒体22では、より密集した枝葉群の投光影像を表現することができる。
【0064】
また、本実施の形態のゴボフィルタ装置1において、複数のゴボフィルタ20の厚みは、それぞれ異なる。
【0065】
これによれば、揺動装置40から同じ外力を複数のゴボフィルタ20のそれぞれに加えても、複数のゴボフィルタ20のそれぞれの厚みを異ならせることで、それぞれのゴボフィルタ20における模擬媒体22の揺動幅を異ならせることができる。
【0066】
また、樹木を形成した模擬媒体22では、幹が動かないように幹の厚みを厚くすることができる。
図5のように厚みを変えることで、風により、前後の枝葉群はそれぞれの振幅で揺れ、幹は葉群よりも静止しているという自然な陰影を表現できる。このため、実際の木漏れ日を模した揺れ方を実現した投光影像を照射面に再現することができる。
【0067】
また、本実施の形態のゴボフィルタ装置1において、1つのゴボフィルタ20に形成されている模擬媒体22の厚み、長さ、模擬媒体22を対向して見た場合の面積、および、模擬媒体22の幅が部分的に異なる。
【0068】
これによれば、模擬媒体22の部位によって、重さ、重心、弾性係数の違いにより固有振動数が異なるため、揺動振幅、振動方向、振動周期等を異ならせることができる。このため、より実際の木漏れ日を模した揺れ方を実現した投光影像を照射面に再現することができる。
【0069】
また、本実施の形態のゴボフィルタ装置1において、ゴボフィルタ20は、金属である。
【0070】
これによれば、ゴボフィルタ20は、照明装置100の近傍に配置されるため、輻射熱および熱伝導で温度が上昇しやすい環境にあるが、金属であるため、樹脂よりも変形しにくい。このため、ゴボフィルタ装置1では、安定して長時間の揺動を実現することが可能になる。
【0071】
また、本実施の形態のゴボフィルタ装置1において、ゴボフィルタ20は、エッチング工法で形成されている。
【0072】
例えば、木漏れ日等の再現を狙う模擬媒体22のデザインは、緻密な模様が必要になる場合がある。しかしながら、打ち抜きまたは手作りでは、模擬媒体22を緻密に製造する場合、製造コストが高騰化してしまう。
【0073】
しかしながら、エッチングでは、1mm以下の詳細模様を形成することも可能であり、より自然の木漏れ日に近いリアルな投光影像を表現することができる。
【0074】
また、本実施の形態のゴボフィルタ装置1において、模擬媒体22は、部分的な折り目と、曲げによって立体的に形成される。
【0075】
これによれば、模擬媒体22を立体化させることで、揺動装置40からの外力に対して、様々な方向に揺れることができる。
【0076】
また、立体的になることで、ピントがシャープな箇所と、ピントがぼやけた部分とが共存するため、遠近感およびリアルで自然な陰影を再現することができる。
【0077】
また、本実施の形態のゴボフィルタ装置1において、1以上のゴボフィルタ20における模擬媒体22は、樹木および枝葉を模している。そして、模擬媒体22の樹木および枝葉に含まれる1以上の葉には、穴の模様およびC字状の模様のうちの少なくとも1つが形成される。
【0078】
これによれば、複数の枝葉群が風に揺れるなどして葉または葉群どうしが近づいて重なり合ったり、離れたりする過程で、葉で囲まれた穴(ピンホール25)を通して円状および楕円状等の光が映し出されるというピンホール効果を実現することができる。このため、葉の重なりが大きくなったり小さくなったりするという揺らぎ具合等によって、主として木漏れ日を再現することができる。
【0079】
また、本実施の形態のゴボフィルタ装置1において、1以上のゴボフィルタ20における模擬媒体22は、樹木および枝葉を模している。また、模擬媒体22の樹木および枝葉に含まれる複数の葉には、複数の異なる模様が形成される。そして、模擬媒体22の樹木および枝葉に含まれる複数の葉は、それぞれの大きさが異なる。
【0080】
これによれば、複数の葉群がランダムに揺動する投光影像によって、木漏れ日を再現することができる。また、葉の形および大きさを異ならせることで、葉群ごとに大きさおよび形を異ならせることができるため、より自然な陰影を再現することができる。
【0081】
また、本実施の形態のゴボフィルタ装置1において、揺動装置40は、1以上のゴボフィルタ20に対して空気を吹き付けるファンを含む。
【0082】
これによれば、木漏れ日および水面光の揺らぎ等の自然の癒し効果を有する風という駆動源をゴボフィルタ20に吹き付けることで、より自然な陰影を再現することができる。
【0083】
(実施の形態の変形例1)
本変形例のゴボフィルタ装置1aは、発電可能な電源部50および第2レンズ32を備えている点で実施の形態のゴボフィルタ装置と相違する。本変形例のゴボフィルタ装置1aの構成および機能は、実施の形態のゴボフィルタ装置の構成および機能と同一の構成および機能については同一の符号を付して構成および機能に関する詳細な説明を省略する。
【0084】
図11および
図12を参照し、本変形例に係るゴボフィルタ装置1aについて説明する。
【0085】
図11は、ゴボフィルタ装置1aと照明装置100とを示す断面図、ゴボフィルタ装置1aの筐体10およびゴボフィルタ20を示す別の断面図である。
図12は、実施の形態の変形例に係るゴボフィルタ装置1aおよび照明装置100を示すブロック図である。
【0086】
ゴボフィルタ装置1aは、さらに発電可能な電源部50を備えている。
【0087】
電源部50は、揺動装置40および制御回路41の動力源である。電源部50は、例えば、プリント基板に複数の電子部品が実装された電源回路である。本変形例の電源部50は、筐体10に収容されている。
【0088】
本変形例の揺動装置40には、照明装置100からの電力が供給されなくてもよい。このため、ゴボフィルタ装置1aには、照明装置100から給電用の電源配線を設けなくてもよい。また、本変形例のゴボフィルタ装置1aでは、電源配線が設けられないため、ゴボフィルタ装置1aと照明装置100との着脱が容易になる。
【0089】
また、電源部50は、ゴボフィルタ装置1aに搭載され、揺動装置40を駆動する電力を付与する蓄電素子51を有している。蓄電素子51は、二次電池であり、電気エネルギーを蓄積する。
【0090】
また、電源部50は、ソーラセルなどの発電可能な発電素子52をさらに有している。発電素子52は、照明装置100が出射した光を受光することで、発電することが可能である。また、発電素子52は、発生させた電気エネルギーを蓄電素子51に蓄電させることができる。この場合、蓄電素子51として、コンデンサ等の小容量の蓄電部材も使用できる。蓄電素子51および発電素子52が、本開示の太陽電池を構成している。
【0091】
また、蓄電素子51および発電素子52は、筐体10の内部に配置される。つまり、電源部50は、照明装置100からの光で発電することが可能となるように設けられている。
【0092】
具体的には、電源部50の発電素子52は、ゴボフィルタ装置1aの内部に配置されている。例えば、電源部50の発電素子52は、円環状をなしており、筐体10の前後方向を軸心とした場合、筐体10の内周面に沿って配置されている。つまり、発電素子52は、発電素子52の受光面と筐体10の前後方向とが略平行な姿勢となるように配置されている。
【0093】
より具体的には、発電素子52は、照明装置100が出射した光が直接的に照射されるように配置されている。つまり、発電素子52は、模擬媒体22よりも第1レンズ31側に配置されている。このため、発電素子52の受光面が前後方向と略平行な姿勢となるように配置されても、発電素子52は、照明装置100から直接出射された光、および、ゴボフィルタ装置1a内部での反射光を受光することができる。このように、発電素子52は、光によって発電をすることと、ゴボフィルタ装置1aを透過する光を遮光しないように配置することとができる。また、発電素子52によってゴボフィルタ装置1aを透過する光の量が減少し難いため、このゴボフィルタ装置1aでは、照射面に明るい投光影像を照射することができる。
【0094】
電源部50は、模擬媒体22を揺動するための電力を揺動装置40に供給することができる。揺動装置40は、筐体10の収容部14に収容されている。収容部14は、筐体10のゴボフィルタ20等が配置されている収容空間よりも径外方向の突出した凸状の部分である。揺動装置40の制御回路41は、電源部50からの電力によって揺動装置40のファン42を駆動させることができる。
【0095】
第2レンズ32は、ゴボフィルタ装置1aにおける照明装置100側に配置されている。第2レンズ32は、凸レンズ状のフィールドレンズである。また、第2レンズ32は、広角配光、狭角配光、減光、光散乱等の光学制御機能を有していてもよい。また、第2レンズ32は、樹脂製である。なお、第2レンズ32は、ガラス製であってもよい。第2レンズ32は、本開示のレンズに含まれる。
【0096】
2つの第1レンズ31と第2レンズ32との間には、模擬媒体22が配置されている。つまり、第2レンズ32は、筐体10の後端と模擬媒体22との間に配置されている。なお、模擬媒体22は、2つの第1レンズ31よりも第2レンズ32近傍に配置されていることが好ましい。
【0097】
また、
図13を参照し、発電素子52の配置における別の例について説明する。
【0098】
図13は、ゴボフィルタ装置1a1と照明装置100とを示す断面図、ゴボフィルタ装置1a1の筐体10およびゴボフィルタ20を示す別の断面図である。
【0099】
別の例として、
図13に示すように、電源部50および揺動装置40は、収容部14に収容されていてもよい。また、電源部50は、筐体10内において、ゴボフィルタ20と第2レンズ32との間に配置されていてもよい。
【0100】
具体的には、発電素子52は、照明装置100が出射した光が直接的に照射されるように配置されている。つまり、発電素子52は、模擬媒体22よりも照明装置100側に配置されている。発電素子52の受光面が前後方向と略平行な姿勢となるように配置されても、発電素子52を照明装置100の近くに配置することで、発電素子52は、照明装置100から直接出射された光、および、ゴボフィルタ装置1a1内部での反射光を受光することができる。このように、発電素子52は、光によって良好に発電をすることと、ゴボフィルタ装置1a1を透過する光を遮光しないように配置することとができる。なお、照明装置100が出射した光が強い場合、または、駆動エネルギーが小さくて済む場合には、発電素子52は、模擬媒体22よりも第1レンズ31側に配置されていてもよい。
【0101】
このような、本変形例のゴボフィルタ装置1a、1a1において、ゴボフィルタ20、および、揺動装置40を収容する筐体10と、筐体10の内部に配置した太陽電池とを備える。そして、太陽電池は、光源からの光で発電可能であり、模擬媒体22を揺動するための電力を揺動装置40に供給する。
【0102】
これによれば、ゴボフィルタ装置1a、1a1に組み込まれている電源部50が電池ではなくソーラセル等の自立発電を有している。このため、ゴボフィルタ装置1a、1a1では、電池交換および照明器具からの配線による電力供給が不要となるため、高い信頼性を確保することができる。
【0103】
(実施の形態の変形例2)
本変形例のゴボフィルタ装置1bは、揺動装置40がアクチュエータ43を有する点等で実施の形態のゴボフィルタ装置と相違する。本変形例のゴボフィルタ装置1bの構成および機能は、実施の形態のゴボフィルタ装置の構成および機能と同一の構成および機能については同一の符号を付して構成および機能に関する詳細な説明を省略する。
【0104】
図14および
図15を参照し、本変形例に係るゴボフィルタ装置1bについて説明する。
【0105】
図14は、ゴボフィルタ装置1bと照明装置100とを示す断面図である。
図15は、アクチュエータ43によって動かされるゴボフィルタ20を示す図である。
図15の(a1)~(a3)では、揺動装置40のアクチュエータ43がゴボフィルタ20を前後に揺動させる場合を示している。
図15の(a1)~(a3)では、揺動装置40のアクチュエータ43がゴボフィルタ20を前後に揺動させる様子を示している。
図15の(b1)~(b3)では、揺動装置40のアクチュエータ43がゴボフィルタ20の前後方向を軸心として回転させる様子を示している。
【0106】
ゴボフィルタ装置1bは、さらに電源部50を備えている。
【0107】
電源部50は、揺動装置40および制御回路41の動力源である。電源部50は、例えば、プリント基板に複数の電子部品が実装された電源回路である。電源部50は、模擬媒体22を揺動するための電力を揺動装置40に供給することができる。
【0108】
本変形例の電源部50および揺動装置40は、筐体10の収容部14に収容されている。
【0109】
収容部14は、筐体10のゴボフィルタ20等が配置されている収容空間よりも径外方向の突出した凸状の部分である。揺動装置40の制御回路41は、電源部50からの電力によって揺動装置40のアクチュエータ43を駆動させることができる。アクチュエータ43は、電源部50から供給される電力によって駆動するリニアモータまたは回転モータを含んでいる。また、アクチュエータ43は、リニアモータまたは回転モータによって駆動するギア、シリンダー、ベルト等をさらに含んでいてもよい。アクチュエータ43におけるモータ回転軸の回転数は、制御回路41によって制御される。このため、模擬媒体22は、モータ回転軸と連動して可動することが可能である。
【0110】
例えば、
図15の(a1)~(a3)では、アクチュエータ43のリニアモータがゴボフィルタ20の一端に接続することで、前後方向にランダムでゴボフィルタ20を揺動させることができる。
【0111】
例えば、
図15の(b1)~(b3)では、アクチュエータ43の回転モータに連結されたギアがゴボフィルタ20の一端に接続することで、ゴボフィルタ20の前後方向を軸心としてゴボフィルタ20を周方向に回転させることで、ゴボフィルタ20を揺動させることができる。
【0112】
第2レンズ32は、ゴボフィルタ装置1bにおける照明装置100側に配置されている。第2レンズ32は、凸レンズ状のフィールドレンズである。また、第2レンズ32は、広角配光、狭角配光、減光および光散乱等の光学制御機能を有していてもよい。また、第2レンズ32は、樹脂製である。なお、第2レンズ32は、ガラス製であってもよい。
【0113】
2つの第1レンズ31と第2レンズ32との間には、模擬媒体22が配置されている。つまり、第2レンズ32は、筐体10の後端と模擬媒体22との間に配置されている。なお、模擬媒体22は、2つの第1レンズ31よりも第2レンズ32近傍に配置されていることが好ましい。
【0114】
このような、本変形例のゴボフィルタ装置1bにおいて、揺動装置40は、1以上のゴボフィルタ20を直接揺動させるアクチュエータ43を含む。
【0115】
これによれば、アクチュエータ43によって、ゴボフィルタ20をランダムに動かせることができるため、木漏れ日および水面光の揺らぎ等の自然の癒し効果を有する風に近い自然な揺動を実現することができる。このため、自然な陰影を再現することができる。
【0116】
(その他の変形例)
以上、本開示に係るゴボフィルタ装置について、上記実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思い付く各種変形を実施の形態に施したものも、本開示の範囲に含まれてもよい。
【0117】
例えば、上記実施の形態に係るゴボフィルタ装置に含まれる制御回路等は典型的に集積回路であるLSI(Large Scale Integration)として実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
【0118】
また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0119】
なお、上記実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサ等のプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリ等の記憶媒体に記憶されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0120】
また、上記で用いた数字は、全て本開示を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の実施の形態は例示された数字に制限されない。
【0121】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0122】
また、フローチャートにおける各ステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
【0123】
なお、上記の実施の形態に対して当業者が思い付く各種変形を施して得られる形態、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【0124】
(付記)
以下に、上記実施の形態に基づいて説明したゴボフィルタ装置の特徴を示す。
【0125】
<技術1>
板状の模擬媒体が形成された1以上のゴボフィルタと、
前記ゴボフィルタを揺動する揺動装置と備え、
前記模擬媒体は、前記揺動装置からの外力により部分的に揺動可能に形成される
ゴボフィルタ装置。
【0126】
<技術2>
複数の前記ゴボフィルタは、互いに所定の間隔を空けて配置される
技術1に記載のゴボフィルタ装置。
【0127】
<技術3>
複数の前記ゴボフィルタの厚みは、それぞれ異なる
技術1または2に記載のゴボフィルタ装置。
【0128】
<技術4>
1つの前記ゴボフィルタに形成されている前記模擬媒体の厚み、長さ、前記模擬媒体を対向して見た場合の面積、および、前記模擬媒体の幅が部分的に異なる
技術1~3のいずれか1つに記載のゴボフィルタ装置。
【0129】
<技術5>
前記ゴボフィルタは、金属である
技術1~4のいずれか1つに記載のゴボフィルタ装置。
【0130】
<技術6>
前記ゴボフィルタは、エッチング工法で形成されている
技術5に記載のゴボフィルタ装置。
【0131】
<技術7>
前記模擬媒体は、部分的な折り目と、曲げによって立体的に形成される
技術1~6のいずれか1つに記載のゴボフィルタ装置。
【0132】
<技術8>
1以上の前記ゴボフィルタにおける前記模擬媒体は、樹木および枝葉を模しており、
前記模擬媒体の樹木および枝葉に含まれる1以上の葉には、穴の模様およびC字状の模様のうちの少なくとも1つが形成される
技術1~7のいずれか1つに記載のゴボフィルタ装置。
【0133】
<技術9>
1以上の前記ゴボフィルタにおける前記模擬媒体は、樹木および枝葉を模しており、
前記模擬媒体の樹木および枝葉に含まれる複数の葉には、複数の異なる模様が形成され、
前記模擬媒体の樹木および枝葉に含まれる複数の葉は、それぞれの大きさが異なる
技術1~8のいずれか1つに記載のゴボフィルタ装置。
【0134】
<技術10>
前記揺動装置は、1以上の前記ゴボフィルタに対して空気を吹き付けるファンを含む
技術1~9のいずれか1つに記載のゴボフィルタ装置。
【0135】
<技術11>
前記揺動装置は、1以上の前記ゴボフィルタを直接揺動させるアクチュエータを含む
技術1~10のいずれか1つに記載のゴボフィルタ装置
<技術12>
前記ゴボフィルタ、および、前記揺動装置を収容する筐体と、
前記筐体の内部に配置した太陽電池とを備え、
前記太陽電池は、
光源からの光で発電可能であり、
前記模擬媒体を揺動するための電力を前記揺動装置に供給する
技術1~10のいずれか1つに記載のゴボフィルタ装置。
【符号の説明】
【0136】
1、1a、1a1、1b ゴボフィルタ装置
10 筐体
20 ゴボフィルタ
20a 第1ゴボフィルタ
20b 第2ゴボフィルタ
20c 第3ゴボフィルタ
22 模擬媒体
40 揺動装置
43 アクチュエータ
51 蓄電素子(太陽電池)
52 発電素子(太陽電池)
100 照明装置(光源)