(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168389
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】飛行領域設定装置、飛行体、運航管理システム、飛行領域設定方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
B64U 20/80 20230101AFI20241128BHJP
G01S 5/14 20060101ALI20241128BHJP
B64U 80/30 20230101ALI20241128BHJP
【FI】
B64U20/80
G01S5/14
B64U80/30
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085003
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】595095353
【氏名又は名称】株式会社三技協
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】松井 隆
(72)【発明者】
【氏名】日隈 功
(72)【発明者】
【氏名】林田 章吾
【テーマコード(参考)】
5J062
【Fターム(参考)】
5J062AA04
5J062BB03
5J062CC18
5J062HH03
5J062HH05
(57)【要約】
【課題】基地局等との通信可能な飛行領域を好適に設定可能な飛行領域設定装置等を提供する。
【解決手段】飛行領域設定装置100は、測定平面設定部101と、測定データ取得部102と、領域設定部103と、を有する。測定平面設定部101は、予め設定された高度において互いに離間した複数の測定点を含む測定平面を設定する。測定データ取得部102は、複数の前記測定点においてそれぞれ受信した基地局アンテナから到来する電波の信号強度を測定した測定データを取得する。領域設定部103は、複数の測定点における信号強度に基づいて飛行体の飛行領域を設定する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め設定された高度において互いに離間した複数の測定点を含む測定平面を設定する測定平面設定部と、
複数の前記測定点においてそれぞれ受信した基地局アンテナから到来する電波の信号強度を測定した測定データを取得する測定データ取得部と、
複数の前記測定点における前記信号強度に基づいて飛行体の飛行領域を設定する領域設定部と、を備える
飛行領域設定装置。
【請求項2】
前記測定平面設定部は、水平面に平行な前記測定平面を設定する
請求項1に記載の飛行領域設定装置。
【請求項3】
前記領域設定部は、複数の前記測定点における前記信号強度に基づいて少なくとも一の前記測定点と前記基地局アンテナとの距離および方向を推定することにより前記飛行領域を設定する、
請求項1に記載の飛行領域設定装置。
【請求項4】
前記領域設定部は、
複数の前記測定点の内から定めた一の基準点における前記信号強度と、他の複数の前記測定点における前記信号強度との差分に基づいて、他の複数の前記測定点から前記基地局アンテナまでのそれぞれの距離を示す距離データ群を算出し、
前記距離データ群に基づいて、前記基準点と前記基地局アンテナとの距離および方向を推定することにより前記飛行領域を設定する、
請求項3に記載の飛行領域設定装置。
【請求項5】
前記領域設定部は、前記距離データ群から自由空間損失に一致する方向を前記基地局アンテナの方向と推定する、
請求項4に記載の飛行領域設定装置。
【請求項6】
前記領域設定部は、推定した前記基地局アンテナとの距離および方向から前記基地局アンテナが発信する電波の放射パタンをさらに推定し、
前記放射パタンに基づいて前記飛行領域を設定する、
請求項1~5のいずれか一項に記載の飛行領域設定装置。
【請求項7】
測位衛星からの位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報に基づいて移動可能に構成された駆動装置と、
請求項6に記載の飛行領域設定装置が設定した前記飛行領域を移動するよう制御する移動制御部と、を備える
飛行体。
【請求項8】
前記領域設定部は、前記飛行領域内の所定位置における前記信号強度を推定した推定値を生成し、
前記移動制御部は、前記所定位置において測定した前記信号強度と、前記推定値との差が所定の閾値以上の場合に、前記飛行領域設定装置に前記飛行領域を再設定させるための指示をする、
請求項7に記載の飛行体。
【請求項9】
測位衛星からの位置情報を取得する位置情報取得部と、前記位置情報に基づいて移動可能に構成された駆動装置と、を有する飛行体の運航を管理する運航管理システムであって、
請求項6に記載の飛行領域設定装置と、
前記飛行領域設定装置が設定した前記飛行領域に基づいて前記飛行体の運航を制御する運航制御装置と、を備える
運航管理システム。
【請求項10】
前記領域設定部は、前記飛行領域内の所定位置における前記信号強度を推定した推定値を生成し、
前記運航制御装置は、前記所定位置において前記飛行体が測定した前記信号強度と、前記推定値との差が所定の閾値以上の場合に、前記飛行領域設定装置に前記飛行領域を再設定させるための指示をする、
請求項9に記載の運航管理システム。
【請求項11】
予め設定された高度において互いに離間した複数の測定点を含む測定平面を設定し、
複数の前記測定点においてそれぞれ受信した基地局アンテナから到来する電波の信号強度を測定した測定データを取得し、
複数の前記測定点における前記信号強度に基づいて飛行体の飛行領域を設定する、
飛行領域設定方法。
【請求項12】
予め設定された高度において互いに離間した複数の測定点を含む測定平面を設定し、
複数の前記測定点においてそれぞれ受信した基地局アンテナから到来する電波の信号強度を測定した測定データを取得し、
複数の前記測定点における前記信号強度に基づいて飛行体の飛行領域を設定する、
飛行領域設定方法を、コンピュータに実行させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は飛行領域設定装置、飛行体、運航管理システム、飛行領域設定方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ドローン、無人航空機またはUAS(Unmanned Aircraft Systems)と呼ばれる飛行体が普及している。飛行体は、無線通信により遠隔制御される。このような飛行体の遠隔制御において、飛行体を制御する操作端末や基地局と飛行体との通信状態を維持する際に利用され得る種々の技術が存在する。
【0003】
特許文献1は、任意の起点から電界強度の閾値Kまで飛行し、一定角度間隔で回転し、最小電界強度位置を求め、2つの起点と最小位置を結ぶ直線の交点で送信アンテナ位置を推定するドローンについて開示している。
【0004】
特許文献2は、複数のアンテナが無線信号を受信し、複数の位置情報、準理論値、合成信号の信号強度に基づいて所定領域内の発信機の位置を推定するシステムについて開示している。
【0005】
特許文献3は、第1の複数ロケーションでのスキャンで信号源位置情報を生成し、第2の複数ロケーションでのスキャンで推定誤差を修正する電磁信号源の位置推定方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2022-060629号公報
【特許文献2】国際公開第2022/137784号
【特許文献3】特表2013-515952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
飛行体が飛行する状況において、例えば基地局等の位置が推定できない場合には、移動した位置において良好な通信が維持できない可能性がある。
【0008】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであって、基地局等との通信可能な飛行領域を好適に設定可能な技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示にかかる飛行領域設定装置は、測定平面設定部と、測定データ取得部と、領域設定部と、を有する。測定平面設定部は、予め設定された高度において互いに離間した複数の測定点を含む測定平面を設定する。測定データ取得部は、複数の前記測定点においてそれぞれ受信した基地局アンテナから到来する電波の信号強度を測定した測定データを取得する。領域設定部は、複数の測定点における信号強度に基づいて飛行体の飛行領域を設定する。
【0010】
本開示にかかる飛行体は、位置情報取得部と、駆動装置と、移動制御部と、を有する。位置情報取得部は、測位衛星からの位置情報を取得する。位置情報に基づいて移動可能に構成された駆動装置と、移動制御部は、上記の飛行領域設定装置が設定した飛行領域を移動するよう制御する。
【0011】
本開示にかかる運航管理システムは、測位衛星からの位置情報を取得する位置情報取得部と、位置情報に基づいて移動可能に構成された駆動装置と、を有する飛行体の運航を管理する運航管理システムである。運航管理システムは、上記の飛行領域設定装置と、飛行領域設定装置が設定した飛行領域に基づいて飛行体の運航を制御する運航制御装置と、を有する。
【0012】
本開示にかかる飛行領域設定方法は、コンピュータが以下の処理を実行する。コンピュータは、予め設定された高度において互いに離間した複数の測定点を含む測定平面を設定する。コンピュータは、複数の前記測定点においてそれぞれ受信した基地局アンテナから到来する電波の信号強度を測定した測定データを取得する。コンピュータは、複数の測定点における信号強度に基づいて飛行体の飛行領域を設定する。
【0013】
本開示にかかるプログラムは、コンピュータに以下の飛行領域設定方法を実行させる。コンピュータは、予め設定された高度において互いに離間した複数の測定点を含む測定平面を設定する。コンピュータは、複数の前記測定点においてそれぞれ受信した基地局アンテナから到来する電波の信号強度を測定した測定データを取得する。コンピュータは、複数の測定点における信号強度に基づいて飛行体の飛行領域を設定する。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、基地局等との通信可能な飛行領域を好適に設定可能な飛行領域設定装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施の形態1にかかる飛行体の運航状態を示す図である。
【
図2】実施の形態1にかかる飛行体の構成を示す図である。
【
図3】実施の形態1にかかる制御ブロックの機能構成図である。
【
図4】実施の形態1にかかる飛行領域設定方法のフローチャートである。
【
図5】飛行領域設定装置が設定する測定平面の図である。
【
図7】基準点とその他の測定点との信号強度の差分を示す図である。
【
図8】基地局アンテナと各測定点との距離の推定値を示す図である。
【
図9】基地局アンテナの推定方向と信号強度との関係を示す図である。
【
図11】測定平面と基地局との位置関係を示す図である。
【
図13】実施の形態2にかかる運航管理システムの使用状況を示す図である。
【
図14】実施の形態2にかかる運航管理システムのハードウェア構成を示す図である。
【
図15】運航管理システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図16】運航管理システムにおける飛行領域設定方法のフローチャートである。
【
図17】飛行領域が重畳された地図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲にかかる発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。説明の明確化のため、以下の記載および図面は、適宜、省略、および簡略化がなされている。なお、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0017】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1にかかる飛行体10の運航状態を示す図である。
図1には、飛行体10、基地局20および操作者端末30が示されている。飛行体10は、UASあるいはドローンと称される無人航空機である。飛行体10は、基地局20を介して操作者端末30と無線通信可能に接続している。飛行体10と基地局20とは、例えば700メガヘルツ~900メガヘルツ帯、1.5ギガヘルツ~3.5ギガヘルツ帯、4.5ギガヘルツ帯または28ギガヘルツ帯等の電波により無線通信を行う。
【0018】
飛行体10は、飛行領域設定装置100を含む。飛行領域設定装置100は、基地局20との無線通信が可能な領域を飛行体10の飛行領域として設定する。なお、飛行体10および飛行領域設定装置100の詳細は後述する。
【0019】
基地局20は、上述の電波による無線通信可能なアンテナや通信機等を含む。これにより基地局20は、飛行体10と無線通信可能に接続する。また基地局20は、ネットワークN1に通信可能に接続し、ネットワークN1を介して操作者端末30と通信可能に接続している。ネットワークN1は例えば携帯電話等の公衆通信回線である。ネットワークN1は、インターネット等のWAN(Wide Area Network)であってもよい。これにより、基地局20は例えば、操作者端末30が送信する制御信号を、飛行体10に送信する。あるいは基地局20は、飛行体10が発信する信号を受信し、受信した信号を操作者端末30に供給する。
【0020】
操作者端末30は、ネットワークN1に通信可能に接続可能な端末である。操作者端末30は例えば、飛行体10を制御可能に設定された制御装置である。あるいは操作者端末30は、飛行体10を制御可能なアプリケーションプログラムがインストールされたスマートフォンやタブレット端末であってもよい。操作者は、操作者端末30を操作することにより、飛行体10を遠隔操作できる。
【0021】
次に、
図2を参照して飛行体10の構成の概要について説明する。
図2は、実施の形態1にかかる飛行体10の構成を示す図である。飛行体10は主な構成として、制御ブロック11、測位ブロック12、ジャイロセンサ13、通信ブロック14、操作受付部15、駆動装置16、カメラ17、バッテリ18およびLED部19を有している。
【0022】
制御ブロック11は、飛行体10の各構成を制御するためのCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)等を含む。また制御ブロック11は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性メモリやフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを含む。これにより、制御ブロック11は、所定の通信バスを介して各構成から種々の信号を受け取り、受け取った信号を処理して、適宜、各構成に指示をする。
【0023】
制御ブロック11は、飛行領域設定装置100を含む。飛行領域設定装置100は、ハードウェアにより構成されていてもよいし、ソフトウェアにより構成されていてもよい。また制御ブロック11はハードウェアとソフトウェアとの組み合わせによりその機能が実現されるものであってもよい。飛行領域設定装置100は例えば所定のプログラムが格納された記憶媒体であってもよい。この場合、飛行体10がこのプログラムを実行することにより、飛行領域設定装置100の機能を実現する。
【0024】
測位ブロック12は、GNSS(Global Navigation Satellite System)の信号を受信するアンテナを含む。測位ブロック12は測位衛星から測位信号を受信し、受信した測位信号から位置情報を生成する。測位ブロック12は生成した位置情報を制御ブロック11に供給する。
【0025】
ジャイロセンサ13は、飛行体10の姿勢の変化および飛行体10の動きを検出し、飛行体10の移動方向や移動速度を測定する。ジャイロセンサ13は、測定した姿勢変化や移動速度等に関するデータを制御ブロック11に供給する。
【0026】
通信ブロック14は、飛行体10が基地局20と無線通信をするためのアンテナ、および信号の送受信を行うための変調回路および復調回路を含む。通信ブロック14は、基地局20が発信した信号を受信し、制御ブロック11に対して受信した信号を供給する。また通信ブロック14は、飛行体10から基地局20に送信する所定の信号を制御ブロック11から受け取り、受け取った信号を発信する。
【0027】
操作受付部15は、スイッチやボタンを含み、飛行体10を操作する操作者が行う起動操作等を受け付ける。操作受付部15は、受け付けた操作に関する信号を、制御ブロック11に供給する。
【0028】
駆動装置16は、飛行体10が移動するための手段である1つ以上のプロペラ、このプロペラを回転させるためのモータおよびモータを駆動するためのドライブ回路等を含む。駆動装置16は、制御ブロック11の指示に応じてプロペラを回転させる。駆動装置16はプロペラの回転数に関するフィードバック信号を制御ブロック11に供給し得る。
【0029】
カメラ17は、レンズ、撮像素子および画像データを生成するための回路等を含む。カメラ17は制御ブロック11の指示に応じて撮影を行い、撮影した画像のデータである画像データを制御ブロック11に供給する。カメラ17は例えば1秒間に30フレームの画像を撮影し、30分の1秒毎に画像データを制御ブロック11に供給する。
【0030】
バッテリ18は、飛行体10を動作させるための電源であり、飛行体10が有する構成に適宜電力を供給する。またバッテリ18は、電力の残量に関するデータを制御ブロック11に供給する。LED部19は飛行体10の動作状態等を示すための1つ以上のパイロットランプである。LED部19は制御ブロック11の指示に応じて適宜点灯または点滅する。
【0031】
次に、
図3を参照して制御ブロック11についてさらに説明する。
図3は、実施の形態1にかかる制御ブロック11の機能構成図である。制御ブロック11は主な構成として、飛行領域設定装置100、位置情報取得部110、画像データ取得部120、移動制御部130および記憶部140を有している。
【0032】
飛行領域設定装置100は、基地局20から受信した電波を解析して、飛行領域を設定する。このとき飛行領域設定装置100は、基地局20の位置を推定し、推定した基地局20の位置に応じて飛行領域を設定する。飛行領域設定装置100は、測定平面設定部101、測定データ取得部102および領域設定部103を有している。
【0033】
測定平面設定部101は、測定平面を設定する。測定平面は、飛行体10が受信する電波を測定する位置(測定位置)を含む仮想的な平面である。測定平面は、予め設定された高度に設定される。予め設定された高度は、飛行体10が航行する空間の高度であって、例えば50メートル、80メートル、120メートル等である。測定平面として設定される高度は、周囲に無線通信の障害となりうる人工物等が存在しない高さであることが好ましい。測定平面は、互いに離間した複数の測定点を含む。測定点は、飛行体10が解析する電波を受信する位置である。測定平面に含まれる測定点の数は、基地局20の方向および飛行体10から基地局20までの距離が推定できる程度に設定されていることが好ましい。
【0034】
測定データ取得部102は、複数の測定点においてそれぞれ受信した電波の信号強度を測定した測定データを取得する。測定データは、それぞれの測定点に関する位置情報と、それぞれの測定点で測定された信号強度とが紐づけられているデータである。複数の測定点において飛行体10が受信した電波は、基地局アンテナから到来する信号を含む。
【0035】
測定データ取得部102は、飛行体10の通信ブロック14から受信信号を受け取り、受け取った受信信号から信号強度を算出することにより、測定データを取得してもよい。あるいは測定データ取得部102は、通信ブロック14が信号強度を算出する場合には、それぞれの測定点における信号強度を通信ブロック14から取得してもよい。
【0036】
領域設定部103は、複数の測定点における信号強度にから飛行体10の飛行領域を設定する。より具体的には、領域設定部103は、複数の測定点における信号強度から少なくとも一の測定点と基地局アンテナとの距離および方向を推定する。すなわち領域設定部103は、取得した測定データから基地局のアンテナの位置を推定する。そして領域設定部103は推定したアンテナの位置に基づいて、飛行領域を設定する。
【0037】
上述の構成により、飛行領域設定装置100は、基地局等との通信可能な飛行領域を好適に設定できる。
【0038】
位置情報取得部110は、測位ブロック12から位置情報を取得し、取得した位置情報を飛行領域設定装置100または移動制御部130に供給する。画像データ取得部120は、カメラ17から画像データを取得し、取得した画像データを通信ブロック14に供給する。
【0039】
移動制御部130は、飛行体10の移動を司る。例えば移動制御部130は操作者端末30からの指示に基づいて、駆動装置16を制御する。また移動制御部130は例えば、測定平面設定部101が設定した測定点へ飛行体10が移動する場合に、駆動装置16に対して、設定された測定点のそれぞれに移動するための制御を行う。記憶部140は、飛行体10が本開示の機能を実現するためのプログラムおよび固有識別子等の認証データを記憶している。
【0040】
以上、制御ブロック11が有する機能について説明した。制御ブロック11は上述の機能に加えて、飛行体10が自律飛行するための機能等を有している。上述の例は制御ブロック11が飛行領域設定装置100を含むが、飛行体10において飛行領域設定装置100と制御ブロック11とは別個の構成であってもよい。その場合、飛行領域設定装置100は、制御ブロック11と連携して飛行領域を設定する。
【0041】
上述の構成により、飛行体10の位置情報取得部110は、測位衛星からの位置情報を取得する。駆動装置16は、位置情報に基づいて移動可能に構成されている。移動制御部130は、飛行領域設定装置100が設定した飛行領域を移動するよう駆動装置16を制御する。
【0042】
次に、
図4を参照して、飛行領域設定装置100が実行する処理について説明する。
図4は、実施の形態1にかかる飛行領域設定方法のフローチャートである。飛行領域設定装置100は例えば、操作者端末30から飛行領域の設定をする指示を受け取った場合に、以下に示す処理を実行する。
【0043】
まず、測定平面設定部101は、予め設定された高度において互いに離間した複数の測定点を含む測定平面を設定する(ステップS11)。このとき飛行体10は、設定された複数の測定点に移動して、それぞれの測定点において基地局20から発信された信号を受信する。また測定平面設定部101は、設定した測定平面に関する情報、すなわち測定点の位置情報を、測定データ取得部102に供給する。
【0044】
次に、測定データ取得部102は、複数の前記測定点においてそれぞれ受信した基地局アンテナから到来する電波の信号強度を測定した測定データを取得する(ステップS12)。ここで測定データ取得部102は、それぞれの測定点に関する位置情報と、それぞれの測定点で測定された信号強度とが紐づけられている測定データを取得する。測定データ取得部102は取得した測定データを領域設定部103に供給する。
【0045】
次に、領域設定部103は、複数の測定点における信号強度に基づいて飛行体10の飛行領域を設定する(ステップS13)。ここで領域設定部103は、測定データを利用して、基地局20の位置を推定し、推定した基地局20の位置を利用して飛行領域を設定する。領域設定部103が飛行領域を設定すると、飛行領域設定装置100は一連の処理を終了する。
【0046】
以上、飛行領域設定装置100が実行する処理について説明した。飛行領域設定装置100が上述の処理を行うことにより、飛行体10は飛行領域を飛行する。これにより飛行体10は、基地局20との通信状態の悪化を抑制できる。
【0047】
次に、飛行領域設定装置100の処理についてさらに説明する。
図5は、飛行領域設定装置が設定する測定平面の図である。
図5は、測定平面A10を飛行する飛行体10と、基地局20と、を含む。
【0048】
なお、構成要素の位置関係を説明するための便宜的なものとして、
図5は、右手系の直交座標系が付されている。また、以降の図において、直交座標系が付されている場合、
図5のX軸、Y軸、およびZ軸方向と、これらの直交座標系のX軸、Y軸、およびZ軸方向はそれぞれ一致している。
図5において、地面と平行な水平面はXY平面である。また
図5において、地面に直交する方向である鉛直方向は、Z軸と一致する。
【0049】
図に示す測定平面A10は、地面に平行に設定されている。すなわち測定平面設定部101は、水平面に平行な平面を測定平面A10として設定する。これにより、飛行領域を設定するための基地局アンテナの位置を好適に推定できる。このとき測定平面A10の高さは地面から高さH10である。測定平面A10はX軸とY軸とのそれぞれに沿った矩形状である。測定平面A10に設定されている測定点は、X軸とY軸とに沿ったマトリクス状に配置されており、任意の測定点はP(x、y)と示される。本実施形態において示す測定点は、X軸方向に9か所、Y軸方向に9か所の81ポイントが設定されている。
【0050】
続いて、
図6を参照して、測定点において測定した信号強度について説明する。
図6は、測定平面で測定された信号強度の図である。なお、
図6は横方向がY軸方向であり、右側がY軸プラス側となっている。また
図6は縦方向がX軸方向であり、下側がX軸プラス側となっている。なお、以降の説明において信号強度は、受信信号強度またはRSSI(Received Signal Strength Indicator)とも称され得る。
【0051】
左上に位置する測定点P(1、1)はX=1、Y=1の測定点である。測定点P(1、1)の信号強度は、-37.1dBmである。右上に位置する測定点P(1、9)は、X=1、Y=9の測定点である。測定点P(1、9)の信号強度は、-38.2dBmである。同様に、左下に位置する測定点P(9、1)はX=9、Y=1の測定点である。測定点P(9、1)の信号強度は、-37.4dBmである。右下に位置する測定点P(9、9)は、X=9、Y=9の測定点である。測定点P(9、9)の信号強度は、-38.4dBmである。その他の測定点においても、飛行体10が受信した電波の信号強度が示されている。このように、飛行体10は、設定されたそれぞれの測定点において基地局20から到来する電波を受信するとともに、それぞれの位置に紐づいた電波の信号強度を測定する。
【0052】
次に、信号強度を用いた演算について説明する。
図7は、基準点とその他の測定点との信号強度の差分を示す図である。飛行領域設定装置100は、複数の測定点から1の基準点を設定する。本実施形態において、飛行領域設定装置100は、基準点を測定点P(1、1)に設定している。
図7に示す値は、
図6において示した信号強度を用いて飛行領域設定装置100が算出したものである。なお、以降の説明において、信号強度の差分はΔRSSIとも称される。
【0053】
任意の測定点におけるRSSIは以下の式(1)により算出される。
【数1】
ここで、Ptxは基地局の送信出力であり、Gtxは基地局アンテナの利得であり、Lfsは自由空間損失であり、Grxは受信側である飛行体10のアンテナの利得である。なお、自由空間損失は、自由空間伝搬損失とも称される。
自由空間損失Lfsは、以下の式(2)により定義される。
【数2】
式(2)において、dは基地局から飛行体10までの距離であり、λは電波の波長である。
基準点とその他の測定点との距離をΔdとすると、基地局20からそれぞれの測定点P(x、y)までの距離は以下の式(3)により推定される。
【数3】
式(3)より、以下の式(4)が導かれる。
【数4】
ただし、Δrは以下の式5の通りである。
【数5】
【0054】
図8は、基地局アンテナと各測定点との距離の推定値を示す図である。
図8に示す値は、上述の式により各測定点における距離の推定値を算出した値を示している。また
図8には、マトリクスの右下から、基準点である測定点P(1、1)に向かっている矢印D10が重畳されている。この矢印D10は、それぞれの測定点における距離の推定値の変化が、上述の式(2)に示した自由空間損失に対応する方向を示している。すなわち矢印D10に沿った測定点は、基地局20のアンテナパタンの角度による影響を受けず、自由空間損失と同様に減衰している。
【0055】
領域設定部103は、
図8に示す距離の推定値から、基地局アンテナの方向である矢印D10を判定する。また領域設定部103は、矢印D10に対応する測定点における距離の推定値から、それぞれの測定点から基地局アンテナまでの距離を算出する。
【0056】
次に、
図9を参照して、アンテナパタンの推定について説明する。
図9は、基地局アンテナの推定方向と信号強度との関係を示す図である。
図9は、飛行体10が測定した信号強度と、
図8において説明した矢印D10とを重畳したものである。
【0057】
また
図9は、矢印D10に略直交する矢印D11を示している。矢印D11は、信号強度の分布から領域設定部103が推定するアンテナパタンの方向である。アンテナパタンの方向は、アンテナの利得が等しい点を結んだものである。領域設定部103は、信号強度の分布から、等しい信号強度の傾向を直線に近似してアンテナパタンの方向としている。
【0058】
以上のように、領域設定部103は、複数の測定点の内から定めた一の基準点における信号強度と、他の複数の測定点における信号強度との差分を算出する。そして領域設定部103は、この差分に基づいて、他の複数の測定点から基地局アンテナまでのそれぞれの距離を示す距離データ群を算出する。さらに領域設定部103は、距離データ群に基づいて、基準点と基地局アンテナとの距離および方向を推定する。また、領域設定部103は、距離データ群から自由空間損失に一致する方向を基地局アンテナの方向と推定する。これにより、領域設定部103は、飛行領域を設定する。
【0059】
次に
図10を参照してアンテナパタンの例について説明する。
図10は、基地局20のアンテナパタンC20を示す図である。一般にアンテナパタンまたはアンテナの放射パタンにおける利得の分布は、基地局アンテナから楕円ないし長円に近い形に分布している。またアンテナパタンC20は、0°の方向で利得が最大となっている。なお、アンテナパタンは、ここで示す形状に限られない。例えばアンテナパタンC20はサイドローブを有していても良い。
【0060】
上述のアンテナパタンにおいて、領域設定部103は、
図9に示した矢印D10と矢印D11とが当てはまる位置を推定する。すなわち領域設定部103は、算出した基地局20までの距離および方向から、基地局20の相対的な位置を設定する。さらに領域設定部103は、測定した複数の測定点における電波強度の分布から、アンテナパタンにおける飛行体10の位置を推定する。これにより、飛行領域設定装置100は、飛行領域を設定する。
【0061】
図11を参照して、領域設定部103が推定した基地局20の相対的な位置についてさらに説明する。
図11は、測定平面A10と基地局との位置関係を示す図である。領域設定部103は、
図9に示した矢印D10、矢印D11および信号強度を、
図10に示したアンテナパタンに当て嵌める処理を行う。
【0062】
上述の処理を試みた結果、測定平面A10は、アンテナパタンC20の内側に配置されている。このとき、測定点P(1、1)の位置は、基地局20から距離L20であって、アンテナパタンの最大利得の方向0°から角度R20の方向である。このように、飛行領域設定装置100は、アンテナパタンにおけるどの領域に飛行体10が位置しているかを推定できる。
【0063】
上述のとおり、領域設定部103は、推定した基地局アンテナとの距離および方向から基地局アンテナが発信する電波の放射パタンをさらに推定し、推定した放射パタンから飛行領域を設定する。放射パタンを推定することにより、飛行領域設定装置100は、好適に飛行領域を設定できる。なお、飛行領域設定装置100は、基地局20のアンテナパタンの特性を予め記憶しておき、記憶しているアンテナパタンを用いて飛行領域を設定してもよい。
【0064】
図12を参照して、測定平面のバリエーションについて説明する。
図12は、測定平面の第2の例を示す図である。
図12は、測定平面A11を示している。測定平面A11は、所定の中心点P0から放射状に複数の測定点Pnが配置されている。飛行体10は例えば、中心点P0から矢印の方向に向かって渦巻き状に拡がりながら複数の測定点Pnを通過する。これにより、飛行体10は測定平面A11に設定された測定点において基地局20から到来する電波を受信する。
【0065】
なお、測定平面のパタンは上述のものに限られない。測定平面は、矩形や円形以外の多角形、楕円形、その他の異形パタンでもよい。
【0066】
以上、実施の形態1について説明したが、飛行体10および飛行領域設定装置100は上述の構成に限定されない。例えば測定平面設定部101は、飛行体10が撮影した飛行体10の周辺の画像から、障害物による影響を抑制可能な高度を設定してもよい。これにより飛行領域設定装置100はより精度良く基地局20の位置を推定し、飛行領域を好適に設定できる。
【0067】
飛行領域設定装置100は、
図4に示したフローチャートを実行した後に、算出した結果に応じて、測定平面A10の位置を変更して再度処理を繰り返しても良い。このような処理を行うことにより、飛行領域設定装置100は基地局20の位置の推定精度を向上させることができる。
【0068】
飛行体10は例えば、予め設定された期間ごとに基地局20から受信する電波の信号強度を測定し、信号強度が閾値を下回った場合に、飛行領域設定装置100に
図4の処理を実行させてもよい。このような処理を実行することにより、飛行体10は飛行領域を好適に更新できる。
【0069】
飛行体10は、飛行中に飛行領域の再設定をする機能を有していても良い。この場合、例えば、領域設定部103は、飛行領域内の所定位置における信号強度を推定した推定値を生成する。また移動制御部130は、所定位置において測定した信号強度と、推定値との差が所定の閾値以上の場合に、飛行領域設定装置100に飛行領域を再設定させるための指示をする。これにより、飛行体10は基地局20との通信状態の悪化を抑制できる。
【0070】
本実施の形態にかかる飛行領域設定装置100は、飛行体10と着脱可能な態様により構成されていてもよい。また飛行領域設定装置100は、飛行体10の一部として不可分な態様により構成されていてもよい。すなわちこの場合、飛行領域設定装置100は、飛行体10が有する機能の一部であるということもできる。
【0071】
以上、本実施の形態は、基地局等との通信可能な飛行領域を好適に設定可能な飛行領域設定装置、飛行領域設定方法、飛行体等を提供できる。
【0072】
<実施の形態2>
次に、実施の形態2について説明する。
図13は、実施の形態2にかかる運航管理システムの使用状況を示す図である。本実施の形態は、飛行領域設定装置100が運航管理システム40に含まれる点が、実施の形態1と異なる。
図13は、飛行体50、基地局20および運航管理システム40を含む。
【0073】
飛行体50は、上述の飛行体10と異なり、飛行領域設定装置100を含まない。飛行体50は、基地局20と無線通信を行う。飛行体50は、基地局20を介して運航管理システム40と種々のデータのやり取りを行う。例えば飛行体50は、基地局20から受信した電波の信号強度と飛行体50の位置情報とを含む測定データを運航管理システム40に供給する。
【0074】
運航管理システム40は、飛行体50の運航を管理する。運航管理システム40は、ネットワークN1に通信可能に接続しており、基地局20を解して飛行体50を制御する。運航管理システム40は例えば通信機能を有するサーバまたはコンピュータである。運航管理システム40は飛行領域設定装置100を含む。
【0075】
図14を参照して、運航管理システム40のハードウェア構成の概要について説明する。
図14は、実施の形態2にかかる運航管理システム40のハードウェア構成を示す図である。運航管理システム40は主な構成として、処理装置41、メモリ42、入出力インタフェース43、記憶装置44および通信インタフェース45を有している。また上述の構成は、所定の通信バスにより通信可能に接続している。
【0076】
処理装置41は、CPU、GPUまたはFPGAなどの演算装置である。メモリ42は、RAMなどを用いて実現される揮発性の記憶装置である。入出力インタフェース43は、運航管理システム40と入出力デバイスとを接続するためのインタフェースである。例えば入出力インタフェース43には、キーボードなどの入力装置や、ディスプレイ装置などの出力装置が接続される。
【0077】
記憶装置44は、ハードディスク、SSD、メモリカードなどを用いて実現される不揮発性の記憶装置である。不揮発性の記憶装置には、所望の機能を実現するためのプログラムが格納されている。処理装置41は、このプログラムをメモリ42に読み出して実行することで本実施の形態にかかる機能を実現する。
【0078】
通信インタフェース45は、運航管理システム40をネットワークN1に接続するためのインタフェースである。
【0079】
次に、
図15を参照して運航管理システム40の機能構成について説明する。
図15は、運航管理システムの機能構成を示すブロック図である。運航管理システム40は主な機能構成として、飛行領域設定装置100、運航制御装置410、記憶部420、インタフェース部430および通信部440を有している。
【0080】
本実施の形態にかかる飛行領域設定装置100は、通信部440を介して飛行体50に所定の情報のやり取りを行う。より具体的には、飛行領域設定装置100の測定平面設定部101は、所定の高度に測定平面を設定し、設定した測定平面に関する情報を飛行体50に供給する。測定平面に関する情報は、測定平面の高度および複数の測定位置を含む。
【0081】
本実施の形態にかかる測定データ取得部102は、飛行体50から測定データを取得する。測定データは、複数の測定点の位置情報と、それぞれの測定点で飛行体50が測定した信号強度を含む。
【0082】
領域設定部103は、測定データ取得部102から受け取った測定データから飛行領域を設定すると、設定した飛行領域に関する情報を、飛行領域情報422として記憶部420に格納する。運航管理システム40は、記憶部420に格納された飛行領域情報422を用いて飛行体50を制御する。
【0083】
運航制御装置410は、運航管理システム40の各構成を制御する。運航制御装置410は例えば飛行領域設定装置100の処理の開始タイミングについて判断し、所定のタイミングで運航制御装置410に処理開始の指示をする。また運航制御装置410は、飛行体50の制御に関する種々の処理を行う。換言すると、運航制御装置410は、飛行体50と情報のやり取りを行いながら飛行体50を遠隔操作する。
【0084】
記憶部420は、地図情報421および飛行領域情報422を記憶する。地図情報421は、飛行体50が飛行する領域の地図情報である。飛行領域情報422は例えばディスプレイに表示可能な態様となっている。この場合、運航制御装置410は、ディスプレイに地図を表示させるとともに、表示した地図に飛行体50の位置を重畳させる。飛行領域情報422は、飛行領域設定装置100が設定した飛行領域に関する情報である。記憶部420は地図情報421に重畳可能な態様により飛行領域情報422を記憶する。よって運航管理システム40は、ディスプレイに地図を表示するとともに、表示した地図に、上述の飛行体50の位置に加えて、飛行領域を重畳する。これにより運航管理システム40は、認識容易な態様により、基地局等との通信可能な飛行領域をユーザに提示する。
【0085】
次に
図16を参照して、運航管理システム40が有する飛行領域設定装置100の処理について説明する。
図16は、運航管理システム40における飛行領域設定方法のフローチャートである。飛行領域設定装置100は例えば、運航制御装置410から飛行領域の設定をする指示を受け取った場合に、以下に示す処理を実行する。
【0086】
まず、測定平面設定部101は、予め設定された高度において互いに離間した複数の測定点を含む測定平面を設定する(ステップS21)。次に測定平面設定部101は、通信部440を介して、設定された複数の測定点に移動して、それぞれの測定点において基地局20から発信された信号を受信し、測定データを生成することを飛行体50に指示する(ステップS22)。
【0087】
次に、測定データ取得部102は、飛行体50から測定データを取得する(ステップS23)。測定データ取得部102は取得した測定データを領域設定部103に供給する。
【0088】
次に、領域設定部103は、複数の測定点における信号強度に基づいて飛行体50の飛行領域を設定する(ステップS24)。ここで領域設定部103は、設定した飛行領域に関する情報(飛行領域情報)を、記憶部420に格納する。領域設定部103が飛行領域情報を記憶部420に格納すると、飛行領域設定装置100は一連の処理を終了する。
【0089】
以上、本実施の形態にかかる飛行領域設定装置100が実行する処理について説明した。飛行領域設定装置100が上述の処理を行うことにより、運航管理システム40は飛行領域を取得する。またこれにより運航管理システム40を利用するユーザは、飛行領域を把握し、好適に飛行体50を制御できる。
【0090】
次に、
図17を参照して、飛行領域設定装置100の処理についてさらに説明する。
図17は、飛行領域が重畳された地
図G40を示す図である。地
図G40は、飛行体アイコンG41、基地局アイコンG42およびバーチャルウォールG43を含む。
【0091】
飛行体アイコンG41は、飛行体50の位置を地図に重畳したアイコンである。飛行体アイコンG41は、地
図G40の中央に位置しており、北北西に進路を取って進んでいる状態を示している。
【0092】
基地局アイコンG42は、基地局20の位置を示すアイコンである。基地局アイコンG42の位置は、飛行領域設定装置100が算出した基地局20の推定位置である。
【0093】
バーチャルウォールG43は、飛行領域の外縁部を示している。バーチャルウォールG43は、飛行領域設定装置100が算出した飛行領域の外縁部ということもできる。地
図G40において、飛行体アイコンG41は、バーチャルウォールG43の内側に存在している。つまり地
図G40は、飛行体50が基地局20と通信可能な領域を飛行していることを示している。運航管理システム40を使用するユーザは、地
図G40を視認しながら飛行体50を制御可能である。
【0094】
以上、実施の形態2について説明した。なお、実施の形態2にかかる運航管理システム40は、複数の飛行体を上述のように制御可能であってもよい。この場合、運航管理システム40は、例えば
図17に示す地図に、複数の飛行体アイコンと、複数のバーチャルウォールを表示可能であってもよい。
【0095】
実施の形態2にかかる運航管理システム40は、上述の構成に加えて例えばパーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等の携帯端末であってもよい。また運航管理システム40は、飛行体50を遠隔操作するための専用機であってもよい。
【0096】
運航管理システム40における飛行領域設定装置100は、アプリケーションプログラムであってもよい。すなわちこの場合、飛行領域設定装置100は運航管理システム40のオペレーティングシステムにインストールされるプログラムであって、運航管理システム40に飛行領域設定装置100が実行する処理を実行させる。またこの場合、アプリケーションプログラムは、所定のメモリカード等に格納されたものであってもよい。
【0097】
運航管理システム40は、飛行体50が飛行中に飛行領域の再設定をする機能を有していても良い。この場合、例えば、領域設定部103は、飛行領域内の所定位置における信号強度を推定した推定値を生成する。そして
運航制御装置410は、所定位置において飛行体50が測定した信号強度と、推定値との差が所定の閾値以上の場合に、飛行領域設定装置100に飛行領域を再設定させるための指示をする。これにより、運航管理システム40は、飛行体50と基地局20との通信が悪化することを抑制できる。
【0098】
以上、本実施の形態は、基地局等との通信可能な飛行領域を好適に設定可能な飛行領域設定装置、飛行領域設定方法、運航管理システム等を提供できる。
【0099】
なお、上述したプログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0100】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0101】
10 飛行体
11 制御ブロック
12 測位ブロック
13 ジャイロセンサ
14 通信ブロック
15 操作受付部
16 駆動装置
17 カメラ
18 バッテリ
19 LED部
20 基地局
30 操作者端末
40 運航管理システム
41 処理装置
42 メモリ
43 入出力インタフェース
44 記憶装置
45 通信インタフェース
50 飛行体
100 飛行領域設定装置
101 測定平面設定部
102 測定データ取得部
103 領域設定部
110 位置情報取得部
120 画像データ取得部
130 移動制御部
140 記憶部
410 運航制御装置
420 記憶部
421 地図情報
422 飛行領域情報
430 インタフェース部
440 通信部
A10 測定平面
A11 測定平面
C20 アンテナパタン
G40 地図
N1 ネットワーク