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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168398
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】対物レンズ
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/02 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
G02B21/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085023
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】322004393
【氏名又は名称】株式会社エビデント
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100182936
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 直樹
(72)【発明者】
【氏名】中川 孝司
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA09
2H087LA01
2H087NA02
2H087PA02
2H087PA07
2H087PA08
2H087PA09
2H087PA16
2H087PA19
2H087PB04
2H087PB13
2H087PB14
2H087PB15
2H087PB16
2H087QA02
2H087QA06
2H087QA07
2H087QA12
2H087QA14
2H087QA21
2H087QA22
2H087QA25
2H087QA26
2H087QA34
2H087QA39
2H087QA41
2H087QA42
2H087QA45
2H087QA46
2H087RA42
(57)【要約】
【課題】広い視野の中心から周辺まで収差が良好に補正された対物レンズを提供する。
【解決手段】対物レンズは正の第1群、負の第2群、2つ以上のレンズ成分を含む正の第3群からなり、以下を満たす。
1.6 ≦ fL/TTL ≦ 5
2 ≦ ER1F/ER2F
1.29 ≦ ER3F/ER2R
第1群は像側に凹面を向けた2つの正のメニスカスレンズを含む。第2群は2枚以上の正レンズと1枚以上の負レンズを含む計7枚以上。第2群の最も物体側はER1F/2以下の有効半径を有する最も物体側の面、第3群の最も物体側は1.29×ER2R以上の有効半径を有する最も物体側の面、fLは焦点距離、TTLは最も物体側の面から最も像側の面までの距離、ER1Fは最も物体側の面での有効半径、ER2F、ER2Rはそれぞれ第2群の最も物体側の面と最も像側の面での有効半径、ER3Fは第3群の最も物体側の面での有効半径。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対物レンズであって、物体側から順に配置された、
正の屈折力を有する第1レンズ群と、
負の屈折力を有する第2レンズ群と、
2つ以上のレンズ成分を含む、正の屈折力を有する第3レンズ群と、からなり、
前記第1レンズ群は、
像側に凹面を向けた正の屈折力を有するメニスカス形状の第1レンズと、
前記像側に凹面を向けた正の屈折力を有するメニスカス形状の第2レンズと、を含み、
前記第2レンズ群は、2枚以上の正レンズと1枚以上の負レンズを含み、
前記第2レンズ群に含まれるレンズの総数は、7枚以上であり、
以下の条件式
1.6 ≦ fL/TTL ≦ 5 ・・・(1)
2 ≦ ER1F/ER2F ・・・(2)
1.29 ≦ ER3F/ER2R ・・・(3)
を満たし、
前記第2レンズ群の最も前記物体側の面は、前記対物レンズの面のうちの、ER1F/2以下の有効半径を有する最も前記物体側の面であり、
前記第3レンズ群の最も前記物体側の面は、前記対物レンズの面のうちの、1.29×ER2R以上の有効半径を有する最も前記物体側の面である
ことを特徴とする対物レンズ。
但し、fLは、前記対物レンズの焦点距離である。TTLは、前記対物レンズの最も前記物体側の面から前記対物レンズの最も前記像側の面までの前記対物レンズの光軸上の距離である。ER1Fは、前記対物レンズの最も前記物体側の面における有効半径である。ER2Fは、前記第2レンズ群の最も前記物体側の面における有効半径である。ER2Rは、前記第2レンズ群の最も前記像側の面における有効半径である。ER3Fは、前記第3レンズ群の最も前記物体側の面における有効半径である。
【請求項2】
請求項1に記載の対物レンズにおいて、
以下の条件式
0.005 ≦ |f2/fL| ≦ 0.03 ・・・(4)
を満たすことを特徴とする対物レンズ。
但し、f2は、前記第2レンズ群の焦点距離である。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の対物レンズにおいて、
前記第2レンズ群は、3つ以上の接合レンズ成分を含み、
以下の条件式
35 ≦ ν2p ・・・(5)
50 ≧ ν2m ・・・(6)
を満たすことを特徴とする対物レンズ。
但し、ν2pは前記第2レンズ群に含まれる接合レンズ成分を構成する正レンズのうち、最も高いd線に対するアッベ数であり、ν2mは前記第2レンズ群に含まれる接合レンズ成分を構成する負レンズのうち、最も低いd線に対するアッベ数である。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の対物レンズにおいて、
以下の条件式
1.6 ≧ n2p ・・・(7)
1.85 ≦ n2m ・・・(8)
を満たすことを特徴とする対物レンズ。
但し、n2pは前記第2レンズ群に含まれる正レンズのうち、最も低いe線に対する屈折率であり、n2mは前記第2レンズ群に含まれる負レンズのうち、最も高いe線に対する屈折率である。
【請求項5】
請求項3に記載の対物レンズにおいて、
以下の条件式
1.6 ≧ n2p ・・・(7)
1.85 ≦ n2m ・・・(8)
を満たすことを特徴とする対物レンズ。
但し、n2pは前記第2レンズ群に含まれる正レンズのうち、最も低いe線に対する屈折率であり、n2mは前記第2レンズ群に含まれる負レンズのうち、最も高いe線に対する屈折率である。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載の対物レンズにおいて、
以下の条件式
0.74 ≦ ofb/OTTL ≦ 1.41 ・・・(9)
を満たす
ことを特徴とする対物レンズ。
但し、ofbは、物体面から前記対物レンズの後側焦点位置までの前記光軸上の距離であり、OTTLは、前記物体面から前記対物レンズの最も前記像側の面までの前記光軸上の距離である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の開示は、対物レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、顕微鏡分野において広視野と高分解能とを両立した観察及び画像取得が可能な顕微鏡装置が主流となっている。特に、1倍や1.25倍のような極低倍対物レンズで標本の広い範囲の画像を取得する場合には、その広い範囲の中心から周辺まで均一な画質が求められる。しかしながら、このような要求を満たすことは容易ではない。
【0003】
標本の広い範囲を観察し得る対物レンズに関連する技術は、例えば、特許文献1から特許文献3に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7-306364号公報
【特許文献2】特開2000-249927号公報
【特許文献3】特開2009-294518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1から特許文献3に記載の対物レンズでは、中心から周辺にかけての収差補正、特に像面湾曲等の軸外収差の補正について改善の余地がある。このため、広い視野の対物レンズ、特に1倍や1.25倍のような極低倍対物レンズで画像を取得した場合におけるさらなる画質の均一性の向上が期待されている。
【0006】
以上のような実情を踏まえ、本発明の一側面に係る目的は、広い視野の中心から周辺まで収差が良好に補正された対物レンズを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る対物レンズは、物体側から順に配置された、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、2つ以上のレンズ成分を含む、正の屈折力を有する第3レンズ群と、からなる。前記第1レンズ群は、像側に凹面を向けた正の屈折力を有するメニスカス形状の第1レンズと、前記像側に凹面を向けた正の屈折力を有するメニスカス形状の第2レンズと、を含む。前記第2レンズ群は、2枚以上の正レンズと1枚以上の負レンズを含む前記第2レンズ群に含まれるレンズの総数は、7枚以上である。前記対物レンズは、以下の条件式を満たす。
(1)1.6 ≦ fL/TTL ≦ 5
(2)2 ≦ ER1F/ER2F
(3)1.29 ≦ ER3F/ER2R
前記第2レンズ群の最も物体側の面は、前記対物レンズの面のうちの、ER1F/2以下の有効半径を有する最も物体側の面であり、前記第3レンズ群の最も物体側の面は、前記対物レンズの面のうちの、1.29×ER2R以上の有効半径を有する最も物体側の面である。
【0008】
但し、fLは、前記対物レンズの焦点距離である。TTLは、前記対物レンズの最も前記物体側の面から前記対物レンズの最も前記像側の面までの前記光軸上の距離である。ER1Fは、前記対物レンズの最も前記物体側の面における有効半径である。ER2Fは、前記第2レンズ群の最も前記物体側の面における有効半径である。ER2Rは、前記第2レンズ群の最も前記像側の面における有効半径である。ER3Fは、前記第3レンズ群の最も前記物体側の面における有効半径である。
【発明の効果】
【0009】
上記の態様によれば、広い視野の中心から周辺まで収差が良好に補正された対物レンズを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例1に係る対物レンズ1の断面図である。
図2】結像レンズ10の断面図である。
図3】対物レンズ1と結像レンズ10からなる光学系の収差図である。
図4】本発明の実施例2に係る対物レンズ2の断面図である。
図5】対物レンズ2と結像レンズ10からなる光学系の収差図である。
図6】本発明の実施例3に係る対物レンズ3の断面図である。
図7】対物レンズ3と結像レンズ10からなる光学系の収差図である。
図8】本発明の実施例4に係る対物レンズ4の断面図である。
図9】対物レンズ4と結像レンズ10からなる光学系の収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本願の一実施形態に係る対物レンズについて説明する。本実施形態に係る対物レンズ(以降、単に対物レンズと記す)は、結像レンズと組み合わせて使用される無限遠補正型の顕微鏡対物レンズである。
【0012】
対物レンズは、物体側から順に配置された、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折率を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、からなる。第3レンズ群は、2つ以上のレンズ成分を含む。
【0013】
なお、本明細書において、レンズ成分とは、単レンズ、接合レンズを問わず、物点からの光線が通るレンズ面のうち物体側の面と像側の面の2つの面のみが空気と接する一塊のレンズブロックのことをいう。即ち、1つの単レンズは1つのレンズ成分であり、1つの接合レンズも1つのレンズ成分である。一方で、空気を介して並べられた複数の単レンズや複数の接合レンズは1つのレンズ成分とは言わない。
【0014】
顕微鏡対物レンズを構成する光学系のサイズには実質的に制限があり、所定のサイズ内に収めることが求められる。このような所定のサイズの光学系によって、広視野を有する極低倍率の対物レンズを実現するためには、サイズを大きくすることなく焦点距離を長くすることが可能なテレフォトタイプの光学系を採用することが望ましい。テレフォトタイプの光学系を実現するためには、物体側に正の屈折力をもつレンズ群を配置し、その後方に、負の屈折力を持つレンズ群を配置することが望ましい。さらに、無限遠補正型の対物レンズを実現するためには、負の屈折力を持つレンズ群から射出した発散光を平行光にするために最も像側のレンズ群に正の屈折力を持つレンズ群を配置することが望ましい。これらを勘案すると、対物レンズを構成する3つのレンズ群には上記のパワー配置を採用することが望ましい。
【0015】
また、テレフォトタイプの光学系の特性、つまり、光学系の全長を焦点距離よりも短くする特性(以降、テレフォト性と記す)を達成するためには、第1レンズ群には大きな正の屈折力が要求される。このため、第1レンズ群には2枚以上の正レンズを配置することが望ましく、かつ収差の発生を抑えるために像面側に凹面を向けたメニスカス形状とすることが望ましい。換言すると、第1レンズ群は、像側に凹面を向けた正の屈折力を有するメニスカス形状のレンズ(第1レンズ)と像側に凹面を向けた正の屈折力を有するメニスカス形状のレンズ(第2レンズ)を含むことが望ましい。なお、メニスカス形状のレンズとは、単レンズ(メニスカスレンズ単体)であってもよく、接合レンズであってもよい。接合レンズである場合には、最も物体側と最も像側の両面がいずれも像側に凹面であればよい。
【0016】
さらに、テレフォト性を達成するためには、第2レンズ群には、大きな負の屈折力が要求される。しかしながら、第2レンズ群に大きな負の屈折力を与えるとペッツバール和が過剰に補正されてしまう傾向があり、その結果、対物レンズ全体で像面湾曲を良好に補正することが困難になる。このような技術的な課題に対しては、負の屈折力を有する第2レンズ群内に正レンズを2枚以上含めることでペッツバール和がマイナス側に過剰に補正されることを回避するとともに、レンズ枚数を増やして像面湾曲(ペッツバール和)だけではなく諸収差(倍率色収差、軸上色収差、球面収差、コマ収差など)を補正する。具体的には、第2レンズ群を7枚以上のレンズで構成し、第2レンズ群に少なくとも2枚以上の正レンズを含めるとよい。つまり、負の屈折力を有する第2レンズ群は、2枚以上の正レンズと1枚上の負レンズを含み、第2レンズ群に含まれるレンズ枚数は7枚以上である。
【0017】
第3レンズ群では、軸上光線と軸外光線の光束幅がほぼ同じになる。このため、第3レンズ群では、球面収差と軸外コマ収差を同時に補正する役割を担うように構成することが望ましい。1つのレンズ成分だけでは十分に収差補正ができず上記の役割を十分に担うことができないため、第3レンズ群には、2つ以上のレンズ成分を配置することが望ましい。つまり、第3レンズ群は、2つ以上のレンズ成分を含んでいる。
【0018】
以上のように構成された対物レンズは、以下の条件式(1)から(3)を満たすように構成されている。
1.6 ≦ fL/TTL ≦ 5 ・・・(1)
2 ≦ ER1F/ER2F ・・・(2)
1.29 ≦ ER3F/ER2R ・・・(3)
【0019】
但し、fLは、対物レンズの焦点距離である。TTLは、対物レンズの最も物体側の面から対物レンズの最も像側の面までの光軸上の距離である。ER1Fは、対物レンズの最も物体側の面における有効半径である。ER2Fは、第2レンズ群の最も物体側の面における有効半径である。ER2Rは、第2レンズ群の最も像側の面における有効半径である。ER3Fは、第3レンズ群の最も物体側の面における有効半径である。
【0020】
さらに、第2レンズ群の最も物体側の面は、対物レンズの面のうちの、ER1F/2以下の有効半径を有する最も物体側の面である。第3レンズ群の最も物体側の面は、対物レンズの面のうちの、1.29×ER2R以上の有効半径を有する最も物体側の面である。第1レンズ群と第2レンズ群の境界と、第2レンズ群と第3レンズ群の境界は、これらの定義により確定することができる。
【0021】
条件式(1)は、広い視野を確保するための条件式である。条件式を満たすことで対物レンズをコンパクトに構成しながら広い視野を実現することができる。
【0022】
fL/TTLが下限値(1.6)を下回ると、許容される全長で対物レンズを構成したときに対物レンズの焦点距離が短くなりすぎる。その結果、十分に広い視野を確保することが困難になる。fL/TTLが上限値(5)を上回ると、全長に対して焦点距離が大きくなりすぎる。その結果、視野は広くなるが軸外主光線も高くなり、主に像面湾曲収差が大きく発生し、その補正が困難になる。
【0023】
条件式(2)は、第2レンズ群に入射する光の光線高を制限するための条件式である。第2レンズ群の最も物体側の面が対物レンズの面のうちのER1F/2以下の有効半径を有する最も物体側の面であるという条件(境界に関する第1の定義)との組み合わせによって、条件式(2)は第2レンズ群の位置を画定するための条件式としても機能する。
【0024】
境界に関する第1の定義の下で条件式(2)を満たすことで、軸外光束を、負の屈折力を有する第2レンズ群に、物体面から離れすぎない位置で且つある程度低い光線高を有する位置で入射させることができる。このような位置では、軸上光束と軸外光束が離れているため、像面湾曲の補正を、他の収差(主に球面収差と軸上色収差)への悪影響を回避しながら行い、且つ、テレフォトタイプの光学系を実現することが可能となる。
【0025】
条件式(3)は、第3レンズ群に入射する光の光線高を制限するための条件式である。第3レンズ群の最も物体側の面が対物レンズの面のうちの1.29×ER2R以上の有効半径を有する最も物体側の面であるという条件(境界に関する第2の定義)との組み合わせによって、条件式(3)は第3レンズ群の位置を画定するための条件式としても機能する。
【0026】
境界に関する第2の定義の下で条件式(3)を満たすことで、正の屈折力を有する第3レンズ群に、第2レンズ群の負の屈折力により十分に広がった光束を入射させることができる。これにより、球面収差とコマ収差を良好に補正しながら、無限遠補正型の光学系を実現することが可能となる。
【0027】
以上のように構成された対物レンズによれば、広い視野の中心から周辺まで収差が良好に補正することができる。
【0028】
なお、対物レンズは、条件式(1)の代わり又は加えて下記の条件式(1-1)を満たすように構成されてもよい。また、対物レンズは、条件式(2)の代わりに又は加えて下記の条件式(2-1)を満たすように構成されてもよい。また、対物レンズは、条件式(3)の代わりに又は加えて下記の条件式(3-1)を満たすように構成されてもよい。
3.12 ≦ fL/TTL ≦ 3.92 ・・・(1-1)
2.29 ≦ ER1F/ER2F ≦ 3.31 ・・・(2-1)
1.29 ≦ ER3F/ER2R ≦ 1.56 ・・・(3-1)
【0029】
以下、対物レンズの望ましい構成について説明する。
対物レンズは、以下の条件式(4)を満たすことが望ましい。但し、f2は、第2レンズ群の焦点距離である。
0.005 ≦ |f2/fL| ≦ 0.03 ・・・(4)
【0030】
条件式(4)は、第2レンズ群の屈折力を規定する条件式である。条件式(4)を満たすことで、さらにコンパクトに光学系を構成しながら良好に像面湾曲を補正することができる。|f2/fL|が下限値を下回ると、第2レンズ群の負の屈折力が大きくなりすぎるため、像面湾曲が補正過剰な状態となってしまう。一方で、|f2/fL|が上限値を上回ると、第2レンズ群の負の屈折力が小さくなりすぎるため、像面湾曲が補正不足な状態となってしまう。その結果、収差補正を良好に行うためには第2レンズ群以外で補正不足を補う必要があるため、対物レンズ全体のサイズを大きして対応せざるを得なくなる。
【0031】
なお、対物レンズは、条件式(4)の代わりに又は加えて下記の条件式(4-1)を満たすように構成されてもよい。
0.006 ≦ |f2/fL| ≦ 0.015 ・・・(4-1)
【0032】
第2レンズ群は、第2レンズ群の中で倍率色収差と軸上色収差を効果的に補正するために複数の接合レンズを含むことが望ましい。特に3つ以上の接合レンズ成分を含み、且つ、対物レンズは、以下の条件式(5)及び条件式(6)を満たすことが望ましい。
35 ≦ ν2p ・・・(5)
50 ≧ ν2m ・・・(6)
【0033】
但し、ν2pは第2レンズ群に含まれる接合レンズ成分を構成する正レンズのうち、最も高いd線に対するアッベ数である。ν2mは第2レンズ群に含まれる接合レンズ成分を構成する負レンズのうち、最も低いd線に対するアッベ数である。
【0034】
条件式(5)及び条件式(6)は、色収差を効果的に補正するための条件式である。対物レンズ(より具体的には、第2レンズ群内の接合レンズ成分)が条件式(5)及び(6)を満たすことで、低分散の正レンズと高分散の負レンズを用いた色消し効果が発揮されるため、倍率色収差と軸上色収差が良好に補正することができる。なお、ν2pが下限値(35)を下回っても、ν2mが上限値(50)を上回っても色収差の補正が不足してしまう。
【0035】
対物レンズは、以下の条件式(7)及び条件式(8)を満たすことが望ましい。
1.6 ≧ n2p ・・・(7)
1.85 ≦ n2m ・・・(8)
【0036】
但し、n2pは第2レンズ群に含まれる正レンズのうち、最も低いe線に対する屈折率である。n2mは第2レンズ群に含まれる負レンズのうち、最も高いe線に対する屈折率である。
【0037】
条件式(7)及び条件式(8)は、像面湾曲を良好に補正するための条件式である。第2レンズ群は大きな負の屈折力を有するため、ペッツバール和は負に偏りやすい。条件式(7)及び条件式(8)を満たすことで、ペッツバール和に含まれる正成分を大きくし、負成分を小さくする。これにより、ペッツバール和をゼロに近づけて像面湾曲をより良好に補正することが可能となる。なお、n2pが上限値(1.6)を上回っても、n2mが下限値(1.85)を下回っても像面湾曲の補正は不足してしまう。
【0038】
対物レンズは、以下の条件式(9)を満たすことが望ましい。
0.74 ≦ ofb/OTTL ≦ 1.41 ・・・(9)
【0039】
但し、ofbは、物体面から対物レンズの後側焦点位置までの前記光軸上の距離である。OTTLは、物体面から対物レンズの最も像側の面までの光軸上の距離である。
【0040】
条件式(9)は、物体側のテレセントリシティを確保するための条件式である。条件式(9)を満たすことで対物レンズを顕微鏡対物レンズとして好適な物体側テレセントリックな光学系として構成することができる。
【0041】
ofb/OTTLが下限値(0.74)を下回っても、ofb/OTTLが上限値(1.41)を上回っても、物体側のテレセントリシティが劣化してしまう。入射瞳が無限遠にある物体側テレセントリック光学系では、射出瞳の位置と後側焦点位置は一致している。低倍対物レンズで入射瞳が無限遠にある物体側テレセントリック光学系では、瞳面は最も像側のレンズ面付近に位置するように設計されるのが通常であり、従って、最も像側のレンズ面を後側焦点位置から離れすぎない位置に設けることで、高い物体側のテレセントリシティを得ることができる。
【0042】
なお、対物レンズは、条件式(9)の代わり又は加えて下記の条件式(9-1)を満たすように構成されてもよい。
0.77 ≦ ofb/OTTL ≦ 1.38 ・・・(9-1)
【0043】
以下、上述した対物レンズの実施例について具体的に説明する。
(実施例1)
図1は、本実施例に係る対物レンズ1の断面図である。対物レンズ1は、顕微鏡対物レンズであって、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、2つのレンズ成分を含む正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、からなる。
【0044】
第1レンズ群G1は、物体側から順に配置された、像側に凹面を向けたメニスカスレンズであるレンズL1と、像側に凹面を向けたメニスカスレンズであるレンズL2からなる。レンズL1とレンズL2はそれぞれ正の屈折力を有する正レンズである。
【0045】
第2レンズ群G2は、接合レンズCL1と、両凸レンズであるレンズL6と、接合レンズCL2と、接合レンズCL3からなる。接合レンズCL1は、物体側から順に配置された、両凹レンズであるレンズL3と、両凸レンズであるレンズL4と、両凹レンズであるレンズL5と、からなる3枚接合レンズである。接合レンズCL2は、物体側から順に配置された、像側に凹面を向けたメニスカスレンズであるレンズL7と、両凸レンズであるレンズL8と、両凹レンズであるレンズL9と、からなる3枚接合レンズである。接合レンズCL3は、物体側から順に配置された、両凸レンズであるレンズL10と、両凹レンズであるレンズL11と、からなる2枚接合レンズである。
【0046】
第2レンズ群G2は、2枚以上の正レンズ(レンズL4、レンズL6など)と1枚以上の負レンズ(レンズL3など)を含んでいる。第2レンズ群に含まれるレンズの総数は、9枚であり、7枚以上である。
【0047】
第3レンズ群G3は、物体側から順に配置された、像側に凸面を向けた平凸レンズであるレンズL12と、接合レンズCL4からなる。接合レンズCL4は、物体側から順に配置された、像側に凹面を向けたメニスカスレンズであるレンズL13と、両凸レンズであるレンズL14と、からなる2枚接合レンズである。
【0048】
対物レンズ1の各種データは、以下のとおりである。なお、fL、f1、f2、f3は、それぞれ対物レンズの焦点距離、第1レンズ群G1の焦点距離、第2レンズ群G2の焦点距離、第3レンズ群G3の焦点距離である。その他のパラメータは上述したとおりである。
fL=143.55mm、f1=18.96mm、f2=-1.45mm、f3=10.89mm
TTL=45.90mm、ER1F=10.94 mm、ER2F=4.05 mm、ER2R=3.118 mm、ER3F=4.687 mm、ν2p=45.79、ν2m=40.76、n2p=1.59911、n2m=1.88815、ofb=43.42mm、OTTL=49.37mm
【0049】
対物レンズ1のレンズデータは、以下のとおりである。なお、レンズデータ中のINFは無限大(∞)を示している。
対物レンズ1
s r d ne νd er
s1 INF 0.17 1.52626 54.41 10.60
s2 INF 3.30 10.60
s3 15.529 4.20 1.73234 54.68 10.94
s4 53.049 0.20 10.66
s5 11.120 2.80 1.57098 71.30 8.93
s6 15.395 8.31 8.36
s7 -25.586 0.85 1.82017 46.62 4.05
s8 5.173 4.40 1.59911 39.24 3.40
s9 -5.946 0.70 1.88815 40.76 2.97
s10 5.852 0.20 2.83
s11 5.657 2.50 1.55098 45.79 2.98
s12 -12.514 2.92 3.00
s13 108.030 0.70 1.75844 52.32 2.63
s14 10.011 2.20 1.67765 32.10 2.55
s15 -4.797 0.70 1.88815 40.76 2.48
s16 7.185 0.42 2.49
s17 6.132 3.00 1.59667 35.31 2.74
s18 -4.033 0.70 1.88815 40.76 2.78
s19 14.011 2.88 3.12
s20 INF 3.00 1.59732 67.74 4.69
s21 -8.960 0.20 5.16
s22 72.531 1.30 1.89760 37.13 5.50
s23 17.982 3.71 1.43985 94.93 5.59
s24 -9.471 56.62 5.75
【0050】
ここで、sは面番号を、rは曲率半径(mm)を、dは面間隔(mm)を、neはe線に対する屈折率を、νdはd線に対するアッベ数を、erは有効半径(mm)を示す。これらの記号は、以降の実施例でも同様である。なお、面番号s1,s2が示す面は、カバーガラスCGの標本側の面と対物レンズ1側の面である。面番号s3,s24が示す面は、それぞれ対物レンズ1の最も物体側のレンズ面、最も像側のレンズ面である。また、例えば、面間隔d1は、面番号s1が示す面から面番号s2が示す面までの光軸上の距離を示している。なお、面間隔d24は、面番号s24が示す面から結像レンズの最も物体側の面までの光軸上の距離(56.62mm)を示している。
【0051】
対物レンズ1は、以下で示されるように、条件式(1)から(9)を満たしている。
(1)fL/TTL=3.128
(2)ER1F/ER2F=2.70
(3)ER3F/ER2R=1.503
(4)|f2/fL|=0.0101
(5)ν2p=45.79
(6)ν2m=40.76
(7)n2p=1.59911
(8)n2m=1.88815
(9)ofb/OTTL=0.879
【0052】
図2は、対物レンズ1と組み合わせて使用される結像レンズ10の断面図である。結像レンズ10は、無限遠補正型の対物レンズと組み合わせて物体の像を形成する顕微鏡結像レンズである。結像レンズ10は、接合レンズCTL1と、接合レンズCTL2からなる。接合レンズCTL1は、両凸レンズであるレンズTL1と物体側に凹面を向けたメニスカスレンズであるレンズTL2からなる。接合レンズCTL2は、両凸レンズであるレンズTL3と両凹レンズであるレンズTL4からなる。結像レンズ10は、対物レンズ1の最も像側のレンズ面(面番号s24)から結像レンズ10の最も物体側のレンズ面(面番号s1)までの光軸上の距離が56.62mmになるように、配置されている。なお、結像レンズ10の焦点距離は180mmである。
【0053】
結像レンズ10のレンズデータは、以下のとおりである。
結像レンズ10
s r d ne νd
s1 69.950 8.00 1.48915 70.23
s2 -38.132 3.30 1.83945 42.71
s3 -95.720 0.67
s4 85.872 6.05 1.83932 37.16
s5 -50.111 3.30 1.65803 39.68
s6 41.656
【0054】
図3は、対物レンズ1と結像レンズ10からなる光学系の収差図であり、物体側から像側へ光線追跡を行うことで得られる像面における収差を示している。図3(a)は球面収差図である。図3(b)は正弦条件違反量を示した図である。図3(c)は非点収差図である。図3(d)は像高比0.83(像高11.0mm)でのコマ収差図である。なお、図中の“M”はメリディオナル成分、“S”はサジタル成分を示している。図3に示されるように、本実施例では、広い視野に渡って収差が良好に補正されている。
【0055】
(実施例2)
図4は、本実施例に係る対物レンズ2の断面図である。対物レンズ2は、顕微鏡対物レンズであって、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、2つのレンズ成分を含む正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、からなる。
【0056】
第1レンズ群G1は、物体側から順に配置された、像側に凹面を向けたメニスカスレンズであるレンズL1と、像側に凹面を向けたメニスカスレンズであるレンズL2と、両凹レンズであるレンズL3と、からなる。レンズL1とレンズL2はそれぞれ正の屈折力を有する正レンズである。
【0057】
第2レンズ群G2は、接合レンズCL1と、接合レンズCL2と、接合レンズCL3と、接合レンズCL4と、からなる。接合レンズCL1は、物体側から順に配置された、両凹レンズであるレンズL4と、両凸レンズであるレンズL5と、からなる2枚接合レンズである。接合レンズCL2は、物体側から順に配置された、両凹レンズであるレンズL6と、両凸レンズであるレンズL7と、からなる2枚接合レンズである。接合レンズCL3は、物体側から順に配置された、像側に凹面を向けたメニスカスレンズであるレンズL8と、両凸レンズであるレンズL9と、両凹レンズであるレンズL10と、からなる3枚接合レンズである。接合レンズCL4は、物体側から順に配置された、両凸レンズであるレンズL11と、両凹レンズであるレンズL12と、からなる2枚接合レンズである。
【0058】
第2レンズ群G2は、2枚以上の正レンズ(レンズL5、レンズL7など)と1枚以上の負レンズ(レンズL4など)を含んでいる。第2レンズ群に含まれるレンズの総数は、9枚であり、7枚以上である。
【0059】
第3レンズ群G3は、物体側から順に配置された、物体側に凹面を向けたメニスカスレンズであるレンズL13と、接合レンズCL5からなる。接合レンズCL5は、物体側から順に配置された、像側に凹面を向けたメニスカスレンズであるレンズL14と、両凸レンズであるレンズL15と、からなる2枚接合レンズである。
【0060】
対物レンズ2の各種データは、以下のとおりである。
fL=143.34mm、f1=26.84mm、f2=-2.16mm、f3=11.13mm
TTL=45.90mm、ER1F=10.91mm、ER2F=3.29mm、ER2R=3.088mm、ER3F=4.808mm、ν2p=45.79、ν2m=40.76、n2p=1.55098、n2m=1.88815、ofb=38.35mm、OTTL=49.37mm
【0061】
対物レンズ2のレンズデータは、以下のとおりである。
対物レンズ2
s r d ne νd er
s1 INF 0.17 1.52626 54.41 10.60
s2 INF 3.30 10.60
s3 15.251 4.60 1.73234 54.68 10.91
s4 48.192 0.20 10.48
s5 13.515 3.20 1.57098 71.30 9.17
s6 34.281 4.25 8.70
s7 -43.159 1.00 1.82017 46.62 6.18
s8 27.376 6.45 5.56
s9 -25.468 0.80 1.83945 42.74 3.29
s10 5.269 2.50 1.59911 39.24 3.02
s11 -7.421 0.54 2.96
s12 -10.116 0.70 1.88815 40.76 2.62
s13 4.261 2.50 1.55098 45.79 2.49
s14 -10.212 0.20 2.58
s15 27.802 0.70 1.75844 52.32 2.56
s16 4.623 3.00 1.67765 32.10 2.48
s17 -4.483 0.70 1.88815 40.76 2.43
s18 7.871 0.20 2.51
s19 7.401 2.40 1.59667 35.31 2.63
s20 -4.446 0.70 1.88815 40.76 2.72
s21 17.628 3.04 3.09
s22 -211.011 3.00 1.59732 67.74 4.81
s23 -7.996 0.20 5.22
s24 318.736 1.30 1.89760 37.13 5.47
s25 19.467 3.71 1.43985 94.93 5.58
s26 -9.571 56.62 5.75
【0062】
対物レンズ2は、以下で示されるように、条件式(1)から(9)を満たしている。
(1)fL/TTL=3.123
(2)ER1F/ER2F=3.31
(3)ER3F/ER2R=1.557
(4)|f2/fL|=0.0150
(5)ν2p=45.79
(6)ν2m=40.76
(7)n2p=1.55098
(8)n2m=1.88815
(9)ofb/OTTL=0.777
【0063】
図5は、対物レンズ2と結像レンズ10からなる光学系の収差図であり、物体側から像側へ光線追跡を行うことで得られる像面における収差を示している。図5(a)は球面収差図である。図5(b)は正弦条件違反量を示した図である。図5(c)は非点収差図である。図5(d)は像高比0.83(像高11.0mm)でのコマ収差図である。図5に示されるように、本実施例では、広い視野に渡って収差が良好に補正されている。
【0064】
(実施例3)
図6は、本実施例に係る対物レンズ3の断面図である。対物レンズ3は、顕微鏡対物レンズであって、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、2つのレンズ成分を含む正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、からなる。
【0065】
第1レンズ群G1は、物体側から順に配置された、像側に凹面を向けたメニスカスレンズであるレンズL1と、像側に凹面を向けたメニスカスレンズであるレンズL2と、からなる。レンズL1とレンズL2はそれぞれ正の屈折力を有する正レンズである。
【0066】
第2レンズ群G2は、接合レンズCL1と、接合レンズCL2と、接合レンズCL3と、からなる。接合レンズCL1は、物体側から順に配置された、物体側に凹面を向けたメニスカスレンズであるレンズL3と、両凹レンズであるレンズL4と、像側に凹面を向けたメニスカスレンズであるレンズL5と、からなる3枚接合レンズである。接合レンズCL2は、物体側から順に配置された、両凹レンズであるレンズL6と、両凸レンズであるレンズL7と、物体側に凹面を向けたメニスカスレンズであるレンズL8と、からなる3枚接合レンズである。接合レンズCL3は、物体側から順に配置された、両凸レンズであるレンズL9と、両凹レンズであるレンズL10と、からなる2枚接合レンズである。
【0067】
第2レンズ群G2は、2枚以上の正レンズ(レンズL7、レンズL9など)と1枚以上の負レンズ(レンズL4など)を含んでいる。第2レンズ群に含まれるレンズの総数は、8枚であり、7枚以上である。
【0068】
第3レンズ群G3は、物体側から順に配置された、両凸レンズであるレンズL11と、接合レンズCL4からなる。接合レンズCL4は、物体側から順に配置された、像側に凹面を向けたメニスカスレンズであるレンズL12と、両凸レンズであるレンズL13と、からなる2枚接合レンズである。
【0069】
対物レンズ3の各種データは、以下のとおりである。
fL=143.51mm、f1=18.97mm、f2=-1.65mm、f3=12.53mm
TTL=45.90mm、ER1F=10.92mm、ER2F=4.76mm、ER2R=3.265mm、ER3F=4.923mm、ν2p=35.31、ν2m=40.76、n2p=1.59667、n2m=1.88815、ofb=63.90mm、OTTL=49.37mm
【0070】
対物レンズ3のレンズデータは、以下のとおりである。
対物レンズ3
s r d ne νd er
s1 INF 0.17 1.52626 54.41 10.60
s2 INF 3.30 10.60
s3 14.477 4.95 1.77621 49.60 10.92
s4 37.628 0.20 10.31
s5 11.830 2.50 1.57098 71.30 8.83
s6 17.120 6.59 8.32
s7 -60.136 1.52 1.59667 35.31 4.76
s8 -11.346 1.10 1.88815 40.76 4.45
s9 6.252 1.64 1.59667 35.31 3.68
s10 21.487 6.70 3.57
s11 -115.565 0.70 1.88815 40.76 2.62
s12 3.950 3.65 1.67765 32.10 2.51
s13 -4.037 0.70 1.88815 40.76 2.56
s14 -28.943 1.32 2.72
s15 239.720 1.90 1.59667 35.31 2.90
s16 -5.449 0.70 1.88815 40.76 2.97
s17 19.323 3.36 3.27
s18 112.852 3.15 1.48915 70.23 4.92
s19 -8.552 0.20 5.29
s20 131.019 1.30 1.88815 40.76 5.51
s21 19.379 3.71 1.43985 94.93 5.58
s22 -10.600 56.62 5.75
【0071】
対物レンズ3は、以下で示されるように、条件式(1)から(9)を満たしている。
(1)fL/TTL=3.127
(2)ER1F/ER2F=2.29
(3)ER3F/ER2R=1.508
(4)|f2/fL|=0.0115
(5)ν2p=35.31
(6)ν2m=40.76
(7)n2p=1.59667
(8)n2m=1.88815
(9)ofb/OTTL=1.294
【0072】
図7は、対物レンズ3と結像レンズ10からなる光学系の収差図であり、物体側から像側へ光線追跡を行うことで得られる像面における収差を示している。図7(a)は球面収差図である。図7(b)は正弦条件違反量を示した図である。図7(c)は非点収差図である。図7(d)は像高比0.83(像高11.0mm)でのコマ収差図である。図7に示されるように、本実施例では、広い視野に渡って収差が良好に補正されている。
【0073】
(実施例4)
図8は、本実施例に係る対物レンズ4の断面図である。対物レンズ4は、顕微鏡対物レンズであって、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、2つのレンズ成分を含む正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、からなる。
【0074】
第1レンズ群G1は、物体側から順に配置された、像側に凹面を向けたメニスカスレンズであるレンズL1と、像側に凹面を向けたメニスカスレンズであるレンズL2と、からなる。レンズL1とレンズL2はそれぞれ正の屈折力を有する正レンズである。
【0075】
第2レンズ群G2は、両凹レンズであるレンズL3と、接合レンズCL1と、接合レンズCL2と、接合レンズCL3と、接合レンズCL4と、からなる。接合レンズCL1は、物体側から順に配置された、両凸レンズであるレンズL4と、両凹レンズであるレンズL5と、両凸レンズであるレンズL6と、からなる3枚接合レンズである。接合レンズCL2は、物体側から順に配置された、両凹レンズであるレンズL7と、両凸レンズであるレンズL8と、からなる2枚接合レンズである。接合レンズCL3は、物体側から順に配置された、両凹レンズであるレンズL9と、両凸レンズであるレンズL10と、両凹レンズであるレンズL11と、からなる3枚接合レンズである。接合レンズCL4は、物体側から順に配置された、両凸レンズであるレンズL12と、両凹レンズであるレンズL13と、からなる2枚接合レンズである。
【0076】
第2レンズ群G2は、2枚以上の正レンズ(レンズL4、レンズL6など)と1枚以上の負レンズ(レンズL5など)を含んでいる。第2レンズ群に含まれるレンズの総数は、10枚であり、7枚以上である。
【0077】
第3レンズ群G3は、物体側から順に配置された、物体側に凹面を向けたメニスカスレンズであるレンズL14と、接合レンズCL5からなる。接合レンズCL5は、物体側から順に配置された、像側に凹面を向けたメニスカスレンズであるレンズL15と、両凸レンズであるレンズL16と、からなる2枚接合レンズである。
【0078】
対物レンズ4の各種データは、以下のとおりである。
fL=179.49mm、f1=19.32mm、f2=-1.11mm、f3=10.38mm
TTL=45.89 mm、ER1F=13.50 mm、ER2F=4.81 mm、ER2R=3.217 mm、ER3F=4.179 mm、ν2p=45.79、ν2m=40.76、n2p=1.55098、n2m=1.88815、ofb=68.17 mm、OTTL=49.44 mm
【0079】
対物レンズ4のレンズデータは、以下のとおりである。
対物レンズ4
s r d ne νd er
s1 INF 0.17 1.52626 54.41 13.25
s2 INF 3.30 13.25
s3 17.726 5.40 1.73234 54.68 13.43
s4 42.808 0.20 12.91
s5 12.823 5.10 1.59732 67.74 10.83
s6 26.000 6.71 9.94
s7 -43.050 0.50 1.88815 40.76 4.77
s8 12.737 2.52 4.24
s9 12.101 2.90 1.59911 39.24 3.43
s10 -5.500 0.50 1.88815 40.76 2.91
s11 4.900 2.50 1.59911 39.24 2.59
s12 -4.900 0.20 2.51
s13 -5.010 0.50 1.82017 46.62 2.25
s14 4.349 2.10 1.55098 45.79 2.18
s15 -5.126 0.20 2.23
s16 -9.276 0.50 1.73234 54.68 2.14
s17 3.345 3.10 1.59667 35.31 2.12
s18 -3.345 0.50 1.88815 40.76 2.21
s19 53.981 0.74 2.45
s20 6.973 2.45 1.57047 42.82 2.99
s21 -6.973 0.50 1.83945 42.74 3.04
s22 10.441 2.36 3.22
s23 -41.769 2.15 1.43985 94.93 4.18
s24 -7.590 0.20 4.53
s25 56.316 0.50 1.92336 31.60 5.09
s26 23.218 3.55 1.49846 81.54 5.17
s27 -8.831 56.62 5.40
【0080】
対物レンズ4は、以下で示されるように、条件式(1)から(9)を満たしている。
(1)fL/TTL=3.912
(2)ER1F/ER2F=2.81
(3)ER3F/ER2R=1.299
(4)|f2/fL|=0.0062
(5)ν2p=45.79
(6)ν2m=40.76
(7)n2p=1.55098
(8)n2m=1.88815
(9)ofb/OTTL=1.379
【0081】
図9は、対物レンズ4と結像レンズ10からなる光学系の収差図であり、物体側から像側へ光線追跡を行うことで得られる像面における収差を示している。図9(a)は球面収差図である。図9(b)は正弦条件違反量を示した図である。図9(c)は非点収差図である。図9(d)は像高比0.83(像高11.00mm)でのコマ収差図である。図9に示されるように、本実施例では、広い視野に渡って収差が良好に補正されている。
【符号の説明】
【0082】
1、2、3、4 ・・・対物レンズ
10 ・・・結像レンズ
G1 ・・・第1レンズ群
G2 ・・・第2レンズ群
G3 ・・・第3レンズ群
L1~L16、TL1~TL4 ・・・レンズ
CL1~CL5、CTL1、CTL2 ・・・接合レンズ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9