(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168407
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】直動機構
(51)【国際特許分類】
F16C 29/00 20060101AFI20241128BHJP
F16C 33/72 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
F16C29/00
F16C33/72
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085047
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】593208751
【氏名又は名称】株式会社ナベル
(74)【代理人】
【識別番号】100094156
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 民安
(72)【発明者】
【氏名】永井 規夫
(72)【発明者】
【氏名】稲森 謙介
【テーマコード(参考)】
3J104
3J216
【Fターム(参考)】
3J104AA01
3J104AA41
3J104BA63
3J104DA04
3J216AA16
3J216BA30
3J216CC70
3J216DA30
(57)【要約】
【課題】ガイド体の長さにより近い範囲で該移動体の移動範囲を設定することが可能となる新規な直動機構を提供する。
【解決手段】直線状に往復動する移動体3に連結された下側移動板5、下側移動板5上に連結されてなる上側移動板6及びファスナー11を備えてなるとともに、該ファスナー11を構成する第1及び第2のスライダー17,18の往復動の際に一方又は他方のファスナーテープ13,14の撓みを防止する一方及び他方の緩み防止手段が設けられてなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイド体により直線状にガイドされながら往復動する移動体と、この移動体に連結されてなる下側移動板と、この下側移動板上に連結されてなる上側移動板と、ファスナーと、を備え、
上記ファスナーは、上記移動体の往復動方向に長さを有し該移動体の往復動方向の長さよりも長尺に成形された一方のファスナーテープと、該一方のファスナーテープに平行に並列された他方のファスナーテープと、上記一方のファスナーテープの一側に固定された複数のエレメントからなる一方のエレメント群と、上記他方のファスナーテープに固定された複数のエレメントからなり上記一方のエレメント群と噛合する他方のエレメント群と、上記下側移動板と上側移動体との間に位置し、往動されることにより上記一方及び他方のエレメント群を構成する個々のエレメント同士を噛合させ、複動されることにより該エレメント同士の噛合状態を解除させる第1のスライダーと、上記下側移動板と上側移動体との間に位置し、この第1のスライダーの近傍であって該第1のスライダーの往動方向に配置され、往動されることにより該エレメント同士の噛合状態を解除させ、複動されることにより該エレメント同士を噛合させる第2のスライダーと、を有し、
上記下側移動板と上側移動板との双方又はこれらの何れか一方には、上記第1のスライダーと係合する第1の係合手段と、上記第2のスライダーと係合する第2の係合手段とが形成されてなるとともに、
上記一方のファスナーテープには、上記第1及び第2のスライダーの往復動の際に該一方のファスナーテープの撓みを防止し、該一方のファスナーテープの上面又は下面と面対向する一方の板状部を有してなる一方の緩み防止手段が設けられ、上記他方のファスナーテープには、上記第1及び第2のスライダーの往復動の際に該他方のファスナーテープの撓みを防止し、該他方のファスナーテープの上面又は下面と面対向する他方の板状部を有してなる他方の緩み防止手段が設けられてなることを特徴とする直動機構。
【請求項2】
前記一方及び他方の緩み防止手段は、
前記一方のファスナーテープが接着テープ又は接着剤により固定された一方の板状部と、前記他方のファスナーテープが接着テープ又は接着剤により固定された他方の板状部と、上記一方の板状部と他方の板状部との間に形成され前記一方及び他方のスライダーが移動する移動用開口と、を備えた固定プレートであることを特徴とする請求項1記載の直動機構。
【請求項3】
前記一方のファスナーテープの一端側中途部は、折り返されて前記一方の板状部の一端側の上面又は下面に位置し、該一方のファスナーテープの他端側中途部は、折り返されて該一方の板状部の他端側の上面又は下面に位置し、
前記他方のファスナーテープの一端側中途部は、折り返されて前記他方の板状部の一端側の上面又は下面に位置し、該他方のファスナーテープの他端側中途部は、折り返されて該他方の板状部の他端側の上面又は下面に位置し、
上記一方のファスナーテープの折り返された一端側と上記他方のファスナーテープの折り返された一端側とは、一端側押えプレートにより固定されてなるとともに、
上記一方のファスナーテープの折り返された他端側と上記他方のファスナーテープの折り返された他端側とは、他端側押えプレートにより固定されてなることを特徴とする請求項2記載の直動機構。
【請求項4】
前記一方の撓み防止手段は、
前記一方のファスナーテープの上面が接着テープ又は接着剤により固定され前記一方の板状部である一方の上側固定プレートと、該一方のファスナーテープの下面が接着テープ又は接着剤により固定され前記一方の板状部である一方の下側固定プレートと、により該一方のファスナーテープが挟持されてなるものであり、
前記他方の緩み止め防止手段は、
前記他方のファスナーテープの上面が接着テープ又は接着剤により固定され前記他方の板状部である他方の上側固定プレートと、該他方のファスナーテープの下面が接着テープ又は接着剤により固定され前記他方の板状部である他方の下側固定プレートと、により該他方のファスナーテープが挟持されてなるものであり、
上記一方の上側固定プレートと他方の上側固定プレートとの間及び上記一方の下側固定プレートと他方の下側固定プレートとの間は、それぞれ前記一方及び他方のスライダーが移動する前記移動用開口であること特徴とする請求項1記載の直動機構。
【請求項5】
前記一方のファスナーテープは、それぞれ前記接着テープである一方の下側接着テープと一方の上側接着テープとにより挟まれた状態とされ、該一方のファスナーテープと該一方の下側接着テープと一方の上側接着テープは、縫合糸により互いに縫合された状態で前記一方の板状部に接着され、
前記他方のファスナーテープは、それぞれ前記接着テープである他方の下側接着テープと他方の上側接着テープとにより挟まれた状態とされ、該他方のファスナーテープと該他方の下側接着テープと他方の上側接着テープは、縫合糸により互いに縫合された状態で前記他方の板状部に接着されてなることを特徴とする請求項2,3又は4記載の何れかの直動機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーブル、摺動体又はスライダー等と称され直線状に往複動する移動体と、ガイドレール又はスライドレール等と称され上記移動体の往復動をガイドするガイド体とを備えた直動機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
これまで直動機構は、高精度な位置決め手段や動力の伝達手段として、例えば工作機械,産業用ロボット、製造ライン、或いは医療機器や半導体製造装置又は精密計測機器等の分野等で幅広く利用されている。そして、こうした直動機構は、直線状に移動する移動体と、この移動体の移動(駆動)の駆動源となるモータと、このモータの駆動により正回転及び逆回転されるとともに上記移動体に連結され該モータの回転力を移動体に伝達するボールネジと、上記移動体を直線方向にガイドするガイド体とから概ね構成されているものが多い。なお、上記モータの回転力を移動体に伝達する手段(以下、駆動系と言う。)としては、上記ボールネジに代えてベルトが使用されているものやリニアモータが使用されているものもある。
【0003】
そして、上記直動機構を構成する移動体の往復動方向には、該移動体の移動により伸長され又は縮小される(伸縮される)蛇腹等の保護カバーが装着されている。この保護カバーは、上記移動体の往動側と複動側との双方に装着されてなるものであって、一端が上記移動体に固定され他端は往動側又は複動側に位置する所定の固定板又は部材に固定され、これらの保護カバーにより上記ガイド体を覆うことにより、該ガイド体に塵埃,切削屑又は切削油等の付着により、上記移動体の高精度な位置決め等に支障を来すことが防止されている。例えば、実公平6-20897号公報(特許文献1)には、上記移動体であるスライダーがガイドされる上記ガイド体としての案内レールをジャバラ状に成形された保護カバーである防塵カバーを取り付けることにより、位置決め機能を向上させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示された従来の直動機構では、上記移動体が往動した場合には上記往動側に取り付けられた保護カバーが、該移動体が複動した場合には上記複動側に取り付けられた保護カバーは縮小されることから、該直動機構では、必ず上記それぞれの保護カバーが縮小されるスペースを設けなければならず、こうしたスペースを加味した設計が不可欠となる。特に、上記保護カバーがジャバラ状とされている場合には、該保護カバーを構成するシート状の部位が縮小時においては幾重にも折り重なった状態となることから、該縮小時における保護カバーの長さに対応したスペースを必然的に設けなければならず、上記ガイド体の長さに近い範囲で移動体の移動範囲を設定することができない。また、上記従来の直動機構では、上記移動体の移動に伴ってそれまで縮小されていた保護カバーが伸長される際、該保護カバーの内部容積が増大することからこの内部の圧力は負圧とされ、周囲の塵埃等を内部に吸引して上記移動体を駆動するボールネジ等の駆動系にこれら塵埃等が付着してしまい、移動体の高精度な位置決めを保証できない場合がある。
【0006】
そこで、本発明は、上述した従来の直動機構が有する課題を解決するために提案されたものであって、該直動機構を構成するガイド体を塵埃等から保護することができるとともに、上記移動体の移動範囲又は移動長さを大きく制約することなく、上記ガイド体の長さにより近い範囲で該移動体の移動範囲を設定することが可能となる新規な直動機構を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであって、第1の発明(請求項1記載の発明)は、ガイド体により直線状にガイドされながら往復動する移動体と、この移動体に連結されてなる下側移動板と、この下側移動板上に連結されてなる上側移動板と、ファスナーと、を備え、上記ファスナーは、上記移動体の往復動方向に長さを有し該移動体の往復動方向の長さよりも長尺に成形された一方のファスナーテープと、該一方のファスナーテープに平行に並列された他方のファスナーテープと、上記一方のファスナーテープの一側に固定された複数のエレメントからなる一方のエレメント群と、上記他方のファスナーテープに固定された複数のエレメントからなり上記一方のエレメント群と噛合する他方のエレメント群と、上記下側移動板と上側移動体との間に位置し、往動されることにより上記一方及び他方のエレメント群を構成する個々のエレメント同士を噛合させ、複動されることにより該エレメント同士の噛合状態を解除させる第1のスライダーと、上記下側移動板と上側移動体との間に位置し、この第1のスライダーの近傍であって該第1のスライダーの往動方向に配置され、往動されることにより該エレメント同士の噛合状態を解除させ、複動されることにより該エレメント同士を噛合させる第2のスライダーと、を有し、上記下側移動板と上側移動板との双方又はこれらの何れか一方には、上記第1のスライダーと係合する第1の係合手段と、上記第2のスライダーと係合する第2の係合手段とが形成されてなるとともに、上記一方のファスナーテープには、上記第1及び第2のスライダーの往復動の際に該一方のファスナーテープの撓みを防止し、該一方のファスナーテープの上面又は下面と面対向する一方の板状部を有してなる一方の緩み防止手段が設けられ、上記他方のファスナーテープには、上記第1及び第2のスライダーの往復動の際に該他方のファスナーテープの撓みを防止し、該他方のファスナーテープの上面又は下面と面対向する他方の板状部を有してなる他方の緩み防止手段が設けられてなることを特徴とするものである。
【0008】
この第1の発明に係る直動機構は、移動体と、上側移動板及び下側移動板と、ファスナーと、撓み防止手段とを備えたものである。上記移動体は、ガイド体により直線状にガイドされながら往復動するものである。また、上記下側移動板は、上記移動体に連結されてなるものであり、上記上側移動板は上記下側移動板に連結されたものである。したがって、上記移動体が上記ガイド体によってガイドされながら直線状に移動すると、上記下側移動板と上側移動板もこの移動板も同様の動作をする。また、上記ファスナーは、互いに平行に配置された一方及び他方のファスナーテープと、これらに固定されたエレメント群と、スライダーとから構成されたものである。但し、この発明では、上記スライダーは、第1及び第2のスライダーから構成され、これら第1及び第2のスライダーは、上記下側移動板と上側移動体との間に位置している。また、上記下側移動板と上側移動板との双方又はこれらの何れか一方には、上記第1のスライダーと係合する第1の係合手段と、上記第2のスライダーと係合する第2の係合手段とが形成されている。したがって、上記移動体(及び下側移動板と上側移動板)が往復動すると、上記第1及び第2のスライダーも移動し、上記エレメント群を構成する個々のエレメントは互いに噛合されるとともに噛合されたエレメントはその噛合状態が解除される。したがって、こうした構成に係る直動機構によれば、上記ガイド体は上記ファスナーにより閉塞されることから、該ガイド体を塵埃等から保護することができるとともに、上記移動体の移動範囲又は移動長さを大きく制約することなく、上記ガイド体の長さにより近い範囲で該移動体の移動範囲を設定することが可能となる。
【0009】
そして、この第1の発明に係る直動機構では、上記一方のファスナーテープには、上記第1及び第2のスライダーの往復動の際に該一方のファスナーテープの撓みを防止し、該一方のファスナーテープの上面又は下面と面対向する一方の板状部を有してなる一方の緩み防止手段が設けられ、上記他方のファスナーテープには、上記第1及び第2のスライダーの往復動の際に該他方のファスナーテープの撓みを防止し、該他方のファスナーテープの上面又は下面と面対向する他方の板状部を有してなる他方の緩み防止手段が設けられている。これら一方及び他方の撓み防止手段は、上記一方又は他方の板状部を構成要素とするものであり、これらは上記一方又は他方のファスナーテープの上面又は下面と面対向するものであることから、上記第1及び第2のスライダーが移動する際に、上記エレメント群が固定された一方のファスナーテープや他方のファスナーテープが撓んでその姿勢が崩れ、各エレメントと第1及び第2のスライダーとの摩擦抵抗が増大し、スムーズな往復動が妨げられる危険性を有効に防止することができる。
【0010】
なお、本発明を構成する上記移動体は、リニアガイドを構成し直線状に移動又はスライド(往復動)するものであっても良いし、外周面にネジが形成されたボールネジに螺着されたものであっても良く、このボールネジが図示しないモータの駆動により正転又は逆転することで上記移動体がガイドレールにガイドされながら直線状に移動(往復動)するものであっても良い。また、上記第1の発明では、上記一方の板状部と一方のファスナーテープとは、また上記他方の板状部と他方のファスナーテープとは、それぞれ面対向していることが必要となるが、これは該一方の板状部に対して該一方のファスナーテープが接触している場合、互いに接着されている場合、間に接着テープが介在している場合の全てを含む。このことは、上記他方の板状部と他方のファスナーテープとが互いに面対向している場合も同じである。
【0011】
また、第2の発明(請求項2記載の発明)は、上記第1の発明において、前記一方及び他方の緩み防止手段は、前記一方のファスナーテープが接着テープ又は接着剤により固定された一方の板状部と、前記他方のファスナーテープが接着テープ又は接着剤により固定された他方の板状部と、上記一方の板状部と他方の板状部との間に形成され前記一方及び他方のスライダーが移動する移動用開口と、を備えた固定プレートであることを特徴とするものである。
【0012】
この第2の発明に係る直動機構では、前記緩み防止手段を限定したものであり、上記固定プレートを構成要素としたものである。この固定プレートは、一方の板状部と他方の板状部と、移動用開口とを備えており、上記一方の板状部は、該一方の板状部の上面又は下面に、接着テープ又は接着剤により、上記一方のファスナーテープが固定され、また、上記他方の板状部は、該一方の板状部の上面又は下面に、接着テープ又は接着剤により、上記一方のファスナーテープが固定されたものである。また、上記移動用開口は、上記一方の板状部と他方の板状部との間に形成され前記一方及び他方のスライダーが移動する空間である。
【0013】
こうした構成に係る直動機構によれば、上記第1の発明と同じように、上記一方及び他方の板状部により、上記第1及び第2のスライダーが移動される途中において、上記一方及び他方のファスナーテープが撓んで、その姿勢が崩れ、各エレメントと第1及び第2のスライダーとの摩擦抵抗が増大し、スムーズな往復動が妨げられる危険性を有効に防止することができる。
【0014】
また、第3の発明(請求項3記載の発明)は、上記第2の発明において、前記一方のファスナーテープの一端側中途部は、折り返されて前記一方の板状部の一端側の上面又は下面に位置し、該一方のファスナーテープの他端側中途部は、折り返されて該一方の板状部の他端側の上面又は下面に位置し、前記他方のファスナーテープの一端側中途部は、折り返されて前記他方の板状部の一端側の上面又は下面に位置し、該他方のファスナーテープの他端側中途部は、折り返されて該他方の板状部の他端側の上面又は下面に位置し、上記一方のファスナーテープの折り返された一端側と上記他方のファスナーテープの折り返された一端側とは、一端側押えプレートにより固定されてなるとともに、上記一方のファスナーテープの折り返された他端側と上記他方のファスナーテープの折り返された他端側とは、他端側押えプレートにより固定されてなることを特徴とするものである。
【0015】
この第3の発明に係る直動機構では、前記一方のファスナーテープの一端側中途部と他方のファスナーテープの一端側中途部とは、それぞれ折り返され、この折り返された部位は上記一端側押えプレートにより固定されている。また、同様に、前記一方のファスナーテープの他端側中途部と他方のファスナーテープの他端側中途部も、それぞれ折り返され、この折り返された部位は上記他端側押えプレートにより固定されている。したがって、上記第3の発明に係る直動機構によれば、より一層上記第1及び第2のスライダーの移動中に上記一方及び他方のファスナーテープが撓んで、各エレメントと第1及び第2のスライダーとの摩擦抵抗が増大し、スムーズな往復動が妨げられる危険性を有効に防止することができる。
【0016】
また、第4の発明(請求項4記載の発明)は、上記第1の発明において、前記一方の撓み防止手段は、前記一方のファスナーテープの上面が接着テープ又は接着剤により固定され前記一方の板状部である一方の上側固定プレートと、該一方のファスナーテープの下面が接着テープ又は接着剤により固定され前記一方の板状部である一方の下側固定プレートと、により該一方のファスナーテープが挟持されてなるものであり、前記他方の緩み止め防止手段は、前記他方のファスナーテープの上面が接着テープ又は接着剤により固定され前記他方の板状部である他方の上側固定プレートと、該他方のファスナーテープの下面が接着テープ又は接着剤により固定され前記他方の板状部である他方の下側固定プレートと、により該他方のファスナーテープが挟持されてなるものであり、上記一方の上側固定プレートと他方の上側固定プレートとの間及び上記一方の下側固定プレートと他方の下側固定プレートとの間は、それぞれ前記一方及び他方のスライダーが移動する前記移動用開口であること特徴とするものである。
【0017】
この第4の発明に係る直動機構では、前記一方の緩み防止手段として、上記一方のファスナーテープは、上記一方の上側固定プレートと一方の下側固定プレートとにより挟持されたものであり、前記他方の緩み防止手段として、上記他方のファスナーテープは、上記他方の上側固定プレートと他方の下側固定プレートとにより挟持されたものである。そして、上記一方の上側固定プレートと他方の上側固定プレートとの間及び上記一方の下側固定プレートと他方の下側固定プレートとの間は、それぞれ前記一方及び他方のスライダーが移動する前記移動用開口とされている。
【0018】
上記第4の発明に係る直動機構による場合であっても、一方及び他方のスライダーの移動の際には、上記一方の上側固定プレートと一方の下側固定プレートとにより、又は上記他方の上側固定プレートと他方の下側固定プレートとによりそれぞれ挟持されていることから、上記一方及び他方のファスナーテープが撓むことを有効に防止することが可能となる。
【0019】
また、第5の発明(請求項5記載の発明)は、上記第2、第3又は第4の発明の何れかにおいて、前記一方のファスナーテープは、それぞれ前記接着テープである一方の下側接着テープと一方の上側接着テープとにより挟まれた状態とされ、該一方のファスナーテープと該一方の下側接着テープと一方の上側接着テープは、縫合糸により互いに縫合された状態で前記一方の板状部に接着され、前記他方のファスナーテープは、それぞれ前記接着テープである他方の下側接着テープと他方の上側接着テープとにより挟まれた状態とされ、該他方のファスナーテープと該他方の下側接着テープと他方の上側接着テープは、縫合糸により互いに縫合された状態で前記他方の板状部に接着されてなることを特徴とするものである。
【0020】
この第5の発明に係る直動機構では、上記一方の板状部に接着された一方のファスナーテープは、それぞれ前記接着テープである一方の下側接着テープと一方の上側接着テープとにより挟まれた状態とされ、該一方のファスナーテープと該一方の下側接着テープと一方の上側接着テープは、縫合糸により互いに縫合された状態とされている。また、上記他方の板状部に接着された他方のファスナーテープは、それぞれ前記接着テープである他方の下側接着テープと他方の上側接着テープとにより挟まれた状態とされ、該他方のファスナーテープと該他方の下側接着テープと他方の上側接着テープは、縫合糸により互いに縫合された状態とされている。
【0021】
したがって、上記第5の発明に係る直動機構による場合には、上記第1及び第2のスライダーの移動中において、さらに一層上記一方及び他方のファスナーテープが撓むことを有効に防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る直動機構によれば、該直動機構を構成するガイド体を塵埃等から保護することができるとともに、従来取り付けられていたジャバラ状の保護カバーのように、上記移動体の移動範囲又は移動長さを大きく制約することなく、上記ガイド体の長さにより近い範囲で該移動体の移動範囲を設定することが可能となる。また、本発明によれば、上記撓み防止手段により、上記第1及び第2のスライダーが移動する際に、上記エレメント群が固定された一方のファスナーテープや他方のファスナーテープが撓んでその姿勢が崩れ、この結果、各エレメントと第1及び第2のスライダーとの摩擦抵抗が増大し、スムーズな往復動が妨げられる危険性を有効に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】直動ユニットを分解して示す分解斜視図である。
【
図4】下側移動板を示すものであって、(A)は斜視図、(B)は平面図である。
【
図5】上側移動板を示すものであって、(A)は下側からの斜視図、(B)は裏面図である。
【
図8】固定プレートに対するファスナーの固定構造を示すものであって、各部材を分解し且つ模式的に示す断面図である。
【
図9】ファスナーテープが折り返された状態を示す拡大断面図である。
【
図10】一方及び他方のファスナーテープの固定構造の他の例を示す分解斜視図である。
【
図11】2つのファスナーを構成要素とした直動ユニットを示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための最良の形態に係る直動機構を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明に係る直動機構を直動ユニットに適用したものである。
【0025】
この実施の形態に係る直動ユニット1は、所謂リニアガイドユニットであり、
図1に示すように、ガイドレール2と、このガイドレール2にガイドされながら直線状に移動する移動体3と、この移動体3の上面に板状のスペーサ4を介して該移動体3に着脱可能に固定されてなる下側移動板5と、この下側移動板5上に連結されてなる上側移動板6と、を備えている。なお、上記移動体は、図示しない外周面にネジが形成されたボールネジに螺着されたものであっても良く、このボールネジが図示しないモータの駆動により正転又は逆転することで上記移動体が図示しないガイドレールにガイドされながら直線状に移動(往復動)するものであっても良い。
【0026】
上記ガイドレール2は、板状に成形されたベッド7の上面に載置され固定されてなるものであって、該ガイドレール2の一端は、上記ベッド7の一端から起立してなる一方の固定部7aに固定され、該ガイドレール2の他端は、上記ベッド7の他端から起立してなる他方の固定部7bに固定されている。なお、上記一方の起立部7aと上記他方の起立部7bとの上面には、後述するカバー36の天板36a等を固定する固定ネジ37が螺着される2つのネジ穴7cがそれぞれ形成されている。そして、上記ガイドレール2は
図1又は
図3に示されるように、直線状に成形されてなるとともに、それぞれの側面には、後述する移動体3の内側に配置された図示しないベアリングが摺動する摺動溝2aが形成されている。また、上記移動体3は、上記ガイドレール2に摺動自在に装着されてなるものであって、上面は方形状の平面とされてなるとともに、一側側から垂下してなり内側は上記ガイドレール2の一側に対向してなる一方の垂下部3aと、他側側から垂下してなり内側は上記ガイドレール2の他側に対向してなる他方の垂下部3bとを備え、上記一方の垂下部3aと他方の垂下部3bとは互いに対向している。そして、これら一方の垂下部3aと他方の垂下部3bとが対向する部位には、それぞれ図示しないベアリングが配置されている。なお、上記移動体3の上面の各角部近傍には、後述するスペーサ4を固定するために使用される図示しないスペーサ固定ネジが螺着されるネジ穴3cがそれぞれ形成されている。
【0027】
また、上記スペーサ4は、上記移動体3の平面形状よりもやや長い短辺及び長辺を有してなる板体であって、各角部には、上記ネジ穴3cに螺着されるスペーサ固定ネジの軸部が挿通される軸挿通部と該スペーサ固定ネジの頭部が収容される皿状の凹部(符号は省略する。)が形成されたス4つのペーサ側ネジ穴4aが形成されている。また、このスペーサ4の中央には、該スペーサ4の長さ方向に所定間隔隔てて中央側ネジ穴4bが2つ形成されている。これら2つのネジ穴4bは、それぞれ後述する上側移動板6と下側移動板5とこのスペーサ4とを一体化する図示しない2つの一体化ネジが螺着される部位である。
【0028】
また、上記下側移動板5は、
図1又は
図4の(A)及び(B)に示すように、上面には後述する第1のスライダー17の下面側が嵌入する第1の下側嵌入凹部5aと、後述する第2のスライダー18の下面側が嵌入する第2の下側嵌入凹部5bとが形成されている。また、この下側移動板5の中央であって上記第1の下側嵌入凹部5aと第2の下側嵌入凹部5bとの間には、該下側移動板5の長さ方向に長さを有する長尺嵌合凸部5cが該下側移動板5の上面よりも上方に起立した状態で形成され、更に
図4の(A)又は(B)に示すように、上記第1の下側嵌入凹部5aと上記長尺嵌合凸部5cとの間には、該下側移動板5の上面よりも上方にやや起立した第1の下側凸部5dと第2の下側凸部5eとがそれぞれ形成され、また、第2の下側嵌入凹部5bと上記長尺嵌合凸部5cとの間には、該下側移動板5の上面よりも上方にやや起立した第3の下側凸部5fと第4の下側凸部5gとがそれぞれ形成されている。そして、上記第1の下側凸部5dと第2の下側凸部5eとの間には、
図4の(B)に示すように、円形状の下側貫通穴5hが形成され、上記第3の下側凸部5fと第4の下側凸部5gとの間には、円形状の下側貫通穴5iが形成されている。これらの下側貫通穴5h,5iは、それぞれ上記一体化ネジの軸部が挿通される部位である。
【0029】
また、上記上側移動板6は、
図1又は
図5の(A)及び(B)に示すように、下面には後述する第1のスライダー17の上面側が嵌入する第1の上側嵌入凹部6aと、後述する第2のスライダー18の上面側が嵌入する第2の上側嵌入凹部6bとが形成されている。また、この上側移動板6の裏面の中央であって上記第1の上側嵌入凹部6aと第2の上側嵌入凹部6bとの間には、該上側移動板6の長さ方向に長さを有する長尺嵌合凹部6cが形成されている。この長尺嵌合凹部6cは、上記下側移動板5に形成された長尺嵌合凸部5cが嵌合する部位である。そして、この上側移動板6には、
図5の(A)又は(B)に示すように、上記第1の上側嵌入凹部6aと上記長尺嵌合凹部6cとの間には、該上側移動板6の下面よりもやや垂下した第1の上側凸部6dと第2の上側凸部6eとがそれぞれ形成され、また、第2の上側嵌入凹部6bと上記長尺嵌合凹部6cとの間には、該上側移動板6の下面よりもやや垂下した第3の上側凸部6fと第4の上側凸部6gとがそれぞれ形成されている。そして、上記第1の上側凸部6dと第2の上側凸部6eとの間には、
図5の(B)に示すように、円形状の上側貫通穴6hが形成され、上記第3の上側凸部6fと第4の上側凸部6gとの間には、円形状の上側貫通穴6iが形成されている。これらの上側貫通穴6h,6iは、それぞれ上記一体化ネジの軸部が挿通される部位である。
【0030】
次に、
図6を参照しながら本発明を構成するファスナー11に付いて説明し、その後に
図7を参照しながら、本発明を構成する固定プレート12に付いて説明する。なお、
図6に示すファスナー11は、
図7に示す固定プレート12に固定される前の状態を示すものである。このファスナー11は、その全長が上記移動体3の往復動範囲よりもやや長尺とされてなるものであり、
図7に示すように、一方のファスナーテープ13と、この一方のファスナーテープ13に平行に配置された他方のファスナーテープ14と、上記一方のファスナーテープ13の上記他方のファスナーテープ14側に多数固定された一方のエレメント15からなる一方のエレメント群(符号は省略する。)と、上記一方のエレメント15に噛合し上記他方のファスナーテープ14に固定された他方のエレメント16からなる他方のエレメント群(符号は省略する。)と、を備えている。上記一方及び他方のファスナーテープ13,14はそれぞれ織布からなるものである。また、このファスナー11は、上記一方のエレメント15と他方のエレメント16を互いに噛合させるとともに該噛合状態を解除させる第1のスライダー17と、この第1のスライダー17の近傍に配置され上記第1のスライダー17とは逆向きとされた第2のスライダー18と、を備えている。上記第2のスライダー18も、上記第1のスライダー17と同様に、上記一方のエレメント15と他方のエレメント16を互いに噛合させるとともに該噛合状態を解除させるものである。本実施の形態では、
図6中において、左側が上記第1のスライダー17であり、右側が上記第2のスライダー18であり、互いにその向きは反対とされている。したがって、上記第1のスライダー17が
図6中又は
図1中において、右側に移動すると、それまで互いに分離されていた上記一方のエレメント15と他方のエレメント16は互いに噛合させられ、また、上記第2のスライダー18が右側に移動すると、それまで互いに噛合していた上記一方のエレメント15と他方のエレメント16は、その噛合状態が解除される。こうした動作とは反対に、上記第1のスライダー17が
図6中又は
図1中において、左側に移動すると、それまで互いに噛合されていた上記一方のエレメント15と他方のエレメント16は互いにその噛合状態が解除させられ、また、上記第2のスライダー18が左側に移動すると、上記第1のスライダー17により噛合状態が解除された上記一方のエレメント15と他方のエレメント16は互いに噛合させられる。したがって、上記第1のスライダー17と上記第2のスライダー18との間では、必ず上記一方のエレメント15と他方のエレメント16とは噛合されておらず、開放された状態とされている。なお、上記第1のスライダー17の上面側は、上記上側移動板6の裏面に形成された第1の上側嵌入凹部6a内に嵌合する部位であり、該第1のスライダー17の下面側は、上記下側移動板5の上面に形成された上記第1の下側嵌入凹部5a内に嵌合する部位である。また、上記第2のスライダー18の上面側は、上記上側移動板6の裏面に形成された第2の上側嵌入凹部6b内に嵌合する部位であり、該第2のスライダー17の下面側は、上記下側移動板5の上面に形成された上記第2の下側嵌入凹部5b内に嵌合する部位である。したがって、上記移動体3の移動(往復動)に伴って上記上側移動板6と下側移動板5とが移動すると、上記第1及び第2のスライダー17,18も移動させられ、こうした第1及び第2のスライダー17,18の移動に伴って、上記個々の一方のエレメント15と個々の他方のエレメント16とは互い噛合させられるとともに該噛合状態が解除される。なお、上記第1の上側嵌入凹部6aと上記第1の下側嵌入凹部5aとは、本発明を構成する第1の係合手段であり、上記第2の上側嵌入凹部6bと上記第2の下側嵌入凹部5bとは、本発明を構成する第2の係合手段である。
【0031】
そして、このように構成された上記ファスナー11は、
図7に示す固定プレート12の下面に固定されている。この固定プレート12は、酪長方形状に成形されてなりステンレススチール等の金属を素材とし所定の剛性を有する薄板であって、中央には該固定プレート12の長さ方向に長さを有する移動用開口12aが形成されている。この移動用開口12aは、上記第1のスライダー17と第2のスライダー18とが移動する長さに対応した長さを有し、またその幅は、該第1及び第2のスライダー17,18の幅よりも若干広いものとされている。なお、上記固定プレート12の各角部近傍であって上記一方の起立部7aと上記他方の起立部7bとの上面のネジ穴7cの形成位置に対応して形成された貫通穴12bが形成されている。以下、上記固定プレート12に対する上記ファスナー11の固定構造を説明する。
【0032】
この固定プレート12に対する上記ファスナー11の固定構造は、
図8に示すように、上記一方のファスナーテープ13は、該一方のファスナーテープ13の上方に位置する上記固定プレート12(
図8中、上記移動用開口12aの左側に位置する部位)に対して、該一方のファスナーテープ13の下面に一部が貼付され、他の一部は該固定プレート12の下面に貼付される一方の下側接着テープ21により接着されている。この構造は、上記他方のファスナーテープ14に対する固定プレート12の固定構造も同じであり、該他方のファスナーテープ13の下面に一部が貼付され、他の一部は該固定プレート12の下面に貼付される他方の下側接着テープ22により接着されている。また、上記一方のファスナーテープ13の上面には、下面の一部が該一方のファスナーテープ13の上面に接着され、該接着された部位の一側側(
図8中、左側)は折り返されて途中は上記移動用開口12aを通過して上記固定プレート12の上面の一側側までその下面が貼付されてなる一方の上側接着テープ23が貼付されている。この構造は、上記他方のファスナーテープ14に対する固定プレート12の固定構造も同じであり、該他方のファスナーテープ14の上面には、下面の一部が該他方のファスナーテープ14の上面に接着され、該接着された部位の他側側(
図8中、右側)は折り返されて途中は上記移動用開口12aを通過して上記固定プレート12の上面の他側側までその下面が貼付されてなる他方の上側接着テープ24が貼付されている。そして、上記一方の下側接着テープ21の他側側(
図8中、一方又は他方のスライダー17,18側)と、上記一方のファスナーテープ13上に位置する上記一方の上側接着テープ23の他側側と、これら一方の下側接着テープ21と一方の上側接着テープ23との間に位置する該一方のファスナーテープ13とは、縫合糸25により縫合されて一体化されている。また、上記他方の下側接着テープ22の一側側(
図8中、一方又は他方のスライダー17,18側)と、上記他方のファスナーテープ14上に位置する上記他方の上側接着テープ24の一側側と、これら他方の下側接着テープ22と他方の上側接着テープ24との間に位置する該他方のファスナーテープ14とは、縫合糸26により縫合されて一体化されている。なお、上記一方の上側接着テープ23の部位の中で上記一方のファスナーテープ13の上面に下面が接着された部位の上面と、上記折り返された部位の下面とは
図8中太線で示す一方の両面接着テープ28により接着され、また、上記他方の上側接着テープ24の部位の中で上記他方のファスナーテープ14の上面に下面が接着された部位の上面と、上記折り返された部位の下面とは
図8中太線で示す他方の両面接着テープ29により接着されている。すなわち、上記固定プレート12に対する上記一方のファスナーテープ13や他方のファスナーテープ14の取付構造は、上記一方又は他方の下側接着テープ21,22と上記一方又は他方の上側接着テープ23,24により接着するとともに、該一方の下側接着テープ21と一方のファスナーテープ13と一方の上側接着テープ23とを縫合することにより、また、該他方の下側接着テープ22と他方のファスナーテープ14と他方の上側接着テープ24とを縫合することにより、それぞれを一体化しており、それぞれを縫合してなる上記縫合糸25,26は、上記固定プレート12の下方に位置されている。
【0033】
また、上記構造により上記固定プレート12の下面に接着・固定された上記一方のファスナーテープ13の一端側(図中左側)の下面には、
図1に示すように、一端側押えプレート31が配置され、該固定プレート12の下面の他端側には、他端側押えプレート32が配置されている。上記一端側押えプレート31及び他端側押えプレート32は、それぞれ上記固定プレート12の幅方向に長さを有する板体であり、該固定プレート12に形成された貫通穴12bに対応した位置には、それぞれ円形状の貫通穴31a,32aが形成されている。そして、上記ファスナー11を構成する一方のファスナーテープ13の一端側中途部と他端側中途部は、それぞれ下方に折り曲げられた後に折り返されており、その一部は上記一端側押えプレート31や他端側押えプレート32の下面に位置している。
図9は、上記一端側押えプレート31の下面に上記一方(又は他方)のファスナーテープ13(14)の一端側が折り返された状態を示す断面図である。
【0034】
そして、上記ファスナー11が下面に固定された上記固定プレート12は、
図1又は
図2に示すように、一端側が上記ベッド7を構成する一方の固定部7a上に載置され、他端側は上記他方の固定部7b上に載置されてなるとともに、以下に説明するカバー36の天板36a等を固定する固定ネジ37により固定されている。上記カバー36は、長方形状に成形された天板36aと、この天板36aの一側から下方に折曲されてなる一方の側板36bと、該天板36の他側から下方に折曲されてなり上記一方の側板36cとを備えている。そして、上記天板36aには、該天板36aの長さ幅よりやや短い長さ幅とされた長方形状の開口36dが形成されている。なお、上記上側移動板6は、この天板36a上に位置している。また、上記天板36aの各角部近傍には、上記固定ネジ37が挿通されるネジ穴36eが形成されている。なお、上記それぞれの固定ネジ37は、その軸部が上記固定プレート12に形成された貫通穴12bと上記一端側押えプレート31又は他端側押えプレート32に形成された貫通穴31a,32aに挿通された上で、上記一方の起立部7a又は上記他方の起立部7bの上面に形成された各ネジ穴7cに螺着されるものである。また、上記一方の側板36dの下端には、外側に折曲された一方の固定片36fが形成され、上記他方の側板36cの下端には、外側に折曲された他方の固定片36gが形成されている。これら一方及び他方の側板36f,36gは、それぞれこの直動ユニット1全体を固定する図示しない機械又は装置等に固定される部位であり、該機械等に固定する図示しないネジ又はボルトが挿通される挿通穴36hが複数形成されている。
【0035】
したがって、上述した実施の形態に係る直動ユニット1によれば、従来のようなジャバラ状の保護カバーを使用したもののように、該直動ユニット1に上記保護カバーが縮小された際のスペースを設ける必要がなく、上記ガイドレール2に塵埃等が付着することを防止することができる。そして、この直動ユニット1では、上記固定プレート12にファスナー11を固定するばかりではなく、該ファスナー11を構成する一方及び他方のファスナーテープ13,14を
図8に示す撓み防止手段及び
図9に示す撓み防止手段により該固定プレート12にファスナー11を固定していることから、上記移動体3の移動に伴って移動する上記第1及び第2のスライダー17,18の動作中に、該一方及び他方のファスナーテープ13,14が撓んで該第1及び第2のスライダー17,18の姿勢が変わり、これらと各一方又は他方のエレメント15,16との間で大きな摺動抵抗が発生し、この結果上記移動体3の高精度な移動を妨げたり、場合によってはこの直動ユニット1が破壊されたりする危険性を有効に防止することができる。
【0036】
なお、上記実施の形態では、上記ファスナー11を構成する一方のファスナーテープ13と他方のファスナーテープ14を上記固定プレート12の下面に固定したものであるが、本発明は上記固定プレート12の上面に固定したものや、該固定プレート12の上面又は下面に図示しない接着剤により固定したものあっても良い。
【0037】
またさらに、本発明は、
図10に示すように、上記一方のファスナーテープ13を、一方の上側固定プレート41と一方の下側固定プレート42とにより挟持し、また上記他方のファスナーテープ14を、他方の上側固定プレート43と他方の下側固定プレート44とにより挟持したものであっても良い。上記一方の上側固定プレート41、一方の下側固定プレート42、他方の上側固定プレート43及び他方の下側固定プレート44は、何れもステンレススチール等の素材により同一の薄板状に成形されてなるものであって、それぞれの(後述するように両端側が下方に折り返された後における)長さは上記一方及び他方のファスナーテープ13,14よりもやや長いものとされ、それぞれの幅は、該一方及び他方のファスナーテープ13,14の幅よりもやや長いものとされている。また、上記一方の上側固定プレート41の一端側であって一側側の角部近傍と、該一方の上側固定プレート41の他端側であって一側側の角部近傍と、上記他方の上側固定プレート43の一端側であって一側側の角部近傍と、該他方の上側固定プレート43の他端側であって一側側の角部近傍には、それぞれ先に説明した固定ネジ37が挿通される貫通穴41a,43aがそれぞれ形成されている。また、上記一方の下側固定プレート42の一端側であって一側側の角部近傍と、該一方の下側固定プレート42の他端側であって一側側の角部近傍と、上記他方の下側固定プレート44の一端側であって一側側の角部近傍と、該他方の下側固定プレート44の他端側であって一側側の角部近傍には、それぞれ先に説明した固定ネジ37が挿通される貫通穴42a,44aがそれぞれ形成されている。そして、上記一方の下側固定プレート43の上面の一側側には、細長状に成形された一方のスペーサ47が配置され、上記他方の下側固定プレート44の上面の他側側には、上記一方のスペーサ47と同一形状に成形された他方のスペーサ48が配置されている。これら一方及び他方のスペーサ47,48は、それぞれ上記一方及び他方のファスナーテープ13,14の肉厚と同じ肉厚とされている。なお、上記一方及び他方のスペーサ47,48の両端側には、上記一方の上側固定プレート41に形成された貫通穴41aに対応し先に説明した固定ネジ37が挿通される貫通穴47aや、他方の上側固定プレート43に形成された貫通穴43aに対応し先に説明した固定ネジ37が挿通される貫通穴48aが形成されている。
【0038】
また、この実施の形態では、上記一方のファスナーテープ13の下面の一側側には、一方の接着テープ51の上面の他側側が図示しない両面接着テープを介して接着され、また、上記他方のファスナーテープ14の下面の他側側には、他方の接着テープ52の上面の一側側が図示しない両面接着テープを介して接着されている。そして、上記一方のファスナーテープ13と上記一方の接着テープ51とが上下に重なった位置は、縫合糸53により縫合され、また、該他方のファスナーテープ14と上記他方の接着テープ52とが上下に重なった位置は、縫合糸54により縫合されている。
図10中、上記一方のファスナーテープ13の長さ方向に長さを有する破線は、上記縫合糸53の位置を示すものであり、上記他方のファスナーテープ14の長さ方向に長さを有する破線は、上記縫合糸54の位置を示すものである。なお、上記一方の接着テープ51の下面の一部は、図示しない両面テープを介して上記一方の下側固定プレート42の上面の一側側にも接着され、上記他方の接着テープ52の下面の一部は、図示しない両面テープを介して上記他方の下側固定プレート44の上面の他側側にも接着されている。また、上記ファスナー11を構成する一方のファスナーテープ13の一端側の下方と、上記他方のファスナーテープ14の一端側との下方には、該ファスナー11の長さ方向とは直交する方向に長さを有する一端側押えプレート56が配置され、該一方のファスナーテープ13の他端側の下方と、上記他方のファスナーテープ14の他端側との下方には、上記一端側押えプレート56と並行とされた他端側押えプレート57が配置されている。なお、これら一端側押えプレート56及び他端側押えプレート57の両端には、固定ネジ37が挿通される貫通穴56a,57aが形成されている。そして、
図10に示す上記それぞれの部材(符号は省略する。)は、上記ベッド7を構成する一方の固定部7a上と他方の固定部7b上において、前述した固定ネジ37により固定されて一体化されている。
【0039】
したがって、こうした実施の形態のように、上記ファスナー11を構成する一方のファスナーテープ13が、一方の上側固定プレート41と一方の下側固定プレート42とにより挟持され、上記他方のファスナーテープ14は上記他方の上側固定プレート43と他方の下側固定プレート44とにより挟持されてなる構成を採用することにより、上記第1及び第2のスライダー17,18の動作中に、該一方及び他方のファスナーテープ13,14が撓んで該第1及び第2のスライダー17,18の姿勢が変わり、これらと各一方又は他方のエレメント15,16との間で大きな摺動抵抗が発生することをより一層防止することが可能となる。
【0040】
また、上述した直動ユニット1は、単一のファスナー11を構成要素としたものであるが、本発明は、例えば
図11に示すように、ファスナーが左右にそれぞれ配置されたものであっても良い。なお、
図11では、細部は異なるも基本的な構成が同一の部材は同一の符号を付して示す。この直動ユニット61は、左側ファスナー62とこれに並んで配置された右ファスナー63とが構成要素とされ、
図11中において符号65は、上記左ファスナー62を構成する第1のスライダーであり、符号66は第2のスライダーである。また、符号67は、上記右ファスナー63を構成する第1のスライダーであり、符号67は第2のスライダーである。そして、上記左ファスナー62を構成する一方のファスナーテープ(符号は省略する。)の上面には第1の固定プレート69が配置され、上記左ファスナー62を構成する他方のファスナーテープ(符号は省略する。)上と上記右ファスナー63を構成する一方のファスナーテープ(符号は省略する。)上には第2の固定プレート70が配置され、該右ファスナー63を構成する他方のファスナーテープ(符号は省略する。)上には第3の固定プレート71が配置されている。なお、これら左ファスナー62を構成する上記一方及び他方のファスナーテープの両端側の下面には、一端側押えプレート73や他端側押えプレート74が配置され、上記一方及び他方のファスナーテープの両端側中途部はそれぞれ下方に折り返されてその一部は上記一端側押えプレート73や他端側押えプレート74の下面側に位置した状態で、上記ベッド7を構成する一方の固定部7a上と他方の固定部7b上において、前述した固定ネジ37により固定されている。
【0041】
そして、この直動ユニット61では、上記スペーサ4上に固定された下側移動板76の上面には、上記左ファスナー62を構成する第1のスライダー65の下面側が嵌入する第1の下側嵌入凹部76aと、該左ファスナー62を構成する第2のスライダー66の下面側が嵌入する第2の下側嵌入凹部76bと、上記右ファスナー63を構成する第1のスライダー67の下面側が嵌入する第3の下側嵌入凹部76cと、該右ファスナー63を構成する第2のスライダー68の下面側が嵌入する第4の下側嵌入凹部76dとがそれぞれ形成されている。そして、上記第1の下側嵌入凹部76aと第2の下側嵌入凹部76bとの間には、該下側移動板76の長さ方向に長さを有する左長尺嵌合凸部76eが起立してなり、上記第3の下側嵌入凹部76cと第4の下側嵌入凹部76dとの間には、該下側移動板76の長さ方向に長さを有する右長尺嵌合凸部76fが起立している。すなわち、これらの構成は
図1に示す下側移動板5の構成が左右に並んだものであり、上記下側移動板76も基本的に上記下側移動板5と同様であることから、その詳細は割愛する。また、図中符号77は、上記下側移動板76に連結される上側移動板であり、上記下側移動板76に対応した図示しない各嵌入部が形成されている。そして、この直動ユニット61の他の構成は、前記直動ユニット1と基本的に同用であることから詳細な説明は割愛する。
【0042】
したがって、上述した直動ユニット61においても、上記移動体3の往復動に伴い、上記左側ファスナー62を構成する第1及び第2のスライダー65,66や上記右側ファスナー63を構成する第1及び第2のスライダー67,68の動作中に、各ファスナーテープ(符号は省略する。)が撓んで該各スライダー65・・・68の姿勢が変わり、これらと各一方又は他方のエレメント(符号は省略する。)との間で大きな摺動抵抗が発生し、この結果上記移動体3の高精度な移動を妨げたり、場合によってはこの直動ユニット1が破壊されたりする危険性を有効に防止することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 直動ユニット
2 ガイドレール
3 移動体
5 下側移動板
5a 第1の下側嵌入凹部
5b 第2の下側嵌入凹部
5c 長尺嵌合凸部
6 上側移動板
6a 第1の上側嵌入凹部
6b 第2の上側嵌入凹部
6c 長尺嵌合凹部
11 ファスナー
12 固定プレート
12a 移動用開口
13 一方のファスナーテープ
14 他方のファスナーテープ
15 一方のエレメント
16 他方のエレメント
17 第1のスライダー
18 第2のスライダー
21 一方の下側接着テープ
22 他方の下側接着テープ
23 一方の上側接着テープ
24 他方の上側接着テープ
25,26 縫合糸
31 一端側押えプレート
32 他端側押えプレート
41 一方の上側固定プレート
42 一方の下側固定プレート
43 他方の上側固定プレート
44 他方の下側固定プレート
51 一方の接着テープ
52 他方の接着テープ
56 一端側押えプレート
57 他端側押えプレート
61 直動ユニット
62 一方のファスナー
63 他方のファスナー
65 第1のスライダー
67 第2のスライダー
69 第1の固定プレート
70 第2の固定プレート
71 第3の固定プレート
76 下側移動板
77 上側移動板
【手続補正書】
【提出日】2023-06-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイド体により直線状にガイドされながら往復動する移動体と、この移動体に連結されてなる下側移動板と、この下側移動板上に連結されてなる上側移動板と、ファスナーと、を備え、
上記ファスナーは、上記移動体の往復動方向に長さを有し該移動体の往復動方向の長さよりも長尺に成形された一方のファスナーテープと、該一方のファスナーテープに平行に並列された他方のファスナーテープと、上記一方のファスナーテープの一側に固定された複数のエレメントからなる一方のエレメント群と、上記他方のファスナーテープに固定された複数のエレメントからなり上記一方のエレメント群と噛合する他方のエレメント群と、上記下側移動板と上側移動板との間に位置し、往動されることにより上記一方及び他方のエレメント群を構成する個々のエレメント同士を噛合させ、複動されることにより該エレメント同士の噛合状態を解除させる第1のスライダーと、上記下側移動板と上側移動板との間に位置し、この第1のスライダーの近傍であって該第1のスライダーの往動方向に配置され、往動されることにより該エレメント同士の噛合状態を解除させ、複動されることにより該エレメント同士を噛合させる第2のスライダーと、を有し、
上記下側移動板と上側移動板との双方又はこれらの何れか一方には、上記第1のスライダーと係合する第1の係合手段と、上記第2のスライダーと係合する第2の係合手段とが形成されてなるとともに、
上記一方のファスナーテープには、上記第1及び第2のスライダーの往復動の際に該一方のファスナーテープの撓みを防止し、該一方のファスナーテープの上面又は下面と面対向する一方の板状部を有してなる一方の緩み防止手段が設けられ、上記他方のファスナーテープには、上記第1及び第2のスライダーの往復動の際に該他方のファスナーテープの撓みを防止し、該他方のファスナーテープの上面又は下面と面対向する他方の板状部を有してなる他方の緩み防止手段が設けられてなることを特徴とする直動機構。
【請求項2】
前記一方及び他方の緩み防止手段は、
前記一方のファスナーテープが接着テープ又は接着剤により固定された一方の板状部と、前記他方のファスナーテープが接着テープ又は接着剤により固定された他方の板状部と、上記一方の板状部と他方の板状部との間に形成され前記一方及び他方のスライダーが移動する移動用開口と、を備えた固定プレートであることを特徴とする請求項1記載の直動機構。
【請求項3】
前記一方のファスナーテープの一端側中途部は、折り返されて前記一方の板状部の一端側の上面又は下面に位置し、該一方のファスナーテープの他端側中途部は、折り返されて該一方の板状部の他端側の上面又は下面に位置し、
前記他方のファスナーテープの一端側中途部は、折り返されて前記他方の板状部の一端側の上面又は下面に位置し、該他方のファスナーテープの他端側中途部は、折り返されて該他方の板状部の他端側の上面又は下面に位置し、
上記一方のファスナーテープの折り返された一端側と上記他方のファスナーテープの折り返された一端側とは、一端側押えプレートにより固定されてなるとともに、
上記一方のファスナーテープの折り返された他端側と上記他方のファスナーテープの折り返された他端側とは、他端側押えプレートにより固定されてなることを特徴とする請求項2記載の直動機構。
【請求項4】
前記一方の撓み防止手段は、
前記一方のファスナーテープの上面が接着テープ又は接着剤により固定され前記一方の板状部である一方の上側固定プレートと、該一方のファスナーテープの下面が接着テープ又は接着剤により固定され前記一方の板状部である一方の下側固定プレートと、により該一方のファスナーテープが挟持されてなるものであり、
前記他方の緩み止め防止手段は、
前記他方のファスナーテープの上面が接着テープ又は接着剤により固定され前記他方の板状部である他方の上側固定プレートと、該他方のファスナーテープの下面が接着テープ又は接着剤により固定され前記他方の板状部である他方の下側固定プレートと、により該他方のファスナーテープが挟持されてなるものであり、
上記一方の上側固定プレートと他方の上側固定プレートとの間及び上記一方の下側固定プレートと他方の下側固定プレートとの間は、それぞれ前記一方及び他方のスライダーが移動する前記移動用開口であること特徴とする請求項1記載の直動機構。
【請求項5】
前記一方のファスナーテープは、それぞれ前記接着テープである一方の下側接着テープと一方の上側接着テープとにより挟まれた状態とされ、該一方のファスナーテープと該一方の下側接着テープと一方の上側接着テープは、縫合糸により互いに縫合された状態で前記一方の板状部に接着され、
前記他方のファスナーテープは、それぞれ前記接着テープである他方の下側接着テープと他方の上側接着テープとにより挟まれた状態とされ、該他方のファスナーテープと該他方の下側接着テープと他方の上側接着テープは、縫合糸により互いに縫合された状態で前記他方の板状部に接着されてなることを特徴とする請求項2,3又は4記載の何れかの直動機構。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
これまで直動機構は、高精度な位置決め手段や動力の伝達手段として、例えば工作機械、産業用ロボット、製造ライン、或いは医療機器や半導体製造装置又は精密計測機器等の分野等で幅広く利用されている。そして、こうした直動機構は、直線状に移動する移動体と、この移動体の移動(駆動)の駆動源となるモータと、このモータの駆動により正回転及び逆回転されるとともに上記移動体に連結され該モータの回転力を移動体に伝達するボールネジと、上記移動体を直線方向にガイドするガイド体とから概ね構成されているものが多い。なお、上記モータの回転力を移動体に伝達する手段(以下、駆動系と言う。)としては、上記ボールネジに代えてベルトが使用されているものやリニアモータが使用されているものもある。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであって、第1の発明(請求項1記載の発明)は、ガイド体により直線状にガイドされながら往復動する移動体と、この移動体に連結されてなる下側移動板と、この下側移動板上に連結されてなる上側移動板と、ファスナーと、を備え、上記ファスナーは、上記移動体の往復動方向に長さを有し該移動体の往復動方向の長さよりも長尺に成形された一方のファスナーテープと、該一方のファスナーテープに平行に並列された他方のファスナーテープと、上記一方のファスナーテープの一側に固定された複数のエレメントからなる一方のエレメント群と、上記他方のファスナーテープに固定された複数のエレメントからなり上記一方のエレメント群と噛合する他方のエレメント群と、上記下側移動板と上側移動板との間に位置し、往動されることにより上記一方及び他方のエレメント群を構成する個々のエレメント同士を噛合させ、複動されることにより該エレメント同士の噛合状態を解除させる第1のスライダーと、上記下側移動板と上側移動板との間に位置し、この第1のスライダーの近傍であって該第1のスライダーの往動方向に配置され、往動されることにより該エレメント同士の噛合状態を解除させ、複動されることにより該エレメント同士を噛合させる第2のスライダーと、を有し、上記下側移動板と上側移動板との双方又はこれらの何れか一方には、上記第1のスライダーと係合する第1の係合手段と、上記第2のスライダーと係合する第2の係合手段とが形成されてなるとともに、上記一方のファスナーテープには、上記第1及び第2のスライダーの往復動の際に該一方のファスナーテープの撓みを防止し、該一方のファスナーテープの上面又は下面と面対向する一方の板状部を有してなる一方の緩み防止手段が設けられ、上記他方のファスナーテープには、上記第1及び第2のスライダーの往復動の際に該他方のファスナーテープの撓みを防止し、該他方のファスナーテープの上面又は下面と面対向する他方の板状部を有してなる他方の緩み防止手段が設けられてなることを特徴とするものである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
この第1の発明に係る直動機構は、移動体と、上側移動板及び下側移動板と、ファスナーと、撓み防止手段とを備えたものである。上記移動体は、ガイド体により直線状にガイドされながら往復動するものである。また、上記下側移動板は、上記移動体に連結されてなるものであり、上記上側移動板は上記下側移動板に連結されたものである。したがって、上記移動体が上記ガイド体によってガイドされながら直線状に移動すると、上記下側移動板と上側移動板もこの移動板も同様の動作をする。また、上記ファスナーは、互いに平行に配置された一方及び他方のファスナーテープと、これらに固定されたエレメント群と、スライダーとから構成されたものである。但し、この発明では、上記スライダーは、第1及び第2のスライダーから構成され、これら第1及び第2のスライダーは、上記下側移動板と上側移動板との間に位置している。また、上記下側移動板と上側移動板との双方又はこれらの何れか一方には、上記第1のスライダーと係合する第1の係合手段と、上記第2のスライダーと係合する第2の係合手段とが形成されている。したがって、上記移動体(及び下側移動板と上側移動板)が往復動すると、上記第1及び第2のスライダーも移動し、上記エレメント群を構成する個々のエレメントは互いに噛合されるとともに噛合されたエレメントはその噛合状態が解除される。したがって、こうした構成に係る直動機構によれば、上記ガイド体は上記ファスナーにより閉塞されることから、該ガイド体を塵埃等から保護することができるとともに、上記移動体の移動範囲又は移動長さを大きく制約することなく、上記ガイド体の長さにより近い範囲で該移動体の移動範囲を設定することが可能となる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
また、上述した直動ユニット1は、単一のファスナー11を構成要素としたものであるが、本発明は、例えば
図11に示すように、ファスナーが左右にそれぞれ配置されたものであっても良い。なお、
図11では、細部は異なるも基本的な構成が同一の部材は同一の符号を付して示す。この直動ユニット61は、左側ファスナー62とこれに並んで配置された右ファスナー63とが構成要素とされ、
図11中において符号65は、上記左ファスナー62を構成する第1のスライダーであり、符号66は第2のスライダーである。また、符号67は、上記右ファスナー63を構成する第1のスライダーであり、符号6
8は第2のスライダーである。そして、上記左ファスナー62を構成する一方のファスナーテープ(符号は省略する。)の上面には第1の固定プレート69が配置され、上記左ファスナー62を構成する他方のファスナーテープ(符号は省略する。)上と上記右ファスナー63を構成する一方のファスナーテープ(符号は省略する。)上には第2の固定プレート70が配置され、該右ファスナー63を構成する他方のファスナーテープ(符号は省略する。)上には第3の固定プレート71が配置されている。なお、これら左ファスナー62を構成する上記一方及び他方のファスナーテープの両端側の下面には、一端側押えプレート73や他端側押えプレート74が配置され、上記一方及び他方のファスナーテープの両端側中途部はそれぞれ下方に折り返されてその一部は上記一端側押えプレート73や他端側押えプレート74の下面側に位置した状態で、上記ベッド7を構成する一方の固定部7a上と他方の固定部7b上において、前述した固定ネジ37により固定されている。