特開 2024-168411 車両用灯具

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024168411

(43)【公開日】2024-12-05

(54)【発明の名称】車両用灯具

(51)【国際特許分類】

   F21S 43/243 20180101AFI20241128BHJP

   F21S 43/14 20180101ALI20241128BHJP

   F21S 43/241 20180101ALI20241128BHJP

   F21S 43/31 20180101ALI20241128BHJP

   F21W 103/00 20180101ALN20241128BHJP

   F21W 103/10 20180101ALN20241128BHJP

   F21W 103/35 20180101ALN20241128BHJP

   F21W 103/45 20180101ALN20241128BHJP

   F21W 103/55 20180101ALN20241128BHJP

   F21W 103/20 20180101ALN20241128BHJP

   F21W 103/15 20180101ALN20241128BHJP

   F21Y 115/10 20160101ALN20241128BHJP

【ＦＩ】

F21S43/243

F21S43/14

F21S43/241

F21S43/31

F21W103:00

F21W103:10

F21W103:35

F21W103:45

F21W103:55

F21W103:20

F21W103:15

F21Y115:10

【審査請求】未請求

【請求項の数】9

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023085084

(22)【出願日】2023-05-24

(71)【出願人】

【識別番号】000002303

【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100149548

【弁理士】

【氏名又は名称】松沼 泰史

(74)【代理人】

【識別番号】100179833

【弁理士】

【氏名又は名称】松本 将尚

(74)【代理人】

【識別番号】100175824

【弁理士】

【氏名又は名称】小林 淳一

(72)【発明者】

【氏名】井川 晴喜

(57)【要約】

【課題】導光体の大型化を防ぐと共に、発光時の見栄えを良くすることを可能とした車両用灯具を提供する。
【解決手段】光源２と、光源２から出射された光Ｌを導光する導光体３とを備え、導光体３は、光源２から出射された光Ｌを内部へと入射する入射部４と、入射部４から入射された光Ｌを放射状に反射する第１反射部５と、第１反射部５で反射された光を光源２から出射される光Ｌの光軸ＡＸと平行な方向に向けて反射する第２反射部６と、第２反射部６で反射された光Ｌを第１反射部５で反射された光Ｌと並行且つ光源２から出射される光Ｌの光軸ＡＸに向けて反射する第３反射部７と、導光体３内で導光された光Ｌを外部へと出射する出射部８と、を含む。
【選択図】図８

【特許請求の範囲】

【請求項1】

光源と、
前記光源から出射された光を導光する導光体とを備え、
前記導光体は、前記光源から出射された光を内部へと入射する入射部と、
前記入射部から入射された光を放射状に反射する第１反射部と、
前記第１反射部で反射された光を前記光源から出射される光の光軸と平行な方向に向けて反射する第２反射部と、
前記第２反射部で反射された光を前記第１反射部で反射された光と並行且つ前記光源から出射される光の光軸に向けて反射する第３反射部と、
前記導光体内で導光された光を外部へと出射する出射部と、を含む車両用灯具。

【請求項2】

前記入射部は、前記光源から放射状に出射された光をコリメートしながら、前記導光体の内部へと入射するレンズ形状を有する請求項１に記載の車両用灯具。

【請求項3】

前記第１反射部は、前記光源から出射される光の光軸を中心に円錐状に傾斜した第１反射面を有する請求項２に記載の車両用灯具。

【請求項4】

前記第２反射部は、前記光源から出射される光の光軸を中心に半同心円状に配置された第２反射面を有し、
前記第３反射部は、前記光源から出射される光の光軸を中心に半同心円状に配置された第３反射面を有する請求項３に記載の車両用灯具。

【請求項5】

前記第１反射部は、前記第２反射部側へ光を反射する後部円錐反射面と、前記出射部側へ光を反射する前部円錐反射面とを有する請求項１に記載の車両用灯具。

【請求項6】

前記出射部は、前記前部円錐反射面及び前記第３反射部で反射された光を外部へと出射する請求項５に記載の車両用灯具。

【請求項7】

前記導光体は、前記第３反射部から前記出射部に向けて導光された光をコリメートさせる第１コリメート部と、
前記第１反射部から前記出射部に向けて導光された光をコリメートさせる第２コリメート部とを含む請求項１に記載の車両用灯具。

【請求項8】

前記導光体は、前記第１コリメート部及び前記第２コリメート部と前記出射部との間に空間を形成する中抜き部を含む請求項７に記載の車両用灯具。

【請求項9】

前記光源及び前記導光体を含む複数の発光ユニットを備え、
前記複数の発光ユニットは、前記光源から出射される光の光軸と直交する方向に並んで配置されると共に、前記導光体の隣り合うもの同士が連結された構造を有する請求項１に記載の車両用灯具。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、車両用灯具に関する。

【背景技術】

【0002】

従来より、車両に搭載される車両用灯具として、発光ダイオード（ＬＥＤ）などの光源と、インナーレンズなどの導光体とを組み合わせたものが知られている（例えば、下記特許文献１を参照。）。

【0003】

このような車両用灯具では、光源から出射された光を導光体の入射面から導光体の内部へと入射し、導光体の内部で光を導光させながら、導光体の出射面から導光体の外部へと光を出射する。これにより、導光体の出射面を車両用灯具の発光面として発光させることが可能である。

【0004】

また、下記特許文献１に記載の発明では、導光体の入射面から入射する光の方向と、導光体の出射面から出射される光の方向とを異ならせることによって、光源から出射された光が導光体の正面側から直接見ない、いわゆるステルスタイプの導光体となっている。これにより、導光体の光源に対応する部分が他の部分よりも強く光る、いわゆる点光りが視認されることを防ぐことが可能である。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0005】

【特許文献1】特開２０１４－２４１２２０号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0006】

ところで、上述した従来の車両用灯具において、導光体の出射面における発光幅を拡げたい場合、導光体の幅方向（左右方向）の寸法を大きくするのに合わせて、導光体の奥行き方向（前後方向）の寸法も大きくする必要がある。

【0007】

この場合、導光体の奥行き方向の寸法を抑えて、導光体の幅方向の寸法のみを拡大することは困難であり、導光体の大型化を招くといった問題が発生してしまう。

【0008】

また、導光体の幅方向の寸法を拡げた場合、導光体の入射面から導光体の内部へと入射した光も幅方向に拡げないと、導光体の出射面を幅方向に拡大して発光させることは困難である。したがって、この場合、車両用灯具の点灯時における見栄えが悪くなるといった問題が発生してしまう。

【0009】

本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、導光体の大型化を防ぐと共に、発光時の見栄えを良くすることを可能とした車両用灯具を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0010】

上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔１〕 光源と、
前記光源から出射された光を導光する導光体とを備え、
前記導光体は、前記光源から出射された光を内部へと入射する入射部と、
前記入射部から入射された光を放射状に反射する第１反射部と、
前記第１反射部で反射された光を前記光源から出射される光の光軸と平行な方向に向けて反射する第２反射部と、
前記第２反射部で反射された光を前記第１反射部で反射される光と平行且つ前記光源から出射される光の光軸と平行な方向に向けて反射する第３反射部と、
前記導光体内で導光された光を外部へと出射する出射部と、を含む車両用灯具。
〔２〕 前記入射部は、前記光源から放射状に出射された光をコリメートしながら、前記導光体の内部へと入射するレンズ形状を有する前記〔１〕に記載の車両用灯具。
〔３〕 前記第１反射部は、前記光源から出射される光の光軸を中心に円錐状に傾斜した第１反射面を有する前記〔２〕に記載の車両用灯具。
〔４〕 前記第２反射部は、前記光源から出射される光の光軸を中心に半同心円状に配置された第２反射面を有し、
前記第３反射部は、前記光源から出射される光の光軸を中心に半同心円状に配置された第３反射面を有する前記〔３〕に記載の車両用灯具。
〔５〕 前記第１反射部は、前記第２反射部側へ光を反射する後部円錐反射面と、前記出射部側へ光を反射する前部円錐反射面とを有する前記〔１〕に記載の車両用灯具。
〔６〕 前記出射部は、前記前記前部円錐反射面及び前記第３反射部で反射された光を外部へと出射する前記〔５〕に記載の車両用灯具。
〔７〕 前記導光体は、前記第３反射部から前記出射部に向けて導光された光をコリメートさせる第１コリメート部と、
前記第１反射部から前記出射部に向けて導光された光をコリメートさせる第２コリメート部とを含む前記〔１〕に記載の車両用灯具。
〔８〕 前記導光体は、前記第１コリメート部及び前記第２コリメート部と前記出射部との間に空間を形成する中抜き部を含む前記〔７〕に記載の車両用灯具。
〔９〕 前記光源及び前記導光体を含む複数の発光ユニットを備え、
前記複数の発光ユニットは、前記光源から出射される光の光軸と直交する方向に並んで配置されると共に、前記導光体の隣り合うもの同士が連結された構造を有する前記〔１〕に記載の車両用灯具。

【発明の効果】

【0011】

以上のように、本発明によれば、導光体の大型化を防ぐと共に、発光時の見栄えを良くすることを可能とした車両用灯具が提供される。

【図面の簡単な説明】

【0012】

【図1】本発明の一実施形態に係る車両用灯具を上方側から見た斜視図である。

【図2】図１に示す車両用灯具を下方側から見た斜視図である。

【図3】図１に示す車両用灯具の上面図である。

【図4】図１に示す車両用灯具の下面図である。

【図5】図１に示す車両用灯具の正面図である。

【図6】図１に示す車両用灯具の背面図である。

【図7】図１に示す車両用灯具の側面図である。

【図8】図２中に示す線分Ａ－Ａによる車両用灯具の断面図である。

【図9】図８中に示す線分Ｂ－Ｂによる車両用灯具の断面図である。

【図10】図８中に示す線分Ｃ－Ｃによる車両用灯具の断面図である。

【図11】複数の発光ユニットを備えた車両用灯具の上面図である。

【発明を実施するための形態】

【0013】

以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがあり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。

【0014】

本発明の一実施形態として、例えば図１～図１０に示す車両用灯具１について説明する。
なお、図１は、車両用灯具１を上方側から見た斜視図である。図２は、車両用灯具１を下方側から見た斜視図である。図３は、車両用灯具１の上面図である。図４は、車両用灯具１の下面図である。図５は、車両用灯具１の正面図である。図６は、車両用灯具１の背面図である。図７は、車両用灯具１の側面図である。図８は、図２中に示す線分Ａ－Ａによる車両用灯具１の断面図である。図９は、図８中に示す線分Ｂ－Ｂによる車両用灯具１の断面図である。図１０は、図８中に示す線分Ｃ－Ｃによる車両用灯具１の断面図である。

【0015】

また、以下に示す図面では、ＸＹＺ直交座標系を設定し、Ｘ軸方向を車両用灯具１の前後方向（長さ方向）、Ｙ軸方向を車両用灯具１の左右方向（幅方向）、Ｚ軸方向を車両用灯具１の上下方向（高さ方向）として、それぞれ示すものとする。

【0016】

本実施形態の車両用灯具１は、図１～１０に示すように、光源２と、光源２から出射された光Ｌを導光させる導光体３とを備えている。

【0017】

光源２は、例えばＬＥＤからなり、導光体３の上部に位置して、下方の導光体３に向けて光Ｌを放射状に出射する。

【0018】

導光体３は、例えばポリカーボネイトやアクリル等の光学樹脂からなり、金型を用いた射出成形により形成されている。

【0019】

導光体３は、その上面側に位置する入射部４と、その下側側に位置する第１反射部５と、その背面側に位置する第２反射部６及び第３反射部７と、その正面側に位置する出射部８と、第３反射部７と出射部８との間に位置する第１コリメート部９Ａと、第１反射部５と出射部８との間に位置する第２コリメート部９Ｂと、第１コリメート部９Ａ及び第２コリメート部９Ｂと出射部８との間に位置する中抜き部１０とを有している。

【0020】

入射部４は、光源２から放射状に出射された光Ｌを平行化（コリメート）しながら、導光体３の内部へと入射するレンズ形状を有している。

【0021】

具体的に、この入射部４は、光源２と対向する部分の中央に位置して、光源２から出射された光Ｌの一部が入射する凸面状の第１集光入射面４ａと、第１集光入射面４ａの周囲を囲む位置から光源２側に突出した突出部の内周側に位置して、光源２から出射された光Ｌの一部が入射する第２集光入射面４ｂと、突出部の外周側に位置して、第２集光入射面４ｂから入射した光Ｌを反射する集光反射面４ｃとを有している。

【0022】

入射部４では、このようなレンズ形状を有することで、光源２から出射された光Ｌのうち、第１集光入射面４ａから導光体３の内部へと入射した光Ｌを光源２から出射された光Ｌの光軸寄りに集光させる。一方、第２集光入射面４ｂから導光体３の内部へと入射した光Ｌを集光反射面４ｃで反射させることによって、光源２から出射された光Ｌの光軸寄りに集光させる。

【0023】

これにより、入射部４では、光源２から放射状に出射された光Ｌをコリメートしながら、導光体３の内部へと入射する。また、入射部４から入射した光Ｌは、導光体３の下面側に向けて導光される。

【0024】

第１反射部５は、入射部４と対向する位置に円錐状に傾斜した第１反射面５ａ，５ｂを有している。第１反射面５ａ，５ｂは、光源２から出射された光Ｌの光軸ＡＸを中心に約４５°の角度で傾斜している。

【0025】

本実施形態の導光体３では、入射部４の中心軸と第１反射部５の中心軸とが光源２から出射された光Ｌの光軸ＡＸと一致している。したがって、第１反射部５に入射する光Ｌの光軸は、入射部４から入射した光Ｌの光軸及び光源２から出射された光Ｌの光軸ＡＸと一致している。

【0026】

第１反射面５ａ，５ｂは、光軸ＡＸと直交するラインＢＬを挟んだ一方側（本実施形態では導光体３の背面側）に位置する後部円錐反射面５ａと、光軸ＡＸと直交するラインＢＬを挟んだ他方側（本実施形態では導光体３の正面側）に位置する前部円錐反射面５ｂとから構成されている。

【0027】

第１反射部５では、第１反射面５ａ，５ｂに入射した光Ｌを光軸ＡＸと直交する面内方向に向けて放射状に反射する。このうち、後部円錐反射面５ａに入射した第１光Ｌ１を光軸ＡＸと直交するラインＢＬを挟んだ一方側（本実施形態では導光体３の背面側）に向けて放射状に反射する。一方、前部円錐反射面５ｂに入射した第２光Ｌ２を光軸ＡＸと直交するラインＢＬを挟んだ他方側（本実施形態では導光体３の正面側）に向けて放射状に反射する。

【0028】

第２反射部６は、上記ラインＢＬを挟んだ一方側（導光体３の背面側）において、上記光軸ＡＸを中心に半同心円状に配置された第２反射面６ａを有している。第２反射面６ａは、上記光軸ＡＸを中心に約４５°の角度で傾斜している。

【0029】

第２反射部６では、第２反射面６ａに入射した第１光Ｌ１を上記光軸ＡＸと平行な方向に向けて反射する。また、第２反射面６ａにより反射された第１光Ｌ１は、導光体３の下面側に向けて導光される。

【0030】

第３反射部７は、上記ラインＢＬを挟んだ一方側（導光体３の背面側）において、上記光軸ＡＸを中心に半同心円状に配置された第３反射面７ａを有している。第３反射面７ａは、第２反射面６ａと対向しながら、上記光軸ＡＸを中心に約４５°の角度で第２反射面６ａとは逆向きに傾斜している。

【0031】

第３反射部７では、第３反射面７ａに入射した第１光Ｌ１を上記ラインＢＬを挟んだ他方側（導光体３の正面側）に向けて反射する。また、第３反射面７ａにより反射された第１光Ｌ１は、導光体３の正面側に向けて導光される。

【0032】

本実施形態の導光体３では、第２反射面６ａと第３反射面７ａとの間に肉厚部１１が設けられている。肉厚部１１は、導光体３の第２反射面６ａと第３反射面７ａとの間で、後述する出射部８の厚み方向の寸法を確保している。

【0033】

なお、肉厚部１１については、必ずしも必要な構成ではなく、場合によっては省略することも可能である。したがって、肉厚部１１を省略した場合は、第２反射面６ａと第３反射面７ａとが互いの境界を挟んで隣接することになる。

【0034】

出射部８は、導光体３の正面側に上記ラインＢＬとは平行な出射面８ａを有している。出射部８では、前部円錐反射面５ｂ（第１反射部５）及び第３反射面７ａ（第３反射部７）から上記ラインＢＬを挟んだ他方側（導光体３の正面側）に向けて反射された第１光Ｌ１及び第２光Ｌ２（光Ｌ）を出射面８ａから導光体３の外部へと出射する。

【0035】

また、出射面８ａには、この出射面８ａから出射される光Ｌを拡散させるための複数の拡散カット８ｂが設けられている。拡散カット８ｂとしては、例えば、フルートカットや魚眼カットと呼ばれるレンズカットや、ローレット加工やシボ加工等を施すことによって形成された凹凸構造などを挙げることができる。また、この拡散カット８ｂの形状等を調整することによって、出射面９ａから出射される光Ｌの拡散度合いを制御することが可能である。

【0036】

本実施形態において、複数の拡散カット８ｂは、出射面８ａを上記光軸ＡＸと平行な方向（導光体３の上下方向）に切り欠く断面略円弧状の溝部が上記ラインＢＬと平行な方向（導光体３の左右方向）に並ぶことによって、出射面８ａから出射される光Ｌを導光体３の幅方向に拡散させるフルートカットを構成している。

【0037】

第１コリメート部９Ａは、第３反射面７ａ（第３反射部７）から出射面８ａ（出射部８）に向けて導光される第１光Ｌ１をコリメートさせるレンズ形状を有している。

【0038】

具体的に、この第１コリメート部９Ａは、導光体３の下面側を凹ませた第１凹部１３ａと、第１凹部１３ａの背面側に位置して、第１光Ｌ１を第１凹部１３ａの内側の空間Ｋ１に向けて放射状に出射する凹面状の導光出射面１３ｂと、第１凹部１３ａの正面側に位置して、導光出射面１３ｂから出射された第１光Ｌ１の一部が入射する凸面状の第１導光入射面１３ｃと、第１凹部１３ａの両側面に位置して、導光出射面１３ｂから出射された第１光Ｌ１の一部が入射する一対の第２導光入射面１３ｄと、導光体３の両側面に位置して、一対の第２導光入射面１３ｄから入射した第１光Ｌ１を反射する一対の導光反射面１３ｅとを有している。

【0039】

このうち、導光出射面１３ｂは、後部円錐反射面５ａ（第１反射部５）と導光体３の下面との間を接続する半円筒状の凹面を構成している。

【0040】

第１コリメート部９Ａでは、このようなレンズ形状を有することで、第１導光入射面１３ｃから導光体３の内部へと入射した第１光Ｌ１を導光体３の幅方向における中心軸ＣＸ寄りに集光させる。一方、一対の第２導光入射面１３ｄから導光体３の内部へと入射した第１光Ｌ１を一対の導光反射面１３ｅで反射させることによって、導光体３の幅方向における中心軸ＣＸ寄りに集光させる。

【0041】

これにより、第１コリメート部９Ａでは、第３反射面７ａ（第３反射部７）から出射面８ａ（出射部８）に向けて導光される第１光Ｌ１をコリメートさせることが可能である。

【0042】

第２コリメート部９Ｂは、前部円錐反射面５ｂ（第１反射部５）から出射面８ａ（出射部８）に向けて導光される第２光Ｌ２をコリメートさせるレンズ形状を有している。

【0043】

具体的に、この第２コリメート部９Ｂは、導光体３の上面側を凹ませた第２凹部１４ａと、第２凹部１４ａの背面側に位置して、第２光Ｌ２を第２凹部１４ａの内側の空間Ｋ２に向けて放射状に出射する凸面状の導光出射面１４ｂと、第２凹部１４ａの正面側に位置して、導光出射面１４ｂから出射された第２光Ｌ２の一部が入射する凸面状の第１導光入射面１４ｃと、第２凹部１４ａの両側面に位置して、導光出射面１４ｂから出射された第２光Ｌ２の一部が入射する一対の第２導光入射面１４ｄと、導光体３の両側面に位置して、一対の第２導光入射面１４ｄから入射した第２光Ｌ２を反射する一対の導光反射面１４ｅとを有している。

【0044】

このうち、導光出射面１４ｂは、集光反射面４ｃ（入射部４）と前部円錐反射面５ｂ（第１反射部５）との間を接続する半円筒状の凸面を構成している。

【0045】

第２コリメート部９Ｂでは、このようなレンズ形状を有することで、第１導光入射面１４ｃから導光体３の内部へと入射した第２光Ｌ２を導光体３の幅方向における中心軸ＣＸ寄りに集光させる。一方、一対の第２導光入射面１４ｄから導光体３の内部へと入射した第２光Ｌ２を一対の導光反射面１４ｅで反射させることによって、導光体３の幅方向における中心軸ＣＸ寄りに集光させる。

【0046】

これにより、第２コリメート部９Ｂでは、前部円錐反射面５ｂ（第１反射部５）から出射面８ａ（出射部８）に向けて導光される第２光Ｌ２をコリメートさせることが可能である。

【0047】

本実施形態の導光体３では、第１凹部１３ａと第２凹部１４ａとの間に第１間仕切り部１５Ａが設けられている。第１間仕切り部１５Ａは、第１凹部１３ａの底面と第２凹部１４ａの底面とを形成している。

【0048】

なお、第１間仕切り部１５Ａについては、必ずしも必要な構成ではなく、場合によっては省略することも可能である。したがって、第１間仕切り部１５Ａを省略した場合は、第１凹部１３ａと第２凹部１４ａとの間を貫通する孔部が形成されることになる。

【0049】

中抜き部１０は、第１コリメート部９Ａと出射部８との間で導光体３の下面側を凹ませた第３凹部１６ａと、第２コリメート部９Ｂと出射部８との間で導光体３の上面側を凹ませた第４凹部１６ｂとを有している。

【0050】

中抜き部１０では、第３凹部１６ａの内側に空間Ｋ３を形成すると共に、第４凹部１６ｂの内側に空間Ｋ４を形成することで、導光体３の軽量化（上記光学樹脂の省量化）を図ることが可能である。

【0051】

また、中抜き部１０は、第３凹部１６ａの背面側に位置して、第１光Ｌ１を第３凹部１６ａの内側の空間Ｋ２に向けて放射状に出射する複数の導光出射面１７ａと、第３凹部１６ａの正面側に位置して、複数の導光出射面１７ａから出射された第１光Ｌ１が入射する導光入射面１７ｂと、第４凹部１６ｂの背面側に位置して、第２光Ｌ２を第４凹部１６ｂの内側の空間Ｋ２に向けて放射状に出射する複数の導光出射面１７ｃと、第４凹部１６ｂの正面側に位置して、複数の導光出射面１７ｃから出射された第２光Ｌ２が入射する導光入射面１７ｄとを有している。

【0052】

このうち、複数の導光出射面１７ａ，１７ｃは、それぞれ上記ラインＨＬと平行な平面からなり、導光体３の幅方向における中心軸ＣＸを挟んで導光入射面１７ｄの幅方向の両側に向かって段差状に並んで配置されている。一方、導光入射面１７ｂ，１７ｄは、上記ラインＨＬと平行な平面により構成されている。

【0053】

これにより、中抜き部１０では、第１コリメート部９Ａ及び第２コリメート部９Ｂによりコリメートされた第１光Ｌ１及び第２光Ｌ２を出射面８ａ（出射部８）に向けてそのまま透過させることが可能である。

【0054】

本実施形態の導光体３では、第３凹部１６ａと第４凹部１６ｂとの間に第２間仕切り部１５Ｂが設けられている。第２間仕切り部１５Ｂは、第３凹部１６ａの底面と第４凹部１６ｂの底面とを形成している。

【0055】

なお、第２間仕切り部１５Ｂについては、必ずしも必要な構成ではなく、場合によっては省略することも可能である。したがって、第２間仕切り部１５Ｂを省略した場合は、第３凹部１６ａと第４凹部１６ｂとの間を貫通する孔部が形成されることになる。

【0056】

一方、中抜き部１０については、必ずしも必要な構成ではなく、場合によっては省略することも可能である。したがって、中抜き部１０を省略した場合、第１コリメート部９Ａ及び第２コリメート部９Ｂによりコリメートされた第１光Ｌ１及び第２光Ｌ２（光Ｌ）が出射部８に向けて導光されることになる。

【0057】

以上のような構成を有する本実施形態の車両用灯具１では、上述した導光体３の内部でコリメートしながら導光される第１光Ｌ１及び第２光Ｌ２（光Ｌ）を出射面８ａから前方に向けて出射する。これにより、車両用灯具１の発光面として、導光体３の出射面８ａを発光させることが可能である。

【0058】

本実施形態の車両用灯具１では、上述した入射部４から入射した光Ｌを第１反射面５ａ，５ｂにより上記光軸ＡＸと直交する面内方向に向けて放射状に反射している。

【0059】

このうち、図８及び図９に示すように、後部円錐反射面５ａにより上記ラインＢＬを挟んだ一方側（導光体３の背面側）に向けて反射された第１光Ｌ１は、第２反射面６ａ及び第３反射面７ａにより反射されることで、導光体３の正面側に向けて放射状に導光された後、第２コリメート部９Ｂによりコリメートされて出射面８ａから出射される。

【0060】

一方、図８及び図１０に示すように、前部円錐反射面５ｂにより上記ラインＢＬを挟んだ他方側（導光体３の正面側）に向けて反射された第２光Ｌ２は、導光体３の正面側に向けて放射状に導光された後、第１コリメート部９Ａによりコリメートされて出射面８ａから出射される。

【0061】

これにより、本実施形態の車両用灯具１では、導光体３の奥行き方向の寸法を抑えつつ、導光体３の幅方向の寸法を大きくした場合でも、第１光Ｌ１及び第２光Ｌ２（光Ｌ）の導光範囲を幅方向に拡げることで、出射面８ａを幅方向に亘ってより均一に発光させることが可能である。

【0062】

また、本実施形態の車両用灯具１では、図８に示すように、上述した光軸ＡＸと直交するラインＢＬを挟んだ一方側（導光体３の背面側）に向けて導光される第１光Ｌ１と、他方側（導光体３の正面側）に向けて導光される第２光Ｌ２とを、導光体３の出射面８ａから導光体３の厚み方向（上下方向）に並べて出射している。

【0063】

これにより、本実施形態の車両用灯具１では、導光体３の厚み方向の寸法を大きくした場合でも、第１光Ｌ１及び第２光Ｌ２（光Ｌ）の導光範囲を厚み方向に拡げることで、出射面８ａを厚み方向に亘ってより均一に発光させることが可能である。

【0064】

以上のようにして、本実施形態の車両用灯具１では、導光体３の大型化を防ぐと共に、発光時の見栄えを良くすることが可能である。

【0065】

なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。

【0066】

例えば、図１０に示す車両用灯具１Ａのように、光源２及び導光体３を含む複数の発光ユニット５０を備えた構成としてもよい。具体的に、これら複数の発光ユニット５０は、上記ラインＨＬと平行な方向（導光体３の幅方向）に並んで配置されると共に、導光体３の隣り合うもの同士が連結部１８を介して連結された構造を有している。

【0067】

すなわち、各発光ユニット５０を構成する導光体３は、互いに隣り合うもの同士が連結された１つのレンズ結合体３０を構成している。一方、各発光ユニット５０を構成する光源２は、複数の導光体３の各々に対応して設けられている。また、各導光体３の出射部８は、導光体３の隣り合うもの同士の間で連続した出射面８ａを構成している。

【0068】

これにより、図１０に示す車両用灯具１Ａでは、上述したレンズ結合体を構成する各導光体３の出射面８ａをライン状に発光させることが可能である。

【0069】

なお、上記車両用灯具１，１Ａについては、上方の光源２から下方の導光体３に向けて光Ｌを出射する構成となっているが、下方の光源２から上方の導光体３に向けて光Ｌを出射する構成、すなわち上下を反転させた構成としてもよい。

【0070】

また、上記導光体３については、実際の車両のデザイン等に合わせて、その形状などを適宜変更することが可能である。例えば、上記導光体３では、車幅方向に延在し、且つ、車両の前端又は後端側のコーナー部に付与されるスラント形状に合わせて、車幅方向の内側よりも外側が後退する方向に向かって出射面８ａが湾曲又は傾斜した形状とすることも可能である。さらに、上記導光体３を傾けた配置とすることも可能である。

【0071】

なお、本発明が適用される車両用灯具については、特に限定されるものではなく、例えば、尾灯（テールランプ）や車幅灯（ポジションランプ）、ブレーキランプ、バックランプ、昼間点灯用ランプ（ＤＲＬ）、方向指示器（ウィンカーランプ）、サイドマーカーランプなど、本発明を幅広く適用することが可能である。

【0072】

また、上記光源２については、光を放射状に出射するものであればよく、上述したＬＥＤ以外にも、例えばレーザーダイオード（ＬＤ）などの発光素子を用いることができる。また、光源２が発する光の色については、赤色光や白色光、橙色光など、その車両用灯具の用途に応じて適宜変更することが可能である。

【符号の説明】

【0073】

１，１Ａ…車両用灯具 ２…光源 ３…導光体 ４…入射部 ５…第１反射部 ５ａ…後部円錐反射面 ５ｂ…前部円錐反射面 ６…第２反射部 ７…第３反射部 ８…出射部 ９Ａ…第１コリメート部 ９Ｂ…第２コリメート部 １０…中抜き部 ３０…レンズ結合体 ５０…発光ユニット Ｌ…光 Ｌ１…第１光 Ｌ２…第２光

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】