(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168420
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】生育支援システム、生育支援方法及び生育支援プログラム
(51)【国際特許分類】
A01G 7/00 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
A01G7/00 603
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085101
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】下山 真人
(72)【発明者】
【氏名】畑 浩二
(72)【発明者】
【氏名】溝田 陽子
(57)【要約】
【課題】苗木の生育管理を効率的に支援する生育支援システム、生育支援方法及び生育支援プログラムを提供する。
【解決手段】支援サーバ20は、ユーザ装置10及び計測装置15に接続された制御部21を備える。そして、制御部21が、計測装置15から、移植した複数の苗木の植林画像を取得し、植林画像において、苗木を特定し、苗木の生育状態を特定し、生育状態と成長曲線図とを比較して、生育状態の判定結果をユーザ装置10に出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ装置及び計測装置に接続された制御部を備えた生育支援システムであって、
前記制御部が、
前記計測装置から、移植した複数の苗木の植林画像を取得し、
前記植林画像において、前記苗木を特定し、
前記苗木の生育状態を特定し、
前記生育状態と成長曲線図とを比較して、前記生育状態の判定結果を前記ユーザ装置に出力することを特徴とする生育支援システム。
【請求項2】
前記制御部が、
前記植林画像において、樹高を算出し、
前記成長曲線図において、前記樹高から地位区分を特定することを特徴とする請求項1に記載の生育支援システム。
【請求項3】
ユーザ装置及び計測装置に接続された制御部を備えた生育支援システムを用いて、苗木の生育を支援する方法であって、
前記制御部が、
前記計測装置から、移植した複数の苗木の植林画像を取得し、
前記植林画像において、前記苗木を特定し、
前記苗木の生育状態を特定し、
前記生育状態と成長曲線図とを比較して、前記生育状態の判定結果を前記ユーザ装置に出力することを特徴とする生育支援方法。
【請求項4】
ユーザ装置及び計測装置に接続された制御部を備えた生育支援システムを用いて、苗木の生育を支援するための生育支援プログラムであって、
前記制御部を、
前記計測装置から、移植した複数の苗木の植林画像を取得し、
前記植林画像において、前記苗木を特定し、
前記苗木の生育状態を特定し、
前記生育状態と成長曲線図とを比較して、前記生育状態の判定結果を前記ユーザ装置に出力する手段として機能させるための生育支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、植物の栽培を行なうための生育支援システム、生育支援方法及び生育支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
植林後の苗木の活着状況確認のため、植林地を踏査することにより、目視確認を行なう。この場合、成長量の確認は、毎木調査により、樹高、胸高直径を計測して成長状況を確認する。しかしながら、急な斜面での全数調査は困難である。
【0003】
そこで、森林における苗木の状況を判別するための技術も検討されている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に記載された技術では、森林を空中から撮像した空中画像情報を取得する。次に、過去において森林を空中から撮像した参照用空中画像情報と、その森林における苗木の状況との3段階以上の連関度とを参照する。そして、連関度が高いものを優先させて、苗木の状況を判別する。
【0004】
また、人工林収穫予想表が開示されている(例えば、非特許文献1を参照)。この人工林収穫予想表は、一定の樹種に関する同齢単純林について、一定の施業方式により健全な生育をした場合に生産すると予想される林分構成諸因子(直径、樹高、立木本数、胸高断面積、材積、形数、成長量等)が、地位別、齢級毎に主副林木別に示される。
【0005】
図6に示すように、人工林収穫予想表の地位別上層樹高成長曲線図を用いることにより、林地の材積生産力を示す指数である地位区分(特級~第3等級)毎に、樹齢と上層樹高との関係を特定することができる。ここで、地位区分は、林地の材積生産力を示す指数であって、機構、地勢、土壌条件等の地況因子が総合化されたものである。そして、地位区分毎に、植林からの経過日数(樹齢)に応じて、上層樹高が特定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】石橋聡他、“北海道地方版 カラマツ人工林収穫予想表2005”,[online],2006年2月1日,独立行政法人森林総合研究所北海道支所,p.1[令和5年4月23日検索],インターネット<URL:https://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/chukiseika/documents/1st-chukiseika-9.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載された技術では、森林における苗木の状況を判別する。しかしながら、森林における苗木の状況だけでは、植林の適切な管理が困難である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する生育支援システムは、ユーザ装置及び計測装置に接続された制御部を備える。そして、前記制御部が、前記計測装置から、移植した複数の苗木の植林画像を取得し、前記植林画像において、前記苗木を特定し、前記苗木の生育状態を特定し、前記生育状態と成長曲線図とを比較して、前記生育状態の判定結果を前記ユーザ装置に出力する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、苗木の生育管理を効率的に支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態の生育支援システムの説明図である。
【
図2】実施形態のハードウェア構成の説明図である。
【
図6】従来における地位別上層樹高成長曲線図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1~
図5に従って、生育支援システム、生育支援方法及び生育支援プログラムの一実施形態を説明する。
図1に示すように、本実施形態では、カラマツの苗木P1を生育するとともに、樹木を撮影した撮影画像(植林画像)を用いて、生育状態を特定する。
本実施形態の生育支援システムA1は、ユーザ装置10、計測装置15、支援サーバ20を含む。
【0013】
(ハードウェア構成例)
図2は、ユーザ装置10、計測装置15、支援サーバ20等として機能する情報処理装置H10のハードウェア構成例を示す。
【0014】
情報処理装置H10は、通信装置H11、入力装置H12、表示装置H13、記憶装置H14、プロセッサH15を有する。なお、このハードウェア構成は一例であり、他のハードウェアを有していてもよい。
【0015】
通信装置H11は、他の装置との間で通信経路を確立して、データの送受信を実行するインタフェースであり、例えばネットワークインタフェースや無線インタフェース等である。
【0016】
入力装置H12は、ユーザ等からの入力を受け付ける装置であり、例えばマウスやキーボード等である。表示装置H13は、各種情報を表示するディスプレイやタッチパネル等である。
【0017】
記憶装置H14は、ユーザ装置10、計測装置15、支援サーバ20の各種機能を実行するためのデータや各種プログラムを格納する記憶装置である。記憶装置H14の一例としては、ROM、RAM、ハードディスク等がある。
【0018】
プロセッサH15は、記憶装置H14に記憶されるプログラムやデータを用いて、ユーザ装置10、計測装置15、支援サーバ20における各処理を制御する。プロセッサH15の一例としては、例えばCPUやMPU等がある。このプロセッサH15は、ROM等に記憶されるプログラムをRAMに展開して、各種処理に対応する各種プロセスを実行する。例えば、プロセッサH15は、ユーザ装置10、計測装置15、支援サーバ20のアプリケーションプログラムが起動された場合、後述する各処理を実行するプロセスを動作させる。
【0019】
プロセッサH15は、自身が実行するすべての処理についてソフトウェア処理を行なうものに限られない。例えば、プロセッサH15は、自身が実行する処理の少なくとも一部についてハードウェア処理を行なう専用のハードウェア回路(例えば、特定用途向け集積回路:ASIC)を備えてもよい。すなわち、プロセッサH15は、以下で構成し得る。
【0020】
(1)コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサ
(2)各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上の専用のハードウェア回路、或いは
(3)それらの組み合わせ、を含む回路(circuitry)
プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【0021】
(生育支援システムの機能)
図1に示すように、ユーザ装置10、計測装置15は、ネットワークを介して、支援サーバ20に接続されて通信を行なう。
ユーザ装置10は、植林の管理者が用いるコンピュータ端末である。
【0022】
計測装置15は、遠隔操作又は自動操縦により飛行させることができる無人航空機(ドローン)である。計測装置15は、管理者の管理者によって設定された飛行経路で移動する。そして、計測装置15は、移動中に各種情報を取得する。本実施形態では、計測装置15は、撮影装置を備えており、地表の植林を撮影する。撮影装置としては、RGB画像を取得するカメラ、3次元計測画像(点群画像)を取得するLIDAR(Light Detection and Ranging)装置を備える。そして、計測装置15は、計測情報を、支援サーバ20に送信する。この計測情報には、撮影画像(RGB画像、点群画像)、飛行高度、撮影位置(緯度・経度)等に関する情報を含める。
【0023】
支援サーバ20は、計測装置15から取得した計測情報に基づいて、移植した複数の苗木P1を管理するコンピュータシステムである。この支援サーバ20は、制御部21、基本情報記憶部22、計測情報記憶部23を備えている。
【0024】
この制御部21は、後述する処理(情報取得段階、認識段階、分析段階等を含む処理)を行なう。このための生育支援プログラムを実行することにより、制御部21は、情報取得部211、認識部212、分析部213等として機能する。
【0025】
情報取得部211は、計測装置15から計測情報を取得する処理を実行する。
認識部212は、撮影画像において、画像処理により、被写体を認識する処理を実行する。具体的には、苗木、土壌、下草を認識する。
【0026】
分析部213は、苗木P1の状態情報を用いて、苗木P1の生育状態を分析する。この分析部213は、苗木に応じて健全性を評価する苗木評価モデルを備える。この苗木評価モデルは、健全な苗木や不健全な苗木の撮影画像(RGB情報)と、健全性の評価結果とを含めた教師情報を用いた機械学習により生成する。また、分析部213は、下草刈り指示を行なうための下草の密度、草丈の基準値に関する情報を保持している。
【0027】
基本情報記憶部22には、植林を管理するための基本情報が記録される。この基本情報は、植林を行なう場合に記録される。基本情報には、成長曲線図、標高マップ、植林マップに関するデータが記録される。
【0028】
成長曲線図データには、地位区分毎に、林齢と上層樹高との関係を示した情報が記録される。
標高マップデータには、苗木P1の植林が行なわれた地域の座標(緯度・経度)に対して、標高に関する地形情報(地形マップ)が記録される。
植林マップデータには、苗木P1の植林が行なわれた各区画の座標(緯度・経度)に対して、植林時期、地位区画に関する情報が記録される。
【0029】
計測情報記憶部23には、計測装置15から取得した計測情報を用いた計測管理データが記録される。この計測情報は、計測装置15を用いた計測情報を用いて分析を行なった場合に記録される。計測管理データには、区画ID、計測日時、撮影画像、樹冠特徴量、生育状態に関するデータが記録される。
【0030】
区画IDデータは、植林地域において、苗木P1が植えられた領域(区画)を特定するための識別子である。
計測日時データは、この区画について計測した年月日及び時刻である。
【0031】
撮影画像データは、この区画について、計測装置15による撮影画像(RGB画像及び点群画像)である。
樹冠特徴量データは、この区画について、撮影画像により特定した苗木P1の樹冠の特徴量である。ここで、樹冠は、地上にある植物の部分であり、幅、高さ、表面積、体積、密度等により特徴付けられる。
【0032】
生育状態データは、この区画の苗木P1の生育状態である。ここでは、生育状態として、撮影画像により特定した苗木P1の状態や、樹高から想定される地位区分を用いる。また、地位区分(実測値)が、植林マップの地位区分より低い場合には、注意情報が記録される。
【0033】
(生育管理処理)
図3を用いて、生育管理処理を説明する。この生育管理処理は、定期的(例えば、毎月の所定時刻)に実行される。この場合、計測装置15は、予め定められた飛行経路で移動する。この飛行経路は、植林地域を網羅するように設定されている。
【0034】
まず、支援サーバ20の制御部21は、植林区画毎に撮影画像の取得処理を実行する(ステップS11)。具体的には、計測装置15は、飛行経路の所定位置で、撮影装置を用いて、撮影画像(RGB画像、点群画像)を取得する。そして、計測装置15は、計測情報を支援サーバ20に送信する。この計測情報には、撮影画像、飛行高度、撮影位置(緯度・経度)等に関する情報を含める。
【0035】
この場合、制御部21の情報取得部211は、計測装置15から撮影画像を取得する。そして、情報取得部211は、計測日時(現在日時)に関連付けて、取得した計測情報を、計測情報記憶部23に記録する。
【0036】
すべての植林区画について、撮影画像を取得した場合、支援サーバ20の制御部21は、撮影画像において苗木の特定処理を実行する(ステップS12)。具体的には、制御部21の認識部212は、植林マップを用いて、撮影画像において、植林領域(区画)を特定する。更に、認識部212は、各区画において、画像認識により苗木が撮影された苗木領域を特定する。
【0037】
次に、支援サーバ20の制御部21は、樹冠特徴量の算出処理を実行する(ステップS13)。具体的には、制御部21の分析部213は、計測情報の点群画像を用いて、苗木領域における樹木の最上層を含めた被写体の樹木表面マップを生成する。この樹木表面マップでは、撮影時の計測装置15から各位置(緯度・経度)の距離と飛行高度に応じて、高さ情報が含まれる。次に、分析部213は、基本情報記憶部22の標高マップから撮影領域における地形マップを特定する。そして、分析部213は、樹木表面マップの高さから地形マップの標高を差し引いて、苗木P1の樹高を算出する。更に、分析部213は、苗木P1の上層から下層への広がりに応じて、各苗木P1の樹冠特徴量(幅、表面積、体積、密度等)を算出する。そして、分析部213は、この区画における苗木P1について算出した樹高を含めた樹冠特徴量の統計値(例えば、平均値)を算出して、計測情報記憶部23に記録する。
【0038】
次に、支援サーバ20の制御部21は、生育状態の評価処理を実行する(ステップS14)。具体的には、制御部21の分析部213は、撮影画像に含まれるRGB情報の苗木評価モデルに入力して、生育状態(健全性)を評価する。
【0039】
次に、支援サーバ20の制御部21は、生育状態に応じて地位区分の判定処理を実行する(ステップS15)。具体的には、制御部21の分析部213は、計測情報記憶部23から植林時期情報を取得し、植林からの経過年数を算出する。次に、分析部213は、基本情報記憶部22に記録された成長曲線図を用いて、経過年数、樹高から、地位区分(実測値)を判定する。
【0040】
次に、支援サーバ20の制御部21は、地位区分のずれの評価処理を実行する(ステップS16)。具体的には、制御部21の分析部213は、基本情報記憶部22の植林マップから、撮影領域に対応する地位区分を取得する。そして、分析部213は、地位区分(実測値)と、植林マップの地位区分とを比較する。分析部213は、地位区分(実測値)が、植林マップの地位区分より低い場合には、注意情報を計測情報記憶部23に記録する。
【0041】
次に、支援サーバ20の制御部21は、下草対応処理を実行する(ステップS17)。ここでは、下草状態が妥当かどうかを判定する。この処理は、
図4を用いて後述する。
次に、支援サーバ20の制御部21は、間伐対応処理を実行する(ステップS18)。ここでは、苗木P1の樹高の上層、中層、下層の均一性が妥当かどうかを判定する。この処理は、
図5を用いて後述する。
【0042】
次に、支援サーバ20の制御部21は、判定結果の出力処理を実行する(ステップS19)。具体的には、制御部21の分析部213は、計測情報記憶部23に記録された生育状態を、区画毎に記録した評価結果をユーザ装置10に出力する。
【0043】
(下草対応処理)
次に、
図4を用いて、下草対応処理を説明する。
ここでは、支援サーバ20の制御部21は、撮影画像において下草の特定処理を実行する(ステップS21)。具体的には、制御部21の認識部212は、撮影画像において、画像認識により苗木が撮影された下草領域を特定する。なお、下草領域の認識は、所定の高さ範囲に含まれる領域を下草領域として特定してもよい。
【0044】
次に、支援サーバ20の制御部21は、下草状態の判定処理を実行する(ステップS22)。具体的には、制御部21の分析部213は、下草の密度、草丈を算出する。また、苗木を判定できない場合には、下草が過剰と判定してもよい。
【0045】
次に、支援サーバ20の制御部21は、下草刈り指示の出力処理を実行する(ステップS23)。具体的には、制御部21の分析部213は、下草状態と基準値とを比較する。そして、分析部213は、下草状態が基準値を超える場合には、ユーザ装置10に下草刈り指示を出力する。
【0046】
(間伐対応処理)
次に、
図5を用いて、間伐対応処理を説明する。
ここでは、まず、支援サーバ20の制御部21は、上層、中層、下層の識別処理を実行する(ステップS31)。具体的には、制御部21の分析部213は、撮影画像において、樹冠特徴量に応じて、各苗木P1を上層、中層、下層に識別する。
【0047】
次に、支援サーバ20の制御部21は、均一性の判定処理を実行する(ステップS32)。具体的には、制御部21の分析部213は、上層、中層、下層の比率を算出することにより、各階層の割合のばらつき状態を算出して、このばらつき状態に基づいて均一性を判定する。
【0048】
次に、支援サーバ20の制御部21は、均一性が悪い場合、間引き指示処理を実行する(ステップS33)。具体的には、制御部21の分析部213は、ばらつきが大きく、均一性が所定範囲から外れている場合には、間引き指示をユーザ装置10に出力する。
【0049】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態においては、計測装置15として、無人航空機(ドローン)を用いる。そして、支援サーバ20の制御部21は、撮影画像の取得処理を実行する(ステップS11)。これにより、見回りに手間がかかる植林地の苗木P1の活着状況や成長状況についての各木調査を、効率的に行なうことができる。
【0050】
(2)本実施形態においては、支援サーバ20の制御部21は、撮影画像において苗木の特定処理(ステップS12)、樹冠特徴量の算出処理(ステップS13)を実行する。これにより、苗木P1の状態を評価することができる。
【0051】
(3)本実施形態においては、支援サーバ20の制御部21は、生育状態の評価処理を実行する(ステップS14)。苗木の健全性によって、葉等の色が変化するので、苗木評価モデルを用いて、育成状況を把握することができる。
【0052】
(4)本実施形態においては、支援サーバ20の制御部21は、生育状態に応じて地位区分の判定処理を実行する(ステップS15)。これにより、成長曲線を考慮して、育成状況を評価することができる。
【0053】
(5)本実施形態においては、支援サーバ20の制御部21は、地位区分のずれの評価処理(ステップS16)、判定結果の出力処理(ステップS19)を実行する。これにより、本来の成長曲線から外れる等、想定外の状況を判定することができる。そして、成長曲線を考慮して伐採時期を推定することができる。
【0054】
(6)本実施形態においては、支援サーバ20の制御部21は、下草対応処理を実行する(ステップS17)。下草があることにより、土壌の乾燥を抑制することができる一方で、苗木に対して下草が過剰な場合、苗木の成長の障害となる。これにより、状況に応じて、管理者に対して、適切なタイミングで下草刈りを指示することができる。そして、不必要な下草刈りを抑制することにより、コスト削減を図ることができる。
【0055】
(7)本実施形態においては、支援サーバ20の制御部21は、間伐対応処理を実行する(ステップS18)。これにより、樹木において必要に応じた適切なタイミングで枝打ちを行なうことができる。
【0056】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、苗木P1としてカラマツを用いるが、適用対象はカラマツに限定されるものではない。例えば、スギやヒノキに適用してもよい。
【0057】
・上記実施形態では、計測装置15として、ドローンを用いるが、苗木P1の生育状態を計測できれば、ドローンに限定されるものではない。
・上記実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、樹冠特徴量の算出処理を実行する(ステップS13)。ここで、樹冠特徴量には、植物の幅、高さ、表面積、体積、密度等を含む。植物の生育状態を、量的や質的に評価できれば、これらの特徴量に限定されるものではない。
・上記実施形態では、上空から撮影するが、撮影位置はこれに限定されるものではない。樹木間を飛行や走行させるようにしてもよい。この場合には、広角カメラや天球カメラを用いて、苗木P1を撮影してもよい。また、高さ計測においても、3次元計測が可能な3次元カメラ等を用いてもよい。
【0058】
・上記実施形態では、計測装置15により撮影画像(RGB画像及び点群画像)を取得する。撮影画像はこれらに限定されるものではない。
・上記実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、下草対応処理(ステップS17)、間伐対応処理(ステップS18)を実行する。両処理を行なう必要はなく、いずれか一方や他の処理を行なってもよい。また、支援サーバ20が木材の需要情報を取得し、苗木P1の生育状態及び需要情報を用いて、伐採可能な時期を判定して、伐採指示を出力するようにしてもよい。
【0059】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(a)前記制御部が、
前記植林画像において、下草状態を判定し、
前記下草状態の判定結果に応じて、下草刈り指示を前記ユーザ装置に出力することを特徴とする請求項1又は2に記載の生育支援システム。
(b)前記制御部が、
前記植林画像において特定した前記複数の苗木の樹高のばらつき状態を判定し、
前記ばらつき状態の判定結果に応じて、間引き指示を前記ユーザ装置に出力することを特徴とする請求項1又は2、(a)の何れか一つに記載の生育支援システム。
(c)前記制御部が、前記植林画像としてRGB画像を取得し、前記RGB画像の苗木の色により前記生育状態を特定することを特徴とする請求項1又は2、(a)、(b)の何れか一つに記載の生育支援システム。
(d)前記計測装置として無人航空機を用いることを特徴とする請求項1又は2、(a)、~(c)に記載の生育支援システム。
【符号の説明】
【0060】
A1…生育支援システム、P1…苗木、10…ユーザ装置、15…計測装置、20…支援サーバ、21…制御部、211…情報取得部、212…認識部、213…分析部、22…基本情報記憶部、23…計測情報記憶部。