(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168421
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
B41J 29/13 20060101AFI20241128BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20241128BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20241128BHJP
B41J 11/66 20060101ALI20241128BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20241128BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
B41J29/13 103
B41J29/42 F
B41J29/38 206
B41J11/66
G03G15/00 460
B41J29/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085102
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】三角 典子
【テーマコード(参考)】
2C058
2C061
2H072
【Fターム(参考)】
2C058AB12
2C058AC06
2C058AC07
2C058AC08
2C058AE02
2C058AF37
2C058AF45
2C058AF51
2C058AF55
2C058AF65
2C058LA03
2C058LC02
2C058LC24
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AR03
2C061AS02
2C061CD07
2C061CD15
2C061CQ04
2C061CQ23
2C061CQ34
2C061HJ07
2C061HJ10
2C061HV10
2C061HV33
2H072AA16
2H072AB27
2H072CB01
2H072GA05
2H072JA04
(57)【要約】
【課題】シートに対する加工機能と開閉カバーとを有するプリンタであって、シートに対する加工を伴うジョブを完了し易い技術を提供すること。
【解決手段】プリンタ1は、印刷エンジン15と、シートの搬送経路において印刷エンジン15よりも下流側に位置するカッタユニット16と、シートの搬送経路において印刷エンジン15よりも下流側であってカッタユニット16よりも上流側に位置する開口部34と、変位することで開口部34を開閉する背面カバー35と、操作パネル13と、を備える。カッタユニット16は、A4サイズのシートをカットして、A5サイズの2枚のシートとすることが可能である。プリンタ1は、カッタユニット16によるカットを行う必要がある印刷ジョブの実行指示を受け付けた際、背面カバー35が開状態であれば、操作パネル13によってエラーを報知する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷エンジンと、
シートの搬送経路において前記印刷エンジンよりも下流側に位置する加工ユニットと、
シートの搬送経路において前記印刷エンジンよりも下流側であって前記加工ユニットよりも上流側に位置する開口部と、
前記開口部を開いている開状態と閉じている閉状態とに変位可能な開閉カバーと、
ユーザインタフェースと、
を備え、
前記加工ユニットは、第1サイズのシートに対して、前記第1サイズよりも小さい第2サイズにカットするための加工を行うことが可能であり、
前記加工ユニットによる前記加工を行う必要がある第1ジョブの実行指示を受け付けた際、前記開閉カバーが前記開状態であれば、前記ユーザインタフェースによってエラーを報知する、
ように構成されるプリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載するプリンタにおいて、
前記加工ユニットによる前記加工を行わない第2ジョブの実行指示を受け付けた際、前記開閉カバーが前記開状態であっても、前記加工に関するエラーを報知しない、
ように構成されるプリンタ。
【請求項3】
請求項2に記載するプリンタにおいて、
前記第1ジョブの実行指示を受け付けた際、
前記開閉カバーが前記閉状態であれば、前記印刷エンジンによる印刷後のシートを、前記開閉カバーが前記開口部を塞ぐことによって構成される第1搬送路を経由して前記加工ユニットに搬送し、
前記開閉カバーが前記開状態であれば、シートの搬送を開始せず、前記ユーザインタフェースによってエラーを報知し、
前記第2ジョブの実行指示を受け付けた際、
前記開閉カバーが前記閉状態であれば、前記印刷エンジンによる印刷後のシートを、前記第1搬送路を経由するように搬送し、
前記開閉カバーが前記開状態であれば、前記加工に関するエラーを報知せず、前記印刷エンジンによる印刷後のシートを、前記開口部を通過させて排出するように構成される第2搬送路を経由して排出する、
ように構成されるプリンタ。
【請求項4】
請求項3に記載するプリンタにおいて、
前記印刷エンジンから前記加工ユニットまでのシートの搬送経路は、前記印刷エンジンから排出されるシートが進行する向きが第1向きであり、前記加工ユニットに挿入されるシートが進行する向きが前記第1向きとは異なる第2向きであり、
前記第1搬送路は、前記印刷エンジンによる印刷済みのシートが進行する向きを、前記第1向きから前記第2向きへと導くための経路の少なくとも一部を構成し、
前記第2搬送路は、前記印刷エンジンによる印刷済みのシートを、前記第1向きのまま進行させる経路を構成する、
ように構成されるプリンタ。
【請求項5】
請求項2に記載するプリンタにおいて、
通信インタフェースを備え、
前記通信インタフェースを介して、前記加工ユニットによる前記加工を行う必要があるか否かを示すコマンドが含まれるジョブを受信可能であり、
受信した前記ジョブに含まれる前記コマンドに基づいて、受信した前記ジョブが前記第1ジョブか前記第2ジョブかを判断し、
前記第1ジョブの実行指示を受け付けたと判断した場合、
前記開閉カバーが前記開状態であれば、前記ユーザインタフェースによってエラーを報知し、
前記第2ジョブの実行指示を受け付けたと判断した場合、
前記開閉カバーが前記開状態であっても、前記加工に関するエラーを報知しない、
ように構成されるプリンタ。
【請求項6】
請求項2に記載するプリンタにおいて、
メモリを備え、
前記メモリには、前記加工ユニットによる前記加工を行う必要があるか否かを示す設定情報を記憶することが可能であり、
前記ユーザインタフェースを介してジョブの実行指示を受け付け可能であり、
前記メモリに記憶されている前記設定情報に基づいて、前記ユーザインタフェースを介して実行指示を受け付けた前記ジョブが前記第1ジョブか前記第2ジョブかを判断し、
前記第1ジョブの実行指示を受け付けたと判断した場合、
前記開閉カバーが前記開状態であれば、前記ユーザインタフェースによってエラーを報知し、
前記第2ジョブの実行指示を受け付けたと判断した場合、
前記開閉カバーが前記開状態であっても、前記加工に関するエラーを報知しない、
ように構成されるプリンタ。
【請求項7】
請求項1に記載するプリンタにおいて、
前記ユーザインタフェースを介して、前記加工ユニットによる前記加工を有効にするか無効にするかの加工設定を受け付けることが可能であり、前記加工ユニットによる前記加工を有効にする前記加工設定が受け付けられた状態で、前記ユーザインタフェースを介してジョブの実行指示を受け付けた場合、受け付けられた前記ジョブは、前記加工ユニットによる前記加工を行う必要がある前記第1ジョブとなり、
前記ユーザインタフェースを介して、前記加工設定を無効から有効に変更する操作を受け付けた場合に、前記ユーザインタフェースによって、前記開閉カバーを前記閉状態にする必要があることを報知する、
ように構成されるプリンタ。
【請求項8】
請求項1に記載するプリンタにおいて、
前記加工ユニットによる前記加工を行わない第2ジョブの実行指示を受け付けた際も、前記開閉カバーが前記開状態であれば、前記ユーザインタフェースによってエラーを報知することが可能であり、
前記第2ジョブの実行指示を受け付けたことでエラーを報知する場合、前記ユーザインタフェースによって、前記第1ジョブの実行指示を受け付けたことでエラーを報知する場合とは異なる態様でエラーを報知する、
ように構成されるプリンタ。
【請求項9】
請求項8に記載するプリンタにおいて、
前記開口部は、両面印刷を行う場合のシートの搬送経路上にも位置し、
前記開閉カバーが前記開状態の場合、前記印刷エンジンによる第1面への印刷後のシートが、前記第1面と反対側の第2面への印刷が行われる前に、前記開口部から排出され、
前記開閉カバーが前記閉状態の場合、前記印刷エンジンによる前記第1面への印刷後のシートが、前記開口部から排出されることなく、前記印刷エンジンに戻され、前記印刷エンジンによって前記第2面への印刷を行うことが可能であり、
前記第1ジョブの実行指示を受け付けた際、前記開閉カバーが前記開状態であれば、前記ユーザインタフェースによって、前記加工に関するエラーを報知し、
前記第2ジョブの実行指示を受け付けた際も、両面印刷を行う必要がある場合には、前記開閉カバーが前記開状態であれば、前記ユーザインタフェースによって、両面印刷に関するエラーを報知する、
ように構成されるプリンタ。
【請求項10】
請求項9に記載するプリンタにおいて、
前記第1ジョブの実行指示を受け付けた際、両面印刷を行う必要もある場合には、前記開閉カバーが開状態であれば、前記ユーザインタフェースによって、前記加工に関するエラーと両面印刷に関するエラーとの両方を報知する、
ように構成されるプリンタ。
【請求項11】
請求項9に記載するプリンタにおいて、
前記第1ジョブの実行指示を受け付けた際、両面印刷を行う必要もある場合には、前記開閉カバーが前記開状態であれば、前記ユーザインタフェースによって、前記加工に関するエラーを報知し、両面印刷に関するエラーを報知しない、
ように構成されるプリンタ。
【請求項12】
請求項9に記載するプリンタにおいて、
前記第1ジョブの実行指示を受け付けた際、両面印刷を行う必要もある場合には、前記開閉カバーが前記開状態であれば、前記ユーザインタフェースによって、両面印刷に関するエラーを報知し、前記加工に関するエラーを報知しない、
ように構成されるプリンタ。
【請求項13】
請求項8に記載するプリンタにおいて、
メモリを備え、
前記メモリには、前記開閉カバーが前記開状態の場合に報知するか否かを示す報知情報を記憶することが可能であり、
前記第1ジョブの実行指示を受け付けた際、前記開閉カバーが前記開状態であれば、前記ユーザインタフェースによって、第1態様でエラーを報知し、
前記第2ジョブの実行指示を受け付けた際も、前記メモリに前記開閉カバーが前記開状態の場合に報知する前記報知情報が記憶されている場合には、前記開閉カバーが前記開状態であれば、前記ユーザインタフェースによって、前記第1態様とは異なる第2態様でエラーを報知する、
ように構成されるプリンタ。
【請求項14】
請求項13に記載するプリンタにおいて、
前記開口部は、両面印刷を行う場合のシートの搬送経路上にも位置し、
前記開閉カバーが前記開状態の場合、前記印刷エンジンによる第1面への印刷後のシートが、前記第1面と反対側の第2面への印刷が行われる前に、前記開口部から排出され、
前記開閉カバーが前記閉状態の場合、前記印刷エンジンによる第1面への印刷後のシートが、前記開口部から排出されることなく、前記印刷エンジンに戻され、前記印刷エンジンによって前記第2面への印刷を行うことが可能であり、
前記第2ジョブの実行指示を受け付けた際も、両面印刷を行う必要がある場合には、前記開閉カバーが前記開状態であれば、前記ユーザインタフェースによって、前記第1態様および前記第2態様とは異なる第3態様でエラーを報知する、
ように構成されるプリンタ。
【請求項15】
請求項1に記載するプリンタにおいて、
前記加工ユニットによる前記加工は、前記加工ユニットに搬送されたシートを切断する加工である、
ように構成されるプリンタ。
【請求項16】
請求項1から請求項15のいずれか1つに記載するプリンタにおいて、
前記開閉カバーが、前記開状態の場合、前記印刷エンジンによる印刷後のシートが前記開口部から排出され、
前記開閉カバーが、前記開口部を閉じている閉状態の場合、前記印刷エンジンによる印刷後のシートが前記開口部から排出されることなく、前記加工ユニットに達することが可能である、
ように構成されるプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術分野は、シートに対してカットに関する加工を行う機能を有するプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シートに対してカットに関する加工を行う加工機能を有するプリンタが知られている。例えば特許文献1には、シートを裁断するカッタを備える画像形成装置であって、A4サイズが指定された印刷ジョブを受信した際、A4サイズのシートが無く、A3サイズのシートがある場合に、A3サイズのシートを搬送し、カッタによって印刷後のシートをA4サイズに切断する構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
筐体に設けられた開口部を開閉可能な開閉カバーを有し、開閉カバーが、開口部を閉じている閉状態にあると、開閉カバーがシートの搬送経路の一部を構成するプリンタにおいて、加工を施す加工ユニットが開口部よりもシートの搬送方向の下流側に配置される場合、開閉カバーの状態に応じて、処理を改善する余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題の解決を目的としてなされたプリンタは、印刷エンジンと、シートの搬送経路において前記印刷エンジンよりも下流側に位置する加工ユニットと、シートの搬送経路において前記印刷エンジンよりも下流側であって前記加工ユニットよりも上流側に位置する開口部と、前記開口部を開いている開状態と閉じている閉状態とに変位可能な開閉カバーと、ユーザインタフェースと、を備え、前記加工ユニットは、第1サイズのシートに対して、前記第1サイズよりも小さい第2サイズにカットするための加工を行うことが可能であり、前記加工ユニットによる前記加工を行う必要がある第1ジョブの実行指示を受け付けた際、前記開閉カバーが前記開状態であれば、前記ユーザインタフェースによってエラーを報知する、ように構成される。
【0006】
本明細書に開示されるプリンタは、加工ユニットによる加工を行う必要がある第1ジョブの実行指示を受け付けた際、開閉カバーが開状態であればエラーを報知する。開閉カバーは、印刷エンジンよりも下流側で加工ユニットよりも上流側の開口部を開閉する。つまり、開閉カバーが開状態であると、印刷後のシートは、開状態の開口部による影響を受けて、加工ユニットまで達しない可能性がある。エラーを報知することにより、ユーザによって開閉カバーが閉状態とされることが期待できるので、プリンタは、第1ジョブを完了し易くなる。
【0007】
上記プリンタの機能を実現するための制御方法、コンピュータプログラム、および当該コンピュータプログラムを格納するコンピュータにて読取可能な記憶媒体も、新規で有用である。
【発明の効果】
【0008】
本明細書に開示される技術によれば、シートに対する加工機能と開閉カバーとを有するプリンタであって、シートに対する加工を伴うジョブを完了し易い技術が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態にかかるプリンタの概略構成図である。
【
図4】受付処理の手順を示すフローチャートである。
【
図8】受付処理の手順を示すフローチャートである。
【
図11】印刷処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、プリンタを具体化した実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は、シートを切断するカッタを備えるプリンタを開示するものである。
【0011】
本形態のプリンタ1は、
図1に示すように、CPU11と、メモリ12と、を含むコントローラ10を備えている。また、プリンタ1は、操作パネル13と、通信インタフェース(以下、「通信IF」とする)14と、印刷エンジン15と、カッタユニット16と、カバーセンサ17と、を備え、これらがコントローラ10に電気的に接続されている。操作パネル13は、ユーザインタフェースの一例である。カッタユニット16は、加工ユニットの一例である。
【0012】
CPU11は、メモリ12から読み出したプログラムに従って、また、ユーザの操作に基づいて、各種の処理を実行する。なお、
図1中のコントローラ10は、プリンタ1の制御に利用されるハードウェアやソフトウェアを纏めた総称であって、実際にプリンタ1に存在する単一のハードウェアを表すとは限らない。
【0013】
本形態のプリンタ1のメモリ12には、オペレーティングシステム(以下「OS」とする)21と、印刷プログラム22と、印刷設定24と、報知設定25と、を含む各種のプログラムや各種のデータが記憶されている。印刷プログラム22は、OS21と協働して、プリンタ1に印刷のための動作を行わせるプログラムである。各プログラムやデータについての詳細は、後述する。メモリ12は、各種の処理が実行される際の作業領域としても利用される。CPU11が備えるバッファも、メモリの一例である。
【0014】
なお、メモリ12の一例は、プリンタ1に内蔵されるROM、RAM、HDD等に限らず、CPU11が読み取り可能かつ書き込み可能なストレージ媒体であってもよい。例えば、通信IF14を介してプリンタ1に接続されているUSBメモリ、HDD等の外部メモリや、通信IF14を介してプリンタ1に接続されている装置に備えられるメモリやHDDも、メモリ12の一例である。
【0015】
なお、コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体とは、non-transitoryな媒体である。non-transitoryな媒体には、上記の例の他に、CD-ROM、DVD-ROM等の記憶媒体も含まれる。また、non-transitoryな媒体は、tangibleな媒体でもある。一方、インターネット上のサーバなどからダウンロードされるプログラムを搬送する電気信号は、コンピュータが読み取り可能な媒体の一種であるコンピュータが読み取り可能な信号媒体であるが、non-transitoryなコンピュータが読み取り可能なストレージ媒体には含まれない。
【0016】
操作パネル13は、ユーザに情報を報知するための画面を表示するハードウェアと、ユーザによる操作を受け付けるハードウェアと、を含む。操作パネル13は、報知機能と操作受け付け機能とを有するタッチパネルを含んでいても良い。操作パネル13は、表示ランプ、各種のボタンやテンキーを含んでいても良い。
【0017】
通信IF14は、パーソナルコンピュータ(以下、「PC」とする)3等の外部装置と通信を行うためのハードウェアを含む。通信IF14の通信規格は、イーサネット(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、USBなどである。プリンタ1は、複数の通信規格に対応する複数の通信IF14を備えていてもよい。
【0018】
印刷エンジン15は、例えば、
図2に示すように、電子写真方式によって、シート等の印刷媒体に画像を印刷するための構成を含む。以下では、
図2中に矢印で示すように、図中の上下を上下方向とし、図中の左右を、右が前方の前後方向として説明する。プリンタ1では、印刷前のシートを収容する給紙トレイ31が、印刷エンジン15よりも下方に設けられ、印刷済みのシートを載置する排紙トレイ32が、印刷エンジン15よりも上方に設けられている。また、操作パネル13は、排紙トレイ32よりも前方に設けられている。
【0019】
本形態のプリンタ1の印刷エンジン15は、
図2に示すように、感光体ドラム51と、帯電器52と、露光装置53と、現像ローラやトナー収容部を含む現像装置54と、転写ローラ56と、定着装置57と、を備える。帯電器52と現像装置54と転写ローラ56とは、感光体ドラム51の周方向に沿って、感光体ドラム51の回転方向についてこの順で配置されている。なお、
図2では、単色印刷を行うプリンタ1を図示しているが、プリンタ1は、カラー印刷を行う機能を有していても良い。
【0020】
プリンタ1による印刷の実行時には、感光体ドラム51は、
図2の紙面に直交する方向の回転軸の周りに、図中で時計回りに回転される。帯電器52が感光体ドラム51の表面を帯電した後、露光装置53がレーザ光の照射等によって露光することで、感光体ドラム51の表面に静電潜像が形成される。さらに、現像装置54の現像ローラがトナー収容部に収容されるトナーを用いて静電潜像を現像することで、感光体ドラム51の表面にトナー像が形成される。さらに、形成されたトナー像は、タイミングを合わせて搬送されるシートに、転写ローラ56によって転写される。シートに転写されたトナー像は、定着装置57によってシートに定着される。
【0021】
また、プリンタ1は、給紙トレイ31に収容されているシートを搬送するための構成として、合流ローラ41と、誘導ローラ42と、排紙ローラ43と、排紙ローラ44と、を含む複数の搬送ローラを有している。また、プリンタ1は、手差し口33と、開口部34と、背面カバー35と、フラップ36と、を備えている。背面カバー35は、開閉カバーの一例である。
【0022】
手差し口33は、プリンタ1の前方に設けられ、シートの挿入を受け付け可能な開口である。また、開口部34は、プリンタ1の後方に設けられ、シートが印刷エンジン15の定着装置57を通過する際の、シートの進行方向の延長線上の位置を含む範囲に開口している。
【0023】
背面カバー35は、例えば、
図2中に二点鎖線で示す開状態と、
図2中に実線で示す閉状態と、の間で、手動による約90度の変位が可能である。背面カバー35は、開状態では開口部34を開放し、閉状態では開口部34を塞ぐ。さらに、背面カバー35にはカバーセンサ17が設けられている。カバーセンサ17は、背面カバー35が開状態であるか閉状態であるかに応じて異なる出力信号を出力可能である。プリンタ1のコントローラ10は、カバーセンサ17の出力信号に基づいて、背面カバー35が開状態であるか閉状態であるかを検知できる。
【0024】
フラップ36は、開口部34よりも上方に設けられ、コントローラ10によって変位される。フラップ36は、例えば、
図2中に破線で示す前方位置と、
図2中に実線で示す後方位置と、のいずれかに配置され、シートの搬送経路を切り替える。各搬送ローラは、コントローラ10によって駆動制御され、協働でシートを搬送できる。
【0025】
さらに、本形態のプリンタ1は、例えば、
図2に示すように、カッタユニット16を備え、印刷済みのシートをカットするための加工を行う機能を有している。カッタユニット16は、例えば、シートに沿って、シートの搬送方向に直交する方向(
図2中で奥行き方向)に移動するカッタ刃を備える。プリンタ1は、シートの搬送を停止させてカッタユニット16を駆動することで、搬送路にあるシートを、搬送方向について前後に二分することができる。シートのカットは、加工の一例である。
【0026】
プリンタ1は、例えば、A4サイズのシートを長手方向に搬送し、カッタユニット16によって長手方向の中央位置でカットすることで、A4サイズよりも小さいA5サイズの2枚のシートとして排出することができる。この場合、A4サイズは第1サイズの一例であり、A5サイズは、第2サイズの一例である。なお、カッタユニット16は、シートの幅方向に延びるブレードを上下方向に移動させてカットする構成でも良い。
【0027】
そして、プリンタ1は、
図2および
図3に一点鎖線で示すように、シートの搬送経路を複数有する。プリンタ1は、背面カバー35の開閉状態と、フラップ36の位置や各搬送ローラの駆動の制御と、によって、各種の搬送経路にシートを搬送する。
【0028】
背面カバー35は、閉状態において、開口部34へ至る搬送経路を塞ぐ。具体的には、背面カバー35の内側に搬送経路を構成する部材が備えられており、背面カバー35が閉状態となることで、開口部34が塞がれるとともに、その部材が搬送経路の一部となる。あるいは、プリンタ1の筐体または内部に背面カバー35と連動する部材が設けられ、背面カバー35の開閉に伴って、その部材が搬送経路の一部を構成可能であっても良い。いずれの構成であっても、背面カバー35が閉状態となることで、開口部34を通過しない搬送経路が構成される。この状態を、便宜上、閉状態の背面カバー35が搬送経路を構成する、と述べる場合がある。
【0029】
背面カバー35が閉状態である場合、プリンタ1は、給紙トレイ31または手差し口33から給紙されたシートに印刷エンジン15にて印刷した後、印刷後のシートを、閉状態の背面カバー35によって構成される搬送経路にシートを搬送する。具体的には、プリンタ1は、
図3(A)中に矢印A1で示すように、上向きに搬送する。プリンタ1は、背面カバー35に沿ってシートを搬送すると言っても良い。
図3(A)に示すように、閉状態の背面カバー35に沿ってシートを上向きに搬送する搬送経路R1は、第1搬送路の一例である。
【0030】
フラップ36は、シートの搬送方向について、背面カバー35よりも下流側であって、誘導ローラ42よりも上流側に配置されている。プリンタ1は、フラップ36を前方位置とすることで、
図3(A)中に矢印A2で示すように、閉状態の背面カバー35に沿った搬送経路を経由して搬送されるシートを、誘導ローラ42へと搬送する。
【0031】
誘導ローラ42は、搬送中のシートの搬送方向を変更して、シートをカッタユニット16へと搬送可能である。具体的には、背面カバー35が閉状態であってフラップ36が前方位置にある場合、印刷エンジン15から排出されたシートの進行方向は、背面カバー35によって上向きに変更され(矢印A1)、誘導ローラ42によって上向きから前向きに変更される(矢印A2)。プリンタ1は、誘導ローラ42を通過したシートを、カッタユニット16へと誘導できる。なお、フラップ36を通過した後のシートの搬送方向を変更するための構成は、誘導ローラ42に限らず、他のローラや誘導路であっても良い。
【0032】
図3(A)に示すように、印刷エンジン15から排出されるシートが進行する向きは、前から後ろに向かう向きであり、第1向きの一例である。そして、カッタユニット16に向かうシートが進行する向きは、後ろから前に向かう向きであり、印刷エンジン15から排出されるシートが進行する向きとは異なる向きであって、第2向きの一例である。
【0033】
一方、背面カバー35が開状態である場合、プリンタ1には、背面カバー35が閉状態である場合の搬送経路とは異なる搬送経路が構成される。背面カバー35が開状態である場合、印刷後のシートは、その搬送経路中にある開口部34の影響を受けて、誘導ローラ42へ誘導されない。そのため、背面カバー35が開状態である場合、印刷後のシートは、フラップ36の位置に関わらずカッタユニット16に到達できない可能性が高い。
【0034】
例えば、プリンタ1は、背面カバー35が開状態である場合、給紙トレイ31または手差し口33から給紙されたシートに印刷エンジン15にて印刷した後、印刷後のシートを、
図3(B)中に矢印A3に示すように、開口部34から機外後方へ排出する。
図3(B)に示すように、印刷エンジン15から排出されたシートが、開状態の背面カバー35に沿って開口部34を通過して排出される搬送経路R2は、第2搬送路の一例である。なお、開状態の背面カバー35は、排紙トレイの機能を兼ねても良い。また、背面カバー35が開状態である場合、印刷後のシートは、例えば、開口部34に当たる可能性もある。
【0035】
なお、プリンタ1は、背面カバー35が閉状態である場合、フラップ36の位置によって、搬送経路をさらに切り替えることができる。具体的には、プリンタ1は、フラップ36を後方位置(
図2中で実線の位置)にすることで、印刷後のシートをカッタユニット16へ向けて搬送せず、排紙ローラ43に向けて搬送し、排紙ローラ43を介して排紙トレイ32へ排出することができる。つまり、フラップ36は、シートを誘導ローラ42やカッタユニット16へ向かわせるか否かを切り替える機能を有する。
【0036】
本形態のプリンタ1は、両面印刷を行う機能を有している。そして、プリンタ1は、両面印刷を行う場合、誘導ローラ42を利用する。プリンタ1は、誘導ローラ42を制御することで、搬送中のシートを停止させ、あるいは搬送方向を反転させることができる。シートの搬送方向を反転させる役割も持つことから、誘導ローラ42は、反転ローラとも呼ばれる。なお、誘導ローラ42以外の搬送ローラは、反転駆動が不可能であっても良い。
【0037】
具体的には、プリンタ1は、両面印刷を行う場合、給紙したシートの第1面に印刷エンジン15にて印刷し、第1面へ印刷後のシートを誘導ローラ42まで搬送し、誘導ローラ42によって搬送方向を反転させる。つまり、両面印刷を行う場合にも、プリンタ1は、
図3(A)に示した搬送経路R1にシートを搬送する。
【0038】
さらに、プリンタ1は、搬送方向を反転させたシートを、印刷エンジン15よりも下方に設けられた反転経路R3(
図2参照)を介して後ろから前に向かって搬送し、印刷エンジン15よりも前方の合流ローラ41へと導く。これにより、第1面への印刷後のシートは、第1面と反対側の第2面が上向きとなった状態で、印刷エンジン15に向けて搬送される。そして、プリンタ1は、印刷エンジン15によって、第2面への印刷を行うことができる。
【0039】
つまり、開口部34は、両面印刷を行う場合のシートの搬送経路上にも位置している。そのため、プリンタ1は、背面カバー35が開状態であると、両面印刷を行うことができない。なお、両面に印刷後のシートは、前述した片面印刷の場合と同様に搬送され、排紙ローラ43または44を介して排出される。
【0040】
続いて、プリンタ1の動作について、フローチャートを参照して説明する。なお、以下の処理は、基本的に、プログラムに記述された命令に従ったCPU11の処理を示す。すなわち、以下の説明における「判断」、「抽出」、「選択」、「算出」、「決定」、「特定」、「取得」、「受付」、「制御」等の処理は、CPU11の処理を表している。CPU11による処理は、OSのAPIを用いたハードウェア制御も含む。本明細書では、OSの記載を省略して各プログラムの動作を説明する。すなわち、以下の説明において、「プログラムBがハードウェアCを制御する」という趣旨の記載は、「プログラムBがOSのAPIを用いてハードウェアCを制御する」ことを指してもよい。また、プログラムに記述された命令に従ったCPU11の処理を、省略した文言で記載することがある。例えば、「CPU11が行う」のように記載することがある。また、プログラムに記述された命令に従ったCPU11の処理を、「プログラムAが行う」のようにCPUを省略した文言で記載することがある。
【0041】
なお、「取得」は要求を必須とはしない概念で用いる。すなわち、CPU11が要求することなくデータを受信するという処理も、「CPUがデータを取得する」という概念に含まれる。また、本明細書中の「データ」とは、コンピュータに読取可能なビット列で表される。そして、実質的な意味内容が同じでフォーマットが異なるデータは、同一のデータとして扱われるものとする。本明細書中の「情報」についても同様である。また、「要求する」、「指示する」とは、要求していることを示す情報や、指示していることを示す情報を相手に出力することを示す概念である。また、要求していることを示す情報や指示していることを示す情報のことを、単に、「要求」、「指示」とも記載する。
【0042】
また、CPU11による、情報Aは事柄Bであることを示しているか否かを判断する処理を、「情報Aから、事柄Bであるか否かを判断する」のように概念的に記載することがある。CPU11による、情報Aが事柄Bであることを示しているか、事柄Cであることを示しているか、を判断する処理を、「情報Aから、事柄Bであるか事柄Cであるかを判断する」のように概念的に記載することがある。
【0043】
プリンタ1にて実行される受付処理の手順について、
図4のフローチャートを参照して説明する。この受付処理は、プリンタ1の起動を契機に、プリンタ1のCPU11にて実行される。
【0044】
受付処理では、CPU11は、操作パネル13にホーム画面を表示させる(S101)。CPU11は、例えば、
図5に示すように、ユーザの操作を受け付けるための複数のアイコンを含むホーム画面60を表示させ、ホーム画面60中の各アイコンへの操作を受け付け可能となる。
【0045】
図5に示すホーム画面60は、設定指示を受け付ける設定アイコン601と、コピー指示を受け付けるコピーアイコン602と、を含む。そして、CPU11は、設定アイコン601への操作を受け付けたか否かを判断する(S102)。設定アイコン601への操作を受け付けたと判断した場合(S102:YES)、CPU11は、操作パネル13に設定画面を表示させる(S103)。
【0046】
設定画面は、各種の設定を受け付ける画面である。CPU11は、表示させた設定画面へのユーザの操作によって、設定対象の項目の選択や、選択された項目への設定値の指定を受け付ける。設定画面にて受け付け可能な設定項目には、例えば、背面カバー35の開状態を報知するカバー報知の項目が含まれる。そして、ユーザは、カバー報知の項目を選択することで、カバー報知のオン設定とオフ設定とを選択できる。なお、カバー報知のオン設定は、後述するように、印刷の実行指示を受け付けた際に、背面カバー35が開状態であれば報知する設定であり、オフ設定は、背面カバー35の状態に関わらず報知しない設定である。
【0047】
表示させた設定画面への操作によって設定の指示を受け付けた場合、CPU11は、ユーザの操作によって受け付けた設定の情報を、メモリ12に記憶する(S104)。例えば、カバー報知の項目について設定を受け付けた場合、CPU11は、選択されたカバー報知の設定を、メモリ12の報知設定25として記憶する。報知設定25は、報知情報の一例である。そして、S104の後、または、設定画面の終了指示を受け付けた場合、CPU11は、ホーム画面60を再度表示する。なお、受け付けた設定の情報を、プリンタ1が再起動された場合にも有効とする場合には、プリンタ1は、報知設定25等の設定の情報を不揮発性メモリに記憶させると良い。
【0048】
なお、プリンタ1は、カバー報知の設定を操作パネル13を介して受け付ける以外に、例えば、外部デバイスからのコマンドによって受け付け可能であっても良い。プリンタ1は、報知設定25の情報を、例えば、PJLコマンドの受信によって、あるいは、埋め込みウェブサーバ機能を介した入力によって、受け付け可能であっても良い。プリンタ1は、外部デバイスからのコマンドによって受け付けた場合も、その設定内容を報知設定25として記憶する。
【0049】
設定アイコン601への操作を受け付けていないと判断した場合(S102:NO)、CPU11は、コピーアイコン602への操作を受け付けたか否か、すなわち、コピーの実行を選択する操作を受け付けたか否か、を判断する(S111)。コピーアイコン602への操作を受け付けたと判断した場合(S111:YES)、CPU11は、コピー設定画面を操作パネル13に表示させる(S112)。CPU11は、例えば、
図6に示すように、コピーに関する設定を受け付けるコピー設定画面70を表示させる。
【0050】
図6に示すコピー設定画面70は、カット印刷を選択するチェックボックス701と、両面印刷を選択するチェックボックス702と、スタートボタン703と、を含む。そして、CPU11は、チェックボックス701~702またはスタートボタン703への操作を受け付け可能となる。なお、カット印刷は、前述したカッタユニット16を利用して、印刷済みのシートをカットして排出するコピー設定である。また、両面印刷は、2ページ分のスキャンデータに基づいて、1枚のシートの両面にそれぞれ印刷するコピー設定である。
【0051】
CPU11は、チェックボックス701または702へのチェックを入れる操作、すなわち、カット印刷または両面印刷の選択操作を受け付けたか否かを判断する(S115)。チェックボックス701へのチェックを入れる操作は、加工を有効にする加工設定の一例である。チェックボックス701のチェックを外す操作は、加工を無効にする加工設定の一例である。カット印刷または両面印刷が選択されたと判断した場合(S115:YES)、CPU11は、例えば、
図7に示すように、注意画面80を操作パネル13に表示させる(S116)。
【0052】
図7に示す注意画面80は、カット印刷または両面印刷を実行する場合、背面カバー35を閉状態とする必要があることを、ユーザに報知する画面である。前述したように、背面カバー35が開状態であると、印刷後のシートは、開口部34から排出されてしまい、誘導ローラ42やカッタユニット16に搬送されない。つまり、プリンタ1は、背面カバー35が開状態である場合、カット印刷と両面印刷とのいずれも行うことができない。また、プリンタ1は、背面カバー35の開閉状態を自力で変更する機能を有していない。つまり、カット印刷と両面印刷との少なくとも一方を行うためには、ユーザに背面カバー35を閉状態としてもらう必要がある。
【0053】
そこで、チェックボックス701または702へのチェックを入れる操作を受け付けた場合、すなわち、カット印刷または両面印刷が無効から有効に変更された場合、CPU11は、背面カバー35の開閉状態に関わらず、注意画面80を表示させる。チェックボックス701または702へのチェックが入れられた場合に注意画面80が表示されるので、ユーザによって背面カバー35が閉状態とされた上で実行指示が入力されることが期待できる。
【0054】
ユーザは、注意画面80中のOKボタン801への操作を行うことで、注意画面80の表示終了を指示できる。この時点では、CPU11は、背面カバー35の開閉状態に関わらず、注意画面80の表示を終了させ、コピー設定画面70(
図6参照)の表示に戻る。なお、CPU11は、注意画面80の表示開始後、ユーザの操作が行われないまま所定の時間が経過した場合にも、注意画面80の表示を終了させても良い。
【0055】
カット印刷または両面印刷の選択操作ではないと判断した場合(S115:NO)、CPU11は、スタートボタン703への操作を受け付けたか否かを判断する(S117)。スタートボタン703への操作も受け付けていないと判断した場合(S117:NO)、CPU11は、いずれかのボタンへの操作を受け付けるまで待機する。
【0056】
なお、CPU11は、表示中のコピー設定画面70にて、チェックボックス701、702、スタートボタン703以外の項目についても操作を受け付け可能であり、受け付けた操作に応じてコピーに関する設定を受け付ける。また、スタートボタン703への操作を受け付けることなく、表示中のコピー設定画面70を閉じる操作を受け付けた場合、CPU11は、S101に進んで、ホーム画面60を表示させる。
【0057】
なお、CPU11は、カット印刷または両面印刷が選択されたことで注意画面80を表示させた後、スタートボタン703への操作を受け付ける前に、再度、カット印刷または両面印刷が選択された場合、注意画面80を再度表示しても良いし、表示しないとしても良い。例えば、チェックボックス701と702との一方へチェックが入っている状態で、チェックボックス701と702との他方へチェックが入れられた場合、あるいは、一旦チェックが外された後、同じ画面にて再度チェックが入れられた場合には、CPU11は、注意画面80を表示しなくても良い。
【0058】
また、CPU11は、チェックボックス701または702へのチェックが入れられた際に、背面カバー35が開状態である場合にのみ注意画面80を表示させるとしても良い。つまり、CPU11は、チェックボックス701または702へのチェックが入れられた際に、背面カバー35が閉状態であれば、注意画面80を表示させないとしても良い。
【0059】
スタートボタン703への操作によって、コピーの実行指示を受け付けたと判断した場合(S117:YES)、CPU11は、その時点で指定されているコピーに関する設定を、印刷設定24としてメモリ12に記憶する(S118)。CPU11は、印刷設定24として、少なくとも、カット印刷または両面印刷が選択されているか否かを示す情報を記憶する。印刷設定24は、設定情報の一例を含む。
【0060】
そして、CPU11は、印刷対象の画像データを取得する(S119)。コピーの指示を受け付けた場合、CPU11は、原稿の画像をスキャンして、画像データを取得する。そして、CPU11は、S118にて記憶した印刷設定と、S119にて取得した画像データと、に基づいて印刷処理を実行する(S121)。なお、以下では、印刷設定と画像データとを含む、印刷処理の実行に用いられる情報を、「印刷ジョブ」とする。印刷処理の手順については、後述する。
【0061】
ホーム画面60を表示している状態で、コピーアイコン602への操作を受け付けていないと判断した場合(S111:NO)、CPU11は、通信IF14を介して、PC3等の外部デバイスから印刷ジョブを受信したか否かを判断する(S131)。プリンタ1は、通信IF14を介して、外部デバイスから印刷ジョブを受信可能である。
【0062】
プリンタ1は、印刷ジョブを受信した場合、受信した印刷ジョブに基づく印刷を実行可能である。印刷ジョブの受信は、印刷ジョブの実行指示の一例である。印刷ジョブには、画像データと印刷設定とが含まれる。印刷ジョブを受信したと判断した場合(S131:YES)、CPU11は、受信した印刷ジョブから、画像データと印刷設定とを取得する(S132)。
【0063】
印刷ジョブから取得される印刷設定の情報には、カット印刷または両面印刷が選択されているか否かを示す情報が含まれる。なお、カット印刷や両面印刷などの印刷設定の情報は、印刷ジョブに含まれている代わりに、印刷ジョブに関連付けられたコマンドとして受信する情報であっても良い。
【0064】
そして、CPU11は、印刷ジョブを受信した場合にも、受信した印刷ジョブに基づいて、印刷処理を実行する(S121)。なお、CPU11は、画像データをすべて取得してから印刷を開始しても良いし、画像データの取得と印刷の実行とを並行して実行しても良い。印刷ジョブを受信していないと判断した場合(S131:NO)、または、印刷処理の実行後、CPU11は、S101に進んで、ホーム画面60を表示させる。
【0065】
また、プリンタ1は、コピーの実行指示と印刷ジョブの受信に限らず、印刷の実行指示を受け付け可能である。プリンタ1は、例えば、メモリ12に記憶している印刷ジョブの実行指示、通信IF14に接続されたUSBメモリに記憶されている画像データに基づく印刷指示、を受け付け可能であっても良い。
【0066】
CPU11は、メモリ12に記憶している印刷ジョブの実行指示を受け付けた場合、印刷ジョブを受信した場合と同様に、印刷ジョブから画像データと印刷設定を取得して(S132)、印刷処理を実行する(S121)。また、CPU11は、通信IF14に接続されたUSBメモリに記憶されている画像データに基づく印刷指示を受け付けた場合には、
図6に示したコピー設定画面70と類似の設定画面を表示させて、印刷設定を受け付ける。そして、CPU11は、取得した印刷設定の情報を印刷設定24としてメモリ12に記憶し(S118)、画像データを取得して(S119)、印刷処理を実行する(S121)。
【0067】
なお、
図4では、カット印刷が選択された場合と両面印刷が選択された場合とのいずれでも、注意画面80を表示させる手順を説明したが、プリンタ1は、カット印刷が選択された場合と両面印刷が選択された場合とで異なる注意画面を表示させても良い。その場合の受付処理の手順について、
図8のフローチャートを参照して説明する。
図8では、
図4と同じ手順については、同じ符号を付している。また、以下では、
図4とは異なる部分のみ説明する。
【0068】
ホーム画面60(
図5参照)にてコピーアイコン602への操作を受け付けて、コピー設定画面70(
図6参照)を表示させた(S112)後、CPU11は、チェックボックス701への操作によってカット印刷が選択されたか否かを判断する(S141)。そして、カット印刷が選択されたと判断した場合(S141:YES)、CPU11は、例えば、
図9に示すように、注意画面810を操作パネル13に表示させる(S142)。
【0069】
また、カット印刷が選択されていないと判断した場合(S141:NO)、CPU11は、コピー設定画面70のチェックボックス702への操作によって両面印刷が選択されたか否かを判断する(S143)。そして、両面印刷が選択されたと判断した場合(S143:YES)、CPU11は、例えば、
図10に示すように、注意画面820を操作パネル13に表示させる(S144)。
【0070】
ユーザは、注意画面810中のOKボタン811、または注意画面820中のOKボタン821、への操作を行うことで、注意画面810または注意画面820の表示終了を指示できる。カット印刷も両面印刷も選択されていないと判断した場合(S143:NO)、CPU11は、スタートボタン703への操作を受け付けたか否かを判断する(S117)。
【0071】
図9に示す注意画面810は、カット印刷を実行する場合、背面カバー35を閉状態とする必要があることを、ユーザに報知する画面である。また、
図10に示す注意画面820は、両面印刷を実行する場合、背面カバー35を閉状態とする必要があることを、ユーザに報知する画面である。このようにしても、ユーザによって背面カバー35が閉状態とされた上で実行指示が入力されることが期待できる。
【0072】
次に、
図4または
図8の受付処理のS121にて実行される印刷処理の手順について、
図11のフローチャートを参照して説明する。印刷処理は、コピー指示に基づいて取得した印刷ジョブ、または、外部デバイスから取得した印刷ジョブ、の印刷を実行する処理である。印刷処理では、CPU11は、カバーセンサ17の信号に基づいて、背面カバー35が開状態であるか否かを判断する(S201)。背面カバー35が開状態ではない、すなわち閉状態であると判断した場合(S201:NO)、CPU11は、メモリ12に記憶されている印刷設定24に基づいて、印刷を実行する(S231)。
【0073】
背面カバー35が閉状態であれば、印刷設定24にカット印刷または両面印刷の設定が含まれていても、プリンタ1は、その印刷設定24に基づいて適切に印刷を実行できる。S231の後、CPU11は、印刷処理を終了して、
図4の受付処理に戻る。
【0074】
背面カバー35が開状態であると判断した場合(S201:YES)、CPU11は、メモリ12に記憶した印刷設定24に基づいて、実行指示を受け付けた印刷ジョブに、カット印刷の設定が含まれているか否かを判断する(S211)。
【0075】
なお、CPU11は、コピージョブに限らず、印刷ジョブの実行指示を受け付けた場合に、その印刷ジョブの印刷設定の情報を印刷設定24としてメモリ12に記憶する。従って、記憶されている印刷設定24に基づいて、CPU11は、実行対象の印刷ジョブにカット印刷や両面印刷が設定されているか否かを判断できる。カット印刷の設定が含まれている印刷ジョブは、第1ジョブの一例である。
【0076】
カット印刷の設定が含まれていると判断した場合(S211:YES)、CPU11は、実行指示を受け付けた印刷ジョブに、両面印刷の設定がさらに含まれているか否かを判断する(S212)。カット印刷の設定が含まれている印刷ジョブであって、両面印刷の設定も含まれていると判断した場合(S212:YES)、CPU11は、例えば、
図12に示すように、第1エラー画面91を操作パネル13に表示させる(S213)。
【0077】
図12に示す第1エラー画面91は、背面カバー35が開状態であると、カット印刷と両面印刷とのいずれも不可能であることを報知するメッセージと、印刷キャンセルの指示を受け付ける印刷キャンセルボタン911と、を含む。第1エラー画面91は、背面カバー35が開状態の場合に、少なくともカット印刷に関するエラーを報知する画面であり、第1態様でエラーを報知する画面の一例である。カット印刷と両面印刷との両方が設定されている場合、第1エラー画面91が表示されるので、ユーザは、印刷ジョブを完了できないことを認識できる。
【0078】
カット印刷の設定が含まれている印刷ジョブであって、両面印刷の設定が含まれていないと判断した場合(S212:NO)、CPU11は、例えば、
図13に示すように、第2エラー画面92を操作パネル13に表示させる(S214)。
【0079】
図13に示す第2エラー画面92は、背面カバー35が開状態であると、カット印刷が不可能であることを報知するメッセージと、印刷キャンセルの指示を受け付ける印刷キャンセルボタン921と、を含む。この場合、両面印刷の設定が含まれていないことから、第2エラー画面92には、両面印刷に関するエラーを報知するメッセージは含まれない。第2エラー画面92は、背面カバー35が開状態の場合に、カット印刷に関するエラーを報知する画面であり、第1態様でエラーを報知する画面の一例である。カット印刷が設定されており、両面印刷が設定されていない場合、第2エラー画面92が表示されるので、ユーザは、カット印刷の設定を含む印刷ジョブを完了できないことを認識できる。
【0080】
一方、カット印刷の設定が含まれていないと判断した場合(S211:NO)、CPU11は、実行指示を受け付けた印刷ジョブに、両面印刷の設定が含まれているか否かを判断する(S215)。カット印刷の設定が含まれていない印刷ジョブは、第2ジョブの一例である。両面印刷の設定が含まれていると判断した場合(S215:YES)、CPU11は、例えば、
図14に示すように、第3エラー画面93を操作パネル13に表示させる(S216)。
【0081】
図14に示す第3エラー画面93は、背面カバー35が開状態であると、両面印刷が不可能であることを報知するメッセージと、印刷キャンセルの指示を受け付ける印刷キャンセルボタン931と、を含む。この場合、カット印刷の設定が含まれていないことから、第3エラー画面93には、カット印刷に関するエラーを報知するメッセージは含まれない。第3エラー画面93は、背面カバー35が開状態の場合に、両面印刷に関するエラーを報知する画面であり、第3態様でエラーを報知する画面の一例である。カット印刷の設定が含まれていない印刷ジョブであっても、両面印刷の設定が含まれている場合、第3エラー画面93が表示されるので、ユーザは、両面印刷の設定を含む印刷ジョブを完了できないことを認識できる。
【0082】
つまり、CPU11は、実行対象の印刷ジョブに対して設定されている印刷設定に基づいて、カット印刷や両面印刷が設定されているか否かを判断する。実行対象の印刷ジョブは、コピーの実行指示、メモリ12に記憶している印刷ジョブの実行指示、通信IF14に接続されたUSBメモリに記憶されている画像データに基づく印刷指示、等によって取得される。そして、CPU11は、カット印刷と両面印刷との少なくとも一方が設定されており、背面カバー35が開状態である場合には、該当するエラー画面を表示させる。
【0083】
印刷設定24によって異なる表示態様のエラー画面が表示されるので、ユーザは、エラーの理由を把握し易い。そして、エラー画面の表示により、ユーザによって背面カバー35が閉止されることが期待できる。また、第2エラー画面92や第3エラー画面93では、印刷設定24に含まれない設定に関するメッセージが省略されているので、画面がシンプルになり、無関係の設定に関するメッセージが表示されることに伴うユーザの困惑を回避できる。
【0084】
なお、カット印刷の設定と両面印刷の設定との両方が含まれている場合、S213にて、両方の設定に関するエラーを報知する第1エラー画面91表示させるとしたが、CPU11は、一方の設定に関するエラーを報知するエラー画面、すなわち、第2エラー画面92または第3エラー画面93と同じ画面を表示させても良い。例えば、カット印刷の設定が含まれている場合には(S211にてYES)、CPU11は、両面印刷の設定の有無に関わらず、第2エラー画面92を表示させるとしても良い。その場合、具体的には、S212とS213とは無くても良い。背面カバー35が開状態であると、カット印刷と両面印刷とのいずれも完了できないが、一方のエラーのみを報知して他方のエラーを報知しないとすれば、報知がシンプルになる。
【0085】
S213、S214、S216のいずれかにてエラー画面91~93を表示させた後、CPU11は、カバーセンサ17の信号に基づいて、背面カバー35が閉状態となったか否かを判断する(S221)。背面カバー35が閉状態となっていないと判断した場合(S221:NO)、CPU11は、表示中のエラー画面にて、印刷キャンセルの指示を受け付けたか否かを判断する(S222)。印刷キャンセルの指示も受け付けていないと判断した場合(S222:NO)、CPU11は、背面カバー35が閉状態となるか、印刷キャンセルを受け付けるか、のいずれかとなるまで待機する。
【0086】
背面カバー35が閉状態となったと判断した場合(S221:YES)、CPU11は、表示中のエラー画面の表示を終了して(S223)、印刷を実行し(S231)、印刷処理を終了して受付処理に戻る。背面カバー35が閉状態となっていることから、印刷後のシートは、開口部34から排出されず、背面カバー35に沿って搬送される。なお、カット印刷と両面印刷との少なくとも一方が設定されている場合、CPU11は、フラップ36を前方位置(
図2中で破線の位置)に配置させる。
【0087】
カット印刷が選択されている場合、印刷後のシートは、
図3(A)に示したように、背面カバー35に沿って搬送経路R1にて搬送され、誘導ローラ42を介してカッタユニット16に搬送される。また、両面印刷が選択されている場合、第1面へ印刷後のシートは、
図3(A)に示したように、背面カバー35に沿って搬送経路R1にて搬送された後、誘導ローラ42によって搬送方向が反転され、
図2に示した反転経路R3を介して印刷エンジン15に至る。そして、印刷エンジン15によって第2面へ印刷され、両面への印刷後のシートは、再度、搬送経路R1にて搬送される。
【0088】
なお、カット印刷と両面印刷との両方が設定されている場合、プリンタ1は、両面印刷を実行した後、両面に印刷後のシートを、カット印刷が選択されている場合と同様に搬送し、カットして排出する。両面印刷のみが設定されている場合、プリンタ1は、第1面へ印刷後のシートを反転経路R3に搬送した後にフラップ36を後方位置(
図2中で実線の位置)に配置させ、両面に印刷後のシートを、排紙ローラ43を介して排出する。
【0089】
また、印刷キャンセルの指示を受け付けたと判断した場合(S222:YES)CPU11は、表示中のエラー画面91~93の表示を終了して(S232)、印刷せずに印刷処理を終了して受付処理に戻る。
【0090】
一方、実行指示を受け付けた印刷ジョブに、カット印刷の設定も両面印刷の設定も含まれていないと判断した場合(S215:NO)、CPU11は、メモリ12に記憶されている報知設定25に基づいて、カバー報知の設定がオン設定となっているか否かを判断する(S241)。なお、前述した受付処理(
図4参照)にて説明したように、CPU11は、設定の指示を受け付けて、カバー報知についての設定を受け付けた場合、S104にて、カバー報知の設定を示す情報を報知設定25としてメモリ12に記憶している。
【0091】
カバー報知の設定がオン設定となっていると判断した場合(S241:YES)、CPU11は、例えば、
図15に示すように、報知画面94を操作パネル13に表示させる(S242)。
図15に示す報知画面94は、背面カバー35が開状態であることを報知するメッセージと、印刷続行の指示を受け付けるOKボタン941と、印刷キャンセルの指示を受け付ける印刷キャンセルボタン942と、を含む。報知画面94は、カット印刷の設定が含まれない印刷ジョブであっても、背面カバー35が開状態の場合にエラーを報知する画面であり、第2態様でエラーを報知する画面の一例である。
【0092】
プリンタ1は、カット印刷の設定や両面印刷の設定が含まれていない印刷ジョブであっても、カバー報知の設定がオン設定であれば、報知画面94を表示する。これにより、ユーザは、背面カバー35が開状態であることを把握できる。さらに、プリンタ1は、カット印刷の設定や両面印刷の設定が含まれていない場合には、エラー画面91~93とは異なる表示態様の報知画面94を表示するので、ユーザは、報知の内容を区別できる。
【0093】
報知画面94を表示させた後、CPU11は、カバーセンサ17の信号に基づいて、背面カバー35が閉状態となったか否かを判断する(S243)。背面カバー35が閉状態となっていないと判断した場合(S243:NO)、CPU11は、報知画面94への操作を受け付けたか否かを判断する(S244)。操作を受け付けていないと判断した場合(S244:NO)、CPU11は、背面カバー35が閉状態となるか、操作を受け付けるか、のいずれかとなるまで待機する。
【0094】
背面カバー35が閉状態となったと判断した場合(S243:YES)、CPU11は、表示中の報知画面94の表示を終了して(S246)、印刷を実行し(S231)、印刷処理を終了して受付処理に戻る。なお、カット印刷も両面印刷も設定されていない場合、CPU11は、フラップ36を後方位置(
図2中で実線の位置)に配置させる。従って、印刷後のシートは、排紙ローラ43から排紙トレイ32へ排出される。
【0095】
報知画面94への操作を受け付けたと判断した場合(S244:YES)、CPU11は、受け付けた操作が印刷キャンセルボタン942への操作による、印刷キャンセルの指示であるか否かを判断する(S245)。報知画面94にて印刷キャンセルの指示を受け付けたと判断した場合(S245:YES)、CPU11は、表示中の報知画面94の表示を終了して(S232)、印刷せずに印刷処理を終了して受付処理に戻る。
【0096】
一方、報知画面94にて受け付けた操作がOKボタン941への操作であると判断した場合(S245:NO)、CPU11は、表示中の報知画面94の表示を終了して(S246)、印刷を実行し(S231)、印刷処理を終了して受付処理に戻る。この場合、背面カバー35が開状態であることから、印刷後のシートは、開口部34から排出される。
【0097】
なお、カット印刷の設定や両面印刷の設定が含まれていない印刷ジョブであれば、プリンタ1は、背面カバー35が開状態であっても完了できる。報知画面94にはOKボタン941が含まれるので、意図的に背面カバー35を開状態としているユーザは、OKボタン941を操作して、印刷ジョブを完了させることができる。
【0098】
また、カバー報知の設定がオフ設定となっていると判断した場合(S241:NO)、CPU11は、印刷を実行し(S231)、印刷処理を終了して受付処理に戻る。カット印刷の設定も両面印刷の設定も含まれていない場合、背面カバー35が開状態であっても閉状態であっても印刷可能であることから、カバー報知の設定がオフ設定となっていれば、プリンタ1は、エラーを報知せずに印刷する。なお、印刷後のシートは、背面カバー35が開状態であれば開口部34から排出され、背面カバー35が閉状態であれば排紙トレイ32へ排出される。
【0099】
以上、詳細に説明したように、本形態のプリンタ1では、背面カバー35が開状態であると、印刷後のシートは、開口部34から排出されるのでカッタユニット16に到達しない。プリンタ1は、カット印刷の設定が含まれている印刷ジョブの実行指示を受け付けた際に、背面カバー35が開状態であった場合、第1エラー画面91または第2エラー画面92を表示する。従って、ユーザは、背面カバー35が開状態ではカット印刷が行われないことを認識できる。これにより、ユーザによって背面カバー35が閉状態とされることが期待でき、その結果として、プリンタ1は、カット印刷の設定が含まれている印刷ジョブを完了し易い。
【0100】
なお、本形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。従って、本発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。例えば、プリンタ1は、印刷専用機にかぎらず、複合機、複写機、FAX装置等であっても良い。また、プリンタ1の印刷方式は、電子写真方式に限らず、インクジェット方式、熱転写方式、感熱方式等であっても良い。また、プリンタ1の備える給紙トレイは、2つ以上であっても良い。また、プリンタ1に印刷ジョブを送信する装置は、PCに限らず、例えば、スマートフォン、タブレットコンピュータであっても良い。
【0101】
また、例えば、図示した各種の表示の形態は、いずれも一例であって、図示の例に限らない。図中の文言やその配置、ボタンの配置や形状、操作の図解の有無は、任意に変更可能である。また、エラーの報知は、エラー画面の表示に限らず、音声ガイダンスやランプの点灯による報知でも良いし、それらの併用でも良い。また、エラー画面91~93は、それぞれ異なるメッセージを含むとしたが、同じメッセージとしても良い。例えば、単に、背面カバー35が開状態であることを報知するメッセージであっても良い。
【0102】
また、実施の形態では、プリンタ1は、カバー報知のオン設定とオフ設定との設定を受け付け可能であるとしたが、受け付けなくても良い。つまり、カバー報知のオンオフは、いずれか一方にあらかじめ決まっていても良い。
【0103】
また、プリンタ1のカッタユニット16は、A4サイズのシートを切断してA5サイズの2枚のシートとして排出する構成であるとしたが、A4サイズ以外のサイズのシートの切断や、A5サイズ以外のサイズにする切断も可能であっても良い。また、カッタユニット16による加工は、切断に限らず、例えば、シートにミシン目を入れる加工、シートに折り目を入れる加工、であっても良い。
【0104】
また、プリンタ1の内部構成は、
図2に示した例に限らない。例えば、操作パネル13は、排紙トレイ32よりも前方に設けられているとしたが、後方でも良い。また、例えば、フラップ36や、排紙ローラ43、フラップ36から排紙ローラ43へ至る搬送経路は、無くても良い。つまり、プリンタ1は、カット印刷や両面印刷を行わない場合であっても、排紙ローラ44から排出する構成であっても良い。
【0105】
また、プリンタ1は、両面印刷を実行する機能を有していないものでも良い。その場合、例えば、
図6に示したような設定画面には、両面印刷の選択を受け付けるチェックボックスは、含まれない。また、受付処理(
図4参照)のS115では、CPU11は、カット印刷が選択されたか否かを判断すれば良く、S116では、
図9に示したように、カット印刷に関する報知を行う画面を表示させれば良い。あるいは、
図8に示した受付処理のS143とS144とを削除し、CPU11は、S141にてNOと判断した場合にS117に進むとしても良い。また、印刷処理(
図11参照)のS212やS215は、無くて良い。また、CPU11は、印刷処理のS211にてYESと判断した場合にはS214に進んで、
図13に示した第2エラー画面92を表示させれば良い。また、CPU11は、印刷処理のS211にてNOと判断した場合にはS241に進めば良い。
【0106】
また、実施の形態では、印刷後のシートが印刷エンジン15から排出される向きと、印刷後のシートがカッタユニット16に向かう向きとは、異なる向きであるとしたが、同じ向きであっても良い。例えば、カッタユニット16は、誘導ローラ42よりも後方に配置されていても良い。
【0107】
また、実施の形態のプリンタ1は、カッタユニット16による加工を行うためのシートの停止と、両面印刷を行うためのシートの搬送方向の反転と、の両方を誘導ローラ42によって行うとしたが、別々の構成を有していても良い。また、例えば、誘導ローラ42は、シートの搬送方向についてフラップ36よりも上流側に配置されても良い。
【0108】
また、背面カバー35の開閉可能な角度は約90度でなくても良い。例えば、背面カバー35は、
図2に示した開状態と閉状態との間の位置で停止可能であっても良い。また、背面カバー35は、90度より大きく開放可能であっても良い。また、開状態での背面カバー35は、排紙トレイとして機能しなくても良い。開口部34は、少なくともシートが通過可能な大きさであればよい。なお、少なくとも印刷後のシートを開口部34から排出可能な程度に背面カバー35が開いている状態は、すべて開状態に含まれる。
【0109】
また、各実施の形態に開示されている任意のフローチャートにおいて、任意の複数のステップにおける複数の処理は、処理内容に矛盾が生じない範囲で、任意に実行順序を変更できる、または並列に実行できる。
【0110】
また、各実施の形態に開示されている処理は、単一のCPU、複数のCPU、ASICなどのハードウェア、またはそれらの組合せで実行されてもよい。また、実施の形態に開示されている処理は、その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体、または方法等の種々の態様で実現することができる。
【符号の説明】
【0111】
1 プリンタ
12 メモリ
13 操作パネル
14 通信IF
15 印刷エンジン
16 カッタユニット
34 開口部
35 背面カバー