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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168423
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】電波反射装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 15/14 20060101AFI20241128BHJP
   H01Q 3/08 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
H01Q15/14 A
H01Q3/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085107
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】592245432
【氏名又は名称】スタッフ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関根 秀一
(72)【発明者】
【氏名】小荒田 新一
【テーマコード(参考)】
5J020
5J021
【Fターム(参考)】
5J020AA03
5J020BA04
5J020CA02
5J020CA04
5J020DA03
5J021BA01
5J021DA04
5J021DA06
5J021GA02
5J021HA10
5J021JA07
(57)【要約】
【課題】電波の反射装置の可動域や設置空間を小さく抑える。
【解決手段】 第1の方向から入射する電波を第2の方向に反射する電波反射装置は、複数の短冊状の反射板121~123を備え、上記反射板121~123が、板面に垂直な方向から見たときに反射板121~123の幅方向に互いに重ならない部分を有するとともに、互いに板面に垂直な方向に所定の間隔を空けて配置され、互いに所定の角度を有するように設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向から入射する電波を第2の方向に反射する電波反射装置であって、
複数の短冊状の反射板を備え、
上記反射板が、板面に垂直な方向から見たときに反射板の幅方向に互いに重ならない部分を有するとともに、互いに板面に垂直な方向に所定の間隔を空けて配置され、互いに所定の角度を有するように設けられていることを特徴とする電波反射装置。
【請求項2】
請求項1の電波反射装置であって、
上記反射板の長手方向に平行な軸回りの上記反射板の一体的な回動、各反射板の上記反射板の長手方向に平行な軸回りの相対的な回動、および各反射板の間隔の変更の少なくとも何れかが可能であることを特徴とする電波反射装置。
【請求項3】
請求項1から請求項2のうち何れか1項の電波反射装置であって、
上記反射板に垂直な方向と交差する方向の軸回りに回動可能であることを特徴とする電波反射装置。
【請求項4】
請求項1から請求項2のうち何れか1項の電波反射装置であって、
互いに隣り合う上記反射板の間隔がそれぞれ異なり、および/または互いに隣り合う上記反射板が成す角度がそれぞれ互いに異なることを特徴とする電波反射装置。
【請求項5】
請求項1から請求項2のうち何れか1項の電波反射装置であって、
上記反射板の表面に誘電体層が設けられていることを特徴とする電波反射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電波の反射方向を所定の方向に向けるためなどに用いられる電波反射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、モバイル通信では、比較的高い周波数の電波が用いられる。そのような電波は、遮蔽物によって伝搬が遮蔽され、通信可能なエリアに問題(不感地帯)が生じる場合がある。そのような不感地帯への対応策として、所定の方向に向けて設置された平板状の反射板を用いることが検討されている(例えば、非特許文献1、123ページ参照。)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】東日本電信電話株式会社、“令和3年度 課題解決型ローカル 5G 等の実現に向けた開発実証 中山間地域での EV ロボット遠隔制御等による果樹栽培支援に向けたローカル5G の技術的条件及び利活用に関する調査検討 成果報告書”、123ページ、[online]、令和4年3月25日、東日本電信電話株式会社、[2023年4月1日検索]、インターネット <URL:http://go5g.go.jp/sitemanager/wp-content/uploads/2022/05/令和3年度ローカル5G開発実証_成果報告書_No.1_全体版.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような平板状の反射板によって反射波を任意の方向に向けるためには、反射板を所定の方向に向くように設置する必要がある。そのため、反射板の向きを調整するための可動域や設置空間が大きくなりがちである。すなわち、電波の反射板では、他の反射機能を有する技術とは異なり、反射板が用いられる実際の現場において、波源の位置と反射板の位置の最適となる関係が、ケースバイケースで非常に自由度が高いため、それに対応するための調整機能が必要になることが多い。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、電波の反射装置の可動域や設置空間を小さく抑えられるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、
本発明は、
第1の方向から入射する電波を第2の方向に反射する電波反射装置であって、
複数の短冊状の反射板を備え、
上記反射板が、板面に垂直な方向から見たときに反射板の幅方向に互いに重ならない部分を有するとともに、互いに板面に垂直な方向に所定の間隔を空けて配置され、互いに所定の角度を有するように設けられていることを特徴とする。
【0007】
これにより、1枚の反射板を用いる場合に比べて、寸法を低減することができ、電波反射装置の設置空間を小さく抑えることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、電波の反射装置の可動域や設置空間を小さく抑えることが容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1の電波反射装置100の外観を示す斜視図。
図2】電波反射装置100の反射板121~123を示す斜視図。
図3】反射板121~123の所定の回動位置を示す正面図。
図4】反射板121~123の他の回動位置を示す正面図。
図5】電波反射装置100の反射板121~123設置スペースを示す説明図。
図6】比較対象の反射板の設置スペースを示す説明図。
図7】実施形態2の反射板121~123の配置を示す説明図。
図8】反射板121・122の反射特性を示すグラフ。
図9】反射板122・123の反射特性を示すグラフ。
図10】反射板121~123の合成された反射特性を示すグラフ。
図11】実施形態2の変形例の電波反射装置100の要部を示す正面図。
図12】実施形態3の反射板121~123の配置を示す説明図。
図13】実施形態3の変形例の電波反射装置100の要部を示す正面図。
図14】実施形態4の電波反射装置100の要部を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の各実施形態および変形例において、他の実施形態等と同様の機能を有する構成要素については同一の符号を付して説明を省略する。また、各実施形態等で説明する内容は、論理的に可能な限り種々組み合わせ可能である。
【0011】
(実施形態1)
電波反射装置100は、例えば、図1に示すように、建造物の壁面等に取り付けられるベース板111と、カバー112とによって囲まれた空間内に、図2図4に示すように支柱124によって結合された複数の金属製の反射板121~123が設けられて構成されている。 上記反射板121~123は、それぞれ、円板の一部が例えば、反射する電波の8.5波長程度の長さ(図2の矢印L方向)、および3波長程度の幅(図2の矢印W方向)の短冊状に切り出された形状を有している。これらの反射板121~123は、板面に垂直な方向から見たときに各反射板121~123の幅方向(図2の矢印W方向)に互いに重ならない部分を有するとともに、互いに板面に垂直な方向に支柱124により所定の間隔、例えば、反射する電波の波長の0.5倍から0.75倍の間隔を等間隔に空けて、かつ、互いに平行に配置されて設けられている。反射板121~123は、反射板121~123の長手方向(図2の矢印L方向)に平行な回動軸125を介して、支持部126に一体的に回動可能に設けられている。支持部126は、ベース板111に垂直な図示しない回動軸回りに回動可能に設けられている。
【0012】
上記のような電波反射装置100では、例えば、図5に模式的に示すように、ベース板111に対して反射板121~123が成す角度を0度~30度の範囲で設定し得るようにする場合、図6に示すように、反射板121~123に対応する1枚の反射板を用いる場合に比べて、ベース板111に垂直な方向の寸法を5分の4等に低減することができ、電波反射装置100の設置空間を小さく抑えることができる。また、もし反射板121~123の角度を固定的に設定する場合であっても、ベース板111に垂直な方向の寸法を3分の1等に低減することもできる。
【0013】
図5において実線の状態を水平から0度として、二点鎖線の状態を回転した状態として、水平からの角度をθとし、反射板121と反射板122の間の垂直方向の間隔をd、反射板122と反射板123の間隔をdとすると、図6の一枚板の場合に対して厚さ方向にδHだけ薄くできるとすれば、δHは、
δH=(d+d)xcosθ
となる。
【0014】
もし、分割した反射板の枚数がnであり、反射板の間の間隔がdnとして定義される場合には、δHは、
δH=(dn-1+dn-2・・・・d)xcosθ
となる。
【0015】
(実施形態2)
各反射板121~123の間隔は、等間隔に空けるのに限らず、所定の間隔に設定することによって、反射する電波の方向やビーム幅など、種々の指向性を得ることができる。具体的には、例えば、図7に示すように、各反射板121~123とベース板111との成す角度が0度とし、反射板121・122の間隔が反射する電波の波長の0.5倍、反射板122・123の間隔が0.75倍とした場合、電波が40度の入射角で入射したとすると、出射する電波の指向性は、反射板の間隔が0.5波長の場合の指向性(図8)と0.75波長の場合の指向性(図9)を合成した図10に示すようなビーム幅に広げる指向性を得ることができる。このようにビーム幅を広げることで、反射板が実際に配置された場所における調整が容易にできるという利点などを得ることもできる。
【0016】
さらに、現場での調整、または事前に行った伝搬シミュレーションの結果に基づく工場出荷時における調整をより容易にかつ柔軟にするなどのために、以下のような構成としてもよい。
【0017】
すなわち、各反射板121~123の間隔は予め固定的に設定されるのに限らず、電波反射装置100の使用場所への設置時などの調整により設定し得るようにしてもよい。例えば、図11に模式的に示すように、ガイド部材131に摺動自在に設けられた摺動部材132に反射板121~123を取り付け、反射板121~123が所定の間隔になる位置で摺動部材132を固定ピン133や押しねじなどで固定し得るようにしてもよい。これによって、電波反射装置100の指向性をより柔軟かつ容易に設定することができる。
【0018】
なお、上記のように反射板121~123の間隔が設定される場合でも、反射板121~123全体のベース板111に対する角度等は固定的に設定されるようにしてもよいし、回動軸125等の回りに回動可能にされてもよい。これによって、反射板を配置する現場における調整、または事前にシミュレーションなどで設計を行った結果に基づく工場出荷時における調整などにより、反射板の反射ビームの形を、所望の形により高く一致させることなどが可能となる。
【0019】
(実施形態3)
各反射板121~123は互いに平行に設けられるのに限らず、例えば、図12に示すように互いに2.5度の角度を成すように設定するなどしてもよい。これによっても、ビーム幅を広げるなど、指向性を種々に設定することができる。
【0020】
また、上記のような反射板121~123の角度の設定も、電波反射装置100の設置時などの調整により設定し得るようにしてもよい。例えば、図13に模式的に示すように、ガイド部材134に回動自在に設けられた回動部材135に反射板121~123を取り付け、反射板121~123が所定の角度を有する位置で回動部材135を固定ピン133や押しねじなどで固定し得るようにしてもよい。これによって、やはり、電波反射装置100の指向性をより柔軟に設定することができる。
【0021】
なお、上記のように反射板121~123の互いに成す角度が設定される場合でも、反射板121~123全体のベース板111に対する角度等は固定的に設定されるようにしてもよいし、回動軸125等の回りに回動可能にされてもよい。
【0022】
(実施形態4)
例えば、図14に示すように、反射板121~123の少なくとも一部の表面に誘電体層141・142を設け、反射板121~123の間の段差が反射電波の位相差に与える影響を調整するようにしたり、各反射板121~123の実際の間隔を柔軟に設定し得るようにしたりしてもよい。
【0023】
具体的には、例えば、簡単のために、反射板121~123に電波が反射板の表面に対して法線方向から入射する場合を考え、反射板121・123の間の距離(段差)をaとし、反射板121の表面に設けられた誘電体層の厚さをd、屈折率をnとすると、誘電体層141の表面から反射板121の反射面までの実効的な距離はn×dとなるので、これを誘電体層141の表面から反射板123の反射面までの距離d+aと等しくなるようにする場合には、
d=a/(n-1)
となるように設定すればよい。これによって、電波が同一平面上の反射面で反射する場合と同じように、同じ位相で反射させることができる。
【0024】
これによって、反射板の物理的な距離を変えることなく、距離を変えたときと同等の特性を得ることが可能となり、電波反射装置100の反射特性の自由度を上げ、反射波の調整をより容易にすることが可能となる。
【0025】
反射板122・123、および誘電体層142などについても同様である。ここで、誘電体層141・142の屈折率は異ならせたりしてもよい。
【0026】
(その他の事項)
上記の例では反射板121~123が金属製である例を示したが、これに限らず、電波を反射し得る種々の材質が適用されてもよい。また、誘電体を材料とする複数の誘電体板の表面に周期的または非周期的などに配置された複数の金属片を設けたり、金属を材料とする複数の金属板に周期的または非周期的などに抜かれた穴を形成するなどして、特定の周波数の電波を主に反射するなどの周波数特性を持たせるようにしてもよい。
【0027】
また、反射板121~123の幅や長さは、反射特性や設置スペースなどの条件に応じて、種々設定すればよい。例えば、反射波の特性を反射波の特性を考慮し、反射板の寸法に関してパラメータスタディーを実施したところ、反射板の幅は、反射させる電波の上限周波数の3波長以上で、反射板の間隔は下限周波数の1波長以下であることが望ましい場合があり得ることを確認した。このように設定することで、反射板の反射特性が周波数に依存して変化することを抑制することができ、幅広い周波数帯での動作を可能とすることなどができる。
【0028】
また、各反射板121~123は支柱124によって互いに結合させられるのに限らず、例えば、各反射板121~123の長手方向両端付近のフレームや長手方向中央付近のアームなどで固定、結合させられるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0029】
100 電波反射装置
111 ベース板
112 カバー
121~123 反射板
124 支柱
125 回動軸
126 支持部
131 ガイド部材
132 摺動部材
133 固定ピン
134 ガイド部材
135 回動部材
141・142 誘電体層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14