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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168424
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】建物の外壁構造
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/08 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
E04F13/08 B
E04F13/08 101K
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085109
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000004673
【氏名又は名称】パナソニックホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 寛
(72)【発明者】
【氏名】永野 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】古田 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】田窪 和彦
(72)【発明者】
【氏名】林 利樹
【テーマコード(参考)】
2E110
【Fターム(参考)】
2E110AA26
2E110AA47
2E110AB04
2E110AB22
2E110BA13
2E110CA08
2E110DC24
2E110DD03
2E110DD11
2E110GA14Z
2E110GA34W
2E110GB02Y
2E110GB11W
2E110GB23Y
2E110GB24Z
2E110GB28W
2E110GB53Z
2E110GB54Z
(57)【要約】
【課題】 外装材の割れや剥落等長期に亘って抑制することが可能な建物の外壁構造を提供する。
【解決手段】 建物の外壁構造は、第1外壁パネルP1と、第2外壁パネルP2とを含む。第1外壁パネルP1及び第2外壁パネルP2は、金属製かつ矩形状のフレーム枠7と、フレーム枠7に固定された壁下地材とを含む。壁下地材には、接着剤を介して外装材が固着されている。フレーム枠7は、上下方向に延び、かつ、フレーム枠7の外側部に配された縦枠材11を含む。互いに隣接する第1外壁パネルP1の縦枠材11と、第2外壁パネルP2の縦枠材11とは、上下方向の複数箇所において、水平方向に延びるボルトを用いた固定部23により固定されている。固定部23は、ボルトの軸心が、縦枠材11の壁厚さ方向の中央位置に配された第1固定部23Aと、ボルトの軸心が、縦枠材11の壁厚さ方向の中央位置よりも外装材側に配された第2固定部23Bとを含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外壁構造であって、
第1外壁パネルと、前記第1外壁パネルに隣接して配された第2外壁パネルとを含み、
前記第1外壁パネル及び前記第2外壁パネルは、それぞれ、金属製かつ矩形状のフレーム枠と、前記フレーム枠の外壁面側に固定された壁下地材とを含み、
前記壁下地材には、接着剤を介して外装材が固着されており、
前記フレーム枠は、上下方向に延び、かつ、前記フレーム枠の外側部に配された縦枠材を含み、
互いに隣接する前記第1外壁パネルの前記縦枠材と、前記第2外壁パネルの前記縦枠材とは、上下方向の複数箇所において、水平方向に延びるボルトを用いた固定部により固定されており、
前記固定部は、
前記ボルトの軸心が、前記縦枠材の壁厚さ方向の中央位置に配された第1固定部と、
前記ボルトの軸心が、前記縦枠材の壁厚さ方向の前記中央位置よりも前記外装材側に配された第2固定部とを含む、
建物の外壁構造。
【請求項2】
前記縦枠材は、一対のフランジと、前記一対のフランジを継ぐウエブとを含み、
前記固定部は、前記第1外壁パネル側の前記縦枠材の前記ウエブと、前記第2外壁パネル側の前記縦枠材の前記ウエブとを向き合わせて固定する、請求項1に記載の建物の外壁構造。
【請求項3】
前記第1固定部は、前記縦枠材の上端側及び下端側の少なくとも一方に設けられる、請求項1に記載の建物の外壁構造。
【請求項4】
前記第1外壁パネルは、開口部を有し、
前記第1外壁パネルの前記フレーム枠は、前記縦枠材から前記開口部の上縁を画定するように水平方向に延びる上の横枠材を含み、
前記第2固定部は、前記縦枠材と前記上の横枠材との交差位置から、上下方向に150mm以内の領域に設けられる、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の建物の外壁構造。
【請求項5】
前記第1外壁パネルは、開口部を有し、
前記第1外壁パネルの前記フレーム枠は、前記縦枠材から前記開口部の下縁を画定するように水平方向に延びる下の横枠材を含み、
前記第2固定部は、前記縦枠材と前記下の横枠材との交差位置から、上下方向に150mm以内の領域に設けられる、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の建物の外壁構造。
【請求項6】
前記第1外壁パネルの前記フレーム枠は、前記縦枠材から前記開口部の下縁を画定するように水平方向に延びる下の横枠材を含み、
前記第2固定部は、上下方向において、前記上の横枠材と前記下の横枠材との間に設けられる、請求項4に記載の建物の外壁構造。
【請求項7】
前記外装材は、複数のタイルである、請求項1に記載の建物の外壁構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の外壁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、壁下地に、接着剤を介してタイル等の外装材が固着された壁構造が種々提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-167767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記壁下地は、通常、複数の壁下地材が水平方向に固定されることにより連続した一つの壁面を構成している。しかしながら、地震などの揺れが生じると、壁下地材の目地部分が開きやすく、前記目地を跨って配された外装材に割れや剥落が生じるという問題があった。
【0005】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、外装材の割れや剥落等長期に亘って抑制することが可能な建物の外壁構造を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、建物の外壁構造であって、第1外壁パネルと、前記第1外壁パネルに隣接して配された第2外壁パネルとを含み、前記第1外壁パネル及び前記第2外壁パネルは、それぞれ、金属製かつ矩形状のフレーム枠と、前記フレーム枠の外壁面側に固定された壁下地材とを含み、前記壁下地材には、接着剤を介して外装材が固着されており、前記フレーム枠は、上下方向に延び、かつ、前記フレーム枠の外側部に配された縦枠材を含み、互いに隣接する前記第1外壁パネルの前記縦枠材と、前記第2外壁パネルの前記縦枠材とは、上下方向の複数箇所において、水平方向に延びるボルトを用いた固定部により固定されており、前記固定部は、前記ボルトの軸心が、前記縦枠材の壁厚さ方向の中央位置に配された第1固定部と、前記ボルトの軸心が、前記縦枠材の壁厚さ方向の前記中央位置よりも前記外装材側に配された第2固定部とを含む、建物の外壁構造である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の建物の外壁構造は、上記の構成を採用することで、外装材の割れや剥落等長期に亘って抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の建物の外壁構造を示す断面図である。
図2】外壁パネルを示す斜視図である。
図3】第1外壁パネル及び第2外壁パネルのフレーム枠を示す斜視図である。
図4図3のA-A断面図である。
図5図3のB-B断面図である。
図6図3の第1外壁パネルの縦枠材と第2外壁パネルの縦枠材との連結部を示す正面図である。
図7】本発明の他の実施形態の第1外壁パネルの縦枠材と、第2外壁パネルの縦枠材との連結部を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態が図面に基づき説明される。図面は、発明の内容の理解を助けるために、誇張表現や、実際の構造の寸法比とは異なる表現が含まれることが理解されなければならない。また、各実施形態を通して、同一又は共通する要素については同一の符号が付されており、重複する説明が省略される。さらに、実施形態及び図面に表された具体的な構成は、本発明の内容理解のためのものであって、本発明は、図示されている具体的な構成に限定されるものではない。
【0010】
[建物の外壁構造(第1実施形態)]
図1は、本実施形態の建物Bの外壁構造1を示す断面図である。本実施形態の建物Bは、住宅である場合が例示されているが、ビル等であってもよい。本実施形態の外壁構造1は、外壁パネルPを含んで構成されている。
【0011】
図2は、外壁パネルPを示す斜視図である。本実施形態において、外壁パネルPの各構成部材の位置等は、x軸と、y軸と、z軸との直交座標上で特定される。本実施形態において、x軸方向が水平方向、y軸方向が上下方向、及び、z軸方向が壁厚さ方向に設定されている。
【0012】
図2に示されるように、本実施形態の外壁パネルPは、第1外壁パネルP1と、第1外壁パネルP1に隣接して配された第2外壁パネルP2とが含まれる。なお、外壁パネルPには、第1外壁パネルP1や第2外壁パネルP2の他に、例えば、第1外壁パネルP1又は第2外壁パネルP2と隣接して配された第3外壁パネル等(図示省略)がさらに含まれてもよい。
【0013】
図1に示されるように、外壁構造1には、外壁パネルPに加えて、内装材3がさらに含まれてもよい。これらの第1外壁パネルP1、第2外壁パネルP2及び内装材3は、例えば、柱や梁などを含む架構体Fに固定される。
【0014】
[第1外壁パネル]
図2に示されるように、第1外壁パネルP1は、フレーム枠7と、壁下地材8とを含んで構成される。これらのフレーム枠7及び壁下地材8は、例えば、工場等において、一体に固着されているのが好ましい。これにより、建物Bの工期の短縮や、品質の安定化を図ることが可能となる。
【0015】
本実施形態の第1外壁パネルP1は、開口部9を有している。この開口部9には、例えば、窓ガラスや扉などが取り付けられる。なお、建物Bの間取り等に応じて、第1外壁パネルP1から開口部9が省略されてもよい。本実施形態の開口部9は、腰窓(腰高窓)として形成されている。
【0016】
[フレーム枠]
フレーム枠7は、金属製である。このようなフレーム枠7は、例えば、木質材で形成されるフレーム枠(図示省略)に比べて、高い剛性を有するため、第1外壁パネルP1の耐久性能が向上する。フレーム枠7を構成する金属には、例えば、スチール等が採用されうる。図3は、第1外壁パネルP1及び第2外壁パネルP2のフレーム枠7を示す斜視図である。
【0017】
図3に示されるように、フレーム枠7は、正面視において、矩形状に形成されている。フレーム枠7で囲まれる空間には、図1に示した第1断熱材10が配されている。第1断熱材10は、例えば、繊維系断熱材(ロックウールやグラスウール等)や、樹脂系断熱材(ポリスチレンフォーム、ウレタンフォーム、又は、フェノールフォーム等)を含む断熱材料で構成されうる。この第1断熱材10は、例えば、工場等において、フレーム枠7の中に配されているのが好ましい。また、第1断熱材10の外面には、透湿防水シート(図示省略)が配されていてもよい。
【0018】
図3に示されるように、フレーム枠7には、縦枠材11が含まれている。縦枠材11は、上下方向(y軸方向)に延び、かつ、フレーム枠7の外側部7sに配されている。本実施形態の縦枠材11は、フレーム枠7の水平方向の両側(すなわち、x軸方向の両側の外側部7s)にそれぞれ配されている。
【0019】
本実施形態の縦枠材11は、一対のフランジ11a、11aと、一対のフランジ11a、11aを継ぐウエブ11bとを含んで構成されている。これらの一対のフランジ11a、11a及びウエブ11bにより、縦枠材11は、凹部11rを有する断面コ字状に形成されている。本実施形態の一対の縦枠材11、11は、それぞれの凹部11rが、パネル内側(フレーム枠7の水平方向の内側)に向くように配されている。
【0020】
図4は、図3のA-A断面図である。図5は、図3のB-B断面図である。縦枠材11のウエブ11bには、水平方向(x軸方向)に貫通する孔部13が設けられている。この孔部13は、縦枠材11の上下方向(y軸方向)の複数箇所に設けられている。これらの孔部13には、後述の固定部23(ボルト24)が挿入される。
【0021】
図3に示されるように、本実施形態のフレーム枠7には、水平方向(x軸方向)に延びる横枠材14がさらに含まれる。本実施形態の横枠材14は、縦枠材11と同様に、一対のフランジ14a、14aと、一対のフランジ14a、14aを継ぐウエブ14bとを含み、凹部14rを有する断面コ字状に形成されている。
【0022】
本実施形態の横枠材14には、外の横枠材14A、14Aと、上の横枠材14Bと、下の横枠材14Cとが含まれる。
【0023】
本実施形態の外の横枠材14A、14Aは、フレーム枠7の上下方向(y軸方向)の両側にそれぞれ配されている。これらの外の横枠材14A、14Aが、縦枠材11、11の上端側及び下端側に接合されることで、正面視において矩形状のフレーム枠7が形成される。外の横枠材14A、14Aと縦枠材11、11との接合には、例えば、溶接等が用いられる。本実施形態の外の横枠材14A、14Aは、それぞれの凹部14rが、パネル内側(フレーム枠7の上下方向の内側)に向くように配されているが、特に限定されない。
【0024】
上の横枠材14Bは、縦枠材11から開口部9の上縁9uを画定するように、水平方向(x軸方向)に延びている。本実施形態の上の横枠材14Bは、一対の縦枠材11、11間を延びている。上の横枠材14Bと一対の縦枠材11、11とは、例えば、溶接等によって接合されている。本実施形態の上の横枠材14Bの凹部14rは、パネル外側(図3において上側)に向くように配されているが、特に限定されない。
【0025】
下の横枠材14Cは、縦枠材11から開口部9の下縁9dを画定するように、水平方向(x軸方向)に延びている。本実施形態の下の横枠材14Cは、一対の縦枠材11、11間を延びている。下の横枠材14Cと一対の縦枠材11、11とは、例えば、溶接等によって接合されている。本実施形態の下の横枠材14Cの凹部14r(図示省略)は、パネル外側(図3において下側)に向くように配されているが、特に限定されない。
【0026】
本実施形態のフレーム枠7には、上下方向(y軸方向)に延びる補強枠材16がさらに含まれている。このような補強枠材16により、フレーム枠7の剛性が確保されうる。
【0027】
本実施形態の補強枠材16は、上補強枠材16Aと、下補強枠材16Bとが含まれているが、特に限定されるわけではない。例えば、フレーム枠7に求められる剛性等に基づいて、これらの一部の補強枠材16が省略されてもよいし、他の補強枠材(図示省略)が含まれてもよい。
【0028】
上補強枠材16A及び下補強枠材16Bは、縦枠材11と同様に、一対のフランジ16a、16aと、一対のフランジ16a、16aを継ぐウエブ16bとを含み、凹部16rを有する断面コ字状に形成されている。本実施形態の上補強枠材16A及び下補強枠材16Bは、それぞれの凹部16r、16rが、フレーム枠7の水平方向(x軸方向)において、一対の縦枠材11、11のうち、一方の縦枠材11(図3において右側の縦枠材11)側に向くように配されている。なお、それぞれの凹部16r、16rは、例えば、他方の縦枠材11(図3において左側の縦枠材11)側に向くように配されてもよい。
【0029】
上補強枠材16Aは、外の横枠材14Aと上の横枠材14Bとの間を、上下方向(y軸方向)に延びている。この上補強枠材16Aと、外の横枠材14A及び上の横枠材14Bとは、例えば、溶接等で接合されている。本実施形態では、複数の上補強枠材16Aが設けられている。上補強枠材16Aの本数(本例では、3本)は、例えば、フレーム枠7に求められる剛性等に応じて設定される。
【0030】
下補強枠材16Bは、外の横枠材14Aと下の横枠材14Cとの間を、上下方向(y軸方向)に延びている。この下補強枠材16Bと、外の横枠材14A及び下の横枠材14Cとは、例えば、溶接等で接合されている。本実施形態では、複数の下補強枠材16Bが設けられている。下補強枠材16Bの本数(本例では、3本)は、例えば、フレーム枠7に求められる剛性等に応じて設定されうる。
【0031】
[壁下地材]
図1及び図2に示されるように、壁下地材8は、フレーム枠7の外壁面2o側に固定されている。本実施形態の壁下地材8は、正面視矩形の板状に形成されており、胴縁17を介して、フレーム枠7に固着されている。これにより、壁下地材8とフレーム枠7(第1断熱材10)との間には、空気層18(図1に示す)が形成されうる。壁下地材8は、例えば、窯業系セメント板や、ALC等の発泡コンクリートパネルとして形成されうる。
【0032】
図1に示されるように、壁下地材8には、接着剤21を介して外装材22が固着されている。本実施形態の接着剤21には、例えば、弾性接着剤が用いられる。このような弾性接着剤は、壁下地材8の変形等に追従することができるため、外装材22の割れや剥落等が抑制されうる。弾性接着剤としては、例えば、変成シリコーン系やウレタン系の弾性接着剤等、種々のものを採用することができる。なお、接着剤21は、弾性接着剤に限定されるわけではなく、例えば、モルタル等であってもよい。
【0033】
図1及び図2に示されるように、本実施形態の外装材22は、複数のタイル22Aである。このような複数のタイル22Aが外装材22として用いられることで、外壁構造1の耐久性及び外壁面2oの美観性が向上する。なお、外装材22は、タイル22Aに限定されるわけではなく、例えば、石材や、陶板等であってもよい。
【0034】
図2に示されるように、本実施形態の複数のタイル22Aは、例えば、馬目地状に配置されているが、芋目地状等に配置されていてもよい。これらのタイル22Aの目地底は、図1に示した接着剤21の硬化物で構成されている。
【0035】
[第2外壁パネル]
第2外壁パネルP2は、第1外壁パネルP1と同様に、フレーム枠7と、壁下地材8とを含んで構成される。これらのフレーム枠7及び壁下地材8は、例えば、工場等において、一体に固着されているのが好ましい。
【0036】
本実施形態の第2外壁パネルP2は、第1外壁パネルP1とは異なり、開口部9を有していない。なお、建物Bの間取り等に応じて、第2外壁パネルP2に、開口部9が設けられてもよい。
【0037】
[フレーム枠]
フレーム枠7は、第1外壁パネルP1と同様に、金属製(例えば、スチール製)である。これにより、第2外壁パネルP2の耐久性が向上する。図3に示されるように、フレーム枠7は、正面視において、矩形状に形成されている。フレーム枠7で囲まれる空間には、第1外壁パネルP1と同様に、図1に示した第1断熱材10が配されている。
【0038】
フレーム枠7には、縦枠材11が含まれている。縦枠材11は、上下方向(y軸方向)に延び、かつ、フレーム枠7の外側部7sに配されている。本実施形態の縦枠材11は、フレーム枠7の水平方向の両側(すなわち、x軸方向の両側の外側部7s)にそれぞれ配されている。
【0039】
本実施形態の縦枠材11は、第1外壁パネルP1の縦枠材11と同様に、一対のフランジ11a、11aとウエブ11bとを含み、凹部11rを有する断面コ字状に形成されている。一対の縦枠材11、11のそれぞれの凹部11r、11rは、パネル内側(フレーム枠7の水平方向の内側)に向くように配されている。
【0040】
本実施形態では、第2外壁パネルP2を構成する一対の縦枠材11、11のうち1つの縦枠材11(図3において、左側の縦枠材11)が、第1外壁パネルP1の縦枠材11(図3において、右側の縦枠材11)と隣接している。これらの隣接する縦枠材11、11のそれぞれの凹部11rは、外壁構造1の水平方向(x軸方向)において、互いに逆向きに配されている。本実施形態では、図4及び図5に示されるように、第1外壁パネルP1の縦枠材11の凹部11rが左向きに配されており、第2外壁パネルP2の縦枠材11の凹部11rが右向きに配されている。これにより、第1外壁パネルP1側の縦枠材11のウエブ11bと、第2外壁パネルP2側の縦枠材11のウエブ11bとが向き合わされて、安定して面接触することが可能となる。
【0041】
縦枠材11のウエブ11bには、水平方向(x軸方向)に貫通する孔部13が設けられている。この孔部13は、上下方向(y軸方向)の複数箇所設けられている。これらの孔部13の位置は、第1外壁パネルP1の縦枠材11に設けられた孔部13の位置と、上下方向及び壁厚さ方向(y軸方向及びz軸方向)の双方で一致している。これにより、第1外壁パネルP1の孔部13と、第2外壁パネルP2の孔部13とを連通させて、これらの孔部13、13に、後述の固定部23(ボルト24)が挿入されうる。
【0042】
図3に示されるように、本実施形態のフレーム枠7には、水平方向(x軸方向)に延びる横枠材14がさらに含まれる。本実施形態の横枠材14は、第1外壁パネルP1の横枠材14と同様に、一対のフランジ14a、14aとウエブ14bとを含み、凹部14rを有する断面コ字状に形成されている。
【0043】
本実施形態の横枠材14は、開口部9を有する第1外壁パネルP1とは異なり、外の横枠材14A、14Aのみで構成されている。
【0044】
本実施形態の外の横枠材14A、14Aは、フレーム枠7の上下方向(y軸方向)の両側にそれぞれ配されている。これらの外の横枠材14A、14Aが、縦枠材11、11の上端側又は下端側にそれぞれ接合されることで、正面視において矩形状のフレーム枠7が形成される。外の横枠材14A、14Aと縦枠材11、11との接合には、例えば、溶接等が用いられる。本実施形態の外の横枠材14A、14Aは、それぞれの凹部14rが、パネル内側(フレーム枠7の上下方向の内側)に向くように配されているが、特に限定されない。
【0045】
本実施形態のフレーム枠7には、上下方向(y軸方向)に延びる補強枠材16がさらに含まれる。このような補強枠材16により、フレーム枠7の剛性が確保されうる。
【0046】
本実施形態の補強枠材16は、第1外壁パネルP1の補強枠材16と同様に、一対のフランジ16a、16aとウエブ16bとを含み、凹部16rを有する断面コ字状に形成されている。凹部16rは、フレーム枠7の水平方向(x軸方向)において、一対の縦枠材11、11のうち、一方の縦枠材11(図3において、右側の縦枠材11)側に向くように配されているが、特に限定されるわけではない。
【0047】
本実施形態の補強枠材16は、外の横枠材14A、14A間を、上下方向(y軸方向)に延びており、外の横枠材14A、14Aと、例えば、溶接等で接合されている。本実施形態では、1つの補強枠材16が設けられているが、フレーム枠7に求められる剛性等に応じて、複数の補強枠材16が設けられてもよい。
【0048】
[壁下地材]
図1及び図2に示されるように、壁下地材8は、第1外壁パネルP1と同様に、フレーム枠7の外壁面2o側に固定されている。本実施形態の壁下地材8は、正面視矩形の板状に形成されており、胴縁17を介して、フレーム枠7に固着されている。これにより、壁下地材8とフレーム枠7(第1断熱材10)との間には、空気層18(図1に示す)が形成されうる。本実施形態の壁下地材8は、例えば、ビス等の固着具により、フレーム枠7(縦枠材11及び横枠材14)に強固に固定される。
【0049】
図2に示されるように、第1外壁パネルP1の壁下地材8と、第2外壁パネルP2の壁下地材8とが、例えば、水平方向(x軸方向)に並べて固定されることで、連続した一つの外壁面2oが構成されている。これらの第1外壁パネルP1の壁下地材8と、第2外壁パネルP2の壁下地材8との間には、目地(隙間)19が設けられている。この目地19には、例えば、シーリング材20が充填されている。シーリング材20には、例えば、シリコーン系、変性シリコーン系、ウレタン系、アクリル系、ポリサルファイド系、又は、アクリルウレタン系のもの等が適宜採用されうる。
【0050】
図1に示されるように、壁下地材8には、接着剤21を介して外装材22が固着されている。本実施形態の接着剤21には、第1外壁パネルP1の接着剤21と同様のものが採用されうる。
【0051】
本実施形態の外装材22は、第1外壁パネルP1と同様に、複数のタイル22Aである。このような複数のタイル22Aが外装材22として用いられることで、外壁構造1の耐久性及び外壁面2oの美観性が向上する。なお、外装材22は、例えば、石材や、陶板等であってもよい。
【0052】
本実施形態の複数のタイル22Aは、第1外壁パネルP1と同様に、馬目地状に配置されているが、芋目地状等に配置されていてもよい。これらのタイル22Aの目地底は、接着剤21の硬化物で構成されている。
【0053】
図2に示されるように、本実施形態では、複数のタイル22Aのうち、一部のタイル22Aが、第1外壁パネルP1の壁下地材8と、第2外壁パネルP2の壁下地材8との間に形成された目地19(シーリング材20)を跨って配置されている。これにより、外壁構造1は、第1外壁パネルP1と第2外壁パネルP2との間で、外装材22が途切れることなく配置されるため、外壁面2oの美観性がさらに向上する。
【0054】
[固定部]
図3に示されるように、本実施形態の外壁構造1では、互いに隣接する第1外壁パネルP1の縦枠材11と、第2外壁パネルP2の縦枠材11とが、固定部23によって固定されている。図4及び図5に示されるように、固定部23には、ボルト24が用いられている。本実施形態のボルト24(の軸心24c)は、水平方向(x軸方向)に延びている。さらに、ボルト24のネジ軸25は、ナット26に嵌め合わされている(螺合されている)。
【0055】
図3に示されるように、本実施形態の固定部23は、上下方向(y軸方向)の複数箇所において、第1外壁パネルP1の縦枠材11と、第2外壁パネルP2の縦枠材11とを固定している。このような固定部23により、縦枠材11、11の長手方向(上下方向)の広範囲に亘って、第1外壁パネルP1及び第2外壁パネルP2を一体に固定することができる。
【0056】
図4及び図5に示されるように、第1外壁パネルP1側の縦枠材11のウエブ11bと、第2外壁パネルP2側の縦枠材11のウエブ11bとが向き合わされている。さらに、第1外壁パネルP1の孔部13の位置と、第2外壁パネルP2の孔部13の位置とが、上下方向及び壁厚さ方向(y軸方向及びz軸方向)の双方で一致している。これらの孔部13、13に、水平方向(x軸方向)の一方側から、ボルト24のネジ軸25が挿入され、かつ、水平方向の他方側に突出したネジ軸25が、ナット26に嵌め合わされる(螺合される)。これにより、固定部23は、ウエブ11b、11bを向き合わせて(面接触させて)、第1外壁パネルP1の縦枠材11と第2外壁パネルP2の縦枠材11とを、強固かつ安定して固定することが可能となる。
【0057】
図3に示されるように、固定部23は、第1固定部23Aと、第2固定部23Bとを含んで構成されている。
【0058】
[第1固定部]
図4に示されるように、第1固定部23Aは、ボルト24(ネジ軸25)の軸心24cが、縦枠材11の壁厚さ方向(z軸方向)の中央位置28に配されている。ここで、「中央位置28」とは、壁厚さ方向(z軸方向)において、縦枠材11(ウエブ11b)の中心27から両外側に、縦枠材11(ウエブ11b)の幅W1の10%の距離をそれぞれ隔てた領域として特定される。
【0059】
一般に、地震などの揺れが生じると、第1外壁パネルP1及び第2外壁パネルP2(図2及び図3に示す)の層間変形角が大きくなる。この場合、第1外壁パネルP1の縦枠材11と第2外壁パネルP2の縦枠材11との間(連結部29)において、せん断方向(図3に示した縦枠材11の長手方向と平行)の位置ずれが生じやすい。本実施形態では、上記の第1固定部23Aにより、壁厚さ方向(z軸方向)の中央位置で、縦枠材11、11が強固かつバランスよく固定されるため、縦枠材11、11間のせん断方向の位置ずれが効果的に抑制される。これにより、第1外壁パネルP1のフレーム枠7及び第2外壁パネルP2のフレーム枠7の変形が大きくなるのが抑制され、フレーム枠7の外壁面2o側に固定された壁下地材8(図2に示す)のひび割れ等が防がれる。その結果、壁下地材8に固定された外装材22の割れや剥落等が、長期に亘って抑制される。
【0060】
図6は、図3の第1外壁パネルP1の縦枠材11と第2外壁パネルP2の縦枠材11との連結部29を示す正面図である。第1固定部23Aは、縦枠材11の上端11u側及び下端11d側の少なくとも一方に設けられるのが好ましい。これにより、上記のせん断方向の位置ずれが大きくなりやすい縦枠材11の上端11u側及び下端11d側において、第1外壁パネルP1の縦枠材11と第2外壁パネルP2の縦枠材11とが強固に固定される。これにより、第1外壁パネルP1のフレーム枠7及び第2外壁パネルP2のフレーム枠7の変形が大きくなるのが抑制され、図1及び図2に示した外装材22の割れや剥落等が、長期に亘って抑制される。このような作用を効果的に発揮させるために、図6に示されるように、第1固定部23Aは、縦枠材11の上端11u側及び下端11d側の双方に設けられるのが好ましい。
【0061】
第1固定部23Aは、上下方向(y軸方向)において、上の横枠材14Bと下の横枠材14Cとの間に設けられるのが好ましい。これにより、上の横枠材14Bと下の横枠材14Cとの間において、第1外壁パネルP1のフレーム枠7及び第2外壁パネルP2のフレーム枠7の変形が大きくなるのが抑制されるため、図1及び図2に示した外装材22の割れや、窓ガラス等の損傷が防がれうる。本実施形態では、上の横枠材14Bと下の横枠材14Cとの間に、一つの第1固定部23Aが設けられているが、複数の第1固定部23Aが設けられていてもよい。
【0062】
ところで、固定部23が、例えば、第1固定部23Aのみで構成された場合、地震などの揺れによって第1外壁パネルP1及び第2外壁パネルP2の層間変形角が大きくなると、縦枠材11、11の連結部29が、外装材22側で開くように変形することがある。これは、縦枠材11と壁下地材8とが強固にビス固定されているのに対して、縦枠材11と内装材3とが縦枠材11の剛性に寄与できるほどの強度で連結されていないため、縦枠材11が内装材3側で座屈変形し、結果として、縦枠材11の外装材22側が開くように変形したことが原因と考えられる。このような外装材22側の開きは、図2に示した壁下地材8、8の目地19の幅を大きくし、ひいては、目地19を跨って配された外装材22の割れや剥落を生じさせる場合がある。このような外装材22側の開きを抑制するために、本実施形態の固定部23には、図5に示した第2固定部23Bが含まれている。
【0063】
[第2固定部]
本実施形態の第2固定部23Bは、ボルト24の軸心24cが、縦枠材11の壁厚さ方向(z軸方向)の中央位置28よりも外装材22側(外壁面2o側)に配されている。このような第2固定部23Bにより、第1外壁パネルP1の縦枠材11及び第2外壁パネルP2の縦枠材11が、外装材22側で強固に固定されるため、上記の層間変形角が大きくなっても、外装材22側の開きが大きくなるのが抑制されうる。これにより、図2に示した壁下地材8、8の目地19の幅が大きくなるのが抑制され、外装材22の割れや剥落等長期に亘って防ぐことが可能となる。
【0064】
このように、本実施形態の外壁構造1では、図4に示した第1固定部23Aと、図5に示した第2固定部23Bとによって、第1外壁パネルP1の縦枠材11と、第2外壁パネルP2の縦枠材11とが固定される。これにより、本実施形態の外壁構造1では、外装材22の割れや剥落等が、長期に亘って抑制されうる。
【0065】
本実施形態の第2固定部23Bのボルト24の軸心24cと、縦枠材11(ウエブ11b)の中心27との最短距離L1は、10mm以上に設定されるのが好ましい。これにより、外装材22側での固定が強固となり、外装材22側の開きが大きくなるのが抑制されうる。このような作用をより効果的に発揮させるために、最短距離L1は、15mm以上に設定されるのが好ましい。
【0066】
図6に示されるように、第1外壁パネルP1のフレーム枠7に、上の横枠材14Bが含まれる場合、縦枠材11と上の横枠材14Bとの交差位置30での剛性が相対的に大きくなる。これにより、第2外壁パネルP2の縦枠材11のうち、第1外壁パネルP1の交差位置30と水平方向で隣接する部分31が、第1外壁パネルP1の交差位置30に比べて剛性が小さいことから、その部分31での変形が大きくなりやすい。このため、縦枠材11、11の連結部29の外装材22側(図5に示す)が開きやすい傾向がある。
【0067】
第2固定部23B(図5に示した軸心24c)は、縦枠材11と上の横枠材14Bとの交差位置30から、上下方向に150mm以内の領域32に設けられるのが好ましい。本実施形態において、交差位置30は、縦枠材11のフランジ11aの水平方向の中心線33と、上の横枠材14Bのフランジ14aの上下方向の中心線34との交点として特定されるものとする。
【0068】
上記の領域32に第2固定部23Bが設けられることで、第2外壁パネルP2の縦枠材11のうち、第1外壁パネルP1の交差位置30と隣接する部分31での変形が大きくなるのが抑制される。これにより、縦枠材11、11の連結部29の外装材22側(図5に示す)の開きが大きくなるのが防がれうる。したがって、図2に示した外装材22の割れや剥落等長期に亘って抑制されうる。このような作用を効果的に発揮させるために、第2固定部23Bは、交差位置30から上下方向に100mm以内の領域32に設けられるのがより好ましく、交差位置30から上下方向に50mm以内の領域32に設けられるのがさらに好ましい。
【0069】
また、第1外壁パネルP1のフレーム枠7に、下の横枠材14Cが含まれる場合、縦枠材11と下の横枠材14Cとの交差位置36での剛性が相対的に大きくなる。これにより、第2外壁パネルP2の縦枠材11のうち、第2外壁パネルP2の交差位置36と水平方向(x軸方向)で隣接する部分37での変形が大きくなり、縦枠材11、11の連結部29の外装材22側(図5に示す)が開きやすい傾向がある。
【0070】
第2固定部23B(図5に示した軸心24c)は、縦枠材11と下の横枠材14Cとの交差位置36から、上下方向に150mm以内の領域38に設けられるのが好ましい。本実施形態において、交差位置36は、縦枠材11のフランジ11aの水平方向の中心線39と、下の横枠材14Cのフランジ14aの上下方向の中心線40との交点として特定されるものとする。
【0071】
上記の領域38に第2固定部23Bが設けられることで、第2外壁パネルP2の縦枠材11のうち、第1外壁パネルP1の交差位置36と隣接する部分37での変形が大きくなるのが抑制される。これにより、縦枠材11、11の連結部29の外装材22側(図5に示す)の開きが大きくなるのが防がれうる。したがって、図2に示した外装材22の割れや剥落等長期に亘って抑制されうる。このような作用を効果的に発揮させるために、第2固定部23Bは、交差位置36から上下方向に100mm以内の領域38に設けられるのがより好ましく、交差位置36から上下方向に50mm以内の領域38に設けられるのがさらに好ましい。
【0072】
第2固定部23Bは、上下方向において、上の横枠材14Bと下の横枠材14Cとの間に設けられてもよい(図示省略)。これにより、上の横枠材14Bと下の横枠材14Cとの間において、縦枠材11、11の連結部29のうち、外装材22側(図5に示す)の開きが大きくなるのが抑制される。このため、図2に示した外装材22の割れや剥落等を長期に亘って抑制しつつ、開口部9に取り付けられる窓ガラス等の損傷が、より確実に防がれうる。
【0073】
[内装材]
図1に示されるように、本実施形態の内装材3は、フレーム枠7の内壁面2i側に固定されている。本実施形態の内装材3には、第2断熱材42と、内装下地材43とが含まれているが、外壁構造1の仕様等に応じて、これらの一部が省略されてもよいし、他の部材が含まれてもよい。このような内装材3は、例えば、工場等において、第1外壁パネルP1及び第2外壁パネルP2と一体に固着されていてもよいし、施工現場で一体に固着されてもよい。
【0074】
第2断熱材42は、第1外壁パネルP1及び第2外壁パネルP2の内壁面2i側に配置されており、パネル状に形成されている。この第2断熱材42は、例えば、ポリスチレンフォーム、ウレタンフォーム、又は、フェノールフォームを含む断熱材料で構成されうる。内装下地材43は、例えば、石膏ボードで構成されている。この内装下地材43は、第2断熱材42の内壁面2i側に配置されている。
【0075】
[建物の外壁構造(第2実施形態)]
これまでの実施形態では、開口部9が腰窓(腰高窓)である場合が例示されたが、このような態様に限定されない。例えば、開口部9は、出入り窓(掃出し窓)であってもよい。
【0076】
図7は、本発明の他の実施形態の第1外壁パネルP1の縦枠材11と、第2外壁パネルP2の縦枠材11との連結部29を示す正面図である。この実施形態では、開口部9が出入り窓として構成されることで、開口部9の下縁9dを画定する下の横枠材14Cが、縦枠材11の下端11d側に配されている。
【0077】
[第2固定部]
この実施形態の第2固定部23Bは、これまでの実施形態と同様に、縦枠材11と上の横枠材14Bとの交差位置30から、上下方向に150mm以内の領域32に設けられるのが好ましい。さらに、第2固定部23Bは、縦枠材11と下の横枠材14Cとの交差位置36から、上下方向に150mm以内の領域38に設けられるのが好ましい。これらの第2固定部23B、23Bにより、第2外壁パネルP2の縦枠材11のうち、第1外壁パネルP1の交差位置30、36で隣接する部分31、37での変形が大きくなるのが抑制される。これにより、縦枠材11、11の連結部29の外装材22側(図5に示す)の開きが大きくなるのが抑制され、図2に示した外装材22の割れや剥落等長期に亘って抑制されうる。
【0078】
この実施形態では、下の横枠材14Cが縦枠材11の下端11d側に設けられているため、上記の第2固定部23B、23Bのうち、下側の第2固定部23Bが、縦枠材11の下端11d側に設けられている。これにより、せん断方向の位置ずれが大きくなりやすい縦枠材11の下端11d側において、第1外壁パネルP1の縦枠材11と第2外壁パネルP2の縦枠材11とを強固に固定しつつ、外装材22側の開きが抑制されうる。
【0079】
[第1固定部]
この実施形態の第1固定部23Aは、これまでの実施形態と同様に、縦枠材11の上端11u側に設けられるのが好ましい。これにより、上記のせん断方向の位置ずれが大きくなりやすい縦枠材11の上端11u側において、第1外壁パネルP1の縦枠材11と第2外壁パネルP2の縦枠材11とが強固に固定される。したがって、第1外壁パネルP1のフレーム枠7及び第2外壁パネルP2のフレーム枠7の変形が大きくなるのが抑制され、外装材22の割れや剥落等が、長期に亘って防がれうる。
【0080】
この実施形態の第1固定部23Aは、上下方向において、上の横枠材14Bと下の横枠材14Cとの間に設けられるのが好ましい。これにより、上の横枠材14Bと下の横枠材14Cとの間において、第1外壁パネルP1のフレーム枠7及び第2外壁パネルP2のフレーム枠7の変形が大きくなるのが抑制され、外装材22の割れや、開口部9に取り付けられる窓ガラス等の損傷が抑制されうる。
【0081】
この実施形態では、下の横枠材14C側に、第1固定部23Aが設けられるのが好ましい。これにより、縦枠材11の下端11d側に第1固定部23Aが設けられていなくても、第1外壁パネルP1のフレーム枠7及び第2外壁パネルP2のフレーム枠7の変形が大きくなるのが抑制される。したがって、外装材22の割れや剥落等が、長期に亘って抑制される。
【0082】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【0083】
[付記]
本発明は以下の態様を含む。
【0084】
[本発明1]
建物の外壁構造であって、
第1外壁パネルと、前記第1外壁パネルに隣接して配された第2外壁パネルとを含み、
前記第1外壁パネル及び前記第2外壁パネルは、それぞれ、金属製かつ矩形状のフレーム枠と、前記フレーム枠の外壁面側に固定された壁下地材とを含み、
前記壁下地材には、接着剤を介して外装材が固着されており、
前記フレーム枠は、上下方向に延び、かつ、前記フレーム枠の外側部に配された縦枠材を含み、
互いに隣接する前記第1外壁パネルの前記縦枠材と、前記第2外壁パネルの前記縦枠材とは、上下方向の複数箇所において、水平方向に延びるボルトを用いた固定部により固定されており、
前記固定部は、
前記ボルトの軸心が、前記縦枠材の壁厚さ方向の中央位置に配された第1固定部と、
前記ボルトの軸心が、前記縦枠材の壁厚さ方向の前記中央位置よりも前記外装材側に配された第2固定部とを含む、
建物の外壁構造。
[本発明2]
前記縦枠材は、一対のフランジと、前記一対のフランジを継ぐウエブとを含み、
前記固定部は、前記第1外壁パネル側の前記縦枠材の前記ウエブと、前記第2外壁パネル側の前記縦枠材の前記ウエブとを向き合わせて固定する、本発明1に記載の建物の外壁構造。
[本発明3]
前記第1固定部は、前記縦枠材の上端側及び下端側の少なくとも一方に設けられる、本発明1又は2に記載の建物の外壁構造。
[本発明4]
前記第1外壁パネルは、開口部を有し、
前記第1外壁パネルの前記フレーム枠は、前記縦枠材から前記開口部の上縁を画定するように水平方向に延びる上の横枠材を含み、
前記第2固定部は、前記縦枠材と前記上の横枠材との交差位置から、上下方向に150mm以内の領域に設けられる、本発明1ないし3のいずれかに記載の建物の外壁構造。
[本発明5]
前記第1外壁パネルは、開口部を有し、
前記第1外壁パネルの前記フレーム枠は、前記縦枠材から前記開口部の下縁を画定するように水平方向に延びる下の横枠材を含み、
前記第2固定部は、前記縦枠材と前記下の横枠材との交差位置から、上下方向に150mm以内の領域に設けられる、本発明1ないし4のいずれかに記載の建物の外壁構造。
[本発明6]
前記第1外壁パネルの前記フレーム枠は、前記縦枠材から前記開口部の下縁を画定するように水平方向に延びる下の横枠材を含み、
前記第2固定部は、上下方向において、前記上の横枠材と前記下の横枠材との間に設けられる、本発明4に記載の建物の外壁構造。
[本発明7]
前記外装材は、複数のタイルである、本発明1ないし6のいずれかに記載の建物の外壁構造。
【符号の説明】
【0085】
7 フレーム枠
11 縦枠材
23 固定部
23A 第1固定部
23B 第2固定部
P1 第1外壁パネル
P2 第2外壁パネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7