(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168426
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】ハンドルスイッチ装置
(51)【国際特許分類】
B62K 23/02 20060101AFI20241128BHJP
B60Q 1/34 20060101ALI20241128BHJP
B62J 6/05 20200101ALI20241128BHJP
【FI】
B62K23/02
B60Q1/34 C
B62J6/05
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085113
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000222934
【氏名又は名称】東洋電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【弁理士】
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】池谷 亮介
(72)【発明者】
【氏名】内田 真一
(72)【発明者】
【氏名】堀内 智貴
(72)【発明者】
【氏名】永田 一希
(72)【発明者】
【氏名】田中 夕美子
(72)【発明者】
【氏名】山本 一嘉
(72)【発明者】
【氏名】神保 光司
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA25
3K339CA12
3K339KA11
3K339KA33
(57)【要約】
【課題】操作者の意思により装置の作動の自動停止操作を行うことができないこと。
【解決手段】本発明のハンドルスイッチ装置は、操作部20が第一方向に操作されることにより第一通電状態となる第一の通電手段31と、第一通電状態であるときに操作部20が第一方向にさらに操作されることにより第二通電状態となる第二の通電手段32と、検出した第一通電状態又は第二通電状態に応じて操作部20に対応する装置60を作動させる制御手段50と、を備え、制御手段50は、第一通電状態が検出されると装置60を作動させ、第一通電状態を検出してから所定の時間が経過すると装置60の作動を停止する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部が第一方向に操作されることにより第一通電状態となる第一の通電手段と、
前記第一通電状態であるときに前記操作部が前記第一方向にさらに操作されることにより第二通電状態となる第二の通電手段と、
検出した前記第一通電状態又は前記第二通電状態に応じて、前記操作部に対応する装置を作動させる制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記第一通電状態が検出されると前記装置を作動させ、当該第一通電状態を検出してから所定の時間が経過すると前記装置の作動を停止する、
ハンドルスイッチ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のハンドルスイッチ装置であって、
前記制御手段は、前記第一通電状態を検出してから前記所定の時間が経過するまで前記装置の作動を継続して当該所定の時間が経過すると前記装置の作動を停止し、前記第二通電状態を検出すると予め設定された停止信号を検出するまで前記装置の作動を継続して当該停止信号を検出すると前記装置の作動を停止する、
ハンドルスイッチ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のハンドルスイッチ装置であって、
前記第一の通電手段は、前記操作部に対する前記第一方向への操作が解除されたときに前記第一通電状態を解除し、
前記第二の通電手段は、前記操作部に対する前記第一方向への操作が解除されたときに前記第二通電状態を解除し、
前記制御手段は、前記第一通電状態を検出してから前記所定の時間が経過するまで、前記第一通電状態が解除された場合であっても前記装置の作動を継続し、前記第二通電状態を検出してから前記停止信号を検出するまで、前記第二通電状態が解除された場合であっても前記装置の作動を継続する、
ハンドルスイッチ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のハンドルスイッチ装置であって、
前記第一の通電手段は、前記操作部が前記第一方向に第一距離だけ押圧操作されることにより前記第一通電状態となり、当該押圧操作が解除されることにより前記第一通電状態が解除されるよう構成されており、
前記第二の通電手段は、前記操作部が前記第一方向に前記第一距離よりも長い第二距離だけ押圧操作されることにより前記第二通電状態となり、当該押圧操作が解除されることにより前記第二通電状態が解除されるよう構成されている、
ハンドルスイッチ装置。
【請求項5】
請求項2に記載のハンドルスイッチ装置であって、
前記装置は、前記制御手段により点灯作動するよう制御され、
前記制御手段は、前記第一通電状態を検出してから前記所定の時間が経過するまで前記装置の点灯作動を継続し、前記第二通電状態を検出してから前記停止信号を検出するまで前記装置の点灯作動を継続する、
ハンドルスイッチ装置。
【請求項6】
請求項5に記載のハンドルスイッチ装置であって、
前記装置はウインカであり、
前記制御手段は、前記第一通電状態を検出してから前記所定の時間が経過するまでウインカの作動を継続し、前記第二通電状態を検出してから前記停止信号を検出するまで前記ウインカの作動を継続する、
ハンドルスイッチ装置。
【請求項7】
請求項2に記載のハンドルスイッチ装置であって、
前記制御手段は、前記第二通電状態を検出して前記装置の作動を継続し、前記装置が装備された車両に搭載された制御装置から出力された前記停止信号を検出すると前記装置の作動を停止する、
ハンドルスイッチ装置。
【請求項8】
操作部が第一方向に操作されることにより第一通電状態となる第一の通電手段と、
前記第一通電状態であるときに前記操作部が前記第一方向にさらに操作されることにより第二通電状態となる第二の通電手段と、
検出した前記第一通電状態又は前記第二通電状態に応じて、前記操作部に対応する装置を作動させる制御手段と、
を備えたハンドルスイッチ装置による制御方法であって、
前記第一通電状態が検出されると前記装置を作動させ、当該第一通電状態を検出してから所定の時間が経過すると前記装置の作動を停止する、
制御方法。
【請求項9】
請求項8に記載の制御方法であって、
前記第一通電状態を検出してから前記所定の時間が経過するまで前記装置の作動を継続して当該所定の時間が経過すると前記装置の作動を停止し、前記第二通電状態を検出すると予め設定された停止信号を検出するまで前記装置の作動を継続して当該停止信号を検出すると前記装置の作動を停止する、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドルスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪などの車両に装備されるハンドルスイッチ装置には、種々の操作スイッチが搭載されている。例えば、ハンドルスイッチ装置には、左右のウインカの作動を操作するウインカスイッチが搭載されており、特許文献1には、ウインカの作動を制御することが記載されている。具体的に、特許文献1では、ウインカの作動後の車両の走行状態に応じて自動的にウインカが停止されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の技術では、車両の走行状態に応じて操作者の意図しないタイミングでウインカが自動的に停止されてしまうおそれがある。このため、操作者の意思に応じた自動停止操作を行うことができない、という問題が生じる。また、かかる問題は、ウインカスイッチに限らず、他の装置の作動を操作する他のスイッチにも生じうる。
【0005】
本発明の目的は、上述した課題である、操作者の意思により装置の作動の自動停止操作を行うことができない、という問題を解決することができるハンドルスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態であるハンドルスイッチ装置は、
操作部が第一方向に操作されることにより第一通電状態となる第一の通電手段と、
前記第一通電状態であるときに前記操作部が前記第一方向にさらに操作されることにより第二通電状態となる第二の通電手段と、
検出した前記第一通電状態又は前記第二通電状態に応じて、前記操作部に対応する装置を作動させる制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記第一通電状態が検出されると前記装置を作動させ、当該第一通電状態を検出してから所定の時間が経過すると前記装置の作動を停止する、
という構成をとる。
【0007】
また、本発明の一形態である制御方法は、
操作部が第一方向に操作されることにより第一通電状態となる第一の通電手段と、
前記第一通電状態であるときに前記操作部が前記第一方向にさらに操作されることにより第二通電状態となる第二の通電手段と、
検出した前記第一通電状態又は前記第二通電状態に応じて、前記操作部に対応する装置を作動させる制御手段と、
を備えたハンドルスイッチ装置による制御方法であって、
前記第一通電状態が検出されると前記装置を作動させ、当該第一通電状態を検出してから所定の時間が経過すると前記装置の作動を停止する、
という構成をとる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、以上のように構成されることにより、ハンドルスイッチ装置において操作者の意思により装置の作動の自動停止操作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1の実施形態におけるハンドルスイッチ装置の構成を示す図である。
【
図2A】
図1に開示したウインカスイッチの接点装置の構成を示す図である。
【
図2B】
図1に開示したウインカスイッチの接点装置の構成を示す図である。
【
図3】
図1に開示したウインカスイッチの接点装置の構成を示す図である。
【
図4】
図1に開示したウインカスイッチを含む操作システムの構成を示す図である。
【
図5】
図1に開示したウインカスイッチの操作によるウインカの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施形態1>
本発明の第1の実施形態を、
図1乃至
図5を参照して説明する。
図1乃至
図4は、ハンドルスイッチ装置の構成を説明するための図であり、
図5は、ハンドルスイッチ装置の操作によるウインカの動作を説明するための図である。
【0011】
本発明におけるハンドルスイッチ装置は、例えば自動二輪車のような鞍乗型車両のハンドルバーに装備され、種々の操作スイッチが搭載されるものである。本実施形態では、ハンドルスイッチ装置に搭載される操作スイッチとして、左右のウインカの点灯を操作するウインカスイッチが搭載されている場合を例示する。但し、ハンドルスイッチ装置に搭載される操作スイッチは、ウインカスイッチであることに限定されず、他の装置を操作するいかなる操作スイッチであってもよい。なお、ハンドルスイッチ装置が搭載される鞍乗型車両は、自動二輪車に限定されず、いかなる車両であってもよい。
【0012】
図1に示すように、本実施形態におけるハンドルスイッチ装置は、ハンドルスイッチ装置自体の外形を形成するケース10と、ケース10の所定の面に設けられたウインカスイッチ20と、ウインカスイッチ20の内面側に位置しケース10の内部に搭載された接点装置30と、を備えている。そして、本実施形態では、ハンドルスイッチ装置による操作システムとして、
図4に示すように、ケース10の所定箇所に設置される停止スイッチ40と、ウインカスイッチ20の接点装置30及び停止スイッチ40の操作状況を検出してウインカ60の作動を制御する制御装置50と、ウインカスイッチ20及び停止スイッチ40による操作対象となるウインカ60と、を備えている。以下、各構成について詳述する。
【0013】
ケース10は、ハンドルスイッチ装置の構成部品を収容する筐体であり、
図1に示すように、円筒状の取付穴10Aが形成されている。かかる取付穴10Aに、自動二輪車である車両の操舵を行うハンドルバーを挿通させることで、ケース10自体をハンドルバーに装着させることができる。なお、本実施形態では、取付穴10Aの穴方向つまり挿通されるハンドルバーが延びる方向が車両の幅方向であることとする。このため、
図1においては、略横方向がハンドルバーが延びる方向である車両の幅方向であることとし、ハンドルバーに略直交する方向が車両の前後方向であることとする。
図1においては、手前側が運転者側つまり車両の後方側であることとする。なお、ハンドルスイッチ装置は必ずしもハンドルバーに装着されることに限定されず、スクーターなどに装備されるメーターパネルに装着されてもよく、運転者が操作可能な車両のいかなる場所に装着されてもよい。
【0014】
本実施形態におけるケース10は、ハンドルバーが延びる方向に対して略平行に位置する面を有しており、例えば、
図1に示すように、運転者と対向する面である配置面11を有している。そして、ケース10の配置面11には、
図1に示すように、運転者がウインカ60を操作するためのウインカスイッチ20(操作部)が設けられている。ウインカスイッチ20の表面には、ケース10の幅方向つまり運転者の左右方向に並んでそれぞれ位置する右側のウインカ操作面20Aと左側のウインカ操作面20Bとが形成されている。運転者は、各ウインカ操作面20A,20Bを当該操作面に対して略垂直方向(第一方向)に押圧することで、以下に説明するように左右の対応するウインカ60をそれぞれ点灯作動させることができる。
【0015】
上述したウインカスイッチ20の内面側には、
図2A(2-1)に示す接点装置30が配置されている。接点装置30は、ウインカスイッチ20の各ウインカ操作面20A,20Bにそれぞれ対応する各接点構造部30A,30Bを有している。ここで、各接点構造部30A,30Bはほぼ同一の構造であるため、右側のウインカ操作面20Aに対応する接点構造部30Aの構成について説明する。また、これに伴い、操作対象となる各ウインカ60のうち、右方向のウインカ60を点灯作動させる場合を説明する。なお、
図2A(2-2)は、接点装置30を裏面から見た図であり、後述する下端面33を省略して図している。
【0016】
図2A(2-1)に示す接点構造部30AのX-X線断面部を
図2Bに示す。
図2A(2-1)に示す接点構造部30Aの表面は、ウインカスイッチ20のウインカ操作面20Aの裏面である内面と対向している。これにより、接点構造部30Aの表面(
図2Bにおける上面)は、ウインカ操作面20Aの押圧操作に伴い、当該ウインカ操作面20Aに対する略垂直方向(第一方向)つまり
図2Bにおける下方に、押圧されて移動することとなる。そして、接点構造部30Aの表面よりもさらに下方の内部には、
図2A(2-2)に示す裏面から見た図や
図2Bの断面図に示すように、ラバーコンタクトにて構成された高さ位置の異なる2種類の接点31,32が設けられている。具体的に、接点構造部30Aは、下端面33に対して高さ位置が異なる2種類の接点31,32が、各接点31,32に対応して下端面33に設けられた固定接点(図示せず)に当接することで通電状態つまりオン状態となるよう構成されている。そして、下端面33に対する第一接点31(第一の通電手段)の接点高さは、第二接点32(第二の通電手段)の接点高さよりも低く設定されている。このため、ウインカ操作面20Aの押圧操作に伴い接点構造部30Aが
図2Bにおける下方に押圧された際には、その押圧力に応じて、第一接点31が通電状態(第一通電状態)となる場合と、第二接点32が通電状態(第二通電状態)となる場合とがある。
【0017】
例えば、
図3(3-1)の矢印Y1に示すように、接点構造部30Aの表面が第一接点31と下端面33との距離である第一距離だけ下方に押圧された際には、第一接点31が通電する第一通電状態となる。また、
図3(3-2)の矢印Y2に示すように、接点構造部30Aの表面が、上述した第一距離よりも長く、第二接点32と下端面33との距離である第二距離だけ下方に押圧された際には、第二接点32が通電する第二通電状態となる。なお、第二接点32が第二通電状態となる場合は、まず第一接点31が第一通電状態となり、かかる状態からさらに接点構造部30Aの表面が下方に押下された場合である。そして、上述した第一接点31及び第二接点32それぞれの通電状態は、制御装置50により検出されることとなる。
【0018】
なお、接点構造部30Aは、全体的に弾性部材にて構成されており、外力により変形した場合に形状が復元されるよう構成されている。このため、接点構造部30Aの第一接点31は、上述した通電状態となった後に接点構造部30Aに対する下方への押圧操作が解除された場合には、下端面33から離間するよう形状が復元され、第一通電状態が解除されることとなる。同様に、接点構造部30Aの第二接点32は、上述した通電状態となった後に接点構造部30Aに対する下方への押圧操作が解除された場合には、下端面33から離間するよう形状が復元され、第二通電状態が解除される。
【0019】
停止スイッチ40は、ケース10の所定箇所に設置される。停止スイッチ40は、例えば押下スイッチにより構成されており、運転者により押下操作されることで通電状態(オン状態)となり、停止信号を制御装置50に出力する。停止スイッチ40が操作されて出力された停止信号は制御装置50により検出される。なお、停止スイッチ40は、運転者がウインカ60の作動を停止操作する際に押下操作されるものである。
【0020】
制御装置50(制御手段)は、演算装置で構成されており、以下に説明する処理を、装備された記憶装置に記憶されたプログラムを実行することによって実現することができる。まず、制御装置50は、上述した接点構造部30Aの第一接点31及び第二接点32が通電状態であるか否かを検出する。そして、制御装置50は、第一接点31及び第二接点32の通電状態の検出結果に応じて、操作対象であるウインカ60の点灯作動を制御する。具体的に、制御装置50は、第一接点31の第一通電状態を検出すると、右方向のウインカ60を一定時間だけ点灯作動させるよう制御する。つまり、制御装置50は、第一通電状態を検出するとウインカ60の点灯を開始して、第一通電状態を検出してから所定の時間が経過するまでウインカの点灯作動を継続し、かかる所定の時間が経過すると自動的にウインカ60の点灯を停止するよう制御する。このとき、制御装置50は、第一通電状態を検出してから所定の時間が経過するまでの間に第一通電状態が解除された場合であっても、ウインカ60の点灯は継続する。なお、ウインカ60の点灯を継続させる所定の時間は、例えば、3秒間であったり、ウインカ60を3回点灯させるための時間であるなど、予め設定されているいかなる長さの時間であってもよい。
【0021】
また、制御装置50は、第二接点32の第二通電状態を検出すると、停止スイッチ40が押下操作されることにより出力される停止信号を検出するまで、ウインカ60の点灯を継続する。そして、制御装置50は、停止スイッチ40が操作され停止信号を検出すると、ウインカ60の点灯を停止するよう制御する。なお、制御装置50は、上述したように第二接点32の第二通電状態を検出する際には、その前に第一接点31の第一通電状態を検出しており、既にウインカ60の点灯作動を開始している。このため、制御装置50は、第二通電状態を検出すると、既に点灯させているウインカ60の点灯を、停止スイッチ40が操作されて停止信号を検出するまで継続する。このとき、制御装置50は、第二通電状態を検出してからウインカ60の点灯を継続中に第二通電状態が解除された場合であっても、ウインカ60の点灯は継続する。
【0022】
[動作]
次に、上述したウインカスイッチ20が操作された時の動作を、主に
図5のフローチャートを参照して説明する。なお、ここでは、ウインカスイッチ20のうち、
図1に示す右側のウインカ操作面20Aが操作された場合、つまり、運転者により右方向のウインカ60が操作された場合を説明する。
【0023】
まずはじめに、例えば車両のレーンチェンジを行う際に、運転者がウインカ60を点灯させて所定時間で自動停止させる自動停止操作を行う場合を説明する。この場合、運転者は、接点構造部30Aの第一接点31のみが通電するよう、
図3(3-1)の矢印Y1に示す短い距離の第一距離だけウインカ操作面20Aを押し込むよう押下操作する。これにより、第一接点31が第一通電状態となり、かかる通電状態を制御装置50が検出すると(ステップS1でYes)、制御装置50はウインカ60の点灯を開始するよう制御する(ステップS2)。なお、ウインカ60の操作は、上述したように押し込み動作により行われることことに限定されず、揺動動作やスライド動作により行われてもよい。これに伴い、接点装置30は、ウインカ操作面20Aが揺動あるいはスライドされることで第一接点31や第二接点32が
図3の矢印に示すように移動するよう構成されていてもよい。
【0024】
制御装置50は、ウインカ60の点灯を開始した後に、設定された所定時間が経過するまでウインカ60の点灯を継続する。このとき、制御装置50は、第一通電状態が解除された場合であってもウインカ60の点灯を継続する。そして、制御装置50は、運転者によるウインカスイッチ20に対するさらなる押圧操作がされずに第二接点32の第二通電状態を検出せず(ステップS3でNo)、所定の時間が経過した場合には(ステップS4でYes)、ウインカ60の点灯を停止するよう制御する(ステップS6)。このように、運転者が第一接点31のみが通電状態となるようウインカスイッチ20を操作することで、運転者の意思でウインカ60を所定時間だけ点灯させて自動停止させることができる。
【0025】
次に、運転者が通常のウインカ操作、つまりウインカ60を点灯させてから停止スイッチ40を操作することでかかる点灯を停止させる操作を行う場合を説明する。この場合、運転者は、
図3(3-2)の矢印Y2に示す長い距離の第二距離だけウインカ操作面20Aを押し込むよう押下操作する。これにより、まず第一接点31が第一通電状態となり、かかる通電状態を制御装置50が検出すると(ステップS1でYes)、制御装置50はウインカ60の点灯を開始する(ステップS2)。そしてさらにウインカ操作面20Aが押下操作されているため、第二接点32が第二通電状態となり、かかる通電状態を制御装置50が検出すると(ステップS3でYes)、制御装置50はウインカ60の停止操作があるまでウインカ60の点灯を継続する(ステップS5でNo)。このとき、制御装置50は、第二通電状態及び第一通電状態が解除された場合であってもウインカ60の点灯を継続する。なお、この場合には、ウインカ60の点灯は所定時間が経過しても停止されない。
【0026】
その後、運転者により停止スイッチ40が押下操作されて、停止スイッチ40が通電状態となり、これにより出力された停止信号を制御装置50が検出すると(ステップS5でYes)、制御装置50はウインカ60の点灯を停止する(ステップS6)。このように、運転者は、上述したようにウインカ60の点灯を自動停止させる必要のない場合には、上述したように第二接点32が通電状態となるまでウインカスイッチ20を操作することで、停止スイッチ40を操作するまでウインカ60の点灯を継続させることができる。なお、停止信号は、上述したように停止スイッチ40が操作されることで出力されることに限定されない。例えば、停止信号は、車両の車速、走行距離などの車両の状態に応じて、車両に搭載された別の制御装置から上述した制御装置50に出力されてもよい。
【0027】
なお、上記では、ハンドルスイッチ装置にウインカスイッチ20を搭載し、ウインカ60を点灯作動させる場合を例示したが、ウインカスイッチ20に替えて他の装置を操作するスイッチを設けてもよく、これに応じて制御装置50は他の装置の作動を制御してもよい。例えば、作動を制御する対象となる装置をヘッドライトとし、上述した第一通電状態でヘッドライトが所定時間だけ点灯するよう制御し、第二通電状態でヘッドライトが継続して点灯するよう制御してもよい。
【0028】
<付記>
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうる。以下、本発明におけるハンドルスイッチ装置の概略を説明する。但し、本発明は、以下の構成に限定されない。
(付記1)
操作部が第一方向に操作されることにより第一通電状態となる第一の通電手段と、
前記第一通電状態であるときに前記操作部が前記第一方向にさらに操作されることにより第二通電状態となる第二の通電手段と、
検出した前記第一通電状態又は前記第二通電状態に応じて、前記操作部に対応する装置を作動させる制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記第一通電状態が検出されると前記装置を作動させ、当該第一通電状態を検出してから所定の時間が経過すると前記装置の作動を停止する、
ハンドルスイッチ装置。
(付記2)
付記1に記載のハンドルスイッチ装置であって、
前記制御手段は、前記第一通電状態を検出してから前記所定の時間が経過するまで前記装置の作動を継続して当該所定の時間が経過すると前記装置の作動を停止し、前記第二通電状態を検出すると予め設定された停止信号を検出するまで前記装置の作動を継続して当該停止信号を検出すると前記装置の作動を停止する、
ハンドルスイッチ装置。
(付記3)
付記2に記載のハンドルスイッチ装置であって、
前記第一の通電手段は、前記操作部に対する前記第一方向への操作が解除されたときに前記第一通電状態を解除し、
前記第二の通電手段は、前記操作部に対する前記第一方向への操作が解除されたときに前記第二通電状態を解除し、
前記制御手段は、前記第一通電状態を検出してから前記所定の時間が経過するまで、前記第一通電状態が解除された場合であっても前記装置の作動を継続し、前記第二通電状態を検出してから前記停止信号を検出するまで、前記第二通電状態が解除された場合であっても前記装置の作動を継続する、
ハンドルスイッチ装置。
(付記4)
付記3に記載のハンドルスイッチ装置であって、
前記第一の通電手段は、前記操作部が前記第一方向に第一距離だけ押圧操作されることにより前記第一通電状態となり、当該押圧操作が解除されることにより前記第一通電状態が解除されるよう構成されており、
前記第二の通電手段は、前記操作部が前記第一方向に前記第一距離よりも長い第二距離だけ押圧操作されることにより前記第二の通電状態となり、当該押圧操作が解除されることにより前記第二通電状態が解除されるよう構成されている、
ハンドルスイッチ装置。
(付記5)
付記2乃至4のいずれかに記載のハンドルスイッチ装置であって、
前記装置は、前記制御手段により点灯作動するよう制御され、
前記制御手段は、前記第一通電状態を検出してから前記所定の時間が経過するまで前記装置の点灯作動を継続し、前記第二通電状態を検出してから前記停止信号を検出するまで前記装置の点灯作動を継続する、
ハンドルスイッチ装置。
(付記6)
付記5に記載のハンドルスイッチ装置であって、
前記装置はウインカであり、
前記制御手段は、前記第一通電状態を検出してから前記所定の時間が経過するまでウインカの作動を継続し、前記第二通電状態を検出してから前記停止信号を検出するまで前記ウインカの作動を継続する、
ハンドルスイッチ装置。
(付記7)
付記2乃至6のいずれかに記載のハンドルスイッチ装置であって、
前記制御手段は、前記第二通電状態を検出して前記装置の作動を継続し、前記装置が装備された車両に搭載された制御装置から出力された前記停止信号を検出すると前記装置の作動を停止する、
ハンドルスイッチ装置。
(付記8)
操作部が第一方向に操作されることにより第一通電状態となる第一の通電手段と、
前記第一通電状態であるときに前記操作部が前記第一方向にさらに操作されることにより第二通電状態となる第二の通電手段と、
検出した前記第一通電状態又は前記第二通電状態に応じて、前記操作部に対応する装置を作動させる制御手段と、
を備えたハンドルスイッチ装置による制御方法であって、
前記第一通電状態が検出されると前記装置を作動させ、当該第一通電状態を検出してから所定の時間が経過すると前記装置の作動を停止する、
制御方法。
(付記9)
付記8に記載の制御方法であって、
前記第一通電状態を検出してから前記所定の時間が経過するまで前記装置の作動を継続して当該所定の時間が経過すると前記装置の作動を停止し、前記第二通電状態を検出すると予め設定された停止信号を検出するまで前記装置の作動を継続して当該停止信号を検出すると前記装置の作動を停止する、
制御方法。
【0029】
以上、上記実施形態等を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0030】
10 ケース
10A 取付穴
11 配置面
20 ウインカスイッチ
20A,20B ウインカ操作面
30 接点装置
30A,30B 接点構造部
31 第一接点
32 第二接点
33 下端面
40 停止スイッチ
50 制御装置
60 ウインカ