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特開2024-168429硬貨処理装置、プログラム、および現金処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168429
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】硬貨処理装置、プログラム、および現金処理装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/18 20190101AFI20241128BHJP
【FI】
G07D11/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085116
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100190942
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 竜司
(72)【発明者】
【氏名】松本 淳
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA08
3E141FG03
3E141FG09
3E141FG12
3E141GA04
3E141GB03
3E141HA10
3E141KB07
3E141LA23
3E141LA45
3E141LA59
(57)【要約】
【課題】硬貨の搬送制御の精度を向上させることを可能とする。
【解決手段】硬貨の搬送路に沿って設けられ、前記硬貨と当接するピンを有し、当該ピンで前記硬貨を押動して搬送する搬送ピンベルトと、前記ピンの通過を監視する監視センサと、前記硬貨を落下させるための開口を開閉可能なブレードを有し、当該ブレードを開閉することにより前記硬貨の搬送先を切り替える切替部と、前記ブレードの開閉を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記監視センサから出力される信号に基づいて前記ピンの通過回数をカウントし、前記ピンの通過回数が所定回数に到達してから更に所定時間経過後に、前記ブレードを開状態に制御して前記開口を開放させる、硬貨処理装置。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨の搬送路に沿って設けられ、前記硬貨と当接するピンを有し、当該ピンで前記硬貨を押動して搬送する搬送ピンベルトと、
前記ピンの通過を監視する監視センサと、
前記硬貨を落下させるための開口を開閉可能なブレードを有し、当該ブレードを開閉することにより前記硬貨の搬送先を切り替える切替部と、
前記ブレードの開閉を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記監視センサから出力される信号に基づいて前記ピンの通過回数をカウントし、前記ピンの通過回数が所定回数に到達してから更に所定時間経過後に、前記ブレードを開状態に制御して前記開口を開放させる、硬貨処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記監視センサから出力される信号に基づいて、前記搬送路上の所定位置における前記ピンの通過を監視する、請求項1に記載の硬貨処理装置。
【請求項3】
前記硬貨処理装置は、前記硬貨が投入される投入口をさらに備え、
前記制御部は、前記投入口から投入された前記硬貨が前記搬送路に送出されたタイミングで、当該搬送路に前記硬貨が送出された位置を前記所定位置として、前記ピンの通過回数のカウントを開始する、請求項2に記載の硬貨処理装置。
【請求項4】
前記硬貨処理装置は、前記硬貨の金種を鑑別する鑑別部をさらに備え、
前記制御部は、前記硬貨が前記搬送路を前記ピンにより搬送され、前記鑑別部を通過するタイミングで、前記硬貨が前記鑑別部を通過した位置を前記所定位置として、前記ピンの通過回数のカウントを開始する、請求項2に記載の硬貨処理装置。
【請求項5】
前記硬貨処理装置は、前記硬貨を金種別に収納する硬貨収納庫をさらに備え、
前記切替部のブレードは、前記硬貨収納庫へ前記硬貨を落下させるための開口を開閉可能な選別ブレードである、請求項1に記載の硬貨処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記硬貨の搬送先が前記硬貨収納庫の場合、閉状態の前記選別ブレードを開状態に制御する、請求項5に記載の硬貨処理装置。
【請求項7】
前記硬貨処理装置は、前記硬貨をリジェクトするリジェクト口をさらに備え、
前記切替部のブレードは、前記リジェクト口に前記硬貨を搬送するリジェクト搬送路へ前記硬貨を落下させるための開口を開閉可能なリジェクトブレードである、請求項1に記載の硬貨処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記硬貨の搬送先が前記リジェクト口の場合、閉状態の前記リジェクトブレードを開状態に制御する、請求項7に記載の硬貨処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記硬貨の搬送先が前記リジェクト口の場合、開状態の前記リジェクトブレードを開状態で維持するよう制御する、請求項7に記載の硬貨処理装置。
【請求項10】
前記監視センサは、前記ピンの通過と対応してON、OFFの信号を出力する第1の監視センサであり、
前記硬貨処理装置は、前記第1の監視センサの出力信号に対して、前記第1の監視センサより短い間隔でON、OFFの信号を出力する第2の監視センサをさらに備え、
前記制御部は、前記所定時間として前記第2の監視センサからの信号を所定回数カウント後、更に一定時間経過後に前記ブレードを開状態とする、請求項1に記載の硬貨処理装置。
【請求項11】
前記硬貨処理装置は、前記硬貨の金種を鑑別する鑑別部をさらに備え、
前記制御部は、前記鑑別部による鑑別結果に応じて前記硬貨の搬送先を決定し、搬送先に対応する前記ブレードの開閉を制御する、請求項1に記載の硬貨処理装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記硬貨の搬送先に応じて前記所定回数と前記所定時間を設定する、請求項11に記載の硬貨処理装置。
【請求項13】
コンピュータを、
硬貨の搬送路に沿って設けられ、前記硬貨と当接するピンを有し、当該ピンで前記硬貨を押動して搬送する搬送ピンベルトの制御と、
前記ピンの通過を監視する監視センサの制御と、
前記硬貨を落下させるための開口を開閉可能なブレードを有し、当該ブレードを開閉することにより前記硬貨の搬送先を切り替える切替部に対する前記ブレードの開閉制御と、
を行う制御部として機能させ、
前記制御部は、前記監視センサから出力される信号に基づいて前記ピンの通過回数をカウントし、前記ピンの通過回数が所定回数に到達してから更に所定時間経過後に、前記ブレードを開状態に制御して前記開口を開放させる、プログラム。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか1項に記載の硬貨処理装置と、
紙幣の入出金を行う紙幣処理装置と、
を備える、現金処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨処理装置、プログラム、および現金処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、小売店やスーパーマーケットなどの流通施設および商業施設に、現金処理装置が設置されている。現金処理装置には、釣銭または売上金として硬貨の入出金を行う硬貨処理装置と、釣銭または売上金として紙幣の入出金を行う紙幣処理装置が搭載されている。
【0003】
硬貨処理装置に関し、例えば特許文献1では、収納庫の中に落下させる硬貨の挙動の乱れを抑制する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-22519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、硬貨処理装置内における硬貨の搬送先の切り替えは、搬送路に設けられるブレードの制御により行われるが、搬送に遅延が発生した場合も考慮した十分な制御は行われていない。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、硬貨の搬送制御の精度を向上させることが可能な、新規かつ改良された硬貨処理装置、プログラム、および現金処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、硬貨の搬送路に沿って設けられ、前記硬貨と当接するピンを有し、当該ピンで前記硬貨を押動して搬送する搬送ピンベルトと、前記ピンの通過を監視する監視センサと、前記硬貨を落下させるための開口を開閉可能なブレードを有し、当該ブレードを開閉することにより前記硬貨の搬送先を切り替える切替部と、前記ブレードの開閉を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記監視センサから出力される信号に基づいて前記ピンの通過回数をカウントし、前記ピンの通過回数が所定回数に到達してから更に所定時間経過後に、前記ブレードを開状態に制御して前記開口を開放させる、硬貨処理装置が提供される。
【0008】
前記制御部は、前記監視センサから出力される信号に基づいて、前記搬送路上の所定位置における前記ピンの通過を監視してもよい。
【0009】
前記硬貨処理装置は、前記硬貨が投入される投入口をさらに備え、前記制御部は、前記投入口から投入された前記硬貨が前記搬送路に送出されたタイミングで、当該搬送路に前記硬貨が送出された位置を前記所定位置として、前記ピンの通過回数のカウントを開始してもよい。
【0010】
前記硬貨処理装置は、前記硬貨の金種を鑑別する鑑別部をさらに備え、前記制御部は、前記硬貨が前記搬送路を前記ピンにより搬送され、前記鑑別部を通過するタイミングで、前記硬貨が前記鑑別部を通過した位置を前記所定位置として、前記ピンの通過回数のカウントを開始してもよい。
【0011】
前記硬貨処理装置は、前記硬貨を金種別に収納する硬貨収納庫をさらに備え、前記切替部のブレードは、前記硬貨収納庫へ前記硬貨を落下させるための開口を開閉可能な選別ブレードであってもよい。
【0012】
前記制御部は、前記硬貨の搬送先が前記硬貨収納庫の場合、閉状態の前記選別ブレードを開状態に制御してもよい。
【0013】
前記硬貨処理装置は、前記硬貨をリジェクトするリジェクト口をさらに備え、前記切替部のブレードは、前記リジェクト口に前記硬貨を搬送するリジェクト搬送路へ前記硬貨を落下させるための開口を開閉可能なリジェクトブレードであってもよい。
【0014】
前記制御部は、前記硬貨の搬送先が前記リジェクト口の場合、閉状態の前記リジェクトブレードを開状態に制御してもよい。
【0015】
前記制御部は、前記硬貨の搬送先が前記リジェクト口の場合、開状態の前記リジェクトブレードを開状態で維持するよう制御してもよい。
【0016】
前記監視センサは、前記ピンの通過と対応してON、OFFの信号を出力する第1の監視センサであり、前記硬貨処理装置は、前記第1の監視センサの出力信号に対して、前記第1の監視センサより短い間隔でON、OFFの信号を出力する第2の監視センサをさらに備え、前記制御部は、前記所定時間として、前記第2の監視センサからの信号を所定回数カウント後、更に一定時間経過後に前記ブレードを開状態としてもよい。
【0017】
前記硬貨処理装置は、前記硬貨の金種を鑑別する鑑別部をさらに備え、前記制御部は、前記鑑別部による鑑別結果に応じて前記硬貨の搬送先を決定し、搬送先に対応する前記ブレードの開閉を制御してもよい。
【0018】
前記制御部は、前記硬貨の搬送先に応じて前記所定回数と前記所定時間を設定してもよい。
【0019】
また、上記課題を解決するために本発明の別の観点によれば、コンピュータを、硬貨の搬送路に沿って設けられ、前記硬貨と当接するピンを有し、当該ピンで前記硬貨を押動して搬送する搬送ピンベルトの制御と、前記ピンの通過を監視する監視センサの制御と、前記硬貨を落下させるための開口を開閉可能なブレードを有し、当該ブレードを開閉することにより前記硬貨の搬送先を切り替える切替部に対する前記ブレードの開閉制御と、を行う制御部として機能させ、前記制御部は、前記監視センサから出力される信号に基づいて前記ピンの通過回数をカウントし、前記ピンの通過回数が所定回数に到達してから更に所定時間経過後に、前記ブレードを開状態に制御して前記開口を開放させる、プログラムが提供される。
【0020】
また、上記課題を解決するために本発明の別の観点によれば、前記硬貨処理装置と、紙幣の入出金を行う紙幣処理装置と、を備える、現金処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように本発明によれば、硬貨の搬送制御の精度を向上させることを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態に係る硬貨処理装置を有する現金処理装置の構成を示す図である。
図2】上方向から見た硬貨処理装置5の外部構成を示す図である。
図3】本実施形態による硬貨処理装置5に設けられるブレードの開閉動作について説明する図である。
図4】比較例によるブレードの開閉制御のタイミングについて説明する図である。
図5】本実施形態によるブレードの開閉制御のタイミングについて説明する図である。
図6】遅延発生時におけるブレードの開閉制御のタイミングについて説明する図である。
図7】本実施形態によるブレード制御の動作処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8】本実施形態の変形例によるブレードの開閉制御のタイミングについて説明する図である。
図9図8に示す枠Rの詳細の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0024】
<1.硬貨処理装置を有する現金処理装置の構成>
図1は、本実施形態に係る硬貨処理装置を有する現金処理装置の構成を示す図である。本実施形態に係る硬貨処理装置5は、硬貨の入出金処理を行う装置である。図1に示すように、硬貨処理装置5は、例えば、レジ釣銭機1(現金処理装置の一例)に搭載される。レジ釣銭機1は、例えば、スーパーマーケット、量販店、またはショッピングセンター等の小売店舗の精算所に設置され、顧客の購入商品の代金の精算、代金の入金処理、および釣銭の出金処理を行う。
【0025】
レジ釣銭機1は、図1に示すように、上側に配置されるレジスタ部2と、下側に配置される釣銭処理部3と、から構成される。レジスタ部2は、図示せぬPOS(Point Of Sales)システムと通信して、会計処理を行い得る。釣銭処理部3は、紙幣や硬貨の入出金処理および釣銭の出金処理を行う。釣銭処理部3は、紙幣を取り扱う紙幣処理装置4と、硬貨を取り扱う硬貨処理装置5と、から構成される。
【0026】
硬貨処理装置5は、レジ係員等によって入金用の硬貨が投入される硬貨投入口11と、リジェクト硬貨が排出されるリジェクト口12と、釣銭用の硬貨が排出される硬貨出金口13と、を有する。本実施形態では、硬貨投入口11、リジェクト口12、および硬貨出金口13が、装置の前面側において突出するように設けられている。硬貨処理装置5の内部には、硬貨処理装置5の動作全般を制御する制御ユニット27が設けられる。本実施形態による硬貨処理装置5の詳細な構成について、次に説明する。
【0027】
<2.硬貨処理装置の構成>
図2は、上方向から見た硬貨処理装置5の外部構成を示す図である。図2に示すように、硬貨処理装置5は、硬貨投入口11、入金搬送路14、鑑別部15、リジェクト搬送路16、リジェクト口12、選別搬送路17、硬貨収納庫18、および硬貨出金口13等を有している。
【0028】
硬貨投入口11は、レジ係員によって入金用の硬貨が投入される部位である。硬貨投入口11は、硬貨を一括して投入し易いよう、上方が広く開口している。硬貨は、非整列状態で受け入れられる。硬貨投入口11に投入された硬貨は、硬貨繰出部11aに落下する。
【0029】
硬貨繰出部11aは、硬貨投入口11の下方に位置し、硬貨投入口11に投入された硬貨を1枚ずつ分離して入金搬送路14に繰り出す機構である。硬貨繰出部11aには、例えば、回転円盤(不図示)が設けられている。硬貨繰出部11a内の硬貨は、回転円盤が回転する際の遠心力により移動して、一枚ずつ分離される。
【0030】
硬貨繰出部11aにより分離された硬貨は、入金搬送路14への硬貨繰り出し箇所に上下に配設された受渡しローラ20に挟み込まれて一時停止する。受渡しローラ20は、適切なタイミングで、入金搬送路14の真上を走行して硬貨を搬送する搬送ピン付きベルト21に、硬貨を受け渡す。
【0031】
搬送ピン付きベルト21は、図2に示すように、硬貨の搬送路に沿って設けられ、当該搬送路上で硬貨を搬送する搬送機構である。搬送ピン付きベルト21は、硬貨の搬送路に沿って走行するように、複数個(図示例では4個)のプーリー26によって張架されている。本実施形態では、各プーリー26は、硬貨収納庫18全体を囲むように配置されている。したがって、搬送ピン付きベルト21も、硬貨収納庫18全体を囲むように配置されている。
【0032】
搬送ピン付きベルト21には、一定間隔おきに、硬貨と当接するピンである搬送ピン22と、規制ピン23とが設けられている。搬送ピン22は、硬貨側面を押動することにより硬貨を搬送し得る。規制ピン23は、硬貨の搬送方向における搬送ピン22の下流側に配置され、搬送ピン22によって硬貨が飛ばされて搬送ピン付きベルト21の搬送速度よりも速く硬貨が進んだ際に、硬貨の移動を規制する。
【0033】
搬送ピン付きベルト21の動作(走行)は、図示しない監視センサにより監視されている。監視センサは、搬送ピン付きベルト21に設けられる搬送ピン22の通過(動作)を監視(検出)し得る検出部である。
【0034】
監視センサは、例えば搬送ピン付きベルト21が張架されているプーリー26を動作させるモーターに組み込まれる検出器により実現されてもよい。かかる検出器は、搬送ピンの通過(動作)タイミングと同期する信号を出力する。すなわち、一定速で走行する搬送ピン付きベルト21に一定間隔おきに設けられる搬送ピン22がプーリー26を通過するタイミングと、当該プーリー26を回動させるモーターに設けられた検出器の信号がONになるタイミングが同期する。換言すると、一の搬送ピン22がある場所を通過してから次の搬送ピンが同じ場所を通過するタイミングが、監視センサから出力される信号のピッチと同期する。
【0035】
なお、監視センサは上記検出器に限定されず、搬送ピン付きベルト21の動作、より具体的には、搬送ピンの通過(動作)を監視(検出)できる検出部であればよい。また、監視センサの配置場所は特に限定しない。
【0036】
搬送ピン付きベルト21は、一定速で搬送動作を行い得る。これに対し、受渡しローラ20は、図示しない独立した駆動源により駆動される。硬貨処理装置5に設けられる制御ユニット27(図1参照)は、図示しないセンサ(例えば光学センサ)によって、搬送ピン付きベルト21に配設される搬送ピン22の所定箇所(例えば受渡しローラ20付近)への到達を検知し、搬送ピン22と規制ピン23の間に硬貨を送出するよう、駆動源を制御して受渡しローラ20を動作させる。
【0037】
受渡しローラ20から送出された硬貨は、搬送ピン22によって下流方向に搬送され、鑑別部15を通過する。
【0038】
鑑別部15は、硬貨の種類(金種)、正損、および真偽等を鑑別する。鑑別部15の下流には、鑑別結果に基づいて収納に該当する硬貨と該当しない硬貨を振り分けるリジェクトブレード24が設けられている。また、入金搬送路14の終端部分は、全金種分の硬貨収納庫18の上に跨るよう配置されている。つまり、入金搬送路14は、上流部分が硬貨投入口11から後方向(奥行き方向)に略直線状に延び、下流部分が上流部分に対して略直角方向に曲がって装置の幅方向に延びるよう配置されている。かかる入金搬送路14の終端部分を、選別搬送路17とも称する。選別搬送路17には、硬貨を金種毎に選別する選別ブレード25が設けられている。
【0039】
リジェクトブレード24の開閉は、制御ユニット27により制御される。リジェクトブレード24は、入金搬送路14上の硬貨をリジェクト搬送路16に落下させるための開口を開閉可能な部材である。リジェクトブレード24は、図示しないアクチュエーター(例えばソレノイド)によって開閉する構造となっている。リジェクトブレード24およびアクチュエーターを含むかかる開閉構造は、硬貨の搬送先を切り替える切替部の一例である。
【0040】
制御ユニット27は、鑑別部15による鑑別結果に基づいて、硬貨収納庫18に収納すべきではない硬貨(リジェクト硬貨とも称する)の場合、リジェクトブレード24を開状態とし、リジェクト搬送路16に落下させる。リジェクト搬送路16に落下したリジェクト硬貨は、リジェクト口12に搬送され、リジェクト口12から排出される。リジェクト口12は、リジェクト硬貨が排出される部位である。
【0041】
一方、硬貨収納庫18に収納すべき硬貨の場合、制御ユニット27は、リジェクトブレード24を閉状態とし、リジェクトブレード24上を通過させ、選別搬送路17に搬送する。
【0042】
選別ブレード25の開閉は、制御ユニット27により制御される。選別ブレード25は、選別搬送路17上の硬貨を硬貨収納庫18に落下(収納)させるための開口を開閉可能な部材である。選別ブレード25は、図示しないアクチュエーター(例えばソレノイド)によって開閉する構造となっている。選別ブレード25およびアクチュエーターを含むかかる開閉構造は、硬貨の搬送先を切り替える切替部の一例である。
【0043】
制御ユニット27は、鑑別部15による鑑別結果に基づいて、硬貨収納庫18に収納すべき硬貨の場合、複数の選別ブレード25のうち、当該硬貨の金種に対応する硬貨収納庫18に硬貨を落下させるための開口を開閉する選別ブレード25を開状態とし、当該硬貨を鑑別された金種の硬貨収納庫18に落下させる。
【0044】
硬貨収納庫18は、硬貨を金種別に収納する。硬貨収納庫18は、硬貨を収納する機能と硬貨を出金する機能とを併せ持つ収納出金部として機能する。各硬貨収納庫18は、それぞれに固有の金種が割り当てられている。硬貨処理装置5は、各硬貨収納庫18に割り当てられた金種の硬貨を各硬貨収納庫18の中に収納する。ここでは、図2に示すように、硬貨収納庫18が、1円、5円、10円、50円、100円、および500円の6種類の金種に合わせて、6個設けられている。
【0045】
各硬貨収納庫18の中に収納されている硬貨は、図示しない出金繰出部により、釣銭用の硬貨として、硬貨出金口13に繰り出される。硬貨出金口13は、釣銭用の硬貨が排出される部位である。
【0046】
図1に示す制御ユニット27は、硬貨処理装置5の全体動作を制御する。例えば、制御ユニット27は、硬貨の入金処理や出金処理等を行う際に、硬貨処理装置5の各構成要素の動作を制御する。制御ユニット27は、硬貨処理装置5の各構成要素の動作を制御する制御部と、制御部が実行するプログラムや各種のデータを記憶する記憶部と、を有する。
【0047】
以上、硬貨処理装置5の内部構成について具体的に説明した。なお、硬貨処理装置5の各構成要素の配置は、図1および図2に示す位置に限定されない。例えば、リジェクト口12と硬貨出金口13の配置が逆になってもよい。また、硬貨処理装置5と紙幣処理装置4の配置が、図1に示す位置と逆であってもよい。
【0048】
<3.ブレードの開閉動作>
次に、図3を参照しながら、硬貨処理装置5において硬貨の搬送先を切り替えるブレードの開閉動作について説明する。
【0049】
図3は、本実施形態による硬貨処理装置5に設けられるブレードの開閉動作について説明する図である。硬貨処理装置5は、リジェクトブレード24と選別ブレード25を有するが、ここではブレードの一例として選別ブレード25の動作制御について説明する。図3では、一例として、各金種の硬貨収納庫18の上に配置される選別ブレード25a、25b、25cを図示する。
【0050】
硬貨処理装置5の制御ユニット27は、硬貨CNの入金時に、図3上段に示すように、搬送ピン付きベルト21を矢印で示す搬送方向に走行させる。この際、搬送ピン付きベルト21に設けられた搬送ピン22が硬貨CNの側面を押して、硬貨CNを搬送する。図3上段に示す図では、先行する硬貨CN2が搬送ピン22bにより搬送され、収納対象である硬貨CN1が搬送ピン22aにより搬送されている。
【0051】
次に、硬貨処理装置5の制御ユニット27は、図3中段に示すように、鑑別部15の鑑別結果に従い、搬送している硬貨CN1が、該当金種の硬貨収納庫18の上に到達する前に、該当金種の硬貨収納庫18の上に配置された選別ブレード25bを開状態にする。
【0052】
これにより、硬貨処理装置5は、選別ブレード25bを開状態とすることにより開放された開口から硬貨CN1を硬貨収納庫18に落下させることができる。
【0053】
そして、硬貨処理装置5の制御ユニット27は、図3下段に示すように、硬貨CN1が選別ブレード25bにより開放された開口から落下すると、選別ブレード25bを閉状態にする。選別ブレード25bを速やかに閉状態にすることで開口を閉鎖し、後続の硬貨が誤って落下したり、搬送路上の異物が硬貨収納庫18に混入したりすることを防止することができる。
【0054】
以上、選別ブレード25の開閉について説明したが、リジェクトブレード24の開閉も同様である。
【0055】
(課題の整理)
ここで、ブレードの開閉制御のタイミングについて、比較例を用いて課題を整理する。図4は、比較例によるブレードの開閉制御のタイミングについて説明する図である。比較例による制御部は、入金搬送路に硬貨が送出されたタイミング(すなわち、受渡しローラにより搬送ピンと規制ピンの間に硬貨が受け渡されたタイミング)を搬送監視起点とし、図4に示すように、搬送監視起点からT1時間(X(ms))後に、所定のブレードを開く制御を行う。
【0056】
T1時間(X(ms))は、鑑別部による鑑別結果に応じて決定される搬送先(リジェクト口か、金種別の硬貨収納庫か)によって異なる。T1時間(X(ms))は、図3の上段に示すように、先行する硬貨CN2が収納対象の硬貨CN1に対応するブレード(図3では、選別ブレード25b)を通過するタイミングに設定される。
【0057】
なお、図4では、比較例によるブレードの開閉制御のタイミングに対する、搬送ピンの通過(動作)タイミングも示している。搬送ピンの通過(動作)は、本実施形態による監視センサにより監視され、監視センサから出力される信号のON、OFFは、搬送ピンの通過(動作)タイミングと同期する。すなわち、監視センサから出力される信号のOFFからONになるタイミングのピッチは、図3に示すような搬送ピンの1ピッチと同期する。
【0058】
続いて、比較例による制御部は、搬送監視起点からT2時間(Y(ms))後に、所定のブレードを閉じる制御を行う。T2時間(Y(ms))は、図3の下段に示すように、収納対象の硬貨CN1を搬送する搬送ピンが、対応するブレード(図3では、選別ブレード25b)の先端に到達するタイミングに設定される。
【0059】
しかしながら、搬送監視起点からT1時間(X(ms))後の開制御、および搬送監視起点からT2時間(Y(ms))後の閉制御では、搬送ピン(搬送ピン付きベルト)の走行に遅延が発生した際に、正確なタイミングで開閉が行えなくなるという問題がある。
【0060】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、硬貨の搬送制御の精度を向上させることを可能とする。
【0061】
以下、本実施形態による硬貨の搬送先を切り替えるブレードの開閉制御の詳細について説明する。
【0062】
<4.本実施形態によるブレード制御>
図5は、本実施形態によるブレードの開閉制御のタイミングについて説明する図である。ここで説明するブレードとは、リジェクトブレード24および選別ブレード25のいずれであってもよい。本実施形態による搬送ピン付きベルト21は一定速で走行しており、その動作は、上述したように、図示しない監視センサにより監視されている。図5に示す監視センサから出力される信号のON、OFFは、搬送ピン付きベルト21に設けられる搬送ピン22の通過(動作)タイミングと同期する。
【0063】
本実施形態による制御ユニット27は、監視センサからの信号に基づいて、例えば入金搬送路14に硬貨CNが送出されたタイミングを搬送監視起点として、所定位置(搬送監視起点の位置)における搬送ピン22の通過(走行)を監視し、搬送ピン22の通過回数(具体的には、信号のONまたはOFFの回数)をカウントする。入金搬送路14に硬貨CNが送出されたタイミングとは、受渡しローラ20により搬送ピン22と規制ピン23の間に硬貨CNが受け渡されたタイミングである。監視センサは、必ずしも搬送監視起点の位置に設けられていなくともよい。搬送ピン22は、搬送ピン付きベルト21に一定間隔で設けられているため、上記所定位置と異なる位置に設けられる監視センサから出力される信号のON、OFFのタイミング(すなわち搬送ピンの通過タイミング)は、所定位置における搬送ピンの通過タイミングともみなされ得る。従って制御ユニット27は、任意の位置に設けられる監視センサからの信号に基づいて、所定位置における搬送ピン22の通過を監視することが可能となる。
【0064】
そして、制御ユニット27は、信号のONまたはOFFの回数(すなわち搬送ピン22の通過回数)が所定回数(N回)に到達すると(図5に示す例では、4回目のOFF)、更にその時点から所定時間(例えばA(ms))経過後に、ブレードを開制御する。所定回数および所定時間は、鑑別部15による鑑別結果に応じて決定される搬送先(リジェクト口12か、金種別の硬貨収納庫18か)によって異なる。より具体的には、所定回数および所定時間は、リジェクトブレード24の開制御であるか、どの金種に対応する選別ブレード25の開制御であるかに応じて、異なる。
【0065】
所定回数および所定時間は、図4を参照して説明した比較例によるT1時間(X(ms))の設定と同様に、例えば図3の上段に示すように、先行する硬貨CN2が収納対象の硬貨CN1に対応するブレード(一例として、選別ブレード25b)を通過するタイミングに設定される。本実施形態による監視センサから検出される信号のON、OFFは、監視対象の搬送ピン22の通過(動作)と同期するため、監視センサによる信号のONまたはOFFの回数に基づくことで、所望のタイミング(搬送ピン22または硬貨CNが搬送路上の所望の位置にあるタイミング)でブレードを制御することができる。図5に示す例では、入金搬送路14に硬貨CN1が送出されるタイミングを搬送監視起点として搬送ピン22aの監視を開始し、4回目の信号OFFのタイミングからさらに所定時間(A(ms))経過後に、当該搬送ピン22aの一つ前に位置する搬送ピン22bが選別ブレード25bを通過するとし(図3の上段参照)、そのタイミングで選別ブレード25bの開制御が行われ得る。
【0066】
次いで、制御ユニット27は、信号のONまたはOFFの回数が所定回数(N回)に到達すると(図5に示す例では、5回目のON)、更に所定時間(例えばB(ms))経過後に、ブレードを閉制御する。所定回数および所定時間は、図4を参照して説明した比較例によるT2時間(Y(ms))の設定と同様に、例えば図3の下段に示すように、収納対象の硬貨CN1を搬送する搬送ピン22aが、対応するブレード(図3では、選別ブレード25b)の先端に到達するタイミングに設定される。所定回数および所定時間は、鑑別部15による鑑別結果に応じて決定される搬送先(リジェクト口12か、金種別の硬貨収納庫18か)によって異なる。より具体的には、所定回数および所定時間は、リジェクトブレード24の開制御であるか、どの金種に対応する選別ブレード25の開制御であるかに応じて、異なる。
【0067】
以上説明した制御の場合、搬送ピン付きベルト21が硬貨搬送中に何らかの負荷によって走行に遅延が発生した場合にも、正確なタイミングでブレード制御を行い得る。以下、図6を参照して具体的に説明する。
【0068】
図6は、搬送ピン付きベルト21の走行遅延発生時におけるブレードの開閉制御のタイミングについて説明する図である。
【0069】
図6に示すように、比較例によるブレード制御では、搬送監視起点からT1時間(X(ms))後に開制御、および搬送監視起点からT2時間(Y(ms))後に閉制御を行うため、一時的な搬送負荷の増大等により搬送ピン付きベルト21の走行が遅くなった場合、対応するブレードへの搬送ピン22の到来が遅れるため、ブレードの開閉制御のタイミングがずれてしまう。
【0070】
一方、本実施形態によるブレード制御は、図6に示すように、例えば4回目のOFFから更に所定時間(A(ms))経過後に開制御し、5回目のONから更に所定時間(B(ms))経過後に閉制御するというように、監視センサによる信号ON、OFFの回数に基づいて行われる。これにより、本実施形態によるブレード制御では、一時的な搬送負荷の増大等により搬送ピン付きベルト21の走行が遅くなっても、搬送ピン付きベルト21の遅れに追従して正しいタイミングでブレードの開閉制御が行われ得る。
【0071】
このように、本実施形態では、搬送に遅延が発生した場合にも、対象の硬貨の搬送先の振り分けを正しく行うことができ、硬貨の搬送制御の精度を向上させることが可能となる。
【0072】
(動作処理)
図7は、本実施形態によるブレード制御の動作処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0073】
図7に示すように、まず、硬貨処理装置5は、受渡しローラ20による入金搬送路14への硬貨CNの送出を検出する(ステップS103)。
【0074】
次に、硬貨処理装置5は、硬貨CNを搬送する搬送ピン22を搬送監視起点から監視する(ステップS106)。本実施形態では、一例として入金搬送路14への硬貨CNの送出時を搬送監視起点とするが、これに限定されず、例えば、硬貨CNが鑑別部15を通過する時にしてもよい。
【0075】
次いで、硬貨処理装置5は、硬貨の鑑別結果に基づいて、ブレード(リジェクトブレード24、または鑑別された金種の収納庫に対応する選別ブレード25)の開閉制御のための搬送ピン通過の所定回数(N回、N回)および所定時間(A(ms)、B(ms))を各々設定する(ステップS109)。
【0076】
そして、硬貨処理装置5は、監視センサからの信号に基づき、設定された所定回数(N回、N回)カウント後の所定時間(A(ms)、B(ms))経過後に、対象のブレードを開または閉状態に制御する(ステップS112)。
【0077】
<5.本実施形態の変形例によるブレード制御>
続いて、本実施形態の変形例について説明する。上述した実施形態では、監視センサにより搬送ピンの通過を検出する旨を説明したが、当該監視センサのON、OFFの長さよりも短い間隔でON、OFFの信号を出力する新たな監視センサをさらに用いてもよい。
【0078】
本変形例では、上述した実施形態で用いた監視センサを第1の監視センサと称し、当該第1の監視センサのON、OFFの長さよりも短い間隔でON、OFFの信号を出力する監視センサを第2の監視センサと称する。
【0079】
例えば第1の監視センサは、搬送ピン22が設けられる搬送ピン付きベルト21が張架されるプーリー26を回動させるモーターに設けられる検出器であり、第2の監視センサも同じモーターに設けられる。第1の監視センサが、搬送ピン22の1ピッチ(例えばプーリー26の一回転)に対して1回のON、OFFを出力することに対し、第2の監視センサは、例えば細かいスリットが設けられた回転板から成り、搬送ピン22の1ピッチ(例えばプーリー26の一回転)に対して多数のON、OFFを出力する。
【0080】
以下、図8および図9を参照して変形例によるブレード制御について具体的に説明する。図8は、本実施形態の変形例によるブレードの開閉制御のタイミングについて説明する図である。図9は、図8に示す枠Rの詳細の一例を示す図である。なお、図8および図9に示す第2の監視センサから出力される信号のパルス数はいずれも一例であって、本実施形態はこれに限定されない。
【0081】
まず、制御ユニット27は、図8に示すように、上述した実施形態と同様に、監視センサからの信号に基づいて、搬送監視起点から所定位置(搬送監視起点の位置)における搬送ピン22の通過(走行)を監視し、搬送ピン22の通過回数(具体的には、信号のONまたはOFFの回数)をカウントする。
【0082】
より具体的には、制御ユニット27は、第1の監視センサから出力される信号のONまたはOFFの回数が所定回数(N回)に到達すると(図8に示す例では、4回目のOFF)、第2の監視センサから出力される信号のONまたはOFFの回数をカウントし、所定回数(n回)に到達したら更に一定時間(例えば図9に示すC(ms))経過後に、ブレードを開制御する。
【0083】
このように、変形例では、上述した実施形態による所定回数(N回)に到達した後のA(ms)経過時間を、第1の監視センサよりも短い時間間隔で検出を行う第2の監視センサから出力される信号のカウントにより計測することで、搬送に遅延が生じた場合にも、より確実に正しいタイミングでブレード制御を行い得る。
【0084】
なお、ブレードの閉制御も同様に行われる。すなわち、制御ユニット27は、信号のONまたはOFFの回数が所定回数(N回)に到達すると(図8に示す例では、5回目のON)、第2の監視センサから出力される信号のONまたはOFFの回数をカウントし、所定回数(n回)に到達したら更に一定時間(図示しないが、例えばD(ms))経過後に、ブレードを閉制御する。
【0085】
また、上述した変形例では、第2の監視センサから出力される信号のONまたはOFFの回数が所定回数に到達してから、更に一定時間(C(ms)、D
(ms))経過後に開閉制御を行っているが、これは第2の監視センサの検出時間の間隔よりブレードの制御時間の間隔の方が短い場合に、より正確なタイミングでブレードを制御するためにも有効である。制御ユニット27は、かかる一定時間の経過を待たずにブレードの制御を行ってもよい。例えば、第2の監視センサの検出時間の間隔とブレードの制御時間の間隔が同じである場合、かかる一定時間の経過を待たずにブレードの制御を行っても精度の高い制御を実現し得る。
【0086】
<6.補足>
上述した実施形態では、制御ユニット27により所定のタイミングでブレードを開状態に制御する旨を説明した。ここで、上述した実施形態では、リジェクトブレード24が通常は閉じた状態であることを想定しており、制御ユニット27は、リジェクト搬送路16に硬貨を搬送する際に、開状態に制御する。一方、装置によっては、リジェクトブレード24が通常から開いた状態となっている場合も想定される。この場合、制御ユニット27は、リジェクト搬送路16に硬貨を搬送する際には、リジェクトブレード24の開状態を維持する制御を行っているとも言える。
【0087】
リジェクトブレード24が通常から開いた状態となっている装置の場合、制御ユニット27は、硬貨をリジェクトブレード24より下流の選別搬送路17に搬送する際には、硬貨がリジェクトブレード24の上を通過するタイミングでリジェクトブレード24を閉状態に制御する。制御ユニット27は、硬貨がリジェクトブレード24の上を通過した後、リジェクトブレード24を開状態に戻してもよいし、次にリジェクト硬貨が発生するまで閉状態を維持するよう制御してもよい。
【0088】
<7.まとめ>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属すると了解される。
【0089】
例えば、硬貨処理装置5は、レジ釣銭機1(現金処理装置の一例)に搭載される場合に限定されず、銀行、または販売店のバックヤードで使用される入出金機(現金処理装置の一例)に搭載されてもよい。
【0090】
また、硬貨処理装置5に内蔵されるCPU、ROM、およびRAM等のハードウェアに、硬貨処理装置5の機能を発揮させるための1以上のコンピュータプログラムも作成可能である。また、当該1以上のコンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体も提供される。
【符号の説明】
【0091】
1 レジ釣銭機
2 レジスタ部
3 釣銭処理部
4 紙幣処理装置
5 硬貨処理装置
11 硬貨投入口
12 リジェクト口
13 硬貨出金口
14 入金搬送路
15 鑑別部
16 リジェクト搬送路
17 選別搬送路
18 硬貨収納庫
20 受渡しローラ
21 搬送ピン付きベルト
22 搬送ピン
23 規制ピン
24 リジェクトブレード
25 選別ブレード
27 制御ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9