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  • 特開-端子接合用治具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168438
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】端子接合用治具
(51)【国際特許分類】
   H01R 43/02 20060101AFI20241128BHJP
   H01R 4/02 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
H01R43/02 B
H01R4/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085131
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】増田 悠人
(72)【発明者】
【氏名】弓立 隆博
【テーマコード(参考)】
5E051
5E085
【Fターム(参考)】
5E051LA04
5E051LB03
5E085BB01
5E085BB11
5E085CC03
5E085DD04
5E085HH11
5E085JJ03
5E085JJ06
5E085JJ36
(57)【要約】
【課題】端子を安定して保持することができ、汎用性を向上することができる端子接合用治具を提供する。
【解決手段】端子3と導体5とを超音波接合によって接合するときに、端子3を押さえる本体13を備えた端子接合用治具1において、本体13が、端子3と対向して配置される対向面15と、対向面15から端子3に向けて突出された突起19とを有した。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子と導体とを超音波接合によって接合するときに、前記端子を押さえる本体を備え、
前記本体は、前記端子と対向して配置される対向面と、前記対向面から前記端子に向けて突出された突起とを有する端子接合用治具。
【請求項2】
前記突起の突出高さは、前記端子の表面粗さより高く設定されている請求項1に記載の端子接合用治具。
【請求項3】
前記本体は、少なくとも前記端子と前記導体とが接合される接合範囲より長い長さを有している請求項1又は2に記載の端子接合用治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子接合用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、端子接合用治具としては、端子と導体とを超音波接合によって接合するときに、端子を押さえる本体としての抑え治具を備えたものが知られている(特許文献1参照)。この端子接合用治具では、抑え治具が、2つ用いられている。2つの抑え治具は、端子と導体とが超音波接合されるときに、端子の両側を挟み込むように、端子を押さえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-33978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1のような端子接合用治具では、本体の端子と対向する対向面が、端子の表面と当接することによって、本体が端子を押さえている。端子の表面は、母材の圧延や端子の成形などによって、微小な凹凸を有している。このような端子の表面に対して、本体の対向面が、平坦な平面で形成されていると、本体によって、端子を安定して保持することができないことがあった。これに対して、本体に、端子の外縁に当接して端子の移動を規制する規制部を設けることもできるが、端子のサイズが変更されてしまえば、規制部の位置も変更しなければならず、汎用性が低下してしまう。
【0005】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、端子を安定して保持することができ、汎用性を向上することができる端子接合用治具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る端子接合用治具は、端子と導体とを超音波接合によって接合するときに、前記端子を押さえる本体を備え、前記本体は、前記端子と対向して配置される対向面と、前記対向面から前記端子に向けて突出された突起とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、端子を安定して保持することができ、汎用性を向上することができる端子接合用治具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る端子接合用治具を適用した接合装置の正面図である。
図2】本実施形態に係る端子接合用治具を適用した接合装置の側面図である。
図3】本実施形態に係る端子接合用治具が端子を押さえたときの要部拡大図である。
図4】本実施形態に係る端子接合用治具が端子を押さえたときの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本実施形態に係る端子接合用治具について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0010】
図1に示すように、本実施形態に係る端子接合用治具1は、例えば、端子3と導体5とを超音波接合によって接合する接合装置101に適用される。
【0011】
図1図2に示すように、端子3は、例えば、銅や銅合金などの導電性材料からなる。なお、端子3の表面には、錫などによるめっき処理が施されていてもよいが、めっき処理を施していなくてもよい。端子3は、例えば、相手端子(不図示)に電気的に接続される電気接続部(不図示)と、電線9の導体5に電気的に接続される電線接続部7とを備えている。電気接続部と電線接続部7とは、連続する一部材で形成されている。電線接続部7は、例えば、長方形状の板状に形成されている。電線接続部7には、電線9の導体5が、超音波接合によって接合され、端子3と電線9とが電気的に接続される。電線接続部7と導体5とを接合することにより、端子3と電線9とが一体に形成される。
【0012】
図1図2に示すように、電線9は、例えば、導体5と、導体5の外周を覆う絶縁性材料からなる絶縁被覆11とを備えている。導体5は、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などの導電性材料からなる。導体5は、複数の素線が撚られた撚り線となっているが、例えば、単芯線、複数の素線が編み込まれた編組線などであってもよい。加えて、電線9は、例えば、導体5を、撓みを有するベース部材に形成させたフレキシブルプリント回路基板(FPC)などであってもよい。電線9の導体5は、接合装置101によって、端子3に接合される。
【0013】
図1図4に示すように、接合装置101は、アンビル103と、ホーン105と、端子接合用治具とを備えている。
【0014】
アンビル103は、ホーン105からの荷重を受ける受け治具である。アンビル103には、平面状に形成された配置面107が形成されている。アンビル103の配置面107には、端子3が配置された後、端子3の上に重ねて導体5が配置される。
【0015】
ホーン105は、超音波振動を発生し、アンビル103に向けて加圧可能な接合治具である。ホーン105には、曲面状に形成された当接面109が形成されている。ホーン105の当接面109には、アンビル103に向けて荷重を加えた状態で、導体5が当接される。ホーン105は、導体5を加圧した状態で、超音波振動を発生することにより、端子3と導体5とを接合させる。
【0016】
端子接合用治具1は、アンビル103に配置された端子3を押さえる押さえ治具である。端子接合用治具1は、例えば、長方形状に形成された本体13を備えている。本体13は、導体5を挟んで端子3の幅方向の両側に一対設けられている。本体13は、アンビル103に配置された端子3に対して、近接及び離間する方向に移動可能であると共に、アンビル103に配置された導体5に対して、近接及び離間する方向に移動可能に配置されている。本体13は、少なくとも端子3と導体5とが接合される接合範囲Z(図4参照)より長い長さLを有している。このため、端子3と導体5との接合範囲Z内で端子3の配置位置が変動することを防止でき、端子3と導体5とを安定して接合することができる。
【0017】
本体13には、端子3と対向する部分に、対向面15が形成されている。対向面15は、平坦な平面状に形成されている。対向面15は、端子3と導体5とを接合するときに、本体13のアンビル103に向けた移動により、端子3に対して、超音波振動によって端子3の配置位置が変動しないように荷重を付与する。
【0018】
ここで、端子3の表面17は、母材の圧延や端子3の成形などによって、図3に示すように、微小な凹凸を有している。このような端子3の表面17に対して、平坦な平面状の対向面15を当接させてしまうと、本体13の加圧による端子3の表面17と対向面15との接圧が足りず、端子3の配置位置が変動してしまうことがある。そこで、対向面15には、突起19が設けられている。
【0019】
突起19は、対向面15から端子3に向けて突出されている。突起19は、対向面15に対して、複数設けられている。突起19は、例えば、対向面15にローレット加工などを施すことによって形成される。突起19の対向面15からの突出高さは、端子3の表面17の表面粗さより高く設定されている。なお、突起19の先端は、平坦な平面状、曲面状などであってもよく、突起19の全体形状を矩形状にした後、先端の角部を、面取りしてC面やR面としてもよい。
【0020】
突起19は、本体13が端子3を押さえたとき、先端が端子3の表面17に当接する。このとき、本体13の端子3への荷重が、突起19の先端に集中し、端子3の表面17と突起19との接圧が向上する。このため、本体13による端子3の接圧が向上し、端子3を安定して押さえることができる。加えて、突起19は、対向面15から突出されているので、どのようなサイズの端子3であっても、当接させることができ、様々な端子3(様々な接合装置101)に適用させることができ、端子接合用治具1の汎用性を向上することができる。さらに、突起19の突出高さは、端子3の表面粗さより高いので、突起19を確実に端子3に当接させることができ、端子3を安定して押さえることができる。
【0021】
なお、端子3と導体5との接合部分は、接合装置101から取り外された後、例えば、収縮チューブ、樹脂材、シートなどの防水部材(不図示)によって覆われる。接合部分を防水部材で覆うことにより、接合部分の防水性や絶縁性を保持することができる。
【0022】
このような端子接合用治具1では、端子3と導体5とを超音波接合によって接合するときに、端子3を押さえる本体13を備えている。そして、本体13は、端子3と対向して配置される対向面15と、対向面15から端子3に向けて突出された突起19とを有する。
【0023】
突起19は、本体13が端子3を押さえたとき、先端が端子3の表面17に当接する。このとき、本体13の端子3への荷重が、突起19の先端に集中し、端子3の表面17と突起19との接圧が向上する。このため、本体13による端子3の接圧が向上し、端子3を安定して押さえることができる。加えて、突起19は、対向面15から突出されているので、どのようなサイズの端子3であっても、当接させることができ、様々な端子3に適用させることができ、端子接合用治具1の汎用性を向上することができる。
【0024】
従って、このような端子接合用治具1では、端子3を安定して保持することができ、汎用性を向上することができる。
【0025】
また、突起19の突出高さは、端子3の表面粗さより高く設定されている。
【0026】
このため、突起19を確実に端子3に当接させることができ、端子3を安定して押さえることができる。
【0027】
また、本体13は、少なくとも端子3と導体5とが接合される接合範囲Zより長い長さLを有している。
【0028】
このため、端子3と導体5との接合範囲Z内で端子3の配置位置が変動することを防止でき、端子3と導体5とを安定して接合することができる。
【0029】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0030】
例えば、1つの端子に対して、1本(1組)の導体が接合されているが、これに限らず、例えば、ジョイント端子などのように、バスバなどの1つの端子に対して、複数本(複数組)の導体を接合してもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 端子接合用治具
3 端子
5 導体
13 本体
15 対向面
19 突起
L 本体の長さ
Z 接合範囲
図1
図2
図3
図4