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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168440
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   C08J 11/06 20060101AFI20241128BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20241128BHJP
   B29B 17/00 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
C08J11/06 ZAB
G01N21/27 A
B29B17/00
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085133
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(72)【発明者】
【氏名】福井 俊介
(72)【発明者】
【氏名】平松 忍
(72)【発明者】
【氏名】立浪 忠志
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 雅安
【テーマコード(参考)】
2G059
4F401
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB08
2G059EE02
2G059EE13
2G059FF01
2G059HH02
2G059KK04
2G059MM01
2G059MM03
2G059MM10
4F401CA02
4F401CA03
4F401CA21
4F401CA42
4F401DB01
(57)【要約】
【課題】リサイクル原料に応じてリサイクルプロセスを決定する。
【解決手段】リサイクル原料を構成する複数の原料要素の属性情報を取得する要素属性取得部220と、前記複数の原料要素の属性情報に基づき、前記リサイクル原料に適用するリサイクルプロセスを決定する決定部250と、を備える、情報処理システム。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リサイクル原料を構成する複数の原料要素の属性情報を取得する要素属性取得部と、
前記複数の原料要素の属性情報に基づき、前記リサイクル原料に適用するリサイクルプロセスを決定する決定部と、
を備える、情報処理システム。
【請求項2】
前記複数の原料要素の属性情報に基づき、前記リサイクル原料の属性を評価する原料評価部をさらに備え、
前記決定部は、前記原料評価部による評価結果に基づき、前記リサイクルプロセスを決定する、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記リサイクルプロセスの決定は、前記原料要素の選別の要否の決定を含む、請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記リサイクルプロセスの決定は、前記リサイクル原料への混入物の投入の有無の決定および投入量の決定を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記リサイクルプロセスの決定は、前記リサイクル原料の洗浄、脱水、乾燥、選別、調色または混練の少なくともいずれかの実行条件の決定を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記要素属性取得部は、前記複数の原料要素の各々の識別の結果に基づき、前記原料要素ごとの情報が格納されているデータベースを参照することで、前記複数の原料要素の各々についての前記属性情報を取得する、請求項1~5のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記原料要素の属性情報は、色、構成素材、または内容物に関する情報を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記属性情報は、撮像画像又は分光画像から得られる情報を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記決定部は、過去のリサイクル原料の属性の評価結果と、当該過去のリサイクル原料に適用されたリサイクルプロセスと、当該リサイクルプロセスにより形成された再生樹脂の特性または状態の関係性を利用して、前記リサイクル原料に適用するリサイクルプロセスを決定する、請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項10】
リサイクル原料を構成する複数の原料要素の属性情報を取得する取得工程と、
前記複数の原料要素の属性情報に基づき、前記リサイクル原料に適用するリサイクルプロセスを決定する決定工程と、
を含む、方法。
【請求項11】
前記リサイクル原料に対して前記決定工程において決定されたリサイクルプロセスを実行することにより再生資源を生成するリサイクル工程をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記決定工程における前記リサイクルプロセスの決定は、前記リサイクル原料の洗浄、脱水、乾燥、選別、調色または混練の少なくともいずれかの実行条件の決定を含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
請求項10~12のいずれか一項に記載の方法から得られた、リサイクル原料の再生物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護への関心の高まりから、リサイクルの普及が進んでいる。リサイクルにおいては、使用済みの容器などがリサイクル原料として回収され、リサイクル原料に洗浄、混練などのリサイクルプロセスを施すことにより、例えばペレットと呼ばれる粒状の再生樹脂が形成される。このようなリサイクルの方法に関しては、例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7237991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、リサイクル原料では、バージン材料と異なり、性質および状態などが不均一である。例えば、リサイクル原料では、色が不揃いであったり、物性が劣化していたりする。このため、一律的なリサイクルプロセスでは、リサイクルにより生成される製品を所望の仕様とすることが困難であった。
【0005】
本発明は、リサイクル原料に応じてリサイクルプロセスを決定する技術に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点は、リサイクル原料を構成する複数の原料要素の属性情報を取得する要素属性取得部と、前記複数の原料要素の属性情報に基づき、前記リサイクル原料に適用するリサイクルプロセスを決定する決定部と、を備える、情報処理システムに関する。
【発明の効果】
【0007】
以上説明したように本発明によれば、リサイクル原料に応じてリサイクルプロセスを決定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態によるリサイクルシステム1を示す説明図である。
図2】リサイクル設備10の概略構成を示す説明図である。
図3】本発明の一実施形態による情報処理装置20の構成を示す説明図である。
図4】属性情報データベースの具体例を示す説明図である。
図5】色情報の実測例を示す説明図である。
図6】本発明の一実施形態によるリサイクルシステム1の動作を示すフローチャートである。
図7】ハードウェア構成90を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0010】
<概要>
本発明の一実施形態は、情報処理システムに関し、特に、回収された使用済みの資源を、新たな製品の材料に再生するリサイクルシステムに関する。以下、このような本発明の一実施形態によるリサイクルシステムの概要を説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態によるリサイクルシステム1を示す説明図である。図1に示したように、リサイクルシステム1は、リサイクル設備10および情報処理装置20を有する。また、図1においては、複数の原料要素M(図1に示した例では、M1~M3)からなるリサイクル原料70を示している。原料要素Mは、フィルム容器のような軟包装容器、成形ボトル、または廃材などであってもよい。
【0012】
(リサイクル設備10)
リサイクル設備10は、リサイクル設備10に集められたリサイクル原料70を処理することで、ペレット80を形成する。ペレット80は粒状の再生樹脂(再生資源)である。ペレット80から、新たな製品に使用されるフィルムを生成することが可能である。
【0013】
図2は、リサイクル設備10の概略構成を示す説明図である。図2に示したように、リサイクル設備10は、光学機器110、洗浄破砕機120、溶融混練機130、冷却部140およびペレタイザー150を有する。
【0014】
光学機器110は、リサイクル原料70を構成する各原料要素Mから情報を読み取る機能を有する。例えば、光学機器110は、原料要素Mに形成されているJAN(Japanese Article Number)コード、二次元コード、製造番号または電子透かし、などを光学的に読み取ってもよい。または、光学機器110は、原料要素Mを撮像して原料要素Mの撮像画像を取得してもよい。光学機器110による情報の読み取り、または撮像の際には、原料要素Mは開いた状態であることが望ましいが、折れやくびれがある状態でもよい。情報の読み取り、または撮像の容易化のために、ロボットを用いて原料要素Mを整列させることも有効である。
【0015】
光学機器110は、属性取得として光学的情報を得るための属性取得装置の一例である。属性取得装置としては、取得したい属性に応じた装置を適用することができる。例えば、属性取得装置としては、分光装置、表面粗さ計、粘弾性装置などがあげられ、特に非接触型が好ましい。分光は可視光領域では識別できない方法の適用も有効である。
【0016】
洗浄破砕機120は、リサイクル原料70を洗浄しながらリサイクル原料70を破砕した後、リサイクル原料70の脱水および乾燥を行う。または、洗浄破砕機120は、リサイクル原料70を洗浄した後にリサイクル原料70を破砕してもよい。
【0017】
溶融混練機130は、洗浄破砕機120により得られた材料を、溶かしながら練り上げて、棒状に押し出す。溶融混練機130は、例えば、モータ、モータにより回転させられるスクリュー、吐出部、および吐出部とスクリューとの間に位置する樹脂溜まり部を有する。スクリューの回転により組成物が樹脂溜まり部へ押し出され、その後、吐出部から組成物が棒状に吐出される。
【0018】
冷却部140は、溶融混練機130から棒状に押し出された組成物を冷却する。例えば、冷却部140は、-5℃~10℃の範囲内の媒体が収容された容器であり、溶融混練機130から棒状に押し出された組成物が冷却部140を通過する過程で当該組成物を冷却する。冷却部140が収容する媒体は、水または液体窒素などであってもよい。
【0019】
ペレタイザー150は、冷却部140を介して供給された棒状の組成物を細断する。これにより、粒状の再生樹脂であるペレット80が形成される。
【0020】
ペレット80の形成後は、ペレット80を用いて、押し出し成形、ブロー成型及び射出成型等による成形加工を行うことができる。成形加工で得た成形加工品は、トイレタリー、化粧品、パーソナルケア用品及び食品等を目的としたパウチ容器及びボトル容器などの正立容器に加工することができる。
【0021】
(情報処理装置20)
情報処理装置20は、リサイクル設備10においてリサイクル原料70に適用されるリサイクルプロセスを決定する。例えば、情報処理装置20は、リサイクル原料70を構成する各原料要素Mの属性情報に基づき、リサイクル原料70に適用されるリサイクルプロセスを決定する。リサイクル設備10は、リサイクル原料70について、情報処理装置20により決定されたリサイクルプロセスを実行する。以下、このような情報処理装置20の構成をより具体的に説明する。
【0022】
<情報処理装置20の構成>
図3は、本発明の一実施形態による情報処理装置20の構成を示す説明図である。図3に示したように、本発明の一実施形態による情報処理装置20は、記憶部210と、要素属性取得部220と、原料評価部230と、比較部240と、決定部250と、を備える。
【0023】
(記憶部210)
記憶部210は、情報処理装置20の動作に用いられる多様なデータを記憶する。例えば、記憶部210は、各原料要素Mの属性情報を格納する属性情報データベース、および、リサイクル原料70の評価結果に応じたリサイクルプロセスを決定するためのデータ(例えば、ルールベースのデータベース、または、過去データを用いた機械学習により得られたモデル)を有してもよい。
【0024】
図4は、属性情報データベースの具体例を示す説明図である。属性情報データベースにおいては、JANコードと、色情報(R,G,B)と、構成素材情報と、内容物に含まれる化学物質と、内容物の粘度と、内容物のpHと、ブランドオーナーと、容器サプライヤーと、が関連付けられている。
【0025】
図示の例では、具体的には、JANコード「49xxxx1」と、色情報(R,G,B)「20,40,65」と、構成素材情報「PE:80% PET:20%」と、内容物に含まれる化学物質「塩素系化合物」と、内容物の粘度「V1」と、内容物のpH「7」と、ブランドオーナー「ブランドオーナーA」と、容器サプライヤー「サプライヤーX」と、が関連付けられている。
【0026】
色情報(R,G,B)は、原料要素Mの平均的な色味を示す情報である。例えば、原料要素MのピクセルごとのRGB値の平均値が事前に計算され、当該計算の結果が色情報(R,G,B)として属性情報データベースに格納されていてもよい。例えば、図5には原料要素M1の全体図(図面の見易さの観点から色表現を省略)と部分拡大図を示しており、原料要素M1について、ピクセルP1およびピクセルP2など、ピクセルごとのRGB値の平均値が、原料要素M1の色情報(R,G,B)として扱われてもよい。なお、色情報は、Lab値、Hex、CMYKまたはXYZなど、RGB値以外のカラーコード形式で表現されてもよい。なお、色情報(R,G,B)は、原料要素Mから得られたペレット80の色の実測結果であってもよい。
【0027】
構成素材情報は、原料要素Mを構成する素材に関する情報である。図4には、構成素材情報として、原料要素Mを構成する素材、および各素材の重量比率を示す情報を示している。他の例として、構成素材情報は、原料要素Mを構成する素材の分子量分布の大きさ、原料要素Mを構成する素材のMFRの大きさ、結晶化度、分子量、密度などを示す情報であってもよい。
【0028】
内容物に含まれる化学物質、内容物の粘度および内容物のpHは、原料要素Mに収容される内容物に関する情報の一例である。
【0029】
ブランドオーナーは、原料要素Mを用いた製品を販売する事業者である。容器サプライヤーは、原料要素Mを製造する事業者である。
【0030】
属性情報データベースは、上述した情報のうちの一部の情報を有していなくもよいし、他の情報を有してもよい。例えば、属性情報データベースは、原料要素Mの販売日を示す情報、原料要素Mの形状を示す情報、原料要素Mが用いられる製品の製品カテゴリを示す情報、原料要素Mの大きさを示す情報、原料要素Mの重量を示す情報などを有していてもよい。また、属性情報データベースは、原料要素Mがペレット化された際に原料要素Mがどのような色になるかの予測結果を示す情報を有していてもよい。
【0031】
また、上記では、JANコードに各属性情報が関連付けられる例を説明したが、各属性情報は、製造番号または製品名などの他の識別情報に関連付けられてもよい。本明細書では、JANコードに各属性情報が関連付けられる例を主に想定して説明を続ける。
【0032】
(要素属性取得部220)
要素属性取得部220は、リサイクル原料70を構成する複数の原料要素Mの各々の属性情報を取得する。例えば、要素属性取得部220は、各原料要素Mの識別結果としてリサイクル設備10の光学機器110から各原料要素MのJANコードを取得し、記憶部210が記憶する属性情報データベースにおいて当該JANコードに関連付けられている属性情報を取得してもよい。
【0033】
また、要素属性取得部220は、属性情報データベースを参照せずに原料要素Mの属性情報を取得してもよい。例えば、色情報の取得に関しては、要素属性取得部220は、リサイクル設備10の光学機器110から各原料要素Mの撮像画像を取得し、各原料要素Mの撮像画像から各原料要素MのRGB値を取得してもよい。その際、要素属性取得部220は、原料要素Mの撮像画像にフィルター処理を施した後に各ピクセルのRGB値を特定し、各ピクセルのRGB値の平均値を算出してもよい。フィルター処理は、埃、傷、浪打等の色味に誤差を生じさせる可能性のある状態の影響を抑制するために有効である。
【0034】
(原料評価部230)
原料評価部230は、要素属性取得部220により取得された複数の原料要素Mの属性情報に基づき、リサイクル原料70の属性を評価する。原料評価部230は、複数の原料要素Mの属性情報の平均処理または集計処理により、リサイクル原料70の属性を評価してもよい。
【0035】
例えば、色情報に関し、要素属性取得部220は、複数の原料要素Mの各々のRGB値の単純平均の結果であるRGB値を、リサイクル原料70の属性の評価値(評価結果)として取得してもよい。要素属性取得部220は、単純平均に変えて、個々の原料要素Mの種類または形状などに基づいて重み付け平均を適用することも可能である。
【0036】
また、原料評価部230は、構成素材情報に関し、複数の原料要素Mの各々の各構成素材の重量比率を単純平均してリサイクル原料70の属性を評価してもよいし、複数の原料要素Mの各々の重量を加味して各構成素材の重量比率を重み付け平均してリサイクル原料70の属性を評価してもよい。この場合、例えば、PE:80%、PET:10%、Ny:10%のような評価値が取得され得る。または、原料評価部230は、特定の素材が使用されている原料要素Mと特定の素材が使用されていない原料要素Mの枚数比率を取得してもよい。この場合、例えば、アルミニウムが使用されている原料要素M:10%、アルミニウムが使用されていない原料要素M:90%のような評価値が取得され得る。また、原料評価部230は、ポリマーの組成情報に関連して、組成式に関連した情報だけでなく、分子量または分子量分布に着目した情報、および結晶化度または密度に関連した情報などをリサイクル原料70の属性の評価値として取得してもよい。
【0037】
また、原料評価部230は、内容物に関し、複数の原料要素Mの各々の内容物の粘度またはpHなどの平均値をリサイクル原料70の属性の評価値として取得してもよい。または、原料評価部230は、特定の化合物が使用されていた複数の原料要素Mの各々の原料要素Mの割合、原料要素Mの製品カテゴリごとの割合などをリサイクル原料70の属性の評価値として取得してもよい。
【0038】
(比較部240)
比較部240は、原料評価部230により取得されたリサイクル原料70の属性の評価値と、リファレンス値とを比較する。リファレンス値は、所望のペレット80を得るために望まれる属性の値である。比較部240は、比較結果を所定のルールに従って等級評価してもよい。
【0039】
例えば、比較部240は、色情報に関し、リサイクル原料70の色情報の評価値(R,G,B)が「20,55,10」であり、色情報のリファレンス値(R,G,B)が「30,50,20」である場合、評価値(R,G,B)-リファレンス値(R,G,B)の演算により、「-10,5,-10」を比較結果として取得する。さらに、比較部240は、RGBの少なくともいずれかの差分値が2ケタである場合には比較結果を低グレードと評価し、全ての差分値が1ケタ以内である場合には比較結果を高グレードと評価してもよい。また、比較部240は、マッピング上での評価値(R,G,B)とリファレンス値(R,G,B)との距離を比較結果として取得してもよい。
【0040】
また、比較部240は、構成素材情報に関し、リサイクル原料70の構成素材情報の評価値が「PE:80%、PET:10%、Ny:10%」であり、構成素材情報のリファレンス値が「PE:90%、Ny:10%」である場合、評価値-リファレンス値の演算により、「PE:-10%、PET:10%、Ny:0%」を比較結果として取得する。さらに、比較部240は、各素材の差分の絶対値の合計が0%以上かつ5%未満である場合には第10グレードと評価し、5%以上かつ10%未満である場合には第9グレードと評価し、以下同様に第8グレード、第7グレード、・・・と評価してもよい。当該ルールによれば、上記の「PE:80%、PET:10%、Ny:10%」は第6グレードと評価され、「PE:85%、Ny:15%」は第8グレードと評価される。
【0041】
また、比較部240は、リサイクル原料70においてアルミニウムが使用されていない原料要素M:95%(評価値)であり、当該項目についてのリファレンス値が99.9%である場合、評価値-リファレンス値の絶対値の演算により、「4.9%」を比較結果として取得する。さらに、比較部240は、比較結果が0%以上かつ1%未満である場合には第10グレードと評価し、1%以上かつ2%未満である場合には第9グレードと評価し、以下同様に第8グレード、第7グレード、・・・と評価してもよい。当該ルールによれば、上記のアルミニウムが使用されていない原料要素M:95%は第6グレードと評価され、アルミニウムが使用されていない原料要素M:100%は第10グレードと評価される。
【0042】
また、比較部240は、内容物に関し、リサイクル原料70において塩素系化合物を含む内容物が充填されていた原料要素Mの割合が「10%」(評価値)であり、当該項目についてのリファレンス値が「1%」である場合、評価値-リファレンス値の演算により、「9%」を比較結果として取得する。さらに、比較部240は、比較結果が0%以上かつ1%未満である場合には第10グレードと評価し、1%以上かつ2%未満である場合には第9グレードと評価し、以下同様に第8グレード、第7グレード、・・・と評価してもよい。当該ルールによれば、上記の割合「10%」は第1グレードと評価される。
【0043】
また、比較部240は、リサイクル原料70のpHの評価値が「9」であり、pHのリファレンス値が「7」である場合、評価値-リファレンス値の演算により、「2」を比較結果として取得する。さらに、比較部240は、比較結果が0以上かつ0.5未満である場合には第10グレードと評価し、0.5以上かつ1未満である場合には第9グレードと評価し、以下同様に第8グレード、第7グレード、・・・と評価してもよい。当該ルールによれば、上記のpHの評価値「9」は第6グレードと評価される。
【0044】
上記では、比較部240が所定のルールに従ってリサイクル原料70の等級評価を行う例を説明したが、比較部240は、機械学習により得られたモデルを用いてリサイクル原料70の等級評価を行ってもよい。例えば、上記モデルは、リサイクル原料70の属性の評価値、リファレンス値および等級が関連付けられたデータを教師データとして用いた機械学習により得られたモデルであってもよく、リサイクル原料70の属性の評価値およびリファレンス値の入力に基づいて、等級を出力してもよい。
【0045】
(決定部250)
決定部250は、リサイクル原料70の属性の評価値と、リファレンス値との比較部240による比較の結果または等級評価の結果に基づき、リサイクル原料70に適用するリサイクルプロセスを決定する。比較部240による比較の結果はリサイクル原料70の属性の評価値に基づいており、リサイクル原料70の属性の評価値は複数の原料要素Mの属性情報に基づいている。このため、決定部250は、リサイクル原料70に適用するリサイクルプロセスを、複数の原料要素Mの属性情報またはリサイクル原料70の属性の評価値に基づいて決定するとも言える。
【0046】
リサイクルプロセスの決定は、原料要素Mの選別の要否の決定、リサイクル原料70への混入物の投入の有無の決定および投入量の決定を含んでもよい。また、リサイクルプロセスの決定は、リサイクル原料70の洗浄、脱水、乾燥または混練の少なくともいずれかの実行条件の決定を含んでもよい。リサイクル設備10は、決定部250により決定されたリサイクルプロセスに従ってリサイクル原料70のリサイクルを実行する。具体的には、情報処理装置20からリサイクル設備10へリサイクルプロセスの実行のためのパラメータが出力され、リサイクル設備10は、当該パラメータに従って洗浄破砕機120、溶融混練機130、冷却部140またはペレタイザー150などにおける処理を制御してもよい。
【0047】
決定部250は、過去のリサイクル原料の属性の評価結果と、当該過去のリサイクル原料に適用されたリサイクルプロセスと、当該リサイクルプロセスにより形成された再生樹脂の特性または状態の関係性を利用して上記のリサイクルプロセスの決定を行ってもよい。例えば、決定部250は、上記のリサイクルプロセスの決定を、比較部240による比較の結果または等級評価の結果と、記憶部210に記憶されているルールベースのデータベース、または、過去データを用いた機械学習により得られたモデルを用いて行い得る。例えば、上記モデルは、リサイクル原料70の属性の評価結果と、リサイクル原料70に適用したリサイクルプロセスと、形成されたペレット80の特性または状態などの過去データと、を教師データとして用いた機械学習により得られたモデルであり、リサイクル原料70の属性の評価結果と所望のペレット80の特性または状態などが入力されると、リサイクル原料70に適用するべきリサイクルプロセスを出力してもよい。なお、決定部250は、いずれか1つの属性についての比較の結果または等級評価の結果に基づいてリサイクルプロセスの決定を行ってもよいし、複数の属性についての比較の結果または等級の評価の結果に基づいてリサイクルプロセスの決定を行ってもよい。また、上記モデルは、上述した比較部240の機能を包含していてもよい。例えば、上記モデルは、リサイクル原料70の属性の評価値、リファレンス値およびリサイクルプロセスが関連付けられたデータを教師データとして用いた機械学習により得られたモデルであってもよく、リサイクル原料70の属性の評価値およびリファレンス値の入力に基づいて、リサイクルプロセスを出力してもよい。
【0048】
例えば、決定部250は、色情報についての等級評価の結果が高グレードであるリサイクル原料70には、特段の色調整が不要であると考えられることから、当該リサイクル原料70に所定のリサイクルプロセスを適用することを決定してもよい。一方、決定部250は、色情報についての等級評価の結果が低グレードである場合には、色情報の評価値とリファレンス値との差分がRGBのいずれにおいても1桁となるように、原料要素Mの選別、色材の混入、または混練条件などを決定してもよい。実際、このように決定されたリサイクルプロセスに従って得られたペレット80を用いることで、所望の色味を有するシートを製作することができた。また、このようなシートを用いることで、所望とする外観のパウチを製作することができた。なお、原料要素Mの選別に関し、リサイクル設備10は、光学機器110による各原料要素Mの認識結果に基づいて各原料要素Mを選別する選別機を有していてもよい。選別機は、例えば、リファレンス値との差分が2桁であるRGB値を有する原料要素Mをリサイクル原料70から取り除いてもよい。
【0049】
また、決定部250は、構成素材情報についての等級評価の結果が高グレード(例えば、第8グレード以上)であるリサイクル原料70には、特段の素材調整が不要であると考えられることから、当該リサイクル原料70に所定のリサイクルプロセスを適用することを決定してもよい。一方、構成素材情報についての等級評価の結果が低グレード(例えば、第7グレード以下)であるリサイクル原料70に所定のリサイクルプロセスを画一的に適用すると、異物が発生する、所望の特性を有するペレット80が形成されない、などの恐れがある。そこで、決定部250は、構成素材情報についての等級評価の結果が低グレードである場合には、比較部240による比較の結果に応じて、原料要素Mの選別、他の廃材の混入、リサイクル方法(メカニカル、ケミカルなど)の変更、混練条件の変更、添加物の使用などを決定してもよい。実際、このように決定されたリサイクルプロセスに従ってリサイクル設備10がリサイクル原料70のリサイクルを行うことにより、良好な機械特性を有するペレット80を得ることができた。
【0050】
より具体的な例として、決定部250は、PEの割合に関するリサイクル原料70の評価結果が基準を下回る場合には、所定量を上回る相溶化剤量を添加することを決定してもよい。なお、決定部250は、リサイクル原料70の属性の評価結果または等級評価の結果などに基づいて、ペレット80からシートまたはパウチなどを製作する際の成型方法も決定し得る。例えば、決定部250は、MFR(Melt mass-flow rate)に関するリサイクル原料70の属性の評価結果が基準を上回る場合には、当該リサイクル原料70から形成されたペレット80を用いたシートまたはパウチなどの製作には、インフレ成形を適用することを決定してもよい。
【0051】
また、内容物についての等級評価の結果が高グレード(例えば、第8グレード以上)であるリサイクル原料70には、特段の調整が不要であると考えられることから、当該リサイクル原料70に所定のリサイクルプロセスを適用することを決定してもよい。
リサイクルプロセスは、リサイクル原料の操作プロセスであり、洗浄、脱水、乾燥、選別、調色、混練などがある。また、リサイクルプロセスとしては、改質剤添加、脱臭、pH調整、破砕、粉砕、ろ過、溶解、分解、燃焼、他の樹脂との混合など挙げることができる。一方、内容物についての等級評価の結果が低グレード(例えば、第7グレード以下)であるリサイクル原料70に所定のリサイクルプロセスを画一的に適用すると、異臭が発生する、不純物が増える、などの恐れがある。そこで、決定部250は、内容物についての等級評価の結果が低グレードである場合には、比較部240による比較の結果に応じて、原料要素Mの選別、洗浄条件の変更、脱臭プロセスの追加、リサイクル方法(メカニカル、ケミカルなど)の変更、混練条件の変更などを決定してもよい。実際、このように決定されたリサイクルプロセスに従ってリサイクル設備10がリサイクル原料70のリサイクルを行うことにより、良好な衛生性を有するペレット80を得ることができた。
【0052】
より具体的な例として、決定部250は、内容物のpHに関するリサイクル原料70の等級評価の結果が低グレードである場合、リサイクル原料70を酸で洗浄することを決定してもよい。また、決定部250は、内容物の粘度に関するリサイクル原料70の等級評価の結果が低グレードである場合、洗浄で用いる水量を所定の水量よりも多くすることを決定してもよい。また、内容物の香料成分に関するリサイクル原料70の等級評価の結果が低グレードである場合、決定部250は、乾燥時間を所定の乾燥時間よりも長くすることを決定してもよい。また、リサイクル原料70におけるPETの割合が基準を上回る場合には、混練の実行温度を所定の温度よりも高くすることを決定してもよい。
【0053】
<動作>
以上、本発明の一実施形態による情報処理装置20の構成を説明した。続いて、図6を参照し、本発明の一実施形態によるリサイクルシステム1の動作を整理する。
【0054】
図6は、本発明の一実施形態によるリサイクルシステム1の動作を示すフローチャートである。図6に示したように、まず、リサイクル原料70の回収が行われる(S304)。リサイクル原料70を構成する各原料要素Mの内容物は使い切られた状態で、簡単な洗浄が施されていてもよい。各原料要素Mの向き、開き具合、色味、文字、画像などには画一性がないことが想定される。リサイクル原料70は、ボトルのような各種成形体、および電化製品のようなリサイクル材を含んでもよい。ここで、次工程の識別を容易にするために、更なる洗浄が行われてもよい。洗浄により異物が排除されると、認識の精度が向上することが期待される。
【0055】
リサイクル原料70では、軟包装材及び成形体は分けてあった方がより好ましい。また、素材的にも初期の段階でなるべく類似の分類が行われている方が良い。特にリサイクル原料70は複合材料よりもモノマテリアルな材料の方が認識精度は向上する。
【0056】
続いて、リサイクル設備10の光学機器110が、リサイクル原料70を構成する各原料要素Mを識別する(S308)。例えば、光学機器110は、原料要素Mに形成されているJANコードを光学的に識別し、識別結果を情報処理装置20に出力してもよい。
【0057】
そして、情報処理装置20の要素属性取得部220が、光学機器110から各原料要素Mの識別結果を取得し、記憶部210が記憶する属性情報データベースにおいて当該識別結果に関連付けられている属性情報を取得する(S312)。
【0058】
その後、情報処理装置20の原料評価部230が、要素属性取得部220により取得された複数の原料要素Mの属性情報に基づき、リサイクル原料70の属性を評価する(S316)。原料評価部230は、複数の原料要素Mの属性情報の平均処理または集計処理により、リサイクル原料70の属性を評価してもよい。
【0059】
そして、情報処理装置20の比較部240が、原料評価部230により取得されたリサイクル原料70の属性の評価値と、リファレンス値とを比較する(S320)。
【0060】
続いて、情報処理装置20の決定部250は、リサイクル原料70の属性の評価値と、リファレンス値との比較部240による比較の結果または等級評価の結果に基づき、リサイクル原料70に適用するリサイクルプロセスを決定する(S324)。例えば、決定部250は、着目する少なくとも1の属性についての等級評価の結果が高グレードである場合には、リサイクル原料70に所定のリサイクルプロセスを適用することを決定してもよい。一方、決定部250は、着目する少なくとも1の属性についての等級評価の結果が低グレードである場合には、所定のリサイクルプロセスと異なるリサイクルプロセスを適用することを決定してもよい。
【0061】
その後、リサイクル設備10が、決定部250により決定されたリサイクルプロセスを実行することで、ペレット80が形成される(S328)。
【0062】
<作用効果>
上述した本発明の一実施形態によれば、多様な作用効果が得られる。例えば、本発明の一実施形態によれば、リサイクル原料70に適用されるリサイクルプロセスが、リサイクル原料70を構成する原料要素Mの属性情報に基づいて決定される。かかる構成によれば、特段の調整無しに画一的な所定のリサイクルプロセスを適用した場合には所望のペレット80が得られないリサイクル原料70からも、所望のペレット80を形成することが可能である。結果、ペレット80から製作したシートなどに安定的に画像処理をできる、パウチのような再生容器の外観調整が容易になる、などの効果も期待される。
【0063】
また、本発明の一実施形態によれば、複数の原料要素Mの属性情報に基づいてリサイクル原料70の属性が評価され、当該評価の結果に基づいてリサイクル原料70に適用されるリサイクルプロセスが決定される。個々の原料要素Mの属性情報がリサイクル原料70全体の属性に影響を与えるので、当該手法によりリサイクル原料70の属性を適切に評価することが可能である。
【0064】
また、リサイクル原料70に適用されるリサイクルプロセスの決定は、原料要素Mの選別の要否を含む。例えば、リサイクル原料70の属性の評価結果と所望する属性との差分が閾値を上回る場合には、所望する属性からリサイクル原料70の属性を離れさせる原料要素Mを取り除く選別を行うことにより、形成されるペレット80を所望の特性または状態などに近づけることが可能である。
【0065】
また、リサイクル原料70に適用されるリサイクルプロセスの決定は、リサイクル原料70への混入物の投入の有無の決定および投入量の決定を含む。混入物としては、色材、添加物または廃材などが挙げられる。例えば、決定部250は、リサイクル原料70の属性の評価結果と所望する属性との差分が閾値を上回る場合には、リサイクル原料70と混入物を合わせた属性が所望の属性に近づくような混入物の投入を決定することが可能である。
【0066】
また、リサイクル原料70に適用されるリサイクルプロセスの決定は、リサイクル原料70の洗浄、脱水、乾燥または混練の少なくともいずれかの実行条件の決定を含む。例えば、リサイクル原料70の属性の評価結果と所望する属性との差分が閾値を上回る場合には、洗浄、脱水、乾燥または混練の少なくともいずれかの実行条件を調整することで、形成されるペレット80を所望の特性または状態などに近づけることが可能である。また、リサイクルプロセスにおける安全性、洗浄効率の向上などの効果も期待される。
【0067】
また、本発明の一実施形態においては、要素属性取得部220が、複数の原料要素Mの各々の識別の結果に基づき、原料要素Mごとの情報が格納されている属性情報データベースを参照することで、複数の原料要素Mの各々についての属性情報を取得する。かかる構成によれば、都度、原料要素Mの属性を詳細に分析する必要がないので、処理効率が向上する。
【0068】
また、本発明の一実施形態においては、原料要素Mの属性情報は、色、分光、構成素材、または内容物に関する情報を含む。原料要素Mの色は形成されるペレット80の色に影響し、原料要素Mの構成素材は形成されるペレット80の物性に影響し、原料要素Mの内容物は形成されるペレット80に(または、リサイクル過程で)生じる匂いまたは異物などに影響する可能性があるので、これらの属性情報を考慮することは有用である。
【0069】
また、本発明の一実施形態においては、決定部250は、過去のリサイクル原料70の属性の評価結果と、当該過去のリサイクル原料70に適用されたリサイクルプロセスと、当該リサイクルプロセスにより形成されたペレット80の特性または状態を教師データとして用いた機械学習により得られたモデルを用いて、前記リサイクル原料に適用するリサイクルプロセスを決定する。かかる構成によれば、リサイクル原料70から実際にペレット80を形成する前に、どのようなペレット80が形成されるかを予測することが可能であるので、リサイクル原料70から試験的にペレット80またはシートなどを作成するための多大な労力を削減することが可能である。
【0070】
<変形例>
以上、本発明の一実施形態を説明した。以下では、上述した実施形態の幾つかの変形例を説明する。なお、以下に説明する各変形例は、単独で上述した実施形態に適用されてもよいし、組み合わせで上述した実施形態に適用されてもよい。また、各変形例は、上述した実施形態の構成に代えて適用されてもよいし、上述した実施形態の構成に対して追加的に適用されてもよい。
【0071】
例えば、決定部250は、色、構成素材、または内容物に関する情報以外の属性情報に基づいてリサイクル原料70に適用されるリサイクルプロセスを決定することも可能である。具体的には、決定部250は、ブランドオーナー、またはサプライヤーについてのリサイクル原料70の等級の評価結果に基づいて、リサイクル原料70に適用されるリサイクルプロセスを決定してもよい。特に、決定部250は、ブランドオーナーまたはサプライヤーが特定の事業者でない原料要素Mの割合が上限を上回る場合には、ブランドオーナーまたはサプライヤーが特定の事業者でない原料要素Mの割合が上限以下となるように原料要素Mを選別することを決定してもよい。
【0072】
また、決定部250は、販売日についてのリサイクル原料70の等級の評価結果に基づいて、リサイクル原料70に適用されるリサイクルプロセスを決定してもよい。例えば、決定部250は、販売日が10年以上前である原料要素Mの割合が上限を上回る場合には、販売日が10年以上前である原料要素Mの割合が上限以下となるように原料要素Mを選別することを決定してもよい。
【0073】
また、光学機器110が各原料要素Mの撮像画像を取得する場合、要素属性取得部220は、各原料要素Mの撮像画像から各原料要素Mの色情報を取得可能である。このように撮像画像から取得された色情報と、属性情報データベースから取得された色情報とには相違があることが考えられる。このため、リサイクル設備10は当該相違を検出し、ユーザは、検出された相違を、どのようなことが原因で原料要素Mの色が変化するかを考察するための材料に活かすことが可能である。または、リサイクル設備10は、検出された相違と、原料要素Mの回収方法、回収時期などの多様な条件とが関連付けられたデータを教師データとして用いた機械学習により、条件が入力されると色情報の補正パラメータを出力する補正モデルを生成してもよい。この場合、光学機器110は、属性情報データベースから取得された各原料要素Mの色情報を、当該補正モデルから出力された補正パラメータを用いて補正してもよい。または、リサイクル設備10は、検出された相違に繋がる要因が不明である場合には、教師無し機械学習によりクラスターを作成し、クラスターのインクの性質など、色味に与える要因を学習して色情報の補正に反映させてもよい。
【0074】
<ハードウェア構成>
以上、本発明の実施形態を説明した。上述したリサイクル原料70の評価、リサイクルプロセスの決定などの情報処理は、ソフトウェアと、ハードウェアとの協働により実現される。以下、情報処理装置20に適用され得るハードウェア構成例を説明する。
【0075】
図7は、ハードウェア構成90を示した説明図である。図7に示したように、ハードウェア構成90は、CPU(Central Processing Unit)901と、ROM(Read Only Memory)902と、RAM(Random Access Memory)903と、入力装置908と、出力装置910と、メモリ装置911と、撮像装置913と、通信装置915とを備える。
【0076】
CPU901は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従ってハードウェア構成90内の動作全般を制御する。また、CPU901は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM902は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM903は、CPU901の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバスにより相互に接続されている。これらCPU901、ROM902およびRAM903とソフトウェアとの協働により、情報処理装置20の要素属性取得部220、原料評価部230、比較部240および決定部250などの機能が実現され得る。
【0077】
入力装置908は、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、スイッチおよびレバーなどユーザが情報を入力するための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路などから構成されている。ユーザは、該入力装置908を操作することにより、各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0078】
出力装置910は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置およびランプなどの表示装置を含む。さらに、出力装置910は、スピーカおよびヘッドホンなどの音声出力装置を含む。例えば、表示装置は、撮像された画像や生成された画像などを表示する。一方、音声出力装置は、音声データ等を音声に変換して出力する。
【0079】
メモリ装置911は、データ格納用の装置であり、情報処理装置20の記憶部210などに対応する。メモリ装置911は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含んでもよい。このメモリ装置911は、CPU901が実行するプログラムや各種データを格納する。
【0080】
撮像装置913は、光を集光する撮影レンズおよびズームレンズなどの撮像光学系、およびCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサまたはCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)イメージセンサなどの信号変換素子を備える。撮像光学系は、被写体から発せられる光を集光して信号変換部に被写体像を形成し、信号変換素子は、形成された被写体像を電気的な画像信号に変換する。
【0081】
通信装置915は、例えば、ネットワークに接続するための通信デバイス等で構成された通信インタフェースである。また、通信装置915は、無線LAN(Local Area Network)対応通信装置であっても、LTE(Long Term Evolution)(登録商標)対応通信装置であっても、有線による通信を行うワイヤー通信装置であってもよい。
【0082】
<補足>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的範囲はかかる例に限定されない。本発明の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0083】
さらに、上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の技術を開示する。
【0084】
<1>
リサイクル原料を構成する複数の原料要素の属性情報を取得する取得工程と、
前記複数の原料要素の属性情報に基づき、前記リサイクル原料に適用するリサイクルプロセスを決定する決定工程と、を含む、リサイクル原料の再生方法。
<2>
リサイクル原料を構成する複数の原料要素の属性情報を取得する取得工程と、
前記複数の原料要素の属性情報に基づき、前記リサイクル原料に適用するリサイクルプロセスを決定する決定工程と、を含む、リサイクル原料の再生方法により得られた、再生物。
<3>
リサイクル原料を構成する複数の原料要素の属性情報を取得する要素属性取得部と、
前記複数の原料要素の属性情報に基づき、前記リサイクル原料に適用するリサイクルプロセスを決定する決定部と、
を備える、情報処理システム
<4>
前記リサイクルプロセスを決定することは、前記リサイクル原料の構成素材に関する属性情報に基づいて、前記リサイクル原料の選別プロセスを決定することを含む、前記<1>~<3>のいずれか一項に記載の再生方法、再生物または情報処理システム。
<5>
前記リサイクルプロセスを決定することは、前記リサイクル原料のブランドオーナーに関する属性情報に基づいて、前記リサイクル原料の選別プロセスを決定することを含む、前記<1>~<3>のいずれか一項に記載の再生方法、再生物または情報処理システム。
<6>
前記リサイクルプロセスを決定することは、前記リサイクル原料の構成素材に関する属性情報に基づいて、前記リサイクル原料の混練プロセスを決定することを含む、前記<1>~<3>のいずれか一項に記載の再生方法、再生物または情報処理システム。
<7>
前記リサイクルプロセスを決定することは、前記リサイクル原料の構成素材に関する属性情報に基づいて、添加剤配合プロセスを決定することを含む、前記<1>~<3>のいずれか一項に記載の再生方法、再生物または情報処理システム。
<8>
前記リサイクルプロセスを決定することは、前記リサイクル原料の構成素材に関する属性情報に基づいて、ろ過プロセスを決定することを含む、前記<1>~<3>のいずれか一項に記載の再生方法、再生物または情報処理システム。
<9>
前記リサイクルプロセスを決定することは、前記リサイクル原料の構成素材に関する属性情報に基づいて、調色プロセスを決定することを含む、前記<1>~<3>のいずれか一項に記載の再生方法、再生物または情報処理システム。
<10>
前記リサイクルプロセスを決定することは、前記リサイクル原料の内容物に関する属性情報に基づいて、洗浄および除去プロセスを決定することを含む、前記<1>~<3>のいずれか一項に記載の再生方法、再生物または情報処理システム。
【符号の説明】
【0085】
1 リサイクルシステム
10 リサイクル設備
110 光学機器
120 洗浄破砕機
130 溶融混練機
140 冷却部
150 ペレタイザー
20 情報処理装置
210 記憶部
220 要素属性取得部
230 原料評価部
240 比較部
250 決定部
70 リサイクル原料
80 ペレット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-09-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リサイクル原料を構成する複数の原料要素の属性情報を取得する要素属性取得部と、
前記複数の原料要素の属性情報に基づき、前記リサイクル原料に適用するリサイクルプロセスを決定する決定部と、
を備える、情報処理システム。
【請求項2】
前記複数の原料要素の属性情報に基づき、前記リサイクル原料の属性を評価する原料評価部をさらに備え、
前記決定部は、前記原料評価部による評価結果に基づき、前記リサイクルプロセスを決定する、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記リサイクルプロセスの決定は、前記原料要素の選別の要否の決定を含む、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記リサイクルプロセスの決定は、前記リサイクル原料への混入物の投入の有無の決定および投入量の決定を含む、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記リサイクルプロセスの決定は、前記リサイクル原料の洗浄、脱水、乾燥、選別、調色または混練の少なくともいずれかの実行条件の決定を含む、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記要素属性取得部は、前記複数の原料要素の各々の識別の結果に基づき、前記原料要素ごとの情報が格納されているデータベースを参照することで、前記複数の原料要素の各々についての前記属性情報を取得する、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記原料要素の属性情報は、色、構成素材、または内容物に関する情報を含む、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記属性情報は、撮像画像又は分光画像から得られる情報を含む、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記決定部は、過去のリサイクル原料の属性の評価結果と、当該過去のリサイクル原料に適用されたリサイクルプロセスと、当該リサイクルプロセスにより形成された再生樹脂の特性または状態の関係性を利用して、前記リサイクル原料に適用するリサイクルプロセスを決定する、請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項10】
リサイクル原料を構成する複数の原料要素の属性情報を取得する取得工程と、
前記複数の原料要素の属性情報に基づき、前記リサイクル原料に適用するリサイクルプロセスを決定する決定工程と、
を含む、方法。
【請求項11】
前記リサイクル原料に対して前記決定工程において決定されたリサイクルプロセスを実行することにより再生資源を生成するリサイクル工程をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記決定工程における前記リサイクルプロセスの決定は、前記リサイクル原料の洗浄、脱水、乾燥、選別、調色または混練の少なくともいずれかの実行条件の決定を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
請求項10~12のいずれか一項に記載の方法から得られた、リサイクル原料の再生物。