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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168455
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】屋根構造体
(51)【国際特許分類】
   E04B 7/14 20060101AFI20241128BHJP
   E04F 10/08 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
E04B7/14
E04F10/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085159
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000250432
【氏名又は名称】理研軽金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100157912
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 健
(74)【代理人】
【識別番号】100074918
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬川 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】芦名 誠
【テーマコード(参考)】
2E105
【Fターム(参考)】
2E105FF02
2E105FF06
2E105FF13
2E105FF24
2E105FF26
2E105GG02
2E105GG13
(57)【要約】
【課題】部品点数を減らし、施工も容易な屋根構造体を提供する。
【解決手段】梁70の下方に取り付けられる屋根構造体10であって、屋根本体11と、前記屋根本体11を前記梁70に吊り支持するための支持部20と、を備え、前記屋根本体11は、複数の屋根材12を所定方向に並べて互いに接合して形成されており、前記複数の屋根材12は、前記支持部20に直接固定されたものと、前記支持部20に直接固定されていないものとを含むようにした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
梁の下方に取り付けられる屋根構造体であって、
屋根本体と、
前記屋根本体を前記梁に吊り支持するための支持部と、
を備え、
前記屋根本体は、複数の屋根材を所定方向に並べて互いに接合して形成されており、
前記複数の屋根材は、前記支持部に直接固定されたものと、前記支持部に直接固定されていないものとを含む、
屋根構造体。
【請求項2】
隣り合う前記屋根材は、一方に設けられた第1接合部と他方に設けられた第2接合部との係合によって互いに接合されており、
前記第1接合部と前記第2接合部との係合のみによって、隣り合う前記屋根材の下面が平面状となる状態を維持可能である、
請求項1に記載の屋根構造体。
【請求項3】
2つの前記屋根材が係合した状態から係合箇所を支点として一方の前記屋根材を上方に回動させることで係合が解除される、
請求項1に記載の屋根構造体。
【請求項4】
前記支持部は、前記屋根材の長手方向と直交する方向に延びる長尺の取付部材を備え、
前記取付部材と前記屋根材とは、互いに間隔をあけて固定されている、
請求項1に記載の屋根構造体。
【請求項5】
前記取付部材と前記屋根材との間に筒状のスペーサを配置し、
前記スペーサの内部を貫通するボルトによって、前記取付部材と前記屋根材とを固定した、
請求項4に記載の屋根構造体。
【請求項6】
前記支持部は、前記梁から下方に突出する垂下部を備え、
前記屋根本体は、前記垂下部の下方に吊り支持されており、
異なる長さの前記垂下部を組み合わせて使用することで前記屋根本体を傾斜させた、
請求項1に記載の屋根構造体。
【請求項7】
前記支持部は、前記屋根材の長手方向と直交する方向に延びる長尺の取付部材を備え、
前記取付部材は、平面視において前記梁の長手方向と平行に配置するか、平面視において前記梁の長手方向と直交するように配置するかを選択可能である、
請求項1に記載の屋根構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、梁の下方に取り付けられる屋根構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、柱材と、前記柱材に接続される梁と、前記梁に接続される屋根体であって、所定方向に並んで連設される複数の長尺材を有し、下面が平面状に形成される屋根体と、を備える屋根構造体の発明が開示されている。この発明においては、前記屋根体は、前記梁の下方において前記梁に吊られて配置される。そして、前記複数の長尺材のうちの前記梁に取り付けられた第1長尺材は、長手方向に直交する幅方向の一端部側に配置される第1係合部を有し、前記複数の長尺材のうちの前記第1長尺材に隣接して前記梁に取り付けられる第2長尺材は、長手方向に直交する幅方向の前記第1長尺材側の端部側に配置され前記第1係合部に係合可能であって前記第1係合部を中心に回転可能な第2係合部を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6879753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記した特許文献1記載の構成では、第1長尺材と、第1長尺材に隣接する第2長尺材とを、いずれも梁に取り付けなければならないため、部品点数が増え、施工の手間がかかるという問題があった。
そこで、本発明は、部品点数を減らし、施工も容易な屋根構造体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した課題を解決するため、本発明は、梁の下方に取り付けられる屋根構造体であって、屋根本体と、前記屋根本体を前記梁に吊り支持するための支持部と、を備え、前記屋根本体は、複数の屋根材を所定方向に並べて互いに接合して形成されており、前記複数の屋根材は、前記支持部に直接固定されたものと、前記支持部に直接固定されていないものとを含む。
【発明の効果】
【0006】
本発明は上記の通りであり、屋根本体は、複数の屋根材を所定方向に並べて互いに接合して形成されており、複数の屋根材は、支持部に直接固定されたものと、支持部に直接固定されていないものとを含む。このような構成によれば、すべての屋根材を梁(支持部)に取り付けなけなくてもよいので、部品点数を減らすことができ、施工も容易となる。また、穴加工などの加工コストも抑制することができる。
【0007】
なお、梁(支持部)に直接固定されていない屋根材は、他の屋根材と連結されることで支持されることになる。このように支持部に直接固定されていない屋根材を支持する方法の1つは、隣り合う屋根材との係合箇所で荷重を受けられるようにすることである。例えば、隣り合う屋根材は、一方に設けられた第1接合部と他方に設けられた第2接合部との係合によって互いに接合されており、第1接合部と第2接合部との係合のみによって、隣り合う屋根材の下面が平面状となる状態を維持可能としてもよい。このように構成すれば、屋根材を係合させるだけで屋根本体を組み立てることができる。例えば特許文献1に記載された構造のように、長尺材を1つずつ順番に持ち上げて梁にネジで固定していく作業が必要ないので、施工が容易である。なお、上記した「第1接合部と第2接合部との係合のみによって、隣り合う屋根材の下面が平面状となる状態を維持可能」であるという構造は、少なくとも仮置きできる程度に状態を維持可能であればよい。すなわち、第1接合部と第2接合部とを係合させて屋根材の下面が平面状となる状態を維持させた後に、補強材を使用して屋根材の接合強度を高めてもよい。
【0008】
また、2つの屋根材が係合した状態から係合箇所を支点として一方の屋根材を上方に回動させることで係合が解除されるようにしてもよい。このように構成すれば、屋根材を上方に回動させるような不自然な力が加わらなければ屋根材が脱落しないため、人為的な作業以外で屋根材が外れることを防止できる。また、屋根材を回動させることで係合または係合解除が行えるので、施工が容易である。
【0009】
また、支持部は、屋根材の長手方向と直交する方向に延びる長尺の取付部材を備え、取付部材と屋根材とは、互いに間隔をあけて固定されるようにしてもよい。このように構成すれば、取付部材と屋根材との間に空間があるので、ゴミなどが溜まりにくく、また、ゴミが溜まっても雨水とともに流れ落ちやすくすることができる。また、屋根材を上方から回動させることで他の屋根材に連結させる構造の場合、屋根材を回動させる空間を設けることができる。取付部材と屋根材との間に屋根材を回動させる空間を設ければ、取付部材に取り付けた屋根材に対し、屋根材を順番に取り付けていくことができる。すなわち、先に屋根本体を組み立ててから取付部材に取り付けなくてもよく、軽量の屋根材を取り付けていけばよいので、施工が容易であり、施工場所への搬送も容易である。
【0010】
このような取付部材と屋根材との間の空間は、取付部材と屋根材との間に筒状のスペーサを配置することで形成してもよい。そして、このスペーサの内部を貫通するボルトによって、取付部材と屋根材とを固定するようにしてもよい。このように構成すれば、取付部材と屋根材とを固定するだけでスペーサが取り付けられて空間が形成される。よって、最小限の部品点数や作業手順で、取付部材と屋根材との間の空間を形成することができる。
【0011】
また、支持部は、梁から下方に突出する垂下部を備え、屋根本体は、垂下部の下方に吊り支持されており、異なる長さの垂下部を組み合わせて使用することで屋根本体を傾斜させるようにしてもよい。このような構成によれば、垂下部の長さを変更するだけで屋根本体の勾配を変更することができ、屋根を構成する部品のほとんどを共用できるので、製造コストを抑制できる。
【0012】
また、支持部は、屋根材の長手方向と直交する方向に延びる長尺の取付部材を備え、取付部材は、平面視において梁の長手方向と平行に配置するか、平面視において梁の長手方向と直交するように配置するかを選択可能としてもよい。このように構成すれば、共通の部材で屋根本体の向きを変更でき、製造コストを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】屋根構造体の斜視図である。
図2】取付部材を取り付けた屋根本体の斜視図である。
図3】(a)屋根構造体の側面図、(b)A部拡大図、(c)B部拡大図である。
図4】(a)屋根材の正面図、(b)屋根材を係合させる途中の係合箇所の部分拡大図、(c)屋根材を係合させた状態の係合箇所の部分拡大図である。
図5】屋根構造体の施工例を示す図である。
図6】変形例に係る図であって、屋根本体の傾斜を変更した図である。
図7】変形例に係る図であって、屋根材の向きを変更した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。
本実施形態に係る屋根構造体10は、直射日光や雨水などを遮るために梁70の下方に取り付けられるものである。例えば、建物用庇、カーポート、建物間の屋外通路の屋根、バス停の屋根、自転車置き場の屋根などに使用可能である。なお、本実施形態では、梁70が壁面71から水平方向に突出している場合を例に挙げて説明するが、梁70の態様はこれに限らない。例えば、柱から突出する梁70に屋根構造体10を設置してもよいし、両側を支持された梁70に屋根構造体10を設置してもよい。
本実施形態に係る屋根構造体10は、図1に示すように、屋根本体11と支持部20とを備える。
【0015】
屋根本体11は、複数の屋根材12を所定方向に並べて互いに接合して形成されている。図1の例では、平面視で屋根材12の長手方向と梁70の長手方向とが平行となるように配置されており、複数の屋根材12は梁70の長手方向に対して直交する方向に並べて連結されている。屋根本体11の横幅は、連結する屋根材12の数を増減させることで調節可能である。本実施形態に係る屋根材12は、アルミニウム製の中空形材である。複数の屋根材12は、すべて同じ尺で形成され、上下の高さ寸法(厚み)もほぼ同じに設定されている。
【0016】
屋根材12は、例えば図4(a)に示すような断面形状であり、隣り合う屋根材12は、一方に設けられた第1接合部50と他方に設けられた第2接合部60との係合によって互いに接合される。なお、図4(a)に示す屋根材12は、第1接合部50と第2接合部60の両方を備えているが、屋根材12は、少なくとも第1接合部50と第2接合部60のいずれか一方を備えていればよい。すなわち、屋根本体11の中間に配置される屋根材12(図5の屋根材12B-12Eを参照)は、第1接合部50および第2接合部60の両方を備えているが、屋根本体11の両端に配置される屋根材12(図5の屋根材12Aを参照)は、第1接合部50および第2接合部60のいずれか1方のみを備えていればよい。
【0017】
この屋根材12は、互いに平行な上板部40および下板部41を備え、この上板部40と下板部41との間は中空となっている。上板部40と下板部41の間には、上下方向に延びる複数の縦壁が設けられている。本実施形態においては、この縦壁として、左右両側に側壁部42が設けられ、側壁部42の間に中間壁部43が設けられている。
【0018】
第1接合部50は、側方に向けて開口する変形略コ字形の部位である。この第1接合部50は、第1接合部50を区画する側壁部42である第1側壁部52と、上板部40を延長することで第1側壁部52よりも側方に突出する第1上突出部51と、下板部41を延長することで第1側壁部52よりも側方に突出する第1下突出部53と、を備える。
第1上突出部51の先端には、回動軸部51aが形成されている。回動軸部51aは、少なくとも下面が曲面(望ましくは半円柱状の曲面)で形成されている。
【0019】
また、第1側壁部52の上端には、上板部40の下面に連続するように、弧状部52aが設けられている。弧状部52aは、回動軸部51aの周面に沿った円弧状で形成されている。このような構成により、回動軸部51aと弧状部52aとの間に円弧状の案内溝52bが形成され、この案内溝52bの上方に回動軸部51aが配置されている。
【0020】
また、第1側壁部52は、上記した案内溝52b(弧状部52a)の下方に、ほぼ垂直下方に延びる直線部52dが接続されている。また、この直線部52dの下方には、傾斜部52cが接続されている。この傾斜部52cは、下方に行くに従って内側(第1接合部50の開口方向とは反対側)に傾斜している。
【0021】
第1下突出部53は、下板部41に連続する平板部53aと、平板部53aの端部から上方に延設された立ち上がり部53bと、立ち上がり部53bの上端から斜め上方に延設された円弧状の湾曲片53cと、を備える。湾曲片53cは、回動軸部51aよりも下方において、回動軸部51aを中心とした円弧状に形成されている。なお、湾曲片53cは、完全に回動軸部51aを中心とした円弧状でなくてもよく、回動軸部51aの外周に沿った形状であればよい。
【0022】
なお、上記した第1側壁部52と第1下突出部53で囲まれた空間は、上向きに開口した溝状となっており、接合した目地から浸入する水を受けるための中間樋部54を形成している。この中間樋部54によって、屋根材12の長手方向に流れてきた水を受けることができる。本実施形態においては、第1側壁部52の一部が斜めに形成されている(傾斜部52cを備える)ため、中間樋部54の容積(樋で受けられる水の最大容積)が大きく確保されている。また、湾曲片53cが、側方に弧を描きながら突出しているため、更に中間樋部54の容積が大きく確保されている。
【0023】
この第1接合部50に接合される第2接合部60も、側方に向けて開口する変形略コ字形の部位である。この第2接合部60は、第2接合部60を区画する側壁部42である第2側壁部62と、上板部40を延長することで第2側壁部62よりも側方に突出する第2上突出部61と、下板部41を延長することで第2側壁部62よりも側方に突出する第2下突出部63と、を備える。
【0024】
第2上突出部61の先端には、回動受部61aが形成されている。回動受部61aは、上方に向けて開口する円弧状の内周面を有する。この回動受部61aは、第1接合部50の回動軸部51aを下から支持可能である。この回動受部61aは、載置された回動軸部51aを回動可能に支持することができる。また、この回動受部61aは、第1接合部50の案内溝52bに挿入可能である。案内溝52bは、回動受部61aと同様の円弧状であるため、挿入された回動受部61aを回動可能に支持することができる。このような構成により、第1接合部50と第2接合部60とを互いに回動させて容易に屋根材12を接合することができる。
【0025】
また、第2側壁部62は、第1接合部50の湾曲片53cの先端が挿入される支持溝62aを備える。第1接合部50と第2接合部60とを接合したときに湾曲片53cが支持溝62aの内部に挿入されることで、上下左右方向の負荷を受けることができるので、接合部の強度を高めることができる。言い換えると、案内溝52bに挿入された回動受部61aと、支持溝62aに挿入された湾曲片53cとの2点で支持しているため、上下左右方向の負荷に対して補強することができる。また、図4(c)に示すように、中間樋部54の先端にラビリンス形状が形成されるため、水が屋根材12の下面に漏れにくくなっている。なお、この支持溝62aは、湾曲片53cの厚みよりもやや幅広に形成されており、湾曲片53cが支持溝62aの内部に緩嵌されるようになっている。言い換えると、湾曲片53cは、周囲に隙間が生じるように支持溝62aに挿入される。この支持溝62aと湾曲片53cとは、第1接合部50と第2接合部60とを回動させて接合するときに、互いに接触しないように形成されていることが望ましい。このように湾曲片53cと支持溝62aとを緩嵌することで、屋根材12を接合したり外したりするときに力が要らず、作業を容易に行うことができる。
【0026】
また、第2下突出部63の先端には、上方に屈折した立設部63aが形成されている。この立設部63aは、第1接合部50と第2接合部60とを接合したときに、立ち上がり部53bに当接する。この立設部63aが立ち上がり部53bに当接することで、隣り合う屋根材12が互いにフラットな状態(隣り合う屋根材12の下面が平面状となる状態)で支持される。また、この立設部63aが形成されることで、第2側壁部62と第2下突出部63で囲まれた空間が溝形状となっており、二次樋部64を形成している。この二次樋部64は、図4(c)に示すように、中間樋部54の下方に重なるように配置され、中間樋部54の外側に漏れた水を受けることができる。この二次樋部64を設けることで、仮に湾曲片53cの裏側に水が浸入してきた場合でも、この水を受けることができる。
【0027】
上記した第1接合部50と第2接合部60とは、図4(b)に示すように、係合箇所を支点として一方の屋根材12を上方から回動させることで接合することができる。
【0028】
図4(b)に示す例では、第2接合部60を斜めに傾けて、上方から第1接合部50へと差し込む。このとき、回動受部61aが案内溝52bに嵌って引っかかるようにする。その後、第2接合部60側の屋根材12を、係合箇所(回動軸部51a)を支点として下方に回動させ、立ち上がり部53bに立設部63aを当接させる。このような作業により、2つの隣り合う屋根材12が互いにフラットに接合される。このとき、自動的に湾曲片53cが支持溝62aの内部に挿入される。
【0029】
このように、本実施形態に係る屋根材12においては、第1接合部50と第2接合部60との係合のみによって、隣り合う屋根材12の下面が平面状となる状態を維持可能となっている。
【0030】
なお、この例では、第2接合部60側の屋根材12を斜めに差し込んで下方に回動させるようにしたが、これに限らず、第1接合部50側の屋根材12を斜めに差し込んで下方に回動させるようにしても、隣り合う屋根材12を接合することができる。
【0031】
また、上記した第1接合部50および第2接合部60は、屋根材12の長手方向の全長に渡って形成されている。このため、第1接合部50と第2接合部60とを接合した後で、屋根材12の長手方向に屋根材12を摺動させることができる。よって、屋根材12を接合した後で、長手方向の位置を揃えることも容易である。
【0032】
上記のように接合した屋根材12を取り外す際には、屋根材12を反対方向(上方)に回動させればよい。すなわち、図4(c)に示すように2つの屋根材12が係合した状態から、図4(b)に示すように係合箇所を支点として一方の屋根材12を上方に回動させることで、隣り合う屋根材12の係合を解除することができる。
【0033】
なお、本実施形態に係る屋根本体11は、図1および図2に示すように、屋根材12の長手方向の両端に先端部材13を備えている。先端部材13は、複数の屋根材12の先端にまたがって取り付けられる。この先端部材13により、屋根材12の小口を塞いでもよい。また、この先端部材13により、複数の屋根材12を端部で互いに連結してもよい。また、この先端部材13に樋を設け、中間樋部54や二次樋部64を流れた雨水を集めて排水するようにしてもよい。
【0034】
支持部20は、上記した屋根本体11を梁70に吊り支持するためのものである。本実施形態に係る支持部20は、図3に示すように、垂下部21と、取付部材25と、スペーサ26と、ボルト27と、ネジプレート28とを備える。
【0035】
垂下部21は、梁70から下方に突出する板状部材である。この垂下部21は、例えば梁70に溶接で固定された金属製のプレートである。屋根本体11は、この垂下部21の下方に吊り支持される。この垂下部21には、ボルト・ナットなどの固定手段22を取り付けるための穴が貫通形成されており、この固定手段22を使用して後述する取付部材25が取り付けられる。なお、本実施形態においては、図3(b)および図3(c)に示すように、屋根本体11の前後で異なる長さの垂下部21が組み合わせて使用されている。具体的には、屋根本体11の先端側に配置された垂下部21の方が、屋根本体11の基端側に配置された垂下部21よりも長くなっている。これにより、取付部材25の取り付け位置の高さを変えることが可能となり、結果として先端側が低くなるように屋根本体11を傾斜させることができる。
【0036】
取付部材25は、屋根材12の長手方向と直交する方向に延びる長尺の部材である。本実施形態に係る取付部材25は、図3(b)および(c)に示すような金属製のアングル部材である。この取付部材25は、垂下部21に取り付けられる縦片25aと、後述するボルト27が取り付けられる横片25bとを備える。この取付部材25は、縦片25aが略垂直となり、横片25bが略水平となるように、垂下部21に取り付けられる。この取付部材25は、屋根本体11の幅とほぼ等しい長さに設定されており、すべての屋根材12にまたがるように配置される。この取付部材25の下部には、後述するボルト27によって屋根材12が取り付けられる。
【0037】
スペーサ26は、取付部材25と屋根材12との間に配置される筒状の部材である。スペーサ26の材質は特に問わないが、金属や樹脂などで形成することができる。スペーサ26の内部には、後述するボルト27を挿通できる貫通孔が形成されている。このスペーサ26が設けられることで、取付部材25と屋根材12とを互いに間隔をあけて固定することができる。
【0038】
ボルト27は、スペーサ26の内部を貫通し、取付部材25と屋根材12とを固定するためのものである。ボルト27を締結すると、図3(b)および図3(c)に示すように、スペーサ26の上端縁が取付部材25(横片25b)の下面に当接し、スペーサ26の下端縁が屋根材12の上面に当接する。これにより、スペーサ26の長さの分だけ、取付部材25と屋根材12とを互いに空間が形成される。
【0039】
ネジプレート28は、ボルト27を螺合させるためのものである。本実施形態においては、屋根材12の中空部にネジプレート28を挿入し、ネジプレート28をピン29などの留具で屋根材12の内部に固定している。屋根材12の上面には、ネジプレート28のネジ穴と連通する穴が開口形成されており、この穴にボルト27を挿入して締結することで、ボルト27をネジプレート28のネジ穴と螺合させることができるようになっている。
【0040】
なお、本実施形態においては、すべての屋根材12にボルト27が取り付けられるわけではない。すなわち、複数の屋根材12は、ボルト27によって支持部20に直接固定されるものと、支持部20に直接固定されていないものとを含むように構成されている。図5を例に説明すれば、屋根材12Aおよび屋根材12Dは支持部20に直接固定されるが、屋根材12B、屋根材12Cおよび屋根材12Eは支持部20に直接固定されない。このように、一部の屋根材12のみを支持部20に固定することで、部品点数や作業コストを削減することができる。このとき、支持部20に直接固定した屋根材12の隣には、必ず支持部20に直接固定されない屋根材12が配置されるようにすれば、部品点数や作業コストを確実に削減することができる。
【0041】
次に、屋根構造体10を組み立てる手順の一例を示す。まず、梁70に対して垂下部21を固定し、垂下部21に対して取付部材25を取り付ける。そして、この取付部材25に対し、図5に示すように、順番に屋根材12を配置していく。すなわち、まず端の屋根材12Aをボルト27によって支持部20に取り付ける。次に、この屋根材12Aに対し、屋根材12Bを取り付ける。屋根材12Bの取り付けは、図4(b)に示すように回動させて係合させるだけで完了する。更に、この屋根材12Bに対し、屋根材12Cを取り付ける。屋根材12Cの取り付けも回動させて係合させるだけである。そして、この屋根材12Cに対し、屋根材12Dを取り付ける。屋根材12Dを取り付けるときには、まず屋根材12Dを回動させて屋根材12Cに係合させることで、屋根材12Cと屋根材12Dとをフラットに接合する。この状態で手を離してもフラットな状態が維持される。このようにフラットに配置した後、屋根材12Dにスペーサ26とボルト27を取り付けて支持部20に固定すればよい。このような作業を、すべての屋根材12を取り付け終わるまで繰り返せばよい。
【0042】
以上説明したように、本実施形態によれば、屋根本体11は、複数の屋根材12を所定方向に並べて互いに接合して形成されており、複数の屋根材12は、支持部20に直接固定されたものと、支持部20に直接固定されていないものとを含む。このような構成によれば、すべての屋根材12を梁70(支持部20)に取り付けなけなくてもよいので、部品点数を減らすことができ、施工も容易となる。また、穴加工などの加工コストも抑制することができる。
【0043】
なお、梁70(支持部20)に直接固定されていない屋根材12は、他の屋根材12と連結されることで支持されることになる。このように支持部20に直接固定されていない屋根材12は、隣り合う屋根材12との係合箇所で荷重を受けられるようになっている。すなわち、隣り合う屋根材12は、一方に設けられた第1接合部50と他方に設けられた第2接合部60との係合によって互いに接合されており、第1接合部50と第2接合部60との係合のみによって、隣り合う屋根材12の下面が平面状となる状態を維持可能となっている。このため、屋根材12を係合させるだけで屋根本体11を組み立てることができる。なお、本実施形態においては、先端部材13によって複数の屋根材12の端部が接続されることで、屋根材12の接合強度が高められており、屋根本体11の強度を向上させている。
【0044】
また、2つの屋根材12が係合した状態から係合箇所を支点として一方の屋根材12を上方に回動させることで係合が解除されるようになっている。言い換えると、係合箇所を支点として一方の屋根材12を下方に回動させることで2つの屋根材12を係合させることができる。このような構成によれば、屋根材12を上方に回動させるような不自然な力が加わらなければ屋根材12が脱落しないため、人為的な作業以外で屋根材12が外れることを防止できる。また、屋根材12を回動させることで係合または係合解除が行えるので、施工が容易である。
【0045】
また、支持部20は、屋根材12の長手方向と直交する方向に延びる長尺の取付部材25を備え、取付部材25と屋根材12とは、互いに間隔をあけて固定されている。このため、取付部材25と屋根材12との間に空間があるので、ゴミなどが溜まりにくく、また、ゴミが溜まっても雨水とともに流れ落ちやすくすることができる。また、この空間を利用して、屋根材12を回動させることができる。すなわち、図5に示すように、取付部材25に取り付けた屋根材12に対し、屋根材12を斜めに差し込んで順番に取り付けていくことができる。このため、先に屋根本体11を組み立ててから取付部材25に取り付けなくてもよく、軽量の屋根材を取り付けていけばよいので、施工が容易であり、施工場所への搬送も容易である。屋根材の大きさによっては、1人で作業を行うことも可能であり、施工コストを抑制できる。
【0046】
このような取付部材25と屋根材12との間の空間は、取付部材25と屋根材12との間に筒状のスペーサ26を配置することで形成されている。そして、このスペーサ26の内部を貫通するボルト27によって、取付部材25と屋根材12とが固定されている。このため、取付部材25と屋根材12とを固定するだけでスペーサ26が取り付けられて空間が形成される。よって、最小限の部品点数や作業手順で、取付部材25と屋根材12との間の空間を形成することができる。
【0047】
また、支持部20は、梁70から下方に突出する垂下部21を備え、屋根本体11は、垂下部21の下方に吊り支持されており、異なる長さの垂下部21を組み合わせて使用することで屋根本体11を傾斜させるようにしている。このため、垂下部21の長さを変更するだけで屋根本体11の勾配を変更することができ、屋根を構成する部品のほとんどを共用できるので、製造コストを抑制できる。
【0048】
なお、上記した実施形態においては、屋根本体11の先端側に配置された垂下部21の方が、屋根本体11の基端側に配置された垂下部21よりも長く設定し、先端側が低くなるように屋根本体11を傾斜させるようにしたが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えば、図6に示すように、屋根本体11の先端側に配置された垂下部21の方が、屋根本体11の基端側に配置された垂下部21よりも短くなるように設定し、先端側が高くなるように屋根本体11を傾斜させるようにしてもよい。
【0049】
また、上記した実施形態においては、取付部材25が平面視において梁70の長手方向と直交するように配置される例について説明したが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えば、図7に示すように、取付部材25が平面視において梁70の長手方向と平行に配置されるようにしてもよい。このように、本実施形態に係る取付部材25は、平面視において梁70の長手方向と平行に配置するか、平面視において梁70の長手方向と直交するように配置するかを選択可能となっている。このため、共通の部材で屋根本体11の向きを変更でき、製造コストを抑制できる。
【0050】
また、屋根構造体10に照明器具を取り付けて、照明付きの屋根構造体10としてもよい。例えば、屋根材12の下面に配線穴を形成し、この配線穴を覆うように屋根材12の下面に照明器具を取り付けてもよい。このとき、屋根材12の中空部を利用して照明器具の電源コードを配線してもよい。
【符号の説明】
【0051】
10 屋根構造体
11 屋根本体
12、12A-12E 屋根材
13 先端部材
20 支持部
21 垂下部
22 固定手段
25 取付部材
25a 縦片
25b 横片
26 スペーサ
27 ボルト
28 ネジプレート
29 ピン
40 上板部
41 下板部
42 側壁部
43 中間壁部
50 第1接合部
51 第1上突出部
51a 回動軸部
52 第1側壁部
52a 弧状部
52b 案内溝
52c 傾斜部
52d 直線部
53 第1下突出部
53a 平板部
53b 立ち上がり部
53c 湾曲片
54 中間樋部
60 第2接合部
61 第2上突出部
61a 回動受部
62 第2側壁部
62a 支持溝
63 第2下突出部
63a 立設部
64 二次樋部
70 梁
71 壁面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7