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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168459
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】動力アシストユニット
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/00 20060101AFI20241128BHJP
   B62B 5/00 20060101ALI20241128BHJP
   B60D 1/02 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
B62B3/00 B
B62B5/00 C
B60D1/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085164
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000231350
【氏名又は名称】ジヤトコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 秋司
【テーマコード(参考)】
3D050
【Fターム(参考)】
3D050AA01
3D050BB02
3D050DD03
3D050EE08
3D050EE15
3D050KK02
3D050KK14
(57)【要約】
【課題】引き運搬及び押し運搬の両方に対応する。
【解決手段】動力アシストユニットは、台車と連結する連結装置が装着され、前記連結装置を介して前記台車と連結された状態で自走可能な動力アシストユニットであって、前記連結装置の取り付け部を直進方向前方側及び後方側の両位置に有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車と連結する連結装置が装着され、前記連結装置を介して前記台車と連結された状態で自走可能な動力アシストユニットであって、
前記連結装置が取り付けられる取り付け部を直進方向前方側及び後方側の両位置に有する、
動力アシストユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の動力アシストユニットであって、
人が乗車する乗車部をさらに有する、
動力アシストユニット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の動力アシストユニットであって、
前記連結装置は、前記取り付け部との連結部としての連結棒を有し、
前記取り付け部は、前記連結棒が挿入される連結孔を有する、
動力アシストユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は動力アシストユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には連結具付き台車牽引用電動三輪車が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-154683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
荷物の運搬が行われる倉庫など台車を用いた運搬が行われる現場では、台車を引くよりも押したほうが運搬し易い場合がある。しかしながら、台車を牽引する引き運搬に特化した運搬車両では、台車を押す押し運搬には対応できない。また、押し運搬に特化した場合は、台車の荷が高くなると視界が悪化し、運搬し難くなるか運搬困難になることがある。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、引き運搬及び押し運搬の両方に対応することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様の動力アシストユニットは、台車と連結する連結装置が装着され、前記連結装置を介して前記台車と連結された状態で自走可能な動力アシストユニットであって、前記連結装置の取り付け部を直進方向前方側及び後方側の両位置に有する。
【発明の効果】
【0007】
この態様によれば、台車と連結する連結装置を動力アシストユニットの直進方向前方側及び後方側のどちらにも装着できるので、引き運搬及び押し運搬の両方に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態にかかる動力アシストユニットの外観図である。
図2図2は、連結装置の外観図である。
図3図3は、連結装置の要部拡大図である。
図4図4は、連結装置の第1の連結態様を示す図である。
図5図5は、連結装置の第2の連結態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0010】
図1は本実施形態にかかる動力アシストユニット50の外観図である。図2は連結装置1の外観図である。図3は連結装置1の要部拡大図である。図4は連結装置1の第1の連結態様を示す図である。図5は連結装置1の第2の連結態様を示す図である。図3では動力アシストユニット50に取り付けられた状態で連結装置1の要部を拡大して示す。
【0011】
まず、連結装置1、動力アシストユニット50及び台車60の全体について、図4図5を用いて説明する。図4図5に示すように、連結装置1は動力アシストユニット50と台車60とを連結する。動力アシストユニット50は連結装置1を介して台車60と連結された状態で自走、つまり動力により走行可能とされる。これにより、人力を不要とするかたちで台車60を用いた運搬作業がアシストされる。動力アシストユニット50は人が乗車して運転を行うように構成される。
【0012】
台車60は手押し台車であり、台車60との連結のために台車60に後付けされる連結機構等を含まない。台車60にはハンドル61が設けられている。ハンドル61は逆U字状の形状を有し、支柱61aと把持部61bとを有する。支柱61aは台車60の左右に1本ずつ計2本設けられ、2本の支柱61aが並ぶ支柱61a間の幅方向Wは台車60の左右方向に対応する。台車60の左右方向は、手押しによる台車60の前進且つ直進方向を向いた場合の左右方向である。把持部61bは人(作業者)が台車60を押す際に把持する部分であり、ハンドル61の上部に設けられる。把持部61bは台車60の左右方向に沿って延伸し、2本の支柱61aは把持部61bの両端に連なる。
【0013】
次に、図1を用いて動力アシストユニット50についてさらに説明する。図1において、図示の前方は動力アシストユニット50の進行方向(直進方向)前方を示し、図示の後方は進行方向後方を示す。動力アシストユニット50の左右方向は、進行方向前方つまり直進且つ前進方向を向いた場合の左右方向とされる。
【0014】
動力アシストユニット50の左右方向は、動力アシストユニット50が連結装置1を介して台車60と連結された状態で、支柱61a間の幅方向Wに対応する。動力アシストユニット50単体において、単に支柱61a間の幅方向Wというときには、このような連結状態において、支柱61a間の幅方向Wに対応する方向(つまり、動力アシストユニット50の場合は左右方向)を意味するものとする。このことは、台車60と連結される連結装置1単体についても同様である。
【0015】
動力アシストユニット50は、本体部51と、バッテリボックス52と、バッテリ53と、モータ54と、駆動輪55と、補助輪56と、操作部57と、コントローラ58と、取り付け部59とを備える。
【0016】
本体部51は複数のフレーム部材の組み合わせによるフレーム構造を有する。フレーム部材は角形状を有し、例えば軽量且つ高剛性のアルミフレームで構成される。本体部51は、乗車部511と、手摺り部512と、支持部513と、延長部514とを備える。
【0017】
乗車部511は人が乗車する部分であり、人は乗車部511に立った状態で乗車する。乗車部511は複数のフレーム部材で矩形状に枠組みされ、さらにその内側に複数のフレーム部材が前後左右方向に張り巡らされたフレーム構造を有する。当該フレーム構造において、周囲がフレーム部材で囲われ底が抜けたような状態となる空間部分には、鉄板等の板状部材がブラケットを介して設置され、これにより足場が形成される。
【0018】
手摺り部512は乗車部511に設けられる。手摺り部512は乗車部511の進行方向前方側の部分に起立した状態で固定され左右方向に並ぶ2本のフレーム部材512aと、左右方向に延伸し当該2本のフレーム部材512aの上端部それぞれが接続する1本のフレーム部材512bとにより構成される。図1では2本のフレーム部材512aの一方は他方の背後に隠れている。手摺り部512は乗車部511の前端部に設けられ、乗車部511に乗車した人は手摺り部512上部のフレーム部材512bを掴むことで、乗車中の安定を保つことができる。
【0019】
支持部513は取り付け部59を設置するための部分であり、フレーム部材で構成される。支持部513は乗車部511の進行方向後方の部分に起立した状態で固定される。支持部513は乗車部511の後端部に設けられる。支持部513は乗車部511の左右方向中心から支柱61a間の幅方向Wに並んで左右均等に2つ設けられる。
【0020】
延長部514は、乗車部511よりも後方に延長して設けられた部分であり、乗車部511の後方側の部分裏側に固定されるとともに、乗車部511から後方に突出して設けられる。延長部514は左右方向の幅が乗車部511の幅よりも小さく設定される。延長部514は例えば、前後方向に沿って延伸する2本のフレーム部材と、当該2本のフレーム部材全体に亘って裏側から取り付けられた鉄板等の板状部材により構成される。
【0021】
バッテリボックス52は手摺り部512の下部、且つ手摺り部512を構成する2本のフレーム部材512aの間で、当該2本のフレーム部材512aに固定される。バッテリボックス52にはバッテリ53が収容される。バッテリ53はモータ54やコントローラ58と電気的に接続され電力供給を行う。
【0022】
モータ54は乗車部511に設けられる。モータ54は電動モータであり、動力アシストユニット50の動力源を構成する。モータ54は、乗車部511の後方側の位置で動力アシストユニット50の左右に一つずつ設けられる。左側のモータ54は左側の駆動輪55を駆動し、右側のモータ54は右側の駆動輪55を駆動する。つまり、動力アシストユニット50では左右の駆動輪55を互いに独立して駆動させることができる。モータ54にはインバータ一体型の減速機付きモータを用いることができ、モータ54と駆動輪55とはカバーで覆うことができる。
【0023】
補助輪56は駆動輪55に対し前後に2つずつ計4つ設けられる。補助輪56は旋回自在なキャスターで構成される。前方の補助輪56は乗車部511の前端部裏側に左右一つずつ設けられ、後方の補助輪56は延長部514の裏側に左右一つずつ設けられる。
【0024】
操作部57は手摺り部512上部のフレーム部材512bに設けられる。操作部57はフレーム部材512bの右側の部分に設けられる。操作部57は、動力アシストユニット50の運転を指示するための操作要素であるジョイスティック571を有する。操作部57からは、ジョイスティック571の操作に応じてコントローラ58に信号が入力される。
【0025】
コントローラ58は乗車部511の裏側に設けられる。コントローラ58は中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えた1又は複数のコンピュータ(マイクロコンピュータ)で構成される。コントローラ58はROM又はRAMに格納されたプログラムをCPUによって実行することで制御を行う。プログラムとしては、例えばCD-ROM等の非一過性の記憶媒体に記憶されたものが用いられてもよい。コントローラ58にはモータ54が制御対象として電気的に接続され、コントローラ58の制御のもと、操作部57からの信号に基づきモータ54が制御される。
【0026】
例えば、ジョイスティック571を前方に倒した場合は左右のモータ54がともに同じ回転速度で正転方向に回転し、前進且つ直進する。また、ジョイスティック571を右前方に倒した場合は、左側のモータ54が正転方向に回転する一方、右側のモータ54が逆転方向に回転し、前進且つ右方向に旋回する。つまり、旋回時には左右のモータ54の一方が正転方向に回転し、他方が逆転方向に回転する。ジョイスティック571から手を離した場合は、ジョイスティック571が中立位置に復帰し、左右のモータ54がともに停止する。
【0027】
取り付け部59は連結装置1の取り付け部であり、動力アシストユニット50の進行方向前方側及び後方側の部分それぞれに設けられる。換言すれば、動力アシストユニット50は、直進方向前方側及び後方側の両位置に取り付け部59を有する。取り付け部59は連結孔59aを有し、動力アシストユニット50の前方側の部分と後方側の部分とで2つずつ設けられることで、複数設けられる。取り付け部59Aは動力アシストユニット50の前方側の部分に設けられた取り付け部59を示し、取り付け部59Bは動力アシストユニット50の後方側の部分に設けられた取り付け部59を示す。
【0028】
取り付け部59Aは手摺り部512の左右2つのフレーム部材512aに一つずつ設けられ、取り付け部59Bは左右2つの支持部513に1つずつ設けられる。2つの取り付け部59Aと2つの取り付け部59Bとはともに、支柱61a間の幅方向Wに並んで設けられ、左右方向中心から左右均等に設けられる。連結孔59aについても同様である。支柱61a間の幅方向Wに並ぶ2つの取り付け部59は例えば、対応する2つの連結孔59aを残したまま一体とされてもよい。つまりこのような場合でも、連結孔59aは後述する連結装置1の連結部11に対応させて同数設けられる。
【0029】
次に、連結装置1についてさらに説明する。
【0030】
図2に示すように、連結装置1は、フレーム10と、第1アーム部20と、第2アーム部30とを備える。フレーム10は連結装置1の本体であり、一直線状に延伸する延伸部材で構成される。フレーム10は角形状を有し、例えば軽量且つ高剛性のアルミフレームで構成される。フレーム10の延伸方向は、連結装置1が台車60と連結された状態で、台車60における支柱61a間の幅方向Wに対応する。
【0031】
第1アーム部20と第2アーム部30とはともにフレーム10に設けられる。第1アーム部20はフレーム10の延伸方向、従って支柱61a間の幅方向Wに摺動自在に設けられる。第2アーム部30はフレーム10にボルト等で固定される。第1アーム部20は台車60の2本の支柱61aのうち一方の支柱61aをクランプするのに用いられ、第2アーム部30は他方の支柱61aをクランプするのに用いられる。
【0032】
第2アーム部30はフレーム10に固定される点と、これに伴い後述するトグルクランプ24を有しない点以外、第1アーム部20と同様に構成される。また、第2アーム部30は第1アーム部20と同様に構成されてもよい。このため、以下では主に第1アーム部20について説明する。
【0033】
第1アーム部20は、第1アーム21と、ベース部材22と、開き止め機構23と、トグルクランプ24とを備える。第1アーム21は一対の分割アームとしてのアーム211及びアーム212で構成される。第1アーム21が一対の分割アームであることは、第1アーム21が1本のアームで構成される場合に対し、対をなす2本のアームで構成されることを意味し、1本のアームを実際に分割して構成されることを要しない。
【0034】
アーム211及びアーム212は角形状のフレーム部材をベースとしており、アーム211及びアーム212のフレーム部材の部分それぞれは例えば、軽量且つ高剛性のアルミフレームで構成される。
【0035】
アーム211及びアーム212はともに基部21aでベース部材22に設けられることで、ベース部材22を介してフレーム10に設けられる。基部21aは、コの字状に開くベース部材22のコの字状の開いた側を先端側として、ベース部材22の先端側の部分に設けられる。アーム211及びアーム212の基部21aそれぞれはベース部材22に回動自在に軸支持されることで、ベース部材22を介してフレーム10に回動自在に軸支持される。結果、アーム211及びアーム212の先端部21b同士の間隔が変更自在とされる。換言すれば、第1アーム21は先端部21bで開閉動作する。
【0036】
アーム211及びアーム212の先端部21bそれぞれはクランパ21baを備える。クランパ21baはブロック状の部材であり、例えばエラストマで構成される。クランパ21baは半割りの円筒内面状のクランプ溝を有し、第1アーム21が閉じた状態でクランプ溝が互いに対向するように設けられる。1対の分割アームとしてのアーム211及びアーム212は、クランプ溝同士で台車60の一方の支柱61aである1本の支柱61aを両側から把持する。
【0037】
アーム211及びアーム212で構成された第1アーム21は、アーム211及びアーム212の基部21aそれぞれで回動自在に軸支持されることで、例えば180°など大きく開くことができる。このため、連結装置1を台車60に連結しようとする際に、第1アーム21を大きく開くことで、第1アーム21が位置合わせの邪魔になることが回避される。また、第1アーム21は両側から支柱61aを把持することでいわばクローズな態様の連結を行うので、より確実な連結が可能になる。
【0038】
ベース部材22はフレーム10に設けられる。ベース部材22は例えばコの字状に折り曲げられた鉄板等の板状部材により構成され、コの字状の内面を有する。ベース部材22にはフレーム10が挿通され、ベース部材22はフレーム10の延伸方向に沿ってフレーム10に摺動自在に設けられる。
【0039】
この状態で、第1アーム21は基部21aでベース部材22を介してフレーム10に取り付けられる。また、第1アーム21は基部21aでフレーム10に対し、連結装置1が台車60と連結された状態において、支柱61a間の幅方向Wに沿って移動可能に取り付けられる。フレーム10は角形状を有するので、コの字状の内面を有するベース部材22はフレーム10周りには回転しない。つまり、第1アーム21はフレーム10周りには回転しないように設けられる。
【0040】
開き止め機構23は制限機構であり、ベース部材22に設けられることで、ベース部材22を介してフレーム10に設けられる。図3に示すように、開き止め機構23は制限部材231とヒンジ232とを備え、アーム211及びアーム212の先端部21b同士の間隔が広がることを制限する。
【0041】
制限部材231は例えばコの字状に折り曲げられた鉄板等の板状部材により構成される。制限部材231は、フレーム10の延伸方向に沿って延伸する矩形状のベース壁部と、当該ベース壁部の両端に連なり互いに対向する2つの対向壁部とを有する。制限部材231はベース壁部でヒンジ232を介してベース部材22の先端側の部分に回動可能に設けられる。ヒンジ232はフレーム10の延伸方向に沿った回転軸を有する。2つの対向壁部間の幅は、クランパ21baのクランプ溝とともに、支柱61aの径が想定範囲内の大きさの台車60に対応できるように設定される。
【0042】
制限部材231は閉じた状態の第1アーム21に被せられる。これにより、第1アーム21が開く方向に動作しようとしても、制限部材231によりその動きが制限され、制限部材231が開き止めとして機能する。逆に、この状態から制限部材231を持ち上げるようにして回動させれば、制限部材231による制限を解除できる。制限部材231は制限解除状態でベース部材22側に倒れた状態になるまで回動させることができ、これにより制限部材231が第1アーム21の開閉動作の邪魔になることが回避される。制限部材231のアーム211及びアーム212との接触面にはゴム等の緩衝部材を設置できる。
【0043】
連結装置1を介して台車60と連結した動力アシストユニット50の運搬走行中には、開き止め機構23に対し、アーム211及びアーム212の先端部21b同士の間隔が広がる方向に負荷がかかる。
【0044】
制限部材231は、フレーム10やアーム211及びアーム212のフレーム部材の部分を軽量且つ高剛性のアルミフレーム等の高剛性部材で構成可能なことと相俟って、このような負荷に見合った強度を有する強度部材としての鉄板等の板状部材で構成できる。これにより、負荷に対する強度も確保される。
【0045】
トグルクランプ24は規制機構であり、ベース部材22に設けられることで、ベース部材22を介してフレーム10に設けられる。トグルクランプ24はフレーム10に対する第1アーム21の位置をロック(固定)することで、基部21aが支柱61a間の幅方向Wに沿って移動することを規制する。従って換言すれば、トグルクランプ24は支柱61a間の幅方向Wにおいて第1アーム21を位置決めする位置決め機構といえる。
【0046】
トグルクランプ24はベース部材22に固定されるベースフレーム241と、ロック、ロック解除を操作するためのレバー242と、レバー242の操作に応じてフレーム10に押圧される押圧部243と、ベースフレーム241の縦フレーム部に設けられレバー242と押圧部243とを接続するリンク機構244とを有する。
【0047】
レバー242が押し下げられると、リンク機構244を介して押圧部243がフレーム10に押し付けられるとともに、その反力でベース部材22がフレーム10に押し付けられる。結果、フレーム10に対して第1アーム21の位置がロックされる(ロック状態)。逆に、レバー242が押し上げられると、リンク機構244を介して押圧部243が跳ね上げられ、フレーム10から離れる。結果、フレーム10に対して第1アーム21が支柱61a間の幅方向Wに沿って移動可能になる(ロック解除状態)。
【0048】
図2図3に示すように、フレーム10には連結部11が設けられる。連結部11は動力アシストユニット50の取り付け部59との連結部であり、取り付け部59に対応させて支柱61a間の幅方向Wに並んで2つ設けられる。2つの連結部11はフレーム10の中央に並んで設けられる。連結部11は棒状部材からなる連結棒で構成され、図3に示すように連結孔59aに挿入されることで、連結装置1が動力アシストユニット50に装着される。
【0049】
連結部11を取り付け部59Aに取り付けた場合、図4に示すように、動力アシストユニット50で台車60を押す押し運搬を行うことができる。連結部11を取り付け部59Bに取り付けた場合、図5に示すように、動力アシストユニット50で台車60を牽引する引き運搬を行うことができる。つまり、連結装置1は動力アシストユニット50との連結態様により、押し運搬にも引き運搬にも対応できる。
【0050】
連結装置1による動力アシストユニット50と台車60との連結手順は次の通りである。すなわち、まず上述したように連結装置1を動力アシストユニット50に装着する。次に、第1アーム21、及び第2アーム部30の一対の分割アーム(第1アーム21相当のアーム)を開いた状態で、連結装置1を台車60に近づけながら、第1アーム部20及び第2アーム部30の位置と2本の支柱61aの位置とを大まかに合わせる。
【0051】
本実施形態では、第1アーム21が基部21aでフレーム10に対して台車60の支柱61a間の幅方向Wに沿って移動可能で、且つ先端部21bで台車60の支柱61aをクランプする構造なので、大まかな位置合わせでも2本の支柱61aのクランプが可能になる。また、このような構造のため、支柱61a間の幅や支柱61aの径がある程度異なっても、2本の支柱61aのクランプが可能になる。本実施形態では、第2アーム部30が固定されているので、第2アーム部30が他方の支柱61aの概ね正面に位置するように、第2アーム部30の位置と他方の支柱61aの位置とが大まかに合わせられる。
【0052】
これにより、第2アーム部30が固定されていても、第1アーム部20及び第2アーム部30の位置と、支柱61a間の幅や支柱61aの径が想定範囲内の台車60の2本の支柱61aの位置とを大まかに合わせることができる。
【0053】
次に、第2アーム部30の一対の分割アームを閉じて他方の支柱61aを把持し、第2アーム部30の開き止め機構(開き止め機構23相当の開き止め機構)で当該一対の分割アームの開き止めを行う。これにより、第2アーム部30側の連結が完了する。
【0054】
続いて、第1アーム部20側で一方の支柱61aに対し、支柱61a間の幅方向Wに沿った第1アーム21の位置を調整した上で、第1アーム21を閉じて一方の支柱61aを把持する。そして、開き止め機構23で第1アーム21の開き止めを行い、トグルクランプ24で第1アーム21の位置を固定する。これにより、第1アーム部20側でも連結が完了する。
【0055】
次に本実施形態の主な作用効果について説明する。
【0056】
(1)動力アシストユニット50は、台車60と連結する連結装置1が装着され、連結装置1を介して台車60と連結された状態で自走可能な動力アシストユニット50であって、連結装置1が取り付けられる取り付け部59を直進方向前方側及び後方側の両位置に有する。
【0057】
この構成によれば、台車60と連結する連結装置1を動力アシストユニット50の直進方向前方側及び後方側のどちらにも装着できるので、引き運搬及び押し運搬の両方に対応できる。
【0058】
(2)動力アシストユニット50は、人が乗車する乗車部511をさらに有する。
【0059】
この構成によれば、連結装置1を介して台車60と連結された動力アシストユニット50に人が乗車して運転を行うことで、台車60を用いた運搬を行うことが可能になる。このため、押し運搬では台車60の荷が高く視界が悪化する場合でも、引き運搬で対応できることと相俟って、技術的意義が大きい。
【0060】
(3)連結装置1は、取り付け部59との連結部11である連結棒を有し、取り付け部59は、当該連結棒が挿入される連結孔59aを有する。
【0061】
この構成によれば、連結棒からなる連結部11を単に連結孔59aに挿入すれば、連結装置1を動力アシストユニット50に装着できるので、ボルト止め等により連結を行う場合と比べて装着が容易で、押し運搬と引き運搬とでの切り替えがし易い。
【0062】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0063】
1 連結装置
11 連結部(連結棒)
50 動力アシストユニット
511 乗車部
59 取り付け部
59a 連結孔
60 台車
図1
図2
図3
図4
図5