(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168466
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】圧接コネクタ装置、被覆心線の接続構造、及び、被覆心線接続方法
(51)【国際特許分類】
H01R 4/2456 20180101AFI20241128BHJP
H01R 43/01 20060101ALI20241128BHJP
H01R 4/2452 20180101ALI20241128BHJP
【FI】
H01R4/2456
H01R43/01 A
H01R4/2452
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085175
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】518241849
【氏名又は名称】コーニング リサーチ アンド ディヴェロップメント コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】大池 知保
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 広幸
(72)【発明者】
【氏名】山内 孝哉
(72)【発明者】
【氏名】矢崎 明彦
【テーマコード(参考)】
5E012
5E051
【Fターム(参考)】
5E012AA08
5E012AA09
5E012AA23
5E012AA31
5E012AA41
5E051HA07
(57)【要約】
【課題】より被覆心線を強固に保持することができる圧接コネクタ装置を提供する。
【解決手段】導体芯線と、導体芯線を包囲する絶縁被覆とをそれぞれ備え、互いに逆側から延びる対となる被覆心線を接続する圧接コネクタ装置1は、ハウジング10と、ハウジング10内に収容可能なコンタクト20と、を備え、ハウジング10は、対となる被覆心線を屈曲させてコンタクトに向かって延びるように保持する保持部80を有し、コンタクト20は、屈曲されて延びる対となる被覆心線のそれぞれに対応する対となる第1のスロットを有し、対となる被覆心線の絶縁被覆の一部を剥離して第1のスロット内でそれぞれ導体芯線と導通するように、対となる被覆心線を圧接するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体芯線と、前記導体芯線を包囲する絶縁被覆とをそれぞれ備え、互いに逆側から延びる対となる被覆心線を接続する圧接コネクタ装置であって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に収容可能なコンタクトと、を備え、
前記ハウジングは、前記対となる被覆心線を屈曲させて、並列状態で前記コンタクトに向かって延びるように保持する被覆心線保持部を有し、
前記コンタクトは、屈曲されて延びる前記対となる被覆心線のそれぞれに対応する対となる第1のスロットを有し、前記対となる被覆心線の前記絶縁被覆の一部を剥離して前記第1のスロット内でそれぞれ前記導体芯線と導通するように、前記対となる被覆心線の並列状態で延びる部分を圧接するように構成され、
前記被覆心線保持部は、
前記対となる被覆心線の前記コンタクトに向かって延びる部分を保持する第1の保持部と、
前記対となる被覆心線の互いに逆向きに延びる部分を保持する第2の保持部と、を有する、
圧接コネクタ装置。
【請求項2】
前記コンタクトは、
前記対となる第1のスロットが形成された第1の圧接部と、
前記対となる被覆心線のそれぞれに対応する対となる第2のスロットが形成され、前記第1の圧接部と離間して設けられた第2の圧接部と、
を有する、
請求項1に記載の圧接コネクタ装置。
【請求項3】
前記コンタクトは、
前記対となる被覆心線の前記第1のスロットに対して先端側に設けられたカッタをさらに有する、
請求項1に記載の圧接コネクタ装置。
【請求項4】
前記被覆心線保持部は、前記被覆心線の外径に対する、前記対となる被覆心線の屈曲した部分から前記コンタクトまでの距離の比が1~1.5になるように構成されている、
請求項1に記載の圧接コネクタ装置。
【請求項5】
導体芯線と、前記導体芯線を包囲する絶縁被覆とをそれぞれ備え、互いに互いに逆側から延びる対となる被覆心線を請求項1~4のいずれか1項に記載の圧接コネクタ装置により接続した接続構造であって、
前記被覆心線保持部により前記互いに逆側から延びる対となる被覆心線が屈曲されて同じ方向に延びるように保持され、
前記コンタクトにより前記対となる被覆心線をそれぞれ保持するとともに前記対となる被覆心線の前記心線が電気的に接続されている、ことを特徴とする被覆心線の接続構造。
【請求項6】
導体芯線と、前記導体芯線を包囲する絶縁被覆とをそれぞれ備え、互いに逆側から延びる対となる被覆心線を、圧接コネクタ装置を用いて接続する方法であって、
前記圧接コネクタ装置は、
ハウジングと、
前記ハウジング内に収容可能なコンタクトと、を備え、
前記ハウジングは、被覆心線保持部を有し、
前記コンタクトは、前記対となる被覆心線のそれぞれに対応する対となる第1のスロットを有し、
前記コンタクトを治具により押圧して、前記対となる被覆心線の前記絶縁被覆の一部を剥離して前記第1のスロット内でそれぞれ前記導体芯線と導通するように、前記対となる被覆心線の並列状態で延びる部分を圧接するステップと、
前記被覆心線保持部により前記互いに逆側から延びる対となる被覆心線を屈曲させて前記コンタクトに向かって並列状態で延びるように保持するステップと、
を含み、
前記保持するステップでは、前記被覆心線保持部の第1の部分で前記対となる被覆心線の前記コンタクトに向かって延びる部分を保持し、前記被覆心線保持部の第2の部分で前記対となる被覆心線の互いに逆向きに延びる部分を保持する、被覆心線接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧接コネクタ装置、被覆心線の接続構造、及び、被覆心線接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
導体芯線と、導体芯線の周りに被覆された絶縁被覆とを備えた被覆心線と端子の接続方法や、このような被覆心線同士の接続方法として、IDCコネクタ(Insulation Displacement Connector:圧接コネクタ)が広く用いられている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図16は、圧接コネクタ装置により対向する方向に同軸に延びる被覆心線同士を接続する様子を示す模式図である。また、
図17は
図16に示す圧接コネクタ装置に用いられているコンタクトを示す斜視図である。圧接コネクタ装置301は、導電性材料からなるコンタクト320とコンタクト320を収容するハウジング310とを有する。コンタクト320は、端部にスロット323を有する。互いに対向するように延びる一対の被覆心線300A、300Bは、平行になるようにそれぞれ90度屈曲されて圧接コネクタ装置301に導入される。そして、ハウジング310内に一対の被覆心線300A、300Bの端部をそれぞれ挿入した状態で、コンタクト320により各被覆心線300A、300Bを押圧する。これによりスロット323内に被覆心線300A、300Bが入り込み、各被覆心線300A、300Bの被覆が剥離され、被覆心線300A、300B内の導体芯線がコンタクト320のスロット323内で把持される。両被覆心線300A、300Bの導体芯線はコンタクト320を介して電気的に接続される。
【0005】
ここで、
図16に示すような圧接コネクタ装置では、各被覆心線を一か所でコンタクトのスロットで挟み込むことにより把持しているため、引き抜き耐力が大きくなく、過度の引っ張り力が作用すると被覆心線が抜けてしまうという問題がある。このため、引き抜き耐力を向上するために一対の被覆心線300A、300Bをねじるなどの作業が必要になってしまう。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、より被覆心線を強固に保持することができる圧接コネクタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、導体芯線と、導体芯線を包囲する絶縁被覆とをそれぞれ備え、互いに逆側から延びる対となる被覆心線を接続する圧接コネクタ装置であって、ハウジングと、ハウジング内に収容可能なコンタクトと、を備え、ハウジングは、対となる被覆心線を屈曲させて、並列状態で前記コンタクトに向かって延びるように保持する被覆心線保持部を有し、コンタクトは、屈曲されて延びる対となる被覆心線のそれぞれに対応する対となる第1のスロットを有し、対となる被覆心線の絶縁被覆の一部を剥離して第1のスロット内でそれぞれ導体芯線と導通するように、対となる被覆心線の並列状態で延びる部分を圧接するように構成され、被覆心線保持部は、対となる被覆心線のコンタクトに向かって延びる部分を保持する第1の保持部と、対となる被覆心線の互いに逆向きに延びる部分を保持する第2の保持部と、を有する、圧接コネクタ装置が提供される。
上記の態様によれば、被覆心線保持部により対となる被覆心線を屈曲させてコンタクトに向かうように保持しているため、被覆心線に引っ張り力が作用しても、コンタクトに直接作用する引っ張り力を低減できる。これにより、被覆心線をより強固に保持することができる。また、上記の態様によれば、被覆心線の屈曲部の両側で被覆心線をそれぞれ保持するため、被覆心線を屈曲状態で確実に保持することができる。また、被覆心線がお互い逆向きに引き抜きの負荷がかかった際に、被覆心線は第1の保持部に押圧する形で接触する為、摩擦力により被覆心線の引き抜きに抵抗することができる。
【0008】
本発明の一態様によれば、コンタクトは、対となる第1のスロットが形成された第1の圧接部と、対となる被覆心線のそれぞれに対応する対となる第2のスロットが形成され、第1の圧接部と離間して設けられた第2の圧接部と、を有する。
上記の態様によれば、複数の箇所で被覆心線を圧接するため、より強固に被覆心線を保持することができる。さらに、被覆心線を屈曲させた状態で被覆心線を囲っているため、確実に被覆心線を保持することができる。
【0009】
本発明の一態様によれば、コンタクトは、対となる被覆心線の第1のスロットに対して先端側に設けられたカッタをさらに有する。
上記の態様によれば、コンタクトを押し込むことにより、被覆心線を圧接するとともに被覆心線の余長部分を切断することができる。
【0010】
本発明の一態様によれば、被覆心線保持部は、被覆心線の外径に対する、対となる被覆心線の屈曲した部分からコンタクトまでの距離の比が1~1.5になるように構成されている。
上記の態様によれば、圧着スリーブにより被覆心線を接続した場合と同等あるいはそれ以上の引張強度を確保することができる。
【0011】
本発明の一態様によれば、導体芯線と、導体芯線を包囲する絶縁被覆とをそれぞれ備え、互いに互いに逆側から延びる対となる被覆心線を上記の圧接コネクタ装置により接続した接続構造であって、被覆心線保持部により互いに逆側から延びる対となる被覆心線が屈曲されて同じ方向に延びるように保持され、コンタクトにより対となる被覆心線および被覆心線内の導体芯線をそれぞれ保持するとともに対となる被覆心線の導体芯線が電気的に接続されている、ことを特徴とする被覆心線の接続構造、が提供される。
【0012】
本発明の一態様によれば、導体芯線と、導体芯線を包囲する絶縁被覆とをそれぞれ備え、互いに逆側から延びる対となる被覆心線を、圧接コネクタ装置を用いて接続する方法であって、圧接コネクタ装置は、ハウジングと、ハウジング内に収容可能なコンタクトと、を備え、ハウジングは、被覆心線保持部を有し、コンタクトは、前記対となる被覆心線のそれぞれに対応する対となる第1のスロットを有し、コンタクトを治具により押圧して、対となる被覆心線の絶縁被覆の一部を剥離して第1のスロット内でそれぞれ導体芯線と導通するように、対となる被覆心線の並列状態で延びる部分を圧接するステップと、被覆心線保持部により互いに逆側から延びる対となる被覆心線を屈曲させてコンタクトに向かって並列状態で延びるように保持するステップと、を含む、被覆心線接続方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、より被覆心線を強固に保持することができる圧接コネクタ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態による圧接コネクタ装置を示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態による圧接コネクタ装置を示す縦断面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態による圧接コネクタ装置を示す組立前の状態の水平断面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態による圧接コネクタ装置を示す組立状態の水平断面図である。
【
図5】本発明の第1実施形態による圧接コネクタ装置のコンタクトを示す側方から見た斜視図である。
【
図6】本発明の第1実施形態による圧接コネクタ装置のコンタクトを示す下方から見た斜視図である。
【
図7A】本発明の第1実施形態による圧接コネクタ装置を用いて一対の被覆心線を接続する方法を説明するための斜視図である。
【
図7B】本発明の第1実施形態による圧接コネクタ装置を用いて一対の被覆心線を接続する方法を説明するための斜視図である。
【
図7C】本発明の第1実施形態による圧接コネクタ装置を用いて一対の被覆心線を接続する方法を説明するための斜視図である。
【
図7D】本発明の第1実施形態による圧接コネクタ装置を用いて一対の被覆心線を接続する方法を説明するための斜視図である。
【
図8A】本発明の第1実施形態による圧接コネクタ装置を用いて一対の被覆心線を接続する方法を説明するための水平断面図である。
【
図8B】本発明の第1実施形態による圧接コネクタ装置を用いて一対の被覆心線を接続する方法を説明するための水平断面図である。
【
図8C】本発明の第1実施形態による圧接コネクタ装置を用いて一対の被覆心線を接続する方法を説明するための水平断面図である。
【
図9A】本発明の第1実施形態による圧接コネクタ装置を用いて一対の被覆心線を接続する方法を説明するための縦断面図である。
【
図9B】本発明の第1実施形態による圧接コネクタ装置を用いて一対の被覆心線を接続する方法を説明するための縦断面図である。
【
図9C】本発明の第1実施形態による圧接コネクタ装置を用いて一対の被覆心線を接続する方法を説明するための縦断面図である。
【
図9D】本発明の第1実施形態による圧接コネクタ装置を用いて一対の被覆心線を接続する方法を説明するための縦断面図である。
【
図10】本発明の第2実施形態による圧接コネクタ装置の構成を示す斜視図である。
【
図11】本発明の第2実施形態による圧接コネクタ装置のコンタクトを示す斜視図である。
【
図12】圧接用スロット2か所にそれぞれ被覆心線を圧接する場合の移動距離と押圧力との関係を示すグラフである。
【
図13】カッタ部材の移動距離と、断面積が2mm
2の絶縁心線2本分を切断する場合の押圧力との関係を示すグラフである。
【
図14】導体芯線の断面積が2mm
2、絶縁被覆の外径が3.3mmの被覆心線を圧接した場合の引張強度実験結果のグラフである。
【
図15】導体芯線の断面積が1.25mm
2、絶縁被覆の外径が2.2mmの被覆心線を圧接した場合の引張強度実験結果のグラフである。
【
図16】圧接コネクタ装置により対向する方向に同軸に延びる被覆心線同士を接続する様子を示す模式図である。
【
図17】
図16に示す圧接コネクタ装置に用いられているコンタクトを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の圧接コネクタ装置、及び、被覆心線の接続方法の第1実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、ハウジングの蓋部が開口する方向を上方とし、ハウジングの底部が位置する方向を下方として説明するが、本発明の各実施形態の圧接コネクタ装置は、蓋部が上方に位置するような姿勢で使用することは必須ではなく、蓋部が側方や下方に位置するような姿勢で使用してもよい。
【0016】
図1~
図4は、本発明の第1実施形態による圧接コネクタ装置を示し、
図1は斜視図であり、
図2は縦断面図であり、
図3は組立前の状態の水平断面図であり、
図4は組立状態の水平断面図である。
図1~
図4に示すように、圧接コネクタ装置1は、ハウジング10と、コンタクト20とを有する。本実施形態の圧接コネクタ装置1は、導体芯線と、導体芯線の周りに設けられた絶縁被覆とを有する一方の被覆心線100Aと、他方の被覆心線100Bとを接続するための装置である。一方の被覆心線100Aと他方の被覆心線100Bは互いに逆側から同軸に延びている。なお、同軸に延びるとは一方の被覆心線100Aと他方の被覆心線100Bとの導体芯線が一直線上に配置されている状態をいう。
【0017】
図5及び
図6は、本実施形態による圧接コネクタ装置のコンタクトを示す斜視図であり、
図5は側方から見た斜視図、
図6は下方から見た斜視図である。
図5及び
図6に示すように、コンタクト20は、導電性材料により形成され、側面視においてU字型に形成されている。コンタクト20は、水平方向に延びる矩形板状の基部21と、基部21の一端から基部21に対して垂直方向に延びる第1の板状圧接部22と、基部21の他端から基部21に対して垂直方向に延びる第2の板状圧接部23とを有する。基部21と、第1の板状圧接部22と、第2の板状圧接部23の幅及び厚さは一定である。
【0018】
第1の板状圧接部22には、一方の被覆心線100Aに対応する一方の第1のスロット24と、他方の被覆心線100Bに対応する他方の第1のスロット25とが形成されている。第2の板状圧接部23には、一方の被覆心線100Aに対応する一方の第2のスロット26と、他方の被覆心線100Bに対応する他方の第2のスロット27とが形成されている。一方の第1のスロット24と一方の第2のスロット26とは第1の板状圧接部22及び第2の板状圧接部23に対して垂直方向に整列しており、他方の第1のスロット25と他方の第2のスロット27とは第1の板状圧接部22及び第2の板状圧接部23に対して垂直方向に整列している。
【0019】
コンタクト20に形成された各スロット24、25、26、27の形状は同じであり、これらスロット24、25、26、27の幅は一定となっているが、スロット24、25、26、27の底部に向かって幅が狭くなるように形成してもよい。あるいはスロットに絶縁心線を挿入した時に変形するスロットの広がり分まで、スロットの底部を広くしておくことも可能である。そして、スロット24、25、26、27の幅は少なくとも一部において(本実施形態では全体において)、接続される被覆心線の導体芯線の直径よりも狭くなっている。コンタクト20を形成する材料としては、例えば、C5191-H(リン青銅)などの銅合金を用いることができるが導電性材料であればこれに限られない。
【0020】
ハウジング10は、収容部60と、収容部60の上面の一方の縁に回動可能に接続された蓋部70と、収容部60に一対の被覆心線100A、100Bを保持する保持部80と、を有する。ハウジング10は例えばポリプロピレンなどの樹脂を射出成型することにより製造することができる。
【0021】
収容部60は、直方体状に形成されている。収容部60には、前面(
図1における右斜め下の面)から後面まで平行に貫通する一方の被覆心線挿入孔61A及び他方の被覆心線挿入孔61Bを有する。一方の被覆心線挿入孔61A及び他方の被覆心線挿入孔61Bは横方向に隣接しており、互いに連通している。一方の被覆心線挿入孔61Aと他方の被覆心線挿入孔61Bの間には、仕切り板60Bが設けられている。
【0022】
収容部60の上面には、前後方向に間隔をあけて第1の圧接ガイド孔62Aと、第2の圧接ガイド孔62Bとが形成されている。第1の圧接ガイド孔62A、及び、第2の圧接ガイド孔62Bは、それぞれ矩形状であり、厚さ及び幅がコンタクト20の第1の板状圧接部22及び第2の板状圧接部23と略等しい。これにより、第1の圧接ガイド孔62A、及び、第2の圧接ガイド孔62Bは、それぞれコンタクト20の第1の板状圧接部22及び第2の板状圧接部23を挿入可能になっている。第1の圧接ガイド孔62A、及び、第2の圧接ガイド孔62Bはそれぞれ一方の被覆心線挿入孔61A及び他方の被覆心線挿入孔61Bと連通している。また、収容部60の上面の第1の圧接ガイド孔62A、及び、第2の圧接ガイド孔62Bの間の部分は、一方のコンタクト20の基部21に厚さに合わせて凹状になっている。
【0023】
収容部60の蓋部70が接続されたのと反対側の側面には係合凸部69が形成されている。係合凸部69は水平方向に奥行方向に延びており、下面が側面に対して垂直に形成されている。また、収容部60の上部の前縁には縦断面矩形状の凹部60Aが延びている。
【0024】
保持部80は、収容部60の前面に立設された第1の保持部63と、第1の保持部63の前面の下方の縁に回動可能に接続された第2の保持部64とを有する。
【0025】
第1の保持部63は、一方の被覆心線挿入孔61A及び他方の被覆心線挿入孔61Bの縁に沿って立設された一方のガイド筒63A及び他方のガイド筒63Bと、を含む。一方のガイド筒63A及び他方のガイド筒63Bは、それぞれ円筒形状であり、前後方向に被覆心線100A、100Bを並列状態で保持することができる。一方のガイド筒63A及び他方のガイド筒63Bの横方向内側の部分は省略されており、この部分を通じて内部空間が互いに連通している。一方のガイド筒63A及び他方のガイド筒63Bの前端部の横方向外側の縁には、一方の被覆心線100A及び他方の被覆心線100Bの形状に合わせたU字型の切り欠き部64A、64Bがそれぞれ形成されている。一方のガイド筒63A及び他方のガイド筒63Bの上面の高さは、収容部60の凹部60Aの底面よりも上方に位置している。第1の保持部63は、一方の被覆心線100A及び他方の被覆心線100Bのコンタクト20に向かって延びる部分を保持する。
【0026】
第2の保持部64は、第1の保持部63の前方の下縁に回動可能に接続された矩形の板状の板部66と、板部66の第1の保持部63と反対側の縁に立設されたフラップ部68と、を有する。
【0027】
板部66は、矩形状に形成された板材から形成され、横方向に延びる溝部67が形成されている。溝部67の断面形状は一方の被覆心線100A及び他方の被覆心線100Bの形状に合わせた円弧状に形成されている。
【0028】
フラップ部68は矩形状であり板部66に対して垂直に立設されている。フラップ部68の板部66と反対側の端部には縁に沿って垂直に立設された係合凸部69が形成されている。
【0029】
保持部80は、一方の被覆心線100A及び他方の被覆心線100Bの外径に対する、一方の被覆心線100A及び他方の被覆心線100Bの屈曲した部分からコンタクト20の第1の板状圧接部22の前面までの略直線状に延びる部分の距離(
図8A及び
図9BにおけるD)の比Rが1~1.5になるように構成されている。この距離は、切り欠き部64A、64Bの水平方向底部からコンタクト20の前面までの距離に相当する。
【0030】
蓋部70は、収容部60の上面の一側に回動可能に接続された板部71と、板部71の前方の縁に沿って立設された前面部72と、板部71の後方の縁に沿って立設された後面部73と、板部71の収容部60と反対側の縁に沿って立設されたフラップ部74とを有する。
【0031】
板部71は収容部60の上部を全幅、全奥行にわたって覆うことができるような矩形の板状に形成されている。
【0032】
前面部72は、収容部60の凹部60Aに対応するような細長い矩形状に形成されている。前面部72の高さ及び奥行は、収容部60の凹部60A内に収容可能な高さ及び奥行となっている。
【0033】
後面部73は、収容部60の後面の上部を所定の高さにわたって覆う後面上部73Aと、収容部60の後面の一方の被覆心線挿入孔61A及び他方の被覆心線挿入孔61Bに当たる部分を離間して多い、後面下部73Bとを備える。
【0034】
フラップ部74は矩形の板状に形成されており、下縁(
図1に示すように、蓋部70を開いた状態では上側の縁)に沿って延びる係合部75が形成されている。係合部75の上面(
図1に示すように、蓋部70を開いた状態では下側の面)はフラップ部74に対して垂直になっている。
【0035】
第2の保持部は、一方の被覆心線100A、及び他方の被覆心線100Bの互いに逆向きに延びる部分を保持する。
以下、本実施形態の圧接コネクタ装置1を用いて一対の被覆心線を接続する方法を説明する。
図7A~
図7D、
図8A~
図8C、及び
図9A~
図9Dは本実施形態の圧接コネクタ装置を用いて一対の被覆心線を接続する方法を説明するための図であり、
図7A~
図7Dは斜視図、
図8A~
図8Cは水平断面図、
図9A~
図9Dは縦断面図である。
【0036】
被覆心線100A、100Bの接続を開始する前の状態では、蓋部70の板部71が収容部60の上面に対して180度開いた状態となっており、コンタクト20の第1の板状圧接部22及び第2の板状圧接部23の先端がそれぞれ、第1の圧接ガイド孔62A、及び、第2の圧接ガイド孔62Bに挿入された状態となっている。なお、この状態で、コンタクト20の第1の板状圧接部22及び第2の板状圧接部23の先端は、一方の被覆心線挿入孔61A及び他方の被覆心線挿入孔61Bまで到達していない。また、接続を開始する前の状態では、保持部80の第2の保持部64の板部66が下方に向かって延びるように開いた状態となっている。
【0037】
この状態で、
図7A、
図8A、及び
図9Aに示すように、一方の被覆心線挿入孔61A及び他方の被覆心線挿入孔61Bにそれぞれ一方の被覆心線100A及び他方の被覆心線100Bを、先端が収容部60の後面から突出するまで挿入する。そして、一方の被覆心線100A及び他方の被覆心線100Bの基端側の部分を屈曲させて、切り欠き部64A、64Bを通してそれぞれ側方に延びるように配置する。これにより一方の被覆心線100A及び他方の被覆心線100Bの屈曲した部分よりも先端側は並列した状態でコンタクト20に向かって延びる。
【0038】
次に、
図7B及び
図9Bに示すように、コンタクト20を、治具を用いて、ハウジング10の収容部60内に押圧して押し込む。コンタクト20を押し込むことにより、コンタクト20の第1の板状圧接部22及び第2の板状圧接部23の一方の第1のスロット24と一方の第2のスロット26の両側の部分が一方被覆心線100Aの被覆を剥離する。また、これと同時にコンタクト20の第1の板状圧接部22及び第2の板状圧接部23の他方の第1のスロット25と他方の第2のスロット27の両側の部分が他方の被覆心線100Bの被覆を剥離する。これにより、一方の被覆心線100A及び他方の被覆心線100Bの導体芯線が露出する。そして、さらにコンタクト20を押し込むことにより、一方の被覆心線100Aの露出した導体芯線の側部が、コンタクト20の一方の第1のスロット24と一方の第2のスロット26内で挟み込まれる。また、これと同時に他方の被覆心線100Bの露出した導体芯線の側部が、コンタクト20の他方の第1のスロット25と他方の第2のスロット27内で挟み込まれる。このようにして、一方の被覆心線100Aの被覆が第1の板状圧接部22及び第2の板状圧接部23に係合するとともに、一方の被覆心線100Aの導体芯線が一方の第1のスロット24と一方の第2のスロット26内でコンタクト20により把持される。また、他方の被覆心線100Bの被覆が第1の板状圧接部22及び第2の板状圧接部23に係合するとともに、他方の被覆心線100Bの導体芯線が他方の第1のスロット25と他方の第2のスロット27内でコンタクト20により把持される。この結果、一方の被覆心線100Aの導体芯線と、他方の被覆心線100Bの導体芯線が、コンタクト20を介して電気的に接続される。また、これと同時に一方の被覆心線100A及び他方の被覆心線100Bの導体芯線がコンタクト20を介してハウジング60に固定される。
【0039】
次に、
図7C、
図8B、及び
図9Cに示すように、治具を用いて、一方の被覆心線100A及び他方の被覆心線100Bのハウジング10の背面から突出している部分を基端部で切断する。
【0040】
次に、
図7D、
図8C、及び
図9Dに示すように、第2の保持部64を回動させて第1の保持部63の前面を閉鎖する。第2の保持部64を180度回動させることにより、第2の保持部64の係合凸部69が一方のガイド筒63A及び他方のガイド筒63Bの収容部60側の上縁に係合する。これにより、第2の保持部64を固定することができる。第2の保持部64を閉じることにより、板部66の溝部67が一方の被覆心線100A及び他方の被覆心線100Bの前面側に当接する。これにより、第2の保持部64が一方の被覆心線100A及び他方の被覆心線100Bをそれぞれ90度屈曲した状態で保持することができる。
【0041】
また、蓋部70を板部71が収容部60の上面に当接するまで回動させる。これにより、フラップ部74が収容部60の側面に沿うように位置し、係合部75が収容部60の側面に形成された係合凸部69と係合する。その結果、収容部60の上面が蓋部70により併催され、蓋部70の収容部60に対する回動が規制される。
以上により一方の被覆心線100Aと他方の被覆心線100Bの接続構造が形成される。
【0042】
なお、上記の実施形態では、2本の被覆心線100A、100Bの位置を定めてからこれら被覆心線100A、100Bの先端を屈曲させて、圧接コネクタ装置1に向けて並列状態に被覆心線100A、100Bを配置したが、本発明はこれに限られない。例えば、1本ずつ被覆心線を屈曲させて位置を決めた後に、圧接コネクタ装置に導入してもよい。また、2本の被覆心線の先端を圧接コネクタ装置に導入し、コネクタで圧接してから、2本の被覆心線を屈曲してもよい。
【0043】
このような接続構造によれば、コンタクト20により一方の被覆心線100A及び他方の100Bがそれぞれ2箇所で圧接されることにより、一方の被覆心線100A及び他方の被覆心線100Bが圧接コネクタ装置1に強固に保持される。さらに、一方の被覆心線100A及び他方の被覆心線100Bがそれぞれ保持部80内で屈曲しているため、保持部80において一方の被覆心線100A及び他方の被覆心線100Bが摩擦力で保持されるとともに、一方の被覆心線100A及び他方の被覆心線100Bに引っ張り力が作用したとしても、この引っ張り力はコンタクト20による圧接箇所に引っ張り力として作用することを緩和され、圧接コネクタ装置1を介して互いに伝達される。これにより、圧接コネクタ装置1の一方の被覆心線100A及び他方の被覆心線100Bの保持力が向上する。
【0044】
本実施形態によれば、保持部80により対となる被覆心線100A、100Bを屈曲させてコンタクト20に向かうように保持しているため、被覆心線100A、100Bに引っ張り力が作用しても、コンタクト20に直接作用する引っ張り力を低減できる。これにより、被覆心線をより強固に保持することができる。
【0045】
また、本実施形態によれば、保持部80は、一方及び他方の被覆心線100A、100Bのコンタクトに向かって延びる部分を保持する第1の保持部63と、一方及び他方の被覆心線100A、100Bの互いに逆向きに延びる部分を保持する第2の保持部64と、を有する。これにより、被覆心線100A、100Bの屈曲部の両側で被覆心線をそれぞれ保持するため、被覆心線100A、100Bを屈曲状態で確実に保持することができる。また、被覆心線100A、100Bに第2の保持部64が接触するため、摩擦力により被覆心線100A、100Bの引き抜きに抵抗することができる。
【0046】
また、本実施形態によれば、コンタクト20は、一方及び他方の第1のスロット24、25が形成された第1の板状圧接部22と、対となる被覆心線100A、100Bのそれぞれに対応する一方及び他方の第2のスロット26、27が形成され、第1の板状圧接部22と離間して設けられた第2の板状圧接部23と、を有する。これにより、複数の箇所で被覆心線を圧接するため、より強固に被覆心線100A、100Bを保持することができる。さらに、被覆心線100A、100Bを屈曲させた状態で被覆心線被覆心線100A、100Bを囲っているため、確実に被覆心線被覆心線100A、100Bを保持することができる。。
【0047】
また、本実施形態よれば、保持部80は、一方及び他方の被覆心線100A、100Bの外径に対する、一方及び他方の被覆心線100A、100Bの屈曲した部分からコンタクト20までの距離の比が1~1.5になるように構成されている。これにより、圧着スリーブにより被覆心線を接続した場合と同等あるいはそれ以上の引張強度を確保することができる。
【0048】
次に、本発明の第2実施形態による圧接コネクタ装置201を図面を参照しながら説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0049】
図10は、本発明の第2実施形態による圧接コネクタ装置の構成を示す斜視図であり、
図11は、第2実施形態による圧接コネクタ装置のコンタクトを示す斜視図である。
【0050】
図10及び
図11に示すように、本実施形態の圧接コネクタ装置201は、コンタクト220がカッタ部290を備え、収容部260がカッタ部290に対応するカッタガイド孔62Cを備える点で第1実施形態と主に相違している。
【0051】
第2実施形態によるコンタクト220は、第1の板状圧接部22と、第2の板状圧接部23と、カッタ部290と、第1の板状圧接部22及び第2の板状圧接部23を連結する第1の基部224と、第2の板状圧接部23とカッタ部290を連結する第2の基部226とを備える。
【0052】
第1の板状圧接部22及び第2の板状圧接部23の構成は第1実施形態と同様である。第1の基部224は第1の板状圧接部22と、第2の板状圧接部23の上部を連結している。
【0053】
カッタ部290は、下縁が鋭利に形成された部位であり、第1の板状圧接部22及び第2の板状圧接部23と平行に設けられている。第2の基部226は第2の板状圧接部23及びカッタ部290を側方で連結している。
【0054】
収容部260は、上面に第1の圧接ガイド孔62A、第2の圧接ガイド孔62B、及びカッタガイド孔62Cが形成されている。カッタガイド孔62Cは矩形状であり、厚さ及び幅がコンタクト220のカッタ部290と略等しい。
【0055】
第1実施形態では、一方の被覆心線100A及び他方の被覆心線100Bを接続する際に、コンタクト20を押圧して一方の被覆心線100A及び他方の被覆心線100Bを圧接した後、一方の被覆心線100A及び他方の被覆心線100Bの余長を治具により切断していた。これに対して、第2実施形態によれば、コンタクト20を押圧することにより、一方の被覆心線100A及び他方の被覆心線100Bを圧接するともに、カッタ部290により一方の被覆心線100A及び他方の被覆心線100Bの余長を切断することができる。
【0056】
なお、発明者らは、板状でスロットを有する圧接部材で被覆心線を圧接するために必要な力を実験的に検討した。本実験では、スロットを有する板状のコンタクトを銅合金(C2680-EH)により作成した。また、コンタクト材の厚みは0.8mmとし、スロットの幅は0.6mmとした。このようなスロットを配備した板状のコンタクトにより断面積2mm2の7本撚り導体芯線と絶縁被覆とを有する被覆心線を圧接し、コンタクトの押圧方向の移動距離と、移動するのに必要な押圧力を測定した。
【0057】
図12は、圧接用スロット2か所にそれぞれ被覆心線を圧接する場合の移動距離と押圧力との関係を示すグラフである。同図に示すように、一般的な断面積2mm
2の導体芯線を有する被覆被覆心線2本を、同時に一つの圧接部材に設けた2か所のスロットにより圧接する際には800N程度の押圧力が必要になることが確認できた。
【0058】
また、発明者らは、板状のカッタ部で被覆心線を切断するために必要な力を実験的に検討した。本実験では、コンタクト20のカッタ28と同じ様なカッタを有する板状のカッタ部材を銅合金(C5191-H)により作成した。なお、カッタ部材の基部の厚さは0.8mm、カッタ先端の厚さは0.1mm、先端の角度は30°である。このような部材により断面積2mm2の7本撚り導体芯線と絶縁被覆とを有する被覆心線を押圧し、カッタ部材の押圧方向の移動距離と、移動するのに必要な押圧力を測定した。
【0059】
図13は、カッタ部材の移動距離と、断面積が2mm
2の絶縁心線2本分を切断する場合の押圧力との関係を示すグラフである。同図に示すように、一般的な断面積2mm
2の導体芯線を有する被覆被覆心線2本を一つのカッタ部材により切断する際には800N程度の押圧力が必要になることが確認できた。
【0060】
また、発明者らは、第1実施形態の圧接コネクタ装置1における、被覆心線の外径に対する被覆心線の屈曲した部分からコンタクトの第1の板状圧接部の前面までの略直線状に延びる部分の距離(
図8A及び
図9Bにおける距離D)の比Rと、被覆心線の引張強度との関係を実験的に検討した。本実験では、上記の比Rが異なる第1実施形態で説明した圧接コネクタ装置について複数の実施例を作成した。そして、導体芯線の断面積が2mm
2、絶縁被覆の外径が3.3mmの被覆心線を圧接した場合と、導体芯線の断面積が1.25mm
2、絶縁被覆の外径が2.2mmの被覆心線を圧接した場合とについて、各実施例について被覆心線に引張力を加えて引張強度を調べた。
図14は、導体芯線の断面積が2mm
2、絶縁被覆の外径が3.3mmの被覆心線を圧接した場合の引張強度実験結果のグラフを示し、
図15は、導体芯線の断面積が1.25mm
2、絶縁被覆の外径が2.2mmの被覆心線を圧接した場合の引張強度実験結果のグラフを示す。また、各グラフには、比較例として圧着スリーブの引張強度を示す。
図14及び
図15に示すように、被覆心線の外径に対する被覆心線の屈曲した部分からコンタクトの第1の板状圧接部の前面までの略直線状に延びる部分の距離(
図8A及び
図9Bにおける距離D)の比Rが1.0以上になれば、圧着スリーブの引張強度と同等の引張強度が得られることが確認された。また、導体芯線の断面積が2mm
2、絶縁被覆の外径が3.3mmの被覆心線を圧接した場合には、比Rが2.0を超えると、比Rが増加しても引張強度は増加せず、導体芯線の断面積が1.25mm
2、絶縁被覆の外径が2.2mmの被覆心線を圧接した場合には、比Rが1.5を超えると、比Rが増加しても引張強度は増加しないことが確認された。このため、比Rは好ましくは、1.0~2.0、より好ましくは1.0~1.5であることが確認された。
【符号の説明】
【0061】
1 :圧接コネクタ装置
10 :ハウジング
20 :コンタクト
21 :基部
22 :第1の板状圧接部
23 :第2の板状圧接部
24 :一方の第1のスロット
25 :他方の第1のスロット
26 :一方の第2のスロット
27 :他方の第2のスロット
28 :カッタ
60 :収容部
60A :凹部
60B :仕切り板
61A :一方の被覆心線挿入孔
61B :他方の被覆心線挿入孔
62A :第1の圧接ガイド孔
62B :第2の圧接ガイド孔
62C :カッタガイド孔
63 :第1の保持部
63A :一方のガイド筒
63B :他方のガイド筒
64 :第2の保持部
64A :一方の切り欠き部
64B :他方の切り欠き部
66 :板部
67 :溝部
68 :フラップ部
69 :係合凸部
70 :蓋部
71 :板部
72 :前面部
73 :後面部
73A :後面上部
73B :後面下部
74 :フラップ部
75 :係合部
80 :保持部
100A :一方の被覆心線
100B :他方の被覆心線
201 :圧接コネクタ装置
220 :コンタクト
224 :第1の基部
226 :第2の基部
260 :収容部
290 :カッタ部