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特開2024-168472有体物流通管理システム、有体物流通管理方法及び有体物流通管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168472
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】有体物流通管理システム、有体物流通管理方法及び有体物流通管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/22 20120101AFI20241128BHJP
【FI】
G06Q20/22 300
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085186
(22)【出願日】2023-05-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-05-01
(71)【出願人】
【識別番号】519344969
【氏名又は名称】株式会社PocketRD
(74)【代理人】
【識別番号】230112911
【弁護士】
【氏名又は名称】三和 圭二郎
(72)【発明者】
【氏名】籾倉 宏哉
【テーマコード(参考)】
5L020
5L055
【Fターム(参考)】
5L020AA51
5L055AA51
(57)【要約】
【課題】美術品等の有体物の商取引において、取引対象の価値及び保管状態に関する高精度の情報を提供することによって円滑な取引を実現する技術を提供する。
【解決手段】流通管理の対象となる美術品等の有体物に対し1対1の対応関係にて付属させ、有体物の資産評価及び保管状況に関する補充情報として対象となる有体物の位置情報を出力するためのものである。具体的には、タグ装置1は、位置情報を測定する位置センサ3と、位置センサ3によって測定された位置情報を外部に出力する出力部4とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対応関係にある有体物の所有者の変動に応じて変動後の所有者と一致するよう、分散型ネットワーク上に保存された分散型台帳に記録された、非代替性トークンである対応トークンの保有名義を変更する情報である保有名義変更情報を生成する保有名義変更情報生成手段と、
前記有体物が所有者以外の第三者に対し公開された事実に関する情報であって、有体物の所有者により開示された情報である主観情報又は/及び前記所有者以外の者により開示された情報である客観情報に基づき、少なくとも個々の公開事実の日時、場所に関する情報を含む情報である公開履歴情報を生成する公開履歴情報生成手段と、
前記有体物の保管状況に関する情報であって、前記有体物の所有者により開示された情報である主観情報又は/及び前記所有者以外の者により開示された情報である客観情報に基づき、少なくとも個々の保管が実施された日時、場所に関する情報を含む情報である保管履歴情報を生成する保管履歴情報生成手段と、
前記保有名義変更情報、前記公開履歴情報及び前記保管履歴情報を前記分散型ネットワークに対し出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする有体物流通管理システム。
【請求項2】
前記公開履歴情報に含まれる個々の公開事実について、前記有体物に附属せしめた位置計測手段により計測された前記有体物の位置情報に基づき、前記公開事実の日時に前記有体物が前記公開事実の場所に存在したか否かを判定することにより前記公開履歴情報の真偽を判定する第一の真偽判定手段と、
前記保管履歴情報に含まれる個々の保管の実施について、前記有体物に附属せしめた位置計測手段により計測された前記有体物の位置情報に基づき、前記保管の実施日時に前記有体物が前記保管の実施場所に存在したか否かを判定することにより前記保管履歴情報の真偽を判定する第二の真偽判定手段と、
をさらに備え、
前記出力手段は、前記第一、第二の真偽判定手段による判定結果についても前記分散型ネットワークに対し出力することを特徴とする請求項1記載の有体物流通管理システム。
【請求項3】
前記出力手段は、前記第一の真偽判定手段による判定結果を、前記主観情報に基づく公開事実に関する判定結果と前記客観情報に基づく公開事実に関する判定結果とで区別した態様にて前記判定結果を出力し、前記第二の真偽判定手段による判定結果を、前記主観情報に基づく保管実施に関する判定結果と前記客観情報に基づく保管実施に関する判定結果とで区別した態様にて前記判定結果を出力することを特徴とする請求項2記載の有体物流通管理システム。
【請求項4】
対応関係にある有体物の所有者の変動に応じて変動後の所有者と一致するよう、分散型ネットワーク上に保存された分散型台帳に記録された、非代替性トークンである対応トークンの保有名義を変更する情報である保有名義変更情報を生成する保有名義変更情報生成ステップと、
前記有体物が所有者以外の第三者に対し公開された事実に関する情報であって、有体物の所有者により開示された情報である主観情報又は/及び前記所有者以外の者により開示された情報である客観情報に基づき、少なくとも個々の公開事実の日時、場所に関する情報を含む情報である公開履歴情報を生成する公開履歴情報生成ステップと、
前記有体物の保管状況に関する情報であって、前記有体物の所有者により開示された情報である主観情報又は/及び前記所有者以外の者により開示された情報である客観情報に基づき、少なくとも個々の保管が実施された日時、場所に関する情報を含む情報である保管履歴情報を生成する保管履歴情報生成ステップと、
前記保有名義変更情報、前記公開履歴情報及び前記保管履歴情報を前記分散型ネットワークに対し出力する出力ステップと、
を含むことを特徴とする有体物流通管理方法。
【請求項5】
前記公開履歴情報に含まれる個々の公開事実について、前記有体物に附属せしめた位置計測手段により計測された前記有体物の位置情報に基づき、前記公開事実の日時に前記有体物が前記公開事実の場所に存在したか否かを判定することにより前記公開履歴情報の真偽を判定する第一の真偽判定ステップと、
前記保管履歴情報に含まれる個々の保管の実施について、前記有体物に附属せしめた位置計測ステップにより計測された前記有体物の位置情報に基づき、前記保管の実施日時に前記有体物が前記保管の実施場所に存在したか否かを判定することにより前記保管履歴情報の真偽を判定する第二の真偽判定ステップと、
をさらに含み、
前記出力ステップは、前記第一、第二の真偽判定ステップによる判定結果についても前記分散型ネットワークに対し出力することを特徴とする請求項4記載の有体物流通管理方法。
【請求項6】
有体物の流通管理をコンピュータに行わせる有体物流通管理プログラムであって、
前記コンピュータに対し、
対応関係にある有体物の所有者の変動に応じて変動後の所有者と一致するよう、分散型ネットワーク上に保存された分散型台帳に記録された、非代替性トークンである対応トークンの保有名義を変更する情報である保有名義変更情報を生成する保有名義変更情報生成機能と、
前記有体物が所有者以外の第三者に対し公開された事実に関する情報であって、有体物の所有者により開示された情報である主観情報又は/及び前記所有者以外の者により開示された情報である客観情報に基づき、少なくとも個々の公開事実の日時、場所に関する情報を含む情報である公開履歴情報を生成する公開履歴情報生成機能と、
前記有体物の保管状況に関する情報であって、前記有体物の所有者により開示された情報である主観情報又は/及び前記所有者以外の者により開示された情報である客観情報に基づき、少なくとも個々の保管が実施された日時、場所に関する情報を含む情報である保管履歴情報を生成する保管履歴情報生成機能と、
前記保有名義変更情報、前記公開履歴情報及び前記保管履歴情報を前記分散型ネットワークに対し出力する出力機能と、
を実現させることを特徴とする有体物流通管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美術品等の有体物の流通を管理する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、有体物からなる商品等を目的物とした所有権譲渡等の取引を効率的に管理するための様々な技術が提案されている。例えば、特許文献1には顧客が保有する携帯装置にて目的物に付された紙片に印刷された商品識別情報を光学的に読み取ることによってレジ等を経由することなく精算処理を行う技術が開示されている。また、特許文献2には、特許文献1の技術を改良した技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-219034号公報
【特許文献2】特開2021-157373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1、2に開示された技術では、取引に有用な情報である商品の価値や保管状態に関する情報を取得できないという問題がある。このことは、商品価値の個別差が大きく、また保管状態によって商品価値が大きく変動する美術品等が取引対象の場合において、円滑な流通を阻害しかねない重大な問題である。すなわち特許文献1、2に開示された技術のみを用いて美術品等の流通管理を行う場合、買主は美術品の価値について何ら参考となる情報を持ち合わせることなくその場で直感的に商品価値の判断を迫られることとなるが、専門家でない一般人にとって、これは極めて困難である。同様に、専門家でない一般人が美術品等の保管状態について的確に判断することも非常に困難である。
【0005】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであって、美術品等の有体物の商取引において、取引対象の価値及び保管状態に関する高精度の情報を提供することによって円滑な取引を実現する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる有体物流通管理システムは、対応関係にある有体物の所有者の変動に応じて変動後の所有者と一致するよう、分散型ネットワーク上に保存された分散型台帳に記録された、非代替性トークンである対応トークンの保有名義を変更する情報である保有名義変更情報を生成する保有名義変更情報生成手段と、前記有体物が所有者以外の第三者に対し公開された事実に関する情報であって、有体物の所有者により開示された情報である主観情報又は/及び前記所有者以外の者により開示された情報である客観情報に基づき、少なくとも個々の公開事実の日時、場所に関する情報を含む情報である公開履歴情報を生成する公開履歴情報生成手段と、前記有体物の保管状況に関する情報であって、前記有体物の所有者により開示された情報である主観情報又は/及び前記所有者以外の者により開示された情報である客観情報に基づき、少なくとも個々の保管が実施された日時、場所に関する情報を含む情報である保管履歴情報を生成する保管履歴情報生成手段と、前記保有名義変更情報、前記公開履歴情報及び前記保管履歴情報を前記分散型ネットワークに対し出力する出力手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、上記目的を達成するため、請求項2にかかる有体物流通管理システムは、上記の発明において、前記公開履歴情報に含まれる個々の公開事実について、前記有体物に附属せしめた位置計測手段により計測された前記有体物の位置情報に基づき、前記公開事実の日時に前記有体物が前記公開事実の場所に存在したか否かを判定することにより前記公開履歴情報の真偽を判定する第一の真偽判定手段と、前記保管履歴情報に含まれる個々の保管の実施について、前記有体物に附属せしめた位置計測手段により計測された前記有体物の位置情報に基づき、前記保管の実施日時に前記有体物が前記保管の実施場所に存在したか否かを判定することにより前記保管履歴情報の真偽を判定する第二の真偽判定手段と、をさらに備え、前記出力手段は、前記第一、第二の真偽判定手段による判定結果についても前記分散型ネットワークに対し出力することを特徴とする。
【0008】
また、上記目的を達成するため、請求項3にかかる有体物流通管理システムは、上記の発明において、前記出力手段は、前記第一の真偽判定手段による判定結果を、前記主観情報に基づく公開事実に関する判定結果と前記客観情報に基づく公開事実に関する判定結果とで区別した態様にて前記判定結果を出力し、前記第二の真偽判定手段による判定結果を、前記主観情報に基づく保管実施に関する判定結果と前記客観情報に基づく保管実施に関する判定結果とで区別した態様にて前記判定結果を出力することを特徴とする。
【0009】
また、上記目的を達成するため、請求項4にかかる有体物流通管理方法は、対応関係にある有体物の所有者の変動に応じて変動後の所有者と一致するよう、分散型ネットワーク上に保存された分散型台帳に記録された、非代替性トークンである対応トークンの保有名義を変更する情報である保有名義変更情報を生成する保有名義変更情報生成ステップと、前記有体物が所有者以外の第三者に対し公開された事実に関する情報であって、有体物の所有者により開示された情報である主観情報又は/及び前記所有者以外の者により開示された情報である客観情報に基づき、少なくとも個々の公開事実の日時、場所に関する情報を含む情報である公開履歴情報を生成する公開履歴情報生成ステップと、前記有体物の保管状況に関する情報であって、前記有体物の所有者により開示された情報である主観情報又は/及び前記所有者以外の者により開示された情報である客観情報に基づき、少なくとも個々の保管が実施された日時、場所に関する情報を含む情報である保管履歴情報を生成する保管履歴情報生成ステップと、前記保有名義変更情報、前記公開履歴情報及び前記保管履歴情報を前記分散型ネットワークに対し出力する出力ステップと、を含むことを特徴とする。
【0010】
また、上記目的を達成するため、請求項5にかかる有体物流通管理方法は、上記の発明において、前記公開履歴情報に含まれる個々の公開事実について、前記有体物に附属せしめた位置計測手段により計測された前記有体物の位置情報に基づき、前記公開事実の日時に前記有体物が前記公開事実の場所に存在したか否かを判定することにより前記公開履歴情報の真偽を判定する第一の真偽判定ステップと、前記保管履歴情報に含まれる個々の保管の実施について、前記有体物に附属せしめた位置計測ステップにより計測された前記有体物の位置情報に基づき、前記保管の実施日時に前記有体物が前記保管の実施場所に存在したか否かを判定することにより前記保管履歴情報の真偽を判定する第二の真偽判定ステップと、をさらに含み、前記出力ステップは、前記第一、第二の真偽判定ステップによる判定結果についても前記分散型ネットワークに対し出力することを特徴とする。
【0011】
また、上記目的を達成するため、請求項6にかかる有体物流通管理プログラムは、有体物の流通管理をコンピュータに行わせる有体物流通管理プログラムであって、前記コンピュータに対し、対応関係にある有体物の所有者の変動に応じて変動後の所有者と一致するよう、分散型ネットワーク上に保存された分散型台帳に記録された、非代替性トークンである対応トークンの保有名義を変更する情報である保有名義変更情報を生成する保有名義変更情報生成機能と、前記有体物が所有者以外の第三者に対し公開された事実に関する情報であって、有体物の所有者により開示された情報である主観情報又は/及び前記所有者以外の者により開示された情報である客観情報に基づき、少なくとも個々の公開事実の日時、場所に関する情報を含む情報である公開履歴情報を生成する公開履歴情報生成機能と、前記有体物の保管状況に関する情報であって、前記有体物の所有者により開示された情報である主観情報又は/及び前記所有者以外の者により開示された情報である客観情報に基づき、少なくとも個々の保管が実施された日時、場所に関する情報を含む情報である保管履歴情報を生成する保管履歴情報生成機能と、前記保有名義変更情報、前記公開履歴情報及び前記保管履歴情報を前記分散型ネットワークに対し出力する出力機能と、を実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、美術品等の有体物の商取引において、取引対象の価値及び保管状態に関する高精度の情報を提供することによって円滑な取引を実現できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態1にかかる有体物流通管理システムの構成を示す模式図である。
図2】実施の形態1にかかる有体物流通管理システムの動作を示すフローチャートである。
図3】実施の形態2にかかる有体物流通管理システムの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施の形態においては、本発明の実施の形態として最も適切と考えられる例について記載するものであり、当然のことながら、本発明の内容を本実施の形態にて示された具体例に限定して解すべきではない。同様の作用・効果を奏する構成であれば、実施の形態にて示す具体的構成以外のものであっても、本発明の技術的範囲に含まれることは勿論である。
【0015】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1にかかる有体物流通管理システムの構成について説明する。図1に示すとおり、本実施の形態1にかかる有体物流通管理システムは、流通管理の対象となる美術品等の有体物に付属せしめるタグ装置1と、有体物の流通管理を行う管理装置2を備えた構成を有する。
【0016】
タグ装置1は、流通管理の対象となる美術品等の有体物に対し1対1の対応関係にて付属させ、有体物の資産評価及び保管状況に関する補充情報として対象となる有体物の位置情報を出力するためのものである。具体的には、タグ装置1は、位置情報を測定する位置センサ3と、位置センサ3によって測定された位置情報を外部に出力する出力部4とを備える。なお「有体物」とは、個体・液体・気体のように空間の一部を占めて存在する有形的存在をいい、本実施の形態1においてはこれら有形的存在のうち商取引の目的物となるもの、特に美的創作物である美術品を含む趣旨にて「有体物」なる用語を使用する。
【0017】
位置センサ3は、タグ装置1ひいてはタグ装置1が付された有体物の位置情報を測定するためのものであり、特許請求の範囲における位置計測手段の一例に相当するものである。位置センサ3による位置情報の測定は、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)の電波を受信する機能を有するもの、周辺に存在する電子機器との間でRFID(Radio Frequency Identification)規格又はBluetooth規格に則った通信を行い、複数の電子機器との間における通信の可否及び/又は通信時の信号強度により個々の電子機器との間の距離を推定し、複数の電子機器との間の距離推定値に基づき自身の位置を算出する機能を有するもの、その他任意の位置測定機構によって構成することが可能である。
【0018】
出力部4は、位置センサ3にて測定された位置情報を外部に出力するためのものである。具体的には、出力部4は、RFID規格、無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)規格あるいはWiFi(登録商標)規格に基づく無線接続又は有線LANその他の有線接続によって、位置センサ3にて測定された位置情報を、測定時刻及び有体物の識別情報と紐づける形式にて外部に出力する機能を有する。出力部4による位置情報は最終的に管理装置2にて利用されるものであるところ、出力部4からの直接的な出力先を管理装置2に限定する必要はない。本実施の形態1においては、たとえば出力部4はBluetooth規格を利用して無線的に周囲の電子機器に対し出力された後、当該電子機器からインターネット上に設置されたクラウドサーバに転送され、当該クラウドサーバより管理装置2が位置情報をダウンロードする構成としてもよい。
【0019】
管理装置2は、流通対象となる有体物の所有者に関する情報に加え、有体物の資産評価の参考となる情報である評価情報及び保管状況に関する情報である保管履歴情報を生成すると共にこれらの情報について一定の評価を行う機能を有する。具体的には、管理装置2は、タグ装置1の出力部4から出力された情報等を入力する入力部5と、流通管理の対象となる有体物と1対1の対応関係にある非代替性トークンである対応トークンを生成する対応トークン生成部6と、有体物の所有者の変動と連動して対応トークンの保有名義を変更するための情報である保有名義変更情報を生成する保有名義変更情報生成部7と、有体物の資産評価の参考となる情報である公開履歴情報を生成する公開履歴情報生成部8と、生成した評価情報を構成する個々の情報の真偽を判定する第一の真偽判定部9と、有体物の保管状況に関する情報である保管履歴情報を生成する保管履歴情報生成部10と、生成した保管履歴情報を構成する個々の情報の真偽を判定する第二の真偽判定部11と、生成した各情報及び各情報に対する判定結果を含むトランザクションを生成するトランザクション生成部12と、トランザクションの内容が保有名義者の意向に従ったものであることを証明するデータである電子署名を生成する電子署名生成部13と、トランザクション及び電子署名を分散型ネットワーク(後述)に対し出力する出力部14と、分散型ネットワーク上に保存された情報を表示する表示部15を備える。
【0020】
入力部5は、タグ装置1から出力された有体物の位置情報及び公開履歴情報・保管履歴情報のもととなる基本情報を入力するためのものである。公開履歴情報のもととなる基本情報としては、対象となる有体物が美術館において展示された履歴や、美術商のギャラリーにて展示された履歴及び店舗にて商品として展示された履歴等、所有者の支配領域外において有体物が公開された事実に関する情報をいう。本実施の形態1においては、これらの情報の具体的内容として公開の日時、場所及び公開の名目・内容に関する情報を含むものとし、これらの情報の取得方法としてはインターネットを通じて第三者が開示する展示会の情報等を取得することとしてもよいし、有体物の所有者からの提供情報に基づき取得することとしてもよい。保管履歴情報のもととなる基本情報としては、保管の場所、当該保管場所にて保管を開始した日時及び終了した日時及び当該保管場所における保管条件(室内である、冷暗所である、気温や湿度が一定値以下である、等)を含むものとし、これらの情報はインターネットを通じて第三者が開示する施設の情報等を取得することとしてもよいし、有体物の所有者からの提供情報に基づき取得することとしてもよい。
【0021】
対応トークン生成部6は、流通管理の対象である有体物と対応関係にある非代替性トークンである対応トークンを生成するためのものである。「非代替性トークン」とはいわゆるNFT、Non-Fangible-Token、すなわち固有のデータを備えることで他のトークンと代替不能な性質を有するトークンを意味し、たとえばEthereum(登録商標)の規格であるERC721に基づいて発行される。本実施の形態1にける対応トークンは、ERC721またはその他の所定の規格に基づき発行されるものであり、その取引履歴がブロックチェーン上に保存される構成となっている。
【0022】
「ブロックチェーン」とは、分散型ネットワークを構成する複数のコンピュータ間において暗号技術を活用しつつデータ同期を行う技術である。具体的には、各ブロックが合意された取引記録の集合体と、各ブロックを接続させるための情報(前のブロックの情報)により構成され、当該各ブロックが複数連結されることによってブロックチェーンが構成される。複数のコンピュータの一部でデータ改ざんが行われても他のコンピュータとの間で多数決によって正しいデータが選択されるため、データの破壊・改ざんが極めて難しいという特徴を有している。
【0023】
対応トークンと有体物の対応関係としては、対応トークンの識別子と有体物の識別情報とを1対1で紐づける形式とする。より直接的に、対応トークンの識別子と有体物の識別情報を同一内容とすることとしてもよいが、それぞれ異なる文字列等によって構成したものについて対応関係を設定する態様でも問題ない。
【0024】
また、対応トークンの生成時には、対応トークンの初期保有名義として、対応関係にある有体物のトークン生成当時における所有者に関する情報が生成される。初期保有名義に関する情報は、分散型台帳を構成するブロックに格納する情報の一部としてブロックチェーン上に保存する。なお、対応トークンの保有名義に関する情報は、個人であれば(生成当時における有体物の所有者の)具体的な氏名(法人の場合は商号)と直接関係する文字列によって構成してもよいが、具体的な氏名等とは異なる文字列等からなるアカウント等によって構成し、別途、当該アカウント等と保有名義の対応関係を設定する態様でも問題ない。このように初期状態において有体物の所有者を対応トークンの保有名義として設定し、後述するように有体物について取引が行われて有体物の所有者が交代するごとに対応トークンの保有名義についても同様に交代させることによって、本実施の形態1では、有体物の所有者と対応トークンの保有名義の同一性を維持している。
【0025】
なお、対応トークンの生成については、対応トークン生成部6が自ら行う態様でもよいし、対応トークン生成部6と直接的または間接的に接続された外部システムに対し所定の指令を行うことによって、外部システムが生成する態様としてもよい。また、対応トークンの具体的形式についても、Ethereum(登録商標)の規格であるERC721に準拠したものに限定されず、非代替性の性質を有し、取引履歴がブロックチェーン上に保存されるものであれば任意の形式のものとしてよい。
【0026】
保有名義変更情報生成部7は、対象となる有体物について商取引が行われるなどして所有者の変動が生じた場合に、変動後の所有者の名義と対応トークンの保有名義が一致するように、対応トークンの保有名義に変更が生じた事実を示す内容からなる保有名義変更情報を生成するためのものである。具体的には、保有名義変更情報には少なくとも変更後の所有者の名義及び所有者の変更が生じた日時に関する情報を含むものとし、これらに加え所有権の変更が生じた原因(売買、贈与、相続等)及び有償譲渡の場合は譲渡価格も含むこととしてもよい。保有名義変更情報生成部7によって生成された保有名義変更情報は、トランザクション生成部12に出力されてトランザクションとして生成された後電子署名生成部13によって電子署名に変換され、出力部14を介して分散型ネットワークに出力された後に分散型台帳を構成するブロックに格納される。
【0027】
公開履歴情報生成部8は、流通管理の対象となる有体物が公開された事実に関する情報である公開履歴情報を生成するためのものである。具体的には、公開履歴情報生成部8は、公開履歴情報として、入力部5を介して入力された基本情報に基づき、対象となる有体物が美術館、ギャラリー又は美術商の店舗等所有者以外の者の管理下にある領域にて第三者に公開された事実について、少なくとも公開日時(長期にわたる公開の場合は始期及び終期に関する情報を含む)、公開場所を含み、好ましくは公開の趣旨(表彰目的での展示、販売目的での展示等)及びこれらの情報であって、入力部5を介して入力された基本情報が所有者によって開示された主観情報であるか、所有者以外の第三者によって開示された客観情報であるかの区別をも含む情報を生成する。なお公開履歴情報生成部8は、公開履歴情報として、個々の公開事実に対応して別個の公開履歴情報を生成することとしてもよいし、複数の公開事実についてまとめた形で公開履歴情報を生成することとしてもよい。また、公開履歴情報生成部8は、公開履歴情報を生成するにあたって、対象となる有体物の同一性(当該基本情報が対象となる有体物に関する情報であるか否か)の判定は行うものの、それ以外の確認は行わず、基本情報の内容について実質的な改変も行うことなく公開履歴情報を生成するものとする。公開履歴情報生成部8は、生成した公開履歴情報をトランザクション生成部12に対して出力する機能を有し、トランザクション生成部12は公開履歴情報に基づくトランザクションを生成し、電子署名生成部13はトランザクションを電子署名に変換し、電子署名は出力部14を介して分散型ネットワークに出力された後に分散型台帳を構成するブロックに格納される。
【0028】
第一の真偽判定部9は、公開履歴情報に含まれる個々の公開事実の真偽について判定するためのものである。具体的には、第一の真偽判定部9は、公開履歴情報に含まれる個々の公開事実に関する公開場所と、タグ装置1に備わる位置センサ3にて検出された、当該公開事実に関する公開日時と同一の日時における有体物の位置情報とを比較し、一致するか否かを判定する機能を有する。公開場所と有体物の位置情報とが一致する場合、第一の真偽判定部9は、当該公開事実に関する公開情報が真であると判定する。他方で第一の真偽判定部9は、公開場所と有体物の位置情報が一致しない場合は当該公開事実に関する公開情報が偽であると判定し、公開日時における位置情報が不確定である場合等比較ができない場合は真偽不明と判定する。第一の真偽判定部9は、判定結果について対応する公開事実と紐づけられた形式にて判定情報を生成し、生成した判定情報をトランザクション生成部12に出力する。保有名義変更情報等と同様に、トランザクション生成部12によって判定情報に基づくトランザクションが生成され、電子署名生成部13によってトランザクションが電子署名に変換され、出力部14を介して分散型ネットワークに出力された後に分散型台帳を構成するブロックに格納される。
【0029】
なお、公開場所と位置情報が一致するか否かの判定においては、位置センサ3による位置検出機能の精度が高い場合は厳格な判断基準(たとえば、位置の差が10m以上であれば同一位置にないと判定する)により行うことが好ましく、他方で位置センサ3の検出精度が低い場合は緩やかな判断基準(たとえば、位置の差が1km以下であれば同一位置にあると判定する)ことが好ましい。また、位置センサ3の機能として位置情報に加え個々の位置情報検出時における位置検出機能の精度に関する情報も出力することとした上で、位置情報ごとに位置検出機能の精度を考慮した判断基準を用いることとしてもよい。
【0030】
保管履歴情報生成部10は、流通管理の対象となる有体物の保管状況に関する情報である保管履歴情報を生成するためのものである。具体的には、保管履歴情報生成部10は、入力部5を介して入力された基本情報に基づき、保管履歴情報として、少なくとも対象となる有体物の保管場所及び保管日時(長期にわたる保管の場合は始期及び終期に関する情報を含む)に関する情報、好ましくは保管条件(風雨を凌げるか否か、日光が当たるか否か、気温・湿度はどの程度か等)をも含む情報を生成する。なお保管履歴情報生成部10は、(公開展示目的の搬出等により)保管が中断するごとに別個の保管履歴情報を生成することとしてもよいし、中断をはさんだ複数の機会における保管についてまとめた形で保管履歴情報を生成することとしてもよい。なお、保管履歴情報生成部10は、保管履歴情報を生成するにあたって、対象となる有体物の同一性(保管場所等に関する基本情報が対象となる有体物に関する情報であるか否か)の判定は行うものの、それ以外の確認は行わず、基本情報の内容について実質的な改変を行うことなく保管履歴情報を生成するものとする。保管履歴情報生成部10は、生成した保管履歴情報をトランザクション生成部12に対して出力する機能を有し、トランザクション生成部12は公開履歴情報に基づくトランザクションを生成し、電子署名生成部13はトランザクションを電子署名に変換し、電子署名は出力部14を介して分散型ネットワークに出力された後に分散型台帳を構成するブロックに格納される。
【0031】
第二の真偽判定部11は、保管履歴情報に含まれる個々の保管状況の真偽について判定するためのものである。具体的には、第二の真偽判定部11は、保管履歴情報に含まれる個々の保管日時における保管場所と、当該保管日時と同一の日時における有体物の位置情報を比較して、一致するか否かを判定する機能を有する。保管場所と有体物の位置情報とが一致する場合、第二の真偽判定部11は、当該保管事実に関する保管履歴情報が真であると判定する。他方で第二の真偽判定部11は、保管場所と有体物の位置情報が一致しない場合は当該保管事実に関する保管履歴情報が偽であると判定し、保管日時における位置情報が不確定である場合等比較ができない場合は真偽不明と判定する。第二の真偽判定部11は、判定結果について対応する保管事実と紐づけられた形式にて判定情報を生成し、生成した判定情報をトランザクション生成部12に出力する。保有名義変更情報等と同様に、トランザクション生成部12によって判定情報に基づくトランザクションが生成され、電子署名生成部13によってトランザクションが電子署名に変換され、出力部14を介して分散型ネットワークに出力された後に分散型台帳を構成するブロックに格納される。
【0032】
なお、保管期間は一般に長期(数か月~数年間)にわたるものであるところ、当該長期間の保管において一度でも保管場所と位置情報が一致しなかった事実の存在をもって保管履歴情報が偽であると判定することは妥当性を欠くこともあり得る。したがって、より好ましい実施形態としては、保管期間全体に対する、保管場所と位置情報が一致しなかった期間の割合の高低(たとえば2/3以上一致すれば真とする、等)をもって真偽判定を行うこととしてもよい。さらには、「真」又は「偽」の2通りだけの判断ではなく、複数段階(たとえば10段階評価)あるいは端的に保管期間全体に対する、保管場所と位置情報が一致しなかった期間の割合をそのまま判定結果として生成する構成としてもよい。なお、公開場所と位置情報が一致するか否かの判定における判断基準については、第一の真偽判定部9と同様に位置センサ3の検出精度に応じた態様とすることが望ましい。
【0033】
トランザクション生成部12は、分散型台帳内のブロックに格納されるトランザクションを生成するためのものである。トランザクション生成部12は、トランザクションの内容として、保有名義変更情報に加え、公開履歴情報・保管履歴情報(個々の公開事実・保管事実及びこれらに関する真偽の判定結果に関して、主観情報・客観情報のいずれに基づき生成されたかを区別する情報も含める。)及びこれらの真偽に関する判定結果の情報を含めるものとする。なお、これらの情報を一括して一つのトランザクションを生成することとしてもよいし、情報ごとに、さらには同一情報であっても異なる公開事実、保管事実ごとに別個のトランザクションを生成することとしてもよい。
【0034】
電子署名生成部13は、トランザクションに含まれる情報の作成・出力が対象となる有体物の所有者の意向に従ったものであることを証明するデータである電子署名を生成するためのものである。具体的には、電子署名生成部13は、トランザクション生成部12によって生成されたトランザクションのハッシュ値を生成し、保有名義者が保有する秘密鍵にて当該ハッシュ値を暗号化することにより電子署名を生成する。なお、「ハッシュ値」とは元データに対し一定計算手順を施すことにより得られた固定長の値である。当該計算手順が不可逆なものであるため、ハッシュ値から元データを復元することは不可能とされている。また、「秘密鍵」とは暗号化処理に用いられる数列であって、対応関係にある「公開鍵」により復号することが可能な構成となっている。
【0035】
出力部14は、トランザクション生成部12にて生成されたトランザクション及び電子署名生成部13にて生成された電子署名を、対応トークンと関連付けられた分散型ネットワークに対し出力するためのものである。出力部14は、分散型ネットワークに対し直接的または間接的に接続されており、分散型ネットワークに対し所定のデータを出力可能な態様にて構成されている。分散型ネットワークは、出力されたトランザクションのハッシュ値を生成するとともに、電子署名を公開鍵にて復号したデータ(=トランザクションのハッシュ値)と対比し、両者が異なる値となる場合は対象となる有体物の所有者によるトランザクションではないと判定して登録を拒否し、両者が一致する場合は所有者によるトランザクションと判定し、トランザクションにより構成される情報を、分散型台帳を構成するブロックに格納する。出力部14が出力するトランザクションには保有名義変更情報に加え、公開履歴情報・保管履歴情報(個々の公開事実・保管事実及びこれらに関する真偽の判定結果に関して、主観情報・客観情報のいずれに基づき生成されたかを区別する情報も含める。)及びこれらの真偽に関する判定結果の情報が含まれており、トランザクションが分散型ネットワークに対し出力されることにより、これらの情報が分散型ネットワーク上に設けられた分散型台帳を構成するブロックに格納される。
【0036】
表示部15は、分散型台帳を構成するブロックに格納された情報を表示するためのものである。具体的には、表示部15は、少なくとも現時点における保有名義(=対象となる有体物の所有名義)に関する情報に加え、公開履歴情報・保管履歴情報及びこれらに含まれる個々の公開事実・保管事実に関する真偽判定を行った結果について表示する機能を有する。表示態様としては、ディスプレイ上に視覚的に表示する形式でもよいし、紙等の媒体上に印刷して表示する形式でもよいし、音声等によって上記情報の内容を表示する形式でもよい。また、表示部15における表示態様として、好ましくは真偽判定を行った結果について、対象となる公開事実・保管事実が主観情報・客観情報のいずれに基づくものであるかも表示することとしてもよい。かかる表示態様を採用することにより、本実施の形態1に係る有体物流通管理システムは、真あるいは偽と判定された公開事実・保管事実が主観情報に基づき生成されたものか、客観情報に基づき生成されたものであるかを判別することができる。
次に、本実施の形態1にかかる有体物流通管理システムの動作のうち、第一の真偽判定部9の動作について説明する。図2に示すとおり、第一の真偽判定部9は、公開履歴情報の中から所定の公開事実に関する公開場所の情報を抽出し(ステップS101)、当該公開事実の日時における有体物の位置情報を抽出する(ステップS102)。そして、第一の真偽判定部9は、所定の公開事実に関する公開場所と、当該公開事実の日時における有体物の位置情報を比較し、一致するか否かの判定を行う(ステップS103)。
【0037】
公開場所と位置情報が一致した場合(ステップS103、Yes)、第一の真偽判定部9は「真」と判定し(S104)、当該判定結果に判定の対象となった公開事実及び当該公開事実の元となった基本情報が主観情報であるか客観情報であるかに関する情報を紐づけた上で(ステップS106)、判定結果を出力する(ステップS107)。公開場所と有体物の位置情報が一致しなかった場合(ステップS103、No)、第一の真偽判定部9は「偽」と判定し(ステップS105)、当該判定結果に公開事実及び公開事実の元となった基本情報が主観情報・客観情報のいずれであるかに関する情報を紐づけた上で(ステップS106)、判定結果を出力する(ステップS107)。なお図示は省略するものの、位置情報の精度に問題があった等の理由によりステップS103において判定不能の場合は、「判定不能」と判定した上でステップS106以下の処理が行われる。
【0038】
最後に、第一の真偽判定部9は、全ての公開事実について真偽判定を終了したか否かを判定し(ステップS108)、終了していない場合(ステップS108、No)はステップS101に戻って他の公開事実について上記処理を繰り返し実施する。全ての公開事実について真偽判定を終了した場合(ステップS108、Yes)は処理を終了する。第二の真偽判定部11も、図2と同様の処理を行うことによって、保管履歴情報の真偽判定を行う。
【0039】
次に、本実施の形態1にかかる有体物流通管理システムの利点について説明する。まず、本実施の形態1にかかる有体物流通管理システムは、美術品等の有体物の公開履歴情報を生成する機能を有する。公開履歴情報には、第三者が保有・管理等する美術館、ギャラリー又は美術商の店舗等における公開履歴に関する情報が含まれるところ、たとえば美術館、ギャラリーにて長期にわたり公開された事実は、有体物の美術的な価値が所有者以外の専門的知見を有する第三者によって高く評価されていることを示す。他方で、美術商の店舗等にて頻繁に、あるいは長期間にわたり公開された事実、すなわち長期の展示にもかかわらず売買契約が成立しなかった事実は、当該有体物が商品としての魅力に乏しい事実を示す。このように、公開履歴情報は美術品等の有体物の美術的価値や資産的価値の評価資料として用いることが可能であり、有体物の購入を検討する者は、専門知識を有していなくとも、公開履歴情報を参照することにより当該有体物の価値を判断し、その上で購入の是非等について検討することが可能となる。
【0040】
また、本実施の形態1にかかる有体物流通管理システムでは、美術品等の有体物の保管状況に関する情報である保管履歴情報を生成する機能を有する。一般に有体物の品質は保管状況によって大きく変動するものであり、たとえば美術品においても、屋外で風雨に曝された状態で保管されていれば汚れ、欠損等が生じ、日光に曝されれば色落ち等が生じるなどの劣化が生じる。また、室内での保管でも適正な気温・湿度の環境下で保管されれば絵画にカビが発生し、絵具の剥離・ひび割れといった損傷が生じることとなる。これらの品質劣化は有体物の資産的価値を低下させる要因となることから、有体物の購入を検討する者は、保管履歴情報を確認することで当該有体物の資産的価値の低下の有無を判断し、その上で購入の是非等について検討することが可能となる。
【0041】
さらに、本実施の形態1にかかる有体物流通管理システムでは、所有者によって開示された主観情報及び所有者以外の第三者によって開示された客観情報に基づき生成された公開履歴情報及び保管履歴情報の真偽に関する情報、具体的には個々の公開履歴・保管状況について、各情報に含まれる日時に公開場所・保管場所に有体物が存在したか否かを判定した情報を生成する機能を有する。これにより、有体物の購入を検討する者は、「真」と判断された公開履歴及び保管状況に関する情報のみを参照することで購入の是非等について効率的に検討できるという利点が生ずる。
【0042】
また、公開履歴情報及び保管履歴情報の真偽に関する情報を生成することにより、有体物の所有者及び有体物そのものに対する信頼性を評価することも可能である。たとえば、所有者が提供した情報である主観情報に基づき生成された公開履歴情報及び/又は保管履歴情報が「偽」であった場合は所有者の情報提供に瑕疵があることを意味し、所有者自体に対する信頼性に問題がある可能性や、有体物に関し所有者が虚偽の情報を提供せざるを得ないほどの問題が生じている可能性について認識できることとなる。また、所有者以外の第三者が提供した情報である客観情報に基づき生成された公開履歴情報及び/又は保管履歴情報が「偽」であった場合、すなわち客観情報に示された日時における公開場所・保管場所と当該日時における有体物の所在場所が一致しなかった場合は、客観情報にて示された有体物と、流通管理の対象となっている有体物が異なる物である可能性、すなわち流通対象となっている有体物が偽物である可能性を示すこととなる。このように「偽」判定が存在する場合、特に複数の「偽」判定が存在する場合には、有体物の所有者及び/又は有体物自体の信頼性が低いことが示唆され、これにより有体物の購入を希望する者において、購入の是非等について慎重に検討できるという利点が生ずる。
【0043】
さらに、本実施の形態1にかかる有体物流通管理システムでは、保有名義変更情報、公開履歴情報、保管履歴情報及びこれらの情報の真偽に関する情報について、ブロックチェーン技術を用いて保存したものを表示部15にて表示する構成としている。ブロックチェーン技術を用いることによりこれらの情報について破壊・改ざんを防止できるという利点が生ずる。
【0044】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2にかかる有体物流通管理システムについて説明する。実施の形態2において、実施の形態1と同一名称かつ同一符号を付した構成要素に関しては、特に言及しない限り、実施の形態1における構成要素と同一の機能を発揮するものとする。
【0045】
図3は、実施の形態2にかかる有体物流通管理システムの構成を示す模式図である。図2に示すとおり、実施の形態2にかかる有体物流通管理システムは、タグ装置21及び管理装置22によって構成される。具体的には、タグ装置21は位置センサ3に加えて新たに温度センサ23、湿度センサ24、照度センサ25及び加速度センサ26を備え、出力部27はこれらのセンサによる測定値について、測定日時及び対象となる有体物の識別情報と紐づけた形で外部に出力する機能を有する。また、管理装置22は、実施の形態1における管理装置2の構成に加えて新たに管理評価情報生成部28を備え、トランザクション生成部29、電子署名生成部30、出力部31及び表示部32は、管理評価情報生成部28が生成する管理評価情報をも用いてトランザクション生成、電子署名変換、分散型ネットワークへの出力及び情報表示を行う。
【0046】
タグ装置21が新たに備える温度センサ23、湿度センサ24、照度センサ25及び加速度センサ26は、それぞれタグ装置21ひいてはタグ装置21が付された有体物が位置する領域における温度、湿度、照度及びタグ装置21及び有体物に印加される加速度を測定するためのものである。各センサは既知の構造のものを使用することが可能であるが、たとえば照度センサ25に関しては、有体物の表面付近に設置されるよう構成することが好ましく、また、加速度センサ26は、3軸方向の加速度について測定する機能を有することが好ましい。
【0047】
また、管理装置22が新たに備える管理評価情報生成部28は、温度センサ23ないし加速度センサ26の測定結果に基づき、流通管理の対象となっている有体物の管理状況を評価する情報である管理評価情報を生成するためのものである。具体的には、管理評価情報生成部28は、有体物の種類(美術品であれば油絵、水彩画、彫刻、工芸品、書跡、等)に応じて管理上問題のない(=品質の劣化が生じにくい)値の範囲である適正範囲を設定し、実際の測定値が適正範囲外の値となった場合に、適正範囲からの逸脱の程度、継続時間及び頻度を算出し、これに基づき管理状態の評価情報を生成する機能を有する。管理評価情報の具体的な構成としては、実際の測定値が適正範囲外となった場合における逸脱の程度、適正範囲外の状態を維持した継続時間及び頻度そのものとしてもよいし、これらの値に基づき管理状態の可否について複数段階(たとえば「良好」、「通常」、「不良」の3段階)に分けた評価を行った結果を管理評価情報としてもよい。
【0048】
次に、本実施の形態2にかかる有体物流通管理システムの利点について説明する。本実施の形態2にかかる有体物流通管理システムは、実施の形態1にて説明した利点に加え、対象となる有体物について、各センサの測定値に基づき現実に行われている管理状況の評価情報である管理状況評価情報を生成する機能を有する。かかる機能により、流通管理の対象となっている有体物の管理状況を客観的に把握することが可能となり、ひいては有体物がどの程度劣化した可能性があるかを客観的に推定できることから、有体物の購入を検討する者は、管理状況評価情報に基づき劣化による資産価値の低下の有無・程度を判断し、その上で購入の是非等について検討できるという利点が生ずることとなる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、美術品等の有体物の商取引において、取引対象の価値及び保管状態に関する高精度の情報を提供することによって円滑な取引を実現する技術として利用可能である。
【符号の説明】
【0050】
1、21 タグ装置
2、22 管理装置
3 位置センサ
4、27 出力部
5 入力部
6 対応トークン生成部
7 保有名義変更情報生成部
8 公開履歴情報生成部
9 第一の真偽判定部
10 保管履歴情報生成部
11 第二の真偽判定部
12、29 トランザクション生成部
13、30 電子署名生成部
14、31 出力部
15、32 表示部
23 温度センサ
24 湿度センサ
25 照度センサ
26 加速度センサ
28 管理評価情報生成部
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-12-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対応関係にある有体物の所有者の変動に応じて変動後の所有者と一致するよう、分散型ネットワーク上に保存された分散型台帳に記録された、非代替性トークンである対応トークンの保有名義を変更する情報である保有名義変更情報を生成する保有名義変更情報生成手段と、
前記有体物が所有者以外の第三者に対し公開された事実に関する情報であって、有体物の所有者により開示された情報である主観情報又は/及び前記所有者以外の者により開示された情報である客観情報に基づき、少なくとも個々の公開事実の日時、場所に関する情報を含む情報である公開履歴情報を生成する公開履歴情報生成手段と、
前記有体物の保管状況に関する情報であって、前記有体物の所有者により開示された情報である主観情報又は/及び前記所有者以外の者により開示された情報である客観情報に基づき、少なくとも個々の保管が実施された日時、場所に関する情報を含む情報である保管履歴情報を生成する保管履歴情報生成手段と、
前記保有名義変更情報、前記公開履歴情報及び前記保管履歴情報を前記分散型ネットワークに対し出力する出力手段と、
前記公開履歴情報に記録された個々の公開事実の日時における前記公開事実の場所と、前記有体物に附属せしめた位置計測手段により計測された前記公開事実の日時と同一の日時における前記有体物の位置が一致するか否かを判定することにより前記公開履歴情報の真偽を判定する第一の真偽判定手段と、
前記保管履歴情報に記録された個々の保管の日時における前記保管の場所と、前記有体物に附属せしめた位置計測手段により計測された前記保管の日時と同一の日時における前記有体物の位置が一致するか否かを判定することにより前記保管履歴情報の真偽を判定する第二の真偽判定手段と、
を備えたことを特徴とする有体物流通管理システム。
【請求項2】
前記出力手段は、前記第一の真偽判定手段による判定結果を、前記主観情報に基づく公開事実に関する判定結果と前記客観情報に基づく公開事実に関する判定結果とで区別した態様にて前記判定結果を出力し、前記第二の真偽判定手段による判定結果を、前記主観情報に基づく保管実施に関する判定結果と前記客観情報に基づく保管実施に関する判定結果とで区別した態様にて前記判定結果を出力することを特徴とする請求項2記載の有体物流通管理システム。
【請求項3】
コンピュータを用いて有体物の流通管理を行う有体物流通管理方法であって、
対応関係にある有体物の所有者の変動に応じて変動後の所有者と一致するよう、分散型ネットワーク上に保存された分散型台帳に記録された、非代替性トークンである対応トークンの保有名義を変更する情報である保有名義変更情報を生成する保有名義変更情報生成ステップと、
前記有体物が所有者以外の第三者に対し公開された事実に関する情報であって、有体物の所有者により開示された情報である主観情報又は/及び前記所有者以外の者により開示された情報である客観情報に基づき、少なくとも個々の公開事実の日時、場所に関する情報を含む情報である公開履歴情報を生成する公開履歴情報生成ステップと、
前記有体物の保管状況に関する情報であって、前記有体物の所有者により開示された情報である主観情報又は/及び前記所有者以外の者により開示された情報である客観情報に基づき、少なくとも個々の保管が実施された日時、場所に関する情報を含む情報である保管履歴情報を生成する保管履歴情報生成ステップと、
前記保有名義変更情報、前記公開履歴情報及び前記保管履歴情報を前記分散型ネットワークに対し出力する出力ステップと、
前記公開履歴情報に記録された個々の公開事実の日時における前記公開事実の場所と、前記有体物に附属せしめた位置計測手段により計測された前記公開事実の日時と同一の日時における前記有体物の位置が一致するか否かを判定することにより前記公開履歴情報の真偽を判定する第一の真偽判定ステップと、
前記保管履歴情報に記録された個々の保管の日時における前記保管の場所と、前記有体物に附属せしめた位置計測手段により計測された前記保管の日時と同一の日時における前記有体物の位置が一致するか否かを判定することにより前記保管履歴情報の真偽を判定する第二の真偽判定ステップと、
を含むことを特徴とする有体物流通管理方法。
【請求項4】
有体物の流通管理をコンピュータに行わせる有体物流通管理プログラムであって、
前記コンピュータに対し、
対応関係にある有体物の所有者の変動に応じて変動後の所有者と一致するよう、分散型ネットワーク上に保存された分散型台帳に記録された、非代替性トークンである対応トークンの保有名義を変更する情報である保有名義変更情報を生成する保有名義変更情報生成機能と、
前記有体物が所有者以外の第三者に対し公開された事実に関する情報であって、有体物の所有者により開示された情報である主観情報又は/及び前記所有者以外の者により開示された情報である客観情報に基づき、少なくとも個々の公開事実の日時、場所に関する情報を含む情報である公開履歴情報を生成する公開履歴情報生成機能と、
前記有体物の保管状況に関する情報であって、前記有体物の所有者により開示された情報である主観情報又は/及び前記所有者以外の者により開示された情報である客観情報に基づき、少なくとも個々の保管が実施された日時、場所に関する情報を含む情報である保管履歴情報を生成する保管履歴情報生成機能と、
前記保有名義変更情報、前記公開履歴情報及び前記保管履歴情報を前記分散型ネットワークに対し出力する出力機能と、
前記公開履歴情報に記録された個々の公開事実の日時における前記公開事実の場所と、前記有体物に附属せしめた位置計測手段により計測された前記公開事実の日時と同一の日時における前記有体物の位置が一致するか否かを判定することにより前記公開履歴情報の真偽を判定する第一の真偽判定機能と、
前記保管履歴情報に記録された個々の保管の日時における前記保管の場所と、前記有体物に附属せしめた位置計測手段により計測された前記保管の日時と同一の日時における前記有体物の位置が一致するか否かを判定することにより前記保管履歴情報の真偽を判定する第二の真偽判定機能と、
を実現させることを特徴とする有体物流通管理プログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる有体物流通管理システムは、対応関係にある有体物の所有者の変動に応じて変動後の所有者と一致するよう、分散型ネットワーク上に保存された分散型台帳に記録された、非代替性トークンである対応トークンの保有名義を変更する情報である保有名義変更情報を生成する保有名義変更情報生成手段と、前記有体物が所有者以外の第三者に対し公開された事実に関する情報であって、有体物の所有者により開示された情報である主観情報又は/及び前記所有者以外の者により開示された情報である客観情報に基づき、少なくとも個々の公開事実の日時、場所に関する情報を含む情報である公開履歴情報を生成する公開履歴情報生成手段と、前記有体物の保管状況に関する情報であって、前記有体物の所有者により開示された情報である主観情報又は/及び前記所有者以外の者により開示された情報である客観情報に基づき、少なくとも個々の保管が実施された日時、場所に関する情報を含む情報である保管履歴情報を生成する保管履歴情報生成手段と、前記保有名義変更情報、前記公開履歴情報及び前記保管履歴情報を前記分散型ネットワークに対し出力する出力手段と、前記公開履歴情報に記録された個々の公開事実の日時における前記公開事実の場所と、前記有体物に附属せしめた位置計測手段により計測された前記公開事実の日時と同一の日時における前記有体物の位置が一致するか否かを判定することにより前記公開履歴情報の真偽を判定する第一の真偽判定手段と、前記保管履歴情報に記録された個々の保管の日時における前記保管の場所と、前記有体物に附属せしめた位置計測手段により計測された前記保管の日時と同一の日時における前記有体物の位置が一致するか否かを判定することにより前記保管履歴情報の真偽を判定する第二の真偽判定手段とを備えたことを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
また、上記目的を達成するため、請求項にかかる有体物流通システムは、上記の発明において、前記出力手段は、前記第一の真偽判定手段による判定結果を、前記主観情報に基づく公開事実に関する判定結果と前記客観情報に基づく公開事実に関する判定結果とで区別した態様にて前記判定結果を出力し、前記第二の真偽判定手段による判定結果を、前記主観情報に基づく保管実施に関する判定結果と前記客観情報に基づく保管実施に関する判定結果とで区別した態様にて前記判定結果を出力することを特徴とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
また、上記目的を達成するため、請求項にかかる有体物流通管理方法は、コンピュータを用いて有体物の流通管理を行う有体物流通管理方法であって、対応関係にある有体物の所有者の変動に応じて変動後の所有者と一致するよう、分散型ネットワーク上に保存された分散型台帳に記録された、非代替性トークンである対応トークンの保有名義を変更する情報である保有名義変更情報を生成する保有名義変更情報生成ステップと、前記有体物が所有者以外の第三者に対し公開された事実に関する情報であって、有体物の所有者により開示された情報である主観情報又は/及び前記所有者以外の者により開示された情報である客観情報に基づき、少なくとも個々の公開事実の日時、場所に関する情報を含む情報である公開履歴情報を生成する公開履歴情報生成ステップと、前記有体物の保管状況に関する情報であって、前記有体物の所有者により開示された情報である主観情報又は/及び前記所有者以外の者により開示された情報である客観情報に基づき、少なくとも個々の保管が実施された日時、場所に関する情報を含む情報である保管履歴情報を生成する保管履歴情報生成ステップと、前記保有名義変更情報、前記公開履歴情報及び前記保管履歴情報を前記分散型ネットワークに対し出力する出力ステップと、前記公開履歴情報に記録された個々の公開事実の日時における前記公開事実の場所と、前記有体物に附属せしめた位置計測手段により計測された前記公開事実の日時と同一の日時における前記有体物の位置が一致するか否かを判定することにより前記公開履歴情報の真偽を判定する第一の真偽判定ステップと、前記保管履歴情報に記録された個々の保管の日時における前記保管の場所と、前記有体物に附属せしめた位置計測手段により計測された前記保管の日時と同一の日時における前記有体物の位置が一致するか否かを判定することにより前記保管履歴情報の真偽を判定する第二の真偽判定ステップとを含むことを特徴とする。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
また、上記目的を達成するため、請求項にかかる有体物流通プログラムは、有体物の流通管理をコンピュータに行わせる有体物流通管理プログラムであって、前記コンピュータに対し、対応関係にある有体物の所有者の変動に応じて変動後の所有者と一致するよう、分散型ネットワーク上に保存された分散型台帳に記録された、非代替性トークンである対応トークンの保有名義を変更する情報である保有名義変更情報を生成する保有名義変更情報生成機能と、前記有体物が所有者以外の第三者に対し公開された事実に関する情報であって、有体物の所有者により開示された情報である主観情報又は/及び前記所有者以外の者により開示された情報である客観情報に基づき、少なくとも個々の公開事実の日時、場所に関する情報を含む情報である公開履歴情報を生成する公開履歴情報生成機能と、前記有体物の保管状況に関する情報であって、前記有体物の所有者により開示された情報である主観情報又は/及び前記所有者以外の者により開示された情報である客観情報に基づき、少なくとも個々の保管が実施された日時、場所に関する情報を含む情報である保管履歴情報を生成する保管履歴情報生成機能と、前記保有名義変更情報、前記公開履歴情報及び前記保管履歴情報を前記分散型ネットワークに対し出力する出力機能と、前記公開履歴情報に記録された個々の公開事実の日時における前記公開事実の場所と、前記有体物に附属せしめた位置計測手段により計測された前記公開事実の日時と同一の日時における前記有体物の位置が一致するか否かを判定することにより前記公開履歴情報の真偽を判定する第一の真偽判定機能と、前記保管履歴情報に記録された個々の保管の日時における前記保管の場所と、前記有体物に附属せしめた位置計測手段により計測された前記保管の日時と同一の日時における前記有体物の位置が一致するか否かを判定することにより前記保管履歴情報の真偽を判定する第二の真偽判定機能とを実現させることを特徴とする。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項2
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項2】
前記出力手段は、前記第一の真偽判定手段による判定結果を、前記主観情報に基づく公開事実に関する判定結果と前記客観情報に基づく公開事実に関する判定結果とで区別した態様にて前記判定結果を出力し、前記第二の真偽判定手段による判定結果を、前記主観情報に基づく保管実施に関する判定結果と前記客観情報に基づく保管実施に関する判定結果とで区別した態様にて前記判定結果を出力することを特徴とする請求項記載の有体物流通管理システム。