(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168478
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/015 20230101AFI20241128BHJP
【FI】
G06Q30/015
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085194
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】599115217
【氏名又は名称】株式会社 ディー・エヌ・エー
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】二見 徹
(72)【発明者】
【氏名】左向 貴代
(72)【発明者】
【氏名】牛尾 正人
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 千絵
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA02
(57)【要約】
【課題】車両において発生するコストを提示する。
【解決手段】情報処理装置2は、コスト特定情報と、距離特定情報と、期間特定情報とを取得する取得部231と、距離特定情報によって特定される予定走行距離と、期間特定情報によって特定される予定使用期間とを乗算することにより、車両が生産されてから車両が廃棄されるまでに走行する生涯走行距離を算出する距離算出部233と、コスト特定情報によって特定される一以上の対象段階それぞれのコストを合計することにより、一以上の対象段階において発生する総コストを算出する総コスト算出部234と、総コストを生涯走行距離で除算することにより、車両の距離単位あたりにおいて発生する単位コストを算出する単位コスト算出部235と、単位コストを出力する出力部236と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のライフサイクルに含まれる複数の段階のうちの少なくとも前記車両が使用される使用段階を含む一以上の対象段階それぞれにおいて発生するコストを特定するためのコスト特定情報と、前記車両が所定の単位期間において走行される予定の走行距離である予定走行距離を特定するための距離特定情報と、前記車両が使用される期間である予定使用期間を特定するための期間特定情報とを取得する取得部と、
前記距離特定情報によって特定される前記予定走行距離と、前記期間特定情報によって特定される前記予定使用期間とを乗算することにより、前記車両が生産されてから前記車両が廃棄されるまでに走行する生涯走行距離を算出する距離算出部と、
前記コスト特定情報によって特定される前記一以上の対象段階それぞれのコストを合計することにより、前記一以上の対象段階において発生する総コストを算出する総コスト算出部と、
前記総コストを前記生涯走行距離で除算することにより、前記車両の距離単位あたりにおいて発生する単位コストを算出する単位コスト算出部と、
前記単位コストを出力する出力部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記車両は、リースされるリース車両であり、
前記取得部は、前記車両をリースする予定の使用者ごとに、当該使用者に対応する前記距離特定情報と、当該使用者に対応する前記期間特定情報とを取得し、
前記距離算出部は、前記使用者ごとに前記予定走行距離及び前記予定使用期間を乗算した乗算値を合計することにより、前記生涯走行距離を算出する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記車両は、使用者が使用している使用車両であり、
前記取得部は、前記車両の走行距離を示す情報をさらに取得し、
前記距離算出部は、前記予定走行距離と前記予定使用期間とを乗算した乗算値と、前記車両の走行距離とを足し合わせることにより、前記生涯走行距離を算出する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記出力部は、前記単位コスト算出部が前記車両ごとに算出した前記単位コストを合計した合計コストを出力する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記車両は、電気自動車であり、
前記期間特定情報は、前記車両に対して第1の充電がされてから第2の充電がされるまでの期間において使用者が必要とする必要走行距離を特定するための情報であり、
前記情報処理装置は、
基準日からの経過時間又は前記基準日からの電気自動車の累積走行距離の少なくともいずれかと、電気自動車の最大充電時における走行可能距離との関係を示す性能データを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されている前記性能データを参照し、前記車両の最大充電時における走行可能距離が、前記必要走行距離を下回る時期に基づいて、前記予定使用期間を特定する特定部と、
をさらに有する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記取得部は、前記車両に搭乗する平均人数を示す情報をさらに取得し、
前記単位コスト算出部は、前記総コストを、前記生涯走行距離と前記平均人数とで乗算した乗算値で除算することにより、前記車両の距離単位及び一人単位あたりの前記単位コストを算出する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記取得部は、前記車両に積載する平均積載量を示す情報をさらに取得し、
前記単位コスト算出部は、前記総コストを、前記生涯走行距離と前記平均積載量とで乗算した乗算値で除算することにより、前記車両の距離単位及び積載量単位あたりの前記単位コストを算出する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記取得部は、前記車両のライフサイクルに含まれる複数の段階の中から選択された前記一以上の対象段階を示す段階情報を取得し、前記複数の段階のうち、取得した前記段階情報によって示される前記一以上の対象段階それぞれにおいて発生するコストを特定するための前記コスト特定情報を取得する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータが実行する、
車両のライフサイクルに含まれる複数の段階のうちの少なくとも前記車両が使用される使用段階を含む一以上の対象段階それぞれにおいて発生するコストを特定するためのコスト特定情報と、前記車両が所定の単位期間において走行される予定の走行距離である予定走行距離を特定するための距離特定情報と、前記車両が使用される期間である予定使用期間を特定するための期間特定情報とを取得するステップと、
前記距離特定情報によって特定される前記予定走行距離と、前記期間特定情報によって特定される前記予定使用期間とを乗算することにより、前記車両が生産されてから前記車両が廃棄されるまでに走行する生涯走行距離を算出するステップと、
前記コスト特定情報によって特定される前記一以上の対象段階それぞれのコストを合計することにより、前記一以上の対象段階において発生する総コストを算出するステップと、
前記総コストを前記生涯走行距離で除算することにより、前記車両の距離単位あたりにおいて発生する単位コストを算出するステップと、
前記単位コストを出力するステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータを、
車両のライフサイクルに含まれる複数の段階のうちの少なくとも前記車両が使用される使用段階を含む一以上の対象段階それぞれにおいて発生するコストを特定するためのコスト特定情報と、前記車両が所定の単位期間において走行される予定の走行距離である予定走行距離を特定するための距離特定情報と、前記車両が使用される期間である予定使用期間を特定するための期間特定情報とを取得する取得部、
前記距離特定情報によって特定される前記予定走行距離と、前記期間特定情報によって特定される前記予定使用期間とを乗算することにより、前記車両が生産されてから前記車両が廃棄されるまでに走行する生涯走行距離を算出する距離算出部、
前記コスト特定情報によって特定される前記一以上の対象段階それぞれのコストを合計することにより、前記一以上の対象段階において発生する総コストを算出する総コスト算出部、
前記総コストを前記生涯走行距離で除算することにより、前記車両の距離単位あたりにおいて発生する単位コストを算出する単位コスト算出部、及び
前記単位コストを出力する出力部、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カタログ等に記載されている車両の性能や装備等の情報(以下、「カタログ情報」という。)を管理する装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カタログ情報には、車両が排出する二酸化炭素(以下、「CO2」という。)の排出量をはじめとする車両において発生するコストを示す情報が含まれ、ユーザは、カタログ情報を参照することにより、乗り換えを検討している車両において発生するコストを把握することができるが、局所的なコストしか把握することができなかった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、一例として、車両において発生するコストを提示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様にかかる情報処理装置は、車両のライフサイクルに含まれる複数の段階のうちの少なくとも前記車両が使用される使用段階を含む一以上の対象段階それぞれにおいて発生するコストを特定するためのコスト特定情報と、前記車両が所定の単位期間において走行される予定の走行距離である予定走行距離を特定するための距離特定情報と、前記車両が使用される期間である予定使用期間を特定するための期間特定情報とを取得する取得部と、前記距離特定情報によって特定される前記予定走行距離と、前記期間特定情報によって特定される前記予定使用期間とを乗算することにより、前記車両が生産されてから前記車両が廃棄されるまでに走行する生涯走行距離を算出する距離算出部と、前記コスト特定情報によって特定される前記一以上の対象段階それぞれのコストを合計することにより、前記一以上の対象段階において発生する総コストを算出する総コスト算出部と、前記総コストを前記生涯走行距離で除算することにより、前記車両の距離単位あたりにおいて発生する単位コストを算出する単位コスト算出部と、前記単位コストを出力する出力部と、を有する。
【0007】
前記車両は、リースされるリース車両であってもよいし、前記取得部は、前記車両をリースする予定の使用者ごとに、当該使用者に対応する前記距離特定情報と、当該使用者に対応する前記期間特定情報とを取得してもよいし、前記距離算出部は、前記使用者ごとに前記予定走行距離及び前記予定使用期間を乗算した乗算値を合計することにより、前記生涯走行距離を算出してもよい。
【0008】
前記車両は、使用者が使用している使用車両であってもよいし、前記取得部は、前記車両の走行距離を示す情報をさらに取得してもよいし、前記距離算出部は、前記予定走行距離と前記予定使用期間とを乗算した乗算値と、前記車両の走行距離とを足し合わせることにより、前記生涯走行距離を算出してもよい。
【0009】
前記出力部は、前記単位コスト算出部が前記車両ごとに算出した前記単位コストを合計した合計コストを出力してもよい。
【0010】
前記車両は、電気自動車であってもよいし、前記期間特定情報は、前記車両に対して第1の充電がされてから第2の充電がされるまでの期間において使用者が必要とする必要走行距離を特定するための情報であってもよいし、前記情報処理装置は、基準日からの経過時間又は前記基準日からの電気自動車の累積走行距離の少なくともいずれかと、電気自動車の最大充電時における走行可能距離との関係を示す性能データを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶されている前記性能データを参照し、前記車両の最大充電時における走行可能距離が、前記必要走行距離を下回る時期に基づいて、前記予定使用期間を特定する特定部と、をさらに有してもよい。
【0011】
前記取得部は、前記車両に搭乗する平均人数を示す情報をさらに取得してもよいし、前記単位コスト算出部は、前記総コストを、前記生涯走行距離と前記平均人数とで乗算した乗算値で除算することにより、前記車両の距離単位及び一人単位あたりの前記単位コストを算出してもよい。
【0012】
前記取得部は、前記車両に積載する平均積載量を示す情報をさらに取得してもよいし、前記単位コスト算出部は、前記総コストを、前記生涯走行距離と前記平均積載量とで乗算した乗算値で除算することにより、前記車両の距離単位及び積載量単位あたりの前記単位コストを算出してもよい。
【0013】
前記取得部は、前記車両のライフサイクルに含まれる複数の段階の中から選択された前記一以上の対象段階を示す段階情報を取得し、前記複数の段階のうち、取得した前記段階情報によって示される前記一以上の対象段階それぞれにおいて発生するコストを特定するための前記コスト特定情報を取得してもよい。
【0014】
本発明の第2の態様にかかる情報処理方法は、コンピュータが実行する、車両のライフサイクルに含まれる複数の段階のうちの少なくとも前記車両が使用される使用段階を含む一以上の対象段階それぞれにおいて発生するコストを特定するためのコスト特定情報と、前記車両が所定の単位期間において走行される予定の走行距離である予定走行距離を特定するための距離特定情報と、前記車両が使用される期間である予定使用期間を特定するための期間特定情報とを取得するステップと、前記距離特定情報によって特定される前記予定走行距離と、前記期間特定情報によって特定される前記予定使用期間とを乗算することにより、前記車両が生産されてから前記車両が廃棄されるまでに走行する生涯走行距離を算出するステップと、前記コスト特定情報によって特定される前記一以上の対象段階それぞれのコストを合計することにより、前記一以上の対象段階において発生する総コストを算出するステップと、前記総コストを前記生涯走行距離で除算することにより、前記車両の距離単位あたりにおいて発生する単位コストを算出するステップと、前記単位コストを出力するステップと、を有する。
【0015】
本発明の第3の態様にかかるプログラムは、コンピュータを、車両のライフサイクルに含まれる複数の段階のうちの少なくとも前記車両が使用される使用段階を含む一以上の対象段階それぞれにおいて発生するコストを特定するためのコスト特定情報と、前記車両が所定の単位期間において走行される予定の走行距離である予定走行距離を特定するための距離特定情報と、前記車両が使用される期間である予定使用期間を特定するための期間特定情報とを取得する取得部、前記距離特定情報によって特定される前記予定走行距離と、前記期間特定情報によって特定される前記予定使用期間とを乗算することにより、前記車両が生産されてから前記車両が廃棄されるまでに走行する生涯走行距離を算出する距離算出部、前記コスト特定情報によって特定される前記一以上の対象段階それぞれのコストを合計することにより、前記一以上の対象段階において発生する総コストを算出する総コスト算出部、前記総コストを前記生涯走行距離で除算することにより、前記車両の距離単位あたりにおいて発生する単位コストを算出する単位コスト算出部、及び前記単位コストを出力する出力部、として機能させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、一例として、車両において発生するコストを提示することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】情報処理システムの概要を説明するための図である。
【
図4】情報処理サービスの表示画面を模式的に表した図である。
【
図5】情報処理装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[情報処理システムSの概要]
図1は、情報処理システムSの概要を説明するための図である。情報処理システムSは、情報処理サービスをユーザに提供するために用いられるシステムである。情報処理サービスは、車両において発生するコストを提示するサービスである。
【0019】
ユーザは、情報処理サービスを利用する利用者であり、例えば、車両の購入又はリースを検討している者、車両を販売又はリースする事業者等である。車両は、新車であってもよいし、中古車であってもよい。また、車両は、電気自動車であってもよいし、ガソリン車であってもよい。コストは、例えば、CO2の排出量である。情報処理システムSは、ユーザ端末1と、情報処理装置2とを有する。
【0020】
ユーザ端末1は、ユーザが使用する端末であり、例えば、スマートフォン、タブレット端末又はパーソナルコンピュータ等である。ユーザ端末1は、情報を表示するディスプレイ等の表示部と、ユーザによる操作(入力)を受け付けるキーボード又はタッチパネル等の操作部とを有する。ユーザ端末1は、情報処理装置2と通信可能である。
【0021】
情報処理装置2は、情報処理サービスを管理する装置であり、例えば、サーバである。情報処理装置2は、ユーザ端末1と通信可能である。
【0022】
ユーザは、車両のカタログ情報を参照して、車両において発生するコストを把握する。しかしながら、車両のコストは、当該車両のライフスタイルの各段階(例えば、車両に用いられる部品の資源が生産される生産段階、部品が製造される部品製造段階、車両が製造される車両製造段階、車両が流通される流通段階、車両が使用される使用段階、車両が廃棄される廃棄段階)において発生するため、ユーザがカタログ情報を参照しても局所的なコストしか把握することができない。
【0023】
例えば、ユーザが、カタログ情報を参照して、電気自動車のCO2の排出量と、ガソリン車のCO2の排出量とを比較した場合、電気自動車の方がCO2の排出量が少ない傾向にあるため、電気自動車の方が優れていると判断し得る。しかしながら、電気自動車においては、使用段階において発生するCO2の排出量がガソリン車よりも少ない傾向にあるが、車両製造段階において発生するCO2の排出量がガソリン車よりも多い傾向にある。そのため、CO2の総排出量は、車両が廃棄されるまでに走行する生涯走行距離が短い場合、電気自動車よりもガソリン車の方が少くなり得、車両の生涯走行距離が長い場合、電気自動車よりもガソリン車の方が多くなり得る。
【0024】
このように、車両の生涯走行距離に応じて、電気自動車及びガソリン車におけるコストの優劣が変わり得るため、車両のライフスタイルを考慮したコストを提示することが求められている。そこで、情報処理システムSは、車両のライフスタイルを考慮したコスト(指標)をユーザに提示する。
以下において、情報処理システムSが実行する処理について説明する。
【0025】
まず、ユーザがユーザ端末1において情報処理サービスのサイトにアクセスする操作を行うと、ユーザ端末1は、情報処理サービスの表示画面を表示させる。情報処理サービスの表示画面には、車両のコストを算出するために用いる情報を入力する入力項目(例えば、車両を指定するための入力項目等)が設けられている。ユーザが情報処理サービスの表示画面において入力項目に情報を入力すると、ユーザ端末1は、ユーザが入力した入力情報を情報処理装置2に送信する(
図1における(1))。
【0026】
情報処理装置2は、ユーザ端末1から入力情報を取得すると、当該入力情報に基づいて、コストを算出するためのコスト算出情報を取得する(
図1における(2))。コスト算出情報は、コスト特定情報と、距離特定情報と、期間特定情報とを含む。
【0027】
コスト特定情報は、車両のライフサイクルに含まれる複数の段階のうちの少なくとも使用段階を含む一以上の対象段階それぞれにおいて発生するコストを特定するための情報である。距離特定情報は、車両が所定の単位期間(例えば、1か月、1年等)において走行される予定の走行距離である予定走行距離を特定するための情報である。期間特定情報は、車両が使用される予定の期間(以下、「予定使用期間」という。)を特定するための情報である。
【0028】
情報処理装置2は、取得したコスト算出情報に基づいて、車両のライフスタイルを考慮したコストとして、単位コストを算出する(
図1における(3))。単位コストは、車両の距離単位(例えば、1キロメートル、100メートル等)あたりにおいて発生するコストである。具体的には、情報処理装置2は、以下の3つのステップを実行することにより、単位コストを算出する。
【0029】
第1のステップとして、情報処理装置2は、距離特定情報によって特定される予定走行距離と、期間特定情報によって特定される予定使用期間とに基づいて、車両が生産されてから車両が廃棄されるまでに走行する生涯走行距離を算出する。生涯走行距離は、車両が生産されてから車両が廃棄されるまでに走行する走行距離である。
【0030】
第2のステップとして、情報処理装置2は、コスト特定情報によって特定される一以上の対象段階それぞれのコストに基づいて、一以上の対象段階において発生する総コストを算出する。総コストは、一以上の対象段階において発生するコストの合計値である。第3のステップとして、情報処理装置2は、算出した総コストと、算出した生涯走行距離とに基づいて、単位コストを算出する。
【0031】
そして、情報処理装置2は、算出した単位コストをユーザに提示する(
図1における(4))。このようにすることで、情報処理システムSは、車両のライフスタイルにおいて発生するコストをユーザに提示することができる。
以下、情報処理装置2の機能構成について説明する。
【0032】
[情報処理装置2の機能構成]
図2は、情報処理装置2のブロック図である。
図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、
図2に示したもの以外のデータの流れがあってもよい。
図2において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、
図2に示すブロックは単一の装置内に実装されてもよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてもよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてもよい。
【0033】
情報処理装置2は、通信部21と、記憶部22と、制御部23とを有する。情報処理装置2は、2つ以上の物理的に分離した装置が有線又は無線で接続されることにより構成されてもよい。また、情報処理装置2は、コンピュータ資源の集合であるクラウドによって構成されてもよい。
【0034】
通信部21は、ネットワークを介してユーザ端末1との間でデータを送受信するための通信コントローラを有する。通信部21は、ユーザ端末1からネットワークを介して受信したデータを制御部23に通知する。また、通信部21は、ネットワークを介して、制御部23から出力されたデータをユーザ端末1に送信する。
【0035】
記憶部22は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部22は、情報処理装置2の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部23との間でデータの授受を行ってもよい。記憶部22は、制御部23が実行するプログラムを予め記憶している。
【0036】
制御部23は、取得部231と、特定部232と、距離算出部233と、総コスト算出部234と、単位コスト算出部235と、出力部236とを有する。制御部23は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部22に記憶されたプログラムを実行することにより、取得部231、特定部232、距離算出部233、総コスト算出部234、単位コスト算出部235及び出力部236として機能する。
【0037】
取得部231は、コスト算出情報を取得する。具体的には、取得部231は、車両のライフサイクルに含まれる複数の段階のうちの少なくとも使用段階を含む一以上の対象段階それぞれにおいて発生するコストを特定するためのコスト特定情報を取得する。取得部231は、例えば、ユーザが情報処理サービスの表示画面において入力した入力情報に基づいて、コスト特定情報を取得する。例えば、情報処理サービスの表示画面には、車両を指定するための入力項目(例えば、メーカ名、車名、年式、グレード等)が設けられている。
【0038】
この場合において、まず、ユーザがユーザ端末1に表示された情報処理サービスの表示画面において車両を指定すると、取得部231は、ユーザ端末1から、ユーザが指定した車両(以下、「指定車両」という。)を特定するための指定車両情報を取得する。そして、取得部231は、取得した指定車両情報によって特定される指定車両のメーカ(メーカがコスト特定情報を管理する不図示のサーバ)から、当該指定車両に対応するコスト特定情報の少なくとも一部(例えば、当該指定車両のライフサイクルに含まれる複数の段階のうちの生産段階、部品製造段階、車両製造段階及び流通段階に対応するコスト特定情報)を取得する。
【0039】
また、取得部231は、指定車両のライフサイクルに含まれる複数の段階のうちの使用段階に対応するコスト特定情報として、指定車両の性能値を取得する。性能値は、例えば、ガソリン車が所定の距離を走行する際に排出するCO2の排出量、ガソリン車における燃費、電気自動車における電費等である。取得部231は、使用段階に対応するコスト特定情報を、メーカから取得してもよい、メーカ以外の事業者から取得してもよい。
【0040】
例えば、指定車両がガソリン車であって、当該指定車両の使用段階において発生するCO2の排出量を特定する場合、特定部232は、性能値(ガソリン車が所定の距離を走行する際に排出するCO2の排出量)と、後述する距離算出部233が算出した生涯走行距離とに基づいて、指定車両の使用段階において発生するCO2の排出量を特定する。なお、特定部232は、ガソリン車の燃料が製造される際に排出されるCO2の排出量を考慮して、指定車両の使用段階において発生するCO2の排出量を特定してもよい。
【0041】
例えば、まず、特定部232は、指定車両の生涯走行距離を性能値(燃費)で除算することにより、使用車両が生涯距離を走行するために必要となる生涯燃料量を算出する。特定部232は、生涯燃料量と予め定められた燃料係数とを乗算することにより、ガソリン車の燃料が製造される際に排出されるCO2の排出量を算出する。燃料係数は、ガソリン車の燃料が製造される際に排出されるCO2の排出量を算出するための数値であり、例えば、所定の燃料量(例えば、1リットル等)が製造される際に排出されるCO2の排出量である。そして、特定部232は、性能値(ガソリン車が所定の距離を走行する際に排出するCO2の排出量)と生涯走行距離とに基づくCO2の排出量と、性能値(燃費)と生涯走行距離とに基づくCO2の排出量とを足し合わせることにより、指定車両の使用段階において発生するCO2の排出量を特定する。
【0042】
また、例えば、指定車両が電気自動車であって、電費(性能値)の単位が1キロメートルを走るために消費する電力量を示すWh/kmである場合、まず、特定部232は、性能値と生涯走行距離とを乗算することにより、電気自動車が生涯走行距離を走行するために必要となる生涯電力量を算出する。そして、特定部232は、算出した生涯電力量と予め定められた電力係数とを乗算することにより、指定車両の使用段階において発生するCO2の排出量を算出する。電力係数は、発電に伴うCO2の排出量を算出するために用いられる数値であり、例えば、所定の電力量(例えば、1ワット、1キロワット等)が発電される際に排出されるCO2の排出量である。
【0043】
取得部231は、コスト特定情報として、指定車両のライフサイクルに含まれる複数の段階のうちの廃棄段階に対応するコスト特定情報を取得する。取得部231は、廃棄段階に対応するコスト特定情報を、車両を廃棄する廃棄事業者から取得してもよいし、廃棄事業者以外の事業者から取得してもよい。
【0044】
指定車両が電気自動車である場合であって、当該電気自動車に搭載されている二次電池が再利用される場合、取得部231は、廃棄段階に対応するコスト特定情報として、二次電池が利用されることによって消費される総電力量と、指定車両の車体及び再利用された二次電池を廃棄する際に排出されるCO2の排出量とを取得してもよい。この場合、特定部232は、総電力量と上記の電力係数とを乗算することにより、二次電池の再利用によって排出されるCO2の排出量を算出し、算出したCO2の排出量と指定車両の車体及び再利用された二次電池を廃棄する際に排出されるCO2の排出量とを足し合わせることにより、指定車両の廃棄段階において発生するコストを算出する。
【0045】
取得部231は、指定車両のライフサイクルに含まれる複数の段階の中からユーザが選択した一以上の段階に対応するコスト特定情報を取得してもよい。具体的には、まず、取得部231は、指定車両のライフサイクルに含まれる複数の段階の中から選択された一以上の対象段階を示す段階情報を取得する。例えば、情報処理サービスの表示画面には、車両のライフサイクルに含まれる段階を選択する選択項目が設けられている。なお、車両の使用段階においては、予め選択されている状態であるとする。この場合において、ユーザが情報処理サービスの表示画面において一以上の段階を選択する操作を行うと、ユーザ端末1は、ユーザが選択した一以上の対象段階を示す段階情報を情報処理装置2に送信する。
【0046】
そして、取得部231は、指定車両のライフサイクルに含まれる複数の段階のうち、取得した段階情報によって示される一以上の対象段階それぞれにおいて発生するコストを特定するためのコスト特定情報を取得する。このようにすることで、情報処理装置2は、指定車両のライフサイクルに含まれる複数の段階のうち、ユーザが考慮したい段階において発生するコストを提示することができる。
【0047】
取得部231は、さらに、指定車両が所定の単位期間(例えば、1か月、1年等)において走行される予定の走行距離である予定走行距離を特定するための距離特定情報と、指定車両の予定使用期間(例えば、月、年等)を特定するための期間特定情報とを取得する。取得部231は、例えば、ユーザから、距離特定情報と期間特定情報とを取得する。例えば、情報処理サービスの表示画面には、予定走行距離と、予定使用期間とを入力するための入力項目が設けられている。この場合において、ユーザが、ユーザ端末1に表示された情報処理サービスの表示画面において予定走行距離及び予定使用期間を入力すると、取得部231は、ユーザ端末1から、ユーザが入力した予定走行距離を示す距離特定情報と、ユーザが入力した予定使用期間を示す期間特定情報とを取得する。
【0048】
指定車両が電気自動車である場合、取得部231は、期間特定情報として、指定車両に対して第1の充電がされてから第2の充電がされるまでの期間(例えば1日)において指定車両の使用者(例えば、ユーザ、販売先の顧客、リース先の顧客等)が必要とする必要走行距離を特定するための情報を取得してもよい。この場合における期間特定情報は、例えば、ユーザが入力した必要走行距離を示す情報である。
【0049】
例えば、記憶部22には、基準日(例えば、電気自動車が出荷された直後の日、又は電気自動車の使用が開始される予定の日等)からの経過時間又は基準日からの電気自動車の累積走行距離の少なくともいずれかと、電気自動車の最大充電時における走行可能距離との関係を示す性能データが記憶されている。性能データは、例えば、製造からの日数(保存劣化度)、新車か中古車か(保存劣化度及び充放電サイクル劣化度)、累積走行距離(保存劣化度及び充放電サイクル劣化度)、その他の要因(保存劣化度、充放電サイクル劣化度、充放電パターン)等に基づいて算出されたデータである。
【0050】
図3は、性能データの一例を示す図である。
図3に示すグラフの横軸は、電気自動車の使用が開始される日である第1基準日T1からの経過時間を示す。縦軸は、電気自動車の走行可能距離を示す。
図3に示す距離L1は、電池を最大量まで充電した満充電状態における電気自動車の最大走行可能距離を示し、時間の経過に伴って最大走行可能距離が低下することがわかる。
図3に示す距離L2は、必要走行距離を示す。特定部232は、記憶部22に記憶されている性能データを参照し、最大走行可能距離と必要走行距離との関係に基づいて、予定使用期間として特定する。
【0051】
具体的には、特定部232は、記憶部22に記憶されている性能データを参照し、指定車両の最大充電時における走行可能距離が、期間特定情報によって示される必要走行距離を下回る時期に基づいて、予定使用期間を特定する。
図3に示す例において、特定部232は、第1基準日T1から、指定車両の最大充電時における走行可能距離が必要走行距離を下回る日である第2基準日T2までの期間を予定使用期間として特定してもよいし、第1基準日T1から第2基準日T2の直前の日までの期間を予定使用期間として特定してもよい。
【0052】
期間特定情報は、使用者による指定車両の用途を示す情報であってもよい。指定車両の用途は、例えば、指定車両が使用される部署(例えば、総務部、営業部、秘書部等)、指定車両が使用される業務(例えば、貨物輸送、旅客輸送、営業等)等である。例えば、記憶部22には、車両の用途ごとに、当該用途と、車両に対して第1の充電がされてから第2の充電がされるまでの期間において当該車両が当該用途で使用された場合に必要となる必要走行距離の統計値(例えば、平均値、中央値、最頻値又は最大値等)とが関連付けて記憶されている。
【0053】
この場合において、特定部232は、記憶部22に記憶されている性能データを参照し、指定車両の最大充電時における走行可能距離が、記憶部22において期間特定情報によって示される用途に関連付けられている必要走行距離の統計値を下回る時期に基づいて、予定使用期間を特定する。
【0054】
上記において、取得部231が、外部(車両のメーカ、ユーザ等)からコスト特定情報と距離特定情報と期間特定情報とを取得する例を説明したが、これに限らない。例えば、記憶部22には、車両ごとに、当該車両に対応するコスト特定情報、距離特定情報及び期間特定情報が記憶されており、取得部231は、指定車両に対応するコスト特定情報、距離特定情報及び期間特定情報を記憶部22から取得してもよい。この場合における車両ごとのコスト特定情報は、当該車両において発生する平均的なコストを示す情報である。また、車両ごとの距離特定情報は、当該車両における平均的な予定走行距離を示す情報である。また、車両ごとの期間特定情報は、平均的な予定使用期間を示す情報である。
【0055】
距離算出部233は、取得部231が取得した距離特定情報及び期間特定情報に基づいて、指定車両が生産されてから指定車両が廃棄されるまでに走行する生涯走行距離を算出する。具体的には、距離算出部233は、取得部231が取得した距離特定情報によって特定される予定走行距離と、取得部231が取得した期間特定情報によって特定される予定使用期間とを乗算することにより、生涯走行距離を算出する。
【0056】
距離算出部233は、指定車両が使用段階において一以上の使用者にリースされるリース車両である場合、各使用者の予定走行距離を合計することにより、生涯走行距離を算出してもよい。具体的には、まず、取得部231は、指定車両をリースする予定の使用者ごとに、当該使用者に対応する距離特定情報と、当該使用者に対応する期間特定情報とを取得する。そして、距離算出部233は、使用者ごとに予定走行距離及び予定使用期間を乗算した乗算値を合計することにより、生涯走行距離を算出する。このようにすることで、情報処理装置2は、リース車の生涯走行距離を算出することができる。
【0057】
距離算出部233は、指定車両が使用者によって使用されている車両(以下、「使用車両」という。)である場合、現時点における使用車両の走行距離をさらに用いて、生涯走行距離を算出してもよい。具体的には、まず、取得部231は、使用車両の走行距離を示す情報をさらに取得する。そして、距離算出部233は、予定走行距離と予定使用期間とを乗算した乗算値と、指定車両の走行距離とを足し合わせることにより、生涯走行距離を算出する。このようにすることで、情報処理装置2は、中古車の生涯走行距離を算出することができる。
【0058】
総コスト算出部234は、取得部231が取得したコスト特定情報に基づいて、一以上の対象段階において発生する総コストを算出する。具体的には、総コスト算出部234は、取得部231が取得したコスト特定情報によって特定される一以上の対象段階それぞれのコストを合計することにより、総コストを算出する。
【0059】
単位コスト算出部235は、総コスト算出部234が算出した総コストと、距離算出部233が算出した生涯走行距離とに基づいて、指定車両の距離単位あたりにおいて発生する単位コストを算出する。単位コスト算出部235は、総コスト算出部234が算出した総コストを、距離算出部233が算出した生涯走行距離で除算することにより、単位コストを算出する。
【0060】
出力部236は、単位コスト算出部235が算出した単位コストを出力する。出力部236は、例えば、情報処理サービスの表示画面に単位コストを表示させる。出力部236は、複数の指定車両が指定された場合、情報処理サービスの表示画面に複数の指定車両それぞれの単位コストを表示させてもよい。
【0061】
また、出力部236は、複数の指定車両が指定された場合、単位コスト算出部235が指定車両ごとに算出した単位コストを合計した合計コストを出力してもよい。例えば、情報処理サービスの表示画面には、単位コストを合計するか否かを設定するための設定項目が設けられており、出力部236は、ユーザが単位コストを合計すると設定した複数の指定車両を合計した合計コストを情報処理サービスの表示画面に表示させる。
【0062】
図4は、情報処理サービスの表示画面を模式的に表した図である。
図4に示す表示画面には、一以上の車両を指定するための車両指定欄F1と、予定走行距離及び使用予定期間を入力するための入力欄F2と、単位コストを表示するための表示欄F3とが表示されている。車両指定欄F1には、単位コストを合計するか否かを設定するための設定項目として、車両(2)、(3)の欄に車両(1)のコストと合計するか否かを設定するための設定項目が表示されている。ユーザが情報処理サービスの表示画面において、車両指定欄F1及び入力欄F2において情報を入力してボタンBを押下する操作を行うと、情報処理装置2は、各指定車両の単位コストを算出する処理を実行し、実行結果として、表示欄F3に各指定車両の単位コストを表示させる。
【0063】
図4に示す例において、車両(1)、(2)においては、ユーザがコストを合計する設定をしているので、車両(1)、(2)の単位コストを合計した合計コストが表示欄F3に表示され、車両(3)においては、ユーザがコストを合計する設定をしていないので、車両(3)のみの単位コストが表示欄F3に表示される。
【0064】
出力部236は、さらに、指定車両が労働する労働量の単位(以下、「労働量単位」という。)あたりの単位コストを出力してもよい。例えば、指定車両が旅客輸送用の車両(例えば、乗用車、マイクロバス等)である場合、出力部236は、指定車両の労働量単位あたりの単位コストとして、指定車両に搭乗する一人あたりの単位コストを出力する。
【0065】
具体的には、まず、取得部231は、指定車両に搭乗する平均人数を示す情報をさらに取得する。単位コスト算出部235は、総コスト算出部234が算出した総コストを、距離算出部233が算出した生涯走行距離と平均人数とで乗算した乗算値で除算することにより、指定車両の距離単位及び指定車両に搭乗する一人単位あたりの単位コストを算出する。
【0066】
そして、出力部236は、単位コスト算出部235が算出した指定車両の距離単位及び指定車両に搭乗する一人単位あたりの単位コストを出力する。このようにすることで、ユーザが、指定車両に搭乗する一人あたりにおいて発生するコストを把握することができる。
【0067】
例えば、指定車両が貨物輸送用の車両(例えば、トラック等)である場合、出力部236は、指定車両の労働量単位あたりの単位コストとして、指定車両の積載量単位あたりの単位コストを出力してもよい。具体的には、まず、取得部231は、指定車両に積載する平均積載量を示す情報をさらに取得する。単位コスト算出部235は、総コスト算出部234が算出した総コストを、距離算出部233が算出した生涯走行距離と指定車両の平均積載量とで乗算した乗算値で除算することにより、指定車両の距離単位及び指定車両の積載量単位あたりの単位コストを算出する。
【0068】
そして、出力部236は、単位コスト算出部235が算出した指定車両の距離単位及び指定車両の積載量単位あたりの単位コストを出力する。このようにすることで、ユーザが、指定車両の席資料単位あたりにおいて発生するコストを把握することができる。
【0069】
上記において、出力部236が単位コストを出力する例を説明したが、これに限らない。例えば、出力部236は、総コスト算出部234が算出した総コストを出力してもよい。
【0070】
[情報処理装置2の処理]
続いて、情報処理装置2の処理の流れについて説明する。
図5は、情報処理装置2の処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートは、取得部231が、コスト特定情報と距離特定情報と期間特定情報とを含むコスト算出情報を取得したことを契機として開始する(S1)。
【0071】
距離算出部233は、取得部231が取得した距離特定情報によって特定される予定走行距離と、取得部231が取得した期間特定情報によって特定される予定使用期間とを乗算することにより、生涯走行距離を算出する(S2)。総コスト算出部234は、取得部231が取得したコスト特定情報によって特定される一以上の対象段階それぞれのコストを合計することにより、一以上の対象段階において発生する総コストを算出する(S3)。
【0072】
単位コスト算出部235は、総コスト算出部234が算出した総コストを、距離算出部233が算出した生涯走行距離で除算することにより、指定車両の距離単位あたりにおいて発生する単位コストを算出する(S4)。そして、出力部236は、単位コスト算出部235が算出した単位コストを出力する(S5)。
【0073】
<変形例>
上記において、コストがCO2の排出量である例を説明したが、これに限らない。例えば、コストは費用であってもよい。
【0074】
電気自動車においては、ガソリン車よりも販売価格が高い傾向にあるが、ガソリン車よりもメンテナンスにかかる費用が小さい傾向にある。そのため、車両にかかる費用においては、電気自動車の生涯走行距離が短い場合、ガソリン車の方が安くなり得、電気自動車の生涯走行距離が長い場合、ガソリン車の方が高くなり得る。このように、車両の生涯走行距離に応じて、電気自動車及びガソリン車における費用の優劣が変わり得るため、車両のライフスタイルを考慮した費用を提示することが求められている。そこで、情報処理システムSは、車両のライフスタイルを考慮した費用をユーザに提示する。
【0075】
コストが費用である場合、取得部231は、指定車両のメーカから、指定車両のライフサイクルに含まれる複数の段階のうちの生産段階、部品製造段階、車両製造段階及び流通段階に対応するコストとして、指定車両の販売価格を示す情報を取得する。
【0076】
また、コストが費用である場合、特定部232は、指定車両のライフサイクルに含まれる複数の段階のうちの使用段階に対応するコスト特定情報として取得部231が取得した性能値と、距離算出部233が算出した生涯走行距離と、費用係数とに基づいて、使用段階において発生するコストを特定する。費用係数は、所定のエネルギーの消費に伴う費用を算出するために用いられる数値であり、例えば、所定の電力量あたりの費用、所定の燃料量あたりの費用である。
【0077】
例えば、特定部232は、生涯走行距離を性能値(ガソリン車における燃費、電気自動車における電費)で除算することにより、車両が生涯走行距離を走行するために必要となる生涯エネルギーを算出し、算出した生涯エネルギーと費用係数とを乗算することにより、指定車両の使用段階において発生するコストを算出する。
【0078】
費用係数は、さらに、定期的に発生する車両のメンテナンス費用が考慮された数値であってもよい。例えば、記憶部22には、生涯走行距離の範囲ごとに、所定のエネルギー量(例えば、所定の電力量、所定の燃料量等)と、当該生涯走行距離の範囲において発生するメンテナンス費用が所定のエネルギー量に換算された換算費用とが足しあわされた費用係数が記憶されている。この場合において、特定部232は、記憶部22に記憶されている複数の費用係数の中から、距離算出部233が算出した生涯走行距離を含む範囲に対応する費用係数を選択し、算出した生涯エネルギーと、選択した費用係数とに基づいて、指定車両の使用段階において発生するコストを算出する。
【0079】
[本実施の形態における効果]
以上説明したとおり、情報処理装置2は、一以上の対象段階それぞれのコストを合計することによって算出した総コストを、予定走行距離と予定使用期間とを乗算することによって算出した生涯走行距離で除算することにより、単位コストを算出し、算出した単位コストを出力する。このようにすることで、情報処理装置2は、車両のライフスタイルにおいて発生するコストをユーザに提示することができる。
【0080】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0081】
1 ユーザ端末
2 情報処理装置
21 通信部
22 記憶部
23 制御部
231 取得部
232 特定部
233 距離算出部
234 総コスト算出部
235 単位コスト算出部
236 出力部
S 情報処理システム