(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168480
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】推定装置、プログラム、および推定システム
(51)【国際特許分類】
G01S 11/06 20060101AFI20241128BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
G01S11/06
E05B49/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085196
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(72)【発明者】
【氏名】小杉 正則
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250BB00
2E250HH01
2E250JJ46
2E250LL01
(57)【要約】
【課題】より安定した距離推定を実現する。
【解決手段】対象装置から受信する推定用電波の強度を閾値と比較し、前記対象装置との距離を推定する推定部、を備え、前記推定部は、前記対象装置から受信する、遮蔽物による回折損に差が生じ得る異なる周波数帯の2つの閾値設定用電波の強度に基づいて、前記閾値を設定する、推定装置が提供される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象装置から受信する推定用電波の強度を閾値と比較し、前記対象装置との距離を推定する推定部、
を備え、
前記推定部は、前記対象装置から受信する、遮蔽物による回折損に差が生じ得る異なる周波数帯の2つの閾値設定用電波の強度に基づいて、前記閾値を設定する、
推定装置。
【請求項2】
前記推定部は、前記2つの閾値設定用電波の強度の差が規定値以下である場合、前記閾値として第1の閾値を設定し、前記2つの閾値設定用電波の強度の差が前記規定値を超える場合、前記閾値として前記第1の閾値よりも値の小さい第2の閾値を設定する、
請求項1に記載の推定装置。
【請求項3】
前記推定部は、前記推定用電波の強度が閾値を超える場合、被制御装置に規定の動作を実行させる、
請求項1に記載の推定装置。
【請求項4】
前記規定の動作は、施解錠を含む、
請求項3に記載の推定装置。
【請求項5】
前記2つの閾値設定用電波は、Wi-Fi通信規格における異なる周波数帯の電波である、
請求項2に記載の推定装置。
【請求項6】
移動体に搭載され、
前記対象装置は、前記移動体のユーザにより携帯されるポータブル機器である、
請求項1から請求項5までのうちいずれか一項に記載の推定装置。
【請求項7】
コンピュータに、
対象装置から受信する推定用電波の強度を閾値と比較し、前記対象装置との距離を推定する推定機能、
を実現させ、
前記推定機能に、前記対象装置から受信する、遮蔽物による回折損に差が生じ得る異なる周波数帯の2つの閾値設定用電波の強度に基づいて、前記閾値を設定させる、
プログラム。
【請求項8】
対象装置から受信する推定用電波の強度を閾値と比較し、前記対象装置との距離を推定する推定部、
を備え、
前記推定部は、前記対象装置から受信する、遮蔽物による回折損に差が生じ得る異なる周波数帯の2つの閾値設定用電波の強度に基づいて、前記閾値を設定する、
推定装置と、
前記対象装置にインストールされ、前記対象装置による電波の送信を制御するアプリケーションと、
を含む、
推定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、推定装置、プログラム、および推定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信に基づいて対象装置との距離を推定する技術が開発されている。例えば、特許文献1には、車載器と携帯端末との間におけるBluetooth(登録商標) Low Energy(BLE)通信に基づいて、車載器と携帯端末との距離を推定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されるような技術では、距離の推定精度が人体等の遮蔽物による影響を大きく受ける。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、より安定した距離推定を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、対象装置から受信する推定用電波の強度を閾値と比較し、前記対象装置との距離を推定する推定部、を備え、前記推定部は、前記対象装置から受信する、遮蔽物による回折損に差が生じ得る異なる周波数帯の2つの閾値設定用電波の強度に基づいて、前記閾値を設定する、推定装置が提供される。
【0007】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータに、対象装置から受信する推定用電波の強度を閾値と比較し、前記対象装置との距離を推定する推定機能、を実現させ、前記推定機能に、前記対象装置から受信する、遮蔽物による回折損に差が生じ得る異なる周波数帯の2つの閾値設定用電波の強度に基づいて、前記閾値を設定させる、プログラムが提供される。
【0008】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、対象装置から受信する推定用電波の強度を閾値と比較し、前記対象装置との距離を推定する推定部、を備え、前記推定部は、前記対象装置から受信する、遮蔽物による回折損に差が生じ得る異なる周波数帯の2つの閾値設定用電波の強度に基づいて、前記閾値を設定する、推定装置と、前記対象装置にインストールされ、前記対象装置による電波の送信を制御するアプリケーションと、を含む、推定システムが提供される。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように本発明によれば、より安定した距離推定を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る推定システム1の機能構成例を示すブロック図である。
【
図2】同実施形態に係る電波の損失について説明するための図である。
【
図3】同実施形態に係る電波の損失について説明するための図である。
【
図4】同実施形態に係る推定装置130の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
<1.実施形態>
<<1.1.機能構成例>>
まず、本発明の一実施形態に係る推定システム1の機能構成例について述べる。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る推定システム1の機能構成例を示すブロック図である。
【0014】
本実施形態に係る推定システム1は、
図1に示すように、移動体10に搭載されるWi-Fi(登録商標)通信部110、BLE通信部120、推定装置130、および被制御装置140を備えてもよい。
【0015】
また、本実施形態に係る推定システム1は、
図1に示すように、ポータブル機器20に搭載されるWi-Fi通信部210、BLE通信部220、および制御部230を備えてもよい。
【0016】
(移動体10)
本実施形態に係る移動体10は、例えば、車両、航空機、船舶などの乗り物であってもよい。
【0017】
(Wi-Fi通信部110)
本実施形態に係るWi-Fi通信部110は、ポータブル機器20に搭載されるWi-Fi通信部210からWi-Fi通信規格に準拠した電波を受信する。
【0018】
上記電波は、例えば、2.4GHz帯(例えば、IEEE802.11g)の電波、および5GHz帯(例えば、IEEE802.11a)の電波であってもよい。
【0019】
(BLE通信部120)
本実施形態に係るBLE通信部120は、ポータブル機器20に搭載されるBLE通信部220との間において、BLE通信規格に準拠した無線通信を行う。
【0020】
上記無線通信は、暗号化通信であってよい。また、上記無線通信では、推定装置130によるポータブル機器20の認証に用いられる情報の送受信が行われる。
【0021】
(推定装置130)
本実施形態に係る推定装置130は、対象装置から受信する推定用電波の強度を閾値と比較し、対象装置との距離を推定する推定部135を備える。
【0022】
上記対象装置は、ポータブル機器20であり得る。
【0023】
また、上記推定用電波は、例えば、BLE通信部120が上記BLE通信規格に準拠した無線通信においてBLE通信部220から受信する電波であってもよい。
【0024】
また、本実施形態に係る推定部135は、対象装置から受信する、遮蔽物による回折損に差が生じ得る異なる周波数帯の2つの閾値設定用電波の強度に基づいて、推定用電波の強度と比較する閾値を設定することを特徴の一つとする。
【0025】
上記2つの閾値設定用電波は、例えば、Wi-Fi通信規格における異なる周波数帯の電波であってもよい。
【0026】
また、本実施形態に係る推定部135は、推定用電波の強度が閾値を超える場合、被制御装置140に規定の動作を実行させる。
【0027】
本実施形態に係る推定部135が有する機能は、各種のプロセッサにより実現される。本実施形態に係る推定部135が有する機能の詳細については後述する。
【0028】
(被制御装置140)
本実施形態に係る被制御装置140は、推定装置130による制御に従って、規定の動作を実行する各種の装置であってよい。
【0029】
図1に示すように、被制御装置140が移動体10に搭載される場合、被制御装置140は、例えば、上記規定の動作として移動体10に備えられるドアの施錠/解錠を行う施解錠装置であってもよい。
【0030】
ただし、被制御装置140および規定の動作は上記の例に限定されるものではない。
【0031】
例えば、被制御装置140は、エンジンであってもよい。この場合、規定の動作は、エンジン始動の許可または制限であってもよい。
【0032】
また、例えば、被制御装置140は、照明装置であってもよい。この場合、規定の動作は、照明の点灯または消灯であってもよい。
【0033】
(ポータブル機器20)
本実施形態に係るポータブル機器20は、移動体10のユーザ(例えば、移動体10のオーナー、当該オーナーに移動体10の利用を許可された者など)に携帯される。
【0034】
本実施形態に係るポータブル機器20は、例えば、スマートフォン、タブレット、ウェアラブルデバイス等であってもよい。
【0035】
(Wi-Fi通信部210)
本実施形態に係るWi-Fi通信部210は、少なくともWi-Fi通信規格に準拠した電波を送信する。
【0036】
(BLE通信部220)
本実施形態に係るBLE通信部220は、移動体10に搭載されるBLE通信部120との間において、BLE通信規格に準拠した無線通信を行う。
【0037】
(制御部230)
本実施形態に係る制御部230は、少なくともWi-Fi通信部210およびBLE通信部220の動作を制御するアプリケーションの実行を制御する。
【0038】
また、本実施形態に係る制御部230は、推定部135と同等の機能を有してもよい。
【0039】
制御部230が有する機能は、各種のプロセッサにより実現される。
【0040】
以上、本実施形態に係る推定システム1の機能構成例について述べた。なお、
図1を参照して説明した上記の機能構成はあくまで一例であり、本実施形態に係る推定システム1の機能構成はかかる例に限定されない。
【0041】
本実施形態に係る推定システム1の機能構成は、仕様や運用に応じて柔軟に変形可能である。
【0042】
<<1.2.機能の詳細>>
次に、本実施形態に係る推定システム1が有する機能について詳細に説明する。
【0043】
近年、スマートフォン等の対象装置から受信した電波の強度(RSSI(Received Signal Strength Indicator))に基づき、対象装置との距離を推定する技術が存在する。
【0044】
上記技術では、対象装置から受信した電波のRSSIが予め固定的に定められた閾値を超える場合、対象装置との距離が規定の距離以下であると推定され、移動体に備えられるドアの解錠等が実施される場合がある。
【0045】
しかし、RSSIの値は、人体等の遮蔽物による影響を受ける。また、遮蔽物による影響は、電波の周波数が高いほど大きくなる。
【0046】
例えば、移動体10にユーザが体の正面を向けている場合においてユーザがポータブル機器20をお尻のポケットに入れている状況では、ポータブル機器20が送信する電波はユーザの体を回折して移動体10に搭載される通信部に受信される。
【0047】
この場合、上記電波のRSSIは、上記回折を経ない場合よりも小さくなる。この結果、実際にはポータブル機器20が移動体10から規定の距離内にあるにもかかわらず、ポータブル機器20が移動体10から規定の距離内にないと誤判定される可能性がある。
【0048】
このように、対象装置から受信した電波のRSSIと予め固定的に定められた閾値とに基づく距離推定の精度は、対象装置と人体等の遮蔽物との位置関係に大きく影響される。
【0049】
本発明の一実施形態に係る技術思想は、上記のような点に着目して発想されたものであり、より安定した距離推定を実現することを可能とするものである。
【0050】
このために、本実施形態に係る推定部135は、遮蔽物による回折損に差が生じ得る異なる周波数帯の2つの閾値設定用電波の強度に基づいて、推定用電波のRSSIと比較する閾値を設定することを特徴の一つとする。
【0051】
本実施形態では、上記推定用電波の一例として、BLE通信規格に準拠した電波を採用する。
【0052】
また、本実施形態では、上記閾値設定用電波の一例として、Wi-Fi通信規格における2.4GHz帯の電波と5GHz帯の電波とを採用する。
【0053】
図2および
図3は、本実施形態に係る電波の損失について説明するための図である。
【0054】
図2には、移動体10に搭載されるWi-Fi通信部110とポータブル機器20との間にユーザ30等の遮蔽物が存在しない状況が示される。
【0055】
図2に示す一例の場合、ポータブル機器20に搭載されるWi-Fi通信部210から送信され移動体10に搭載されるWi-Fi通信部110に受信される2.4GHz帯の電波および5GHz帯の電波には、距離dに応じた空間伝搬損が生じる。
【0056】
図2に示す一例の場合、ユーザ30による人体遮蔽がないことから回折損は生じず、2.4GHz帯の電波のRSSIと5GHz帯の電波のRSSIとには差がほぼ生じない。
【0057】
一方、
図3には、移動体10に搭載されるWi-Fi通信部110とポータブル機器20との間にユーザ30等の遮蔽物が存在する状況が示される。
【0058】
図3に示す一例の場合、Wi-Fi通信部210から送信されWi-Fi通信部110に受信される2.4GHz帯の電波および5GHz帯の電波には、距離dに応じた空間伝搬損に加え、ユーザ30による人体遮蔽に起因する回折損が生じる。
【0059】
この際、2.4GHz帯の電波よりも5GHz帯の電波の方が回折損が大きいことから、ユーザ30による人体遮蔽がある場合には、2.4GHz帯の電波のRSSIと5GHz帯の電波のRSSIには、回折損分だけ差が生じることとなる。
【0060】
以上のことから、本実施形態に係る推定部135は、2つの閾値設定用電波の強度の差が規定値以下である場合、推定用電波の強度との比較に用いる閾値として第1の閾値を設定し、2つの閾値設定用電波の強度の差が規定値を超える場合、推定用電波の強度との比較に用いる閾値として第1の閾値よりも値の小さい第2の閾値を設定してもよい。
【0061】
すなわち、本実施形態に係る推定部135は、2つの閾値設定用電波のRSSIが規定値を超える場合、遮蔽物による回折損が生じていると判定し、回折損が生じていないと判定した場合と比較してより小さな値である第2の閾値と推定用電波のRSSIとを比較する。
【0062】
上記のような制御によれば、実際にはポータブル機器20が移動体10から規定の距離内にあるにもかかわらず、遮蔽物の影響によりポータブル機器20が移動体10から規定の距離内にないと誤判定される可能性を低減することができる。
【0063】
次に、本実施形態に係る推定装置130の動作の流れについて一例を挙げて説明する。
【0064】
図4は、本実施形態に係る推定装置130の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【0065】
図4に示す一例の場合、推定装置130は、まず、2つの閾値設定用電波のRSSIを算出する(S101)。
【0066】
上述したように、上記2つの閾値設定用電波は、Wi-Fi通信部210から送信されWi-Fi通信部110に受信される2.4GHz帯の電波および5GHz帯の電波であってもよい。
【0067】
なお、Wi-Fi通信部210とWi-Fi通信部110との接続は行われずともよい。Wi-Fi通信部110は、Wi-Fi通信部210が送信するSSID等を検出するだけでもよい。
【0068】
次に、推定装置130は、ステップS101において算出した2つの閾値設定用電波のRSSIの差が規定値以下であるか否かを判定する(S102)。
【0069】
推定装置130は、2つの閾値設定用電波のRSSIの差が規定値以下であると判定した場合(S102:YES)、遮蔽物の影響がないものとし、距離推定に用いる閾値、すなわち推定用電波のRSSIとの比較に用いる閾値として第1の閾値を設定する(S103)。
【0070】
一方、推定装置130は、2つの閾値設定用電波のRSSIの差が規定値を超えると判定した場合(S102:NO)、遮蔽物の影響があるものとし、推定用電波のRSSIとの比較に用いる閾値として第1の閾値よりも小さい第2の閾値を設定する(S104)。
【0071】
続いて、推定装置130は、ステップS103において設定した第1の閾値またはステップS104において設定した第2の閾値を用いて距離推定を行う(S105)。
【0072】
より具体的には、推定装置130は、BLE通信部120とBLE通信部220との間における暗号化通信においてBLE通信部120がBLE通信部220から受信したなんらかの電波のRSSIと、第1の閾値または第2の閾値とを比較する。
【0073】
ここで、上記RSSIが第1の閾値または第2の閾値を超える場合、推定装置130は、ポータブル機器20が移動体10(より正確には、BLE通信部120)から所定の距離内にあると判定する。
【0074】
続いて、推定装置130は、ステップS105における距離推定の結果、および上記暗号化通信に基づき実施されるポータブル機器20の認証結果に基づいて、被制御装置140の動作制御を行う(S106)。
【0075】
例えば、推定装置130は、ステップS105においてポータブル機器20が移動体10から所定の距離内にあると判定し、かつ上記暗号化通信に基づきポータブル機器20の真正性が認められた場合、被制御装置140に移動体10に搭載されるドアの解錠を実行させてもよい。
【0076】
以上、本実施形態に係る推定装置130の動作の流れについて一例を挙げて説明した。
【0077】
上記で述べたような一連の動作によれば、遮蔽物の影響を排除し、より安定した距離推定を実現することができる。
【0078】
なお、上記においては、2つの閾値設定用電波としてWi-Fi通信部210から送信されWi-Fi通信部110に受信される2.4GHz帯の電波および5GHz帯の電波を例示した。
【0079】
しかし、閾値設定用電波はかかる例に限定されない。閾値設定用電波は、遮蔽物による回折損に差が生じ得る異なる周波数帯の少なくとも2つの電波であればよい。
【0080】
例えば、閾値設定用電波は、異なる周波数帯の3つの電波であってもよい。この場合、3つの電波のうちいずれか2つの電波から成る計3組のうち、2組以上において回折損が生じている場合には遮蔽物の影響があると判定し(S104に相当)、回折損が生じている組が1または0の場合、遮蔽物の影響がないと判定してもよい(S103に相当)。
【0081】
また、上記においては、推定用電波としてBLE通信規格に準拠した電波を例示した。
【0082】
しかし、推定用電波は、任意の電波であってよい。また、推定用電波は、閾値設定用電波と同一であってもよい。
【0083】
また、上記においては、推定装置130が、2つの閾値設定用電波のRSSIの差が規定を超える場合、固定的に定められる第2の閾値を設定する場合を例示した。
【0084】
一方、推定装置130は、2つの閾値設定用電波のRSSIの差に応じて第2の閾値の値を動的に設定することも可能である。
【0085】
また、上記においては、推定装置130が距離推定を行う場合を例示したが、距離推定は、ポータブル機器20に搭載される制御部230が実施してもよい。
【0086】
RSSIの算出についても同様である。ポータブル機器20に搭載される制御部230は、移動体10に搭載されるWi-Fi通信部110またはBLE通信部120から送信される電波のRSSIを算出してもよい。
【0087】
<2.補足>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0088】
また、本明細書において説明した各装置による一連の処理は、コンピュータにより読み取り可能な非一過性の記憶媒体(non-transitory computer readable storage medium)に格納されるプログラムにより実現されてもよい。各プログラムは、例えば、コンピュータによる実行時にRAMに読み込まれ、CPUなどのプロセッサにより実行される。上記記憶媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のプログラムは、記憶媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【符号の説明】
【0089】
1:推定システム、10:移動体、110:Wi-Fi通信部、120:BLE通信部、130:推定装置、135:推定部、140:被制御装置、20:ポータブル機器、210:Wi-Fi通信部、220:BLE通信部、230:制御装置