(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168481
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/41 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
H01R13/41
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085197
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128912
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 徹
(72)【発明者】
【氏名】槇山 弘毅
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE02
5E087EE07
5E087FF02
5E087GG06
5E087RR04
(57)【要約】
【課題】コンタクトがハウジングに圧入されて挿入される際にコンタクトの姿勢が傾くことを抑制でき、低背化を図ることができる、電気コネクタを提供する。
【解決手段】コンタクト11には、ハウジング12の内壁20に圧入される圧入部17と、コンタクト11の挿入方向と平行な前後方向X1において圧入部17に対してずれた位置に設けられてハウジング12の内壁20に係合する係合部18と、が設けられる。ハウジング12には、コンタクト11が挿入される挿入端部22と、内壁20の一部で圧入部17が圧入される圧入壁部24と、内壁20の一部で前後方向X1において圧入壁部24に対してずれた位置に設けられ、係合部18と係合して保持する係合保持部25と、が設けられる。係合保持部25は、ハウジング12において、圧入壁部24に対して前後方向X1における挿入端部22側にずれた位置に設けられている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンタクトと、前記コンタクトが挿入されるとともに挿入された当該コンタクトを保持するハウジングと、を備え、
前記コンタクトには、当該コンタクトが前記ハウジングに挿入された状態で前記ハウジングの内壁に対して圧入される圧入部と、当該コンタクトが前記ハウジングに挿入される方向と平行な方向である前後方向において前記圧入部に対してずれた位置に設けられて前記ハウジングの内壁に係合する係合部と、が設けられ、
前記ハウジングには、当該ハウジングの前記前後方向における一方の端部であって前記コンタクトが挿入される開口が設けられた端部である挿入端部と、当該ハウジングの内壁の一部として設けられて前記圧入部が圧入される圧入壁部と、当該ハウジングの内壁の一部として設けられるとともに前記前後方向において前記圧入壁部に対してずれた位置に設けられ、前記係合部と係合して前記係合部を保持する係合保持部と、が設けられ、
前記係合保持部は、前記ハウジングにおいて、前記圧入壁部に対して前記前後方向における前記挿入端部側にずれた位置に設けられていることを特徴とする、電気コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載の電気コネクタであって、
前記係合部は、前記圧入部に対して、前記前後方向においてずれた位置に設けられるとともに、前記前後方向に垂直な方向である高さ方向においてもずれた位置に設けられていることを特徴とする、電気コネクタ。
【請求項3】
請求項2に記載の電気コネクタであって、
前記係合部と前記圧入部とは、前記コンタクトにおいて、前記高さ方向の両側のうちの一方側であって同じ側に設けられていることを特徴とする、電気コネクタ。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の電気コネクタであって、
前記係合保持部には、前記ハウジングに挿入される前記コンタクトに向かって凸状に突出するように設けられて前記係合部に係合する凸部が設けられていることを特徴とする、電気コネクタ。
【請求項5】
請求項4に記載の電気コネクタであって、
前記凸部は、前記前後方向に沿ってレール状に延びるように設けられていることを特徴とする、電気コネクタ。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の電気コネクタであって、
前記係合部には、前記凸部が嵌り込んで係合する溝部が設けられていることを特徴とする、電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンタクトと、コンタクトが挿入されるとともに挿入されたコンタクトを保持するハウジングと、を備えた電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、コンタクトと、コンタクトが挿入されるとともに挿入されたコンタクトを保持するハウジングと、を備えた電気コネクタが用いられている。このような電気コネクタにおいては、コンタクトにおいて、コンタクトがハウジングに挿入された状態でハウジングの内壁に対して圧入される圧入部が設けられる。コンタクトが圧入部でハウジングに圧入されることで、コンタクトがハウジングに保持される。コンタクトが圧入部でハウジングに圧入されるように構成された電気コネクタとして、例えば、特許文献1に開示されたものが知られている。
【0003】
特許文献1においては、ベースコネクタ1として構成された電気コネクタが開示されている。特許文献1に開示された電気コネクタは、コンタクトであるブレードコンタクト3と、ブレードコンタクト3が挿入されてブレードコンタクト3を保持するハウジングであるベースハウジング1hとを備えている。そして、ブレードコンタクト3には、ブレードコンタクト3がベースハウジング1hに挿入された状態でベースハウジング1hの内壁に対して圧入される圧入部33が設けられている。
【0004】
コンタクトがハウジングに圧入されて挿入される際には、コンタクトの圧入部とコンタクトが圧入されるハウジングの内壁との間で生じる荷重により、コンタクトをハウジングに挿入する際のコンタクトの姿勢が傾き易くなる。そこで、特許文献1の電気コネクタにおいては、ブレードコンタクト3をベースハウジング1hに挿入する際のブレードコンタクト3の姿勢が傾き易くなることを抑制するため、ブレードコンタクト3には、圧入部33に加えて、更に、ベースハウジング1hに挿入される固定アーム34が設けられている。ブレードコンタクト3において、固定アーム34は、圧入部33に対してブレードコンタクト3の高さ方向において対向して設けられており、圧入部33と固定アーム34とは、連結脚35で連結されている。このため、ブレードコンタクト3において、圧入部33と固定アーム34とは、ブレードコンタクト3の高さ方向において、ベースハウジング1hの内壁を挟み込むことが可能な空間を介して並んで設けられている。そして、ベースハウジング1hにおいては、圧入部33が圧入される固定穴121と、固定アーム34が挿入される固定穴122とが設けられている。ベースハウジング1hにおいて、固定穴121と固定穴122とは、ベースハウジング1hの高さ方向において並んで設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された電気コネクタにおいては、ブレードコンタクト3において、圧入部33に対して高さ方向において対向する固定アーム34が設けられている。これにより、特許文献1の電気コネクタにおいては、ベースハウジング1hにブレードコンタクト3が圧入されて挿入される際にブレードコンタクト3の姿勢が傾いてしまうことが抑制される。しかし、圧入部33と固定アーム34とが、高さ方向において、ベースハウジング1hの内壁を挟み込むことが可能な空間を介して並んで設けられるため、ブレードコンタクト3の高さ方向の寸法が大きくなってしまう。このため、特許文献1の電気コネクタにおいては、ブレードコンタクト3の高さ方向の寸法が大きくなってしまい、電気コネクタの高さを低くして低背化を図ることが難しいという問題がある。
【0007】
そして、ブレードコンタクト3が挿入されるベースハウジング1hにおいては、圧入部33が圧入される固定穴121と、固定アーム34が挿入される固定穴122とが、高さ方向において並んで設けられる。このため、ベースハウジング1hの高さ方向の寸法が大きくなってしまうという問題がある。さらに、ベースハウジング1hにおいては、ブレードコンタクト3の圧入部33が固定穴121に圧入される際にベースハウジング1hに生じる荷重に耐えることができる構造である必要がある。このため、ベースハウジング1hにおいては、高さ方向に並んだ固定穴121と固定穴122との間の内壁の厚みが大きく確保される必要がある。これにより、ベースハウジング1hの高さ方向の寸法がさらに大きくなってしまう。したがって、特許文献1に開示された電気コネクタにおいては、電気コネクタの高さを低くして低背化を図ることが難しいという問題がある。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みることにより、コンタクトがハウジングに圧入されて挿入される際にコンタクトの姿勢が傾いてしまうことを抑制できるとともに、電気コネクタの高さを低くして低背化を図ることができる、電気コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記課題を解決するための本発明のある局面に係る電気コネクタは、コンタクトと、前記コンタクトが挿入されるとともに挿入された当該コンタクトを保持するハウジングと、を備え、前記コンタクトには、当該コンタクトが前記ハウジングに挿入された状態で前記ハウジングの内壁に対して圧入される圧入部と、当該コンタクトが前記ハウジングに挿入される方向と平行な方向である前後方向において前記圧入部に対してずれた位置に設けられて前記ハウジングの内壁に係合する係合部と、が設けられ、前記ハウジングには、当該ハウジングの前記前後方向における一方の端部であって前記コンタクトが挿入される開口が設けられた端部である挿入端部と、当該ハウジングの内壁の一部として設けられて前記圧入部が圧入される圧入壁部と、当該ハウジングの内壁の一部として設けられるとともに前記前後方向において前記圧入壁部に対してずれた位置に設けられ、前記係合部と係合して前記係合部を保持する係合保持部と、が設けられ、前記係合保持部は、前記ハウジングにおいて、前記圧入壁部に対して前記前後方向における前記挿入端部側にずれた位置に設けられていることを特徴とする。
【0010】
この構成によると、コンタクトには、ハウジングの内壁に圧入される圧入部とともに、ハウジングの内壁に係合する係合部が設けられる。そして、コンタクトがハウジングに挿入される際には、圧入部がハウジングの内壁の一部の圧入壁部に圧入され、係合部がハウジングの内壁の一部の係合保持部と係合してハウジングに保持される。このため、コンタクトがハウジングに圧入されて挿入される際には、コンタクトは、圧入部がハウジングの圧入壁部に圧入されるとともに、係合部がハウジングの係合保持部に係合して保持されるため、コンタクトの姿勢が傾いてしまうことが抑制される。よって、上記の構成によると、コンタクトがハウジングに圧入されて挿入される際にコンタクトの姿勢が傾いてしまうことを抑制できる電気コネクタを提供することができる。
【0011】
また、上記の構成によると、コンタクトにおいては、圧入部と係合部とが、コンタクトの挿入方向と平行な前後方向にずれた位置に設けられ、ハウジングにおいても、圧入部が圧入される圧入壁部と、係合部と係合して係合部を保持する係合保持部とが、前後方向にずれた位置に設けられている。そして、係合保持部は、ハウジングにおいて、圧入壁部に対して前後方向における挿入端部側にずれた位置に設けられている。このため、ハウジングにおいて、圧入部が圧入される圧入壁部と、係合部と係合して係合部を保持する係合保持部とを、ハウジングの高さ方向において並んで配置されることがない位置に設けることができる。したがって、ハウジングの高さ方向の寸法が大きくなってしまうことを抑制することができる。これにより、電気コネクタの高さを低くして低背化を図ることができる。また、ハウジングにおいて圧入壁部と係合保持部とが高さ方向において並ぶことの無い位置に設けられるため、圧入壁部が設けられるハウジングの壁部の部分において、圧入部から圧入壁部に作用する荷重に耐えることができる厚みを確保しても、ハウジングの高さ寸法が大きくなってしまうことを抑制することができる。よって、電気コネクタの高さを低くして低背化を図ることができる。
【0012】
したがって、上記の構成によると、コンタクトがハウジングに圧入されて挿入される際にコンタクトの姿勢が傾いてしまうことを抑制できるとともに、電気コネクタの高さを低くして低背化を図ることができる、電気コネクタを提供することができる。
【0013】
(2)前記係合部は、前記圧入部に対して、前記前後方向においてずれた位置に設けられるとともに、前記前後方向に垂直な方向である高さ方向においてもずれた位置に設けられていてもよい。
【0014】
電気コネクタが相手側の接続対象である相手側電気コネクタと接続される際には、電気コネクタと相手側電気コネクタとは、ハウジングへのコンタクトの挿入方向と平行な前後方向に沿って接続される。そして、電気コネクタと相手側コネクタとが接続されると、コンタクトは、相手側電気コネクタにおける相手側コンタクトに対して、前後方向に沿って接続されて、電気的に接続される。そして、相手側コンタクトと接続されたコンタクトにおいては、前後方向に沿って電気が流れることになる。すなわち、コンタクトにおける電気の通電経路は、前後方向に沿って形成されることになる。上記の構成によると、係合部は、圧入部に対して、前後方向にずれるとともに高さ方向においてもずれた位置に設けられる。このため、係合部をコンタクトにおける電気の通電経路からはずれた位置に容易に配置することができる。これにより、コンタクトにおいて係合部が設けられる部分に断面積が小さくなる部分が形成される場合であっても、コンタクトにおける電気の通電経路が狭くなってしまうことを防止することができる。よって、コンタクトに大きな電流が流される場合であっても、コンタクトの通電経路の断面積を小さくしてしまうことなく、電気コネクタの低背化に対応できる係合部を設けることができる。
【0015】
(3)前記係合部と前記圧入部とは、前記コンタクトにおいて、前記高さ方向の両側のうちの一方側であって同じ側に設けられていてもよい。
【0016】
この構成によると、係合部と圧入部とが、コンタクトの高さ方向における同じ側に設けられる。このため、ハウジングにおいても、圧入壁部が設けられる部分と、係合保持部が設けられる部分とが、ハウジングの高さ方向における同じ側に設けられる。これにより、圧入壁部が設けられる部分と、係合保持部が設けられる部分とが、ハウジングの高さ方向における反対側に設けられる場合に比して、ハウジングの高さ方向の寸法を小さくすることができる。このため、さらに、電気コネクタの高さを低くして低背化を図ることができる。そして、上記の構成によると、ハウジングにおいて、圧入壁部が設けられる部分と、係合保持部が設けられる部分とが、ハウジングの高さ方向における一方の同じ側に設けられる。このため、ハウジングの高さ方向における他方の側の壁部において圧入部からの圧入による荷重が作用しないことから、ハウジングの高さ方向における他方の側の壁部の厚みを薄くすることができる。これにより、さらに、電気コネクタの高さを低くして低背化を図ることができる。例えば、コンタクトが板状のブレードコンタクトとして構成される場合であれば、ハウジングの高さ方向における他方の側の壁部の厚みをコンタクトの厚みよりも薄くすることができる。
【0017】
(4)前記係合保持部には、前記ハウジングに挿入される前記コンタクトに向かって凸状に突出するように設けられて前記係合部に係合する凸部が設けられていてもよい。
【0018】
この構成によると、コンタクトに向かって突出して係合部に係合する凸部が設けられた簡素な構造で、係合部と係合して係合部を保持する係合保持部を構成することができる。また、ハウジングにおいて凸部を形成する簡素な構造で係合保持部を設けることができるため、ハウジングを成形するための金型を製作し易く、係合保持部が設けられたハウジングを容易に成形することができる。
【0019】
(5)前記凸部は、前記前後方向に沿ってレール状に延びるように設けられていてもよい。
【0020】
この構成によると、係合保持部の凸部が前後方向に沿ったレール状に延びるため、ハウジングの係合保持部とコンタクトの係合部とを前後方向に亘って安定した状態で係合させることができる。また、係合保持部の凸部は、前後方向にレール状に延びて設けられるため、係合保持部の凸部が、ハウジングの高さ方向の寸法の増大を招いてしまうことも防止でき、電気コネクタの低背化の効果を阻害することなく係合保持部を設けることができる。
【0021】
(6)前記係合部には、前記凸部が嵌り込んで係合する溝部が設けられていてもよい。
【0022】
この構成によると、ハウジングの係合保持部には凸部が設けられ、コンタクトの係合部には凸部が嵌り込んで係合する溝部が設けられる。このため、ハウジングに凸部を設けてコンタクトに溝部を設けた簡素な構造で、係合保持部と係合部とを構成することができる。また、上記の構成によると、凸状の形状であっても成形が容易な樹脂材料で構成されるハウジングにおいて凸部を設け、凸状の形状に比して溝状の形状の成形の方が容易な金属材料で構成されるコンタクトにおいて溝部が設けられる。このため、係合保持部と係合部とが凸部と溝部とで構成された電気コネクタを容易に成形することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、コンタクトがハウジングに圧入されて挿入される際にコンタクトの姿勢が傾いてしまうことを抑制できるとともに、電気コネクタの高さを低くして低背化を図ることができる、電気コネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る電気コネクタと相手側の接続対象である相手側電気コネクタとを示す斜視図であって、
図1(A)は、電気コネクタと相手側電気コネクタとが接続された状態を示す図であり、
図1(B)は、電気コネクタと相手側電気コネクタとが接続される前の状態を示す図である。
【
図2】電気コネクタと相手側電気コネクタとが接続された状態を示す図であって、
図2(A)は、電気コネクタ及び相手側電気コネクタを上方から見た図であり、
図2(B)は、
図2(A)のA-A線矢視位置での断面図である。
【
図5】電気コネクタを示す図であって、
図5(A)は、電気コネクタの平面図であり、
図5(B)は、電気コネクタの正面図である。
【
図6】電気コネクタを示す図であって、
図6(A)は、電気コネクタの背面図であり、
図6(B)は、電気コネクタの断面図であって、
図5(A)のB-B線矢視位置での断面図である。
【
図8】コンタクトを示す図であって、
図8(A)は、コンタクトの平面図であってコンタクトの向きを回転させた状態で示す図であり、
図8(B)は、コンタクトの正面図であり、
図8(C)は、コンタクトの側面図である。
【
図9】電気コネクタのハウジングを示す図であって、
図9(A)は、ハウジングの平面図であり、
図9(B)は、ハウジングの正面図である。
【
図10】ハウジングを示す図であって、
図10(A)は、ハウジングの背面図であり、
図10(B)は、ハウジングの断面図であって、
図9(B)のC-C線矢視位置での断面図である。
【
図11】
図11(A)は、第1の変形例に係る電気コネクタの背面図であり、
図11(B)は、第2の変形例に係る電気コネクタの背面図である。
【
図12】第3の変形例に係る電気コネクタの背面図である。
【
図13】
図13(A)は、第4の変形例に係る電気コネクタの背面図であり、
図13(B)は、第4の変形例に係る電気コネクタのハウジングの背面図である。
【
図14】第4の変形例に係る電気コネクタのコンタクトを示す図であって、
図14(A)は、第4の変形例に係るコンタクトの平面図であってコンタクトの向きを回転させた状態で示す図であり、
図14(B)は、第4の変形例に係るコンタクトの正面図であり、第14(C)は、第4の変形例に係るコンタクトの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は、コンタクトと、コンタクトが挿入されるとともに挿入されたコンタクトを保持する保持するハウジングと、を備えた電気コネクタとして、種々の用途に広く適用することができるものである。
【0026】
[電気コネクタの概略構成]
図1は、本発明の一実施の形態に係る電気コネクタ1と相手側の接続対象である相手側電気コネクタ100とを示す斜視図であって、
図1(A)は、電気コネクタ1と相手側電気コネクタ100とが接続された状態を示す図であり、
図1(B)は、電気コネクタ1と相手側電気コネクタ100とが接続される前の状態を示す図である。
図2は、電気コネクタ1と相手側電気コネクタ100とが接続された状態を示す図であって、
図2(A)は、電気コネクタ1及び相手側電気コネクタ100を上方から見た図であり、
図2(B)は、
図2(A)のA-A線矢視位置での断面図である。
図3は、電気コネクタ1の斜視図である。
図4は、電気コネクタ1の分解斜視図である。
【0027】
図1乃至
図4を参照して、本実施形態の電気コネクタ1は、複数のコンタクト11と、複数のコンタクト11が挿入されるとともに挿入された複数のコンタクト11を保持するハウジング12と、一対の固定タブ13と、を備えて構成されている。本実施形態では、ハウジング12に挿入されて保持される複数のコンタクト11として2つのコンタクト11が備えられた電気コネクタ1の形態を例示している。なお、電気コネクタ1において備えられるコンタクト11の数は、2つに限られなくてもよく、1つ又は3つ以上の種々の数であってもよい。
【0028】
本実施形態の電気コネクタ1は、図示を省略した基板に対して実装されて接続される電気コネクタとして設けられている。電気コネクタ1が基板に実装される際には、電気コネクタ1における各コンタクト11がはんだ付けによって基板に対して電気的及び機械的に接続される。また、電気コネクタ1における一対のタブ13は、金属材料で形成されており、ハウジング12に圧入されてハウジング12に固定される。電気コネクタ1が基板に実装される際には、タブ13がはんだ付けによって基板に対して固定される。
【0029】
電気コネクタ1は、基板(図示省略)に実装された状態で、接続対象である相手側電気コネクタ100に対して嵌合によって接続されるように構成されている。相手側電気コネクタ100は、複数の電線101に接続されている。基板に実装された電気コネクタ1と電線101に接続された相手側電気コネクタ100とが接続されることで、基板と電線101とが電気的に接続される。なお、
図1及び
図2では、相手側電気コネクタ100に接続される電線101については、相手側電気コネクタ100に接続される部分だけを模式的に図示している。
【0030】
電気コネクタ1が接続される相手側の接続対象である相手側電気コネクタ100は、相手側ハウジング102と、相手側ハウジング102に保持される複数の相手側コンタクト103と、を有している。相手側ハウジング102は、電気コネクタ1のハウジング12と嵌合することでハウジング12に接続されるように構成されている。なお、相手側ハウジング102は、長手方向を有しており、相手側ハウジング102の長手方向における一方の端部側の部分が、電気コネクタ1のハウジング12に対して嵌り込んで嵌合する嵌合部102aを構成している。また、相手側ハウジング102には、相手側コンタクト103が挿入されるとともに挿入された相手側コンタクト103を保持するコンタクト保持孔102bが複数設けられている。複数のコンタクト保持孔102bのそれぞれは、相手側ハウジング102の長手方向に沿って相手側ハウジング102を貫通して設けられている。
【0031】
複数の相手側コンタクト103のそれぞれは、電線101に対して圧着されて接続されるとともに、電気コネクタ1における複数のコンタクト11のそれぞれと電気的に接続されるように構成されている。相手側コンタクト103は、電線101の端部に圧着されて電線101に接続された状態で、相手側ハウジング102のコンタクト保持孔102bに挿入されて相手側ハウジング102に保持される。相手側コンタクト103が挿入されて保持されるコンタクト保持孔102bは、相手側ハウジング102を貫通して嵌合部102aの先端部において開口している。そして、電気コネクタ1と相手側電気コネクタ100とが嵌合して接続されるときには、嵌合部102aが電気コネクタ1のハウジング12に嵌り込んで嵌合し、電気コネクタ1のコンタクト11が、嵌合部102aの先端部で開口したコンタクト保持孔102bに挿入される。コンタクト保持孔102bに挿入されたコンタクト11が、コンタクト保持孔102b内で保持された相手側コンタクト103と接触することで、電気コネクタ1のコンタクト11と相手側電気コネクタ100の相手側コンタクト103とが電気的に接続される。
【0032】
以下、本実施形態の電気コネクタ1のさらに詳細な構成について説明する。なお、以下の説明では、
図1乃至
図4および後述の図面において両端矢印X1~X3で示すように、電気コネクタ1における前後方向X1、高さ方向X2、および幅方向X3を定義する。前後方向X1は、電気コネクタ1においてコンタクト11がハウジング12に挿入される方向と平行な方向として構成される。また、前後方向X1は、電気コネクタ1と相手側電気コネクタ100とが嵌合して接続する方向に平行な方向も構成している。高さ方向X2および幅方向X3は、前後方向X1に垂直な方向として構成され、高さ方向X2と幅方向X3とは互い垂直な方向として構成される。なお、本実施形態では、幅方向X3は、ハウジング12に保持される複数のコンタクト11がハウジング12において並んで配置される方向として構成されている。
【0033】
[コンタクト]
図5は、電気コネクタ1を示す図であって、
図5(A)は、電気コネクタ1の平面図であり、
図5(B)は、電気コネクタ1の正面図である。
図6は、電気コネクタ1を示す図であって、
図6(A)は、電気コネクタ1の背面図であり、
図6(B)は、電気コネクタ1の断面図であって、
図5(A)のB-B線矢視位置での断面図である。
図7は、電気コネクタ1のコンタクト11の斜視図である。
図8は、コンタクト11を示す図であって、
図8(A)は、コンタクト11の平面図であってコンタクト11の向きを回転させた状態で示す図であり、
図8(B)は、コンタクト11の正面図であり、
図8(C)は、コンタクト11の側面図である。なお、
図7及び
図8は、複数のコンタクト11のうちの1つのコンタクト11を拡大して示している。
【0034】
図1乃至
図8を参照して、コンタクト11は、電気コネクタ1においては、複数備えられており、本実施形態では、2つのコンタクト11を備えた電気コネクタ1の形態を例示している。複数のコンタクト11のそれぞれは、導電性を有する金属材料で形成されており、基板(図示省略)と相手側電気コネクタ100の相手側コンタクト103とを電気的に接続する部材として設けられ、ハウジング12に挿入されてハウジング12に保持されるように構成されている。なお、コンタクト11は、ハウジング12に対して、前後方向X1に沿って挿入されて保持される。すなわち、コンタクト11がハウジング12に挿入される方向は前後方向X1と平行に設定されている。また、複数のコンタクト11は、その長手方向が前後方向X1に沿って互いに平行に延びた状態で、ハウジング12に保持される。そして、コンタクト11は、電気コネクタ1が基板(図示省略)に実装される際に、はんだ付けによって基板に対して電気的に接続されるように構成されている。また、コンタクト11は、電気コネクタ1と相手側電気コネクタ100とが接続された際に、相手側電気コネクタ100の相手側コンタクト103と接触して相手側コンタクト103と基板(図示省略)とを電気的に接続するように構成されている。
【0035】
図2乃至
図8を参照して、複数のコンタクト11のそれぞれは、略長方形の板状の基本外形を有するとともに前後方向X1に沿って細長く板状に延びる板状本体部14を有しており、いわゆるブレードコンタクトとして構成されている。そして、コンタクト11には、板状本体部14と一体に設けられた基板接続部15、コンタクト接続部16、圧入部17、および係合部18が設けられている。
【0036】
基板接続部15は、コンタクト11において、基板(図示省略)に対して接続される部分として設けられている。コンタクト11がハウジング12に保持された状態で基板接続部15が基板に対してはんだ付けされることで、コンタクト11が基板に対して電気的に接続されることになる。基板接続部15は、前後方向X1に追って細長く板状に延びる板状本体部14における前後方向X1の一方の端部側において、高さ方向X2の一方に短く突出して設けられている。コンタクト11は、基板接続部15がハウジング12から高さ方向X2の一方で露出した状態で、ハウジング12に保持される。
【0037】
コンタクト接続部16は、コンタクト11の前後方向X1における一方の端部側と反対側の他方の端部側の部分として設けられている。すなわち、コンタクト接続部16は、コンタクト11の前後方向X1における基板接続部15が設けられる側と反対側の端部側の部分として設けられている。また、コンタクト接続部16は、コンタクト11がハウジング12に挿入される際の先端の端部側の部分として設けられている。そして、コンタクト接続部16は、相手側電気コネクタ100の相手側コンタクト103に対して接続される部分として設けられている。
【0038】
コンタクト接続部16は、板状本体部14と一体に設けられており、コンタクト11がハウジング12に挿入される際の先端の端部側で前後方向X1に沿って板状に延びる部分として設けられている。そして、コンタクト接続部16は、電気コネクタ1と相手側電気コネクタ100とが接続された際に、相手側電気コネクタ100の相手側ハウジング102の嵌合部102aに対してコンタクト保持孔102bにおいて挿入され、コンタクト保持孔102b内において、相手側コンタクト103と接触して電気的に接続されるように構成されている。
【0039】
圧入部17は、コンタクト11がハウジング12に挿入された状態で、後述するハウジング12の内壁20に対して圧入される部分として設けられている。圧入部17は、板状本体部14と一体に設けられており、板状本体部14における高さ方向X2の両側のうちの一方側に設けられている。そして、圧入部17は、板状本体部14における高さ方向X2の両側のうちの一方側であって、板状本体部14から基板接続部15が短く突出する側と反対側に設けられている。また、圧入部17には、板状本体部14から高さ方向X2における一方側に突出する圧入突起17aが設けられている。圧入部17において、圧入突起17aは、複数設けられており、本実施形態では2つ設けられている。圧入部17における2つの圧入突起17aは、前後方向X1に沿って並んで設けられている。
【0040】
係合部18は、コンタクト11がハウジング12に挿入された状態で後述のハウジング12の内壁20に対して係合する部分として設けられている。係合部18は、板状本体部14と一体に設けられており、板状本体部14における高さ方向X2の両側のうちの一方側に設けられている。そして、係合部18は、板状本体部14における高さ方向X2の両側のうちの一方側であって、板状本体部14から基板接続部15が短く突出する側と反対側に設けられている。このため、係合部18と圧入部17とは、コンタクト11において、高さ方向X2の両側のうちの一方側であって同じ側に設けられている。
【0041】
また、ハウジング12の内壁20に係合するように構成された係合部18は、コンタクト11において、前後方向X1において圧入部17に対してずれた位置に設けられている。すなわち、係合部18は、前後方向X1において圧入部17に対して離間した位置に設けられている。このため、コンタクト11を高さ方向X2の一方側から高さ方向X2に沿って見た状態において、圧入部17と係合部18とは、互いに重ならない位置で、前後方向X1にずれて離間した位置に設けられている。さらに、コンタクト11を幅方向X3から見た状態においても、圧入部17と係合部18とは、互いに重ならない位置で、前後方向X1にずれて離間した位置に設けられている。
【0042】
また、コンタクト11において、圧入部17に対して前後方向X1にずれた位置に設けられる係合部18は、圧入部17に対して、前後方向X1におけるコンタクト接続部16側と反対側にずれた位置に設けられている。このため、板状本体部14に一体に設けられる係合部18、圧入部17、及びコンタクト接続部16は、コンタクト11の前後方向X1における一方の端部側から他方の端部側にかけて、係合部18、圧入部17、及びコンタクト接続部16の順番で並んで設けられている。コンタクト11は、前後方向X1における他方の端部側のコンタクト接続部16側からハウジング12に対して挿入される。このため、係合部18は、コンタクト11において、圧入部17に対して、コンタクト11がハウジング12に挿入される端部側であるコンタクト接続部16側とは反対側にずれた位置に設けられている。
【0043】
また、コンタクト11において、係合部18は、圧入部17に対して、前後方向X1においてずれた位置に設けられるとともに、前後方向X1に垂直な方向である高さ方向X2においてもずれた位置に設けられている。すなわち、係合部18は、前後方向X1に加えて高さ方向X2においても圧入部17に対して離間した位置に設けられている。このため、コンタクト11をコンタクト接続部16側から前後方向X1に沿って見た状態において、圧入部17と係合部18とは、互いに重ならない位置で、高さ方向X2にずれて離間した位置に設けられている。さらに、コンタクト11を幅方向X3から見た状態においても、圧入部17と係合部18とは、互いに重ならない位置で、高さ方向X2にずれて離間した位置に設けられている。また、係合部18は、圧入部17よりも、板状本体部14から高さ方向X2の一方側にさらに突出するように離間した位置に設けられている。すなわち、コンタクト11の板状本体部14における高さ方向X2の両側のうちの一方側であって同じ側に設けられた係合部18と圧入部17とにおいては、係合部18が、圧入部17よりも高さ方向X2の一方側に向かって板状本体部14からより大きく離間した位置で、圧入部17に対して高さ方向X2にずれた位置に設けられている。
【0044】
また、係合部18には、後述のハウジング12の内壁20に設けられた係合保持部25の凸部25aが嵌り込んで係合する溝部18aが設けられている。コンタクト11がハウジング12に挿入される際には、係合部18の溝部18aに対して、後述のハウジング12の係合保持部25の凸部25aが嵌り込むことで、係合部18がハウジング12の内壁20に係合する。溝部18aは、一対で設けられており、係合部18において、幅方向X3の両側にそれぞれ設けられている。係合部18において幅方向X3の両側に設けられた一対の溝部18aのそれぞれは、幅方向X3の内側に向かって凹み形成されており、前後方向X1に沿って溝状に延びるように設けられている。また、係合部18において幅方向X3の両側に設けられた一対の溝部18aは、高さ方向X2において互いにずれた位置に設けられている。溝部18aは、例えば、コンタクト11を構成する板状の素材に対してプレス金型のパンチが押し込まれるプレス成形によって形成される。
【0045】
[ハウジング]
図9は、電気コネクタ1のハウジング12を示す図であって、
図9(A)は、ハウジング12の平面図であり、
図9(B)は、ハウジング12の正面図である。
図10は、ハウジング12を示す図であって、
図10(A)は、ハウジング12の背面図であり、
図10(B)は、ハウジング12の断面図であって、
図9(B)のC-C線矢視位置での断面図である。
【0046】
図1乃至
図6、
図9、及び
図10を参照して、ハウジング12は、複数のコンタクト11が挿入されるとともに挿入された複数のコンタクト11を保持するように構成されている。そして、複数のコンタクト11を保持したハウジング12は、相手側コネクタ100の相手側ハウジング112に対して嵌合して接続されるように構成されている。また、ハウジング12は、絶縁性を有する樹脂材料で形成されている。
【0047】
ハウジング12は、略矩形断面で略角筒状に延びる基本外形を有する筒状本体部19を有しており、筒状本体部19の内側には、ハウジング12の内壁20が設けられている。ハウジング12の筒状本体部19は、前後方向X1に沿って略角筒状に延びるように設けられており、ハウジング12の外壁を構成している。ハウジング12の内壁20は、筒状本体部19の内側の壁部であって筒状本体部19の内側で筒状本体部19と一体に形成された壁部として設けられている。
【0048】
ハウジング12の内壁20には、コンタクト11がハウジング12に対して前後方向X1に沿って挿入される際にハウジング12の内側でコンタクト11が挿入されて保持されるコンタクト挿入孔21が設けられている。すなわち、ハウジング12の内壁20は、ハウジング12の内側においてコンタクト11が挿入されるコンタクト挿入孔21を区画している。コンタクト挿入孔21は、複数のコンタクト11に対応して複数設けられており、本実施形態では、2つのコンタクト挿入孔21がハウジング12の内壁20に設けられている。2つのコンタクト挿入孔21は、幅方向X3に並んで設けられており、各コンタクト挿入孔21は、各コンタクト11が前後方向X1に沿って挿入されるように構成されている。
【0049】
ここで、ハウジング12の構成について、更に詳しく説明する。
図1乃至
図6、
図9、及び
図10を参照して、ハウジング12には、挿入端部22、接続端部23、圧入壁部24、及び係合保持部25が設けられている。
【0050】
ハウジング12の挿入端部22は、ハウジング12の前後方向X1における一方の端部であってコンタクト11が挿入される開口22aが設けられた端部として構成されている。本実施形態では、挿入端部22は、筒状本体部19の前後方向X1における一方の端部として設けられている。挿入端部22には、複数のコンタクト11がそれぞれ挿入される複数の開口22aが設けられている。挿入端部22に設けられた複数の開口22aのそれぞれは、ハウジング12の内壁に設けられた複数のコンタクト挿入孔21のそれぞれと連通している。ハウジング12の挿入端部22の開口22aからハウジング12に挿入されるコンタクト11は、開口22aからコンタクト挿入孔21へと挿入される。
【0051】
ハウジング12の接続端部23は、ハウジング12において、電気コネクタ1の相手側の接続対象である相手側電気コネクタ100の相手側ハウジング102に対して嵌合によって接続される端部として構成されている。接続端部23は、ハウジング12の前後方向X1における挿入端部22とは反対側の端部として設けられている。本実施形態では、接続端部23は、筒状本体部19の前後方向X1における開口22a側と反対側の端部として設けられている。接続端部23には、相手側電気コネクタ100の相手側ハウジング102が嵌合する嵌合孔23aが開口している。接続端部23で開口する嵌合孔23aの内側では、コンタクト挿入孔21に挿入されて保持されたコンタクト11のコンタクト接続部16が配置されている。電気コネクタ1と相手側電気コネクタ100との接続の際には、ハウジング102に対して接続端部23側から相手側ハウジング102の嵌合部102aが嵌合して接続される。ハウジング12に相手側ハウジング102が嵌合すると、ハウジング12の嵌合孔23aの内側で、ハウジング12に保持されたコンタクト11と相手側ハウジング102に保持された相手側コンタクト103とが接触し、コンタクト11と相手側コンタクト102とが電気的に接続される。
【0052】
圧入壁部24は、ハウジング12の内壁20の一部として設けられ、コンタクト11がハウジング12に挿入された際にコンタクト11の圧入部17が圧入される壁部として設けられている。圧入壁部24は、コンタクト挿入孔21における高さ方向X2の一方側の領域の一部を区画する位置に設けられている。コンタクト11がハウジング12に対して挿入端部22から挿入されると、コンタクト11のコンタクト接続部16と板状本体部14とが、前後方向X1に沿ってコンタクト挿入孔21に挿入される。そして、コンタクト11がハウジング12の奥側まで挿入されると、板状本体部14における高さ方向X2の一方側に設けられた圧入部17が、圧入壁部24に対して圧入される。このとき、圧入部17の圧入突起17aが、コンタクト挿入孔21の一部を区画する壁部である圧入壁部24に対して食い込むようにして圧入される。
【0053】
係合保持部25は、ハウジング12の内壁20の一部として設けられ、コンタクト11がハウジング12に挿入された際にコンタクト11の係合部18と係合して係合部18を保持する壁部として設けられている。係合保持部25は、ハウジング12の内部において、挿入端部22の開口22aからコンタクト挿入孔21へと至る領域における高さ方向X2の一方側に設けられている。また、係合保持部25は、ハウジング12に挿入されたコンタクト11の係合部18を幅方向X3の両側から挟み込む位置で係合部18に係合するように設けられている。
【0054】
また、ハウジング12に挿入されたコンタクト11の係合部18に係合して係合部18を保持するように構成された係合保持部25は、ハウジング12において、前後方向X1において圧入壁部24に対してずれた位置に設けられている。すなわち、係合保持部25は、前後方向X1において圧入壁部24に対して離間した位置に設けられている。このため、
図6(B)及び
図10(B)に示すような幅方向X3に垂直な断面でハウジング12を見た状態において、圧入壁部24と係合保持部25とは、互いに重ならない位置で、前後方向X1にずれて離間した位置に設けられている。
【0055】
また、ハウジング12において、圧入壁部24に対して前後方向X1にずれた位置に設けられる係合保持部25は、圧入壁部24に対して、前後方向X1における挿入端部22側にずれた位置に設けられている。このため、ハウジング12の内側において、圧入壁部24は、係合保持部25に対して、前後方向X1における接続端部23側にずれて離間した位置に設けられ、係合保持部25は、圧入壁部24に対して、前後方向X1における挿入端部22側にずれて離間した位置に設けられている。
【0056】
また、ハウジング12において、係合保持部25は、圧入壁部24に対して、前後方向X1においてずれた位置に設けられるとともに、前後方向X1に垂直な方向である高さ方向X2においてもずれた位置に設けられている。すなわち、係合保持部25は、前後方向X1に加えて高さ方向X2においても圧入壁部24に対して離間した位置に設けられている。このため、
図10(A)に示すようにハウジング12を挿入端部22側から前後方向X1に沿って見た状態において、圧入壁部24と係合保持部25とは、互いに重ならない位置で、高さ方向X2にずれて離間した位置に設けられている。
【0057】
また、係合保持部25には、ハウジング12に挿入されるコンタクト11に向かって突出するように設けられてコンタクト11の係合部18の溝部18aに係合する凸部25aが設けられている。コンタクト11がハウジング12に挿入される際には、係合保持部25の凸部25aが、係合部18の溝部18aに嵌り込むことで、係合保持部25が係合部18に係合する。凸部25aは、1つのコンタクト11に対して一対で対応して設けられており、一対の凸部25aが、ハウジング12に挿入されるコンタクト11に向かって幅方向X3の両側から突出するように設けられている。ハウジング12に挿入されるコンタクト11に向かって幅方向X3の両側から突出してコンタクト11の係合部18に係合する一対の凸部25aのそれぞれは、前後方向X1に沿ってレール状に延びるように設けられている。また、コンタクト11に対して幅方向X3の両側から突出して係合する一対の凸部25aは、コンタクト11の係合部18において幅方向X3の両側に設けられた一対の溝部18aに対応して、ハウジング12の高さ方向X2において互いにずれた位置に設けられている。
【0058】
[電気コネクタの作動]
次に、上述した電気コネクタ1の作動について説明する。まず、ハウジング12にコンタクト11が挿入されてコンタクト11がハウジング12に保持される際の電気コネクタ1の作動について説明する。
図4乃至
図6を参照して、ハウジング12にコンタクト11が挿入される際には、コンタクト11は、前後方向X1におけるコンタクト接続部16側の端部からハウジング12に対して挿入される。また、コンタクト11は、ハウジング12の挿入端部22の開口22aからハウジング12に挿入され、開口22aと連通するハウジング12の内側のコンタクト挿入孔21へと挿入される。
【0059】
図5及び
図6を参照して、コンタクト11がハウジング12に対して挿入端部22の開口22aから挿入されると、コンタクト11のコンタクト接続部16と板状本体部14とが、前後方向X1に沿ってコンタクト挿入孔21に挿入される。そして、コンタクト11がハウジング12の奥側まで挿入されると、板状本体部14における高さ方向X2の一方側に設けられた圧入部17が、圧入壁部24に対して圧入される。このとき、圧入部17の圧入突起17aが、圧入壁部24に対して食い込むようにして圧入される。さらに、コンタクト11がコンタクト挿入孔21に挿入されて、圧入部17が圧入壁部24に圧入される際には、コンタクト11の係合部18の溝部18aに対して、ハウジング12の係合保持部25の凸部25aが前後方向X1に沿ってスライドしながら嵌り込むようにして係合する。コンタクト11がハウジング12の奥側まで挿入され、圧入部17が圧入壁部24に圧入されるとともに、係合部18が係合保持部25に係合した状態となることで、コンタクト11のハウジング12への挿入動作が完了する。ハウジング12に挿入されたコンタクト11は、圧入部17が圧入壁部24に圧入されるとともに係合部18が係合保持部25に係合した状態で、ハウジング12に保持される。
【0060】
コンタクト11がハウジング12に挿入された状態の電気コネクタ1は、基板(図示省略)に対して接続される。電気コネクタ1は、コンタクト11の基板接続部15において基板に対してはんだ付けされることで、基板に対して電気的に接続される。基板に対して接続された電気コネクタ1に対しては、電線101に接続された状態の相手側電気コネクタ100が接続される。電気コネクタ1と相手側電気コネクタ100との接続の際には、相手側電気コネクタ100の相手側ハウジング102が電気コネクタ1のハウジング12に嵌合して接続される。相手側ハウジング102とハウジング12とが嵌合した状態で、相手側ハウジング102に保持された相手側コンタクト103とハウジング12に保持されたコンタクト11とが接触して電気的に接続される。これにより、電気コネクタ1と相手側電気コネクタ100との接続動作が完了する。
【0061】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態の電気コネクタ1によると、コンタクト11には、ハウジング12の内壁20に圧入される圧入部17とともに、ハウジング12の内壁20に係合する係合部18が設けられる。そして、コンタクト11がハウジング12に挿入される際には、圧入部17がハウジング12の内壁20の一部の圧入壁部24に圧入され、係合部18がハウジング12の内壁20の一部の係合保持部25と係合してハウジング12に保持される。このため、コンタクト11がハウジング12に圧入されて挿入される際には、コンタクト11は、圧入部17がハウジング12の圧入壁部24に圧入されるとともに、係合部18がハウジング12の係合保持部25に係合して保持されるため、コンタクト11の姿勢が傾いてしまうことが抑制される。よって、本実施形態によると、コンタクト11がハウジング12に圧入されて挿入される際にコンタクト11の姿勢が傾いてしまうことを抑制できる電気コネクタ1を提供することができる。
【0062】
また、本実施形態によると、コンタクト11においては、圧入部17と係合部18とが、コンタクト11の挿入方向と平行な前後方向X1にずれた位置に設けられ、ハウジング12においても、圧入部17が圧入される圧入壁部24と、係合部18と係合して係合部18を保持する係合保持部25とが、前後方向X1にずれた位置に設けられている。そして、係合保持部25は、ハウジング12において、圧入壁部24に対して前後方向X1における挿入端部22側にずれた位置に設けられている。このため、ハウジング12において、圧入部17が圧入される圧入壁部24と、係合部18と係合して係合部18を保持する係合保持部25とを、ハウジング12の高さ方向X2において並んで配置されることがない位置に設けることができる。したがって、ハウジング12の高さ方向X2の寸法が大きくなってしまうことを抑制することができる。これにより、電気コネクタ1の高さを低くして低背化を図ることができる。また、ハウジング12において圧入壁部24と係合保持部25とが高さ方向において並ぶことの無い位置に設けられるため、圧入壁部24が設けられるハウジング12の壁部の部分において、圧入部17から圧入壁部24に作用する荷重に耐えることができる厚みを確保しても、ハウジング12の高さ寸法が大きくなってしまうことを抑制することができる。よって、電気コネクタ1の高さを低くして低背化を図ることができる。
【0063】
したがって、本実施形態によると、コンタクト11がハウジング12に圧入されて挿入される際にコンタクト11の姿勢が傾いてしまうことを抑制できるとともに、電気コネクタ1の高さを低くして低背化を図ることができる、電気コネクタ1を提供することができる。
【0064】
電気コネクタ1が相手側電気コネクタ100と接続される際には、電気コネクタ1と相手側電気コネクタ100とは、ハウジング12へのコンタクト11の挿入方向と平行な前後方向X1に沿って接続される。そして、電気コネクタ1と相手側コネクタ100とが接続されると、コンタクト11は、相手側電気コネクタ100における相手側コンタクト103に対して、前後方向X1に沿って接続されて、電気的に接続される。そして、相手側コンタクト103と接続されたコンタクト11においては、前後方向X1に沿って電気が流れることになる。すなわち、コンタクト11における電気の通電経路は、前後方向X1に沿って形成されることになる。本実施形態によると、係合部18は、圧入部17に対して、前後方向X1にずれるとともに高さ方向X2においてもずれた位置に設けられる。このため、係合部18をコンタクト11における電気の通電経路からはずれた位置に容易に配置することができる。これにより、コンタクト11において係合部18が設けられる部分に断面積が小さくなる部分が形成される場合であっても、コンタクト11における電気の通電経路が狭くなってしまうことを防止することができる。よって、コンタクト11に大きな電流が流される場合であっても、コンタクト11の通電経路の断面積を小さくしてしまうことなく、電気コネクタ1の低背化に対応できる係合部18を設けることができる。
【0065】
また、本実施形態によると、係合部18と圧入部17とが、コンタクト11の高さ方向X2における同じ側に設けられる。このため、ハウジング12においても、圧入壁部24が設けられる部分と、係合保持部25が設けられる部分とが、ハウジング12の高さ方向X2における同じ側に設けられる。これにより、圧入壁部24が設けられる部分と、係合保持部25が設けられる部分とが、ハウジング12の高さ方向X2における反対側に設けられる場合に比して、ハウジング12の高さ方向X2の寸法を小さくすることができる。このため、さらに、電気コネクタ1の高さを低くして低背化を図ることができる。そして、本実施形態によると、ハウジング12において、圧入壁部24が設けられる部分と、係合保持部25が設けられる部分とが、ハウジング12の高さ方向X2における一方の同じ側に設けられる。このため、ハウジング12の高さ方向X2における他方の側の壁部において圧入部17からの圧入による荷重が作用しないことから、ハウジング12の高さ方向X2における他方の側の壁部の厚みを薄くすることができる。すなわち、
図5、
図6、
図9、及び
図10を参照して、ハウジング12の筒状本体部19の高さ方向X2の両側の壁部のうち、圧入壁部24と係合保持部25とが設けられる一方の側と反対側である他方の側の壁部19aの厚みを薄くすることができる。これにより、さらに、電気コネクタ1の高さを低くして低背化を図ることができる。また、本実施形態のようにコンタクト11が板状のブレードコンタクトとして構成される場合は、ハウジング12の高さ方向X2における他方の側の壁部19aの厚みをコンタクト11の厚みよりも薄くすることができる。
【0066】
また、本実施形態によると、コンタクト11に向かって突出して係合部18に係合する凸部25aが設けられた簡素な構造で、係合部18と係合して係合部18を保持する係合保持部25を構成することができる。また、ハウジング12において凸部25aを形成する簡素な構造で係合保持部25を設けることができるため、ハウジング12を成形するための金型を製作し易く、係合保持部25が設けられたハウジング12を容易に成形することができる。
【0067】
また、本実施形態によると、係合保持部25の凸部25aが前後方向X1に沿ったレール状に延びるため、ハウジング12の係合保持部25とコンタクト11の係合部18とを前後方向X1に亘って安定した状態で係合させることができる。また、係合保持部25の凸部25aは、前後方向X1にレール状に延びて設けられるため、係合保持部25の凸部25aが、ハウジング12の高さ方向X2の寸法の増大を招いてしまうことも防止でき、電気コネクタ1の低背化の効果を阻害することなく係合保持部25を設けることができる。
【0068】
また、本実施形態によると、ハウジング12の係合保持部25には凸部25aが設けられ、コンタクト11の係合部18には凸部25aが嵌り込んで係合する溝部18aが設けられる。このため、ハウジング12に凸部25aを設けてコンタクト11に溝部18aを設けた簡素な構造で、係合保持部25と係合部18とを構成することができる。また、本実施形態によると、凸状の形状であっても成形が容易な樹脂材料で構成されるハウジング12において凸部25aを設け、凸状の形状に比して溝状の形状の成形の方が容易な金属材料で構成されるコンタクト11において溝部18aが設けられる。このため、係合保持部25と係合部18とが凸部25aと溝部18aとで構成された電気コネクタ1を容易に成形することができる。
【0069】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、次のように変更して実施してもよい。
【0070】
(1)前述の実施形態では、コンタクト11が、板状に形成された板状本体部14を有するブレードコンタクトとして構成される形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。コンタクト11が、板状以外の形状に形成された本体部を有するコンタクトとして構成される形態が実施されてもよい。例えば、コンタクト11が、筒状に形成された本体部を有するコンタクトとして構成される形態が実施されてもよい。
【0071】
(2)前述の実施形態では、コンタクト11において、係合部18が圧入部17に対して前後方向X1においてずれた位置に設けられるとともに、高さ方向X2においてもずれた位置に設けられた形態を例示したが、この通りでなくてもよい。コンタクト11において、係合部18が圧入部17に対して前後方向X1においてずれた位置に設けられるとともに、高さ方向X2ではなく幅方向X3においてずれた位置に設けられた形態が実施されてもよい。
【0072】
(3)コンタクト11の係合部18及びハウジング12の係合保持部25の形態については、前述の実施形態で例示した形態に限られなくてもよく、種々変更されて実施されてもよい。以下、コンタクト11の係合部18及びハウジング12の係合保持部25に関する変形例としての第1乃至第4の変形例に係る電気コネクタ(1a、1b、1c、1d)について説明する。なお、以下の変形例の説明においては、前述の実施形態と異なる点について説明し、前述の実施形態と同様の構成或いは対応する構成については、図面において同一の符号を付すことで、或いは同一の符号を引用することで、重複する説明を省略する。
【0073】
図11(A)は、第1の変形例に係る電気コネクタ1aの背面図である。第1の変形例の電気コネクタ1aにおいては、コンタクト11の係合部18における一対の溝部18aと、ハウジング12の係合保持部25において1つのコンタクト11に対応して設けられる一対の凸部25aとについて、高さ方向X2における位置構成が前述の実施形態とは異なっている。前述の実施形態の電気コネクタ1では、係合部18において幅方向X3の両側に設けられた一対の溝部18aは、高さ方向X2において互いにずれた位置に設けられている。しかし、第1の変形例の電気コネクタ1aにおいては、係合部18において幅方向X3の両側に設けられた一対の溝部18aは、コンタクト11の高さ方向X2において同じ位置に設けられている。そして、第1の変形例の電気コネクタ1aにおいては、一対の溝部18aに対応して設けられる係合保持部25の一対の凸部25aも、ハウジング12の高さ方向X2において同じ位置に設けられている。このように、係合部18における一対の溝部18aがコンタクト11の高さ方向X2における同じ位置に設けられ、係合保持部25において1つのコンタクト11に対応して設けられる一対の凸部25aがハウジング12の高さ方向X2における同じ位置に設けられる形態が実施されてもよい。
【0074】
図11(B)は、第2の変形例に係る電気コネクタ1bの背面図である。第2の変形例の電気コネクタ1bにおいては、コンタクト11の係合部18における溝部18aの数と、ハウジング12の係合保持部25において1つのコンタクト11に対応して設けられる凸部25aの数とが、前述の実施形態とは異なっている。前述の実施形態の電気コネクタ1では、係合部18において設けられる溝部18aは、幅方向X3の両側に設けられており、一対で設けられている。しかし、第2の変形例の電気コネクタ1bにおいては、溝部18aは、係合部18において1つのみ設けられており、幅方向X3の片側にのみ設けられている。そして、第2の変形例の電気コネクタ1bにおいては、溝部18aに対応して設けられる係合保持部25の凸部25aも、1つのコンタクト11に対して1つのみ対応して設けられている。このように、係合部18における溝部18aが1つのみ設けられ、係合保持部25において1つのコンタクト11に対応して設けられる凸部25aも1つのみ設けられる形態が実施されてもよい。
【0075】
図12は、第3の変形例に係る電気コネクタ1cの背面図である。第3の変形例に係る電気コネクタ1cにおいては、コンタクト11の係合部18及びハウジング12の係合保持部25の形態が前述の実施形態の電気コネクタ1とは異なっている。
【0076】
電気コネクタ1cのコンタクト11の係合部18には、ハウジング12の係合保持部25に係合する溝部18a及び突出部26が設けられている。係合部18の溝部18aは、前述の実施形態の電気コネクタ1の溝部18aと同様に、ハウジング12の係合保持部25の凸部25aが嵌り込んで係合するように設けられている。溝部18aは、係合部18において、幅方向X3の一方側に設けられ、幅方向X3に凹むように形成されているとともに、前後方向X1に沿って溝状に延びるように設けられている。係合部18の突出部26は、係合部18において、幅方向X3の他方側に設けられ、幅方向X3の外側に向かって出っ張るように突出して形成されており、前後方向X1に沿ってレール状に延びるように設けられている。また、突出部26は、ハウジング12の係合保持部25における後述の凹部27に嵌り込んで係合するように構成されている。
【0077】
電気コネクタ1cのハウジング12の係合保持部25には、コンタクト11の係合部18に係合する凸部25a及び凹部27が設けられている。凸部25aは、前述の実施形態の電気コネクタ1の凸部25aと同様に、コンタクト11の係合部18の溝部18aに嵌り込んで係合するように設けられている。係合保持部25の凸部25aは、ハウジング12に挿入されるコンタクト11の幅方向X3における一方側からコンタクト11に向かって突出するように形成されており、前後方向X1に沿ってレール状に延びるように設けられている。係合保持部25の凹部27は、コンタクト11の係合部18の突出部26が嵌り込んで係合するように設けられている。凹部27は、ハウジング12に挿入されるコンタクト11の幅方向X3における他方側において幅方向X3に凹むように形成されており、前後方向X1に沿って溝状に延びるように設けられている。
【0078】
電気コネクタ1cにおいては、コンタクト11がハウジング12に挿入された状態では、係合保持部25の凸部25aが係合部18の溝部18aに嵌り込むようにして係合するとともに、係合保持部25の凹部27に係合部18の突出部26が嵌り込んで係合する。このように、コンタクト11の係合部18に溝部18aと突出部26とが設けられ、ハウジング12の係合保持部25に凸部25aと凹部27とが設けられ、溝部18aに凸部25aが嵌り込み、突出部26が凹部27に嵌り込むことで、コンタクト11の係合部18とハウジング12の係合保持部25とが係合する形態が実施されてもよい。
【0079】
図13(A)は、第4の変形例に係る電気コネクタ1dの背面図であり、
図13(B)は、第4の変形例に係る電気コネクタ1dのハウジング12の背面図である。
図14は、第4の変形例に係る電気コネクタ1dのコンタクト11を示す図であって、
図14(A)は、第4の変形例に係るコンタクト11の平面図であってコンタクト11の向きを回転させた状態で示す図であり、
図14(B)は、第4の変形例に係るコンタクト11の正面図であり、第14(C)は、第4の変形例に係るコンタクト11の側面図である。第4の変形例に係る電気コネクタ1dにおいては、コンタクト11の係合部18とハウジング12の係合保持部25とが係合する形態が前述の実施形態の電気コネクタ1とは異なっている。
【0080】
電気コネクタ1dのコンタクト11の係合部18は、コンタクト11において、板状本体部14から高さ方向X2の一方側に向かって板状に突出した部分として設けられている。板状の係合部18は、前述の電気コネクタ1の係合部18と同様に、コンタクト11において、圧入部17に対して、前後方向X1においてずれた位置に設けられるとともに、高さ方向X2においてもずれた位置に設けられている。そして、板状の係合部18は、コンタクト11がハウジング12に挿入された状態でハウジング12の内壁20の係合保持部25によって幅方向X3の両側から挟み込まれるようにして係合保持部25に係合するように構成されている。なお、電気コネクタ1dのコンタクト11の係合部18には、前述の電気コネクタ1のような溝部18aは設けられておらず、係合部18における幅方向X3の両側面は平坦な面として形成されている。
【0081】
電気コネクタ1dのハウジング12の係合保持部25には、コンタクト11の係合部18に対して係合する一対の凸部25aが設けられている。係合保持部25の一対の凸部25aは、ハウジング12に挿入されるコンタクト11の係合部18に対して幅方向X3の両側から短く突出するように設けられている。コンタクト11がハウジング12に挿入される際には、係合保持部25の一対の凸部25aは、板状の係合部18に対して幅方向X3の両側から係合部18に押し付けられるようにして当接する。そして、係合部18に当接する一対の凸部25aは、幅方向X3に圧縮変形されるようにして弾性変形した状態で係合部18を幅方向X3の両側から押圧して挟み込むようにして係合部18に係合する。また、ハウジング12に挿入されるコンタクト11の係合部18に向かって幅方向X3の両側から短く突出してコンタクト11の係合部18を挟み込んで係合部18に係合する一対の凸部25aのそれぞれは、前後方向X1に沿ってレール状に延びるように設けられている。なお、コンタクト11に対して幅方向X3の両側から短く突出して係合する一対の凸部25aは、ハウジング12の高さ方向において同じ位置に設けられている。
【0082】
電気コネクタ1dのように、コンタクト11の係合部18が板状に設けられ、ハウジング12の係合保持部25の一対の凸部25aが、板状の係合部18を幅方向X3の両側から挟み込むようにして係合部18に係合する形態が実施されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、コンタクトと、コンタクトが挿入されるとともに挿入されたコンタクトを保持するハウジングと、を備えた電気コネクタとして、広く適用することができるものである。
【符号の説明】
【0084】
1,1a,1b,1c,1d:電気コネクタ、11:コンタクト、12:ハウジング、17:圧入部、18:係合部、20:内壁、22:挿入端部、24圧入壁部、25:係合保持部、X1:前後方向、X2:高さ方向