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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168486
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】スクロール型圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04C 18/02 20060101AFI20241128BHJP
   F04C 29/02 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
F04C18/02 311Z
F04C29/02 351A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085207
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 洋介
(72)【発明者】
【氏名】本田 和也
(72)【発明者】
【氏名】小林 裕之
(72)【発明者】
【氏名】橋本 友次
(72)【発明者】
【氏名】管原 彬人
(72)【発明者】
【氏名】武藤 圭史朗
【テーマコード(参考)】
3H039
3H129
【Fターム(参考)】
3H039AA02
3H039AA06
3H039AA12
3H039AA13
3H039BB11
3H039BB16
3H039CC02
3H039CC03
3H039CC04
3H039CC12
3H039CC15
3H039CC22
3H039CC27
3H039CC28
3H129AA02
3H129AA15
3H129AA21
3H129AA32
3H129AB03
3H129BB04
3H129BB35
3H129CC02
3H129CC24
3H129CC26
3H129CC45
(57)【要約】
【課題】信頼性に優れたスクロール型圧縮機を提供する。
【解決手段】本発明のスクロール型圧縮機1は、ハウジング6、駆動機構10、第1スクロール30、第2スクロール40及び従動機構20を備えている。ハウジング6には吸入連絡路69が形成されている。また、ハウジング6内には、アキュムレータ15が収容されている。アキュムレータ15は吸入連絡路69と連通している。アキュムレータ15には、吸入連絡路69を通じてハウジング6の外部から冷媒が吸入される。また、アキュムレータ15は、ハウジング6内で回転可能に第1スクロール30に固定されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング、駆動機構、第1スクロール及び第2スクロールを備え、
前記駆動機構、前記第1スクロール及び前記第2スクロールは前記ハウジング内に収容され、
前記第1スクロールと前記第2スクロールとによって、冷媒を圧縮する圧縮室が形成されるスクロール型圧縮機であって、
前記駆動機構は、前記ハウジングに固定されたステータと、筒状をなして前記ステータ内で回転可能なロータとを有し、
前記ハウジング内にはアキュムレータが収容され、
前記ハウジングには、前記ハウジングの外部から潤滑油を含む冷媒を前記アキュムレータに吸入させる吸入連絡路が形成され、
前記アキュムレータは、前記吸入連絡路から吸入した冷媒を気体冷媒と、前記潤滑油を含む液冷媒とに気液分離し、
前記アキュムレータ内の気体冷媒は、吸入路を流通しつつ前記圧縮室に吸入され、
前記アキュムレータは、前記ハウジング内で回転可能に前記第1スクロール、前記第2スクロール又は前記ロータに固定されていることを特徴とするスクロール型圧縮機。
【請求項2】
前記ハウジングには、前記ハウジング内の前記潤滑油を前記アキュムレータ内に流通させる還流路が形成されている請求項1記載のスクロール型圧縮機。
【請求項3】
前記第1スクロールは、前記駆動機構によって駆動軸心周りに回転駆動され、
前記第2スクロールは、前記第1スクロールに対して偏心しつつ従動軸心周りで前記第1スクロール及び従動機構によって回転従動され、
前記第1スクロール及び前記第2スクロールの少なくとも一方には前記吸入路と、前記アキュムレータ内の前記潤滑油を前記圧縮室に供給する供給路とが形成され、
前記供給路は、前記吸入路よりも前記第1スクロール及び前記第2スクロールの径方向の外側で前記アキュムレータ内に連通している請求項1又は2記載のスクロール型圧縮機。
【請求項4】
前記アキュムレータは、前記第1スクロールと前記ロータの内周面とに固定され、
前記第1スクロールは、前記ロータとは非接触である請求項3記載のスクロール型圧縮機。
【請求項5】
前記第1スクロールは前記ロータの内周面に固定され、
前記アキュムレータは、前記第1スクロールに固定されている一方、前記ロータとは非接触である請求項3記載のスクロール型圧縮機。
【請求項6】
前記駆動機構は、前記ロータに固定されて前記ハウジング内で回転可能な駆動軸をさらに有し、
前記第1スクロールは前記ハウジングに固定され、
前記第2スクロールは前記駆動軸と接続され、前記駆動軸の回転によって前記第1スクロールに対して相対的に公転し、
前記アキュムレータは前記ロータに固定され、
前記ロータには前記吸入路が形成され、
前記アキュムレータには、前記アキュムレータの径方向で前記吸入路よりも外側に位置し、前記アキュムレータ内の前記潤滑油を前記圧縮室に向けて流通させる排出通路が形成されている請求項1又は2記載のスクロール型圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスクロール型圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来のスクロール型圧縮機(以下、単に圧縮機という。)が開示されている。この圧縮機は、ハウジング、駆動機構、第1スクロール、第2スクロール及び従動機構を備えている。ハウジングには主フレームが設けられており、この主フレームによって、ハウジング内にはスクロール室と低圧室とが区画されている。スクロール室内には、第1スクロール、第2スクロール及び従動機構が収容されている。低圧室内には駆動機構が収容されている。また、主フレームには、低圧室とスクロール室とを連通する吸入路が形成されている。さらに、ハウジングには、低圧室とハウジングの外部とを連通させる吸入管が設けられている。
【0003】
第1スクロールと第2スクロールとは、スクロール室内で対向して配置されている。これにより、第1スクロールと第2スクロールとは、双方の間に圧縮室を形成している。また、第1スクロールは駆動軸を有している。駆動軸は主フレームに回転可能に支持されつつ低圧室内に延びており、駆動機構に固定されている。従動機構は第1スクロールと第2スクロールとの間に配置されている。
【0004】
この圧縮機では、第1スクロールが駆動機構によって駆動軸心周りに回転駆動され、第2スクロールが第1スクロール及び従動機構によって従動軸心周りで回転従動される。また、吸入管を通じてハウジングの外部から低圧室内に冷媒が吸入され、さらに、この冷媒は吸入路によってスクロール室内に吸入される。そして、この圧縮機では、回転駆動する第1スクロールと回転従動する第2スクロールとによって圧縮室の容積が変化することにより、スクロール室内の冷媒が圧縮室内に吸入されて圧縮される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4-76287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この種の圧縮機は、熱交換器等を有する空調装置に用いられ得る。ここで、このような空調装置では、例えば冷房運転から暖房運転への運転状態の切り替え等を行った際に、熱交換器等に貯留された液冷媒が気相の冷媒である気体冷媒とともにハウジング内に吸入されることが懸念される。そして、このような液冷媒が圧縮室に吸入されることで液圧縮が生じた場合、第1スクロール及び第2スクロールが損傷するおそれがあることから、圧縮機の信頼性が損なわれる。
【0007】
そこで、上記従来の圧縮機にアキュムレータを設けて冷媒を気体冷媒と液冷媒とに気液分離させ、気体冷媒については低圧室から圧縮室に吸入させる一方、液冷媒が圧縮室に吸入されることを防止することが考えられる。
【0008】
しかし、気液分離によってアキュムレータ内に液冷媒が多く貯留された場合、この液冷媒は、アキュムレータに吸入された気体冷媒によってアキュムレータ内で撥ね上げられてしまう。これにより、アキュムレータでの気液分離が不十分となり、アキュムレータ内の液冷媒の一部が気体冷媒とともに低圧室、ひいては圧縮室に吸入されるおそれがある。
【0009】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、信頼性に優れたスクロール型圧縮機を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のスクロール型圧縮機は、ハウジング、駆動機構、第1スクロール及び第2スクロールを備え、
前記駆動機構、前記第1スクロール及び前記第2スクロールは前記ハウジング内に収容され、
前記第1スクロールと前記第2スクロールとによって、冷媒を圧縮する圧縮室が形成されるスクロール型圧縮機であって、
前記駆動機構は、前記ハウジングに固定されたステータと、筒状をなして前記ステータ内で回転可能なロータとを有し、
前記ハウジング内にはアキュムレータが収容され、
前記ハウジングには、前記ハウジングの外部から潤滑油を含む冷媒を前記アキュムレータに吸入させる吸入連絡路が形成され、
前記アキュムレータは、前記吸入連絡路から吸入した冷媒を気体冷媒と、前記潤滑油を含む液冷媒とに気液分離し、
前記アキュムレータ内の気体冷媒は、吸入路を流通しつつ前記圧縮室に吸入され、
前記アキュムレータは、前記ハウジング内で回転可能に前記第1スクロール、前記第2スクロール及び前記ロータの少なくとも一つに固定されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の圧縮機では、ハウジング内に駆動機構、第1スクロール及び第2スクロールが収容されている他、アキュムレータが収容されている。また、ハウジングには吸入連絡路が形成されており、この吸入連絡路を通じてアキュムレータにはハウジングの外部から冷媒が吸入される。ここで、この冷媒には潤滑油が含まれている。
【0012】
また、この圧縮機では、アキュムレータが第1スクロール、第2スクロール及びロータに少なくとも一つに固定されており、ハウジング内で回転可能である。これにより、アキュムレータに吸入された冷媒は、回転するアキュムレータの遠心力の影響を受けることで気体冷媒と液冷媒とに好適に気液分離される。そして、アキュムレータ内の気体冷媒は吸入路を通じて圧縮室に吸入され、圧縮室で圧縮される。これに対し、気体冷媒から分離した液冷媒は、遠心力によってアキュムレータの径方向の外側でアキュムレータ内に留まり易くなる。
【0013】
こうして、この圧縮機では、たとえアキュムレータ内に液冷媒が多く存在する場合であっても、アキュムレータ内の液冷媒が圧縮室に吸入されることを防止できる。この結果、この圧縮機では、圧縮室において液圧縮が生じ難い。
【0014】
また、圧縮室に吸入される気体冷媒には潤滑油の一部が含まれ得ることから、この潤滑油によって圧縮室内を潤滑することができる。このため、この圧縮機では、第1スクロール及び第2スクロールが摩耗し難い。
【0015】
したがって、本発明のスクロール型圧縮機は信頼性に優れている。
【0016】
ハウジングには、ハウジング内の潤滑油をアキュムレータ内に流通させる還流路が形成されていることが好ましい。
【0017】
この場合には、還流路を通じてハウジング内の潤滑油をアキュムレータ内に好適に流通させることができる。これにより、ハウジング内の潤滑油についても、アキュムレータを経由して圧縮室内に好適に還流させることができるため、圧縮室内を好適に潤滑することができる。
【0018】
本発明の圧縮機において、第1スクロールは、駆動機構によって駆動軸心周りに回転駆動され得る。また、第2スクロールは、第1スクロールに対して偏心しつつ従動軸心周りで第1スクロール及び従動機構によって回転従動され得る。さらに、第1スクロール及び第2スクロールの少なくとも一方には吸入路と、アキュムレータ内の潤滑油を圧縮室に供給する供給路とが形成され得る。そして、供給路は、吸入路よりも第1スクロール及び第2スクロールの径方向の外側でアキュムレータ内に連通していることが好ましい。
【0019】
この場合には、第1スクロールが回転駆動し、第2スクロールが回転従動することから、本発明の圧縮機は、第1スクロール及び第2スクロールの双方が回転する両回転式スクロール型圧縮機となる。
【0020】
ここで、アキュムレータ内の潤滑油についても、回転するアキュムレータの遠心力の影響によって、アキュムレータの径方向の外側、すなわち、第1スクロール及び第2スクロールの径方向の外側に集まり易くなる。この点、この圧縮機では、第1スクロール及び第2スクロールの少なくとも一方に供給路が形成されており、この供給路は、吸入路よりも第1スクロール及び第2スクロールの径方向の外側でアキュムレータ内に連通している。このため、アキュムレータ内の潤滑油を供給路を通じて圧縮室に好適に供給することができる。これにより、潤滑油によって圧縮室内をより好適に潤滑することができる。
【0021】
また、この圧縮機では、潤滑油とともにアキュムレータ内の液冷媒の一部が不可避的に供給路を流通し得ることになる。しかし、この液冷媒については、圧縮室に向かう過程で第1スクロール及び第2スクロールの熱によって気化させることができる。これにより、アキュムレータ内の液冷媒が供給路を通じて圧縮室内に吸入されることを防止できる。
【0022】
また、この圧縮機では、吸入路が供給路よりも第1スクロール及び第2スクロールの径方向の内側に位置することになるため、吸入路を通じてアキュムレータ内の液冷媒が圧縮室内に吸入されることを好適に防止できる。
【0023】
また、この場合、アキュムレータは、第1スクロールとロータの内周面とに固定され得る。そして、第1スクロールは、ロータとは非接触であることが好ましい。
【0024】
アキュムレータが第1スクロールとロータとの両方に固定されることにより、第1スクロールとロータとが非接触であっても、ロータの回転がアキュムレータを介して第1スクロールに伝達されることで第1スクロールは回転駆動することになる。つまり、この圧縮機では、ロータと第1スクロールとを動力伝達可能に直接接続する必要がないため、その分、第1スクロールの形状に関する設計の自由度を高くすることができる。
【0025】
また、第1スクロールはロータの内周面に固定され得る。そして、アキュムレータは、第1スクロールに固定されている一方、ロータとは非接触であることも好ましい。
【0026】
この場合には、ロータの動力をアキュムレータに伝達するに当たって、ロータとアキュムレータとを直接接続させる必要がない。このため、この圧縮機では、アキュムレータの形状に関する設計の自由度を高くすることができることから、アキュムレータの容積を好適に確保し易くなる。
【0027】
また、本発明の圧縮機において、駆動機構は、ロータに固定されてハウジング内で回転可能な駆動軸をさらに有し得る。第1スクロールはハウジングに固定され得る。第2スクロールは駆動軸と接続され、駆動軸の回転によって第1スクロールに対して相対的に公転し得る。アキュムレータはロータに固定され得る。ロータには吸入路が形成され得る。そして、アキュムレータには、アキュムレータの径方向で吸入路よりも外側に位置し、アキュムレータ内の潤滑油を圧縮室に向けて流通させる排出通路が形成されていることも好ましい。
【0028】
この場合には、アキュムレータ内の潤滑油について、吸入路を流通させることによって気体冷媒とともに圧縮室に吸入させることができる他に、排出通路を流通させることによっても圧縮室に吸入させることができる。ここで、排出通路は、アキュムレータの径方向で吸入路よりも外側に位置しているため、アキュムレータ内の潤滑油は排出通路を好適に流通することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明のスクロール型圧縮機は信頼性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、実施例1のスクロール型圧縮機の断面図である。
図2図2は、実施例1のスクロール型圧縮機が用いられた空調装置において、冷房運転が行われる状態を示す模式図である。
図3図3は、実施例1のスクロール型圧縮機が用いられた空調装置において、暖房運転が行われる状態を示す模式図である。
図4図4は、実施例2のスクロール型圧縮機の断面図である。
図5図5は、実施例3のスクロール型圧縮機の断面図である。
図6図6は、実施例4のスクロール型圧縮機の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を具体化した実施例1~4を図面を参照しつつ説明する。実施例1~4の圧縮機1~4は、図示しない車両に搭載されている。
【0032】
(実施例1)
図1に示すように、実施例1の圧縮機1は、具体的には、両回転式スクロール型圧縮機である。この圧縮機1は、ハウジング6、駆動機構10、駆動スクロール30、従動スクロール40、従動機構20及びアキュムレータ15を備えている。駆動スクロール30は、本発明における「第1スクロール」の一例である。また、従動スクロール40は、本発明における「第2スクロール」の一例である。
【0033】
本実施例では、図1に示す実線矢印によって、圧縮機1の前後方向及び上下方向を規定している。前後方向と上下方向とは直交している。また、本実施例の圧縮機1は、自己の下方が車両の下方となる状態で車両に搭載されている。なお、前後方向及び上下方向は説明の便宜のための一例であり、圧縮機1は搭載される車両に応じて、自己の姿勢を適宜変更可能である。図4図6に示す圧縮機2~4についても同様である。
【0034】
図1に示すように、ハウジング6は、ハウジング本体60と、ハウジングカバー61と、アタッチメント62とによって構成されている。ハウジング本体60及びハウジングカバー61はアルミニウム合金製である。一方、アタッチメント62は樹脂製である。なお、アタッチメント62をアルミニウム合金製としても良い。
【0035】
ハウジング本体60は、外周壁60a及び後壁60bを有する有底筒状部材である。外周壁60aは、駆動軸心O1を中心とする円筒状をなしている。駆動軸心O1は前後方向と平行である。
【0036】
後壁60bは、ハウジング本体60の後端に位置している。後壁60bは、駆動軸心O1と直交して略円形平板状に延びている。後壁60bの外周縁は、外周壁60aの後端に接続している。後壁60bの内面中央には第1支持部64が形成されている。第1支持部64は、駆動軸心O1を中心とする略円柱状をなしており、後壁60bの内面中央から前方、すなわち、後述するスクロール室65内に突出している。
【0037】
また、第1支持部64にはピン孔54が形成されている。ピン孔54は第1支持部64の前端面に開口しつつ、第1支持部64内を後方に向かって直線状に延びている。ここで、ピン孔54は第1支持部64を前後方向に貫通していない。
【0038】
さらに、第1支持部64には、吸入連絡路69と還流路8とが形成されている。吸入連絡路69は、通路本体69aと径路69bとで構成されている。通路本体69aは、後壁60bに開口しつつ、第1支持部64内を後壁60b側から前方に向かって駆動軸心O1方向に延びている。ここで、通路本体69aはピン孔54とは前後方向に離隔しており、ピン孔54とは非連通となっている。
【0039】
また、通路本体69aには配管H7が接続されている。これにより、吸入連絡路69は配管H7を通じてハウジング6の外部、すなわち圧縮機1の外部に接続している。径路69bは、第1支持部64において、還流路8よりも前方であって、第1支持部64の前後方向の略中央となる個所に形成されている。径路69bは通路本体69aと接続している。径路69bは第1支持部64の内部を通路本体69a側から第1支持部64の径方向に延びており、第1支持部64の外周面に開口している。
【0040】
還流路8は、第1支持部64の後端に形成されており、径路69bとは異なる位置で通路本体69aと接続している。これにより、還流路8は吸入連絡路69と連通している。径路69bと同様、還流路8は、第1支持部64の内部を通路本体69a側から第1支持部64の径方向に延びており、第1支持部64の外周面に開口している。
【0041】
ハウジングカバー61は、ハウジング本体60の前方に配置されている。ハウジングカバー61は、駆動軸心O1と直交して略円形平板状に延びている。ハウジングカバー61は、その外周縁がハウジング本体60の外周壁60aの前端に当接した状態で図示しないボルトによってハウジング本体60に固定されている。これにより、ハウジングカバー61は、ハウジング本体60を前方から塞いでいる。こうして、ハウジング本体60内にスクロール室65が形成されている。
【0042】
ハウジングカバー61の内面中央には、第2支持部67が形成されている。第2支持部67は、駆動軸心O1を中心とする円筒状をなしており、ハウジングカバー61の内面中央から後方に突出している。第2支持部67には、ニードルベアリング14の外輪が嵌入している。
【0043】
また、ハウジングカバー61には、吐出連絡口68が形成されている。吐出連絡口68は、ハウジングカバー61の中央に位置しており、ハウジングカバー61を駆動軸心O1方向に貫通している。吐出連絡口68は、後述する吐出室13と連通している。また、吐出連絡口68には配管H1が接続されている。これにより、吐出連絡口68は配管H1を通じて圧縮機1の外部に接続している。
【0044】
アタッチメント62はスクロール室65内に配置されており、ハウジング本体60の後壁60bに取り付けられている。アタッチメント62は、駆動軸心O1と直交して延びる板状に形成されている。アタッチメント62には、第1案内路62a及び第2案内路62bが形成されている。
【0045】
第1案内路62aは、アタッチメント62の後面、すなわちアタッチメント62における後壁60b側の面に凹設されている。第1案内路62aは、アタッチメント62が後壁60bに取り付けられることにより、ハウジング本体60の径方向に延びている。そして、第1案内路62aは、上端で還流路8と連通している。
【0046】
第2案内路62bは、アタッチメント62の下部に形成されている。第2案内路62bは、前端がアタッチメント62におけるスクロール室65側の面に開口しており、後端が第1案内路62aと接続している。これらの第1案内路62a及び第2案内路62bにより、還流路8は、スクロール室65の底部と連通している。なお、ハウジング本体60に対するアタッチメント62の取り付けを省略し、還流路8がスクロール室65内に直接連通する構成としても良い。
【0047】
駆動機構10は具体的には電動モータであり、スクロール室65内に収容されている。これにより、スクロール室65は、駆動機構10を収容するモータ室を兼ねている。駆動機構10は、ステータ17及びロータ11によって構成されている。ステータ17は、ステータコア17a及びコイルエンド17bを有している。ステータコア17aは、駆動軸心O1を中心とする円筒状である。コイルエンド17bは、ステータコア17aに巻回されたコイルの一部によって形成されており、ステータコア17aから駆動軸心O1方向に突出する環状をなしている。ステータ17は、ステータコア17aを外周壁60aの内周面に嵌入することにより、ハウジング本体60に固定されている。
【0048】
ロータ11は、駆動軸心O1周りで円筒状をなしており、ステータ17内に配置されている。詳細な図示を省略するものの、ロータ11は、ステータ17に対応する複数個の永久磁石と、各永久磁石を固定する複数枚の電磁鋼板等とで構成されている。
【0049】
駆動スクロール30はアルミニウム合金製である。駆動スクロール30はスクロール室65内に収容されている。駆動スクロール30は、駆動端板31、駆動周壁32、駆動渦巻体33及びカバー体35を有している。
【0050】
駆動端板31は、駆動軸心O1及び従動軸心O2と直交して略円板状に延びている。ここで、従動軸心O2は、駆動軸心O1に対して偏心しつつ駆動軸心O1と平行に延びている。つまり、従動軸心O2も前後方向に平行である。
【0051】
駆動端板31は、スクロール室65内においてハウジングカバー61と対向する前面311と、前面311の反対側に位置する後面312とを有している。前面311の中央には、ハウジングカバー61に向かって突出する第1ボス34が形成されている。第1ボス34は、駆動軸心O1を中心とする円筒状をなしている。
【0052】
また、駆動端板31には、吐出口38が形成されている。吐出口38は、駆動端板31において第1ボス34内となる個所に配置されており、駆動端板31を前後方向に貫通している。
【0053】
さらに、第1ボス34内において、駆動端板31には、吐出リード弁57及びリテーナ58が固定ボルト59によって固定されている。これにより、吐出リード弁57は吐出口38を開閉可能となっており、また、リテーナ58は、吐出リード弁57の開度を調整可能となっている。
【0054】
駆動周壁32は、駆動軸心O1を中心としつつ駆動軸心O1及び従動軸心O2と平行に延びる円筒状に形成されている。駆動周壁32は、前端が駆動端板31の外周縁と一体をなしており、駆動端板31から後方に向かって円筒状に延びている。
【0055】
駆動渦巻体33は駆動周壁32の内側に配置されている。駆動渦巻体33は駆動端板31と一体をなしており、駆動端板31の後面312から後方、すなわち従動スクロール40に向かって駆動軸心O1及び従動軸心O2と平行に延びている。詳細な図示を省略するものの、駆動渦巻体33は、駆動端板31の中心側を渦巻中心としつつ、渦巻中心から外周に向かって渦巻状に延びている。また、駆動渦巻体33は、渦巻の外周端が駆動周壁32の内周面に接続している。
【0056】
カバー体35は、駆動軸心O1及び従動軸心O2と直交して略円板状に延びている。カバー体35は、駆動端板31及び駆動周壁32と略同径に形成されている。カバー体35は、前面351と後面352とを有している。前面351は、駆動端板31の後面312と前後方向で対向している。後面352は、前面351の反対側に位置している。
【0057】
また、カバー体35には、第2ボス36が形成されている他、吸入路35a及び供給路35bが形成されている。第2ボス36は、後面352の中央に一体に形成されており、後面352から後方に向かって突出している。また、第2ボス36内には、挿通孔350が形成されている。挿通孔350は、第2ボス36内及びカバー体35内を駆動軸心O1方向に貫通している。これにより、第2ボス36は駆動軸心O1を中心とする円筒状をなしている。挿通孔350内には、滑り軸受51が設けられている。なお、滑り軸受51に換えて、玉軸受等を挿通孔350内に設けても良い。
【0058】
吸入路35aは、カバー体35を前後方向に貫通している。供給路35bは、吸入路35aよりもカバー体35の径方向の外側に配置されている。供給路35bは、カバー体35を前後方向に貫通している。ここで、吸入路35aと供給路35bとは互いに非連通となっている。また、吸入路35a及び供給路35bは、それぞれ前面351側の開口部分が後面352側の開口部分に比べてカバー体35の径方向の外側に位置している。つまり、吸入路35a及び供給路35bは、後面352側から前面351側に向かうにつれてカバー体35の径方向の内側から外側へ傾斜するように延びている。
【0059】
また、カバー体35において第2ボス36よりも外周となる個所には、複数のリング22が取り付けられている。各リング22は、前方に臨んだ状態でカバー体35の周方向に等間隔で配置されており、第2ボス36及び挿通孔350を外側から囲っている。なお、本実施例では、リング22の個数は6つとされている。また、図1では6つのリング22のうちの2つを図示している。図4についても同様である。
【0060】
図1に示す従動スクロール40もアルミニウム合金製である。従動スクロール40は、スクロール室65内、より具体的には駆動スクロール30内に収容されている。従動スクロール40は、従動端板41及び従動渦巻体43を有している。
【0061】
従動端板41は、駆動軸心O1及び従動軸心O2と直交して略円板状に延びている。従動端板41は前面411と後面412とを有している。前面411は、駆動スクロール30内において駆動端板31の後面312と対向している。後面412は、前面411の反対側に位置しており、カバー体35の前面351と対向している。
【0062】
従動端板41には、収容部41aが形成されている。収容部41aは従動端板41の後面412から前方に向かって従動軸心O2を中心とする円柱状に凹設されている。収容部41a内にはブッシュ53が設けられている。なお、ブッシュ53は、滑り軸受や玉軸受等を介して収容部41a内に設けられても良い。
【0063】
また、ブッシュ53には従動ピン55が挿通されている。この際、従動ピン55はブッシュ53における中心、すなわち従動軸心O2よりも偏心した位置でブッシュ53に挿通されている。従動ピン55は鉄鋼製であり、円柱状をなしている。従動ピン55は、ブッシュ53、ひいては従動端板41から後方に突出している。
【0064】
さらに、従動端板41において、収容部41aよりも外周側には、後面412から後方に向かって突出した状態で複数の自転阻止ピン21が固定されている。より具体的には、各自転阻止ピン21は、収容部41aよりも外周側であって、それぞれリング22と対向する個所に固定されている。これにより、従動端板41において、各自転阻止ピン21同士は、従動端板41の周方向に等間隔で配置されており、収容部41a及びブッシュ53を外側から囲っている。なお、本実施例では、リング22の個数に対応して自転阻止ピン21の個数は6つとされている。また、図1及び図4では6つの自転阻止ピン21のうちの2つを図示している。
【0065】
図1に示すように、従動渦巻体43は従動端板41と一体をなしており、従動端板41の前面411から前方、すなわち駆動端板31に向かって駆動軸心O1及び従動軸心O2と平行に延びている。詳細な図示を省略するものの、従動渦巻体43は、従動端板41の中心側を渦巻中心としつつ、渦巻中心から外周に向かって渦巻状に延びている。
【0066】
従動機構20は、上述の各自転阻止ピン21と、各リング22とで構成されている。なお、従動機構20を構成する自転阻止ピン21及びリング22の個数は、それぞれ3個以上であればその個数は適宜変更可能である。
【0067】
アキュムレータ15は、外周壁15a及び後壁15bを有する有底筒状部材である。外周壁15aは、駆動軸心O1を中心とする円筒状をなしている。ここで、外周壁15aの外径は、ロータ11の内径とほぼ同径に形成されている。後壁15bは、アキュムレータ15の後端に位置している。後壁15bは、駆動軸心O1と直交して略円形平板状に延びている。後壁15bの外周縁は、外周壁15aの後端に接続している。
【0068】
また、後壁15bの中央には、後壁15bを駆動軸心O1方向に貫通する貫通孔150が形成されている。貫通孔150の内径は、ハウジング本体60の第1支持部64の外径よりも僅かに大径に形成されている。
【0069】
この圧縮機1では、カバー体35の前面351を駆動端板31の後面312に向けた状態としつつ、カバー体35を駆動周壁32の後端に当接させている。そして、この状態で駆動端板31及び駆動周壁32と、カバー体35とが複数のボルト50aによって接続されている。こうして、駆動端板31及び駆動周壁32と、カバー体35とが一体化されている。
【0070】
そして、この圧縮機1では、駆動スクロール30内に従動スクロール40を収容しつつ、駆動渦巻体33と従動渦巻体43とを噛合させている。また、各自転阻止ピン21をそれぞれ各リング22内に進入させている。こうして、駆動スクロール30と従動スクロール40とが前後方向で組み付けられることにより、駆動スクロール30と従動スクロール40とはスクロール圧縮部100を構成している。なお、より詳細には、駆動渦巻体33と従動渦巻体43とを噛合させ、かつ、各自転阻止ピン21を各リング22内に進入させた後に、駆動スクロール30では、各ボルト50aによって、駆動端板31及び駆動周壁32と、カバー体35とを接続している。
【0071】
また、駆動スクロール30と従動スクロール40とが組み付けられることにより、駆動スクロール30と従動スクロール40とによって吸入部30aが形成されている。つまり、駆動渦巻体33及び従動渦巻体43は吸入部30a内に位置している。吸入部30aは、駆動端板31、駆動周壁32及びカバー体35によってスクロール室65から区画されている。
【0072】
また、駆動スクロール30では、カバー体35が駆動軸心O1方向で駆動渦巻体33、従動渦巻体43及び従動端板41よりも後方に位置している。これにより、駆動スクロール30、ひいてはスクロール圧縮部100において、カバー体35は、駆動軸心O1方向で最も後方に位置している。
【0073】
さらに、この圧縮機1では、アキュムレータ15が駆動スクロール30に固定されている。具体的には、アキュムレータ15は、外周壁15aをカバー体35に向けつつ、外周壁15aの前端をカバー体35の後面352に当接させている。そして、この状態でアキュムレータ15は、複数のボルト50bによってカバー体35に固定されている。こうして、アキュムレータ15は駆動スクロール30と一体となっている。
【0074】
また、このようにアキュムレータ15が駆動スクロール30に固定されることより、アキュムレータ15の外周壁15a及び後壁15bと、カバー体35とによってアキュムレータ15の内部に気液分離室16が形成されている。気液分離室16は、吸入路35a及び供給路35bを通じて吸入部30aと連通している。さらに、アキュムレータ15では、外周壁15aがロータ11内に挿通されつつ、ロータ11の内周面に固定されている。つまり、アキュムレータ15は、ロータ11の内側に配置された状態で駆動スクロール30及びロータ11の両方と固定されている。こうして、アキュムレータ15は、ロータ11と一体で回転可能となっており、また、アキュムレータ15の回転によって駆動スクロール30も回転可能となっている。
【0075】
そして、アキュムレータ15は、後壁15bの貫通孔150にハウジング本体60の第1支持部64を挿通させている。これにより、アキュムレータ15は、スクロール室65内に収容されているとともに、気液分離室16内に第1支持部64を進入させた状態で第1支持部64に回転可能に支持されている。また、気液分離室16は、吸入連絡路69及び配管H7を通じて圧縮機1の外部と連通している。さらに、気液分離室16は、吸入連絡路69、還流路8及び第1、2案内路62a、62bを通じてスクロール室65の底部と連通している。
【0076】
また、駆動スクロール30では、滑り軸受51内、つまり第2ボス36内に第1支持部64の前方部分を挿通させている。これにより、カバー体35は滑り軸受51を介して第1支持部64に回転可能に支持されている。
【0077】
さらに、駆動スクロール30では、駆動端板31の第1ボス34がニードルベアリング14の内輪に内嵌されることにより、第1ボス34がニードルベアリング14を介してハウジングカバー61の第2支持部67に回転可能に支持されている。このように、第1ボス34が第2支持部67に支持されることにより、ハウジング6内には、第1ボス34の内周面に囲まれ、かつハウジングカバー61と駆動端板31とに挟まれた空間によって、吐出室13が形成されている。
【0078】
こうして、駆動スクロール30は、第1支持部64と第2支持部67との両方によってハウジング6に駆動軸心O1周りで回転可能に支持されている。
【0079】
一方、従動スクロール40では、従動ピン55が第1支持部64のピン孔54内に挿通される。これにより、従動スクロール40は、従動ピン55によって第1支持部64に従動軸心O2周りで回転可能に支持されている。つまり、駆動スクロール30と異なり、従動スクロール40は、第1支持部64のみによってハウジング6に従動軸心O2周りで回転可能に支持されている。
【0080】
ここで、従動軸心O2は、駆動軸心O1に対して偏心している。このため、従動スクロール40は、ハウジング6に従動軸心O2周りで回転可能に支持されることにより、駆動スクロール30に対して偏心した状態で駆動スクロール30内に収容されている。
【0081】
この圧縮機1は、図2及び図3に示す空調装置200に用いられている。空調装置200は、圧縮機1の他に、凝縮器101、室外熱交換器102、蒸発器103、レシーバ104、第1流路切替弁105、第2流路切替弁106、第1膨張弁107、第2膨張弁108、開閉弁109及び配管H1~H10を有している。第1、2流路切替弁105、106は、具体的には三方弁である。
【0082】
圧縮機1の吐出連絡口68と凝縮器101の流入口101aとは配管H1によって接続されている。凝縮器101の流出口101bと第1流路切替弁105とは配管H2によって接続されている。また、第1流路切替弁105と室外熱交換器102の流入口102aとは配管H3によって接続されている。室外熱交換器102の流出口102bと第2流路切替弁106とは配管H4によって接続されている。
【0083】
また、第2流路切替弁106とレシーバ104とは配管H5によって接続されている。さらに、レシーバ104と蒸発器103の流入口103aとは配管H6によって接続されている。そして、蒸発器103の流出口103bと圧縮機1の吸入連絡路69とは配管H7によって接続されている。
【0084】
さらに、第1流路切替弁105に対しては配管H8の一端が接続されており、配管H8の他端は配管H6に接続されている。また、配管H3に対しては配管H9の一端が接続されており、配管H9の他端は配管H5に接続されている。そして、第2流路切替弁106に対しては配管H10の一端が接続されており、配管H10の他端は配管H7に接続されている。
【0085】
第1膨張弁107は配管H3に設けられている。一方、第2膨張弁108は配管H6に設けられている。また、開閉弁109は配管H9に設けられている。なお、図示を省略するものの、圧縮機1、第1、2流路切替弁105、106、第1、2膨張弁107、108及び開閉弁109は、それぞれ車両に搭載された制御装置(図示略)に接続されている。
【0086】
この空調装置200において冷房運転を行う場合、図2に示すように、第1流路切替弁105は、配管H2と配管H3とを連通し、配管H2、H3と配管H8とを非連通にする。また、第2流路切替弁106は、配管H4と配管H5とを連通し、配管H4、H5と配管H10とを非連通にする。さらに、第1、2膨張弁107、108の開度をそれぞれ調整するとともに、開閉弁109を閉状態とする。なお、冷房運転時には、第1膨張弁107の開度はほぼ最大とする。
【0087】
これにより、空調装置200では、圧縮機1から吐出された冷媒が配管H1、凝縮器101、配管H2及び配管H3の順で流通し、室外熱交換器102に流入する。これにより、冷媒は、室外熱交換器102において、室外熱交換器102の周囲の空気、すなわち車外の空気との熱交換を行う。つまり、冷媒は室外熱交換器102において車外の空気に対して放熱を行うことで冷却される。そして、室外熱交換器102での熱交換を経た冷媒は、室外熱交換器102から流出し、配管H4、配管H5、レシーバ104及び配管H6の順で流通し、蒸発器103に流入する。この際、第2膨張弁108の開度を適宜調整することにより、配管H6から蒸発器103に流入する冷媒の圧力調整を行う。
【0088】
そして、蒸発器103に流入した冷媒は、蒸発器103の周囲の空気と熱交換を行うことにより、蒸発器103の周囲の空気を冷却する。こうして冷却された空気が車両の車室に供給されることにより、車室内の冷房が行われる。そして、蒸発器103での熱交換を経た冷媒は、蒸発器103から流出し、配管H7を流通して圧縮機1に吸入される。なお、冷房運転時には、凝縮器101を冷媒が流通する過程で、凝縮器101の周囲の空気が冷媒との熱交換によって加熱される。しかし、このように加熱された空気は車室に供給されることはない。
【0089】
一方、この空調装置200において暖房運転を行う場合、図3に示すように、第1流路切替弁105は、配管H2と配管H8とを連通し、配管H2、H8と配管H3とを非連通にする。また、第2流路切替弁106は、配管H4と配管H10とを連通し、配管H4、H10と配管H5とを非連通にする。さらに、第1膨張弁107の開度を調整するとともに、開閉弁109を開状態とする。
【0090】
これにより、空調装置200では、圧縮機1から吐出された冷媒が配管H1を経て凝縮器101に流入する。これにより凝縮器101に流入した冷媒は、凝縮器101の周囲の空気と熱交換を行うことにより、凝縮器101の周囲の空気を加熱する。こうして加熱された空気が車両の車室に供給されることによって車室内の暖房が行われる。
【0091】
また、凝縮器101での熱交換を経た冷媒は、凝縮器101から流出し、配管H2、配管H8、配管H6、レシーバ104、配管H5、配管H9及び配管H3の順で流通し、室外熱交換器102に流入する。この際、第1膨張弁107の開度を適宜調整することにより、配管H3から室外熱交換器102に流入する冷媒の圧力調整を行う。そして、室外熱交換器102に流入した冷媒は、車外の空気との熱交換によって加熱される。こうして、室外熱交換器102での熱交換を経た冷媒は、室外熱交換器102から流出し、配管H4、配管H10及び配管H7の順で流通して圧縮機1に吸入される。
【0092】
また、圧縮機1の動作をより具体的に説明すると、図1に示すように、圧縮機1では、駆動機構10のロータ11が回転することにより、スクロール室65内において、アキュムレータ15が駆動軸心O1周りで回転駆動する。また、アキュムレータ15の回転によって駆動スクロール30もスクロール室65内において、駆動軸心O1周りで回転駆動する。つまり、この圧縮機では、ロータ11と駆動スクロール30とは非接触であるものの、アキュムレータ15を通じてロータ11の回転が駆動スクロール30に伝達される。
【0093】
また、アキュムレータ15及び駆動スクロール30の回転に伴い、従動機構20において、各自転阻止ピン21はそれぞれ各リング22の内周面を摺接しつつ、各リング22を各自転阻止ピン21の中心周りで相対的に回転させる。こうして、従動機構20は、従動スクロール40に駆動スクロール30のトルクを伝達する。
【0094】
その結果、従動スクロール40は、従動軸心O2周りで駆動スクロール30及び従動機構20によって回転従動される。この際、従動機構20は、従動スクロール40が自転することを規制する。これにより、従動スクロール40は駆動スクロール30に対して従動軸心O2周りで相対的に公転する。そして、吸入部30a内において駆動渦巻体33及び従動渦巻体43がそれぞれ回転することで、駆動渦巻体33及び従動渦巻体43は、互いに接触する。これにより、駆動渦巻体33及び従動渦巻体43は、双方の間に圧縮室12を形成する。
【0095】
また、駆動スクロール30及び従動スクロール40が回転することにより、図1の破線矢印で示すように、気液分離室16内には、配管H7及び吸入連絡路69を通じて圧縮機1の外部から冷媒が吸入される。ここで、上述のように、空調装置200で冷房運転が行われることにより、室外熱交換器102において冷媒が冷却される。このため、冷房運転時には、室外熱交換器102内で冷媒の一部は液化し、液冷媒として室外熱交換器102内に貯留される。また、空調装置200では、冷房運転時には、室外熱交換器102と圧縮機1とが配管H4、配管H5、レシーバ104、配管H6、蒸発器103及び配管H7を介して接続されるのに対して、暖房運転時には、配管H4、配管H10及び配管H7によって、室外熱交換器102と圧縮機1とが接続される。
【0096】
これにより、空調装置200を冷房運転から暖房運転に切り替えた際には、配管H7及び吸入連絡路69を通じて気液分離室16に吸入される冷媒には、気相の冷媒である気体冷媒だけでなく、室外熱交換器102に貯留された液冷媒も含まれ得る。また、配管H7及び吸入連絡路69を通じて気液分離室16内に吸入される冷媒には、潤滑油18が含まれている。なお、このような冷房運転から暖房運転への切り替えは、例えば、夏季中に冷房運転が行われており、季節が初冬に差し掛かることで暖房運転を行い始める場合の他、夏季に車室の設定温度を誤操作し、一時的に冷房運転から暖房運転に切り替わった場合等が挙げられる。
【0097】
ここで、この圧縮機1では、配管H7及び吸入連絡路69を通じて圧縮機1の外部の冷媒が気液分離室16内に直接吸入される。このため、この圧縮機1では、液冷媒を含め、圧縮機1の外部の冷媒はスクロール室65内には吸入され難くなっている。これにより、スクロール室65内には液冷媒が存在し難くなっている。
【0098】
そして、この圧縮機1では、アキュムレータ15がロータ11によってスクロール室65内で駆動軸心O1周りに回転する。これにより、気液分離室16に吸入された冷媒は、回転するアキュムレータ15の遠心力の影響を受けることで気体冷媒と液冷媒とに好適に気液分離されることになる。こうして、気体冷媒から分離した液冷媒は、遠心力によってアキュムレータ15の径方向の外側、すなわち駆動スクロール30及び従動スクロール40の径方向の外側で気液分離室16内に留まり易くなる。潤滑油18も液冷媒と同様である。
【0099】
また、この圧縮機1では、駆動スクロール30のカバー体35に吸入路35aと供給路35bとが形成されている。このため、気液分離室16内の気体冷媒については、吸入路35aを通じて吸入部30aから圧縮室12に好適に吸入させることが可能となっている。そして、圧縮室12は、駆動スクロール30の回転駆動及び従動スクロール40の回転従動によって、自己の容積を縮小させつつ気体冷媒を圧縮する。こうして、吐出圧力まで圧縮された気体冷媒は、吐出口38から吐出室13に吐出され、さらに、吐出連絡口68に接続された配管H1によって、圧縮機1の外部、すなわち凝縮器101に向けて吐出される。
【0100】
ここで、カバー体35において、吸入路35aは供給路35bに比べて駆動スクロール30の径方向の内側に位置している。これにより、この圧縮機1では、たとえ気液分離室16内に液冷媒が多く存在する場合であっても、気液分離室16内の液冷媒が吸入部30aを経て圧縮室12に吸入されることが防止されている。さらに、吸入路35aが気液分離室16に連通しているため、たとえスクロール室65内に液冷媒が存在していたとしても、このような液冷媒が気液分離室16を経由することなく吸入路35a、ひいては圧縮室12に吸入されることもない。これらのため、この圧縮機1では、圧縮室12において液圧縮が生じ難くなっている。
【0101】
また、吸入路35aを通じて圧縮室12に吸入される気体冷媒には、潤滑油18の一部が含まれる。さらに、供給路35bは、吸入路35aに比べて駆動スクロール30の径方向の外側に位置している。このため、供給路35bは、気液分離室16において、潤滑油18が存在する個所に近い位置に開口することになる。このため、供給路35bを通じて気液分離室16内の潤滑油18が圧縮室12に好適に吸入される。これらのため、この圧縮機1では、潤滑油18によって圧縮室12内を潤滑することができる。このため、この圧縮機では、駆動端板31、駆動渦巻体33、従動端板41及び従動渦巻体43が摩耗し難くなっている。
【0102】
ところで、気液分離室16内の液冷媒の一部についても、潤滑油18とともに供給路35bを流通し得る。しかし、このような液冷媒については、圧縮機1の作動時の駆動スクロール30及び従動スクロール40の熱により、供給路35bを流通する過程で気化される。このため、この圧縮機1では、気液分離室16内の液冷媒が供給路35bを通じて圧縮室12に吸入されることを好適に防止できる。吸入路35aを不可避的に液冷媒が流通した場合についても同様である。
【0103】
したがって、実施例1の圧縮機1は信頼性に優れている。
【0104】
特に、この圧縮機1では、第1支持部64に還流路8が形成されており、この還流路8は、吸入連絡路69を通じて気液分離室16内に連通している。また、還流路8は、アタッチメント62の第1、2案内路62a、62bを通じてスクロール室65の底部と連通している。これにより、この圧縮機1では、スクロール室65の底部に貯留された潤滑油18を第1、2案内路62a、62b、還流路8及び吸入連絡路69を通じて気液分離室16内に流通させることが可能となっている。これにより、このような潤滑油18についても供給路35bを通じて圧縮室12に好適に供給することが可能となっている。これにより、この圧縮機1では、圧縮室12内を好適に潤滑することが可能となっている。
【0105】
また、この圧縮機1では、アキュムレータ15が駆動スクロール30のカバー体35に固定されているとともに、ロータ11の内側に配置されてロータ11の内周面に固定されている。これにより、この圧縮機1では、アキュムレータ15の全体がロータ11の外側に配置されることがない。こうして、この圧縮機1では、ハウジング6が駆動軸心O1方向に長大化することを抑制している。また、この圧縮機1では、アキュムレータ15を通じてロータ11の動力を駆動スクロール30に伝達することが可能であるため、ロータ11と駆動スクロール30とを動力伝達可能に直接接続する必要がない。これにより、この圧縮機1では、駆動スクロール30の設計の自由度を高くすることが可能となっている。この結果、この圧縮機1では、ハウジング6の大径化を可及的に抑制しつつも、駆動スクロール30及び従動スクロール40を大径化することにより、圧縮室12の容積を好適に確保することが可能となっている。
【0106】
(実施例2)
図4に示すように、実施例2の圧縮機2も実施例1の圧縮機1と同様に、両回転式スクロール型圧縮機である。この圧縮機2は、アキュムレータ15に換えてアキュムレータ25を備えている。また、この圧縮機2では、駆動スクロール30のカバー体35に対して、供給路35bに換えて供給路35cが形成されている。供給路35cは、吸入路35aよりもカバー体35の径方向の外側に配置されている。供給路35cは、駆動軸心O1と平行でカバー体35を前後方向に貫通している。
【0107】
アキュムレータ25は、外周壁25a及び後壁25bを有する有底筒状部材である。外周壁25aは、駆動軸心O1を中心とする円筒状をなしている。ここで、外周壁25aの外径は、実施例1の圧縮機1におけるアキュムレータ15の外周壁15aよりも大径に形成されており、カバー体35の外径とほぼ同径に形成されている。後壁25bは、アキュムレータ25の後端に位置しており、駆動軸心O1と直交して略円形平板状に延びている。後壁25bの外周縁は、外周壁25aの後端に接続している。
【0108】
また、後壁25bの中央には、貫通孔250が形成されている。この貫通孔250は、アキュムレータ15における貫通孔150と同様の構成であり、後壁25bを駆動軸心O1方向に貫通している。
【0109】
実施例1の圧縮機と同様、この圧縮機2では、アキュムレータ25が複数のボルト50bによってカバー体35に固定されている。これにより、アキュムレータ25の外周壁25a及び後壁25bと、カバー体35とによってアキュムレータ25の内部に気液分離室26が形成されている。気液分離室26は、吸入路35a及び供給路35cと連通している。
【0110】
アキュムレータ25は、スクロール室65内に収容されつつ、第1支持部64に回転可能に支持されている。こうして、気液分離室26は、吸入連絡路69及び配管H7を通じて圧縮機2の外部と連通している。さらに、気液分離室26は、吸入連絡路69、還流路8及び第1、2案内路62a、62bを通じてスクロール室65の底部と連通している。
【0111】
また、この圧縮機2では、スクロール室65内において、駆動機構10がアキュムレータ25よりも前方に配置されている。そして、駆動スクロール30の駆動周壁32がロータ11内に挿通されつつ、ロータ11の内周面に固定されている。この圧縮機2における他の構成は実施例1の圧縮機1と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0112】
実施例1の圧縮機1と同様、この圧縮機2も空調装置200(図2及び図3参照)に用いられている。そして、この圧縮機2では、ロータ11の回転により、駆動スクロール30及びアキュムレータ25がスクロール室65内において駆動軸心O1周りで回転駆動する。また、図4の破線矢印で示すように、配管H7及び吸入連絡路69を通じて気液分離室26内に冷媒が吸入されて気液分離される。そして、気液分離室26内の気体冷媒及び潤滑油18は、それぞれ吸入路35a及び供給路35cを流通して圧縮室12に吸入される。こうして、この圧縮機2も実施例1の圧縮機1と同様の作用を奏することが可能となっている。
【0113】
特に、この圧縮機2では、駆動周壁32がロータ11の内周面に固定されており、アキュムレータ25は駆動スクロール30のカバー体35に固定されている。これにより、この圧縮機2では、アキュムレータ25をロータ11の内側に配置する必要がないため、その分、アキュムレータ25の設計の自由度が高くなっている。これにより、この圧縮機2では、実施例1の圧縮機1におけるアキュムレータ15に比べてアキュムレータ25を大径化することにより、気液分離室26の容積を好適に確保することが可能となっている。このため、気液分離室26において、液冷媒及び潤滑油18を遠心分離し易くなっている。
【0114】
また、この圧縮機2では、駆動スクロール30を通じてロータ11の動力をアキュムレータ25に伝達することが可能であるため、ロータ11とアキュムレータ25とを動力伝達可能に直接接続する必要がない。この点においても、この圧縮機2では、アキュムレータ25の設計の自由度が高くなっている。
【0115】
(実施例3)
図5に示すように、実施例3の圧縮機3は、ハウジング7と、駆動機構80と、固定スクロール90と、可動スクロール110と、アキュムレータ27とを備えている。固定スクロール90は、本発明における「第1スクロール」の一例である。また、可動スクロール110は、本発明における「第2スクロール」の一例である。
【0116】
ハウジング7は、モータハウジング71と、コンプレッサハウジング72と、固定ブロック73と、アタッチメント62とで構成されている。モータハウジング71は、ハウジング7における後方部分を構成しており、コンプレッサハウジング72は、ハウジング7における前方部分を構成している。
【0117】
モータハウジング71は、後壁71aと第1周壁71bとを有している。後壁71aは、モータハウジング71の後端に位置しており、モータハウジング71の径方向に延びている。第1周壁71bは、後壁71aと接続しており、後壁71aから前方に向かって略円筒状に延びている。これらの後壁71a及び第1周壁71bにより、モータハウジング71は、前方が開口する有底の筒状をなしている。モータハウジング71内には、モータ室75が形成されている。
【0118】
また、モータハウジング71には、支持部71cが形成されている。支持部71cは、後壁71aの中央からモータ室75内に突出している。支持部71cの前端には、後方に向かって凹む凹部710が形成されている。凹部710内には、滑り軸受39が設けられている。
【0119】
さらに、支持部71cには、吸入連絡路76と還流路8aとが形成されている。吸入連絡路76は、通路本体76aと径路76bとで構成されている。通路本体76aは、後壁71aに開口しつつ、支持部71c内を後壁71a側から前方に向かって駆動軸心O3方向に延びている。駆動軸心O3は前後方向と平行である。ここで、通路本体76aは凹部710とは前後方向に離隔しており、凹部710とは非連通となっている。
【0120】
通路本体76aには配管H7が接続されている。これにより、吸入連絡路76は配管H7を通じてハウジング7の外部、すなわち圧縮機3の外部に接続している。
【0121】
径路76bは、支持部71cにおいて、還流路8aよりも前方であって、支持部71cの前後方向の略中央となる個所に形成されている。径路76bは通路本体76aと接続している。径路76bは支持部71cの内部を通路本体76a側から支持部71cの径方向に延びており、支持部71cの外周面に開口している。
【0122】
還流路8aは、支持部71cの後端に形成されており、径路76bとは異なる位置で通路本体76aと接続している。これにより、還流路8aは吸入連絡路76と連通している。径路76bと同様、還流路8aは、支持部71cの内部を通路本体76a側から支持部71cの径方向に延びており、支持部71cの外周面に開口している。
【0123】
コンプレッサハウジング72は、前壁72aと第2周壁72bとを有している。前壁72aは、コンプレッサハウジング72の前端に位置しており、コンプレッサハウジング72の径方向に延びている。第2周壁72bは、前壁72aと接続しており、前壁72aから後方に向かって円筒状に延びている。これらの前壁72a及び第2周壁72bにより、コンプレッサハウジング72は、後方が開口する有底の筒状をなしている。
【0124】
コンプレッサハウジング72には、油分離室72cと、第1吐出凹部72dと、吐出通路72eと、吐出連絡口72fとが形成されている。油分離室72cは、コンプレッサハウジング72内において前方側に位置しており、コンプレッサハウジング72の径方向に延びている。第1吐出凹部72dは、コンプレッサハウジング72内において、油分離室72cよりも後方側に位置しており、油分離室72cに向かって前方に凹む形状をなしている。吐出通路72eは前後方向に延びており、油分離室72cと第1吐出凹部72dとを連通させている。吐出連絡口72fは、油分離室72cの上端と連通しており、コンプレッサハウジング72の外部に向かって開口している。吐出連絡口72fには配管H1が接続されている。これにより、吐出連絡口72fは配管H1を通じて圧縮機3の外部に接続している。
【0125】
油分離室72c内には、分離筒70が固定されている。これにより、分離筒70の外周面と油分離室72cの内周面とによってセパレータが構成されている。また、油分離室72c内において、分離筒70よりも下方側には、フィルタ77が設けられている。
【0126】
固定ブロック73は、モータハウジング71とコンプレッサハウジング72との間に設けられている。そして、モータハウジング71とコンプレッサハウジング72と固定ブロック73とは、コンプレッサハウジング72側から複数のボルト78によって締結されている。こうして、固定ブロック73は、モータハウジング71とコンプレッサハウジング72とに挟持されつつ、モータハウジング71及びコンプレッサハウジング72に固定されている。これにより、固定ブロック73は、前後方向でモータ室75と可動スクロール110との間に位置している。なお、図5では、複数のボルト78のうちの1つのみを図示している。図6についても同様である。また、モータハウジング71とコンプレッサハウジング72と固定ブロック73との固定方法は、適宜設計可能である。
【0127】
固定ブロック73には、後方に向かって突出するボス73aが形成されている。ボス73aの先端には、挿通孔73bが形成されている。また、ボス73a内には、第1ラジアル軸受45と軸封部材29とが設けられている。さらに、固定ブロック73には、連通路73cが形成されている。連通路73cは、固定ブロック73において、ボス73aよりも外側に位置しており、固定ブロック73を前後方向に貫通している。なお、連通路73cの個数は適宜設計可能である。
【0128】
また、固定ブロック73には、前方に向かって突出した状態で6つの自転阻止ピン47が固定されている。各自転阻止ピン47同士は、固定ブロック73の周方向に等間隔で配置されている。なお、図5及び図6では、6つの自転阻止ピン47のうちの一つを図示している。
【0129】
図5に示すように、アタッチメント62はモータ室75内に配置されており、モータハウジング71の後壁71aに取り付けられている。これにより、アタッチメント62の第1案内路62aは、上端で還流路8aと連通している。また、アタッチメント62の第2案内路62bは、スクロール室65の底部と連通している。こうして、還流路8aは、第1、2案内路62a、62bを通じてモータ室75の底部と連通している。なお、モータハウジング71に対するアタッチメント62の取り付けを省略し、還流路8aがモータ室75に直接連通する構成としても良い。
【0130】
駆動機構80はモータ室75内に収容されている。駆動機構80は、ステータ81、ロータ82及び駆動軸83によって構成されている。ステータ81は、ステータコア81a及びコイルエンド81bを有している。コイルエンド81bの後端は、後述するバランスウェイト86との干渉を回避するように内周側が傾斜している。なお、上述のコイルエンド81bの形状を除いて、ステータコア81a及びコイルエンド81bは実施例1の圧縮機1におけるステータコア17a及びコイルエンド17bとほぼ同様の構成あることから、詳細な説明を省略する。ステータ81は、ステータコア81aを第1周壁71bの内周面に嵌入することにより、モータハウジング71に固定されている。
【0131】
ロータ82は、駆動軸心O3周りで円筒状をなしており、ステータ81内に配置されている。ロータ82は、複数枚の電磁鋼板82aと、第1エンドプレート82bと、第2エンドプレート82cと、複数のボルト82dと、永久磁石(図示略)とを有している。
【0132】
各電磁鋼板82aは、永久磁石を収容しつつ駆動軸心O3方向に積層されている。また、第1エンドプレート82bと、第2エンドプレート82cとで各電磁鋼板82aを駆動軸心O3方向に挟持している。そして、この状態で複数のボルト82dによって第1エンドプレート82b、各電磁鋼板82a及び第2エンドプレート82cが駆動軸心O3方向に締結されることでロータ82が形成されている。
【0133】
また、ロータ82には、複数の吸入路84が形成されている。より具体的には、各吸入路84は、第1エンドプレート82b、各電磁鋼板82a及び第2エンドプレート82cを駆動軸心O3方向に貫通することによって、ロータ82に形成されている。つまり、各吸入路84は、ロータ82を駆動軸心O3方向に貫通している。また、各吸入路84同士は、ロータ82の周方向に等間隔で配置されている。なお、ロータ82に形成される吸入路84の個数は適宜設計可能である。
【0134】
駆動軸83は、ロータ82から駆動軸心O3方向で前方及び後方にそれぞれ突出した状態でロータ82に固定されている。駆動軸83は、後端が滑り軸受39を介して、モータハウジング71の支持部71cに回転可能に支持されている。
【0135】
一方、駆動軸83の前方部分は、固定ブロック73の挿通孔73bに挿通されており、ボス73a内に進入している。そして、駆動軸83の前端部分は、ボス73a内で第1ラジアル軸受45に回転可能に支持されている。こうして、駆動軸83は、ハウジング7内で駆動軸心O3周りに回転可能となっている。固定ブロック73と駆動軸83との間は、軸封部材29によって封止されている。
【0136】
また、駆動軸83の前端面83aには、偏心ピン85が固定されている。偏心ピン85は、前端面83aにおいて、駆動軸心O3から偏心した位置に配置されている。偏心ピン85は、駆動軸83が挿通孔73bに挿通されることにより、ボス73a内に進入している。そして、偏心ピン85は、ボス73a内でブッシュ49に嵌合している。
【0137】
さらに、駆動軸83にはバランスウェイト86が一体で形成されている。バランスウェイト86は、駆動軸心O3から偏心した位置に配置されている。より具体的には、バランスウェイト86は、駆動軸心O3を挟んで偏心ピン85の反対側となる位置に配置されている。
【0138】
バランスウェイト86は、駆動軸83が挿通孔73bに挿通されることにより、モータ室75内において、固定ブロック73とロータ82との間に位置している。詳細な図示を省略するものの、バランスウェイト86は、略扇型をなす板状をなしており、駆動軸83の径方向で駆動軸83から離れる方向に延びている。なお、バランスウェイト86の形状は適宜設計可能である。
【0139】
固定スクロール90は、コンプレッサハウジング72に固定されており、コンプレッサハウジング72内に配置されている。固定スクロール90は、固定端板90aと、固定周壁90bと、固定渦巻体90cとを有している。固定端板90aは、固定スクロール90の前端に位置しており、駆動軸心O3に直交して延びる円板状をなしている。固定端板90aには、第2吐出凹部90dと吐出口90eとが形成されている。
【0140】
第2吐出凹部90dは、後方に向かって凹む形状をなしている。第2吐出凹部90dは、固定スクロール90がコンプレッサハウジング72に固定されることにより、第1吐出凹部72dと対向している。こうして、第1吐出凹部72dと第2吐出凹部90dとによって、吐出室91が形成されている。吐出室91は、吐出通路72eを通じて油分離室72cと連通している。吐出口90eは固定端板90aを前後方向に貫通しており、吐出室91と連通している。
【0141】
また、固定端板90aには、吐出リード弁57及びリテーナ58が固定ボルト59によって固定されている。これにより、吐出リード弁57は吐出口90eを開閉可能となっている。
【0142】
固定周壁90bは固定端板90aに一体に形成されている。固定周壁90bは、固定端板90aの外周で固定端板90aと接続しており、後方、すなわち可動スクロール110に向かって円筒状に延びている。固定周壁90bには、吸入口90fが形成されている。吸入口90fは、固定周壁90bを径方向に貫通している。これにより、吸入口90fは、コンプレッサハウジング72内に開口している。固定渦巻体90cは、固定周壁90bの内側で固定端板90aに一体に形成されている。固定渦巻体90cは、駆動軸心O3方向で可動スクロール110に向かって渦巻状に突出している。
【0143】
また、固定スクロール90には、給油通路44が形成されている。給油通路44は、フィルタ77を通じて油分離室72cと連通している。なお、給油通路44の形状は適宜設計可能である。
【0144】
可動スクロール110は、コンプレッサハウジング72内に設けられており、固定スクロール90と固定ブロック73との間に位置している。可動スクロール110は、可動端板110aと、可動渦巻体110bとを有している。
【0145】
可動端板110aは、可動スクロール110の後端に位置しており、駆動軸心O3に直交して延びる円板状をなしている。可動端板110aには、第2ラジアル軸受46を介してブッシュ49が回転可能に支持されている。これにより、可動スクロール110は、ブッシュ49及び偏心ピン85を通じて、駆動軸心O3から偏心した位置で駆動軸83と接続されている。
【0146】
また、可動端板110aには、自転阻止ピン47と同数のリング48が設けられている。各リング48は、各自転阻止ピン47の先端部を遊嵌状態で受けるようになっている。これらの各自転阻止ピン47及び各リング48によって、自転防止機構が構成されている。なお、図5及び図6では、6つのリング48のうちの一つを図示している。また、自転防止機構を構成する自転阻止ピン47及びリング48の個数は、それぞれ3個以上であればその個数は適宜変更可能である。
【0147】
可動渦巻体110bは、可動端板110aに一体に形成されており、固定端板90aに向かって延びている。可動渦巻体110bの中心近傍には、可動渦巻体110bの前端に開口しつつ、可動渦巻体110b内を前後方向に延びて可動端板110aまで貫通する給気孔111が貫設されている。
【0148】
固定スクロール90と可動スクロール110とは前後方向で組み付けられることにより、スクロール圧縮部100aを構成している。また、固定スクロール90と可動スクロール110との間には、固定端板90a、固定渦巻体90c、可動端板110a及び可動渦巻体110bによって、圧縮室12aが形成されている。圧縮室12aは、可動スクロール110が回転することにより、容積を変化させる。これにより、圧縮室12aは、吸入口90f及び吐出口90eとそれぞれ連通する。
【0149】
また、可動スクロール110と固定ブロック73との間には、スラストプレート92が設けられている。スラストプレート92は金属製の薄板によって形成されており、可動スクロール110及び固定ブロック73とそれぞれ当接している。スラストプレート92は弾性変形時の復元力によって、可動スクロール110を前方側、すなわち固定スクロール90側に付勢可能となっている。さらに、可動端板110a及びスラストプレート92により、固定ブロック73のボス73a内には、背圧室93が形成されている。背圧室93は給気孔111と連通している。
【0150】
アキュムレータ27は、外周壁27a及び後壁27bを有する有底筒状部材である。外周壁27aは、駆動軸心O3を中心とする円筒状をなしている。外周壁27aは、第1径部271と第2径部272と接続部273とからなる。
【0151】
第1径部271は外周壁27aの後方部分を構成している。第1径部271は、ロータ82よりも大径に形成されている。第2径部272は、第1径部271の前方に位置している。これにより、第2径部272は外周壁27aの前方部分を構成している。第2径部272は、第1径部271よりも小径に形成されており、ロータ82とほぼ同径をなしている。接続部273は、第1径部271と第2径部272との間に位置しており、第1径部271の前端と第2径部272の後端とに接続している。
【0152】
また、外周壁27a、より具体的には接続部273には、排出通路27cが形成されている。排出通路27cは、接続部273を駆動軸心O3方向に貫通している。
【0153】
後壁27bは、アキュムレータ27の後端に位置している。後壁27bは、駆動軸心O3と直交して略円形平板状に延びている。後壁27bの外周縁は、第1径部271の後端に接続している。また、後壁27bの中央には、後壁27bを駆動軸心O3方向に貫通する貫通孔270が形成されている。貫通孔270の内径は、モータハウジング71の支持部71cの外径よりも僅かに大径に形成されている。
【0154】
アキュムレータ27は、ロータ82に固定されている。具体的には、アキュムレータ27では、第2径部272の前端をロータ82の第2エンドプレート82cに当接させている。そして、この状態でアキュムレータ27は、各ボルト82dによって第2エンドプレート82cに固定されている。つまり、アキュムレータ27は、各ボルト82dによって第1エンドプレート82b、各電磁鋼板82a及び第2エンドプレート82cと共締めされることによってロータ82に固定されており、ロータ82の後方に位置している。なお、アキュムレータ27は、各ボルト82dとは別のボルト等によってロータ82に固定されても良い。
【0155】
また、このようにアキュムレータ27がロータ82に固定されることより、外周壁27a及び後壁27bと、第2エンドプレート82cとによってアキュムレータ27の内部に気液分離室28が形成されている。気液分離室28は、各吸入路84及び排出通路27cと連通している。ここで、排出通路27cは外周壁27aの接続部273に形成されているため、ロータ82に形成された各吸入路84よりもアキュムレータ27の径方向の外側に位置している。気液分離室28は、各吸入路84及び排出通路27cを通じて、モータ室75と連通している。
【0156】
また、アキュムレータ27は、後壁27bの貫通孔270に支持部71cを挿通させている。これにより、アキュムレータ27は、モータ室75内に収容されているとともに、気液分離室28内に支持部71cを進入させた状態で支持部71cに回転可能に支持されている。さらに、気液分離室28内には、駆動軸83の後端部分が進入している。これにより、駆動軸83は、気液分離室28内で支持部71cに回転可能に支持されている。
【0157】
この圧縮機3も空調装置200(図2及び図3参照)に用いられている。これにより、この圧縮機3では、図5の破線矢印で示すように、配管H7及び吸入連絡路76を通じて圧縮機3の外部から気液分離室28内に冷媒が吸入される。また、この圧縮機3では、ロータ82が回転することにより、駆動軸83が駆動軸心O3周りで回転する。これにより、可動スクロール110が回転し、可動端板110aが固定渦巻体90cの先端を摺動するとともに、固定渦巻体90cと可動渦巻体110bとが互いに摺動する。この際、自転防止機構により、可動スクロール110は自転が規制され、固定スクロール90に対して公転のみを行う。
【0158】
また、ロータ82が回転することによって、アキュムレータ27がモータ室75内で駆動軸心O3周りに回転する。これにより、実施例1の圧縮機1と同様、この圧縮機3においても、気液分離室28に吸入された冷媒は、回転するアキュムレータ27の遠心力の影響を受けることで気体冷媒と液冷媒とに好適に気液分離されることになる。
【0159】
そして、気液分離室28内の気体冷媒は各吸入路84からモータ室75、連通路73c及び吸入口90fを流通して圧縮室12a内に吸入される(図5の破線矢印参照。)。そして、圧縮室12aは、可動スクロール110の回転によって容積を減少させつつ、内部の気体冷媒を圧縮する。こうして圧縮室12aで圧縮された高圧の気体冷媒は、吐出口90eから吐出室91に吐出され、さらに、吐出室91から、吐出通路72eを経て油分離室72cに至る。そして、この高圧の気体冷媒は、分離筒70の外周面と油分離室72cの内周面との間を周回する過程で潤滑油18を分離しつつ、分離筒70の内部を流通して吐出連絡口72fから配管H1を流通することで圧縮機3の外部に吐出される。
【0160】
一方、気体冷媒から分離された潤滑油18は、フィルタ77を経て給油通路44を流通することにより、固定スクロール90と可動スクロール110との摺動箇所やモータ室75内等に供給される。
【0161】
また、圧縮室12aで圧縮された高圧の気体冷媒の一部は、給気孔111を流通して背圧室93内に供給される。これにより、可動スクロール110は、スラストプレート92を介しつつ、背圧室93内の圧力によって圧縮室12a側に付勢される。また、可動スクロール110は、スラストプレート92の弾性力によっても圧縮室12a側に付勢される。こうして、この圧縮機3では、可動スクロール110が駆動軸心O3に対して傾斜した状態で回転することが抑制されている。
【0162】
一方、気液分離室28内の液冷媒は、気液分離室28内に貯留される。また、気液分離室28内の潤滑油18は、排出通路27cを流通してモータ室75内に至る。そして、この潤滑油18は、駆動軸83等を潤滑しつつ、各吸入路84を流通した気体冷媒とともに圧縮室12a内に吸入される。
【0163】
さらに、この圧縮機3では、還流路8aが第1、2案内路62a、62bを通じてモータ室75の底部と連通している。これにより、この圧縮機3では、モータ室75の底部に貯留された潤滑油18を第1、2案内路62a、62b、還流路8a及び吸入連絡路76を通じて気液分離室28内に流通させることが可能となっている。これらにより、この圧縮機3でも実施例1の圧縮機1と同様の作用を奏することが可能となっている。
【0164】
特に、この圧縮機3では、気液分離室28内の気体冷媒が各吸入路84からモータ室75を経由して、連通路73cに流通する。ここで、各吸入路84は排出通路27cよりもアキュムレータ27の径方向の内側で気液分離室28に連通している。このため、気液分離室28内の液冷媒は各吸入路84を流通し難くなっており、結果として、モータ室75内には液冷媒が存在し難くなっている。
【0165】
(実施例4)
図6に示すように、実施例4の圧縮機4は、駆動機構80が駆動軸83に換えて駆動軸94を有している。また、この圧縮機4では、モータハウジング71の後壁71aに対して支持部71dが形成されている。
【0166】
支持部71dは、実施例3の圧縮機3における支持部71cと同様、後壁71aの中央からモータ室75内に突出している。ここで、支持部71dは、支持部71cに比べてモータ室75に短く突出している。これにより、支持部71dは、アキュムレータ27の貫通孔270に挿通されていない。また、支持部71dの前端には、後方に向かって凹む凹部711が形成されている。凹部711内には、支持部71cと同様に滑り軸受39が設けられている。
【0167】
さらに、支持部71dには、還流路8aが形成されている他、吸入連絡路95が形成されている。吸入連絡路95は、後壁71aに開口しつつ、支持部71d内を後壁71a側から前方に向かって延びている。そして、吸入連絡路95の前端は凹部711に接続している。また、吸入連絡路95には、配管H7が接続されている。さらに、吸入連絡路95は還流路8aと接続している。
【0168】
駆動軸94は、駆動軸83に比べて駆動軸心O3方向に長く形成されている。より具体的には、駆動軸94は、ロータ82に固定された状態において、駆動軸83に比べてロータ82から後方に長く突出している。これにより、駆動軸94の後方部分は貫通孔270に挿通されつつアキュムレータ27よりも後方に突出している。
【0169】
また、駆動軸94には連絡通路96が形成されている。連絡通路96は、第1通路96aと第2通路96bとで構成されている。第1通路96aは、駆動軸94の後端に開口しつつ、駆動軸94の内部を前方に向かって延びている。第2通路96bは第1通路96aと接続している。第2通路96bは駆動軸94の内部を第1通路96a側から駆動軸94の径方向に延びており、駆動軸94の外周面に開口している。これにより、第2通路96b、ひいては連絡通路96は気液分離室28と連通している。
【0170】
駆動軸94は、アキュムレータ27よりも後方に突出した状態で後端が滑り軸受39を介して、モータハウジング71の支持部71dに回転可能に支持されている。つまり、この圧縮機4では、駆動軸94がアキュムレータ27の外部で支持部71dに回転可能に支持されている。また、アキュムレータ27は駆動軸94に回転可能に支持されている。
【0171】
そして、このように駆動軸94が支持部71dに回転可能に支持されることにより、連絡通路96の第1通路96aは、吸入連絡路95に対して前方から対向する。こうして、この圧縮機4では、連絡通路96を通じて吸入連絡路95及び還流路8aが気液分離室28と連通している。
【0172】
また、実施例3の圧縮機3と同様、駆動軸94にはバランスウェイト86が一体で形成されている。さらに、駆動軸94の前端面94aには、偏心ピン85が固定されている。この圧縮機4における他の構成は、実施例3の圧縮機と同様である。
【0173】
この圧縮機4も空調装置200(図2及び図3参照)に用いられている。そして、この圧縮機4では、図6の破線矢印で示すように、配管H7、吸入連絡路95及び連絡通路96を通じて圧縮機4の外部から気液分離室28内に冷媒が吸入され、気液分離室28内で気液分離される。この圧縮機4における他の作用は、実施例3の圧縮機3と同様である。
【0174】
以上において、本発明を実施例1~4に即して説明したが、本発明は上記実施例1~4に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0175】
例えば、実施例1の圧縮機1において、吸入路35aをカバー体35及び従動端板41の両方に形成しても良く、また、供給路35bをカバー体35及び従動端板41の両方に形成しても良い。実施例2の圧縮機2についても同様である。
【0176】
また、実施例1の圧縮機1では、駆動スクロール30内に従動スクロール40を収容した状態で駆動スクロール30と従動スクロール40とを組み付けている。しかし、これに限らず、駆動スクロール30の外部に従動スクロール40を配置しつつ、駆動スクロール30と従動スクロール40とを組み付ける構成としても良い。この場合、従動端板41に吸入路35a及び供給路35bを形成し、従動端板41にアキュムレータ15を固定する構成としても良い。実施例2の圧縮機2についても同様である。
【0177】
また、実施例1の圧縮機1において、駆動スクロール30とロータ11とを軸体によって動力伝達可能に接続することにより、駆動スクロール30及びアキュムレータ15とロータ11とを駆動軸心O1方向に離隔して配置する構成としても良い。実施例2の圧縮機2についても同様である。
【0178】
また、実施例1、2の圧縮機1、2では、従動機構20が自転阻止ピン21及びリング22によって構成されている。しかし、これに限らず、従動機構20は、2本のピンが1つのフリーリングの内周面に摺接するピン・リング・ピン方式、2本のピンの外周面同士が摺接するピン・ピン方式、オルダム接手を用いる方式等によって構成されていても良い。実施例3、4の圧縮機3、4における自転防止機構についても同様である。
【産業上の利用可能性】
【0179】
本発明は車両の空調装置等に利用可能である。
【符号の説明】
【0180】
1~4…圧縮機(スクロール型圧縮機)
6、7…ハウジング
8、8a…還流路
10、80…駆動機構
11、82…ロータ
12、12a…圧縮室
15、25、27…アキュムレータ
17、81…ステータ
20…従動機構
27c…排出通路
30…駆動スクロール(第1スクロール)
35a、84…吸入路
35b、35c…供給路
40…従動スクロール(第2スクロール)
83、94…駆動軸
90…固定スクロール(第1スクロール)
110…可動スクロール(第2スクロール)
O1、O3…駆動軸心
O2…従動軸心
図1
図2
図3
図4
図5
図6