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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168488
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】光源装置および露光装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
G03F7/20 501
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085210
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000128496
【氏名又は名称】株式会社オーク製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003236
【氏名又は名称】弁理士法人杉浦特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100123973
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 拓真
(74)【代理人】
【識別番号】100082762
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 正知
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 祐哉
(72)【発明者】
【氏名】奥山 隆志
(72)【発明者】
【氏名】小林 義則
【テーマコード(参考)】
2H197
【Fターム(参考)】
2H197AA05
2H197AA28
2H197BA06
2H197BA10
2H197CA03
2H197CA13
2H197CA17
2H197CC05
(57)【要約】
【課題】レンズアレイを使用せずに、複数のLEDダイを密に配置したパッケージを使用し、光学系のサイズを小さくする。
【解決手段】基板に塗布された感光材を露光する露光装置用の光源装置であって、異なる波長の紫外光を発する第1のLEDアレイ光源および第2のLEDアレイ光源と、第1および第2のLEDアレイ光源から発した発散光が入射するプリズムと、プリズムからの光が入射する均一化手段と、プリズムと均一化手段との間に配されたプリズムより屈折率が小さい透光領域とを備えた光源装置である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に塗布された感光材を露光する露光装置用の光源装置であって、
異なる波長の紫外光を発する第1のLEDアレイ光源および第2のLEDアレイ光源と、
前記第1および第2のLEDアレイ光源から発した発散光が入射するプリズムと、
前記プリズムからの光が入射する均一化手段と、
前記プリズムと前記均一化手段との間に配された前記プリズムより屈折率が小さい透光領域と
を備えた光源装置。
【請求項2】
前記第1および第2のLEDアレイ光源は、複数のLEDダイが配列されて構成され、
前記発散光は、前記複数のLEDダイ各々から放射状に発せられる光の集合である請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記プリズムに入射する光が、集光または角度制御されていない発散光である請求項1に記載の光源装置。
【請求項4】
前記第1および第2のLEDアレイ光源は、各々、複数のLEDダイが同一の基板に配置された構成を有する請求項1に記載の光源装置。
【請求項5】
前記第1および第2のLEDアレイ光源は、前記各LEDダイの中心と隣り合うダイの中心との間隔がダイサイズの2倍以下であり、且つLED特性による必要放熱量を満たす間隔とされている請求項4に記載の光源装置。
【請求項6】
前記第1および第2のLEDアレイ光源の一方と前記プリズムの間に空気で形成される透光領域が設けられた請求項1に記載の光源装置。
【請求項7】
前記プリズムの光の入射面の幅は、対応する前記第1および第2のLEDアレイ光源のそれぞれの幅の80~95%とされた請求項1に記載の光源装置。
【請求項8】
前記透光領域が空気で形成される請求項1に記載の光源装置。
【請求項9】
前記プリズムは、ハーフミラー面を有するプリズムと、前記ハーフミラー面と接するガラスロッドにより構成されている請求項1に記載の光源装置。
【請求項10】
前記プリズムは、ダイクロイック面を有するプリズムと、前記ダイクロイック面と接するガラスロッドにより構成されている請求項1に記載の光源装置。
【請求項11】
基板に塗布された感光材を露光する露光装置用の光源装置であって、
異なる波長の紫外光を発する第1、第2、第3のLEDアレイ光源と、
前記第1および第2のLEDアレイ光源から発した発散光が入射する第1のプリズムと、
前記第1のプリズムからの光と前記第3のLEDアレイ光源からの発散光が入射する第2のプリズムと、
前記第2のプリズムからの光が入射する均一化手段と、
を備え、
前記第1のプリズムと前記第2のプリズムの間に、前記第1のプリズムより屈折率の小さい第1の透光領域を設け、
前記第2のプリズムと前記均一化手段との間に、前記第2のプリズムより屈折率が小さい第2の透光領域を設けた光源装置。
【請求項12】
基板に塗布された感光材を露光する露光装置用の光源装置であって、
異なる波長の紫外光を発する第1、第2、第3のLEDアレイ光源と、
前記第1のLEDアレイ光源から発した発散光が入射する導光用光学部材と、
前記導光用光学部材からの光と前記第2のLEDアレイ光源から発した発散光が入射する第1のプリズムと、
前記第1のプリズムからの光と前記第3のLEDアレイ光源から発した発散光が入射する第2のプリズムと、
前記第2のプリズムからの光が入射する均一化手段と、
を備え、
前記導光用光学部材と前記第1のプリズムの間に、前記導光用光学部材より屈折率の小さい第1の透光領域を設け、
前記第1のプリズムと前記第2のプリズムの間に、前記第1のプリズムより屈折率の小さい第2の透光領域を設け、
前記第2のプリズムと前記均一化手段との間に、前記第2のプリズムより屈折率が小さい第3の透光領域を設けた光源装置。
【請求項13】
基板に塗布された感光材を露光する露光装置用の光源装置であって、
異なる波長の紫外光を発する第1、第2、第3のLEDアレイ光源と、
前記第1のLEDアレイ光源から発した発散光および前記第3のLEDアレイ光源から発した発散光が入射するプリズムと、
前記第2のLEDアレイ光源から発した発散光が入射する導光用光学部材と、
前記プリズムからの光と前記導光用光学部材からの光が入射する均一化手段と、
を備え、
前記プリズムおよび前記導光用光学部材と前記均一化手段との間に、前記プリズムおよび前記導光用光学部材より屈折率が小さい透光領域を設けた光源装置。
【請求項14】
請求項1~13のいずれかに記載の光源装置と、
前記光源装置からの光が供給されるパターン描画部と、
前記パターン描画部によってパターンが描画される基板が搭載されるステージと
を備えたことを特徴とする露光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば波長特性の異なる複数のLEDアレイ光源を用いる光源装置および露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、露光装置の光源装置として、光源装置の長寿命化や省電力化の要求に応えるため、水銀ランプに変わってLED(Light Emitting Diode)を使用する光源装置が提案されている。LEDは水銀ランプに比べ寿命が長いが、1つのLED素子の出力する光量が水銀ランプより小さく、また水銀ランプがg線、h線、i線を含むブロードバンド光を出力するのに対し、LEDは特定の狭帯域な波長の光しか出力することができない。そこで、多数のLEDからなるLEDアレイ光源を用いて水銀ランプ相当の光量を得、また、波長特性の異なる複数のLEDアレイ光源を用いることによって複数波長の光の混合光を得ることが提案されている。
【0003】
例えば特許文献1では、波長特性の異なる複数のLEDアレイ光源上に、各LED素子の発光部の像を形成するレンズアレイを重ね、同レンズアレイによる集光光束をダイクロイックミラーで重ね合わせた後、発光部像の合成像を形成し、インテグレータ(光量均一化素子)の入射面に結像させている。また、特許文献2に記載の構成では、LEDアレイの各光源素子に対応するコリメータレンズを配列したレンズアレイを設けることによって、平行光とした光をダイクロイックミラーによって合成していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-63390号公報
【特許文献2】特開2014-207300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1および特許文献2のいずれにおいても、LEDアレイ光源の発散光を集光したり、平行光としたりするために、レンズアレイを設けていた。したがって、光学要素が多くなり、光源装置を設置するためにスペースを多く必要としたり、コストの上昇を招いたりする問題があった。
【0006】
したがって、本発明の目的は、レンズアレイを使用しない構成で、LEDアレイ光源の発散光を効率よく合成し、小型化できる光源装置および露光装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、基板に塗布された感光材を露光する露光装置用の光源装置であって、
異なる波長の紫外光を発する第1のLEDアレイ光源および第2のLEDアレイ光源と、
第1および第2のLEDアレイ光源から発した発散光が入射するプリズムと、
プリズムからの光が入射する均一化手段と、
プリズムと均一化手段との間に配されたプリズムより屈折率が小さい透光領域と
を備えた光源装置である。
【0008】
また、本発明は、基板に塗布された感光材を露光する露光装置用の光源装置であって、
異なる波長の紫外光を発する第1、第2、第3のLEDアレイ光源と、
第1および第2のLEDアレイ光源から発した発散光が入射する第1のプリズムと、
第1のプリズムからの光と第3のLEDアレイ光源からの発散光が入射する第2のプリズムと、
第2のプリズムからの光が入射する均一化手段と、
を備え、
第1のプリズムと第2のプリズムの間に、第1のプリズムより屈折率の小さい第1の透光領域を設け、
第2のプリズムと均一化手段との間に、第2のプリズムより屈折率が小さい第2の透光領域を設けた光源装置である。
【0009】
さらに、本発明は、基板に塗布された感光材を露光する露光装置用の光源装置であって、
異なる波長の紫外光を発する第1、第2、第3のLEDアレイ光源と、
第1のLEDアレイ光源から発した発散光が入射する導光用光学部材と、
導光用光学部材からの光と第2のLEDアレイ光源から発した発散光が入射する第1のプリズムと、
第1のプリズムからの光と第3のLEDアレイ光源から発した発散光が入射する第2のプリズムと、
第2のプリズムからの光が入射する均一化手段と、
を備え、
導光用光学部材と第1のプリズムの間に、導光用光学部材より屈折率の小さい第1の透光領域を設け、
第1のプリズムと第2のプリズムの間に、第1のプリズムより屈折率の小さい第2の透光領域を設け、
第2のプリズムと均一化手段との間に、第2のプリズムより屈折率が小さい第3の透光領域を設けた光源装置である。
【0010】
さらに、本発明は、基板に塗布された感光材を露光する露光装置用の光源装置であって、
異なる波長の紫外光を発する第1、第2、第3のLEDアレイ光源と、
第1のLEDアレイ光源から発した発散光および第3のLEDアレイ光源から発した発散光が入射するプリズムと、
第2のLEDアレイ光源から発した発散光が入射する導光用光学部材と、
プリズムからの光と導光用光学部材からの光が入射する均一化手段と、
を備え、
プリズムおよび導光用光学部材と均一化手段との間に、プリズムおよび導光用光学部材より屈折率が小さい透光領域を設けた光源装置である。
【0011】
さらに、本発明は、上述した光源装置と、
光源装置からの光が供給されるパターン描画部と、
パターン描画部によってパターンが描画される基板が搭載されるステージと
を備えたことを特徴とする露光装置である。
【発明の効果】
【0012】
少なくとも一つの実施形態によれば、LEDアレイ光源の光を、面積と角度を保ったまま、合成および均一化することができる。レンズアレイを使用しないため、複数のLEDダイを密に配置したパッケージを使用することが可能となり、光学系のサイズを小さくすることができる。なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本明細書に記載されたいずれかの効果又はそれらと異質な効果であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明を適用できる露光装置の一例の概略を示すブロック図である。
図2図2は、本発明の第1の実施形態の光学的構成を示す略線図である。
図3図3は、本発明の第1の実施形態におけるLEDアレイ光源の説明に用いる略線図である。
図4図4は、本発明の第1の実施形態におけるプリズムとLEDアレイ光源のサイズの関係を示す略線図である。
図5図5は、本発明の第1の実施形態における光路の一例を示す略線図である。
図6図6は、本発明の第1の実施形態における光路の他の例を示す略線図である。
図7図7は、本発明の第1の実施形態における光路のさらに他の例を示す略線図である。
図8図8は、本発明の第2の実施形態の光学的構成を示す略線図である。
図9図9は、本発明の第3の実施形態の光学的構成を示す略線図である。
図10図10は、本発明の第4の実施形態の光学的構成を示す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態等について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態等は本発明の好適な具体例であり、本発明の内容がこれらの実施形態等に限定されるものではない。
【0015】
図1は本発明が対象とする光源装置11を含む露光装置の全体を示している。図1において、矢印は光の方向を示している。光源装置11から出射した光はリレーレンズ12に入射し、リレーレンズ12から出た光は、パターン描画部例えばDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)13に入射する。
【0016】
DMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)13は、リレーレンズ12から入射した光をパターン光に変換する空間光変調素子である。パターン光が投影光学系(図示せず)を介して露光テーブル14に載置した基板Wに照射される。基板Wには感光材が塗布またはラミネートされている。
【0017】
パターン描画部としてレチクル(フォトマスク)等の遮光手段を用いてもよい。光源装置11には、光の面内光量分布を均一化する均一化ガラスロッド(光量均一化素子、均一化手段)が含まれている。
【0018】
本発明は、上述した露光装置の光源装置11に対して適用されるもので、図2に本発明の第1の実施形態の構成を示す。第1の実施形態では、光を合成するプリズム断面が直角二等辺三角形のプリズム1とガラスロッド2によって構成されている。
【0019】
プリズム1およびガラスロッド2が接する傾斜面に対して金属単層膜および/または誘電体膜が積層されてハーフミラー面が形成されている。ハーフミラー面は、入射光の一部を透過し、一部を反射するものである。ハーフミラー面は、ダイクロイックミラーと比較して入射角度依存性が小さいので、種々の入射角度の光(すなわち、発散光)に対して作用することができる。したがって、ダイクロイックミラーを使用する場合のように、LEDアレイ光源に対してレンズアレイを設けなくてもよい利点がある。
【0020】
一方で、プリズム1およびガラスロッド2が接する傾斜面に対してダイクロイック面を形成しても良い。ダイクロイック面とは、特殊な光学素材を用いて作成された鏡の一種で、特定の波長の光を反射し、その他の波長の光を透過するものである。光の入射角によって透過率が変化する特性があるが、選択される膜の種類によって変化率は異なる。また、合成する光の強度や必要な強度比によっては有効な構成である。したがって、合成する波長やその強度によって、ハーフミラー面とダイクロイック面とを選択することができる。
【0021】
プリズム1とガラスロッド2の傾斜した出射端面が密着され、プリズム1とガラスロッド2が端面接合によって一体化されている。ガラスロッド2の入射面に対して第1のLEDアレイ光源LS1が密着または近接して設けられている。
【0022】
プリズム1の直交する2つの平面の一方の面が入射面とされ、その他方の面が出射面とされる。入射面と対向して第2のLEDアレイ光源LS2が設けられる。プリズム1の入射面と第2のLEDアレイ光源LS2の出射面の間に、エアギャップg1が設けられる。ここでのエアギャップとは、2つの部材に挟まれ、空気で形成された領域である。この領域は、光源または光学部材の間に周りの雰囲気が流入されることで形成される。エアギャップg1は、LEDアレイ光源LS2とプリズム1との間に周りの空気が流入することで形成される。なお、LEDアレイ光源LS2がカバーガラス等の外装部材を有する場合にはプリズム1の入射面と外装部材を密着させてもよい。
【0023】
プリズム1の出射面に対して透光領域としてのエアギャップg2を介在させて均一化ガラスロッド3の入射端面が対向配置されている。均一化ガラスロッド3から出射された光がリレーレンズ12を介してDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)13に対して入射される。なお、本発明による光源装置は、ダイレクト露光装置に限らず、レチクルを用いた露光装置に対しても適用することができる。
【0024】
エアギャップg1およびg2の屈折率は、プリズム1の屈折率よりも小さいものである。エアギャップ以外に、窒素ガス等の特定の気体、液体や、プリズムと別材質のガラス部材とすることもできる。プリズム1と均一化ガラスロッド3間のエアギャップg2は、隙間からの光漏れを少なくするため、1mm以下とすることが望ましく、例えば、0.1mmとされる。また、LEDアレイ光源LS2とプリズム1の間のエアギャップg1は、例えば3mm以下とされる。
【0025】
第1のLEDアレイ光源LS1は、波長λ1の紫外光を発生し、この光がガラスロッド2、プリズム1およびエアギャップg2を通って均一化ガラスロッド3に入射する。第2のLEDアレイ光源LS2は、波長λ2の紫外光を発生し、この光がエアギャップg1を通ってプリズム1に入射し、プリズム1で反射されてエアギャップg2を通って均一化ガラスロッド3に入射する。
【0026】
LEDアレイ光源LS1およびLS2は、面発光の光源であり、発生する光は、発散光である。発散光は、複数のLEDダイから放射状に発せられる光の集合である。本発明の第1の実施形態では、プリズム1に入射する光が、集光または角度制御されていない発散光である。
【0027】
図3は、LEDアレイ光源LS2の概略的な平面図である。LEDアレイ光源LS2は、1つの基板に複数例えば16個のLEDダイ(LEDチップ)を例えば(4×4)のマトリクス状に配置したものである。なお、パッケージ内に複数のLEDダイを納めてもよい。LEDアレイ光源LS2を単一の基板で構成しても良いし、複数ダイを配した基板を複数配置しても良い。
【0028】
LEDアレイ光源LS1もLEDアレイ光源LS2と同様の構成とされている。一例として、LEDダイは、ほぼ正方形であり、ダイサイズLd(一辺)は、1mm~2mmであり、隣り合うダイの中心から中心までのピッチLpは、ダイサイズの2倍以下とされ、且つ、各種LED特性に合わせた放熱スペースが設けられる。
【0029】
また、図4に示すように、LEDアレイ光源LS2の出射面と対向するプリズム1の入射面のサイズLiは、LEDアレイ光源LS2の発光部のサイズLbに比して等しいか、またはやや小とされる。このようなサイズの関係によって、後段での取り込み効率を高くすることができる。プリズム1の入射面が小さすぎても取り込めない光が増加するので、プリズム1の入射面のサイズLiは、LEDアレイ光源LS2の出射面のサイズLbの80~95%が望ましい。
【0030】
上述したLEDアレイ光源LS1およびLS2は、一つのLEDダイを基板に実装してパッケージしたLED素子を配置する構成と比較して、同じ輝度を得るために必要とする面積を小さくすることができる。また、LEDダイが1つごとにパッケージされた素子を配列したLEDアレイ光源の場合、各素子の発光を点光源として制御するのに対して、上述したLEDアレイ光源LS1およびLS2は、面発光の光源として制御するようになされる。
【0031】
ヘルムホルツ・ラグランジュの不変量により、光学系の各部分における「光の広がり角×断面積」は変わらないため、均一化ガラスロッドの後段の光学系で光を効率よく取り込むためには、「光の広がり角×断面積」を小さく保ったまま、光の合成を行う必要がある。LEDダイが1つ載っているLEDパッケージを複数個並べたLEDアレイ光源の場合では、光源の面積が大きくなってしまう。また、縮小投影をして照度を均一化する均一化ガラスロッド3に光を入射させているため、角度が大きくなってしまう。すなわち、LEDアレイ光源の面積が大きいことは、効率の低下を招く問題がある。
【0032】
本発明の第1の実施形態では、波長合成にプリズム1を使用し、プリズム1内の反射を効率よく作用させる構成とすることで、LEDアレイ光源LS2の発散光を効率よく利用するようになされる。本発明の第1の実施形態では、レンズアレイを使用しないため、複数のLEDダイを密に配置したパッケージを使用することが可能となり、光学系のサイズを小さくすることができる。このように、本発明の第1の実施形態は、プリズム1の出射面と均一化ガラスロッド3の間に、プリズムより屈折率が小さい透光領域(エアギャップg2)を設ける。これにより、LEDアレイ光源LS2の光を、面積と角度を保ったまま、合成および均一化することができる。
【0033】
上述した本発明の第1の実施形態では、LEDアレイ光源LS2が発する光は、略面光源からの発散光であるため、プリズム1へは種々な角度で入射する。図5図6および図7は、LEDアレイ光源LS2からの光がエアギャップg1を通過してプリズム1に入射され、プリズム1の傾斜面で反射されてプリズム1からエアギャップg2に出射される光路の3つの例を表している。
【0034】
図5に示す例では、LEDアレイ光源LS2からの光がエアギャップg1を通過してプリズム1に対して入射角φで入射し、屈折角θ(<φ)で屈折してプリズム1の傾斜面で反射する。反射光がプリズム1の出射面に対して入射角θで入射し、エアギャップg2に進む時に、屈折角φ(>θ)で屈折する。したがって、LEDアレイ光源LS2から出射された時の角度φと等しい角度でもって、光がプリズム1から出射される。
【0035】
図6に示す例では、LEDアレイ光源LS2からの光がエアギャップg1を通過してプリズム1に対して入射角φで入射し、屈折角θ(<φ)で屈折してプリズム1の出射面に進む。出射面に対する光の入射角が臨界角以上となるために、全反射が生じ、エアギャップg2に進むことができず、プリズム1の傾斜面に進む。傾斜面で反射された光がプリズム1の出射面に対して入射角θで入射し、出射面からからエアギャップg2に進む。プリズム1からエアギャップg2に進む時に、屈折角φ(>θ)で屈折する。したがって、LEDアレイ光源LS2から出射された時の角度φと等しい角度でもって、光がプリズム1から出射される。
【0036】
図7に示す例では、LEDアレイ光源LS2からの光がエアギャップg1を通過してプリズム1に対して入射角φで入射し、屈折角θ(<φ)で屈折してプリズム1の傾斜面に進む。傾斜面で反射した光が入射面に進む。入射角が臨界角以上であるため、全反射が生じ、エアギャップg1に出射されずに、入射面で反射されてプリズム1の出射面に対して入射角θで入射し、出射面からからエアギャップg2に進む。プリズム1からエアギャップg2に進む時に、屈折角φ(>θ)で屈折する。したがって、LEDアレイ光源LS2から出射された時の角度φと等しい角度でもって、光がプリズム1から出射される。
【0037】
これらの例によって示されるように、本発明の第1の実施形態では、LEDアレイ光源LS2からの光の多くがプリズム1の出射面に導かれる。ここで、出射角(φ)が保持されてプリズム1の出射面からエアギャップg2を介して光が均一化ガラスロッド3に導入されるので、出射角が大きくなることが防止される。また、LEDアレイ光源LS2とプリズム1を近接させ、かつ隙間を空けて配置することで、光を多く取り込み、かつ側面の全反射も利用できる。したがって、マイクロレンズ等のレンズアレイによって制御された光でなくても効率よく導光することができる。
【0038】
本発明の第2の実施形態について、図8を参照して説明する。第2の実施形態は、3種類の波長のLED光を合成するようにしたものである。複数波長の合成は、幅広い波長域が必要とされるソルダーレジスト露光に有効である。後述する第3および第4の実施形態も同様に3種類の波長のLED光を合成するようにしたものである。
【0039】
本発明の第2の実施形態においては、2個のプリズム1Aおよび1Bおよび2個のガラスロッド2Aおよび2Bが使用され、2個の光を合成するプリズムが構成される。プリズム1Aおよび1Bは、第1の実施形態におけるプリズム1と同様のプリズムであり、ガラスロッド2Aおよび2Bと接合する傾斜面がハーフミラー面またはダイクロイック面とされている。また、第2の実施形態におけるLEDアレイ光源LS1,LS2,LS3のそれぞれは、第1の実施形態におけるLEDアレイ光源と同様に、1つの基板に複数例えば16個のLEDダイ(LEDチップ)を例えば(4×4)のマトリクス状に配置したものである。後述する第3および第4の実施形態においても、プリズムおよびLEDアレイ光源の構成は、同様のものである。
【0040】
プリズム1Aの傾斜面に対してガラスロッド2Aの傾斜した出射端面が密着され、プリズム1Aとガラスロッド2Aが端面接合によって一体化されている。ガラスロッド2Aの入射面と対向してLEDアレイ光源LS1が設けられる。LEDアレイ光源LS1は、波長λ1の紫外光を発生する。
【0041】
プリズム1Aの入射面と対向してLEDアレイ光源LS2が設けられる。プリズム1Aの入射面とLEDアレイ光源LS2の出射面の間に、エアギャップg1が設けられる。LEDアレイ光源LS2は、波長λ2の紫外光を発生する。波長λ1の光とプリズム1Aで反射された波長λ2の光の混合光がプリズム1Aから出射される。
【0042】
プリズム1Aの出射面に対して透光領域としてのエアギャップg2を介在させてガラスロッド2Bの入射端面が配置されている。ガラスロッド2Bの傾斜した出射端面がプリズム1Bの傾斜面と密着され、プリズム1Bとガラスロッド2Bが端面接合によって一体化されている。
【0043】
プリズム1Bの入射面と対向してLEDアレイ光源LS3が設けられる。プリズム1Bの入射面とLEDアレイ光源LS3の出射面の間に、エアギャップg11が設けられる。LEDアレイ光源LS3は、波長λ3の紫外光を発生する。波長λ1および波長λ2の光の混合光とプリズム1Bで反射された波長λ3の光の混合光がプリズム1Bから出射される。
【0044】
プリズム1Bの出射面に対して透光領域としてのエアギャップg12を介在させて均一化ガラスロッド3の入射端面が対向配置されている。均一化ガラスロッド3から出射された光がリレーレンズ12を介してDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)13に対して入射される。
【0045】
エアギャップg1およびg2の屈折率は、プリズム1Aの屈折率よりも小さいものであり、エアギャップg11およびg12の屈折率は、プリズム1Bの屈折率よりも小さいものである。これらのエアギャップの値は、第1の実施形態と同様のものとされる。
【0046】
各LEDアレイ光源が出射する光の波長は、(λ1>λ3>λ2)または(λ1<λ3<λ2)とされる。このような関係とするのは、同じプリズムに対して入射される光の波長の差を大きくして、波長間で損失などの差を小さくするためである。各LEDアレイ光源のピーク波長は、例えばλ1=365nm、λ2=405nm、λ3=385nmである。
【0047】
本発明の第3の実施形態について、図9を参照して説明する。プリズム11Aの傾斜面に対してガラスロッド2Aの傾斜面が密着され、プリズム11Aとガラスロッド2Aが端面接合によって一体化されている。プリズム11Aの入射面と対向してLEDアレイ光源LS1が設けられる。プリズム11Aの入射面とLEDアレイ光源LS1の出射面の間に、エアギャップg1が設けられる。LEDアレイ光源LS1は、波長λ1の紫外光を発生する。
【0048】
プリズム11Aの機能としては、光を合成する機能は無くても良く、LEDアレイ光源LS1からの光をガラスロッド2Bへ導く導光機能があれば良い。よって、プリズム11Aの傾斜面には光を透過しないミラー面を形成しても良く、ガラスロッド2Aは無くても良い。また、プリズムの代わりにガラスロッドを配置しても良い。
【0049】
プリズム11Aの出射面に対して透光領域としてのエアギャップg2を介在させてガラスロッド2Bの入射端面が配置されている。ガラスロッド2Bの傾斜した出射端面がプリズム1Bの傾斜面と密着され、プリズム1Bとガラスロッド2Bが端面接合によって一体化されている。
【0050】
プリズム1Bの入射面と対向してLEDアレイ光源LS2が設けられる。プリズム1Bの入射面とLEDアレイ光源LS2の出射面の間に、エアギャップg11が設けられる。LEDアレイ光源LS2は、波長λ2の紫外光を発生する。波長λ1の光とプリズム1Bで反射された波長λ2の光の混合光がプリズム1Bから出射される。
【0051】
プリズム1Bの出射面に対して透光領域としてのエアギャップg12を介在させてガラスロッド2Cの入射端面が配置されている。ガラスロッド2Cの傾斜した出射端面がプリズム1Cの傾斜面と密着され、プリズム1Cとガラスロッド2Cが端面接合によって一体化されている。
【0052】
プリズム1Cの入射面と対向してLEDアレイ光源LS3が設けられる。プリズム1Cの入射面とLEDアレイ光源LS3の出射面の間に、エアギャップg21が設けられる。LEDアレイ光源LS3は、波長λ3の紫外光を発生する。波長λ1および波長λ2の光の混合光とプリズム1Cで反射された波長λ3の光の混合光がプリズム1Cから出射される。
【0053】
プリズム1Cの出射面に対して透光領域としてのエアギャップg22を介在させて均一化ガラスロッド3の入射端面が対向配置されている。均一化ガラスロッド3から出射された光がリレーレンズ12を介してDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)13に対して入射される。
【0054】
エアギャップg1およびg2の屈折率は、プリズム11Aの屈折率よりも小さいものであり、エアギャップg11およびg12の屈折率は、プリズム1Bの屈折率よりも小さいものであり、エアギャップg21およびg22の屈折率は、プリズム1Cの屈折率よりも小さいものである。これらのエアギャップの値は、第1の実施形態と同様のものとされる。
【0055】
本発明の第4の実施形態について、図10を参照して説明する。プリズム1Aの傾斜面に対してガラスロッド2Aの傾斜面が密着され、プリズム1Aとガラスロッド2Aが端面接合によって一体化されている。ガラスロッド2Aの入射面と対向してLEDアレイ光源LS1が設けられる。
【0056】
プリズム1Aの入射面と対向してLEDアレイ光源LS2が設けられる。プリズム1Aの入射面とLEDアレイ光源LS2の出射面の間に、エアギャップg1が設けられる。波長λ1の光とプリズム1Aで反射された波長λ2の光の混合光がプリズム1Aから出射される。プリズム1Aの出射面に対して透光領域としてのエアギャップg2を介在させて均一化ガラスロッド3の入射端面が配置されている。
【0057】
プリズム11Bの傾斜面に対してガラスロッド2Bの傾斜面が密着され、プリズム11Bとガラスロッド2Bが端面接合によって一体化されている。プリズム11Bの入射面と対向してLEDアレイ光源LS3が設けられる。プリズム11Bの入射面とLEDアレイ光源LS3の出射面の間に、エアギャップg31が設けられる。波長λ3の光がプリズム11Bから出射される。プリズム11Bの出射面に対してエアギャップg2を介在させて均一化ガラスロッド3の入射端面が配置されている。
【0058】
プリズム11Bの機能としては、光学合成機能は無くても良く、LEDアレイ光源LS3からの光を均一化ガラスロッド3へ導く導光機能があれば良い。よって、プリズム11Bの傾斜面には光を透過しないミラー面を形成しても良く、ガラスロッド2Bは無くても良い。また、プリズムの代わりにガラスロッドを配置しても良い。
【0059】
したがって、均一化ガラスロッド3に対して3種類の波長の光が混合された光が入射され、均一化ガラスロッド3を通過した光がリレーレンズ12を介してDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)13に対して入射される。
【0060】
第2、第3および第4の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、全反射も利用してLEDアレイ光源の光を、面積と角度を保ったまま、合成および均一化することができる。したがって、レンズアレイを使用しないため、複数のLEDダイを密に配置したパッケージを使用することが可能となり、光学系のサイズを小さくすることができる。
【0061】
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。また、上述の実施形態において挙げた構成、方法、工程、形状、材料および数値などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料および数値などを用いてもよい。
【符号の説明】
【0062】
LS1,LS2,LS3・・・LEDアレイ光源、1,1A,11A,1B,11B,1C・・・プリズム、2,2A,2B,2C・・ガラスロッド、3・・・均一化ガラスロッド

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10