(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168489
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20230101AFI20241128BHJP
【FI】
G06Q10/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085212
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000101617
【氏名又は名称】アマノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今出 守人
(72)【発明者】
【氏名】岩室 拓海
(72)【発明者】
【氏名】下道 雄太
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA06
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】従業員のライフログ情報を業務管理に適正に利用することを可能とする情報処理システム、情報処理方法、及びプログラムを提供すること。
【解決手段】本発明の一形態に係る情報処理システムは、第1の取得部と、第2の取得部と、情報選択部と、情報利用部とを具備する。前記第1の取得部は、従業員から検出されるライフログ情報を取得する。前記第2の取得部は、前記従業員の業務に関する業務情報を取得する。前記情報選択部は、取得された前記業務情報に基づいて、取得された前記ライフログ情報から業務に関する処理に利用することが許容される利用許容情報を選択する。前記情報利用部は、選択された前記利用許容情報を利用する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
従業員から検出されるライフログ情報を取得する第1の取得部と、
前記従業員の業務に関する業務情報を取得する第2の取得部と、
取得された前記業務情報に基づいて、取得された前記ライフログ情報から業務に関する処理に利用することが許容される利用許容情報を選択する情報選択部と、
選択された前記利用許容情報を利用する情報利用部と
を具備する情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記情報選択部は、前記従業員の勤務時間を基準として設定される利用許容時間内に検出された前記ライフログ情報を、前記利用許容情報として選択する
情報処理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記情報選択部は、前記従業員の勤務地を基準として設定される利用許容地域内にて検出された前記ライフログ情報を、前記利用許容情報として選択する
情報処理システム。
【請求項4】
請求項1に記載の情報処理システムであって、さらに、
前記ライフログ情報が前記利用許容情報として選択されるための利用許容条件を設定する条件設定部を具備し、
前記情報選択部は、設定された前記利用許容条件に基づいて、前記ライフログ情報から前記利用許容情報を選択する
情報処理システム。
【請求項5】
請求項4に記載の情報処理システムであって、
前記第1の取得部は、前記ライフログ情報を種別ごとに取得し、
前記条件設定部は、前記種別ごとに前記利用許容条件を設定する
情報処理システム。
【請求項6】
請求項4に記載の情報処理システムであって、さらに、
所定の端末を介して前記利用許容条件を入力するための条件入力用UI(User Interface)を提供する条件入力用UI提供部を具備する
情報処理システム。
【請求項7】
請求項4に記載の情報処理システムであって、
前記利用許容条件は、前記ライフログ情報が検出された時間に関する条件、前記ライフログ情報が検出された位置に関する条件、前記ライフログ情報の種別に関する条件、前記ライフログ情報が検出された前記従業員の承諾の有無に関する条件、及び前記利用許容情報の利用権限の有無に関する条件の少なくとも1つを含む
情報処理システム。
【請求項8】
請求項1に記載の情報処理システムであって、さらに、
所定の端末を介して入力される検索条件に基づいて、前記ライフログ情報を検索する情報検索部を具備し、
前記情報選択部は、前記情報検索部による検索結果から、前記利用許容情報を選択する
情報処理システム。
【請求項9】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記情報利用部は、前記利用許容情報を表示デバイスに表示する
情報処理システム。
【請求項10】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記情報利用部は、前記利用許容情報を解析し、その解析結果を利用する
情報処理システム。
【請求項11】
請求項1に記載の情報処理システムであって、さらに、
前記従業員から前記ライフログ情報を検出するセンサからの、前記利用許容情報として選択されない非利用許容情報の出力を規制する情報出力規制部を具備する
情報処理システム。
【請求項12】
請求項1に記載の情報処理システムであって、さらに、
前記ライフログ情報が検出された前記従業員に対して、前記ライフログ情報を前記利用許容情報として選択することの承諾の有無を入力するための承諾用UIを提供する承諾入力用UI提供部を具備する
情報処理システム。
【請求項13】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記情報選択部は、前記従業員が所定の状態である場合には、検出された前記ライフログ情報に対して、前記所定の状態に対応する利用許容条件に基づいて前記利用許容情報の選択を行う
情報処理システム。
【請求項14】
請求項13に記載の情報処理システムであって、
前記情報選択部は、前記従業員が機密情報を漏洩させる危険性がある状態の場合には、検出された前記ライフログ情報を、前記利用許容情報として選択する
情報処理システム。
【請求項15】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記ライフログ情報は、前記従業員の位置情報、及び前記従業員の生体情報の少なくとも一方を含む
情報処理システム。
【請求項16】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記業務情報は、勤怠情報、及び業務内容に関する情報の少なくとも一方を含む
情報処理システム。
【請求項17】
請求項1に記載の情報処理システムであって、さらに、
前記情報利用部による前記利用許容情報の利用に関する履歴情報を管理する履歴管理部を具備する
情報処理システム。
【請求項18】
従業員から検出されるライフログ情報を取得し、
前記従業員の業務に関する業務情報を取得し、
取得された前記業務情報に基づいて、取得された前記ライフログ情報から業務に関する処理に利用することが許容される利用許容情報を選択し、
選択された前記利用許容情報を利用する
ことをコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項19】
従業員から検出されるライフログ情報を取得するステップと、
前記従業員の業務に関する業務情報を取得するステップと、
取得された前記業務情報に基づいて、取得された前記ライフログ情報から業務に関する処理に利用することが許容される利用許容情報を選択するステップと、
選択された前記利用許容情報を利用するステップと
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従業員の業務管理等に適用可能な情報処理システム、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ユーザが公開したいライフログ情報の条件について、ユーザが複数の分類要素の組み合わせに応じて開示/非開示を設定できるようにして、きめ細やかな開示/非開示制御を実現可能とした技術が公開されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従業員のライフログ情報を、業務管理に適正に利用することが可能となる技術が求められている。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、従業員のライフログ情報を業務管理に適正に利用することを可能とする情報処理システム、情報処理方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る情報処理システムは、第1の取得部と、第2の取得部と、情報選択部と、情報利用部とを具備する。
前記第1の取得部は、従業員から検出されるライフログ情報を取得する。
前記第2の取得部は、前記従業員の業務に関する業務情報を取得する。
前記情報選択部は、取得された前記業務情報に基づいて、取得された前記ライフログ情報から業務に関する処理に利用することが許容される利用許容情報を選択する。
前記情報利用部は、選択された前記利用許容情報を利用する。
【0007】
前記情報選択部は、前記従業員の勤務時間を基準として設定される利用許容時間内に検出された前記ライフログ情報を、前記利用許容情報として選択してもよい。
【0008】
前記情報選択部は、前記従業員の勤務地を基準として設定される利用許容地域内にて検出された前記ライフログ情報を、前記利用許容情報として選択してもよい。
【0009】
前記情報処理システムは、さらに、前記ライフログ情報が前記利用許容情報として選択されるための利用許容条件を設定する条件設定部を具備してもよい。この場合、前記情報選択部は、設定された前記利用許容条件に基づいて、前記ライフログ情報から前記利用許容情報を選択してもよい。
【0010】
前記第1の取得部は、前記ライフログ情報を種別ごとに取得してもよい。この場合、前記条件設定部は、前記種別ごとに前記利用許容条件を設定してもよい。
【0011】
前記情報処理システムは、さらに、所定の端末を介して前記利用許容条件を入力するための条件入力用UI(User Interface)を提供する条件入力用UI提供部を具備してもよい。
【0012】
前記利用許容条件は、前記ライフログ情報が検出された時間に関する条件、前記ライフログ情報が検出された位置に関する条件、前記ライフログ情報の種別に関する条件、前記ライフログ情報が検出された前記従業員の承諾の有無に関する条件、及び前記利用許容情報の利用権限の有無に関する条件の少なくとも1つを含んでもよい。
【0013】
前記情報処理システムは、さらに、所定の端末を介して入力される検索条件に基づいて、前記ライフログ情報を検索する情報検索部を具備してもよい。この場合、前記情報選択部は、前記情報検索部による検索結果から、前記利用許容情報を選択してもよい。
【0014】
前記情報利用部は、前記利用許容情報を表示デバイスに表示してもよい。
【0015】
前記情報利用部は、前記利用許容情報を解析し、その解析結果を利用してもよい。
【0016】
前記情報処理システムは、さらに、前記従業員から前記ライフログ情報を検出するセンサからの、前記利用許容情報として選択されない非利用許容情報の出力を規制する情報出力規制部を具備してもよい。
【0017】
前記情報処理システムは、さらに、前記ライフログ情報が検出された前記従業員に対して、前記ライフログ情報を前記利用許容情報として選択することの承諾の有無を入力するための承諾用UIを提供する承諾入力用UI提供部を具備してもよい。
【0018】
前記情報選択部は、前記従業員が所定の状態である場合には、検出された前記ライフログ情報に対して、前記所定の状態に対応する利用許容条件に基づいて前記利用許容情報の選択を行ってもよい。
【0019】
前記情報選択部は、前記従業員が機密情報を漏洩させる危険性がある状態の場合には、検出された前記ライフログ情報を、前記利用許容情報として選択してもよい。
【0020】
前記ライフログ情報は、前記従業員の位置情報、及び前記従業員の生体情報の少なくとも一方を含んでもよい。
【0021】
前記業務情報は、勤怠情報、及び業務内容に関する情報の少なくとも一方を含んでもよい。
【0022】
前記情報処理システムは、さらに、前記情報利用部による前記利用許容情報の利用に関する履歴情報を管理する履歴管理部を具備してもよい。
【0023】
本発明の一形態に係る情報処理方法は、コンピュータが実行する情報処理方法であって、従業員から検出されるライフログ情報を取得することを含む。
前記従業員の業務に関する業務情報が取得される。
取得された前記業務情報に基づいて、取得された前記ライフログ情報から業務に関する処理に利用することが許容される利用許容情報が選択される。
選択された前記利用許容情報が利用される。
【0024】
本発明の一形態に係るプログラムは、コンピュータに以下のステップを実行させる。
従業員から検出されるライフログ情報を取得するステップ。
前記従業員の業務に関する業務情報を取得するステップ。
取得された前記業務情報に基づいて、取得された前記ライフログ情報から業務に関する処理に利用することが許容される利用許容情報を選択するステップ。
選択された前記利用許容情報を利用するステップ。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、本発明によれば、従業員のライフログ情報を業務管理に適正に利用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】第1の実施形態に係る業務管理システムの構成例を示す模式図である。
【
図2】サーバ装置の機能的な構成例を示すブロック図である。
【
図3】DBに記憶される業務情報の一例を示す模式図である(個人マスター)。
【
図4】DBに記憶される業務情報の一例を示す模式図である(ウェアラブルデータ)。
【
図5】DBに記憶される業務情報の一例を示す模式図である(勤務時間データ)。
【
図6】第1の取得部により取得されるライフログ情報の一例を示す模式図である。
【
図7】
図6に示す「ライフログ情報」の具体例を示す模式図である。
【
図8】第1の取得部により取得されるライフログ情報の他の例を示す模式図である。
【
図9】
図8に示す「ライフログ情報」の具体例を示す模式図である。
【
図10】サーバ装置の基本的な動作例を示すフローチャートである。
【
図11】利用許容情報の表示デバイスへの表示例を説明するための模式図である。
【
図12】利用許容情報の表示デバイスへの表示例を説明するための模式図である。
【
図13】利用許容情報の表示デバイスへの表示例を説明するための模式図である。
【
図14】第2の実施形態に係るサーバ装置の機能的な構成例を示すブロック図である。
【
図15】DBに記憶される「条件データ」の一例を示す模式図である。
【
図16】
図15に示す「条件データ」の具体例を示す模式図である。
【
図17】利用許容条件及び非利用許容条件を入力するための条件入力用GUIの一例を示す模式図である。
【
図18】本人承諾が必要であるか不要であるかを入力するための本人承諾必要/不要選択部のGUI構成の他の例である。
【
図19】従業員に提供される承諾入力用GUIの一例を示す模式図である。
【
図20】DBに記憶される「個人承諾データ」の一例を示す模式図である。
【
図21】サーバ装置による利用許容情報の選択の動作例を示すフローチャートである。
【
図22】利用許容情報の選択の具体例を示すフローチャートである。
【
図23】第3の実施形態に係る利用許容情報の選択の具体例を示すフローチャートである。
【
図24】DBに記憶される「機密情報持ち出し申請データ」の一例を示す模式図である。
【
図25】従業員からライフログ情報を検出するセンサ装置の機能的な構成例を示す模式図である。
【
図26】センサ装置によるライフログ情報の送信例を示すフローチャートである。
【
図27】利用許容情報の利用に関する基準値について説明するための模式図である。
【
図28】センサ装置、管理端末、及びサーバ装置として用いることが可能なコンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0028】
<第1の実施形態>
[業務管理システム]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る業務管理システムの構成例を示す模式図である。業務管理システム1は、企業等の団体における業務管理を行うことが可能である。例えば、企業等の団体に所属する従業員2の業務に関する種々の手続きを実行し、従業員2ごとの業務に関する業務情報を管理することが可能である。
【0029】
本開示において、業務管理は、業務に関する任意の事項に対する任意の管理業務を含む。例えば、就業管理、勤怠管理、人事管理、予算管理等が、本技術に関する業務管理に含まれる。また、業務内容に関する任意の事項に対する管理業務も、業務管理に含まれる。例えば、業務計画の立案、業務内容の見直し、人員の配置等も、業務管理に含まれる。
【0030】
本業務管理システム1では、各従業員2から検出されるライフログ情報を業務管理に適正に利用することが可能となる。以下、詳しく説明する。
【0031】
図1に示すように、業務管理システム1は、センサ装置3と、管理端末4と、サーバ装置5と、データベース(DB)6とを含む。
【0032】
センサ装置3、管理端末4、及びサーバ装置5は、ネットワーク7を介して、互いに通信可能に接続されている。ネットワーク7は、例えばインターネットや広域通信回線網等により構築される。その他、任意のWAN(Wide Area Network)やLAN(Local Area Network)等が用いられてよく、ネットワーク7を構築するためのプロトコルは限定されない。
【0033】
センサ装置3、管理端末4、及びサーバ装置5は、例えばCPU、GPU、DSP等のプロセッサ、ROM、RAM等のメモリ、HDD等の記憶デバイス等、コンピュータに必要なハードウェアを有する(
図28参照)。プロセッサが記憶部やメモリに記憶されている本技術に係るプログラムをRAMにロードして実行することにより、本技術に係る情報処理方法(利用許容情報の選択方法/利用許容情報の利用方法)が実行される。
【0034】
センサ装置3は、従業員2のライフログ情報を検出し、ネットワーク7を介して、サーバ装置5に送信する。
【0035】
本開示において、ライフログ情報は、日々の生活を送る従業員2の様々な行いや様々な状態が記録された任意のログ情報を含む。例えば、従業員2の位置情報(行動履歴情報)や生体情報のログ情報が、ライフログ情報に含まれる。
【0036】
例えば、従業員2の現在地の情報、さらに詳しく屋内であるか、屋外であるか、会議中であるか等の情報が、ライフログ情報に含まれる。また例えば、移動距離、移動時間、移動速度、歩数、歩いた距離、走った距離、使用した交通手段、交通手段を利用した時間、交通手段で移動した距離等が、ライフログ情報に含まれる。
【0037】
また例えば、体温、血圧、脈拍数、心拍数、発汗量、血糖値、水分量、体脂肪率、体重、身長、筋肉量バランス、骨密度、呼吸数、肺活量、血液検査の結果、MRSの検査結果、尿検査、血中アルコール濃度等がライフログ情報に含まれる。また、睡眠状態であるか覚醒状態であるか、どのような睡眠状態であるか(レム睡眠、ノンレム睡眠、深い睡眠、浅い睡眠等)の情報も、ライフログ情報に含まれる。
【0038】
また従業員2が行う運動に関する運動情報も、ライフログ情報に含まれる。例えば歩行中、走行中、電車にて移動中、運転中等の情報が、ライフログ情報として取得可能である。また座っているか、立っているか、前屈みか、横を向いているか、上を向いているか等の、姿勢に関する情報等も、ライフログ情報として取得可能である。
【0039】
また、カメラにより撮影された従業員2の画像や、マイクにより取得された従業員の会話等の音声情報等も、ライフログ情報に含まれる。なお本開示において、画像は、静止画像及び動画像(映像)の両方を含む。
【0040】
ライフログ情報は、例えば、IMU(Inertial Measurement Unit)センサ、GPS、様々な種類の生体センサ、イメージセンサ(カメラ)等の、各種センサを用いて検出することが可能である。これらのセンサにより検出される検出結果(値等)自体を、ライフログ情報として利用することが可能である。これに限定されず、センサにより検出される検出結果に基づいて、さらに様々なライフログ情報を生成することも可能である。
【0041】
例えばGPSにより位置情報として緯度及び経度の座標値がライフログ情報として検出される。当該ライフログ情報に基づいて、従業員2が立ち寄ったランドマーク等の情報を含む行動履歴情報が、さらにライフログ情報として生成されてもよい。
【0042】
また、体温を測定可能な温度センサ、心拍数を測定可能な心拍センサ、発汗量を測定可能な発汗センサ等の検出値がライフログ情報として検出される。これらの検出値に基づいて、従業員2の健康状態や睡眠状態等がライフログ情報として生成されてもよい。
【0043】
センサにより検出される検出結果(値等)自体を、ライフログ情報として利用する場合、当該ライフログ情報が検出された時間が、ライフログ情報の検出時間となる。一方で、センサにより検出される検出結果に基づいて、さらに様々なライフログ情報が生成される場合は、ライフログ情報の生成に用いられるセンサの検出結果が検出された時間が、ライフログ情報の検出時間となる。
【0044】
例えば、所定の時刻(年月日時刻Aとする)にてIMUセンサにより「加速度」が検出されたとする。この場合、当該「加速度」がライフログ情報として利用される場合は、「加速度」が検出された時間(年月日時刻A)が、ライフログ情報の検出時間となる。
【0045】
一方で、年月日時刻AにてIMUセンサにより検出された「加速度」に基づいて、「歩行中」というライフログ情報が生成されたとする。この場合、「歩行中」というライフログ情報が生成された時間ではなく、「加速度」が検出された時間(年月日時刻A)が、「歩行中」というライフログ情報の検出時間であるとする。すなわち、従業員2が「歩行中」である年月日時刻が、その「歩行中」というライフログ情報の検出時間となる。
【0046】
センサ装置3は、ライフログ情報を検出可能なセンサを搭載したコンピュータにより構成される。あるいは、ライフログ情報を検出可能であり、ネットワーク7を介して通信可能なセンサにより構成される。
【0047】
図1に示す例では、センサ装置3として、スマートフォン、HMD(眼鏡型のウェアラブルデバイスともいえる)、時計型(リストバンド型)のウェアラブルデバイス、カメラが例示されている。もちろん、これらのデバイスに限定されず、センサ装置3を実現するために様々な構成が採用されてよい。
【0048】
また
図1では、従業員2a~2cの各々に対して、センサ装置3a~3cが準備されている。これに限定されず、所定の空間に設置されたカメラにより、複数の従業員2の画像が撮影され、その撮影画像に基づいて各従業員2のライフログ情報が取得されてもよい。
【0049】
本開示において、情報等の取得は、当該情報を他の装置から受信すること、及び自ら解析処理、抽出処理、推定処理等を実行することで、当該情報を生成することの両方を含む。すなわち、本開示において、ライフログ情報の取得は、例えばセンサ装置3により検出されたライフログ情報を受信する場合と、センサ装置3の検出結果に基づいてライフログ情報を自身で生成する場合の両方を含む。
【0050】
センサ装置3により、自身で検出した検出結果に基づいて、ライフログ情報が生成されてもよい。また、サーバ装置5により、センサ装置3から受信した検出結果や、センサ装置3により生成されたライフログ情報等に基づいて、さらにライフログ情報が生成されてもよい。
【0051】
ライフログ情報の取得等のために、任意の技術(アルゴリズム等)が用いられてよい。例えばDNN(Deep Neural Network:深層ニューラルネットワーク)、RNN(Recurrent Neural Network:回帰型ニューラルネットワーク)、CNN(Convolutional Neural Network:畳み込みニューラルネットワーク)等を用いた任意の機械学習アルゴリズムが用いられてもよい。例えばディープラーニング(深層学習)を行うAI(人工知能)等を用いることで、各処理を高い精度で実行することが可能となる。
【0052】
例えば、ライフログ情報を出力するための機械学習を行った学習済みの学習モデルに、センサの検出結果等を入力することで、ライフログ情報を学習モデルから取得することが可能である。
【0053】
学習モデルの学習方法として、例えば誤差逆伝播法が用いられる。誤差逆伝播法は、ニューラルネットワークの学習のために一般的に良く利用される学習手法である。ニューラルネットワークとは、元々人間の脳神経回路を模倣したモデルであり、入力層、中間層(隠れ層)、出力層の3種類の層からなる層構造を持ったモデルである。
【0054】
多数の中間層を持つニューラルネットワークは特にディープニューラルネットワークと呼ばれ、これを学習するためのディープラーニング技術は、大量データの中に潜んでいる複雑なパターンを学習できるモデルとして知られている。誤差逆伝播法はこのような学習手法の1つであり、例えば、画像や動画の認識に用いられるCNNなどの学習によく用いられる。
【0055】
また、このような機械学習を実現するハードウェア構造としては、ニューラルネットワークの概念を組み込まれたニューロチップ/ニューロモーフィック・チップが用いられ得る。
【0056】
学習モデルを学習させるためのアルゴリズムは限定されず、任意の機械学習アルゴリズムが用いられてよい。例えば、機械学習アルゴリズムとして、教師あり学習、教師なし学習、半教師学習、強化学習、逆強化学習、能動学習、転移学習等が挙げられる。また、HMM(Hidden Markov Model:隠れマルコフモデル)やSVM(Support Vector Machine)等の機械学習モデルが用いられてもよい。
【0057】
学習モデルを学習させるための学習ブロック(学習部)が、センサ装置3やサーバ装置5に構成されてもよい。あるいは、学習ブロック(学習部)が、センサ装置3やサーバ装置5とは異なるコンピュータ内に構成され、学習が実行されたのちの学習済みの学習モデルが、センサ装置3やサーバ装置5に搭載されてもよい。その他、学習モデル、及び学習モデルを学習するための学習ブロック(学習部)の具体的な構成は限定されない。
【0058】
なお機械学習アルゴリズムの適用は、本開示内の任意の処理に対して実行されてよい。すなわち、本開示内にて説明する任意の処理について、機械学習を用いた処理が実行されてよい。
【0059】
また従業員2が撮影された撮影画像からライフログ情報を抽出するための方法も限定されず、任意の技術(アルゴリズム)が用いられてよい。例えば物体のモデル画像を用いたマッチング処理、エッジ検出、射影変換等の任意の画像認識技術が用いられてよい。また骨格推定(ボーン推定)等が用いられてもよい。また外部で構築された既存の画像処理や機械学習等の機能を持つライブラリが利用されてもよい。
【0060】
撮影画像からライフログ情報を抽出するために、任意の機械学習アルゴリズムが用いられてもよい。例えば、画像情報に対してセマンティックセグメンテーションを実行することで、画像内の各画素に対して、物体の種類を判定することも可能となる。
【0061】
管理端末4は、管理者8が使用する端末である。管理者8は、従業員2よりも大きな権限を有する従業員の一例であり、具体的な役職等はとくに限定されない。
【0062】
サーバ装置5は、業務管理サービスを提供するための装置である。サーバ装置5により、業務管理に関する様々な処理が実行される。例えば、就業管理、勤怠管理、人事管理、予算管理、業務内容に関する任意の事項に対する管理業務に関する様々な処理が実行される。
【0063】
DB6には、業務に関する任意の情報(業務情報)が記憶される。例えば従業員の名前、性別、住所、電話番号等の従業員情報や、従業員ごとに支払われる給与、出退勤、休暇、残業等に関する就業情報や勤怠情報が記憶される。その他、人事、予算、業務内容等に関する任意の情報が、業務情報として記憶される。
【0064】
図1に示す例では、DB6が、サーバ装置5とは別体の記憶装置等により構成されており、サーバ装置5に接続されている。この構成に限定されず、サーバ装置5の記憶部(
図28参照)によりDB6が構成されてもよい。またネットワーク7上にDB6が構築され、ネットワーク7を介しDB6にアクセス可能な構成が採用されてもよい。
【0065】
なお、
図1では、サーバ装置5が、1つの筐体からなるコンピュータにより模式的に図示されている。もちろんこのような構成に限定されず、様々な機能を有する複数のサーバ装置が協働することで、業務に関する様々な処理が実行されてもよい。
【0066】
また
図1では、3人の従業員2a~2cと、1人の管理者8が図示されている。もちろん、本業務管理システム1が適用可能な従業員2の数や、管理者8の数等は限定されない。より多い人数の従業員2及び管理者8に対して、本業務管理システム1は適用可能である。
【0067】
[サーバ装置の機能的な構成例]
図2は、サーバ装置5の機能的な構成例を示すブロック図である。
図2に示すように本実施形態では、サーバ装置5のプロセッサが所定のプログラムを実行することで、機能ブロックとして、第1の取得部10、第2の取得部11、情報選択部12、情報検索部13、及び情報利用部14が構成される。もちろん機能ブロックを実現するために、IC(集積回路)等の専用のハードウェアが用いられてもよい。
【0068】
プログラムは、例えば種々の記録媒体を介してサーバ装置5にインストールされる。あるいは、インターネット等を介してプログラムのインストールが実行されてもよい。プログラムが記録される記録媒体の種類等は限定されず、コンピュータが読み取り可能な任意の記録媒体が用いられてよい。例えば、コンピュータが読み取り可能な非一過性の任意の記憶媒体が用いられてよい。
【0069】
第1の取得部10は、従業員2のライフログ情報を取得する。第1の取得部10により、センサ装置3から検出されたライフログ情報の受信、センサ装置3により生成されたライフログ情報の受信、センサ装置3により検出された検出結果に基づいたライフログ情報の生成等が実行される。
【0070】
第1の取得部10により取得されたライフログ情報は、DB6に記憶される。例えば、従業員2ごとに付与される従業員ID(「個人コード」)に基づいて、種別ごとにライフログ情報が記憶される。ライフログ情報の種別は、ライフログ情報の項目ともいえる。
【0071】
第2の取得部11は、従業員2の業務に関する業務情報を取得する。本実施形態では、DB6に記憶された従業員2ごとの業務情報が適宜読み出されて取得される。
【0072】
情報選択部12は、第2の取得部11により取得された業務情報に基づいて、第1の取得部10により取得されたライフログ情報から、業務に関する処理に利用することが許容される利用許容情報を選択する。
【0073】
すなわち、情報選択部12は、従業員2ごとに取得される様々な種別のライフログ情報に関して、業務に関する処理に利用してもよい情報(利用許容情報)なのか、それとも業務に関する処理に利用してはならない情報(非利用許容情報)なのかを判定し、業務に関する処理に利用してもよい情報(利用許容情報)を選択する。
【0074】
情報検索部13は、所定の端末を介して入力される検索条件に基づいて、ライフログ情報を検索する。本実施形態では、「所定の端末」として、管理者8が使用する管理端末4を例に挙げて説明を行う。
【0075】
例えば、管理者8が閲覧を希望する従業員2の指定や、閲覧を希望するライフログ情報の種別、ライフログ情報が検出された期間等が、検索条件として入力される。情報検索部13は、従業員2の「個人コード」(
図3等参照)、ライフログ情報の「種別」「日付」(
図6等参照)等を参照して、検索条件を満たすライフログ情報を検索して収集する。
【0076】
情報利用部14は、情報選択部12により選択された利用許容情報を利用する。例えば、情報利用部14により、管理端末4の表示デバイスへの利用許容情報の表示や、利用許容情報を解析し、その解析結果を業務計画の作成等に利用する。その他、様々な業務に関する処理に、利用許容情報を利用する。
【0077】
図3~
図5は、DB6に記憶される業務情報の一例を示す模式図である。
図3に示すように、本実施形態では、DB6に「個人マスター」が記憶される。「個人マスター」は、従業員2(管理者8も含む)ごとに作成される。「個人マスター」は、各従業員に関する従業員情報に含まれるデータとなる。
【0078】
図3に示すように、「個人マスター」は、以下の情報を含む。
「個人コード」…従業員2を識別可能なID。例えば10桁の数字等で構成される。もちろん、他の任意の形態のデータが「個人コード」として用いられてよい。
「氏名」…従業員2の氏名。
「性別」…従業員2の性別。
「メールアドレス」…勤務中に使用されるメールアドレス。企業等の団体から従業員2に配布されることが多い。
「勤務地名称」…従業員2の勤務地の名称。例えば、○○支社や、○○工場等。
「勤務地座標」…勤務地の位置情報。本実施形態では、GPS座標と同じ緯度/経度が用いられる。なお、勤務地の敷地全体を含むような、所定の範囲を示す情報が用いられてもよい。例えば、4地点の座標値が、「勤務地座標」として用いられてもよい。また勤務地は、勤務場所ともいえる。
【0079】
また
図4に示すように、業務情報として、「ウェアラブルデータ」が記憶される。本実施形態では、
図1に示すセンサ装置3として、ウェアラブルデバイスが、各従業員2に装着される。「ウェアラブルデータ」は、各従業員2に装着されたウェアラブルデバイスのデータである。
【0080】
図4に示すように、「ウェアラブルデータ」は、以下の情報を含む。
「個人コード」…ウェアラブルデバイスが装着される従業員2の個人コード。
「名称」…ウェアラブルデバイスの名称。
「シリアルNo」…ウェアラブルデバイスのシリアルナンバー。
【0081】
図4に示す「ウェアラブルデータ」を参照することで、ウェアラブルデバイスから送信されるライフログ情報(検出結果のデータも含む)が、どの従業員2に関するライフログ情報であるかを判定することが可能となる。なお、ウェアラブルデバイスから送信されるライフログ情報の種別を判定することが可能な情報が、「ウェアラブルデータ」内に格納されてもよい。
【0082】
図3及び
図4に示す「個人マスター」及び「ウェアラブルデータ」は、本技術を実施する上での基本データともいえる。
【0083】
また
図5に示すように、業務情報として、「勤務時間データ」が記憶される。「勤務時間データ」は、従業員2(管理者8も含む)ごとに作成され、各従業員に関する従業員情報に含まれるデータとなる。
【0084】
図5に示すように、「勤務時間データ」は、以下の情報を含む。
「個人コード」
「日付」…過去のデータである場合は、勤務した日付。未来の勤務予定のデータである場合は、予定となる日付。
「勤務開始予定時刻」…勤務を開始する予定の時刻。
「勤務終了予定時刻」…勤務を終了する予定の時刻。
「休憩1開始時刻」…1回目の休憩が開始する時刻。
「休憩1終了時刻」…1回目の休憩が終了する時刻。
「休憩2開始時刻」…2回目の休憩が開始する時刻。
「休憩2終了時刻」…2回目の休憩が終了する時刻。
「出勤時刻(実績)」…実際に出勤した時刻。未来の勤務予定のデータである場合は、ブランク。
「退勤時刻(実績)」…実際に退勤した時刻。未来の勤務予定のデータである場合は、ブランク。
【0085】
その他、従業員の業務に関する業務情報として、他の任意の情報が記憶されてよい。
【0086】
図6は、第1の取得部10により取得されるライフログ情報の一例を示す模式図である。第1の取得部10により取得されるライフログ情報のデータも、DB6に記憶される。
【0087】
図6に示す例は、従業員の生体情報及び位置情報に関する「ライフログ情報」の一例である。当該「ライフログ情報」は、以下の情報を含む。
「個人コード」
「日付」…ライフログ情報が検出された日付。
「時刻」…ライフログ情報が検出された時刻。
「種別」…ライフログ情報の種別。
「値」…ライフログ情報の内容を表すデータ。センサ装置3により検出される検出結果が格納される場合もあるし、センサ装置3の検出結果に基づいて生成されるデータが格納される場合もある。
【0088】
図7は、
図6に示す従業員の生体情報及び位置情報に関する「ライフログ情報」の具体例を示す模式図である。
【0089】
図7では、氏名が「山田太郎」の従業員に関する「ライフログ情報」が例示されている。「日付」=「2022/6/20」の以下の時刻にて、各種のライフログ情報が検出されている。
【0090】
「時刻」=「6:07:11」 「種別」=「睡眠」 「値」=「起床(覚醒)」
「時刻」=「6:08:11」 「種別」=「加速度」 「値」=「-30,5,110」
「時刻」=「6:09:28」 「種別」=「GPS」 「値」=「35.6566376,139,7459452」
「時刻」=「6:10:41」 「種別」=「体重」 「値」=「76.3」
「時刻」=「6:20:41」 「種別」=「加速度」 「値」=「87,8,30」
「時刻」=「6:31:52」 「種別」=「GPS」 「値」=「35.681111,139,766667」
「時刻」=「7:01:22」 「種別」=「心拍数」 「値」=「75」
【0091】
なお、「睡眠」は、睡眠センサにより検出可能である。「加速度」はIMUセンサにより検出可能である。「GPS」は、GPSにより検出可能である。「体重」は、体重計により検出可能であるが、ウェアラブルデバイス以外のデバイスが用いられる場合も多い。「心拍数」は、心拍センサにより検出可能である。
【0092】
図8は、第1の取得部10により取得されるライフログ情報の他の例を示す模式図である。
図8に示す例は、従業員2の睡眠状態情報に関する「ライフログ情報」の一例である。当該「ライフログ情報」は、以下の情報を含む。
【0093】
「個人コード」
「睡眠状態」…例えば、起床(覚醒)/レム睡眠/ノンレム睡眠/深い睡眠/浅い睡眠といった分類を行うことが可能である。睡眠状態を分類する方法は限定されず、任意の設定が採用可能である。
「状態開始年月日時刻」…各睡眠状態が開始した年月日時刻。
「状態終了年月日時刻」…各睡眠状態が終了した年月日時刻。
【0094】
図9は、
図8に示す従業員の睡眠状態情報に関する「ライフログ情報」の具体例を示す模式図である。
【0095】
図9では、氏名が「山田太郎」の従業員に関する「ライフログ情報」が例示されている。また
図9では、「山田太郎」の「ライフログ情報」であることが直感的に分かるように、「個人コード」の代わりに「氏名」が格納された場合が図示されている。このように、「個人コード」に代えて「氏名」が格納されてもよい。
【0096】
以下の「睡眠状態」の変移が「ライフログ情報」として取得される。
「睡眠状態」=「浅い」 「状態開始年月日時刻」=「2022年12月24日22時5分」 「状態終了年月日時刻」=「2022年12月24日22時50分」
「睡眠状態」=「起床(覚醒)」 「状態開始年月日時刻」=「2022年12月24日22時50分」 「状態終了年月日時刻」=「2022年12月24日23時5分」
「睡眠状態」=「レム」 「状態開始年月日時刻」=「2022年12月24日23時5分」 「状態終了年月日時刻」=「2022年12月24日23時46分」
「睡眠状態」=「深い」 「状態開始年月日時刻」=「2022年12月24日23時46分」 「状態終了年月日時刻」=「2022年12月24日3時25分」
「睡眠状態」=「浅い」 「状態開始年月日時刻」=「2022年12月24日3時25分」 「状態終了年月日時刻」=「2022年12月24日5時15分」
【0097】
[サーバ装置の基本動作]
図10は、サーバ装置5の基本的な動作例を示すフローチャートである。第1の取得部10により、従業員2のライフログ情報が取得される。また第2の取得部11により、従業員2の業務情報が取得される(ステップ101)。
【0098】
例えば、センサ装置3により、所定のフレームレートで定期的に従業員2に対してライフログ情報の検出が実行される。そして、検出されたライフログ情報が、ネットワーク7を介して、サーバ装置5に送信される。第1の取得部10は、センサ装置3から送信されたライフログ情報を受信する。
【0099】
または、センサ装置3がライフログ情報を送信するためのトリガが適宜設定されてもよい。例えば、所定の時刻になると、センサ装置3により、その時刻までに検出された未送信のライフログ情報が送信される。あるいは、サーバ装置5からの要求等があった場合には、センサ装置3により、それまでに検出されたライフログ情報が送信される。その他、任意の設定が採用されてよい。
【0100】
第2の取得部11は、典型的には、第1の取得部10にて取得されたライフログ情報に対応する業務情報を、DB6から取得する。例えば、ライフログ情報に関連付けられた「個人コード」を参照して、同じ「個人コード」の「個人マスター」「ウェアラブルデータ」「勤務時間データ」等を取得する。
【0101】
例えば、管理端末4により、従業員2やライフログ情報の種別等に関して、検索条件が入力される。情報検索部13により、第1の取得部10により取得されたライフログ情報から、検索条件に合致するライフログ情報が検索される。第2の取得部11は、検索されたライフログ情報に対応する業務情報を取得する。
【0102】
もちろん、これに限定されず、自動解析アプリケーションが起動し、第1の取得部10により取得されたライフログ情報に対して、解析に利用したいライフログ情報が選択されてもよい。第2の取得部11は、検索されたライフログ情報に対応する業務情報を取得する。
【0103】
情報選択部12により、業務情報に基づいて、ライフログ情報から業務に関する処理に利用することが許容される利用許容情報が選択される(ステップ102)。
【0104】
例えば、情報選択部12により、従業員2の勤務時間(就業時間)を基準として設定される利用許容時間内に検出されたライフログ情報が、利用許容情報として選択される。この場合、利用許容時間外に検出されたライフログ情報は、利用許容情報として選択されず、非利用許容情報となる。
【0105】
勤務時間を基準として設定される利用許容時間としては、例えば、勤務時間がそのまま採用される。この場合、勤務時間内に検出されたライフログ情報が、利用許容情報として選択される。また勤務時間外に検出されたライフログ情報は、非利用許容情報となる。
【0106】
これに限定されず、勤務時間とは異なる時間範囲が、利用許容時間として設定されてもよい。例えば、勤務時間が開始時刻よりも所定の時間前の時刻が、利用許容時間の開始時刻として設定されてもよい。また勤務時間の終了時刻よりも所定の時間後の時刻が、利用許容時間の終了時刻として設定されてもよい。
【0107】
例えば、従業員2が、高速バスの運転手や飛行機のパイロット等では、勤務時間よりも前の睡眠状態やアルコール値等の把握が重要となる場合もあり得る。このような場合には、勤務時間よりも数時間あるいは1日等前から検出されたライフログ情報が、利用許容情報として選択されてもよい。
【0108】
また、従業員2が、潜水士等の場合では、勤務時間終了後の所定の時間までの健康状態等の把握が重要となる場合もあり得る。このような場合には、勤務時間終了後の所定の時間までに検出されたライフログ情報が、利用許容情報として選択されてもよい。
【0109】
その他、休憩時間における睡眠状態等の把握が重要の場合は、休憩時間も含めて、利用許容時間が設定されてもよい。このように、
図5に例示するような業務情報に基づいて、勤務時間を基準とした利用許容時間の設定を柔軟に行うことが可能となる。
【0110】
なお
図5に示す「勤務時間データ」において、「出勤時刻(実績)」や「退勤時刻(実績)」がブランクの場合には、「勤務開始予定時刻」や「勤務終了予定時刻」を参照することで、従業員2の勤務時間を規定することが可能である。
【0111】
例えば、当日にリアルタイムで検出されるライフログ情報に対して利用許容情報の選択処理を実行する場合に、「出勤時刻(実績)」が格納される前のタイミングである場合には、「勤務開始予定時刻」から「勤務終了予定時刻」までの時間を従業員2の勤務時間として、利用許容時間を設定することが可能である。「出勤時刻(実績)」が格納された後であり、「退勤時刻(実績)」が格納される前のタイミングである場合には、「出勤時刻(実績)」から「勤務終了予定時刻」までの時間を従業員2の勤務時間として、利用許容時間を設定することが可能である。
【0112】
過去の日付のライフログ情報に対して利用許容情報の選択処理を実行する場合には、「出勤時刻(実績)」から「退勤時刻(実績)」までの時間、すなわち確定した勤務時間を基準として、利用許容時間を設定することが可能である。
【0113】
なお、従業員2がタイムカードの打刻等により出勤処理や退勤処理をした場合に、出勤時刻の情報や退勤時刻の情報が「出勤時刻(実績)」や「退勤時刻(実績)」に格納されるまでに、例えば15分といったタイムラグが発生する場合もあり得る。このような場合でも、「勤務開始予定時刻」や「勤務終了予定時刻」を適宜参照することで、従業員2の勤務時間を規定することが可能である。
【0114】
また例えば、情報選択部12により、従業員の勤務地を基準として設定される利用許容地域内にて検出されたライフログ情報が、利用許容情報として選択される。従って、利用許容地域外に検出されたライフログ情報は、利用許容情報として選択されず、非利用許容情報となる。
【0115】
勤務地を基準として設定される利用許容地域としては、例えば、勤務地の範囲(勤務地の敷地等)がそのまま採用される。この場合、勤務地内にて検出されたライフログ情報が、利用許容情報として選択される。また勤務地外にて検出されたライフログ情報は、非利用許容情報となる。
【0116】
これに限定されず、勤務地とは異なる範囲が、利用許容範囲として設定されてもよい。例えば、勤務地を含むより大きな範囲の地域が利用許容地域として設定されてもよい。勤務地の範囲の中の、所定の小さい範囲の地域が、利用許容地域として設定されてもよい。
【0117】
例えば、従業員2がセールスマン等であった場合には、出勤先(勤務地)と、営業先とを含む広い範囲が利用許容地域として設定されてもよい。また、従業員2が、研究員等であり、敷地内の一部の研究棟で働いている場合には、当該研究棟の範囲のみが利用許容地域として設定されてもよい。
【0118】
このように、
図5に例示するような業務情報に基づいて、勤務地を基準とした利用許容地域の設定を柔軟に行うことが可能となる。
【0119】
その他、勤務情報に基づいた利用許容情報の選択として、任意の設定が可能である。
【0120】
情報利用部14により、選択された利用許容情報が利用される(ステップ103)。利用許容情報の利用としては、例えば、利用許容情報を表示デバイスに表示することが挙げられる。本実施形態では、管理端末4のディスプレイ(表示デバイス)に、管理者8が閲覧を希望するライフログ情報のうちの利用許容情報が表示される。
【0121】
また情報利用部14により、利用許容情報を解析し、その解析結果が利用される。例えば、自動解析アプリケーションが起動し、利用許容情報の解析結果が利用されてもよい。例えば、成績が非常によい営業部の「山田太郎」の外回りの行動履歴情報(利用許容情報)が解析され、営業成績を向上させるための参考情報として共有されてもよい。その他、利用許容情報の解析結果が、業務計画、健康管理、人事管理、給与管理等、様々な業務に関する処理に利用されてもよい。
【0122】
図11~
図13は、利用許容情報の表示デバイスへの表示例を説明するための模式図である。ここでは、
図1に示す管理者8が、管理端末4のディスプレイに、従業員3のライフログ情報を表示させる場合を例に挙げて説明する。なお、
図11~
図13では、本業務管理システム1に対して、統合型業務管理システムという名称が付せられている。
【0123】
例えば管理者8は、管理端末4を使って、本業務管理システム1へログインするためのログイン画面を表示させる。そして、自分の個人コード及びパスワード等を入力して、ログインを行う。このログイン操作により、サーバ装置5は、管理端末4を使用する管理者8の情報やライフログ情報の閲覧権限等を把握することが可能となる。
【0124】
本実施形態では、
図11に示すように、ログイン後の画面において、「TOP」「共通」「就業」「入室」「給与」「人事」の各メニューの選択ボタンが表示され、管理者8は「就業」ボタン16を選択する。そして、「就業」メニュー(図示は省略)の中から「ライフログ」ボタンを選択することで、
図11に示すライフログ情報表示画面17が表示される。
【0125】
図11に示すライフログ情報表示画面17は、「検索」ボタン18と、「行動履歴」ボタン19と、「健康」ボタン20と、「睡眠」ボタン21とを含む。「検索」ボタン18は、ライフログ情報の検索条件の入力を行う際に利用される。「検索」ボタン18が選択されると、検索条件入力用のUI(User Interface)が提供される。
【0126】
具体的には、検索条件を入力するための所定のGUI(Graphical User Interface)が表示される。これに限定されず、音声によるUI(音声UI)の出力が行われてもよい。すなわち、会話形式で、ライフログ情報の検索が可能であってもよい。
【0127】
本開示において、所定のUIの提供は、GUIの表示及び音声UIの出力を含む。もちろん、これらが同時に行われてもよい
【0128】
図11に示す例では、「個人コード」=「xxxxxxxxxx」「氏名」=「山田太郎」さんの、「2022/6/20」における「行動履歴」に関するライフログ情報が、閲覧対象として指定されている。
【0129】
従って、「行動履歴」ボタン19がアクティブ状態で表示され、他の「健康」ボタン20及び「睡眠」ボタン21が非アクティブ状態で表示される。なお、「健康」ボタン20を選択することで、山田太郎さんの健康に関するライフログ情報を表示対象として指定することが可能となる。また、「睡眠」ボタン21を選択することで、山田太郎さんの睡眠に関するライフログ情報を表示対象として指定することが可能となる。
【0130】
ここでは、山田太郎さんの、勤務時間の開始から終了までの間で、休憩時間を除く時間が、利用許容時間として設定されたとする。すなわち、休憩時間を除く勤務時間内に検出された位置情報(GPS座標値)が利用許容情報として選択されている。
【0131】
管理者8は、スライダ22を左端から右側に動かして、勤務時間の開始時刻から「10:45」までの地点に移動させる。ライフログ表示領域23には、山田太郎さんがいた地域の地図が表示される。そして、当該地図上に、勤務時間の開始時刻から「10:45」までに検出されたGPSポイントと、移動経路と、GPSポイントが接続されたポイント接続線が表示される。GPSポイント、移動経路、ポイント接続線は、スライダ22の移動に対応して、変化するように表示される。すなわち、スライダ22の位置に対応する時刻(図中の取得時間)の位置までの各情報が地図上に表示される。管理者8は、勤務時間の開始時刻から「10:45」までの山田太郎さんの行動履歴を十分に把握することが可能となる。
【0132】
図12に示すように、スライダ22が休憩時間の開始時刻である「12:00」の地点に移動する。休憩時間は、利用許容時間に含まれないので、「12:00」に検出された位置情報(GPS座標値)は利用許容情報として選択されない。従って、ライフログ表示領域23から地図、GPSポイント、移動経路、及びポイント接続線は削除される。またライフログ表示領域23に、勤務時間外であるのでライフログ情報は表示できない旨の表示が行われる。
【0133】
スライダ22が、休憩時間の終了時刻を過ぎると、検出された位置情報(GPS座標値)が利用許容情報として選択される。そして、ライフログ表示領域23には、地図、GPSポイント、移動経路、及びポイント接続線が表示される。その際には、休憩時間に対応する情報は、表示されないので、途中で途切れたような経路等が表示される。
【0134】
なお、
図11に示す「データあり」の表示は、山田太郎さんの位置情報(GPS座標値)が利用許容情報として選択されていることに対応する。
図12に示す「データなし」の表示は、山田太郎さんの位置情報(GPS座標値)が利用許容情報として選択されないおことに対応する。このような表示により、管理者8は、地図等が表示される場合及び表示されない場合の理由を把握することが可能となる。もちろん、「この時間帯の情報は閲覧できません」といった旨の情報が表示されてもよい。
【0135】
図13に示す例では、「健康」ボタン20が選択され、山田太郎さんの健康に関するログライフ情報が表示対象として指定される。
図13に示すように、「脈拍数」「呼吸数」「血圧」「体温」の4つのライフログ情報を参照することが可能であり、
図13では「2022/6/20」における脈拍数のライフログ情報が表示されている。具体的には、横軸を時間、縦軸を脈拍数とするグラフが、ライフログ表示領域23に表示される。
【0136】
ここでは勤務時間である「8:00」~「18:00」のうち、休憩時間の「12:00」~「13:00」を除く時間が利用許容時間であるとする。利用許容時間内に検出された脈拍数については、利用許容情報として選択される。休憩時間の「12:00」~「13:00」に検出された脈拍数については、利用許容情報として選択されず、非利用許容情報となる。
【0137】
図13に示すように、ライフログ表示領域23に表示された脈拍数のグラフにおいて、休憩時間の「12:00」~「13:00」には、脈拍数のデータは表示されず、ブランクとなっている。管理者8は、休憩時間を除く勤務時間において、山田太郎さんの脈拍数を十分に把握することが可能となる。
【0138】
以上、本実施形態に係る業務管理システム1では、従業員2の業務情報に基づいて、従業員2のライフログ情報から業務に関する処理に利用することが許容される利用許容情報が選択される。そして、選択された利用許容情報が利用される。これにより、従業員2のライフログ情報を業務管理に適正に利用することが可能となる。
【0139】
業務の効率化や勤怠管理を実現するために、会社で支給しているスマートフォンやウェアラブル端末を使い、社員の居場所や健康状態を把握することは、有効な方法であると考えられる。一方で、時間や地域の制限なく、いつでも社員の居場所や健康状態が把握されている状態であると、四六時中監視されるストレスにより、社員のモチベーションが下がってしまったり、プライバシーの観点から問題となる場合もあり得る。
【0140】
本実施形態に係る業務管理システム1では、従業員2の業務情報に基づいて、従業員から検出されるライフログ情報から、利用許容情報が適宜選択される。これにより、例えば、従業員2のプライバシーを適正に保護しつつ、企業等が従業員2のライフログ情報を適切に取得して利用できるシステムを実現することが可能となる。
【0141】
例えば、本発明を適用することで、以下の動作1~3を連携して実行させることも可能となる。
(動作1)
従業員2ライフログ情報をサーバ装置5に送信して、DB6に蓄積する。
(動作2)
タイムレコーダ等により、従業員2の出退勤情報を収集して蓄積する。
(動作3)
管理者8が管理端末4により、本業務管理サービスを提供するアプリケーションを起動させ、サーバ装置5に対して、閲覧を希望するライフログ情報を検索する。当該検索結果から、利用許容情報を選択することで、範囲を適切に限定して、管理端末4の表示ディスプレイに表示する。
【0142】
本実施形態において、業務管理システム1は、本発明に係る情報処理システムの一実施形態に相当する。
【0143】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態に係る業務管理システムについて説明する。これ以降の説明では、上記の実施形態で説明した業務管理システム1における構成及び作用と同様な部分については、その説明を省略又は簡略化する。
【0144】
図14は、本実施形態に係るサーバ装置25の機能的な構成例を示すブロック図である。本実施形態では、サーバ装置25のプロセッサが所定のプログラムを実行することで、機能ブロックとして、さらに、条件設定部26と、UI提供部27と、履歴管理部28とが構成される。
【0145】
条件設定部26は、ライフログ情報が利用許容情報として選択されるための利用許容条件を設定する。利用許容条件は、利用許容ルールともいえる。また、利用許容情報の表示等の利用許容情報の公開を、利用許容情報の代表例として、利用許容条件を公開条件や公開ルールと呼ぶことも可能である。
【0146】
また条件設定部26は、ライフログ情報が非利用許容情報として選択されるための非利用許容条件を設定する。非利用許容条件を、非利用許容ルール、非公開条件、非公開ルールといった名称で呼ぶことも可能である。
【0147】
UI提供部27は、所定の端末を介して前記利用許容条件を入力するための条件入力用UIを提供する。また、UI提供部27は、ライフログ情報が検出された従業員2に対して、ライフログ情報を利用許容情報として選択することの承諾の有無を入力するための承諾用UIを提供する。
【0148】
UI提供部27は、本発明に係る条件入力用UI提供部の一実施形態として機能する。またUI提供部27は、本発明に係る承諾入力用UI提供部としても機能する。
【0149】
履歴管理部28は、情報利用部14による利用許容情報の利用に関する履歴情報を管理する。例えば、いつ、どのようなライフログ情報(利用許容情報)が、どのような処理に利用されたかといった情報が、履歴情報としてDB6に記憶される。また、利用されたライフログ情報(利用許容情報)に関して、対象となる従業員2や、検出された時期、閲覧範囲等、様々な情報が、履歴情報としてDB6に記憶される。
【0150】
各従業員2は、履歴情報を参照することで、自分のライフログ情報がどのような処理に利用されたかといった情報を確認することが可能となる。また、自分のライフログ情報の確認も可能となる。
【0151】
図15は、DB6に記憶される「条件データ」の一例を示す模式図である。
【0152】
図15に示すように、「条件データ」は、以下の情報を含む。
「条件名」…条件の名称。管理者8等の利用許容条件を作成する人物により入力することが可能である。
【0153】
「許容/非許容」…「条件データ」が利用許容条件のデータであるか、非利用許容条件のデータであるかを示す情報。すなわち、この情報が「許容」である場合には、上記した「条件名」は、利用許容条件の名称となる。一方で、この情報が「非許容」である場合には、上記した「条件名」は、非利用許容条件の名称となる。
【0154】
「条件対象時間」…本条件の対象となる時間。「条件データ」が利用許容条件のデータである場合には、この情報は、検出されたライフログ情報が利用許容情報として選択される利用許容時間となる。一方で、「条件データ」が非利用許容条件のデータである場合には、この情報は、検出されたライフログ情報が非利用許容情報として選択される非利用許容時間となる。
【0155】
「条件対象地域」…本条件の対象となる地域。「条件データ」が利用許容条件のデータである場合には、この情報は、検出されたライフログ情報が利用許容情報として選択される利用許容地域となる。一方で、「条件データ」が非利用許容条件のデータである場合には、この情報は、検出されたライフログ情報が非利用許容情報として選択される非利用許容地域となる。
【0156】
「ライフログ情報種別」…本条件が適用される対象となるライフログ情報の種別。「条件データ」が利用許容条件のデータである場合には、利用許容条件の対象となるライフログ情報の種別となる。一方で、「条件データ」が非利用許容条件のデータである場合には、非利用許容条件の対象となるライフログ情報の種別となる。
【0157】
ライフログ情報の種別を適宜選択することで、条件設定部26により、種別ごとに利用許容条件及び非利用許容条件の設定が可能となる。
【0158】
「本人承諾必要/不要」…ライフログ情報を利用許容情報又は非利用許容情報として選択する際に、当該ライフログ情報が検出された従業員本人の承諾が必要か否かの情報。なお、「条件データ」が非利用許容条件のデータである場合には、「本人承諾必要/不要」の項目の情報が用いられなくてもよい。その場合、当該項目の情報はブランクとなる。
【0159】
「閲覧権限」…利用許容情報又は非利用許容情報として選択されるライフログ情報を参照するために必要な権限。なお、「条件データ」が非利用許容条件のデータである場合には、「閲覧権限」の項目の情報が用いられなくてもよい。その場合、当該項目の情報はブランクとなる。
【0160】
図15に示す「許容/非許容」が「許容」の場合は、
図15に関する各情報は、利用許容条件に含まれる条件となる。「条件対象時間」は、本発明に係るライフログ情報が検出された時間に関する条件の一実施形態となる。「条件対象地域」は、本発明に係るライフログ情報が検出された位置に関する条件の一実施形態となる。「ライフログ情報種別」は、本発明に係るライフログ情報の種別に関する条件の一実施形態となる。「本人承諾必要/不要」は、本発明に係るライフログ情報が検出された従業員の承諾の有無に関する条件の一実施形態となる。「閲覧権限」は、利用許容情報の利用権限の有無に関する条件の一実施形態となる。
【0161】
図15に示す「許容/非許容」が「非許容」の場合は、
図15に関する各情報は、非利用許容条件に含まれる条件となる。「条件対象時間」は、本発明に係るライフログ情報が検出された時間に関する条件の一実施形態となる。「条件対象地域」は、本発明に係るライフログ情報が検出された位置に関する条件の一実施形態となる。「ライフログ情報種別」は、本発明に係るライフログ情報の種別に関する条件の一実施形態となる。
【0162】
図16は、
図15に示す「条件データ」の具体例を示す模式図である。
【0163】
図16に示す例では、名称が「勤務中の健康状況チェック」となる利用許容条件のデータが図示されている。各項目の情報は以下の通りとなる。
「許容/非許容」=「許容」
「条件対象時間」=「勤務時間」
「条件対象地域」=「本社」
「本人承諾」=「不要」
「ライフログ情報種別」=「体温・心拍数」
「閲覧権限」=「本人・人事」
【0164】
また
図16に示す例では、名称が「運転可否状況チェック」となる利用許容条件のデータが図示されている。各項目の情報は以下の通りとなる。
「許容/非許容」=「許容」
「条件対象時間」=「0:00~24:00」
「条件対象地域」=「全エリア」
「本人承諾」=「必要」
「ライフログ情報種別」=「睡眠時間・アルコール値」
「閲覧権限」=「本人・管理者」
【0165】
また
図16に示す例では、名称が「勤務外の健康状況チェック」となる非利用許容条件のデータが図示されている。各項目の情報は以下の通りとなる。
「許容/非許容」=「非許容」
「条件対象時間」=「勤務時間外」
「条件対象地域」=「全エリア」
「本人承諾」=「必要」
「ライフログ情報種別」=「睡眠時間・アルコール値」
「閲覧権限」=「本人・健康管理者」
【0166】
図17は、利用許容条件及び非利用許容条件を入力するための条件入力用GUIの一例を示す模式図である。
図17に示す条件入力用GUIは、条件名入力部30と、許容/非許容選択部31と、条件対象時間入力部32と、条件対象地域入力部33と、ライフログ情報種別入力部34と、本人承諾必要/不要選択部35と、閲覧権限入力部36とを含む。
【0167】
条件名入力部30には、管理者8が自由にテキストを入力して、条件名を入力することが可能である。
【0168】
許容/非許容選択部31は、許容ボタンと非許容ボタンとが準備され、いずれかのボタンを選択することで、利用許容条件の入力であるか、非利用許容条件の入力であるかを選択することが可能である。もちろん、このような構成に限定されず、「許容」と「非許容」とを選択可能な任意の構成が採用されてよい。
【0169】
条件対象時間入力部32では、「勤務中」「勤務時間外」「時間指定」の3つの選択肢が準備されている。管理者は、ラジオボタンの選択、及び時間の入力を適宜行うことで、条件対象時間を入力することが可能となる。もちろん、このような構成に限定されず、条件対象時間を入力可能な任意の構成が採用されてよい。
【0170】
条件対象地域入力部33では、「全エリア」を含む様々な地域指定が、プルダウンメニューにより選択することが可能である。もちろん、このような構成に限定されず、条件対象地域を入力可能な任意の構成が採用されてよい。
【0171】
ライフログ情報種別入力部34では、選択可能なライフログ情報の種別がチェックボックスとともに一覧表示される。管理者8は、チェックボックスに適宜チェックを入力することで、本条件が適用される対象となるライフログ情報の種別を入力することが可能となる。もちろん、このような構成に限定されず、ライフログ情報の種別を入力可能な任意の構成が採用されてよい。
【0172】
本人承諾必要/不要選択部35では、「必要」「不要」の選択肢が準備されている。管理者は、ラジオボタンを適宜選択することで、本人承諾が必要であるか不要であるかを選択することが可能である。もちろん、このような構成に限定されず、本人の承諾が必要であるか不要であるかを選択可能な任意の構成が採用されてよい。
【0173】
閲覧権限入力部36では、「本人」「管理者」「人事」「健康管理者」「指定」の5つの選択肢が準備されている。管理者は、ラジオボタンの選択、及び対象者(対象権限)の入力を適宜行うことで、閲覧権限を入力することが可能となる。もちろん、このような構成に限定されず、閲覧権限を入力可能な任意の構成が採用されてよい。
【0174】
図18は、本人承諾が必要であるか不要であるかを入力するための本人承諾必要/不要選択部35のGUI構成の他の例である。
図18に示す例では、「条件名」ごとに、本人承諾の「必要」「不要」の選択肢が準備されている。管理者8は、条件名ごとに、本人承諾が必要であるか不要であるかを容易に選択することが可能となり、高い操作性が実現される。また、利用許容条件ごとの本人承諾の「必要」「不要」を、一覧で確認することが可能となり、現状の条件設定を容易に把握することが可能となる。
【0175】
図19は、従業員2に提供される承諾入力用GUIの一例を示す模式図である。
図19に示す承諾入力用GUIは、条件名表示部39と、承諾/非承諾選択部40と、詳細ボタン41とを含む。
【0176】
条件表示部39には、本人承諾が必要という条件が設定された利用許容条件の条件面が一覧表示される。
【0177】
承諾/非承諾選択部40は、承諾ボタンと非承諾ボタンとが準備され、いずれかのボタンを選択することで、承諾及び非承諾を選択することが可能となる。承諾ボタンが選択されると、本人の意思情報として承諾が入力される。非承諾ボタンが選択されると、本人の意思情報として非承諾が入力される。もちろん、このような構成に限定されず、「承諾」と「非承諾」とを選択可能な任意の構成が採用されてよい。
【0178】
詳細ボタン41が選択されると、各利用許容条件の詳しい内容が表示される。従業員2は、利用許容条件の詳しい情報を確認しながら、承諾又は非承諾を入力することが可能である。
【0179】
図20は、DB6に記憶される「個人承諾データ」の一例を示す模式図である。
図20に示すように、「個人承諾データ」は、以下の情報を含む。
「個人コード」…利用許容条件に対して承諾した従業員の個人コード。
「利用許容条件名」…承諾された利用許容条件の名称。
「承諾年月日時刻」…承諾が入力された年月日時刻。
【0180】
図19に示すような承諾用GUIを介して、本人の承諾が入力された場合、
図20に示す「個人承諾データ」が生成され、DB6に記憶される。もちろん、音声UIが提供され、会話形式等で、利用許容条件に関する承諾及び非承諾が入力されてもよい。
【0181】
承諾用UIを提供して、従業員2本人の意思を確認するタイミングは限定されず、任意のタイミングで承諾用UIの提供が実行されてよい。例えば、本人承諾が必要な利用許諾条件が設定されたタイミングで、各従業員2に承諾用UIが提供されてもよい。あるいは、本人承諾が必要な利用許諾条件に従ってライフログ情報が利用許諾情報と選択されるタイミングにて、当該ライフログ情報が検出された従業員に対して、承諾用UIが提供されてもよい。
【0182】
図21は、サーバ装置25による利用許容情報の選択の動作例を示すフローチャートである。
【0183】
まず、利用許容条件が選択される。具体的には、DB6に記憶されている「条件データ」から、利用許容条件データが選択される(ステップ201)。次に、利用許容判定の対象となるライフログ情報が選択される(ステップ202)。次に、ステップ202にて選択されたライフログ情報のうち、ステップ201にて選択された利用許容条件に合致するライフログ情報が、利用許容情報として選択される(ステップ203)。
【0184】
このように、本実施形態では、条件設定部26により設定された、ライフログ情報が利用許容情報として選択されるための利用許容条件に基づいて、ライフログ情報から利用許容情報が選択される。
【0185】
図22は、利用許容情報の選択の具体例を示すフローチャートである。
図1に示す管理端末4等の本業務管理システム1にログイン中の端末を介して、ライフログ情報を利用する機能が選択されたか否かが監視される(ステップ301)。
【0186】
例えば、
図11~
図13に例示するようなGUIにおいて、「就業」メニューの中から「ライフログ」ボタンが選択される。そして、「行動履歴」ボタン19、「健康」ボタン20、及び「睡眠」ボタン21のいずれかが選択される。このような場合に、ステップ301はYesとなり、ステップ302に進む。
【0187】
ステップ302では、選択されたライフログ情報を利用する機能に関連する利用許容条件が選択される。例えば、「行動履歴」ボタン19が選択された場合には、「行動履歴」に関連する利用許容条件が選択される。「健康」ボタン20が選択された場合には、「健康」に関連する利用許容条件が選択される。「睡眠」ボタン21が選択された場合には、「睡眠」に関連する利用許容条件が選択される。
【0188】
これに限定されず、端末の表示デバイスに各利用許容条件の「条件名」が一覧表示され、操作者により「条件名」が選択されてもよい。情報選択部12は、管理者8等に選択された「条件名」の利用許容条件を選択する。あるいは、「どのようなライフログ情報を利用しますか?」といったUIが提示され、利用許容条件の絞り込みが行われてもよい。
【0189】
次に、管理者8等の端末の操作者に閲覧権限があるか否かが判定される(ステップ303)。当該判定は、例えばステップ302で選択された利用許容条件に含まれる閲覧権限の情報と、端末のログイン情報等から得られる操作者の権限情報とを比較することで実行される。もちろんこれに限定されず、操作者の権限を確認するためのUIが提供されてもよい。
【0190】
端末の操作者に閲覧権限がない場合には(ステップ303のNo)、利用許容情報の選択は終了する。
【0191】
端末の操作者に閲覧権限がある場合には(ステップ303のYes)、情報検索部13により、端末を介して入力された検索条件に基づいて、ライフログ情報が検索される(ステップ304)。例えば、操作者が閲覧を希望する従業員の指定や、閲覧を希望するライフログ情報の種類、ライフログ情報が検出された期間等が、検索条件として入力される。
【0192】
本人承諾が必要か否か判定される(ステップ305)。当該判定は、ステップ302で選択された利用許容条件に含まれる本人承諾が必要か不要かの情報に基づいて判定される。本人承諾が必要の場合(ステップ304のYes)、本人承諾が確認されたか否か、すなわち従業員2本人により承諾が入力されているか否かが判定される(ステップ306)。
【0193】
例えば、
図20に示す「個人承諾データ」が参照され、ステップ304にて検索条件として入力された従業員2の、ステップ302にて選択された利用許容条件に関する個人承諾の有無が判定される。本人承諾が確認されない場合には(ステップ306のNo)、利用許容情報の選択は終了する。
【0194】
なお、ステップ306にて、本人承諾が確認されない場合に、対象となる従業員2に対して、承諾用UIが提供されて、従業員本人の意思が確認されてもよい。そして、本人承諾が拒否された場合(非承諾が入力された場合)や、所定の時間が経過するまでに回答がない場合に、利用許容情報の選択が終了してもよい。
【0195】
ステップ305にて本人承諾が不要と判定された場合、又はステップ306にて本人承諾が確認された場合には、ステップ307に進む。ステップ307では、ステップ304で検索された検索結果のうち利用許容条件に合致するライフログ情報が、利用許容情報として選択される。すなわち、情報選択部12により、情報検索部13による検索結果から、利用許容情報が選択される。
【0196】
図22に示すフローチャートにおいてステップ301及び302は、
図21に示すステップ201に対応する。ステップ304は、ステップ202に対応する。ステップ303、305~307が、ステップ203に対応する。
【0197】
もちろん、利用許容条件を用いた利用許容情報の選択として、
図20や
図21に示すフローに限定されず、他の任意のフローが採用されてよい。
【0198】
なお、本実施形態では、非利用許容条件を用いた非利用許容情報の選択も実行可能である。例えば、
図20に示すフローを、非利用許容情報の選択に対応させることが可能である。すなわち、非利用許容条件の選択ステップ、非利用許容判定の対象となるライフログ情報の選択ステップ、非利用許容条件に合致するライフログ情報を非利用許容情報として選択するステップを実行することが可能である。
【0199】
また
図21に示すフローにおいて、ステップ303の閲覧権限の判定ステップ、ステップ305及び306の、本人承諾の判定ステップを削除したフローにて、非利用許容情報の選択を対応させることが可能である。すなわち、ライフログ情報を非利用とする機能が選択されたか否かを監視するステップ、選択された機能に関連する非利用許容条件の選択ステップ、検索結果に基づいてライフログ情報を検索するステップ、検索結果から非利用許容条件に合致するライフログ情報を、非利用許容情報として選択するステップを実行することが可能である。
【0200】
以上、本実施形態では、利用許容条件及び非利用許容条件を適宜設定することが可能であり、設定された利用許容条件及び非利用許容条件に基づいて、利用許容情報及び非利用許容情報を選択することが可能となる。これにより、ライフログ情報の利用に関して、さらに詳細な設定が可能となり、従業員2のライフログ情報を業務管理に適正に利用することが可能となる。
【0201】
<第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態に係る業務管理システムについて説明する。本実施形態では、利用許容情報の選択に関して、従業員2の状態についての判定が実行される。そして、従業員2が所定の状態である場合には、情報選択部12により、従業員2から検出されたライフログ情報に対して、所定の状態に対応する利用許容条件に基づいて利用許容情報の選択が実行される。
【0202】
上記の「所定の状態」としては、例えば従業員2が機密情報を漏洩させる危険性がある状態が挙げられる。例えば、従業員2が、機密情報を内部の記憶デバイスに格納するPC等のコンピュータを持ち出す状態を、従業員2が機密情報を漏洩させる危険性がある状態として設定することが可能である。もちろん、このような状態に限定されず、例えば機密情報を含むDB等にアクセス可能であり、かつ外部と通信可能な状態を、機密情報を漏洩させる危険性がある状態として設定することが可能である。
【0203】
従業員2が機密情報を漏洩させる危険性がある状態に対応する利用許容条件としては、例えば、その状態の従業員から検出されるライフログ情報は、全て利用許容情報として選択するといった条件が挙げられる。機密情報を漏洩させる危険性がある状態の従業員2に対しては、当該従業員2がどこにいて、どのような状況なのかといった情報を、優先的に利用許容情報とする。これにより、機密情報の漏洩の防止を図ることが可能となる。
【0204】
もちろん、このような利用許容条件に限られるわけではない。従業員2が機密情報を漏洩させる危険性がある状態に対応する利用許容条件として、従業員2が通常状態(機密情報を漏洩させる危険性がある状態に該当しない状態)に対応する利用許容条件よりも、利用許容範囲が広い様々な条件を設定することが可能となる。
【0205】
図23は、利用許容情報の選択の具体例を示すフローチャートである。
図24は、DB6に記憶される「機密情報持ち出し申請データ」の一例を示す模式図である。
【0206】
図22に示すステップ401~404は、
図21に示すステップ301~304と同様である。
【0207】
本実施形態では、ステップ405にて、利用許容判定の対象となるライフログ情報が検出された従業員2(ステップ404にて検出条件として入力された従業員2)が、機密情報持ち出し状態であるか否かが判定される。すなわち、ステップ405にて、従業員2が機密情報を漏洩させる危険性がある状態である否かが判定される。
【0208】
当該判定は、
図24に示す「機密情報持ち出し申請データ」を参照することで実行することが可能である。
図24に示すように、「機密情報持ち出し申請データ」は、以下の情報を含む。
【0209】
「個人コード」
「対象機器名称」…持ち出される対象機器名称(機密情報を内部に保有する機器の名称)。
「ステータス」…機器を持ち出し中であるか否かを示す情報。
「承認個人コード」…機器の持ち出しを承認した者の個人コード。
「持ち出し開始予定年月日時刻」…機器の持ち出しを開始する予定の年月日時刻。
「持ち出し終了予定年月日時刻」…機器の持ち出しを終了する予定の年月日時刻。
【0210】
「機密情報持ち出し申請データ」を参照して、例えば、「ステータス」が機器の持ち出し中である場合には、従業員2は、機密情報を漏洩させる危険性がある状態と判定される。これに限定されず、「ステータス」が機器の持ち出し中でなくても、現在時刻が、「持ち出し開始予定年月日時刻」~「持ち出し終了予定年月日時刻」に含まれる場合には、従業員2は機密情報を漏洩させる危険性がある状態であると判定されてもよい。
【0211】
従業員2が、機密情報を漏洩させる危険性がある状態である場合には(ステップ405のYes)、当該状態に対応する利用許容条件に基づいて利用許容情報の選択が行われる。
図24に示す例では、当該従業員2に関して検索されたライフログ情報が利用許容情報として選択される(ステップ406)。
【0212】
従業員2が、機密情報を漏洩させる危険性がある状態ではない場合には(ステップ405のNo)、ステップ407~409が実行される。当該ステップ407~409は、
図21に示すステップ305~307と同様である。
【0213】
なお、管理者8等により、機密情報持ち出し中の従業員2のライフログ情報の閲覧要求等が入力可能であってもよい。例えば、「機密情報持ち出し申請データ」の一覧が、管理端末4に表示される。管理者8等により「機密情報持ち出し申請データ」が選択されると、当該データの「個人コード」に対応する従業員2に対して検出されるライフログ情報が、利用許容情報として生成され、閲覧可能な状態になる。このような処理も可能である。
【0214】
以上、本実施形態では、従業員2が所定の状態であるか否かが判定され、所定の状態である場合には、所定の状態に対応する利用許容条件に基づいて利用許容情報の選択が実行される。これにより、ライフログ情報の利用に関して、さらに詳細な設定が可能となり、従業員2のライフログ情報を業務管理に適正に利用することが可能となる。
【0215】
なお、「所定の状態」として、従業員2が機密情報を漏洩させる危険性がある状態とは異なる状態を設定することも可能である。例えば、所定の健康状態である場合や、所定の地域にいる状態等、様々な従業員2の状態を、「所定の状態」として本発明を適用することが可能である。
【0216】
<その他の実施形態>
本発明は、以上説明した実施形態に限定されず、他の種々の実施形態を実現することができる。
【0217】
図25は、従業員2からライフログ情報を検出するセンサ装置3の機能的な構成例を示す模式図である。
図25に示すように、センサ装置3のプロセッサが所定のプログラムを実行することで、機能ブロックとして、条件参照部43、ライフログ情報出力制御部44、及びUI提供部45が実現される。
【0218】
条件参照部43は、DB6に記憶されている「条件データ」を参照する。すなわち、条件参照部43は、DB6にアクセスして、利用許容条件及び非利用許容条件を参照する。その他、サーバ装置5から、「条件データ」がセンサ装置3に送信されてもよい。そして、利用許容条件の参照が実行されてもよい。
【0219】
ライフログ情報出力制御部44は、センサ装置3により検出されたライフログ情報の外部への出力を制御する。すなわち、ライフログ情報出力制御部44により、ライフログ情報のサーバ装置5への送信が制御される。
【0220】
ライフログ情報出力制御部44は、条件取得部43により取得される利用許容条件及び非利用許容条件に基づいて、検出されるライフログ情報のうち、利用許容情報として選択されない非利用許容情報の出力を規制する。すなわち、ライフログ情報出力制御部44は、利用許容情報として選択されない非利用許容情報に関しては、サーバ装置5への送信を行わない。
【0221】
すなわち、ライフログ情報出力制御部44は、利用許容情報として選択される可能性のあるライフログ情報や、利用許容情報として選択される可能性のあるライフログ情報を生成するために必要な検出結果については、ネットワーク7を介してサーバ装置6に送信する。
【0222】
一方、ライフログ情報出力制御部44は、利用許容情報として選択される可能性のないライフログ情報や、利用許容情報として選択される可能性のないライフログ情報を生成するために必要な検出結果については、サーバ装置5への送信を規制する。
【0223】
例えば、利用許容情報として選択するために従業員2の本人承諾が必要であるが、当該本人承諾が確認できない場合は、該当するライフログ情報のサーバ装置5への送信が規制される。
【0224】
なお、本人承諾が確認できない場合に、UI提供部45により承諾用UIが提供され、従業員本人の意思が確認されてもよい。本人の承諾が入力されれば、サーバ装置5への出力が実行される。本人の承諾が入力されない場合は、サーバ装置5への出力は行われない。
【0225】
図26は、センサ装置3によるライフログ情報の送信例を示すフローチャートである。ここでは、従業員2の起床(覚醒)をトリガとして、「睡眠状態」のライフログ情報をサーバ装置5に送信するか否かの判定が行われる場合を例に挙げる。
【0226】
従業員2の起床(覚醒)が監視される(ステップ501)。条件参照部43により、DB6に記憶されている利用許容条件が参照される(ステップ502)。
【0227】
条件参照部43により、「睡眠状態」が利用対象種別となる利用許容条件があるか否かが判定される(ステップ503)。「睡眠状態」が利用対象種別となる利用許容条件がない場合は(ステップ503のNo)、その旨の情報が、ライフログ情報出力制御部44に出力される。ライフログ情報出力制御部44は、「睡眠状態」のライフログ情報は、利用許容情報として選択されない非利用許容情報であると判定し、サーバ装置5への送信は実行せず、処理は終了する。
【0228】
「睡眠状態」が利用対象種別となる利用許容条件がある場合は(ステップ503のYes)、その旨の情報が、ライフログ情報出力制御部44に出力される。
【0229】
ライフログ情報出力制御部44により、本人承諾が必要か否かの判定(ステップ504)、及び本人承諾の確認判定(ステップ505)が実行される。ステップ504にて本人承諾が必要と判定され、ステップ505にて本人承諾が確認されない場合には、「睡眠状態」のライフログ情報は、利用許容情報として選択されない非利用許容情報であると判定し、サーバ装置5への送信は実行せず、処理は終了する。
【0230】
ステップ504にて本人承諾が不要と判定された場合、及びステップ505にて本人承諾が確認された場合には、「睡眠状態」のライフログ情報は、利用許容情報として選択されるライフログ情報であると判定し、「睡眠状態」の情報がサーバ装置5へ送信される(ステップ506)。
【0231】
このように、利用許容条件に基づいて、センサ装置3からサーバ装置5へのライフログ情報の送信が制御されてもよい。これにより、DB6の記憶容量の節約や、通信データ量の削減を図ることが可能となる。
【0232】
図27は、利用許容情報の利用に関する基準値について説明するための模式図である。
図27に示す例では、以下に示すように、各種別のライフログ情報に対して、「基準値」が設定される。
【0233】
「体温」…「35.0~37.5」
「心拍数」…「60~100」
「睡眠情報」…「6h以下」
「アルコール値」…「0.5%以上」
【0234】
「基準値」は、ライフログ情報が利用許容情報として選択された場合に、業務に関する処理に利用される際に参照される情報である。例えば、検出されるライフログ情報(利用許容情報)の値が「基準値」として設定された範囲等に合致した場合に、業務に関する処理に利用される。このような設定が可能である。
【0235】
これに限定されず、検出されるライフログ情報(利用許容情報)の値が「基準値」として設定された範囲等に合致する場合と、合致しない場合とで、異なる属性の情報として利用される。例えば、「基準値」に基づいて、ライフログ情報(利用許容情報)が基準値合致情報であるか、非基準値合致情報であるかが判定され、互いに異なる情報として適宜使い分けられる。あるいは、例えばライフログ情報(利用許容情報)が基準値合致情報であるか、非基準値合致情報であるかが、識別可能なような表示や公開が実行される。このような設定も可能である。
【0236】
例えば、利用許容情報の利用が、表示デバイスへの表示や、所定の人物への通知であるとする。この場合、例えば、検出されるライフログ情報(利用許容情報)が基準値合致情報である場合のみ、表示や通知が行われる。あるいは、検出されるライフログ情報(利用許容情報)が基準値合致情報であるか、非基準値合致情報であるかが識別可能なように、表示や通知が実行される。例えば、基準値合致情報(あるいは非基準値合致情報)である場合には、警告(アラート)とともに、表示や通知が行われる。このような設定も可能である。
【0237】
図28は、センサ装置3、管理端末4、及びサーバ装置5として用いることが可能なコンピュータ60のハードウェア構成例を示すブロック図である。なお、センサ装置3には、さらにセンサが備えられる。
【0238】
コンピュータ60は、CPU61、ROM62、RAM63、入出力インタフェース65、及びこれらを互いに接続するバス64を備える。入出力インタフェース65には、表示部66、入力部67、記憶部68、通信部69、及びドライブ部70等が接続される。
表示部66は、例えば液晶、EL等を用いた表示デバイスである。入力部67は、例えばキーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、その他の操作装置である。入力部67がタッチパネルを含む場合、そのタッチパネルは表示部66と一体となり得る。
記憶部68は、不揮発性の記憶デバイスであり、例えばHDD、フラッシュメモリ、その他の固体メモリである。ドライブ部70は、例えば光学記録媒体、磁気記録テープ等、リムーバブルの記録媒体71を駆動することが可能なデバイスである。
通信部69は、LAN、WAN等に接続可能な、他のデバイスと通信するためのモデム、ルータ、その他の通信機器である。通信部69は、有線及び無線のどちらを利用して通信するものであってもよい。通信部69は、コンピュータ60とは別体で使用される場合が多い。
上記のようなハードウェア構成を有するコンピュータ60による情報処理は、記憶部68またはROM62等に記憶されたソフトウェアと、コンピュータ60のハードウェア資源との協働により実現される。具体的には、ROM62等に記憶された、ソフトウェアを構成するプログラムをRAM63にロードして実行することにより、本発明に係る情報処理方法が実現される。
プログラムは、例えば記録媒体71を介してコンピュータ60にインストールされる。あるいは、グローバルネットワーク等を介してプログラムがコンピュータ60にインストールされてもよい。その他、コンピュータ読み取り可能な非一過性の任意の記憶媒体が用いられてよい。
【0239】
ネットワーク等を介して通信可能に接続された複数のコンピュータが協働することで、本発明に係る情報処理方法(利用許容情報の選択方法/利用許容情報の利用方法)及びプログラムが実行され、本発明に係る情報処理システムや情報処理装置が構築されてもよい。
すなわち本発明に係る情報処理方法、及びプログラムは、単体のコンピュータにより構成されたコンピュータシステムのみならず、複数のコンピュータが連動して動作するコンピュータシステムにおいても実行可能である。
なお本開示において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、すべての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれもシステムである。
【0240】
コンピュータシステムによる本発明に係る情報処理方法、及びプログラムの実行は、例えばライフログ情報の取得、業務情報の取得、利用許容情報の選択、利用許容情報の利用等が、単体のコンピュータにより実行される場合、及び各処理が異なるコンピュータにより実行される場合の両方を含む。また所定のコンピュータによる各処理の実行は、当該処理の一部または全部を他のコンピュータに実行させその結果を取得することを含む。
すなわち本発明に係る情報処理方法及びプログラムは、1つの機能をネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成にも適用することが可能である。
【0241】
各図面を参照して説明した業務管理システム、センサ装置、サーバ装置、管理端末、DB、条件入力用GUI、承諾入力用GUIの各構成、利用許容情報の選択、利用許容情報の利用等の各処理フロー等はあくまで一実施形態であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、任意に変形可能である。すなわち本発明を実施するための他の任意の構成やアルゴリズム等が採用されてよい。
【0242】
本開示において、説明の理解を容易とするために、「略」「ほぼ」「おおよそ」等の文言が適宜使用される場合がある。一方で、これら「略」「ほぼ」「おおよそ」等の文言を使用する場合と使用しない場合とで、明確な差異が規定されるわけではない。
すなわち、本開示において、「中心」「中央」「均一」「等しい」「同じ」「直交」「平行」「対称」「延在」「軸方向」「円柱形状」「円筒形状」「リング形状」「円環形状」等の、形状、サイズ、位置関係、状態等を規定する概念は、「実質的に中心」「実質的に中央」「実質的に均一」「実質的に等しい」「実質的に同じ」「実質的に直交」「実質的に平行」「実質的に対称」「実質的に延在」「実質的に軸方向」「実質的に円柱形状」「実質的に円筒形状」「実質的にリング形状」「実質的に円環形状」等を含む概念とする。
例えば「完全に中心」「完全に中央」「完全に均一」「完全に等しい」「完全に同じ」「完全に直交」「完全に平行」「完全に対称」「完全に延在」「完全に軸方向」「完全に円柱形状」「完全に円筒形状」「完全にリング形状」「完全に円環形状」等を基準とした所定の範囲(例えば±10%の範囲)に含まれる状態も含まれる。
従って、「略」「ほぼ」「おおよそ」等の文言が付加されていない場合でも、いわゆる「略」「ほぼ」「おおよそ」等を付加して表現される概念が含まれ得る。反対に、「略」「ほぼ」「おおよそ」等を付加して表現された状態について、完全な状態が必ず排除されるというわけではない。
【0243】
本開示において、「Aより大きい」「Aより小さい」といった「より」を使った表現は、Aと同等である場合を含む概念と、Aと同等である場合を含まない概念の両方を包括的に含む表現である。例えば「Aより大きい」は、Aと同等は含まない場合に限定されず、「A以上」も含む。また「Aより小さい」は、「A未満」に限定されず、「A以下」も含む。
本技術を実施する際には、上記で説明した効果が発揮されるように、「Aより大きい」及び「Aより小さい」に含まれる概念から、具体的な設定等を適宜採用すればよい。
【0244】
以上説明した本発明に係る特徴部分のうち、少なくとも2つの特徴部分を組み合わせることも可能である。すなわち各実施形態で説明した種々の特徴部分は、各実施形態の区別なく、任意に組み合わされてもよい。また上記で記載した種々の効果は、あくまで例示であって限定されるものではなく、また他の効果が発揮されてもよい。
【符号の説明】
【0245】
1…業務管理システム
2…従業員
3…センサ装置
4…管理端末
5、25…サーバ装置
6…データベース(DB)
8…管理者
17…ライフログ情報表示画面
60…コンピュータ