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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168502
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 9/06 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
H02J9/06 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085232
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 健太郎
【テーマコード(参考)】
5G015
【Fターム(参考)】
5G015GB03
5G015JA32
5G015JA36
5G015JA53
5G015KA09
(57)【要約】
【課題】二次電池の温度が保証の範囲外である場合に、二次電池から警報盤への送電を停止して警報盤の不安定な動作を未然に防止する。
【解決手段】供給回路11は、交流電源4からの通電状態を監視して、受電した交流電源4からの交流電力を警報盤2、及び変換回路13へそれぞれ供給する。変換回路13は、供給回路11から供給される交流電力を直流電力に変換する。充電回路14は、変換回路13から供給される直流電力を用いて二次電池15を充電する。送電回路12は、交流電源4の停電時等に、供給回路11の代わりに警報盤2へ、二次電池15から受けた直流電力を送電する。温度計Tが第1範囲外の温度を測定すると、停電時でも、送電回路12は、二次電池15からの直流電力を警報盤2へ送電しない。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受電した交流電源を警報盤へ供給する供給回路と、
前記交流電源の停電時に前記供給回路に代えて電池からの電力を前記警報盤へ送電する送電回路と、
周辺の温度を測定する温度計と、を有し、
前記送電回路は、前記停電時に前記温度計が測定した温度が第1範囲外である場合に前記電池からの電力を前記警報盤へ送電しない
ことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記交流電源の通電中に前記温度計が測定した温度が前記第1範囲外になった場合に、該交流電源が停電しても前記送電回路が前記電池からの電力を前記警報盤へ送電しない旨を通知する通知部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記交流電源を直流電源に変換する変換回路と、
前記変換回路により変換された前記直流電源によって前記電池を充電する充電回路と、
を有し、
前記充電回路は、前記温度計が測定した温度が第2範囲外である場合に前記電池を充電しない
ことを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項4】
前記送電回路は、前記温度計が測定した温度が前記第2範囲外である場合に前記電池からの電力を前記警報盤へ送電しない
ことを特徴とする請求項3に記載の電源装置。
【請求項5】
前記温度計が測定した温度が前記第2範囲外である場合に前記充電回路が前記電池を充電しない旨を通知する通知部を有する
ことを特徴とする請求項3に記載の電源装置。
【請求項6】
前記充電回路は、前記温度計が測定した温度が前記第2範囲の下限未満である場合に前記電池を充電しない
ことを特徴とする請求項3に記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線により通信回線に接続された警報盤の予備電源を保護する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
防災装置、警報盤に用いる電池は、例えば、過充電により故障する虞がある。そのため、これらの電池を監視して保護するための技術が開発されている。
【0003】
特許文献1は、予備電源部の電池をニッケル水素電池に交換した場合の電池状態の監視制御を必要最小限の監視機能の追加により簡単に行うことを可能とする防災装置を開示する。この特許文献1の防火装置は、ニッケル水素電池の電池収納ケースに設けたサーミスタ等の温度センサで検出した温度検出信号を入力し、検出温度が所定の閾値温度以上となった場合に高温異常を判定し、高温判定信号を出力制御部に出力する温度監視部を有する。そして、この防火装置は、高温判定信号が出力されると、ニッケル水素電池に対する充電を遮断停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-057302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、寒冷地では温度が低くなると停電時に電池からの電源の供給が保証できない、という課題がある。
【0006】
特許文献1に記載の技術における温度監視部は、電池収納ケースの温度が閾値以上になると高温異常を判定して電池への充電を遮断する。しかし、この技術は、電池又はその電池の充電回路等が決められた温度よりも低くなったときの動作を定めていない。
【0007】
本発明は、二次電池の温度が保証の範囲外である場合に、二次電池から警報盤への送電を停止して警報盤の不安定な動作を未然に防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明は、一の態様において、受電した交流電源を警報盤へ供給する供給回路と、前記交流電源の停電時に前記供給回路に代えて電池からの電力を前記警報盤へ送電する送電回路と、周辺の温度を測定する温度計と、を有し、前記送電回路は、前記停電時に前記温度計が測定した温度が第1範囲外である場合に前記電池からの電力を前記警報盤へ送電しないことを特徴とする電源装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、温度が保証の範囲外のときに生じ得る警報盤の不安定な動作を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】防災システム9の全体構成の一の例を示す図。
図2】電源装置1及び警報盤2の構成の例を示す図。
図3】電源装置1の動作の流れの例を示すフロー図。
図4】停電処理の動作の流れの例を示すフロー図。
【0011】
[実施形態]
[防災システムの全体構成]
図1は、防災システム9の全体構成の一の例を示す図である。この防災システム9は、地理的に離れた場所に存在する保護対象を監視するシステムである。この保護対象としては、例えば、工芸品、彫刻、及び文書等、並びにこれらを保管する建造物等の有形文化財が挙げられる。
【0012】
例えば、地理的に離れた場所に点在する文化財としての建造物の中には、管理人等が常駐していない寺社等がある。これらを火災等から守るためには、防災システム9は、それらの寺社等で検知した火災の情報を有人の管理棟へ送信しなければならない。
【0013】
図1に示す防災システム9は、2つの建造物I、及び1つの管理棟Cにそれぞれ設けられた各種の機器で構成される。なお、防災システム9において、建造物Iの数は2つに限らず、1つでもよいし3つ以上でもよい。また、防災システム9において、管理棟Cの数は1つに限らず複数でもよい。
【0014】
管理棟Cには、中央警報盤5、及び受信機6が設けられている。中央警報盤5は、交流電源4から電力の供給を受け、その電力を受信機6に供給する。中央警報盤5は、建造物Iに設置された警報盤2と無線又は有線により通信可能に接続されており、警報盤2から送信された情報を受信して受信機6に供給する。この中央警報盤5は、例えば、管理棟Cで用いられる温度センサの警報盤を兼用したものでもよい。
【0015】
受信機6は、中央警報盤5を経由して警報盤2から情報を受信する。この受信機6は、受信したこの情報に応じた内容を液晶等の画面に表示する。また、この受信機6は、受信した情報に応じて、スピーカ等を鳴動させて警報を発する。受信機6は、受信した情報に応じて、中央警報盤5に警報を発するよう指示をしてもよい。
【0016】
図1に示す2つの建造物Iのそれぞれには、電源装置1、警報盤2、及び炎検知器3が設けられている。なお、建造物Iが備える電源装置1、警報盤2、及び炎検知器3の数は1つに限らず複数でもよい。
【0017】
電源装置1は、交流電源4から電力の供給を受け、その電力を警報盤2に供給する。また、この電源装置1は、交流電源4から供給された電力によって電池を充電する。この電池は、交流電源4が停電して電力の供給が受けられなくなった際に、警報盤2を利用するための二次電池である(後述)。
【0018】
炎検知器3は、火災による炎を検知するセンサである。この炎検知器3は、無線又は有線により警報盤2と通信可能に接続されている。炎検知器3は、炎を検知した場合にその旨を警報盤2に通知する。なお、炎検知器3は、例えば、火災によって発生する赤外線、紫外線、熱、又は煙等によって火災を検知するセンサでもよい。また、この炎検知器3は、炎の他に各種の故障を検知してその検知結果を警告する機能を有してもよい。例えば、この炎検知器3は、炎により生じる光を感知する感光部を有し、この感光部の汚損を検知した場合に、これを異常として通知する機能を有してもよい。また、この炎検知器3は、断線を検知した場合に、これを異常として通知する機能を有してもよい。
【0019】
警報盤2は、電源装置1から電力の供給を受けて稼働する。警報盤2は、炎検知器3からの通知を受けて、その内容に応じて警報を発し、又はその内容に応じた情報を中央警報盤5へ送信する。
【0020】
なお、防災システム9は、図1に示したように中継器7を有してもよい。この中継器7は、電源装置1を経由して交流電源4から供給された電力により稼働する。中継器7は、警報盤2、及び中央警報盤5のそれぞれと無線又は有線により通信可能に接続されている。この中継器7は、警報盤2が送信した情報を中央警報盤5に中継する。また、この中継器7は、中央警報盤5が送信した情報を警報盤2に中継する。この中継器7により、中央警報盤5は、無線が直接届かない程、遠くに存在する警報盤2からも、情報を受信することができる。なお、この中継器7による中継の動作は、いずれかの警報盤2が行ってもよい。
【0021】
[電源装置の構成]
図2は、電源装置1及び警報盤2の構成の例を示す図である。図2に示す警報盤2は、交流端子21、直流端子22、及び通信回路23を有する。なお、警報盤2は、これら以外の構成を有してもよい。
【0022】
交流端子21は、電源装置1から交流電力の供給を受ける端子である。この交流電力は、例えば電圧が100Vのいわゆる商用電源から供給される交流電力である。
【0023】
直流端子22は、電源装置1から直流電力の供給を受ける端子である。この直流電力は、例えば、電圧が24Vの電力である。
【0024】
交流端子21、及び直流端子22は、電源装置1に接続されている。警報盤2は、交流端子21を経由して電源装置1から供給された交流電力、又は直流端子22を経由して電源装置1から供給された直流電力のいずれかを利用して稼働する。なお、直流端子22は、電源装置1と異なる直流電源に接続可能であってもよい。この直流電源は、例えば、電圧が24Vのニカド電池である。
【0025】
通信回路23は、上述した中央警報盤5、又は中継器7と無線又は有線で接続して、これらに情報を送信するための回路である。また、通信回路23は、図1に示す炎検知器3と接続されている。この通信回路23は、炎検知器3が炎(熱又は煙等を含む)を検知した際に、その旨を示す信号をその炎検知器3から受信する。そして、この通信回路23は、炎検知器3により検知された内容を中央警報盤5、又は中継器7に向けて送信する。また、この通信回路23は、電源装置1からの指示に応じて中央警報盤5、又は中継器7に情報を送信する。なお、通信回路23は、他の警報盤2と接続して情報の送受信をすることに用いられてもよい。
【0026】
図2に示す電源装置1は、供給回路11、送電回路12、変換回路13、充電回路14、及び二次電池15を有する。供給回路11、送電回路12、変換回路13、及び充電回路14は、基板上に設けられた回路であり、CPU(Central Processing Unit)等の汎用プロセッサ、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のプログラマブル論理デバイスを含んでいてもよい。
【0027】
供給回路11は、交流電源4から交流電力を受電し、この交流電力を警報盤2の交流端子21へ供給するとともに、変換回路13にも供給する回路である。供給回路11は、停電検知部111を有する。
【0028】
停電検知部111は、例えばリレーであり、交流電源4からの通電状態を監視して、この監視結果に応じた接点の開閉を行う。停電検知部111が交流電源4の通電を検知している間、供給回路11は、交流電源4と警報盤2の交流端子21とを接続する電線の接点、及び交流電源4と変換回路13とを接続する電線の接点を、いずれも閉にする。これにより、交流電源4からの交流電力は、警報盤2、及び変換回路13へそれぞれ供給される。つまり、この供給回路11は、受電した交流電源を警報盤へ供給する供給回路の例である。なお、交流電源4と警報盤2の交流端子21とを接続する電線は、上述した接点を有しなくてもよい。
【0029】
一方、停電検知部111が交流電源4の停電又は通電の異常(停電等という)を検知すると、供給回路11は、上述した電線の接点を開にする。これにより、交流電源4からの交流電力は、警報盤2、及び変換回路13へ供給されなくなる。さらに、供給回路11は、停電検知部111が交流電源4の停電等を検知すると、送電回路12に対して、この停電等を通知し、二次電池15から直流端子22への接点を開から閉へ切り替えさせる。
【0030】
変換回路13は、供給回路11から供給される交流電力を直流電力に変換する回路である。この変換回路13は、例えば、スイッチング方式直流安定化電源(SMPS: switched-mode power supply)である。すなわち、この変換回路13は、交流電源を直流電源に変換する変換回路の例である。
【0031】
変換回路13は、例えば、供給回路11を経由して交流電源4から100Vの交流電力を受けると、この交流電力を12Vの直流電力に変換する。そして、変換回路13は、変換により得られたこの12Vの直流電力を充電回路14に供給する。
【0032】
二次電池15は、充電を行うことにより繰り返し使用することができる電池であり、例えばリチウムイオン二次電池である。ここで、二次電池15が発生させる直流電力の電圧は、警報盤2の直流端子22が受け付ける電圧と異なる電圧であってもよい。例えば、図2に示す二次電池15の電圧は、直流端子22が受け付ける24Vの電圧よりも低い12Vである。
【0033】
充電回路14は、変換回路13から供給される直流電力を用いて二次電池15を充電する。つまり、この充電回路14は、変換回路により変換された直流電源によって電池を充電する充電回路の例である。
【0034】
このとき充電回路14は、いわゆる定電流定電圧(CCCV: Constant Current, Constant Voltage)方式により二次電池15を充電するとよい。例えば、この充電回路14は、一定の電流で二次電池15の充電を開始し、変換回路13から供給される12Vの直流電力を二次電池15の充電電圧に応じて15Vまで昇圧する。そして、二次電池15の充電電圧が15Vに達すると、この充電回路14は、電圧を15Vに維持したまま満充電になるまで二次電池15を充電すればよい。これにより、この充電回路14は、二次電池15の充電にかかる時間を短縮しつつ、過充電を防止することができる。
【0035】
送電回路12は、交流電源4の停電時等に、供給回路11の代わりに警報盤2へ、二次電池15から受けた直流電力を送電する回路である。この送電回路12は、交流電源4が駆動している間、変換回路13から直流電力を受け、この直流電力を警報盤2の直流端子22へ送電する。一方、この送電回路12は、停電検知部111が交流電源4の停電等を検知した場合、又は停電検知部111から停電等を検知した旨の通知を受けた場合、二次電池15との接点を開から閉に切り替える。これにより送電回路12は、変換回路13からの直流電力に代えて、二次電池15からの直流電力を警報盤2の直流端子22へ送電する。すなわち、この送電回路12は、交流電源の停電時に供給回路に代えて電池からの電力を警報盤へ送電する送電回路の例である。図2に示す送電回路12は、遮断部121、昇圧回路122、及び通知部123を有する。
【0036】
遮断部121は、温度計Tを有する。温度計Tは、物理的に送電回路12の内部にあってもよいが、電源装置1の周辺(電源装置1の内部を含む)にあれば送電回路12の内部になくてもよい。この温度計Tは、少なくとも変換回路13、又は二次電池15の周辺の温度を測定できるように配置されていればよい。つまり、この温度計Tは、電源装置1の周辺の温度を測定する温度計の例である。
【0037】
遮断部121は、温度計Tにより測定される温度が二次電池15を使用することができる範囲(以下、第1範囲ともいう)から外れている場合、二次電池15からの直流電力を受ける電線を遮断する。つまり、温度計Tが上述した第1範囲外の温度を測定すると、交流電源4の停電時等であったとしても、送電回路12は、二次電池15からの直流電力を警報盤2へ送電しない。すなわち、この送電回路12は、停電時に温度計が測定した温度が第1範囲外である場合に電池からの電力を警報盤へ送電しない送電回路の例である。
【0038】
なお、二次電池15を「使用することができる」とは、二次電池15からの直流電力が警報盤2に供給されても、警報盤2の動作の安定が保証されることをいう。
【0039】
二次電池15の使用可能範囲である第1範囲は、例えば、-40℃以上、かつ60℃未満である。この場合、二次電池15の電圧は、周辺の温度が-40℃以上、かつ60℃未満のとき、上述した通り、直流端子22が受け付ける24Vの電圧よりも低い12Vである。つまり、この二次電池15は、周辺が第1範囲内の温度のときに警報盤が受電する所定電圧よりも低い電圧の電力を発生させる電池の例である。そして、例えば、温度計Tが-40℃未満の温度を測定すると、送電回路12は二次電池15の直流電力を警報盤2へ送電しない。これにより、-40℃未満の低温下において二次電池15が使用されなくなるため、不安定な動作は未然に防止される。
【0040】
また、この遮断部121は、上述した温度計Tにより測定される温度が変換回路13の動作を保証することができる範囲(以下、第2範囲ともいう)から外れている場合、充電回路14にその旨を通知する。この通知を受けると充電回路14は、変換回路13を停止させ、二次電池15の充電をしない。すなわち、この充電回路14は、温度計が測定した温度が第2範囲外である場合に電池を充電しない充電回路の例である。
【0041】
なお、変換回路13の動作を「保証することができる」とは、変換回路13を停止せずに交流電源4からの交流電力の変換を行い、二次電池15の充電を続けても、変換回路13が故障しないことが保証されることをいう。
【0042】
変換回路13の動作保証範囲である第2範囲は、例えば、-20℃以上、かつ55℃未満である。この場合、例えば、温度計Tが-20℃未満の温度を測定すると、遮断部121はこれを充電回路14に通知し、充電回路14は変換回路13を停止させる。これにより、-20℃未満の低温下において二次電池15が充電されなくなり、変換回路13は不安定な動作をすることなく保護される。すなわち、この充電回路14は、温度計が測定した温度が第2範囲の下限未満である場合に電池を充電しない充電回路の例である。
【0043】
上述した通り、図2に示す二次電池15の電圧は、直流端子22が受け付ける電圧よりも低い。図2に示す昇圧回路122は、二次電池15から供給される直流電力の電圧を警報盤2で用いる電圧まで昇圧する。例えば、二次電池15の電圧が12Vであり、警報盤2の直流端子22が受け付ける電圧が24Vである場合、この昇圧回路122は、二次電池15から供給される直流電力の電圧を12Vから24Vまで昇圧させてから送電する。
【0044】
すなわち、この昇圧回路122を有する送電回路12は、電池から受けた電力の電圧を所定電圧に昇圧してからこの電力を警報盤へ送電する送電回路の例である。
【0045】
通知部123は、遮断部121と接続されている。また、この通知部123は、交流電源4から供給される交流電力により駆動する。
【0046】
遮断部121の温度計Tが第1範囲外の温度を測定し、送電回路12が二次電池15から警報盤2への送電を停止すると、この通知部123は、二次電池15からの送電が停止されることを通知する。この通知は、交流電源4が停電しているか否かに関わらず行われる。
【0047】
通知部123は、例えば、7セグメントディスプレイ等の表示装置を有し、この表示装置を用いて、温度が第1範囲外であるために送電回路12が二次電池15から警報盤2へ送電しない旨を通知してもよい。また、この通知部123は、警報盤2の通信回路23と通信可能に接続されており、通信回路23に指示することで、送電回路12が二次電池15から警報盤2へ送電しない旨を通知してもよい。
【0048】
つまり、この通知部123は、交流電源の通電中に温度計が測定した温度が第1範囲外になった場合に、この交流電源が停電しても送電回路が電池からの電力を警報盤へ送電しない旨を通知する通知部の例である。
【0049】
また、遮断部121の温度計Tが第2範囲外の温度を測定し、充電回路14が変換回路13を停止させ二次電池15の充電を停止すると、通知部123は、充電回路14が二次電池15を充電しない旨を通知する。通知部123は、上述した表示装置を用いて、充電回路14が二次電池15を充電しない旨を通知してもよいが、通信回路23に指示することで、この通知を行ってもよい。
【0050】
つまり、この通知部123は、温度計が測定した温度が第2範囲外である場合に充電回路が電池を充電しない旨を通知する通知部の例である。
【0051】
[電源装置の動作]
図3は、電源装置1の動作の流れの例を示すフロー図である。図示しないスイッチ等が押下されると電源装置1は交流電源4からの給電を開始し、温度計Tが起動する(ステップS101)。
【0052】
電源装置1の送電回路12は、温度計Tが測定した温度を監視し、この温度が変換回路13の動作保証範囲である第2範囲内であるか否かを判断する(ステップS102)。温度計Tが測定した温度が第2範囲内である、と判断する場合(ステップS102;YES)、送電回路12は、充電回路14により二次電池15の充電を開始させる(ステップS103)。
【0053】
電源装置1の送電回路12は、例えば、供給回路11からの通知に基づいて交流電源4が通電中であるか否かを判断する(ステップS104)。交流電源4が通電中である、と判断する場合(ステップS104;YES)、送電回路12は、処理をステップS105に進める。
【0054】
一方、交流電源4が通電中でない、つまり、交流電源4が停電しているか、又は通電に異常がある、と判断する場合(ステップS104;NO)、送電回路12は、停電処理を行う(ステップS200)。
【0055】
図4は、停電処理の動作の流れの例を示すフロー図である。停電処理において送電回路12は、通知部123により交流電源4の停電等の通知を試みる(ステップS201)。この通知は、二次電池15からの直流電力を用いて行われてもよいが、交流電源4の通電異常が検知された場合であって、交流電源4からの交流電力がまだ使える場合には、これを用いて行われてもよい。
【0056】
また、送電回路12は、二次電池15と直流端子22とを繋ぐ接点を閉にしてこの二次電池15から警報盤2へ直流電力の送電を開始する(ステップS202)。このとき、送電回路12は、昇圧回路122により二次電池15から供給される直流電力の電圧を昇圧してから直流端子22へ送電する。
【0057】
そして、送電回路12は、二次電池15から供給される直流電力の電圧を監視し、この電圧が閾値未満に低下しているか否かを判断する(ステップS203)。なお、二次電池15は、少なくとも警報盤2が一時間に使用する電力容量を有しているとよい。この場合、送電回路12が二次電池15からの送電を開始して一時間が経過すると、二次電池15の電圧が閾値未満になる場合がある。
【0058】
二次電池15の電圧が閾値未満に低下している、と判断する場合(ステップS203;YES)、送電回路12は、通知部123によりに電圧が低下している旨の通知を試みる(ステップS204)。そして、送電回路12は、二次電池15から警報盤2への送電を停止し(ステップS205)、処理を終了する。
【0059】
一方、二次電池15の電圧が閾値未満に低下していない、と判断する場合(ステップS203;NO)、送電回路12は、交流電源4が復旧したか否かを判断する(ステップS206)。交流電源4が復旧していない、と判断する場合(ステップS206;NO)、送電回路12は、処理をステップS203に戻す。
【0060】
一方、交流電源4が復旧した、と判断する場合(ステップS206;YES)、送電回路12は、二次電池15から警報盤2への送電を停止して(ステップS207)、処理を戻す。すなわち、送電回路12は、図3に示すステップS105に処理を進める。
【0061】
図3に示すステップS105において、送電回路12は、二次電池15が接続されているか否かを判断する(ステップS105)。二次電池15が接続されている、と判断する場合(ステップS105;YES)、送電回路12は、処理をステップS102に戻す。
【0062】
一方、二次電池15が接続されていない、と判断する場合(ステップS105;NO)、送電回路12は、充電回路14から二次電池15が遮断されている旨を警報盤2へ通知し(ステップS106)、処理をステップS102に戻す。
【0063】
ステップS102の判断において、温度計Tが測定した温度が第2範囲内でない、つまり、第2範囲外であると判断する場合(ステップS102;NO)、送電回路12は、充電回路14にこれを通知する。これにより、充電回路14は、変換回路13を停止させ、二次電池15の充電を停止する(ステップS107)
【0064】
次に、送電回路12は、温度計Tが測定した温度を監視し、この温度が二次電池15の使用可能範囲である第1範囲内であるか否かを判断する(ステップS108)。測定した温度が第1範囲内である、と判断する場合(ステップS108;YES)、送電回路12は、二次電池15の充電を停止した旨を通知し(ステップS109)、処理をステップS102に戻す。
【0065】
一方、測定した温度が第1範囲内でない、つまり、この温度が第1範囲外である、と判断する場合(ステップS108;NO)、送電回路12は、二次電池15から警報盤2へ送電する機能を停止し(ステップS110)、交流電源4が通電中であるか否かを判断する(ステップS111)。
【0066】
交流電源4が通電中である、と判断する場合(ステップS111;YES)、送電回路12は、通知部123により二次電池15から警報盤2へ送電する機能を停止した旨を通知して(ステップS112)、処理をステップS102に戻す。一方、交流電源4が通電中でない、と判断する場合(ステップS111;NO)、送電回路12は、処理を終了する。
【0067】
以上、説明した通り、本発明における電源装置1は、二次電池の温度が保証の範囲外である場合に、二次電池から警報盤への送電を停止して警報盤の不安定な動作を未然に防止することができる。また、上述した電源装置1は、二次電池の温度が保証の範囲外である場合に、警報盤によって温度が範囲外である旨を通知(警報)することができる。
【0068】
[変形例]
上述の実施形態は本発明の一具体例であって、本発明の技術的思想の範囲内において様々に変形可能である。それらの変形の例は、以下の通りである。なお、以下に示す2以上の変形例が適宜組み合わされてもよい。
【0069】
(1)上述した実施形態において、炎検知器3は、火災による炎を検知するセンサであったが、不審者の侵入、盗難、地震、構造物の劣化監視等、防災に関する他の対象を検知するセンサであってもよい。
【0070】
(2)上述した実施形態において、遮断部121は、上述した温度計Tが測定する温度が第2範囲から外れている場合、充電回路14にその旨を通知していたが、さらに二次電池15からの直流電力を受ける電線を遮断してもよい。この場合、送電回路12は、温度計Tが測定する温度が第1範囲内であっても、第2範囲外であれば、二次電池15からの直流電力を警報盤2へ送電しなくなる。つまり、この送電回路12は、温度計が測定した温度が第2範囲外である場合に電池からの電力を警報盤へ送電しない送電回路の例である。
【0071】
この構成によれば、周辺の温度が変換回路13の動作保証範囲である第2範囲を外れると、二次電池15の充電が行われなくなることに加えて、二次電池15から警報盤2への送電も停止するため、電源装置1、及び警報盤2の動作の安全性が向上する。
【0072】
(3)上述した変形例において、電源装置1は、遮断部121が参照する1つの温度計Tを有していたが、この温度計Tは1つに限らない。例えば、図2に破線で示す通り、電源装置1は、それぞれ異なる場所に設置された第1温度計T1、及び第2温度計T2を有してもよい。
【0073】
この変形例において第1温度計T1は、二次電池15の温度を測定する温度計である。すなわち、この第1温度計T1は、電池の温度を測定する第1温度計の例である。この第1温度計T1は、少なくとも交流電源4が停電したときに起動する。
【0074】
また、この変形例において第2温度計T2は、変換回路13の温度を測定する温度計である。すなわち、この第2温度計T2は、変換回路の温度を測定する第2温度計の例である。
【0075】
この場合、送電回路12は、第1温度計T1が二次電池15の温度として第1範囲外の温度を測定すると、二次電池15からの直流電力を警報盤2へ送電しないように接点を切り替えてもよい。つまり、この変形例における送電回路12は、停電時に第1温度計が測定した電池の温度が第1範囲外である場合、電池からの電力を警報盤へ送電しない送電回路の例である。
【0076】
この構成によれば、送電回路12は、二次電池15自体の温度を測定し、測定された温度を用いて、この二次電池15が使用可能であるか否かを判断するので、使用可能である二次電池15からの直流電力を遮断したり、使用不可である二次電池15からの直流電力を送電したりすることを防止することができる。
【0077】
また、この場合、充電回路14は、第2温度計T2が変換回路13の温度として第2範囲外の温度を測定すると、変換回路13を停止させ、二次電池15の充電を停止してもよい。つまり、この変形例における充電回路14は、第2温度計が測定した変換回路の温度が第2範囲外である場合に電池を充電しない充電回路の例である。
【0078】
この構成によれば、充電回路14は、保護の対象である変換回路13自体の温度を測定して、測定された温度を用いて、この変換回路13の動作が保証できるか否かを判断するので、動作保証外の温度において変換回路13を使い続けたり、動作保証内の温度において変換回路13を停止したりすることを防止することができる。
【符号の説明】
【0079】
1…電源装置、11…供給回路、111…停電検知部、12…送電回路、121…遮断部、122…昇圧回路、123…通知部、13…変換回路、14…充電回路、15…二次電池、2…警報盤、21…交流端子、22…直流端子、23…通信回路、3…炎検知器、4…交流電源、5…中央警報盤、6…受信機、7…中継器、9…防災システム。
図1
図2
図3
図4