(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168507
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】ピッキングシステムおよびピッキング制御方法
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
B65G1/137 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085244
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣田 幸起
(72)【発明者】
【氏名】西垣戸 貴臣
(72)【発明者】
【氏名】尾坂 忠史
【テーマコード(参考)】
3F522
【Fターム(参考)】
3F522AA02
3F522BB01
3F522BB32
3F522CC01
3F522DD32
3F522EE16
3F522FF02
3F522GG47
3F522GG49
3F522HH13
3F522JJ04
3F522LL27
(57)【要約】
【課題】ピッキングシステムとして、効率のよい省人化を実施できるようにする。
【解決手段】ピッキング対象のワークが搬送される供給レーン21,22と、ピッキングしたワークが入れられた出荷コンテナを搬送する出荷レーン31とを有する。供給レーンは、ロボットがピッキングを行うロボットエリアA1に供給コンテナを搬送するロボット用供給レーン21と、作業者がピッキングを行う作業者エリアA2に供給コンテナを搬送する作業者用供給レーン22と、を備える。その上で、作業者エリアA2を出荷レーンのロボットエリアA1よりも下流に配置するようにした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピッキング対象のワークが供給コンテナで搬送される供給レーンと、ピッキングしたワークをプレースした出荷コンテナを搬送する出荷レーンとを有し、少なくとも一部のピッキングをロボットにより実行するピッキングシステムであり、
前記ロボットがピッキングを行うロボットエリアに、前記供給コンテナを搬送するロボット用供給レーンと、
作業者がピッキングを行う作業者エリアに、前記供給コンテナを搬送する作業者用供給レーンと、を備え、
前記作業者エリアを前記出荷レーンの前記ロボットエリアよりも下流に配置した
ピッキングシステム。
【請求項2】
前記ロボット用供給レーンおよび前記作業者用供給レーンの制御と、前記出荷レーンの制御とを行う搬送制御装置を備え、
前記搬送制御装置は、前記ロボットエリアでの前記ワークのピッキング作業と、前記作業者エリアでの作業者のピッキング作業に応じて、それぞれのエリアの前の前記出荷レーンと前記ロボット用供給レーンと前記作業者用供給レーンとで、前記出荷コンテナまたは前記供給コンテナを滞留させる制御を行う
請求項1に記載のピッキングシステム。
【請求項3】
前記ロボットが前記ワークのピッキングを1回または複数回実行して成功しないとき、ピッキングに失敗した前記ワークが入った前記供給コンテナを、前記作業者エリアの近傍まで搬送する失敗用レーンを備える
請求項2に記載のピッキングシステム。
【請求項4】
前記搬送制御装置からの指示に基づいて、前記作業者エリアの作業者にピッキングを行う前記ワークの指示を行う表示装置を備え、
前記失敗用レーンによる前記供給コンテナを前記作業者エリアの近傍までの搬送に連動して、前記表示装置での指示を修正する
請求項3に記載のピッキングシステム。
【請求項5】
前記作業者エリアよりも上流の前記ロボットエリアは複数配置され、それぞれの前記ロボットエリアで個別の前記ロボットがピッキングを行う
請求項1に記載のピッキングシステム。
【請求項6】
前記ロボットエリアに、前記ワークの前記ロボットによる前記出荷コンテナへの搬送をサポートする補助具を設置した
請求項1に記載のピッキングシステム。
【請求項7】
前記補助具は、前記ワークを出荷レーンまで移動させる可動部を備える
請求項6に記載のピッキングシステム。
【請求項8】
ピッキング対象のワークが供給コンテナにより搬送される供給レーンと、ピッキングした前記ワークが入れられた出荷コンテナを搬送する出荷レーンとを有したピッキングシステムに適用されるピッキング制御方法であり、
ロボットがピッキングを行うロボットエリアに前記供給コンテナを搬送するロボット用供給レーンと、
作業者がピッキングを行う作業者エリアに前記供給コンテナを搬送する作業者用供給レーンと、を配置すると共に、
さらに、前記作業者エリアを前記出荷レーンの前記ロボットエリアよりも下流に配置し、
前記ロボットエリアに配置された前記ロボットによる前記ワークのピッキングを制御すると、前記作業者エリアでの作業者による前記ワークのピッキングの指示を行うようにした
ピッキング制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピッキングシステムおよびピッキング制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人手不足や人件費の高騰により、物流倉庫での出荷時の搬送作業をロボットで自動化することが行われている。例えば出荷対象物であるワークを物流倉庫の在庫から必要量ピックして、出荷コンテナに入れるピッキング作業を、ピッキングロボットにより自動化することが進められている。
【0003】
ところで、ロボットによるピッキング作業は、人手で行われる作業全ての置き換えが可能ではなく、ワーク(物品)によってロボットが扱いやすいものと扱い難いものとがある。例えば、液体が封入された洗剤などの袋や、形状が複雑なスプレーボトルは、ロボットアームで正しく掴むことが困難であり、ロボットによるピッキング作業に適していない。また、形状が定まった箱であっても、光沢のある印刷が施されている場合には、画像認識時に光が箱の表面で反射して、正しく箱の形状を認識できない場合があり、ロボットによるピッキング作業が正しくできない可能性がある。
これらの問題はピッキング作業を行うロボットを高性能化することで解決できるが、そのためには、高度なロボット技術が必要であり、ロボットを含むシステム構成が複雑化すると共にコストが上昇するため、好ましくない。
【0004】
特許文献1には、ロボットによるピッキング作業を行う場合に、ロボットの配置箇所の他に出荷作業者による作業領域を設けて、ロボットによりピッキングを行うワークと出荷作業者により手作業でピッキングを行うワークとを分けて、個別のレーンでピッキングを行う技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されるように、ワークによって、ロボットがピッキングを行う場合と出荷作業者により手作業でピッキングを行う場合とを分けることで、ロボットによるピッキングが困難なワークであっても、対処が可能になる。
しかしながら、実際には1つの出荷コンテナに収納されるワークとして、ロボットによるピッキングに適したワークと、手作業によるピッキングに適したワークとが混在する場合が多々ある。出荷コンテナにピッキングすることを考えたとき、適切に作業順序を設定しないと、出荷作業者による手作業で行うピッキング作業が増えてしまい、ロボットによる作業の効率化を図れないという問題が発生する。
【0007】
また、ロボットによるピッキング作業と、出荷作業者の手作業によるピッキング作業とを混在させた場合、それぞれのピッキング作業による作業速度の相違を考慮しないと、作業レーンの途中で出荷コンテナが滞留することになって、適切な出荷ができない状況が発生してしまう。
【0008】
さらに、実際の出荷時には、ワークを出荷コンテナに入れた後、その出荷コンテナに送付状を入れる作業や、コンテナの蓋を閉じる作業が必要であり、これらの作業を考慮した上で作業配分を決めないと、効率化が図れないという問題も起こり得る。
【0009】
本発明は、これらの点に鑑み、効率のよい省人化を実施できるピッキングシステムおよびピッキング制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、例えば請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、ピッキングシステムとして、ピッキング対象のワークが搬送される供給レーンと、ピッキングしたワークが入れられた出荷コンテナを搬送する出荷レーンとを有し、少なくとも一部のピッキングをロボットにより実行するものに適用される。
そして、ロボットがピッキングを行うロボットエリアに供給コンテナを搬送するロボット用供給レーンと、作業者がピッキングを行う作業者エリアに供給コンテナを搬送する作業者用供給レーンと、を備える。
その上で、作業者エリアを出荷レーンのロボットエリアよりも下流に配置するようにした。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高度なロボット技術を必要とすることなく効率のよい省人化を実施できるピッキングシステムを構築することができる。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1の実施の形態例に係るピッキングシステムの例を示す構成図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態例に係るピッキングシステムの搬送制御装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態例に係るピッキングシステムのレーン構成の例を示す斜視図である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態例に係るピッキングシステムの搬送制御処理の例を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の第2の実施の形態例に係るピッキングシステムの例を示す構成図である。
【
図6】本発明の第2の実施の形態例に係るピッキングシステムの搬送制御処理の例を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の第3の実施の形態例に係るピッキングシステムの例を示す構成図である。
【
図8】本発明の第3の実施の形態例に係るピッキングシステムのレーン構成の例を示す斜視図である。
【
図9】本発明の第4の実施の形態例に係るピッキングシステムの例を示す構成図である。
【
図10】本発明の第4の実施の形態例に係るピッキングシステムの詳細を示す構成図である。
【
図11】本発明の第5の実施の形態例に係るピッキングシステムの例を示す構成図である。
【
図12】本発明の第6の実施の形態例に係るピッキングシステムの例を示す構成図である。
【
図13】本発明の各実施の形態例に係るピッキングシステムに適用される補助具の例(例1)を示す斜視図である。
【
図14】本発明の各実施の形態例に係るピッキングシステムに適用される補助具の例(例2)を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1の実施の形態例>
以下、本発明の第1の実施の形態例のピッキングシステムおよびピッキング制御方法を、
図1~
図4を参照して説明する。
【0014】
[ピッキングシステムの構成]
図1は、第1の実施の形態例のピッキングシステムの全体構成例を示す図である。
図1に示すピッキングシステムは、保管倉庫12に保管されたワーク(物品)を、供給コンテナC11,C12,・・・から取り出すピッキング作業を行い、取り出したワークを出荷コンテナC21,C22,・・・にプレースする作業を行うものである。
ワークを保管倉庫12からピッキング作業エリアに供給する供給レーンとしては、ロボット用供給レーン21と、作業者用供給レーン22とを備える。ロボット用供給レーン21には、保管倉庫12から供給コンテナC11,C12,・・・にワークが供給される。作業者用供給レーン22には、保管倉庫12から供給コンテナC31,C32,・・・にワークが供給される。
【0015】
図1に示すように、ロボット用供給レーン21と作業者用供給レーン22は、ほぼ平行に配置され、ロボット用供給レーン21と作業者用供給レーン22の間には、出荷レーン31が配置されている。
図1の例では、出荷レーン31も、ロボット用供給レーン21および作業者用供給レーン22とほぼ平行に配置されている。
出荷レーン31には、コンテナ供給部13から出荷コンテナC21,C22,・・・が供給される。出荷レーン31上の出荷コンテナC21,C22,・・・には、ロボットエリアA1または作業者エリアA2でのプレース作業によりワークが供給される。
【0016】
ロボットエリアA1には、ピッキングロボットR1が配置されている。ピッキングロボットR1は、ロボット用供給レーン21の供給コンテナC11,C12,・・・に供給されたワークをピッキングして、隣接した出荷レーン31の出荷コンテナC21,C22,・・・に置くプレース作業を行う。例えば、
図1に示すようにピッキングロボットR1が供給コンテナC11から1つのワークg1をピッキングする。そして、ピッキングロボットR1は、ピッキングしたワークg1を出荷コンテナC2まで移動させて、出荷コンテナC24に置くプレース作業を行う。
【0017】
作業者エリアA2には、作業者Wが配置されている。作業者Wは、手作業で作業者用供給レーン22の供給コンテナC31,C32,・・・に供給されたワークをピッキングして、隣接した出荷レーン31の出荷コンテナC21,C22,・・・に置くプレース作業を行う。作業者エリアA2には、表示装置14が設置され、ピッキングおよびプレースを行うワークに関する指示が表示される。
作業者エリアA2は、ロボットエリアA1から見て出荷レーン31の下流にあるため、ピッキングロボットR1により、出荷コンテナC21,C22,・・・から作業者エリアA2にワークが置かれる場合もある。
【0018】
ロボット用供給レーン21と作業者用供給レーン22と出荷レーン31における各供給コンテナおよび各出荷コンテナの搬送は、搬送制御装置11による制御で実行される。
ロボットエリアA1の直前(レーンの上流側)には、ロボット用供給レーン21にコンテナ滞留装置15が設置され、出荷レーン31にコンテナ滞留装置16が設置されている。また、作業者エリアA2の直前(レーンの上流側)には、作業者用供給レーン22にコンテナ滞留装置18が設置され、出荷レーン31にコンテナ滞留装置17が設置されている。これらのコンテナ滞留装置15,16,17,18における滞留動作も、搬送制御装置11により制御される。
また、搬送制御装置11は、ピッキングロボットR1におけるピッキング動作および作業者エリアA2に設置した表示装置14における表示の制御も行う。
【0019】
ワークが置かれた出荷コンテナC21,C22,・・・は、出荷レーン31によって出荷場(不図示)に搬送される。出荷場に搬送される出荷コンテナC21,C22,・・・は、ロボットエリアA1と作業者エリアA2のいずれか一方、または双方からワークが置かれたものである。なお、作業者エリアA2における作業者は、ワークのピッキング作業だけでなく、出荷コンテナC21,C22,・・・などに送付状などを入れる作業や、出荷コンテナC21,C22,・・・の蓋をする作業を実行するようにしてもよい。
ロボットエリアA1や作業者エリアA2において、ワークがピッキングされた空の供給コンテナは、保管倉庫12まで搬送されて回収される。
【0020】
[搬送制御装置の構成]
図2は、搬送制御装置11の構成例を示す。搬送制御装置11は、例えばコンピュータで構成される。
すなわち、搬送制御装置11は、CPU(Central Processing Unit)81、インターフェース82、通信部83、ストレージ84、およびメモリ90で構成される。
CPU81は、メモリ90またはストレージ84が記憶したプログラムを実行する。
【0021】
メモリ90は、例えば、RAM(Random Access Memory)として構成され、コンピュータプログラム及び計算結果データを記憶すると共に、各処理に必要なワークエリアをCPU81に提供する。
本実施の形態例では、CPU81がプログラムを実行することにより、メモリ90内のワークエリアに、出荷物品データ取得部91、レーン制御部92、ロボット制御部93、および作業指示部94が構成される。
【0022】
インターフェース82は、搬送制御装置11からロボット用供給レーン21と作業者用供給レーン22と出荷レーン31の駆動装置への指令の送信、コンテナ滞留装置15,16,17,18への滞留の指令の送信、ピッキングロボットR1への指令の送信、および表示装置14への表示情報の送信などを行う。
また、インターフェース82は、ロボットエリアA1や作業者エリアA2でのピッキング作業状態を監視する不図示のカメラなどからの情報を受信する。
【0023】
通信部83は、出荷管理装置(不図示)などと通信を行う。この通信により、搬送制御装置11は、出荷するワークの情報を取得し、各レーンにおける搬送や、ロボットエリアA1や作業者エリアA2におけるピッキング作業を制御する。
ストレージ84は、ハードディスク装置やSSD(Solid State Drive)で構成され、例えば出荷するワークの情報(物品の種類、出荷先、出荷日時など)を記憶する。
【0024】
なお、このようなCPUを備えたコンピュータで搬送制御装置11を構成するのは一例であり、例えば処理の一部または全部を、FPGA(Field-Programmable Gate Array)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのハードウェアで構成してもよい。
また、データの記憶や一部の処理は、ネットワークを経由して搬送制御装置11と接続されたサーバで行うようにしてもよい。
【0025】
[コンテナ滞留装置の構成]
図3は、ロボット用供給レーン21と作業者用供給レーン22と出荷レーン31に設置されたコンテナ滞留装置15,16,17,18の構成例を示す。
それぞれのコンテナ滞留装置15,16,17,18は同一の構成である。
図3に示すように、各レーン21,22,31の途中には、コンテナ(例えばコンテナC11)の移動を規制するストッパとして機能するコンテナ滞留装置15,16,17,18が設置される。コンテナ滞留装置15,16,17,18は、搬送制御装置11の制御により、コンテナの移動を規制した状態と、コンテナの移動を規制しない状態とを選択できる。
図3に示す状態は、コンテナ滞留装置15,16,17,18をレーン上に突出させて、コンテナの移動を規制した状態を示している。
【0026】
なお、
図3に示すコンテナ滞留装置15,16,17,18の構成は一例であり、コンテナ滞留装置をその他の構成としてもよい。例えば、各レーン21,22,31上の個々のコンテナの搬送を細かく制御して、ロボットエリアA1や作業者エリアA2の上流側でコンテナの移動を停止させるストッパとして機能させるようにしてもよい。
【0027】
[搬送制御装置による処理の流れ]
図4は、搬送制御装置11による各レーン21,22,31のコンテナの搬送と、ワークのピッキング制御の流れを示すフローチャートである。
まず、搬送制御装置11は、出荷するワークについてのデータを取得する(ステップS11)。次に、搬送制御装置11は、個々のワークについての処理に入り(ステップS12)、該当するワークがロボットによりピッキングが可能か否かを判断する(ステップS13)。
ロボットによりピッキングが可能でないと判断する場合としては、ワークの形状や、箱の表面の印刷状態などから、ロボットによるピッキング作業に適していない(失敗する可能性が高い)と判断する場合である。これらの判断は、ワークごとのコードから予めピッキングが可能か否かを予め搬送制御装置11に登録してもよいが、出荷倉庫内でワークをカメラが撮影した画像から搬送制御装置11が自動で判断してもよい。
【0028】
ステップS13でロボットによりピッキングが可能と判断したとき(ステップS13のYES)、搬送制御装置11は、該当するワークをロボット用供給レーン21に搬送するように登録する(ステップS14)。
また、ステップS13でロボットによりピッキングが可能でないと判断したとき(ステップS13のNO)、搬送制御装置11は、該当するワークを作業者用供給レーン22に搬送するように登録する(ステップS15)。
そして、ステップS14およびS15での登録後、搬送制御装置11は、ステップS11で取得したワークとして、レーンが登録されていない別のワークがあるか否かを判断する(ステップS16)。
【0029】
ステップS16でレーンが登録されていない別のワークがあると判断したとき(ステップS16のYES)、搬送制御装置11は、ステップS12に戻って別のワークについての登録作業を行う。
また、ステップS16で登録されていない別のワークがないと判断したとき(ステップS16のNO)、搬送制御装置11は、ロボット用供給レーン21と作業者用供給レーン22とに流す各ワークが入れられた供給コンテナと、出荷レーン31に流す出荷コンテナの搬送タイミングを制御する(ステップS17)。ここでの搬送タイミングの制御には、コンテナ滞留装置15,16,17,18によるロボットエリアA1と作業者エリアA2の直前での滞留の制御も含まれる。
【0030】
また、搬送制御装置11は、作業者用供給レーン22による供給コンテナの作業者エリアA2への搬送タイミングに同期して、表示装置14で作業者にピッキングするワークについての指示を行う(ステップS18)。
【0031】
[コンテナの搬送とピッキングの動作]
次に、搬送制御装置11の制御によりコンテナの搬送とピッキングの動作が行われる具体的な例を、
図1を参照して説明する。
まず、各ワークは、保管倉庫12からロボット用供給レーン21と作業者用供給レーン22に分けられて、供給コンテナにより搬送される。すると、個々の供給コンテナは、ロボットエリアA1または作業者エリアA2で停止する。
図1の例では、ロボットエリアA1に供給コンテナC11が停止し、作業者エリアA2に供給コンテナC31が停止した状態を示す。また、後続の供給コンテナC12,C13,・・・およびC32,C33,・・・は、コンテナ滞留装置15,18により滞留している。
【0032】
一方、出荷レーン31には、空の出荷コンテナがコンテナ供給部13から供給され、1つの出荷コンテナC24がロボットエリアA1で停止する。
ここで、ピッキングロボットR1は、供給コンテナC11から指示されたワークg1をピッキングし、ピッキングしたワークg1を出荷コンテナC24にプレースする。
【0033】
そして、ピッキングロボットR1でピッキングし終えた供給コンテナは、供給レーン21によって保管倉庫12に返される。空になった供給コンテナは、保管倉庫12に戻さないで、廃棄または別の場所に保管してもよい。
供給コンテナC11からのピッキングが終了すると、コンテナ滞留装置15で滞留していた次の供給コンテナC12がロボットエリアA1に供給され、ピッキングロボットR1が全てのワークのピッキングを終了するまで、この動作が繰り返される。
【0034】
そして、ロボットエリアA1での作業を終えた出荷コンテナは、作業者エリアA2へと搬送される。なお、ロボットエリアA1で出荷コンテナに入れるワークが存在しない場合には、該当する出荷コンテナはそのままロボットエリアA1を通過して作業者エリアA2に搬送される。
ここで、作業者エリアA2での別の出荷コンテナへのピッキング作業が行われている場合には、コンテナ滞留装置17により滞留した状態になり、作業者エリアA2での別のコンテナのピッキング作業の終了後、直ちに作業者エリアA2に出荷コンテナが搬送される。
【0035】
作業者エリアA2では、作業者Wは、表示装置14による指示にしたがって、供給コンテナC31からワークを手作業でピッキングし、ピッキングしたワークを出荷コンテナC21にプレースする。なお、作業者Wは、ワークのピッキングなどの他に、送付状-などを出荷コンテナに入れる作業や、出荷コンテナの蓋をする作業を行ってもよい。
【0036】
作業者エリアA2でピッキングし終えた供給コンテナは、供給レーン22によって保管倉庫12に返される。この場合にも、空になった供給コンテナは、保管倉庫12に戻さないで、廃棄または別の場所に保管してもよい。なお、作業者エリアA2で出荷コンテナに入れるワークが存在しない場合には、該当する出荷コンテナはそのまま作業者エリアA2を通過する。但し、送付状などを入れる作業や蓋をする作業がある場合には、作業者エリアA2で出荷コンテナを停止させる必要がある。
作業者エリアA2で全ての作業が終了すると、出荷コンテナは出荷レーン31により出荷場(不図示)まで運ばれる。
【0037】
以上説明したように、本実施の形態例のピッキングシステムによると、ピッキングロボットはピッキングし易いワークだけをピッキングすればよく、高度なロボット技術を必要とすることがないので、ピッキング作業の省人化を効率よく実施することができる。具体的には、ロボットエリアA1の下流に作業者エリアA2を配置したことで、連携して効率よくピッキング作業を行うことができる。
この場合、作業者Wはワークをピッキングする前後で、ロボットが出荷コンテナ内にプレースしたワークを整頓したり、送付状を入れたり、蓋をしたりと、様々な作業を行うことができる。
【0038】
また、本実施の形態例のピッキングシステムによると、供給レーンをロボット用供給レーン21と作業者用供給レーン22とに分けているため、供給コンテナが各作業エリアの前で渋滞することなく、効率的なピッキング作業が可能になる。また、コンテナ供給に必要な人員を削減することができる。さらに、ロボットによるピッキングのあと、下流で人がピッキングを行うため、1つの出荷コンテナの出荷作業に要する時間を最小に抑えることができる。特に本実施の形態例の場合、各エリアA1,A2の直前でコンテナを滞留させることで、ロボットや作業者が供給コンテナからピックし終えたあと、すぐに新しい供給コンテナを各エリアに搬送することができ、待ち時間を減らすことができる。
【0039】
なお、本実施の形態例のように構成した場合、例えばロボットによる作業時には、出荷コンテナの中央に優先的にプレースし、作業者による作業時には、出荷コンテナの端にワークをプレースすることで、出荷コンテナの高充填率を確保できるようになる。これにより、出荷コンテナの容積を無駄なく使いきることが可能になる。
【0040】
<第2の実施の形態例>
次に、本発明の第2の実施の形態例のピッキングシステムおよびピッキング制御方法を、
図5~
図6を参照して説明する。第2の実施の形態例を説明する
図5~
図6において、第1の実施の形態例で説明した
図1~
図4に対応する箇所には同一符号を付し、重複説明を省略する。
【0041】
[ピッキングシステムの構成]
図5は、第2の実施の形態例のピッキングシステムの全体構成例を示す図である。
この
図5に示すピッキングシステムは、ロボット用供給レーン21から、作業者用供給レーン22に供給コンテナを移動させる失敗レーン24を設けたものである。
この失敗レーン24は、ロボットエリアA1の下流のロボット用供給レーン21と、作業者用供給レーン22との間に設けられ、搬送制御装置11により、ロボット用供給レーン21に設けた分岐箇所25を制御することにより、ロボット用供給レーン21の供給コンテナが、作業者用供給レーン22に搬送される。
ピッキングシステムのその他の構成は、
図1に示すピッキングシステムと同様に構成する。また、搬送制御装置11の構成についても、失敗レーン24へのコンテナの供給を行う以外の構成は、
図2に示す搬送制御装置11と同じである。
【0042】
[搬送制御装置による処理の流れ]
図6は、本実施の形態例による、搬送制御装置11により実行される各レーン21,22,24,31のコンテナの搬送と、ワークのピッキング制御の流れを示すフローチャートである。この
図6において、ステップS11での出荷ワークのデータ取得から、ステップS17での出荷コンテナと供給コンテナのタイミング制御までは、第1の実施の形態例で説明した
図4のフローチャートと同じである。
【0043】
そして、本実施の形態例では、搬送制御装置11は、ロボットエリアA1でのピッキングロボットR1によるピッキング作業に失敗があるか否かを判断する(ステップS19)。この判断は、例えばロボットエリアA1に設置したカメラの画像などにより搬送制御装置11が行う。あるいは、搬送制御装置11がピッキングロボットR1からピッキング失敗の情報を取得してもよい。
【0044】
ステップS19で、ピッキング作業に失敗がないと判断したとき(ステップS19のNO)、ステップS18に移り、搬送制御装置11は、作業者用供給レーン22による供給コンテナの作業者エリアA2への搬送タイミングに同期して、表示装置14で作業者にピッキングするワークについての指示を行う。
一方、ステップS19で、ピッキング作業に失敗があると判断したとき(ステップS19のYES)、搬送制御装置11は、ピッキング作業に失敗したワークが入った供給コンテナを、失敗レーン24を介して作業者用供給レーン22に移動させる(ステップS20)。このとき、表示装置14での作業者へのピッキングの指示内容として、失敗レーン24を介して供給された供給コンテナからのワークのピッキングについての指示を追加する。
【0045】
そして、ステップS20でのコンテナ移動後に、ステップS18に移り、搬送制御装置11は、作業者用供給レーン22による供給コンテナの作業者エリアA2への搬送タイミングに同期して、表示装置14で作業者にピッキングするワークについての指示を行う。
【0046】
本実施の形態例によると、ピッキングロボットがピッキングに失敗した供給コンテナを倉庫に戻さずに、作業者によって対処できるようになる。
なお、
図5に示すように失敗レーン24を設けるのは一例であり、その他の構成で同様に作業者がピッキングできるようにしてもよい。例えば作業者が出荷レーンから対応した出荷コンテナを一旦取り出して近くの台に置いておき、ピッキングロボットが失敗した供給コンテナが供給レーンに届き次第、出荷コンテナを出荷レーンに戻して、失敗したワークのピッキングを手作業で行うようにしてもよい。あるいは、レーンを構成するコンベアに脇道を設けて、そこに一旦とどまらせてもよい。
【0047】
以上説明した本実施の形態例によると、ピッキングロボットがピッキングに失敗した場合でも、その後の作業者による作業で迅速に対処ができ、作業効率が向上する。
【0048】
<第3の実施の形態例>
次に、本発明の第3の実施の形態例のピッキングシステムおよびピッキング制御方法を、
図7~
図8を参照して説明する。
【0049】
[ピッキングシステムの構成]
図7は、第3の実施の形態例のピッキングシステムの全体構成例を示す図である。
図7に示すピッキングシステムは、不図示の保管倉庫に保管されたワークを、出荷コンテナに入れるピッキングおよびプレースの作業を行うものである。
本実施の形態例では、ワークを保管倉庫からピッキング作業エリアに供給する供給レーンとして、ロボット用第1供給レーン113と、ロボット用第2供給レーン114と、作業者用第1供給レーン111と、作業者用第2供給レーン112と、を備える。
また、出荷レーンとして、第1出荷レーン121と、第2出荷レーン122とを備える。
【0050】
これらの各レーン111,112,113,114,121,122は、ほぼ平行に配置されて、全て同じ方向にコンテナが搬送される。
作業者用第1供給レーン111と、作業者用第2供給レーン112とは、隣接して配置されている。
そして、作業者用第1供給レーン111とある程度の間隔を開けて、第1出荷レーン121が配置され、さらに第1出荷レーン121とある程度の間隔を開けて、ロボット用第1供給レーン113が配置されている。
同様に、作業者用第2供給レーン112とある程度の間隔を開けて、第2出荷レーン122が配置され、さらに第2出荷レーン122とある程度の間隔を開けて、ロボット用第2供給レーン114が配置されている。
【0051】
第1出荷レーン121とロボット用第1供給レーン113との間には、第1ロボットエリアA11が配置され、第1ロボットエリアA11には第1ピッキングロボットR11が用意されている。第1ピッキングロボットR11は、ロボット用第1供給レーン113で搬送された供給コンテナC41,C42,・・・からワークをピッキングして、ピッキングしたワークを第1出荷レーン121で搬送された出荷コンテナC81,C82,・・・へプレースする。
【0052】
第2出荷レーン122とロボット用第2供給レーン114との間には、第2ロボットエリアA12が配置され、第2ロボットエリアA12には第2ピッキングロボットR12が用意されている。第2ピッキングロボットR12は、ロボット用第2供給レーン114で搬送された供給コンテナC51,C52,・・・からワークをピッキングして、ピッキングしたワークを第2出荷レーン122で搬送された出荷コンテナC91,C92,・・・へプレースする。
【0053】
そして、第1ロボットエリアA11よりも第1出荷レーン121の下流側の箇所で、第1出荷レーン121と作業者用第1供給レーン111との間、並びに第2ロボットエリアA12よりも第2出荷レーン122の下流側の箇所で、第2出荷レーン122と作業者用第2供給レーン112との間に、作業者エリアA13が配置される。
【0054】
作業者エリアA13では、作業者W11による手作業で、作業者用第1供給レーン111で搬送された供給コンテナC61,C62,・・・からワークをピッキングして、ピッキングしたワークを第1出荷レーン121で搬送された出荷コンテナC81,C82,・・・へプレースする作業が行われる。
さらに作業者エリアA13では、作業者W11による手作業で、作業者用第2供給レーン112で搬送された供給コンテナC71,C72,・・・からワークをピッキングして、ピッキングしたワークを第2出荷レーン122で搬送された出荷コンテナC91,C92,・・・へプレースする作業が行われる。
これらの作業者W11による作業を支援するために、作業者エリアA13には、ピッキングおよびプレースの作業を指示する表示装置102,103が配置される。
【0055】
このように作業者W11は、作業者用第1供給レーン111と第1出荷レーン121との間に立って作業を行う場合と、作業者用第2供給レーン112と第2出荷レーン122との間に立って作業を行う場合とがある。
このため、作業者W11は、第1出荷レーン121と第2出荷レーン122を横断して随時移動しながら、それぞれの作業を随時実行する。通常、作業者による手作業でのワークをピッキングする速度は、ロボットによる速度よりも大幅に早く、1人の作業者が両方の作業箇所を行き来しても、ロボットと連携した作業を実行できる可能性が高い。
【0056】
各レーン111,112,113,114,121,122のコンテナの搬送と、各ピッキングロボットR11,R12での作業、並びに表示装置102,103での表示は、搬送制御装置101の制御により実行される。搬送制御装置101は、例えば
図2に示す搬送制御装置11と同様にコンピュータで構成される。
なお、
図7の例では、各レーンにコンテナ滞留装置は設けていないが、
図1の例と同様に、各エリアA11,A12,A13の直前にコンテナ滞留装置を設けてもよい。例えば、作業者エリアA13の直前の作業者用第1供給レーン111と作業者用第2供給レーン112とに、コンテナ滞留装置を設けてもよい。
この場合、コンテナ滞留装置は、一度に複数個(例えば2個)ずつのコンテナを供給するようにして、作業者W11は、同じ箇所で複数のコンテナからのピッキング作業を行えるようにしてもよい。これにより作業者W11がレーンを横断する回数を減らすことができる。
【0057】
[レーンを作業者が横断する構成]
図8は、作業者W11が作業者用第1供給レーン111と作業者用第2供給レーン112とを横断するための機構の例を示す。
ここでは、
図8に示すように、作業者用第1供給レーン111の途中と、作業者用第2供給レーン112の途中に、開閉自在箇所111a,112aを設けて、レーンを跳ね上げさせて、作業者W11が横断できるようにする。
【0058】
この
図8に示すようにレーンを跳ね上げて作業者W11が横断できることで、作業者W11は、第1出荷レーン121の出荷コンテナにワークをプレースする作業と、第2出荷レーン122の出荷コンテナにワークをプレースする作業とを実行できる。
したがって、本実施の形態例のピッキングシステムによると、第1の実施の形態例と同様にロボットによる作業と作業者による手作業とを混在させて、効率よくピッキングやプレースを行うことができる。また、作業者は、2本の出荷レーン121,122での作業を行うことができるので、より効率がよく、かつ省人化を図ることができる。
【0059】
<第4の実施の形態例>
次に、本発明の第4の実施の形態例のピッキングシステムおよびピッキング制御方法を、
図9~
図10を参照して説明する。
【0060】
[ピッキングシステムの構成]
図9は、第4の実施の形態例のピッキングシステムの全体構成例を示す図である。
図9に示すピッキングシステムは、不図示の保管倉庫に保管されたワークを、出荷コンテナに入れるピッキングおよびプレースの作業を行うものである。
【0061】
本実施の形態例では、保管倉庫からピッキング作業エリアにワークを供給する供給レーンとして、ロボット用第1供給レーン211と、ロボット用第2供給レーン212と、作業者用供給レーン213と、を備える。
また、本実施の形態例では、出荷レーン221を備える。この出荷レーン221において、保管倉庫から供給コンテナが出力される側は、2本の出荷レーン221a,221bに分かれており、途中の合流箇所221cで1本のレーンに合流する。合流箇所221cより下流は、1本の出荷レーン221dになって搬送される。
各レーン211,212,213,221は、搬送制御装置201による制御で供給コンテナまたは出荷コンテナが搬送される。搬送制御装置201は、例えば
図2に示す搬送制御装置11と同様にコンピュータで構成される。
【0062】
3本の供給レーン211,212,213と、2本に分かれた出荷レーン221a,221bとはほぼ平行に配置されている。
ロボット用第1供給レーン211と一方の出荷レーン221aとの間には、第1ロボットエリアA21が配置されている。第1ロボットエリアA21には、第1ピッキングロボットR21が設置されている。
第1ピッキングロボットR21は、ロボット用第1供給レーン211で搬送された供給コンテナC111,C112,・・・のワークをピッキングし、一方の出荷レーン221aで搬送された出荷コンテナC143,C145,・・・でプレースする。
【0063】
ロボット用第2供給レーン212と他方の出荷レーン221bとの間には、第2ロボットエリアA22が配置されている。第2ロボットエリアA22には、第2ピッキングロボットR22が設置されている。
第2ピッキングロボットR22は、ロボット用第2供給レーン212で搬送された供給コンテナC121,C122,・・・のワークをピッキングし、他方の出荷レーン221bで搬送された出荷コンテナC144,C146,・・・でプレースする。
【0064】
合流後の出荷レーン221dは、作業者用供給レーン213と隣接しており、出荷レーン221dと作業者用供給レーン213との間に、作業者エリアA23が配置される。作業者エリアA23には、表示装置202が配置されており、作業者W21が表示装置202での指示にしたがって、作業者用供給レーン213で搬送された供給コンテナC131,132,・・・のワークをピッキングして、出荷レーン221dの出荷コンテナC141,C142,・・・にプレースする。
【0065】
[出荷レーンが合流する際の処理]
図10は、2本の出荷レーン221a,221bが合流箇所221cで1本のレーンに合流する際の処理の詳細を示す。
図10に示すように、合流箇所221cの上流側の各出荷レーン221a,221bには、バッファ部221e,221fを設ける。バッファ部221e,221fでは、出荷コンテナを複数個滞留させることができ、規定の順序で出荷コンテナが合流箇所221cを通過するように制御する。
【0066】
すなわち、
図10の例では、一方の出荷レーン221aで搬送された出荷コンテナC143,C145をバッファ部221eで滞留させて、他方の出荷レーン221bで搬送された出荷コンテナC144を、合流箇所221cで通過させた状態を示す。
このような出荷コンテナの合流地点での滞留と通過は、各ピッキングロボットR21,R22の動作速度と、各ピッキングロボットR21,R22がピッキングする個数から、それぞれのプレースが完了する時間を計算した上で、搬送制御装置201により制御される。ここで、搬送制御装置201は、作業者エリアA23で作業者に待機時間が発生しないように、出荷レーン221dに流す出荷コンテナの順番を制御する。
【0067】
本実施の形態例のように構成したことで、作業者エリアA23でのレーン本数を削減することができ、省スペース、省コストを実現できる。また、作業者が移動することなく、作業を実行することができ、業務負荷を削減できる効果を有する。
【0068】
<第5の実施の形態例>
次に、本発明の第5の実施の形態例のピッキングシステムおよびピッキング制御方法を、
図11を参照して説明する。
【0069】
[ピッキングシステムの構成]
図11は、第5の実施の形態例のピッキングシステムの全体構成例を示す図である。
図11に示すピッキングシステムは、不図示の保管倉庫に保管されたワークを、出荷コンテナに入れるピッキングおよびプレースの作業を行うものである。
【0070】
本実施の形態例では、ワークを保管倉庫からピッキング作業エリアに供給する供給レーンとして、ロボット用第1供給レーン311と、ロボット用第2供給レーン312と、作業者用供給レーン313と、を備える。この3本の供給レーン311,312,313は、ほぼ平行に配置され、供給コンテナの搬送方向(図中の上側から下側)も同じである。
【0071】
また、本実施の形態例では、第1出荷レーン321と、第2出荷レーン322を備える。第1出荷レーン321と第2出荷レーン322は、ほぼ平行に配置され、各供給レーン311,312,313と直交する配置状態である。
それぞれの供給レーン311,312,313での供給コンテナの搬送と、各出荷レーン321,322での出荷コンテナの搬送は、搬送制御装置301による制御で実行される。搬送制御装置301は、例えば
図2に示す搬送制御装置11と同様にコンピュータで構成される。
【0072】
ロボット用第1供給レーン311と、第1出荷レーン321とが交差する箇所には、第1ロボットエリアA31が配置されている。第1ロボットエリアA31には、第1ピッキングロボットR31が設置されている。
第1ピッキングロボットR31は、ロボット用第1供給レーン311で搬送される供給コンテナC211,C212,・・・からワークをピッキングし、第1出荷レーン321に搬送される出荷コンテナC241,C242,・・・にワークをプレースする。
【0073】
ロボット用第2供給レーン312と、第2出荷レーン322とが交差する箇所には、第2ロボットエリアA32が配置されている。第2ロボットエリアA32には、第2ピッキングロボットR32が設置されている。
第2ピッキングロボットR32は、ロボット用第2供給レーン312で搬送される供給コンテナC221,C222,・・・からワークをピッキングし、ピッキングしたワークを第2出荷レーン322に搬送される出荷コンテナC251,C252,・・・にプレースする。
【0074】
さらに、作業者用供給レーン313と2つの出荷レーン321,322と交差する箇所には、作業者エリアA33が配置されている。作業者エリアA33には、搬送制御装置301の指令に基づいて作業指示を行う表示装置302が設置されている。そして、作業者W31は、手作業により、作業者用供給レーン313の供給コンテナC231,C232,・・・から第1出荷レーン321の出荷コンテナC241,C242,・・・へ、ワークのピッキングおよびプレースを行う。
さらに、作業者W31は、手作業により、作業者用供給レーン313の供給コンテナC231,C232,・・・から第2出荷レーン322の出荷コンテナC251,C252,・・・へ、ワークのピッキングおよびプレースを行う。
なお、作業者エリアA33の上流側には、コンテナ滞留装置を設けて、作業者エリアA33に供給されるコンテナを制限してもよい。
【0075】
以上説明したレーン構成としたことで、2つの出荷レーンは
図9の例のように合流させる必要がなく、出荷レーンに出荷コンテナを流す順番を考慮する必要がない。また、作業者W31は、作業者エリアA33内での移動を少なくすることができるので、業務負荷を軽減できる。
【0076】
<第6の実施の形態例>
次に、本発明の第6の実施の形態例のピッキングシステムおよびピッキング制御方法を、
図12を参照して説明する。
【0077】
[ピッキングシステムの構成]
図12は、第6の実施の形態例のピッキングシステムの全体構成例を示す図である。
図12に示すピッキングシステムは、不図示の保管倉庫に保管されたワークを、出荷コンテナに入れるピッキングおよびプレースの作業を行うものである。
【0078】
本実施の形態例では、保管倉庫からピッキング作業エリアにワークを供給する供給レーンとして、ロボット用第1供給レーン411と、ロボット用第2供給レーン412と、作業者用供給レーン413とを備える。これらの供給レーン411,412,413は、2つの合流地点414,415で1つの供給レーン417に合流される。また、合流地点415には、コンテナ退避部416が設置されている。ロボット用第1供給レーン411と、ロボット用第2供給レーン412はほぼ平行に配置されている。
【0079】
また、本実施の形態例は、出荷レーン421を備える。この出荷レーン421において、保管倉庫から供給コンテナが出力される側は、2本の出荷レーン421a,421bに分かれており、途中の合流箇所421cで1本のレーンに合流する。2本の出荷レーン421a,421bは、ロボット用第1供給レーン411およびロボット用第2供給レーン412と直交する状態に配置されている。
それぞれの供給レーン411,412,413における供給コンテナの搬送と、出荷レーン421における出荷コンテナの搬送は、搬送制御装置401の制御により実行される。搬送制御装置401は、例えば
図2に示す搬送制御装置11と同様にコンピュータで構成される。
【0080】
そして、第1ロボットエリアA41は、ロボット用第1供給レーン411と出荷レーン421aとが交差する箇所であって、かつロボット用第2供給レーン412と出荷レーン421aとが交差する箇所に配置される。第1ロボットエリアA41には、第1ピッキングロボットR41が設置されている。
また、第2ロボットエリアA42は、ロボット用第2供給レーン412と、出荷レーン421bとが交差する箇所に配置される。第2ロボットエリアA42には、第2ピッキングロボットR42が設置されている。
【0081】
さらに、作業者用供給レーン413と出荷レーン421とが近接した箇所に、作業者エリアA43が配置される。この作業者エリアA43の配置箇所は、各ロボットエリアA41,A42よりも下流になる。作業者エリアA43には、搬送制御装置401の制御により作業者への指示が表示される表示装置402が配置されている。
【0082】
第2ロボットエリアA42では、第2ピッキングロボットR42が、ロボット用第2供給レーン412で搬送された供給コンテナC313,C315,・・・からワークをピッキングし、ピッキングしたワークを出荷レーン421bで搬送された出荷コンテナC335,C337,・・・にプレースする。
そして、第1ロボットエリアA41では、第1ピッキングロボットR41が、ロボット用第1供給レーン411で搬送された供給コンテナC312,C314,・・・からワークをピッキングし、ピッキングしたワークを出荷レーン421aで搬送された出荷コンテナC334,C336,・・・にプレースする。
【0083】
さらに、第1ロボットエリアA41では、第2ピッキングロボットR42がピッキングに失敗したとき、第1ピッキングロボットR41が、ロボット用第2供給レーン412で搬送された供給コンテナC313,C315,・・・から、第2ロボットエリアで失敗したワークをピッキングし、出荷レーン421aで搬送された出荷コンテナC334,C336,・・・にプレースすることもできる。
【0084】
さらに、作業者エリアA43では、作業者による手作業で、作業者用供給レーン413で搬送された供給コンテナC321,C322,・・・からワークをピッキングして、ピッキングしたワークを出荷レーン421で搬送された出荷コンテナC331,C332,・・・にプレースする作業が実行される。
また、作業者エリアA43では、各ピッキングロボットR41,R42でピッキングに失敗したワークがある場合に、該当するワークが入った供給コンテナをコンテナ退避部416退避させた上で、そのコンテナ退避部416の供給コンテナC311から手作業でワークをピッキングし、ピッキングしたワークを出荷レーン421の出荷コンテナC331などにブレースすることができる。
【0085】
なお、図示は省略するが、各エリアA41,A42,A43の直前の各レーンには、コンテナ滞留装置を設けて、搬送制御装置401が各エリアA41,A42,A43へのコンテナの供給タイミングを制御する。
【0086】
本実施の形態例のピッキングシステムによると、第2ピッキングロボットR42でのピッキングに失敗しても、第1ピッキングロボットR41でピッキングを実行でき、失敗したワークの再度のピッキングを実行できるようになる。
また、第1ピッキングロボットR41でもピッキングできない場合、作業者エリアA43のコンテナ退避部416にコンテナを退避させた上で、手作業でピッキングできるようになる。したがって、ロボットによるピッキングが失敗した場合でも、作業者エリアA43近傍の供給レーンにおいて、供給コンテナの渋滞を防ぐことができる。
【0087】
<変形例>
なお、ここまで説明した実施の形態例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0088】
例えば、ロボットエリアには、ピッキングロボットによるピッキングとプレースをサポートする補助具を設置してもよい。
図13は、補助具の一例を示す。すなわち、供給レーン21と出荷レーン31との間にはピッキングロボットR1を配置すると共に、ピッキングロボットR1のアームR1aが移動する範囲に、補助具510を設置する。
【0089】
補助具510は、供給コンテナC11の形状に対応した穴511と、穴511の周囲を覆った平面部512と、プレースしたワークが出荷コンテナC24に入る傾斜板付きのガイド部513とを備える。
このような補助具510を備えることで、ピッキングしたワークを途中で落とした場合でも、出荷コンテナC24にワークが入ることをサポートできるようになる。
【0090】
図14は、ピッキングロボットによるピッキングとプレースをサポートする補助具の別の例を示す。この例の補助具610は、供給レーン21に隣接して押し出し部611を備え、ピッキングロボットR1は、供給コンテナC11からピッキングしたワークを、押し出し部611の表面612にプレースする。
押し出し部611は、可動部613が表面612の物体(ワーク)を、連結部614を介してガイド部615に押し出し、出荷コンテナC24に入れる。可動部613によるワークの押し出しは、1個のワークごとに実行するか、あるいは複数のワークを一括して実行してもよい。
【0091】
このような補助具610を備えることで、ピッキングロボットR1のアームR1aがピッキング時およびプレース時に移動する距離を最小限にすることができ、スループットが増加する。また、ピッキングロボットR1がワーク搬送中にワークを落としても、補助具610の上に落ちる可能性が高く、ピッキングロボットR1や各レーンを構成するコンベアなどへのダメージを抑制できる。
【0092】
また、上述した各実施の形態例では、ピッキングロボットによるピッキングが1回失敗した場合に、作業者による作業を行うようにしたが、ピッキングロボットは複数回ピッキングを実行しても、成功しない場合に失敗と判断するようにしてもよい。
【0093】
例えば、各図面に示す各レーンの配置は一例を示したものであり、その他のレーン配置としてもよい。
また、
図2に示す搬送制御装置11の構成図では、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものだけを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0094】
11…搬送制御装置、12…保管倉庫、13…コンテナ供給部、14…表示装置、15,16,17,18…コンテナ滞留装置、21…ロボット用供給レーン、22…作業者用供給レーン、24…失敗レーン、25…分岐箇所、31…出荷レーン、81…CPU、82…インターフェース、83…通信部、84…ストレージ、90…メモリ、91…出荷物品データ取得部、92…レーン制御部、93…ロボット制御部、94…作業指示部、101…搬送制御装置、102…表示装置、111…作業者用第1供給レーン、111a…開閉自在箇所、112…作業者用第2供給レーン、113…ロボット用第1供給レーン、114…ロボット用第2供給レーン、121…第1出荷レーン、122…第2出荷レーン、201…搬送制御装置、202…表示装置、211…ロボット用第1供給レーン、212…ロボット用第2供給レーン、213…作業者用供給レーン、221,221a,221b,221d…出荷レーン、221c…合流箇所、221e…バッファ部、301…搬送制御装置、302…表示装置、311…ロボット用第1供給レーン、312…ロボット用第2供給レーン、313…作業者用供給レーン、321…第1出荷レーン、322…第2出荷レーン、401…搬送制御装置、402…表示装置、411…ロボット用第1供給レーン、412…ロボット用第2供給レーン、413…作業者用供給レーン、414,415…合流地点、416…コンテナ退避部、417…供給レーン、421,421a,421b…出荷レーン、421c…合流箇所、510…補助具、511…穴、512…平面部、513…ガイド部、610…補助具、611…押し出し部、612…表面、613…可動部、614…連結部、615…ガイド部、A1…ロボットエリア、A2…作業者エリア、A11…第1ロボットエリア、A12…第2ロボットエリア、A13…作業者エリア、A21…第1ロボットエリア、A22…第2ロボットエリア、A23…作業者エリア、A31…第1ロボットエリア、A32…第2ロボットエリア、A33…作業者エリア、A41…第1ロボットエリア、A42…第2ロボットエリア、A43…作業者エリア