IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-乾燥装置及び空気吹付装置 図1
  • 特開-乾燥装置及び空気吹付装置 図2
  • 特開-乾燥装置及び空気吹付装置 図3
  • 特開-乾燥装置及び空気吹付装置 図4
  • 特開-乾燥装置及び空気吹付装置 図5
  • 特開-乾燥装置及び空気吹付装置 図6
  • 特開-乾燥装置及び空気吹付装置 図7
  • 特開-乾燥装置及び空気吹付装置 図8
  • 特開-乾燥装置及び空気吹付装置 図9
  • 特開-乾燥装置及び空気吹付装置 図10
  • 特開-乾燥装置及び空気吹付装置 図11
  • 特開-乾燥装置及び空気吹付装置 図12
  • 特開-乾燥装置及び空気吹付装置 図13
  • 特開-乾燥装置及び空気吹付装置 図14
  • 特開-乾燥装置及び空気吹付装置 図15
  • 特開-乾燥装置及び空気吹付装置 図16
  • 特開-乾燥装置及び空気吹付装置 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168509
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】乾燥装置及び空気吹付装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
B41J2/01 125
B41J2/01 451
B41J2/01 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085247
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川北 純
(72)【発明者】
【氏名】西村 豊
(72)【発明者】
【氏名】小久保 洋
(72)【発明者】
【氏名】梶田 浩記
(72)【発明者】
【氏名】原 義明
(72)【発明者】
【氏名】青木 孝平
(72)【発明者】
【氏名】貞光 雄志
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA20
2C056EB14
2C056EB30
2C056HA30
2C056HA47
(57)【要約】      (修正有)
【課題】部品交換後の機能を保証し易い構成を提供する。
【解決手段】温風吹付ユニット7は、乾燥ベルトユニット3300に対向して配置され、乾燥ベルトユニット3300により搬送されるシートに温風を吹き付ける。上扉23は、温風吹付ユニット7を収容する。温風吹付ユニット7は、吸気ファン、吸気ファンから送風された空気が流れる経路、空気を加熱するシーズヒータ、温度センサ、空気を乾燥ベルトユニット3300に吹き付ける温風吹付面を一体として上扉23に対して着脱自在である。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出して画像が形成されたシートに温風を吹き付けてシートを乾燥させる乾燥装置であって、
シートが搬送されるシート搬送部と、
前記シート搬送部に対向して配置され、前記シート搬送部により搬送されるシートに温風を吹き付ける温風吹付部と、
前記温風吹付部を収容する筐体と、を備え、
前記温風吹付部は、
空気を送風する送風部と、
前記送風部から送風された空気が流れる経路部と、
前記経路部を流れる空気を加熱する加熱部と、
前記経路部を流れる空気の温度を検知する温度検知部と、
前記経路部を流れ、前記加熱部により加熱された空気を前記シート搬送部に向けて吹き付ける吹付部と、を有し、
前記送風部、前記経路部、前記加熱部、前記温度検知部及び前記吹付部を一体として前記筐体に対して着脱自在である
ことを特徴とする乾燥装置。
【請求項2】
前記筐体は、
前記温風吹付部の所定方向の一端部を前記筐体に対して、前記温風吹付部の前記所定方向の他端部が前記筐体の内部の収容された第1位置と、前記他端部が前記第1位置よりも前記筐体の外部に露出した第2位置とに回動可能に保持する一端側保持部と、
前記温風吹付部の前記他端部が前記第1位置にある状態で前記他端部を前記筐体に保持可能な他端側保持部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項3】
前記一端側保持部は、前記温風吹付部の前記一端部を回動可能に支持する回動軸であり、
前記温風吹付部は、前記他端部が前記第2位置にある状態で前記回動軸に対して着脱可能で、且つ、前記他端部が前記第1位置にある状態で前記回動軸に対して回動可能に係合する係合部を有することを特徴とする請求項2に記載の乾燥装置。
【請求項4】
前記温風吹付部は、前記他端部に前記他端側保持部に対してロック及びロック解除が可能なロック部を有することを特徴とする請求項2に記載の乾燥装置。
【請求項5】
前記温風吹付部は、前記経路部を流れる空気の圧力を検知する圧力検知部を更に有し、前記送風部、前記経路部、前記加熱部、前記温度検知部、前記吹付部及び前記圧力検知部を一体として前記筐体に対して着脱自在であることを特徴とする請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項6】
前記シート搬送部は、回転する無端状のベルトと、前記ベルトを張架する複数の張架ローラと、前記ベルトを加熱するためのベルトヒータと、を有し、前記ベルトによりシートを加熱しつつ搬送することを特徴とする請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項7】
前記シート搬送部は、空気を吸引する吸引部を更に有し、
前記ベルトは、前記吸引部により空気が吸引されることでシートを表面に吸着して搬送可能であることを特徴とする請求項6に記載の乾燥装置。
【請求項8】
前記筐体は第1筐体であり、
前記シート搬送部を収容する第2筐体と、
前記第1筐体を前記第2筐体に対して回動自在に支持する支持部と、を備え、
前記第1筐体は、前記温風吹付部と前記シート搬送部とが対向する閉位置と、前記温風吹付部が前記シート搬送部から離間して前記温風吹付部が露出する開位置との間で前記支持部を中心に回動可能であることを特徴とする請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項9】
前記シート搬送部は、搬送されるシートに従動して回転する複数のローラを有し、前記複数のローラによりシートの搬送を案内する
ことを特徴とする請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項10】
前記筐体は第1筐体であり、
前記シート搬送部を収容する第2筐体と、
前記第2筐体を前記第1筐体に対して回動自在に支持する支持部と、を備え、
前記第2筐体は、前記シート搬送部と前記温風吹付部とが対向する閉位置と、前記シート搬送部が前記温風吹付部から離間して前記温風吹付部が露出する開位置との間で前記支持部を中心に回動可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項11】
インクを吐出して画像が形成されたシートに空気を吹き付ける空気吹付装置であって、
シートが搬送されるシート搬送部と、
前記シート搬送部に対向して配置され、前記シート搬送部により搬送されるシートに空気を吹き付ける空気吹付部と、
前記空気吹付部を収容する筐体と、を備え、
前記空気吹付部は、
空気を送風する送風部と、
前記送風部から送風された空気が流れる経路部と、
前記経路部を流れる空気の圧力を検知する圧力検知部と、
前記経路部を流れた空気を前記シート搬送部に向けて吹き付ける吹付部と、を有し、
前記送風部、前記経路部、前記圧力検知部及び前記吹付部を一体として前記筐体に対して着脱自在である
ことを特徴とする空気吹付装置。
【請求項12】
前記筐体は、
前記空気吹付部の所定方向の一端部を前記筐体に対して、前記空気吹付部の前記所定方向の他端部が前記筐体の内部の収容された第1位置と、前記他端部が前記第1位置よりも前記筐体の外部に露出した第2位置とに回動可能に保持する一端側保持部と、
前記空気吹付部の前記他端部が前記第1位置にある状態で前記他端部を前記筐体に保持可能な他端側保持部と、を有することを特徴とする請求項11に記載の空気吹付装置。
【請求項13】
前記一端側保持部は、前記空気吹付部の前記一端部を回動可能に支持する回動軸であり、
前記空気吹付部は、前記他端部が前記第2位置にある状態で前記回動軸に対して着脱可能で、且つ、前記他端部が前記第1位置にある状態で前記回動軸に対して回動可能に係合する係合部を有することを特徴とする請求項12に記載の空気吹付装置。
【請求項14】
前記空気吹付部は、前記他端部に前記他端側保持部に対してロック及びロック解除が可能なロック部を有することを特徴とする請求項12に記載の空気吹付装置。
【請求項15】
前記筐体は第1筐体であり、
前記シート搬送部を収容する第2筐体と、
前記第1筐体を前記第2筐体に対して回動自在に支持する支持部と、を備え、
前記第1筐体は、前記空気吹付部と前記シート搬送部とが対向する閉位置と、前記空気吹付部が前記シート搬送部から離間して前記空気吹付部が露出する開位置との間で前記支持部を中心に回動可能であることを特徴とする請求項11に記載の空気吹付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクにより画像が形成されたシートを乾燥させる乾燥装置、及び、シートの空気を吹き付ける空気吹付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクにより画像を形成する画像形成システムにおいては、シートを乾燥させる工程やシートに空気を吹き付ける工程がある。例えば、特許文献1には、シートをベルトにより搬送し、そのシートに対して温風を吹き付けることでシートを乾燥させる乾燥装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-226812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、乾燥装置などでは、シートが搬送されるシート搬送部と、シート搬送部により搬送されるシートに温風や空気を吹き付ける温風吹付部又は空気吹付部(以下、温風吹付部など)とを有する。このような乾燥装置において、一部の部品を交換する場合があるが、一部の部品のみを交換する場合、交換後にその部品を含むユニットの機能を保証できない可能性がある。
【0005】
本発明は、部品交換後の機能を保証し易い構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の乾燥装置は、インクを吐出して画像が形成されたシートに温風を吹き付けてシートを乾燥させる乾燥装置であって、シートが搬送されるシート搬送部と、前記シート搬送部に対向して配置され、前記シート搬送部により搬送されるシートに温風を吹き付ける温風吹付部と、前記温風吹付部を収容する筐体と、を備え、前記温風吹付部は、空気を送風する送風部と、前記送風部から送風された空気が流れる経路部と、前記経路部を流れる空気を加熱する加熱部と、前記経路部を流れる空気の温度を検知する温度検知部と、前記経路部を流れ、前記加熱部により加熱された空気を前記シート搬送部に向けて吹き付ける吹付部と、を有し、前記送風部、前記経路部、前記加熱部、前記温度検知部及び前記吹付部を一体として前記筐体に対して着脱自在であることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の空気吹付装置は、インクを吐出して画像が形成されたシートに空気を吹き付ける空気吹付装置であって、シートが搬送されるシート搬送部と、前記シート搬送部に対向して配置され、前記シート搬送部により搬送されるシートに空気を吹き付ける空気吹付部と、前記空気吹付部を収容する筐体と、を備え、前記空気吹付部は、空気を送風する送風部と、前記送風部から送風された空気が流れる経路部と、前記経路部を流れる空気の圧力を検知する圧力検知部と、前記経路部を流れた空気を前記シート搬送部に向けて吹き付ける吹付部と、を有し、前記送風部、前記経路部、前記圧力検知部及び前記吹付部を一体として前記筐体に対して着脱自在であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、部品交換後の機能を保証し易い。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係る画像形成システムの概略構成断面図。
図2】第1の実施形態に係る乾燥モジュールの概略構成断面図。
図3】第1の実施形態に係る乾燥モジュールにおいて上扉を開いた状態を示す斜視図。
図4】第1の実施形態に係る温風吹付ユニットを、一部を切断して示す斜視図。
図5】第1の実施形態に係る温風吹付ユニットの概略構成断面図。
図6】第1の実施形態に係る温風吹付ユニットを温風吹付面の平面図。
図7】第1の実施形態に係る冷風吹付ユニットを、一部を切断して示す斜視図。
図8】第1の実施形態に係る冷風吹付ユニットの概略構成断面図。
図9】第1の実施形態に係る上扉を下方から見た斜視図。
図10】第1の実施形態に係る温風吹付ユニットを上扉から取り外す様子を示す図。
図11】第1の実施形態に係る温風吹付ユニットを上扉から取り外す様子を、一部を拡大して示す図。
図12】第1の実施形態に係る冷風吹付ユニットを上扉から取り外す様子を示す図。
図13】第1の実施形態に係るロック機構を示す斜視図。
図14】第1の実施形態に係るロック機構を拡大して示す斜視図。
図15】第1の実施形態に係るロックレバーの動作を説明する、(a)平面図、(b)断面図。
図16】第2の実施形態に係る乾燥モジュールにおいて上扉を開いた状態を示す斜視図。
図17】第1の実施形態に係る温風吹付ユニットを下側筐体から取り外す様子を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1の実施形態>
第1の実施形態について、図1ないし図15を用いて説明する。まず、本実施形態の画像形成システムの概略構成について、図1を用いて説明する。
【0011】
[画像形成システム]
本実施形態の画像形成装置としての画像形成システム1は、インクを吐出してシートに画像を形成するインクジェット記録方式を用いており、反応液とインクとの2液を用いてシートにインク像を形成する、所謂枚葉式のインクジェット記録装置である。シートは、例えば普通紙や厚紙等の紙、オーバーヘッドプロジェクタ用シート等のプラスチックフィルム、封筒やインデックス紙等の特殊形状のシート、並びに布など、インクを受容可能な記録材であればよい。
【0012】
図1に示すように、本実施形態の画像形成システム1は、給送モジュール1000、プリントモジュール2000、乾燥モジュール3000、定着モジュール4000、冷却モジュール5000、反転モジュール6000、積載モジュール7000を備える。給送モジュール1000から供給されるシートSは、各モジュール内を搬送経路に沿って搬送される際に各種処理が行われ、最終的に積載モジュール7000に排出される。
【0013】
なお、給送モジュール1000、プリントモジュール2000、乾燥モジュール3000、定着モジュール4000、冷却モジュール5000、反転モジュール6000、積載モジュール7000はそれぞれが別々の筐体を有し、それら筐体が連結されて画像形成システム1を構成してよい。あるいは、1つの筐体に給送モジュール1000、プリントモジュール2000、乾燥モジュール3000、定着モジュール4000、冷却モジュール5000、反転モジュール6000、積載モジュール7000が配置されていてもよい。
【0014】
給送モジュール1000は、シートSを収容する収納庫1500a、1500b、1500cを有し、収納庫1500a~1500cはシートSを収容するために装置正面側へ引き出し可能に設けられている。シートSは、各収納庫1500a~1500cにおいて分離ベルト及び搬送ローラにより1枚ずつ給送されて、プリントモジュール2000へ搬送される。なお、収納庫1500a~1500cは3つであることに限定されず、1つや2つあるいは4つ以上を有していてよい。
【0015】
画像形成部としてのプリントモジュール2000は、作像前レジ補正部(不図示)、プリントベルトユニット2010、記録部2020を有する。給送モジュール1000から搬送されたシートSは、作像前レジ補正部により傾きや位置が補正されてプリントベルトユニット2010へ搬送される。搬送経路に対し、記録部2020はプリントベルトユニット2010と対向する位置に配置されている。記録部2020は、搬送されるシートSに対して上方から記録ヘッドによりシートS上にインクを吐出することにより画像を形成するインクジェット記録部である。インクを吐出する記録ヘッドは、搬送方向に沿って複数並べられている。本実施形態では、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(ブラック)の4色に加えて、反応液に対応した計5つのライン型記録ヘッドを有する。シートSは、プリントベルトユニット2010により吸着搬送されることにより、記録ヘッドとのクリアランスが確保されている。
【0016】
なお、インクの色数及び記録ヘッドの数は、上記した5つに限定されない。インクジェット方式は、発熱素子を用いた方式、ピエゾ素子を用いた方式、静電素子を用いた方式、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子を用いた方式等を採用することができる。各色のインクは、不図示のインクタンクからそれぞれインクチューブを介して記録ヘッドに供給される。インクはインク全質量を基準として、「0.1質量%~20.0質量%」の樹脂成分と水及び水溶性有機溶剤、色材、ワックス、添加剤等を含有するものである。
【0017】
記録部2020により画像形成されたシートSは、プリントベルトユニット2010により搬送される際に、シートSの搬送方向において記録部2020の下流側に配置されたインラインスキャナ(不図示)によりシートSに形成された画像のズレや色濃度の検知が行われる。この画像のズレや色濃度に基づき、シートSに形成する画像や濃度等の補正が行われる。
【0018】
乾燥モジュール3000は、デカップリング部3200、乾燥ベルトユニット3300、温風吹付ユニット7を有する。乾燥モジュール3000は、後続の定着モジュール4000によるシートSへのインクの定着性を高めるために、シートSに塗布されたインク及び反応液の液体分を減少させる。画像形成されたシートSは、乾燥モジュール3000内に配置されたデカップリング部3200に搬送される。デカップリング部3200では、上方から吹き付けられる風の風圧によりシートSとベルトとの間に摩擦力を生じさせ、ベルトによりシートSを搬送させている。こうして、ベルト上に載置されたシートSを摩擦力により搬送させることで、シートSがプリントベルトユニット2010とデカップリング部3200に亘って搬送される際のシートSのズレを防ぐようにしている。デカップリング部3200から搬送されたシートSは、乾燥ベルトユニット3300にて吸着搬送されて、ベルト上方に配置された温風吹付ユニット7から熱風が吹き付けられることにより、シートSに塗布されたインク及び反応液を乾燥させる。
【0019】
こうして、乾燥モジュール3000によりシートSに塗布されたインク及び反応液が加熱され水分の蒸発が促進されることで、シートSにインクが飛び散って周囲に縁取りのような線ができる所謂コックリングが生じるのを抑制できる。なお、乾燥モジュール3000は加熱乾燥できる装置であればどのような装置を用いてもよいが、例えば温風乾燥機やヒータが好ましい。ヒータとしては、例えば電熱線、赤外線ヒータによる加熱が安全性やエネルギー効率の点から好ましい。
【0020】
定着システムとしての定着モジュール4000は、定着装置としての定着ベルトユニット4100を有する。定着ベルトユニット4100は、乾燥モジュール3000から搬送されたシートSを、加熱した上ベルトユニットと下ベルトユニットの間を通過させることによりインクをシートSに定着させる。定着ベルトユニット4100については、詳細な説明を後述する。
【0021】
冷却モジュール5000は冷却部5001を複数有し、冷却部5001により定着モジュール4000から搬送された高温のシートSを冷却する。冷却部5001は、例えば外気をファンで冷却ボックス内に取り込んで冷却ボックス内の圧力を高め、冷却ボックスから圧力によりノズルを介して噴き出す風をシートSに当ててシートSを冷却する。冷却部5001は、シートSの搬送経路に対し両側に配置され、シートSの両面を冷却する。
【0022】
冷却モジュール5000には、搬送経路切換え部5002が設けられている。搬送経路切換え部5002は、反転モジュール6000にシートSを搬送する場合と、シートSの両面に画像形成する両面印刷のために両面搬送経路にシートSを搬送する場合とに応じて、シートSの搬送経路を切り換える。
【0023】
反転モジュール6000は、反転部6400を有する。反転部6400は搬送されるシートSの表裏を反転させて、積載モジュール7000に排出する際のシートSの表裏向きを変更する。積載モジュール7000は、トップトレイ7200と積載部7500を有し、反転モジュール6000から搬送されたシートSを積載する。
【0024】
両面印刷時、シートSは搬送経路切換え部5002により冷却モジュール5000の下方の搬送経路に搬送される。その後、シートSは定着モジュール4000、乾燥モジュール3000、プリントモジュール2000、給送モジュール1000の両面搬送経路を通って、プリントモジュール2000へ戻される。定着モジュール4000の両面搬送部には、シートSの表裏を反転させる反転部4200が設けられている。プリントモジュール2000へ戻されたシートSは、画像形成されていない他方の面にもインクにより画像が形成され、乾燥モジュール3000、定着モジュール4000、冷却モジュール5000、反転モジュール6000を経て積載モジュール7000に排出される。
【0025】
[乾燥モジュール]
次に、乾燥モジュール3000について、図2及び図3を用いて詳細に説明する。上述したように、乾燥モジュール3000は、デカップリング部3200、乾燥ベルトユニット3300、温風吹付ユニット7を有する。これらをまとめて乾燥機能部3010とする。乾燥機能部3010は、乾燥モジュール3000の上部に配置されており、プリントモジュール2000から排出されたシートSを受け取り、乾燥を行なってから、定着モジュール4000にシートSを受渡すための直線的なシート搬送経路3001を有する。このシート搬送経路3001におけるシート搬送方向に関して、乾燥機能部3010の上流部と下流部とでは、機能が異なっている。
【0026】
乾燥機能部3010の上流部は、空気吹付装置としてのデカップリング部3200が配置されている。デカップリング部3200は、シート搬送部としてのデカップリングベルトユニット2と、空気吹付部としての冷風吹付ユニット3とを有する。冷風吹付ユニット3は、デカップリングベルトユニット2の鉛直方向上方に配置されており、デカップリングベルトユニット2は、シートSを略水平方向に搬送する。デカップリングベルトユニット2は、回転する無端状のベルト2aを有する。そして、デカップリングベルトユニット2の上側から冷風吹付ユニット3により冷風(空気)を吹き付けることで、シートSをベルト2aに押し付けて搬送を行う。なお、以下では、ヒータなどにより加熱されていない空気を「冷風」ともいう。
【0027】
シートSの先端が乾燥モジュール3000のデカップリングベルトユニット2へ到達した時、シートSの後端側は、まだプリントモジュール2000のプリントベルトユニット2010上にある。プリントベルトユニット2010は、シートを吸引して搬送する無端状のプリントベルト4(図1)を有する。プリントベルト4上では、シートSに画像形成が行われており、そのシートSはプリントベルト4上で吸引搬送されている。この画像形成工程に外乱を与えないために、シートSをベルト2aに対して押し付ける力はプリントベルト4の吸引力より弱く、かつ、ベルト2aはプリントベルト4よりも僅かに速い速度で駆動されている。即ち、シートSの後端側がプリントベルト4上にある間は、シートSは常にベルト2aに対して滑るようになっている。
【0028】
一方、シートSの後端がプリントベルト4の領域から抜けた瞬間、シートSの搬送はベルト2aに依存することになる。この時、搬送抵抗に負けてシートSが滑らないように、冷風吹付ユニット3の空気の吹き付け力を制御する必要がある。そこで、詳しくは後述する図8を用いて説明するが、冷風吹付ユニット3からベルト2a上を搬送されるシートSに吹き付けられる風速は、冷風吹付ユニット3の内部に設けた圧力センサ21と、吸気部に設けた吸気ファン20を用いて所定の圧力に制御されている。冷風吹付ユニット3は、シートSに均一に押し付け力を与えられるように、エアを通すための多数の冷風吹付穴5が設けられた冷風吹付面6を有する。
【0029】
乾燥機能部3010の下流部は、乾燥装置としての乾燥部8が配置されている。乾燥部8は、シート搬送部としての乾燥ベルトユニット3300と、温風吹付部としての温風吹付ユニット7とを有する。温風吹付ユニット7は、乾燥ベルトユニット3300の鉛直方向上方に配置されており、乾燥ベルトユニット3300は、シートSを略水平方向に搬送する。
【0030】
乾燥ベルトユニット3300は、回転する無端状の乾燥ベルト9と、乾燥ベルト9を張架する複数の張架ローラ10と、乾燥ベルト9を加熱するためのベルトヒータとしてのヒータ10aと、を有し、乾燥ベルト9によりシートを加熱しつつ搬送する。ヒータ10aは、複数の張架ローラ10のうちの何れかの張架ローラ10の内部に配置されたハロゲンヒータであり、張架ローラ10を介して乾燥ベルト9を加熱する。本実施形態では、温風吹付ユニット7と対向する面を張架する一対の張架ローラ10のうち、シート搬送方向上流側の張架ローラ10の内部にヒータ10aを配置している。また、乾燥ベルトユニット3300は、空気を吸引する吸引部としての吸引ファン3301を有する。
【0031】
乾燥ベルト9は、吸引ファン3301により空気が吸引される複数の吸引穴(不図示)を有する。また、乾燥ベルト9の温風吹付ユニット7と対向する面(即ち、シートが搬送される面)の内側には、吸引ファン3301と接続された吸引ボックス(チャンバー)3302が配置されている。吸引ボックス3302は、乾燥ベルト9と対向する面に吸引口が形成されている。そして、吸引ファン3301により吸引ボックス3302を介して空気を吸引することで、乾燥ベルト9の複数の吸引穴から空気が吸引されて、シートを乾燥ベルト9の表面に吸着する構成となっている。このような乾燥ベルトユニット3300は、乾燥ベルト9の表面にシートを吸着して搬送可能である。
【0032】
更に、乾燥部8では、乾燥ベルトユニット3300でシートSを吸引することでシートSを乾燥ベルト9上に吸着しつつ、鉛直方向上側から温風吹付ユニット7により温風を吹き付けることでシートSを乾燥させ、コックリングと呼ばれる波うちを抑制しつつ搬送を行う。シートSを素早く乾燥させるために乾燥ベルト9の表面温度は、乾燥ベルトユニット3300の内部に設けた温度センサ(不図示)により検知した温度に基づいて、張架ローラ10の内部に配置されたヒータ10aを制御することで所定の温度に調整されている。これにより、乾燥ベルト9により搬送されるシートSを加熱するようにしている。
【0033】
一方、詳しくは後述する図5を用いて説明するが、温風吹付ユニット7内の温風温度は、ユニット内部に設けた温度センサ11と、シーズヒータ12を用いて所定の温度に制御されている。また、温風吹付ユニット7の温風吹付穴13から出る風速は、ユニット内部に設けた圧力センサ14と、吸気部に設けた吸気ファン15を用いて所定の圧力に制御されている。温風吹付ユニット7は、このような構成でシートS上のインクを乾燥する。
【0034】
温風吹付ユニット7は、シートSを均一に乾燥させられるように、エアを通すための多数の温風吹付穴13が設けられた温風吹付面16を有する(図5、6参照)。シートSを乾燥ベルト9上に固定するために、乾燥ベルト9上面の吸引圧は、吸引ボックス3302の内部に設けた圧力センサ(不図示)により検知した圧力に基づいて、吸引部に設けた吸引ファン3301を制御することで所定の圧力に調整されている。これにより、温風吹付ユニット7は、温風を吹き付けてシートSを乾燥ベルト9上に押し付ける。なお、プリントベルト4の吸引終了位置から乾燥ベルト9の吸引開始位置までの距離が最大シート長さよりも長くなるように設定している。
【0035】
[乾燥モジュールの本体部]
上述のデカップリング部3200、乾燥ベルトユニット3300、温風吹付ユニット7は、乾燥モジュール3000の本体部3100の内部に配置されている。本体部3100は、図3に示すように、筐体及び第1筐体としての上扉(上側筐体)23と、第2筐体としての下側筐体3101とを有する。上扉23の内部には、温風吹付ユニット7及び冷風吹付ユニット3が収容されている。また、下側筐体3101の内部には、乾燥ベルトユニット3300及びデカップリングベルトユニット2が収容されている。上扉23は、下側筐体3101に対して上方に開放される構成となっている。
【0036】
即ち、本体部3100は、上扉23を下側筐体3101に対して回動自在に支持する支持部3102を備える。上扉23は、温風吹付ユニット7及び冷風吹付ユニット3と乾燥ベルトユニット3300及びデカップリングベルトユニット2とが対向する閉位置と、温風吹付ユニット7及び冷風吹付ユニット3が乾燥ベルトユニット3300及びデカップリングベルトユニット2から離間して温風吹付ユニット7及び冷風吹付ユニット3が露出する開位置との間で、支持部3102を中心に回動可能である。
【0037】
支持部3102は、装置奥側に配置され、シート搬送方向と略平行な回動中心軸を有する。上扉23の装置手前側には把手部23aが設けられ、ユーザなどが把手部23aに手をかけて持ち上げられるようになっている。したがって、ユーザなど把手部23aに手をかけて上扉23を手前側から持ち上げると、上扉23が支持部3102の回動中心軸線を中心に回動して上扉23が開位置ととなる。ユーザなどが上扉23を開位置から押し下げると、支持部3102の回動中心軸線を中心に回動して上扉23が閉位置となる。
【0038】
このように上扉23を開位置とすることで、温風吹付ユニット7及び冷風吹付ユニット3と乾燥ベルトユニット3300及びデカップリングベルトユニット2との間のシート搬送経路3001が開放される。これにより、画像形成ジョブの実行中にシートSがシート搬送経路3001に詰まるジャムが発生した際に、上扉23を開放することでシート搬送経路3001に詰まったシートを取り除くジャム処理を行える。また、上扉23が開状態では、温風吹付ユニット7及び冷風吹付ユニット3が露出するため、ユーザなどがこれらの交換などのメンテナンスを行うことが可能となる。本実施形態では、温風吹付ユニット7及び冷風吹付ユニット3が上扉23から着脱可能な構成となっている。以下、それぞれのユニットについて具体的に説明する。
【0039】
[温風吹付ユニット]
まず、温風吹付ユニット7について、図4ないし図6を用いて説明する。図4は、温風吹付ユニット7の側面を切断して示す斜視図である。図5は、吸気ファン15から温風吹付穴13までの空気の流れを模式的に示した、温風吹付ユニット7の概略構成断面図である。図6は、温風吹付ユニット7の温風吹付面16を下側から見た平面図である。なお、後述する冷風吹付ユニット3の冷風吹付面6の構成は、温風吹付面16の構成と同じであるため、図6において、符号を括弧書きで示している。
【0040】
温風吹付ユニット7は、図4及び図5に示すように、送風部としての吸気ファン15と、経路部としての第1経路部18及び第2経路部19と、加熱部としてのシーズヒータ12と、温度検知部としての温度センサ11と、圧力検知部としての圧力センサ14と、吹付部としての温風吹付面16とを有する。
【0041】
吸気ファン15は、外部から空気を吸引して第1経路部18及び第2経路部19に送風する。第1経路部18及び第2経路部19は、吸気ファン15から送風された空気が流れる経路である。シーズヒータ12は、第1経路部18及び第2経路部19を流れる空気を加熱する。温度センサ11は、第1経路部18及び第2経路部19を流れる空気の温度を検知する。圧力センサ14は、第1経路部18及び第2経路部19を流れる空気の圧力を検知する。温風吹付面16は、図6に示すように、複数の温風吹付穴13を有し、第1経路部18及び第2経路部19を流れ、シーズヒータ12により加熱された空気を乾燥ベルトユニット3300に向けて吹き付ける。
【0042】
本実施形態では、空気が流れる経路部を第1経路部18と第2経路部19とに分けている。第1経路部18は、シーズヒータ12が配置されており、第1経路部18を流れる空気がシーズヒータ12により加熱される。第2経路部(チャンバー)19は、第1経路部18の空気が流れる方向に関して下流側に配置され、温風吹付面16が配置されている。第1経路部18でシーズヒータ12により加熱された空気は、第2経路部19に到達し、温風吹付面16の温風吹付穴13から乾燥ベルトユニット3300の乾燥ベルト9により搬送されるシートに向けて吹き付けられる。温風吹付ユニット7は、吸気ファン15(入力)と温風吹付穴13(出力)以外は、第1経路部18、第2経路部19を通して空気が漏れないように閉鎖された連続経路になっている。
【0043】
本実施形態の場合、温風吹付ユニット7は、吸気ファン15、第1経路部18、第2経路部19、シーズヒータ12、温度センサ11、圧力センサ14及び温風吹付面16を一体として上扉23に対して着脱自在としている。これは、温風吹付ユニット7の工場出荷時にユニット単位での機能検査が可能な構成であり、機能が保証されたユニットとして市場へ提供することが可能な構成である。なお、圧力センサ14については省略しても良い。
【0044】
[冷風吹付ユニット]
次に、冷風吹付ユニット3について、図7及び図8を用いて説明する。図7は、冷風吹付ユニット3の側面を切断して示す斜視図である。図8は、吸気ファン20から冷風吹付穴5までの空気の流れを模式的に示した、冷風吹付ユニット3の概略構成断面図である。冷風吹付ユニット3は、送風部としての吸気ファン20と、経路部としての第1経路部22a及び第2経路部22bと、圧力検知部としての圧力センサ21と、吹付部としての冷風吹付面6とを有する。
【0045】
吸気ファン20は、外部から空気を吸引して第1経路部22a及び第2経路部22bに送風する。第1経路部22a及び第2経路部22bは、吸気ファン20から送風された空気が流れる経路である。圧力センサ21は、第1経路部22a及び第2経路部22bを流れる空気の圧力を検知する。冷風吹付面6は、複数の冷風吹付穴5を有し、第1経路部22a及び第2経路部22bを流れた空気をデカップリングベルトユニット2に向けて吹き付ける。
【0046】
本実施形態では、空気が流れる経路部を第1経路部22aと第2経路部22bとに分けており、第2経路部(チャンバー)23は、第1経路部22aの空気が流れる方向に関して下流側に配置され、冷風吹付面6が配置されている。吸気ファン20から第1経路部22aに送り込まれた空気は、第2経路部22bに到達し、冷風吹付面6の冷風吹付穴5からデカップリングベルトユニット2のベルト2aにより搬送されるシートに向けて吹き付けられる。冷風吹付ユニット3は、吸気ファン20(入力)と冷風吹付穴5(出力)以外は、第1経路部22a、第2経路部22bを通して空気が漏れないように閉鎖された連続経路になっている。
【0047】
本実施形態の場合、冷風吹付ユニット3は、吸気ファン20、第1経路部22a、第2経路部22b、圧力センサ21及び冷風吹付面6を一体として上扉23に対して着脱自在としている。これは、冷風吹付ユニット3の工場出荷時にユニット単位での機能検査が可能な構成であり、機能が保証されたユニットとして市場へ提供することが可能な構成である。
【0048】
[温風吹付ユニットの交換性]
上述したように、温風吹付ユニット7や冷風吹付ユニット3は、ジャム処理時などにおけるメンテナンス性を確保するために、これらの装置を包含した部分を上側に開く上扉23に収容する構成としている。上扉23は、開閉などの操作性を良好にするのためにできるだけ小さくすることが望まれており、市場において温風吹付ユニットなどを交換する際の作業性が低下する傾向にある。例えば、上扉23の外装や内装カバーを全て取り外し、上部からアクセスしたり、上扉23自体を本体部3100から取り外したりするような作業が考えられるが、これは高所作業、重量物作業として、市場のサービスの負担になり、また安全性も懸念され、さらに作業ミスによる機械への二次災害のリスクも高まる。
【0049】
また、スペースの関係上、本体部3100に機能部品を分散させて配置し、交換する場合も、単品で着脱する構成になる傾向にあるが、交換後の機能保証の観点から、工場出荷時において保証された単位での交換が望ましい。そのため、交換ユニットはその単位で機能発現に関わる部品が包括されることが求められている。これらの課題を受けて、本実施形態では、市場のサービス交換時の負担を軽減し、サービスマンの安全性を確保し、作業ミスによる製品機能への二次災害のリスクを減らすことで、製品の稼働率低下を防ぎ、顧客のビジネスへの影響を最小限に抑える構成を提供する。
【0050】
温風吹付ユニット7は、上述した通り、ファン、ヒータ、センサといった装置を備えており、これらの部品は製品寿命の間に一定の故障率を持つことで知られている。そのため、故障時には市場において交換が可能な構成であることが求められる。商業印刷市場において、製品稼働率は顧客にとって最も重要視されることから、交換作業は速やかに行われるべきで、さらに作業ミスやユニット品質不良などによる手戻りを防ぐことが望まれている。
【0051】
これらの要求に答えるため、本実施形態では、機能に必要な要素を全て備え、機能保証された温風吹付ユニット7の単位で、乾燥モジュール3000の本体部3100に着脱可能な構成にし、さらにその交換性を向上させている。上述の図3で説明したように、本体部3100は、下側筐体3101に対して上扉23が回動自在に支持されており、上扉23には温風吹付ユニット7及び冷風吹付ユニット3が着脱可能に収容されている。そして、上扉23を開くことで温風吹付ユニット7及び冷風吹付ユニット3が露出してこれらを交換可能となっている。以下、温風吹付ユニット7の交換に関する構成について、図9ないし図11を用いて説明する。
【0052】
図9は、上扉23をシート搬送経路3001から見た図である。図10は、温風吹付ユニット7を上扉23から着脱する様子を、上扉23の一部を設ン段して示す斜視図であり、図11は、温風吹付ユニット7の装置奥側の着脱構成を拡大して示す斜視図である。上扉23は、一端側保持部としての位置決めピン27と、他端側保持部としての位置決めプレート33(図15(a)、(b))とを有する。一方、温風吹付ユニット7は、係合部としての係合プレート26と、ロック部としてのロック部材30、31(図13ないし図15(b))と、操作部としてのロックレバー28とを有する。
【0053】
位置決めピン27は、上扉23の所定方向の一端側の端部近傍に設けられ、温風吹付ユニット7の所定方向の一端部を上扉23に対して回動可能に保持する。所定方向は、装置の手前側から奥側に向かう方向であり、一端部は奥側の端部である。温風吹付ユニット7の一端部(奥側の端部)には、係合プレート26が設けられており、係合プレート26には位置決めピン27と係合可能な切り欠き26aが形成されている。そして、位置決めピン27が係合プレート26の切り欠き26aに進入し係合することで、温風吹付ユニット7の奥側の端部が位置決めピン27に対して回動可能に保持される(図10及び図11参照)。
【0054】
具体的には、温風吹付ユニット7は、上扉23に対して温風吹付ユニット7の所定方向の他端部(手前側の端部)が上扉23の内部の収容された第1位置(図9に示す位置)と、手前側の端部が第1位置よりも上扉23の外部に露出した第2位置(図10に示す位置)とに回動可能に保持される。
【0055】
位置決めピン27は、温風吹付ユニット7の奥側の端部を回動可能に支持する回動軸である。一方、係合プレート26は、温風吹付ユニット7の手前側の端部が第2位置にある状態で位置決めピン27に対して着脱可能で、且つ、温風吹付ユニット7の手前側の端部が第1位置にある状態で位置決めピン27に対して回動可能に係合する。このために、切り欠き26aは、係合プレート26の奥側に開口しており、この開口を介して位置決めピン27が進入することで切り欠き26aと位置決めピン27とが係合し、この係合部を中心に温風吹付ユニット7が回動可能となる。
【0056】
位置決めピン27の中心軸線は、上扉23を回動可能に支持する支持部3102の回動中心軸線と略平行であり、温風吹付ユニット7は、位置決めピン27と係合プレート26とが係合している状態で、この中心軸線を中心に回動する。一方、温風吹付ユニット7を上扉23から外す際には、温風吹付ユニット7を手前側に移動させることで位置決めピン27が切り欠き26aから抜け出し、位置決めピン27と係合プレート26との係合が外れる。
【0057】
位置決めプレート33は、温風吹付ユニット7の他端部(手前側の端部)が第1位置にある状態で温風吹付ユニット7の手前側の端部を上扉23に保持可能である。温風吹付ユニット7の手前側の端部には、後述する図13ないし図15(b)に示すように、ロック部材30、31及びロックレバー28が設けられており、ロック部材30、31はロックレバー28と共に回動軸29を中心に回動可能である。
【0058】
位置決めプレート33には、図15(a)に示すように、ロック部材30、31が通過可能な透孔33aが形成されており、ロック部材30、31が位置決めプレート33の透孔33aから外れた係合面33bと係合することで、温風吹付ユニット7の手前側の端部が位置決めプレート33に位置決めされ、温風吹付ユニット7が第1位置に保持される。また、温風吹付ユニット7が第1位置に保持された状態では、図9に示すように、固定ビス24により温風吹付ユニット7の手前側の端部が上扉23に固定される。ロック部材30、31などを含むロック機構25の詳しい説明については後述する。
【0059】
温風吹付ユニット7を上扉23から取り外す場合、まず、手前側の固定ビス24を外す。この時、固定ビス24近傍にある上扉23側と温風吹付ユニット7との電気接続をするコネクタ(不図示)も外す。その後、手で温風吹付ユニット7の手前側を支えながら、ロックレバー28を回動させると、温風吹付ユニット7と上扉23のロックが解除され、温風吹付ユニット7は自重によって鉛直下方へ降りようとする。
【0060】
この時、温風吹付ユニット7の奥側の端部は、図10に示すように、係合プレート26が位置決めピン27と係合しているため、この係合部を回動中心として上扉23から温風吹付ユニット7の手前側が下方に降りるように温風吹付ユニット7が回動する。次いで、温風吹付ユニット7が略水平となる位置まで降ろした後、図11に示すように、温風吹付ユニット7を装置の手前側へ引くことで、係合プレート26が位置決めピン27から外れ、上扉23から温風吹付ユニット7を外すことができる。温風吹付ユニット7を上扉23へ取り付ける場合は、上記の作業を逆にたどれば良い。
【0061】
[冷風吹付ユニットの交換性]
次に、冷風吹付ユニット3の交換に関する構成について、図9ないし図11を参照しつつ図12を用いて説明する。冷風吹付ユニット3も、温風吹付ユニット7と同様に、機能に必要な要素を全て備え、機能保証された冷風吹付ユニット3の単位で、乾燥モジュール3000の本体部3100に着脱可能な構成にし、さらにその交換性を向上させている。上扉23と冷風吹付ユニット3の取付構成と交換作業は、温風吹付ユニット7と同様である。
【0062】
このために冷風吹付ユニット3も、温風吹付ユニット7と同様に、係合部としての係合プレート26と、ロック部としてのロック部材30、31(図13ないし図15(b))と、操作部としてのロックレバー28とを有する。また、上扉23についても、冷風吹付ユニット3を着脱するために、一端側保持部としての位置決めピン27と、他端側保持部としての位置決めプレート33(図15(a)、(b))とを有する。冷風吹付ユニット3の場合も、図12に示すように、手前側を下方に降ろして上扉23に対する着脱を行う。
【0063】
[ロック機構]
次に、ロック機構25の構成について、図13ないし図15(b)を用いて説明する。温風吹付ユニット7と冷風吹付ユニット3におけるロック機構25の構成は同じであるため、以下、代表して温風吹付ユニット7のロック機構25について説明する。上述のように、温風吹付ユニット7は、手前側の端部に位置決めプレート33に対してロック及びロック解除が可能なロック部としてのロック部材30、31と、ロック部材30、31を操作可能なロックレバー28とを有する。
【0064】
図13及び図14に示すように、ロックレバー28は回動軸29を中心に所定の角度内で回転可能に設けられており、回動軸29の延長上にロック部材30、31が回動軸29に固定されている。ロック部材30、31は、回動軸29の中心軸線に沿った方向に離間して設けられており、図の下側のロック部材30と上側のロック部材31の間には、所定の隙間32がある。
【0065】
ロックレバー28の回転に伴って、回動軸29はロック部材30、31と共に、ロック位置からロック解除位置へ回動可能である。一方、図15(a)に示すように、上扉23側の位置決めプレート(板金)33には、回動軸29が挿入される透孔(ロック穴)33aが設けられ、透孔33aはロック解除の角度に位置する上側のロック部材31が通過する形状になっている。
【0066】
温風吹付ユニット7を上扉23に装着する際には、上述のように、位置決めピン27に係合プレート26を係合させて、温風吹付ユニット7の奥側の端部を回動可能に保持する。そして、温風吹付ユニット7の手前側を持ち上げることで温風吹付ユニット7を第1位置に向けて移動させる。温風吹付ユニット7が上扉23に固定される位置(第1位置)に移動すると、上側のロック部材31が透孔33aを通過し、図15(b)に示すように、透孔33aが形成された位置決めプレート33を挟んで、位置決めプレート33の上に上側のロック部材31が、位置決めプレート33の下に下側のロック部材30が位置する。
【0067】
そして、この位置において、ロックレバー28を回転させ、ロック部材30、31がロック位置まで回動すると、ロック部材30、31の隙間32に位置決めプレート33が入り、上側のロック部材31と位置決めプレート33の係合面33bと係合することによって、温風吹付ユニット7の自重が支持される。この状態で固定ビス24により温風吹付ユニット7の手前側を上扉23に固定することにより、温風吹付ユニット7の上扉23への装着が完了する。
【0068】
一方、温風吹付ユニット7を上扉23から取り外す際には、固定ビス24を外し、ロック機構25のロック解除を行う。この際、ロックレバー28を回動させて、ロック部材30、31を位置決めプレート33の透孔33aと重なる位置まで移動させる。すると、上側のロック部材31が透孔33aを通過することで、温風吹付ユニット7の手前側が下方に移動可能となるため、上述のように温風吹付ユニット7を図10及び図11に示す姿勢とする。そして、この姿勢で温風吹付ユニット7を手前側に引っ張ることで位置決めピン27から係合プレート26が外れ、温風吹付ユニット7を上扉23から取り外すことができる。このようなロック機構25は、固定ビス24を外した後、温風吹付ユニット7が下方へ急に落下しないようにするものである。
【0069】
このような本実施形態の場合、温風吹付ユニット7は、機能が保証されたユニット単位である、吸気ファン15、第1経路部18、第2経路部19、シーズヒータ12、温度センサ11、圧力センサ14及び温風吹付面16を一体として上扉23に対して着脱自在としている。また、冷風吹付ユニット3は、機能が保証されたユニット単位である、吸気ファン20、第1経路部22a、第2経路部22b、圧力センサ21及び冷風吹付面6を一体として上扉23に対して着脱自在としている。このため、部品交換後の機能を保証し易い。
【0070】
また、温風吹付ユニット7及び冷風吹付ユニット3は、奥側の端部が上扉23に対して回動可能に保持され、ユニットが上扉23に収容された状態(第1の状態)で手前側の端部が上扉23に保持される構成としている。また、手前側の端部は、ロック機構25によりロック及びロック解除が可能な構成となっている。このため、温風吹付ユニット7及び冷風吹付ユニット3を取り外す際には、まず、ロック機構25のロックを解除することで温風吹付ユニット7及び冷風吹付ユニット3の手前側の端部の保持を外す。次いで、温風吹付ユニット7及び冷風吹付ユニット3を奥側の係合部を中心に回動させることで、温風吹付ユニット7及び冷風吹付ユニット3を手前側に引き抜く位置に位置させる。そして、温風吹付ユニット7及び冷風吹付ユニット3を引き抜くことで奥側の係合部の係合が外れ、温風吹付ユニット7及び冷風吹付ユニット3を上扉23から取り外すことが可能となっている。
【0071】
このため、温風吹付ユニット7及び冷風吹付ユニット3の取り外しの際に、上扉23のカバーを外すなどの作業を行うことなく、容易に取り外し作業を行える。また、上方に開く上扉23から温風吹付ユニット7及び冷風吹付ユニット3を外す際には高所作業となる虞があるが、上述のように、温風吹付ユニット7及び冷風吹付ユニット3の手前側を下方に降ろし、引き抜く構成としているため、高所作業とならず、作業の安全性を良好となる。温風吹付ユニット7及び冷風吹付ユニット3を上扉23に装着する際には、上述の手順を逆に行えば良く、やはり、作業を安全かつ容易に行える。
【0072】
以上のように本実施形態では、温風吹付ユニット7及び冷風吹付ユニット3を、機能が保証されたユニット単位で交換可能であり、且つ、これらの着脱の際の作業の安全性及び容易性を向上させることができるため、市場におけるサービス負担を軽減し、ユニットの交換作業による顧客のビジネスへの影響を最小限に抑えることができる。
【0073】
<第2の実施形態>
第2の実施形態について、図16及び図17を用いて説明する。上述の第1の実施形態では、上扉23に対して温風吹付ユニット7を着脱する構成について説明した。これに対して本実施形態では、下側筐体55に対して温風吹付ユニット51を着脱する構成としている。その他の構成及び作用は、上述の第1の実施形態と同様であるため、同様の構成には同じ符号を付して説明及び図示を省略又は簡略にし、以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0074】
上述の第1の実施形態では、図1に示されるような枚葉紙印刷用の画像形成システムの構成について説明した。しかしながら、画像形成システムは、枚葉紙印刷機に限定されず、連帳印刷機においても適用できる。連帳印刷機では、給送から排出までシートは連続しているため、枚葉紙印刷機のようにシートを搬送する搬送ベルトが連続して配置される必要がない。そのため、乾燥モジュール3000Aにおいても、第1の実施形態のように乾燥ベルトユニット3300などは必要ない。
【0075】
本実施形態の乾燥モジュール3000Aは、第1の実施形態と同様に、温風吹付ユニット51を有する。乾燥モジュール3000Aの本体部3100Aは、図16に示すように、第2筐体としての上扉(上側筐体)54と、筐体及び第1筐体としての下側筐体55とを有する。本実施形態では、下側筐体55の内部に、温風吹付ユニット7及び冷風吹付ユニット3が収容されている。一方、上扉23の内部には、シート搬送部としての複数のローラ53が収容されている。
【0076】
上扉54は、下側筐体55に対して上方に開放される構成となっている。即ち、上扉54は、複数のローラ53と温風吹付ユニット51とが対向する閉位置と、複数のローラ53が温風吹付ユニット51から離間して温風吹付ユニット51が露出する開位置との間で支持部3102Aを中心に回動可能である。
【0077】
このような本実施形態の画像形成システムの場合、シートの画像形成面は、鉛直方向下側の面であり、温風吹付ユニット51は下側筐体55に収容され、下方側から上方に向けて温風を吹き付ける。温風吹付ユニット51は、上側に温風を吹く構成であり、且つ、後述するように、手前側を上方に持ち上げて下側筐体55から着脱する構成である以外は、第1の実施形態の温風吹付ユニット7と同じ構成を有する。
【0078】
温風吹付ユニット51と複数のローラ53との間は、シートが搬送されるシート搬送経路52となっており、複数のローラ53はシート搬送経路52において搬送されるシートに従動して回転することでシートの搬送を案内する。このため、複数のローラ53は、それぞれシートの搬送方向に交差する(本実施形態では直交する)シートの幅方向と平行な回転軸線を有し、且つ、シートの搬送方向に関して互いに間隔をあけて配置されている。そして、シート搬送経路52内を搬送されるシートに当接することで従動して回転する。また、複数のローラ53は、シート(連帳紙など)にテンションを掛けながら支持する。
【0079】
このように、本実施形態の場合、温風吹付ユニット51はシート搬送経路52の下側に配置される。したがって、温風吹付ユニット51を交換する場合には、図16に示すように、複数のローラ53を設けた上扉54を上部に引き上げて、シート搬送経路52を開放する。温風吹付ユニット51は、上述のように下側筐体55に設けられているため、図17に示すように、温風吹付ユニット51の奥側を回転中心として、下側筐体55から温風吹付ユニット51を取り外す構成となる。温風吹付ユニット51の位置決めや固定方法、それに伴う交換方法は、第1の実施形態と同様である。
【0080】
このような本実施形態の場合も、温風吹付ユニット51は、機能が保証されたユニット単位としているため、部品交換後の機能を保証し易い。また、温風吹付ユニット51の交換作業を安全かつ容易に行える。なお、温風吹付ユニット51に代えて、或いは、温風吹付ユニット51に加えて、冷風吹付ユニットを下側筐体55に配置するようにしても良く、この場合、シートに対して下側から冷風を吹き付けることになる。冷風吹付ユニットの下側筐体55に対する着脱の構成は、温風吹付ユニット51の場合と同様である。
【符号の説明】
【0081】
1・・・画像形成システム(画像形成装置)
2・・・デカップリングベルトユニット(シート搬送部)
3・・・冷風吹付ユニット(空気吹付部)
6・・・冷風吹付面(吹付部)
7、51・・・温風吹付ユニット(温風吹付部)
8・・・乾燥部(乾燥装置)
9・・・乾燥ベルト
10・・・張架ローラ
10a・・・ヒータ(ベルトヒータ)
11・・・温度センサ(温度検知部)
12・・・シーズヒータ(加熱部)
14・・・圧力センサ(圧力検知部)
15・・・吸気ファン(送風部)
16・・・温風吹付面(吹付部)
18・・・第1経路部(経路部)
19・・・第2経路部(経路部)
20・・・吸気ファン(送風部)
21・・・圧力センサ(圧力検知部)
22・・・第1経路部(経路部)
23・・・第2経路部(経路部)
23・・・上扉(筐体、第1筐体)
26・・・係合プレート(係合部)
27・・・位置決めピン(一端側保持部)
30、31・・・ロック部材(ロック部)
33・・・位置決めプレート(他端側保持部)
53・・・ローラ(シート搬送部)
54・・・上扉(第2筐体)
55・・・下側筐体(筐体、第1筐体)
3101・・・下側筐体(第2筐体)
3102・・・支持部
3200・・・デカップリング部(空気吹付装置)
3300・・・乾燥ベルトユニット(シート搬送部)
3301・・・吸引ファン(吸引部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17