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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168537
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】バルブアクチュエータおよび電動弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/04 20060101AFI20241128BHJP
   H02K 11/21 20160101ALI20241128BHJP
【FI】
F16K31/04 Z
F16K31/04 K
H02K11/21
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085296
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】星野 和正
(72)【発明者】
【氏名】米沢 蕉真
【テーマコード(参考)】
3H062
5H611
【Fターム(参考)】
3H062AA07
3H062AA15
3H062BB14
3H062CC01
3H062DD01
3H062EE01
3H062EE07
3H062FF01
3H062FF23
3H062GG01
3H062HH03
5H611AA01
5H611BB01
5H611QQ03
5H611TT01
(57)【要約】
【課題】熱伝達による不具合の発生を抑制して動作安定性を高めることができるバルブアクチュエータおよび電動弁を提供する。
【解決手段】バルブアクチュエータ5は、電動モータ54と、出力軸56と、回路基板58と、出力軸56の回転角度を検出する回転角度検出機構57と、を備える。出力軸56の基端部が第1基板60よりもケース51の底壁51A側に位置して設けられる。回転角度検出機構57の角度伝達軸57Bが第1基板60を貫通するとともに、第2基板70に設けられたポテンショメータ(角度検出部)57Eに角度伝達軸57Bの回転が伝達される。出力軸56を介して第1基板60に熱が伝達されにくくなり、バルブアクチュエータ5の動作の不具合の発生を抑制することができる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動弁の弁体を開閉動作させるためのバルブアクチュエータであって、
電動モータと、
前記電動モータの回転を前記弁体に伝達する出力軸と、
前記電動モータの回転を制御するための回路基板と、
前記出力軸の回転角度を検出する回転角度検出機構と、
前記電動モータ、前記回路基板および前記回転角度検出機構を収容するケースと、を備え、
前記出力軸は、前記ケースの底壁を貫通する先端側が前記弁体に延びて設けられ、基端部が前記回路基板よりも前記底壁側に位置して設けられ、
前記回転角度検出機構は、前記出力軸の出力歯車に噛合する伝達歯車と、前記伝達歯車とともに回転する角度伝達軸と、前記角度伝達軸の回転に基づいて前記出力軸の回転角度を検出する角度検出部と、を少なくとも有し、
前記角度伝達軸が前記回路基板を貫通して前記ケースの天壁側まで延びて設けられ、前記回路基板よりも前記天壁側に位置する前記角度検出部に前記角度伝達軸の回転が伝達されることを特徴とするバルブアクチュエータ。
【請求項2】
前記回転角度検出機構の前記伝達歯車が樹脂製であることを特徴とする請求項1に記載のバルブアクチュエータ。
【請求項3】
前記電動モータが取り付けられる取付板をさらに備え、
前記出力軸は、前記取付板と前記ケースの底壁とに亘って回転支持され、
前記回路基板は、前記取付板および前記出力軸の基端部に対して前記ケースの天壁側に離隔して設けられていることを特徴とする請求項1に記載のバルブアクチュエータ。
【請求項4】
前記電動モータの回転を前記出力軸に伝達する減速歯車列をさらに備え、前記減速歯車列を構成する複数の歯車のうち少なくとも1つの歯車が樹脂製であることを特徴とする請求項3に記載のバルブアクチュエータ。
【請求項5】
前記回路基板は、前記ケースの側壁に支持されていることを特徴とする請求項1に記載のバルブアクチュエータ。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載のバルブアクチュエータを備えることを特徴とする電動弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブアクチュエータおよび電動弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動弁の弁体を開閉動作させるための駆動部としてバルブアクチュエータ(ギヤードモータ)が利用されている。バルブアクチュエータとしては、駆動源であるモータと、モータの駆動力を出力軸に伝達する複数のギア(歯車輪列)と、出力軸の回転角度を検出する検出手段(ポテンショメータ)と、モータの回転を制御するための回路基板と、これらの各部を収容するケース(カバー)と、を有したものが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-92694号公報
【特許文献2】特開2021-148178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のバルブアクチュエータは、出力軸がケースの天壁から底壁まで延び、底壁を貫通して弁体に接続されており、ケース中にて出力軸は回路基板を貫通して設けられている。このため、電動弁の熱(高温/低温)が出力軸を介してケース内の各部に伝達されることで、バルブアクチュエータの動作に不具合が生じる可能性がある。一例としては、電動弁が低温になる(冷水が流れている)場合、出力軸が冷やされることで表面に結露水が付着し、この結露水が回路基板に滴下すると回路がショートするおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、熱伝達による不具合の発生を抑制して動作安定性を高めることができるバルブアクチュエータおよび電動弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のバルブアクチュエータは、電動弁の弁体を開閉動作させるためのバルブアクチュエータであって、電動モータと、前記電動モータの回転を前記弁体に伝達する出力軸と、前記電動モータの回転を制御するための回路基板と、前記出力軸の回転角度を検出する回転角度検出機構と、前記電動モータ、前記回路基板および前記回転角度検出機構を収容するケースと、を備え、前記出力軸は、前記ケースの底壁を貫通する先端側が前記弁体に延びて設けられ、基端部が前記回路基板よりも前記底壁側に位置して設けられ、前記回転角度検出機構は、前記出力軸の出力歯車に噛合する伝達歯車と、前記伝達歯車とともに回転する角度伝達軸と、前記角度伝達軸の回転に基づいて前記出力軸の回転角度を検出する角度検出部と、を少なくとも有し、前記角度伝達軸が前記回路基板を貫通して前記ケースの天壁側まで延びて設けられ、前記回路基板よりも前記天壁側に位置する前記角度検出部に前記角度伝達軸の回転が伝達されることを特徴とする。
【0007】
このような本発明によれば、出力軸の基端部が回路基板よりもケースの底壁側に位置して設けられる、すなわち、出力軸が回路基板を貫通していないことで、電動弁の熱が出力軸を介して回路基板に伝達されにくくなり、バルブアクチュエータの動作の不具合の発生を抑制することができる。さらに、回転角度検出機構の角度伝達軸が回路基板を貫通して角度検出部に回転を伝達することで、出力軸から直接ではなく伝達歯車および角度伝達軸を介することによって、回路基板や角度検出部への熱の影響を小さくすることができる。
【0008】
この際、本発明のバルブアクチュエータでは、前記回転角度検出機構の前記伝達歯車が樹脂製であることが好ましい。このような構成によれば、回転角度検出機構の伝達歯車が樹脂製であることで、出力軸から角度伝達軸や回路基板への熱の伝達をさらに抑制することができる。
【0009】
さらに、本発明のバルブアクチュエータは、前記電動モータが取り付けられる取付板をさらに備え、前記出力軸は、前記取付板と前記ケースの底壁とに亘って回転支持され、前記回路基板は、前記取付板および前記出力軸の基端部に対して前記ケースの天壁側に離隔して設けられていることが好ましい。このような構成によれば、回路基板が取付板および出力軸の基端部と離隔して設けられていることで、回路基板への熱の伝達をさらに抑制することができる。
【0010】
また、本発明のバルブアクチュエータでは、前記電動モータの回転を前記出力軸に伝達する減速歯車列をさらに備え、前記減速歯車列を構成する複数の歯車のうち少なくとも1つの歯車が樹脂製であることが好ましい。このような構成によれば、減速歯車列の歯車の少なくとも1つが樹脂製であることで、出力軸から電動モータや取付板への熱の伝達を抑制することができ、回路基板への熱の影響を小さくすることができる。
【0011】
さらに、本発明のバルブアクチュエータでは、前記回路基板は、前記ケースの側壁に支持されていることが好ましい。このような構成によれば、回路基板がケースの側壁に支持されていることで、回路基板の熱容量を大きくすることができ、結露の発生を抑制することができる。
【0012】
本発明の電動弁は、前記いずれかのバルブアクチュエータを備えることを特徴とする。このような電動弁によれば、出力軸を介して伝達される熱によるバルブアクチュエータの不具合の発生を抑制することができ、電動弁の動作安定性を高めることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のバルブアクチュエータおよび電動弁によれば、熱伝達による不具合の発生を抑制して動作安定性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る電動弁を示す部分断面図である。
図2】前記電動弁に設けられるバルブアクチュエータを示す分解斜視図である。
図3】前記バルブアクチュエータの内部を示す平面図である。
図4】前記バルブアクチュエータの断面図である。
図5】前記バルブアクチュエータの内部を示す平面図および側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図1に示すように、本実施形態の電動弁1は、弁本体としての弁ハウジング2と、弁ハウジング2内部に回転可能に設けられた弁体3と、弁体3に固定されて弁ハウジング2を上方に貫通する駆動軸4と、弁ハウジング2の上部に固定されたバルブアクチュエータ5と、を備えている。
【0016】
弁ハウジング2は、軸線X方向に延びる円筒状で弁体3を収容する第1筒部21と、第1筒部21から軸線Xと直交する軸線Z方向に延びる第2筒部22と、第1筒部21の上流側(図1の左側)に延びて上流側の配管(不図示)が接続される継手部23と、第1筒部21の下流側(図1の右側)に固定されて下流側の配管(不図示)が接続される継手部材24と、を有している。また、第1筒部21と継手部23との間には、弁体3と弁ハウジング2との間をシールするシール部材25が設けられ、第1筒部21と継手部材24との間には、弁体3と弁ハウジング2との間をシールするシール部材26が設けられている。
【0017】
弁体3は、全体球状に形成されたボールバルブであって、一方の側面に開口した第1開口31と、他方の側面に開口して第1開口31に連通する第2開口32と、を有し、弁体3の上部に駆動軸4が固定されている。駆動軸4は、弁ハウジング2の第2筒部22に挿通され、軸線Z回りに回転可能に支持されるとともに、後述するバルブアクチュエータ5の出力軸56に接続されている。弁体3は、出力軸56および駆動軸4の回転に伴って軸線Z回りに回転し、図1に示すように、第1開口31が継手部23内部に連通し、第2開口32が継手部材24内部に連通した弁開状態となる。この弁開状態から弁体3が軸線Z回りに90°回転し、第1開口31および第2開口32が図1の紙面前後方向に位置することで、継手部23内部と継手部材24内部とが非連通な弁閉状態となる。
【0018】
次に、図2~5に示すように、本実施形態のバルブアクチュエータ5は、上方に開口した有底状のケース51と、ケース51の開口を閉じて部品収容空間を形成するカバー52と、ケース51に固定される取付板53と、取付板53に取り付けられる電動モータ54と、電動モータ54に接続される歯車列(減速歯車列)55と、歯車列55に接続されるとともにケース51から下方に突出する出力軸56と、出力軸56の回転角度を検出する回転角度検出機構57と、電動モータ54の回転を制御するための回路基板58と、を備えて構成されている。
【0019】
ケース51は、底壁51Aと、底壁51Aの周縁から立ち上がる側壁51Bと、底壁51Aおよび側壁51Bが側方に突出した突出部51Cと、を有し、突出部51Cの先端には、電線を導入するための導入孔51Dが設けられている。カバー52は、上壁52Aと、上壁52Aの周縁から立ち下がる側壁52Bと、上壁52Aおよび側壁52Bが側方に突出した突出部52Cと、を有して形成されている。ケース51およびカバー52は、互いの側壁51A,52Bおよび突出部51C,52Cの端縁同士を当接させた状態でねじ止め固定されることで、その内部に部品収容空間が形成される。
【0020】
取付板53は、金属板材であって、ケース51の側壁51Bの内周に沿って設けられ、側壁51Bの内周から内側に突出した固定部にねじ止め固定されている。この取付板53の上面には、後述する第1基板60と所定の隙間を確保するための複数のスペーサ53Aが固定されている。電動モータ54は、取付板53の上面に固定され、電動モータ54のピニオンギア54Aが取付板53を貫通して、ケース51内に突出して設けられている。
【0021】
図3は、減速歯車列としての歯車列55を示す平面図であり、図4は、図3に矢視A-A線、矢視B-B線、矢視C-C線で示す各部位を横に連続して示す断面図である。図3、4に示すように、歯車列55は、第1ギア55A、第2ギア55B、第3ギア55C、および第4ギア55Dからなる減速歯車列であり、電動モータ54の回転を減速させつつ出力軸56に伝達するものである。第1ギア55Aは、電動モータ54のピニオンギア54Aに噛合するアイドルギアであり、ケース51の底壁51Aと取付板53との間に設けられた軸55Fに回転可能かつ上下移動自在に設けられている。そして、第1ギア55Aは、ケース51の底壁51Aに設けられたクラッチボタン55Eによって押し上げられることで、第2ギア55Bとの噛合が解除され、不図示の手動操作機構により、手動で弁体3の開閉操作ができるようになっている。なお、クラッチボタン55Eへの押し上げ力を解除すると、第1ギア55Aと取付板53との間に設けられた不図示の圧縮ばねの付勢力により、第1ギア55Aと第2ギア55Bとの噛合が自動復帰される。
【0022】
第2ギア55Bは、ケース51の底壁51Aと取付板53との間に設けられた軸55Gに回転可能に支持され、第1ギア55Aに噛合することで第1ギア55Aの回転に伴って回転する。第3ギア55Cは、出力軸56の中間部に回転可能に支持され、第2ギア55Bのピニオンに噛合することで第2ギア55Bの回転に伴って回転する。第4ギア55Dは、軸55Gに回転可能に支持され、第3ギア55Cのピニオンに噛合することで第3ギア55Cの回転に伴って回転する。この第4ギア55Dのピニオンに出力軸56の出力ギア56Bが噛合していることで、第4ギア55Dの回転に伴って出力ギア56Bが固定された出力軸56が回転する。
【0023】
以上の歯車列55において、第1ギア55Aおよび第2ギア55Bは、それぞれ樹脂製であり、例えば、ポリアセタール(POM)樹脂や各種ナイロン樹脂などで形成されている。一方、第3ギア55C、第4ギア55Dおよび出力ギア56Bは、それぞれ金属製であり、例えば、鉄系焼結合金や炭素鋼、ステンレス合金などで形成されている。このように歯車列55の複数の歯車のうち、少なくとも第1ギア55Aおよび第2ギア55Bが樹脂製であることで、出力軸56から電動モータ54や取付板53への熱の伝達を抑制することができるようになっている。
【0024】
出力軸56は、ケース51の底壁51Aに設けられた軸受けに回転可能に支持されるとともに、上端側の小径部56Aが取付板53に設けられた軸受けに回転可能に支持されている。出力軸56の小径部56Aは、取付板53を貫通して設けられているものの、第1基板60の下面とは離隔して設けられている。出力軸56は、ケース51の底壁51Aから下方に突出して設けられ、電動弁1の駆動軸4に接続されている。
【0025】
図4、5にも示すように、回転角度検出機構57は、出力ギア56Bに噛合して出力ギア56Bの回転角度を伝達する角度伝達ギア(伝達歯車)57Aと、角度伝達ギア57Aに固定されるとともにケース51の底壁51Aに回転可能に支持された角度伝達軸57Bと、中間ギア57Cと、ポテンショギア57Dと、ポテンショメータ(角度検出部)57Eと、カム57Fと、マイクロスイッチ57Gと、を備える。角度伝達軸57Bは、取付板53および第1基板60を貫通して設けられ、第1基板60よりも上側に中間ギア57Cが固定されている。中間ギア57Cには、ポテンショギア57Dが噛合し、ポテンショメータ57Eによって出力軸56の回転角度が検出される。また、角度伝達軸57Bの上端側には、カム57Fが固定され、カム57Fの回転によってマイクロスイッチ57GのON/OFFが切り替えられるようになっている。
【0026】
以上の回転角度検出機構57において、角度伝達ギア57Aは樹脂製であり、例えば、ポリアセタール(POM)樹脂で形成されている。このように角度伝達ギア57Aが樹脂製であることで、出力軸56から角度伝達軸57Bや取付板53、回路基板58への熱の伝達を抑制することができるようになっている。
【0027】
回路基板58は、取付板53に近い第1基板60と、第1基板60よりも取付板53から遠い第2基板70と、の2枚で構成され、これらが出力軸56の軸線方向に積層されて取付板53に取り付けられている。第1基板60は、スペーサ53Aを介して取付板53の上面に対向して固定されている。第1基板60は、複数の電子部品が実装されたプリント基板61であり、その外縁には、ケース51の側壁51Bの内周面に沿った円弧部62と、外縁の一部が切り欠かれた第1切欠き部63と、を有して形成されている。第1基板60は、出力軸56の軸線方向において電動モータ54の高さの範囲内に配置され、第1切欠き部63に電動モータ54が入り込むようにして配置されている。
【0028】
第1基板60には、オペアンプICや端子台等の電子部品が実装され、端子台に後述する第2基板70からの信号線が接続されるとともに、オペアンプICによって電動モータ54の回転を制御するように構成されている。すなわち、第1基板60は、電動モータ54の回転を制御する制御系基板である。また、取付板53および第1基板60には、それぞれ回転角度検出機構57の角度伝達軸57Bが貫通する貫通孔53B,64が形成されている。また、第1基板60は、スペーサ53Aによって取付板53から離隔して設けられ、出力軸56の基端部(上端部)とも離隔して設けられている。
【0029】
第2基板70は、スペーサ74を介して第1基板60の上方に対向して固定されている。第2基板70は、複数の電子部品が実装されたプリント基板71であり、その外縁には、カバー52の側壁52Bの内周面に沿った円弧部72と、外縁の一部が切り欠かれた第2切欠き部73と、を有して形成されている。第2基板70は、出力軸56の軸線方向において電動モータ54の上側を覆って配置され、第2切欠き部73に回転角度検出機構57の一部が入り込むようにして配置されている。
【0030】
第2基板70には、複数の端子台75やトランジスタ、トライアック、コンデンサ等の電子部品が実装され、端子台75のいずれかに導入孔51Dから導入された電線が接続され、他の端子台75を介して第1基板60や電動モータ54と信号線や電力線が接続されている。このような第2基板70は、第1基板60や電動モータ54に信号や電力を供給するパワー系基板である。また、第2基板70には、回転角度検出機構57のポテンショメータ57Eが取り付けられている。また、第1基板60および第2基板70は、第2基板70、スペーサ74、第1基板60、スペーサ53Aおよび取付板53を貫通するねじによって、側壁51Bの固定部にねじ止め固定されている。なお、本実施形態では、第2基板70、スペーサ74、第1基板60、スペーサ53Aおよび取付板53を貫通するねじによって、第1基板60と第2基板70が側壁51Bの固定部にねじ止め固定されているが、これに限らない。例えば、第1基板60と第2基板70をスペーサ53A、スペーサ74を介して取付板53にねじ止め固定した後、取付板53を側壁51Bの固定部にねじ止め固定してもよい。
【0031】
以上のような本実施形態によれば、出力軸56の基端部が第1基板60よりもケース51の底壁51A側に位置して設けられる、すなわち、出力軸56が第1基板60を貫通していないことで、出力軸56を介して第1基板60に熱が伝達されにくくなり、バルブアクチュエータ5の動作の不具合の発生を抑制することができる。また、第1基板60が取付板53および出力軸56の基端部と離隔して設けられていることで、第1基板60への熱の伝達をさらに抑制することができる。
【0032】
さらに、回転角度検出機構57の角度伝達軸57Bが第1基板60を貫通してポテンショメータ57Eに回転を伝達することで、出力軸56から直接ではなく角度伝達ギア57Aおよび角度伝達軸57Bを介することによって、第1基板60やポテンショメータ57Eへの熱の影響を小さくすることができる。また、回転角度検出機構57の角度伝達ギア57Aが樹脂製であることで、出力軸56から角度伝達軸57Bや第1基板60への熱の伝達をさらに抑制することができる。
【0033】
さらに、歯車列55において、第1ギア55Aおよび第2ギア55Bが樹脂製であることで、出力軸56から電動モータ54や取付板53への熱の伝達を抑制することができる。また、第1基板60がケース51の側壁51Bに支持されていることで、第1基板60の熱容量を大きくすることができ、結露の発生を抑制することができる。
【0034】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
【0035】
前記実施形態では、電動弁1の駆動に用いられるバルブアクチュエータ5について説明したが、本発明のバルブアクチュエータは、前記実施形態のような弁体3としてのボールバルブを有した電動弁1に限らず、弁体が直動する形式の電動弁に採用することもできる。また、電動弁としては、弁体を弁開または弁閉のいずれかに切り替える形式のものに限らず、弁体によって弁口の開度を変動させる形式のものであってもよい。
【0036】
また、前記実施形態では、回転角度検出機構57が角度伝達ギア57Aと、角度伝達軸57Bと、中間ギア57Cと、ポテンショギア57Dと、ポテンショメータ57Eと、カム57Fと、マイクロスイッチ57Gと、を備えて構成されていたが、これに限らず、ポテンショメータ57Eに替えて他の角度検出部を採用してもよいし、カム57Fやマイクロスイッチ57Gを省略してもよい。また、角度伝達ギア57Aは樹脂製に限らず、その材質は適宜に選択可能である。
【0037】
また、前記実施形態では、歯車列55が第1ギア55A、第2ギア55B、第3ギア55C、および第4ギア55Dからなる減速歯車列であり、第1ギア55Aおよび第2ギア55Bを樹脂製とし、第3ギア55C、第4ギア55Dおよび出力ギア56Bを金属製としたが、これに限らず、各歯車の材質は適宜に選択可能である。
【0038】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部、もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0039】
1 電動弁
3 弁体
5 バルブアクチュエータ
51 ケース
52 カバー
53 取付板
54 電動モータ
55 歯車列(減速歯車列)
56 出力軸
57 回転角度検出機構
57A 角度伝達ギア(伝達歯車)
57B 角度伝達軸
57E ポテンショメータ(角度検出部)
58 回路基板
図1
図2
図3
図4
図5