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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168544
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】医療用マーカーペン
(51)【国際特許分類】
   B43K 8/02 20060101AFI20241128BHJP
   C09D 11/16 20140101ALI20241128BHJP
【FI】
B43K8/02 100
C09D11/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085305
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005957
【氏名又は名称】三菱鉛筆株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101878
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100187506
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 優子
(72)【発明者】
【氏名】藤沢 清志
【テーマコード(参考)】
2C350
4J039
【Fターム(参考)】
2C350GA04
2C350HA15
2C350HC07
2C350NA14
4J039AB02
4J039AD12
4J039BC07
4J039BE01
4J039BE02
4J039CA03
4J039FA07
4J039GA21
(57)【要約】
【課題】ペン本体(ペン軸)を再利用可能であり、かつ患者に対し衛生的に使用することができ、また、使用後の破棄量を従来よりも格段に低減することのできる医療用マーカーペンを提供する。
【解決手段】マーカーペン軸2の先端側には、芯体3を保持可能なペン軸側芯体保持部2A2が形成され、キャップ4内には、前記芯体を保持可能なキャップ側芯体保持部4aが形成され、前記キャップ側芯体保持部に保持された前記芯体は、前記マーカーペン軸の先端側が前記キャップ内に圧入されることにより前記ペン軸側芯体保持部に保持され、前記マーカーペン軸の先端側が前記キャップ内から引き抜かれることにより前記キャップ側芯体保持部から外される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺のマーカーペン軸と、前記マーカーペン軸の先端側に着脱可能であり、医療用マーカーインクが吸蔵された棒状の芯体と、前記芯体を覆うように前記マーカーペン軸の一端側に装着可能なキャップと、を備え、
前記マーカーペン軸の先端側には、前記芯体を保持可能なペン軸側芯体保持部が形成され、前記キャップ内には、前記芯体を保持可能なキャップ側芯体保持部が形成され、
前記キャップ側芯体保持部に保持された前記芯体は、前記マーカーペン軸の先端側が前記キャップ内に圧入されることにより前記ペン軸側芯体保持部に保持され、前記マーカーペン軸の先端側が前記キャップ内から引き抜かれることにより前記キャップ側芯体保持部から外されることを特徴とする医療用マーカーペン。
【請求項2】
前記ペン軸側芯体保持部による前記芯体の保持力は、前記キャップ側芯体保持部による前記芯体の保持力よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載された医療用マーカーペン。
【請求項3】
前記キャップ側芯体保持部は軸方向に延設され、
前記芯体は前記キャップ側芯体保持部における軸方向手前側により保持されることを特徴とする請求項1に記載された医療用マーカーペン。
【請求項4】
前記マーカーペン軸は、筒状に形成され、
前記マーカーペン軸の内部に軸方向に移動可能なノック棒が収容され、
前記ペン軸側芯体保持部により前記芯体が保持された状態で、
前記ノック棒の先端は前記芯体の後端に当接し、前記ノック棒の後端は、前記マーカーペン軸の後端から突出し、
前記ノック棒の後端を前記マーカーペン軸内に押し込むことにより、前記芯体は押圧され、前記ペン軸側芯体保持部から外れることを特徴とする請求項1に記載された医療用マーカーペン。
【請求項5】
前記マーカーペン軸の先端を前記キャップ内に挿入した状態で、前記ノック棒の後端を前記マーカーペン軸内に押し込むことにより、
前記芯体は押圧され、前記ペン軸側芯体保持部から外れるとともに、
前記芯体の先端が前記キャップ側芯体保持部の軸方向最奥部により保持されることを特徴とする請求項4に記載された医療用マーカーペン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療用マーカーペンに関し、人体に対し衛生的に用いることのできる医療用マーカーペンに関する。
【背景技術】
【0002】
医療用マーカーペンを用いた、患者(人体)の皮膚に対するマーキングは、正しい位置での手術をガイドする重要な役割を担う。
特許文献1には、人体にとって安全な医療用マーカーインクを用いた医療用マーカーペンが開示されている。
【0003】
特許文献1に開示された医療用マーカーペンは、図11に示すように、中綿式のもので、筒状の本体51と、本体51の先端側に位置する芯体抑えリブ52と、芯体抑えリブ52に保持される芯体53と、本体51内に位置し、医療用マーカーインクを吸蔵するための中綿54と、本体51の後端側に位置する尾栓55と、使用時以外に芯体53を覆うためのキャップ56とからなる。
【0004】
前記芯体53は、棒状の繊維束であり、この繊維束を構成する糸状の繊維は0.5~10デニールの範囲のポリアミド樹脂繊維およびポリエステル樹脂繊維の少なくとも一方により形成されている。
これにより、使用者には、筆記対象に対する抵抗感がほとんど感じられず、ペン先に柔軟で良好なフィット感を持たせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2023-36520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に開示される医療用マーカーペンにあっては、その使用時において芯体53が患者の皮膚と接触するため、他の患者に使用することは衛生上好ましくなく、それ故、使用後には破棄することが望ましい。
しかしながら、医療用マーカーペンにおいて、一人の患者に対し一度に使用するインク量は微量であるため、ペンごと破棄するのは資源の無駄であり、好ましくないという課題があった。
【0007】
本発明は、前記した点に着目してなされたものであり、ペン本体(ペン軸)を再利用可能であり、かつ患者に対し衛生的に使用することができ、また、使用後の破棄量を従来よりも格段に低減することのできる医療用マーカーペンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記した課題を解決するために、本発明に係る医療用マーカーペンは、長尺のマーカーペン軸と、前記マーカーペン軸の先端側に着脱可能であり、医療用マーカーインクが吸蔵された棒状の芯体と、前記芯体を覆うように前記マーカーペン軸の一端側に装着可能なキャップと、を備え、前記マーカーペン軸の先端側には、前記芯体を保持可能なペン軸側芯体保持部が形成され、前記キャップ内には、前記芯体を保持可能なキャップ側芯体保持部が形成され、前記キャップ側芯体保持部に保持された前記芯体は、前記マーカーペン軸の先端側が前記キャップ内に圧入されることにより前記ペン軸側芯体保持部に保持され、前記マーカーペン軸の先端側が前記キャップ内から引き抜かれることにより前記キャップ側芯体保持部から外されることに特徴を有する。
【0009】
なお、前記ペン軸側芯体保持部による前記芯体の保持力は、前記キャップ側芯体保持部による前記芯体の保持力よりも大きいことが望ましい。
また、前記キャップ側芯体保持部は軸方向に延設され、前記芯体は前記キャップ側芯体保持部における軸方向手前側により保持されることが望ましい。
また、前記マーカーペン軸は、筒状に形成され、前記マーカーペン軸の内部に軸方向に移動可能なノック棒が収容され、前記ペン軸側芯体保持部により前記芯体が保持された状態で、前記ノック棒の先端は前記芯体の後端に当接し、前記ノック棒の後端は、前記マーカーペン軸の後端から突出し、前記ノック棒の後端を前記マーカーペン軸内に押し込むことにより、前記芯体は押圧され、前記ペン軸側芯体保持部から外れることが望ましい。また、前記マーカーペン軸の先端を前記キャップ内に挿入した状態で、前記ノック棒の後端を前記マーカーペン軸内に押し込むことにより、前記芯体は押圧され、前記ペン軸側芯体保持部から外れるとともに、前記芯体の先端が前記キャップ側芯体保持部の軸方向最奥部により保持されることが望ましい。
また、前記マーカーペン軸や前記ノック棒は、金属により形成されていることが望ましい。
【0010】
このような構成によれば、芯体を消耗品とし、使用する度に、新しい芯体をマーカーペン軸先端に取り付け可能となる。これにより、患者に対し衛生的にマーカーペンを使用することができ、また、マーカーペン軸を金属製とすれば消毒により再利用可能となるため、使用後の破棄量を従来よりも格段に低減し、資源の無駄を無くすことができる。
また、医療用マーカーペンの使用前及び使用後において、消耗品であるキャップ内に芯体を収容し、マーカーペン軸への芯体の着脱は、マーカーペン軸の先端をキャップ内に挿入(圧入)することにより可能となる。
これにより、使用者は、芯体に触れることなくマーカーペン軸に対し容易かつ衛生的に芯体を付け替えることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ペン本体(ペン軸)を再利用可能であり、かつ患者に対し衛生的に使用することができ、また、使用後の破棄量を従来よりも格段に低減することのできる医療用マーカーペンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明に係る医療用マーカーペンの斜視図である。
図2図2は、図1の医療用マーカーペンのキャップを外した状態の斜視図である。
図3図3は、図1の医療用マーカーペンを分解して示す斜視図である。
図4図4は、図1の医療用マーカーペンを分解した各部品の断面図である。
図5図5は、図1の医療用マーカーペンの各部品を組み立てた状態の断面図(キャップは外した状態)である。
図6図6(a)は、キャップを先端側から見た斜視図であり、図6(b)は、キャップを後端側から見た斜視図である。
図7図7(a)は、キャップの先端側の正面図であり、図7(b)は、キャップの後端側の正面図である。
図8図8(a)は、図7(a)のA-A矢視断面図であり、図8(b)は、図7(a)のB-B矢視断面図である。
図9図9(a)、(b)、(c)は、図1の医療用マーカーペンの使用時の動作を示す断面図である。
図10図10(a)、(b)は、図1の医療用マーカーペンの使用後の動作を示す断面図である。
図11図11は、従来の医療用マーカーペンの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る医療用マーカーペンの実施の形態を図面に基づき説明する。図1は、本発明に係る医療用マーカーペンの斜視図であり、図2は、図1の医療用マーカーペンのキャップを外した状態の斜視図である。
【0014】
図1図2に示すように、医療用マーカーペン1は、長尺で筒状のマーカーペン軸2と、マーカーペン軸2の先端に装着可能であり、医療用マーカーインクが吸蔵された棒状の芯体3と、芯体3を覆うようにマーカーペン軸2の一端側に装着可能なキャップ4とを備える。また、マーカーペン軸2内を軸方向に沿って移動可能なノック棒5を備え、ノック棒5の一端は、芯体3が装着されるマーカーペン軸2の一端部とは反対側の端部から突出している。
なお、以下の実施形態の説明において、マーカーペン軸2の芯体3が装着される側を先端側とし、ノック棒5の一端が突出している側を後端側とする。
【0015】
図3は、図1の医療用マーカーペンを分解して示す斜視図である。また、図4は、分解した各部品の断面図であり、図5は、各部品を組み立てた状態の断面図(キャップ4は外した状態)である。
【0016】
図3に示すようにマーカーペン軸2は、軸方向において軸部品2Aと軸部品2Bの2つに分割可能に構成されている。軸部品2A、2Bは例えばステンレスからなる金属製であって円筒状に形成され、軸部品2Aの後端側には、軸部品2Bとの連結を可能とするためにより小径に形成された小径部2A1が形成されている。すなわち、軸部品2Bの先端側の筒内部2B1に軸部品2Aの後端側に形成された小径部2A1が嵌入(あるいは螺合)されることによって軸部品2Aと軸部品2Bとが連結するように構成されている。
なお、このようにマーカーペン軸2を軸部品2Aと軸部品2Bとの連結により構成するのは、筒状のマーカーペン軸2内にノック棒5を収容可能とするためである。
【0017】
また、図3に示すように、芯体3は、軸長が例えば20mmと短く形成されている。本発明に係る医療用マーカーペン1にあっては、芯体3は1度の使用後に使い捨てる消耗品を想定しており、軸長が短くても十分である。
軸部品2Aの先端側は、外径が先端に向かって徐々に縮径するテーパー形状となっており、この軸部品2Aの先端側のペン軸側芯体保持部2A2内に、芯体3の後端側が保持されるようになっている。なお、ペン軸側芯体保持部2A2の内径は、芯体3の直径よりも小さく形成されており、ペン軸側芯体保持部2A2の内周面全体が芯体3の外周面に接することで、強固に保持されるように構成されている。
【0018】
芯体3は、棒状の繊維束であり、繊維束を構成する糸状の繊維は0.5~10デニールの範囲のポリアミド樹脂繊維およびポリエステル樹脂繊維の少なくとも一方により形成されている。
芯体3には、医療用マーカーインクが吸蔵されている。この医療用マーカーインクは、インク総量においてエタノールを30~90質量%の範囲、水を50質量%以下の範囲、定着剤を0.05~5質量%の範囲で含有する。さらに、インクは着色剤を含有し、この着色剤は、食用許可色素、化粧品法定色素、医薬部外品原料規格、日本薬局方および食品添加物公定書のいずれかに記載されている着色剤、およびそのレーキ化物の少なくとも1種であることが望ましい。
【0019】
また、前記定着剤は、ヒドロキシプロピルセルロースまたはポリビニルピロリドンのいずれかである。また、インク総量において前記着色剤を0.1~10質量%の範囲で含有する。また、前記着色剤は、色調が異なる2種以上の食用色素である。
また、前記着色剤は、少なくとも食用赤色106号と食用青色1号を含有する。また、保湿剤としてプロピレングリコールを、インク総量において1~30質量%の範囲で含有する。
【0020】
前記したようにマーカーペン軸2には、直棒状のノック棒5が収容される。図4に示すようにノック棒5の軸方向の途中には、周方向に切り込み凹部5cが形成され、この切り込み凹部5cには座金状のストッパリング6が嵌め込まれる。ストッパリング6の一部には切り込み6aが形成されており、ストッパリング6は、この切り込み6aからノック棒5の切り込み凹部5cに嵌め込まれる。図5に示すようにノック棒5にストッパリング6が装着されると、ノック棒5の直径よりも直径の大きいストッパリング6の周縁部が径方向に突出した状態となる。
【0021】
このストッパリング6とマーカーペン軸2の筒内の段差とが係合することによって、ノック棒5の軸方向の移動が制限される。具体的には、ストッパリング6が、図4に示す軸部品2Bの段差部2B2に係止する(図5の状態)か、あるいは軸部品2Aの後端2Abに係止する(図9(a)の状態)ことによって、ノック棒5の軸に沿ったいずれかの方向の移動が制限される。
【0022】
例えば、図5に示すようにペン軸2の先端側から芯体3が突出し、医療用マーカーペン1を使用可能な状態において、ノック棒5はストッパリング6が段差部2B2に係止して後方への移動が制限される。このとき、ノック棒5の先端5aが芯体3の後端に当接し、芯体3の前部は軸部品2Aの先端2Aa開口から突出した状態に維持される。これにより芯体3を患者の皮膚に押し当ててもペン軸2内に入り込んでしまうことがない。
【0023】
ここで、本発明の医療用マーカーペン1は、使用前において、芯体3はキャップ4内に収容され、使用時にはマーカーペン軸2の先端に装着され、使用後には再びキャップ4内に収容可能な仕様となっている。
これにより、医療用マーカーペン1を使用する度に、新たな芯体3に付け替えて衛生を維持し、芯体3及びキャップ4を除く、医療用マーカーペン1を再利用することができる。すなわち、本発明に係る医療用マーカーペンにおいて、芯体3及びキャップ4は消耗品であり、金属製のペン軸2及びノック棒5は、煮沸消毒、電子線滅菌等により再利用可能である。
【0024】
続いて、その仕様を実現するための構造について説明する。
図6(a)は、キャップ4を先端側から見た斜視図であり、図6(b)は、キャップ4を後端側から見た斜視図である。また、図7(a)は、キャップ4の先端側の正面図であり、図7(b)は、キャップ4の後端側の正面図である。また、図8(a)は、図7(a)のA-A矢視断面図であり、図8(b)は、図7(a)のB-B矢視断面図である。
【0025】
キャップ4は、例えば透明、または不透明な樹脂により形成される。キャップ4内には、先端部側にキャップ側芯体保持部4aが形成され、後端部側にペン軸係合部4bが形成されている。
キャップ側芯体保持部4aは、図6(b)、図7(b)、図8に示すように、筒状の内周面に軸方向に延びて形成された複数のリブ4a1を有する(図では周方向に沿って120°毎に3つのリブが均等配置)。これらリブ4a1の上面(軸中心に臨む面)は平面に形成され、この平面(リブ上面)はマーカーペン軸2の軸断面視(図7(b))において、軸中心を同心とする仮想円Cに接する(仮想円Cの半径がリブ上面に直交する)。
また、図7(b)に示すように、複数のリブ4a1の上面に接する仮想円Cの直径Lは、断面正円形状を有する芯体3の直径よりも小さく形成されており、複数のリブ4a1によって芯体3を保持することが可能に構成されている。
【0026】
また、ペン軸係合部4bは、筒状の内周面に軸方向に延びて形成された複数(例えば6つ)のリブ4b1を有する。図8(a)、図8(b)に示すように、複数のリブ4b1の横幅は、軸先端方向に向かって小さくなるよう形成され、隣設されたリブ4b1間の距離が軸先端に向かって幅広になるように形成されている。それによりペン軸係合部4bに嵌入されたペン軸2が容易に外れることを防止している。
【0027】
このような医療用マーカーペン1にあっては、使用前においては、図9(a)に示すように、芯体3はキャップ4内に保持された状態である。このとき芯体3は、キャップ4のキャップ側芯体保持部4aの最深部までは挿入されておらず、キャップ側芯体保持部4aの軸方向手前側(キャップ開口側)により保持されている。これにより芯体3の保持力を軽めに設定している。
医療用マーカーペン1の使用開始時には、マーカーペン軸2の先端に芯体3を装着するために、図9(b)に示すようにキャップ4内にマーカーペン軸2の先端2Aaを挿入し、ペン軸側芯体保持部2A2内に芯体3の後部を圧入する。
【0028】
そして、マーカーペン軸2をキャップ4から引き抜くことにより、図9(c)に示すように、マーカーペン軸2の先端に芯体3が装着される。ここで、芯体3に対するキャップ側芯体保持部4aの保持力よりもペン軸側芯体保持部2A2の保持力のほうが大きく設定されており、それにより芯体3のキャップ4からペン軸2への移動を可能としている。
【0029】
使用者が医療用マーカーペン1を使用した後、次のようにしてマーカーペン軸2から芯体3を外すことができる。
即ち、使用者は、図10(a)に示すようにマーカーペン軸2の先端側をキャップ4に挿入するとともに、ノック棒5の後端5bをマーカーペン軸2内に押し込む。それにより、芯体3が先端側に押圧され、芯体3はペン軸側芯体保持部2A2から押し出される(外される)とともに、キャップ側芯体保持部4aの軸方向最奥部まで圧入されキャップ4内に強固に保持される。
【0030】
そして、図10(b)に示すように、マーカーペン軸2からキャップ4を外すことにより、キャップ4内には、使用済みの芯体3が保持されるため、使用者は、この使用済みの芯体3に触れることなくキャップ4ごと芯体3を破棄することができる。
【0031】
以上のように本発明に係る実施の形態によれば、短い軸長の芯体3を消耗品とし、使用する度に、新しい芯体3を金属製のマーカーペン軸2先端に取り付け可能な構成とした。これにより、患者に対し衛生的にマーカーペンを使用することができ、また、マーカーペン軸2は消毒により再利用可能となるため、使用後の破棄量を従来よりも格段に低減し、資源の無駄を無くすことができる。
また、医療用マーカーペン1の使用前及び使用後において、消耗品であるキャップ4内に芯体3を収容し、マーカーペン軸2への芯体3の着脱は、マーカーペン軸2の先端2Aaをキャップ4内に挿入(圧入)することにより可能とした。
これにより、使用者は、芯体3に触れることなくマーカーペン軸2に対し容易かつ衛生的に芯体3を付け替えることができる。
【0032】
尚、前記実施の形態においては、キャップ側芯体保持部4aにおいて3つのリブ4a1を周方向に等間隔で配置する例を示したが、本発明にあっては、その構成に限定されるものではなく、リブ4a1の数は4つ以上であってもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 医療用マーカーペン
2 マーカーペン軸
2A2 ペン軸側芯体保持部
3 芯体
4 キャップ
4a キャップ側芯体保持部
4a1 リブ
5 ノック棒
6 ストッパリング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11