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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168551
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】端末装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/22 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
B25J9/22 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085334
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】赤路 雄一
(72)【発明者】
【氏名】北川 諒
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS10
3C707JU03
3C707JU09
3C707JU17
3C707KT17
3C707LS04
3C707LS20
(57)【要約】
【課題】作業者の操作に応じて産業用ロボットがどのような姿勢に変化するのかを視認可能な端末装置を提供する。
【解決手段】端末装置1は、産業用ロボットの動作を教示可能な端末装置1であって、産業用ロボットを手動で操作する際に、産業用ロボットの動作を前進させるための第1ボタン及び産業用ロボットの動作を後退させるための第2ボタンを含む操作パネルを表示させる制御部11を、備え、制御部11は、第1ボタン又は第2ボタンが押下された場合に、押下されたことにより動作する産業用ロボットの姿勢を所定の表示領域に表示させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業用ロボットの動作を教示可能な端末装置であって、
前記産業用ロボットを手動で操作する際に、前記産業用ロボットの動作を前進させるための第1ボタン及び前記産業用ロボットの動作を後退させるための第2ボタンを含む操作パネルを表示させる制御部を、備え、
前記制御部は、前記第1ボタン又は前記第2ボタンが押下された場合に、押下されたことにより動作する前記産業用ロボットの姿勢を所定の表示領域に表示させる、
端末装置。
【請求項2】
前記所定の表示領域は、押下された前記第1ボタン又は前記第2ボタンの表示領域である、
請求項1記載の端末装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1ボタン又は前記第2ボタンが押下された場合に、前記所定の表示領域を拡大し、拡大した表示領域に前記産業用ロボットの姿勢を表示させる、
請求項1記載の端末装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1ボタン又は前記第2ボタンが押下されることにより動作する前記産業用ロボットの動作の進行状況を識別可能に表示させる、
請求項1記載の端末装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記所定の表示領域の背景を段階的に変更する、又は前記産業用ロボットの動きをアニメーション表示させることにより、前記進行状況を識別可能に表示させる、
請求項4記載の端末装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業用ロボットの動作を教示可能な端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ロボットの動作を教示する際に、教示用の操作盤を有するティーチペンダントが用いられている。下記特許文献1には、ロボットを動作させるロボットプログラムに基づいて生成された教示点や経路を含む表示データ及びロボットの形状データをグラフィック表示させるロボット教示操作盤が開示されている。このロボット教示操作盤は、ロボットを手動で操作するためのジョグボタンを作業者が押下すると、ロボットが実際に動作する前に、押下されたジョグボタンに対応するロボットの動作方向を表す矢印を、ロボットを表示しているグラフィック表示画面上に表示させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4014662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ロボットの動作を教示する際に、ロボットの動作方向を表す矢印を表示するだけでは、実際にロボットがどのような姿勢に変化するのかを作業者が直感的に理解することは難しい。
【0005】
そこで、本発明は、作業者の操作に応じて産業用ロボットがどのような姿勢に変化するのかを視認可能な端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る端末装置は、産業用ロボットの動作を教示可能な端末装置であって、産業用ロボットを手動で操作する際に、産業用ロボットの動作を前進させるための第1ボタン及び産業用ロボットの動作を後退させるための第2ボタンを含む操作パネルを表示させる制御部を、備え、制御部は、第1ボタン又は第2ボタンが押下された場合に、押下されたことにより動作する産業用ロボットの姿勢を所定の表示領域に表示させる。
【0007】
この態様によれば、産業用ロボットの動作を前進させるための第1ボタン又は産業用ロボットの動作を後退させるための第2ボタンが押下されたときに、その押下により動作する産業用ロボットの姿勢を所定の表示領域に表示させることができる。それゆえ、作業者は、ボタンを操作したときに、その操作により変化する産業用ロボットの姿勢を容易に把握することが可能となる。
【0008】
上記態様において、所定の表示領域は、押下された第1ボタン又は第2ボタンの表示領域であってもよい。
【0009】
この態様によれば、作業者は、ボタンを操作したときに、操作したボタンを目視することで、操作により変化する産業用ロボットの姿勢を把握することが可能となる。
【0010】
上記態様において、制御部は、第1ボタン又は第2ボタンが押下された場合に、所定の表示領域を拡大し、拡大した表示領域に産業用ロボットの姿勢を表示させてもよい。
【0011】
この態様によれば、作業者は、ボタンの操作により変化する産業用ロボットの姿勢を拡大した状態で確認することができるため、産業用ロボットの姿勢を細部まで確認し易くすることが可能となる。
【0012】
上記態様において、制御部は、第1ボタン又は第2ボタンが押下されることにより動作する産業用ロボットの動作の進行状況を識別可能に表示させてもよい。
【0013】
この態様によれば、作業者は、ボタンを操作することで動作する産業用ロボットの動作がどの程度進行しているのかを把握することが可能となる。
【0014】
上記態様において、制御部は、所定の表示領域の背景を段階的に変更する、又は産業用ロボットの動きをアニメーション表示させることにより、進行状況を識別可能に表示させてもよい。
【0015】
この態様によれば、作業者は、産業用ロボットの動作がどの程度進行しているのかを、視覚的なイメージによって具体的に把握することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、作業者の操作に応じてロボットがどのような姿勢に変化するのかを視認可能な端末装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る端末装置を含むロボット制御システムの構成を例示する図である。
図2】操作パネル画面の一例を説明するための模式図である。
図3】表示パネル画面の一例を説明するための模式図である。
図4】各ボタンの表示領域に表示されるマニピュレータの姿勢が変化することを説明するための模式図である。
図5】マニピュレータの姿勢を表示させる表示領域の変形例を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。また、図面は模式的なものであるため、各構成要素の寸法や比率は実際のものとは相違する。
【0019】
図1は、本発明に係る端末装置1を含むロボット制御システム100の構成を例示する図である。ロボット制御システム100は、例えば、端末装置1、ロボット制御装置2及びマニピュレータ(産業用ロボット)3を備える。ロボット制御装置2は、端末装置1及びマニピュレータ3と、それぞれネットワークを介して接続される。例示的に、ロボット制御装置2と端末装置1は、WiFi(Wireless Fidelity)などの無線通信により接続され、ロボット制御装置2とマニピュレータ3は、通信ケーブルを介して接続される。なお、ネットワークは、有線(通信ケーブルを含む)であっても無線であってもよい。
【0020】
マニピュレータ3は、ロボット制御装置2において設定される溶接の施工条件に従ってアーク溶接を行う溶接ロボットである。溶接の施工条件には、例えば、溶接条件、溶接開始位置、溶接終了位置、アーク放電の時間、溶接距離、溶接トーチの姿勢及び溶接トーチの移動速度等のデータ項目が含まれる。
【0021】
マニピュレータ3は、例えば、工場の床面等に固定されるベース部材上に設けられる多関節アーム31と、多関節アーム31の先端に連結される溶接トーチ32とを有する。
【0022】
ロボット制御装置2は、マニピュレータ3の動作を制御する制御ユニットであり、例えば、制御部21、記憶部22、通信部23及び溶接電源部24を有する。
【0023】
制御部21は、プロセッサであり、例えば、端末装置1からの指示に従って、記憶部22に記憶されている溶接プログラムを実行し、マニピュレータ3及び溶接電源部24を制御する。
【0024】
通信部23は、通信インターフェースであり、ネットワークを介して接続される端末装置1やマニピュレータ3との通信を制御する。
【0025】
溶接電源部24は、例えば、溶接ワイヤの先端とワークとの間にアークを発生させるために、溶接の施工条件に従って、溶接電流及び溶接電圧等をマニピュレータ3に供給する。溶接電源部24は、ロボット制御装置2と別個に備えてもよい。
【0026】
端末装置1は、作業者がマニピュレータ3の動作を教示するためのティーチペンダントとしての機能を実装した端末である。端末装置1として、例えば、タブレット端末を用いることができるが、これに限定されず、ノートPC(パーソナルコンピュータ)、携帯情報端末(PDA)、スマートフォン等の持ち運び可能な端末を用いてもよい。
【0027】
端末装置1は、物理的な構成として、例えば、制御部11、記憶部12、通信部13及び表示部14を有する。
【0028】
制御部11は、プロセッサであり、記憶部12に格納されたプログラムを実行することで、各種の機能を実現する。各種の機能には、例えば、表示部14に表示させる各種の画面やそれらの画面に表示させる内容を制御する機能や、各種の画面を介して受け付けられる操作指示に対応する処理を実行する機能が含まれる。各種の画面については、後述する。
【0029】
記憶部12は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、端末装置1の各種の機能を実現するためのプログラム及びそのプログラムで使用される各種のデータなどを記憶する。各種のデータとして、例えば、マニピュレータ3の動作を教示するための教示プログラムなどを含む教示データがある。
【0030】
通信部13は、通信インターフェースであり、ネットワークを介して接続されるロボット制御装置2との通信を制御する。通信部13は、例えば、教示データなどをロボット制御装置2に送信し、ロボット制御装置2から送信されるロボットの姿勢データなどを含むロボット稼働情報や、教示プログラムなどを受信する。ロボットの姿勢データには、例えば、多関節アームの各軸に関するデータなどが含まれる。
【0031】
表示部14は、例えば、タッチパネルであり、各種の画面を表示するとともに、各種の画面に表示されるボタンなどを押下(タッチ)するなどして入力される操作指示を受け付ける。
【0032】
以下において、制御部11が、表示部14に表示させる各種の画面について説明する。各種の画面には、例えば、図2に示す操作パネル画面Paや、図3に示す表示パネル画面Pbなどが含まれる。これらの画面は、作業者の操作指示に従って、端末装置1の表示画面上に、並べて表示させることや、重ねて表示させることができる。
【0033】
図2の操作パネル画面Paは、ティーチペンダントの操作盤を模した画面である。操作パネル画面Paには、マニピュレータ3の動作を教示する際に作業者が操作する各種のボタンなどが設けられている。各種のボタンには、例えば、多関節アームの回転軸を選択するボタンや、動作方向、移動量などを入力するボタンの他、第1ボタンBa、第2ボタンBbが含まれる。
【0034】
第1ボタンBa及び第2ボタンBbは、作業者がマニピュレータ3を手動で操作する際に、マニピュレータ3の動作を前進又は後退させるために押下するボタンである。第1ボタンBaを一回押下すると、マニピュレータ3の動作が、教示プログラムの一ステップ分前進する。他方、第2ボタンBbを一回押下すると、マニピュレータ3の動作が、教示プログラムの一ステップ分後退する。
【0035】
図3の表示パネル画面Pbは、ティーチペンダントの表示盤を模した画面である。表示パネル画面Pbには、例えば、操作パネル画面Paで設定するプログラムの種別などを定めるための各種のボタンや、操作パネル画面Paで設定した教示プログラムをステップごとに表示する領域などが設けられている。
【0036】
図1の制御部11は、作業者の操作指示に従って、操作パネル画面Paや表示パネル画面Pbなどを表示部14に表示させる。
【0037】
制御部11は、操作パネル画面Paにある第1ボタンBa又は第2ボタンBbが押下された場合に、押下されたことにより動作するマニピュレータ3の姿勢を、押下された第1ボタンBa又は第2ボタンBbの表示領域に表示させる。
【0038】
第1ボタンBa又は第2ボタンBbの押下により動作するマニピュレータ3の姿勢は、ロボット制御装置2から取得する教示プログラム及びロボット稼働情報に基づいて、制御部11が算出する。
【0039】
具体的に、現在のマニピュレータ3の姿勢に対応する教示プログラムが、図3に示すステップSbである場合に、作業者が第1ボタンBaを押下すると、制御部11は、ステップSaの教示プログラムに対応するマニピュレータ3の姿勢を示す各軸の値を算出する。そして、制御部11は、算出した各軸の値に対応するマニピュレータ3の姿勢を、第1ボタンBaの表示領域に表示させる。
【0040】
他方、上記と同様の場合に、作業者が第2ボタンBbを押下すると、制御部11は、ステップScの教示プログラムに対応するマニピュレータ3の姿勢を示す各軸の値を算出する。そして、制御部11は、算出した各軸の値に対応するマニピュレータ3の姿勢を、第2ボタンBbの表示領域に表示させる。
【0041】
図4を参照し、第1ボタンBa又は第2ボタンBbが押下されることにより、各ボタンの表示領域に表示されるマニピュレータ3の姿勢が変わることについて説明する。例えば、図4(B)が、現在のマニピュレータ3の姿勢を表している場合に、第1ボタンBaを押下すると、マニピュレータ3の動作が教示プログラムの一ステップ分前進して図4(C)の状態になる。他方、図4(B)の状態で、第2ボタンBbを押下すると、マニピュレータ3の動作が教示プログラムの一ステップ分後退して図4(A)の状態になる。
【0042】
ここで、第1ボタンBa又は第2ボタンBbが押下され、それぞれのボタンの表示領域にマニピュレータ3の姿勢を表示させる際に、それぞれの表示領域を拡大し、その拡大した表示領域にマニピュレータ3の姿勢を表示させてもよい。さらに、図5に例示するように、操作パネル画面Paとは別に設けた表示領域Ba’、Bb’にマニピュレータ3の姿勢を表示させてもよい。この表示領域Ba’、Bb’は、第1ボタンBa又は第2ボタンBbの表示領域よりも大きいことが好ましい。
【0043】
各表示領域にマニピュレータ3の姿勢を表示させる際に、マニピュレータ3の動作の進行状況を識別可能に表示させることが好ましい。具体的に、各表示領域にマニピュレータ3の動きをアニメーション表示させてもよいし、マニピュレータ3の姿勢を表示している表示領域の背景を、動作の進行状況に合わせて端から徐々に異なる色などで塗り潰すなどのように、段階的に変更してもよい。
【0044】
上述したように、実施形態に係る端末装置1によれば、作業者がマニピュレータ3を手動で操作する際に、マニピュレータ3の動作を前進させるための第1ボタンBa又はマニピュレータ3の動作を後退させるための第2ボタンBbを押下すると、その押下により動作するマニピュレータ3の姿勢が、押下した第1ボタンBa又は第2ボタンBbの表示領域に表示される。これにより、作業者は、ボタンを操作したときに、その操作により変化するマニピュレータ3の姿勢を容易に把握することが可能となる。
【0045】
それゆえ、実施形態に係る端末装置1によれば、作業者の操作に応じてマニピュレータ3がどのような姿勢に変化するのかを視認することができる。
【0046】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。このため、上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。
【0047】
例えば、上述した実施形態では、溶接ロボットを用いて説明したが、これに限定されない。例えば、ピッキング等を行うハンドリングロボットを含む産業用ロボットに本発明を適用することができる。この場合、上記実施形態で用いた溶接プログラムを、作業プログラムと置き換えることができる。
【符号の説明】
【0048】
1…端末装置、2…ロボット制御装置、3…マニピュレータ、11…制御部、12…記憶部、13…通信部、14…表示部、21…制御部、22…記憶部、23…通信部、24…溶接電源部、31…多関節アーム、32…溶接トーチ、100…ロボット制御システム、Ba…第1ボタン、Bb…第2ボタン、Pa…操作パネル画面、Pb…表示パネル画面
図1
図2
図3
図4
図5